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1960-03-17 第34回国会 衆議院 逓信委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十七日(木曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 佐藤洋之助君    理事 秋田 大助君 理事 淺香 忠雄君   理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 片島  港君    理事 森本  靖君 理事 大野 幸一君       塚田十一郎君    平野 三郎君       井手 以誠君    金丸 徳重君       成田 知巳君    八百板 正君       小沢 貞孝君    堤 ツルヨ君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君  出席政府委員         郵政事務官         (大臣官房長) 荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (電波監理局長)甘利 省吾君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     野村 秀雄君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    溝上 けい君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   田邊 義敏君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小野 吉郎君         参  考  人         (日本放送協会         総務局長)   赤城 正武君         参  考  人         (日本放送協会         経理局長)   春日 由三君         参  考  人         (日本放送協会         編成局長)   島浦 精二君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月十七日  委員原茂君及び八百板正君辞任につき、その補  欠として金丸徳重君及び井手以誠君が議長の指  名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会  の承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 これより会議を開きます。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を議題とし、質疑を行ないます。  質疑の通告があります。順次これを許します。  小沢貞孝君。
  3. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 きのうもだいぶ質疑がありましたけれども、どうも私は納得しない点がありますので、重なる点があるかもしれませんが、再度お尋ねいたしたいと思います。  ことしの予算に計上されておるテレビ受信契約者伸びの率が三十四年度実績と比べて大へん落ちておると思います。たとえば昭和三十四年度においては、去年国会に出された受信契約者増加見込みがここにも出ておりますが、当初の契約者が百七十万六千人に対して、年度内新規契約者百二十万人、それから年度内廃止契約者四十万、従って年度末においては差引八十万純増、ですから二百五十万六千、こういう予定で去年国会予算を提案されたと思います。そういうことですね、それはいいと思います。ところが実際においては、年度末においては三百八十三万五千という大体実績に近いものだと思いますが、ことしの当初契約者数は三百八十二万五千ということで、昭和三十四年度の当初契約者数百七十万六千と比較すると実に二百十二万の純増があるわけであります。昭和三十四年度において二百十二万の純増があった、こういうことです。これはよろしゅうございますね。
  4. 春日由三

    春日参考人 百八十五万でございます。
  5. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この提出された予算書の二十五ページの左のところを見ていただきたい。きのう森本さんからお尋ねがあったようですが、この予算書に出されている——開いていただけましたか。三十四年度のときの国会に提出された予定では、当初予算が百七十万六千、それから契約新規増が百二十万、それから廃止が四十万、差引純増八十万、こういうわけですね。
  6. 春日由三

    春日参考人 そうでございます。
  7. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これが今度提案された昭和三十五年度予算最初には三百八十二万五千五百とこうあるわけです。この三百八十二万五千五百から去年の当初の百七十万六千を引きますと、昭和三十四年度における増は差引二百十一万九千五百、つまり二百十二万の増になる、こういうように解釈できるわけですが、そういうことでよろしいでしょう。
  8. 春日由三

    春日参考人 よろしゅうございます。
  9. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは引き続きお尋ねいたしますが、そういう伸び率を持っているならば、昭和三十五年度においてはこの予算にあるよう年度内新規契約者数二百七万、廃止四十二万、差引百六十五万の純増、こういう予定を立てられて予算編成してあるように考えられるわけです。ところが去年すら二百十二万もふえたのですから、実質にふえたのは二百十二万ですから、ことしは伸びが急に落ちて、百六十五万しか伸びないということが実は私には合点がいかないので、それを一つ私に合点のいくよう説明していただきたいと思うわけです。
  10. 春日由三

    春日参考人 初め総合テレビジョン全国四十九局の置局を五カ年計画で考えましたが、非常に全国で要望が強いために当初計画、五カ年計画を三カ年で実現しよう、つまり三十五年度までに第一次計画の四十九局を作ろうという計画になりまして、三十四年度置局を早めまして年間十四局を作りました。で、新しい局を作りましたから受信者伸びが非常に多くなったわけであります。ところが三十五年度におきましては四十九局の残りの八局しか残っていないわけです。約半分しかない。しかもその八局の作ります場所が、北見とかあるいは宮崎とか大分とか、比較ラジオの場合でも受信者普及率の一番低いところに置局していくわけでございますから、今までのような割合で伸びるわけにはいかないという計算をいたしまして、来年度は百六十五万という算定をいたしたわけでございます。
  11. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは局を作ったところにしか新規契約者はありませんか。その実績一つ教えていただきたいのです。三十四年度においては十四局作ったから非常に伸びたのだ、ことしは八局しか作らないから伸びないのだ、こういう御説明ようです。去年の二百十二万伸びたのは局を新しくつけたところにどのくらい伸びて、既存の局のあったところはどのくらい伸びたか、こういう資料に基づいて一つ説明していただきたい。
  12. 春日由三

    春日参考人 御指摘ように新しい局ができたところにしか伸びないというわけには参りません。しかしながら新しい局ができますれば受信者伸びるということもまた確かでございますので、もちろん来年度におきましても東京とか大阪とか大都市において普及して参ることは当然だと思いますが、私ども計算根拠といたしましては、過去の実績ラジオ伸びた場合と勘案いたしまして、新しい局でふえる分及び既存の局でふえる分を合わせまして百六十五万という数字を考えたのであります。
  13. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういう説明だけだと、特別科学的な根拠説明をいただいたわけではございませんから、これでは私は納得がいかないのです。去年二百十二万伸びたものが昭和三十五年において百六十五万しか伸びないということは、私はどうしても合点がいかない。私たちはしろうとですからよくわかりませんが、常識的に考えて去年二百十二万伸びたのだからことしは少なくとも二百五十万や二百六十万伸びるだろう、こういうようしろうと考えだって考えられるんですが、それをもっと科学的に反発するならしていただかないと合点がいかないわけです。去年の実績にかんがみても信用ができないわけです。八十万しかふえないというものが三倍の二百十二万にもふえているんですから、ことしは百六十五万しかふえませんといっても、私は三百五十万から三百万ふえるだろうと思います。これを反発するなら科学的な資料を出していただかないとよくわからないわけです。去年十四局だか作った、ことしは八局しか作らないから伸びないだろう、こう言っただけでは私どもしろうとを納得させるものにならない。もう一つ前にどうして百六十五万しかふえないかということを説明していただきたいと思う。
  14. 春日由三

    春日参考人 先ほどから申しておりますように、三十四年度の著しい増加は、何と申しましても新しい局をたくさん作った、十四局も作ったということに大きな原因がございます。確かにすでに局のある地帯でも伸びることは伸びるわけでございますが、私どもの方の全国の集計したものが今手元にございませんが、来年度は新しい局ができるのがことしの半分でしかないというわけでございますので、総申込数が三十五年度は二百七万あるだろう、ところが今年度も三十五万の廃止がございますので、来年度は四十二万くらいの廃止が考えられる。そういたしまして百六十五万という数字算定いたしたわけでございます。
  15. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この予算を通していいか悪いかのポイントはそこにかかっているわけです。去年八十万しか伸びないということでいろいろ予算審議したところが、今になってみると二百十二万と三倍もふえている。ことしは百六十五万しかふえないというNHK説明というものは、私は信用ができないのです。私は純増は二百五十万か三百万あると思う。そうするとこの予算を作った体系ががらっと変わるわけです。ここにそういうインチキが隠されているのではないかと考えるからそれがポイントで、私はきのうから資料を出してもらいたいと言っているわけです。個人的に資料は出していただいておりますけれども、そこがわからないと予算審議のしょうがないのです。  郵政大臣お尋ねしますが、大臣はなぜラジオテレビ予算を一本化したのですか、その理由を私はお尋ねしたいと思うのです。
  16. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ラジオテレビは、関連費を計上いたしまして区分して経理する、むろんそれでもできないことはないので、今日までもそうやってきたわけでございますけれども、しかしNHK事業全体を総合してやって参りました方が実際合理的である、さように考えたのであります。合理的と申しますのは、関連費をいかに正確に計算いたしましても、ほんとうに明確な分割ということは合理的にはむずかしい、むしろ総合的に考えて参りました方が合理的である、さような観点からと、同時にまた収入面におきましても事業活動の面におきましても、ラジオテレビを明確に分割して考えることが、これを経理に表わしました場合に正確で合理的であるかどうかということにつきましては、やはり自分のやっております仕事を総合的に見た方が、事業経理面ばかりでなく、実際の活動の上においても合理的である、さようなことから、私はNHKの原案のように、今回の一緒にしてやっていく方がより合理的である、さように考えまして、これを承認いたしまして、それで国会へ提出したわけでございます。
  17. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 「適正な受信料額算定するための原価計算手続が確立している限り、この区分の廃止は、時宜に適した措置と認められる。」こういう郵政大臣の意見、今の御説明も大体そういうことだと思いますが、適正な受信料額算定するための原価計算手続は確立しておりますか。これは大臣お尋ねしたいと思います。
  18. 植竹春彦

    植竹国務大臣 確立しております。
  19. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 NHKお尋ねしますが、ことしはやはり一本化がいいということで申請されたわけですか。
  20. 春日由三

    春日参考人 さようでございます。
  21. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこが重要なところですから、私は一つ具体的にお尋ねしたいと思います。この十ページから十一ページに、ことしの予算の全貌が載っておりますが、それについて一つ一つ、私の聞きたいと思うところだけを御答弁いただきたいと思います。去年の予算との比較というものは普通の予算にはみんな出ておりますが、このNHK予算だけはいつもそういうことが出ておらないから私はわかりませんし、去年はラジオテレビとがそれぞれ区分されて計上されておりましたから、そっくりそのままここに持ってくるわけにはいきませんけれども、そちらで足し算をしながら、事務的なことですから事務当局のどなたでもけっこうですから、去年の予算との比較はどうだということをお答えいただきたいと思います。  最初減価償却引当金二十六億七千四百万円、これは去年ラジオテレビを合計して当初予算はどうでありましたか。ことしは幾ら増加しておるわけですか。
  22. 春日由三

    春日参考人 三十四年度は二十億九千六百万円でございます。
  23. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その次に二百九十四億八千万円の受信料収入は、去年の当初予算においては、ラジオテレビ合わせてどういうように計上されてありましたか。
  24. 春日由三

    春日参考人 二百二十三億五千六百八十五万円でございます。
  25. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 建設費七十三億八千八百万円、これはどうですか。
  26. 春日由三

    春日参考人 昨年は六十三億七千九百万円でございます。
  27. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 次に放送債券償還積立金繰入、これは幾らですか。
  28. 春日由三

    春日参考人 昨年は二億四千四百万円でございます。
  29. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そのあと、ずっとわかっているようですから、この項目をずっとやって下さい。まず事業支出……。
  30. 春日由三

    春日参考人 事業支出について申し上げます。給与は昨年度は五十四億一千七百万円、国内放送費は八十一億一千四百万円、国際放送費は三億二千一百万円、業務費は十四億七千九百万円、管理費は二十二億四千五百万円、調査研究費は六億七千五百万円、以上でございます。
  31. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 最後の調査研究費は去年は四億一千七百万円じゃないですか。
  32. 春日由三

    春日参考人 調査研究費は昨年は技術研究文化研究を入れまして、昨年度は六億七千五百万円、それが今年度は八億一千四百万円でございます。
  33. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 はい、わかりました。そこで私がお尋ねをしたいのは、去年の受信料収入は当初予算は合計して二百二十三億八千万円ですね。ところが、ことしの実績はどういうよう傾向になりますか。三十四年度実績というか、決算報告は二、三カ月たたないとわからないかもしれませんが、二百二十三億八千万は実績はどういうことになりますか。
  34. 春日由三

    春日参考人 約二十億ふえまして、二百四十五億程度でございます。
  35. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういう実績であり、ことしの当初予算はこういうことであるという大体の様子はわかりましたが、昨年ラジオ受信料を八十五円に値上げするときにいただいた第一次五カ年計画との関連一つお聞きしたいと思います。その関連比較してみて、第一次五カ年計画のときに計上してあった受信料収入等々と比較して、NHK見通し、そういうものは一年間の間に全然狂ってしまった、こういうように私は見るわけです。それで、見通しが違っておったんじゃないか、私はこう言っているわけなんですが、その辺を一つ説明して下さい。
  36. 春日由三

    春日参考人 御指摘ように、第一次五カ年計画受信者伸び算定いたしました場合には、ラジオはなおかつ向こう五カ年間若干ずつふえるであろうという予測を立てて策定いたしましたわけでございますが、昨年上半期以来テレビジョンを持つことによってラジオ契約廃止する数が非常にふえて参りましたために、御指摘ように、遠い見通しにおいてラジオの先行き少しずつでも伸びていくという見通しがだいぶ狂っております。そのことは認めざるを得ないと思います。一方テレビジョンにおきましても、非常に確実な見通しを立てたつもりでございますが、先ほど来申しておりますように、こちらの置局計画を第一次五カ年計画の五カ年間を三カ年に縮めましたことによりまして、その三カ年に縮めたピークの三十四年度におきましては、先ほど指摘になりましたように、著しい伸び増加を見ているわけでございます。それで三十五年度以降の見通しにつきましては、できるだけシビアな計算をしなければならぬと考えておりまして、先ほどの御質問テレビジョンはもう少し伸びるであろうという御質問に対しまして、私どもの考えましたのは、三十五年度においてはテレビジョン送受信機生産高が三百万台、これが今一応立てております年間受信機生産予定でございます。そういたしまして、このうちの七〇%がテレビジョン契約いたすといたしますと、二百七万ぐらいの受信契約者がある。ところが、一方従来の例から見ましても、移転とかあるいは転居とか転任とかによる廃止というものはある程度毎年見込まなければならないものでございますから、確かに漸減傾向にございますが、廃止を来年度は四十二万件と見たわけであります。そしてこの生産台数の七〇%契約するであろうという二百七万世帯から今の廃止見込みの四十二万を引きまして、百六十五万という数字を出したわけであります。来年度につきましては、著しく見通しの狂いはないとただいまの段階では考えております。
  37. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ちょっと説明がほかにそれたと思いますが、なおお尋ねいたします。今の百六十五万ですか、この純増があるというのは、製造個数から逆算をしていってそういうふうにしたわけですか、三百万台製造されて七〇%が消化されて、そのうち四十二万が廃止されるから、差引増加するのは百六十五万だ、こういう算出基礎に基づいて来年度予算編成基礎になる増が百六十五万というものを出したわけですか。
  38. 春日由三

    春日参考人 従来の受信者伸びとか、そういうものは一つのカーブを書いてみまして、それに基づくわけでございますが、科学的なデータと申しますと、これは受信契約の問題でございますから、どうしても国内生産台数というものは科学的根拠と言われますれば一つの大きなよりどころになるということはいなめないと思います。
  39. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そういうことも算出基礎参考にされたということはわかりましたが、ここに配付されている「第一次五カ年計画大綱」というのは、これは正式に委員会に配られたものですか。事務当局のだれでもいいです。
  40. 春日由三

    春日参考人 それは参考資料であります。と申しますのは、昨年三十三年度に立てました五カ年計画資料をそれ以来逓信委員会審議の際に参考資料として提出してあるのでございますから、五カ年計画でございますからそれを毎年年度当初に修正をして参る、今お配りいたしましたのは三十五年度分として修正したものの上刷りを参考資料として提出したわけであります。
  41. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 「明日のNHK——第1次5か年計画あらまし——」というのはいつ配付されたのですか、参考資料として。
  42. 春日由三

    春日参考人 それは昨年の予算審議の際に……。
  43. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 国会議員資料をもらってもみななくしてしまうから、今度またあらためて印刷し直して配っていただいた、そういうふうに私は感ずるわけですが、そういうことですか。今度の国会のはこれ、この前のはこれなんです。
  44. 春日由三

    春日参考人 昨年のやつの印刷のし直しではございませんで、先ほど来申しております受信者伸び見通しの違いとか、置局の促進とかいう新しい要素を入れましたものを作りかえて調製いたしたものであります。
  45. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうするとこの前書きの冒頭に、今までの第一次五カ年計画の立て方というものは根本的なあやまちをたった一カ年間実績によって犯してしまったからここに改めますという前書きがなければならぬはずです。国会議員は配ってもみななくしてしまうから今年また印刷し直して配ったんだ、そういっても根本においては内容的に違っているわけです。五カ年計画というものは毎年冷々根本的に変えるようなことでは五カ年計画ではないと思うのです。一体どういうところに違いがありますか、これとこれとの違いを一つ説明してもらいたいのですが……。
  46. 春日由三

    春日参考人 一番大きな違いは、先ほどから御指摘を受けております受信者伸び見込み違いであります。
  47. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 だからこの第一次五カ年計画を立てるときから、去年これを見せてもらったばかりです。一年目からそれが根本的な違いを来たしているわけです。それは受信者純増八十万が二百十二万になるような根本的なあやまちを犯しておる。またこういう「第一次五カ年計画大綱」といってわれわれはもらった。それで参考に見せてもらった。これにはそういうことを隠蔽して何もわからないようになっておった。よくしさいに検討してみると三十五年度から根本的に違うように書いてあるのです。毎年々々そう根本的に違う五カ年計画というものはありますか。だから来年百六十五万のテレビ受信者純増というものはこれはあやまちなんだから、二百万も二百五十万も伸びるんだから、根本的に違うのだといわれても反発のしょうがないじゃないですか、どうですか。
  48. 小野吉郎

    小野参考人 第一回に昨年に御配付をいたしました第一次五カ年計画資料につきましては、その当時まだラジオにおきましても、そう大幅ではありませんが減少ではなく増加傾向をたどっておったわけでございます。そういうことで作りました資料でございまして、その資料に基づきまして御承認をいただきました予算の執行の段階におきまして、非常に契約者の移動の面につきましては激変を見たわけでございます。その点につきましては、非常に見通しを誤ったのではないかと御指摘になりますそれは、率直に認めざるを得ないのでございまして、非常に私どもといたしましてもその不明を恥じるわけでございますが、現実の事実といたしましては、昨年御配付をいたしました資料の後におきまして、第一次五カ年計画の円滑なる遂行の基盤になっております受信者の推移の面は非常な変更を見ております。従いまして、今回またあらためてその辺の情勢の変化に応じまして、そう誤りのないであろうと思われる資料を作りましたわけでございますが、ただいま、今回考えております百六十五万のテレビ増加を、これでまだ低いかどうか、もっといくんじゃないかという点につきましては、いろいろこれから、一年先の問題でございますので、百六十五万が絶対これよりもいかないとも申し得ないと思います。それかと申しまして、過去の一年間におけるいろいろ実績を勘案をいたし、他面におきましてはテレビ生産界方面の能力、その方面も参酌いたしまして百六十五万、このよう算定をいたします点につきましては、そう大した誤差は、今回につきましては起こさないのではないか。と申しますのは、昨年の御配付のそれにつきましては、ラジオはまだ増加を来たしておりました。しかしながら、現実には、その年度、三十三年度におきましては、終局的には三万ばかりふえておるわけでございます。三十四年度事態といたしましては、急激にテレビ普及につれましてラジオ契約者減少を見るというような予想しない事態が起きたわけでございます。そういうことで、このラジオ減少大かた理由——申し出理由は細別いたしますといろいろございますが、大勢はやはりテレビの急速な普及によりまして減少を来たすという実態は、どうもその通りであるようでございますので、来年度におきましては、テレビ増加に大体見合う見当のものは、やはりテレビをつけたからラジオはもう廃止する、こういうような現象を呈するであろうということで、百六十万の減を覚悟いたしておるわけでございますが、他面に、テレビの問題につきましては、三十四年度予算におきましては八十万の増加を見込んだわけであります。これはその当時のテレビのそれまでの歩み等から考えまして、かなりこれも大きな数字だったわけでございますが、そのくらいの増加を見るであろうと思いましたこの増加見通しも、非常に実際のその後の歩みから見ますとはなはだしく離れております。三十四年度中に百八十五万は確実にふえるであろう、こう見通されますので、百万以上の見込み違いが起きたわけでございます。そういうことで、そういった見込み違いにつきましては何と申しましても申し開きの余地はないと思うのでありますが、そういった現実の事実、また将来を見通される基盤に立ちまして、来年度におきましては百六十五万の増、こういうことに見ておりますが、これを下がることはないと思います。それかといって、これが絶対上がらないとも申しませんが、それがそうはなはだしくよけい増加するであろうことも、先ほど経理局長説明を申し上げました通り、テレビのメーカーの方面生産の台数なり、またこれから置局をいたします場所、戸数、そういった面から考えまして、大体安全に予算を組みますためには、百六十五万の増を見込めば、多少これよりふえることがありましても、そう大きな狂いはないであろう、かように考えて先ほど資料を作りましたようなわけでございます。
  49. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 当国会に提出された参考資料「第一次五カ年計画大綱」というのは、今説明になったように大幅に変わっているんだ、ということの説明は、協会の会長からも御説明がなかったし、大臣からも提案のときに御説明がなかった、わけでありますが、そういう事実を大臣は知っていたわけですか。
  50. 植竹春彦

    植竹国務大臣 承知しておりました
  51. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 このラジオテレビ一本化の原価計算がいいということは、協会もそう考えて申請されたわけでしょう。
  52. 野村秀雄

    ○野村参考人 第一次五カ年計画大綱は、三十五年度においては、その予算編成にあたって、これを修正するということは、御説明申し上げておると思います。  一本化については、先ほど大臣からも御説明申された通りでありまして、私その点は、今日の場合NHKとしては必要であるということを考えまして、こういうようにいたしたわけでございます。
  53. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 だんだんわかって参りました。大臣は承知しておってなぜ一言もそういうことに触れなかったわけですか。去年のラジオの聴取料六十六円六十六銭を八十五円に引き上げるときには、第一次五カ年計画はこうであるということを懇切丁寧に御説明をいただいたわけです。ところが、テレビ伸びが八十万の予定が二百十二万にもなるというふうなことで、まさにゴールデン・シックステーズですが、そういういいときになって、また五カ年計画を大幅に修正したという国会予算説明については、NHK説明がなければ大臣説明をしないということは大きな片手落ちじゃないですか。大臣は承知しておってそういうことを一言も触れていない。ただ一本化が適正だからこれをやりましたというだけです。
  54. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは数字についてごらんいただきますれば御理解いただけると思ってのことでございますが、ただいま小澤委員の御指摘のありましたように、言葉でも明確に提案理由説明のときに申し上げた方が妥当であった、さように反省いたします。
  55. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 反省いたしてあやまられても困るのですが、実は一本化料金にしたという中において、あるいはまた第一次五カ年計画を大幅に修正したという中において、来年のテレビ伸びはもっともっと激しいから、その中の含み収入でNHKはうんともうかるというような確信があると思うのです。それでそこをついておるわけです。  それじゃNHKお尋ねします。また大臣からも御答弁いただきたいと思いますが、去年の「明日のNHK——第1次5か年計画あらまし——」の一番最後のところを見ていただきます。読みます。「また、テレビジョンとの関係では、テレビジョン自体がなお急速な拡充を必要とする段階にあり、かつ今までの尨大な借入金を返還するのになお相当の年数がかかるため、ラジオとのプール計算は、受信者の負担の均衡からいって望ましくないと考えています。」プール計算は望ましくないと考えていたのが去年のNHK予算の提案説明のときなのです。八十五円の値上げの理由のためにプール計算は好ましくないと言って提案したじゃないですか。一年たってプール計算が適当でありますと言ってなぜ提案をしておるのですか。この百八十度転換した理由郵政大臣と協会の会長から説明して下さい。テレビ伸びは百六十五万ばかりじゃない、もっともっと伸びるからNHKはうんともうかっていくのだ、含み収入というか含みもうけというか、そのもうけが隠されている。だからラジオテレビの一本化をしたのじゃないですか、そういう意味で追及しているのです。答弁をして下さい。
  56. 植竹春彦

    植竹国務大臣 私といたしましては、含みということでなしに、先ほど申し上げましたように、ほんとうに合理的にNHK経理をやって参りますためには、テレビのための活動であるか、ラジオのための活動であるかということを明細に区分いたしますことは非常にむずかしい、それを今まで区分いたして参りましたのは決してこじつけではございません。それはできるだけ当初に区分をして、活動もし経理も立てて参ったのであることはむろんさように存じますけれども、しかしよく検討してみますと、やはりNHK事業というものはラジオテレビと区分いたしますよりは、合同して実際の活動経理面に表わして参りました方が合理的である、さような観点から今回のNHK予算が提出されましたものを郵政省として検討いたしました結果、前年までのやり方よりも今回の方がよりよい、そういうふうに考えまして、これに承認を与えて国会へ提出したわけでございまして、確かに御指摘の通り、このように一本化いたしますについては質疑応答に際しましての御説明にゆだねるばかりでなく、提案理由説明のときにもこれに言及しておいた方がよりよかったのだ、そうした方がよかったということは御意見の通りと存じますので、先ほどその点を反省いたしますと申し上げたわけでありますけれども、これは決して含みを持ったり、隠したりしたのではなく、明らかに諸計算をごらんに入れまして、皆さんの御審議をいただきたい、かような意味でございますので、特に含み等はないものと承知いたしまして、この原案を提出いたした運びでございます。
  57. 野村秀雄

    ○野村参考人 去年の「明日のNHK」は「プール計算は、受信者の負担の均衡からいって望ましくないと考えています。」ということを表明しておりますが、先ほどNHKの当局から御説明申し上げた通り、ラジオ伸びが逆に減るという状態になって、われわれが三十四年度予算編成したときの事情とよほど変わってきたということは、われわれの見込み違いであるということを申し上げたのでありまして、その見込み違いから三十五年度予算をこういうふうに編成せざるを得なかった、その点はこの予算説明を申し上げるときに、「五カ年計画の第三年度といたしましての諸計画を、内外の諸情勢の進展に即応させて調整し、遂行する」のやむなきを得なかったのであります。そしてそれを主眼としてこの三十五年度予算編成いたしましたということを申し上げました。このプール計算をなさねばならぬことは、先ほど大臣からも御説明申し上げられた通り、これを一本化することによって協会の運営を円滑活発にし、そして事務を能率化するという見地に立ちまして、昨年申し上げたことをここで改訂せざるを得ないわけになったわけでありまして、決してごまかしでもまた含みでもありません。ありのままを率直に申し上げて御承認を得たいと考えておるわけであります。
  58. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私はことしラジオテレビを一本にしてしまったということに疑いを持っておるわけです。なぜラジオテレビと別々に今まで通りやってこないのか、去年の当初に受信者の負担や原価計算のことを考えれば別立て予算でなければならないといってわざわざ結びの言葉にした、それをテレビが予想以上に伸びたからといって今度はテレビの方がうんともうかるようになってしまったから、それを隠すために今度はそれを一本化してしまって、ごまかして予算を出している、こういうふうにしか解釈できないのです。先ほど大臣の答弁のように、原価計算というものはそれぞれわかるようになっておるというから、ことしの予算編成した中において、テレビはどういう原価になり、ラジオはどういう原価になるかということを、一つ資料を出していただきたいと思います。そうでなければ、この予算審議を継続していくわけにはいかないと思うのです。それぞれ原価計算がわかっているから、その資料を出す、そして私たちはその審議を進めたいと思うのです。だから、すぐ出ますか。委員長、そうでなければ、その資料が出るまで審議はこのくらいでストップさせていただきたいと思います。誤差が一ぱいあるのです。たとえば、この参考資料に出された三十五年度予算編成要綱、これはラジオ収入百三十三億、テレビ収入百七十一億一千万ということで、ことしのテレビ収入は百六十五万の純増で百七十一億、こういう予算になっているわけです。私は、この百六十五万の純増は半分にも満たぬ、もう百万ぐらいふえるはずだと思う。五カ年計画の三十五年度のときのテレビ収入は百五億しか見ていない。ことしはそれを百七十一億つまり七十億ふやして見ている。七十億ふやしてもなおかつテレビはもうあと百万はふえるはずだから、まだこの倍も収入がある、こういうよう見通しを立てるわけです。さっきの大臣の答弁のように原価計算というものがちゃんとできている、その限り一本化は差しつかえないという説明ですから、その原価計算説明していただかなければ、この予算審議を続けていくわけにはいかないわけです。もう一つは、重要な五カ年計画の修正について何らの説明がなかった。去年作ったやつをことしまた改めた、今までの五カ年計画と新五カ年計画との関連はどうなるか、こういう説明一つもしていない。これも説明をいただかなければならないわけです。そういう資料を出していただくまで、休憩するなり、この審議をストップしていただくように私は動議を提出いたします。
  59. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 ただいま小澤委員より資料の要求がありますが、直ちに出せますか。
  60. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。今の経理の一本化の資料の問題でございますが、資料の関係につきましては現在諸先生方にお配りするほど用意してございませんが、その関係につきましては経理局長が答弁するだけの用意はございますので答弁をさせていただくといたしまして、御了承を得たいと思います。
  61. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私が言っておるのは、五カ年計画は何の説明もなく大幅に変わっているのです。だから今までの計画と今度の計画とはどういうふうに変わっているか、私はゆうべ一晩中かかって、これほど大きく変わっているということを、全部一人で計算をしてみたのです。その資料をやはり委員全部に配っていただかなければなりません。  それから私は、テレビがどんどん伸びていけば、テレビの料金は三百円は高過ぎると思うのです。それから去年、NHKの料金は八十五円、われわれの反対にもかかわらず上げたのは、ラジオの減っていく原因なんです。従って三百円と八十五円の原価計算というものをちゃんと出していただかなければ、ことしの予算審議を進めるわけにはいかないから、その資料を出していただくまで休憩をしていただきたい、こういうふうに思います。
  62. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 小澤君に申し上げます。ほかに質問者がございますから、その質問の間に今お話しの資料を作らせますから御了承願いたい……。  暫時休憩いたします。     午前十一時二十二分休憩      ————◇—————     午前十一時三十四分開議
  63. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。金丸徳重君。
  64. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私は、私のお尋ねしたいことに触れていく前に、今、小澤委員質問に対する答弁の中で、ラジオテレビの経営といいますか、それを一本化するという方針をことしからとることになったということの理由として、協会運営のために、その方が便利であるという理由をあげられておりますが、もしそういうことだけであるならば、もうすでにラジオテレビ両方がこの社会に存在してNHKで経営されるときからそういう理由は成り立っておったんじゃないかと思う。プール計算にした方が事務的に考えればより便利であるということは言えると思うのです。それが分離計算をしなければならなかったのは、先ほどもちょっと触れられておりましたが、何にいたしましてもテレビの初期においてはラジオの料金の中からテレビの研究費や施設拡充費その他のものに持っていってはいけないという根本の理由があって、庶民の料金の中からテレビというものへ金を注ぎ込むようなことはよくないという考え方から分離してきたんだと思う。それが今度、去年、ことしあたりから、逆にむしろテレビの方が楽になっていって、斜陽産業がむしろラジオであるということになってきた。そこでそういう一つの事実に基づいてこれは一本化した方がいいということになったのではないか、こう私どもは考えておったのですが、その点はどうでありますか。
  65. 植竹春彦

    植竹国務大臣 まことにお話、御意見の通りでございまして、ラジオテレビが、まだテレビが発達いたしませんときには、テレビの営業区域と申しますか、エリアも非常に狭くて、台数にいたしましても大へん少なくて、万事が今のラジオにおぶさりがちだった。そういうことでは経理も不明確であるからこれを分離してやった。ところが最近に至りますと、次第にラジオの区域もテレビの営業区域も同じようになり、しかもその設備につきましてもほぼ両方が同じようになったということになってくると、同じような条件が二つ並列している以上は、今さらこれを区別してやっていく必要がない。ちょうど同じ店でちょっとした種類の違った品物を販売すると同じような格好になってきたので、ただいま御意見の通り、もう分離計算の必要がなくなってきたという次第でございまして、まことに御意見の通りでございます。
  66. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 そこでさらに進んで、今、大臣の御説明では、両方ともちょうどいい工合になってきたから分離計算の必要がないのだ、こういうことでありますが、しかしそれでもまだ少し足りないのではないかと思うのです。先ほどからの質疑の中に出てきておりますように、ラジオはどんどん減っていく。少なくとも増加の足取りというものが急激に少なくなってきている。ところがテレビの方は予想以上の増加を示しておるということからして、現段階におきましても、これは私も数字で承りたいのでありますが、テレビの方ではどうやらそろばんがとれるよう段階になっておる。ラジオの方では足りなくなっている。そしてその傾向というのは今後さらに強まっていくのではないかと思うのですが、この私の予想は間違っておりましょうか、どうでありましょうが。今後におきまするこの問題を処理する上におきましての重要なポイントだと思いますから、お見込みだけ承っておきたい。
  67. 植竹春彦

    植竹国務大臣 確かにその傾向がございます。ただ経営者としては、このラジオの減ってくる原因が、ただいま世間で考えられておりますようテレビヘの移行によってラジオが減っていく、あるいは当然納むべき料金が未納になるという関係をもって赤字になっていく原因もございましょう。いろいろな原因があるために、NHKとしてもまた監督官庁といたしましても、どういうふうに今後ラジオの開発をやっていったらいいかということを今検討しておるのでございますが、ただいまの段階では確かに減りはいたしますが、しかしラジオは絶対になくなるものではない。ただ伸びが少なくなったという程度でありますために、今日の段階ではやはり一つ経理でやっていった方が非常に手間が省ける。経理の簡略というような点から考えましても、簡略であるし、それから先ほど来申し上げましたように、その方が真に合理的な計算が出てくる。原価計算といい、それからまた分離計算と申しますものは、とにかく分離することが便利でございますし、原価計算というものは、料金決定とかそのほか業態を観察し、事業に改良を加えていくために必要である。必要ではございますけれども、合理性という点から考えますと、非常に精密な分離せられたる原価計算というものは、経理上は非常に疑問がある。むしろ合同して、全体の業績の平均値を出した方が、経営者としてはその経営の向上をはかっていく上に非常に合理的でもあり、やりやすい。かような各般の観点を総合いたしました結果、結論として合同計算がよろしい、そういったようなことになりまして、今の段階におきましては、合同計算承認したわけでございます。もしラジオの聴取者が非常に少なくなってしまうような場合には、これはまた再び分離しなければならないと存じますが、ただいまの趨勢からいたしますと、伸びの率が少ないという程度でございまして、決してこれが減少しているのではない。そこでただいまの業態を見ますと、その営業区域からいっても、加入者数から申しましても、ラジオテレビがほぼ匹敵するような現段階では、当分と申しますか、相当長期間にわたりまして合同計算をした方が、以上の理由をもちまして、よろしいという結論になった次第でございます。
  68. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 大臣から大へん慎重なるお答えをちょうだいしましたが、私が心配しておりましたのは、分離し、また一本にし、また分離するというようなことが、一年ごともしくは三年ごとに繰り返されるようなことであるならば、かえってそのために奔命これ疲れるようなことになりはしないか。またそのために今のような要らざる誤解を招くようなことにもならぬかとも思います。大臣が非常に慎重に、その点については現段階ではそうである、しかし当分続くであろう、しかし将来に向かってまた異常な事態があれば分離するかもわからぬが、というよう見込みをもって対処されている態度につきましては、私も同感を持つものであります。  そこで私がきょうお伺いいたしたい点に触れてくるのでありますが、ラジオが昨年以来急激に減ってきております。これは先般私がお伺いいたしたところで、会長からお答えをいただいたのでありますが、必ずしも世間の実際の聴取者が減っておるのではなくて、聴取者はふえているかもしれない。ただ契約者が減っておる。協会の表に出てくるところの契約者、聴取者が減っておるのであるということであります。私もそうであろうかと思います。またそれだけに、これをこの辺で非常に深刻に検討していかなければならないわけでありますが、そういう傾向を来たした原因といたしまして、先ほどからテレビがふえてきたのだからということが大きな原因としてあげられておるようでありますが、その他に、郵政省として、あるいはNHKとして、その他の原因として究明されたものはどういうものがあるのでありましょうか。その点一つ羅列的でもよろしゅうございますから、お伺いいたしたいと思います。あるいはこれは昨日来の審議の中で出てきたことかもわかりませんから、要点だけ羅列的にお伺いすればよろしいのでありますが、どういう原因でこういう実態を生じてきたか、承りたい。
  69. 春日由三

    春日参考人 昨年の十二月の調査によりますと、一番大きな原因は、五八%が、テレビジョンをつけたからラジオをやめる、これが一番大きな数でございます。
  70. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私はそのほかの原因、五八%以外の原因を、羅列的でよろしいからお教えを願いたい、こう言っておるのです。
  71. 春日由三

    春日参考人 一応全部申し上げます。今申しましたテレビ設置によるラジオ廃止が全体の五八%、それから機械が故障しておりますからという理由が二一%、それから機械をよそへやってしまったというのが約五%、それから原因は言わないけれどもとにかくやめたいのだと申しておりますのが八・五%、これがおもな数でございます。
  72. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 今の五八%の最大の原因、テレビをつけたからということでありますが、協会の見込みといたしましては、テレビをつけたからラジオの聴取施設というものは全く持っていないというよう見込みでありますか。実際の問題としては、機械が故障になった、あるいは古くなったということでなくて、聴取し得る施設を持っておるといろ人がたくさんあるように思うのでありますが、その点はどういうふうにお見込みになっておりますか。
  73. 小野吉郎

    小野参考人 これは廃止の申し出が、ただいまパーセンテージで申し上げましたよう理由廃止したい、こういう申し出があります。それに対して、いろいろその継続をお願いするということと、あわせて、その実態をやはり把握をいたしたいということで、個々にそういった廃止申出者に対しまして、当たってはおるわけでありますが、現実にもうラジオは処分をしたというものにつきましては、家屋内に立ち入ってこれを調べるわけには参りませんから、従って、もうないものと、一応はそのように判定を下さざるを得ないわけであります。また機器の故障というようなものにつきましては、故障は直してあげましょう、簡単に直るのだということで、努力をいたしております。その結果、そういう理由による申し出の二八%ぐらいは、機械が直ったから継続しようというものもあるわけでありますが、その他のものにつきましては、いや、直しては要らないということでありますので、これについては、やはり故障によってもう聞いておられないということを信用するよりほかないわけであります。大体においては、ただいま申し上げましたよう理由による実態があるものと考えざるを得ないのでありまして、それ以上立ち入りまして、聞いておるにかかわらず聞いておらない、あるいはあるにかかわらずないと主張されるという実態につきましては、これは調査の限界がありまして、なかなか把握しにくいというように考えております。
  74. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 私はこのことをなぜしつこくお伺いするかといいますと、協会の方で今度方針としておとりになるらしく思われる有線放送の料金軽減の問題になってくるわけです。これは、協会の方といたしましては、あるものについては料金軽減をしてもよろしいというようなお考えを持っておられる——これはもし私の思い違いであるといけませんが、その点はそうでありますか。
  75. 小野吉郎

    小野参考人 当初この予算編成の中におきましては、そういうことを措置をいたしておりません。ただ、年来の問題の点もございますし、そういう施設者に対する技術的その他のお手伝いをしようということで一億五千万の金額は計上してございますが、その後におけるいろいろ請願の事情もございますし、その他いろいろああいったスピーカーに対しては減額した方がいいという情勢も漸次強いようでございます。そういう点につきましては、国会審議の過程を経まして、国会の御意思を尊重いたしまして、実行上減額の措置がとれないわけではございませんし、またそのようなあれをとるつもりでございます。
  76. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 まだ問題として多少残されているようでありますが、一部伝えられておるように、ラジオ聴取の施設を持っておるところの有線放送加入者については料金は減免しないのだ、そういうものを持たぬ者についてのみ考えるのだというような考え方をとられたように聞いておったものですから、そうであるとしますと、ラジオの施設を持っておるが——実際にはこれは中へ立ち入らなければよくわからぬなどと言われればそれまででありますけれどもテレビの聴視施設を持っておって、また陰にはラジオの施設を持っておる、しかしラジオは聞かないのだという立場の人と同じことになります。すると、片方は立ち入ることはできないから仕方がないのだということで済ませるわけにはいかない。これら両方を勘案して考えておかないと、片や有線放送聴取者に対しては非常に厳格な、きわめて狭い範囲において減免措置が講ぜられ、テレビの方については比較的寛大な結果になっていくことになりはしないかということをおそれるものですから、その点を一つお伺いしたわけでありますが、こういうことについてはどういうふうなお考えですか。
  77. 小野吉郎

    小野参考人 有線放送の関係につきまして減免の措置をとるといたしますと、その対象は有線放送聴取者全部ではないのでありまして、そのうちのスピーカーだけに依存している向きに対しまして減免の対象とするわけでございます。従いまして、有線放送のスピーカーによる施設もあり、同時に他に単独の受信機も持っておられるという向きに対しましては、その単独受信機に対しまして一般の受信料徴収と同様に全額徴収をいたすことに相なるわけであります。現実にはそれがどのようになるかと申しますと、現在大体の推定でございますが、全有線放送の施設につながっております聴取者の七〇%は単独の受信機を持っておられる、これは各地域別に多少の違いはございますが、そのような情勢にあるように見受けられます。しかもそのような推定をいたしますためには、やはり単独の受信機の有無につきましては、現実に当たりまして調査はいたしておるわけでございます。そういうような事情もございますので、かりに有線放送のスピーカーのみの受信者に対しまして減免措置をとるといたしますならば、単独受信機の有無についてもっと明確な一線を画しまして、単独受信機を所持しておられる方に対しては全額、そうでない者に対しては減免の対象とするというような取り扱いをいたさざるを得ないわけであります。
  78. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 これも今後の研究の問題でありますから、これ以上ここでかれこれ申してもいけないことでありますが、私はここでたびたび問題にしてみたことでありますが、ラジオの聴取者の現実の増にもかかわらず契約面において非常に減っていく、そしてその原因の大部分は——大部分じゃなく、半分強のものがテレビに振りかわっていくのだ、こういう御説明であります。それと、その他の原因といいますか、この中には、先ほど小澤委員指摘したのでありますが、料金が値上げになったというようなことも加味して、昨年の春以来月ごとに減っているということも、ずいぶん考えの中に入れておかなければならないことのようにも思われる。たまたまテレビを入れたからもうやめようかというところにラジオの料金が上がってきた。これを機会に、少しくらいの料金なら、やかましく言われるのがいやだから廃止しなくてもよろしいのだが、上がるならしゃくだからやめておけ、こうした心理的な気持も手伝って、昨年の春以来協会をしてむしろ驚倒せしむるくらいの数の減少を来たしてきたのじゃないか、こう思われる。こういう傾向は今後さらに増すのか減っていくのか、これは協会の防止策の進行いかんにもあろうかと思いますが、この感情というものは必ずしも無視できないのではないかと思う。一方におきましては、携帯ラジオその他によりましてますますそういう傾向を助長するような社会の実情が出てきているわけであります。  そこで私は大臣にお伺いするのでありますが、そういうような社会の変化、今の放送法が制定された時分とは違ったような、民放の発達でありますとか、携帯ラジオというようなものの非常な普及でありますとか、当時は予想もしなかったような状況が現われてきた今日においては、ラジオの加入契約の方法というようなもの、もっと根本にいきますれば、放送協会のラジオ面における運営の根本について何か考えを進めなければならない時期がきたのではないか。これはもう単にそういう心配だけでなくて、去年の春以来の実際の傾向からしてそれを非常に緊迫化しているように思われるのでありますが、大臣の御見解はいかがです。
  79. 植竹春彦

    植竹国務大臣 料金が上がりますと、一時的に利用減が起こるのは通例だと思いますが、それならば、それが何カ月くらい続くかによりまして、これは利用減ではない、ほんとうの減収であるというように見きわめをつけるべきでありますので、まだ、ただいまのところで結論を出すのは早過ぎるかと存じます。それからまた、幾ら料金をきめるかということは、実際ほんとうの生活費とかエンゲル係数とか、いろいろな観点から割り出すべきでございましょうが、その他非常に心理的の、楽に支出する、あるいは支出し渋るということは、料金の算定方法によりまして相当影響する場合もあろうとは思います。たとえば郵便はがきが五円で、封書が十円というふうに、ラウンド・ナンバーで数字が非常に直截簡明でありますと、割合に出しやすいのですが、半端のものはかえって出しにくいというふうなこともございます。だからといって、NHKの料金を百円札一枚ぱっと出せばそれで済む、直ちに百円に値上げするとかなんとかいう意味では決してございません。そういった心理的影響、八十五円というふうなものも影響の一部でございましょう。それから、そのほかにつきましてただいま役所でいろいろ検討中でございますが、まだ結論が出ませんから、それについては申し上げることはどうかと思いますが、その点をただいまどうするかというお話だったものですから、私個人的に羅列的に書いてみました。これはほんとうのしろうとの個人考えでございますが、第一に、今後受信機の販売のときに登録して、後日の徴収に資する方法は一体いいか悪いか。それからそれではパーツで組み立てたら、それは消えてしまうのじゃないか、それの聴取料の逋脱はどういうふうにしていくべきか。二番目に、ポータブルが無料になっているが、それでいいか悪いかということを検討しなければいけない。これはすべて検討課題でございまして、私はだからポータブルにさっそく料金を取れとか、そういう意味で申し上げているのではございません。御質問はどういうふうに考えているかということなのでお答えしているだけでございます。第三番目には、税金式にしてはどうか、いわゆる目的税式にしてはどうかという御議論がございます。これについては強力な反論も現在ございます。第四番目には、それじゃ検査員が検査しに行ってやることはどんなものだろうか、踏み込みを家庭に行なうということにつきましては非常な異論もあるし、現在の法規上非常に難点がございましょうが、しかし立法措置としてこの点を検討したらその可否いかん、また発見者に報償を与えるというふうなことは、国民精神の指導という点から見ていいか悪いか。それから五番目に、徴収を請負にしてはどうだ、郵政省の現在の委託徴収の実情はそれでいいか悪いか。第六番目に、テレビの聴視者にはラジオ料金までくっつけて徴収してはどうだ、いわゆる二本立の問題であります。また森本委員から御指摘のございました三本立の問題の検討もこれに入ってくるわけでございます。第七番目には、有線放送を二分の一減額したといたしました場合に、別に受信機を持っている人たちに対してはどういう措置をとったらいいか、同じ料金、単独加入料金をこれに付加していったものか、それに割引をしたものか、そういったような問題の検討。第八番目には、五人組といったようなものを組織いたしまして、町内会とか部落会とか、婦人会、青年団、あるいは五人組といったようなものを組織いたしまして、自主的に取り立てることはできるであろうか、できないであろうか。それから第九番目には、有線放送に対しましては別に完全な受信機を持つかもしれませんが、それに対して今の五人組的な制度を作りまして、それでこれを監視していくことはいいか悪いか。それから最後に旅館とか料理店といったようなところの取り立て方法はどうしたものであろうか。有線放送のスピーカーのみを持つ家には減額すると、連鎖反応的に旅館の減免にも及ぶと思うけれども、これらの問題はどういうふうに解決していったらいいか。実はこれは昨日森本委員の御質問を拝聴いたしましたときに、ちょっとここで思いつきを書いたものでございますから、これは検討課題でございます。これでいいとか悪いとかいうことは、はなはだどうもこれはまだ原案のまた原案で、郵政当局に示しまして、やろうと考えております。
  80. 金丸徳重

    金丸(徳)委員 時間がありませんから、それについてさらに詳しく掘り下げてお伺いすることはまたの機会にいたします。大臣がそういうふうに非常につっ込んだ考え方で今後の対策を練りたいという意向を持っておられることにつきましては了承いたしました。  そこで、昨年料金改正以来現われてきたところのラジオ界における非常な見込み違いというような言葉が先ほどはありました。これはテレビの方の見込み違いでもありますし、同時に私はラジオにおける見込み違いもあろうかと思われるのですが、いずれにいたしましても、両面の見込み違いを起こさしめた原因については、根本的にやはりこの辺で取っ組みませんと、たびたび見込み違いで問題にされるようなことになりはしないかということを心配いたすのであります。それらについて一つ根本的なる検討、今羅列されましたような諸問題を一つ一つ掘り下げるような何か機構なり仕組みなりをもって早急に取りかかられる御意向がおありであるか。私といたしましては、そういうときになってきたのだ、こう思うのでありますが、どういうものでしょうか。
  81. 植竹春彦

    植竹国務大臣 さっそくにこれは検討いたすことに昨日もお答え申し上げた次第でございます。
  82. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 大野委員がきわめて簡単だそうですから許可いたします。大野君。
  83. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 予算の中で、支出の方に調査研究費というのがありますが、この中で海外派遣費というものがどのくらいになっておるか、この海外派遣費は前年と比べてどのくらいの増減になっているかということをお尋ねしたい。
  84. 春日由三

    春日参考人 調査研究費につきましては、三十四年度技術研究及び文化研究を合わせまして六億七千五百万円でございましたものを、三十五年度予算におきましては八億一千四百万円余組んでおります。従いまして、調査研究費につきましては一億三千九百万円ばかりの増になっております。海外派遣費の中には、海外総支局の費用と、三十五年度に特例のオリンピック、及びNHK三十五周年を記念いたしましてN響を海外に派遣する、そのほかに、中堅職員として育つべき人間で、年間三十五年度においては八名程度、一カ年外国の放送事業を見学させるために勉強に出すというふうな予算を組んでおりますので、内訳で申しますと、海外総支局の費用といたしましては、一億九千八百万円増になっております。それから海外派遣費といたしましては、今のものを合わせまして一億五千五百万円の増になっております。
  85. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 海外派遣が近ごろ各省また各事業家においても、また国会においても相当増加しているのであります。このことについては、放送事業は何といっても宇宙間を利用する最大のものであろうと思うので、これを非常に重んじて、特に留学生制度なんかに至っては、できる限り人数を多くしてもらいたいと思うのですが、こういう点についてはどういうお考えでしょうか。
  86. 溝上けい

    ○溝上参考人 海外に対しまして留学生を出します制度は、実は前から考えておったのでございますが、いろいろの事情から実現に至らなかったのを、来年度からこれを実行するという意味で先ほど経理局長から申し上げました案が出ておるわけでございます。なお、これは今の先生のお話のように、人数の点その他いろいろ御意見があるかと思いますけれども、第一回のことでございまして、まず一応来年は八名、この成果を見まして、われわれといたしましては将来できるだけ拡充していきたいというふうに考えております。
  87. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。     午後零時十分休憩      ————◇—————     午後一時二十二分開議
  88. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。小沢貞孝君。
  89. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 原価計算書を説明していただけるのですか。お願いします。
  90. 春日由三

    春日参考人 説明いたします。この数字に入ります前に、原価計算の考え方を一通り御説明申し上げます。  料金の原価算定の基本的な考え方といたしましては、総必要経費を、番組生産部門、つまり直接費と申しますものと、それから営業部門、主として業務局関係、一般管理部門、その他に大別いたしまして、番組生産費につきましては、目以下の科目区分に従いまして、ラジオテレビジョンそれぞれ分計を出しまして、その他の経費につきましては、直接費との関連、それから業務の実態、資産の構成比率等を勘案の上、次のような方法で計算をいたしております。  まず、国内放送におきましては、人件費、社会保険費、厚生保健費、退職手当等につきましては、業務の実態に照らし、原則として折半といたします。それから放送費関係につきましては、直接費は先ほど申しましたように、ラジオテレビの科目の区分によって経理し、共通の部門につきましては、直接費の比率で区分をいたします。それから普及開発関係の経費につきましては、放送費の比率に従って区分をいたします。それから受信者との契約に要する経費、収納に要する経費、これは受信契約者の数を基準として区分いたします。それから調査研究の経費につきましては、業務の実態に照らして区分をいたします。管理関係の費用につきましては、これも直接費である放送費の比率によって区分をいたしました。減価償却費返還金につきましては、固定資産の比率によりまして区分をいたしました。  以上のような方法によって区分をいたしまして、お手元のような割り振りをいたしますと、いわゆる原価的に申しますと、ラジオの受信料月額換算が、お手元の最後の欄にありますように八十七円七十五銭、それからテレビも月額二百九十二円九十八銭、ほぼラジオラジオの受信料に見合い、テレビジョンテレビジョンの受信料に見合うという計算方法をとってございます。  内容的にお手元の資料で内訳を申し上げますと、総必要経費がお手元にございますように二百九十六億五千六百万でありまして、ラジオが百二十八億四千百万円、テレビジョンが百六十八億一千万円、それを人件費、物件費、国内放送費と、今のような区分部分によって区分して参りますと、お手元の資料の通りに区分ができて参りまして、最後に予備金のところで、先ほどのルールでほぼ同額でありますが、ラジオの方が一億五千万、テレビの方が一億九千九百万、合わせて三億五千万円。それでそれを受信料月額に換算いたしますと、一番下の欄のように八十七円七十五銭、テレビが二百九十二円九十八銭、こういうふうになるわけであります。
  91. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 契約者数は幾らで除してあるのですか。下から二行目の差引ラジオが百二十七億幾ら、テレビ百六十七億幾らと出ておりまして、その下に単価がありますが、契約者数は幾らを想定して、どういう数で割ってあるのですか。
  92. 春日由三

    春日参考人 契約者の数は提出いたしました予算書の本年度当初年間増加、これを合わせましたもので、ただし年間増加につきましては十二カ月でふえていくわけでありますから、私ども計算方法といたしましては半分、つまり年間で百万ふえれば五十万人分の計算という方法が従来行なわれておりますので、そういう計算でいたしたものであります。
  93. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 具体的な数字は幾らですか。
  94. 春日由三

    春日参考人 テレビジョンにつきましては、お手元にございますよう年度当初の三百八十二万五千人に、年度内の増加の実数百六十五万人の半分を足したもの、四百六十五万であります。
  95. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 四百六十五万ちょうどですか。だれかそこに計算尺か何かありませんか、百六十七億を四百六十五万で割ったら二百九十二円になりますかね。実際にそっちで計算した数を言えばいいんです。私はおそらく今経理局長説明されたような数で除さなければ意味がないように思うけれども、どうもちょっと違うらしく感ずるんだが……。
  96. 春日由三

    春日参考人 もう一つ観点を変えて御説明をさせていただきます。事業支出の総額が二百七十五億七千九百九十三万一千円でございますが、それと予備金の三億五千万円と、放送債券積立繰入金、諸返還金というのがいずれも受信料から出るものと考えまして、それを足しましたものから交付金を引きますと、二百九十六億五千六百八十万円という数字が出ます。これが必要経費というものであります。  それからラジオの受信料総収入額が、この数字では百二十三億六千五百万円ございます。それを一人当たりの月額の受信料の八十五円で割りまして、受信料一円当たりの数字を出しますと、一億四千五百四十七万一千円という数字が出ます。それからテレビジョンの方は、百七十一億一千五百三十万円という来年の収入を月額の受信料の三百円で割りますと、五千七百五万一千円という数字が出るわけでございます。この一億四千五百四十七万一千円で百二十七億六千五百二十二万四千円を割りますと、八十七円七十五銭という数字が出る。テレビジョンの方は、百六十七億一千五百七万六千円をこの五千七百五万一千円で割りますと、二百九十二円九十八銭、こういう数字が出る、こういう説明でございます。
  97. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私が聞くようなことは、原価計算上ではまずいことなんですか。私はしろうとだからよくわかりませんが、要するに、テレビジョンの欄の下の方を見ると百六十七億とあるし、それが月額換算に直すと二百九十二円になるから、そのときの除した契約台数は実際に幾らであったのですかということを聞いている。
  98. 春日由三

    春日参考人 私どもの方の計算では、月額の受信料で総収入を割りますと、受信料一円当たりで全聴取者数をかけるとどうなるかという数が出てきまして、その数で今度は割っていきますと八十七円というものが出る、こういう計算の仕方をしているわけであります。
  99. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 契約者数かける十二カ月で上の金額を割ると二百九十二円のものが出たということじゃないのですか。五百万ですか、四百万ですかの契約者数かける十二カ月、それで百六十七億を割ったものが二百九十二円、こういう考えじゃないですか。だから要するに、こちらへ予算書を正式に出していただきました。そしてこれは有料契約者数見込という正式な文書です。それが三百八十二万五千から純増が百六十五万ある、こう出ていますが、これと二百九十二円九十八銭というものとのつながりを説明して下さい。
  100. 春日由三

    春日参考人 先ほど私が申し上げました一億四千五百四十七万一千円というのは、ラジオならラジオ年間の受信料総収入を月額の八十五円で割った商でございます。それはつまり受信料一円当たりになるわけですね。総収入を月額の八十五円で割るということは、受信料一円当たり、つまり一円ずつ全国受信者から集めましたら一億四千五百万円、こういう考えでございます。その一億四千五百万というので今度百二十七億六千五百万を割りますと八十七円七十五銭という原価が出て参る、こういう計算でございます。つまりラジオの場合もテレビの場合も、すべて一円というお金の単位を考えるわけです。一円に換算いたしまして、その一円で受信者の数をかけると幾ら出てくるか、それで総収入を割ったのが月額原価になる、こういうことでございます。
  101. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 その基礎になっている契約者の数はどういうふうにするのですか。一円で割るはいいのですが、こっちとの有機的な関係を説明してもらいたい。予算書ではこれだけ見込まれますとありますから、ここの二百九十二円九十八銭と出たこととの関連です。どうやれば関連がつくか。そっちはそっちで一円当たりの聴取者数を出しているし、こっちはこっちでこういう契約者数を出してきている。この原価計算書と予算書とのつながりが、どうも私の頭の中ではつながらないのですが……。
  102. 春日由三

    春日参考人 年度当初の契約者については全額を掛ける、これはそうでございますね。でございますから、ラジオでございましたら、年度当初の契約者数千二百七十九万を年間千二十円に掛けましたものが百三十億四千五百八十万円、今度年度内の新規契約者九十八万という数字に対して、ちょうどその半分の五百五十三円を掛けますと五億四千百九十四万円、今度年度内の廃止——これも徐々に廃止していくわけでございますから、廃止の方を、単価四百六十八円に二百五十八世帯を掛けますと、十二億七百四十四万円、今度半額の免除の分がございますから、五百十円に三万世帯を掛けますと、これが千五百万円、これの差引いたしましたものがラジオの方の総収入、こういう計算になるわけでございますから、簡単に受信者の数で割ったらという計算はできないわけであります。
  103. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、それを今そこで書いて、私のところへあとで届くようにしてくれませんか、テレビラジオを……。
  104. 春日由三

    春日参考人 はい。
  105. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それでは、その次に、この中では普及開発費と物件費とその他、この三つが予算とのつながりがわからないわけですが、そこをちょっと説明してくれませんか。あとはみんなわかるようです。人件費の六十六億、こっちの予算書が六十八億になっておって、これはまあ二億ばかり違っておるけれども、この物件費はこっちの何に該当するか。物件費の二百二十六億と普及開発関係の七億二千万円、契約収納関係の十五億五千七百万円、それからその他の六十億と、これがちょっとこっちとの関係がわかりませんので、それがわかるよう一つ書いてくれませんか。要するにこの予算書と原価計算書とがつながるように書いていただけばいいのです。
  106. 春日由三

    春日参考人 わかりました。誤解のないように申し上げますが、人件費と物件費と分けまして、あとは物件費の内訳でございます。
  107. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これは資料ですから公に出てはいないのですが、ここでちょっと読みまして、これが正しいかどうかお尋ねします。「受信料収納経費の受信料収入に対する比率。ラジオ受信料収入百二十二億六千五百万円、収納経費総額十億九千十一万七千円、比率八・八二%。テレビ受信料収入百七十一億一千五百三十万円、収納経費総額七億二千九百十五万九千円、比率四・二六%。」これはいいわけですね。
  108. 春日由三

    春日参考人 その通りでございます。
  109. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 それではお尋ねしますが、この受信料計算書には収納経費十五億五千七百万円とあるのです。ところが、これで見ると十八億何がしになるのですが、これはどういう違いですか。私に出してもらった資料では、ラジオは十億九千万円、大体十一億の収納経費、テレビの方は大体七億三千万の収納経費だけれども、こっちの方はそれとは違うように書いてある。これはどういうことでこういうふうに幾つも数字が違ったのが出てくるのですか。
  110. 春日由三

    春日参考人 御要求が料金を取るために直接必要な収納経費を出せということでございますからお出しいたしましたので、お手元の青写真の資料契約・収納関係とまとめてございます。従いまして、この中から今の収納経費を引いたものが新規契約をとるための費用になるわけであります。
  111. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そうすると、こっちの方が額が多くていいのですか。
  112. 春日由三

    春日参考人 それと、今の収納費は一切がっさい含めてというので、これには人件費が入っておるわけです。ですから立て方が違うわけであります。
  113. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 午前中の質問で、ここに五カ年計画の修正になった一覧表が私の手元へ届いておりますけれども、その修正のおもな点等を説明していただきたいと思います。
  114. 溝上けい

    ○溝上参考人 この予算書の中に「昭和三十三年度を起点とする放送事業五カ年計画の第三年度としての諸計画を、内外諸情勢の進展に即応させて調整し、」というふうに冒頭に書いてありますが、たまたま別途参考資料としてお配りいたしました「第一次五カ年計画大綱」の修正の経緯について、不備な点がございますのでまことに申しわけございませんでした。それであとから追加してお届けいたしました資料について簡単に申し上げますが、先ほど来いろいろ御審議いただきましたような経緯で受信者の数が、ここに出ておりますように大幅に、ラジオ並びにテレビジョンに関しまして狂って参った次第でございます。あとの各種の事業計画の内容につきましては、まあ大きな狂いはございませんが、一応二、三御説明申し上げますと、ラジオ置局関係につきましては、最近都市がふえまして、それに伴って指定電界も変わって参りますし、また混信その他の関係から置局並びに増力につきまして相当大幅に修正いたしました。それからFMについては、御承知のような事情で、当初予定いたしました程度に進みませんので、若干計画を縮小いたしております。また総合テレビジョンにつきましては、その後いろいろデータもそろいまして、ある程度置局の可能性がふえたところにつきましては、計画として若干、あるいは小さい局を増力して大きく計画を変えまして、繰り入れたり何かして局の数をふやしております。同時に、総合テレビの、東京のいわゆる増力関係もこれに追加いたしました。なお教育テレビジョンにつきましては、最後の年度には予定通り完成する予定でございますが。進行が若干おくれましたために、番組の時間につきましては、ここにございますように、ある程度時間の伸びが少なくなっております。そういう内容でございまして、大体の計画といたしましては、そのつどやむにやまれぬ事情を織り込んで、それを三十五年度には実行計画として予算に組んだ、こういう形になっております。
  115. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 この五カ年計画の修正にあたって、ここに、印刷物としては、あとから出されたこれでいいわけですね。
  116. 溝上けい

    ○溝上参考人 さようであります。
  117. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これと今いただいた青写真と同じですか、また違ってはいないですね。
  118. 溝上けい

    ○溝上参考人 これは前の五カ年計画と対照いたしまして、変わった分だけを抜き出したのが今お配りいたしました一枚の資料でございます。
  119. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私どもは三つ資料があるのです。去年の予算審議のときの「明日のNHK——第1次5か年計画あらまし——」、それからこの間参考資料としていただいた白い印刷物で、ページが十三ページまである「第一次五カ年計画大綱」というのがあります。それから今「五か年計画修正点」という青写真をいただきました。この三つの関係を一つ説明して下さい。
  120. 溝上けい

    ○溝上参考人 昨年お配りいたしましたものと、新しくお配りいたしました「第一次五カ年計画大綱」という。パンフレットの違いのおもな点をわかりやすくリストにしたのが、先ほどお配りいたしました資料でございます。
  121. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 これとこれとの違いがこれということになるのですね。——わかりました。  去年いただいた資料においては、大体契約者数がどういうふうになってということが詳しく出ておりますが、この「第一次五カ年計画大綱」においては契約者の数の増というよう見通しについては見当たらないようですが、そういうものは検討してやっておられるのですか。これはラジオテレビも全然契約者数というものはなくて、受信料の事業収入ということでラジオテレビは一括してあるのです。一本料金体系か一本原価計算体系か知りませんけれども、そういうふうになっておりますが、これはラジオテレビ受信契約者数の増減を考慮してやられたのかということを説明願いたいと思います。
  122. 春日由三

    春日参考人 午前中に御要求に基づきましてお手元に差し出しました横表の資料がございます。これはラジオテレビそれぞれの当初五カ年の見通しと修正五カ年の見通しの表でございます。お手元に参っております。
  123. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 私だけのところに来ておるこの表ですね、これでいいわけですね。
  124. 春日由三

    春日参考人 そうでございます。今御指摘の「第一次五カ年計画大綱」の中にその数字が入れられませんゆえんのものは、相当早くこれを作ったわけでございますが、ことしの特殊事情として、先ほど指摘のございましたように、ラジオの減というものが相当下半期においてスピード化されております。テレビジョンの増というものも相当の増でございまして、見通しの悪さをおわびしたわけでございますが、それがありましたものですから、できるだけ近い数をつかもうというので、この「第一次五カ年計画大綱」の中には昨年と変わったおもな点を載っけておきながら、受信契約者の増減見込みの表をつけなかったということをお許し願いたいと思います。
  125. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 ただいまいただきました「五か年計画修正点」の年度受信者数は、ラジオでいうと、三十五年度の既定計画では千四百五十六万、それが三十七年度の末にいくと半分に減って八百八十五万になる、こういう意味でありますね。
  126. 春日由三

    春日参考人 さようであります。
  127. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 テレビジョンは三百三十万のものが約倍以上にふえて改訂計画では三十七年度末に七百九十七万、約八百万になるという計画ですね。その増減については、私がここにいただいたラジオテレビ年度別増減見込比較表の内訳、こういうように考えればいいわけですね。
  128. 春日由三

    春日参考人 さようであります。
  129. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 わかりました。それではお尋ねいたしますが、年度別のラジオテレビの増減を分析してみますと、こういうことが思い当たるわけです。ことしの予算においてもそうです。ラジオが大体百六十万減る。テレビが、これはさっきからあれの違う点ですが、百六十五万ふえる。偶然の一致かもしれませんが大体一致している。先ほどいただいた年度別で見ると、昭和三十六年度においてはラジオの減が百三十万、テレビの増が百四十万、それから三十七年度においてはラジオの減が百三万、テレビの増が百十万、こう三十五、三十六、三十七年度NHK契約者見通しとしてはテレビ増加しただけラジオが減ってくるんだ、大体ですよ、結果から見ればそういうような形になりますが、そういう傾向をたどるわけですかな、これは。その辺はこれを想定されたときの様子はどうですか。
  130. 春日由三

    春日参考人 実はテレビジョンが始まった当初におきましてはラジオを持っていてテレビジョンを持たれる方が、ほとんど廃止をしなかったわけであります。それが一昨年の下半期以来廃止がふえて参りまして、三十四年度年間になりますと、新しいテレビジョンの加入者の七〇%以上がラジオ廃止するという現象が出て参っているわけなのであります。その傾向が今後とも、テレビジョンが低所得者層に普及いたしますともっと強まっていくという一つの想定に基づきましての計算でございます。
  131. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 そこでだんだんその全貌がわかってきましたけれども、七割の人が廃止してしまうという中で強力な廃止防止対策ですかを樹立したいということで、きのう森本委員質問にいろいろのことを答弁されたようです。それは私はわかっています。しかし、ここに根本的に検討しなければならない問題があると思うのです。というのは、三百円のテレビを一台入ったところが八十五円のラジオを一台減らしてしまった。そういう率は七割ずつあるわけです。次の年も三百円のテレビが一台契約で入っていれば、八十五円のラジオが一台ずつ減ってしまうというこの傾向は偶然に、この五カ年計画の修正を見ると、テレビの入っていく量とラジオの減っていく量が一致しているわけです。そこで考えなければならないことは、それであったならば、料金の面から言えばテレビの入った結果、ラジオをただ聞かせておいてもNHKの総収入には影響がないんだ、いいですか。テレビを入れたところが一〇〇%じゃない、七割はやめてしまうということになれば、テレビを入れたところにはラジオを、料金を取らないでただ入れておくところが三割あればNHKの総収入というものは少しも変わりがない、もっと言い直しをすれば、テレビを入れた人が三百円払ったならば、ラジオをそこで持っていたならば、八十五円の三割の料金だけ徴収すればNHKの料金の収入は変わりはない、こういうことにもなると思うのですが、どうでしょう。
  132. 小野吉郎

    小野参考人 ただいま資料に基づきましてそれを結論づければ今御指摘ような方向をたどるではないか、しかもそのたどる方向は、財源的に言えば、所定の計画を遂行するに不足がないと見ていいではないか、こういう御質問でございます。現在のラジオが、テレビ普及につれまして新規にテレビのつく、増加するそれの七割強のものが減りつつある、こういう傾向は将来もたどるだろう、情勢判断としてはそのように見ております。そういったことで三十五年度予算におきましても片やテレビの増を計画いたしますと同時に、ラジオにつきましてもそういう傾向をたどるだろうということで百六十万減というものを見ております。おそらく三十六年度予算編成時にあたりましてもそのような情勢は継続するものと考えられます。しかしこれは財源といたしましてそれで十分やっていけるんだという結論を持つには、今日まだ時期尚早なようにも考えられますので、一面非常に努力の限界はございますが、できるだけ、一応の予算におきましてそれだけの廃止傾向として出してはございますが、実際の活動におきましては大いに努力をいたしましてできるだけ減少の数をとどめていく。もちろんこの努力にはいろいろな制約もございまして、効果の面にはいろいろ期待できない面も起きてこようとも思いますが、そのような努力をいたすためにも経費を計上いたしましてやっていくわけでございます。しかし大勢はやはりテレビ普及につれてラジオ受信者が減っていく。結局は、八十五円でございますが両方持てば三百円で両方を持つというよう傾向も、これは現実に出てきておるわけでございます。ではそういったよう傾向に対して将来の財源上どうかという点に関しましては、この予算の施行の過程につれまして、それを当然に是認しておるわけではございませんので、何か収入を確保する方法を、現実に今こういう方法なのだという確定の案はございませんが、検討をして参らなければならない。しかもこれは喫緊の問題のように考えておるわけでございます。ただ傾向としては、ただいま御指摘ような、テレビ普及につれてラジオ受信者減少傾向をたどるという点につきましては、おそらくこの情勢を変え得るとはなかなか現在の制度のもとにおいて成算を持ち得ないというような状況でございます。
  133. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 今抽象的にお聞きしたわけですが、とにかくテレビが入ったらラジオをやめていってしまう、これは決定的な理由です。七割の理由がそうだというんですからね。だからテレビを入れてもラジオを聞かしておくということを、NHKの受信料の総収入に影響なくしてやっていくことができるならば、これは放送法の目的にも合致するわけです。あまねく聞かせるようにしなければいけないのですから……。ところが今までいろいろ聞いてきた中においては、もう七割方はみなやめていってしまうというその根本的な欠陥は、私はこういうところにあると思うのです。たとえば去年第一次五カ年計画等いろいろ御説明をいただいて、六十六円を八十五円に上げた。その八十五円に上げたのに欠陥がある。もし下げておけば、テレビがふえた家でもそのままラジオをつけておくからラジオテレビの両方の収入を確保することができる。にもかかわらず、いろいろのお話を聞いてわれわれは反対したけれども上がってしまった。そこに私は欠陥があると思う。だから将来の見通しとしては、たとえばラジオ・オンリーというのは八十五円でよろしい、テレビ・オンリーというのは三百円でよろしい、テレビラジオ両方やっているものはどっちを値引きしたということにしていいか、よくわかりませんけれども、とにかく三百二十円か三百三十円ぐらいにしておけば、両方持たしておいてラジオの減るのを防ぐことができる。これはしろうと考えに考えて、しかもNHKの受信料の総額には影響がないのだ、こういうことが当然検討されてしかるべきだ、こういうように考えるわけなのです。これは会長さん、郵政大臣、どうでしょうか。そういう考え方のもとで今後料金体系を検討をする。私はいろいろ理論的に考えてみても、どうしてもそういうように帰結せざるを得ないような気がする。それでNHKの目的はあまねく全国民に放送を聞かせるという絶対の使命もある。そういう三つの条件を考え合わせれば、そういうような方法でも講ずる以外に方法はないのではないか。このテラ廃防止ですね、そういうように考えるわけです。これは基本的な問題ですから、大臣NHK会長にお聞きしたいのです。
  134. 野村秀雄

    ○野村参考人 昨日も森本委員、片島委員からその点についての御質問がありまして、それについて私お答え申し上げました。受信料の問題はNHKとしてきわめて重大な問題でありますから、これまでもいろいろの点を考慮いたしまして研究を続けておったのでありますが、この三十五年度予算を御承認いただけば、直ちにこの受信料問題をいかにすべきかということについての検討を重ねていきたいと考えております。またNHKの性格というものをいかに意義づけるかということは非常な重大なる問題でありますから、こういう点もあわせ考えなければならぬと思います。あなたの今おっしゃったようなことがはたして最善であるかどうかということも、いろいろの要請あるいは要件等を勘案いたしまして慎重に考究いたして結論を出したい、かように考えております。
  135. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいまNHKの野村会長の言われましたことと全く同感で同じような方針をとっておりますことは、午前中に詳細に御答弁申し上げた次第でございまして、この点は慎重に、しかし迅速に検討の結果を出す所存でございます。
  136. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 慎重に研究するということだけでは、私がこれだけいろいろ言った価値がないと思うのだけれどもラジオが減っていく原因は七割がテレビをつけたからだというのです。しかしそのラジオを聞かせるのも放送協会の任務でしょう。放送法第七条ですか、「公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的とする。」これは置局の関係とかいろいろあるでしょうけれども、そういうことの使命を達しながら、しかもその受信料の総収入が減らないようにという親心を持って、そういう絶対の前提を置いてやっているということになれば、たとえばオンリー・ラジオのところは八十五円をそのまま継続する、オンリー・テレビのところは三百円を継続するが、テレビ・プラス・ラジオのところは三百八十五円ではなくて——廃止してしまうのを防止するのだから、ただ置いておいたって受信料の総収入には変わりはないのです。だから三百二十円とか三百三十円というのでセットとしての料金体系を確立する、こういう方向というものが検討さるべきだと私は思うのだが、こういう点はいかがでしょうか。
  137. 植竹春彦

    植竹国務大臣 その方向も十分検討の資料にいたします。実は午前中に少し詳細にわたり過ぎまして御答弁申し上げましたので、午後から簡単に答弁申し上げているようなわけでございますが、その御趣旨も検討の重要課題の一つとして十分検討いたす所存でございます。
  138. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 ほかに質疑もないようですので、本件に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じます。御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  139. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 本件に関する質疑は終了いたしました。     —————————————
  140. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 これより討論に入るわけでありますが、討論の通告もありませんので、これより直ちに採決に入ります。  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に承認を与えるべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  141. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 起立総員。よって、本件は承認を与うべきものと決しました。  この際大野委員より発言を求められております。これを許します。大野君。
  142. 大野幸一

    ○大野(幸)委員 ただいま可決されました放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に関する当委員会における審議の動向に照らし、私はここに自由民主、日本社会、民主社会、三党共同提案にかかる次の附帯決議を付する動議を提出いたします。  決議案の案文を朗読いたします。    放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件に対する附帯決議  政府並びに日本放送協会当局は、左に掲げる事項の実施に努むべきである。   一、農山漁村等における有線放送によるラジオ受信者の特殊な事情にかんがみ、その受信料につき半減の措置を講ずること。   二、ラジオ受信料金の減収対策並びに受信料について調査研究すること。   三、経営の合理化、経理の節減を図り、協会従業員の待遇の改善に努めること。   右決議する。  附帯決議案の趣旨は当委員会の議案審査の過程における質疑応答に徴して明らかでありますので、これが説明は省略いたしたいと存じます。
  143. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 ただいまの大野君提出の動議の通り、本件に附帯決議を付するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  144. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 起立総員。よって、本件に附帯決議を付すべきものと決しました。  この際植竹郵政大臣並びに野村日本放送協会会長より発言を求められております。これを許します。野村会長
  145. 野村秀雄

    ○野村参考人 日本放送協会昭和三十五年度収支予算事業計画及び資金計画に関して予算を御承認いただきましてありがたく御礼申し上げます。  この予算の御審議の途上において承りましたいろいろの御意見なり御注意なり、あるいは御希望なり拝聴いたしまして、われわれNHKの業務に携わっている者といたしましては、これを深く頭に銘記いたしまして、今後の予算執行に当たりましてはその御趣旨をこれに反映させ、そうして逐次実行いたしまして御期待に沿うように努めていきたいと考えております。  ラジオ受信者減少ということはまことに遺憾と存じます。われわれ最善の努力を重ねてきておりますけれども、さらに一そうその受信者の維持獲得に力を尽くしていきたいと考えております。私はこのラジオ受信者減少ということは、ひとりNHKの財政の上に大きな影響があるだけでなく、NHKラジオを聞いていただくことは文化の向上の上に、また国民生活を豊かにする上に必要なものであるというように皆さんがお感じ下さって、NHKラジオは、番組の一本でも、一時間でも聞いてもらう、そうして、受信料を出しても決して惜しくないというようにお感じ下さるようないい放送をいたして、われわれに課せられた大きな使命を果たしていきたいと考えております。むろん、ひとりラジオみならず、テレビにおいても、同様ないい番組をもって、国民の皆さんにおこたえいたしたいと考えております。  さらに、本日附帯決議として御決定下さった、この「農山漁村等における有線放送によるラジオ受信者の特殊な事情にかんがみ、その受信料につき半減の措置を講ずること。」ということの御趣旨については、当委員会においてもいろいろ申し上げましたので、ここでは私の意見を申し述べることを御遠慮いたしますが、この予算実行において、御趣旨に沿うように努めていく考えであります。またその次の、「ラジオ受信料金の減収対策並びに受信料について調査研究すること。」ということの御趣旨についても、先ほど来申し上げた通り、NHKラジオテレビの受信料をいかにすべきかということについては、とくに熱心に、慎重に考究して、その結論を出すことに力を尽くしたいと考えております。最後の、「経営の合理化、経費の節減を図り、協会従業員の待遇の改善に努めること。」という御趣旨については、われわれ平素心をここにいたして、NHKの経営に当たっております。今後とも一そうこの点については細心の注意をもって、また最大の努力をもって御趣旨にこたえたいと考えております。  予算の御承認に際して、協会を代表いたしまして、ありがたくお礼を申し上げます。(拍手)
  146. 植竹春彦

    植竹国務大臣 ただいま御決定いただきました昭和三十五年度NHK予算承認の件につきましては、慎重なる御審議をいただきまして、ありがたく、厚く御礼を申し上げます。  本件承認を求めます際に、NHKの五カ年計画の改訂につきましてその説明を申し上げなかった点、並びに三十四年度ラジオ受信料の減収並びにテレビ料金の激増に対しまする郵政当局並びに放送協会当局の見込み違いにつきましては、遺憾の意を表します。何とぞ御了承を賜わるようにお願い申し上げます。  この御審議の経過におきまして賜わりました御質問また御希望のいろいろにつきましては、十分尊重いたしまして、ことに附帯決議によって承りました三点につきましては、格段の深き注意を払いまして、この御期待に沿うように、十分に努力いたします所存でございます。御審議まことにありがとうございました。(拍手)
  147. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、先例により、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  148. 佐藤洋之助

    ○佐藤委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  次会は来たる二十五日金曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後二時十五分散会