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1960-04-12 第34回国会 衆議院 内閣委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十二日(火曜日)     午前十時三十二分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君    理事 高橋 禎一君 理事 前田 正男君    理事 石橋 政嗣君 理事 石山 權作君       始関 伊平君    橋本 正之君       保科善四郎君    飛鳥田一雄君       柏  正男君    久保田 豊君       杉山元治郎君    塚本 三郎君       中村 時雄君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         防衛政務次官  小幡 治和君         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (教育局長)  小幡 久男君         防衛庁参事官         (人事局長)  山本 幸雄君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君  委員外出席者         議     員 武藤 武雄君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 四月十二日  委員中村時雄君辞任につき、その補欠として塚  本三郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 四月八日  靖国神社の国家護持に関する陳情書  (第五六七号)  同  (第五七四号)  同  (第六〇七号)  同(第六四五号)  同  (第六七八号)  建設省定員外職員定員化に関する陳情書  (第五六八号)  青少年の健全育成及び非行防止対策に関する陳  情書  (第五七一号)  旧軍人恩給加算制復元に関する陳情書  (第五七  三号)  同(第六二一号)  同(第  六二二号)  同  (第六三三号)  同(第  六三四号)  同  (第六三五号)  同(第六三六  号)  同(第  六四一号)  同  (第六四二号)  同  (第六四三号)  旧軍人恩給加算制復元等に関する陳情書  (第六七  三号)  同(  第六七四号)  同(  第六七五号)  同(第六七六号)  同(第六七七  号)  建国記念日制定に関する陳情書  (第六〇六号)  福岡県芦屋基地閉鎖に伴う人員整理の延期に関  する陳情書(第六  〇八号)  高知県に陸上自衛隊施設部隊設置に関する陳情  書(第六四四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  石炭産業会議設置法案武藤武雄君外八名提出、  衆法第二八号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  三三号)      ――――◇―――――
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  石炭産業会議設置法案議題とし、提出者より提案理由説明を求めます。武藤武雄君。     —————————————
  3. 武藤武雄

    武藤議員 私は提案者を代表して、民主社会党立案石炭産業会議設置法案提案理由説明します。  最近の石炭産業が不安定な状態に陥りましたのは、単なる景気変動などによる影響だけによるものではなく、エネルギー消費構造の変化に基づいていることは言うまでもありません。従って今後の石炭産業対策は、一時的な応急対策によって処理がつくものではなく、石炭と競合する他のエネルギーに対抗できるようなコストを実現し、石炭の需要を確保し、あるいは拡大していく抜本的な対策を確立しなければなりません。この間、炭鉱労働者の雇用と生活の保障をはからねばなりません。政府並びに石炭産業経営者が今日までに適切な措置をとってこなかった点にも、現在の不安定状態を招来した原因があります。政府が、石炭離職者対策重油ボイラー規制石炭鉱業合理化臨時措置法などによって、石炭産業対策に尽くしている努力は了としますが、これだけでは石炭産業に対する総合対策は確立できないのであります。従って三池争議のような悲しむべき事件も惹起されるのであります。ここにわが党が石炭産業会議を設置して、総合対策樹立を提唱するゆえんがあります。  本案は第一に、石炭産業の安定及び振興並びに炭鉱労働者生活の安定に関する政府の諸施策の運営に資するため、総理府に付属機関として石炭産業会議を設置するものであります。  第二に、この会議は、一、エネルギー政策総合的見地からする石炭産業の安定と振興に関する基本的かつ総合的な政策樹立に関する事項、二、経済の変動石炭産業に及ぼす悪影響を除去するために必要な応急的対策に関する事項、三、石炭鉱業に従事する労働者生活の安定に関する事項、四、石炭鉱業から離職した労働者生活の安定に関する事項、五、その他石炭産業安定等に関する重要な事項、右の五項目について調査審議し、総理大臣または関係大臣に答申し、建議するものであります。各大臣会議よりの建議を尊重せねばならないものとします。  第三に、会議の構成は、一、国会議員のうちから内閣総理大臣が任命する者三人、二、通商産業大臣、三、労働大臣、四、経済企画庁長官、五、大蔵大臣、六、石炭鉱業経営者を代表する者のうちから内閣総理大臣が任命する者二人、七、石炭鉱業に従事する労働者を代表する者のうちから内閣総理大臣が任命する者二人、八、石炭消費者を代表する者のうちから内閣総理大臣が任命する者四人、九、炭鉱所在地方公共団体を代表する者のうちから内閣総理大臣が任命する者二人、十、学識経験のある者のうちから内閣総理大臣が任命する者三人以内、右の二十人以内の委員をもって構成し、会長は総理大臣をもって充てるものとします。委員の任期は二年とし、再任可能とします。このほか会議には幹事、専門調査員を置きます。  第四に、会議はその所掌事務を行なうため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、資料提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができるものとします。  以上のように、わが党案国民的規模をもって石炭産業の安定をはかるための必要施策であります。何とぞ慎重御審議の上、御賛成あらんことを希望します。
  4. 福田一

    福田委員長 本案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  5. 福田一

    福田委員長 次に、防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を許します。石橋政嗣君
  6. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 法案に関連します質問については後日に譲りたいと思います。きょうはさしあたり、当面問題になっております、自衛隊が最近盛んに映画製作協力しておるわけでございますが、その協力のことにいろいろ問題があるようであります。最近も朝日新聞に出ておったのでございますが、「紺碧の空遠く」という映画自衛隊協力した。ところができ上がった映画がどうも気に食わないというので、会社に対して監督としては最後の一番大切なシーンカットさせておる。こういう事件が起きて、特に映画演劇界中心に大きな波紋を巻き起こしておるようでありますので、この点についての質問なり希望なりを申し上げてみたいと思うわけです。  確かに最近戦争映画というものが非常にたくさんできておるわけですが、特に最近はああ何々といった調子の、どちらかというと戦争に郷愁を感じておるのじゃないかと思われるような風潮があることは非常に残念だと思うのですが、こういう映画防衛庁が盛んに協力をしておる。この協力に私は非常に問題があると思う。そこで当面問題になっておる「紺碧の空遠く」という映画カット事件というものを中心に、いろいろお尋ねいたしたいと思うのです。これは新聞によりますと、最後カット要求をいたしましたシーンというのは、自衛隊行進をしておる。その行進をながめておったかつての特攻隊員が、見るに見かねたような気持で一もくさんにかけ出していく、こういうふうなところらしいのですけれども、一体なぜこれを切らなければならなかったのか。こういうふうに協力したということを理由に、製作意図までくずれてしまうような介入をするということがはたして正しいものなのか、いろいろ問題を含んでおると思うのですが、最初に一つこの事件の経過を防衛庁の方から説明してもらいたいと思う。
  7. 門叶宗雄

    門叶政府委員 お話通り最近におきましては、防衛庁映画協力について各会社の方からの御要請が多くなって参っております。私の方といたしましては従来もこの映画協力基準につきましては、相当やかましい制約を設けておりますが、最近特にこういう問題が多くなって参りましたし、また一般教育訓練精密化という問題もございますので、さらに厳重な方針を堅持いたしまして、少なくとも防衛庁の直接の紹介になるもの、あるいは国防思想の普及、高揚、あるいはどうしても自衛隊の手を借りなければならないという学術振興その他適当なものというものにつきまして、事務に支障のない範囲におきまして御協力申し上げる。さらに協力する場合におきましても、その内容におきましては、現在の施設利用させる、あるいは装備品等撮影をさせる、あるいは装備品を背景にしてとらせる。演習訓練等撮影につきましては、演習訓練に差しつかえのないということを条件として厳密な審査の結果、協力をするという方針をとっておるのでありまして、冒頭にも申し上げました通り、どうしても自衛隊国民にそのまま見ていただく、あるいは国防思想高揚というような点に役立つことを条件にするのは、防衛庁協力するという建前から当然のことと考えておる次第でございます。  今お尋ねの「紺碧の空遠く」という映画につきましては、今年の二月から三月、松竹要請によって協力をいたしたのでありますが、その内容とするところは、国防意識高揚をはかるという建前から協力いたすことにいたしまして、施設利用撮影陸上自衛隊部隊演習状況撮影させる、あるいは航空自衛隊の岐阜、宇都宮部隊航空機訓練状況撮影させる、さらに防衛大学訓練状況を写すというので、この協力内容に相なっておるわけでございます。でき上がった映画を私の方の係官が見ました結果、最後場面におきまして、はなはだこちらの協力した意図するところと違うので、松竹側に対して不満を申し出たという事実はございます。しかし具体的にカットということは、松竹側が自発的にその部面を削ったというのが真相でございます。
  8. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 形の上では会社が自発的にカットしたような格好にはなっておるのです。しかしその実際の事情をいろいろ調べてみると、やはり防衛庁自身圧力をかけておることも間違いないわけなんです。ここにこの映画監督をしておられる井上という人の談話が出ております。防衛庁の方に会社製作連絡係が呼ばれて、現在の自衛隊が出る結末の部分は、隊員たちから文句が出た場合に、防衛庁として顔向けができない。切ってもらえないならそれでもけっこうだ、ただしその場合松竹映画は信用しないし、今後協力しない、こういう意味のあいさつがあったわけです。会社にしてみれば、こういうことを言われれば、今後またお世話になることもあろう、そのときに断わられたのでは都合が悪いという気持から、それは自主的に切ったという格好になるかもしれない。しかし防衛庁圧力がきいていることは間違いがないわけなんです。一体協力したことを理由に、一番その映画がねらっておる問題のシーンカットさせるというようなことが許されるのか。こういうことが許されるとするならば、これは明らかに一種の検閲制度復活です。公然たる検閲というものが今のところまだ行なわれていない。すべて自主的に映画界が、映倫というものによってやっておる現状の中で、防衛庁協力したことをもって検閲にかわるような、こういう措置をとるということは、非常に大きな問題を私は否んでおると思う。大体その協力する場合には、事前にシナリオ審査をやっておるはずです。今度のこの映画についてもやっておるわけなんです。しかも最後カットされたシーンというのは、どちらかというと防衛庁希望で入れた、そう言われているのです。そこのところのいきさつも、井上監督がこういうように事情説明しております。シナリオ提出して協力要請した際に、防衛庁の方で担当官がどう言ったかというと、これでは積極的に協力しにくい。なぜかというと、自衛隊が直接現われてこない。自衛隊が直接現われるようなシーンを入れてもらえぬだろうか、こういう希望が述べられておるというのです。そのときに、もし自衛隊をはっきりここに出してくると、自衛隊に対する批判という面も出るおそれがあるという懸念を述べたそうです。ところが批判的に受け取る人もおるかもしれぬが、そうでない人もおるのだから、とにかくPRになることだし、自衛隊をそのまま出してくれぬか、こういう希望があったので、その希望も含めてこういうシナリオを作った、こう言われておる。ところが結果的には、最初注意しておったようにやや批判的な形が出たかもしれない。従って意思と違ったというので、いかにも切れと言わんばかりの圧力をかけたというところに問題があると私は思う。一体、今協力基準というものを述べておられましたが、まず第一に自衛隊の直接宣伝になるもの、二番目が国防意識高揚になるもの、三番目が自衛隊が出演しなければ成り立たないもの、こういうお話でございましたが、これは間違いありませんね。
  9. 門叶宗雄

    門叶政府委員 その通りでございます。
  10. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうすると、この自衛隊宣伝になるということが、私よくわからないのですが、どういう宣伝ですか。
  11. 門叶宗雄

    門叶政府委員 自衛隊現状、あるがままの姿を国民に広く知っていただくということがきわめて重要なことと考えておりますので、機会あるごとに、あえて映画協力に限りません。あるいは部隊に対する視察、あるいは艦船、航空機に対する搭乗、その他いろいろな機会を通じまして、自衛隊をそのまま見ていただくということにわれわれとしては努めておる次第であります。
  12. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 最近作られる映画は、ほとんど第二次世界大戦を描いた映画なんです。そういう中で自衛隊協力したからといって、自衛隊宣伝になるという意図が私どうもわからないわけです。二番目の国防意識高揚意味しているのか、私はよくのみ込めません。ある方面から私入手した資料によれば、国防意識高揚ではなくて、国威発揚内容をもったものだ、こういうふうな基準になっておるということでございますが、そこは間違いないのですか。やはり国防意識の方ですか。
  13. 門叶宗雄

    門叶政府委員 私ども考えておりますのは、日本はわれわれ日本人の手で守るという意識をぜひ国民皆様に持っていただきたい、こういうことで、そういう機会があれば常にこれによってそういう意識高揚をはかりたいと考えておるわけであります。
  14. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そういう点で、国を守るという思想国民一般に普及させたいという気持はある意味で私はわかります、自衛隊立場というものから。しかしほとんどが第二次大戦を扱っておる映画なんです。そうしますと、防衛庁がこの基準に照らして見る場合に、第二次大戦というもの、日本でいえば大東亜戦争といものを肯定的な立場で描いた映画でなければならぬ、こういうお考えがあるのか。第二次大戦というものに対して批判的な立場をとってはいかぬというような考えを根本的に持っておるのではないかという感じすら持つわけですが、そこのところはどうなんですか。
  15. 門叶宗雄

    門叶政府委員 私たち考えておりますのは、あるいは第二次大戦批判ということがあっても、結局するところ、国民国防意識高揚に役立てば、協力し得る範疇に入ると考えております。
  16. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それで参考になると思いますので、今まで自衛隊協力した映画——きのう調べておいていただくように申し上げたのですが、件数と、できれば題名をちょっとあげていただけませんか。
  17. 門叶宗雄

    門叶政府委員 三十四年及びことしに入りまして三月まで、映画関係協力いたしました件数は、三十四年二十一件、三十五年の三月まで六件でございます。三十四年の協力の内訳、二十一件について見ますと、文化映画関係は六件、娯楽関係のものが十五件、団体別で申しますと、官庁一件、文化団体二件、映画会社が十六件、その他が二件ということに相なっております。三十五年の六件について見ますと、自衛隊を紹介したものが二件、戦争ものが四件ということに相なっております。
  18. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 今度の「紺碧の空遠く」のように、どうもでき上がった映画が気に食わぬというふうな例は、ほかにはあったわけですか。
  19. 門叶宗雄

    門叶政府委員 初めての例と申しますか、最後場面によって筋ががらっとひっくり返ったというのが、今度の例でございます。こういう例は従来ございませんでした。
  20. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 筋がひっくり返ったと言いますけれども、たったこの四分間のシーンがあるために、この映画価値を認めて推薦した団体というのがたくさんあるのですよ。たとえば国民文化会議、主婦連、都教育庁、こういう各種文化団体あるいは教育団体がこの映画推薦したのは、何も第二次大戦を肯定したり、謳歌したりしようという立場をとっているわけじゃない。最後のこの四分間のシーン戦争批判的に見ている。そこに価値を認めて推薦をしておる。そこへ持ってきて、防衛庁圧力をかけまして削られてしまうということになると、こちらの推薦をした団体の方がペテンにかかったような感じを持つのは、私は当然だと思う。シナリオを私は持っておるわけですが、大体十八カット削られておるわけです。これが防衛庁圧力だというので、新聞あたり、あるいは週刊誌あたりもたくさん批判をしております。そういうところからこれはまずいというので、あとでまた、何日間か上映して、復活しておるようですが、この自衛隊行進しているシーンだけが最後まで復活してない、こういういきさつになっておるようであります。  そこで私はここで防衛庁長官に念を押しておきたいと思うのですが、こういう協力したということを口実にカットを要求するような高圧的な態度検閲制度復活と間違われるような態度は、今後やめていただきたい。そういう懸念があるなら、何も営利会社なんかに協力する必要はないのですから、戦争映画協力なんというものはおやめになったらいい、こういうように思いますので、一つ信念のほどをお尋ねしておきたいと思う。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 今のお話のように、私の方で映画会社へ何も協力する義務があるわけでもなし、そういう必要はないわけでございます。でございますから、私の方でも協力したからといって、それをたてにとって、私の方の意思に沿わなければならぬというような弾圧的なことを下す気持もありません。また会社の方でもそれを受けて、その通りにする筋合いのものでもなかろうと思います。今度のことにつきましては私は、よく事情を承知していませんが、今の質疑応答の中でいろいろ感じてはおりますけれどもお話通りどもあえて協力する必要も——必要といいますか、協力しなくてはならぬということもありません。従って協力した場合におきましても、私の方の意図に沿わないから、それに対して弾圧的な行動をとるというようなことは全然考えておりません。
  22. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 それから引き続いてお尋ねしたいのですが、これは相当防衛庁自身協力することによって金がかかるわけなんです。今度のこの「紺碧の空遠く」にしても、たとえば航空自衛隊のT6型練習機を九台出動させ、十八時間も飛ばしておるということがここに書かれております。これはほんとうかどうか知りませんけれども、とにかくガソリン代だけとってみても相当の金がかかると思うのですが、一体いかなる法律的根拠に基づいてこのような営利事業協力をなさっておられるのか、この点をまずお尋ねしてみたいと思います。
  23. 門叶宗雄

    門叶政府委員 私の方でこういう会社協力するのは、防衛庁広報宣伝に役立つ、こういう意味からでございます。なお前段お尋ねの、このために特に費用をかけるということは極力避ける方針で、既存の建物の利用、あるいは装備品利用、あるいはたまたまある演習状況撮影させる、あるいは訓練に飛んでおる飛行機撮影させる、こういうふうに、このために費用を使うということは極力避けておるのが実情でございます。
  24. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 演習名目でやっている、あるいは訓練をやっている場面をとらせているとおっしゃいますけれども、実際そう簡単にいくものじゃありません。     〔委員長退席淺香委員長代理着席〕 やはり映画シーンが求めております場面というものは、こちらの方の都合で、スケジュールでやっているものを、ここのところを適当におとりなさいということで協力できるものじゃないわけです。そういう名目ではやっておりましょうけれども、実際にはやはりその映画のために、自衛隊飛行機が飛ぶ、戦車が動く、隊員が走り回るというようなことになると私は思う。これは相当の出費です。やはり私はちょっとしたことでも、相当法律根拠がなければできないのじゃないかという感じを持つわけなんです。たとえば隊内で昼飯一つよばれるにしたって、法律根拠に基づいてやっているわけです。国民税金を使って、特にたくさんの税金を使う立場からいえば、それぐらい厳密にやるのが私は当然だと思う。先ほどおっしゃったように、昨年と本年の三月までにすでに二十七件というふうな件数協力しているということになると、膨大な金額に上ると思う、実際の原価計算をやっていけば。それを法律的根拠なしにやるというところに、やはり一つの問題があると思います。それからそういうことであれば、おそらく実費ももらってないのじゃないかと思うのですが、何らかの実費徴収はやっておるわけですか。
  25. 門叶宗雄

    門叶政府委員 先ほど申し上げました通り、特に映画協力のために特別な費用防衛庁としては負担いたしておりません。従って実費弁償その他についてもこれを受けた事実はございません。
  26. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 自衛隊法第百条によって、土木工事等の受託をやる、こういう場合でもガソリン代などはもらっているはずだと思う。たとえば学校のグラウンドの整地をやる、こういう仕事は非常に公共的なものだし、それこそ完全にただでやってもいいのかもしれぬけれども、それでは不均衡ですよ。自衛隊に手伝ってもらうところと手伝ってもらわないところとあるわけですから、国民一般の感覚からいえば、やはり不均衡なんです。そういう点も、若干私は実費をもらっているはずだと思う。雑収入として受け入れているはずだと思うのですが、その点はどうですか。
  27. 門叶宗雄

    門叶政府委員 先ほど申し上げました通り実費その他として受け取ったことはございません。
  28. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 私が聞いているのは、学校グランド施設部隊が行って整地してやる、そういうようなときでも実費はもらっていませんか。
  29. 門叶宗雄

    門叶政府委員 これは法律の規定によりまして、ガソリン代その他、実費弁償を受けております。
  30. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 そうなんです。私が言っているのは、そういった純然たる公共的な土木工事等に従事した場合でも、ガソリン代程度実費はもらっているわけなんですよ。にもかかわらず、これこそ完全な営利事業である映画会社協力して、びた文実費ももらわぬ。出しっぱなし映画会社はそれで何億ともうけているわけです。これでは国民感情としても納得できないのです。この点、長官、不合理をお認めになりませんか。何らか考えなければいかぬとお思いになりませんか。いかがです。
  31. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 何らか考えなくちゃならぬと思っております。
  32. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 長官は公正に聞いておられて、そう思うだろうと思うのです。私どもも調べてみると、どうも釈然としないのですよ。公共的な仕事に携わって、学校グランド整地をしてやってでも、ガソリン代くらい取っているのに、片一方、戦争映画を作って何億ともうけている映画会社には、ただで協力する。国民感情からいえばそんな間尺に合わぬことはありません。その点は一つ十分に御検討願いたいと思います。この程度にしますが、先ほどから申し上げているように、非常に誤解されるような、検閲制度復活と思われるような、そういうことは今後絶対におやりにならないように、またむやみやたらにPRだPRだというようなことで、映画会社をべらぼうにもうけさせるようなお先棒をあまりかつがないように念を押して、質問を終わりたいと思います。
  33. 淺香忠雄

    ○淺香委員長代理 久保田豊君。
  34. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 最初にお断わりしておきますが、私は防衛問題はしろうとでありますから、おそらくこれから質問することも的はずれのことが相当多いと思います。あるいはもうすでにわかり切ったことを質問するようなこともあろうと思いますが、その点は親切に教えていただきたいと思います。もう一つは注文ですが、予算委員会ないしは安保委会員等におきまする政府の答弁を聞きますと、条約にこう書いてあるとか、あるいはこれはこういう解釈だとか、私どもしろうとから見ていると言いわけというか、言いのがれに終始しているようであります。しかし私どもごく乏しい、戦史や何かを拾い読みしてみても、軍事関係というものは、なかなか条約とか法律とかということにとらわれないものであって、結局戦争というものは、国家にとりましても、あるいは特に最近の原子戦争時代においては、民族のみな殺しになるかどうかということにつながる非常行動であります。従って非常行動に備えてやるべき事態には、いろいろの軍事関係というものが、ともすれば軍事関係そのものが主体になって、法律関係がこれに従属している、あるいは条約関係というものが従属しているというのが常識だと思います。それを逆に、法律はこうだ、条約がどうだというふうなことからだけで、しかもそれを言葉の上や文章の上でごまかしたって、これはどうにもならぬと思うのであります。そういう点できょうは、私は条約もしろうとでありますから、条約がどうだこうだという解釈論はお聞きしたくない。あるいは条約にこう書いてあるからこうだというふうな、そういうことはお聞きしたくない。主として軍事関係について長官の率直なお答えをいただきたい、こう思います。これは注文をあらかじめ申し上げておきたい。  そこで一第にお伺いいたしたいのは、長官は過般の与党の方々の御質問に対しまして、こういう答弁をしておられる。大体において、第二次防衛計画はことしの五月ないし六月ごろまでに、今作業を進めているから、完成して、国防会議にかけて参りたい。大体こういうお答えをされている。さらにもう一つこれに連関して、岸総理は予算委員会におきまして、新しい安保条約が成立をいたしましても、国防の基本方針、つまり三十二年五月二十日ですかに決定したこの基本方針には変更ないから、新安保条約は国防会議にはかける必要がないという答弁をされております。そこで私は第一着にお聞きしたいのは、長官のお答えからいいますと、本年度のこの防衛二法案に盛られております計画によって、大体第一期の防衛計画は応完了の形になる。実施面は多少おくれてきましょうけれども、一応完了の形になる。来年度から四十年にかけて第二次の防衛計画が発足をする、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 第一次防衛力整備計画は三十五年度が終期といいますか、終わりの年になります。でありますが、内容について申し上げますと、第一次計画が三十五年度に充足されないものもあります。あるいは第二次計画にまたがっているものもあります。それからやめたといいますか、変更を生じているものもあります。そういういろいろなものがありますが、一応年度的にいいますならば、今御審議願っている予算に織り込まれているわけでありますので、三十五年度によって第一次計画は一応区切りをつけまして、前申し上げましたように次の計画にまたがるものや、変更を生ずるもの等を第二次計画の中に織り込んで、三十六年度から、今考えておりますのは四十年度を末期として五カ年——最初は三十五年度を含めた六カ年計画を考えておったのでありますが、今三十六年度から四十年度までの五カ年の計画で、第二次計画を策定、検討中でございます。そしてまたその点につきましては、今お尋ねの中に言及されましたように、できるだけ早くと考えておりますが、いろいろな関係で五月か六月ごろには国防会議に提案する、こう考えております。
  36. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その第二次五カ年計画についてはいずれ防衛庁政府の方で具体化されましたら、国会等に何らかの形において示されることと思いますので、その機会お尋ねすることにいたしまして、岸総理の言明によると、第二次防衛計画——私どもの理解によると第二次防衛計画というのは、今お話のありましたように第一の計画がずれて入っているものもあるし、変更になって入ったものもあるし、それにさらに新しい要素も加えてということになろうと思いますが、いずれにいたしましてもそれは新しい安保条約のもとにおける、これに適応したものになろうかと考えるのでありますが、岸総理は、国防の基本方針は一向変更ない、こう言っておられるのですが、ここに私どもは疑問を感ずる。三十二年といいますと今から大体三年くらい前なわけであります。その三年の間に世界の軍事情勢等も相当大きく変更してきております。また政府の解釈によりますといろいろありましょうけれども、少なくとも新しい安保条約がもし成立するとすれば、今までの現行の安保条約とは相当その内容において違いが出てきておる。そういう中で国防計画そのものが、三十二年の五月の二十日に政府が応国防会議で決定したものが、全然計画の変更がないということは、私どもはちょっと解せないのですが、長官は、総理のいわゆる御答弁を軍事的に見て、防衛の最高責任者としてどのように理解をして受け取っておられるのか、この点を明らかにしてもらいたいと思います。
  37. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 安全保障条約が、改正といいますか、新安保条約体制に入るわけでありますが、それによって国防の計画が変わってくるか、これは変わってくることがあると思います。変わるのが当然だと思います。ただ総理も言っておりますように、国防の基本方針は、非常によくできておるといいますか、今度の安全保障条約が成立いたしましても、それとマッチしている、非常によくできておるのであります。念のために読んでみますが、三十二年の五月に国防の基本方針ができております。四つが基本方針として掲げてありますが、一つは「国際連合の活動を支持し、国際間の強調を図り、世界平和の実現を期する。」第二は「民生を安定し、愛国心を高揚し、国家の安全を保障するに必要な基盤を確立する。」三番目には「国力、国情に応じ、自衛のため必要な限度において効率的な防衛力を漸進的に整備する。」四として「外部からの侵略に対しては、将来、国際連合が有効にこれを阻止する機能を果し得るに至るまでは、米国との安全保障体制を基調としてこれに対処する。」こういうふうに国防の基本方針ができております。この基本方針は、安全保障条約が新たに改正されといいますか、新安保条約になりましても、これは変更さるべきものではなくて、非常にマッチした方針である、こういう意味におきまして基本方針には変わりない、こういうことを岸総理も言っておりまするし、また条約にこだわらぬといいますけれども、条約におきましても国防といいますか、自衛力につきまして、具体的にどういうふうに持っていくかということにつきましては、やはり日本自体の国力、国情に応じ、また国会等のいろいろな御意見もいれましてやっていくべきものだ、こういう建前からいいまして、安保条約ができても基本方針において変更すべき必要はない、こういうふうに考えております。具体的にこまかい点その他につきましては、これは変わるものがあると思います。
  38. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 具体的なこまかい問題についてはあとで出ておりまする法案に連関して具体的にお尋ねいたしたいと思うのであります。大体政府の予定からいたしますと、私どもはそれに反対でありますけれども、一応新しい安保条約ができて、これを出発点として第二次五カ年計画というものを、第二次整備計画というものをおやりになろう、こういうことだろうと思います。その中で、日米の軍事関係というものは、今度の新しい安保条約によりますと相当変わっておる。岸総理のここで言っておられるのは、なるほど文章としては、ここでは米国との安全保障体制を基調としてこれに対処するといって、現行条約に基づくとかあるいは新条約に基づくとか、はっきり断わってないのです。ですから文章としてはその通りです。あなたの、また岸さんの言った通り。しかしながら条約の内容相当変わってきておる。政府もそれをある意味において非常にPRしておられるわけです。私はさらにお聞きしたいのは、条約の内容も変わったけれども、条約の内容を変える基本であるところの少なくとも世界の軍事情勢なり、あるいはそれに即応するアメリカの軍事情勢なり、あるいはその一環としての極東におきまする軍事情勢なり、こういうものが変化してきておるから、私はアメリカの立場からすれば新しい今度の安保条約ということになってきたと思うのです。また日本もそういうことを一応理解をすればこそ、あるいは把握すればこそ、従来のものでは不十分であって、あなた方の立場からいえば新しい安保条約を作らなければならない、こういうことになったことだろうと思うのであります。これは当然そういうふうなことになろうかと思うのであります。そこで私は具体的の問題の質問はあとでいたすとして、今日はその前段になる一般的な問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  御承知の通り現行の安保条約ができまして、それに基づいて国防の基本方針というものがきめられてから、かれこれ三年以上たっておるわけです。その間に世界の軍事情勢というものは非常に変わってきておる。それに応じてアメリカの世界的な戦略といいますか、あるいは戦略的配備といいますか、そういうことも相当変わったようにいろいろな方面から言われておるわけです。そこで私は第一に、日本国防あるいは特に軍事を扱う立場からいいまして、世界の軍事情勢がどうこの三年間に変わってきたか、あるいはこの条約がかりに成立するとすれば、今後十年間これに縛られるわけです。この十年の間に世界の軍事情勢はどう変わっていくかということを、防衛庁としてはよほど厳密に、正確につかまない限り、ほんとうの国の安全は保てるものではないと思う。そこで私は第一点としてお伺いいたしますが、三十二年以来、あるいはもっとさかのぼって現行の安保条約ができて、その基礎の上に三十二年の国防基本方針ができて約三年をたった今日、新安保条約が生まれようとしておる。しかも今度は期間が十年だということになっておる。そこで世界の軍事情勢に一番大きな変化を及ぼしております直接の要因は、何といっても軍事科学といいますか、軍事上の技術の想像を絶したスピードの速い進歩といいますか、発達といいますか、これだと思うのです。これについて防衛庁としましては、特に長官としましては、今までの過去五年間、それから将来の五年ないし十年の間、過去の五年の実績に基づいて将来の五年ないし十年をどういうふうに見通しを持っておられるのか、その見通しを持つために防衛庁としてはどのようないわゆる準備を今整えられておるのか、これをまず世界の軍事情勢の見通しということのうちの第一点としてお伺いいたしたい。
  39. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 まず申し上げておきたいことは、今の国防の基本方針でありますが、これはお話のように現在の安保条約のもとにできた基本方針でございます。しかしながらこれはこの改正の申し入れをしようとするときに作ったものであります。時期的に言いますならば、三十二年の六月に岸・アイク会談があったのでありますが、その前に改正すべきである、こういう前提のもとに作ったということを御了解願っておきたいと思います。そういう点におきまして非常に今の改正案とマッチしておる、こういうふうに私どもは了解しておるわけであります。  それは別といたしまして、今お尋ねの前の安保条約ができてから、あるいはその後の世界の軍事情勢及び防衛庁として日本の防衛担当について、どういうふうな観点からこれをやっておるかというお尋ねでございます。私ども理解しておるのに、前の安保条約当時、あるいはまたアメリカでいえばハーター国務長官にかわる前でありますが、ダレス国務長官時代、これはソ連もそうでありましょうが、東西の対立が相当激化しており、ダレス氏といたしましては、封じ込め戦術といいますか、共産圏を封じ込んでいこう、こういう戦略で臨んでおったと思います。しかしながら今お話のように近代科学兵器といいますか、ことに大陸間弾道弾とか、中距離弾道弾とかいうものができる。できるという話だけは前にありましたが、当時はこれができてきたということではなかったわけであります。ごく最近におきまして大陸間弾道弾、ICBM等がアメリカにおきましても、あるいはソ連におきましても、これが実際使用できるというような情勢になっておりますし、その前に中距離弾道弾というようなものも完成されて、実際に使える、こういう形になってきたと思います。そういうことでありますから、封じ込め戦術といいますか、そういうもの、あるいはヨーロッパにおきましては兵力を接近させないでこれを離しておく、ことにドイツを中心としてディスエンゲージメントといいますか、引き離し政策というものが非常に議題になったと思います。しかしこれらの封じ込めとか、引き離し政策というものを乗り越えて、最近におきましては大陸間弾道弾とか中距離弾道弾、その他ロケット的な近代科学の兵器が非常に進み、またこれが実際に使える、こういう段階に入りまして、世界の国防というものも一つ戦争抑制力といいますか、世界大戦を起こしてはならない、こういうものを使うようなことに立ち至らしめたくない、こういうものを使うことに立ち至らしめるということは全人類の不幸をもたらすものだ、こういう認識が、自由国家群の最も有力なアメリカにおきましても、あるいは共産国家群の中心であるソ連におきましても、非常に強くなってきた。     〔淺香委員長代理退席、委員長着席〕 これが最近の国際的な国防に関する観念であると思います。でありますから、アイク及びフルシチョフ両巨頭の会談におきましても、あるいは頂上会談におきましても、こういうものを基点として今までの国防戦争抑制力になっておる。この戦争抑制力となったものを使ってはならない、使わないことに対しては、いかにしてこれを使わないような軍縮を打ち出すべきであろうか、こういうことが現実の課題だと思います。しかし現実におきまして、その軍縮の方向等におきまして、必ずしも東西両陣営で一致しているとはまだ見られません。非常にむずかしい問題を含んでおると思います。しかしいずれにいたしましても、世界の東西両陣営の国防が世界戦争を抑制する、こういう方向にいっています。同時に世界の国防、軍備関係も、そういうような世界戦争を巻き起こすような兵備、装備は、これは大国にまかしておいて、小国におきましてはその間を縫って局地戦とか、局地紛争とか、こういうものに対処する方法を考えなければならぬのではないか、こういうものを起こす、あるいはこういうものが起きてくるのを、拡大するのを防ぐことができないということになれば、これまた世界の大戦というふうに持っていかれるおそれがある。こういうことで、大国の間ではそういう考えでありますが、小さい国といいますか、そういう原水爆等あるいは大陸間弾道弾、中距離弾道弾等を持っていない国におきましては、むしろ局地的な戦争あるいは局地的な紛争を抑制する、これを起こさないような国防、防衛に力を入れるべきだ、こういう考え方が非常に行き渡っておるといいますか、そういう情勢に世界的に進んでおると思います。従って日本自衛隊といたしましても、日本の平和と安全のために、局地的な紛争、局地的な戦争というようなものが起こらないような、抑制力としての機能を発揮できるような体制で整備していくことが必要だ、こういうふうに考えています。しからば局地的な紛争とか、局地的な戦争は起きないじゃないか、こういう見方もあろうかと思います。しかし起きないという保障もない、こういうふうに私ども考えております。むしろそういう準備をしておくことが、局地的な紛争、局地的な戦争を起こさせない役割を果たしていくのだ、こういう点におきまして、日本の平和と安全を守るに値するだけの自衛力というものを整備していくというのが、日本自衛隊としてのあり方だ、こういうふうに考えております。
  40. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 世界の軍事情勢に対する見通しについては、いろいろ問題もあり、論点もあろうと思うのですが、私が特に今長官にお聞きしておるのは——今いろいろお話がありました重要な、私どもの方から見まして重要な点につきましては、逐次質問を進めたいと思います。今第一として伺いましたのは、今後、もっとはっきりいえば今後五年なり十年の間に、世界の軍事科学ないしは軍事技術はどの程度、どういうふうに発展をしていくかということに対する見通しを持っておるのか、あるいはそれに対する研究を防衛庁としてはして、見通しを持って国防という問題にぶつかっておるのかどうか、そういう作業をする機関を持ってやっておるのかどうかという点であります。この点ははっきりお答えをいただきたい。というのは、なるほど今お話のありましたように、確かに大陸間弾道弾というようなものが実用の段階に両陣営ともなってきたということ、それから最近では宇宙兵器というものが出現をする可能性が非常に強くなってきたというようなこと、そういうことから今後どの程度のスピードでどういうふうに発展していくかということに対するはっきりした見通しを持っておるか——今の局地戦争、つまり普通兵器ないし普通軍隊による局地戦争というような観念はまた別であります。これは私はまたあとで御質問いたしたいと思いますが、それとは別に、やはり世界全体の軍事情勢を決定するものは、何といっても軍事科学なり軍事技術が今後どの程度発展していくかということが、一番の中心の要素だと思います。この点について、防衛庁としては今までどういうふうな研究を重ねてきておるか、あるいは研究の機関を持っておるか、そういう判断の上に立って日本国防なり、日米の関係を律しておるのかどうかという点をお聞きしたいわけです。この点を明確に、具体的に御説明いただきたいと思います。
  41. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 特にしさいに各国の情勢等を調べておるわけではございませんが、各国の動向あるいは近代科学の兵器の発達等につきましては、申すまでもなく十分関心を払って、検討をしておるわけでございます。そういう点から考えまして、今の大陸間弾道弾とか中距離弾道弾、原水爆、ロケット等が、まず近代兵器としてはもうくるところへきた、非常に発達の限界まできた。しかしこれが生産に当たるのには、やはり三年とか五年とか相当の期間を必要とするわけであります。でありまするから、今から五年あるいは十年の間にそれとまた変わったものが出るというふうには考えません。現在のものがだんだん出現をしてくることだというふうに見ております。しかしこれにつきましても、世界の原水爆等に対する管理、監督をどうするかということが問題になっておりまするから、この問題についていろいろ論議がかわされると思います。そうしてまたこれを使わないように管理するような方向にいくとは考えておりますけれども、それがごく近い時期にそういうところまでいくとは考えられません。しかしそれとは別にいたしまして、先ほどから申し上げておりますように、こういうのを持っておるのは今は御承知のように米、ソ、イギリスだけであります。その他持とうという国もあるようでありますけれども、それだけの国であります。その他の国の国防といたしましては、そういうものを持とうというような考え方よりも、ことに日本といたしましては、そういうことではなくて、やはり先ほどから申し上げました通常兵器といいますか、そういう原水爆とかあるいは大陸間弾道弾とかいうようなものではなくて、通常兵器の発達したものによって防衛を担当していく。それが抑制力としての、小さい国としての役割を果たすものだ、こういうふうに考えて、通常兵器による日本の防衛体制を担当していく。通常兵器と申し上げましても、なおあとから話が出るかもしれませんが、ミサイルというようなものも、この弾道弾というようなものは私は通常兵器というふうに考えて、大陸間弾道弾とかそういうものではない、ミサイルは通常兵器というふうに考えての、通常兵器による装備というふうに私は申し上げるわけでありますが、そういうような体制で日本の防衛体制を整えていく、こういうふうに考えております。
  42. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 そのお答え、非常に御丁重なお答えでありがたいわけですが、どうも私の質問の要旨にちょっとはずれそうでありますので、大体この点について私の質問の要点をあらかじめお知らせしておいた方がお答えが明確になろうと思いますので、ちょっと整理をして申し上げます。  その第一点は、私がこの前提としてお聞きしたいことは、軍事科学の発展をどう見通しておるか。その見通しを立てるために、防衛庁としてはどういう作業をしておるかということ、あるいはどういうセクションでこれをやっておるのかということ。さらにもう一つ、そういう点についてなかなか日本では手が伸びないという点も多々あろうと思います。従ってこれらの点については、従来今まで現行条約のもとでこれらの点についてアメリカからどのような通報なりあるいは通知なりを受けておったのかどうか。そうしてこの新条約の第四条によりますと、さらに第四条並びにその協定書の安全保障協議会というものによりますと、これは事前協議でなく、安保条約、安保体制を円滑に運用するような意味において、安全保障問題の基礎をなし、かつこれに関連するものを検討する、こういうふうになっております。大体において、この協議会の中に、そうしてしかも第四条の中ではいつでもあらゆる問題について協議をするということになっておる。今までアメリカからこういう点について正確ないわゆる情報なり何なりを得ておったのかどうか。今後この条約なり協定書の中でそういう情報を——軍事情報、軍事科学情報とでもいいますか、こういうものを正確に提供してもらうというはっきりした了解がとられておるのがどうか、この点が第一点であります。  第二点は、それに連関いたしまして、米ソの軍事力の比較といいますか、優劣といいますか、これをどう見ておるか。今後十年間にこれがどういうふうに発展をしていくかということを、どういうふうに判断をしておるか、これを第二点としてお聞きしたい。  第三点は、今お話のありましたような基本の問題の一つであります局地戦争、通常軍隊ないしは通常兵器によるところの局地戦争というふうなものに連関をいたして、局地の、通常兵器を中心とする軍隊がはたして戦争の抑止力になるかどうか、局地戦争が局地戦争でとまるものかどうかという点、これはおそらく世界大戦あるいは原子戦争に発展をするという説が、軍事評論家その他軍事専門家の間に相当強いわけであります。こういう点をどう見ておるのかという点であります。  第四点は、今度は日米関係について。そういういろいろな情勢をひっくるんだ中においてのアメリカの極東戦略というものについて、あるいは極東戦略配置について、どの程度今まで承知をされてきたのか、あるいはアメリカ側から知らされてきておるのか、その内容をお聞きしたい。  小さな論点を申しますとまだ分かれて参りますけれども、私は第一点としてはっきり今お聞きしたいのは、軍事科学の今後の進歩発展、そういうものについて防衛庁としてはどこで研究をしておるのか、そうしてそれについてアメリカ側から今までそういう軍事科学情報、軍事技術情報というものが正確に提供されておるのかどうか。あるいは今度の新条約が実施されれば四条なりあるいは何なりによって、そういう問題が正確に取り上げられるような約束が取りつけてあるのかどうか、これを明確にお聞きをしたいのであります。第一点であります。これだけにお答えをしぼって一つお答えをいただきたいと思います。
  43. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 軍事科学の発達見通し等について、どういう機関においてどういうふうに検討しておるかという第一のお尋ねでありますが、技術的なものは技術研究所というものがありますので、技術研究所が研究していますが、大きな世界的なものにつきましては特に研究しておる機関は持っておりません。情報等によって得ておるだけであります。なお軍事科学の発達等について、どういうふうに日本の陸海空幕が対処するかということにつきましては、統合幕僚会議におきまして検討をいたしております。  それから今度の新条約第四条によって、条約の実施について、あるいは極東の平和と安全、あるいは日本の平和と安全について協議することになっておるが、それについてはアメリカの軍事的ないろいろな機密的な作成とか戦略とか、こういうものまで知らされて協議をすることの約束をとってあるかどうか、こういうことでございますけれども、これはそういう約束はとってありません。しかし両方から安全保障協議委員会というようなものができます。そういう委員会の中で、どの程度そういう内容について話し合いがあるかということは、今後の問題であります。情報の交換はいたしますが、今約束を取りつけて戦略、戦術等の機密まで日本側に報告するといいますか、知らせるというような約束はとってありません。
  44. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 今のお答えは非常に重大な意味を私は持っておると思うのです。アメリカの今後の、世界的にはもちろん極東におきます戦略あるいは戦術、そういう計画をこっちへ通報してもらう約束をとってないということは重大な問題であります。しかしこの問題については、あとで私はもう一回触れたいと思います。そうすると今のお答えは、技術面については研究所でやっている。この研究所でやっているのは今のところ主としてミサイルを中心とする開発研究でしょう。私の申しているのは、今日ではすでにミサイルは古いのです。いろいろな意味においていわれているところでは古い。もうすでにロケットの時代です。ロケットの時代からさらに宇宙兵器の時代に入ってきておる。こういうようなものの今後少なくとも十年を見通した場合には、これが問題になろうと思います。そのために日本はようやく今ミサイルの研究をやっている時代だ、こういうところにやはり相当のズレがあろうと思うのであります。しろうと論でありますけれども……。従ってその程度の研究しかないということになりますれば、当然これはアメリカなり何なりが——まさか今の安保体制のもとにおいては、ソビエトなり何なりからそういう情報をとるというわけには参らぬでしょう。またソビエトの方もそんなものはよこさぬでしょう。ですから結局とるとすれば、アメリカからとるよりほかにしょうがない。アメリカからそういう軍事技術の、あるいは科学の情報は的確に提供されておるのですか、おらないのですか。それを統合幕僚会議で軍人さんがすぐいきなり検討して、わかるものではないと思うのです。軍人さんも非常に多いと思いますけれども、軍人というのはある意味においては非常に頭の古いものです。特にこういう新しい兵器、軍事科学等の進歩に対しては古いということは、この前の戦争でも明らかであります。非常にその点がおくれておったために、ああいう過誤を犯したのであります。私は特に日本の政治家には、そう言っては失礼ですが、こういう点に対する関心というものは非常に不十分であると思う。戦争なりあるいは軍事体制をコントロールする政治家に、この点に対するはっきりした識見がなく、まかり間違えば党利党略のためにこういうことに使われるような状態が今日本に現出されておる。しかもこれを現実に扱う軍人、しかも今の統幕首脳部というのは、私はよく存じませんけれども、今までの過去の世界の戦史を考えれば、職業軍人は新しい軍事科学なり軍事技術に対して、正確な評価をしないという間違いを犯した場合が非常に多いわけであります。特に私は日本の古い軍人についてはそうだと思います。その古い軍人が衣をかえて、今統幕の実権を握っておるというのが実態ではないかと思う。そういう人たちに今のような情報も十分に提供されず、そして提供されたとしても、これを十分に的確に判断をする力がない、あるいは不十分だということになりますと、ここに将来において大きな一つの問題をはらんで参ろうと思います。繰り返して申しますが、こういう点について軍事科学技術の最新の情報をはっきり——戦略、戦術等については今のお話でもって、これははっきり向こうから情報をとるという約束はしてないということであります。少なくともその戦略、戦術の前提になります軍事科学技術、あるいはそれらと結びついた新しい兵器の発展あるいは開発の段階等について、正確な情報を提供されておるのかどうか。そしてこれを正確に科学的に判断をするような機構なり何なりというものは、私はぜひ必要だと思う。統幕会議でいきなりこれを判断しても、私はなかなか正確な判断ができないと思いますが、この点をもう一回正確に御答弁をいただきたいと思うのであります。
  45. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 近代兵器の非常に発達したものについての情報を得たり、検討をしておるかということでございますが、御承知のように、どこの国でも非常に発達した近代兵器については、高度の機密を持っておるわけであります。でありますからそういう機密を打ち明けるということはあり得ないわけであります。ソ連においてもアメリカにおいても同様であります。しかしこういうものについてはいわゆる旧軍というわけではない、自衛隊の制服でない技術研究所というものを防衛庁が持っております。相当な機構であります。でありますので、機密にわたるようなものについての研究というものまではなかなか手が届きませんけれども、しかし世界における近代科学兵器の発達したものにつきましては、手の届く限り十分な検討をいたしておるわけでございます。
  46. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 それは当然そういうことをおやりになると思いますが、確かに機密という問題はどこでもあるわけです。特に最先端を行く軍事技術なり軍事科学あるいは兵器、こういうものについては、どこの国でも機密を守っておるのは当然だと思います。しかし今度の条約ができますれば、日米関係には、これが軍事同盟であるかどうかは別といたしまして、新しい軍事的なつながり、つまり大きな政治的な意味においての同盟関係ができることは明らかであります。そういう中で、できるだけこういう情報を得て、正しい情報を正しく検討して、そうしてその立場からアメリカの極東あるいは世界に対する戦略なり何なりの判断の資料にし、それと同時に結びついた日本国防なり何なりの判断ということは当然のことだと思います。この点に抜かりがありますと、私はかえって非常な危険が出てくると思います。過去にそういう経験をわれわれはなめておりますから、ぜひこの点は十分に万全を期するように一つ処置してもらいたいと思います。  次にそれに関連して、米ソの軍事的優劣といいますか、この点は今後どういうふうに発展していくというように御判断になっておりますか。今御承知のようにいろいろな見方がありますけれども、少なくともアメリカの国内なり国会等において言われておるように、あるいはミサイル・ギャップその他、とにかくアメリカの方があらゆる意味において、軍事科学あるいは技術というようなものと結びついた戦時体制といいますか、そういうものにおいてはおくれておることは世界の常識だろうと思います。そこからいろいろな問題が出てきておりますが、これを防衛庁としては、あるいは日本政府としては、どういうふうに今後判断していくか。つまりはっきり言いますと、このミサイル・ギャップあるいはそういう言葉で表現されておる軍事上の優劣というものは、今後大きくなっていくというふうに見通されておるのか、狭まってくるというふうに見通されておるのか、これについてのお見通しというものは、少なくとも今後五年なり十年の期間を置いて見た場合に、どういうふうに判断されておるのか、この点をお聞きしたいと思います。
  47. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 非常にむずかしい御質問で、よほど専門的でないと申し上げられないと思いますが、やや常識的といいますか、一般にいわれておる程度にお答えするより私としてはできませんが、米ソの比較から申しますならば、大体陸の方はソ連の方が相当有力になっておると思います。海の方はアメリカの方が有力だろう。しかしソ連の方でも潜航艇を使ってきております。ミサイルにつきましては、いろいろいわれておりますようにソ連の方が生産の速度が速かったわけであります。これにつきましてアメリカの方がこれに追いつく。一時ミサイル・ギャップということも言われていましたが、これはアメリカの方が追いついて同じような形にだんだんなってきておる。全体として見まして、私は両方の国防力比較を政治的に見ますと、アイクあるいはフルシチョフの間で会談が持たれて話し合いが出てきているということからも裏づけされることは、東西両陣営の米ソの間の軍事的な力というものが均衡を保っている、こういうのが政治的な見方だと思います。これが均衡がはずれているということになりますと非常に危険でありますが、今軍事力において均衡を保ってきている。その均衡の保ったものをそのままとしてお互いに減らしていこうということから見ますならば、東西両陣営といいますか、米ソの間の軍事力というものは均衡を保っているのが現状だ、こう見られます。
  48. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 これはどうでも御答弁はできると思うのです。しかし今の世界のいろいろな軍事に関係します情勢から見て、今のお話はどうも少し甘くはないかと思うのであります。アメリカ自体がミサイル・ギャップの論争時代から——地上兵器その他においては別問題といたしまして、あるいは非常な小型の原子兵器等についてはアメリカが進んでいるようであります。しかし少なくとも今後の世界大戦なり米ソの戦争になった場合における主要兵器でありますたとえばICBMなりIRBMなり、こういうものについては、その性能といい、その実用の段階といい、あるいはその他の点から見てアメリカの方がおくれているということは、これはアメリカ自体が国会等においてはっきり認めているところであります。それなるがゆえに最近ではアメリカも相当世界戦略を変えまして、いわゆるマケルロイ構想というようなものによりまして、大体これを補強していこうというような方向に動いているようであります。しかもマケルロイ構想による、たとえばICBMの完成をするのが一九六二年であります。しかもそれが三百、それからIRBMが亘二十五、SAC、つまり戦略空軍でありますが、これが千七百五十、それから艦載の原爆機が五百、潜水艦ミサイルが百、これが昨年でしたか、マケルロイとトワイニングがアメリカの上院の外交委員会の秘密会において、この程度しかできないのだということをはっきり言っております。片方ソ連の方は、すでにICBMも実用の段階に入っている。何発あるかわかりません。しかもこれが移動式のものに変わっておる。片方アメリカの方は、今までの固定的な、いわゆる地上の基地から今度は地下基地へ、ハードからソフトといいますか、そういうふうなことがようやく今問題になりかけている程度であるというようないろいろな点、あるいは内容は何かわかりませんけれども、フルシチョフが、ソ連の科学者のカバンの中には、今までのロケットやなんかともっと比べものにならぬほどおそろしい兵器がすでに蔵されておる、こういうようなことを言っておるようであります。これについてはアメリカあるいはドイツあたりでも、内容はよくわかりませんけれども、二つの推測が行なわれております。一つは何かというと、ロケットを途中でもって全部爆発する。敵のロケットを途中で爆発するというのは、どういうあれかわかりませんけれども、おそらく電子兵器なり電子技術の発達によることと思いますが、途中でもって爆発するような、こういう研究がどんどん進んでおるというようなこともいわれております。しかしこれはどの程度かわかりません。また同時にあるいは例の宇宙ステーション、地球の上をいつでも回って、いつでも地上からの電波指令によりまして必要なところへ原水爆を落とす、こういうものがすでに研究段階が相当進んでおるというようなこともいわれております。そのほかこまかいところをあげればずいぶんたくさんある。しろうとですからわかりませんが、そういうことがいわれております。これも全然しろうとの推測ではなくて、学者や軍事専門家といいますか、評論家といいますか、そういう人たちの雑誌あるいは書物等に発表されたもので、私たちは推測以外にはないが、そういう点から見ても、あるいは金門、馬租の場合に、アメリカが中国に対し、大規模のいわゆる小型の原子戦争を計画しておったのが、御承知の通り北の方から、ソ連の大型のロケットの実験弾が二発飛んだ。それが結局アメリカの軍部を国務省が押えてああいう関係になったというようなことも、これはうそかまことか、それはわれわれにはわかりませんけれども、少なくとも世界の軍事専門家なり、評論家なり、学者の間には、そういうことが取りざたをされております。そういう段階から見て、米ソの陸軍の数がどうだとか、海軍の数がどうだとか、あるいは戦略空軍の数がどっちがどうだとか、あるいは戦術空軍の数がどうだとか、戦車がどうだとか、そういうことは別といたしまして、今後の戦争を決定するいわゆる小兵器についての発展の段階なり開発の段階は、少なくとも五、六年は開いておるということが一般にアメリカでも認められております。しかもこれは体制の違いというか、アメリカの方でも、その点を盛んに躍起になっておるようでありますが、社会主義体制という一点に、国力のすべて、科学力のすべてを重点的にやれるという体制からいきまして、今後といえども、このギャップは開いても少なくはならぬのではないかというふうにわれわれは判断をするわけですが、これはもちろんアメリカの承認するところではありません。アメリカは少なくともそういうギャップを承認するということを国内でも論議をしておりますが、極力国民の前に、世界各国の前にも隠しておりますから、なかなかアメリカはそういうことは言いません。しかしながらこういう事実が、反面では、たとえばアメリカとの軍事同盟の関係で、いわゆる戦線離脱といいますか、そういう傾向を非常に深めておることも、この大きな原因になっておる。こういう点についても、色目のない、アメリカ的な見方でない、アメリカの心理戦を織り込んだ謀略的な宣伝なり何なりでない、ほんとうの裸の両陣営の戦力が、今後どうなっていくかということをはっきり正確に見るということが、いわゆる自立性の根本だと思う。これをアメリカの言うこと、アメリカの宣伝することは何でもほんとうだという観点からだけ問題を取り上げておるという態度は、私は相当問題があろうかと思うのでありますが、これらに対しては、どうなんでしょうか、もう一度御見解を聞かせていただきたいと思います。
  49. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 ミサイル・ギャップにつきましての見方等もいろいろあります。アメリカにおきましても、軍事評論家等において必ずしも意見は一致していません。また今お話のように、秘密会で話したものがそう簡単に外に出るわけのものでもなかろうとも思います。そこでアメリカの方の情報ばかりにたよって、いかにもアメリカがよさそうなことばかりというふうにお考えのようでありますが、私は日本における評論は逆のように考えます。むしろアメリカの方が遠慮ぎみで、左の方の軍事評論家などが、むしろソ連の方の発達を強調し過ぎて、恐怖心を起こさせるようなものが相当出ておるように私ども考えております。むしろソ連の方が非常に有力になるというふうな日本の左の方の軍事評論の方が、日本では信用されていますから、国民の間にこの方を信用している向きの方がむしろ強くて、アメリカの方では特に宣伝をしているというような向きはありません。それは世間のことでありまして、見方の相違でありまするからそういうことを申し上げても何かと思いますが、防衛庁といたしましては、別に何もアメリカの肩を持って、アメリカ情報を過大に評価していかにもアメリカがよさそうに考えたり、そういう色めがねなんかで世界の情勢を判断しているわけではございません。ミサイル・ギャップ等につきましても、ミサイル・ギャップがあったけれども、これはすぐ追いつくということ、ことに私ども政治的に見まして、アイク・フルシチョフの会談などができておる、東西両陣営の話し合いが進んでいるということは、これは個々的なそういう発達を超越しましても、非常に軍事力において均衡を得ておる、こういうことから両方ともその均衡をそのまま保っていこう、こういうのが今の話し合いをしようという段階だ、こういうように考えております。重ねて申し上げますが、大事なことでありまするから、決してわれわれも色めがねで軍事力を評価したりなんかしないで、科学的に正確にものを見ていくという努力はいたしておるわけでございます。
  50. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 ソ連側の情勢をどう見るか、アメリカ側の情勢をどう見るか、これの見方についての御議論が今ありましたが、私どもは少なくともいろいろな点から——この問題だけを深く入りませんけれども長官の今のお答えは必ずしも私は適当でないと思うのです。言葉はどうでもいいですが、少なくとも今までの動きなり、情勢の中では、ざっくばらんに言ってアメリカ・オンリーですよ。そしてアメリカの出しているそういうことに対する情報の正しい科学的な、冷静な分析は不十分のように私どもには見える。この点は十分注意をしてやるように一つお願いをしたいと思います。  そこで第三の質問点に入りますけれども長官はこの前の与党の委員の御質問に対しましても、今の軍事力というものはいわゆる戦争抑止の勢力である、こういう御答弁をされております。それともう一つは、いわゆる局地戦争に対処するためには、どうしてもやはりある程度の軍備の拡充が必要だということを言われております。この二つの点も非常に大事だと思うのであります。なるほど今のアメリカの考え方の基本は、軍事力の増強というものにある。軍事力、もっともその軍事力の中には今言ったような最近の非常にものすごい兵器も入っておるという意味でしょうが、これがいわゆる戦争を抑止する勢力である、政策である。従ってある程度軍事競争というものを相手に負けないだけのものを持っておくことが、いわゆる平和を守る唯一の手段だというのが、アメリカのアイクその他があらゆる機会において言っておることであります。これは裏を返してみれば、いわゆる恐怖の均衡という言葉がありますけれども、その恐怖の均衡によって初めて平和が保たれるのだ、こういうことであります。しかしながらこれに対しては私は基本的に大きな矛盾ができておると思うのです。少なくとも今のような原子ロケット時代といいますか、宇宙戦時代になってきて、こういう兵器を相対立する両陣営が持って均衡を保っておる。そして兵器競争といいますか、軍備競争をすることによって、世界の平和が保たれるなんというのは、およそ私は常識はずれだと思います。それはなぜかといいますと、そういうものすごい兵器の発達は、いつか必ずある程度の均衡が破れるときが参りましょうし、もう一つは、そうでなくても原子戦時代になってくれば、要するに錯誤によって原子爆弾を一つ落としても戦争の可能性が当然出てくるわけであります。これの有効な防止の方法というのはない。もう一つ、原子爆弾なりあるいはロケット弾を発射するかしないかということの判断は、昔の戦争ならば宣戦布告をして、そして何とかということでもって、戦争に入るまでには御承知の通り相当の手続が要ったわけです。しかも今日の原子戦争、ロケット戦争下においては、時間、空間というものはもうなくなっている。そういう段階では、下級の指揮官にこれを発動するかしないかということの判断をまかせざるを得ないというのが今日の実情だろうと思います。そういう点から見て、一方においては確かにこういう軍備の競争における均衡が、いわゆる平和を保障するものであり、戦争を抑止するものである、こういう見方もありますが、それは間違いであるという点が強く認識をされたからこそ、最近のような核兵器その他の決定兵器を中心として、全部の軍縮とかなんとかという問題が真剣な世界の課題になっておる。もちろん軍縮の今後の話し合いについては、いろいろ問題はございましょうけれども、問題はそこから出てきておると思うのであります。あとで私は御質問したいと思いますけれども、こういう点で今日の通常兵器は、自衛隊といえども単なる、いわゆる古い観念における通常兵器は考えておられない。少なくともミサイル、ミサイルをとる以上はこれに対して弾頭にいざというときに核弾頭をつけるくらいのことは、子供でもわかることであります。ミサイルを使って、その上で火薬の弾頭を使ったり、砂の弾頭を使うばかはありません。ごまかしであります。そういう点から見て、私は単なる通常兵器ではないと思うのであります。こういう点で少なくとも長官の言われるのは通常兵器という意味でしょうが、軍隊の増強がいわゆる戦争抑止力になるという認識は、この点からいってもちょっと変ではないかというふうにわれわれは思う。これに対する御見解はどうか。  もう一つは、今日のような世界情勢の中で、いわゆる局地的な戦争というものはそのままの形でおり得るかということであります。おそらくどうしても世界戦争に発展せざるを得ない。なるほど局地戦争といえば小さなところでいろいろあります。国内戦は別でありますけれども、少なくとも国際的な関係を持っておる局地戦争というものは、これが単なる局地戦争に終わるという可能性は、戦後のたとえばベトナムにおける戦争の経過を見ても、レバノンあるいはスエズの戦争の経過を見ても、あるいは金門、馬祖の戦争の経過を考えてみても、非常に少ない。これが発展すればどうしても、いや応なしに世界戦争に発展せざるを得ない、こういうふうに見ざるを得ないと思うのであります。確かにアメリカではいわゆるニュールック戦略以来、戦略の変更がありまして、限られた局地の原子戦争ということが戦略思想中心になったようであります。しかしこれも最近では、だいぶ動揺しておるようであります。こういう点について、防衛庁としてはもっとやはり突っ込んで、アメリカが局地戦争の戦略思想を出してきたから、その一環に乗って日本考えるというばかな行き方をやめて、もっとこの二点を強く検討すべきではないかと思いますが、この二点についての長官のお考えを聞かしていただきたいと思います。
  51. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 米ソともに軍備競争をしてきたということは事実だと思います。しかしこれを客観的に見ますならば、その頂点に達した現在におきましては、これは戦争の抑制力になってきておる。そういう点から今度は抑制力としての軍備というものを保持していくということになっておるのが、現在の国防の観念だろうと思います。しかるにそういうような場合において、日本で局地的な戦争抑制力に協力するのだということで、通常兵器による装備等をしておるが無意味ではないか、こういうことでありますが、私は日本だけが抑制力としてならば、大国等と対抗しての抑制力にはならぬと思いますけれども日本だけでなくて、やはり集団的な抑制力というような形が世界における安全保障体制だろうと思います。これは自由国家群におきましても、共産国家群におきましても、そういうような体制にずっと入ってきております。これはその国一つだけで抑制力ということにはなりませんが、日本なら日本戦争の抑制力としての分担をし、アメリカならアメリカ、ソ連だってそうだと思います。こういう抑制力とそれぞれの立場において協力してその分担をしていくことが、世界の戦争抑制力になり、世界戦争を誘発しないことだと思う。でありますから、日本が通常兵器で装備をしておくから抑制力にならぬということでなくて、日本だけでは抑制力にはならぬかもしれませんが、日本がその分担をしていって抑制力に寄与していく、こういうふうに私は認識しております。  それから局地戦、局地の紛争がないわけではない、ある。しかし局地戦が起こればこれは世界戦に発展するのだから、そういうものは今から考えられないということでありますが、局地戦が世界戦に発展しないということは、局地におけるそれぞれの国々、それぞれの場所において、それぞれの兵備、装備を備えた、小さいながらそれだけの装備を備え、そうしてまた集団的な抑制力に参加しておるために、その局地戦が世界戦争にならなくておさまっておるというのが現実の事実だと思います。それを何もしないでおれば問題は起きないというようなことではなくて、そういうものを持ち、備えておるから世界戦争にならないのだ、あるいは局地戦が起きても大きくならないのだ、こういう点から考えますならば、やはり日本自衛隊としても、日本の国力、国情に応じて、世界における戦争の抑制力の一半をになう、それが日本の平和と安全のためでもあるというような考え方から、日本の国力、国情に応じて、できるだけの自衛隊の装備をして充実していくということが、局地戦も局地紛争も起こさないで済むし、また起きた場合に世界戦争に導かないためでもあるというふうな認識で私どもは進めておるわけであります。
  52. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 その点については、私は長官と全く見解が違うわけであります。なるほど表面から見たところでは、両方の軍備といいますか、兵力といいますか、戦力といいますか、これが均衡を保って、しかも一たんこれが発動すれば世界のいわゆる殲滅戦になる、こういう関係から、そういうふうな恐怖の均衡状態を維持することが辛うじて戦争を防止しているあれだ、こういうふうな認識は私は根本的に間違っておると思います。これは私どもから言わせますと、東西の軍事力の対比というものに相当懸隔が出てきている。そうしてソビエト側の方が少なくともそういうすぐれた原子力を持ちながら、しかも戦争を避けようという政策が世界の大衆と一緒に強くなっておる。これがやはり現実だと思う。ミサイル・ギャップの問題その他の問題だけでなく、たとえばスエズの場合におきましても、ソビエトは断固いよいよ最後の原子戦争なり何なりをやれば一撃を加える、われわれはそういうものに対しておどかしであると聞いたが、当時その実力はアメリカになかった。そうして金門、馬祖についてもそうであります。あれでやまったのは、例の大陸間弾道弾の二発の——実際に二回にわたる警告をアメリカの方は無視しようとした。ところが片方は、それに対して三回目の警告として、言葉ではなくて、文書ではなくて、御承知の通り大陸間弾道弾を二発打ち上げた、北極に対して打ち上げた、これがやはり一つの大きなあれになったと思うのであります。つまり今日の恐怖の均衡とかあるいは何とかというのは、私はアメリカの一つの謀略だと思うのであります。そうではなくて、私はこの点についてははっきり事態を——私がこう言うと、おそらく皆さんは、何だソ連の肩ばかり持つと言われるかもしれませんが、ソ連の肩を持つとか、アメリカの肩を持つとか、そういう片寄った立場でなくて、私はやはり事態の真相というものをはっきり見てとる必要があろうと思うのであります。  それからもう一点、局地戦争、これは主として通常兵器、通常軍隊による局地戦争ですが、こういうものがいわゆる世界戦争に発展しないということもこれは独断だろうと思います。今局地戦争として考えられるのは、特に日本中心として考られるのは何かというと、ざっくばらんに言って、日本と台湾や南朝鮮と局地戦争が始まるはずもありますまい。そうではなくて、今局地戦争として大国側から考えられておるのは、おくれた未開発諸国の、いわゆる反植民地的な独立の戦いに対しまする軍事的弾圧としての局地戦争というものが考えられる。こういうのが今日の局地戦争の現実の可能性だと思うのであります。そういう場合においては、中国なりソビエトは黙っておらぬと思います。レバノンの例を見てもその他の例を見てもこれははっきりしております。しかもその間において、いろいろな国際的な利害関係というか、勢力関係が輻湊している中においては、大国の帝国主義的ないわゆる未開発の諸国に対する武力弾圧というものがそのままの形でおるというふうに考えておるところに、私は大きな間違いがあろうと思います。この二点については、時間がありませんからこれ以上は申し上げませんが、一点だけ私は全般的な前提としてお聞きしたいと思います。それは今後五年なり十年の間、長官は、世界の軍事情勢というものは軍縮の方へ向かうと思うか、あるいは今のお話のように依然として恐怖の均衡といいますか、いわゆる軍事力の競争、その中における均衡、こういう形でいくのか、どっちだとお考えになっておるのですか。どういうふうに見通しを立てておられるのですか。御承知の通り今の世界情勢の中では、片方においては、アメリカやその他の方面におきましても、あくまで軍備を、少なくとも質的な軍備を進めていこうという傾向が依然として現実にあります。しかし片方には、核実験停止会議あるいは世界の軍縮会議、相互の、アイクのこの次の訪問とか、首脳部会談ということで、いろいろ困難はありますけれども、軍縮の方向を目ざして努力していこうという二つの流れがあることは明らかです。これが今後五年なり十年なり——安保条約が実施されます以上は十年は何らかの形においてこれに緊縛されるわけですが、この二つの方向のどっちが現実化してくるかということを相当明確な見通しを持たなければ、日本の軍備の体制なり国防の基本というものは立って参らないと思う。どういうふうに御認識になっておりますか、これをお聞かせいただきたいと思います。
  53. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは東西両陣営とも、国防力を充実しながら軍縮を何とかまとめていこうという方向だろうと思います。それで軍縮でありますが、これは個人的な見方になるかもしれませんが、私はソ連が陸軍を百三十万減らしたから、こういうようなことは軍縮にならぬと思います。これは御同感であります。やはり軍縮ということになれば、核の管理、監督といいますか、それがきまらなければ軍縮の方向にはいかないと思います。そういう点から考えますれば、やはり両陣営とも国防力を充実しながら核の管理、監督をどういうふうにしていくか、こういうことが軍縮のキー・ポイントといいますか、中心であろうと思います。しかしこれにつきましては相当秘密を公開するというようなこともありましょうし、いろいろ問題を含んでおると思います。しかしいずれにいたしましても、そういう問題から世界大戦を起こしてはならぬ、軍縮の方向に持っていこうという方向で進めていくことは、これは事実まぎれもなくその方向へ行くという見通しは持てると思います。
  54. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 なるほど、今軍縮ということが非常に問題にされておりますが、その軍縮をどうやるかという方法論については相当むずかしい問題がある。それは方法論のように見えて、実際はそれぞれの国が、やはり方法論だけではない、この問題に対する基本的な態度が食い違っておるところに問題が出てこようと思います。しかし今のお話のように軍拡をやりながら軍縮に努力するのだという認識は、これは今の事態を舌の先で説明するにはその通りです。そう言ったら一番いい表現かもしれません。しかし今後五年、十年、少なくともこの安保条約の中での日本国防を担当していこうというには、やはり将来は軍縮の方向へはっきり向いていくのか、あるいは依然として今のお話のように軍拡しながら軍縮だというような程度の話でいくのかということについて、どういう見通しに立つのかということがやはり基本の問題だと思う。これに対して私は今のお答えではどうも不十分でありますが、もう一度あらためて——国会でごまかすのはぞうさありません。今のお話のように、軍拡をしながら軍縮をやるのだと言ったってこれは一応答弁にはなりますけれども、ほんとうの答弁にはなりません。これは長官個人の御意見でもけっこうです。この点をもう一度はっきり御説明をいただきたいと思います。
  55. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国防力を充実しながら軍縮の方向に向かうだろうというのは、世界の情勢に対して判断を問われましたから、私は申し上げたわけでございます。日本自衛隊としてはこれにどうやって対処すべきかということでありますが、軍縮の方向にいくといたしましても、私の認識では、今の日本自衛隊は軍縮の範疇に入るようなところまでまだいっていない、これが日本自衛隊の実力だ、こう思います。従って軍拡とかいう意味ではありませんで、国力、国情に応じてやはり整備をしていく。これが再々申し上げているように局地的な抑制力に協力するゆえんだ、こういうふうに日本自衛隊に対しては、私はそういう認識を持っております。
  56. 久保田豊

    ○久保田(豊)委員 時間が非常に制約されておりますので、私は質問をこの次の機会まで保留いたしますが、この次に特にお伺いいたしたいのは、新安保条約下における国防の基本方針、従って日米の軍事関係についてあらゆる面から、私は一つお聞きをいたしたいと思いますから、ごまかしでない御答弁をいただきたい、こう思います。きょうはこれで打ち切ります。
  57. 福田一

    福田委員長 次会は明十三日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時四十四分散会