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1960-04-19 第34回国会 衆議院 内閣委員会 第31号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十九日(火曜日)     午前十一時一分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君    理事 高橋  等君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君       加藤 精三君    小金 義照君       谷川 和穗君    津島 文治君       辻  寛一君    富田 健治君       橋本 正之君    三田村武夫君       山口 好一君    飛鳥田一雄君       柏  正男君    久保田 豊君       杉山元治郎君    中原 健次君       受田 新吉君    門司  亮君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         内閣官房長官  椎名悦三郎君         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁長官官         房長)     柴田  護君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 四月十五日  委員高田富與君、津島文治君及び三田村武夫君  辞任につき、その補欠として辻寛一君、中川俊  思君及び八田貞義君が議長指名委員に選任  された。 同月十九日  委員今松治郎君、中川俊思君八田貞義君及び  受田新吉辞任につき、その補欠として加藤精  三君、三田村武夫君、津島文治君及び門司亮君  が議長指名委員に選任された。 同日  委員加藤精三君、津島文治君及び三田村武夫君  辞任につき、その補欠として今松治郎君、八田  貞義君及び中川俊思君議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  自治庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九九号)      ————◇—————
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  自治庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を許します。門司亮君。
  3. 門司亮

    門司委員 自治庁長官にまず最初にお聞きいたしておきたいと思いますことは、大臣のこの法案の提案の趣旨の説明の中にこういう字句が書いてあります。ごく簡単に読んでみますと、「地方自治の健全な発達と国政の適切な遂行をはかることがすこぶる緊要でありまして、これがためには、地方自治に関する行政を担当する国の行政機関として現在のような総理府の一外局では適当とは認めがたく、責任ある一省を設けることが必要であると存ずるのであります。」こう書いてあります。この中で非常に重要な場所は、総理府の一外局では適当でない、責任ある一省を設ける、この言葉でありますが、同時にこの言葉がこの法案提出の前提であると見て差しつかえないと思いますが、どういうところが現在まで差しつかえがあるか、この辺を一つこの際はっきりしておいていただきたいと思います。
  4. 石原幹市郎

    石原国務大臣 自治庁は、今おっしゃいましたように、現在の機構では総理府の一外局ということになっておるのであります。自治庁長官国務大臣ということになっておりまするけれども閣議請議権といいますか、そういうものは総理府行政長官としての総理大臣ということになっておりまして、予算編成にいたしましてもあるいは省令、政令等制定権にいたしましても、やはり総理大臣ということになっておるのであります。一切が総理府を通じて折衝にも当たり、編成にも当たる、こういうことになっておるのでございまして、総理大臣が、一切そういうことにきまっておるということも、これは一面考えてみればおかしなことでございまするし、地方自治を総括しておりまする自治庁がそういう形になっておるということも、この際考えてみなければならないのではないか。それから閣議でいろいろ地方自治地方情勢等をなにするにいたしましても、地方の声を伝えるにしても、責任大臣として自治庁を総括する責任大臣立場からいろいろ発言するということが、地方自治を伸張せしめる上においてもまことに適当なのではないか、かように考える次第であります。
  5. 門司亮

    門司委員 今大臣のお言葉ですが、私はそういうことは当たらないと思うのです。現在自治庁設置法の三条には今大臣の説明されたようなことがずっとできるように書いてあります。だから立案についても、これはあなたの方が専門家ですから御存じだと思いますが、三条には「自治庁は、民主政治の基盤をなす地方自治及び公職選挙等に関する各種制度企画及び立案並びにその運営の指導に当るとともに、国と地方公共団体との連絡及び地方公共団体相互間の連絡協調を図り、もって、地方自治の本旨の実現と民主政治確立に資することを任務とする。」とこう書いてあります。従って今大臣が不便だとおっしゃったことはちゃんとやれるように書いてあるのです。だから私は何も差しつかえないと思うのだが、この辺はどうなんですか。
  6. 石原幹市郎

    石原国務大臣 それはまさしく趣旨としてその通りでございます。しかしそれは自治庁長官が、自治庁を総括する総理大臣補佐機関として、そういう仕事を行なっておるという形になるのでございます。制度上の問題といたしましては、厳格に解すれば、やはり自治庁を総括する責任行政大臣という形に自治庁長官をしておかないと、先ほど私が申し上げましたように、形としては一切総理府を通じて、あるいは総理大臣を通じて行なう、こういうことになっておるのが現状でございます。
  7. 門司亮

    門司委員 私は現状の方が間違いであって、そして自治庁設置法に書いてある法文をそのまますなおに解釈することの方が、法の運営上は正しいのじゃないか。どうも実情がそうだからといって、法を曲げて解釈するということはあまりいい結果にはならぬと私は思う。だから問題になりますのは、もし大臣がそういう御意見であるとするならば、次に出てくる問題は、自治法をいつ改正されるかということであります。これは自治法は御承知のように、この自治庁設置法に基づいてずっと書いてありまして、それが運営のためにはどういう形で行なわれるかということになると、この自治法の中をずっと読んでみますと、いろいろな今大臣が言われたような問題を解決するには、法の改正をかなり行なわなければ、今の大臣の言われるようなことの実行は困難だと私は思いますが、その辺についての大臣の御意見一つ伺っておきたいと思います。
  8. 石原幹市郎

    石原国務大臣 ただいまも申し上げましたように、自治法にもいろいろのことがあるのでございますが、それは総理大臣補佐機関としての自治庁長官がそういう立場でやるということでございまして、そういう意味からの自治法の直接の今後の改正というものは、そう考えなくてもいいのではないかと思うのでございます。今回総理府行政長官としての総理大臣権限は、自治大臣に移すということに改正になっておるのでございます。地方自治法の実体的の規定につきましては、さしあたって考える必要がないのではないか、かように考えております。
  9. 門司亮

    門司委員 今の御答弁でございますが、さっきも申し上げましたように、この自治庁設置法の三条に、さっき私が読みましたようなことがずっと書いてあって、そうしてなお不適当だというのは、私はこの法の運営をする間に、政府の間に何かことさらに問題がありはしないかというように考えるのであります。従ってもう少しこの大臣の言われておる責任ある一省を設けるという言葉の範囲を広く明確に、一つ答弁ができませんか。私はこれをはっきり申し上げておきますが、この三条にはさっき申し上げましたように、あなたのところで各種制度企画及び立案をすることはできるのです。今のままの法律でもやれるのです。ところが大臣答弁では、そういうものがどうもうまくいかぬからということが、この適当でないという言葉に当たるのだというお話でありますが、これはどう考えてもおかしいのです。だから問題は、さっき言いましたようにもし不適当なところがあるなら、どの辺が一体不適当なんだ、私ども考えると不適当なところはちっともないように思う。十分にやれるように組織はできておるはずです。それから先、大臣の方で話がしにくければ、私の方から話してもいいのだが、全体の所轄総理大臣がやるので、その下の担当大臣として、主管するあるいは所管する大臣ではないのだというようなことで、大臣の格が低いから、どうも閣議に出ても思うように話がしにくいという内部面からくる問題じゃありませんか。大体そういうことを考えられているのじゃないですか。そう考えなければどう考えても考ようがない。やれるようになっておるものが不適当だとおっしゃるのだから、その不適当な理由はどこにあるかということを、一応この際はっきりしておいてもらいたい。その上でわれわれは判断をしなければならぬから……。
  10. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほどからたびたび申し上げましたように、御指摘のように実際問題としてもそれはやっておるのであります。やっておるのでありますが、制度上は自治行政を主管する、総括する総理大臣補佐機関としてやっておるわけでございます。しかし最近の自治庁関係仕事を見ますると、予算額にいたしましても三千億円台でございまして各省庁を通じて最も大きい予算を持っておるものの一つである。それから地方債にいたしましても、三十五年度では千五百億から地方債配分等もやらなければならない。国会提出法律案にいたしましても、毎国会十数件を持ちまして、しかもそれは複雑多岐にわたっておるいろいろの法案を持ってやっておる、こういう実態の形にもなっておるのでございます。そこで自治行政責任明確化ということと、能率化の面につきましても、これは役所内部のことでありまするから、あまり申し上げにくいのでもありまするが、事務的に総理府というものを一応通じなければならない。これは一日で済むことが三日も四日もかかるとか、かりに数日かかることがまたその数倍の日を要するとか、いろいろの問題があるのでございまして、これだけ大きな規模になり、国の予算に匹敵するような地方財政というもののとにかくめんどうを見る、一つ行政を担任するところでございまするから、そう言ってはなにでありまするけれども、現業的なことやいろいろなことをやっておるところよりは、むしろ省として責任明確化し、能率化をはかっていくということが必要なのではないか、私はかように考えるのでございます。補佐機関としてやる立場制度上はっきり責任を持たしめるようにし、それから総理府を通ずるいろいろの問題を直接やるということによりまして、一そうの能率化をはかろう、中央の声もすぐ地方に響き、地方の声もまた中央においてさっそく明確に現わしていく、こういうことにしたいというのが、省にしたい大きなねらいでございます。
  11. 門司亮

    門司委員 せっかくの大臣意見ですけれども、どうも……。大臣、もう少し考えてもらいたいと思いますが、今財政も大きいというお話でありますが、なるほど地方財政は大きいし、それから自治庁も相当な人員を持っておりますし、最初の五十何人からだいぶふえておりますが、今お話がありましたことは、全体がそういうことがあるから省にしなければならないという理屈は私はどこにもないと思う。たとえば起債の問題など今お話しになりましたが、一つ読んでごらんなさい。どういうことが法律に書いてあるか。これは大臣に不見識なことを申し上げて怒られるかもしれませんが、地方自治法の中には、起債認可許可というのは、原則として、地方公共団体の自由にいたしている。法律に書いてある。なお「当分の間」という文字がついておって、そうして内閣許可を得なければならない。原則からいえば地方公共団体が任意に出すようになっておる。むしろ起債というようなものについては、地方財政が充実してくれば、起債の額というものは割合に減ってくる可能性を十分に持っておる。従って現行の地方自治法の建前からいいましても、今の国の許可認可の方が間違いであって、原則としては地方公共団体が自由にやれるということが法律に書いてある。なお当分のうちと書いてある。従ってなお当分のうちの方を直された方が、地方自治体のためになるのです。省にして、これに権限を持って制圧をしようというものの考え方は間違いである。法律精神自体にも反しておる。自治法にちゃんとそう書いてある。だから今のようなことでは私は理屈にならないと思うのです。だから問題になるのは、自治行政責任所在と言われておりますが、これも実は非常に大きな問題でありまして、一体責任所在はどこにありますか。今日の日本憲法日本法律のすべての中に、自治行政責任所在というものは一体どこにあるかということです。この点については官房長官総理大臣かに来ていただいて、国の行政機構の中でかなり議論しなければならない面だと思いますが、どうも大臣答弁は少し行き過ぎて、昔の官治行政のときのような、一切がっさい地方行政責任まで国が負うのだというようなものの考え方のように聞こえるのですが、必ずしもそうではございますまい。だからもう一つ聞いておきたいことは、地方行政責任所在というのは、一体何に基づいて大臣はそういう答弁をされておるのか、その辺をもう少しはっきりしておいていただきたい。
  12. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これはたびたび申し上げましたように今の自治庁というか、自治を統合する役所といたしましては、各地方団体サービス行政を第一線でやっております。各地方団体めんどうを見る役所ということになっておるのであります。     〔委員長退席淺香委員長代理着   席〕 そういう意味めんどうを見る。いわゆる中央において予算獲得一つの大きな原動力にもなっておるわけでございます。そういう意味責任明確化ということを言っておるのであります。自治庁自治省にしたいということは、ひとり私ども役所関係しておる者だけの考えではないのでございまして、門司委員もその一員になっておられると思うのですが、地方制度調査会等においてももうずっと前から自治庁を省に昇格すべきではないかという意見を、たしか二回くらいにわたって出しておると思うのです。それから内閣に設けられております行政審議会においてもそういう意見を出しておりまするし、地方団体はもう長年にわたりましてそういう要望を続けておる次第でございまして、私どもはさらにそういう自治行政関係の深い各団体あるいは地方団体、こういうものの要望にもこたえまして今回自治庁を省に昇格したい、こういう考えで進んでおるわけでございます。
  13. 門司亮

    門司委員 今のせっかくの大臣答弁ですけれども、御承知のように地方行政が現業庁であり、サービス庁であることに間違いはないのでありますが、しかし問題になりますのは、地方自治行政というのは今大臣言葉の中にもありましたが、言葉じりをとるわけではないのですが、あなたのものの考え方の中に間違いがありますから申し上げておきますが、地方予算獲得といいますが、一体地方予算というのは国が獲得するのですか。地方予算の中にはなるほど補助金があります。この補助金というのは国の仕事です。国の仕事地方がやるのです。国の企画したものを地方がやる。この問題も予算の中に入っておるかもしれない。あるいはその次には例の地方財政・に対しまする交付税の問題がある。交付税の問題も、交付税自体の性質というのは、御承知のように地方公共団体がたくさんあって、そうしてそれの財政上のアンバランスがかなりある。従ってこのアンバランスをある程度埋めていくということが、一つの国の大きな行政の中の項目であることには間違いがない。従ってそれを十分に穴埋めだけをしていこうというのが、現在の交付税の本質である。何かこれらの問題が国家予算地方予算と二つ分かれて議論するようなものの考え方に、非常に大きな間違いがあると私は思う。この点はどうなんですか。一体大臣考えおいでになります地方予算というのは、何が地方予算なんです。何か国で地方予算を取るようなことがありますか。
  14. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私の申し上げましたのは、地方財政財源獲得というような意味でございまして、門司委員もただいま交付税お話がございましたが、交付税の率の問題は、これは毎年毎年政府予算編成の一番大きな問題となり、最後に残される政治折衝の大きな問題になっておるのでございますから、そういう意味でも、地方財政財源を確保していくという上において、これは非常に大きな立場になっておると思います。また地方財政の問題と関連するいわゆる税財源の問題にいたしましても、ただいま税制調査会等におきまして、あるいは地方制度調査会等におきまして、地方にもっとはっきりとした税源を与えて、国の財政に大きく依存しない、独立的にいろいろ行なわれるような税財源を与えなければいけないのではないかという問題等につきましても、そういう地方の主張を代弁する責任者といえば、これはやはり自治庁長官が前面に出ていかなければならないと思います。これが内閣総理大臣補佐役としてということになるわけでありますが、そこらがおかしいところの一つの問題ではないか。  それから財源獲得をして、しかも現在におきましては、これも門司さんからお話のありましたように、非常に地方アンバランスになっておる。富裕県があれば非常な貧弱県がある。そういうところへ地方団体間の財源調整ということも考えなければならない。その責任省庁はどこであるかといえばやはり自治庁がそれに当たるというわけでございますから、そういう地方にとって非常に関連の深い大きい仕事をしておる自治庁——結局みな庁ならいいのでありますが、省庁というものがある。今日におきましては、これは一省独立の省として責任を持たし、能率を一そう上げる、こういうことにしていかなければならないのではないかと私ども考えておるわけであります。
  15. 門司亮

    門司委員 理由がきわめて薄弱ですね。庁なら庁でいいというのは、今の省をみな庁にされても結論は同じだと思います。どうも問題の所在がはっきりしないのですが、これは大臣と議論しておっても始まらぬように思うのです。大臣はそういうお考えかと思いますが、今日地方自治法及び地方財政法との関連を見てみますと、必ずしも大臣の言われるようなことになっていないのです。現在の庁でアドバイスだけをされて、それで十分よろしいのだということに私はなっておると思う。指揮命令というようなことは、これは憲法が禁じておりますからできません。従って指揮命令、あるいは干渉することのできない地方行政機関に対して、中央権力を及ぼすということは私は誤りだと思う。あくまでも地方はアドバイスするだけ、注意をしたり勧告をしたりすることが自治庁の本甲の仕事であって、これが省に昇格したからといって、そのことはどうにもならないのではないか。日本の今日の憲法の存在している限りにおいては、どうにもならないのではないかということが考えられて参ります。もう一つの問題は、いろいろの仕事をいたしておりますが、その直接の個々の仕事というものは、地方自治体がやはり責任を持って仕事をいたしておりまして、このしっぽが別に国にくるわけではないのであります。ただその勧告といいますか、監督はできないのでありますが、十分に勧告をしたか注意をしたかということが、多少中央の問題にもなろうかと思います。実質的の責任地方自治体が今日は負うのであります。何も昔のように天皇の官吏が一切のことをやっているのとは違います。今の大臣答弁のようなことでは、私ども承服するわけには参らぬのであります。  従って大臣に聞いておきたいと思いますことは、大臣の言われるようなことはきわめて理由が薄弱であってどうにもならぬのでありますが、その前に一つ大臣はこういうことが考えられなかったかということであります。私は今日の地方行政の状態を見てみますと、だんだん中央集権的の傾向が非常に強くなってきて、そうして民主的の行政というものが阻害されておるというきらいがある。その一つの大きなものの中に、今自治庁が省にならなければならないというような考え方の中に、地方財政の問題が私はあると思う。従って省にすれば地方財政一体どのくらいで充実されると、大臣責任上言えますかどうか。閣内で十分に発言ができるようになれば、地方財政をこうしてみせるというような現実の問題の御答弁が今ここでできますか。できたら一つここではっきりしておいていただきたいと思います。
  16. 石原幹市郎

    石原国務大臣 その前に、自治庁を省にして何らか地方に対する権力でも強くするような考え方から出ておるように、門司委員考えておられるのではないかと思うのでありますが、これは私の邪推であればお許しを願いたいと思いますが、自治庁自治省になりましても、別に地方に対する権限が強くなるとかどうとかいうことは全然私はないと思います。そういう地方に対する権限とかそういう問題は、地方自治法であるとかあるいは地方財政法であるとか財政再建整備法であるとか、こういうところに出てくる責任大臣としての権限の問題であるのでありまして、別に強くない。しかしながら自治庁自治省になることによりまして、場関係各省との間の折衝調整という問題は、庁であるより一そうやりよくなると思うのでありまして、各省地方自治団体との間のいろいろな仕事調整その他については非常にやりよくなると考えております。  それから自治庁自治省になりましたならば、地方財政の充実についてどんなことが言えるか、こういうお話でございまするが、これは庁が省になつたからといって、急に発言力が非常に強くなるとかどうとかいうわけではありませんが、先ほど来から申し述べましたように、各省との間の調整についても便宜があるのと同じように、庁が省になることによりまして、何らかの発言力上の力強さが出てくるのではないかと私は思うのであります。このために地方財政がどれだけふえるとかどうとかいうことは、ここで数字的に申し上げるというようなことはできませんが、地方税財政確立のために、さらに一そう地方団体一体になって動きよくなるという面が出てくるのではないかと考えております。
  17. 門司亮

    門司委員 ちっともわからぬのですがね。ただ内部機構の工合が悪い点だけを一生懸命暴露されておるようでありますが、そんなことは中の機構でできるのじゃないですか。国が地方財政あるいは地方行政をどうしようという考え方があれば、しかも大臣言われておりますけれども内閣総理大臣所轄のもとにあるのですから、上にやはり総理大臣をいただいておいでになることに変わりはないのですから、もし今の大臣のようなお考えであるとするならば、それはもう内閣自身地方行政に対してきわめてふまじめだということに私はなろうかと思う。それははっきり申し上げておきます。庁であっても省になっても、いかなる役所でありましようとも、国の大事な機構については、国の総力を上げてこれを遂行できるようにすることが、私は正しい行政のあり方だと思う。庁だから少しいじめてやる——まあいじめるという言葉は少し行き過ぎかもしれませんが、言うことをおろそかに聞く、これが省になれば大事に聞いてやろうというようなものの考え方というものは、私は非常に大きな誤りではないかと思うのです。これは大臣自身が、内部の不統一とは私申し上げませんが、やはり融和のとれていない事態を暴露されておるものであって、私は答弁にはならぬと思うのです。だから、財政がよくなるということはなかなか言えないでしょう。言えないでしょうが、地方自治体のことを考えて参りますと、省になれば今日の非常に窮屈な地方財政というものがどれだけかでも緩和されるのか、いわゆる地方自治行政に直接どういうプラスがあるかというようなことが十分納得ができないと、私はそうはいかぬと思う。たださっき大臣地方団体や何かが要望しているというようなことを言われておりますが、これは地方自治体というのが非常に財政上行き詰まっており、どうにもならない。内閣に陳情しても大蔵省に陳情しても、どこに陳情してもうまくいかない。そうするには、昔のような形にした方があるいはいいのじゃないか。内閣に非常に強い権限を与えて、昔の内務省のような考え方の中でやった方がいいのじゃないかという考え方があろうと思う。しかしそういうものの考え方はそもそも民主主義に反したものの考え方であって、決して私はいい考え方ではないと思う。だから実質的に地方公共団体に効果の薄いものを、ただ役所内部の今までの慣例といいますか、慣行上、どうも省にした方がよかろうというような淡い気持で省を一つこしらえるということは、私は実際にきわめて不見識だと思うのです。  だからもう一つついでに聞いておきますが、財政の問題について、政府はほんとうに自治体財政考えておやりになる御意思があれば、今の組織の中でも、地方自治体は決して省にしてもらいたいというようなことは言わないと思う。ところが今のように財政がどうにもならないという形の上に置かれているものだから、何とかこれを改革しなければならぬということで、郷愁が生まれてきて、おそらく大臣のさっきのお話のようなことがあったのではないかと私は考えておりますが、どうでしょうか。財政がどうにもならないということになると、行政上の面で多少何かプラスになるようなことがあると、自治庁長官として考えられておりますか。
  18. 石原幹市郎

    石原国務大臣 今までにもたびたび申し上げましたが、根本は地方財政というものがこれほど国政上において大きな役割を占め、立場を占めておるという事態になりまして、それを主管する役所機構が庁であることはどうであろうかという問題が、一つの出発点になっておると思うのでございます。世界のどこの国におきましても、内政を主管する省というものは必ずあるわけでございまして、そういうことから、私ども考えておりますことは何回もここで門司委員にもお答えしましたので申し上げませんが、そういう意味でございます。それで自治のこういう問題について、最後の責任大臣内閣総理大臣であるということは、これは内閣総理大臣は一切のいろいろなことを総括しておるのでございまして、自治責任大臣内閣総理大臣であるというのでは、これは何としてもちょっと割り切れないような感じを私ども持っております。  それから行政上の問題について何かプラスがあるかということでございますが、これは先ほどから申し上げましたように、政令を作る、省令を作る、あるいは予算の配賦をする、執行をする、要求をする、一切が総理府を通じて手続がとられておるということは、事務能率の上から申しましても私ははかばかしくないと思うのでございまして、事務の能率の上からも、そういうことの一切の最終責任大臣総理大臣であるということも、これは一つおかしいのではないか。そういうことから、かたがたいろいろの調査会あるいは地方団体全部の非常に強い要望もございますので、庁を省に昇格するような案を今回出したわけで、あとは今までお答え申し上げましたことで御了承願いたいと思います。
  19. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 門司委員にちょっと申し上げますが、椎名官房長官が見えておるのですが、時間がないようですから、できましたら一つ先に質問をお願い申し上げます。
  20. 門司亮

    門司委員 それでは官房長官が見えておるようですから、官房長官に先にお聞きしたいと思います。  こういう法案内閣が出されておりますが、今日の自治庁を省にしようということについてのいろいろな具体的な話については、今長官にお伺いをしたのでありますが、その理由はきわめて薄弱でありまして、ただ何となしに省にした方が力が強くなるだろうという程度のことだと考えておりますが、官房長官にお尋ねをすることは、内閣として現在の憲法の八章をどういうふうにお考えになっておるか、その点をお聞きしておきたいと思います。
  21. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 八章は地方自治の問題でありまして、あくまでも地方自治の本旨を貫くという趣旨の条章であると考えております。
  22. 門司亮

    門司委員 御承知のように日本憲法の特異性というのは、二章の戦争の放棄と八章の自治体のことを書いたのが、世界のいろいろな憲法の中でも一つの特異性だと考えます。変わった憲法だと思う。この憲法の二つの変わり方の、一つは戦争放棄でありますから、きょうここで論ずる必要はないかと思いますが、次に変わっております地方自治という八章を設けたということについての今の大臣答弁は、ただ八章の九十二条を読まれただけでありまして、一向わからぬのであります。九十二条を読まれただけでは一向にわからぬのでありまして、どうしてこういう章を日本は設けなければならなかったか、これが私は自治庁設置法についての一つの大きな問題であると思います。  その辺をなお具体的に申し上げて参りますならば、従来官治行政であった日本行政を民治行政に切りかえていくというのは、ここで切りかえられておるのであります。いわゆる従来の官治行政というものがなくなったのは、憲法上ここで切りかえられておる。それをサービス庁であるべき自治庁が、庁では工合が悪いから省にするのだという——大臣に聞いてみますと、地方財政に対しても行政に対しても何ら具体的なプラスはないようでありまして、内閣の中で多少発言が強くなってくるという程度のことであるならば、これは全然話にも何にもなりません。私はやはり憲法がこういうことを書いている以上は、どこまでも地方自治体の自主性というものを認めて、政府はただアドバイスをするという立場に立って、民主主義行政というものを伸ばしていくということが正しいのではないかと思う。従って私は先ほど質問を申し上げたのでありますが、もう少し詳しく第八章についての御回答を願いたいと思います。
  23. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 今回自治庁を省にするということは、何か地方自治団体に対する統制力というか、監督権といいますか、いわゆる中央集権的なものがそこにうかがわれる。その結果、地方自治というものが反射的に劣勢な立場に置かれるものではないかというような御懸念かと存じますが、この八章の趣旨は、地方自治というものをどこまでも順調に育て上げるということだと思うのでありますが、その趣旨において自治庁をもう少し強化して自治省とし、大臣が独自の立場において法律案等の請議権を持ち、予算執行権等を持っていくということは、地方自治体に対して圧力を加えるというのではなくて、むしろ八章の本来の趣旨に沿うて、自治体を育成するという方面に機能を強化するということであると私は考えておるわけであります。
  24. 門司亮

    門司委員 今の長官の言葉は、非常に穏やかでありません。これは私の誤解かもしれないが、予算の執行権というようなことをお話しになっておりますが、一体予算の執行とは何です。どこの予算です。地方自治体の予算を国が執行するのですか。庁の予算を執行することはあたりまえのことです。予算の執行権とは何です。その点一つはっきりしておいてもらいたい。
  25. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 私は国の予算の執行権のことを申し上げました。法律案等の閣議における請議権も独自の立場でこれを行なう。それから従来自治庁予算執行権というものは総理府の方に全部おまかせして、そこでまかなわれておったのでありますが、省に昇格いたしますと独自の立場においてこれを執行することができる。これは国の予算執行の問題を話したのでありまして、自治体予算の問題ではございません。どうぞ誤解のないようにお願いいたします。
  26. 門司亮

    門司委員 自治体予算の問題でなければ何もならないじゃありませんか。自治庁の中で何がどうしようと、そんなことは自治行政と全然関係はない。そういうものの考え方だから困る。それから法律の提案権にしましても、現行の自治庁設置法の三条には法案を出すことができるように書いてある。何も差しつかえないのです。     〔淺香委員長代理退席、委員長着席〕 だから私はこの憲法との関係はどうかといって聞いているのでありまして、長官がよくおのみ込みになっていなければ、私はなお話を進めなければならぬと思います。  日本憲法の九十三条は大したことはありません。地方自治体がそのことのために長を選ぶということでありますが、九十四条、九十五条というのは、地方自治体あるいは住民に絶対権を与えているでしょう。ことに九十五条のごときは、一つ地方自治体に特別の法律を執行する場合は、たとい国の最高機関であると定められ、国の立法権を持っておる国会法律を定めても、その地方の住民の賛成がなければこの法律を施行してはならないと書いてあります。そこまで今日の日本自治体というものは、憲法上の立場が明確にされておる。従って地方行政に及ぼす国の影響というものを考え行政を執行すべきである。だから、あくまでも地方立場というものは、指揮監督、命令をすることではない。どこまでも国の考えております予算の執行の大部分というと多少語弊があるかもしれませんが、予算的に見れば大部分であります。大部分は地方自治体にこれが移行されていって、そして国の仕事もする、地方の独自の仕事もしていく。しかし地方自治体権限については、これを侵してはならないことは明白なんですよ。しかも九十四条には、行政を執行する権能を保障すると書いてあります。こういう日本憲法があるにもかかわらず、今のようなことだけで自治省にした方がよろしいということは、私にはどうしても理解ができない。だから、この法案を出された内閣にさらに聞いておきたいと思いますことは、今までのところでは何にもならぬのでありますが、そのほかに何か、省にして地方自治体に直接利益になるということが十分に考えられるとか、それからどうしても省にしなければ地方自治行政運営ができないというようなことがもしあるとするならば、それを一つこの際お示し願っておきたい。
  27. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これも先ほどすでにお答え申し上げておると思うのでありまするが、地方財政に一番大きな関係のありまする例の交付税の問題などにいたしましても、これは予算編成上の最後の大問題でございますが、その際に、総理大臣補佐機関である自治庁長官というより、自治大臣として責任を持って予算を要求をするという形の方が、意義が大きい。数字的に地方自治体にどんなプラスがあるか、影響があるかということは言えませんけれども自治庁長官自治大臣となり、責任を明確にすることによりまして、何といってもいろいろ大きなプラスはあると私は思います。それから地方との行政上の関係等についても、厚生省にしろ建設省にしろ、各省がそれぞれ地方にいろいろの関連を持っております。地方自治体の利益のためにそういう間の調整をはからなければならぬ問題がたくさんあるのでございまするが、それも自治大臣として調整に当たるということの方が、何といっても大きな利益である。地方自治体に対して権力的な立場を強くするという意味ではないのでありまして、地方自治体の利益をより力強く伸張させようという趣旨で、自治省という立案をしたわけでございまして、これは何と申しましても有形無形の地方に対する大きな利益をもたらすものであるとかたく信じておるものでございます。
  28. 門司亮

    門司委員 どうもそういうことだけではわかりません。もう一つ、これは官房長官に聞いておきたいと思います。内閣の組織ですが、憲法に定める内閣行政のすべての責任を持っておると私は思いますし、そうでなければならぬと思います。今の石原長官のお話を聞いておりますると、何か大臣にする、省にすることの方が、閣内で格上げをされるというような気持に聞こえてならないのです。また実際私はそうだと思うのです。そうだとすると、これは普通の長官と言うと語弊があるかもしれませんけれども、調達庁の長官も長官ですが、こういうものでなく、「国務大臣をもって充てる。」と書いてある。従って内閣には一体性、あるいは連帯性がなければならぬと思うが、そういうところから考えて参りますと、何も省になろうとなるまいと、大臣である限りにおいてはその権能は変わる筋合いのものではない。従って憲法内閣行政上の責任内閣が持つ、こうはっきり書いておりますことで何らの支障はないように、どう考えても考えられるのですが、この点の考え方はどうですか。省と庁とは憲法上の解釈からどこが違うかということがはっきりわかりますか。
  29. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 省にしなければならぬ理由を再度にわたって御質問でありますが、今長官からも言われたように、今のところは内閣総理大臣が直接の責任大臣であって、その権限の一部を自治庁長官にまかせておるわけで、日常石原長官が地方行政を遂行する上において、一々内閣総理大臣から干渉あるいは指示を受けるということでなしに、全部自由にまかされておりますけれども、建前といたしましては先ほども申し上げたように、閣議の請議権も全く独自の立場においてこれを行使するということはやはり制約されております。それから地方自治団体によりますけれども、国の補助金等が地方自治団体の収入の相当部分を占めておる。そういう大もとの国の予算を握っておるのでありますが、その予算の執行権につきましてもとにかく制約を受けておる、また制約を受ける立場に立たされておるのでございまして、ほんとうに自治行政を見識を持って自由に運営するという立場に立っておらない、こういう点が大きな違いであると考えます。従って日常の行政等において、それが一々現実に結果として現われるというようなものではありませんけれども、とにかく重要な問題等につきましては、おのずからここに長官と省大臣というものの違いが出てくるということを考えますときに、やはりこれは昇格してそうして省としての立場確立することが、地方自治行政の発展の上に、八章の憲法が定めておるこの線に沿うて十分に問題を進展する上において私はよりよい形である、そう考えておるものであります。
  30. 門司亮

    門司委員 どうも答弁がちっともわからぬのですよ。もう少しはっきりした答弁をしていただきたいのですが、官房長官は十分御承知だと思いますが、補助金なんというのは各省補助金ですよ。自治庁が直接補助金をやるというのは少ないのです。大体補助金の種類というのは、ここにちゃんと政府から出た書類がありますが、これを見てみても勘定し切れないほどあります。たんねんに勘定すると二千四百幾つかあるのですが、そういうものは全部各省で、国の仕事として地方自治体の助成策として行なっているのでありまして、省になろうとなるまいとそういうところに私は影響は何にもないと考えている。  それからはっきりしておきたいと思いますことは、憲法趣旨なんですが、憲法自体から考えると、今私は憲法の九十四条と五条を申し上げましたが、この際政府責任者としてはっきり聞いておきたいと思いますことは、九十四条に定めております憲法趣旨一体何を物語るかということについて、一つはっきり御答弁を願っておきたいと思います。
  31. 石原幹市郎

    石原国務大臣 憲法九十四条は、ここに書いてありますように「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。」一切の地方公共団体自治の本筋をここに書いているものである、かように私は考えます。
  32. 門司亮

    門司委員 その通りなんです。地方自治体というのは、法律に反しない範囲ではありますが、ある意味においては立法権を持っているのです。そうしてこの条例に違反した者は十万円以下の罰金、二年以下の懲役に処することができると法律に書いてある。そういたしますと、地方自治体というのは法律の範囲内ではありますが、りっぱに一つの政治の機構としての様相を持っておるわけです。同時に九十五条はさっき申し上げましたように、たとい国の最高の機関である立法府の国会法律を制定しようとしても、地方住民の過半数がそれに賛成しなければ法律を制定してはならぬ。ここまで日本憲法というものは自治体権限を与えておる。ここまで与えておる憲法趣旨に沿って、今日の地方行政が行なわれておるかというと、そうではない。そこに問題がある。そこにある問題はどこから来ておるかというと、今日の国の地方団体に対する態度です。たとえば財政の問題につきましても、これを一体どう考えておるか。私がさっきから聞いておりますように、省になってどれだけ地方にプラスになるか。地方憲法に定めておりますような行政を完全に行なっていくには、完全に行なっていくことができる能力と、それに財政を与えなければならない。これは国の責任なんです。ところが御承知のように財政は全くどうにもならない。この前も大蔵大臣にいろいろ聞いてみましたが、一向わからない。地方公共団体行政水準とか——このごろ政府は変な言葉を使い始めておりますが、行政水準とは何だと聞いてみると、少しもわからない。わからないが行政水準を上げなければならない。地方自治体から見れば、地方自治体の行政水準というものは、われわれの通常の観念から言えば、一応憲法で保障する国民が文化的に、そうして健康な生活を営むことのできるような地方自治体の制度が行なわれるということが、私は一つの問題だと思う。これについては上水道あるいは下水道という問題があるかもしれません。こういうものが完全に行なわれておるかどうか。さらに国の産業経済に最も関係のあるものとして、道路行政というものが完全に行なわれておるかどうか。あるいは憲法に定めておる教育が、地方自治体に完全に行なわれるような施設を持っておるかどうか。こういうことが一応行政の水準だと私ども考えておる。ところが現在の地方自治体は、その憲法に保障する行政水準まで達するには財政上非常に困っておる。富裕団体とかなんとかいわれておりますけれども、一番大きな富裕団体といわれておる東京が、教育行政は一番悪いでしょう。不正常教育は東京が一番たくさん持っておる。それから道路行政にしてもそうですよ。東京の道路行政というものはなってない。まるきり自動車がそこらじゅう動いておってどうにもならぬ。すべてこういうことで、地方自治体というものは、憲法で定めておるようなことが完全に行なわれるということには、財政上の問題が非常に大きい。これについては国はほとんど一考もわずらわしたことはない。自治省にするという前に、なぜ地方財政を充実しないか。実体を与えないでおいて、大臣の格だけ上げるというものの考え方が間違いだと思う。だからさっきから聞いておるのです。大臣になれば地方自治体の財政がよくなりますか。椎名官房長官、どうなんです。これは責任が持てますか。大臣にして省に直せば、地方自治体財政は大体憲法に定めておるようなことで、地方自治体行政水準というものがあるべき姿に直すことができるということをはっきりここで言えますか。
  33. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 門司委員の言われるように、自治体というものを健全にする、これは憲法に書いただけでは達成されないのでありまして、実際の行政の面においてもそういうふうに推進するということが必要であると思うのであります。そこで、そのためにいわば番頭政治を——石原長官をそばに置いて何ですが、いわば番頭政治を御主人の政治にする。これは建前の問題でございますから、腕のない主人もあり、主人以上の番頭もございますが、しかしながら建前として番頭政治を一人前にする。主人公の政治にする。そうして門司委員の言われるようなりっぱな成績を上げるようにするという、これは制度上の建前でございます。私はやはり制度の建前としてはこうあるのがほんとうである。その次には実際のこの地位にすわる人の選任の仕方だと思いますが、とにかく建前論としてはこの方がよろしい、こう考えております。
  34. 門司亮

    門司委員 これはどうも官房長官としてはきわめて不穏当な御発言だということにならざるを得ないと思います。どうも番頭では工合が悪いとかなんとか言われておりますが、内閣がほんとうに地方の行財政というものを憲法に沿ったようにやっていこうとされるには、今の機構でも何も差しつかえがないはずであります。私はそれを聞いておるのであります。もし必要だとするなら——ほんとうは大臣に帰ってもらった方がいいのだけれども大臣がおられますから非常に言いにくい言葉でありますけれども、これは本会議でも申し上げた言葉でありますから申し上げますが、やはり大蔵大臣級にするとか、あるいは通産大臣級にするとかいうようなことが、もし政府において考えられておるとすれば、これはとんでもない問題で、どうして今それがやれないかということです。内閣の中でもう少し力の強い、岸さんの首根っこを押えてぎゅうぎゅう言わせるような人でも、自治庁の長官にすることができるのです。これをして悪いという規定は一つもない。これは内閣の意向次第考え方次第なのです。ところがそれを考えないでおいて、省にすれば何となしによくなるだろうというようなことでやられたのでは、これはいたずらに行政機構をいじるだけであって、ほんとうの実効というものは何もないと思う。もしほんとうに今の官房長官のようなことなら、石原長官の言われることを十分に尊重されたらいい。これはよけいなことかもしれませんが、この間の予算編成のときにも、七百億の減税に伴って当然百二十二億の地方財政の収入が減ってくる。これを増すか増さぬかということで、石原さんがどんなにいったって佐藤大蔵大臣は言うことを聞かなかったでしょう。そうしてしまいには〇・三ですか、三十億くらいのものを地方にやって、しかもそれなら現行の二八・五を二八・八にするかというと、それもいやだ、こう言うのでしょう。もし今のようなお考えがあなた方にあるとすれば、なぜ石原長官の言うことを聞かなかったか。一体人によって内閣行政は左右されるものですか。そういう御見識になのですか。そうだとすれば地方自治体は大へんなことになりますよ。私は今の官房長官発言きはわめて不穏当だと思いますが、そうお考えになりませんか。私どもの心配しておるのは、これが省になろうと庁であろうと、地方自治体一体どうなるかということが問題でなければならない。長官の言葉とは、どう考えても私どもには考えられない。しかし言われたことでありますから、そういうお考えをお持ちになっておると思いますが、その考え方は私は誤りだと思う。だからここではっきりしておきたいと思いますことは、こういう憲法があって、特に日本憲法地方自治体のことについては、大体政府が干渉をすることができないようになっておる。だから、自治庁はどこまでもアドバイスをする一つサービス庁である。同時に、そのことの責任はやはり内閣にあるということです。この憲法の建前からいえば、今の自治庁の方がよろしいのである。自治庁の長官は、あくまでも地方公共団体のサービス機関としての役目をお果たしになるということが、一つ仕事だと思う。地方自治体の育成あるいは自治体の発展をすることは、内閣総理大臣責任だと私は思う。この自治法をこしらえるときには、そういう意味でこしらえた自治法ではございませんか。憲法がこういうふうにできておる。従ってこの憲法を忠実に施行していくには、一つ大臣であってはならない。これは内閣総理大臣責任を持つべきである。私は自治法をこしらえたときには、こういう考え方のもとに今日の自治法ができておるというように解釈することが正しいと思うのですよ。これは国の責任なんです。一省の責任ではないと私は思う。それをあたかも地方の今日の状態は、何か自治庁の長官の手腕が足りないからのようなことを言われることは、私にはきわめて不愉快だ。これは当然内閣責任なんですよ。各省はおのおの仕事を持っておりますので、それはやはり一つの省の責任者というものがあることは必要かもしれない。しかし地方自治体については、こういう憲法を持っております日本自治行政というものは、あくまでもその責任所在内閣総理大臣でなければならない。これは自治庁の長官の権限を強くするというようなことは考えられない。私は憲法自治法ができたときの考え方、同時に地方自治体のあり方というものは、今の制度が最も正しい制度だ、内閣総理大臣行政責任を負うということは正しい制度だ、こういうふうに考えておるのですが、この私の考え方は間違いですか。
  35. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 内閣制度は、内閣総理大臣は総括的な責任は負いますけれども各省大臣に大体権限を分掌さして、直接その部門々々の行政はその責任においてやらしておるというのが現在の状態でございます。従って国家の財政は大蔵大臣、農林行政は農林大臣というふうになっております。もちろんそれの統括的な責任内閣総理大臣が負うが、直接の具体的な責任大臣はそれぞれ大蔵大臣であり、農林大臣である、こういう建前になっておるのであります。  そこで自治庁の問題でありますが、これは各省大臣と同じような資格において、内閣総理大臣が一応これに当たっておる。そして自治庁長官は、はなはだ表現はまずいかもしれません一が、いわば番頭さん、こういう格好になっておる。そこで今日の自治行政というものはきわめて重要な問題でもありますし、別に自治団体に対する統制権あるいは監督権あるいは干渉の権限というものを拡大するという意味ではなしに、憲法に明定された地方自治の育成というものを馴致するために、いろいろな仕事がたくさんあるのであります。それはやはり大蔵、農林と同じように、一つの独自の建前においてその行政を管掌する大臣を設置する方がよりベターである、こう考えて今回設置法改正をしたわけでございます。自治体の育成というものに逆行するというような意思はもちろん毛頭ないのでございまして、これを育成するという考え方のもとに、この機構が現在よりもよりよいという結論のもとに、かような案を提出した次第でございます。
  36. 門司亮

    門司委員 長官忙しいそうですから長くは聞きませんが、私の聞いておりますのはさっきから何度も申し上げておりますように、日本憲法が特に八章を設けておるということは、地方の政治はもとより、日本民主政治を執行するためには非常に必要なことだとして、こういうふうに書いております。今各省のことを言われたのでありますが、各省のことについては憲法はどこにも触れておりません。これは内閣一つ機構としておやりになることである。建設省は建設業務に対する責任があろうかと思います。それから厚生関係あるいは衛生関係等については厚生省の仕事になろうかと思います。おのおのの省はおのおのの仕事を持っておると思います。しかし地方自治体憲法が保障いたしておりまするように、見方によっては独立の一つの機関だ。ある意味におきましては司法権を持っていないだけであって、行政権はここにちゃんと憲法が保障しておる。同時に立法についても、法律の範囲内ではあるが条例を定めることができる。ここまで日本憲法がこれを認めておる。同時に地方の今日の行政については、各省の最末端機構としての仕事地方自治体は果たすと同時に、一面地方自治体の固有の事務を果たすことが、ちゃんと憲法で保障されておる。こういう事務の総括的なものを遂行していく国の責任者としては、総理自身が最もふさわしいのである。総理大臣以外に何がありますか。省にされなければならないということは、地方自治行政についてはほとんど関係がない。ただ閣内における大臣の何か格づけだけをすれば、いかにも地方自治体の行政がよくなるであろうかのごとき錯覚を持たせる効果はあるかもしれませんが、実際の効果というものは私はないと思う。私の言葉は少し過ぎるかもしれませんが、どう考えてもこの自治法を制定した当時のものの考え方というようなもの、自治法自身がこういう憲法の中から生まれてきておることにも間違いがございませんし、従って自治法の二条の十一項には、明らかに自治法の解釈は自治の本旨に従って解釈をすべきであるということがはっきり書いてあるはずだ。こういうことは憲法からくる一連の法律の精神でありまして、従って今日の日本自治行政に対しまする責任者というのは、一省を設けるということでなくして、内閣が総合的に責任を持つということでなければならない。そうしないと仕事は満足にいかぬでしょう、私はそう考える。従って現行の内閣総理大臣責任を持って、そうして自治庁の長官が行政上のいろいろなアドバイスをやっていくというこのと建前の方が、この憲法にぴったりくる考えだというふうに考えておる。この考え方は間違っておるかどうかということでさっき聞いたのでありますが、間違っているなら間違っているとはっきり言ってもらった方がいい。私はどう考えても、現行の方がこの憲法趣旨に沿っているのだというふうに考えられる。どうしても今の制度はこの憲法に逆らっておるのだというふうに官房長官はお考えになりますか。
  37. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 かりに総理大臣がお説の通り直接の育成の責任を負うといたしましても、また自治庁長官大臣に昇格いたしましたにしても、現在の憲法に抵触するとかいったような問題はそこには起こってこないと思います。ただ問題は、憲法に言うところの地方団体の育成をどこまでもやらなくちゃいかぬのであるが、その方法として一体今のように総理大臣各省大臣並みの責任を負ってやるのがいいか、それとも自治庁長官を独立さして一省の大臣として、それに独立の権限を与えてやるのがいいか、これは実際の行政の方針の問題だと私は考えます。これは憲法に抵触するとかしないとかいう問題ではない。そこでその問題について申し上げるならば、総理大臣が国政全般の総括責任者として、いろいろな今忙がしい繁激な立場に立っておるのでございまして、もしも総理大臣がもう少しひまであれば、地方団体の問題に対して直接の担当大臣として当たるのも、それは決して悪いことではないだろうと思いますが、実際問題として私は総理大臣にそういう特殊の重要な責任を負わせるということは、今日の行政の現実から見て適当でない、こういうふうに考えます。従って今回の庁を省に改組するということは、私は現状行政の現実にかんがみて適当である、こう考えております。
  38. 門司亮

    門司委員 委員長、長官お忙しいといわれておりますから、私長くおとめすることはどうかと思いますが、今のような答弁ではますます不可解になってくるのです。総理大臣がひまだとか忙がしいとかいうのではない。制度の問題なんです。御承知のように地方自治体が紛争を起こすことがあるのですね。そういう場合には、この憲法に定めておりますように、地方自治体というものは一つの保障されておる国の独立の機構であることに間違いない。都道府県も、日本の国の外にあるものでないことには間違いない。しかし自治体の紛争の調停なんというものは、やはり総理大臣が国の最高責任者として、国の行政として行なうべきであって、当然私は現行法のようなことでよろしいのだ。これは自治庁の長官が行なうことはできないでしょう。たとい自治省になりましても、自治体の紛争の解決なんということは、自治省大臣でよろしいなんということは書けない。これはやはり総理大臣が行なわなければならない。どう考えても今の官房長官答弁はおかしい。ひまであろうとなかろうと、そういうことではなく、組織についての質問をしておるわけです。ですからもし長官お忙しければ、私これで一応質問を保留しまして、もう一度はっきり質問することがよろしいかと思いますが、これは委員長の裁断におまかせしておきますが、どうでしょうか。
  39. 福田一

    福田委員長 ちょっと速記をとめて下さい。     〔速記中止〕
  40. 福田一

    福田委員長 速記を始めて。
  41. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私、門司委員のずっと言われておる気持は、非常によくわかるのです、その憲法の精神から一切のことから考えて、自治はあくまで尊重しなければならぬということは。私どもも、自治を担当しておりまするわれわれといたしましては、もう全くその通りの気持でありまして、自治というものはあくまで尊重して、自治体を、内容を充実した、もっと豊富なものにしたい、こういう気持一本やりで進んできておるのでありますが、そういうことについて、内閣なり国の考え方の上に、そういう考えをもっと強く反映、主張さすように、それを主張する、いわゆる自治を守る、自治を尊重する立場責任大臣を置くべきではないか、置きたいというのが、これは私どもの主張でありまして、全く門司委員の言われておりまする気持と同じような考えで今進んでおるわけであります。官房長官もそういう意味の前提のもとに、組織の問題を言われたわけでございまして、全く同じ考えに立っておる、その現わし方の問題ですから、  一つ了承を願いたいと思います。
  42. 福田一

    福田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  43. 福田一

    福田委員長 速記を始めて。
  44. 柴田護

    ○柴田政府委員 お尋ねの問題は、この法律案の附則で、自治法改正整理をいたしておりまして、その中で、この前の委員会でもお答え申し上げましたように、総理大臣に現在独占せられております権限の中で、たとえば自治法の百四十六条のような、内閣全体としての長としての総理大臣立場において処理すべき問題につきましては、内閣総理大臣権限に残しまして、あとの自治法上の内閣総理大臣の諸権限は、専任大臣であります自治大臣に移行する、こういう建前で改正を行なっておる次第でございます。
  45. 門司亮

    門司委員 法律はその通り書いてあるのです。きょう私は持っているから、そんなことはよくわかっています。そういうことが書いてあるから聞いておるのであって、総理大臣権限というのは、結局自治行政に対する国の責任所在というものは、これはどう考えても総理大臣以外にはないのです。普通の事業を営む——事業を営むという言葉は悪いかもしれませんが、実際仕事をする役所とは違うわけなんです。だから、国の行政の最末端の機構である地方自治体がやっていこうとするには、どうしてもその責任所在というものは総理大臣以外には、私どもはないと考えておる。それは憲法にも——ここに憲法をちゃんと持っておりますが、地方行政については憲法が、これを保障しているということであります。それからもう一つは条例等についても、今日それでは条例について、どこか憲法法律に違反しない限りの条例を地方自治体がこしらえてきたときに、拒否の権限なんかわありはしないでしょう。自治庁がしばらくじっと握りつぶすというか、温存することはできるかもしれませんが、これを拒否するという権限は持っていないでしょう。あるいはさっき申し上げました自治体の紛争等については、これはやはり国の一つ行政機関としての行き方としては、総理大臣が受け持つことか当然である。こういうものを一つの省の大臣にまかせるというわけには、われわれはなかなかいかぬと思う。この行政の組織上の問題から言いましても私は、やはり現行の制度でよろしいのであって、決してこれが省になったからといって、そういう権限が省の大臣に移さるべきではないと考えている。そうなって参りますと、どう考えても、こういうことにされる根拠というのはきわめて薄いように考えられる。  そこで私は、官房長官にもう一つ聞いておきたいと思いますが、今申し上げましたようなことが一つの例として実はあるわけなんです。そういうものについては、やはりどうしても総理大臣責任を持たなければならないことだと私は考えておりますので、大臣の言われるような——大臣はこういう答弁をされております。各省並みの大臣——各省並みの大臣というのは、これも私は不謹慎だと思います。総理大臣各省並みの大臣じゃない。これはわかり切っている。従って各省並みではいけないので、総理大臣責任所在を明らかにしておくことがいい。現行法でよろしいと私は言うのである。それからもう一つはっきりお聞きをしておきますことは、そういう抽象的なことでなくて、今申し上げましたような法律に定めておりますような権限というものが、それならどこまで自治省大臣に移されることによって、自治的の効果があるかということであります。最後に私は聞いておきたいと思いますことは、地方行政に対しまする責任所在というものは、何度も申し上げておりますように、内閣総理大臣以外に私はないと思うのだが、各省大臣でよろしいという何かはっきりした根拠があるなら、一つ官房長官から示しておいていただきたい。
  46. 椎名悦三郎

    ○椎名政府委員 各省大臣並みにもし自治省を作って権限を分配するということになりますと、それは一体その根拠はどうだという御質問だと思いますが、それは内閣の首班としての内閣総理大臣の地位において権限を保留すべきものはもちろん保留しなければならぬけれども自治という範囲において責任大臣に配分すべき権能は、その方面に配分するということに結局なるわけでありまして、しからば具体的に何がどうかということになりますと、これは非常にめんどうな問題になりますが、こまかい点につきまして特に御質問があれば、また係官の方から申し上げることにいたしたいと思います。
  47. 福田一

    福田委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  48. 福田一

    福田委員長 速記を始めて。門司亮君。
  49. 門司亮

    門司委員 最後に一つ、せっかくですから石原さんに聞いておきたいと思うことは、現在の自治法なりあるいは財政法は、すべてと言っていいほど地方自治体権限というものを認めた上で、そうしてかりにそれをチェックする場所があれば、さっき財政法のことで申し上げましたように、なお当分の間というような文字を使っているのであります。しかしそういう関係がありますので、この際私ども考えなければならないことは、むしろ省に昇格をするというよりも、自治法なりあるいは財政法を忠実に政府は、やはり守っていくということの方が、私は地方自治体のためになると考えております。だからこの点についての大臣の率直な意見をこの際聞かしておいていただきたい。
  50. 石原幹市郎

    石原国務大臣 私も門司委員とその点では全く同じ気持でございまして、憲法の本旨に沿いまして、地方というものはもっともっと自治体の面目を発揮し得るような建前にしていかなければならない、こう思うのであります。それには何と申しましても、地方団体がもう少し財源を持つ、あるいはまた地方団体の規模その他につきましても、もっと実力を持ち得るような形のものにしていかなければならないのではないか。いろいろ問題がございますが、自治法なり財政法なり憲法趣旨に沿いまして、地方団体が活動できるようにしたいという趣旨で、その方向へ持っていくには、今の内閣なり各省庁機構、ことに自治庁の組織というものを自治省にいたしまして、自治体を尊重し、自治に力をつけ、財源を与える、こういう形に持っていくために自治大臣がある方がよりベターであり、より早道である。それで門司委員から、それではどれだけの直接の効果があるかというふうに非常に具体的に聞かれまするので、それで私どもは具体的にこういう数字になるとかどうとかいうことをここで申し上げることはできないのでありますが、まあそういう意味から、よりベターであり、より自治問題を解決するに近道である、かような信念で進んでおるのでございまして、どうもこれ以上になりますと、門司さんと自治を尊重し、自治を強力にしたいという出発点は同じですけれども、方法論としては私どもは今回の案の方がよりベターである、こう考えておるのでございます。御了承を願いたいと思います。
  51. 門司亮

    門司委員 地方財政法の十二条に何を書いてあるかということです。十二条には、国の施設については、国は地方自治体に対しその経費を負担させてはならないと書いてある。そしてこれこれこれだけというふうに、五項か六項にわたって警察とか裁判所とかいろいろなものが書いてある。そういうものについて、省に昇格すればこの法律が絶対に守られるかというと、私は守られないと思う。こういうものは、これを守らせようとすれば、やはり各省大臣の上に乗っている総理大臣の命令が私は一番徹底すると思う。総理大臣なら、ある程度各省大臣に命令できると思う。警察の施設や何かについても、地方自治体法律では禁止をされておるのですよ。ちゃんとはっきりこういうものに経費を出してはならぬと書いてある。それが平気で行なわれておる。自治庁が省になり、そして主管大臣になっても、たとえば法務省に行って、お前のところの何をこしらえるときに、地方に寄付を言いつけてはならないぞといってチェックできるような権限はなかなか与えられないと思う。やはりそういうものは総合的に内閣総理大臣法律を忠実に守るようなことを指示することが正しいと思う。だからどう考えても、現在の日本自治行政責任所在というものは、やはり総理大臣でなければならない。私は今官房長官おいでになればこういうことを具体的に聞こうと思っていたのです。これは地方財政をかなり食っておりますから、一体やめさせることが省によってできるかできないか。
  52. 福田一

    福田委員長 それはあとで官房長官を呼んで一ぺん聞いていただきましょう。しかし政府の方でも、そういう条文がたくさんあるのでしょう。そういうものについて、これはこうする、あれはああするという考え方はあるわけでしょう。——それなら一応答弁しておいて下さい。
  53. 石原幹市郎

    石原国務大臣 ただいまのような問題も、今度地方財政法改正案も出たわけでございまして、本来府県で負担しなければならぬものを市町村に持たしてはいけない、自治体で持つべきものを個人に持たしてはいかぬ、いわゆる税外負担の思想なんかを取り入れてきておるわけでありまして、そういう意味で、その趣旨を強めていけば、もちろんこの地方財政法の十二条の趣旨などを厳格にやっていかねばならぬのでございまするから、そういうことをどんどん強力に積極的に進めていくためにも、今回のような自治省にして、組織を整然として責任を持たす、こういうことでやった方がやはりやりいいのではないか、こう考えております。
  54. 福田一

    福田委員長 それでは次会は明後二十一日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十四分散会