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1960-02-16 第34回国会 衆議院 内閣委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十六日(火曜日)     午前十時三十四分開議  出席委員    委員長 福田  一君    理事 岡崎 英城君 理事 高橋 禎一君    理事 高橋  等君 理事 辻  寛一君    理事 前田 正男君 理事 石橋 政嗣君    理事 石山 權作君 理事 田万 廣文君       淺香 忠雄君    内海 安吉君       小金 義照君    富田 健治君       橋本 正之君    山口 好一君       久保田 豊君    杉山元治郎君  出席国務大臣         国 務 大 臣 赤城 宗徳君  出席政府委員         防衛庁参事官         (長官官房長) 門叶 宗雄君         防衛庁参事官         (防衛局長)  加藤 陽三君         防衛庁参事官         (経理局長)  山下 武利君         防衛庁参事官         (装備局長)  塚本 敏夫君         農林政務次官  小枝 一雄君  委員外出席者         専  門  員 安倍 三郎君     ————————————— 二月十三日  委員正力松太郎君及び田村元辞任につき、そ  の補欠として八田貞義君及び淺香忠雄君が議長  の指名委員に選任された。 同月十五日  委員柳田秀一辞任につき、その補欠として堂  森芳夫君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十二日  水産庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四二号) 同日  金鵄勲章年金及び賜金復活に関する請願(小泉  純也君紹介)(第二七号)  同(廣瀬正雄紹介)(第二八号)  同(松澤雄藏紹介)(第二九号)  同(保利茂紹介)(第六三号)  同(山崎巖紹介)(第六四号)  建国記念日制定に関する請願南條徳男君紹  介)(第三〇号)  同外三件(纐纈彌三君紹介)(第五六号)  同外一件(小林絹治紹介)(第五七号)  同(濱田正信紹介)(第五八号)  同(前田正男紹介)(第九七号)  旧軍人恩給加算制復元に関する請願増田甲  子七君紹介)(第三一号)  同(小林絹治紹介)(第三二号)  同(増田甲子七君紹介)(第六五号)  同(田中武夫紹介)(第一二〇号)  靖国神社の国家護持に関する請願佐々木盛雄  君紹介)(第四八号)  同外二十八件(田口長治郎君外二名紹介)(第  四九号)  同(福田赳夫紹介)(第五〇号)  同(遠藤三郎紹介)(第五二号)  同外十六件(今井耕紹介)(第五三号)  同外一件(中垣國男紹介)(第五四号)  同外一件(濱田正信紹介)(第五五号)  同(井出一太郎紹介)(第九八号)  同外一件(田中角榮紹介)(第九九号)  同外十一件(田邉國男紹介)(第一〇〇号)  同外八件(中曽根康弘紹介)(第一〇一号)  同外二件(福田赳夫紹介)(第一〇二号)  同外三件(藤枝泉介紹介)(第一〇三号)  同外一件(長谷川四郎紹介)(第一〇四号)  同(濱田幸雄紹介)(第一〇五号)  同(増田甲子七君紹介)(第一〇六号)  傷病恩給の是正に関する請願坂田道太君紹  介)(第五九号)  同(櫻内義雄紹介)(第六〇号)  同(椎名悦三郎紹介)(第六一号)  としよりの日を国民の祝日に制定請願(永山  忠則君紹介)(第六二号)  国旗記念日制定に関する請願今井耕紹介)  (第九六号)  北海道開発局定員外職員定員化に関する請願  外二件(岡田春夫紹介)(第一一八号)  同外三件(永井勝次郎紹介)(第一一九号)  国家公務員に対する寒冷地手当石炭手当及び  薪炭手当の支給に関する法律の一部改正に関す  る請願西村関一紹介)(第一二一号)  一般職職員の給与に関する法律の一部改正に  関する請願外四件(長谷川保紹介)(第一二  二号)  寒冷地手当増額に関する請願外一件(松平忠久  君紹介)(第一二三号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  水産庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第四二号)  防衛庁設置法の一部を改正する法律案内閣提  出第三二号)  自衛隊法の一部を改正する法律案内閣提出第  三三号)      ————◇—————
  2. 福田一

    福田委員長 これより会議を開きます。  水産庁設置法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 福田一

  4. 小枝一雄

    小枝政府委員 水産庁設置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  この法案は、水産庁付属機関である十和田湖ふ化場を本年八月一日に廃止しようとするものであります。  十和田湖ふ化場は、ヒメマス資源重要性にかんがみ、国営によりその人工孵化放流事業を実施するため、昭和二十七年に設置されたのでありますが、近年同じく国営であります北海道さけますふ化場支笏湖事業場におけるヒメマス種卵の生産が著しく増加し、全国の移殖用種卵需要量を十分確保し得る見通しがつくに至りましたので、十和田湖における増殖事業は単にその地方需要を満たせば足りることとなり、国営によりこれを行なう必要がなくなった次第であります。  従いまして今回十和田湖ふ化場を本年七月三十一日限りで廃止することといたし、青森秋田両県の県営に移管することとするものであります。なおこれに伴い昭和三十五年度におきまして、青森秋田両県が十和田湖においてヒメマス孵化放流事業を行なうのに必要な施設の設置に要する経費の全額を補助するための予算を計上しております。  以上、この法律案提案理由を御説明申し上げましたが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決下さいますようお願い申し上げる次第であります。
  5. 福田一

    福田委員長 本案についての質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 福田一

    福田委員長 防衛庁設置法の一部を改正する法律案及び自衛隊法の一部を改正する法律案一括議題といたします。  前回の委員会におきまして、昭和三十五年度防衛庁関係予算に関しその概要の説明を聴取いたしたのでありますが、各委員の要望もあり、本日さらに詳細な資料が提出されましたので、本資料につきまして懇談会形式説明を求めることといたしたいと思います。  それではこれより懇談会に入ります。      ————◇—————     〔午前十時三十八分懇談会に入る〕     〔午前十一時四十八分懇談会を終わる〕      ————◇—————
  7. 福田一

    福田委員長 これにて懇談会は終了いたしました。  これより質疑に入ります。質疑の通告がありますのでこれを許します。石山權作君
  8. 石山權作

    石山委員 赤城長官予算編成当時のことをお伺いしたいのですが、ことしは伊勢湾台風等があるから防衛費はふやさないのだ、こういうふうなことが大蔵省筋から流されて、これは国民一般の納得を得た一つの宣伝だったと思うのです。それをあなたが、年末年始休まないで、粘りに粘って百二十五億よけい取ったということは、国民の期待を裏切ったと思うのです。あなたは何でそんなにがんばって取らなければならなかったのか。そこら辺の局長さんににらまれて——あれはよくあるのですね。大臣が浮くとか浮かないとかいうのは、そこの省の予算よけい取らなければ浮くという話を私聞いているのだが、あなたは国民の世論よりも、そこら辺に並んでいる局長さんの視線の方がおつかなかったのですか。いずれにしてもわれわれは悲観したのです。どういうわけです、百二十五億よけい取らなければならなかったというのは。伊勢湾台風があったのですよ。
  9. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛庁予算についての考え方に二つあると思うのです。防衛庁関係費は九億しか増してない。国民の側から見れば、いわゆるタックス・ぺーヤーというか、税金を払う方から見れば、防衛庁関係では九億しか増してないということであります。しかし今御説明申し上げましたように防衛庁内部では、防衛関係費だけでなく、防衛庁費では百二十五億増している。この百二十五億増したものは、これは国民税金から百二十五億よけいに負担するということではありませんので、九億だけ負担するという関係なんであります。でありますから、御説のように伊勢湾台風もあるので、私どもも民生安定や災害復旧国土建設の方へなるたけ予算を増してそれで予算のワクというのも千五百億、二千億近くふえているわけです。だから、ほんとうはその率からいえば、去年が総所得に対しては一・七%ぐらい、その後所得がふえましたから、国民所得から見て一・五八ぐらいになりましたが、ことしの予算から見ては総所得に対して一・四八%、これは国民所得に対しては減っているわけです。だからその数字からいえば、九億国民負担が増したということなんです。しかしやはり防衛力というものを充実する。しかしこれは民生安定とか国土建設とか、こういうものに害のないように極力自粛しながら、しかも防衛力はまだ充実しないという程度であるから増していく、こういうことで提案しているような予算の額になったわけであります。石山さんの御趣旨もよくわかってやったことで、何も事務当局にどうこうということではございません。
  10. 石山權作

    石山委員 長官の言うことははなはだ人を食った話だ。百億別に入ったら、その百億分減らせばいいじゃないですか。わざわざそれに足して、何も百二十五億というようによけい使わなくてもいい。減らせばいいのです。だってあなた考えてごらんなさい。二千百五十億というのでしょう、来年の税増収が。そんなにたくさんあって、一銭も減税できなかった恨みは防衛庁にあるといわれているのですよ。その首魁は赤城さんだと言っている。なぜ一銭も減税できない羽目に追い込まれながら、百二十五億もよけい自衛隊費をふやさなければならないのか。特にあなたもしょっちゅう言っているけれども、国力とか国情とか国民の民生安定というようなことを言っているのですから、そういうことを考えると、こういう場合ですから当然減らしてもよろしいのではないかというふうに思うのですが、その点はどうなんです。
  11. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛庁費のために減税ができなかったとは考えておりません。九億だけ増しただけですから、九億の減税ぐらいはできるかもしれませんが、そういうことで防衛庁関係費が九億ふえたから減税ができなかったという立論は、あまり当を得ていないのではないか、こう考えます。しかし今お話のように減らしたらいいじゃないか、こういうことでありますが、防衛分担金の百十一億というのは、御承知のように支出でそれだけあったのですから、これを防衛庁関係予算で使うということは、今まで支出していたものをこちらで使うということで、これは非常に自粛したやり方だと思うのです。それから自衛隊装備等関係からいいましても、実はこれを充実しなければならない問題があるわけであります。そういうことで、やることもたくさんあるのですけれども、ことしは防衛庁関係費として全体としては九億だけという限度にしたわけであります。何も世界の例を引くわけではありませんが、世界でも一番防衛関係費用というものは少ないわけであります。しかし何も世界並みにやれというわけでなくて、やはり日本自衛隊のあり方及び日本国情というものを勘案して考えたので、決してよけい防衛庁関係費用要求し、獲得している、こういう実情ではございませんので、その点はよく御了承願いたいと思います。
  12. 石山權作

    石山委員 きのうの予算委員会で、あなたは昭和四十年に二千九百億くらい、これは国民所得の二%だと言っておりますね。これはやはり世界並みですか。
  13. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 これは世界並みよりずっと低いのです。世界並みは六%とか七%とか、もっとずいぶん多いのです。二%は世界でも一番少ない方でしょう。しかし私はそれでやっていくというわけではございません。一応第二次防衛計画を策定しておるときに、それに対する財政関係など検討いたしましたところ、大体四十年くらいにそれくらいになるのではないかという一応の検討があったのです。それをそのときの国民所得にすれば二%ということになる。しかしこれは今第二次防衛計画検討策定中です。きのうもお話し申し上げたように、三十五年度から四十年度という計画であったのですが、三十五年度予算要求もいたしておりますので、三十六年度からやっていく。それについては、四十年の第二次五カ年計画最終年度にはどのくらいにするかということは、これからの検討事項です。前にそういう案も一つあったのですが、それに固執するわけではございません。でありますのでよく検討いたした上で、第二次計画の中にも財政的の面もよく考えてみたいと思います。
  14. 石山權作

    石山委員 最近地域について大へんやかましいから、世界並みというのは一体どれどれの国をさして言っておるのですか。大体のところは……。
  15. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 国民所得に対する国防費割合を申し上げますと、まずアメリカが一二・四%、イギリスが八・一%、フランスが七・七%、イタリアが四・一%、西ドイツが四・七%、インドは中立的な立場に立っておりますが二・六%、パキスタンが四・四%、ビルマが八・三%、フィリピンが二・二%、中立国スイスが三・四%、そのほか調べた国々を申し上げてみますと、ソ連が歳出に対する国防費割合は一六%となっております。でありますから世界並みといっても、世界の平均というわけではございません。こういう率からいいましても、決して非常にむちゃな防衛費要求しておるというわけではありません。しかしその国々事情に応ずるものですから、何もよそが多いから日本も多くしなくてはならぬという、こういう理由はないと思います。日本情勢をよく勘案しましてやっていかなくてはならぬ、こう考えております。
  16. 石山權作

    石山委員 私もその通りだと思う。うんと金のある国とうんと貧乏な国は対立して軍事費が多いのです。われわれが昔日清日露戦争をやったときを考えてみても、国力に不相応な軍備をしたという経験を持っておる。それからイギリスアメリカ、ああいう一流国は、当然軍備が大きくても、国力あるいは民生はそれにたえるだけの素質があるわけなんです。あるいは奥行きがあるといってもいいかもしれませんが、それがあるわけです。日本は経済的に一体どういうところにあるか、まさかはだしで機関銃を用意して喜ぶような民情でもないと思う。  あなたの奥さん、まだ町長さんやっていますか。あなたの奥さん町長さんをやっておればよくわかると思うのだが、いつか私家に帰ったのです。ある町村に行ったらこういうことを言っておる。地方財政ほんとうに困っている。町村合併して、今まで持ち込まれた財産を少しずつ売って、何とか赤字を埋めてきたというのだ。今年になったらあの通り政府交付税を縮めてきた。やっていけない。あげくの果て何を言ったかというと、あのロッキードの片羽根分でもほしい、そういうふうに町長さんで言っておる人がいるのです。なるほどそうですよ。地方民にとれば一町村では片羽根だ。一億円もあればおんの字だ。私ちょっと調べてみたら、秋田県なんか百三十万県民で地方財政の当初予算が年に百四十四億です。しかも九割は国庫から来る。自己財源というものは一割ぐらいでしょう。だから秋田県下の市は、ジェット機一機に該当するのはほとんどないのです。秋田市だけが二十万あって、約十四億くらいの当初予算を組んでおります。あとその次の能代くらいになりますと、ほんとうジェット機一機ないのです。だから地方町長さんがジェット機の片羽根ぐらいほしいなんというのは、私は真実をうがっておるものだと思うのです。それほど金額が大きくて、そうして何かここら辺をもう少し倹約してもらえば、おれたちの方も何ぼか楽になるのじゃないかというのではないかと思うのです。ことし学校が建つでしょう。御承知のように七十七万とか中学生がふえて、その学校の増設のためにみんな各町村頭を悩ましている。そういうふうなことを考えてみますと、あなた去年よりも減らさないとかなんとかいうけれども、とにかく百二十五億ふえていることは間違いない。この際伊勢湾台風等もあり、二千百五十億の税の増収があっても減税に回せないという国情からすれば、愛せられる自衛隊を作ろうとするのであれば、当然減税措置に一臂の力をかしていくことこそ、私は長い目で見た場合、あなたたち立場を有利にするのではないかと思うのです。そういうことを十分お考えになった結果あなたはぶんどりをやったのか、お考えにならなかったのですか。奥さんに聞かれなかったのでしょう。奥さんに聞けばちゃんと言うよ。片羽根一枚ほしいなと必ず言う。それも十分お考えになってやってくれたのですか。
  17. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 お尋ねまでもなく十分に考えたことです。ことに片羽根一枚ほしいというようなことは、これはごもっともだと思います。しかし今申し上げましたように、スイスのような中立国でも、国民一人に対して三%以上の防衛考えているわけです。ですから防衛をやめてしまえというようなことであれば、これは別でございます。しかしこの防衛というものは戦争と別だと思うのです。戦争があるから国防ということではなくて、私がかねがね言っていますように、戦争とか局地の紛争を起こさないためにやはり防衛というものを持っていなければならぬ。固めていかなければならぬ。スイスのような国は中立国ですから、戦争をしようとしないでしょう。戦争をしようとしなくても、国民所得の三・四%程度防衛をしておる。これがやはり中立を守っていく基礎だと思うのです。だから防衛は要らぬという立場ならば、みんなこれを回してしまえばいいでしょうけれども、しかし防衛をしていくということは、大きな意味において災害の防除です。いつ堤防が決壊するか、水浸しになるかというようなこと、これは大きな災害はやはり戦争だと思います。しかしその災害を起こそうというようなことではなくて、災害を防除するために、やはり国の必要最小限度防衛というものはしていかなければならない。だから元も子もなくしてしまったのでは、片羽根一つもらっても自治体はだめです。だから元も子もなくさないように責任者としては考えなければならぬ、こういう立場です。そういう点で、ロッキードの金も今御説明申し上げましたように非常にかかります。だからその分は、やはり空というものが必要だという点から、家を建てるならば、細い柱ばかり立ててもしようがないから、大黒柱を一つ立てていかなければならな、そういうことでその方にはある程度金をさきますが、そのほかの方はできるだけ少なくして、そうして国民生活を阻害しないように慎重に考慮しながら、日本防衛というものをやっていこう、こういう考え方なんで、私は石山さんの考え方とそう違わないと思います。私も片羽根一つだけでもやりたいという気持は持っております。しかし一方においてはやはり防衛ということも強く考えなければならぬ、こういうふうな立場で、慎重に考えた上で予算要求をしている、こういうことに御了承願いたいと思うわけでございます。
  18. 石山權作

    石山委員 あなたはスイスの三・四%ということを出したけれども、これは個人一人当たり収入から比べたら、日本なんかとちょっと比較にならぬと思うのです。だから日本の一・四%の方が安いからまだまだ担税能力があるというふうに考えるかもしれませんけれども……。それから国力というふうなことをよく言われているのですが、日本は昔から経済的には封建的でしょう。つまり配分が行き渡らないのですね。しかも今はやりの外国人のいわゆる人道主義的なそういうふうなものが行き渡っておれば、それに応じたところの個人収入というものがあるわけでしょう。それがなかなか今の場合われわれずっと見てきても、日本国力というもの、いわゆる産業の指数というものは非常に進んでいっているにもかかわらず、個人々々の収入を当たってみると、それほど進んでいないということなんだ。そういうことを考えてみますと、今の税負担関係を見てみますと、決してこれは国力に比例したものの考え方自衛力を伸ばすということは、税制が非常に不完全なだけ、収入の面で個人でもうんと取る人と低い人とのアンバランスがあるだけ、これはあまり当を得たものの考え方ではないと思うのです。非常に危険性がそこの中にあるのではないか。こういう点は、私はあなたみたいなまじめな人から研究してもらわなければ、ただ表向きの数字だけで自衛力を進めていくというふうな考え方を持たれては、これは大へんなことだと思うのです。  それからもう一つ、去年あなたは私たちロッキードを納得さすためには、いわゆる三十五年度予算が近づいた、どうしても盛らなければならないから拙速主義をとらざるを得ないのだ、こういうふうにおっしゃったのですが、その効果は、何だか私らから見ればああいって急ぐ急ぐと言ったのは、結局あの当時の情勢を、この三十五年度予算を組まなければならないということによって、あなたは逃げ込んだような形勢があると思うのです。その処理は十分説明なされるように、ロッキードの処分ができていますか。今年度予算にその格好がちゃんと出ていますか。その点を一つ説明して下さい。
  19. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛費国民所得に対して何%という率で申し上げました。これは国民所得に対してのパーセンテージであります。その国民所得内部におきまして非常にアンバランスがある、非常に所得のいい人もあれば非常に所得の悪い人もある、これは御指摘の通りだと思います。しかしこれは別個考え方でそういうアンバランスをなくしていく、これが一つ社会政策でありましょうし、あるいは税金の問題だろうと思います。そういう面もやはり深く考えなければならぬと私も考えています。  三十五年度予算要求をしなければならぬから、追い込まれるからロッキードを急ぐというようなことを言っておったのは、うそじゃないかというような御意見でございました。決してうそでも何でもありませんで、予算には、今経理局長懇談会で御説明申し上げましたように、計上してありません。しかし国庫債務負担行為といたしまして、ロッキード一機当たり購入費といいますか、それと、それに部品を加えたものをもって、国庫債務負担行為六百九十八億円というものを国庫債務負担として、予算とともに御審議を願っておるわけであります。決定がおくれますと、これができなかったわけです。幸いに間に合ったといいますか、国庫債務負担行為として御審議をお願いすることになったわけでございます。そういう事情を御了承願いたいと思います。
  20. 石山權作

    石山委員 長官、その件についてはまた少し質疑応答をやってみないと、あなたの誠意というものはくみ取れないと思うのですが、きょうは全般的のことをお聞きする予定なのです。それできょうあなたがおいでになる前に懇談会形式で、本年度予算の内容を説明いただきました。その中で感じたことは、アメリカからなまの武器を大へんいただいているような格好が出ているわけなんです。ここで問題になるのはMSA協定の八条の自衛力維持発展ということと、今度の安保条約の三条に規定されている維持発展、これは同じ意味を持っているわけですか。
  21. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように安保条約を締結した、あるいは安保条約があるから、武器援助とかMSA援助協定を作らなくてはならぬという建前はございません。これは別個の問題であります。別個の問題でありますが、全然関連がないとは申しません。日本防衛力維持あるいは発展をさせるということになるにつきまして、先ほどから申し上げておりますように、日本財政事情経済事業、そういう面から維持発展をしていくのに、なかなか日本財政経済力は足らない、間に合わないというような面があります。そういう面から見て援助協定によりまして無償援助、あるいはこれからは有償援助といいますか、費用の分担の方向に変わっていくと思いますけれども、そういう形で維持し、発展をさせるということにしておるわけであります。安保条約があるから援助協定をしなくてはならぬというわけではございませんが、維持発展をする上におきましては、やはり援助協定によって維持発展に寄与していくということが必要だ。こういうことで今のMSAの協定もありますし、その中の八条もそういうことから規定されておる、こう了承して下さい。
  22. 石山權作

    石山委員 かりに自衛力というものをまずある段階に現実として認める。その段階から見て、今の場合、アメリカから物を借りなければとてもあぶなくてならないという思想がその中にあるわけですか。アメリカにお願いして中古でも何でももらわなければどうにもならないという不安感というものが、あなたが長官として見た場合に、われわれの中にあるわけなんですか。そうでなければ、自主性というものを常に強調しているわれわれとしてはちょっと納得できないのです。
  23. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 アメリカから援助を得なければならないような不安感、心配があるのかというお尋ねでございますけれども、別に援助を受けなければ不安だとか心配だというわけではございませんけれども、やはりわれわれが考えている防衛力というものを充実していくということで、やっていくとしてもしも援助とかそういうものがないとするならば、日本の財政を圧迫するような形で防衛力を充実していかなくちゃならぬと思います。そういうことになっては、先ほどからあなたがおっしゃられているように、国民生活を圧迫するような形になって困ります。圧迫せずに日本防衛力を充実していくということになると、非常におくれた形の装備ということになります。でありまするから、やはり普通歩きできるような防衛力ということになれば、そうして日本の財政や国民生活を圧迫しないで充実していくという方向を持つとするならば、やはりアメリカの負担あるいは援助というものがあった方が、これは国民のためにもあるいは防衛力充実のためにもよろしい、こういう立場に立って援助協定を結んだ、こういうことに御了解願えると思います。
  24. 石山權作

    石山委員 そうすると、今度の新安保条約の期限を十年としているわけですが、十年ということと、われわれがアメリカにたよらなくても自主的な防衛力が確立するということが合うわけなんですか。そうしてその十年の規定をしたわけですか。
  25. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 防衛力の充実と安保条約の期限十年というものが一致しているとか、直接関係があるということではございません。安保条約の十年の期限というものは、再々御答弁申し上げておりますように、今の安保条約は前文の方には暫定的だともいっております。また暫定的ではあるが、期限はないというふうにも述べられております。そういうことでありますので、この安保条約を結んでいく以上、途中において話し合いでこれをやめるということは当然できません。しかしともかくも十年過ぎたならば改定とかやめるとかいうようなことに入る。そういうこととしての十年の期限がこれは適当だ、物理的とかなんとかではなくて、はっきりこれでなくてはならぬというものではないけれども、まあ妥当といいますか、適当だというようなことで、十年という期限を設けておるわけであります。防衛力の充実につきましては、世界情勢とかあるいは日本国情とか、いろいろな観点から充実していかなくちゃならぬと思いますが、これも維持発展するということで、どういう程度にするかということについて、これは期限を持っているわけではございません。でありますので、今の安保条約の十年の期限と防衛力の充実というものが直接関係を持っている、こういうふうには私どもは考えておりません。
  26. 石山權作

    石山委員 期限の問題は外交の問題だというふうに考えるけれども、この安保条約の十年間というふうなものを実際に受け取る方は国民であり、自衛隊なんです。そうしますとあなたの方では、昭和四十年までのいわゆる想定図ですか、そんなものがある。まだ五年残っておるわけですね。それがなくして、ただいたずらにこれこれの利益がある、これこれの必要性があるというだけでは、安保条約は長いのじゃないかということに尽きると思うのです。自衛隊の中で当然そういう第二次のいわゆる想定図というものが用意されていないと、国防の充実ということにもめどがないということになるのです。それは何か構想をお持ちなわけですか。
  27. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 御承知のように三十五年度を末期とした第一次計画を作ったわけでございます。それは三十五年度予算に計上いたしましたので、第一次の計画においては目的を達せられなかったものもはっきりしてきました。あるいはまた変更しなければならぬものもないわけではございません。あるいはまたこれを延期しなくてはならぬ。先に繰り延べなくてはならぬ問題も出てきておるわけであります。でありますので、そういう点を考えて、三十五年度から四十年度の六カ年計画の案を練っておったわけでありますが、三十五年度予算に御審議を願うことになってきておりますので、三十六年度から四十年度にわたる五カ年の計画は、目下検討いたしております。今のお話のように防衛の問題は、やはりある期間の長期性というわけでもありませんが、ある期間の計画を立てませんと、先ほど御説明いたしましたように艦船にいたしましても、飛行機にいたしましても、その年度だけでできるものでもありませんから、そういう計画が必要だと思います。それに対する財政の裏づけというものもありますが、これは継続費とか、やはり国庫債務負担行為ではありませんから、二次計画に財政的な検討もいたしまして、それは必ずしも厳格にその年度、その年次を拘束するものとは私ども考えられません。ある程度の目安だというふうに考えております。この第二次計画は、お尋ねのようなことで目下検討中でございます。
  28. 石山權作

    石山委員 その計画がはっきりしていないというところに、今度の新しい安保条約に対しても非常な疑惑を持つと私は思うのです。というのは、MSA協定その他によって援助を受けた額が四千八百億というふうにいわれているのですが、その数字は大体当たっていますか。  そうしますと、この数字はやはり国民の負担になっていると思うのです。国民の負担になっているし、当然皆さんの方では予算を組むたびごとにアメリカと折衝をなさるということになるわけです。日本国防会議で何でもきめるというふうなことをよくおっしゃっているようですが、国防会議がものをきめる前に、アメリカと御相談なさらなければ、どうも問題が進んでいかないということになりかねないのではないか。それは同時に、今度の安保条約の五条がものを言ってくると思うのです。つまりアメリカに対して無理無理お願いをして、予算のたびごとに飛行機を何機無償にしてくれ、今度は新しい潜水艦を作りたいから云々というふうなことになれば、軍事上からももちろんわれわれの行動が制約をされる。われわれの行動が制約をされるということは、アメリカに服従した形で、私はこの第五条の行動が起こされていくと思うのです。そのほかに、いわゆるわれわれの主権といいますか、国会に対する立場から見ても、どうも国会や委員会に問題を提起するよりも、国防会議は、その前にアメリカの在日軍団ですか、あるいは極東司令部ですか、そういうようなところに伺いを立てる、国務省に伺いを立てるというような格好が——今までもそうであったと思うが、これからも続いていくというような懸念があると私は思うのですが、その点はいかがですか。
  29. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 援助が三十五年度末までに四千八百億ある、これが国民の負担になっているという見方は、逆だと思います。普通にやった場合を予想するならば、それだけ国民の負担が少なくなっている。逆だと思います。それでお疑いの点は、何か向こうからこういうものをやるから、作るから、お前の方でも負担しろというようなことで日本の負担を増されているのではないか、こういうお尋ねだと思います。しかしそれはないのです。日本でやりたいと思う場合に、向こうとの連絡をしているときに、それについて、それではこれだけの負担をしようかというような話が向こうから出るわけであります。向こうから日本でこういうものを作れ、作ればこれだけ負担してやるということではない。私の方で作りたいものがある場合に、向こうと相談した場合に、向こうから負担する、こういうことになっておるわけであります。  それから第五条に共同の危険に対処するということでありますが、そういうことが日本の自主性を失って、向こうから援助などがあるから、向こうに引きずられて日本の自主性を失っているのではないか、こういう御質問のようでありますが、これも全然そういうことはありません。占領時代とかその後においては、防衛分担金という問題もありまして、ある程度向こうの意向というものもくまざるを得なかったようであります。そういう点で今までの安保条約も不平等だとか、対等でないとかいうこともいわれておったかと思います。今度の第五条ができたために、あるいはまた援助の関係があるために、日本の主体性を失って向こうの言うことを聞かされるのではないかということですけれども、そういう点は私どもは全然考えておりません。そういうものに引き回されるという気持を持っておりませんし、やはり日本の主体性のもとで話し合いもするし、いろいろな協議も、あるいはその他のこともしていく、こういう立場を堅持していくというつもりでございます。
  30. 石山權作

    石山委員 私は大体人の善意というものは信じたい方なんです。だけれども、実際は援助を受けっぱなし、しっぱなしで問題が進むということは、国際慣行上なかなかないのです。個人にしましても、たとえば政党関係の中でも、派閥があるとかなんとかいう中にもそういうふうな関係が相当あって心ならずもその派閥の中に属していろいろ動く、こういうふうなことは間々あることなんです。この場合、四千八百億は国民の負担にならなかった。これは物質的にわずかだと思うのですが、しかし精神的の重みというものは陰に陽にあると思うのです。それが自衛隊を実際の日本国防のためにというふうに動かす場合、やはり相当支障になって実際現われてくるのではないか。新安保条約のように、今度は日米共同に動かなければならぬというふうな場合、これは心理的に大きな影響を与えてわれわれを拘束する、こう考えているのです。それはあなたはないとおっしゃっているのですが、実際あなたはそういうふうに考えられますか。そういうことは実際言うべくしてできないのではないか。  それから私はこういう点を一つ聞きたいのです。今度「渚にて」とかいう映画が来たといっているのですね。その映画の場合は、錯覚を起こしてボタンを押したら大戦争がおっぱじまって、人類が何か破滅のそばまでいくというようなものだそうですが、私はそういうふうな精神的な負担が、私の方のまじめな忠実な自衛官をして錯覚を起こさせるような危険性が多分に生まれてくると思うのです。  それからもう一つ、ここで私は実際この安保条約によって行動するわれわれの立場ということを考えてみたいと思うのです。最初極東の説明が大へん広かったのですね。これがだんだん小さくなったということは、何か重要な意味があるわけですか。これはあなた、外交のことだから知らぬと言われませんよ。だって極東の中でわれわれ軍隊は動くのだから……。大きいのをだんだん縮めていったということは、何か重要な意味があるのですか。
  31. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 援助を受ければ精神的あるいはその他に拘束を受けるのではないか、こういうことでありますが、この場合の援助というものは、やはりこれは世界的です。日本ばかりではありません。それは世界の平和と安全といいますか、そういうことに寄与しようという国々がいろいろ条約を結んで、安全保障体制をしいておるわけです。そういうような形と直接この援助の関係はないといたしましても、援助というよりも、共同の目的のために費用を分担する、こういう形だと思います。それは非常にまじめな話で、私なども金をもらえば幾らか恩を感ずるわけですが、そういうことでなくして、やはり共同の目的のために費用を分担するというような形だと思います。そういう意味ですから、これは何も恩恵というようなことでない、共同の目的のための費用の分担だ、こういうふうに考えて、精神的に何かひけ目を感ずるような気持を起こしたくないし、起こさせたくない。私はこう考えております。  それから極東の範囲でございますが、今度の安保条約は、御承知のように日本の施政下において問題が起きた場合でありまして、これが条約地域になっておるわけであります。ただ協議の対象等に極東の平和と安全という問題がありまするし、また基地を供与する場合に、その目的としての極東の平和と安全に寄与するということ、それから出てくる在日米軍が日本の基地を使用して作戦行動に出動する場合に、事前協議の主題となるかならぬかという場合の極東の平和と安全ということで問題が出されておりますが、極東の範囲、それが広まったり縮まったりしたのはどういうことかと申しますと、地理的に申しますと、極東というのはどの線からどの線ということは非常にむずかしいと思います。たとえば中ソ同盟条約なども極東という言葉を使っておる。ほかの米韓、米台、米比ですか、これは太平洋とか西太平洋ということを条約にしておるようでありますから、極東というものを厳格にきめることは非常に困難である、こういうふうに考えています。そういう点では非常にむずかしい問題でありますが、やはりフィリピンから以北で、日本の周辺ということが、極東としてきめていくのに、安保条約から見ての妥当な極東の線だ、こういうふうにいたしたわけであります。前に藤山大臣が、中共の沿岸とかあるいは沿海州も含むというようなことを御答弁申し上げたようでありますが、そういう方面まで含むということは妥当でないというようなことから、先ほど申し上げましたような極東の区域に対しまして、統一解釈といいますか、政府として統一的に見解を申し述べておるわけでございます。
  32. 石山權作

    石山委員 私は、たとえば自衛隊アメリカと共同体制に出る、そうした場合に、向こうの国の領海までは行かなくても、いわゆるあなた方のおっしゃるような極東の範囲までは、いつも戦争の場合、アメリカと、そこらは船の場合は誘引して歩く、そういうことを想定しているわけですか。
  33. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 それは違います。日本自衛隊は、安保条約にもありますように、憲法の範囲内において行動するし、条約区域は日本の領域内ということでありまするから、それは公海はある程度含みますけれども、アメリカと共同して東洋のすみずみから端の方まで一緒に作戦するというようなことは全然考えておりません。日本の施政下においてであります。特に憲法の範囲内、こういうことでありますから、海外派兵のようなことは全然いたすこともできませんし、する気持もございません。
  34. 石山權作

    石山委員 それは赤城さん、あなたは忘れたのでしょう。ここに私の方の内閣委員もいますけれども、去年どんな論争をなさったということを忘れましたか。それを考えますと、決してわれわれは日本の国の領域内で黙っているということにはなりかねないでしょう。一体潜水艦とかそういうふうなものは、領域内というのは沿岸から三マイルなら三マイルの中だけを潜水艦の範囲にしているわけですか。飛行機もそうでしょう。そういうのはどういうふうな取り扱いなんでしょうか。実際そこからあとは一歩も出ない、戦闘行為もしない。あなたは憲法のワクというのはそういうふうにお考えになるわけですか。
  35. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 原則として日本の領土、領空、領海であります。しかし公海は、これは演習もしまするし、これは世界の国で共通に使っているので差しつかえありませんが、何も公海において戦争をしよう、こういうことは考えておりません。その点ははっきりしているわけです。
  36. 石山權作

    石山委員 たとえばこういうふうなことになれば、どういう格好になりますか。アメリカ軍が日本から出ていくときには、何か事前協議をすると言っていましたね。事前協議をするけれども、出ていってしまえばこれをつかまえるということはできないでしょう。彼らは自由にどこかへ行ってしまうのです。どこかへ行って極端に言えば戦争をしてくるのです。戦争をして今度日本の、たとえば具なら呉、佐世保なら佐世保に入ってくるわけです。そうするときは交戦国は黙っていないと思うのです。押しかけてきますね。押しかけてきてやったあとどうなるのです。そのやったあとは、たとえば向こうの潜水艦が公海の中にいるわけですね。そうする場合は日本は公海の中だからいいというわけですか。
  37. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 この安保条約をよく御検討願いたいと思いますが、これは国際連合のワク内できまっておりますし、アメリカはまたアメリカの憲法によってきまっております。でありますから国際連合の五十一条は例外であります。相手国の侵略というものがなければ、アメリカ自体もこれは進んで攻撃するとかなんとかいうことは絶対にないという建前にできております。安全保障条約におきましてもそういう建前で、安全保障条約のワク内であります。でありますから今設例をされましたように、アメリカが出ていった、向こうからやられるのではないかというけれども、その前に向こうからとかどこからかの侵略という事実がなければ、こういう事態は起きないわけであります。そういう建前になっておるわけでありますから、もしそういう場合の建前で侵略というものを前提として、そうしてアメリカの在日米軍が戦闘作戦行動に出るという場合につきましては、事前協議の対象となるわけであります。でありますからそういう事態をよく見きわめて、事前協議の場合に極東の平和と安全、日本の平和と安全にどういうふうに関係があるかということを慎重検討の上、イエスかノーかをそのときに言うわけであります。そのときにノーと言うか——日本の基地を使って出動されては困るという場合には、アメリカ側は日本の基地を使って出るということはできないことになっております。この点は条約の成文にはありませんけれども、はっきりそういう確約を共同声明でもとっておりますので、そういうことはしないと私ども確信しております。またそういう信頼関係がなければ条約というものは結べないと思います。これは破れるのだ、これはどうにもなるのだということでは、初めから条約締結の問題にならぬと思います。でありますからそういう信頼のもとで、しかもはっきりとアイゼンハワー大統領と総理の共同声明にも出ておるのであります。それを信頼していくということが私どもの立場であります。こう考えております。
  38. 石山權作

    石山委員 信頼の話をするならば、私たちはこう言っておりますよ。善隣友好という言葉も使うし、遠い親類よりも近い他人という言葉を民間では使っております。これは信頼度と生活感情の問題だと思う。一体信頼するならば、極東の平和を考えるならば、極東の地域の人たちをあなたは相手にしたらいいのじゃないですか、それを何ですか、逆なんですよ。信頼は一体どこに信頼をおくというのです。特にあなたの言うのは、われわれはやはり国民の十一年の負担というもの、不安というものを考えて条約というものの抜け穴を心配しているわけです。それをあなたは信頼だということで、信頼に逃げようとしている。不安というもの、欠点というもの、そしてともすれば起こりがちな問題を、信頼という言葉で逃げていっているわけです。ですから私たちは、あなたは事前協議という言葉をお使いになってみたにしても、それは軍隊の移動だといえばそれまででしょう。小笠原に出ていく米軍を一々事前協議の対象にはしないでしょう。沖繩に行くのもそうだと思うのです。そうするとそのあとのことが、やはり糸の切れたタコと同じことなんです。極東の平和という言葉を使っているなら、今の指定された極東以外で交戦はしないというアメリカの保証は、一体どこにあるのです。保証はないわけでしょう。指定された極東以外でアメリカ戦争して、そして日本の基地に入ってきて問題を起こしたら、われわれの勝手な設定にはならない。事実起こるべき設定でしょう。そういう点はどうなんです。
  39. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 アメリカがどういう行動をとるか、これはどこの国でもそうで、アメリカばかりではございませんが、それはその国の主権のもとでやるのでありますから、ほかの国がどうということはできないわけです。しかしそういうことがあってはいけないというので、御承知のように国際連合の組織をもってそういうことをお互いにしないようにしようじゃないか、こういうことになっておるわけでございます。でありますから、そういう意味において世界の平和と安全ということは世界の人々、どこの国も真剣に考えていることだと思います。これはアメリカでもそうだしソ連もそうです。対立しているといっても話し合いができる、その話し合いができるということは、やはり世界の平和と安全ということをどこの国も考えているからであります。でありますから、そういうような事態はごくまれであり、私はそういうことがあるときには全面戦争世界戦争だと思いますけれども、しかし私は全面戦争世界戦争というものはない、また起こすべきではない、こういうふうに考えているのは日本ばかりでなく、世界各国で考えていることだと思います。ことに二大国とも真剣にこのことを考えていることだと思います。そういう点におきまして、極東外において問題が起きたときはどうするかということでありますが、それはどうも実際問題としてそういうことは起こり得ないと思いますが、起こった場合に日本がこれを抑制するという方法はなかなかなかろうかと思います。そういう点において、やはり局地的な紛争が起きないようにしておくことが、全面戦争などに持っていかないことだ、こう考えて、日本立場としては局地の紛争、局地戦などを起こさないような用意をしておくといいますか、そういう心がまえでいくということが必要だ、こういうふうに考えております。
  40. 石山權作

    石山委員 皆さんは憲法とか国連憲章とかいろいろ言っているのですが、憲法はあの通りしょっちゅう変わってきたでしょう。ここの委員会で何回も問題を起こしているわけです。三十三年のときもそうでした。誘導弾で敵基地をたたくというように岸さんは言っておるのです。去年の内閣委員会でも原子核を使ってもよろしいということを言っておるから、憲法のワクというものは常に移動しているという政治性を帯びているのです。国連憲章の場合も、われわれはそういうふうなことを見ておるわけです。南北朝鮮の動乱の場合は、アメリカ軍即国連軍でした。しかしあの戦争はわれわれからすれば、極東の平和や安全どころの話じゃないでしょう。ですから国連軍という名前に対しても、ああいうとっさの場合には、私たちはなかなか信用がおけないという過去の歴史を持っておるわけなんです。ですから自衛隊としては、この際私はきちんとした解釈を持たなければ、やはり戦争に巻き込まれてしまうと思う。たとえば今われわれが防衛費を千五百億とか千六百億というふうに出しておるのは、あした戦争があるからというふうな建前でやっておるのじゃないでしょう。いわゆる何十分の一かの不安定、不信感、こういうふうな情勢判断の中から出て、初めて自衛隊の増強とかなんとかいう言葉が生まれてきておるわけなんです。あなたはそういうことは伏せておいて、都合のいいときはそれを信頼するとか、たまさかしか起きないことを例にとっては困るような話をする。自衛隊自体が何十分の一、何百分の一の不測の事態を予想した存在でしょう。だから当然われわれはその不測のことを考えて、やはり安保条約の場合はきちんとしてもらわなければ困る。なぜかというと、直接被害を受ける第一は自衛隊なんです。そして自衛隊をもとにして、自衛隊に法は破られるだろうし、日本の憲法は破られるだろう、そうしてわれわれ一般国民が死ぬ生きるの立場に追い込まれるわけですからね。何百分の一という不安というものは、やはりわれわれとしては度外視するわけにはいきません。国連憲章という名前だけではできません。日米相互間の信頼と協力だけでは私は納得できないと思います。そういう点、あなたの御説明では少し不足です。もし補足するようでしたら一つ補足して下さい。
  41. 赤城宗徳

    赤城国務大臣 信頼とか信頼しないとかというものを別にいたしまして、客観的に見て、まだ世界の各国が防衛力を放棄するという事態ではない、こういう客観的な立場があると思います。朝鮮も御承知のように残念ながら二つに分れています。これもよく話し合いができたというわけではない。そういう紛争の基盤は残っています。台湾の問題もそうだと思います。あるいはまた中共とインド、話し合いはしていますが、こういう問題もあります。あるいはまたラオスの問題もあれば、ベトナムも二つに分れているし、東西両ドイツも分れている。世界的にもまだほんとうの話し合いの中核に入っていくという状況ではありません。でありまするが、私は先ほど申し上げましたように全面戦争世界戦争というものは、これはお互いに人類の不幸、滅亡というような形に持っていかれると思いますので、これはお互いにやらないように、また世界的にもそれはやらない方向へ向いておるようです。私もそう思います。しかし局地的に見まするならば、まだ紛争の根源というものは、これは客観的に、信頼とか信頼しないとかいうことでなくて残っておるわけです。こういうものをだんだん話し合いによって解消していくというのが、人類の希望だと思います。しかしそういうものが残っておりますので、その基盤から火を吐くようなことがないように、すなわち今の言葉で言えば、防衛というものが、世界軍備というものが、大きい意味においては、初めは侵略するとか、相手を占領するとか、相手をたたきつけるというようなことから出てきた問題でありますけれども、近代兵器の発達から、もう全面戦争してはならぬという戦争の抑制力に変わっておる。従って日本自衛隊としても、局地的な戦争とか局地的な紛争というものを起こさない抑制力の一半を、日本国力国情に応じてになっていかなければならない。しかし戦争を抑制していく、局地戦、局地紛争を抑制していくというのに、ただ漫然と手をこまぬいてまっ裸でいれば、それで戦争とかあるいは紛争とかを抑止できるというような客観的な世界情勢ではない。そういう点から考えますならば、やはりそういう紛争を起こさないように、また起きたならばそれを拡大させないように、こういう心がまえと目的を持っていかなければならぬ。そういう点から考えてやはり戦争を抑制する程度のものは持っていなければ、現実にそういうものが起きた場合には抑制力としての働きをなさない、こういうふうに考えているわけであります。  それから先ほど遠くの親類よりも近くの他人、こういうものがいいのではないか、こういうことでありますが、私どももそう考えております。しかしこちらばかりの考えではなくて、向こうがそういうふうになってきませんと、近くでもなかなか気持が一緒になれぬものもありまして、なるように努力はしているわけでありますが、一方的にばかり参りません。そういう点も何も考えないわけではありません。そういう方向へも持っていかなければならぬ、こう考えております。
  42. 石山權作

    石山委員 きょうは初めの日だから、通り一ぺんの質問というよりも、こういう意図のもとでわれわれは問題を見ているのだ、この問題の解明については、やはり時間をかける必要がある。たとえば実際の場合、あなたは侵略というふうな言葉を使った、侵略を予想した場合に、日米共同で云々という言葉も使ったわけなんです。それから交戦中、たとえば極東の中で交戦中に、アメリカから要請があった場合に、自衛隊ははたしてどういう立場をとれるものかという実際問題等が私は起きてくると思う。こういうような問題は、やはりお互いがよく話し合って解明しなければならないと思うのです。たとえば一片のあやまちで日本の基地に爆弾が落ちた。そのことが口実となって全面戦争に協力するというような形になるかもしれませんし、こういう点はやはり私は段階をつけて話し合いをよくしておいて、自衛隊というものの存在を——つまり国民から信頼を受ける立場、むだなものではないのだ、有事の際は役立つのだ、必要だというふうなことになれば、私たちが反対してもこれはどんどん伸びていくだろうし、そういう態度からしても、もっと話をしたい点が私はたくさんあります。  それから事務当局にお伺いしますが、私が例を引いた、いうところの遠い親類よりも近い他人の、たとえば中共と、日米安保条約のようなものを結んだ場合、経済的にどのくらい違いがあるか、軍事的にどういう優位性があるかということは研究したことがありますか。いつかそういう点を一つ私は聞き合わしてみたいと思っていたのですが、それは今聞くのじゃないです。  それからこれは委員長にもお願いしておくのですが、また長官にもお願いするのですが、防衛二法案を上げる最終段階になりますと、やはりどうしてもこれは今度新安保条約によって戦争に介入する、戦争の渦中に巻き込まれるという危険性が多分に出てくるわけですね。まあ戦争という言葉はあまり使いたくないとするならば、熱のある紛争かもしれぬ、熱い戦争かもしれぬが、その中にわれわれが介入させられる危険が多分にある。この問題が煮詰まり、さらに安保条約が大体の格好がついてくる、防衛二法案もそれに結びついて上がっていくという態勢になった場合に、やはりこれは最高責任者である岸首相と防衛庁長官の二人がおそろいになって御答弁いただかなければ、私はこの自衛隊の問題はなかなか解明されていかないと思うので、一つその点を努力されて、委員長も努力されて、両者の出席を常に促す、それがおいでにならなければ、私の方ではピントをはずれたことを局長さんたちにお尋ねをするしか方法がないので、そういう点も十分配慮して法案の審議に支障のないように願いたい、こういうことを希望しておきます。
  43. 福田一

    福田委員長 ただいまの御趣旨にできるだけ沿うようにいたします。ただお言葉を返すつもりではないけれども、常にというわけにもいきませんことは、どうぞ一つ御了承願います。  次会は明後十八日、午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後零時五十五分散会