○
久保田(豊)
委員 もう
一つ私は申し上げておきたいと思うのでありますが、それは今度の
取得対策ということで、
取得をされる利害
関係人の
生活問題を取り上げた点は、
考え方として
建設省としては一歩前進だと思うのです。しかしこれが実行できますかということをお聞きしたい。第一にこの問題の実行を危ぶむのは、いろいろこの
土地を取られた人の
生活再建問題は非常に複雑多岐にわたると思います。今までの
やり方では、
建設省でそう
考えても、たとえば農林省その他がこれに協力しなければできない問題。農林省へ持ち込めば、なかなか今度は農林省がこれを聞かないという
関係が非常に多いのであります。各
官庁なり何なりが、少なくとも総合的にそういったものをやらなければ
解決のつかない問題です。特に農村においては多いのであります。私の方の実例を一、二申しますと、たとえば狩野川台風がありまして一番問題になりました熊坂、あそこを河川の拡幅を御
承知の
通りいたしました。それはいいですが、あそこは全体の耕地が四十二町歩であります。その今度の河川の拡幅によりましてつぶれたのがどのくらいあるかといいますと、約十八町歩であります。半分に減っておるのであります。そのこっちの瓜生野という部落は約十二町歩のうち、これも約七町歩ぐらい、六割近くの耕地がつぶれておるのであります。そうしますと、
あとの連中はどうしても百姓では食えない。それもいろいろ問題がありましたのを、私
どもは何とかしてあの川の問題を片づけなければならぬからというので、どうやらこうやら納得をさせてやったのですが、これでは
あとが食えない。そこで県を通じあるいは農林省等に対しましても、これのかえ地なり
——かえ地といってもなかなかありませんけれ
ども、何らか適当なところへ新しい耕地なりあるいは新しい農業経営の形態なりというものを真剣に
考えてくれないと、この二部落というものはえらく災害を食った上にもってきて、
あとあと百姓として食えない、こういう問題が出るからというので、
知事にもやかましく言い、あるいは農林省等にも私は出向いていろいろやったのですが、結局取り上げない。
建設省は川さえやればおれの方の責任はないのだ、こういうことになる。ですから、今この部落では何をやっておるかというと、土方をやっております。土方をやらなければ食えない。たとえば
都会地の
道路の拡幅の場合は、それに対してその沿線へさらに
土地を
取得して商店街をこしらえて入れる。非常にけっこうな構想でありますが、これには
予算なりあるいは資金なりというものの裏づけがなければだめであります。もう
一つは、私は各
官庁が少なくともこういう問題については、総合的な
一つの
対策本部というものでも作ってやらない限り、問題の
解決はつかない。苦い例を私
どもはたくさん持っておるのであります。この問題の
解決に、なるほど(2)にはいろいろかえ地の問題等が出ておりますけれ
ども、もう
一つ大事な点は、これは都道府県ないしは市町村、これにある
程度積極的に、いい
意味において関与させるということをしなければ、この
生活問題というものは片づきません。私
どもはいろいろ自分で身をもってやってみまして
——私は狩野川の問題を主に言いますけれ
ども、江間村というのは四十年もこの問題でもって承認しません。この四十年間も承認しなかった連中を承認させるためには、幾ら
建設省や何かがやってもだめであります。私
ども水の行く方の町村をようやく納得させまして、かえ地を出すとかあるいは
土地改良を推進するとか、その他いろいろ農民としての
生活の立つような道をやりましたので、実際につぶれた
土地を持っている
人たちも現実につぶれておらない、むしろよくなっておる。こういうことですから、ようやく何十年ぶりで納得を得たというのが
実情であります。私はこういう点から見て、下手に市町村や府県を関与させますと、これがブローカー的な役割をして変なことになってしまうが、しかし正しい
意味でこれに関与させるということをやらなければ、少なくとも
生活問題の完全な
解決というものはできない、こう思うのです。こういう点についてはもう少し
政府としては真劒に
実情を分析された上で手をつけるべきものだと思うのですが、この点についてはどんなふうにお
考えになっておりますか。