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中尾説明員 定員法廃止という
議論は
政府部内で若干ございましたが、それは
事務的な
段階におきますところの
議論の
段階の
一つの
考え方であります。これに対しまして
政府といたしまして
責任のある
検討を加えた、あるいは
結論を出したということではございません。
大蔵省といたしましてこの問題についてどうかという
お話でありますが、今申し上げましたような問題の現われ方であったわけでありますから、その
程度の
段階におきまするところの所見を申し上げるにとどめざるを得ないわけでありますが、私
どもといたしましても、
現行の
定員法が、早い話がにっちもさっちもいかないという状況にあることはよく
承知をいたしておるところであります。と申しますのは、
定員法がございますが、そのほかに今の二二カ月以内というような
関係から
定員外の
職員が存在し得るわけです。この
職員はその
職務におきましてはどうこう、
給与におきましてはどうこうとか、一切制限はないわけですから、
定員内で最初予定いたしました、
定員法発足の当時に予定いたしました
職員と同類の
職員、正確に言いますと
任用資格その他を欠いておるのですから、正確には同じでないが、しかしそのやっている
仕事は
定員内の
職員と同じような
仕事であるというような
職員、あるいはもともと
定員法の
規制ということが不可能な
職員、これは
工事費でございますとか、
事業費でありますとか、統計の集計でありますとか、あるいは請負でやり、あるいは直営でやる、あるいは機械を用い、あるいは人を用いてやる、
予算的にいいましてもとうていその
人数は捕捉できない。ただ
事業量としてそのコストを
予算で見ていくだけにとどまらざるを得ないというふうな部面があるわけです。あるいは学校の
研究費といったようなものもございますが、こういう中にもあるいは外に頼む場合もあるし、それから人を雇う場合もある。とうていその
人数は捕捉できない。しかしそういう
方々でありましても、一方で
相当長期にわたって同一の方が勤務をしておられる、あるいは道路の
工事に従事をしておられるというような形になりますが、あるいは親子二代にわたってやっておられるというような
方々もおられるわけであります。従ってそういうような
関係の
方々がおられるということは事実であります。ところがそれが事実であるということと、そういう人々の名義で、実はそういうことではなくて実際の
事務や
管理の
業務に従事しておるという人もいるということも、これはまた事実です。その辺の統制は
現行の
制度ではとれておらないわけです。そういうふうな
関係がありまして、ここ過去二年にわたりまして現員という、現在員が先におりまして、現在員に合わせて
定員を直すということになって参っておるわけであります。
定員の
制度というものはもともと
業務量というものを捕捉できる
範囲において捕捉いたしまして、その
業務量によって統制し得る限りの
職員を統制していく、
規制していくというのが、
定員制度の本来の
目標であります。それはおそらく疑いのないところであろうと思います。
国会で
定員法を最初から
成立させられました
趣旨も、おそらくそこにあると思います。これは
人事法規や
身分法規ではございません。役所の規模を現わすところの定数を
規制するための
法律であったと思います。従ってその
規制に従って人を雇っていくというのが、本来の機能であるわけです。ところがここ数年来を見ますと、
実員が先におりまして、
実員に合わせて
定員を
改正していく。何をやっているのかわけがわからぬ。しかもその
実員たるや、何年以上勤務した者は
定員に入れるということになっております。何年以上勤務した人が何人おるかというようなことは、とうていこれは
予算的にもはかり知ることができません。これまた法制的な
規制に加えるということ自体も無意味なわけでありまして、それを立法化したころにはまた次の人が数カ月の勤続を増しておるということでありまして、こういう意味におきまして現在の
定員法がここ数年来、
業務から
定員ができ、
定員から
実員を
規制するという本来の
趣旨に照らしまして、逆に
実員の方が先におって、
実員に合わせて
定員を作る、あるいは
実員が減ればまた
定員を減らすということになるのでありましょうが、そういうことではどうも
定員法はおかしいではないか、何のための
定員法かという
議論が成り立つわけであります。こういう
趣旨に私
どもも基本的には理解しておったのであります。まさにその点につきましては、私
どももこの
定員法の
制度あるいはその運用の重大な問題であると
考えております。
従って
現行のままではこれは工合が悪いということは
考えられるのでありますが、一方でそれでは、これは身分
関係とか
給与関係とか、そういう
関係ではございません。国家の行政組織をとにかく大きくする、あるいは小さくするという場合のその尺度といたしまして、別に締めるとかふくらますとか、そういう意味ではありません。とにかくそれを
管理していく尺度といたしまして、
定員法というものを
考えていく。それになじむところの
職員の
定員を
管理していくという
制度が打ち立てられることが一番好ましいと思うのであります。ところが現在の
公務員制度におきましては、全体の
公務員につきましてどういうものが
定員になじむものであり、どういうものが
定員になじまないものであるか、その
実態は
検討すれば差別はつくと思いますが、
制度上の区分はないのであります。これは先ほど
公務員制度調査室の方からも
お話があったようなわけで、職種別といったような
制度も現在ございません。あるいはよく常識的な
議論で出るのでありますが、
管理的な
職務を持った人と、それからさらに執行的な
職務にとどまる人というようなことを常識的には申しますけれ
ども、しかしこれも
制度の上ではまだ差別はないのであります。ただ唯一の差別が、いろいろな社会保険の適用であるとか、そんなような
関係からくるところの二カ月以内
雇用といったような基準が
一つある。これは
定員法とは
関係のないことですけれ
ども、そういう
一つの常識的な線があります。それから
公務員法には全然
規定はないのですけれ
ども、
公務員法の運用上用いられておる常勤、非常勤という観念があるわけであります。この非常勤というのはもともとはパート・タイムという意味であったと思います。しかしながら
実情はパート・タイムではない、フル・タイムに働いておる。しかし正規の——正規と申しますか、本則的な
公務員法の適用を何らかの意味で適当としないというような人々、これを非常勤という形にしておるわけです。しかもその被用形態は、日雇い入れあるいは出来高払いというようなものになっているわけです。これらの
関係は実は人事
制度の問題であります。これらの取り扱いがございますので、わずかにその線に沿いまして現在の
定員法というものが立案されておるわけです。従ってこれは
定員法の本来の
建前から言いますと、
定員が
規制し得べきもの、あるいは
規制すべきもの、あるいは法的な形では
定員の
規制はむしろ不適当とするのだという差別とは必ずしも一致しないわけです。いろいろな
制度がいろいろな面から一致しまして
一つの線が画されると非常に便利でありますが、必ずしもそういうわけに参りません。そういうような
関係で、今度は
定員法を現状の工合の悪い点を直すといたしましても、そういうような何らか新しいかきねを設けるといいますか、差別を作りませんと、この
定員法が今のままになってしまうということになる。一方で、それではやめたらどうか、こういうことになりますが、それにつきましては、やはりこれは国家の行政組織の基本をなすところの
一つの
制度でございますから、なお慎重に
検討を要するであろうということでございます。何と申しましても
定員外の
職員もそれはおりますけれ
ども、
定員内の
職員もその数は決して少なくないのでありまして、これによりまして
公務員というものの数が統制されておるわけでございます。従ってこれを全部はずしてしまう、そうしてはたしてその
管理が合理的にいくかどうかという点は、よほど慎重に
考える必要があるわけであります。もちろん現在のようなこういう職種も職階も何も
関係ない、ただ頭
人数だけのこういう
法律だけで、将来とも行くことが適当かどうかという点については、私自身も非常に疑問に思っております。しかしそれにかわる
制度を整えますことは、人事
制度との
関連におきましてやはり相当整えて参りませんと、新しい
制度はできません。それから実際の
定員をやめてしまうということはいささか穏当を欠くような感じがいたします。それはやはり国家の基本的な
機関を組織するところの
一つの手段となっておるわけでありますから、その辺も犠牲にするわけにはいかない。先ほど
行政管理庁の方から
お話もございましたが、そういう点の配慮というものはやはり否定し得べからざるものがあると存じます。
それやこれやを
考えまして、結局
定員法の
廃止というのは、現在の
制度はとにかく何とかしなければならない。ただしその場合には、
関連するところの
定員法の
規制すべき
範囲というものをやはり確定する必要がある。その
範囲を確定するのは、
定員法はあくまで
定員法でありまして、
職員の地位に関する
法律ではございませんから、その地位に関するあるいは
職員の区分に関するところの
制度とうらはらになりませんと、これを進めて参るわけに参りません。そこでそれらの諸般の
制度を総合的に
検討をいたしまして、そうしてこの
定員法の
定員規制ということがしっかりした
制度になるように、しかも
定員法の
制度のあるがために、一方で
職員がその
実態に即しないような不利な取り扱いを受けるというような弊害がないような
定員法であるようにということを
目標にいたしまして、新しい
制度を
検討して参るというのがこの問題に対する
結論であったわけであります。その点につきましてはおおむね
政府の御
方針としてお取り上げいただきまして、
関係各省の連絡の協議会を設けまして、それによりまして
検討を進めて参るわけでありますが、少なくとも三十六年度には間に合いますように、この夏過ぎくらいまでに一応の
結論を得たいということを、私
ども事務方の者は心がけて作業を進めようとしておるということであります。