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1960-03-22 第34回国会 衆議院 内閣委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十二日(火曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君    理事 高橋 禎一君 理事 高橋  等君    理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君       生田 宏一君    内海 安吉君       小金 義照君    始関 伊平君       谷川 和穗君    富田 健治君       橋本 正之君    八田 貞義君       保科善四郎君    山口 好一君       飛鳥田一雄君    杉山元治郎君       受田 新吉君    中村 時雄君  出席国務大臣         農 林 大 臣 福田 赳夫君         国 務 大 臣 石原幹市郎君         国 務 大 臣 益谷 秀次君  出席政府委員         総理府総務長官 福田 篤泰君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君  委員外出席者         農林事務官         (農地局管理部         長)      庄野五一郎君         専  門  員 安倍 三郎君     ――――――――――――― 三月二十二日  委員中村時雄君辞任につき、その補欠として受  田新吉君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十八日  自治庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九九号) 同月十九日  行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇四号) 同日  農地買収者問題調査会設置法案反対に関する  請願外百十一件(久保田豊紹介)(第一一七  四号)  同外百十件(杉山元治郎紹介)(第一一七五  号)  建設省定員外職員定員化に関する請願外二十  二件(森本靖紹介)(第一一七六号)  同(山崎始男紹介)(第一一七七号)  同(富田健治紹介)(第一二六〇号)  同(内海清紹介)(第一三二五号)  同(受田新吉紹介)(第一三二六号)  同(大矢省三紹介)(第一三二七号)  同(菊川君子紹介)(第一三二八号)  同(本島百合子紹介)(第一三二九号)  同(和田博雄紹介)(第一三三〇号)  同(富田健治紹介)(第一四〇二号)  同(松澤雄藏紹介)(第一四〇三号)  同(南好雄紹介)(第一四〇四号)  同(三和精一紹介)(第一四〇五号)  同(二階堂進紹介)(第一四〇六号)  同(野田卯一紹介)(第一四〇七号)  同外二件(山花秀雄紹介)(第一四〇八号)  建設省地理調査所定員外職員定員化に関する  請願中嶋英夫紹介)(第一一七八号)  同(菊川君子紹介)(第一三三一号)  同(水谷長三郎紹介)(第一三三二号)  同(本島百合子紹介)(第一三三三号)  同(堀川恭平紹介)(第一四二五号)  同(山花秀雄紹介)(第一四二六号)  行政機関定員外職員全員定員化に関する請願  (足鹿覺紹介)(第一一七九号)  同(島口重次郎君外一名紹介)(第一一八〇  号)  同(伊藤よし子紹介)(第一一八一号)  同(井手以誠君紹介)(第一一八二号)  同(石田宥全君紹介)(第一一八三号)  同(石村英雄紹介)(第一一八四号)  同(石野久男紹介)(第一一八五号)  同(猪俣浩三紹介)(第一一八六号)  同(井伊誠一紹介)(第一一八七号)  同(小川豊明紹介)(第一一八八号)  同(太田一夫紹介)(第一一八九号)  同(大原亨紹介)(第一一九〇号)  同外二件(角屋堅次郎紹介)(第一一九一  号)  同(神近市子紹介)(第一一九二号)  同(上林與市郎紹介)(第一一九三号)  同(川村継義紹介)(第一一九四号)  同(栗原俊夫紹介)(第一一九五号)  同(五島虎雄紹介)(第一一九六号)  同(小松幹紹介)(第一一九七号)  同(佐々木更三君紹介)(第一一九八号)  同(佐野憲治紹介)(第一一九九号)  同(坂本泰良紹介)(第一二〇〇号)  同(櫻井奎夫君紹介)(第一二〇一号)  同(島口重次郎紹介)(第一二〇二号)  同(實川清之紹介)(第一二〇三号)  同(下平正一紹介)(第一二〇四号)  同(田中織之進君紹介)(第一二〇五号)  同(辻原弘市君紹介)(第一二〇六号)  同(中澤茂一紹介)(第一二〇七号)  同(中嶋英夫紹介)(第一二〇八号)  同(中村英男紹介)(第一二〇九号)  同(西村関一紹介)(第一二一〇号)  同(野口忠夫紹介)(第一二一一号)  同外五件(芳賀貢紹介)(第一二一二号)  同(原茂紹介)(第一二一三号)  同(穗積七郎紹介)(第一二一四号)  同(松浦定義紹介)(第一二一五号)  同(松前重義紹介)(第一二一六号)  同(三鍋義三紹介)(第一二一七号)  同(三宅正一紹介)(第一二一八号)  同(森本靖紹介)(第一二一九号)  同(八木一男紹介)(第一二二〇号)  同(八百板正紹介)(第一二二一号)  同(山中日露史紹介)(第一二二二号)  同(山崎始男紹介)(第一二二三号)  同外四件(横路節雄紹介)(第一二二四号)  同(吉川兼光紹介)(第一二二五号)  同(和田博雄紹介)(第一二二六号)  同(橋本正之紹介)(第一二六一号)  同(塚原俊郎紹介)(第一二六二号)  同(村瀬宣親紹介)(第一二九四号)  同(今澄勇紹介)(第一三三六号)  同(受田新吉紹介)(第一三三七号)  同(大貫大八紹介)(第一三三八号)  同(神田大作紹介)(第一三三九号)  同(菊川君子紹介)(第一三四〇号)  同(木下哲紹介)(第一三四一号)  同(久保三郎紹介)(第一三四二号)  同(小松信太郎紹介)(第一三四三号)  同(佐々木良作紹介)(第一三四四号)  同(館俊三紹介)(第一三四五号)  同(田万廣文紹介)(第一三四六号)  同(堤ツルヨ紹介)(第一三四七号)  同(土井直作紹介)(第一三二四八号)  同(中崎敏紹介)(第一三四九号)  同(中村時雄紹介)(第一三五〇号)  同外二件(永井勝次郎紹介)(第一三五一  号)  同(西村榮一紹介)(第一三五二号)  同外一件(正木清紹介)(第一三五三号)  同(武藤武雄紹介)(第一三五四号)  同(門司亮紹介)(第一三五五号)  同(安井吉典紹介)(第一三五六号)  同(淺沼稻次郎紹介)(第一四〇九号)  同(石山權作君紹介)(第一四一〇号)  同(加藤勘十君紹介)(第一四一一号)  同(栗林三郎紹介)(第一四一二号)  同(杉山元治郎紹介)(第一四一三号)  同(堂森芳夫紹介)(第一四一四号)  同(風見章紹介)(第一四一五号)  同(平岡忠次郎紹介)(第一四一六号)  同(中村英男紹介)(第一四一七号)  同外一件(永井勝次郎紹介)(第一四一八  号)  薪炭手当及び寒冷地手当増額に関する請願(  石山權作君紹介)(第一二二七号)  同(山中吾郎紹介)(第一二二八号)  同(柳谷清三郎紹介)(第一二九五号)  同(鈴木一紹介)(第一三五八号)  同(鈴木一紹介)(第一三五九号)  一般職職員の給与に関する法律の一部改正に  関する請願板川正吾紹介)(第一二二九  号)  同(鴨田宗一紹介)(第一二五五号)  同(平岡忠次郎紹介)(第一四三九号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願池田  清志紹介)(第一二五一号)  同外十一件(細田義安紹介)(第一二五二  号)  建国記念日制定に関する請願廣瀬正雄君紹  介)(第一二五〇号)  同(池田清志紹介)(第一二五三号)  同(鴨田宗一紹介)(第一二五四号)  同(小金義照紹介)(第一二七〇号)  同外四百五十六件(纐纈彌三君紹介)(第一二  七一号)  同(大坪保雄紹介)(第一二八八号)  同(坂田道太紹介)(第一二八九号)  同外四件(濱田幸雄紹介)(第一二九〇号)  同(高橋等紹介)(第一三九八号)  同外二件(正力松太郎紹介)(第一三九九  号)  同(松岡嘉兵衛紹介)(第一四〇〇号)  同外三件(山田彌一紹介)(第一四〇一号)  靖国神社国家護持に関する請願大坪保雄君  紹介)(第一二五六号)  同外三件(中川俊思君紹介)(第一二五七号)  同(綾部健太郎紹介)(第一二六八号)  同外一件(大橋武夫紹介)(第一二六九号)  同外七件(久野忠治紹介)(第一二九一号)  同(中垣國男紹介)(第一二九二号)  同(八木一郎紹介)(第一二九三号)  同(櫻内義雄紹介)(第一三九七号)  としよりの日を国民の祝日に制定請願外十六  件(植木庚子郎君紹介)(第一二五八号)  同外三件(星島二郎紹介)(第一二五九号)  旧軍人恩給加算制復元に関する請願吉田重  延君紹介)(第一二七二号)  同(坂田道太紹介)(第一二八四号)  同外一件(園田直紹介)(第二一八五号)  同(高瀬傳紹介)(第一二八六号)  同(山口好一紹介)(第一二八七号)  建設省北海道開発局及び運輸省港湾建設局定  員外職員定員化に関する請願本島百合子君  紹介)(第一三三四号)  同(山下榮二紹介)(第一三三五号)  同(竹内俊吉紹介)(第一四一九号)  同(原健三郎紹介)(第一四二〇号)  同(堀川恭平紹介)(第一四二一号)  同(南好雄紹介)(第一四二二号)  同(山口好一紹介)(第一四二三号)  同(山花秀雄紹介)(第一四二四号)  宮城県石越地区寒冷地手当増額に関する請願  (日野吉夫紹介)(第一三五七号)  衆議院解散に関する請願山中吾郎紹介)(  第一三九六号)  北海道開発局定員外職員定員化に関する請願  (椎熊三郎紹介)(第一四二七号)  同(竹内俊吉紹介)(第一四二八号)  運輸省港湾建設局定員外職員定員化に関する  請願小川平二紹介)(第一四二九号)  同(鴨田宗一紹介)(第一四三〇号)  同(河本敏夫紹介)(第一四三一号)  同(關谷勝利紹介)(第一四三二号)  同(堀川恭平紹介)(第一四三三号)  同(三池信紹介)(第一四三四号)  同(南好雄紹介)(第一四三五号)  同(山花秀雄紹介)(第一四三六号)  寒冷地手当増額に関する請願外二件(飯塚定輔  君紹介)(第一四三七号)  同外一件(柳谷清三郎紹介)(第一四三八  号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十八日  靖国神社国家護持に関する陳情書外十七件  (第三八〇号)  同  (第三八一号)  同(  第三八二号)  同(  第三八三号)  同  (第四三三号)  同(第四三  四号)  同  (第四三五号)  同(  第四三六号)  同(第  四九五号)  同  (第四九六号)  同  (第四七七号)  同  (第四七八号)  同(第  五三四号)  紺綬褒章存続に関する陳情書  (第三八四号)  紀元節復活に関する陳情書  (第三八五号)  同  (第四三七号)  旧軍人恩給加算制復元に関する陳情書  (第三八六号)  同  (第四二九号)  同(第四三〇  号)  同(  第四三一号)  同  (第四三二号)  同(  第四八六号)  建国記念日制定に関する陳情書外三件  (第三  八七号)  同  (第三八八号)  同(第三八九  号)  同(第  四三八号)  同(第四八五  号)  寒冷地手当及び薪炭手当増額に関する陳情書  (第三九〇号)  寒冷地手当及び薪炭手当増額等に関する陳情  書(第三九一号)  同  (第三九二号)  寒冷地手当及び薪炭手当支給に関する陳情書  (第三九三号)  同  (第三九四号)  昭和三十二年四月一日以降に新制大学卒業資格  取得者俸給調整に関する陳情書外五十四件  (第四〇三号)  自治省設置に関する陳情書  (第  四三九号)  寒冷地手当増額等に関する陳情書  (第四七六号)  昭和十八年以降の師範学校卒業者等俸給調整  に関する陳情書外五十四件  (第四七九号)  農林省定員外職員定員化に関する陳情書  (第四八一号)  農地買収者問題調査会設置法制定促進に関  する陳情書  (第四九〇号)  旧下級軍人に対する恩給の不均衡是正に関する  陳情書  (第四九四号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  自治庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第九九号)  行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇四号)  行政管理庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第七七号)  農地買収者問題調査会設置法案内閣提出第  一号)      ――――◇―――――
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  自治庁設置法の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。石原国務大臣。     —————————————
  3. 石原幹市郎

    石原国務大臣 ただいま議題となりました自治庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由要旨を御説明申し上げます。  申し上げるまでもなく地方自治民主政治の基盤でありまして、その健全な発達をはかることは、わが国民主政治の根底をつちかうゆえんであると存じます。しこうして地方公共団体はその本来の公共事務を処理するほか、国の行政もその大半は地方公共団体の手を通じて行なわれ、国税及び地方税を合わせた租税総額の六割以上は、これらの行政遂行するために、地方公共団体責任で使用しているのでありまして、地方財政の規模は国家財政に比肩する大きさを持っているのであります。このように地方自治はまことに重要な役割を果たしており、その伸張と運営のいかんは、国政の上にもきわめて重大な関係を持っておるのであります。従いまして中央各省地方公共団体との間の連絡協調を一そう緊密にし、国政地方自治との調和を保って、地方自治の健全な発達国政の適切な遂行をはかることがすこぶる緊要でありまして、これがためには、地方自治に関する行政を担当する国の行政機関として現在のような総理府の一外局では適当とは認めがたく、責任ある一省を設けることが必要であると存ずるのであります。  また消防行政につきましては、その重要性にかんがみ、かねてその強化充実をはかる必要が痛感されているのであります。現在これをつかさどる国家消防本部は、国の行政組織上の地位が明確でないのでありまして、自治体消防の本質とその地方公共団体一般行政との深い関連にかんがみ、これを地方自治を所掌する責任省に統合し、その責任体制を確立することが、消防行政を伸張させるゆえんであると考えられるのであります。これがため、自治庁国家消防本部を統合して自治省を設け、国家消防本部はその外局としようとするものであります。  以下、本法案内容について御説明申し上げます。  第一は、自治庁設置法を改めて、自治庁自治省とし、国家消防本部をこれに統合して自治省外局として消防庁を置こうとするものであります。自治省権限は、現行の自治庁及び国家消防本部のままでありますが、ただ省設置に伴い従来、内閣総理大臣権限に属していた事務自治大臣権限に移ることになりますので、これがため必要な条文の整理を行なうことといたしました。なお、消防庁組織所管事務及び権限は、従前通り消防組織法の定めるところによるものといたしたいのであります。  第二は、自治省の機構につきましては、内部部局はすべて現在の自治庁のままとし、付属機関として、従来の自治庁付属機関のほかに、これまで総理府付属機関であった奄美群島復興審議会を移管し、自治省を置くことといたしたいのであります。  第三は、自治省設置に伴い、職員の引き継ぎ、その他従前処分等に関する経過措置を定めるとともに、関係法律整理を行なうことといたしたいのであります。  以上が、自治庁設置法の一部を改正する法律案提案理由及び要旨でございまするが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げる次第であります。      ————◇—————
  4. 福田一

    福田委員長 次に行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案議題とし、政府より提案理由説明を求めます。益谷国務大臣
  5. 益谷秀次

    益谷国務大臣 ただいま議題となりました行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案提案理由について御説明いたします。  今回提案いたしました行政機関職員定員法等の一部を改正する法律案は、昭和三十五年度における各行政機関事業予定計画に即応して、必要やむを得ない事務増加に伴う所要の増員を行ないますとともに、業務の縮小に伴う余剰定員の縮減を行なうこととするものであります。  次に、法律案内容について申し上げます。  まず第一に、行政機関職員定員法の一部改正部分について申し上げますと、今回の改正によりまして、第二条第一項の表における各行政機関職員定員合計六十八万七千四百五十七人に対しまして、昭和三十五年度事業予定計画に伴い七千三十人を増加いたしまして、合計六十九万四千四百八十七人といたしました。  事業予定計画に伴う増員のおもなものといたしましては、科学技術の振興に伴うもの百九十三人、登記事務増加に伴うもの百四十二人、国立学校学年進行、学部の増設等に伴うもの九百十七人、郵便取り扱い業務量増加に伴うもの二千七百四十六人、電気通信施設の拡張に伴うもの二千十一人、公共事業の増大に伴うもの三百七十一人等がありますが、いずれも業務増加に伴う必要やむを得ないものであります。  なお、事業予定計画に伴う減員のおもなものといたしましては、駐留軍提供施設等の減少によるもの七十五人、アルコール工場の払い下げに伴うもの百十二人、電信電話業務日本電信電話公社に移管することに伴うもの七百五十一人等があります。  第二に、法制局設置法の一部改正部分について申し上げますと、法制局における法令案等審査立案についての担当官一人当たりの負担を調整して、その事務遂行の能率を高め、審査立案の成果の一そうの向上を期するため、参事官二人を増員いたしまして、長官、次長を除く職員定員を六十人とすることといたしました。  次に、この改正法律昭和三十五年四月一日から施行することといたしております。  以上がこの改正法律案のおもな内容であります。  何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことを御願いいたします。      ————◇—————
  6. 福田一

    福田委員長 行政管理庁設置法の一部を改正する法律案議題とし、前会に引き続き質疑を許します。  御質疑はありませんか。——質疑がなければ、これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  7. 福田一

    福田委員長 本案に対し石橋政嗣君外二十八名より修正案提出されております。この際本修正案議題とし、提出者よりその趣旨の説明を求めます。石橋政嗣君。     —————————————
  8. 石橋政嗣

    石橋(政)委員 行政管理庁設置法の一部を改正する法律案に対する修正案提出し、これについての御説明を申し上げます。本修正案は三党の共同提案にかかるものでありますが、まず修正案を朗読いたします。   行政管理庁設置法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。   第三条第六項の改正に関する部分を次のように改める。   第二条中第十三号を第十四号とし、同条第十二号の次に次の一号を加える。   十三 各行政機関業務及び前号に規定する業務に関する苦情申出につき必要なあっせんを行なうこと。   第三条第三項から第五項まで中「第十三号」を「第十四号」に改め、同条第六項を削る。   第三条の二第二項の次に一項を加える改正規定中「第十三号」を「第十四号」に改める。  この修正案は、各行政機関等業務に関する一般国民あるいは市町村等苦情について、従来行政管理庁出先機関が行なっているあっせん行政管理庁所掌事務に加えようとするものであります。何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  9. 福田一

    福田委員長 御質疑はありませんか。——質疑がないようでありますから、これより原案及び修正案を一括して討論に入ります。  別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。  まず石橋政嗣君外二十八名提出修正案について採決いたします。本修正案賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  10. 福田一

    福田委員長 起立総員。よって石橋政嗣君外二十八名提出修正案は可決されました。  次に、ただいまの修正部分を除く原案について採決いたします。これに賛成諸君起立を求めます。     〔賛成者起立
  11. 福田一

    福田委員長 起立総員。よって修正部分を除く原案は可決されました。  これにて行政管理庁設置法の一部を改正する法律案は修正議決いたしました。  なお本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり]
  12. 福田一

    福田委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決定いたしました。   午後一時三十分より再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時三十六分休憩      ————◇—————     午後三時十二分開議
  13. 福田一

    福田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  農地買収者問題調査会設置法案議題とし、前会に引き続き質疑を許します。中村時雄君。
  14. 中村時雄

    中村(時)委員 農林大臣お忙しいようですし、大体どのくらいなお時間の間農林大臣は御出席できるか。それによって質疑内容も考えなくてはならぬと思うのですが、そのことをまず冒頭にお聞かせ願いたい。
  15. 福田赳夫

    福田国務大臣 大体三十分くらいの間でお願いできればありがたいと思います。
  16. 中村時雄

    中村(時)委員 この前私の方の忙しい点もあったのですが、大蔵大臣にいたしても三十分、農林大臣にいたしましても三十分というけれども、そう簡単にこの問題を三十分で云々というわけにはなかなかいかないのですが、できる限り時間を詰めて私の方も進めていきたい、このように思っております。その前に、農林大臣には農林行政観点から今度の調査会法観点もお尋ねをしてみたい、こう思っているわけです。  農林行政は、御存じのようにまず土地と労働と資本と、この三つが一つになって農林一つの経営というものが、成り立っておる。そのうちで最も大きな問題がこの土地状況として現われてきておるわけなのです。金融の問題でありますが、金融の問題にいたしましても、現在農林大裏鋭意努力をしていらっしゃるであろうと思いますけれども、問題点はたくさんあるわけです。たとえば農業共済支払準備積立金の利用の問題、あるいは自作農創設資金災害資金調整の問題、あるいは災害資金生活資金の問題、一般にいわれる交通整理というものです。あるいは農林漁業金融公庫における農中等系統資金貸付対象事業の区分と調整、そのような問題もあります。そういうようなことを考えました場合、金融の面としては、今後においては系統金融の問題と、少なくともそういう面から考えられますところの整備といいますか、そういうような問題が中心になって金融一つの柱を立てていかなくてはならない。同時に農地の方におきましても、現在農地の拡大をどのような程度にしていくのか。たとえば傾斜十五度にして、日照度、そういうものを加えたところの開拓、干拓の問題等々が出てくるわけであります。またもう一つ労働問題にいたしましても、これも御存じのように、現在実際の投融資の問題を含めて大幅に増加されているならば、次男、三男対策の労働吸収という問題が出ますけれども、事実の上においてはほとんどそれが皆無のような状態になっている。そこに農林行政として最もむずかしい問題がある。  そこで私はこの調査会法を取り上げる前に、農林行政の中においてこの問題を取り上げる前提としては、少なくともただ単に旧地主の問題を取り上げるのでなくして、地主の中にも耕作をしていらっしゃる方がたくさんおる。その人たちが現在の農業経営の中において苦しい立場を持っていらっしゃることも事実だから、そういう人たちを通じて生産立地の問題を前向きにするということが前提にならなくてはならぬ。このように考えておるわけなのです。そういう立場に立っていろいろ農林大臣と時間のある限りお話をしてみたい。このように思っているわけなのです。  おそらく農林大臣はもう久保田委員やそのほかの各専門の委員の方々がお話ししたので、大体経過はおわかりだと思いますが、要約いたしてみますと大体こういうことになるわけなのです。昭和二十九年末に統一されましたところの全国解放農地国家補償連合会が、三十一年の初めから分裂の動きを見せ始め、そうしてそれは地主運動の弱まることを意味したものではなくして、下條会長が御承知のように四十一万票とられた。     〔委員長退席、高橋(禎)委員長代   理着席〕 そうしてこのような高位で参議院議員に当選した。またそれと時を同じくいたしまして、旧軍人の恩給のベース・アップがだんだんと進められていく。しかも三十二年には在外財産補償運動が激しくなってきた。こういうような状態になっておる。その状態のときに、大体香川県等の集団土地取り上げの運動が明瞭になり、しかもそれが大規模化してきた。そうして昭和三十二年の三月には引揚者給付金等支給法案が閣議決定して、五月には成立しておる。これと時を同じくいたしまして地主運動も、このような団体が力を持っていくなれば自分たちの要望も通るのではないか、そういうような考え方から、このころから地主運動というものがはっきりと圧力団体として、国会工作に強力に動き出してくるという状態になってきた。そうような運動が集中し始めてから、そのような運動の波に乗って、自民党の政調会内には農地対策小委員会が三十二年の二月にでき上がっております。後にこれは農地問題特別調査会として九月に発足する、こういうような経過が出てきておる。こういう動きは、今まで三つあった地主団体の合同促進をいたしまして、三つのものが一つになった。統一後の地主団体というものは、当面の目標を内閣に調査会を設置させることに切り変わってきた。それまではどうかといいますと、土地に対する補償金の問題であるとか、小作料の取り上げの問題であるとか、たくさんございます。そういう状態で進められておったが、それではいけぬからという立場から、まずとりあえず自民党の党内にこういう調査会を作っていかそうというような観点からだんだん進められてきておった。その間におきまして、御存じのように農林委員会においても、各農林大臣はこういう事柄はいけないのだという言明をしながら、進められておった。こういうような状態の中においてだんだん土地問題が大きくなってきた。そこでその事前において、このように発足されていったところの今の地主団体の最初の要求がだんだん変わっていったという経過、そのことを一、二お話ししてみたい。  これは御存じのように一番最初、終戦直後には西日本の中小地主の要求を基礎としたところの大分県の農地協議会ができ上がっております。続きまして、今度は東北地方において農地改革違憲訴訟ということが出ております。そういうような状態の中で講和条約が発効になってきた。講和条約が発効になると同時に、二十七年ごろからは全国的に大きな問題が出てきた。というのは、実際のところ北海道の失地回復期成同盟会、富山県における農地解放者連合会、滋賀県における農地連盟、香川県の農地再建協同組合、大分県の農村振興連盟、佐賀県の解放農地国家補償期成同盟会等々、数限りなくその問題を取り上げてきておる。そういうような状態の中から私たちが静かに見ていますと、これらの団体の中には二つの問題があった。その一つは何かといいますと、補償の問題をめぐった問題、すなわち解放農地の対価が買収当時の一般物価に比べて非常に低廉である。そういうような建前から正当な補償であったとは私たちは認められない。すなわち収穫物の時価を基礎とする不可侵の農地売買慣習価格を無視した対価算定は不合理であるから、何とかしてこれを返してくれ、こういう意見になってくる。これは補償の問題です。もう一つの考え方はどういうことかというと、農地法の賃貸借の解除、解約の制限、そういう問題に関してこれは不合理である、だから当然小作地というものを取り上げるべきだという二つの考え方があったのですが、各種団体が三つに分かれていった基本となって現われてきておる。  こういうような中において、二十八年、まず第一に問題になってきたのは、最高裁判所におけるところの判決の問題、これは御存じの通りにその価格評価というものが正しいという見方をしていったわけです。この内容の原文は御承知だと思いますから私はここで申し上げません。それに伴ってまず第一点としては、農林大臣は、私はおそらく正しい判決であるとおっしゃられると思いますが、これは非常に大事な基本になる問題ですから、一度これは確認していただきたい、こう思うわけです。
  17. 福田赳夫

    福田国務大臣 昭和二十八年の判決は、私どもこれは正しい判決であり、これを尊重すべきものである、当然そう考えております。
  18. 中村時雄

    中村(時)委員 そうするとそれを契機にいたしまして、しばらくたってから、御存じのように片一方は補償の要求、片一方は小作地の取り上げ、この小作地の取り上げの方は、集団的小作地引き上げの実態というものが農林省から発表されておりますが、そういういろいろなことがあって、その結果私ども香川県の現地に行って調停まで入ったわけです。そのときに農林委員会といたしまして、六月三日に決議いたしております。その決議の内容御存じでいらっしゃいますか。
  19. 福田赳夫

    福田国務大臣 私ども今承知しておりません。
  20. 中村時雄

    中村(時)委員 このことはよく覚えておいていただきたいと思うのです。それはこういうことを言っておるのです。「戦前の土地所有権の復活を内容とした農地改正を企図する運動が抬頭し、各地に小作地取上げが頻発していることは寔に遺憾である。」として、「農地買収が適法であった趣旨に鑑み、政府農地改革以前の地主制の復活を阻み、耕作者の地位の安定と農業生産力の増進を目的とする現行農地法を厳正に施行するとともに、創設された自作農の維持育成について万全の措置を講ずべきことを期待する。」こういう旨の決議をやったわけであります。このことは何を意味するかということはあとにお尋ねしていきたい。  そういうような実情の中において農林委員会並びに農林大臣の所管機構は、一応この問題は無理ではないかという考え方が大体基本となって現われておった。そのときに時たまたま、私がこの前委員会で読み上げましたが、佐藤貞なる方が、農林委員会がなぜ反対するのか、それは農林省の中の一部の赤の手先になった連中から金を一千万円もらっているのだというような趣旨のパンフレットを出し、あるいは各地区において演説を行なった。それに対するところの参考人としての取り上げ方を御依頼しておる。その結果はまだ出ておりません。いずれ理事会において賢明な一つの方向が打ち出されると思うのです。そういうような状態の中においていよいよ地主攻勢が激しくなってきた。その当時の新聞社説というものは御承知の通りほとんど反対いたしております。しかしそのときの新聞を一つごらんになってもわかるように、こういうことが書いてある。「今秋こそはの意気、メドをつけぬと組織にヒビ?」という大見出しで、これはほとんどの新聞に出ておるのであります。農業新聞にも出ましたし、読売新聞にも出ましたし、朝日新聞にも出ましたし、産経にも、いろいろなところに出ましたが、ここから自民党と今言った地主団体との一つのきずなが生まれてきているわけです。それには「自民党ぐらつく、川島幹事長も熱入れる」、その中の一に、自民党内にかなりの同調者をわれわれとしては獲得できた。すなわち、去年下條派の国家補償連合会から分立して、今会員二十五万と誇称する日本農地犠牲者連盟では、会長代行委員に新潟県選出の参議院議員小柳氏、兵庫県選出衆議院議員原健三郎氏、群馬県選出の参議院議員木暮武太夫氏を据え、ほかに顧問として綱島正興氏ら百余名の衆参議員を委嘱することに成功した。一方また別の下條康麿氏の全国解放農地国家補償連合会、これは会員が六万と誇称している。大村清一氏、山本勝市氏ら衆参四十名の議員を顧問に据え、顧問会を開いてどう要求を実現するかを協議しておる状態である。これらは与党議員が一、二年前の口先だけの同調から親身に考える方向に変わってきていることを物語るものである。  同時に、そういうような状態の中から特別委員会というものが党内で設けられてきておる。すなわち、岸内閣にかなりの理解者が現在でき上がってきた。今日岸総理自身は今は国家補償の必要はないと先国会で言明しておるが、地主団体の存在なり要求にはかなり心痛いたしておる。事実このことはこの前の国会のときに私は発表をしておいたはずです。そういうような状態の中からまた川島幹事長は、自民党政調会内に農地政策小委員会ができたあと、地主団体の理事会の席上で、近く特別委員会を必ず設けて皆さんの御希望に沿うようにいたします、こういうことを言明しておる。地主団体はこの言質の実践を連日要求して、近く設置されると確信するに至った。このほか、当時の村上国会対策委員長、松永文相、鹿野経企庁政務次官、田中官房副長官らは、いずれも連盟顧問としてつながっておる。従って明年度に補償金の予算化は無理としても、特に政府内部には調査機関が作られ、補償が一応これによってめどがつくようになってきた。こういうように発表しておる。  その次にはどうしてこういうような結果になったか、すなわちここに一つの大きな問題があるわけです。それはどうしてこれらの幹部になった方々がこのような運動に積極的になったかということは、選挙にからんでこれだけの人員がおる。これもやむを得ないと思っておりますが、それらを何とか包括したいという一点と、もう一点の問題があったと思う。それはどういうことかといいますと、こういうことになっておるのです。今までの三団体が今言った小作地を取り上げるとかあるいは国家補償をさすとかいろいろな問題がありましたが、まずさしずめ国家補償という問題に焦点を置くならば統一された見解ができ上がるだろうという立場から、今度小作地の取り上げを放棄いたしまして、次にきたものがこの当時から、すなわち九月十六日ごろから今度は国家補償に切りかえていったわけです。その国家補償にどうして切りかえたか、これには組織とかいろいろな問題があると思う。それはどういうことかというと、全国の地主三百万から年二百五十円、これは金額はいろいろあります。私たちのところは百円ずつ集めております。大きいところは二百五十円集めております。そうすると会費が七億円以上になってくる。その問題をめぐって何に使われたかは知りません。私は七億は集まっておるとは思いません。話半分としても一億近くは集まったと思う。そういうような観点がこういうふうな状況に現われてきておる。幹部は職業ボスと化して生活にあえいでおる地主と運動資金を食いものにしておる。あるいはまた、補償連合会長の下条氏の独断で、運動資金の中から当時の岸幹事長に二千万円渡し、自分の選挙費用として三千万円使用した。それが同時に下條さんに対する告訴になった。そしてその連合会が分裂をしていった、こういう結果が生まれてきておる。その後そのような結果がだんだん発展をいたしまして、大体調査会ができ上がるという見通しがついたと同時に、今度は方法が変わってきた。ただ単にくれと言っておったことをやめにしようじゃないか。それであるならば見舞金と同じ程度のものはやめて、今度ははっきりした線を打ち出そうじゃないかという考え方に変わってきた。そういうような考え方に変わると同時に、保守党に対しまして強力な一つの手の打ち方をやっていった。それがどういうふうに保守党の中に影響していったかというと、御存じのように今までの調査会というものが特別委員会となり、そして今度は自民党の中においてはっきりとした性格を打ち出すような状態になってきた。そこで今度は、新しくでき上がりました農地問題特別委員会、これは田子一民さんが会長になって、これが音頭をとって三団体の要求をある程度聞いておる。そこで三団体に統一しようじゃないかと、自民党の中で話し合いをされた。私どももしょっちゅう党内の皆さんから耳にしました。そういう状態で田子さんがそれを引き受けることになって、名前は補償でも救済でもいいから、そのかわり内容というものをはっきりさしていこうじゃないかということが、大体そのときから問題の中心になってき、そうして自民党が仲介になって、ついに三団体が統一される、こういうような状態になってきたわけです。そこでこれらの三団体が統一されて今日に至ってきているわけですが、そういうような経過を振り返ってみたときに、これらの三団体が一つになって連合会を作る。そうして今度は初めて皆様方の民情部の中に事務所を一ついただいて、そこには常任もちゃんといらっしゃる。そのような状態が、これは質疑応答の中ではっきりしてきたわけなんです。そして長官も事実そういうものはあるということを認められた。そして長官自身も、それらの団体の選挙の際には推薦候補になりました。これは名誉ある推薦候補なのか、あるいはまた——ともかく喜んでなられた、こうおっしゃっている。ところがその団体の中に、福田農林大臣の名前も、ちゃんと推薦人の一人として現われておる。そこでまずお尋ねしたいのは、福田農林大臣は、これらの団体に対して、そういう御推薦を受諾されたかどうか、これをまず第一点にお伺いしたい。
  21. 福田赳夫

    福田国務大臣 私も、私自身が推薦して下さいと言ってお願いしましたかどうか、覚えておりません。まだそのプリントを見ておりませんのです。
  22. 中村時雄

    中村(時)委員 個人的の問題ですから、その問題は抜くといたしまして、それから今言った経過ですね。この経過だけはもう御存じだろうと思いますけれども、一応そういう経過であったことは御承知でいらっしゃいますか。どうですか。
  23. 福田赳夫

    福田国務大臣 経過の荒筋は私は承知しております。今中村さんのお話の中にはだいぶ解釈も入っておりまするが、その解釈の部分につきましては私も賛同いたしかねる点もありまするが、筋、さようなところは大体私の記憶と合っておるところが多いようであります。
  24. 中村時雄

    中村(時)委員 筋がそういうふうにはっきりと合っておるということになれば、大なり小なりの余のものは別として、一応認められていらっしゃる。ということは、自民党とそれの関連性がはっきりと打ち出されてきておったということだけははっきりしてきたわけです。そこでお尋ねしたいのは、そうなって参りますと、この地主団体の問題が出てくる。調査会の問題は長官にいろいろお尋ねしたいことがたくさん残っておりますから……。そういう意味で、現在の解放者同盟の考えている考え方、それがもしいけなければ、そういう部屋まで貸しているのですから、それらに対する注意が私は当然必要であろうと思う。もちろん団体であるから何をやらしてもいいじゃないかというわけには参りません。このことはそういう団体のために、たとえば引揚者の問題であるとか、あるいは御存じの通り恩給の問題であるとか、もちろん遺家族の問題は別といたしましても、そういうことがだんだん加算されて、非常に重大な問題になっている。ただ圧力団体であるというような建前からのみによって、それに一つの識見をはっきりとよう打ち出さなかった。たとえば片一方において総評がそういうことになっておるのはけしからぬと言ってみたり、いろいろおっしゃってみても、自分自身においてもそういうような事柄が結果においては出てくるのですから、そういうことを、あなたの冷静なる、シャープな判断によって、いけないものはいけない、注意すべきものは注意するというふうに考えておっていただきたい、私はこう思うわけです。  そこで、これらの団体の会則を私はちょっと見てみたわけです。そういたしますと、その目的及び事業はこのようになっておるのです。「此の会は農地解放者が農村の中核体たるの自覚に基き、戦後の画期的な農地改革による各種の影響に鑑み、これを調整し、農地関係者の安定による新農村建設に積極的に寄与し、以て平和日本の発展を招来することを目的とする」その第二条には、「此の会は前条の目的を達成するために左の事業を行う。解放農地に対する不当なる補償価格の是正に関する事項、農地解放に関する実態調査、農地及び農地制度の研究」以上であります。そこで私はお尋ねしておきたい。このことは、私はいい悪いは別にいたします。しかしこの実態の中からいろいろな問題があるわけなんです。というのは、これからずっと私が質問をしていく中において、その質問の要綱が、自民党の今の特別委員会の答申案となってそのまま出ている個所がたくさんあるわけです。そういう立場に立って農林大臣にお尋ねするわけですから、その点明確にお願いしたいと思います。  そこでまず第一に、長官もこの団体の推薦を受けていらっしゃるのですから、その農地解放に対する不当なる補償価格に関する事項を事業としておる。しかもその目的は、「農地解放者は農村の中核体たるの自覚に基き、その農地改革による各種の影響を調整する」、こうしているのです。これは旧地主が失地回復して、かつての地主によるところの農村支配をうたっているものである、私はこう思うわけです。というのは、農地解放者は農村の中核体であるというのですから、そうすると土地を取り上げられたところの地主そのものが、農村の中核体になっておる。そうすると昔の地主制度そのものを復活さすのは違憲ではないかという声が出てくる。質疑の中にもたくさんあったと思うのです。それはここから出てきておるわけです。だからこのことは昔の地主制度の農村支配をうたっておるものと私は解釈しておるわけです。そこでこのような団体の目的及び事業に対して、本案が不離一体となって提出されたことが私は一つの考え方の基礎にあるのではないかということを憂えるわけです。そういう立場に立って現在農林大臣はどういうお考えをもってこれに善処されようとするのか、その点お尋ねしたいと思います。
  25. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は農地改革によりまして農地の買収を受けました各位が、終戦後の混乱が安定して今日まで農村が発展してきた基礎作りの上に、大きな役割を演じたということにつきましては、率直にこれをさように考えておるわけです。同時にその買収によりましてお気の毒な状態になったものも相当あるということにつきましては、御同情の意を表しておるわけです。しかし今中村さんが読み上げられたような、また地主制度を復活するというか、現在行なわれておる農地法を根本的に改正するというような考え方は間違った考え方であり、私どもはこれは採用いたしがたいというように考えております。同時に同じ考え方に基づきまして行なわれました買収の価格の是正を行なおうという考え方も、間違った考え方である。最高裁の判例が示すように、これは合憲的に行なわれた買収であって、これに対しまして再補償をするというような立場は政府としてはとりがたいのだ、こういうふうに考えておる次第であります。
  26. 中村時雄

    中村(時)委員 それで第一点は実にはっきりしてきたのですが、ついでに長官の考えはどうなんですか。
  27. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 全く同じ考えでございます。
  28. 中村時雄

    中村(時)委員 そうするとこの団体の長になっておるのは、御存じのように田中萬逸さんが常任顧問としてやっていらっしゃる。名前は申しませんが衆議院議員の方々、参議院議員の方方、これらの方々が顧問として就任していらっしゃる。衆参両院の二百六十三名の人が顧問に名を連ねている。長官も顧問の一人である、こういうように言っていらっしゃるのですが、このような団体の要求に長官はどういうふうなお考え方を持っておるか、これを一言長官の方へ、ついでですから関連しておりますから、お尋ねしておきたいと思います。
  29. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 その具体的な問題については、ただいま農林大臣がお答えになった中に答えが当然出てくると思うのです。
  30. 中村時雄

    中村(時)委員 苦しそうなことをおっしゃっておられますが、それはそれでけっこうです。それでこれはいずれあとで長官ともいろいろ話をしてみたいと思っております。  そこで次にはこういうことが出てくる。「農地の解放者は占領政策行き過ぎによるところの犠牲者である」こういうふうに出ておるわけです。「農地解放者は戦争犠牲者ではない、占領政策の行き過ぎによるところの政治犠牲者であるから、政治的な解決をわれわれは要求するものである」こういうようなことが考え方の基礎になっておるわけです。そこでお尋ねしたいのは、これがはたして占領政策の行き過ぎであるかどうか、政治犠牲者であると言っておるが、一体これに対してどういう考え方を持っていらっしゃるか。政治的な一つ農地改革のあり方を考えた場合に、そのことが政治といいますか、そういう占領政策や政治の貧困からくるところの行き過ぎであるかどうかということを、明確に御答弁願っておきたいと思います。
  31. 福田赳夫

    福田国務大臣 占領政策が行き過ぎであるかどうかということは、これはなかなかむずかしい議論であろうと思うのです。と申しますのは、これは確かに占領軍の指示のもとに行なわれたということでございまするが、同時に日本の国内の政策としてそういう考え方をとるべからざるものと考えたというふうにも断定できないし、あるいはさらに政府自身としても積極的にとるべきであるというふうに考えたかもしれない。その辺は占領政策と国内政策とがこんがらかっている時期のことでございまするから、一がいに観念的にこうだときめつけるわけにもいくまいと私は考えるわけでございます。しかしいずれにいたしましてもこの制度は合憲的に行なわれまして、しかもこれが最高裁によって支持されているということでございますので、今日これが正しくなかったのだということは私は言えないと思う。正しい措置であった、これは法律的にはそういうふうに言わざるを得ない、かように考えております。
  32. 中村時雄

    中村(時)委員 私はこういうふうな考え方があると思うのです。あの当時農地改革というものは、小作人の地位の向上と、耕作権に対するところの問題を物納を金納にしていった。同時に食糧難のときであるので、自作農創設をすればそれに伴うところの困難性をある程度緩和ができるのではないか、この三つが中心だったと思うのです。もしかりにこれが行き過ぎであると仮定して、あの当時以来の地主制度をそのまま踏襲しているならば、おそらく小作人の地位の向上というものも考え得なかったし、あるいは生産立地の向上ということも考え得なかったし、当時におけるところの困難な食糧政策の状態を緩和しあるいは発展させるという状況は、私は生まれてこなかったと思うのです。そういう立場から考えましたら、大臣は政治家ですから、どちらにでも考えられるような御答弁であったけれども、これは非常に重要なことなので、明確にしておかなければならぬと思うのです。そういうファクターを考えていった場合に、どちらに重点があったかといえば、占領政策の行き過ぎよりも、そういう意味において安定させていった方の価値がより重大であった、私はこのように判断しているわけです。大臣はどちらかわからないように、両方のお考え方を出していらっしゃいますが、そういう点は非常に重要な基本になりますから、はっきりとした明確な御答弁を願っておきたいと思うのです。
  33. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま申し上げましたように、これは占領軍の指示で行なわれています。そういう面からいうと、これは占領政策の一環だということも言えますが、これは他面におきまして、あなたが今おっしゃるように、いろいろな思想というか、方針をこの改革において打ち出しておる、こういう面もあるわけであります。両々相待ってこの政策が行なわれた、こう理解する方がむしろ率直な行き方じゃないか、かように考えるわけであります。
  34. 中村時雄

    中村(時)委員 それはよくわかるのです。わかるけれども、地主の方から考えました場合には、いい悪いは別ですが、非常に高い小作料を取っている。こういうような小作料というものは全世界でおそらくないわけです。そのことが小作権の確立であるとか、そういうような問題で小作争議を常に起こしておった。そういうふうな実態からいいましても、地主の方としては、自分の持っている土地を云々されたというような考え方は全然出て参りません。そういう意味で占領政策としてはプラスであったのではないか、こういうことを私は言っているのです。だからそういう点においては正しい認識を持つ方がいいのではないか、私はこう思っておるわけです。
  35. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま申し上げましたような両面を持っておりまするが、今日これを顧みてみますると、戦後の施策として、これは国家安定のために相当大きな貢献をした制度である、かように考えておる次第であります。
  36. 中村時雄

    中村(時)委員 そうしますと、この解放農地の要求を見てみますと、どういうふうな形であれ、今彼らの考えていることは一律に補償を考えているわけです。将来どうなるか、政府の方でどういうふうにするか知りませんけれども、今の現実を言っているわけです。そういたしました場合に、旧地主の利益になることの方が、私はより多くなってくるだろうと思う。そうすると現実に困っている中小地主の救済にはあまりならないと思う。     〔高橋(禎)委員長代理退席、委員   長着席〕 そこで中小地主が補償よりも小作地の回収など農地改正をねらい、そのために旧地主が対立したことははっきりわかっていると思うのです。といって土地の取り上げをやたらに認めることは、わが農業の前途を再び暗い昔に返すことになろう、段階的に考えてみるとこういうふうに考えられてくる。そうすると私が今言ったように、農地改革が正しいならこういうものが排除することができるのであって、また農林大臣がおっしゃるように、どっちでも考えられるということで片一方の方に足を乗せていくと、また今言った土地の取り上げとかいろいろな問題も将来においては必然的に出てくる。あるいは調査会を作れば、そのことが補償につながるのじゃないかという憂いも生まれてくると思うのです。そういう意味において、この点は厳格に、農地改革の成果、今言った小作料の物納を金納にしていった事柄、あるいは小作人の地位の向上、率直にそういうような事柄の方が重点があるのであろうという考え方に立脚される方が私はいいのじゃないか、こう思っているわけであります。この点は基本になる問題でありますから、明確にお答えを願っておきたい。
  37. 福田赳夫

    福田国務大臣 それでありますから、そういう制度の改革から出てきておる現行の農地法、自作農主義を基本とするところの現行の農地法を、たとえば法人化というようなことで、小修正、手直しをすることはあります。しかしその根幹の精神というものにつきましては、これを変更するという考え方は持っておりません。そういう意味で私どもがこの改革を見ておるというふうに御理解を願いたいと思います。
  38. 中村時雄

    中村(時)委員 話の食い違いで御理解しにくかったかと思いますが、私の言っているのはこういうことなんです。要するに農地というものを中心にして考えた場合の問題の取り上げ方を言っているのです。農林大臣は、その中にプラス・アルファをつけるということは、今の地主の生活だとかそういうような現象面を取り上げておるわけです。しかし私の先ほどからの質問の中心になっておるのは、農地を中心にして、その上に立脚された農業政策としてのあり方を考えた場合に、これが正しいのじゃないか、こういう行き方をしておるわけです。ほかの問題は別個の問題というふうに私は理解しておったわけですが、その点が私の質問の要点だということが明確でなかったからかもしれませんが、そういう考え方からもう一度、これは基本的な問題ですから、はっきりしておきたい。
  39. 福田赳夫

    福田国務大臣 農地を基本にしてのお考え方といいまするか、今、政府の一貫して農地に対する考え方は、農地法に具現されておるわけであります。その農地法につきましては寸分もこれを動かすということはいたしませんということをはっきり申し上げておるわけであります。そういう意味において当時の改革というものも見ておる、こういうふうに御理解を願いたいと申し上げておるわけであります。
  40. 中村時雄

    中村(時)委員 そうすると、結論だけ言いますると、これが実際には占領政策の行き過ぎであるとか、あるいは政治犠牲者であるとか、極端な表現の一つの仕方とは異なった考え方である、こういう結論になるわけですね。
  41. 福田赳夫

    福田国務大臣 占領政策の犠牲だとかなんとか、そういう抽象的な観念論というか、そういうことは私は申し上げたくないのです。これはたとえばGHQの指示によって行なわれている、そういう面から見ますれば、これは明らかに言葉では占領政策と言えるわけです。しかし一面においては、今日政府が金科玉条というか、非常に大きな農政の柱として農地法の精神がこの改革の中に流れておったのですから、そういう面からいえば、これは明らかに占領政策とかけ離れた問題であるとも言えるわけです。ですから抽象的にこれは占領政策の遺物かというふうな御質問を受けますと、これはどうも両面の性格があるというふうにお答えせざるを得ないのでございます。だから私がはっきり申し上げておりますのは、今日この改革から流れ出た農地法の精神というものは政府の基本方針であり、これを作り上げた基盤というものは農地改革、農地解放、これと連なっておる、その農地解放は今日のこの農地法の精神の基底をなしておる、こういうふうに申し上げておるわけであります。それで御理解がいただけませんですか。
  42. 中村時雄

    中村(時)委員 非常に回りくどいものの考え方なんですが、要するに農地改革をやったということで農地法というものができておる、農地法というものはわれわれは厳として守っていくのだということになれば、占領政策という問題ではない。占領政策の行き過ぎであるとかそういう犠牲であるということは、この農地法に限ってはそういうことはない、こういうふうに私は理解してもよろしいかと尋ねているのです。だからその通りだということになれば話は簡単なんです。
  43. 福田赳夫

    福田国務大臣 いや、私が今三回申し上げたように私は理解しておるのでございます。これを当時の観点に立って、これは占領政策の行き過ぎからきているのかどうか、あるいは占領政策の一環として行なわれたのかというふうに端的に言われますと、これは明らかに占領軍の指示によって行なわれておることでございますから、そういう一面もあるし、同時に当時の社会情勢としてそういうことを必要とした。また今後の日本の農政の方向としてああいうことを必要としたという一面もある。しかし再三申し上げたように、今日そこから出てきた農地法というものが政府の基本方針になっているのである。その基本方針を生み出したのはこの改革であるというふうに理解しておる。これで大体おわかりではあるまいか、かように申し上げているのであります。
  44. 中村時雄

    中村(時)委員 何か奥歯にものがは  さまったようなものの言い方をされる。だから大臣の御答弁を聞いていると、大臣は頭がいいからそういう言い方をされるが、私は頭が悪いから端的に言っているのです。あなたのおっしゃるのは、農地改革というものは正しくて、その結果生まれてきた農地法を守っていくのである。このことだけは厳としてくずさないとおっしゃる。ところが片一方では、そういうことのよってくる原因として、占領政策の行き過ぎからこういうことを生じたとおっしゃるから、そのことは悪いのだという感じになる。そこで私は悪いというのはおかしいじゃないかと反論しているのです。私はそれが正しかったのじゃないかと言っている。事実そのときは和田さんが農林大臣であった。その中でこの問題を取り上げたときに、国内でも議論があったのです。たとえば小作料が非常に高率である。それから小作人の地位が非常に低位にあるというようなところから、この農地改革は占領軍が云々されたものだけれども、実際にはこういう事柄をこの際に変革しなくちゃならぬのじゃないかという意見も、事実国民の大多数の中には生まれておったわけです。そういうこととも関連しまして、私は農地改革は正しいということを考えているわけなんです。正しければこそ、今言ったように占領政策の行き過ぎであったという規定づけは、間違っているのじゃないかという考え方を持っている。頭が悪いから私はそう解釈している。(「ノーノー」と呼ぶ者あり)あなたの考えていらっしゃる事柄を聞いていると——ここに反対される方もいらっしゃる。ノーという声の方もいらっしゃるようだが、党内の方の長となられる方だから、その中を取り持って非常に苦しい答弁をしていらっしゃるけれども、あなたのものの考え方の底流は、今言った占領政策の行き過ぎというよりも、農地改革は正しいという認識をしていらっしゃるのじゃないかと私は善意に解釈しているわけです。そこのところがどうもあなたの明確な答弁が——あなた自身にはわかっておるけれども、私にはわからない点が出てくる。だからその点をどうぞ頭の悪い私に納得のいくように説明してほしいのです。
  45. 福田赳夫

    福田国務大臣 どうも中村さんは占領政策といえば一がいに悪いものであって、そういうふうな観点から、これは占領政策だからひっくり返さなければいかぬというような結論になるというお考えから、お話をされているのではあるまいかと思うのですが、私は必ずしも占領政策全部が悪いとは思っておりません。占領政策の中にもいいものが多々あるわけであります。ですから観念的に、これは占領政策の行き過ぎだ、あるいはそうじゃないのだというような議論をしても、これは私は意味がないのではないかと思うのです。いいことはいいし、悪いことは悪いのです。そういうふうに理解をしたいと思います。
  46. 中村時雄

    中村(時)委員 私は決して悪いと言っているのじゃないのです。この方が占領政策として正しかったのじゃないかということを言っているのですよ。私はそういうふうに言っているつもりなのです。あなたが聞く方で頭がいいから回転したのかもしれませんが、占領政策のほかのことは別として、このことだけは、農地改革に伴う問題だけは、今言ったように正しかったのじゃないかという観点なんです。ところが農林大臣は、私の質問に対して、それが悪かったのじゃないかというふうな誤解を持っていらっしゃる。これは大きな間違いなんです。反対なんです、私の言っているのは。その点はっきりもう一回認識し直して結論を出していただきたいと思うのです。
  47. 福田赳夫

    福田国務大臣 だから、農地改革は占領政策であるかどうかというようなお尋ねであり、それの行き過ぎであるかどうかというようなことでございまするが、これは、そういう端的な御質問でありますれば、これは明らかに占領政策の一環として出されておるのです。しかしもう最高裁もこれを支持しておるということも補償面では出てきておる。それから農地法という農林省の基本政策もここから出てきておるわけなのです。そういうところから顧みまして、それらの今日是認されておる方針なり思想というものは、この農地改革から出発しておるというふうに理解しておる。これで御納得がいかないはずはないと思うのでありますが……。
  48. 中村時雄

    中村(時)委員 あなたはまことにいいことをおっしゃっているのです、ときどき。たとえばイエスかノーか、端的にこうだということをはっきりおっしゃっておる。ところがいよいよ答弁になると、それがはっきりしなくなってしまう。こういう考えだからということは、私に推察をまかせる、こういうことなんだろうと思う。そこで私が推察ということは、あなたの立場も考えるが、大事なことだから、これは私の推察が正しかったのじゃないかということを一言言っている。ところが正しかったのじゃないかということを言うと、次から次へ関連事項を出してくるので、まあ頭のいい証拠なんでしょうけれども、それでは納得がいかなくなる。それはやはりわからない人にわからすことが言葉なんだから、その点では農村の方々には、これは正しかったのだ、それで小作人もこうなっておるのじゃないかという方向が、私は率直簡明でいいのじゃないか、こう思っているから御質問しているわけなんです。
  49. 福田赳夫

    福田国務大臣 占領政策云々ということを抜きにしまして、これは正しかったかどうかということの御質問でありますれば、これは正しかった措置である、かように考えております。
  50. 中村時雄

    中村(時)委員 時間がないので、私もできる限りあなたの御趣旨に沿いたいと思ってやっているのですけれども、それだけあればもう事は一分で済んでおったわけなんですが、それで正しかったという結論が一つ出たこと。  次に二、三とありますが、これは今言ったように、農地改革に対してはみんな反対でないという結論が出ましたから、それは別にして、その次の第六にこう書いてある。「農地改革は農村平和を紊す禍根となった」その一つの註釈として、「農地改革は、解放者には再起不能の大出血を強制し、その反面には買受者には予期しない財産的利益を与えるという、反民主的な政策上の失敗を招き、それが農村の平和を紊す大きな原因となっているのは明らかであるから、政府は一日も早くこのような禍根を取り除いて、平和な農村を再建するため、農地問題の早急な解決が必要である。」こうなっておる。このことは何を意味するかといえば、確かにその一部分は私たちも肯定するのです。たとえば農地の問題にしましても、非常に急騰している。しかしそのことをもって旧地主に対する云々とは別問題であります。そのことは明確にしておかなければならぬ。ただし今の地主さんのおっしゃっていらっしゃるように、非常に困っていらっしゃる人がいないとは私は断言いたしません。だから、そのことも勘案しながらこの問題を考えるけれども、しかし旧地主だけを対象にしてその問題を取り上げるということになれば、おそらくこれはほかの方々も質問されたと思うけれども、封鎖預金の目にあった者、あるいは戦災者、あるいは旧学徒の動員の問題、あるいは徴用工の問題とか、いろいろな問題が、一つ組織を持った場合には何らかの方式をとらなければならぬという状態が生まれてくるであろう。そういうことをやっておったのでは、自民党の方がどんなにがんばってみても、それだけのことはできないと私は思うし、それはしんぼう願える点はしんぼう願わなくちゃならないし、そういう点はやはり政治家としてはきぜんたる態度が必要だ、こう思っております。そういうような立場からいっても、今言いますように、どういいますか、ただ土地が高騰したからといって、その問題だけを取り上げることは私はどうかと思う。  そういう立場から、一、二お尋ねしたいのは、農地改革を否定するものではないが、きわめて矛盾する、こういうことは旧地主制度が復活するものではないかと言ったら、それは復活しないのだ、それもはっきりしてきているから、次の問題として、第六の項目だけでも、私はどういいますか、そういうふうな裏づけを——ただ単に、大出血を強制し、その反面には買い受け者には予期しない財産的利益を与えておる、そのことがこのままに放置されていくなれば、私はそういう解釈をそのままうのみにしていけば、いろいろな問題が起こってくると思うのです。私は、この問題の中において、今言った農地をそういうふうにとられていった、そうして買い受けたところの、以前の小作人の人たちが、非常に土地が高騰したから、それでその人たちがもうけておるのでけしからぬという解釈の仕方によって、この調査会がそういう目的の調査をしようというなれば、これは問題があると思うのですが、この点に関して農林大臣はどうお考えになりますか。
  51. 福田赳夫

    福田国務大臣 ただいま提案いたしておりまする調査会は、農地の買収によって起こるところの社会的の諸問題を調査してみよう。私ども農地解放による犠牲者と申しますか、被買受者ですね。この方々が非常に困っておるという話を伺うわけであります。それに対しましてどんなに困っておるか、政府は知っておるかと言われても、これに答えるところの資料、材料というものを持ち合わせいたしておりません。さようなことで今回総合的に調査してみたい、かように考えておるわけでございまして、その一環といたしまして、農地を売った、その買受人が持っておる土地が他に転売されているということ、これに関連して調査事項というような問題があるいは出てくるかもしれませんが、これはその措置につきましては必然的に一連の問題ではないか、かように考えております。
  52. 中村時雄

    中村(時)委員 今申しましたその調査の内容とか対象とか調査項目とか、あるいは抜き取り調査にするのか実態調査にするのか、あるいは演繹法にするのか、どっちにするのかといういろいろな問題は、私は今後における長官の残された責任になるから、長官にただしてみたいと思っております、それは技術的な問題になるから。ただあなたは知らないと言いながらも、事実は農林省においても部分的であるけれども、抜き取り調査をやっておる。あるいはまた自由民主党の中においてもやっていらっしゃる。そういうある程度のデータはあるわけであります。それらを基礎づけて云々されるのではなくて、大きな形で云々しようとするには、これは調査の内容に入っていきますから、そこでこれは長官に移行するとして、農林大臣はその問題は一応お預けにしましょう。  そこで今言ったように農村の平和をこの農地改革によって乱すということは、土地の価格の高低の問題からきている。農村のいろいろな階級分化であるとか階層分化というような問題にからめて、農村の平和を乱すとは思っておらないのです。それは別の事情によって階層分化の線があるものだ、このように理解するのですが、大臣はどう理解していらっしゃいますか。
  53. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは私もそういうふうに考えます。別の問題であると思います。
  54. 中村時雄

    中村(時)委員 それからその次にくるものは、これはあとから出てくる問題なんですが、自由民主党の今の特別委員会の中でいろいろな答申書を出している、三つの原案があるのですが、それがこの基礎になっているわけなのです。  そこで第三には「土地の強制収用価格は実際の買収をした時価とするのが正当である」今の価格が出てくるわけです。そのときにこういうことを言っている。「土地の強制買収価格は、実際に買収した時の時価とするのが、法律上も行政上も定説になっているのにも拘わらず、」これは学者の中にもいろいろあります。これが正しいという方もあるし、あるいは今の農地改革が正しくないという方もあります。そういうような観点からきているのだろうと思うのですが、「行政上も定説になっているにも拘わらず、政府は、実際の買収時期より一年以上もさか遡った昭和二十年十一月二十三日現在の価格を一方的に押しつけたのは余りにも不当な措置であるから、事実上の買収時期であるところの昭和二十二年乃至二十五年当時の時価を買収価格とするのが至当である。」こういうふうに言っておるわけなんです。これはインフレの問題がこの中に入ってくると思うのですが、そういう問題があるわけなんです。そこでこの価格の問題が高裁の判決という問題にからんでおる。それが正しいかどうかの認識が生まれてくると思う。ところが口では言っている高裁の問題が一応判決になって、司法上、行政上、立法上の立場からいっても正しいのだ、こういっているのですから、腹の中ではこれはちょっと無理じゃないかという考え方を持っていやしないかと私は思う。そのことがいろいろな面においていろいろな角度から、問題の調査会であるとか、あるいはあとになって出てくるところの目的税の設立のような問題であるとかというような問題に発展してくるのだろうと思うのです。  そこでもう一回確認をしておいていただきたいことは、判決が正しいということになれば、これは合憲であるという結果になる。合憲であるという結果は、この団体の言っていることは少し無理だということになる。私はそういうふうに三段論法で考えているのですが、農林大臣はどういうふうに考えていらっしゃるか。
  55. 福田赳夫

    福田国務大臣 私どもは行政府として最高裁の判決がありました以上、この判決を尊重するという立場をとらざるを得ないのでございます。もし農地補償ということを団体が言われるというようなことがありますれば、それは政府においては支持できない、こういうことに相なります。
  56. 中村時雄

    中村(時)委員 そうするとこれはいともはっきりとしているわけなんです。その次に第七項には補償財源、これが大へんな問題で、農林大臣もお聞きになったと思うのですが、財源のあり方ですね。一般予算から出すのではなくて、財源というものはこうあるじゃないかということを考えている。その考え方の基本が、次にくるところの自民党の転用、転売税というような問題にまで発展してきているわけですが、「補償財源は一般租税負担によらず、売渡未済解放地の処分等の方法によって十分ご捻出することが出来る。」こういうことになっているのです。こ  のことについて一応基本となるものは、同じようなことが農地問題に関する答申書として、自由民主党農地問題調査会から三十三年十二月十一日に出されている。これは全部読み上げましたら大へんですから、これは一応読まれたと仮定して——というよりも大体御存じなんでいらっしゃいましょう。——農林大臣御存じのようにうなずいていらっしゃるから。そのうちの第二項にこういうことが書いてある。この問題を受けてこれと完全に一致している。それはそれでいいのです。悪い点は悪い、いい点はいい、明確なものは明確にしていただいたらけっこうだと思うのですが、「農地の転用、転売により耕地の失われつつある現状にかんがみ、農地の造成及び解放農地問題解決のため、財政上の支出を要する事あるを考え、これが一般会計よりの過大の支出を防ぐ為、農地の転用、転売に対して相当の課税をすること。」こういうことが答申書に出されておる。もちろんあなたのようなシャープなりっぱな方がいらっしゃるから、これが全面的にそのまま受け入れられるものであろうとは思っておりません。思っておりませんけれども、やはり今言ったように旧地主の方々とこの特別調査会とは完全な関連を持っていらっしゃる。いやしくも政党政治である以上は、党の中にあるところの一つの発言権というものは、政府機関においてもかなり強い大きな問題になって現われている。今度の予算の編成のときにはっきりとおわかりになっていると思うのです。そういうようなことを考えた場合に、それをそのままないがしろにしておくわけには参らないと私は思うのです。そこで私はかりに百歩譲って、先ほど言ったようなことをどうしてもやらなければならぬ、大蔵大臣もともかくはっきり返答ができない。ただこういう目的税みたいなものはやれませんとは言っているけれども、何らかの措置はということが、この間の答弁の中に裏面にちょろちょろと出ているわけです。そういうことを考えた場合に、もし百歩譲って、こういうような転売などに今言った目的税のようなものを取ったと仮定いたしましても、私はここで一言農林大臣にお願いをし、考えてもらいたいことがある。それはそのような問題があった場合に、先ほど言ったように旧地主を対象にすることよりも、在村地主で困っているいろいろな方がたくさんいらっしゃる。その人々を前向きにするためには、土地改良費とか、そういうような農業の生産立地を向上するような方向にまず第一義的に考えてもらいたい、こういうふうに思っているわけですが、これに対してはどういうお考えを持っていらっしゃるか。
  57. 福田赳夫

    福田国務大臣 それは私も同感です。小委員会では特定の財源として農地対策の財源に充てるべしというような結論を出しているのでございますが、私はもし財政支出を要するというならば、何もそんなけちくさい特定の財源を物色する必要はない。堂々と国家の一般財源を充当してしかるべきものである、かように私個人としては考えております。しかし他面におきまして今土地問題というのは相当の大問題でございまして、全国にわたりまして、被買収の農地ばかりではありません。たとえば国家の投資によって、その付近の土地が値上がりをするというようなケースがずいぶんあるわけであります。一般論といたしまして、私はさような土地の転売による利益を国家に奉納すべきものであるという考えは、今後検討すべき問題であるというふうに考えておりまするが、しかしただいまのような被買収の農地だけを対象にして、そういう特定の財源を求めるというふうな考え方には、私個人としては賛成をいたしかねます。
  58. 中村時雄

    中村(時)委員 その点に関しましては私はまことに正しい見解であろうと思うのです。ただ今言った旧地主だけを対象にして被買収農地だけにその問題を取り上げようという考え方はない。私の考えでは、そのことを考えているのはおそらく党内における一部の方だと思っているのです。そういう点ではあなたの健全な考え方の打ち出しがあったわけなんです。  そこで一つ考えてもらいたいのは、今言った旧地主の方々がいろいろな項目をあげていろいろな折衝をされていらっしゃる。もちろん旧地主の方々の一部分には、私たちもほんとうに気の毒だなという感じ方を持っている方々もいらっしゃる。そのことはそのことで、軍人恩給の問題でもそうでありますが、たとえば社会保障制度の中に入れて、そういうものを一つにした、将来における社会保障制度のあり方として考えていくべき筋合いのものであろう、私はこのように考えております。同時にまた旧地主だけを対象にするのではなくして、先ほどおっしゃったように全体の一つのワクとして調査なら調査を進めていかれるような機構を将来自民党の——しかも大政党であります。そのような状態の中に立脚さしていかれるのがほんとうの姿じゃないか、こう私は思っているわけです。  そういう考え方をもって参りますと、あなた方の民情部の中にある、今言った旧地主連盟の方々に対しては、そういう考え方は今後一切取りやめにしていただきたい。やられるならば、勝手にやられるのはけっこうです。ただそういうものが結びついておるから誤解を受けるわけです。そうでしょう。そういうことがないということが今条件的にはっきり言明されてきたわけです。ここに同僚の方々もいらっしゃるでしょうけれども、そのことは大乗的に考えて、団体はあくまでも団体であります、だからその団体のいろいろな要求は当然であります。しかしそれが行き過ぎた場合には、それを断固としてはっきりさすだけの識見と土性骨が要る、このように考えているわけなんです。そういう立場からいっても、せめて農林大臣のようなシャープな方が、そういう点だけは明確にして、そして党とそういう団体とのきずなを——もちろん社会党だって同様だと思うのです。総評と政党というものは基本的にはおのずから考え方が違う。私の考えですから、だれがどう申したってはっきり申し上げますが、片一方はあくまで経済闘争を主体にする、政党はあくまで政党である、そういう立場を堅持してすっきりした態度をとっていただきたい、このように考えているのですが、それに対する農林大臣一つのお考え方、あるいはそういう事柄があるとするならば、それに伴った一つのあり方を、この際はっきり明言しておいていただきたいと思う。
  59. 福田赳夫

    福田国務大臣 私どもの属する自由民主党の考え方、これはとにかく農地買収によって買収を受けた旧地主の方々は、まことにお気の毒な状態であると考えておるわけです。もちろん全部が全部というわけではございません。同時にまたこの買収措置によって国の安定のためにずいぶん貢献をされたということではございませんが、ともかくお気の毒だったという感情を持っておるわけでございます。そういうお気の毒な状態等につきまして、社会的問題と言っておりまするが、そういう各種の問題を一つ調査してみよう、こういうのが本案の趣旨でございますが、これは別に地主団体からの圧力でそういう考え方をとったということはないのです。これは率直に党みずからが考えて、そういうことをやっておるというふうに御理解を願いたいのです。圧力団体の圧力に屈したというものでもないわけなんです。そういうことで、この被買収者の団体もございまするが、党と連絡をとってこういう措置をとる。政府の考え方というものは、これはもう独立した、きぜんたる見解から出ておる次第でございまして、その間の両者の考え方をいろいろ皆さんごらんになられましても、向こうは補償と言う、政府は補償をしないとか、基本的な点において違っておる点も御理解をいただけると思うのでございます。政府政府としてこういうことを考えておりますので、何か不都合の点がありますれば、そういう観点から、これを是正するのに決してやぶさかではございません。
  60. 中村時雄

    中村(時)委員 えらい一生懸命になりまして旧地主の団体に屈したのではないと言われるが、人間、痛いところをつかれたら一番声を荒立てるのです。あなた自身はそう考えられなくても、経過をずっと言ったら関連はあるわけです。大会にもあなたの党の方々が出ていらっしゃる。顧問にもなっていらっしゃる。そういう事柄はけっこうです。私はそのことに対してはとやかくは申さない。ただ言っていることは、そういう地主団体は団体としてあるべき筋合いのもの、そうでしょう。しかし政府はあくまでも政府であるべきものです。それが今言ったように民情部が部屋を貸したりしているものだから、問題がこんがらかってくるのですよ。あなたの方が正論でぴしゃっとくればくるでけっこうです。くるならば、そういうものを整理した結果において出てこなければならない。しかし実際はそうでない。しかもそれらが掲げる項目が、大会の何らかの討議になって、その結果は必ず特別委員会でその発表が出てくる。そうすると、あなたはそうでないとおっしゃっても、現実の行為の実証の上からいってはっきりしたものが出ている。けれどもそのことは、あなた方が圧力団体に屈したとも私は申しません。また屈しないとも言わないことにしましょう。あなたの立場もありましょうし、またその他の方々もいらっしゃいますから。ですから、そういうような事柄でなくして、私がせめてあなたに最後の一点としてお願いするのは、そういう誤解のないように、そういうものをきっちりと別の団体としてワクをはめなさい。あるいはあなた、金があるなら、個人的に気の毒だからと言ってやってあげるのもけっこうです。そういう立場ですっきりしなさいということが第一点です。  それから長官にこの際一つお尋ねしておきたい。それは、あなたとはいずれいろいろお話ししたいと思うのですが、予算書の中の百六十二ページに農地被買収者問題調査委託費というものが出ているわけです。これが、前年度の予算額が四百万円、三十五年度の要求額が三百八十八万円、こうなっておるわけです。あなたも宙で知っているでしょう、そんなこと。そこで調査会の問題は別に質問するとして、この昨年度の四百万円という金、これは一体来年度につける予定でいるのですか、どうですか。
  61. 福田赳夫

    福田国務大臣 先ほどの御質問におえいたします。民情部云々のお話でありますが、私もよく事情を承知いたしませんが、しかし御趣旨はごもっともでございます。政府政府、団体は団体でございます。そういう趣旨で私も善処いたします。
  62. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 後段のお尋ねでございますが、つける予定でございますけれども、御存じの通り三%歳出の経費節減という大蔵省の方針がありまして、三%減りまして三百八十八万円ということになるわけであります。
  63. 中村時雄

    中村(時)委員 そういたしますと、あなたの考えていらっしゃる調査費の一千万円という考え方の中は——これは二年間でしょう。そうすると三百八十八万円をもって調査委託費として実際に行なおうという考え方なんですか、どうなんですか。
  64. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 その通りであります。
  65. 中村時雄

    中村(時)委員 そこまでわかったら、これは大へんな問題が出ますよ。これはあとで質問いたしますけれども、三百八十八万円くらいをもって一体何ができるか。あなたは調査をやったことがありますか。私は調査マンとして在来やっておった経験からみても、これは大へんな問題になると思いますから、この調査の問題に関しましては、そのこと自身を中心にしていろいろお話し合いをしてみたいと思っております。  農林大臣にはまだいろいろ、証券の問題とか、あるいは今言った内容をもう一歩深めた特別委員会の中間報告の問題とか、お尋ねしたい問題もありますけれども、お約束はお約束として果たすという建前から、これをもって農林大臣に対する質問だけは一応終わることにいたします。
  66. 福田一

  67. 受田新吉

    ○受田委員 お急ぎの農林大臣に十分ほど質問いたします。お答えも一つ短時間にお願いいたします。  先ほどからしばしば御説明されておる、今回の提案理由説明の中にある「被買収者に関する社会的な問題」という、社会的というものの定義を一つ御答弁願いたい。
  68. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは社会的問題でございまして、買収によって被買収者が生計上どういう状態にあるであろうか、またその生業がどういう状態であろうか、また一般経済に与えた影響がどういうことになっているであろうかというような問題、そればかりではございませんけれども、主として生活上の問題、また生業上の問題、また経済上の問題、これをさしている次第でございます。
  69. 受田新吉

    ○受田委員 社会正義の上に立つ問題という根底を考えての社会問題だということですか。
  70. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会正義感というか、ちょっとむずかしい質問でございますが、要するにただいま申し上げましたような内容を持ちました社会的角度の種々の問題だ、こういうことでございます。
  71. 受田新吉

    ○受田委員 そうしますと生活が困っている、つまり生きるための権利、人権、生活権、こういうものを中心の社会問題、こう了解してよろしゅうございますか。
  72. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは生活がどういうふうになっているだろうかという実態上の調査なんです。そこへ何ものも主観的なものは入れておらないわけでございます。それから生業がどういうふうになっているだろうか、これもまた主観的にどういうことというような前もっての前置きなしに、客観的にどういうふうな状態だろうかということでございます。
  73. 受田新吉

    ○受田委員 この調査会ができて調査される事項が、そうした生活に困っている人々を救うという以外に、今生業とおっしゃったのでございますが、業務態様がどうなっているかによって生きるための最低保障以外に、ほかの方面に波及するというものを考えるわけじゃないですね。
  74. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは調査に関連してこういうふうにすべきだというふうな御意見も、あるいは調査会の結果出るかもしれません。しかしこれは派生的な問題でございます。とにかく調査会がどういうことを言いますか、その言われることを待って政府の方といたしましては、この問題をどういうふうに扱うかということを考えていく、こういうことであります。
  75. 受田新吉

    ○受田委員 政府はその社会的な問題を、生きるための権利が奪われておるという問題に限定してかからないと、新しい問題がそこへ派生すると思うのです。業務の態様がどうなっているかという生業の中身を検討することになるならば、地主であったならばもっとりっぱな生業ができておったであろうが、地主でなくなったために今のような仕事でがまんしなければならなかった。生きるための最低保障はできているにかかわらず、もう少し大きな生活程度を高めるための考え方を検討するとかいうことになると問題だと思うのです。これは社会的な問題ということはそうした意味に限定して考えておかれないと、新しい補償的な要素の問題が派生するおそれがあると思うのでございますが、そこをはっきり限定して御答弁願ったならばわれわれもある程度の了解をするのにやぶさかでない点があると思うのです。
  76. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは結論と申しますか、政府がどういう考え方をとるということをまだ予定していないのです。政府がはっきり申し上げ得ることは、いかなる答申がありましても再補償はいたしません。また農地法の精神を変えることはありません。これははっきり申し上げます。しかしその他の問題につきまして、今予定した見解というものは持っておらないのでございまして、実態が率直にどういうふうになっておるだろうかということを認識して、その上に立ってまた御相談をいたしましょう、こういうことに相なろうと存じます。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 政府のそうした考え方をもって、学識経験者の中から調査員や専門調査員を置くことになると、いろいろな型の人が出てきて、あなた方が今副次的に考えておられるような生業の問題などに重点を置くような結論が出るおそれもあると思うのです。学識経験者の中から選ばれる調査員や専門調査員の選考にも波及する問題ですよ。はっきりぴしっと限界をきめて、社会問題というものは生活権を脅かされるような人々を何とかする問題であるということで、普通の形で生きて普通の生活をしておられる方々にまでこれが波及するものではないということを打ち出され、そうして調査員や専門調査員を御任命になる。総理大臣が御任命なさるのですから腹案ができておると思いますが、腹案なしにこれを法律に通した、そして勝手に任命されたということになると大へんなことになりますので、腹案もあわせて御答弁願いたいと思います。
  78. 福田赳夫

    福田国務大臣 生活に非常に困窮しておる方もおろうかと思いまするが、これは調べてみなければ困窮されておるのかどうかもわからないような状態でございます。それだけに限定して調査というのは、調査の技術上不可能な問題でございます。さようなことで調査の対象といたしましては、被買収者全体につきまして抜き取り調査をいたしますかどうかと思いまするが、受田さんのおっしゃられることは措置に関連していろいろお話し下さっておるようでございますが、措置のことにつきましてはただいま予定した考え方を持っておらない、こういうことであります。また調査会のメンバーというものにつきましても、ただいま伺っておりますとまだ成案が出てない、こういう話でございます。
  79. 受田新吉

    ○受田委員 今あなたのおっしゃったことに関係して、措置は考えておらぬと言っておられまするが、「要すれば所要の措置を講じて参りたいと存ずる次第であります。」こう書いてありますが、これはどういうことですか。
  80. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 要すればという意味は、もし必要なればという意味であります。
  81. 受田新吉

    ○受田委員 所要の措置とはどういうことですか。
  82. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 それは答申を見ないとわかりません。
  83. 受田新吉

    ○受田委員 答申によって所要の措置という場合は、たとえば生活権の擁護の措置とかいうものも含まれるのですか、そういうものは含まれないのですか。
  84. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 これはまだ調査会もできませんし、調査の結果の答申もはっきりしない今日、そういうことをお答えすることは不適当であろうと思います。
  85. 受田新吉

    ○受田委員 しからば所要の措置というのは何を意味するのですか。
  86. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 まだ答申も出ておりませんので、いろいろ想像して申し上げることは適当でないと思います。
  87. 受田新吉

    ○受田委員 これは大へん不届きですよ。要すればという場合に、答申が、出れば、こう書いてある。「その実情を明らかにするとともに、」今お説の通り、必要があれば所要の措置を講じて参りたいと思うというのです。所要の措置を講じて参りたいと思うということになれば、次の所要の措置じゃないですか。次にそういう結論によって必要があれば所要の措置を講ずるという意味は、福田農林大臣が言われたような所要の措置は全然問題にされてないなどと言っておられるが、政府提案理由ではっきり、必要があれば所要の措置を講ずると書いておるじゃないですか。これはどういう意味ですか。
  88. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 たびたびお答えしております通り、まず実態を明らかにすることが第一段階であり、第二は、所要の措置が必要でない、あるいは必要であるかもしれない、必要の場合には、かくかくこれこれのことは必要ではないかという答申が予想されるわけであります。その上ではっきりお答えいたす、こういうことであります。
  89. 受田新吉

    ○受田委員 それでは提案理由を書き改めなさい。「所要の措置を講じて参りたいと存ずる次第」ということを消してしまいなさい。実情を明らかにいたしたいでおけばいいじゃないですか。要すれば所要の措置を講じたい、こういうところまでは行き過ぎじゃないですか、いかがですか。
  90. 福田篤泰

    福田(篤)政府委員 前にお答えした通り、必要なればという条件付でありますから、その通りの提案説明でいいと思います。
  91. 受田新吉

    ○受田委員 必要とあれば所要の措置を講ずる、所要の措置というものは何かの措置ですよ。その措置の中には生活権を守るための適切な措置というようなことも考えられるということじゃないですか。福田農林大臣、いかがですか。
  92. 福田赳夫

    福田国務大臣 これは必要があれば措置をとらなければならぬというふうに申し上げているわけでございますが、私が申し上げておりますのは、その措置の内容につきましてはただいま予定した何ものも持っておりません、こういうことを申し上げておるわけであります。
  93. 受田新吉

    ○受田委員 しかしその措置というのは、その人の生活を守るための措置も起こってくるし、またそういう必要のない場合も起こってくるであろう、そういうような措置の場合には何かの措置が考えられるわけなんです。それは今内容は考えておらぬと言っても、そういうような必要がある場合には、そういう生活を守るための措置——社会問題ですから、社会問題に必要な措置といえば、社会問題に適切な生活権を守るための措置ということも考えられるのじゃないですか、いかがですか。
  94. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会問題でございますから、広範な各種の問題でございますが、事生活権という問題になりますれば、これは農地問題に限らず、あらゆる国民に対しまして生活権を守るための措置というものは講じなければならぬし、現に生活保護とかなんとかいろいろ政府もとっておるわけでありまして、さようなことに限定されてどうだと言われるとなかなかお答えも困難なんでございますが、とにかくどういうことをこの調査会が言われますか、それも参考にいたしまして、所要の措置を講じていきたい、こういうことを申し上げておるわけなんです。
  95. 受田新吉

    ○受田委員 この問題は徹底的にただしておかないと、われわれ委員会は二カ月かかろうと三カ月かかろうと通すわけにはいきませんから、はっきり御用意を願っておきます。それがはっきりすれば、またそのとき必要な措置を講ずる場合が起こってくるだろうと思います。  私は今御答弁を願ったことに関連して、この次までに農林省から資料を出してもらいたいことがあります。その前にちょっと資料に関係しての質問ですが、農林大臣は日本の適正農家の耕作面積をどれだけだ——これは地方によって違いますけれども、大体日本全体で平均どれだけだと考えられますか。
  96. 福田赳夫

    福田国務大臣 平均は現在七反歩というふうに調べられておるわけでございますが、私は大いにふやしていかなければならぬというふうに考えておるわけであります。ふやすといっても、開拓だ、干拓だ、あるいは移住だというようなことをやりましても、なかなかむずかしいことでございますが、しばしば私は国会の各委員会、本会議等で申し上げております通り、生産性の向上をはかり、また同時に農家人口の調整というか、そういう角度の考え方を取り入れまして、耕作反別の平均というものを大いに上げていきたい、こういうふうに考えております。
  97. 受田新吉

    ○受田委員 適正農家は七反歩ですか。それで十分生計ができる基準ですか。
  98. 福田赳夫

    福田国務大臣 いや、現在が七反歩ということです。
  99. 受田新吉

    ○受田委員 現在の適正農家はそういうことですか。
  100. 福田赳夫

    福田国務大臣 現在の平均がそうなっておるということを申し上げておるのです。
  101. 受田新吉

    ○受田委員 私は適正農家の基準をお尋ねしておるのです。
  102. 福田赳夫

    福田国務大臣 適正農家の反別がどうかというような質問に対しましては、なかなか答弁が困難であります。果樹をやっておる人もありますし、鳥を飼っておる人もありますし、あるいは米を作っておる人もある。いろいろな態様がありますから、一がいにはどれだけが適正であるということは申し上げられませんが、私の言い得ることは、これでは足りないのだ、もっと大いにふやしていきたい、こういうことであります。
  103. 受田新吉

    ○受田委員 あなたは農林大臣として、日本の農家の適正基準をどこに置くかくらいのことは考えていただかないと、七反で食っていけるなどということは——副業にいろいろなものを考えてあるからというような兼業農家の立場でなく、純然たる専業農家としてどう考えるかということを私はお尋ねしておるわけです。あなたは日本の農政をあずかっておる大黒柱だから、日本の農民が安心するものを持っていただかなければならぬと思う。そこで農林大臣として、専業農家として適正規模でやれる基準はどれだけかということを示していただき、あわせて従来の自作農創設特別措置法によって政府が買収した、第三条の一号、二号、三号、それから五項のおのおのの立場から買収の対象になった基準、たとえば第三条の二号に「北海道にあっては四町歩、」をこえる場合にとこう書いてありますから、四町歩を基準にして北海道は農業経営が適正にいけるのかどうか、こういうような問題を、この買収の当時の各条文の号に該当するものと、現在の適正農業の規模等を基準にして、当時の買収が適正であったかどうかを審判する基準にしてもらいたいと思うのです。これは資料を要求いたします。  もう一つ、今あなたは学識経験者の中から選任する委員の用意はされてないということでございましたが、やはり法律案を出されるときには、そういう学識経験者としてどういう人を選ぶかというぐらいの構想は持っておらないと、これが通ってからは、今度は大臣の任命権だからということで、総理が委任された事項を独断でやるというときには、われわれはお手上げですから、従って法律案を出されると同時に、学識経験者の中から選ぶ委員は、こういう方面の人、こういう方面の人というくらいのことはちゃんと用意されておると思うのです。今きまってないということでしたが、これはいかがですか。この次の委員会までに、人的な構成をすぐということはむずかしいかもしれませんが、こういう方面の人、こういう方面の学識経験者、このくらいのことは御発表できませんか。
  104. 福田赳夫

    福田国務大臣 なるべく早く資料として提出します。
  105. 受田新吉

    ○受田委員 たとえばこれは一つの例ですが、「北海道にあっては四町歩、都府県にあっては主務大臣が都府県別に定める面積を超える」云々とありますから、主務大臣が定めた府県別のものがあるはずです。それによって適正農業の規模等の比較ができるわけです。委員もこの次までに資料として出す。委員を資料として出すというのはどうもおかしいが、私がお尋ねしたいのは、こういう方面の学識経験者というものを具体的にお示しいただきたい。氏名までおあげになるのは困難だと思うけれども、そういう方面を明らかにしていただきたい、こういうことをお尋ねしておるわけです。ではお約束の時間を厳守して、これで御解放申し上げます。
  106. 福田一

    福田委員長 次会は来たる二十五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後四時四十分散会