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1960-04-26 第34回国会 衆議院 内閣委員会 第32号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十六日(火曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君    理事 高橋 禎一君 理事 前田 正男君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君    理事 田万 廣文君       小金 義照君    富田 健治君       橋本 正之君    保科善四郎君       山口 好一君    杉山元治郎君       中原 健次君  出席国務大臣         国 務 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         内閣官房長官  椎名悦三郎君         総理府総務副         長官      佐藤 朝生君         総理府事務官         (行政管理庁行         政監理局長)  山口  酉君         外務政務次官  小林 絹治君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      船後 正道君         農林事務官         (大臣官房長) 齋藤  誠君         建設事務官         (大臣官房長) 鬼丸 勝之君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      中尾 博之君         農林事務官         (農林経済局統         計調査部管理課         長)      保坂 信男君         農林事務官         (農地局参事         官)      庄野五一郎君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      高尾 文知君         郵政事務官         (郵政局次長) 曽山 克巳君         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 四月十九日  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二二号) 同月二十一日  建国記念日制定に関する請願外七十三件(岡崎  英城紹介)(第二五一九号)  同外三件(河野孝子紹介)(第二六八八号)  同(山崎巖紹介)(第二七一二号)  同外七件(田口長治郎紹介)(第二七六七  号)  旧軍人恩給加算制復元に関する請願池田清  志君紹介)(第二五二〇号)  同(鈴木善幸紹介)(第二五二一号)  同(鍛冶良作紹介)(第二五六二号)  同(中馬辰猪紹介)(第二五八八号)  同(橋本正之紹介)(第二五八九号)  同(山口好一紹介)(第二七一四号)  建設省定員外職員定員化に関する請願(臼井  莊一君紹介)(第二五二二号)  同外二件(大野市郎紹介)(第二五二三号)  同(鍛冶良作紹介)(第二五二四号)  同(鴨田宗一紹介)(第二五二五号)  同(木倉和一郎紹介)(第二五二六号)  同(北澤直吉紹介)(第二五二七号)  同(小坂善太郎紹介)(第二五二八号)  同(小平久雄紹介)(第二五二九号)  同(櫻内義雄紹介)(第二五三〇号)  同(志賀健次郎紹介)(第二五三一号)  同(始関伊平紹介)(第二五三二号)  同外二件(田中角榮紹介)(第二五三三号)  同(寺島隆太郎紹介)(第二五三四号)  同(長谷川四郎紹介)(第二五三五号)  同(原健三郎紹介)(第二五三六号)  同(福井盛太紹介)(第二五三七号)  同(柳谷清三郎紹介)(第二五三八号)  同外三件(内海清紹介)(第二六〇六号)  同(大貫大八紹介)(第二六〇七号)  同(神田大作紹介)(第二六〇八号)  同外二件(菊川君子紹介)(第二六〇九号)  同外一件(堤ツルヨ紹介)(第二六一〇号)  同(吉川兼光紹介)(第二六一一号)  同(小川豊明紹介)(第二七一五号)  自治省設置反対に関する請願外六件(堂森芳夫  君紹介)(第二五四七号)  同外三件(小松幹紹介)(第二六一二号)  同(中村英男紹介)(第二六一三号)  同(小松幹紹介)(第二七一九号)  同外一件(小松幹紹介)(第二七七〇号)  靖国神社の国家護持に関する請願久野忠治君  紹介)(第二五六三号)  同(久野忠治紹介)(第二五九〇号)  文部省文化財保護委員会事務局定員外職員の定  員化に関する請願淺沼稻次郎紹介)(第二  五九二号)  同(猪俣浩三紹介)(第二五九三号)  同(石橋政嗣君紹介)(第二五九四号)  同(石山權作君紹介)(第二五九五号)  同(河上丈太郎紹介)(第二五九六号)  同(五島虎雄紹介)(第二五九七号)  同(永井勝次郎紹介)(第二五九八号)  同(堀昌雄紹介)(第二五九九号)  同(松浦定義紹介)(第二六〇〇号)  同(松本七郎紹介)(第二六〇一号)  同(八百板正紹介)(第二六〇二号)  同(矢尾喜三郎紹介)(第二六〇三号)  同(山中日露史紹介)(第二六〇四号)  同(横路節雄紹介)(第二六〇五号)  行政機関定員外職員全員定員化に関する請願  (綱島正興紹介)(第二六八九号)  旧軍人軍属恩給加算制復元に関する請願(池  田清志君紹介)(第二七一三号)  農林省林野庁国有林野事業常勤作業員及び常用  作業員等定員外職員全員定員化に関する請願  (足鹿覺紹介)(第二七一六号)  労働省定員外職員定員化に関する請願小川  豊明紹介)(第二七一七号)  同外二件(保利茂紹介)(第二七一八号)  同外五件(八百板正紹介)(第二七七一号)  同外四件(八木昇紹介)(第二七七二号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当支給に関する法律の一部改正に関  する請願外一件(西村関一紹介)(第二七六  八号)  同外二件(矢尾喜三郎紹介)(第二七六九  号) は本委員会に付託された。     —————————————本日の会議に付した案件  外務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一二二号)  特別職職員給与に関する法律の一部を改正  する法律案内閣提出第二二号)  一般職職員給与に関する法律の一部を改正  る法律案内閣提出第二三号)  防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内  閣提出第二四号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する  法律案内閣提出第九〇号)  行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇四号)      ————◇—————
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  外務省設置法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由の説明を求めます。小林外務政務次官。     —————————————
  3. 小林絹治

    小林(絹)政府委員 外務省設置法の一部を改正する法律案提案理由を説明いたします。  今般の改正外務省設置法の一部を改正いたしまして、新たに外務審議官一人を置き、外務省所掌事務の一部を総括整理せしめようとするものであります。  御承知通り戦後の外交関係は政治、経済、文化、科学等の面において、ますます複雑かつ専門化するとともに、国際連合を初め国際機関の数も増加し、これら国際機関の開催にかかるあらゆる国際行政面にわたる会議への出席等により、外務省事務は画期的に増加いたしました。また一方新興独立国の増加に伴い、在京公館長の接受、応待等の事務も最近とみに増加しております。  これらの専門化せる多岐にわたる外務省の省務を統轄整理するためには、とうてい大臣次官のみでは物理的にも不可能になってきているのが実情でありまして、特に外務省関係事務は、外国政府に対し、わが国を代表する立場よりその意向を伝達する性質のものがほとんどであり、必然的に上層部の決裁によらざるを得ないのであります。  従いましてこれらの重要な事務を新たに設けます外務審議官に分掌せしめて、外交事務の円滑な運営を期するため、本法律案を提案する次第であります。  何とぞ本案につきまして慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことをお願いいたします。
  4. 福田一

    福田委員長 本案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 福田一

    福田委員長 次に、特別職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案一般職職員給与に関する法律の一部を改正する法律案防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び薪炭手当支給に関する法律の一部を改正する法律案及び行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案の各案を一括議題とし、質疑を許します。石山權作君
  6. 石山權作

    石山委員 公務員給与考えますと、私たちはすぐ、給与に伴うところの公務員の、国家の福祉に奉仕するということと同時に、国民の一人としての権利、こういうふうなものも総体的に考え合わされるわけです。それから労働条件というふうな問題については、どうしましても公務員の数、いわゆる定員というふうなものもにらみ合わされる、こういうふうなことは断ち切れない問題だと思います。給与の問題ということと公務員権利義務というふうな問題、公務員の数、こういうふうなものはまあ一体となっているわけですが、今回の給与の問題につきまして、私が給与担当大臣である益谷大臣にお聞きしたい点は、先ごろ三公社現業方々に対しまして調停案が出たわけでございます。これは八百円、私たちが昨年の七月に人事院から勧告を得たものは七百円ちょっと、七百四円といいましたか、くらいでございます。そのときから私たちは問題にしていたのでございますが、公務員給与は少なからず民間と差ができた。それからだんだん調べてみますると、昔は同じ仲間であった三公社現業、この人たちともまた差ができた。今度の勧告調停を見ますると、これでまた百円くらいの差ができたわけです。こういうふうに差のできたことをこの場合、何とか調整をしなければならないような段階に来たのではないか、こう思っているのですが、先ごろ益谷国務大臣は、公務員給与の問題について閣議発言をしておられるようでございます。その閣議においての発言内容は、人事院からこの夏給与に関する勧告があれば、財政の許す限り早急に勧告を尊重して実施に移したいということを発言されておりますが、その発言は、現在においても公企労に対して出ましたいわゆる八百円の案と人事院勧告の七百四円の案との差、これをも勧告があれば調整しながら実施をなさろう、こういうお気持で閣議発言されていたかどうかということをお聞きしたいわけです。
  7. 益谷秀次

    益谷国務大臣 私は先回も申しました通り、まことに微力であります。しかしながら今回担当いたした以上は、給与の改善に努力をいたそうとする決意をいたしております。閣議内容をお聞きでございますが、それはここで申し上げません。申し上げませんが、私は担当いたしました後にいろいろの陳情その他要望を受け取りました。そうしてまた実際に状況を調べております。率直に申しますると、現在の一般職給与民間と比して格差のあることも認めます。また今回調停案政府財政上の関係から——会計法上の関係でありますかどうかは存じませんが、拒絶いたしまして、仲裁裁定に付しておるようであります。五現業の……。これは何かの形で仲裁裁定があると思っています。そういたしますると、同じ公務員の間でもむろん仕事が違います。それからまた仲裁裁定というものとまた一般職給与のきめ方というものは違っておりまするが、なお格差が生ずるということは、私は率直に認めております。従ってできるだけ格差を少なくしていきたいという考えを持っております。ただ現在の建前では、一般職給与の問題は、御承知通り人事院勧告を待って国会承認を得るということになっておりますから、その建前をここでくずすというわけには参りません。従って私といたしましては、人事院から勧告が参りますれば、率直にすなおにそれを認めて、国会承認をお願いをするという考えでおります。
  8. 石山權作

    石山委員 何かこう念を押すような格好でおそれ入りますが、人事院こ夏はどうしましてもこのバランスのくずれたのを近づけるような工夫をせざるを得ないと私は思います。それから勧告期日統計が三月度を採用しておりました。これは今までの統計から見ましても、人事院その他のお役所から出た統計を見ましても、民間の給料が一番低いのがむしろ三月、それから上がっておるのが四月というふうな現象がたまたま出ておるわけです。人事院としましては、今度の七月の勧告はおそらく四月を採用せざるを得ない段階にきておるのではないか。財政的な面から見れば、この二つがこう足されるわけですね。ですから金額的には今までの経緯からすれば、人事院としてはかなりに奮発をしたような格好勧告案を出さざるを得ないような客観情勢が、今の場合でき上がっておると思います。そうしますと、今までの例からすると、政府財政措置上まずいのだというふうな格好で逃げておりました。前の労働大臣であった石田博英さんの時代から、権利義務をばはっきりするというので、人事院勧告はほとんど採用するのだ、こういうふうにおっしゃっていましたが、その精神は今度も生かされて益谷さんが先ほどおっしゃったように、七月に勧告があればそれに沿う、こういうふうなのでございますか。
  9. 益谷秀次

    益谷国務大臣 担当責任者としてすなおに人事院勧告実施して、国会の御賛成を願う決意でございます。それ以上は申し上げることはないのです。ただし私一人でやるというわけには参りません。その点はよく御承知のことと思います。それで言いのがれをするというような考えは毛頭ございません。
  10. 石山權作

    石山委員 まあすなおという言葉は、益谷さんのような経験のおありの方は十分に前後その他をお考えになった結果、おっしゃっておるだろうと思います。そういう点では私もすなおに聞いて、人事院勧告に対しては、政府側としては十分にこれを尊重して、その実現方に対しては万々遺憾なからしめるように努力をなさるのだ、こういうふうに了解してよろしゅうございますか。
  11. 益谷秀次

    益谷国務大臣 その通りでございます。
  12. 石山權作

    石山委員 これは椎名官房長官にお聞きしたいのですが、けさの新聞等を見ますと、次官会議国家公務員法改正の大綱ができ上がった、こういうふうな報道がされまして、大まかでございますが、人事院改組の問題、あるいは総理府の中に、人事行政を全からしめるために、内閣総理大臣のもとに人事局を設ける、こういうふうな案が発表されておりますので、大まかでよろしいですが、政府側として決定した現在の段階、われわれが最も関心を持っておるところの人事院の現在の姿を分割する姿を一つ御説明いただきたいと思うのです。
  13. 椎名悦三郎

    椎名政府委員 まだ十分固まってはおりませんが、大体の構想を話せとおっしゃいますから申し上げます。人事院は、御承知通り国家公務員職員利益保護及び人事行政の公正を確保するためにできておるのでございまして、これは内閣から独立した、いわゆる第三者的な機関として今日存在するわけであります。その本来の建前はこれをそのまま認め、その事項についてはあくまで人事院所掌といたしまして、それ以外の人事管理に関する事項及び特別職職員給与等に関する事項内閣総理大臣所掌として、これを各省実施するわけでありますが、それを総括調整するという目的のもとに総理府人事局を新設しようとするものでございます。
  14. 石山權作

    石山委員 世間では、ILO批准をするのに便乗して、いわゆる各省人事権に対しては目の上のたんこぶである人事院改組をするのだ、人事院権限をこの際分断するのだ、こういうふうなことがもっぱら言われているのですが、もしそうだとすれば、公務員のせっかくの身分保障を兼ね、あるいは給与の問題を論じ、あるいは現在の各官庁が学閥で左右されるということも人事院の強化によって避けられるのだ。しいて言えば、官僚制度というものが人事院存在によって普通国民が望んでいるような形で進展していくことも、この今回の措置によって破られていくのだ、こういう懸念を多分に持っているわけなのです。それはうわさですか、あるいは新聞社の好んだ論説でございましょうか。一体政府は何を意図してこのような人事院改組をもくろんだのでございましょうか。
  15. 椎名悦三郎

    椎名政府委員 ただいまの御質問に関連いたしますので、前の私の答弁を補足いたす意味において申し上げておきますが、人事院の本来の使命は公務員利益保護するという立場にございます。そういう本来の性格は変えない。これを具体的に申しますと、人事院身分保障の問題は従来通り人事院勧告制度というものは従来通り官吏の分限、懲戒あるいは公平裁定というような面に関する現行の制度は、これを変更する考えは少しもございません。すなわち公務員保護機能と申しますか、そういうものは従来通り確保して参りたいという考え方でございます。人事局を設ける意味は、これ以外の問題、すなわち農林省なり大蔵省なり各省各省の特別の事情があり、性格というものがございますが、そういうような各省性格にマッチした人事管理は、各省大臣に認めざるを得ないわけであります。それを総合し調整するという機能人事局を設けてやらせるというのでございまして、たとえば官吏教育訓練といったような問題を一つ取り上げてみましても、大蔵省大蔵省に適した訓練教育が必要であり、農林省農林省に適した訓練教育が必要である、そういったわけでございまして、それらを総括し調整する意味人事局を設けるというのであります。決してILO批准に便乗してどさくさまぎれにそれをやるというのではないのであります。いわゆる在籍専従というものを認めるか認めぬかという問題が、ただいまのところ議論の中心の一つになっておるのでありますが、とにかくILO批准いたしましてそのILO条約が広く国家公務員地方公務員に適用されるということになりますと、それに応じて所要の法制を改正する必要がございます。既存の秩序というものが変更されていくので、これに対処いたしまして、これを制約する意味ではなしに、助ける意味において、人事管理というものをもう少し整備する必要が認められるのでございますから、必要なる善後措置一つとして公務員人事管理機構というものが当然出てきたわけでございます。そういう意味において改正しようとしておるのでありまして従来の人事院性格というものを少しも変更する意図は持っておらないのでございます。さよう御了承願います。
  16. 石山權作

    石山委員 長官のおっしゃることですが、外国批評家でこう言った方がいるのです。つまり日本の国をああいうふうな大東亜戦にかり立てたのは、もちろん軍部の盲目的な権力争いもあるけれども、日本の場合には軍閥とか軍とかいうものだけによってああいう格好になったのではない、いわゆる官僚機構の強大な力がああいうことを行なわしめた大きな要素でもある。いわゆる天皇のもとにおける官吏、こういう格好で指摘されているのです。私は人事院役目というものは、だれでも動かすことのできなかったほど強い天皇官吏の組織をば、ある点まで解体したのだ、経済的に言えば集中排除法が行なわれたように解体されたのだ、そして新しい民主主義によったところの官僚制度ができたのだ、その上に立って各省のいわゆる自主性各省におけるところのそれぞれの特殊性を生かさなければならないという段階であるとすれば、長官のおっしゃることはなるほどというふうな気もします。しかし現在はそうじゃないでしょう。人事院役目はまだ十分に果たされておらぬということです。人事院役目はまだまだ終わっておりません。終わっておらないうちにこういう分断工作をおとりになるということは、やはり政府各省のなわ張り争い各省のいわゆるセクトに負けたということでしょう。それからもう一つ言えば、政府もその中に含まれているだろうと思うけれども、いわゆる官僚権限拡大をはかる一つ要素になるのじゃありませんか。人事院性格は変わらぬといっても、冗談ではないじゃありませんか。内閣総理大臣のもとにおける人事局というものは一体何をやるかといいますと、あなたもおっしゃったのですが、ここでは職階制をおやりになる、任用もおやりになるというのでしょう。職階制任用をば各省でおやりになったら、これは人事院の持っている職能の半分は失われるということを意味しているのですよ。あとで政府なんかも困るだろうと思う。各省のなわ張り政府自身のいわゆる指令が全然及ばないという場面がまた出てくると思うのですが、そういう点はどういうふうに御解釈をなさっていますか。
  17. 椎名悦三郎

    椎名政府委員 戦争原因一つであるというふうな御意見に対しては、私は拝聴をするだけで、本案に直接の関係はございませんから申し上げませんが、いわゆる管理機構の中に民主的な空気をつぎ込む、そういう意味において人事院機構というものがものを言っているということにつきましてはまことに同感でありまして、それであればこそ内閣から独立した第三者的な機構として存在するわけです。ただ人事院の本来の機能を、政府各省庁において忠実に実行する機能が今日あるかということを振り返ってみますと、あまりにも人事管理制度というものが各省にありませんために、せっかく人事院でいろいろな企画あるいは勧告をいたしましても、それが徹底してスムーズに行なわれない、あまりに人事行政の面において無力であり過ぎるという点で、むしろ今日さかのぼって、人事院機構というものが半身不随で動かないということをすら言う人があります。私は必ずしもそれに盲従するものではありませんけれども、とにかくそういったような批判の起こるのは、せっかく立案、企画という機能があるのにかかわらず、これが行なわれておらぬという原因はどこにあるか、これはやはりそれを受けて立つところの受け入れ体制が十分できておらぬということに私はあると思います。そういう意味におきましても、この際やはり人事院企画意図といったようなものを受けて立つ機能各省に持たせ、それの全般の調整内閣が持つということで、初めてこれは完備するのではないかというふうに考えております。
  18. 石山權作

    石山委員 人事院がたとえば一つの規則みたいなものを作り、指令をする、それを各省がその範囲内に受け取って、自由自在に省に合うような運営の仕方、人事管理をなさる、こういうのがねらいだといえばあるいはねらいになるかもしれません。しかしそれは私は非常に好意的に見た半面だと思うのです。各省高級官僚のおえら方が人事機構上の不自由を感じている、あなたはそうおっしゃっていますね。私は人事機構上、いわゆる人事を動かす不自由というところに今の人事院妙味があると言うのですよ。私に言わせれば逆なんです。各省内の事務次官を初め各局長さんたちが、自分の部下を勝手に動かすことのできない職階制任用、この勝手にできないところに、逆に言えば現在の人事院妙味があるということなんです。そのことが学閥一つのグループを押えることになる。高級官僚権限をば押えることになると私は思う。個人的にいえば、局長さんであろうとも一雇員であろうとも、いわゆる権限のものの考え方は同じであるというところに人事院存在のねらいがある。それを不自由だというふうに感じていられるところに、皆さんのお考え違いがあるのではないか。その不自由さをなくした上で人事院改組ということをお考えになるならば、私はこれも一案だと思います。私はあなたのおっしゃることを全然否定しているのじゃない。一案だと思いますけれども、不自由を感じているというこの現状は、われわれが見た場合に残念でございますが学閥の問題は解消されておりません。各省セクトというものは厳然としてあります。今定員問題等ちょっと調べて、行政管理方々から答弁をいただくわけなんですが、これはとてもとても防ぎ切れない問題があるようでございます。ですから私の長官に申し上げたい点は、そういうことを経過しないで新しい意図を出しても、これはむしろ政府の組織十の混乱が起きるということと、それから守られる側の公務員は非常に不愉快さを感ずるだけでなく、現実的に今持っている自由なる権限がかなり失われてしまうという段階にきているのだ、こういうふうに解釈しているのですが、それに対して、今要綱だけをお出しになっているのですから、各省にわたっては官房長官何ぼ明敏な頭脳であっても、これは御解明できないと思うのですが、私たちとしては今政府意図されているような点、それから長官が今御説明なさっているような点だけでは、この問題は非常に不完全なものであるというふうな解釈をとらざるを得ません。  もう一つ、これは定員給与の問題に関してでありますが、今あなたのおっしゃったような形に分離された場合、人員の問題はどうなるのでしょう。いわゆる定員法というようなものはどういう格好に移行されてくるか。
  19. 佐藤朝生

    ○佐藤(朝)政府委員 私からお答えいたします。定員の問題は人事院が現在も管轄しておりませんし、人事院改組によりましても定員関係は何ら変わりございません。
  20. 石山權作

    石山委員 極端に言えばこういうことになるのじゃないか。今までの非常勤の方々、こういうふうな方々公務員という立場になるのではなくして、今の場合突き詰めて言えば、小使いさんでも公務員、これを今度はそういうふうにしない。昔の官僚機構に戻るのじゃないですか。予算上にそういうふうな方々の数をきめまして予算上でやってしまう。そして高級官僚だけがきちんと員数をきめていく、こういうふうな機構になるのではございませんか。
  21. 佐藤朝生

    ○佐藤(朝)政府委員 お答えいたしますが、お話の点は公務員制度の問題でございます。公務員制度の問題につきましては今後内閣におきましていろいろ検討いたします。また定員外問題のことをお話しございましたが、この問題につきましては定員法の問題と関連いたしまして、総理府に設置しました協議会で今後検討することになっております。その結論を待ちまして、内閣としても処置を考えたいと思います。
  22. 石山權作

    石山委員 官房長官にこれ一つで終わりにしますが、先ほども益谷副総理に質問申し上げた給与の問題でございます。この点は益谷さんの御意見を聞くと、人事院勧告を待たなければ、いわゆる財政的な点はおできにならない。政府が進んでこういうふうなたくさんの差ができたことをば調整することは、法的には不可能なのでございますか。人事院勧告がなければ給与問題に関する限り政府は出し得ない、補正も組み得ない、項目の流用もなし得ない、こういうのが今の財政的な措置でございますか。
  23. 椎名悦三郎

    椎名政府委員 どちらかといいますと、従来人事院勧告を忠実に百パーセント実行するということは、財政上のいろいろな都合がありまして、多少下回る、あるいは時期的におくれるというようなことがございました。現実の問題としては勧告を待ってその線に沿うてやる。しかし勧告を待たずにやって別に差しつかえないと私は思うのです。しかし人事院が広く給与問題については大所高所から研究し、広い見解を持っておるので、なるべくその見解に基づいてやった方が、政府としても間違いを少なくするゆえんでもありますので、現実問題としては勧告を待ってやるということになっております。
  24. 石山權作

    石山委員 どうも政府のお考えは、金を出すことになると非常に慎重になるようですが、これはもちろんそうだと思うのですが、今までは人事院勧告通り行なうということが精一ぱいの状態でした。しかし最近皆さんの御意見を聞くと、確かに民間給与より低い。そして優秀な技術屋などはほとんど民間に行くのだ。その例として出ているわけですが、三十四年度の公務員の上級試験に合格した千五百九十六人の人が、実際官吏になった方々は六百八十九人しかおらなかったということが新聞で報じられているのです。これはおそらくかなりの的を射た数字だと思います。これは皆さんもかなり是認されているわけですね。そうしますと、私は出さない出さないと言うだけが能ではないと思うのですよ。現実に非常に民間より低い。三公社現業よりは公務員方々は低いのだ、こういうことがはっきり皆さんの方に是認されている現段階において、どうも人事院勧告がなければ出し得ないのだという、そういうふうなところに固定したお考えを持つことは——否定することは勇敢に否定してしまう。しかし今の場合、八百円に財政措置を講じても約百四十億円ぐらいだ、こういうふうに推定されております。百四十億円の金というものは小さいものではないでしょう。しかし政府が今取り扱っておられる総予算から見て、そんなに莫大な金額だというふうにはわれわれは考えられないのです。款項目の流用ということはこの場合、これは不可能でございますか。
  25. 中尾博之

    ○中尾説明員 予算で予定いたしております経費が、その予算を編成いたしました後の事情によりまして不足があるという事態になる。給与で参りますれば給与法を変えるということ、もしほかに予定いたしておりました経費でそちらに使う必要がないという経費がございますれば、流用ということができるわけであります。款項の流用というお話がございましたが、目の流用ということは行政府といたしまして予算の執行で通常できます。それから項の間におきまして動かすということになりますと、これはあらかじめそういうような御議決を予算でいただいておりませんとできません。いただいておればできるわけでございます。そういうことに手続上なっております。ただ流用はあくまで流用財源がなければできません。問題は流用といい、移用といい、いずれにいたしましても単年度の問題でございます。財政上の見地からこれが払えるかどうかという場合には、さしあたりだけのことを考えれば単年度の問題でいいわけですが、将来といたしましては、やはり政府全体の財政需要というものの見通しに立ちまして、この程度のものは何とかなるという見当をつけて、それで給与といったような問題を取り上げることになるかと思います。
  26. 石山權作

    石山委員 官房長官ILOでお忙しいから、いつまでもお引きとめしては悪いと思いますが、款項目の流用は不可能でないというような御意見があるようでございますが、的確に言って、たとえば人事院勧告というものは奇妙なものでございまして、政府に都合のいいようにやれと言わんばかりに、施行日などは何にも書いていないのが今までの例でございます。たとえば七月おそらく勧告をなさるでしょう。なさるけれども、政府を縛るような勧告文は望み得ないというのが現状でございます。だからといって、今までのようなやり方で今度の勧告を取り上げるのは、私は非常に不公平だと思う。勧告に施行期日の問題がなくとも、このバランスのくずれた体系を国家公務員方々に直してあげるというふうな政府の思いやりがあれば、勧告をさかのぼって見る、そうしてこの不公平を今度の勧告の場合において是正していく。金額的には、昇給、ベース・アップのそれだけでは是正はなかなか不可能だと思います。何と申してもさかのぼるとかなんとかいう便法を講じない限りは、その不公平は救われないのではないか。公務員制度その他に関しましては、あとで長官が原案をお出しになれば、われわれの考えている公務員というもののあり方、公務員制度というものの考え方、そういうものはお話し合いをしたいと思いますが、今当面だけでも百円違ったこの現象をどういう格好で是正をなさるか。皆さんの方では、いわゆる人事院勧告を土台にして是正をなさるというのですか。その是正の方法論、政府考え方をお知らせ願いたいと思います。
  27. 椎名悦三郎

    椎名政府委員 いずれことしの七月には人事院勧告があると思いますが、それらの事情をも含んでの上の勧告があることを期待しておりますから、その勧告を待って、なるべくその勧告に忠実に行なうように考えていきたい、こう考えております。
  28. 石山權作

    石山委員 椎名官房長官に言葉を返すようでおそれ入るのですが、人事院勧告に忠実ということを政府の方としておっしゃることは、ほんとうは珍しい方なんだ。けれどもその忠実さというのは、なかなか信用度が薄いと思うのです。また人事院の案だけでは、うっかりしますとアンバランスが是正できないような案文で出るような可能性もあるというのも、今までの人事院勧告を見ればわかる。その言葉を総合してみますと、政府としてはこの現実を了解していられるのだから、積極的に人事院に忠実だけではいけないと思う。あなたの方では人事院からいろいろなものを取り上げようとなさっているのですから、人事院を信用なさっていない点もあるのでございますから、忠実以上の積極性をこの際持っていただかなければ、公務員の皆さんは安心できないのではないか。人事院勧告に忠実はけっこうですけれども、政府自体としましてもこのアンバランスを、不公平を是正する意図を持っておるのだというふうに、私は御発言を願いたいと思うのですが……。
  29. 益谷秀次

    益谷国務大臣 御承知通り昨年の七月の勧告、それをなるべくすみやかに実施しろという勧告です。これは基礎は昨年の三月の基礎です。従って本年の四月の一日から実施することはズレがあります。これは非常に遺憾なことだということは、人事院総裁も予算委員会等ではっきり言っておられる。でき得ればなるべく人事院勧告に近い線を、これからでも守っていきたいのが私どもの考えであります。先般もいろいろ相談をいたしますと、本年は人事院勧告を新たに待って、それを実施しようということになっております。しかし私は絶えず努力はいたすつもりでおります。
  30. 石山權作

    石山委員 官房長官、積極性な御発言はできないですか。政府としては、積極的にこの不公平は直したいのだ、こういうような御発言はないのでございましょうか。
  31. 椎名悦三郎

    椎名政府委員 副総理はこの給与問題については非常に御熱心であります。閣議でも、しばしば現在におけるその著しい不公平の点については、即刻でも直したいというような御発言がときどきございます。私といたしましてもその線に沿うて努力をしたいと思います。
  32. 石山權作

    石山委員 給与の問題がちょっと中途半端になりますが、人事院の方で都合があって、総裁初め人事官が御出席できないものですから、給与問題は一応中断をいたしまして、定員の問題を少し御質問を申し上げたいと思うのです。  私先ほども申し上げましたように、公務員の全般を見た場合に、給与だけを見れば公務員がいわゆる身分が保持されておるというふうなことにはならないと思う。現われた個人々々の金額だけによって、公務員というものは能率が上がったり、あるいはその品位が保たれておるというふうには解釈できないのです。ということは、たとえば給与面で大へんにいい数字が出ている。恩給、年金その他の制度において公務員立場が守られておる、こういうふうに表面的には見えても、その中を探ってみたら人員が非常に少ないのだということになれば、これは普通で言っておるところの過重労働になるわけなんです。特に機械を動かすとかなんとかいう問題になりますと、過重労働という問題はすぐ目につきます。しかし行政部門、いわゆるサービス機関の行政部門になりますと、過重労働というのはなかなか目につかない。過重労働をした場合のいわゆる公務員の持っておる才能とか、そういうふうなものは、やはり摩耗してしまうと思うのです。創意工夫が出る前に疲れ切ってしまう。雑事に疲れ切ってしまう。本来の与えられた任務であるところの創意工夫が、この場合職場において発揚できない。こういう場合も定員の過小の場合にはあり得ると思うのです。今政府のお出しになった定員法を見てみますと、どうも現在たくさん使用されているわけですが、簡単に申し上げますと、必要人員の大体六分の一程度が今度定員化されたにすぎないというふうに見ておるのですが、そういう点は十分勘案されておやりになったのでございましょうか。
  33. 益谷秀次

    益谷国務大臣 定員問題はなかなかむずかしいのです。行政事務を行なう上にゆとりのある定員をきめれば、行政官庁は非常に便利でありましょう。しかしながらまた行政機構の膨張とか、定員の増というのは、すぐ国民負担に影響いたしまするから、行政管理庁としてはなるべく厳格に事業量と見合って、定員増を承認いたして参っておるのであります。今回御審議を願っておる定員の増加、七千幾らでありましたか、これはもう必要最小限度のものであります。この範囲で一つがんばっていただきたいというのが、行政管理庁の立場でございます。また事業量に見合ってやっておりますが、これで幾らか、最小限度でございますが、どうにか有効に、効率的に人を使って参りますると、事業には支障を来たさない、こういう見通しからただいま御審議を願っておるのであります。
  34. 石山權作

    石山委員 最小限度だと言うから、その通りだと思うのです。政府としては国民に対して差しつかえのない程度の、いわゆるぎりぎりの線だ、こうおっしゃっているのですが、いわゆる国民の税金という問題に関すれば非常に忠実なように見えます。しかしここで行管からお出しになった表を拝見しますと、雇われていられる方々の方から見れば、公務員の側あるいは国民の一人としてのいわゆる労働者の側に立って見れば、それでは大へん気の毒なことになるのではないか。私の方で見ている数字は、三十五年度定員化の要求されている人数は、常勤、非常勤を合わせまして四万五千五百という数字が出ております。それに対して七千三十名の定員化でございますから、これはちょっと最小限度過ぎるのではなかろうか。これでまた各省は良心的に満足しているかというのです。十分国民の負託にこたえ、奉仕をしているのだ、サービスでこたえているのだ、そういう数字になるわけです。この七千三十名というのは私は決してそうじゃないと思うのです。不平たらたらでやっているのじゃないかと思うのですが、実情を一つ局長あたりから答えていただきたいと思います。
  35. 山口酉

    山口政府委員 お話のように、形式的な給与だけではなく、人員が少ないために非常にハード・ワークになるということは、公務員に対しては気の毒なわけでございますが、現在の制度といたしましては、政府で雇い入れます職員はすべて定員であるということではございませんで、定員内の職員及び臨時的な職員と合わせて業務を実施するということにしておるわけでございます。従って両方合わせまして最小の給与費をもって、業務を実施しようということを目標にして査定をするわけでございますが、ただ定員ということになりますと、相当恒久的に雇われる人間、臨時的というものは定員法の建前では二カ月以内ということになっておるわけでございまして、現在二カ月以内で雇用されておる者には、実はもう少し長期に雇うべき者があるということは認められるわけでありますが、しかしその数を、はたしてこれが適当なものであるということを認定するということは非常にむずかしいわけです。これは事実行なわれておる状況だけでは認定できませんので、これは確かに便宜的に継続しておるという者か、あるいはどうしても恒久的にあるべき性格によって継続しておる者かというところの判定が必要なわけでございまして、そういう点では各省と意見がなかなか調整できない場合もあるわけでございます。しかし全般的の問題としまして、毎国会でこの点が論議されておりまするので、最終的に何とか解決をしたいということで、現行の定員法ではそういう点で非常に実施上不合理があるというので、一応政府といたしましては再検討をする必要があるということを考えておりまして、現行の定員制度につきましては、これを本年限りにする目標で、今後どういう定員管理をするかという点について、さらに政府部内で検討するということにいたしております。
  36. 石山權作

    石山委員 そうすると、三公社現業定員法に入れないのだ、こういうこともあり得るわけですね。そうですか。
  37. 山口酉

    山口政府委員 三公社は現在定員法に入っておりませんが、五現業につきましては定員法の規制を受けております。しかしこの性格は一般の行政機関職員と相当差がありますので、これらの人件費の押え方とかいうようなものは、どういう方法によるべきか、いろいろ問題があると思います。あるいは定員管理というものが、現在のごとく必要であるかないか、必ずしも現在の一般行政職と同一に取り扱う必要は性格上ないと考えておりますが、ともかく現段階においては、全般的に定員法は再検討する必要があるということで、同時にこの問題を取り扱いたい、かような考え方で進んでおります。
  38. 石山權作

    石山委員 私は定員法には二つの面があったと思うのです。たとえば公務員の身分を守ってあげるというふうな、一つ法律によっていわゆる簡単に首切りできないというような面が一つあったと思う。もう一つは、官僚機構のサービス機関ですから、どうしてもサービスするためには人間が多い方がやりいいわけです。指導という面もあるかもしれないが、今は指導ではなくて協力とかなんとかいう言葉にもなると思うのですが、いずれにしてもサービスをする、奉仕をする、こういう関係ですから、ほうったらかしておけば人数がどんどんふえる、各官省ではいろいろなことを言っておるのだけれども、なわ張り的な気持がかなり強いわけですから、自分の方の省ではどうしても人数をふやすという努力は盛んにすると思うのです。そうすると、うっかりしますと、これは人数がぐんぐんふえていく。特にこれが予算措置上で人数をきめていくというふうなことになりますと、私は膨大な人数になるのではないかという危険性があると思うのですが、この二つの面等を勘案されながら、今回の案をばお出しになっているのでございましょうか。
  39. 山口酉

    山口政府委員 現在提案しております定員法の一部改正案につきましては、将来のことは何も織り込んでおりません。ただいま申し上げました政府部内で検討中であります事柄につきましては、もちろん先ほど長官から申し上げましたように、定員法の主要なる目的は、人件費の増大を来たすということを抑制するということでございますので、そのために予算という金額によってやるという道は一つありますけれども、それだけで十分かという面も考えられるところでございまして、まだ今後種々検討した結果でないと、予測的に申し上げるのは適当でないと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  40. 石山權作

    石山委員 人員の膨張を防ぎ、人件費の節約をなす妙味が、定員法の中には確かにあると思う。行管というお役所自体が、国家の全般のいわゆる機構をどういうふうに運行するかということを、常に勉強、検討せられているお役所だと思うのです。それから考えて、盛んに設置法その他が出るわけですが、設置法が出れば必ずといっていいほど、その中に人員、人件費が含まれる案が多い。今度自治庁が自治省に昇格する案を出しているのですが、それには、今あまり人数がふえておらぬ。これは自治庁が自治省になれば、今度の場合は十五名しか増員されておりませんが、これは十倍にも二十倍にもなると思うのです。そういう点では、副総理、どういうふうにお考えになっておるのですか。あなたは行管の立場から見て、いわゆる官僚全般の機構、いわゆる人件費を抑制する、そういう立場から見て、今度の自治庁の昇格案などというものは行管ではどういうふうに御検討なすっていられるか、一つ御意見をお聞かせ願いたいと思います。
  41. 益谷秀次

    益谷国務大臣 自治庁の場合は、これは本会議でも答弁いたしました通り、行政審議会の答申に基づいて地方自治の発展ということを主目的として、省に昇格するように私どもは賛成をいたしたのであります。定員の問題は詳しく、厳密に検討いたしまして、省になるから直ちに人員が三倍にもなり、十倍にもなるというようなことはない。またそういう場合にはできるだけ行政管理庁の機能を発揮して、抑制するという考えで賛成をいたして、御承認を求めておる次第であります。各機構の組織法の改正の御審議を願っておりますが、これは必要やむを得ざる限度で承認をいたしております。今回行政機構の組織法の改正を要請いたして参りました、二十三か四ございましたのを、本年は全部お断わり申して今日に至っておるので、行政管理庁としては、機構の大きくなること、従ってまた定員のふえることを極力抑制いたして参っておるのであります。
  42. 石山權作

    石山委員 何か審議会から答申があったというのですが、審議会はたくさんあって、それぞれのお役所の出先機関のような格好で、お役所の便宜なように——なるほど一面だけを見ればそうなんですね。そこはやはり大きくした方が国民にとっては便利に見える。その局部だけ見れば確かにそうなんです。しかし行政機構全般から見れば、たとえば労働省と厚生省が入りまじっているような場合は、今まではちょうどそばについていたものが、膨張したためにお互いの領分にお互いが入っていくわけですね。効果から見れば、このまじった分だけ損なわけです。離れておる分ぐらいがちょうどいいところなんで、これが入りまじればむだがあるというわけです。ですから、行政機構管理の方から見れば、なるほど各審議会から上がってくるのは、その場だけ見るから、これは厚生省は厚生省、労働省は労働省、農林省農林省でみな大きくした方が、国民のためになるということは確かです。しかしさきに私たちが申し上げたように、われわれのいわゆる税金の負担能力とかいうもの、それから国民の人数対公務員の人数、あるいは日本経済機構のいわゆる伸展度、こういうふうなものから見た場合、その部分だけがいいからというふうな問題の取り上げ方は、私は非常に危険だと思う。審議会が上申したからというような格好で行管がうのみにするというふうなことは、私はお役所の役目柄として忠実なものじゃないのだというふうに思うのです。その点から、この自治庁が自治省に昇格をされる点に関しましては、私はいささか疑義を持っているのです。特に今の自治庁に国家消防機関をただくつけるというだけです。これは益谷さんみたいな苦労なすって、あらゆることをごらんになってきた副総理格の方が、審議会から上申がありましたものですからというふうなことで行管が見すごしておるのは、ちょっと奇異に感ぜられるのです。これは十分確信があってあなたは御認可なさったと思うのですが、その過程を、行管の省議の中でいろいろ討論されたと思うのですが、それを一つお聞かせいただいておけば、私の方でこの次に自治庁案を審議するのに、いわゆる行管のお役所の立場というものが明確になるのでございますから、大へん助かると思うのですが、一つ御意見を聞かしていただきたいと思います。
  43. 益谷秀次

    益谷国務大臣 各省にそれぞれ審議会がありますが、機構の問題は、行政審議会がやっております。行政審議会から答申があったものは全部うのみにしてやるというようなことはいたしておりません。答申が第三回から第四回とずいぶんございますけれども、機構の面で、組織の面でそれを用いておるということは、全部うのみに採用しておるということではございません。厳密に検討いたして、今回の場合は、地方の自治の発展のためにはしっかりした中央機関を設けなければならぬという趣旨でありましたので、なお行政審議会からの答申に沿わない点がありますが、根本的に自治省なら自治省といたして、その後に行政審議会の勧告、答申を徐々に行なっていく、その方が便宜であるという考えから、また他の機構を合併すると申しますか、他の機構を自治省へ吸収するのに非常に効果的であろうというような考えから賛成いたしたのでございまして、行政審議会からきたものは、直ちにそれに賛意を表する立場はとっておりません。今回、先ほど申しました二十三か四、各組織法の改正案がいろいろの各省から出て参りましたが、それは行政審議会からの答申ではございません。各省からの強い要請があったのでありますが、全部不適当と認めて私どもは賛成いたしておりません。そういうことでございますので、現在の自治省の実質的な仕事の面から見て、あれはやむを得ないというので賛意を表した次第であります。
  44. 石山權作

    石山委員 これから国家行政法の改正をおやりになって、やがて提案されるだろうと思いますが、そのときまた十分に御意見を聞かしていただきたいと思います。  それで行管の山口局長は大へん自主性もあるようなことを言って、今度の七千三十名の提案をなすっているのですが、うわさに聞けばこれは行管がやったのじゃないと言っているのです。全部大蔵省で最初からチェックしたと言っている。一体大蔵省にそういう権限があるわけですか。だからきょうは主計局長に来てもらうと言ったので、あなたからそんなものはおれの答弁の限りにあらずといえばそれまでだと思うのですが、給与でも人員の問題でも常に私ら感ずるのですが、何か大蔵省だけが財布を握っているせいか知らぬけれども、あまり各家庭の内政干渉をしているのじゃないですか。皆さんの方でそういうことをおやりになっているような気がしませんか。
  45. 中尾博之

    ○中尾説明員 直接お答えいたしがたい問題でございますが、私どもやっておりますのは、人件費の予算を組んでおるわけであります。人件費の予算を組みまする場合には、当然できる限り単価、員数というものを予定いたさなければならぬわけであります。それでなければ予算ができないわけであります。それで予算を組んでおる、こういうことであります。大蔵省といたしましてはそういうことであります。ただ予算が国会に提出いたされまして、いわゆる政府の提案になりますということは、内閣が提出いたしておるわけでございますから、その実態的な内容につきましては、内閣といたしましてそういう御決定があるわけであります。これは予算を作りまする手続上は、予算そのものを作ります前に、一回概算の閣議決定というものをいたしまして、中身についてすべての省と話がついたところで調整を加えられたものが、閣議調整され、最後の決定になるわけであります。そういう場合、初期の段階においては私らは参画いたしておりますが、最後にきまるのが内閣、それの御決定に従いまして予算書を直ちに印刷いたしまして、出しますのは大蔵省ですが、それをまた出すのが内閣で、従って中身について家庭の事情とかというようなお話がございましたが、あらゆる問題について予算に触れざるを得ません。それだけのことであります。しかし予算はあくまで予算でございまして、給与法や定員法とは違います。むしろそれだけ使ってよろしいということでありますから、そのほかの要請は私の方から申し上げない。ただし政府でもって一応決定いたしましたところに従いましてやっておるわけでありますから、内容は予算といい、法律といい、これは期せずして同一のものが出るべきものである。これがばらばらに食い違っておる非常に特殊な場合がございまして、そういうことがどうしてもやむを得なくなったというようなことも考えられないことはございませんが、それはやはり通常の状態ではないわけでございます。関係はそういう関係になって進行しておるわけでございます。
  46. 石山權作

    石山委員 私、大蔵省なんかが弁解をすることはないと思うのです。あなたはびしびし取り締まるのがほんとうだと思うのです。それでなければ三兆円だの四兆円だのという数字が出てくるから、びしびし取り締まって削減をするのがあたりまえだと思う。ただ工事量とか事業量とかそういうものをびしびしやるのはわかるのだが、七年も八年も働いている定員化の問題なんかを、事業量と同じようにあなたの方でとやかく言うのはよほどおかしいと思うのです。これはあなたとけんかをしても始まらないので、やはり次官とか局長さん等に来てもらわなければいけないことだと思います。それからこれは省議なんかでやはり皆さん討議なさると思うのですが、予算というものは大体の額、スケールがきまっているわけですから、その範囲内の皆さんの努力はわかるのだが、いわゆる公社、これは私たちには直接関係がないけれども、五現業のようないわゆる独立採算制をとられるところまで、皆さんの方で人数云々と言うのはちょっとおかしくないですか。それを予算で縛るというのはおかしいじゃないですか。それこそあなた、内政干渉でしょう。そういうことはどういうふうに答弁なさるのですか。
  47. 中尾博之

    ○中尾説明員 これは予算の関係でもありますし、同時に国家行政組織の問題でもございますが、五現庁というのは言うまでもなく国家行政組織の一部である、従って内閣の統轄のもとに一体として運営されておるものでございますから、そういう面の統制を受けるという面が一つあるわけです。ただ職員労働条件に関しましては団体協約権があるわけですから、その両方の統制と申しますか、規制と申しますかが働くわけであります。それをどの程度にとどめるかということになるわけでありますが、いずれにいたしましても現在のところは、定員関係法律、それから予算書にもそれに似たようなものが載っておりますが、そういうものはやはり必要であるという見地から従来やっておったわけであります。もちろん五現庁におきましてそれを完備するという意味におきまして、定員制度というものがなくてやっていけるわけではないわけであります。ただこれをいかなる形に持っていったらよろしいかということにつきましては、最近におきましていろいろ御議論もあります。それについては私どももまだ結論を得ておりませんが、直ちに今ある制度を廃止することがよろしいという結論に達したわけでもありませんし、そういうことになりそうだという感じも持っておらぬ次第でありまして、これはあくまで今後来年の予算に間に合うように検討いたしたいという気持でございます。その点は行政管理庁あたりでもいろいろ御心配になり、私どもの方も内部でいろいろ議論もいたしております。そういうような情勢でございます。問題としてそういうものを取り上げる段階になっておることは事実でございますが、まだ三十五年度の定員改正にその結論を出すということになっておらないという段取りになっております。
  48. 石山權作

    石山委員 もう一つ私希望があるわけです。たとえば五現業のように独立採算制をやっている場合、特に林野みたいなところは——林野の国有林になった昔のあれを調べてみますと、完全に地方民が一生懸命育成した人工林というのがある。それが明治維新や何かの関係で国の所有になったというケースがたくさんある。そこからたとえば年五百億なら五百億の事業を行なって、かなりの利潤を上げる。その利潤は、普通からいえばその土地に上がったものは特別な利潤なわけです。私有財産であったものがああいうような変動期に国有財産に編入になった。ですから、できればそこから上がってきた利潤というものは、その土地に返すという工夫があってしかるべきだ。特に山林などのある土地は、全般的に見て貧しい後進の地域が多い。海岸地帯とか河川地帯とか平野の中心とかじゃない。これを皆さんの方では一般会計で吸い上げるという工夫をしょっちゅう行なっているわけです。電話なんかもその通りだと思う。電話なんかもうかってもうかってしようがないものですから、全電通の組合の方々もかなり大きな要求を今回出しておる。それほどもうかっておる。もうかっている半面に電話公債が高くなるという矛盾がある。これも話を聞くと、なかなか大蔵省が何とかというふうなことを言われているのです。どうも大蔵省というのは少し冷たいのか、もうけばかり考えているのか知らぬけれども、そういうふうな調整を、大蔵省の場合は予算の全体の形を考えると同時に、いわゆる各五現業なら五現業特殊性、それから利益があったら国民に還元する、地域に還元するという工夫も、そろそろとられてきていいのではないかと思うのです。それは国家財政が窮乏の折柄、だれしも不平を言わないで、中央集権的にして、それを再編成して、奥地なら奥地に必要に応じて分け与えることが大切だ。しかし岩戸景気だとかなんとかいって、商工業の場合はどんどん進んでいる。おくれているのは山村地帯の後進県なんです。そこにあなたの方はさっぱり投資をなさらない。投資をしても利益が上がってこないということでしょう。しかし昔の恩を忘れては困るのです。そういうような林野を作ったのはだれだということなのです。現在国家に奉仕しているのはだれかというのです。戦争から戦後にかけて、あの食糧難のときに皆さんをお救いしたのはだれかということなのです。いわゆる後進県にいる山村漁村の人たちではございませんか。その人たちに対しての還元投資を大蔵省が渋っているというのは、ちょっと私はいかぬのじゃないかと思う。特に国家経済がやや安定して上り坂になっている場合は、そういうことは十分考えてしかるべきではないか、そういう段階に来ているのではないか。ただそろばんだけはじいて、投資したのに対して利率がどうも安いから、あそこへ投資することはやめよう、そんなことを言ったら東海道だけがよくなるのじゃないですか。そんなことでは困る。それは政治ではないのですよ。それは商人のやることだ。いわゆる国家機関のお役所の人たちのものの考え方じゃないと思うのです。これは今度の予算を組むとき、あるいは私は行管などにもお願いしておきたいのですが、そういう点も十分考えながらやっていく必要が、当面われわれに課せられた一つの問題なのではないかと思っております。
  49. 福田一

    福田委員長 次会は明二十七日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時二十四分散会