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1960-03-11 第34回国会 衆議院 内閣委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十一日(金曜日)     午前十一時十二分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 淺香 忠雄君 理事 岡崎 英城君    理事 高橋 禎一君 理事 高橋  等君    理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君       生田 宏一君    今松 治郎君       内海 安吉君    始関 伊平君       谷川 和穗君    富田 健治君       中川 俊思君    保科善四郎君       八木 徹雄君    飛鳥田一雄君       杉山元治郎君    中原 健次君       受田 新吉君  出席国務大臣         法 務 大 臣 井野 碩哉君         国 務 大 臣 中曽根康弘君  出席政府委員         総理府事務官         (科学技術庁長         官官房長)   原田  久君         総理府事務官         (科学技術庁計         画局長)    久田 太郎君         法務事務官         (矯正局長)  渡部 善信君         外務政務次官  小林 絹治君         外務事務官         (大臣官房長) 内田 藤雄君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 三月十日  委員中村時雄辞任につき、その補欠として受田  新吉君が議長指名委員に選任された。 同月十一日  委員山口好一君及び杉山元治郎辞任につき、  その補欠として八木徹雄君及び勝間田清一君が  議長指名で 委員に選任された。 同日  委員八木徹雄辞任につき、その補欠として山  口好一君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十日  建設省定員外職員定員化に関する請願外一件  (小松信太郎紹介)(第九二三号)  同外三件(愛知揆一君紹介)(第九七〇号)  同(押谷富三紹介)(第九七一号)  同外五件(鍛冶良作紹介)(第九七二号)  同(吉川久衛紹介)(第九七三号)  同外一件(坂田英一紹介)(第九七四号)  同(高橋英吉紹介)(第九七五号)  同外二十一件(濱田幸雄紹介)(第九七六  号)  同(吉田重延紹介)(第九七七号)  同(村瀬宣親紹介)(第九七八号)  同(八木徹雄紹介)(第九七九号)  同(山手滿男紹介)(第九八〇号)  同(小林絹治紹介)(第一〇五三号)  同(大原亨紹介)(第一〇六一号)  同(太田一夫紹介)(第一〇六二号)  同(角屋堅次郎紹介)(第一〇六三号)  同(神近市子紹介)(第一〇六四号)  同(河上丈太郎紹介)(第一〇六五号)  同(栗原俊夫紹介)(第一〇六六号)  同外九件(佐野憲治紹介)(第一〇六七号)  同(東海林稔紹介)(第一〇六八号)  同(中原健次紹介)(第一〇六九号)  同外一件(西村力弥紹介)(第一〇七〇号)  同外六件(原茂紹介)(第一〇七一  号)  同(堀昌雄紹介)(第一〇七二号)  同外二件(松平忠久紹介)(第一〇七三号)  同外六件(三鍋義三紹介)(第一〇七四号)  同外九件(森本靖紹介)(第一〇七五号)  同外三件(八百板正紹介)(第一〇七六号)  同(山崎始男紹介)(第一〇七七号)  旧軍人恩給加算制復元に関する請願高瀬傳  君紹介)(第九三〇号)  同(小平久雄紹介)(第九五六号)  同(高瀬傳紹介)(第九五七号)  同(大坪保雄紹介)(第一〇四九号)  同外一件(小平久雄紹介)(第一一二九号)  同(高瀬傳紹介)(第一一三〇号)  建国記念日制定に関する請願外二件(倉成正君  紹介)(第九三一号)  同(黒金泰美紹介)(第九三二号)  同外四十六件(纐纈彌三君紹介)(第九三三  号)  同(池田清志紹介)(第九五八号)  同外八件(纐纈彌三君紹介)(第九五九号)  同(渡海元三郎紹介)(第九六〇号)  同(濱田幸雄紹介)(第九六一号)  同(松永東紹介)(第九六二号)  同外二百二十九件(纐纈彌三君紹介)(第一一  三二号)  靖国神社の国家護持に関する請願江崎真澄君  紹介)(第九三四号)  同(小林かなえ紹介)(第九三五号)  同外二件(竹下登紹介)(第九三六号)  同外五件(藤枝泉介紹介)(第九六三号)  同(毛利松平紹介)(第九六四号)  同(大坪保雄紹介)(第一〇五〇号)  同外一件(鍛冶良作紹介)(第一〇五一号)  同外一件(山下春江紹介)(第一〇五二号)  同(長谷川四郎紹介)(第一〇六〇号)  同(内藤隆紹介)(第一一三三号)  福島県川内村の寒冷地手当増額に関する請願(  齋藤邦吉紹介)(第九三七号)  薪炭手当及び寒冷地手当増額に関する請願(  愛知揆一君紹介)(第九三八号)  同(津島文治君外一名紹介)(第九六八号)  同(保科善四郎紹介)(第九六九号)  国旗記念日制定に関する請願愛知揆一君紹  介)(第九三九号)  行政機関定員外職員全員定員化に関する請願  (纐纈彌三君紹介)(第九四〇号)  同(高瀬傳紹介)(第九四一号)  同(野原正勝紹介)(第九四二号)  同(北澤直吉紹介)(第九六五号)  同(小平久雄紹介)(第九六六号)  同(細田義安紹介)(第九六七号)  同(田中伊三次君紹介)(第一〇五九号)  同(阿部五郎紹介)(第一〇七八号)  同(赤松勇紹介)(第一〇七九号)  同(島口重次郎君外一名)(第一〇八〇号)  同(飛鳥田一雄紹介)(第一〇八一号)  同(石川次夫紹介)(第一〇八二号)  同(石野久男紹介)(第一〇八三号)  同(岡良一紹介)(第一〇八四号)  同(角屋堅次郎紹介)(第一〇八五号)  同(神近市子紹介)(第一〇八六号)  同(河上丈太郎紹介)(第一〇八七号)  同(小林進紹介)(第一〇八八号)  同(島上善五郎紹介)(第一〇八九号)  同(戸叶里子紹介)(第一〇九〇号)  同(原彪紹介)(第一〇九一号)  同外一件(正木清紹介)(第一〇九二号)  同(森島守人紹介)(第一〇九三号)  同(山花秀雄紹介)(第一〇九四号)  同(相川勝六紹介)(第一一三八号)  同(赤澤正道紹介)(第一一三九号)  同(秋山利恭紹介)(第一一四〇号)  同(淺香忠雄紹介)(第一一四一号)  同(天野光晴紹介)(第一一四二号)  同(井原岸高紹介)(第一一四三号)  同(今井耕紹介)(第一一四四号)  同(今松治郎紹介)(第一一四五号)  同(植木庚子郎君紹介)(第一一四六号)  同(臼井莊一君紹介)(第一一四七号)  同(鍛冶良作紹介)(第一一四八号)  同(金丸信紹介)(第一一四九号)  同(黒金泰美紹介)(第一一五〇号)  同(始関伊平紹介)(第一一五一号)  同(關谷勝利紹介)(第一一五二号)  同(高橋英吉紹介)(第一一五三号)  同(高橋清一郎紹介)(第一一五四  号)  同(武知勇記紹介)(第一一五五号)  同(千葉三郎紹介)(第一一五六号)  同(津島文治紹介)(第一一五七号)  同(辻寛一紹介)(第一一五八号)  同(徳安實藏紹介)(第一一五九号)  同(富田健治紹介)(第一一六〇号)  同(永山忠則紹介)(第一一六一号)  同(八田貞義紹介)(第一一六二号)  同(濱田幸雄紹介)(第一一六三号)  同(服部安司紹介)(第一一六四号)  同(福家俊一紹介)(第一一六五号)  同(保利茂紹介)(第一一六六号)  同(松岡嘉兵衛紹介)(第一一六七号)  同(森下國雄紹介)(第一一六八号)  同(八木徹雄紹介)(第一一六九号)  同(山口好一紹介)(第一一七〇号)  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願細田  義安紹介)(第九五五号)  建設省地理調査所定員外職員定員化に関する  請願新井京太紹介)(第九八一号)  同(遠藤三郎紹介)(第九八二号)  同(小川豊明紹介)(第一〇九六号)  同(神近市子紹介)(第一〇九七号)  同(加藤勘十君紹介)(第一〇九八号)  同(吉川兼光紹介)(第一〇九九号)  同(久保田豊紹介)(第一一〇〇号)  同(河野密紹介)(第一一〇一号)  同(佐藤觀次郎紹介)(第一一〇二号)  同(中島巖紹介)(第一一〇三号)  同(長谷川保紹介)(第一一〇四号)  同(帆足計紹介)(第一一〇五号)  建設省北海道開発局及び運輸省港湾建設局定  員外職員定員化に関する請願外二件(鹿野彦  吉君紹介)(第九八三号)  同(鍛冶良作紹介)(第一〇五四号)  同外二件(阿部五郎紹介)(第一〇九五号)  としよりの日を国民の祝日に制定請願外九件  (中山マサ紹介)(第九八四号)  一般職職員の給与に関する法律の一部改正に  関する請願鴨田宗一紹介)(第九八五号)  同(高石幸三郎紹介)(第一〇五五号)  同外一件(山口六郎次紹介)(第一一三一  号)  山形県赤湯町及び和郷村の寒冷地手当増額等に  関する請願西村力弥紹介)(第一一〇六  号)  山形県西置賜郡地区の寒冷地手当増額等に関す  る請願西村力弥紹介)(第一一〇七号)  紀元節復活に関する請願塚田十一郎紹介)  (第一一二八号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  税学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内  閣提出第三五号)  法務省設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第一八号)(参議院送付)  在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部  を改正する法律案内閣提出第八九号)      ————◇—————
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、前会に引き続き質疑を許します。石山權作君
  3. 石山權作

    石山委員 この前中曽根長官からいろいろ説明を聞いて、非常に文化的な方向に進んでいるというようなことを承っていささか安心をしておりますけれども、最近の空の科学というものは、すぐ何か兵器と戦争に脈々とした連絡があるというふうな実績があるわけです。特に私この前長官にも要望を申し上げたように、日本の国は、いわゆる経済的にも生活的にも非常に民度が低い。その中にずっとおおらかな空を見ているようなこの問題は、ある意味では非常にいいわけでありますけれども、われわれとしてはある意味では非常に不満を持っているわけです。そういうお金があればというような考え方を持ちます。現在科学技術庁でおやりになろうとする問題に、何かこれに対して秘密事項にわたるようなことも研究なさっているかどうか、そういう点、一つお聞きしたい。
  4. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 秘密事項にわたるようなことは絶対いたしておりません。
  5. 石山權作

    石山委員 将来ともそういうふうな傾向はないというふうな見解でしょうか。
  6. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 その通りでございます。
  7. 石山權作

    石山委員 たとえば今度開発される中に、通信関係あるいは気象でもいいと思いまするが、アメリカと一緒にやる分野はどういうものがありますか。
  8. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 気象観測ロケット研究にいたしましても、あるいは宇宙探査ロケット開発にいたしましても、すべてこれは平和利用目的としておるのでありまして、軍事的な秘密とかあるいはそのほかの秘密というものは一切ございません。ただかりに商社間でやるというような場合はパテントの問題がございますが、こういう問題は一般国際通念による商業上の問題で、われわれとしてはこれは是認しなくてはならぬと思いますが、少なくとも国家意思でこれを秘密にして国民の目の前に隠しておくというようなことは絶対にありません。
  9. 石山權作

    石山委員 たとえば電波の問題、気象の問題にしましても、シベリア風というものがだいぶ影響力があるわけです。ゴビ砂漠の場合なんかも、あそこで原子爆弾実験があれば、ゴビ砂漠の砂がおれのところまでくるのじゃないかというふうなことを心配している日本人も相当いるというふうなこういう気象状況、私の申し上げたい点は、アメリカとはかなりによく連携あるいは共同研究というふうな面も私出てくると思います。これはやりやすいわけですね。しかしそれは南の方の関係です。いわゆる季節台風、こういうふうな場合では、アメリカ協力は非常にありがたいことだと思うのだが、一方北、シベリア風、いわゆるゴビ砂漠からくる問題、こういうものの気象電磁層関係は、協力を得られるのかどうか、得ようとして努力をせられるのかどうかということをお聞きしたい。
  10. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 特に気象のような業務は、地球上全部をおおうような国際的協力のあることが好ましいのであります。現に気象上のそういう国際協定もございまして、お互い情報を交換し合うということになって現に実施しております。日本の天候の解明の上については、偏西風、つまりシベリアや蒙古の方からくる風の究明ということが非常に重要でありまして、その方面につきましてもあとう限り協力をして参りたいというように考えております。
  11. 石山權作

    石山委員 これはそういう点では外交関係だろうと思うのですけれども、ただ希望条件だけでいては、今のような日本の場合の問題は進まないと思うのです。たとえば地磁気の問題等考えてみても、そこが欠けておればやはり研究が不可能だ。ちょっとしたところが欠けていても、ここからここまでがわかればこの中はわかるということは当然あると思いますが、この中のことがわかったらなおさら万全だということは、科学上当然想定されるわけです。これは外交上の、あるいはいわゆる軍関係兵器関係の問題でかなり困難があるかもしれません。しかしあなたの目ざしておるのはいわゆる科学という問題です。学問上の問題だということでやれば押していける点が多分にあるのではないかと思うのですが、実際上の問題としては、ソ連との関係はどういう工合になっておるのですか。
  12. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 気象等につきましてはWMO、つまり国際気象機構というのがありまして、ソ連もたしか入っておりまして、そういう関係を通じて密接にインフォメーションの交換をやっておると思います。これは、運輸省気象庁の管轄でありますが、私の聞いておる範囲では、こういうことをやっておると思います。しかし学術上の平和利用目的としたいろいろな協力関係というものは、私はイデオロギーを越えて進むべきものだと思います。われわれの希望を満たしてくれる国とは、かけ隔てなく進めて参りたいと思っております。
  13. 石山權作

    石山委員 秋田の道川というところで東大の糸川博士ロケット実験をやっておるわけです。その糸川博士が最近アメリカへ行ったようですが、これは私用ではないのでしょうね。公用だとしますれば、あなたの方からも何か調査項目なり研究項目なりを御指示なされましたか。なされたとすればその内容を御説明していただきたい。
  14. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 平和利用目的とする宇宙開発等につきましてお互い研究協力を進めよう、こういうことで糸川さんや電波研次長青野博士、それから科学技術庁井上調査官に行ってもらいまして、向こう専門家といろいろ具体的な研究項目についてどの程度やれるかという話し合いをしてきたわけです。まだ正式の結論はございませんが、向こう希望とかこちらの希望という関係を非常にざっくばらんに話し合いまして、どの程度そういう協力関係を具体的に設定していくか、それから進めて参ろうと思っております。今度のは第一回のそういう予備的な話し合いというわけで、大体向こう考え方や何かもある程度わかって参りました。五月に国際ロケット・シンポジウムが東京でありまして、アメリカからは航空宇宙局のニューウェル氏等も参りますので、そのときもまたこちらの意見その他を話しまして、研究協力関係を設定する方向へ進めたいと思います。
  15. 石山權作

    石山委員 私新聞でちょっと見たら、アメリカから援助をしてもらって業績を上げたいというような面があったのですが、それはあなたのおっしゃる宇宙開発に対しての協力体制か、それとも糸川さん自身が研究なさっている小型ロケットに対しての開発協力ですか。
  16. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これは宇宙開発全般、つまり国際連合で去年の暮れに総会で決議いたしまして、特別の国際委員会を二十四カ国で作ろう、そういうこととか、それから宇宙科学者会議を今年または来年やろう、その線に沿って日本アメリカ協力し合うという範囲内のことでいろいろ相談したわけであります。これは糸川さんの個人の考えというよりも、科学技術庁考え気象の問題も含めて、全般的な学術的な話し合いをしてもらいに行ったのであります。
  17. 石山權作

    石山委員 糸川博士研究小型兵器研究なんだ、こういうことが部内の中からも出ております。今の研究段階は、たとえばそれは小型ロケットであるわけですが、今の兵器とか核の問題が考えられた場合、これを兵器に利用するだけの状態になっているかどうか。たとえばそのまま使おうとすれば使い得る状態になっているのかどうか。
  18. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あれは兵器からはおよそかけ離れたものでありまして、小型兵器云々というお言葉は何か間違いではないかと思います。今兵器といわれるものはいわゆるミサイルというようなもので、たとえばナイキあるいは小さいところではサイドワインダーみたいなもので、日本がかりにもし万一防衛庁あたりでやるとすれば、地対空とか空対空とか空対地とか、そういう場合の弾道弾、ミサイル考えるのだろうと思いますが、かりにそういうものであるならばもっと細い小型のものです。糸川さんがやっているのは全長二十メートルくらいのカッパ六、七というような程度のものでありまして、あんなものは兵器としては今使えない。そのかわり八十キロとか百五十キロの宇宙へ飛び込んでいろいろな電離層やその他のデータを持ってくるものに使い得るものなのであります。
  19. 石山權作

    石山委員 初めはこんな小さなものでしたが、それがだんだん大きくできるわけです。一段を二段にすることができますし、三段にすればかなりの高空、長距離まで飛べる。そういう素因が糸川さんの研究の中にあるわけです。いわゆる金の使い方、溶けない合金、新しい燃料の研究、こういうものはかなり貢献するわけです。われわれの文化には貢献するのだけれども、その貢献は即もしかりに意図があれば兵器にも使用し得るというのが、糸川研究の現在ではないかと思うのですが。
  20. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 同じ空気でも、軍人が吸って生きている空気もあるし、われわれのような政治家の吸っている空気も同じ空気でありまして、物質は酸素、水素、窒素とか同じものでできているわけですから、結果的にはあるいは牽連があるかもしれません。これは人類生活万般そうでありまして、アメリカの空軍がとってくる台風情報は、おそらく軍事目的でやっているのでしょう。それが台風の防御に役立っているという問題、これはその人たちのやっている意図とか組織とかそれを監督する機構、そういうものによって規制さるべきものだと私は思うのです。科学技術庁がやっております範囲のものは、全部平和目的のための体制でやっておるのでありまして、その点は御心配要らないと思います。
  21. 石山權作

    石山委員 管理のものの考え方が、今のあなたのおっしゃったような、いわゆる日本の文明を高めるための考え方でいくのだ、そうすれば使用条件というのはおのずから規定されるわけなんで心配がないと思いますけれども、僕らとすれば研究目的は常にはっきりさせておかないと、非常に危険性があるということは予知できるわけですね。では研究目的をはっきりさせて指導監督をしていただく。そしてそれをいつでもみんなにわかるような格好で、研究所などを公開するくらいの気がまえがないとやはり誤解されると思うのですね。  それから運輸の関係になるかもしれませんが、たとえばこういうことが最近出てきているわけです。海運が今非常に不況だ。どうしてもこれを解決づけるためには、原子力貨物船というものを考えなければならぬ、こう言われているのですね。こういうふうな場合の科学技術庁運輸省関係はどういうふうなことになっておるのですか。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 原子力船につきましては、原子力船心臓部原子炉でございますから、そういう意味において原子力船のことも原子力委員会において取り扱いまして、外国に対する調査とか、わが国における基本方針等原子力委員会においても考究しております。それで最近の情勢を見ますと、イギリスは最近三万トンくらいの大型原子力商船を作ることに踏み切ったようであります。これは下院でイギリス担当大臣が言明をいたしました。しかしいつそれに着工するかということはまだはっきりしておりません。とにかくそういう発言をしたようであります。アメリカにおいてはサバンナという原子力船を今艤装中でありまして、ことしの秋くらいには就航するだろうと思います。日本はこの間権威者を網羅して原子力商船調査団を派遣いたしましたが、その調査報告によりますと、いろいろ基礎的な部門を先に充実する必要がある、そういう考え方でありまして、私もその考え方に賛成であります。単に船体だけ日本で作って、外国の炉をちょっと借りてきてそこへ突っ込んで、原子力商船だという考え方ではいけない。やはり炉自体日本開発して、いずれは全部国産化していくという、非常に深い姿勢研究体制を作る必要がある。私らもそう思いまして長期計画は今策定中でありますが、そういう基本方針で進んで参りたいと思います。
  23. 石山權作

    石山委員 英国から原子炉を入れる場合は、これは練習炉一つ考え方もあるかもしれませんが、かなりそこつに学者間でも大へん準備が不行き届きにもかかわらず入れている。この前も私はあなたに申し上げたのですが、政治力が先行したという言葉を私は使ったわけですが、海運に対してはいやに低姿勢ではございませんか。日本の場合は海運こそ——貿易・為替の自由化によって熾烈な経済戦が行なわれれば、当然われわれの貿易というものが減るのです。昔のわれわれの経済を見てみると、海運によって帳じりは黒になっておったのですけれども、今度の場合はそこの経済のところを見のがして努めて低姿勢だというのは、経済的に見ればちっとも政治力は働かぬということになるじゃないですか。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 コールダーホールの輸入がそこつであったとは私は思いません。やはり慎重審議いたしまして、日本の現在の情勢から見れば適切であったと私は思います。  海運につきましては、原子力商船というものがまだ採算ベースに合わないのです。わずかにアメリカで相当な金をかけて、原価は普通の船の三倍くらいの金をかけて実はやっておるのでありまして、アメリカ潜水艦をやっているものだから、商船の方にもすぐ適用できたわけであります。しかし日本原子力潜水艦なんかを作る力も意思もありません。従ってやはり商業採算ベースに合うということが非常に大事でありまして、コールダーホールの場合は大体商業採算ベースに合う、そういう見当もつき、そういう計算も出ましたからやったのでありますが、船はまだそこまでいっておりません。従って政治力が働く余地がないのであります。
  25. 石山權作

    石山委員 せんだってあなたに日本原子力兵器ができるかといったら、できないとあなたはお答えになりました。それは地方新聞に出ておりましたよ。ですからあなたのしゃべることは影響がある。今商業ベースとあなたはおっしゃったのですよ。これはちゃんと守っていただきたいと思うのです。そうでないと科学ということで——今度の予算もその通りなんです。あなたは少し取り過ぎたと私は見ているのです。科学という名前に事かりて実力以上に取り過ぎたというふうに私は見ている。おそらく使い方は粗雑になるのじゃないかと心配しているのです。お金がたくさんあるから、模型品なんかじゃんじゃん作ってしまって、こわしてしまってというようなことになりかねはしないか、こういう心配を持っているわけなんです。海運の場合は低姿勢で、商業ベースに合うまで基礎を築かれる、こういうのは私も大へんいいことだと思っております。ただあなたたちになりますと、潜水艦の方でも一つ利用してみようかというふうなことになりかねない。これは今言われたようにいわゆる商業ベースからすれば三倍も四倍もかかって、採算のとれないコストになるわけですから、そういうところまであなたの方で研究なさるまいと思いますが、海の底に沈むいわゆる原子力の利用というふうなことをお考えになっているわけですか。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 自民党は日本を近代国家にするために非常に科学技術政策を重要視してくれまして、そのために進歩的政策をとってくれたのでありますが、それでもまだ外国から比べると足りないと私は思います。第一、科学技術者の待遇ですらも外国から比べれば非常に悪いのでございまして、大学の教授の給与だけでも、われわれはもっとよけい取らなくちゃいかぬと思っておるのであります。従いましてこの程度の予算で絶対満足しておるものでありません。  潜水艦につきましては、日本原子力関係兵器は持たないということをちゃんと内閣もきめておりますし、また実際実力自体がそんなことはありませんので、かりに万一やろうといってもやれるものではありません。いわんや内閣がそういう方針を持っておるのでありますから、原子力潜水艦とか原子力商船というものを作る段階ではまだ絶対ないのであります。
  27. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 ちょっと関連して。関連と言えるかどうか知らないのですが、この際教えておいていただきたいと思うのです。科学技術庁の所管しておられる範囲内で、日本以外のアジアの地域で、原爆の爆発実験あるいは地下爆発実験などというものが行なわれた場合に、これを探知する実力を今持っておりますかどうか、そしてまたそういうことをやっていらっしゃるかどうか、これを伺いたいと思うのです。
  28. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 地下爆発実験を探知する力は、まだ非常にむずかしい段階にあるのではないかと思います。しかし空中でやった場合には、微気圧計の振動とか、あるいはその後降ってくる雨の放射能のアカウントとか、そういうことである程度推定は可能だろうと思います。
  29. 石山權作

    石山委員 そういうことは、一々あなたの方に御報告が参りますか。
  30. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 原子力局でそれは常に注意しておりまして、気象庁その他とも連絡しております。
  31. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 第二に、これはこの前ちょっと私があなたにお伺いした点なのですが、例の東海村のコールダーホール型の設置と、それからそれに関連して水戸の対地爆撃訓練場、この問題が出たわけですが、その後あなたの御努力である程度の御処理はついたようですが、この際行政協定も改められる時期ですし、全面的に基地を検討しなければならない段階にきておるわけです。そういう点から、一つあなたの方から、この水戸の東海村に隣接する対地爆撃訓練場、さらにはこれに隣接しておる中部本州といいますか、公海上の空中戦区域、それに付随してアメリカが使っておると称する東海村からすぐそばにある制限区域、こういうものを一切廃止するような交渉をなさる御意思があるかどうか。これはないに越したことはないとあなたもお認めになっていらっしゃるのですから、そういうことをこの際持ち出してごらんになる気持がありますか、それを伺っておきたいと思います。
  32. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 爆撃演習場の問題につきましては、飛鳥田委員の御注意によりまして、われわれも大いに努力をいたしました。その結果、大体われわれが要望する通りの処置を米中がやることになり、特に今飛鳥田委員の御指摘になりました東方海上の空中演習場は、向こうが解除して日本に返還してきたという報告を聞いております。それから原研の上空に一定範囲飛行禁止区域を設定いたしまして、米軍機もその上は飛ばないように話し合いもつきました。大体これで東海村原子力施設の安全は確保されると思います。しかし将来あの地帯全体を考えてみますと、あそこが演習場であるよりは一般の施設である方が望ましいと思いますので、向こうの出方もよく見まして、その面に向かって努力はして参りたいと思います。しかし当面の問題はこの程度で大丈夫だろうと思います。
  33. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 基地を返してもらうというのは、やはり一つの時期があるわけです。行政協定が新しくなるという政府の態度ですから、そういう時期に明確に態度をお出しにならぬと、カードの出しおくれという形になる危険が非常に多いのではないかと私は思いますので、この際、あそこの基地を返せという要求を、はっきり技術庁の方から、外務省の方なり調達庁の方にお出しいただくことが正しいのではないか、こう私は考えるわけです。それに東海村に隣接する飛行禁止区域、米軍が使っておる区域が解除になったというお話ですが、元来あれは解除になったも同然のものだったと私たちは思います。現に運輸省の航空局に行って伺ってみても、あの地区は、米軍の名前では登録されておるけれども、実は自衛隊が使っておるのではないか、そういうような説明を航空局の方々がなさるくらいで、そうして米軍の方に聞いてみると、いや、あれは日本軍が使っておるのだ、名前はおれのところになっておるけれどもというような話であって、これはほとんど実益のないものである。だから書面だけはずせばいいので、こんなものははずれるのはあたりまえです。しかし問題は、今御心配はないとおっしゃったのですが、御存じのように標的を海上に移したのと、もとの地上に一つ残したのと二つの目標があるわけです。この標的に地面の上から地上を伝ってくる飛行機は、御努力によって、飛行の方向を変えて参りました。しかし海上を飛んで海上の標的に来るという形の場合には、東海村の比較的近所を通って、その目標にぶつかっていく。こういうことは、行ってごらんになってみればすぐわかるはずです。現にその事実をあの辺の漁民も、住んでいる住民もみんな目撃しているわけです。その真上とは言いません。そういう点で、この爆撃場もないに越したことはないという段階ではなく、今出すべき政治的な時期であり、そしてそれは明確におっしゃるべき性質のものだと私は考えるわけです。従ってこういう要求を出していただけるかどうか。これはあの地域の人々にとってはかなり大きな問題ですから、はっきりお答えをいただきたい、こう思います。  なおつけ加えて申し上げれば、元来あれを解除せよという要求は、当然日本の政府の権利としてできるはずです。と申しますのは、あそこは対地爆撃訓練に使っている。全国でも三沢に一つ、水戸に一つ、南方に一つ、すなわち鳥島ですね。こういうふうに三つの対地爆撃訓練地域があるわけでして、あそこがなくなっても別に差しつかえはありませんし、また同時に対地爆撃訓練というものを一つ頭に浮かべていただきたいと思います。するとこれは日本を防衛するための——かりにアメリカ日本を防衛するといっても、防衛するための戦術であるかどうか、これは明らかであろう。すなわち日本に対する侵略あるいは攻撃というものがありとするならば、これは飛行機によるものであるか、あるいは潜水艦によるものである、こういうことは自衛隊自身がすでにこの委員会でも確認をせられていることです。そういうところに何で対地爆撃というものが必要なのか。すなわち対地爆撃というのは、中国なり沿海洲なり、そういうところにある仮想敵の基地の機能を不全にしてしまうための攻撃用のものだということは、だれが考えたって日本という戦略的な地位に当てはめて考えれば明らかなのです。こんなことをくどくど申し上げるのも恐縮ですが、これは日本防衛のために使われる訓練ではないのじゃないか、こういうことをはっきりとおっしゃって返還をお求めになれば、私はこれは可能であろう、こういうふうに考えるわけです。これから行政協定や安保の審議に入っていくわけですが、こういう問題を一つ一つ解決していただいて、各官庁の御努力で解決していかない限り、国民は納得しないのではないか、こう私は考えるわけです。そういう意味で、ここでくどいようですが、はっきりと一応解除を申し入れていただけるかどうか、これを伺いたいと思います。
  34. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 返還の問題は、外務省あるいは防衛庁等とも相談をいたしまして、検討してみます。まだ正式に返還を申し出るかどうかは、ここで申し上げることはできない状態にあります。
  35. 石山權作

    石山委員 中曽根長官、あなたなら私の言うことが理解できると思うのですが、こういうことですよ。先ほどあなたは、科学技術のお金の問題について、私が取り過ぎると言ったら、いやこれでも少ないのだという御意見だった。私は今日本の皆さんがお考えになっていることは、われわれの生活とか民度というものを考えた上の採算ベースに立つところの科学分野の開発が、あなたたちの任務だと思っているのです。共産圏とかああいういきり立ったところであれば、民度はどうであろうとも、科学の先端を行かなければいかぬというような考え方を採用されることはあると思うけれども、少なくともあなた方の考えるところは、民度の上に立った、だれが求めているかという声の上に立った科学分野の開発でなければならぬと思うのです。それを怠ったような形になれば、いわゆる兵器を作っているのではないか、兵器の準備をしているのじゃないかという誤解も当然受けてくると思うのです。私はそれをあなたから十分確認していただいて、取ったお金を大衆に使っていただきたい。なぜかというと、月へ行くというのは、たくさんの人が要求していることではないのだ。ほんとうを言えば、月の裏側がどうであろうなんということは、だれもそんなにたくさん要求していない。それよりも、あまりこまかいことを言うとあなたは笑うかもしれないけれども、おれのうちの前の道路を早く舗装してくれ、これがほんとうの声だと思う。そういうことをわれわれは考えてみたいと思う。あなたの政治の考え方は、そういうところにいけば、私は自民党の中でもちゃんとした新しい分野を開拓した政治家としての立場があると思う。そうでないところに、あなたの方へ、ただ予算をたくさん取ればあれは腕のいい長官だ、こういう評価の仕方は私はもう古いと思うのです。そこを十分考えていただいてやっていただきたいということが一つ。  それから文明というものの建前から、科学の交流という神前からして、中共ともっと密接な関係を持つような工夫を、この場合やはり外交だけにまかせないで、進めていくということが、科学技術庁としても必要でしょうし、それから皆さんの方で指導される、いわゆる学者間の個人的な交流もこの場合に大いに役立つものだというふうに考えますから、その二つの点だけ私は要望申し上げておきます。長官ちょっと御意見を……。
  36. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 科学技術を国民の役立つものに育て上げようという御意見には全く同感でございますので、その趣旨に沿って推進いたします。  それから中共その他との間の科学技術の交流も、私は大平だと思っております。先ほど申し上げましたように、平和を目的とすることにつきましては、人類共通の課題でありますから、思想や政治体制の差異にかかわらず、全人類の福祉のために協力していくべきものだと思います。そういう気持で進めて参りたいと思います。
  37. 福田一

  38. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 機構の問題として簡単にお尋ねしておきたいと思います。今度のこの科学技術庁設置法の一部改正を提出するにあたりまして、部内でもずいぶん議論がされたようでございますが、私どももあまりすっきりしないわけです。最も科学的でなくちゃならぬお役所が、何か非科学的な機構いじりをやっているのではないか、そういう誤解を受けるおそれがある、そういうことからちょっとお尋ねしてみたいわけでございますが、昨年の通常国会も、科学技術庁設置改正案が本委員会に出たわけであります。そのときにも、長官十分御承知の通り、企画調整局と調査普及局を廃止して、現在の計画局と振興局を作ったわけでありますが、そのときの説明と今庄のこの提案理由の説明とは、若干食い違う点が出てきておると思うのです。簡単に申し上げますと、昨年の要旨は、結局基本的な政策等の計画事務に関する部分、こういうものと、それからいわゆる行政的実務に属するものと明確に分ける、企画と実施面とを分ける、そう簡単に言っていいかどうか知りませんが、そういうことでないとどうも混淆して、ややともすれば実務的な面に努力が集中してしまって、基本的政策の企画、立案というものが第二義的になるおそれがある、だからこうやるのだという御説明があったわけです。ところが今度の説明によると、実施事務まで計画局一本で処理するようにする必要がある、こうしている、これは一体どういうことなんだ。科学技術庁自身がどうもどういう機構でやった方がいいのか、まだ自信を持っておらないのではないかという感じを私ども持つわけなんです。そこのところをよく説明していただきたいと思うわけですが、幾ら宇宙科学技術に関する研究等が急速なテンポで進められておるといっても、一年間のうちにそう事情が変わったとも思えないわけです。昨年提案なされた当時、全然宇宙科学技術のことを考えておらなかったわけでもないでしょうし、頭に置いておったことと思いますので、一つ御説明をお願いしたいと思います。
  39. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま石橋委員の御指摘の通りの原理であります。昨年の改正は、企画的な基本政策をやる部分と、それから実務行政とを区分いたしまして、当時の調査普及局とか、あるいは企画調整局というものの改正をやったわけであります。しかし宇宙科学の問題が出て参りまして、特に国際連合において、総会で決議をして世界的な歩調で進むということになりますと、日本も急速にこれに対する国内体制を整備しなければなりません。そこで宇宙科学についてはまだ遺憾ながら日本の場合は萠芽期にある状態です。従いまして基本政策を確立する部門とそれからある程度実務行政を盛った部門を一緒にした方が、この部門では能率的であるという考えをもちまして、この点は私の考え方でそのように決定いたしたのであります。ほかの部門につきましては、この前の原則通り確保してございますが、宇宙科学だけはそういう特殊な事情がございますので、例外的にそのような措置を今回とったのでございます。
  40. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 そういう説明では私十分納得できないわけです。今萠芽期にあるから一本にした方がいいのだ、そうすると、これがやや軌道に乗ってくれば、ほかの研究のように、企画の面と実施の面と分けることになるのだ、こういうことになるのですか。そうじゃないと思うのです。そうではなしに、今度は原子力局のように一つの独立した局を設けてやりたいのだ、こういう考え方なんですか。
  41. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 将来大きくなれば、またその大きくなったときの体制考えなければなりませんが、当分の間はこの部面をある程度助長して発達させなくちゃならない、そういう考えもありまして、企画的な面と実務行政の部分を同じところでやらせるようにした、こういうことでございます。原子力の場合は、これが一本になって独立の体系でやっているわけであります。これはやはり日本のようにおくれたものを追いつくという意味で、特別の措置でああいう体制をとったわけでございますから、宇宙科学の場合も、原子力ほどの大きな問題ではございませんが、やはりある程度同じ場所ですべて処理させて、能率的にやらせる方がいいだろう、ただ予算の調整事務だけは、これは振興局において確保して、国全般の予算とにらみ合わせながら、そのバランスをとらせるようにしておるのであります。
  42. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 あまり十分にわかりはしないのですけれども、私ここで機構いじりになるようなことだけはやめてもらいたい、十分に慎重な検討をされまして、これが一番妥当だというものを、自信を持ってから一つ御提案になるようにしていただきたいということだけ申上げておきたいと思います。  そこで、ちょっとお聞きしておきます。この宇宙科学技術振興のためにいろいろ計画をされておるようでございますが、大体三十五年度の予算に要求されました額が三億五千万円程度と聞いております。これが大体間違いないところであるか。そのうち実際に予算化され、来年度実行されようとしております事業のおもなものは、一体どういうものであるか、その内容、予算額等について御説明を聞いておきたいと思います。
  43. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 正確な数字は忘れましたが、たしか二億三千五百万円程度になります。それで、これは各省関係のものを合わせたものでありますが、一つは東大生産技術研究所のロケットの分でありまして、これが一億六千万円くらいだったと思います。それからもう一つは郵政省の電波研究所に三十メートルのパラボラ・アンテナを作る、これは国際宇宙通信が行なわれますときに、日本はそのアジア・センターになるという意図で、ことしから設計とか、あるいは土地の確保とか、そういうことをやっておるのであります。その部分と、それから科学技術庁におきまして気象関係ロケット研究するために三千万円ほど取っております。大体これが主軸になりまして二億三千五百万円取ってあると記憶しております。
  44. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 「科学技術庁月報」というのが出ているわけですが、これによりますと、大体約三億五千万円を要求したというふうに書いてあるわけですが、これは間違いなんですね。
  45. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 確保したのは二億三千五百万円であります。
  46. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 今三千万円といったのはこの宇宙科学技術開発調査費という部分ですか。
  47. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 そうです。
  48. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 それから宇宙科学技術調査団派遣費というのは、内訳は一体どういうものですか。
  49. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 われわれの考え方は、総理府に宇宙開発審議会という審議会を作って、正規の機関で日本の計画を樹立し、軌道を敷設する。それと同時に、ことしは基本的調査を行なおうというので、最高権威者を網羅して、たとえばアメリカイギリスやフランスや、できたらソ連へも行ってみてもらって、各国の状態をよく調査してもらう、そういうふうにして、ことしは軌道を敷設するという努力をいたしたいと思っておるのでありますが、そのための外国旅費をたしか六百数十万円確保したものでございまして、その調査団の渡航費用等でございます。
  50. 石橋政嗣

    ○石橋(政)委員 時間がないですから、いいです。
  51. 福田一

    福田委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにて本案についての質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  52. 福田一

    福田委員長 次に、法務省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。飛鳥田一雄君。
  53. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 法務省の設置法で拝見をいたしますと、長野市にある刑務所をあまり市中に近いところにあるので、これを他に移す、こういう御説明のようでありますが、しかし長野だけでなしに、かなりな大都市のどまん中に刑務所のあるのはたくさんあるのじゃないか。たとえば山形市がそうですし、それから静岡市がそうであります。山形市も静岡市もむしろ中心地に存在をしておる。全国回って歩いたわけではありませんが、おそらく至るところにこういう現象は存在をしているのじゃないか。この際長野だけでなしに、そういう都市についても十分考えて、都心から郊外に移す、こういうことを考えていらっしゃるのかどうか、これを伺いたいと思うのです。
  54. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 お説のように、刑務所が各都市のまん中にありまして、市の発展を阻害したり、あるいは都市計画に支障を来たしておる面もございます。そこで法務省は、全国五十数カ所の刑務所のうち、そういうものを調べまして、まず第一期計画として十カ所を選んだわけでございます。ところがこれを毎年大蔵省から予算をもらって一々やっておりますと、なかなか予算がもらえないので、長野刑務所がやっと四、五年ぶりででき上がったというようなわけでありまして、これはこのまま進んでいけば、二十数カ所の移転問題は百年河清の機会を待つごときだと考えましたので、今年から国庫債務負担契約によって、市といろいろ話し合いをつけまして、そうして市が五年のうちに土地を買収し、そうして刑務所を建ててくれれば、あとは市に払い下げて、それでとんとんでいくという計算が出るものですから、そういうところからまず始めて、ことしは名古屋と福岡をそういうことに契約をすることになりまして、これから先はそういう方法、並びにまたそういう方法で非常にむずかしいところがあれば、他のいろいろな方法も勘案して、ともかくも御承知のように早くこういう問題を片づけることに善処いたしたいと考えております。
  55. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 早く郊外に移していただくということはぜひお願いをしたいと思うのですが、そこで、今私の次に申し上げようと思うことを大垣おっしゃったわけです。大体、元来刑務所をどこに置き、どこにこれを移転するかということは、国の責任でなければならぬわけです。ところが実際はお金が出ないということで市と話し合って、市にその用地を買収させ、あるいは場合によれば建物の相当な部分まで市におっかぶせて、都心にある現在建っている土地があくから、この土地を市にやるからとんとんになるじゃないかという形で、今盛んにお勧めになっている。山形の刑務所でもそうだということを私は聞いている。けれども、これは常道でしょうか。私は率直に申し上げて、少なくとも地方自治体はそこまで責任を負うべきものではないし、負ってはならないものだと思う。結局中央の予算が出ないからとんとんになるという話でありますが、実は市はとんとんよりも損をしてもどいてもらいたいということが希望ですから、なるべくとんとんのような形にして市議会に諮って、市議会は通してもらいますが、実質的には損が相当あるわけです。そういたしますと、中央官庁が当然まかなうべき予算を地方自治体におっかぶせ、そして地方自治体の住民はその結果、自分たちの福祉に使ってもらえるべきお金がそれだけ減ってしまうということになるわけです。僕はそういう便宜主義はこの際厳密に廃止してほしい。早く市内から郊外に移されることをやっていただきたいし、同時にそういう地方住民にしわ寄せがいくようなあり方を、何かもう一度御反省をいただく余地がないのか、こう思って実はこの点をお聞きしたいので質問を始めたわけです。だれでも結核の病院とか避病院とか、あるいは刑務所というのは、町中にあることを好みませんから、町の人たちはとんとんで移れるという、計算上のとんとんの予算を出されれば市議会は賛成しますが、しかし実際はそうじゃありません。山形市などは、あの辺は公園敷地になるはずです。そうすると公園敷地として市の所有になれば、これは価格としてはどうあろうとも、市民は財産的なプラスをしたとは言えないのじゃないか。これを転売してマーケットにでもしたり、あるいは商店街にでもして、現実に市の予算が入ってくるなら別ですが、そうじゃないはずです。そうなりますと問題がかなりあるだろう。ついでに申し上げますと、検察庁とかいろいろな庁舎をお建てになる場合でも、その土地の人々に協力を求めるという形で、調停委員の方とかなんとかの方が寄付を集めて歩いたり、かなりたくさんなさっているわけです。自分が縛られる検察庁を自分で金を出して建てるばかがどこにあると私はよく言うのです。法務省などは比較的じみちな省でありながら、実はそのこわさにものを言わせて、民間に依存する度合いがかなり強いように私は思います。こういうものは今後よしていただけるかどうか、こういうことをついでに伺っておきたいと思うのです。
  56. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 国庫債務負担契約のやり方はよしたらどうかという御意見でございますが、決してわれわれの方としても市当局にこれを強制しているわけではないのです。市当局から非常な希望がありまして、そういう形でもぜひやりたいから今年からそういうふうなことを工夫してくれないかというので、せっかく大蔵大臣とも話し合ってやっと認めさせたわけです。もちろんそういった形でできない市もあろうと思いますし、市の財政上から申しまして、そういうところは別の方法でいつも予算を取っておるような方法でやって参りますけれども、いつも予算を取っておるような方法でやって参りますと、なかなか各市に希望が多くて、御期待に沿えない点があるものですから、つい市の御希望のあるところにはそういう便宜方法をとっておるのです。市自体に対しては過剰負担をかけることはない、損をかけることはない。もしも経費が足りなければ、国が債務国庫負担契約でもって、五年後には何億という金を債務で負うのですから、従って迷惑をかけることはない。それでやりたい市だけ今やっているわけであって、決してこちらから無理にお勧めしてやらしているわけではないのです。
  57. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 無理に押しつけておるわけじゃないとおっしゃるが、だれでも自分のうちのどまん中にきたないものがあればどけたいという希望を持つのは当然で、無理に押しつけなくても、損をしてもやって下さいということを言ってくるのは当然だと思います。そういうのに便乗してはいけないというふうに申し上げておるのですよ。強制的に押しつけなくても、実は強制をしておる結果になっておるわけです。そういう点、一つ大蔵省と厳重に交渉をしていただいて、必要な経費はきちっと取っていただいて、民間におんぶをするようなことのないようにお願いをしたいと思います。  そこで第二に、最近の刑務所ではほとんど定員をオーバーして収容しておるはずですが、その状況はどうでしょうか。
  58. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 今ここに詳しい数字は持っておりませんが、相当オーバーしております。
  59. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 しかも犯罪の件数は必ずしも低下をしておるとは言えないわけです。そして大体犯罪の漸増していく傾向というものは、長い経験から見て参りますれば予測をすることが可能だろう。そうすると現在の刑務所でさえ定員をオーバーしておって、しかも一方に犯罪が漸増しておる。このギャップをどうお埋めになるのか。率直に言って入る者はたまらぬわけですよ。既決で行く人は別だが、未決で入っていく人たちが非常に苦しんでおる面をしばしば私たちは知ります。現在の定員オーバー、そして今後も漸増していく、この状況に合わせてどのような根本的な対策を立てていらっしゃるのか、これを伺いたいと思います。
  60. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 なるほど現在は定員オーバーのところも相当ございますが、犯罪の増加率はこの四、五年ほとんどふえておりません。横ばいであります。ただ少年犯罪が非常にふえて参りまして、これは交通事犯とかそういった交通法違反の犯罪が多い。そこで法務省としましては、少年院の収容人員を多からしむるために、そういう設備の改善を本年度の予算でも取りましたし、またその他犯罪の、今お話のように普通犯罪でも今まで定員がこえておるところがございますから、そういうところは先ほど申した移転計画でございますとか、あるいは拡張計画を法務省としては立てておるわけであります。今後どんどんふえていくかというと、今の見通しでは、幸い国家がこういうふうな状態でございまして、そうふえていく状態ではないと考えております。
  61. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 どうも大臣、先へ先へとお話をいただくので非常に楽です。犯罪が一番ふえておるのは少年犯罪だし、しかもその内容は質的にも相当悪質化している傾向がやや見える。そういう点からいいますと、刑務所の根本的な計画ということの重点は、少年院の根本的な対策にならなければならないことは当然でしょう。そこできょうすぐと申しても恐縮ですから、一つ少年院あるいは少年鑑別所等の将来への見通しを表にでもしていただいて、基本的な計画をお示しをいただきたいと思います。これは後日でけっこうです。  そこで二番目の問題になりますが、法務局の管轄区域をごく小部分お改めになるわけです。しかしこの法務局の管轄区域というものは、旧来の明治あるいは大正の時代にできた区域に合わせているものが多く、その後新しい交通機関ができた、あるいはバスが引けたというような形で、実は現状に沿っていない点が相当あると私たちは考えておるわけです。この際思い切って、ただ釧路地方法務局の中から花咲郡を削るというような部分的なものでなしに、法務局の管轄区域は根本的に現代の交通機関あるいは人間の流れ、あるいは経済的な結びつき、こういうものに合わせて再編成を基本的になさる御意思があるかどうか。これは国民も非常に困っております。たとえば登記に行こう、あるいは供託に行こうと思っても、すぐそばにあるにもかかわらず、現実には山や野を越えて行ってやらなければならぬということで困っております。そういうことで基本的な再編成を試みられる。もちろんこれから審議会をお作りになるなり何なりなすってけっこうです。そういう対策をお考えになっていらっしゃるかどうか、これを伺っておきたい。
  62. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 法務局、ことに登記所の問題は、法務省が持っております唯一のサービス機関なんです。ですから私も法務局の出張所の統廃合につきましては、できるだけ地方の事情をよく見て、地方民の気持に従って統廃合していく。今までは実は予算がございませんで、人員が足りなかったのに登記事務はどんどん倍加して参りまして、従って無理でも統廃合しなければならぬ事情でありましたので、地方民の意思に沿わないで統廃合をして参りました。従って今お説のような管轄区域もそういったものに従って変えて参りましたけれども、今後は——地方民が希望すれば別でございます。こういう登記所を廃止してくれ、あるいは合併してくれと希望すれば別でございますが、そうでない限りは、本年度相当予算をいただきましたので、この予算でもってやって参りますから、統廃合はやらない。ですから現在の区域が不合理であるという御希望が地方から出てくれば、これは変えますけれども、そうでない限りは変えていかない、こういう方針で進んで参りたいと思います。
  63. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 要求があり次第ぼつぼつ変えていくという形よりも、明治、大正の時代と今では経済生活もすっかり変わっているし、交通機関も変わっているのですから、この際全国一斉に再検討なさる時期にきているのじゃないか、こう私は思うのです。おできができるたびにばんそうこうを張っていくというような、こそくな態度をおとりになっていらっしゃいますと、法務省の唯一のサービス機関というものがだんだん民衆から離れてしまう。そうしてそこには、ついめんどうですから、事務を委任するもぐりのいわゆる登記屋とかなんとか屋とかいうものが、でき上がっていってしまう危険性があるのじゃないかと思いますので、ぼつぼつおやりにならずに、根本的に何かお考えになるように私はお勧めいたします。  その次の問題として、今定員の話が出ましたが、この問題ももっと定員増をして、登記所に行ったら半日かかるとか、どこどこへ行ったら一日かかったというような話のないように、ぜひしていただきたいと思います。現実にここで働いている人々の労働負担は非常に大きなものがあるのじゃないかと考えます。  そこで、今回の法案で、少年院の点について、「法務局及び地方法務局の管轄区域並びに少年院の位置の基準となった行政区画の変更等一覧表」というのを拝見いたしますと、「北海道花咲郡歯舞村を廃し、その区域を根室市に編入する。上記の処分に伴い花咲郡に属する区域は消滅した。(昭三四総理府告示第四六号)」こういうようになっておりますが、この歯舞村を根室区に編入なさったわけですか、法務局の管轄区域として。
  64. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 今問題になっております歯舞、色丹の歯舞ではないと思います。根室にある歯舞村ではないかと思います。そういうふうに私は聞いております。
  65. 飛鳥田一雄

    ○飛鳥田委員 そうすると根室に入ったから、ただ市町村の区画を再編成したというだけですか。
  66. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 そういうふうに承知しております。
  67. 福田一

  68. 石山權作

    石山委員 看守さんたちの福利施設として官舎等の設備はありますか。
  69. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 ございます。
  70. 石山權作

    石山委員 私たち回ってみますと、それぞれの官舎がございます、鉄道は鉄道なりに。一番貧弱に見えるのです。これはやはり特殊な職務に従事していますから、世間から離れているわけでしょう。そして福利施設の官舎もよその省から比べれば大へん見劣りしている。おそらくこれは計数を出していただけば、よそよりもずっと数字が落ちているというふうに私は思うのです。従事している作業が大へん特殊な作業である。福利施設もどうも隠れて見えないようでは、あまり思いやりのある措置ではないと思うのです。私の申し上げたい点は、よその省の福利施設を見ていただいて、すぐ追いつくような措置を講ずる。むしろ追い越さなければいけないのではないか。ああいう特殊な作業をなさっている方々ですから、その点を御要望申し上げておきたいと思います。
  71. 井野碩哉

    ○井野国務大臣 御趣旨の通り十分注意して、これからもよくして参りたいと思います。
  72. 福田一

    福田委員長 他に御質疑はありませんか。——御質疑がなければこれにて本案についてこの質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  73. 福田一

    福田委員長 次に、在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を許します。受田新吉君。
  74. 受田新吉

    受田委員 時間がだいぶ進んでおりますが、最初に、審議の都合上伺っておきたいことが一つあるのです。提案理由の説明の末尾に、「何とぞ本案につきまして慎重御審議の上、すみやかに御賛成あらんことを」ということが書いてある。慎重御審議をするということですが、今から審議が始まるわけです。慎重御審議の上すみやかという慎重御審議を今から始めるわけですが、このほかの提案理由にはすみやかにということがないのがたくさんあるわけです。慎重御審議をすればすみやかにならなくなるわけです。この書きぶりがちょっと気にかかりますので。
  75. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 ごもっとものように存じますけれども、われわれの気持をそのまま表現しただけのことでございます。
  76. 受田新吉

    受田委員 政府の提案理由の中には、いろいろまちまちにおしまいの方が書いてあるわけです。すみやかにがあったりなかったり、慎重御審議は大体あるようですが、そういうところを一つ統一していただくことをまずお願いいたします。  では、慎重に審議を始めます。今回の改正案の第一の問題点は、ギリシャの公使館を大使館にすることがあるわけです。公使館を大使館に昇格する場合の基準というものはどこにあるわけですか。
  77. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 ただいまの御質疑の問題は、前の臨時国会においてすでに済んだことでございますけれども、それは別といたしましてお答え申し上げます。  公使館を大使館に昇格いたしますのは、一般的な傾向といたしましては、今日もうほとんど公使館というのは大体廃止される傾向でございまして、ソ連とかアメリカなどのような大国はほとんど全部大使の交換をいたしております。それでむしろ従来はヨーロッパあたりの古くから外交関係を持っております国に公使というのが残っておりますが、全体の傾向といたしましては、相手方の希望、それからほかの国と大使の交換をしたからというようなことで、漸次日本に対しましても大使の交換を要求して参っておるというのが現在の実情でございます。実際問題といたしまして、大使と公使と権限などの問題について何も差異はございませんけれども、やはり儀礼的な場合に大使がまず並んで、そのあとに公使がくるというようなことで、席次とか儀礼ということでは公使の方が不利になるわけでございますので、できましたら漸次日本といたしましても大使にして参るのが至当ではないかというふうに考えております。そのギリシャの場合もやはり相手方がぜひ——ギリシャは従来日本には大公使館を持っていなかったのでございますが、初めて東京に大使館を置くということになりまして、それにつきましてはギリシャにあります日本の公使館を大使館にしてくれという向こう側の要望に沿いまして、そういう措置をとったわけでございます。
  78. 受田新吉

    受田委員 もう一つ、これはこまかい国に大使館——ネパールという国は、これは過去の問題ですが、ギリシャを大使館に昇格された機会に申し上げておくのですが、これは一体大使という格式のあるような国ですか。人口その他……。
  79. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 これは確かにいろいろ説はあることと思いますが、ネパールの場合は、インドにおられます大使が兼任でおられるわけであります。実際の大使館はございません。それでやはり相手国の面子など考えまして、向こう希望で大使にしてあるわけでございますが、実館はございませんということを申し上げておきます。
  80. 受田新吉

    受田委員 大使館が置かれている国であることは間違いないわけでございますね。だから実館がなくとも、大使を交換しておる国であることは間違いない。だから大使を置く値打ちがなくても向こうが言うた場合には、実館を置かないで兼務させるという差等をつけておる、かように了解してよろしゅうございますか。
  81. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 われわれといたしましては、差等をつけておるという考えはございません。しかしネパールに大使館を置くほどの価値が現在のところあるとは考えていないわけでございます。従いまして、インドにおります大使が兼任の形でやっておるわけでございます。
  82. 受田新吉

    受田委員 えらいまた儀礼的なことをおやりになるものです。大使館を置くほどの価値はない、しかし大使は交換しなければならぬ、こういうような便宜主義で大使館がどんどんできるというようなことが、特に外交上必要なのですか。大使館を置くほどの、実館を置くほどの価値がないところであれば置かなくていいのじゃないですか。
  83. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 これはいろいろ考え方はあると思いますけれども、やはり独立国といたしまして、相手方がそういうことを希望して参ります場合に、外交大使の兼轄というのは、外交上非常にひんぱんに行なわれておることでございまして、たとえば南米の国など、あるいはヨーロッパなども、ある国はそうでありますが、東京に一カ所置きまして、東亜諸国をその大使に兼轄させておるという例は少なくございません。われわれといたしましても、ネパールが外交使節の交換を希望しておりますときに、実館を置く必要がないから、そういう兼務もいやだと言って断わる理由はないと私は思うのでございまして、ネパールなどにおきましても、実際上ふだんの外交上の業務としてさしたることはございませんけれども、最近はヒマラヤの登山隊などというようなものが、今年はたしか三組くらい予定されておるのではないかと思いますけれども、そういうようなことでインドの大使館は、ある期間にはネパールに出張駐在員を置きたいというようなことを言って参っておる状況でもございますので、実館を置く必要がないから兼務をやる必要がないということには必ずしもならぬのではないかというふうに考えます。
  84. 受田新吉

    受田委員 大使というものと公使というものとには実質的な差があるわけですか。最近はなくなったのですか。
  85. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 職務権限とか外交特権、そういったことについて差異はございません。ただし先ほど申し上げましたように、外交儀礼的な面とか席次とかいうような点では差異はございます。
  86. 受田新吉

    受田委員 そうしますとネパールの兼務大使も、公使を置いている比較的大国のものと比較した場合には上席になる、こういうことですね。
  87. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 通常の例で申しますと、兼務であろうと何であろうとその場合に大使がおりますれば、大使がまず先に並びまして、そのあとに公使がくるという順になります。
  88. 受田新吉

    受田委員 そうしますと向こうが申し出ればみな大使にする、公使館の設置も申し出があれば公使の交換もする、こういうふうに向こうの申し出でやっていくわけですね。こちらからこれに対する規制を加えるとか、こちらの意思を何かの形で現わすとか、普通はそういうことをやらないのですか。
  89. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 さようなことはございません。相手の希望ということも一つの要素として尊重いたしますけれども、現に南米などは今公使館が三つ残っておりますが、これは相手国としては非常に大使の交換を希望しておりますけれども、あまり一挙に大使館を置くのもどうかというので押えている実情でございます。
  90. 受田新吉

    受田委員 ネパールに大使を置くことになっているのと、南米の三つの日本の移民の多い口を比較した場合に、どちらにウェートを置かれるのですか。
  91. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 それはわれわれは南米の方にウェートがあると思っております。しかしただいま申しましたように南米の方には実際に公館を置いております。ネパールの方は兼務でやっておるわけでございます。
  92. 受田新吉

    受田委員 兼務でやっている大使と実際に公使館の置いてあるところと比べて、今あなたは兼務であっても席次の上で大使の方が上位にあるのだ、そういうお話でありましたが、大使館の設置を要望している国よりもはるかにウェートの低い国にさえ大使を交換しているのに、なぜ私のところにやらないのか、そういうことも言い得ると思いますが、いかがですか。
  93. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 確かに南米の諸国は、もう自分のところに来ている外交使節はほとんど全部大使になっているから、日本も大使にしてくれ、こういう言い方をして参っております。
  94. 受田新吉

    受田委員 それは外務省としては、大使をあまりたくさんにすると工合が悪いのでやっておらぬわけですね。
  95. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 今残っておりますのは三国でございまして、三国の中でえり分けするのもいかがかと思いますし、そうかといって三国をみな大使というのも、実情から見て少し行き過ぎのような気がしますので、まだ見送っているわけでございます。しかしあまり遠くないうちにこれはやはり大使館にせざるを得ないのではないかというように考ております。
  96. 受田新吉

    受田委員 ネパールと比較したときには当然そういう結論が出るが、その三国とはどこどこですか。
  97. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 パラグアイ、ボリビア、ウルグアイでございます。もう一つ、これはちょっと別でございますが、エクアドルもできれば大使の交換を希望しております。
  98. 受田新吉

    受田委員 もう一つ、アイスランドのレイキャヴィックに領事館があるわけですね。これは官房長の御存じないようなところにあるわけです。これはどういう意味で置いてあるのですか。
  99. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 領事館とおっしゃいましたが、私はそうではなく、公使館だと思いますが、公使館の兼任でアイスランドはやっております。在スエーデン大使が兼務しておるはずであります。
  100. 受田新吉

    受田委員 公使館を置くとはますますもってなんですが、アイスランドに公使館を置いてある理由はどこにあるのですか。
  101. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 これもただいま申しましたが、アイスランドはやはり独立国でございますし、国連などの関係考えますと兼務で置くだけの価値はあると思っております。しかし実館は置いておりません。
  102. 受田新吉

    受田委員 アイスランドには日本外交官は一人もおらぬわけですか。
  103. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 その通りでございます。
  104. 受田新吉

    受田委員 全然おらぬ無人の公使館には看板は掲げてあるわけですね。看板もないわけですか。
  105. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 看板もございません。
  106. 受田新吉

    受田委員 看板も人もおらぬ。しかしそこに公使館がある。これははなはだ怪しいものですが、兼務としても当然その兼務の公使がそこへ行って執務する場合があり得るわけです。執務する場所はどこなんですか。
  107. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 大体年に二回出張いたしております。その場合はホテルに住んでおりまして、要すればそこで執務しております。ただ先ほどちょっと申し上げましたように、外交上では兼轄でそこに人も建物も何もないということは、相当ひんぱんに行なわれていることなんでございまして、日本だけがそういう特殊なことをやっておるわけではございません。
  108. 受田新吉

    受田委員 建物も看板もない、人もいない、ただ形だけ兼務の公使館がある。これは各国とも置いているということですが、これは日本にある代表部と、韓国には日本の住民を保護する機関がないのと比較するとよく思い当たることもあるわけですが、精神的にそこに公使館があるという気休めですね。そうなりますと、それは外交上の通念として、ただ単に形式的に公使の交換をしようというようなことがずっと認められてきておるわけですね。
  109. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 その通りでございます。外交上の慣例といたしましては一つの国に公館を置きまして、その公館が二つないし三つの兼務をするということはきわめて普通に行なわれていることでございます。
  110. 受田新吉

    受田委員 その場合、レイキャヴィックに行く場合の旅費というものは別に出るわけですね。
  111. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 そういうふうに公館が兼務しております場合には、それを勘案いたしまして配付旅費などを配付しております。
  112. 受田新吉

    受田委員 アイスランドに公使館がある。公使館を置くほどの国である。しかも兼務ではあるといいながらも、領事とか総領事とかと違った意味外交官として非常に高い地位のものを置いてある国である。そこでまだほかに公使を置くべき有力な国があるのと比較してお尋ねしたい。今回総領事を置こうとするローデシアなどは通商貿易もやっていこうというような、あなた方の方では相当積極的な取りきめをしておられるようですが、そういう国の方へむしろ公使館を置く方がいいじゃないですか。
  113. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 今度置こうとしておりますローデシア・ニアサランドはまだ独立しておりません。従って大使館や公使館は置けないわけでございまして、そういう関係で今度総領事館を置きたいというふうに考えておるわけです。
  114. 受田新吉

    受田委員 これは独立をめどにしてやるわけですね。独立というのは見通しがついているわけですか。
  115. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 このローデシアにつきましては、われわれの判断ではそう遠くないうちに独立国になるだろうと思っておりますけれども、現に国連の下部機関などにはすでに一単位として加盟しております。しかし独立国になることにつきましては、かなり具体的な日付などもアフリカではきまっているところがほかにありますが、そこにつきましてはまだそこまでいっておりません。ただ一般的な考え方といたしまして、そう遠くないうちに独立国になるのではないかというふうに考えております
  116. 受田新吉

    受田委員 在外公館を作るのが思いつきでなされておるようなら、これも問題ですからね。非常に大きな見通しとか実績とかを十分検討しておやりにならなければならぬのですが、もう一ぺん返りまして、アイスランドは日本人がどれくらいおり、どういう取引をやっておる国ですか。
  117. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 私承知しておる限り、アイスランドには日本人はおらぬと思います。貿易も、私今数字を覚えませんが、ほとんど問題にならないだろうと思います。
  118. 受田新吉

    受田委員 人もおらぬ、貿易も問題にならない、そこに公使館がある、こういうことは向こうが申し出たからやったわけですか。
  119. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 公使館があるとおっしゃいますが、実はないということはかねがね申し上げたので、兼務でやっておることでありまして、(「兼務でもあるのですよ」と呼ぶ者あり)それは慣例上あるのでありまして、われわれはそれほどの価値があるとは思っておりませんが、兼務で公使館を置くことも、ともかく一国として国連などに入っておる関係考えれば、むしろ当然ではないかと考ております。
  120. 受田新吉

    受田委員 世界各国の独立後の国々は全部兼務で置いてありますか。
  121. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 原則としてはその考えでおりますが、現在まだリベリアとイエーメン、それから韓国もそうでありますが、これにはまだ公館はございません。兼務の公館もございません。
  122. 受田新吉

    受田委員 アイスランドにさえ置くのですから、それらの国々とは当然兼務公使の交換はするわけですね。
  123. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 たとえばイエーメン等については、近い将来そういうふうにいたしたいと考えております。
  124. 受田新吉

    受田委員 大公使館論争は以上そのくらいにしておきます。  次は今回の改正案の中身に入っていきますが、総領事館の方は一応ただいまの御説明で質問を取りやめることにします。その次の在勤俸の問題についてお尋ねをしたいと思います。御提出をいただいた資料でお尋ねをしますが、在勤体の算出方式の中に、米国外交官で年俸五千ドルもらっておる三等書記官のものが、フランスのパリに在勤した場合における給与年額は七千八百二十ドルとなっておる。その内訳は本俸五千ドル、住居手当二千四百ドル、勤務地手当四百二十ドルとなっております。これを見ますると、アメリカ外交官は在勤俸というような俸給の性格のものでなくて、住居手当、勤務地手当という、本俸以外には手当という名称が打ってあるのであります。これは原語はどうなっておるかはっきりしませんが、俸給の一部のような印象を受ける手当ではない。いかがでしよう。
  125. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 大体お説の通りでございます。アローアンスという字が使ってございます。
  126. 受田新吉

    受田委員 日本の場合の俸給に準ずる在勤俸という言葉使い方について、もう一つ確認をしておかなければならぬのですが、アメリカでさえ手当とはっきり割り切っておるときに、外務省だけが俸という言葉を使って、基本俸給に準ずるような俸給及び手当とはっきり日本の人事院は割り切って区別しているわけでございますが、俸給と手当を区別しているときに、俸給の一部のような印象を与える在勤俸がつけられているのは、国際通念から見てもこれは問題があると思う。やはり在勤手当とはっきり割り切って区別されるのが適当なんじゃないでしょうか。
  127. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 この点はすでにこの委員会におきまして、受田委員の御質問に対してお答え申し上げたのでありますが、従来は在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の第二条に、在勤職員が受ける俸給、手当がずっと並んでおりまして、その中に在勤俸、加俸というような字が使われておるわけでございます。しかも在勤俸がどういう形で与えられるかということになりますると、「在勤俸は、存外職員在外公館において勤務するのに必要な衣食住等の経費に充当するために支給されるものとし、その額は、在外職員がその保管維持し、且つ、その職務と責任に応じて能率を充分発揮することができるように」云々、こう  いうふうに書いてございまして、われわれは手当であるか俸給であるか、その観念上の問題にさしてこだわるつもりはございませんけれども、この書き方から見ましてもいわゆる手当とはまた違った、やはり基本俸給的な観念も含んだものとして、この法律は観念しておるので、それがこの第二条に手当という字を使いながら、在勤俸のときには在勤俸とこう書いておりますので、法律の趣旨はそういう意味ではないかというのが現在われわれの考え方でございます。
  128. 受田新吉

    受田委員 それは考え方が違っておると思うのです。その手当というものとこの俸給というものは、そうあいまいなものではないわけなのです。その法律の加俸、在勤俸の問題を今お取り上げになっておるわけですが、外務省だけがこれを用いているわけで、たまたまその当時外務省のどなたかが御立案になったと思う。国家公務員関係で俸給以外のものを俸の字を使って、俸給にまぎらわしく説明している給与制度は全然ありません。従って、外務省だけが——当時給与制度というものについて国全体をまとめる機関がなかったために、一省で御立案されたものがそのまま通ってきたということが言えると思うのですが、一応われわれは人事院という国家公務員の機関がきめている基準にのっとって各省がこれを是正されると、従来独立の性格でお出しになった法案のあやまちはただされる。今あなたは、基本給、俸給の性格を含んでおるという解釈ですが、それはその御説明では出てこないわけです。基本的に受ける俸給の方には入らないわけです。手当の方へ入る。これはこの住居手当とかあるいは勤務地手当とかいうものに相当するものであって、この算定方法の御説明を聞いてもこう書いてあるのです。これはあなた方からお出しいただいた中に「一般職職員で五級の職務にある者が、アメリカ合衆国ワシントンに在勤して衣食住に事欠かぬ最小限度の生活をする場合の生計費を見積り、月額約二三〇ドルを要するものと算定した。」とこう書いてあるのです。これはあなた方が書いた資料でも、ワシントンに在勤する地域的な立場に立って衣食住に事欠かぬ最小限度の生活をする場合の生計費と、こういうことがはっきりうたってあるわけです。それで今最低の号俸を出されて、いわゆる外務書記試験に合格して向こうへ赴任した場合の最低を規定しておられるわけです。この書きぶりからいっても俸給の性格は出ないはずですがね。
  129. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 在勤俸の問題につきましては、昭和二十七年に戦後初めて在外公館を設置するときにできました法律でございますので、現在ではいろいろその額などについても調整を要するかと思っております。ただ各国のいろいろのでこぼこを均等にやりますためには、調査なども十分いたさなければなりませんので、おくれておりますけれども、おそらくそう遠くないうちにこの在勤俸の問題は根本的に考えられる時期も参ろうかと思いますので、その際には先生の御意見なども十分参酌いたしまして、名前が適当でないならば変えるなり、適当に考えたい、こういうふうに考えております。
  130. 受田新吉

    受田委員 その次に「ワシントンにおける在勤俸支給年額」で、これは外務書記ですが、この表の中で基準号俸の十号二千七百五十ドルというのは、アメリカの三等書記官に当たるものですか。日本の場合は五等級くらいに当たるのか、六等級くらいに当たるのか、どれに当たるのか、一つ御説明願いたい。
  131. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 中級試験の合格の初めでございますから、三等書記官といったようなものよりはずっと下でございます。名前は副理事官と言っておるのではないかと思いますが、いわゆる試験と申しましても、外交官試験でない、中級試験でございますから、それの合格者の初任給というわけでございまして、三等書記官というような、そんな上のものではございません。
  132. 受田新吉

    受田委員 アメリカの三等書記官というと、この号俸のどこに当たりますか。
  133. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 三等書記官も幅がございますが、大体五号くらいのところをお考えいただければ、そう間違っていないと思います。
  134. 受田新吉

    受田委員 官補というのも説明をしておられるのでありますが、三等書記官は五号ないし六号としてみましょうか。そうしますと、在外手当をもらっている三等書記官が受けるその手当の額は、パリにおいては二千四百ドルと四百二十ドルで、合計二千八百二十ドル、これが本俸以外の手当になっておるのです。そうですね。
  135. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 その通りでございます。
  136. 受田新吉

    受田委員 そうしますと、五千七百八十ドル在勤俸をもらうことになっている五号俸あたりは、日本では係長、課長補佐、課長の段階に入るでしょう。そのあたりのもの、つまりアメリカの三等書記官が二千八百二十ドルしかパリで在勤手当をもらってない。日本在外公館に勤務する職員は、在勤俸として五号に当たるものが五千七百八十ドルももらっている。ちょうど倍からもらっている。これは在勤俸の額がアメリカと比較しても非常に高いということが言えると思う。
  137. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 それは在勤俸だけをおとりになりますから、そういう結論が出るわけでございますけれども、本俸がアメリカの場合には五千ドルもらっておるわけでありますから、月に約四百何十ドルという本俸と申しますか、基本給があるわけでございまして、それですから、パリに在勤したからといってそうたくさん出す必要はないということで、二百何十ドルで済んでいるわけでありますが、日本の場合、この三等書記官の者が月に二百何十ドルしかもらえないということでは、これではとても生計も営めないでございましょうし、外交官の体面というようなこともとうていできないので、これはわれわれが日本でもらっております月給のことを同時に勘案していただきませんと、結論ははなはだ不当なものになるのではなかろうかと思います。
  138. 受田新吉

    受田委員 そうお答えいただこうと思って、私は御質問したわけです。そこでこれから問題が起こるのです。アメリカは本俸五千ドルもらっておるわけです。日本でも外交官は本俸を国内でもらっておる。大公使としても八万円から九万円もらっておるわけです。それぞれみんな俸給をもらっておる。もらったものが海外でさらに手当をもらっておる。こういう二重構造になっているわけですね。二重構造になっている場合、アメリカという国は、本俸が高いから海外手当を低くしておる、そういう意味合いのものでは、私はないと思います。やはりこれに書いてあるように、住宅手当とか勤務地手当とかいうものは、海外にいても食えというような意味で本俸を高くしているとは思いません。本俸というものは、外交官として基本的に受ける俸給なのです。従って今のようなお説であるならば、たとえば日本の大使や公使が海外へ勤務しておられる場合に、御本人は飯も食わないしお小づかいも要らないから、その分だけみな貯金ができるのだ。家族は節約すれば、大使の八万円はほとんど六万円くらいは貯金できるわけですね。御本人は国内の生活費は全然要らないのですから。だから本俸というものは、それぞれその国で基本的に受ける俸給として計算すべきであり、在外で勤務する期間の在外手当というものは、別のワクで計算をすると、これははっきり割り切っていかなければならぬ。アメリカは海外に勤務するものも、勤務する差額の分は本俸で食えという意味で、本俸が高いとか、そういう基準にはなっていないと思う。従って在勤俸の算定基礎というものが、日本の場合には本俸を差し引いて計算した場合にはばかに高いものになっておる。この資料によると、ワシントンの場合に、下の上、中の下くらいだと基準を置いておられますけれども、この在外手当について、実はこういう説がある。外務省の方々は海外へ出られると、在勤手当を節約できるので、それで海外勤務を希望する。国内へ来ると本俸だけしかないから、外務省というお役所はなかなか財政的にも予算の上でもしぼられている役所だから、みんな海外へ出たがるという、そういう説が一般に流れておる、こういうことなのです。こういう意味で、在外手当という基準はこれはやはりいろいろな角度から検討されておきめにならないと、この基準に対して一つの疑点も起こると思うし、またこれを非常によく節約すれば、貯蓄もできる。一財産を作って海外からお帰りになる外交官も現われるということも私は考えられるのです。従って実際に要る経費は直接国が支払うような方式をとれるように、在外手当の支出の実態を明らかにされないと、それをばく然ときめたままでまかしておいたのでは、非常に不合理な金の使い方がされる危険があると思うが、いかがでしょうか。
  139. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 私は今受田委員のおっしゃいますような結論になることをおそれて、われわれは在勤俸というのが必ずしも手当ではないのではないかということを、先ほどから申し上げたつもりでございます。外国の生活というのは非常に日本の生活と比べて金がかかるということは、たとえば旅行者の場合でも、一日に二十ドルとか二十五ドルというものが認められるというようなことを考えましても、外国に参りましたときには、日本の普通の俸給とは格段の形において給与がなければ、生活ができないという実情があるわけでございます。従いましてアメリカのようにもとの俸給が高い場合に、それは外国に出たときの手当という観念だけで成立するかと思いますけれども、日本のような場合でございますと、これにただアメリカと同じようなレートで二百ドルとか三百ドルが加えられたというのでは、これは在外においての外交官の生活はできないと思うのであります。結局日本の場合におきましても、在勤俸以外にいわゆる本俸と合わせたものが在外の俸給という観念でございまして、本俸はそれはたまたま日本に家族を残しておられるために二重の生活で、本俸を日本に置いてあるという場合もむろんあろうかと思いますけれども、考え方といたしましては、いわゆる本俸も在外で使うべきものであるという考え方でございます。それを両方合わせまして、現在の在外においての外交官の相場と申しますか、そういうものをとりますと、日本の場合にまあ中ぐらい、中から少し下くらいというのが現在の実状でございます。日本の在勤俸が特に諸外国と比べて高いというふうにはわれわれとしては考えておらぬわけでございます。
  140. 受田新吉

    受田委員 今海外で暮らす場合に、本俸と在勤俸で暮らすのだ、そういう意味の在勤俸だ、それは本俸と在勤俸と区別してあなたもおっしゃっておられる、それを合わせて俸給という意味ではないということをはっきり言われておるわけでありますが、それはあちらに行かれても、残っておられても同じことですから、どちらの場合を見ましても、日本でもらう給与というものの高は、これは知れているわけです。この一番びりっこの十二号俸の二千二百五十ドルをもらう、これに例をとりましても、二千二百五十ドルというと八、九十万円ですから、この辺の人の俸給は少なくともその十分の一程度ですから、在勤俸の十分の一程度しかサラリーをもらっておらぬ。ワシントンにおける大使の一万八千八百ドル、これは少なくとも六百万円です。六百万円の在勤俸をもらっておられるわけです。大使の俸給が八万円ないし九万円としても、大体それの年俸の五倍くらいを在勤俸でもらっておられるわけです。従って本俸の方は大して問題にならぬと思うのです。在勤俸をもらう方々から見たら焼け石に水の程度の金額なんです。だから私は問題になるのは在勤俸だと思うのですが、在勤俸の基準が、これは節約する、下の下の生活をやるというぐらいにすれば、これはうんと貯蓄ができるわけです。中の下と、下の上ぐらいをおやりになるということを基準にしておられるわけですが、これもやはりこういうように在勤俸をやられたらどうですか。アメリカがはっきり割り切っているように、住居手当というような形のものをはっきりして、住居を外交官にはきちっと与える、その住宅手当を国がはっきり出す。そのほかの生活費をこういうふうにだんだんと局限されてくると、そこにおいてアメリカがやっているようなはっきりした勤務地手当というものが幾ら残るという、お小づかいの分が出てくる、こういうふうになると思うのですが、諸外国の在勤俸、こういうものは一体どういうふうになっているか。外国の実情もお伺いしたいと思っておったのですが、まだその資料が出ていませんが、在勤俸の計算の方法が残ってくると思うのです。これが万全の策かどうかをお伺いしたいと思います。
  141. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 われわれも現在のこのやり方が万全とは必ずしも考えておりません。外国の例などもいろいろ調べておるのですが、国によりまして、何と申しましてもその基本の給与がずいぶん違いますのと、また在外におけるやり方につきましてもかなり国によってまちまちでございます。それから住居を必ず別の手当で出すというようなことも一つ考え方で、われわれ将来場所によってはそういうことも考えなければいかぬという感じは持っておりますけれども、在勤俸を全部そういうふうに中身を割りましてやるやり方が妥当かどうか、もう少し研究させていただきたいと思う次第であります。
  142. 受田新吉

    受田委員 審議を急ぎますが、ブタぺストやソフィアその他のいわゆる共産圏の国々に置かれる外交官の在勤俸が、ソ連と同じ基準に暫定的にされているわけですね。これはほかに調査の基準がなかったわけですか。
  143. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 もちろん開館の前に一応の調査はいたしまして、出張などさせましたけれども、結論的なことを出すまでの準備はできなかったわけでございます。それで大体共産圏の事情というものは、多少国によってニュアンスの差がございますけれども、そう基本的には大差がないという考え方で、とりあえず暫定的にそういう措置をとったわけでございます。
  144. 受田新吉

    受田委員 ここでお出しいただいた資料の中で、基準在勤俸のワシントンの十号の額の算出の内訳があるのですが、この中に住宅、食料、衣料、保健、修養娯楽、交通費、交際費があって、交際費が十五ドルしか見てないわけです。従ってこれで大体在勤俸を配分されておると思うのですが、交際費というものは別に何かの形で、たとえば外務省の予算の中の報償費というものもあるのですが、そういうところからも出しておるわけでしょうか。
  145. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 お説の通り交際費というのは別に費目がございます。ですから特別の宴会のような費用はそっちから出るわけでございますが、やはりわれわれの日常の生活に類しました交際費、冠婚葬祭等につきましての交際費というのは個人としても要るわけでございますから、ここに交際費と出しておりますのはその意味でございます。
  146. 受田新吉

    受田委員 はなはだそういうところがあいまいで、海外でやっていることですから一々目が届くわけでないのですから、交際費と称して適当にサインして、支払いをしてしまったというような場合に、これは国内でも適当にやっている人もあるわけですが、国費の場合、少なくとも国民の税金ですから、国民が一人の大使に、アメリカの場合朝海さんに交際費を含めた手当として六百万円を上げているのですから、大へんな額です。だからその中に交際費というのが別にあり、さらに報償費から公式の交際費は出る。個人の交際費を、交際をやったやったといって公の報償費から出す方法もあるわけです。だからそういうところが非常にルーズになるおそれはないかと思うのです。こういう海外の外交官の行動について、その財政支出に目を光らかして、厳重に公務員たるの体面が汚されぬように看視をされなければいかぬと思うのですが、ひんぱんにやっておられますか。グループ、グループで適当にやっておるのじゃないでしょうか。
  147. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 在外公館のことにつきましては、終局的には館長というものをある程度信頼する以外に私はやむを得ないと思いますけれども、可能な限りにおきましての査察、検査ということはやっております。査察使というのが大体年に——これは必ず毎年一回というわけには参りませんけれども、三地域くらいに分けまして、年に一回くらいずつ出しておりますのと、それからそのほか会計検査院もことしからはたしか検査に出られるようでございます。われわれといたしましてもそれ以外に行政上の措置といたしまして、できる限りの監査はいたしておるつもりでございますけれども、冒頭に申し上げましたように在外公館のことについてそれほど疑念を持たれるといたしますならば、われわれの不徳のいたすところと申し上げるよりいたし方ないわけでございます。
  148. 受田新吉

    受田委員 おしまいに、各国の俸給額調をお出しいただいているのですが、大学卒の試験採用の初任給は英国は五万円、米国は十二万一千円、ちょうど日本の十倍であります。フランスが四万五千円、西ドイツが六万三千円となっているわけであります。こういうふうに大学を卒業した者が、英国は五万円で暮らされ、アメリカでは十二万で暮らされておるのでありますから、その暮らし方からいくならば、アメリカを一〇〇とした場合に、イギリスをその半分にしているという計算ができるでしょう。またフランスはその半分よりもさらに少なくていい、こういうふうになるわけですけれども、アメリカ、フランスはいずれも地域差がなくて、同じ一〇〇という単位になっておる。だからこういう問題も考えてみると、どうも大学を出た者が、安い国も高い国も同じような基準で在勤俸がきめられておって、地域差がほとんどないようになっておるというのは、一応外交官に対する体面を考えたわけでしょうか。もう一つそれにつけ加えてお答えを願いたいのは、このこまかい地域差というものが、どうもアメリカを一〇〇とした場合に、ブラジル九五、アルゼンチン九〇とか、こういうふうな基準というものが、われわれには何か納得できない。何を算定基礎にされたか。計算の基礎に不明確なところがあると思うのです。この国々がこんなに違っているわけですが、物価指数、その他の問題もあると思うのですけれども、私はその国の俸給をもらっているものを比較してみるのが、生活の比較をするのに一番いいと思う。日本は低賃金でございまするから、非常に窮屈な暮らしをしている。アメリカ日本の十倍も初任給をもらっているから、物価が多少高い点があっても、楽にいっているというようなところがあると思うのですが、一応俸給というものが基礎になると思うのに、その俸給をほとんど参考にされないで、この地域差ができておるのですが、この在勤俸の地域差はどういうことできめられているのか、その二つをお答え願いたいと思います。
  149. 内田藤雄

    ○内田(藤)政府委員 先ほども申し上げましたように、現在の作られております法律は、今日から見ますと非常に古いものでございますし、われわれ自身非常にでこぼこが生じておるということを認識いたしております。従いましてわれわれといたしましては、そういった点を勘案いたしまして、これの改正を行なわなければならぬと思って、せっかく準備をいたしておるわけでございますが、全般をうまく勘案いたしますということは、実際問題としてなかなかむずかしいことでございますので、この一、二年のうちにそういった問題を何とか片づけなければならぬと思っておりますけれども、現在のところ、ある特殊のところは何とか早く是正したいと思っておりますけれども、全般的には現在のところまだそれを調整する法律案を出す段階に至っていないわけでございます。
  150. 受田新吉

    受田委員 これで私の質問を終わりますが、外務省としては、われわれは外務省の公平な平和外交に対しては全幅の御協力をしているわけですし、外務省の事務当局としてのまじめなやり方に対しては御協力をして差し上げますから、こういうこまかい事務的な問題などにもいろいろとお手数ではあろうが、国民が納得するようなものを出していただいて、外務省という役所は案外高いところで下を見おろすような別格官幣社——今はそういう言葉はありませんが、そういうような印象を与えるようなことのないように、国民に解け込んだ外交の役所ということで奮励努力されんことを希望いたしまして、質問を終ります。
  151. 福田一

    福田委員長 ほかに御質疑はありませんか。——御質疑がなければ、これにて本案についての質疑は終了いたしました。     —————————————
  152. 福田一

    福田委員長 これより三案を一括して討論に入るのでありますが、別に討論の申し出でもありませんので、直ちに採決いたします。  科学技術庁設置法の一部を改正する法律案法務省設置法の一部を改正する法律案及び在外公館の名称及び位置を定める法律等の一部を改正する法律案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 福田一

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって三案はいずれも可決されました。  なお、三案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  154. 福田一

    福田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次会は来たる十五日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十分散会      ————◇—————