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1960-03-16 第34回国会 衆議院 逓信委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十六日(水曜日)     午前十時三十八分開議  出席委員    委員長 佐藤洋之助君    理事 秋田 大助君 理事 淺香 忠雄君   理事 進藤 一馬君 理事 橋本登美三郎君  理事 早稻田柳右エ門君 理事 片島  港君    理事 森本  靖君 理事 大野 幸一君       上林山榮吉君    塚田十一郎君       寺島隆太郎君    渡邊 本治君       小沢 貞孝君    堤 ツルヨ君  出席国務大臣         郵 政 大 臣 植竹 春彦君  出席政府委員         郵政政務次官  佐藤虎次郎君         郵政事務官         (大臣官房長) 荒巻伊勢雄君         郵政事務官         (電波監理局         長)      甘利 省吾君  委員外出席者         参  考  人         (日本放送協会         会長)     野村 秀雄君         参  考  人         (日本放送協会         副会長)    溝上 けい君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   前田 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   田辺 義徳君         参  考  人         (日本放送協会         専務理事)   小野 吉郎君          参  考  人         (日本放送協会         総務局長)   赤城 正武君          参  考  人          (日本放送協会         経理局長)   春日 由三君         専  門  員 吉田 弘苗君     ————————————— 三月十六日  委員金丸徳重君辞任につき、その補欠として成  田知巳君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  放送法第三十七条第二項の規定に基づき、国会  の承認を求めるの件(内閣提出承認第一号)      ————◇—————
  2. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 これより会議を開きます。  議事に入るに先だちまして、佐藤政務次官より発言を求められております。これを許します。佐藤政務次官
  3. 佐藤虎次郎

    佐藤(虎)政府委員 三月の二十八日より三月の十四日まで、実はヨーロッパよりアメリカの方に至りまする電波郵政事業等の実態の視察に参りまして、その間国会開会中であるにかかわりませず、二十五、六日間席をあけたことはまことに申しわけないと思いますが、一応私どもが目で見、耳で聞きまして調査して参りましたことも、何かとお役に立つことがあれば幸いだと考えております。そうした資料につきましては、ただいま口頭で申し上げるよりも、文書をもって委員各位に配付し、一読願いたい、かように考えております。今後は欠席のなきょうに忠実に、皆様のおしかりを受けたいと存じます。何分御教示のほどお願いいたします。
  4. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 放送法案第三十七条第二項の規定に基づき、国会承認を求めるの件を議題とし、質疑を行ないます。  通告がありますので、順次これを許します。  森本靖君。
  5. 森本靖

    森本委員 この予算案を審議いたします前に、予算の中の総則の第十三条であります。「駐留軍放送役務に対し、契約金の」云々というのがあるわけであります。これの具体的な説明をまず協会側から伺っておきたいと思います。
  6. 春日由三

    春日参考人 お答え申し上げます。これはNHK自体の本予算関係のない問題というふうに解釈いたしまして、十三条におきます表現は、放送役務に対し、契約金収入があった場合は、その金額は、その役務に直接関係のある経費に充てることができる、こういうふうな総則を設けさせていただきまして、従来は、これによりまして役務がありまして、役務契約がございまして、具体的に経費が入って参りました場合には、その経費は直接その仕事に、つまり右から左へと割り当ててしまう、こういうふうな意味表現でございます。
  7. 森本靖

    森本委員 それで、これが現在具体的に駐留軍放送役務を行なっておるというのはどこですか。
  8. 春日由三

    春日参考人 東京の放送局の第二放送施設及び大阪の中央放送局の第二放送施設、いずれもNHK放送終了後、機械契約によって貸し与え、若干の機械を動かす人間の役務をつけまして毎日零時二分から一時半まで三十四年度は行ないました。
  9. 森本靖

    森本委員 その零時二分から一時半までの放送は、放送内容はいかなるものですか。
  10. 春日由三

    春日参考人 これは、内容については全くNHK側の知るところではないという形でございまして、役務機械施設の貸与だけをいたしておるわけでございます。
  11. 森本靖

    森本委員 その場合、NHKとの契約はどことの契約になっておりますか。
  12. 春日由三

    春日参考人 契約の相手方は在日米軍調達司令部でございます。
  13. 森本靖

    森本委員 これは郵政省にお聞きいたしますが、その場合、NHK在日米軍調達部と申しましたかとの契約というのは、これは法的な根拠はどれに基づいてそういうふうになっておりますか。
  14. 甘利省吾

    甘利政府委員 行政協定の第三条のところに、電波の問題については日米相互の取りきめによるとあります。日米相互の取りきめによるという条項と、なお占領当時から、講和条約発効に際して、その経過規定として、在来米軍の持っておりました権力については、一時的措置としてこれを米軍が引き続いて保有するというきめに従ってこの取りきめが行なわれております。
  15. 森本靖

    森本委員 その在来の固有の権力をそのまま踏襲するというふうなものは、そういう取りきめというのは行政協定の第三条によって行なわれるわけでありますか。
  16. 甘利省吾

    甘利政府委員 その通りでございます。
  17. 森本靖

    森本委員 行政協定の第三条というのはどういう条項ですか。そうして今回の安全保障条約改定によっての行政協定改定においてはどうなっておりますか。
  18. 甘利省吾

    甘利政府委員 現行協定第三条二項「合衆国が使用する電波放射装置が用いる周波数電力及びこれらに類する事項に関するすべての問題は、相互の取極により解決しなければならない。」それに続きまして「一時的の措置として、合衆国軍隊は、この協定が効力を生ずる時に留保している電力、設計、放射の型式及び周波数電子装置日本側からの放射による妨害を受けないで使用する権利を有する。」こういうふうに現行協定はなっております。これでこの放送が行なわれておるわけでございます。  次の御質問の、今回の改正によりますと、その前項がちょっと変わりまして、「相互の取極により解決しなければならない。」とありますのを「両政府の当局間の取極により解決しなければならない。」こういうふうに改正されました。また一時的措置以下は経過規定に類するものでありますので、こういうふうに直りました。「日本国政府は、合衆国軍隊が必要とする電気通信用電子装置に対する妨害を防止し又は除去するためのすべての合理的な措置関係法令の範囲内で執るものとする。」というふうに改正されるわけであります。
  19. 森本靖

    森本委員 これは大臣にお願いしておきたいと思いますが、郵政省については、郵便関係、それから電信電話関係、それから電波放送に関する問題、この三つが今回の安全保障条約改定関係があるわけでありますが、これはいずれ安保特別委員会に行って行ないたいと思いますが、また文書ももらっておりますけれども、もう一回今私が申し上げました郵政関係、それから電気通信関係、それから放送電波関係しておりますところの現行行政協定と新しい行政協定、この二つと、それからそれに関連をするあらゆる資料を一応資料として御提出願いたい。これは安全保障特別委員会において要求するのが妥当かもわかりませんけれども、そこで要求するよりもこの逓信委員会にも非常に関係の深い事項でありますから、これは一つ資料として要求しておきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  20. 植竹春彦

    植竹国務大臣 その資料につきましては、先般予算委員会でもその御要求がありまして、それに対する政府態度は、外務大臣から答弁をいたしたことを、私も出席いたしまして承知いたしておりますので、それらの外交交渉関連を持ちますので、よく政府部内統一いたしました方針のもとに御要求に応じたい、さように考えております。
  21. 森本靖

    森本委員 外交交渉の問題についての資料としては、あらためて私は安保委員会において特別に要求したいと思いますが、ただここで簡単に要求しておりますことは、郵政関係電気通信関係電波放送関係する現行行政協定、それから今回新しく改定をせられるところの行政協定、この二つだけをとりあえず当委員会——これは私の方ももらっておりますけれども再度提出を願いたい、こういうことでありますから、これは政府統一見解とかなんとかいうことは要らぬと思います。現にある協定とそれから今回改定をせられる協定、この二つ協定をとりあえず資料としてお出しを願いたい。それ以降の外交交渉その他の問題についてはあらためてまた私たちの方で要求する場合があると思いますが、今の二つだけはとりあえず御提出を願いたい、こういう意味です。
  22. 植竹春彦

    植竹国務大臣 御要求の書類の内容外交交渉関連を持ちますような場合には、やはり私といたしましては、関係官庁つまり外務省ともよく打ち合せまして、最大限度森本委員の御要求に応ずるように努力いたしたいと思います。
  23. 森本靖

    森本委員 大臣、人の言うことをよく聞いてもらいたい。だから私が質問しておって怒るのですよ。私の今要求しておるのは、外交交渉関係のある資料を出せということを言っておるわけじゃないのです。その外交交渉関係のある資料については、いずれわれわれの方は安保特別委員会を通じて正規に要求をする。そのときの安保委員会における特別の論争になる。それはそれとして、あなたが外務省云々というが今それを要求するわけではない。現行電気通信、それから郵政電波関係のあるところの現在の行政協定と今回改定になる行政協定、そこの関係のあるところだけを抜き書きにした現行行政協定と新らしく改定になった行政協定資料として御提出を願いたい、こう言っておるわけです。これはすでに国会に出ておるものを私はもう一ぺん再度お願いしておるわけです。それから特に現行行政協定というものは前にかかっておりませんから、それを要求しておるわけであって、何も秘密事項でも、外交交渉として外務省関係のある事項でもない、これはすぐ出せる資料なんですよ。それほど慎重になる必要はないのです。これは委員長が聞いておってもそう思うと思うのです。合同委員会とか、交渉経過とか、そういうものはあらためて私はまた他の委員会要求をする、こういうことを言っておるわけです。
  24. 植竹春彦

    植竹国務大臣 わかりました。現行のものを用意いたしまして提出いたします。
  25. 森本靖

    森本委員 それで先ほどの項に移りますが、先ほどの行政協定において取りきめが行なわれるということでありますが、そうすると、相互の取りきめを行うというものについては、これは日米間におきます合同委員会とかなんとかいうものがあるわけでありますか。
  26. 甘利省吾

    甘利政府委員 その通りでございます。
  27. 森本靖

    森本委員 どういうふうな形式になっておりますか。この問題はやがて根掘り葉掘り安保特別委員会ではおそらく出てくると思いますから、私はあらかじめ予備審査ではないけれども、これは放送関係がありますから、局長が今のような形において安保委員会出席をせられたのでは相当辛らつに突っ込まれる。しかもあなたがその答弁について詰まるということになってくると、非常にみっともない格好になりますから、特にそういう問題をここで聞いておるわけでありますが、一つこの問題について十分説明ができるように郵政省本腰をかけてやっておかないと、つまらぬ赤恥を安保特別委員会でかかざるを得ないという格好になると思うのです。これはなぜそういうことを特にきょう言っておるかと申しますと、前に濱田君がまだ電波局長のときに、私が質問をしたときには全く両者の会合の委員の名前すら頭に浮かんでこないというふうな状態であって、一体どこで駐留軍放送役務がきめられて、だれとだれが何日にきめたかということが満足に回答もできないという状況であったわけです。そういうことでは今度の安保特別委員会においてはとても郵政省としては切り抜けることはできぬと思う。どうせ私は質問いたしますけれども、電波監理局長は、この電波放送に関する行政協定並びにそれに関する外交交渉内容というものについては、今から十分答弁ができるようにしておいてもらいたいと思います。きょう特にその内容について質問していったらむずかしいということなら、きょうはこの程度でこの問題はやめますが、局長どうですか。
  28. 甘利省吾

    甘利政府委員 大へん御親切にありがとうございます。今勉強いたしておりますが、私の関係しております電波については周波数分科会がございまして、もっぱらそこで周波数の問題を協議いたします。また放送を含めまして電気通信ということになりますと、電気通信監理官関係もございまして電気通信分科会、この二つ分科会が、われわれ電気通信及び電波に関する日米分科会になっております。その上に合同委員会がございまして、われわれの分科会で不審査しましたものを合同委員会でアプルーバルするという形で取りきめが行われております。
  29. 森本靖

    森本委員 きょうはこの行政協定安保をやるのが目的でないわけでありますので、この程度——たまたま予算総則の第十三条にこれが出てくるから、どの程度郵政省研究をして安保特別委員会に臨む態度を持っておるかということで聞いてみたわけでありますが、先ほど私が言いましたように、今のような状態では、おそらく郵政大臣電波監理局長なんというものは立ち往生せざるを得ないことになると思う。だからこの問題については相当深く研究をせられて、しかもいつどこから質問が出られても答弁ができるという態勢を郵政省は今から本腰をかけてやっておかないと、郵政省関係においてこれが重大なる問題に立ち至るということになりかねないと思うわけでありますから、あらかじめ私はとくとこれは一つ研究しておいてもらいたいということをこの際特に申し上げておきたいと思うわけであります。これは別に悪気があって言っておるわけじゃないのでありまして、特にこの点はお気をつけてもらいたい、こう思うわけであります。  そこで、この予算総則についての質問に入りたいと思いますが、まず今度の予算を見てみますと、前あたりからわれわれが言っておりましたラジオ会計テレビ会計を今回一本にいたしまして、NHKの従来の予算編成のやり方からいきますならば画期的な改正である、これがNHKの将来の前進の方向の予算になることを私は非常に念願し、また望んでおるわけでありますが、そういう観点から私はこの予算について二、三質問を行なっていきたいと思います。特にこの第二条においては、ラジオにおいて八十五円、テレビジョンについて三百円というふうに従来の料金を三十五年度予算においては据え置いておりますけれども、現実にそのあとに出て参りますところの予算を私の方で簡単にずっと見渡しましても、ラジオ受信料というものは目に見えて減少しておるこういう情勢にあるわけであります。特に私はこの際明らかにしておいてもらいたいと思いますことは、この予算の二十四ページに受信契約者見込数というのがあるわけでありますが、三十五年度、それから三十四年度を見た場合に、三十五年度ラジオ契約数は前から見ても相当減っていくというふうに考えるわけでありますが、三十四年度から見まして三十五年度としては具体的に一体幾らこの契約者数が減る見込みであるか、NHKとして見込んでおる実際の数を一つお示し願いたいと思うわけであります。
  30. 小野吉郎

    小野参考人 お答え申し上げます。この予算書の二十四ページにラジオ受信者の増減の傾向がございますが、実際の今までの歩みから、今年度末の締め切りを予想いたしてみますと、大体こういった姿でいっておるわけでございまして、現在予想されますところでは、三十四年度中にラジオ受信者が約百二十万減少するというような見通しを持たざるを得ないような情勢になっております。
  31. 森本靖

    森本委員 三十四年度に百二十万減少するわけでありますか。
  32. 小野吉郎

    小野参考人 さようでございます。
  33. 森本靖

    森本委員 そうすると、有料契約者見込数の中の三十四年度のいわゆる年度初頭契約者数が一千四百三十二万ですか、その中で新規契約が百三十五万、減るのが百二十四万ということで、差引増加が十万六千、この数字で今の百二十万、こういう数字ですか。
  34. 小野吉郎

    小野参考人 ここにあります三十四年度新規加入並びに年度内における廃止差引三十四年度中には十万六千が増加されるということになっておりますが、これは御承認をいただきました予算書がこのようになっておるわけでありまして、予算上はそのように見積もったわけでありますが、三十四年度中の歩みはこういった予想に反しまして、ラジオ減少は非常に顕著になって参っております。現実の実際の姿がどうなるかと申しますと、この見込みに対しまして、三十四年度中には現実に百二十万くらいが減少になるだろう、従いまして十万の増を予想いたしておりましたので、現実歩みとの差を見ますと、御承認をいただきました予算との差は百三十万見当の狂いが実際にはできておるというようなことに相なるわけであります。
  35. 森本靖

    森本委員 ちょっとわかりにくくなったのですが、そうすると、昭和三十四年度有料契約者見込数というのは、三十四年度予算ですか。予算なら予算と書いておかなければ……。予算書には見込数とちゃんと書いてあるが。
  36. 小野吉郎

    小野参考人 これは御承認をいただきました予算のそれを、三十四年度につきましてはそのまま書いております。
  37. 森本靖

    森本委員 それは非常に横着な書き方で、有料契約者見込数というのがこれに書いてあるわけであって、しかもこれは三十五年度予算編成にあたっての資料として出しておいて、それを予算のままに出すなんというのは、ちょっと虫がよ過ぎるわけであって、実際の見込数とだいぶ違うということになりますと、もう大体三月の終わりに近ついているわけでありますが、具体的な数字はどういうことになっておりますか。
  38. 小野吉郎

    小野参考人 予算書現実の今の姿、実績そのままが予想にしろ出ておりませんので、承認予算のそれが出ておりますので、現実とは非常に離れておりますが、現実の姿で申しますと、今年度内におきまして、新規加入並びに廃止状況差引いたしまして、百二十万の減少になる。年度当初の千四百三十二万はそのままでございますが、これに対しまして百二十万の減少を来たしてくるというような状況でございます。
  39. 森本靖

    森本委員 百二十万が減少ということになりますと、昭和三十五年度のこの見込数、これはほんとう見込数で、予算だろうと思うのですが、これは予算数字ですね。
  40. 小野吉郎

    小野参考人 予算見込みでございます。
  41. 森本靖

    森本委員 そうすると、昭和三十四年度年度当初の契約者数から見た場合には、三十五年度の場合には約二百八十万減少する、こういう結果になるわけですね。
  42. 小野吉郎

    小野参考人 三十四年度当初立てました見込みから申し上げますと、その通りになります。
  43. 森本靖

    森本委員 二百八十万ということになりますと、これは金額にしてどのくらいになりますかね、ちょっと勘定がしにくいが……。
  44. 小野吉郎

    小野参考人 約二十八億ということになります。
  45. 森本靖

    森本委員 そうなりますと、約二十八億で二百八十万ラジオ減少ということになりまして、次にお聞きしたいのはテレビジョンでありますが、このテレビジョンの場合は、この三十四年度というのも同じように、これは予算ですか。
  46. 小野吉郎

    小野参考人 三十四年度につきましては、ラジオと同じように、御承認をいただきました予算見込みそのままでございます。
  47. 森本靖

    森本委員 これは一つ希望いたしておきますが、来年度からの予算編成のときに——予算のものをそのままここへ出してきて見込数とは、これはちょっと書き方が変ですよ。やはり三十四年度予算なら予算見込数なら、大体予算編成をする場合はもう十一月から十二月になりますから、これはほんとうのそのころの見込数というものを書くのがほんとうでありますから、これはちょっと注意をいたしておきたいと思います。  そこで三十四年度テレビジョンの実際の数というものは、予算の数からどうなってくるわけでありますか。
  48. 小野吉郎

    小野参考人 三十四年度承認をいただきました予算書におきましては、テレビは三十四年度中に八十万の増加を見込んでおったわけでございますが、現実には百九十万程度増加するであろうというふうに見通されます。
  49. 森本靖

    森本委員 百九十万増加するということになりますと、三十五年度は、これは予算でありますから、そうするとこれは何ぼですか、増加契約が百六十五万ですか、そうすると、これは何ぼになりますか、三百五十万ですか、大体三百五十万程度増加する、こういうことになるわけですね。
  50. 小野吉郎

    小野参考人 先ほど申し上げました三十四年度増加いたします百九十万ばかり、これと二十五年度にこの予算におきまして増加を見込んでおります百六十五万とを加えますと、ちょうどそのような見当数字になると思います。
  51. 森本靖

    森本委員 それでこの予算は、三十五年度年度当初の契約数に準拠して組んでおるわけですか、ラジオテレビも……。
  52. 小野吉郎

    小野参考人 さようでございます。
  53. 森本靖

    森本委員 そうすると、二百八十万減少して三百五十万ふえるということになりますと、具体的にどうなりますか、その収支差というものは……。頭が悪いから、すぐすうっと勘定するわけにいきませんが。
  54. 春日由三

    春日参考人 お金の方からいきますと、三十四年度は、国会承認予算では、値上げもございました関係から、ラジオが三十億の増収がある予定だった。それが逆に百二十万の減少になりましたので、約十億増収が減りまして、ラジオについては二十億の増収ということでございます。それからテレビジョンにつきましては、国会承認予算では八十万ふえる予定だったのが、今、小野専務から御答弁申し上げましたように、百八十五万程度になりますので、三十五年度におきましては約三億の増収、こういう形になるわけです。つまり差引二十億増収ということになります。
  55. 森本靖

    森本委員 それは三十四年度ですからいいのですが、三十五年度の場合に、年度初頭の契約者数においてこれを組んでおる。ところが三十四年度の千四百三十二万から二百八十万引くということになりますと、この契約数が減ってくるわけですね。それからテレビの方が三十四年度のこれに三百五十万足しても、これはちょっと妙な数字になるわけでありますが、三十五年度予算の場合、テレビのふえた分とラジオの減る分との見込みを立てた場合に、ここに組んであるところの本予算との関連における見込みの数が体どう違ってくるか、こういうことです。
  56. 春日由三

    春日参考人 三十四年度と三十五年度受信料収入のこの予算に組んでおります差というものは、ラジオテレビジョン差引をいたしまして七十一億の増、三十四年度の当初予算に比しまして、ここに御提出いたしました二十五年度予算受信収入の増はラジオテレビジョン収入を合わせて七十一億、こういう計算であります。
  57. 森本靖

    森本委員 ちょっと妙にこんがらかってきたのですが、三十五年度年度初頭の契約数千二百七十九万というのは、先ほどの二百八十万減ということからいくと、これはかなり減少することになりゃせぬですか。
  58. 春日由三

    春日参考人 さようでございます。相当減少いたします。それで先ほど先生からお話がありましたように、三十五年度の場合にはいわゆるラジオテレビ収支経理の一本化をいたしますので、総額で御説明申し上げたのであります。
  59. 森本靖

    森本委員 七十一億というのは三十五年度ですか。
  60. 春日由三

    春日参考人 三十四年度国会で御承認を得ました予算と、ここに提出いたしました三十五年度予算受信料収入の差でございます。
  61. 森本靖

    森本委員 そこでこの三十五年度予算は千二百七十九万で組んでおるし、それからテレビの方は三百八十二万で組んでおるわけですね。
  62. 春日由三

    春日参考人 さようでございます。
  63. 森本靖

    森本委員 そうすると、ちょっとここで疑問なんですが、三十四年度テレビジョン年度初頭の契約数がかりに百七十万、それに対して先ほどの小野専務の回答が三百五十万ふえるという回答だったわけです。そうすると三百五十万というのは百七十万に足した数字が三十五年度のこの数になってきやせぬですか。
  64. 春日由三

    春日参考人 差引関係で参りますと、小野専務の御答弁いたしましたテレビジョンにつきましては百九十万と申し上げましたのは、三十四年度のここに出ております八十万ふえる予定だったのが百九十万ですから百十万ふえます、こういうことを申し上げたのであります。そうしてそのふえます見込みのものは、ラジオにおきましてもテレビにおきましても、三十四年度予算を組むときの当初の数にすでになっているわけであります。ですからラジオにつきますればお手元の資料年度初頭の契約者数というのは、私どもが先生から御指摘を受けました三十四年度国会承認予算を運行していきまして、十一月ごろになりましてラジオはこれくらい減るだろう、テレビはこれくらいふえるだろうという推定を立てまして、その減った分ふえた分を足しましたものが三十五年度の初めの、ここに出ておりますラジオにつきましては千二百七十九万、テレビにつきましては三百八十二万という数になったわけでございますから、先生のおっしゃるように三十四年度のふえる分と三十五年度のふえる分を足して三百何万という数字は、ここには出てこないわけであります。
  65. 森本靖

    森本委員 それで大体わかりましたが、しかし私が言っているように、たとえば三十五年度年度内の増加契約者数は百六十五万というふうにここでは見ているわけですね。これはもっとふえるかもしれぬと思いますが、年度内におけるそのデータが、大体今までのデータではどうなっておるか知りませんけれども、たとえばこれを平均した場合に、実際に年度内の増加契約者というものの、その年度内におきましての払い込みの金額は、年度予算からいった場合、平均大体どのくらいになっているわけですか。たとえばそれが半年分納めるような平均になっているのか、あるいは三カ月が平均になっているのか。
  66. 春日由三

    春日参考人 ちょうど年度内にふえる分を半分、金額的には半分という計算でなっております。
  67. 森本靖

    森本委員 そうするといずれにいたしましても、これは毎年そうですが、この減るラジオの方を見越しましても、テレビジョンの方がこれだけ年度内にふえる。それを、実際に入ってくる料金収納が六カ月平均といたしましても、かなりの剰余金といいますか、もうけといいますか、この予算以外に金が入ってくる、こう見てもいいわけですね。
  68. 春日由三

    春日参考人 今の申し上げました計算は、つまり三十五年度は三十四年度予算に比して七十一億よけい入ってくると申し上げましたが、その七十一億入ってくる分を予想して、提出いたしました予算の中に全部組み込んであるわけであります。ですから先生の御指摘なのは、百六十五万以上にもしふえたとすればそういうことが起こり得るということでございます。
  69. 森本靖

    森本委員 そうすると、百六十五万までは、ふえても何も関係ない、こういうことになるわけですね。
  70. 春日由三

    春日参考人 さようでございます。
  71. 森本靖

    森本委員 そうすると、ちょっと聞いておきたいのですが、正確にいって今七十何億といいましたが、三十四年度の場合はこの収納見込みに比べてラジオがどのくらいでテレビがどのくらいという見通しをちょっと言ってもらいたいのですが。
  72. 春日由三

    春日参考人 三十四年度は、先ほど申し上げましたように予算額に比しまして、ラジオでは十億の減収でございます。テレビジョンにおきましては年間三十億の当初予算に比しましての増収でございます。
  73. 森本靖

    森本委員 そうなりますと三十五年度の場合、この二十億というものは総収入額の中でパーセンテージは大体どのくらいになりますか。たとえば郵政でも電電公社でも、収納見込額というものを作って、その収納見込額の何%の増収見込みということを加えて予算を組んで、さらにまたその上に、大体増収というものがあるような仕組みになっているわけです。その点をちょっと聞いておきたいのです。
  74. 春日由三

    春日参考人 約八%でございます。
  75. 森本靖

    森本委員 これは三十四年度ですね。
  76. 春日由三

    春日参考人 さようでございます。
  77. 森本靖

    森本委員 三十五年度の場合はそれをどう見ておるわけですか。
  78. 春日由三

    春日参考人 それは、三十五年度は今のところ全然見てないというわけでございます。つまり百六十五万ふえるという要素は全部予算の中に組み込み済みでございまから。
  79. 森本靖

    森本委員 そうすると、あなたの方は百六十五万ふえると見ておるわけでありますが、しかし実際にはこれ以上ふえはせぬですか。置局計画からずっとかれこれ見ておると、百六十五万は過当に、あなたが正確に見た、こういうことじゃなくて、実際にはこの百六十五万というのは、この置局計画から見たら、あるいはまた教育テレビジョンの設置というところから見ると、かなり上回ると見込んでおるわけですか、まあ過当に見ることに越したことはないのですが。
  80. 春日由三

    春日参考人 実はテレビジョンの置局につきましては、三十四年度は最高の数だったわけでございます。それでこの予算にございますように、三十五年度はわずかに八局しか作らないわけでございます。しかも、それが鹿児島、宮崎あるいは北見とかいうふうな、ラジオにおきましても、だんだんと御承知のような低普及地域に及んでいきますので、今年度ほどの画期的な増は見込まれないという見通しを立て、かつ積算をいたしまして、百六十五万というのは、従来から見ますと、相当目一ぱいに見た数字だと考えております。
  81. 森本靖

    森本委員 それではその言を信用しておいて、次に来年度予算編成するときに、お前の言っておったのは間違っておったんじゃないかということにならぬようにと思いますが、しかし、それはなった方が増収に多くなりまするから、意地に収納を低くする必要はないわけでありますが、これはいずれまた次の予算編成のときに質問することにいたしまして、一応本日はその点については、経理局長の弁を信用しておきたいと思います。それが経理局長の言ったことが当たれば、それは予算的にはけっこうだし、当たらなければ、協会はもっとその方がいい、こういうことになるわけでありまして、なかなかジレンマに陥るだろうと思いますが、しかし、収納は多いほどいいわけでありまするから、その点はあえて増収を押えるというようなことは万々ないと思いますけれども、極力増収をはかるという考え方を持っていただきたいと思います。  そこで、先ほどの論に戻りますけれども、三百五十万テレビがふえて、ラジオが二百八十万減るということでありますが、このラジオの減っておりまする最大の理由というものはどこにあるというふうに協会の方ではお考えですか。
  82. 小野吉郎

    小野参考人 現実契約廃止の申し出の理由につきましては、いろいろと言われております。あるいはテレビがあるから、あるいは機械が故障をしたから、あるいは全然聞いておらないからというようないろいろな理由がございますが、いろいろな状況を調査をいたしておりますと、やはり大勢はテレビをつけたためにラジオはもう聞かないんだといったようなケースがきわめて大部分を占めておるようでございます。
  83. 森本靖

    森本委員 そこで、今おっしゃられましたように、テレビをつけたから廃止をした、それから故障になって聞いておらぬ、そのうちで最大の理由はテレビをつけたということである、こういう御答弁でございましたが、そのパーセンテージはちょっとわからぬですか。
  84. 春日由三

    春日参考人 これは昭和三十四年の七月から九月までの抜き取り調査のパーセンテージでございますから、一つの例でしかございませんが、テレビ設置によるラジオ廃止というのが五八%、そのほかを参考に申し上げますと、ラジオ機械が故障したから、その機会にやめるというのが二%、それからラジオ機械をよそへ譲ってしまったからというのが約五%、それが大部分のようでございます。
  85. 森本靖

    森本委員 これは抜き取りの調査ということでありますから、正確にはこれによって判断をするということはちょっとむずかしいと思いますが、これは一度年度内の分を集めて、そしてこの統計をとるということは、今の廃止届から見た場合は、私はおよそできると思いますが、どうですか。
  86. 春日由三

    春日参考人 ただいまその正確なデータをつかむための作業をやっている最中でございます。
  87. 森本靖

    森本委員 おそらくこの抜き取りの調査と大差のない資料に出ると私は思いますけれども、なおかつ正確を期する意味において、年度内のまとまった資料というものを一つこしらえていただきたいということを考えるわけであります。  そこで、二百八十万ラジオ減少するということになって、それからその中の最大の理由がテレビをつけたということだ、今こういう答弁があったわけであります。そこで特に聞いておきたいと思いますが、この予算の中に、十六ページにこういうことを書いてあるわけであります。「特にラジオについては、増加傾向にある廃止契約者の防止対策を強力に実施する。」この「防止対策を強力に実施する。」というのは具体的にどういうふうにこれを強力に実施するつもりであるか、ちょっとお伺いしたいと思うわけであります。
  88. 小野吉郎

    小野参考人 昭和三十四度におきましても、こういった減少傾向に対しまして、これを防止するための努力をいろいろいたしております。まず第一には受信料を何で納めなければならぬか、こういった料金を納める根源につきまして、周知が十分でありませんので、たとえばトランジスターラジオは払わなくてもいいんだというような気持がかなり蔓延いたしておるようであります。そういうような関係で、ラジオテレビジョンその他の手段を通じまして、放送法規定の建前、そういったNHK放送を聞き得る設備を持てば契約をしてもらわなければならないということを周知いたしております。さらには在来契約廃止したいという場合には、事務簡素化の見地に立ちましてその手続をきわめて簡便にいたしておるわけでありまして、電話一本でも廃止したいということであれば廃止の手続をするような措置をいたしておったのでありますが、そういうことでは今のような減少状況、しかもそれが実態を調べてみますと、全然聞かれないのではなく、聞く度合が非常に少なくなるということはあるいはあるかもわかりませんが、聞いておってもテレビをつければ、そのテレビの三百円を払えばラジオの方は聞いておらない、こういう場合は払わないでいいのだというような安易な考えもあるようでありますので、そういった廃止の手続につきましてある種の様式行為を定めまして、手続をいささか一定の様式による行為に改める。さらに具体的にはそういった廃止の申し出がありますと、これがどういうような理由によりますとにかかわらず、人手を使いまして個々に訪問をいたしまして、いろいろ懇談をして説得をいたしております。そういう関係で、やめたい、こういう申し出のものにつきまして、現実にこれを食いとめましたものが大体において二〇%、二割くらいはいろいろ懇談をいたしてみますと、それでは続けようというようなことになっております。機器の故障等の関係につきましては修理班を同時に差し向けまして、機器の方は簡単に直るのです、ということでその修理のお手伝いをいたしまして、契約の継続を見ましたものが約三〇%近いというような数字が上がっております。それはもちろん、百万をこえるような大量なものが一年度内にどんどん減っていくというような情勢でありますので、十分な措置ではないと思いますが、そういった諸般の措置を講じますために、廃止を防止いたしますいろいろな施策の財源といたしまして、三十四年度におきましては八千万円の経費を投じまして廃止の傾向を防止すべく努力をいたしておるわけであります。三十五年度におきましては、この予算書におきまして百六十万の減少を一応覚悟いたしておりますが、これもこれも最大この辺のところを見込んでおるわけでありまして、できれば、できるだけ廃止の数を低いところにとどめたということで、さらにそういった三十四年度廃止防止の措置に対しまして、これを強化いたしましてやっていきたい。そのために、三十四年度通りました八千万円に、さらに八千万円の経費を投じまして、それによっていろいろ適切なる施策を講じて参りたい。もちろん現在の廃止状況につきましては、いろいろこれを防止するにいたしましても一定の限界のあることでありますので、非常に苦慮いたしておるわけでありますが、できるだけその辺を、国民の放送に対する信頼を維持しながら続けていただこうというような方策を講じる予定でおるわけであります。
  89. 森本靖

    森本委員 今いろいろ説明せられましたところでは、八千万円というやつをいろいろ適切にやっているという、まことに日本語の非常にいい言葉ですけれども、私は適切の具体的な内容を詳しく聞いてみたいと思ったわけでありますけれども、今、小野さんが説明せられたように、たとえばいろいろあろうと思いますが、何といたしましても、これを強力に食いとめるということはあなたが最初に申されたように、その集金人が強力にその家庭に働きかけて、そうしてこれはやめるべきではない、それから、これは法律上もこうなっておるから一つ入ってもらわなければいかぬ——これはあなたも郵政省におって御承知の通り、保険の募集と貯金の募集とこのやり方は一つも変わらぬ。その集金人の第一線の人が大いにこの契約というものを維持していくという熱意があるかどうかに私はこの減少というのは一番かかっておると思う。そこで問題になりまするのは、おそらく協会の直接の集金人が集金をしておるところは、協会の方針に従って根堀り葉堀のこれは契約の維持に努めると思うのですが、たまたま三〇%以上もありまするところの郵政の委託集金の場合、はたしてそれだけの熱意を持って、しかも簡易保険なりあるいは郵便貯金と同じで、回っておる人が、保険の維持もやらなければならぬ、貯金の募集もやらなければならぬ、それへ持ってきて、ラジオもこのごろはやめると言い出す、これも大ごとであるというので、一生懸命やらなければならないということでやって、はたしてこの契約の解除の防止ができるかどうかということについて、私は非常な疑問を持っておるわけでありますが、その委託集金の場合、やはりそういうふうに郵政省と話し合いをして、郵政省の方は積極的にこれをやるというかまえをとっておりますか。
  90. 小野吉郎

    小野参考人 郵政省に委託の分野におきましても、同様な趣旨によりましてお願いをいたしております。そこにはいろんな御事情もあろうかとも思いますが、今日までのところ、非常な御協力を得まして、実際に上げました成績等から申しますと、直集のそれが非常に高うございますけれども、成果はきわめて期待いたします線に沿って上がりつつあるような状況でございます。
  91. 森本靖

    森本委員 これは非常にインチキになってもいけませんけれども、非常に督励するということになれば、何か特別にこれに対する報奨というようなものを特に委託集金の場合は考えなければ、なかなかこみ込んでこれをやるという——私どもの方言でいいますとこみ込んでやると言いますが、一生懸命やるということにはならぬのじゃないか。たとえば、これは契約が解除になって、それからもう一回この契約が復活をした場合には、この契約のいわゆる委託の場合の手当というものは、実際に加入した場合と同じようなことになるわけですか。
  92. 小野吉郎

    小野参考人 郵政委託関係につきましては、いろいろ仕事の種別ごとに基本金をきめまして、それによって経費をお払いしておるわけであります。現在の廃防の関係につきましては、いろいろ新規の獲得も大いに努めなければなりませんが、現在の契約減少を防止する、こういう両面のそれがございますが、新規の申し込みの取次につきましては、それぞれラジオテレビに分けまして、三十四年度におきましては、その勧奨の一件当たり百二円の手数料を出しておったわけでありますが、三十五年度におきましてはこれを百十二円に上げよう、テレビにつきましても、百七円を百十七円に上げようというような措置を講じておりますし、さらに廃防の関係につきましても、現在の契約廃止申し出をいろいろ努力していただいて防ぎ得たというような件につきましては、何がしかやはり考えなきゃならないのではないかというように考えております。
  93. 森本靖

    森本委員 その最後の何がしかをどのように考えておるかということを具体的に聞いておるわけなのです。そこで私が聞いておるのは、これはインチキになってもいかぬわけです。現実の問題として、今月廃止になって、その次四月、五月とやめて、そうして六月から回復をした。それに回復手当というようなものを出すというようなことになっても、現実にこの辺を査定をするということはなかなかむずかしいわけでありますが、そういう点について、たとえば委託集金の場合には、簡易保険の募集をやっておる者と、それから貯金の募集をやっておる者がこれをやっておるわけでありますが、たとえば簡易保険の場合は、あなた方御承知の通り、復活した場合には復活手当が別に出る仕組みになっておるわけであります。そういう点を考えた場合には契約廃止の防止対策としての具体的なやり方を考えていった方が、非常に廃止契約に大きな効果を現わすんじゃないかと考えるわけでありますが、これは研究課題として、あなた方に宿題として残しておきたいと思います。特に小野専務は、そういう具体的な事例もよく知っておる方でありますから、具体的に今後集金人に対し、また委託集金人に対する廃止契約の防止対策をもっと積極的に奨励するように、しかも頭からしりをたたいてやるという方向でなしに、喜んでこれをやるという方向に持っていく十分な対策を一つお考え願いたいと思うわけであります。  それからもう一つ、これは小野専務の方ではないと思いますけれども、たとえば廃止契約の防止対策に対して、この間のラジオ関東の歌謡曲ショーみたいなことになってはまずいわけですが、たとえば地方の県庁の所在地あるいはその衛星都市あたりで、具体的にNHKの公開録音あるいはまたそれに類するようなものをやって、それに対して特に契約者の優遇策を講ずるとかいうようなことを今までやったことはございませんか。
  94. 春日由三

    春日参考人 地方の場合、今おっしゃいましたように、たとえば歌謡曲の大会とか、いろいろな番組を現地へ持ち出してやります場合に、先生御指摘のように、たとえば受信料の最近の収納票を持ってきた人に優先的に入場券をやる、あるいはその入場券を集金人が集金する際に持って歩いて渡してくるというような措置をやっておることはございます。
  95. 森本靖

    森本委員 そういうのを中央からずっと大々的にやるということになりますと、かなり金がかかるわけでありますが、各地方のローカル放送もやっておりまする衛星都市の放送局でありますると、その専属の放送楽団なんかも相当持っておるところもあるわけであります。その中に一人か二人中央から入れて、そしてそれも一日、二日ということでなしに、場合によっては日を切ってもいいのですけれども、これを今月と来月というふうに恒久的あるいは半永久的にやって、その場合に何らかNHK契約しておる者は、たとえば入場券をもらっていくとかなんとか、そういうふうなことも私は具体的に考えていっていいじゃないか、すでにあなた方を監督するところの郵政省においては、これは昔からでありますが、簡易生命保険の加入者については、あるいはまた積立貯金の加入者については、へたな浪花節ですけれども、浪花節を雇って全国津々浦々を巡業しておるわけであります。全くいなかの方に行っても、そういうときに簡易保険に入っておったから浪花節が聞けた、あるいは映画が見れたということを郵政省自体が事業の推進のためにやっておるわけであります。だからそういう点についてももう少しNHKが、そういうことだけをやれというわけじゃないけれども、ラジオ契約者というものがだんだん減ってくるに従って、そういうあらゆることを考えて、あなたのところは利口な人が多いわけでありますから、そういうことを十分に考えて推進をしていくことを特にこういう際に要望をしておきたいと思います。これも一つ将来の研究課題として、たまたまやったことがありますということでなしに、郵政省がそれをやっておる大きな例がありますし、そういう例も考えて今後の対策を立てていただきたいと考えるわけであります。  そこでだんだん話が横道にそれていきましたが、もともとラジオが五八%がテレビをつけたということによって廃止になる。大体テレビをつけたようなところはへたな浪花節なんかを持っていっても聞きませんから、先ほどの点については郵政省とはだいぶ違った感覚でやらなければならぬと思いますが、それはそれといたしましても、とにかくテレビをつけたということによるラジオ廃止が非常に多い。三十五年度におきましても、テレビが三百五十万も増加する。こういうことになりますと、今のままで無対策でいきました場合には、ラジオの減というものはここに現われておりますところの百六十万以上に上ってくるのではないか。小野専務が言いましたような対策あるいは今私が申しましたようないろいろな方策をとってやれば必ずできると思いますが、それでもテレビをとったからもうラジオを聞かないという人がだんだんふえてくるということは避けがたい事実だろうと思うわけであります。また事実テレビをとってそれからラジオをとるところは、場合によったらテレビラジオ、それからラジオはトランジスター・ラジオあたりを自分の部屋に置いて、中には兄弟一つずつ持っておるというようなところもこのごろは出てきつつあるわけであります。そういう場合はせいぜいラジオというものはニュースを聞くか、あるいは若い者であれば深夜放送を聞くという程度が今のラジオを聞いておる現状じゃないかというように考えるわけであります。そういうふうになっていきますと、ラジオテレビの料金の問題についても、最初に私が申し上げましたように、この第二条において、本年はラジオは八十五円、テレビジョンは三百円ということになっておりますけれども、将来テレビをつけたからラジオをやめるという人がまだまだ出てくると思いますが、そうなった場合、たとえばテレビジョンの三百円の十二倍、それからラジオの八十五円の十二倍、その合計をいたしましたところの金額から若干——二百円でも三百円でも、あるいはその金額は妥当な金額でなければならぬと思いますが、それを引いたもの、これかラジオテレビを両方つけておるところの料金だ、そこで料金の立て方については、ラジオだけをとっておるものは八十五円、テレビジョンだけをとっておるものは三百円、それからラジオテレビをとっておるものは両方合わせてこれよりも若干安い、こういうふうな新しい観点の料金というものも考えていっていいじゃないか、こう考えるわけでありますが、まずこれはむずかしい問題ではございません。政治感覚ですぐ判断ができるわけであります。そこで政治家として大臣がこれをどうこうということじゃないのでありますけれども、そういうふうなやり方については大臣としては大体どのようにお考えになっておるか。まず大臣から回答しないと、おそらく協会の方は安心して答えることができぬから、考慮いたしますぐらいの回答をすると思いますので、まず大臣——これは簡単な問題でありますから、むずかしい理屈じゃございません、政治的な感覚と庶民の感覚をもってするならば、そういう料金の三本立の方が今後はいいじゃないかという気が私はするわけでありますが、一つ大臣の庶民的な感覚でお答え願いたいと思うわけであります。
  96. 植竹春彦

    植竹国務大臣 この問題はいろいろな方法を考えておりますが、どうも今の森本委員のお考えが一番いいようにただいまのところ思っておりますが、なおさらに検討いたします。
  97. 森本靖

    森本委員 これは具体的に今どうこうという問題ではないわけでありまして将来の問題でありますから、大臣の御答弁でけっこうでありますが、ラジオ減少についての防止策については、専務が先ほど言われたような防止策、それからまたいろいろNHK自体としてもやれる防止策が営業的にもあろうと思う。そういう面、それから今申し上げました料金面の検討ということについても、私はぜひ一つ検討していただきたいと思うわけでありますが、この点については一つ会長からも御回答願っておきたいと思うわけであります。
  98. 野村秀雄

    ○野村参考人 受信料の問題はNHKとして非常に重大なる問題でありまして、つとに研究はいたしております。この三十五年度予算が御承認を得られた暁におきましても、受信料の問題をいかにするかということを真剣に取り組んでいきたいと考えております。
  99. 佐藤洋之助

    佐藤委員長 午後は一時より再開することとし、この際暫時休憩をいたします。     午前十一時四十九分休憩      ————◇—————     午後一時十四分開議
  100. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 再開いたします。  休憩前に引き続き質疑を続行いたします。片島港君。
  101. 片島港

    ○片島委員 予算総則の第七条についてでありますが、今度これは新たに変わったのでございますか、それとも前と同じでございましょうか。
  102. 春日由三

    春日参考人 予算総則の第七条につきまして三十四年度予算総則と変わりました点は、その二行目の「経費の支出、借入金の返還、」そのあとに、三十四年度は、三十三年度の赤字予算のために、減価償却を七〇%程度にしておりましたために、その取り戻しをしなければならぬ関係がございましたものですから、その借入金の返還のあとに「減価償却費の補てん、または設備の改善」、こうなっておりましたのを、三十四年度におかげさまで受信料改定をしていただきまして、この減価償却の未済の分を全部取り戻しました。従いまして、その「減価償却費の補てん」という一項を入れる必要がなくなりましたので、それだけ落としました。その点が三十四年と三十五年の、七条につきましては違いでございます。
  103. 片島港

    ○片島委員 この第一項と第二項の関係でありますが、事業量のり増加等によってふえた分、それから第二項によって収入のふえた分、それははっきりと区別ができるのでありますか。
  104. 春日由三

    春日参考人 一応この一項の方は、放送局がふえた、それによって受信者がふえたという場合の前を向いた、つまり事業量の増加、そういうことによって受信者予想以上にふえた場合の収入の割当方法を書いたものであります。二項におきましては、「前項に定めるもののほか、」でございますから、前項の分を含めまして、そのほかに職員の能率向上による企業経営の改善によって収入予算額に比して増加した、つまり積極面と消極面との書き分けでございます。しかしながら、二項では「前項に定めるもののほか、」とうたってございますから、これは総体的に七条として若干の融通ができる道はある、こういうふうに読めるのだろうと心得ております。
  105. 片島港

    ○片島委員 たとえば受信者がふえたとか、局がふえたといったものによってふえる分は、数字で明らかにすぐ出てくるわけですが、二項の場合は伸縮——これは伸縮があった方が弾力的にいいのでありますけれども、場合によったならば、これはいわゆる協会側の都合によって都合のいいように伸縮をするということがあるわけです。そうすると、これは当局者が事業量の増加によったものだ、こういうことになると、二項の方はきわめて縮小せられるようなことにもなるわでけすが、そういう点は、実際問題として数字で明瞭に計算が出て参りますか。
  106. 小野吉郎

    小野参考人 一項、二項の関係につきましては、一項の場合の事業量の増加に基因いたしますもの、これは外形的にすぐ出るわけであります。二項の方におきます能率向上、その他の企業経営の改善によって云々とありますこの面は、そのような事実を判定しなければならないと思いますが、しかし、いずれにいたしましても、この措置の要件といたしましては、その結果収入予算に比して増加いたしたとき、あるいは経費を節減いたしまして、予算に剰余ができたときというようなことにしぼられますので、この面は予算予定金額より明確になっておりますので、こういった事実の、それはそのときの経費の実行過程における内情によりまして、明確にこれは算定できるというようなことに相なるわけであります。しかも一項と二項の関係におきましては、収入予算額に比して増加したという場合におきましては、当然にこれは何がしかの事業の量の増加がなければ、NHKの今の受信料に依存しております、これが収入の唯一の根源でございますので、これ以外には他に収入をふやし得る道はないと思います。そのような予算に比しまして収入が上がる、これは結果的に見まして、そういうような結果が得られますためには、そこにやはり予定契約者の数が予想以上に伸びておる、こういう実態があるわけでありますので、そういうような面からいいますと、この面は割に、どこに何の施設を作ったというような外形上はっきりわかりますものはもちろんのこと、そうでないものも、予算の原形と当初の予想とを比較して見ますと、そこにはっきりした結果はつかみ得るというように考えられるわけであります。
  107. 片島港

    ○片島委員 そうすると、予算を目一ぱい計上しておる場合にはこれはやらぬ、非常にかげんをしておればこれは相当出る、こういうことですか。
  108. 小野吉郎

    小野参考人 結果としては、そのようなことになろうかと思います。いずれにいたしましても、収入増加したのは当初組まれた予算に比しての増加かどうかを判定するわけでありますので、その予算自体、いわゆる契約数増加による収入見込みが一ぱい一ぱいになっておればもう予算としては弾力がないということになりましょうけれども、その辺現実に得られる結果に対しまして非常に内輪目に組んであれば、結果としては、そのような予算編成の事情からして、予算上の見積もりの収入を上れる収入が得られるという結果になろうかと思います。
  109. 片島港

    ○片島委員 この項について、協会の方が非常に正確な余得ができればでありますが、特にラジオテレビがプール勘定になりましたので、これからはいいわけであります。もしプール計算にでもならなければ、あなたの方では非常な勘違いをして、テレビ予想よりも非常にふえた、またラジオ予想よりも非常に契約廃止者が出てきた、あまりにも大きな開きがある場合には、第七条というものが不安定なことになってくるわけです。それも少々の違いならいいですけれども、大へんな見込み違いをやるということになりますれば、協会だけで勝手に第七条はやれるわけでありますけれども、そういうある程度見込み違い、何%くらいまではいいけれども、しかしそれ以上に何倍というような見込違いがあった場合には、やはり第七条をそのまま協会が経営委員会の議決を経て、国会承認も何も得ないでいいということに多少疑義が出てくるのではないかと思うのですが、それらのことは三十五年度予算には確信がございますか。
  110. 小野吉郎

    小野参考人 三十五年度予算につきましては、ラジオの面につきましても、三十四年度中における実情をさんしゃくいたしまして、そういった要素を十分に取り入れておると思いますが、ラジオにおいて百六十万の減、これは非常に大きな減でございますが、これを一応覚悟いたしております。もちろん実行過程におきましては、これを最小限度に食いとめる努力はいたさなければならないことは当然でございますが、三十四年度におきまして、テレビ増加が実績から申しまして百八十五万から百九十万くらいになる見込みでございます。それに対しまして、現在のラジオが百二十万減少していくそのおもな原因は、テレビの普及に伴いまして、テレビをつければラジオは要らないというような現象から起きてくるものが非常に大きな比重を占めておりますので、そういった比率から考えまして、三十五年度において、テレビ増加百六十五万に対しまして、ラジオ百六十万の減少、これはかなり努力は要しますが、固く見積もっておるつもりでございますし、他面、テレビの百六十五万増につきましても、三十四年度は置局が非常に急速に進んだ面もございますし、しかも相当世帯数をかかえたテレビ契約者の増加を期待し得るような地域に集中してやっておりますので百九十万近い契約者増が見られたわけでございますが、三十五年度におきましては、そのような置局の関係ももちろんまだありますが、どちらかと申しますと、三十四年度よりも世帯数も少ない方面に大体置局が行なわれるわけでありますから、そういう面も見まして百六十五万、三十四年度における予算の見積もり八十万に対しまして、百八十五万から九十万の実績が得られるというような事情から比べますと、これは達成できる目標でもありますし、同時に、これをはなはだしく上回って増加が期待できるというきわめて内輪のものでもない、大体妥当な線ではなかるまいかというような気持で組んだわけでございます。
  111. 片島港

    ○片島委員 大臣にお尋ねします。これはこの前の予算委員会分科会でもお尋ねしたのですが、特にラジオ関係であります。農村では、有線放送電話につきまして——私、今度ちょっと御里へ帰って、農村の有線放送のあるところへ行って懇談会をやった。その節、今度有線放送のスピーカーだけの場合は半額になる予定だ、こういう話も自然出たわけであります。そうしたら、ホーム・セットを持っておるところでもそういうことになったらやはり半額しか出しません、私のところはスピーカーだけしか聞きませんから、こういうことになりましょうね、と言ってそこの組合長さんたちが話しておりました。いずれにせよ、ラジオ廃止を何とか食いとめるということには非常な困難が生ずるわけでありますが、ラジオ契約がだんだん廃止されていく。しかも、実際においては廃止はしておらない。持っておる。しかし、それをどうにも食いとめようがない。これには料金問題ともあわせて根本的な対策が必要だと思うのであります。これは政策的に検討しなければいかぬ問題だと思うのですが、大臣はどうお考えですか。なお協会の方からもつけ加えて。
  112. 植竹春彦

    植竹国務大臣 全く御意見の通りこれは大切な問題であり、しかも何とかしなくちゃいけない、その何とかするも早く結論を出さなければいけないと考えます。午前中にも御質問かございましたときにお答え申し上げたわけでございますが、いろいろな方法もあり、それぞれ一長一短がございますので、この点は十分に、しかも迅速に結論を出したいと存じますが、今日のところはまだ検討の段階でございます。
  113. 野村秀雄

    ○野村参考人 午前中森本委員から受信料の問題について、御質問がありましてお答え申しておきましたがこの受信料の問題は、NHKとしては非常に重大なる問題であります。早くからいろいろ研究を重ねておりますが、三十五年度のこの予算が御承認を得たらば直ちに受信料の問題に取り組んで真剣に検討いたしたいと思いますが、ただ手続の問題とか、考えようによってはNHKの性格に関する大きな問題でありますから、慎重に検討し、そうして各方面のいろいろの空気、意向等を考察いたしまして結論を出すようにいたしたいと思います。その意味において、NHKとしては、今後この問題が一番大きな問題であるということをわれわれ頭に置いて検討を加えていきたい、かように考えております。
  114. 片島港

    ○片島委員 受信料金の問題は非常に連鎖反応が大きいわけでありますから、これは政策的な問題として、郵政当局の方でも相当根本的に、しかも早急に、少なくとも三十六年度予算編成するまでには解決をしなければならぬ問題だと私は思いますが、大臣はどう考えますか。
  115. 植竹春彦

    植竹国務大臣 全く御意見の通りでございます。次の年度までには解決しなければならないと思います。できるだけ編成前に解決して、次の年度予算を組みますときには組み入れるべきだろう、さように考えます。
  116. 片島港

    ○片島委員 それから、実際ホーム・セットがあることはわかっているけれども、契約の解除があったということが、テレビをつけた場合にそうなる、それから有線放送を半額にした場合にそうなるという可能性が非常に強いわけですが、そういう場合に、ただ一つラジオがあって、そうして頑強に自分はもうこれから聞かないんだとか、ラジオを売るんだとかいうようなのは別としまして、そういう何かかわりがあるために契約の解除をする、こういうような場合に対する対策というのをお考えになっておりますか。
  117. 小野吉郎

    小野参考人 現在の受信料を徴収いたしますいわゆるもとになっております契約が、NHKラジオを聞くことのできる受信機を取りつければ契約をしなければならない、こうなっておりまして、制度としてはいろんな考え方があろうかと思いますが、放送事業のごとく、特に公共放送を使命にいたしておりますNHKの性格から申しまして、全国津々浦々まで放送による利便を国民に享受してもらわなければならないという立場から考えますと、国民の信頼の上に立たなければならぬのでありまして、そういう面から申しますと、非常に適切な理想的な形態ではないかと思うのであります。ただ、それが現在のテレビの普及につれて、ラジオ廃止するという傾向が出ておることは事実でありますが、そのような面から、非常に理想的な一つのやり方ではありますけれども、そこにはやはり一面弱い点もありまして、現実には引いておっても聞いておらないと開き直られますと、立ち入りの調査権もありません。そのような非常な強い措置を裏づけされた方法をやれば、そこには徴収上便利な点もありますが、他面におきましては、きわめて国民の全面的な信頼の上に立たなければならなぬ事業といたしまして、一考を要する面も出て参ろうかと思うのであります。現実のそれから申しますと、現在でもラジオテレビ両方を通じまして、大体九六%見当の収納率を上げておるわけであります。それを非常に強権的なものにいたしましても、たとえば税金等にいたしましても、なかなかそれほどの収納率を上げることは困難であります。その点から申しますと、今の契約主義は必ずしも悪いとは申せないわけであります。ただ、どこまでもその面について強制的にどうこうということはできませんので、そこはやはり聴取者の方々の御理解と信頼に訴えまして、聞いておられれば何とかやめてもらわないようにしていただくような努力をしていくというのが、現在の協会として考えております線であります。
  118. 片島港

    ○片島委員 ラジオテレビ料金の経理のプール化はできたわけですが、こういうような状態になって、テレビ契約すればラジオの方は解約するというような状況が非常にはっきりして参りますれば、もうすでに一部にはラジオテレビの料金を一本化して徴収すべきではないか、こういうような考え方まで流布せられておるような状態でありますが、あなたの大体の将来の考え方として、ラジオの料金とテレビの料金というものに対する徴収の方法について、御検討なすったことがあるかどうか、お伺いいたします。
  119. 小野吉郎

    小野参考人 この問題は、現在の協会といたしましてきわめて切実な問題でございまして、いろいろ諸外国の例その他を参酌いたしまして検討をいたしておりますことは事実でございます。ただ、それをどのような形でいつやれるかというような面になりますと、これはいろいろその辺の便、不便、その他財政上に及ぼす影響等もありますので、いろいろそのような意見を外部からも聞いておりますし、内部でもそのような点は検討はいたしておりますが、三十五年度予算におきましては、そのような方法はとらなかったわけであります。しかしながら、今のテレビの普及に関連するラジオ減少の傾向が顕著に出て参りました今日の段階といたしましては、この予算の執行につれまして直ちにいろいろ検討をいたし、最も無理なく合理的なしかも徴収を確保し得るような方途を、今の料金のいわゆる改訂の問題だけでなしに、いろいろな面から検討をする必要があると思います。そのようなつもりではおりますが、今日の段階におきましては、料金をどのような形で一本化して、それをいつやれるかというような結論にはまだ達しておりません。今後考究をいたして参りたいと思います。
  120. 片島港

    ○片島委員 有線放送施設、特に親ラジオからつながれたスピーカーだけによる受信者に対しては減免の措置をとるべきである。これは与党、野党を問わず、スピーカーのみによって聴取しておる者に対しては当然減免の措置をとるべきであるということで、協会側といたしましても、スピーカーのみの場合には、さしむき免はしなくても減でいこうというような御意向のようであります。これを減ないしは免にまでいたしましたときに、いろいろな連鎖反応が起こると思うのでありますが、そういう点はどういうところに連鎖反応が起こっていき、また起こってもかまわないものであるか。それはどういう程度で食いとめられるものであるか。現在のラジオのみの場合ですらいろいろと問題があるのに、さらにここに一つのこういう制度ができることによって、今まででさえ厳格なる一線というものが引けなかったものを、一角からくずれることになるわけです。くずさなければならないとわれわれが強く要望いたしておりますが、それが連鎖反応によって非常に思わぬところまで飛び火をするというようなことになるのではないかとおそれるのでありますがどういうところに出てきましょうか。たとえば旅館なんかとか、またもっとあるかと思いますが、どういう点に……。
  121. 小野吉郎

    小野参考人 有線放送のスピーカーのみによってラジオを聞いていただいております向きに対しましては、在来からいろいろな御要望なり問題のありました点は、私どもよく承知をいたしております。そういうような面を考えながら、二十五年度予算におきましては、一応まだただいまお尋ねのようなそれをやることによりまして起きる連鎖反応、これを非常に警戒をいたしまして、直ちに予算上当初から減額と踏み切り得なかったのは、この予算書の示す通りでありまして、そういった面から一応財源的にもいろんな情勢に応じるように、さらにまたその方面に対する施策といたしましては、いろいろ技術的な面でお手伝いをしようということで、一億五千万円ばかりの金を持っておったわけでございます。その後いろいろこれに対して減あるいは免、そのような要望が非常に強くございます。ごもっともだと思うのでありまして、そういう面でこれは減額すべきだというような御意向が非常に強いと思いますので、そのような御指示があればこの予算の実行の過程におきまして、そういった措置をとれるような弾力は予算上持っておるわけでございます。当初減額に踏み切り得なかった事情、これがただいまどのような連鎖反応であるかというお尋ねにお答えするわけでありますが、まず第一には一般のラジオ関係につきましても、これは完全な自由選択のきくラジオにつきましても、テレビをつけたからあるいは機械が故障だからというようなことでかなりの減少を見つつある状況であります。今の有線放送の中におけるスピーカーのみの受信者に対しまして、減免がある点から申しましてもうなずけない点がないわけでもないのでありますが、そういうことにいたしますと、現在の有線放送につながっておりますスピーカー受信者だけでなく、同じ線につながっておってスピーカーのほかに単独の受信機を持っておられる方が、いわゆる有線放送全体の聴取者の中の七割を占めておるわけであります。その方面にもスピーカーだけであれば八十五円でなくあるいは半額でやる、あるいは全然払わなくともいいのだということになりますと、やはりラジオは単独の受信機を持っておられても、それはもうないのだ、スピーカーだけでしか聞いておらない、こういう連鎖反応は起きようかと思います。まことに失礼な申し分で疑い深いように思われますが、そのような連鎖反応は実際の問題として起こるであろう、こう予想をいたし、その面はある程度覚悟しなければならないと考えております。と同時に、有線放送のスピーカーのみということになって参りますと、同様な性能を持っておりますスピーカーで聞いておりますものは、旅館でありますとか、あるいは列車とか、その他病院等にあるわけでありまして、これは今日全額をいただく建前になっておりますので、現在推定いたしますところ七万余の契約者を持っておるわけでありますが、そこからはまるまる八十五円の料金をいただいておるわけでございます。有線放送のスピーカーをその受信機の性能の問題として片づけますと同様な性能であるので、これに対して同じような減免の扱いをするということは主張としては言い得ると思います。しかし現実の問題としては、三十五年度に実行上有線放送のスピーカーの面につきまして減額措置をとりましても、これが直ちにその方面に広い連鎖反応を起こすとも考えられません。ただ単にそういう受信機の性能だけでなしに、有線放送という一つの地域的な特殊な状態にあるその対象に対しましてとります措置でありますので、直ちに連鎖反応があろうとも思いませんが、有線放送の同じ線につながっておる受信者につきましては、単独受信機を持っておりましても、これはないと言えばスピーカーで半額の措置でいいのだということになりますと、そのような反応は出てくるのではあるまいか、かように考えております。
  122. 片島港

    ○片島委員 そうなった場合に、スピーカーだけのものは半額なら半額、あるいはスピーカーとホーム・セットを持っておるものは、ホーム・セットの分についてだけこういう区分けをしてとります場合には、今のようなめんどうがいろいろ出てきますが、うちはスピーカーだけしか聞きません、こういうような場合、あなたたちが料金を徴収される場合に、どういう理論的な根拠に立ってその区分けをされるのでありますか。
  123. 小野吉郎

    小野参考人 現在有線放送の線につながっております受信者現実契約をいただいております。これが約百万近くございます。九十六万ばかりあるわけでございますが、現在のところまるまる八十五円取っておりますので、そのうちで具体的にどこのうちには単独受信機があり、どこのうちはスピーカーだけだ、こういうことは的確にはつかまえておりません。これはある想定によりまして一応そのようなことをいたしておるわけでありますが、大体におきましてはこれは現実とそう隔たりはないと思います。今後スピーカーがあるいは半額、こういうことになりますと、この面につきましては単独受信機を持っておられるかどうかを、やはり受信者の率直な良心に訴えまして明確にしてもらわなければならないのであります。そういうことによって単独受信機を持っておられれば、これは有線放送とは関係なくその面で八五円の料金をいただけるわけであります。スピーカーだけでしか聞いておらない、こういう向きに対しまして半額徴収することになるわけでありますが、実際問題といたしましては、有線放送の対象者は明確にわかっておりますが、その中で半額にすべきスピーカーのみの分と、金額徴収できる単独の受信機を持っておられる方、これは一々個々に当たりまして、その面の契約状況を明確にしていかなければならないと思います。
  124. 片島港

    ○片島委員 有線放送の場合に聴取し得る自分の自由な選択ができないということが一番大きな原因でありますが、しかし自由な選択ができる、できぬというようなことでいきますと、うちは朝のニュースと夜のこれだけしか聞かないから、一日聞いておるものから見て何%しか聞かない、こういうようなことになりますので、そういうことではやはり有線放送の減免という根本的な問題には入らぬのじゃないか。ラジオ・セットを持っておる人が入るのは別といたしまして、ラジオ・セットは買えないけれども、スピーカーだけならば何とか安くで聞ける、自分が受信機を買わなくても聞ける、こういうようなことになると、何といいますか、その家庭の経済状態、いわゆる今生活保護者などに特免しておられるような社会保障的な意味というものが出てくると思うのでありますが、一億何千万かを使用せられる場合、いわゆる選択の自由ということに重点を置かれるのか、あるいはまたそうでなくて社会保障的な意味を重要に考えられるのか、その辺のお考えを聞いておきたいと思います。
  125. 小野吉郎

    小野参考人 減免の基準を明確にいたします意味から申しますと、今の有線放送のスピーカーに対しましてはどのような理由づけをしていいか、なかなかめんどうな問題があろうかと思います。受信機の性能について申しますと、他に類似のものがあるのであります。それでは貧困であるということで参りますと、現在すでに貧困のそれを判定し得るような具体的な尺度を持ったものにつきまして減免の措置をとっておるわけであります。それに照らしてやればいいじゃないかということも出て参ろうかと思いますが、必ずしもそういった単独の理由で片づけ得ないのではないかというふうに考えるわけであります。性能上のそれもそうでありますが、一面には、同じ施設の中につながりながら単独の受信機を持っておる人たち、これは便利に違いないのでありますが、現在のところ料金が同じでありますから持てるはずでありますが、それを持っていないというところに、やはり経済上弱点があるのではないかということがありますし、また一面といたしまして、有線放送の形態はいろいろございますけれども、その大部分は、あるいは新市町村の建設促進の関係によって国で補助してやるというような面もありますし、あるいは農山漁村の助成促進のためにそういう施設が普及しつつあるというような面もあります。そういう面から見ますと、政策的な面における一つの新しい農村、新しい市町村の発展に寄与するというような積極的な意味もあろうかと思うのであります。ただ現在までのところ、郵政大臣の認可を受けました基準によりまして減免措置をとっておるわけでありますが、そこには何ら具体的に減免の理由を書いてありません。ただこれはどういうものが減免されておるかというところを個々に具体的な例を通覧してみますと、そこにあるいは社会政策的な、あるいはその他の理由がうかがえるわけでありますが、そういった面で参りますと、この問題をかりに減免の対象とするということになりますと、それは一応理由を、性能の問題とかあるいは貧困の問題とかいうようなことを表に出さないで、ある一つのこういう対象のものは半減だ、少なくともそのようにすること以外に方法はないのではないかというように私は考えておるわけであります。
  126. 片島港

    ○片島委員 旅館とか病院とかいったような場合における、親ラジオから幾つかに分かれておるものに対する現在の徴収方法はどういうふうになっているのですか。たとえば旅館で親ラジオから、二十、三十とある各部屋ヘスピーカーで行っているといったような場合はどうなんですか。
  127. 小野吉郎

    小野参考人 現在におきましては一応全部取れる建前であります。また取っておるつもりでありますが、それが一々個々の部屋を実査するというようなことはとうてい不可能でありまして、その旅館の経営者、あるいは列車であります場合には輸送事業の経営主体と話し合いまして、その何ぼだというそれを信用いたしまして契約を結んでおるというのが実情でございます。
  128. 片島港

    ○片島委員 旅館に泊まって私は聞いたのでありますが、私の泊まりました旅館で十六部屋がありました。それで十六分取るわけです。ところが同じ町内で十ばかり部屋があるところは、五つくらい納めている。そうすると、私の泊まっておるところでは全部取られるのじゃかなわぬというので、三つぐらいスピーカーを減らした。どうしてこういうふうに旅館によって徴収が違うのか。それはあなたの方でそういうふうに信用するというけれども、旅館の場合は泊まってみればすぐわかるわけです。これは立ち入り禁止のところではありませんから、ちょっと休憩させてくれといってでもすぐわかる。それが現実——しかもNHKに非常に好意を持っておるところの旅館でありますか、それは全部取られている。それで今度減らしたというようなことですが、何か半分にするなら半分にするとか、少なくとも同じ町内にあります場合には——集金をするのはその委託局がするわけでありましょうが、はっきりしたことがわからないものですから、ついそういうことになってしまう。しかもラジオのいろいろそういうことを調査をするのは、NHKの職員が県庁所在地なり、またその近所の大きなNHKの職員のおるところから調査に来て、委託局には全然立ち寄りも何もしないそうです。委託局に立ち寄らないで、ずっとその町なり村を見て歩いて帰るのです。そうすると委託局の集金を委託された郵便局員というのは、何らそういう契約の権限も何もないわけですから、何かはっきりしておかぬと、郵便局員が、あそこは負けてやれとかこちらは負けないとか、非常に不公平なことが起こる。何か基準があって、半分なら半分ということで同じ町内で話し合おうじゃないか——何かしていただかないと、徴収をする上に非常に困っておるのですが、いかがですか。
  129. 小野吉郎

    小野参考人 現実にやっておりますことに非常な不公平なことがあるという御指摘を受けまして、大へん遺憾に存じます。あるいはそのようなこともあろうかと思います。これはなかなかむずかしいのでありまして、現在契約主義の建前になっております関係上、その面は手の届かぬところがあるわけであります。御指摘のように、旅館等については、お客さんになってみればわかるじゃないか——その通りであります。そういった面について、まだ現在の状況自体が、旅館同士の間で不公平の関係があるというようなことは、まことにまずいと思います。この点につきましても、そういった不公平がないように、そういう不公平から起きる料金問題じゃなくてそういう面からくる感じの悪さ、こういうものは早急に是正をして参らなければならないと思います。よく考究をいたしまして、そういうことのないような実際的ないい方法を検討いたしてみたいと思います。ただいま一部御示唆いただきましたように、あるいは同じ町内でそういうものについては半分なら半分取る、こういうふうなことにすればということも一つの方法であろうかとも思いますが、いずれにいたしましても、そういった施設を持っておられる方のおっしゃることに信頼をして、問題を処理しなければならないというような根本的な立場もありますので、具体的にはいろいろめんどうな面もあろうかと存じますが、そういう情勢に対しましてできるだけ妥当な線を考えて参りたいと思います。
  130. 片島港

    ○片島委員 NHKの直接集金をされるところにおきましては、各旅館でそれぞれ話し合いをして、大体全部の部屋にみんな泊まっておるということもないのだから、何割にするか、半分にするか、七割にするかというようなことでいろいろ話し合いをしてきめておられます。ところが委託局の場合には、委託集金人がそういう話し合いをして契約する権限かあるのですか。あるとすれば、それを指示していただけば、その委託局から、町内については全部統一した集金方法というものが考えられるのでありますが、そういう権限がございますか。
  131. 小野吉郎

    小野参考人 これはNHKにおけるそういった方針の打ち出し方だと思うのです。直集であるからどうとか、委託の分野であるがゆえにそこは権限がないとかいうことではないのでありまして、料金を最も合理的に、最も妥当に納める方法としてこれがいいということであれば、それが直集だからどう、委託局であるからそれと違うんだというようなことは、まことにまずいと思います。その点につきましては、その地域のきわめて特異な状況がない限り、やはり料金の査定なり料金の徴収も、全国的に同じようなやり方でやっていくことが理想であり、当然なことであると思いますので、そういった面につきましては、よく郵政省の御関係の向きとも御相談をいたしまして、妥当な料金徴収の方法を講じて参りたいと考えております。
  132. 片島港

    ○片島委員 現実に困りますものは、あなたの方で表面上何割にしていいということは今言っておられない。それは全部について全部取るという建前になっておるわけです。しかし、実際やっておられる場合に、直轄集金の場合は上部は知らない。知らないけれども、実際円満にいくように内々そういうふうな便宜の措置をとっておる。それはNHKの直轄集金だから実際できるわけです。第三者が中にはさまれておらない。委託集金の場合には、その直轄集金をされるところと同じような便宜の措置が現在とれない。しかし実際にはあるところは幾らか負けてやる、あるところは全部、こういうことになる。ところが、直轄の大きな町におきましては、もう了解を得てやっておることでありますから、景気も非常にいい、旅館の入りも非常に多い、お客さんも多い、また旅館の宿泊料も非常に高い、りっぱな高級なところである。そうではなくて、二級、三級以下のところは相談をしてやっておられる。それにはトラブルが起こらぬのでありますが、委託集金人にはそういう便宜の方法がなかなかとれない。とろうと思えばとれるのでありますが、NHKから行った場合にはそれができ、委託の場合にはそれができないというのは不合理だと思う。実際にそういう便宜の措置をとった方がいいとか悪いとかいうことは別といたしまして、とにかく納得がついてから喜んで納めておるのと、一方に委託集金という方法が入ったがためにできないのがあるのでは不合理だ、みんな同じようにできなければ不公平だ、トラブルが起きないようにしなければならぬ。委託集金の場合でも、そういうことをやっても間違いかもしれぬが、何か統一的なことをやってやる権限があるのかどうか、その点についてお答え願いたい。
  133. 小野吉郎

    小野参考人 委託の分野につきましては、現実には、直集の関係と違って、そこでどうしてはいかぬ、こうしてはいかぬということはないわけでありまして、協会直集の場合におきましてもこれはついておる、それは全部いただくというのが建前であります。ただ実際の集金にあたりまして、あるいは契約数をどのようにするかという点につきましては、事柄がそういう契約関係だというような性格にもよりますが、お宅は何ぼというような相談をしてやっておるということも、現実の徴収の方法あるいは契約の方法として起きておるのではないかとも思います。そのようなことがかりに委託の関係について起きましても、これは権限があるとかないとかいう問題ではなく、一般にそれでいくわけでありますから、要は、協会といたしましては、そういう受信機につきましては、持っておられるところからはいただこうという方針には違いございません。ただ現実に、御指摘のごとく、直集と委託の関係において、あるいはその直集、委託の内部においても、地域別に異なっておるというようなことでは非常にまずいわけでありますので、その辺につきましてはそういう不均衡の生じないような方法を考究いたして参りたいと思います。
  134. 片島港

    ○片島委員 NHKが考究をやられましても、実施をするのは委託局でありますが、たとえば局長とか主事、そういう相当な幹部の方で相談をして、トラブルの起こらないようにやることがどうかという点です。
  135. 小野吉郎

    小野参考人 この関係につきましては、協会の方面でも、郵政省に委託いたしております大部分が特定郵便局区内でございますから、そこの局長さんなりあるいは郵政省の郵政局の担当の方とは、常に緊密な連絡をとるようにやっております。これは各地域によって多少の違いはありましょうが、そういった連絡をとっております。そういう方法によって委託の地域におきましても直集の地域でやっておるのと変わらない方法がとれないわけではないわけであります。そういう面で両地域を通じて、かりにそのようなきわめて不均衡な取り扱いがあるということであるといたしますならば、いろいろ善処をいたして参りたいと思います。
  136. 片島港

    ○片島委員 難聴区域の解消ということは、NHKの非常に重要な使命でありますが、難聴区域という場合に、たとえばローカル放送、その県内の放送が聞かれない、他県あるいは非常に遠い九州でありましても——私は宮崎県でありますが、宮崎県の場合に県内のローカルのみでなく、むしろ非常に飛んで、広島とかあるいは四国あたりのは聞こえるが、隣県のそれは聞こえない、しかし一応NHK放送が聞かれる、こういうところは難聴区域に入るわけでありますか。NHK放送が聞かれさえすれば、難聴区域とはいわれないのでありますか。
  137. 溝上けい

    ○溝上参考人 NHK電波拡充計画の途中におきまして、本来は初めからローカルの電波も拡充したい希望でございましたが、この数年前、国会の方でもローカルよりも全国難聴というのを優先しろというお話がありまして、一応その方を優先に考えておったのであります。当時の難聴という言葉は、いろいろ意見がありましたけれども、その当時はどこか聞こえれば難聴でないというように考えておったのであります。しかしその後全国難聴の方はほとんど解決いたしましたので、現在はかなりローカルの電波の拡充ということをやっておりまして、広い意味ではローカルが聞こえなければやはり難聴であるという考えを持っております。
  138. 片島港

    ○片島委員 私はよその県のことはわかりませんから、郷里の例を引いて非常に格好が悪いのでありますけれども、私の県で椎葉村というところがあります。非常に辺境の山奥で、山また山、谷あり山ありで、面積でもほかの県の大きな郡よりも大きいし、面積としても平らにしたら香川県よりも大きいくらいのところですが、こういうところで全然聞こえないところがあるわけであります。もちろん民間放送がこういうところに入るわけはありません。これは、そこに一つ小さい中継局をこの村のまん中に置いた場合に村内全部に聞こえるかというと、出力の小さいのを一つどこかに置いても、なかなかその村内すら全部聞こえない。しかしほうっておきましたならば、大部分の村でラジオが永久に聞かれない。しかしこれを開拓するものはNHK以外にはないわけであります。民間放送ではできません。そういう山奥のへんぴなところにある絶対難聴区域というところは、いつかはこれを救済されるつもりであるか、またどういう方法によってそういうところは救済されるのか、それはもう経費もかかることだし、永久にほうっておかなければ仕方がない、こういうお考えでありますか、お答えを願いたい。
  139. 溝上けい

    ○溝上参考人 私ども電波普及の方針といたしましては、全国的にそういうところが全部解消するところまでやらなければならないというふうに考えております。今のお話のように小さい局でございますと、経営的にも楽でございます。また同時に電波の方のチャンネルの割当についてもかなり見込みがございますが、かなり大きな、県に相当するくらいの地域をカバーいたしますためには相当な電力が要るわけであります。そうなりますと現在の標準放送のチャンネルの中にはとうてい織り込めないのではないかと思います。従いまして解決する方法といたしましては、小さい局でがまんしていただくか、もしくは現在だんだんに計画しておりますように超大電力というものを考えまして、そういうことによって、ローカルの電波ではございませんが、とにかく大電力によってカバーする、いずれかの方法をとることによって解決するしかなかろうと考えます。
  140. 片島港

    ○片島委員 外国の電波によって非常に妨害を受けておるのに対するNHKとしての対策はどうなっておりますか。ただこちらで大電力をもって対抗する、それだけでありますか。
  141. 溝上けい

    ○溝上参考人 ただいま申し上げました超大電力というのもその一つでございますが、これは対抗するということではなくて、実際に混信が起こっております地域を、その個々の局でもって解決しようといたしますと、簡単に言えば全国の局をすべて増力しなければいけません。そういうふうなローカル、ローカルの解決が非常にむずかしい問題でございますので、少なくとも夜間は幾つかの超大電力電波によって日本全体をカバーする、これならば、ローカルの電波は混信によって聞こえないけれども、とにかくどこかの電波は明瞭に聞こえるというふうな方向に進むのも一つじゃないかというふうに考えておりますが、同時に、やはり現在でも郵政省の方にお願いいたしましてローカルの局で増力できるものはできるだけその方向に進みたいというふうに考えております。
  142. 片島港

    ○片島委員 カラーテレビの問題で、大臣もその方式まで発表されておるのに、NHKの方はきわめて消極的な態度だということを聞いたのでありますが、カラーテレビの実験の段階を過ぎてこれを実施するという場合に対するNHKの見解をまずお聞きしたい。
  143. 溝上けい

    ○溝上参考人 在来NHKがカラーテレビジョンに対しまして慎重な態度をとっておりました理由は、白黒の場合もそうでございますが、日本で新しく事業を始めます場合に、ことに大衆を相手とする放送事業のような場合に、全部機械を外国から輸入いたしまして、それによって事業が成立するというのでは、日本で本式にその事業を始めたということにはならないという気がしております。同時に、特にNHKの場合は受信機が家庭に入るという前提がございませんと事業として成立しないと思っております。そういう意味から、在来におきましてはまだ日本でカラーテレビジョン機械を国産化するという段階には至っていないという見通しから慎重な態度をとっております。大体ほかの機会にも御説明申し上げましたが、放送する方の機械といたしましてはもう大体完全に、かなり容易に国産化できる段階でございます。それから受像機の方につきましても、私どもの方の技術研究所の方でもかなり研究いたしまして、メーカーとも協力いたしまして、まず大体において国産化できる段取りになった。ちょうどただいますが研究の最終段階であると同時に、実用の最初の段階であるというふうな一つの転換期にきておるという感じがいたします。そういう意味におきまして現在ならば、始めるならば始めてもそう早過ぎはしないだろう、同時にまたこれから、特に受像機につきましては研究すべきことがたくさんございますが、これは送る方のシステムがきまりましても、受像機の研究はさらに重点的に方向をしぼって進めることができますので、そう矛盾を来たさないだろうというふうに考えております。
  144. 片島港

    ○片島委員 カラーテレビについて大臣もできるだけ早く、私も、できるだけ早くやはり本免許をやって、これが聞けるものは聞かせる、見たい者には早く見せるということが非常に緊要だと思うのであります。ただこの場合におきまして、たとえばスポンサーのつかないNHKの場合には料金問題がまた起きてくるかと思います。白黒のテレビの料金、カラーのテレビの料金、それからまた大都市、全国あまねくでありますが、営業放送としてやる場合にはそれで採算のとれるところということだけでけっこうでありますし、またそういうところに見たい人もたくさん集まっておるわけであります。ところがNHKがあまねくということになれば、できるだけ全国にやはりセットを据えられるようにする。そこに採算上、財政上の非常な問題が出てくるのではないか。これは早くやらなければならないが、立場上非常に一方は消極的になり、方は積極的になる、当然の要求が出てくる。これは意見の違いではありません。ただ自分のところの財政状態などの問題からそういうことが出てくる。特にまた地方の小さい民間放送の会社では、やはり普通の白黒テレビに対するもの、それからスポンサー、またカラーテレビに対するスポンサーといいますと、スポンサーにもやはり限度があります。そうしてきますと経営上二つに分かれて、スポンサーを十分に確保して経営上十分採算が成り立っていくというところに困難性のあることが地方の小さい民間放送には出てくるわけで、立場上消極的にならざるを得ない。そうしますと、いわゆるカラーテレビを一日も早く見せてやらなければならぬという要求、特にまたそれは十分採算がとれるという考え方、そういうものも、NHKも、地方の小さい民間放送会社をも全面的、全般的に考えていかなければならない郵政大臣としては、そういう立場の違いをどういうふうに調整といいますか、うまくやっていこうとお考えになっておられますか、大臣の御意向をお聞きしたい。
  145. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これはカラーについても白黒についても共通して言われることかとは存じますけれども、一つの発明品につきまして全部の事業者が黒字になる明確な見通しのつくまで待ってからカラーを本放送許可するに踏み切るべきか、大体の見通しをつけましてからこれに踏み切るべきか、どの程度のものに大体の目安をつけまして許可時期とみなすかということにつきましてはいろいろ御議論もおありかとも存じますが、ただいま私といたしましては、新しい発明品は、それを大衆が要望し、文化、教育、生活、娯楽、政治、経済、産業等各方面の利用価値が相当高まりました段階におきましては、あるいは放送事業家の立場も考えなければいけませんが、そればかりでなく今申し上げましたような各般の観点から考えまして許可すべき時期を選定していくべきだろう、さようなところに大体の目安を置いた次第であります。
  146. 片島港

    ○片島委員 地方の小さい民間放送の場合には採算上とれないという場合には認可の申請もしないでありましょうから、許可をする必要もない。私は大都会と別に扱ってもその需要供給の関係があるわけでありますからいいと思うのでありますが、ただNHKの場合には採算がとれるとかとれぬとかいうのでなく、スポンサーはつかないわけでありますから、直ちに最も大きな関連性が出てくるのではないか、こう考えるわけであります。たとえばまず東京、次には大阪あるいは五大都市、六大都市あるいは各地方における、東北地方ならば仙台、中国地方ならば広島、こういったような順に地域的には広がっていくものと思うのでありますが、そういう場合に、やはりその次の段階のものがだんだんと要求をしてくる。それにつれて——NHKだけはあまねくといっておりながらそれにおくれるわけには参らぬと思うのであります。そうしますとそれが広がるにつれて、そのNHKといわゆる商業カラーテレビとの間に矛盾といいますか、立場上の足並みがどうしてもうまくそろわないようなことが出てくるのは当然であろうかと思うのであります。そういう点、すなわちNHKといわゆる民間カラーテレビ放送との関係が、だんだんと広がっていく場合におけるいろいろな矛盾といいますか、立場上の困難というものが起きてくる、これにいかに対処しようとしておられるのでしょうか。
  147. 植竹春彦

    植竹国務大臣 これは、民放の方で申請いたしますようなところには、これはまだ私の想像でございますけれども、おそらくNHKの方でもやはり同じ受像機に映ります関係で、カラー放送を考慮されるのではないか。それからまたNHKの方で進んでカラー放送をされるような場所には、民放の方でもまたこれを考慮せられるのであろうということは考えておりますが、それならばスポンサーのないNHKとしては料金問題をどういうふうに取り扱うということにつきましては、まだ許可段階までいっておりません今日といたしましては、具体的のカラーの料金問題につきましての検討がまだ結論までには到達いたしておりません。なお具体的なことにつきましては、また電波監理局長の方からお答えさせていただきたいと思います。
  148. 甘利省吾

    甘利政府委員 ただいまの大臣答弁に特に補足することもないかと思いますが、大体民放におきましては、現在白黒のあり方と同じような一種の自由競争でプログラムを作成しておるわけでございまして、やはり会社の経営状態を考え、それに応じて自主的な判断でカラーを普及させるということで、これは当然でございます。一方、公共放送NHKとしましては、もちろん現在のマイクロ回線が幹線に連なる今年あるいは来年中には大体カラーの放送ができるようになりますので、必要とあれば相当な遠隔の地まで放送できるわけでございます。しかしNHK放送プログラムについては常に世論を調査しまして、その要望にこたえて行なうということがございますし、また毎年の事業計画、資金計画等もございますので、それらを勘案しまして逐次他方の末端事普及する、こういうような行き方をとらざるを得ないわけでございます。従ってNHKとしましては、営業という観点から離れて、世論に従って一つの。パイオニア的な精神を持ってカラーの普及をはかり、そのあとを民放が営業ベースでカラー放送を行なっていくというような形になるのが当然予想されるところでございます。しかし現実にカラー受像機のそうたくさん普及しておらないところに相当金のかかるカラー放送をあまりに急速にやるということは経営上好ましくないのであります。この辺は毎年々々実情を調査し、これを把握した上で行なう、こういうふうになるわけでございます。
  149. 片島港

    ○片島委員 大臣はさきに当委員会で上林山委員質問に答えまして、大体のカラーテレビの実施時期を御答弁になったのであります。当委員会での答弁には責任を持っていただかなければならぬわけであります。そういたしました場合に、NHK関係になりますが、非常に期日が迫っているものと考える。そうすれば料金問題なども当然もうNHKとしては検討されておらなければ間に合わないのではないか、こう考えるのですが、料金問題についてNHKの方では検討されておりますか。
  150. 野村秀雄

    ○野村参考人 NHKといたしましては、カラー放送を実施するからと申して聴視料を増額するとか、あるいは別建てで取るとかいうことは考えておりません。NHKといたしましては、先ほど局長からも申されたように、NHKの使命にかんがみまして、カラーを健全にこれから伸ばしていくようにいたしたい、従って量よりも質においてその放送としての機能を充実し、また発揮していきたい、かように考えております。従って三十五年度においては、実験放送を今後強化する意味において、これを直ちに本放送に実施いたし得るという状態にあることを御了承願いたいと思います。
  151. 片島港

    ○片島委員 カラー放送を始めるということになれば、当然現在よりも経営の上において相当の経費が必要となってくると思う。現在の私たちが審議をしております予算は、カラーテレビを本放送にする建前の予算にはなっておらぬようであります。そういたしますと、年度の途中においてカラー放送が出てくる、その場合には相当の経費が要る。予算に計上してあろうとなかろうと、別個に新たな事業を開始することによって経費が必要になってくるという場合には、別途の財源が考えられなければならないと思うのです。そうでなければ、現在の予算、いわゆる白黒とラジオ予算、その中でやっていけるということなれば、現在の白黒やラジオというものの中には大きな隠れた財源が入っておるとわれわれは憶測をしなければならぬ。何か新しい事業のために新しい膨大な経費が要るということになれば、その財源というものは、今、会長は、金を取ろうとは思わぬとえらい気前よくおっしゃいますが、そういう財源がなくてやれるということは一体どういうことですか。
  152. 小野吉郎

    小野参考人 会長から御答弁申し上げました通り、この予算編成の当時におきましては、まだ実験の段階でありまして、本放送がいつになるかは明確でなかったわけであります。しかし、実験はその当時のそれよりも三十五年度におきましては強化しようという案になっておりまして、経費も三十四年度に比べてかなり増額いたしまして、カラーテレビのために二億一千万円の経費を計上してございます。内容としては、そのように三十四年度の実験の過程よりもやや強化した態勢を整えております。かりにこの予算施行の途中におきまして本放送がありましても、その実験の形で三十四年度よりも強化されておりますから、その形で本放送に切りかえ得る、こういうような前提に立っておりますし、この内容を充実せしめていくための経費は二億一千万円予算に計上してございますので、その範囲内におきまして、本放送の免許がありましても、本放送としてそれでやっていけるというように考えます。もちろん、御指摘の通りカラーテレビをいろいろと急速にやっていきますためには、非常に膨大な経費を要することになろうとは思いますが、ただいまのNHKといたしましては、三十五年度におきましてはそのような形で考えておりますので、予算上支障なし、従ってこのために現在のテレビ料金の変更を考えることもいたしておりませんし、またカラー受像機のみに対して特殊の料金を設定しよう、こういう気持もございません。これはひとり三十五年度だけでなく、三十六年度以降につきましてもそのようなつもりで現在はおるわけであります。ただ、先ほど民放との関係におきまして、民放がどんどんと進んでいく、これはスポンサーがつくのだ、NHKはそういう道はないだろう、しかもそれには立ちおくれはできないだろう、このように急速に計画を拡充するために膨大な金が要る場合に、財政上どうかというような御指摘がありましたが、そのような懸念がないでもございませんが、会長が御答弁申し上げました通りNHKとしては量よりも質の向上を目ざして常に財政の面も考えて、着実にカラーの放送の進歩をはかって参りたい、こういうことで、将来非常に不測な事態が起きました場合は——これは今日予測できないのであります。今日予測できる範囲におきましては、カラーのためにテレビ料金の値上げとか、あるいは特殊料金の設定ということは現在では考えておりません。
  153. 片島港

    ○片島委員 カラーテレビを実施すれば、私はそれほど多くは期待はしませんけれども、相当な程度にまで伸びると思うのです、特に大都市におきまして。伸びるということになれば、次々に、たとえば最初は東京、大阪、あるいは五大都市、六大都市、だんだんと十大都市という工合に伸びていきますれば、今の実験放送を本放送に切りかえて、料金も何も上げようとも何とも考えない、しかし本放送に切りかえました場合に、現在では量が少なくて済みますが、地域が拡大されるに従ってだんだんと広がっていく、だんだんと多くなっていく、そうすればだんだんと経費もよけいかかっていくわけであります。それは何億かかるのか、何十億かかるのか私は計算はできませんけれども、そういう場合に、別の財源は考えないということはどういう意味なのか、私にはちょっとその点が了解できない。
  154. 植竹春彦

    植竹国務大臣 先ほど、料金の問題につきましてはまだ許可段階でございませんので、最終方針の結論までには到達しておりませんということを申し上げましたのは、現状、目の前の段階では、ただいまNHKの述べられました御方針の通り、私たちもそのように了承——了承と申しますか、同じに考えておるのでございますけれども、やはり許可行政をやって参ります関係上、目の前のことだけでなく、ある程度遠い将来のことも考えて許可をしていかなくちゃならないという意味におきまして、その方針の最終結論は出ておりませんというお答えを申し上げましたような次第でございまして、うんとこれが盛んになりましたときのNHKの経営状態等もむろん勘案いたしまして、行政事務の進行いたします最終段階までには、はっきりした方針を樹立してまたお答え申し上げるときもできてくる、さようにただいまのところ考えております。
  155. 片島港

    ○片島委員 本放送に実験放送を切りかえて、それから先だんだんと拡大していって、経費がどうも工合が悪くなったといって、数が多くなったから今度は料金の面において考えるなんというのはおかしい。実は数が多かろうと少なかろうと、料金というものは料金として——むしろ本質的にいえば、数が少ないほど料金は高く取って、数が多くなればなるほど料金を安くしていくというのがほんとうですが、全然料金を取ってない場合には、地域が広がっていけばいくほど経費はよけいかかっていく。そういうときになって、今度は少し財政の面において他の財源を考えるということは矛盾をしてくる。
  156. 植竹春彦

    植竹国務大臣 御指摘の通りでございまして、その点は取り消します。私の申し上げようとしていた真意は、将来どんどんとカラー放送が進行いたしまして、その結果、NHKの方の財政状態から考えまして、どうしても料金等によって補わざるを得ないような段階におきましては、これはカラーに対する特殊料金を考慮しなければならない時期も遠い将来はあるいはあるかという意味で申し上げましたので、ただいまの数の問題につきましては御指摘の通りでございますので、取り消させていただきます。
  157. 片島港

    ○片島委員 NHKは将来地域が広がっていった場合のそういう財源の問題はどうお考えになりますか。
  158. 前田義徳

    ○前田参考人 私どもの考え方といたしましては、実はテレビの普及の現実から考えまして、相当長期にわたって、かりにカラーテレビジョンが本放送になる場合においても、その事業計画と財政計画との調整において、相当程度やっていけると実は確信を持っているわけでございます。その理由は、たとえば明年度につきましては、先ほど小野専務会長から申しましたように、カラーテレビ、実験放送として、番組面から申しまして、現在三十分ですが、これを一時間にして、その総額二億一千万円を計上しているわけでありますが、これが本放送になります場合には、実験放送は必要がなくなるわけでありまして、現在の白黒放送の番組費の上にカラー部分を加算したものを放送の原資とするわけでございますし、それからまたカラー放送自体の現状から考えますと、国産の受像機がこれからでき上がるという方向で考えますと、それが相当程度に普及する段階の見通しというものは、本放送実施後でなければはっきり出てこないと思われます。それにつきましては、私どもの任務としては、全国普及が最大の任務でございまするし、これは東京から送信することによって、マイクロのカラー・シグナルが全国普及するにつれて、それだけ放送区域を延ばしていけるという考え方を持っております。  それからもう一つ、これも将来の問題と関連するわけでございますが、カラー放送につきましてNHKが三十五年度以降カラーのローカル放送を同時に考えるという段階には達していないという判定をいたしておるわけでございます。従って、そういう面を総合して考えまして、先ほど会長からお答え申し上げましたように、少なくともカラーテレビの部分に関しては、財政的にも、事業計画の上からも、直接それが近い将来に料金に響いてくるおそれはないという考え方のもとに、実は業務を運営している次第でございます。
  159. 片島港

    ○片島委員 今度の予算におきまして、人件費関係が参考資料に出ておるわけでありますが、従来NHKの職員の給与の問題が類似企業の職員との間において比較せられた資料をたびたび拝見したのでありますが、今度のこの予算によって想定をせられております給与の改善、それによって類似の企業の職員との関係はどういうふうになりましょうか。
  160. 春日由三

    春日参考人 この三十五年度予算に載りました職員の待遇改善の考え方は、定期昇給の四・一%、それから三十四年度におきまして平均一六・三でございました地域給を一七・余りというところに引き上げる、それから基準外賃金につきましては、二八%で計算しておりましたものを三十五年度では三〇%程度に引き上げる、その他若干の賞与原資の増というふうなものも計算に入れますほかに、新たな待遇改善施策といたしまして、自己所有ないし借家と申しますか、要するにNHK施設に入っておりません職員に対しましては、一定の住宅手当を支給していこう、もっともこの住宅手当の前提は放送協会自体の住宅政策の変換ということをにらみ合わせてただいま検討中でございますが、そういう新しい施策も入れますと、月平均一人当たり三十四年度に比較いたしまして、三千四百円の原資で待遇改善をすることになります。そういたしますと、ただいまのような施策をいたしますと、基準賃金におきまして、三十四年度月額一人平均二万四千八百円余りでございましたものが、三十五年度におきましては、二万六千二百円余というのが三十五年度に上がって参る分でございます。
  161. 片島港

    ○片島委員 これは基本給与ですか。
  162. 春日由三

    春日参考人 基準賃金でございます。ただいま御質問の中ではその基準賃金を同種産業と比較いたしました場合にどうかという御質問でございますが、まだ朝日新聞毎日新聞にはなかなか及ばない、しかし、放送事業におきましては、従来NHKよりも平均的に高かったラジオ東京よりも若干上れるということになると思います。
  163. 片島港

    ○片島委員 詳細は同僚委員から質問資料も用意されておるようでありますから省略しますが、ただ定期昇給の四・一%ですか、これは国家公務員の定期昇給の原資よりも少ないのでありますが、定期昇給というのは、電電公社の関係の場合にもついたのでありますが、これを待遇改善というふうにお考えになるのは日本の賃金体系からいった場合にはちょっとおかしいのではないか。ずっと前に私も職員として働いておりましたころは非常に物価も安定をし、また企業もずっと長い間安定をしております場合には、定期昇給というのは人事の新陳代謝による原資をもって十分まかなえておった。大企業あるいは官庁あたりにおける退職人員は二割、新規採用は約二割、こういうことになりますと、高給者の二割が退職をすることによって新規に採用する者二割、これが順次全部定期昇給原資として使われておったのであります。NHKでも現在非常に事業がテレビ関係もあって拡大をいたしておるのであります。もし一般の公務員や三公社五現業等における定期昇給率よりも率が少ない、しかも定期昇給というものの性格が先ほども言いましたように、日本の賃金体系からいうならばこれは給与の引き上げではなくして、自然にこれだけは上にいくに従って加わっていくものである、そういう考え方からすれば、基本賃金いわゆる本給に対する配慮というものの考えが非常に少ないのでございますが、この点が第一点。またさらに基準外の給与をいろいろ言われたのでありますが、それは基準内にも流用することができる原資であるかどうか。この二点だけをお尋ねして私の質問を終わります。
  164. 前田義徳

    ○前田参考人 お説の通りに定期昇給が待遇改善そのものであると解釈することには相当な問題があると思います。ただ明年度いわゆるノミナルな待遇改善をしなかった理由は二つございます。一つは三十四年度において一〇%の改善をやった直後であるという問題と、それから先ほど来いろいろ御質問をいただいたラジオテレビの聴視料の問題と関連をいたしまして、今後のNHKの財政の見通しをある程度確立しなければならない重要な時期にきておる。この二点から三十五年度はいわゆる待遇改善という形でのペース・アップはいたさない。しかし実質的に組合側の要求を検討いたしまして、取るべきものは取っていくという建前を明らかにしたわけでございます。いろいろな手当が基準給と異なる性質のものであるということも私どもは全く同感でございまして、実は可能であるならば事務の合理化からいっても基準給とそのほかの手当との関係を一本化いたして参りたいというのは、ここ二、三年来の組合との話し合いにおいても私どもが意思表示してきておるところございます。しかし現在の社会環境から申しまして、組合側もそれに思い切って踏み切ることのできないいろいろな事情があるようでありますし、私どもといたしましても、いろいろな面で、たとえば今申し上げたように、今年も一〇%のべース・アップはどうかというようなことと関連いたしまして、従って組合が要求している諸手当の面においてはむしろ改善に協力すべきであるという考え方を持ったわけでございます。従って組合側の総要求は大体一人当たり九千円でございますが、そのうち基本給の増額要求は一〇%プラス千五百円でありまして、その総額はおよそ五千円に達します。その九千円に対して私どもが三千四百円という総括的な数字を出しましたことは、社会通念から考えても必ずしも不当な計算ではないのでないかというのが私どもの考えであり、ただいま経理局長から、たとえば住宅手当とかいうようなことを申し上げましたが、そのほかにも地域差を縮めていくということに私どもは明年度努力いたしております。従来三十三年度におきましては地域差は五つのクラスに分かれておりましたが、三十四年度におきましては、これを三つに収縮し、三十五年度にきましては、二種類にいたしまして、そうして低い方を上げていくという考え方をはっきりさせております。この地域差を上げていき、将来なくしていくという考え方は、それだけで基本給を一本化していくという方向と関係を持つわけであり、ただ問題は最高の地域差の総額をどの点までこの際引き上げていくか、あるいはその他の給与との関連でどのような処置をとるかということは、明年度予算の中では現われていないわけでありますが、この点についても、私どもといたしましては、はっきり研究を続けて、組合との話し合いの間にこういった問題を解決して参りたい、このように考えております。
  165. 春日由三

    春日参考人 片島先生の御質問の第二点は、若干私の説明が不十分でありましたので……。もちろん基準外賃金の改定は、今の一人当たり三千四百円の中には入っておりません。従いまして、御質問によりますと、基準外賃金を基準賃金へ流用できるかということでございますが、これは全然流用する項目ではございません。基準外賃金の増額というのは、仕事が非常に忙しくなってなっておる、その他のことを勘案いたしまして上げた分でございまして、一人当たり三千四百円の改善原資の中にはこれは入っておりません。その外でございます。
  166. 森本靖

    森本委員 その場合、今、片島委員が言ったのは基準外賃金と基準内賃金の相互の流用ということは、あなたの方の経営委員会なり、あるいは執行部の方の権限で予算的にできるじゃないか。これは予算総則には拘束はないわけであります。あなたの方の予算の運用についての拘束はこの予算総則が最大の拘束であります。それ以外はすべてあなたの方の理事会なり、それはゆだねられておるわけです。それ以外に重要なことについては、予算総則においては、経営委員会の議決を得ればいいということになっておるわけであります。そういう観点からいくならば、あなたの方の、現実にどうやっておる、こうやっておるということは別として、予算総則上からいくならば、それは流用ができるのではないか、こういうことです。あなたは今はっきりできぬと言ったけれども、できぬのだったら、どこに書いてあるか。
  167. 春日由三

    春日参考人 御承知のように、予算総則に書いてあるという問題ではございません。従来私どもの方の給与の立て方といたしましては、一応基準賃金と基準外賃金の流用はいたしておりませんし、そういう方針で今後も進みたい、こういうつもりでございます。
  168. 森本靖

    森本委員 その方針と、できるかできぬかということは別であって、方針で従来やっておるけれども、かりにその方針をあなたの方の理事会なら理事会で、若干これはこういうことで必要だからということで流用しようと考えるならば、現在の予算総則においてはできるのじゃないか。たとえば電電公社の予算総則は、政府関係機関予算総則において、これはぴしっときめられておる。基準内と基準外はいけない、こうなっておる。ところがこの予算総則においてはないからこれは理論上できるのじゃないか。そういうことが必要な場合においてはできるのじゃないかこういうことでありまするから、現在の方針がどうということを聞いておるわけじゃない。やろうと思えばできることじゃないか、こういうことです。やろうと思えばできるが、しかし現実はそういう方針を今とっておりません、こういうことでしょうが。
  169. 春日由三

    春日参考人 おっしゃる通りだと思います。
  170. 森本靖

    森本委員 それでは今の問題が出ておりましたから、給与の問題をちょっと聞いておきたいと思いますが、その前に、けさ私はこの予算について審議をしようという観点から、実はあなたの方の従業員の組合の方に意見も十分聞きたいからということで電話いたしましたところが、実はきのうから協会側と衝突して、けさから協会の前ですわり込みをやっておるから、とても先生のところへは行けませんということで文書で一応の意見をいってきたのでありますが、予算を審議をする際、しかも当委員会としては、あしたあたり、できれば年度末でありますから早く審議をして、なるべくならばスムースに行なっていきたいというふうに考えておるときにおいて、そういうふうな紛争が起きるということは非常に望ましくない、こう私は考えておるわけでありますが、先ほど来の前田専務理事のお話によりますと、給与については、労働組合との団体交渉、話し合いというものもかなり進んでおるやに私は聞くわけであります。ところがNHKというところはおかしなところで、そういう根本的な基準の問題について正面衝突をしてストライキをやるとか、あるいはまたすわり込みをやるということならば、労働組合側も理事者側も、それはある程度仕方がなかろうということで、私も横から見ることができますけれども、あなたの方でいつも争っておることはたとえばこの前争っておることを私が聞いたところによりますと、賞与を差をつけて、あれはどれだけ働いたから何%だ、あれはあまり働かぬからこのくらいの差をつけてやる。そんな差をつけてもらったら困る、その差は縮めてもらいたい、いや縮めるわけにいかぬ、信賞必罰でいかなければいかぬというのが理事者側の言い分らしいのであります。そういうことでこの前ももめて、時間ストになったかどうかわかりませんけれども、なったらしい。今度のすわり込みは一体どういうことでやっておるかということを聞いてみると、実は定期昇給の配分の問題で争っておる。配分の問題というのは一体どういうことかと聞いてみると、実は定期昇給の配分については、全く昇給しないゼロから五割増しの昇給、その間については全部管理者に委任をせられておる。その差を縮めてくれ、こういう要求が組合側の要求である。そんな差は縮めるわけにいかぬ。これは私が関係をしております当委員会関係の機関で、こういう問題で前近代的な争いでもめておるところは、大体NHKがただ一人というふうに考えるわけであります。このくらいのことは、少なくとも労働組合の方と理事者側とが円満に話をして——私はNHKNHKとしての給与の歴史があろうと思います。だからここで急速に電電公社なり郵政省と同じようにせいとは言いません。しかし、そうかといってゼロから五割増しというふうなことについては、この前の賞与の問題を聞いたところによりますと、大体賞与は全期間で九二%ということで妥結が一応ついた。そういうことになりますと、この昇給問題についても、電電公社なり郵政省と同じように、その人が休んだとか、あるいは病気で欠勤をしたとか、遅刻したとか、早退をしたとか、あるいは極端な事故を起こして譴責を食ったとか訓告を食った、こういう場合における昇給が延伸をされることはやむを得ないと思う。しかし少なくとも上の課長なり管理者が見て、あいつはなまいきだからどうもいかぬ、あいつはちょっと口がいいし風当たりがいいから五割増しの昇給だ、これはどうも私は非近代的な昇給のやり方ではながろうか、こう考えるわけであります。この問題はあえてここで私は追及いたしませんけれども、明日もこの予算審議があるわけでありますが、一つきょう四時でも五時でもお帰りになったらそういう話は十分に早く解決をつけて、少なくともあしたの朝ここへ来られたときにはすわり込みなんというみっともないことはございませんというふうな回答ができるくらいの誠心誠意を持って解決に当たってもらいたい。それを私は何ぼにせよとかどういうふうにせよということをここで言うわけじゃございません。ございませんが、そういうふうなことでもとの賃金を何ぼにするということで争うというならまだこれは話がわかる。しかしそんなことで争って、しかもあの報道機関、文化機関の一番殿堂であるところのNHK会館のまん前にすわり込みをやるというふうなことは、しかも時が時だけに、ちょうどこの予算を衆議院の逓信委員会で審議をしてあしたは上げようという段階のときにそういうことでは、われわれとしてもそう簡単にこれは上げにくくなるわけでありまして、一つその辺は十分に、NHKにも政治家が多いわけでありますから、そういう点で政治的手腕を発揮して早急に一つ解決をつけてもらいたい、こう思うわけでありまして、これは会長より副会長あたりが適当な御答弁を願えると思うわけでありますが、どうですか。
  171. 野村秀雄

    ○野村参考人 この昇給問題について、けさ協会に参りましたらあそこにすわり込みをしておりました。実に僕は驚きまして、そんなばかなことをするな、お互いに話し合ったらわかることじゃないか。そしてきのう聞いてみると、昇給問題については相当歩み寄りができておるような状態であるのだ。もう一歩、そんなつまらぬことをしないでお互いに話し合うようにして、そしてこの問題を解決したらどうかということを申した次第で、今あなたがおっしゃったようなことと同様に、こういう問題ですわり込みをするというような組合の諸君の気持が僕にはわからないのです。それでどこまでもお互いに話し合って、そして妥結を見るように、お互いが信頼をし合い、誠意を持って事に当たるというようにいたしたいということが私の考えであります。従ってこの問題は必ずや本日中には妥結できるものと私は思っております。
  172. 森本靖

    森本委員 私は平生から会長の人格を尊敬しておりますし、またあなたの性格ということについても当委員会の審議を通じて十分によく承知をしておるつもりであります。だからこそ私は副会長答弁を求めたわけであります。あなたが答弁すると、必ずそういう形の答弁をせられるだろう。そうなるとこれはやっぱり一方的に労働組合側を攻撃するという形に会長の性格からしてなるだろう。ある程度会長としては、そういう考え方になるのも若干私はうなずける点もあります。それはありますが、しかし少なくとも、労働組合も労働組合の代表として、そうしていろいろな労働組合内部の機関の議を経てああいう行動に出ざるを得ないという点の心情も、私はやっぱりくんでやらなければならぬと思うわけであります。そういう点を考えた場合に労働組合ばかりを責めるということも非常にこれは酷であります。そうかといって、この問題を放置しておくということには私はならぬと思うわけであります。この辺は会長の人格とそれから会長——はっきり私に言わせますならば一徹な考え方でせられるよりも、私が答弁を特に求めたのは、だから肌ざわりよく円満に政治力を発揮して収拾をつけるということは、かえって会長あたりよりも溝上副会長なり経理局長答弁した方がよくはないかと思って、私は会長答弁を特にはずしたわけであります。その辺は一つ誤解のないようにお願いをいたしておきたいと思うわけであります。最初に申し上げましたように、会長のそういう事業に対する熱意と人格というものについては、私は平生から尊敬をしておるつもりであります。しかしそういうこととこういう問題を解決をつけるということとはおのずからそれぞれの一つの性格なり一つの特異性があろうと思うわけでありまして、そういう点を一つ十分にお考えの上——これ以上この問題については私はこの場で追及をいたしませんから、これは会長が言われたように、会長の考え方でするならば労働組合があんなことをしたのはどうしても解せぬ、けしからぬ、あなたはこういうお考えだろうと思いますけれども、一方の労働組合側にはそれだけのまた理由があろうと思いまするから、そういう理由も十分に聞いて早急に円満に一つこれを解決つける方向にお願いをしたい。こういう意味でありますから、一つ十分にこの意を体していただきたい、こう考えるわけであります。この問題はこれだけにいたしておきます。  そこで、もとの予算に返りましてちょっと聞いておきたいと思います。まず第六条であります。この第六条は去年の三十四年度予算とほとんど変わらぬわけでありまするが、ただ三十四年度の予備金を使用した場合の実績をちょっとこの際御報告願いたいと思うわけであります。
  173. 春日由三

    春日参考人 この第六条は今御指摘のように三十四年度と全然変わっておりません。三十四年度の予備金はラジオテレビジョンで合わせて三億五千万円の予備金を用意いたした次第でございます。そのうちで、三十四年度予算審議の際の御質問にあったと思いますが、放送法改正をされた場合に理事者の増員、定員の増員、そういったものが三十四年度予算に盛られているかという御質問がございましたときに、これは法律が成立しなければわからない、いわゆる予見しがたい事実でございますから予備費をもってその際は支出いたします、という御答弁を当時経理局長からいたしております。そういった意味でこの三億五千万円の使途は今の放送法改正に伴う法人費の増、それから役職員の退職が従いまして相当でございました、それに対する割当、それから放送法改正によりまして債券の発行総額がふえましたので、債券を三十四年度予算では全部長期借入金と申しておりましたのを、債券を三十億発行いたしましたものですから、それの十分の一を放送法によって積み立てなければならぬ、その積立金、それから三十四年度周波数の三年ごとの改定がございます、その標準放送周波数の変更のために必要な増、それから受信料の郵政委託の分でございますが、これは契約によりまして委託を受けております郵政局の関係者の待遇改善その他があった場合にはそれに見合って単価を変えるということになっております。そのほかに十五号台風における支出というので、今日ただいままでのところ三億五千万円の予備金をそういうふうに振り当てました結果、残っております分は、現在ではラジオで千五百万円、テレビジョンで五千万円、合わせて約六千五百万円の予備金が残っておる、こういう状態でございます。
  174. 森本靖

    森本委員 その中の委託集金の場合というのは、これは若干値上げになった分ですか。
  175. 春日由三

    春日参考人 単価の改定でございます。
  176. 森本靖

    森本委員 これはほんとうを言えば決算でやるべきですけれども、まあ予算でありますから、私は委託集金の単価の改定を予備費から支出をするということについては、これはちょっとおかしいのじゃないか。大体この単価の改定については年度当初の予算にぴしっと組むがあるいはまたその他の方法でこれをやるのが妥当ではないか。年度途中においてこの予備費から支出をしなければならぬというやり方については私はちょっとおかしいじゃないか、こう思うわけでありますが。
  177. 春日由三

    春日参考人 これは三十四年度予算を組みました当座におきましては、郵政省関係の職員の方々の給与改善というものは全然つかめない、またきまっていないという状態でございましたので、三十四年度予算の執行に入ってから郵政省の方の職員の方々の若干の待遇改善があり、それに見合った増という形になるので、予備金以外にその財源を見出すところかないわけであります。
  178. 森本靖

    森本委員 それは先ほど片島委員質問をせられた第七条の一項を適用すれば出てくるんじゃないですか。他に財源がないということはないと思う。それがために七条の一項というものがある。しかもこれは年度の最終にならなければわからぬというお考えになるかもしれませんけれども、およそその年度の平均増収額というものが毎年度の率からいくと出てくると思う。たとえば今言ったような委託集金の単価の引き上げをやるために、この第七条の一項というものがあるやに考えるわけであります。その辺が違うわけでありますが……。
  179. 小野吉郎

    小野参考人 理想的に申しますと、森本先生のおっしゃったように、予算編成のときに単価の改定の事情を織り込みまして、委託繰入料に要する経費予算上当初に掲げるのが理想であろうと思います。委託関係契約と申しますと、毎年四月一日をもって委託金改定をする。もちろんその時期に何ら改定の要素がなければ、前年度のそれを踏襲するわけであります。そういう建前にもなっておりますので、予想せられる単価改定の実態がわかれば理想的には当初の予算にはっきりと上げるべきものでございます。ただいろんな事情もございまして、予算編成の当時に何がしか改定の必要はありましても、その限度がつかめないというようなことも起きるわけでありまして、そうなりますと、年度途中で措置をしなければならないのでありますが、御指摘の第七条の一項の関係は取り扱いの事務量の増加によるものでありまして、そういう関係につきましては一項によって措置できるのであります。前回改定をいたしましたそれは事務量の増ではなく——これは事務量が増加をすれば当然にそれに応じまして、委託金をかければ出るような弾力は予算上ついております。問題は委託金自体につきまして、その要素に変動を見たわけでありますから、そうなって参りますと、予測しない事柄といたしまして、予備金で措置するということになるだろうと思うのでございまして、今回の三十四年度改定いたしましたそれも四月一日が間に合いませんで、実際に改定をいたしましたのは夏ごろになったと思います。そういう関係で、予備金をもって措置をいたしたような次第でございます。
  180. 森本靖

    森本委員 そういう詳しい答弁かありましても、私の端的な質問に答えてないと思うのです。私はそういう事業に非常に関係の深いこの委託集金の単価の改定のやり方については、予備金をあてがうということよりも、第七条の一項を適用して行なうのが最も至当なやり方ではないか、こういうことを聞いておるわけであります。そうでなければ第七条の一項の議決をしてやるということについては一体何をやるかということになると思います。これは第一項の「全部を事業のため直接必要とする経費の支出、借入金の返還、」のうちの「直接必要とする経費の支出、」ここに当てはまると思うのです。
  181. 春日由三

    春日参考人 この第七条は事業量の増加などによって収入予算額に比し増加したときの割当をきめているのでございまして、今御説明申し上げております郵政委託の事務費の単価の改定は、「事業量の増加等により、収入予算額に比し」ということとは関係ないわけであります。しかもそれは予見しがたい事実だったのであります。
  182. 森本靖

    森本委員 これは、事業量の増加により収入予算額に比し増加するときは、その増加額は収入予算に比して増加した方向に使えという予算総則ではないですよ、この文章は。「その一部または全部を事業のため直接必要とする経費の支出、」こう書いてあるのだから私はそう解釈できぬと思う。今、事業量の増加により収入予算額に比し増加した場合にはそのものに使わなければならぬという解釈をするなら、そういう書き方をしなければならぬ。増額は増額で別個にある。その増額というものは事業全般のために直接必要とする場合、あるいはまた借入金の返還にこれを使ってよろしい、こういうことですから、増額する分と使う分とは違う。増額は増額であっても使う分は事業全体に使ってよろしいというのが、この第七条の一項の趣旨じゃないですか。もしそうでなくて、増加分については増加分に使え、そういう趣旨なら、そういう書き方に変えなければならぬ。
  183. 春日由三

    春日参考人 「事業量の増加等により、」というのは、NHKが自分の仕事をする上においてある積極政策をとったとか、あるいは客観情勢もあると思いますが、それで収入予算に比して増加した場合の使途は経営委員会の議決を経てきめるわけであります。ところで私が今御説明申し上げております単価の改定という問題は、増収がなくてもやらなくてはならない。これは郵政省との契約でありますから、増収があってもなくてもやらなければならないことで、しかも予算を組んだ当時において予見しがたい事実でございますから、これはどうしても予備金で振り当てざるを得ないと私は解釈するわけであります。
  184. 森本靖

    森本委員 予備金でそれを使用するということについて、私が予備金で使用するよりも第七条の第一項でやるのか妥当ではないかということは、そういうあなたの解釈なら、事業量の増加等により、収入予算額に比し増加するときは、増加額はその事業量の増加した問題に対して直接必要とする、こういう書き方をするのがほんとうです。これはそうじゃない。事業量の増加というのはNHKテレビジョンの地方局ができたり放送局ができたりして、それだけが増加する。その増加増加なんですよ。増加したけれども、その増加分の事業に対してこれを支出するということではこの条項はない。そうしてふえた金については「その一部または全部を事業のため直接必要とする」とありますから、これはNHKの事業全体をさす、こう私は解釈するわけであります。
  185. 春日由三

    春日参考人 それでは全然反対の場合を考えまして、もし単価の改定を期の途中でしなければならなくなったにもかかわらず、事業量の増加増収がなかったらどうなるかということになりますと、増収がなくても単価の改定はしなければならないのです。ですから、どうしてもそれを予見しがたい事実として予備金をもって振り当てるのが最も妥当な方法だと私は信じます。
  186. 森本靖

    森本委員 もし増収がなくてもそういうふうにする、私はおそらくそういう答弁をせられるであろうと初めから思っておったわけであります。しかし現実NHK予算というものを今まで六年間私は見てきたわけでありますけれども、その六年間の間に、それが減収になってにっちもさっちもいかぬようになったということは、私はまだ聞いたことがない。少なくともこの第七条の項が適用せられるような予算措置を講ぜられた。そういうことになりますと、たとえば三億五千万円というわずかな予備費の金額において、その他にも予見しがたいところの金額が出てくる。そうすると、この委託集金の場合の単価というものは出てこない。たまたま本年の予備金の使用が、その他の予備金を使って、さらにまた委託集金の単価をやって、なおかつそれが余るということになってきたからいいようなものの、実際は第七条項が適用されて使えるものならこの項で使って、それがどうしても使えぬということになったら万やむを得ずこの予備金を使う、こういうのがこのあり方ではないか、こう私は考えるわけであります。この委託集金の単価というものは大体が定期的にきまっておる。予算当初に組まなければならぬのだけれども、これを組まなかった。その途中でベース・アップその他があって、この単価の改定をしなければならぬということになった場合には、まず第七条のこの項が適用できるかどうかという予算項目を見てみて、その資金源から見て確かに適用ができるということになった場合は第七条を適用する。第七条項が全然資金的の裏づけがないということになった場合、初めて第六条の予備費を使うことができる。こういうことにしないと、万が一の場合の費用ということで組んでおるところの予備費なのに、そういう定期的な問題についてこの予備費を使うということは、少なくとも私は予備費をきめたところの目的からはずれてくるのじゃないか、予備費というものは、ほんとうに予見しがたい場合にNHKが使わなければならぬという段階なんだと思う。だから私は、予備費は使ってもいいけれどもまず第七条項を考えてみて、それがいかなければ次に予備費を使うというやり方をした場合は、NHKの経営自体もやりやすいんじゃないか。この三億五千万円とぴたっときまった予備費を一銭でもそういう方向に使うということは、経営自体がそれだけ狭まった考え方を持つのではないか、こういうことも私は言っておるのであります。もしそういうことでなしに、予備費はそれだけ使っても一つもかまいません、そんな予見しがたいことはあまりありませんから、ということなら、親切にこういうことを言う必要はないから私はやめますけれども、少なくとも第七条のこの条項を見ておった場合には、今言ったような形の使い方はできるのではないか、こういう意味であります。
  187. 春日由三

    春日参考人 お話は大へんよくわかりましたが、私どもの考え方は、いわゆる郵政の業務量が非常にふえ、郵政の委託件数がどんどんふえて、従って取次件数が増加したり、また集金費が非常にたくさん要ったりした場合には、事業量の増加でございますから、郵政に払う分はこの七条でいく。これは従来もそう考えてやっております。今度の場合には、ふえたふえないに関係なしの、全く純客観的な委託事務費の単価の改定でございましたものですから、予備金で振り当てるのが第一義だろうと考えてそういたしました、こういうことでございます。
  188. 森本靖

    森本委員 今度の場合はそれでやっておるわけですから、私は、将来の委託集金というものについては、一つの事業の経営のために直接必要とする恒久の金額である、だからそれをやる場合には、まずこの第七条項が適用できるかどうかということを見て、ここで適用できるということなら適用しておけば、それだけ予備費というものは残って、それだけあなたの方が万が一という場合に予備費を使えるという段階にある、そういう道をとる方が経営自体としていいのじゃないか、こういう意味でありますから、これ以上私は言いませんけれども、今後一年間のやり方については十分お考えを願っておきたい、こう思うわけであります。  それから第二項の「職員の能率向上による」云々だの件でありますけれども、これについては先ほど片島委員質問にもありましたように、第一項と第二項を画然と区別をつけるということについては、非常に判定がむずかしいということでございますので、結局この二項であろうが一項であろうが、とにかく協会の収入というものがこの予算に比して増収された場合には、これはどちらにも当てはまるという解釈をとるわけであります。そういう場合に第一項、第二項ということにかかわらず、事業のいわゆるNHK自体増収があった場合は、この第二項によるところの「特別の給与の支給に充てることができる。」ということには、これはもう十分それが充て得るという解釈を私はしたいわけでありますし、また従来もそういう解釈をしてきておるわけでありますが、念のために、予算総則にこう出ておりますから、去年の答弁とは食い違わないと思いますけれども、それでもいいかどうか、あらためて聞いておきたい、こう思うわけであります。
  189. 春日由三

    春日参考人 一項が、受信者の増に伴う定員でございますとか、人員がふえた場合、それから仕事がふえたことから収入がふえた場合が一応第一項で振り当てる。それから特別給与というのは、いわゆる企業努力によってお金が生み出されたのを、たとえば業績手当とかそういうふうな形の場合には第二項の方でやるというのが従来の考え方でございますし、昨年の答弁も多分そうだったと考えております。
  190. 森本靖

    森本委員 そうじゃないのです。それは速記録を見たらよくわかりますが、第一項と第二項の収入については、先ほど片島委員も言われるように、これを画然と分けることはなかなかむずかしい。ただしかし予算総則の技術上としてこう書かざるを得ない。これはあなただって事業量の増ということと職員の能率向上によるものと一体どうして分けるか。これは何ぼテレビをどんどんつけていっても、実際に集金人が行って勧誘して確実に契約してこなかったら、今日郵便局にすわっておって、持ってくる人というものはほとんどいませんよ。そういうふうにいわゆる事業量の増加によって収入がふえるということと、従業員の能率向上によって収入がふえるということは、両々相待って初めてこの増収ということがなし得るわけであります。しかし予算総則として書くのにはこういうように書かざるを得ぬので書いてあるけれども、結局協会の予算以上に増収があった場合は、この一項、二項どちらにも当てはまるというふうに解釈ができる。そういうことになりますと、増収があった場合においては、その一部を職員に対する特別の給与として、経営委員会の議決を経た場合においては充て得る、こう解釈ができる。それでよろしいかどうか、こういうことです。よろしいならよろしいという簡単なものだけでいいのです。
  191. 春日由三

    春日参考人 一応私の一項、二項の説明を了承願った上で、結果的にそうなることがあり得るというふうにお認め願いたいと思います。
  192. 森本靖

    森本委員 それでは、この問題については一応おいておきます。おいておきますが、先ほど私が御質問したことについては了承せられたいということでありますから、それでけっこうであります。もしその通りやらない場合にはこれは答弁が食い違う、こういうことになりますから、そう解釈してここから先は質問いたしません。  そこでこの予算総則を見ましても、相当経営委員会に責任がかかるような予算総則であります。特に今年は昨年の放送法改正によりまして、経営委員が増員をせられ、監事も特にできておる、こういうふうな状況でありますので、特に経営委員会の今の運営方法、開催の回数、あるいはその討議の内容等について、当面の責任者の御説明一つ願いたいと思うわけであります。場合によっては経営委員長を直接呼んで聞こうかと思っておりましたけれども、時間がありませんので協会側にお聞きをしたいと思うわけでありますが、まず今、経営委員会というのは月に何回開いておりますか。
  193. 野村秀雄

    ○野村参考人 経営委員会は月に一回、二日ずつ開いておりますが、また臨時に開くこともあります。さらに在京経営委員は毎週一回集まって、所管局長等を呼んで、いろいろ話を聞いて、運営の資に当てております。
  194. 森本靖

    森本委員 在京の経営委員と地方の委員と何人ずつですか。
  195. 野村秀雄

    ○野村参考人 在京経営委員は五人で、地方に在住の経営委員は七人であります。
  196. 森本靖

    森本委員 在京委員の五名が毎週一回会合するというのは、それは正規の経営委員会ではないわけでありますね。——そうすると正規の経営委員会でない場合においては、正規のあなたの方から出しております手当というものは出ておりませんか。たしかこれは法律を審議するときには、経営委員会というものが正式になった場合には一日何ぼという日当と正規の旅費を支給する。こういうことであったわけであります。そのときに私はできれば固定給あたりを与えた方がいいじゃないかという意見を出したこともありますけれども、その話はとにかく経営委員会を開いた場合に云々ということで、そのままになったわけでありますが、それは具体的にどうなっておりますか。
  197. 溝上けい

    ○溝上参考人 経営委員の報酬は、放送法によりまして出席日数に応ずるということになっております。それで今会長が申し上げました定例の、月に一回、二日間のものにつきましてはそれに応じて出ております。同時に在京の方がお集まりになる週一回のものにつきましては、やはりこれはただ寄ってすぐ解散するのでなくて、協会の幹部をお呼びになって相当こまかい点までお調べになって、いろいろ御相談になっておるようなので、やはり会議とみなしまして報酬を出しておるのであります。
  198. 森本靖

    森本委員 ちょっとこれは聞きにくい点でありますけれども、聞いておかなければいけませんが、日に何ぼの日当を出しているわけですか。
  199. 溝上けい

    ○溝上参考人 これは放送法改正されまして、報酬が出せるという規定になりましたときにいろいろ研究いたしまして、たとえば外国の例、あるいは現在NHKで会合しておりま番組審議会における例その他から勘案いたしまして、一日ごとに二万円というふうに規定できめております。
  200. 森本靖

    森本委員 一日二万円ということになりますと、週一回出て四回と、月一回が二日でありますから、十万円ですか、在京のなにについてはそういう勘定になりますか。
  201. 溝上けい

    ○溝上参考人 ちょっと今具体的な数字を覚えておりませんが、そういう計算で、それに正規のものではございませんけれども、そのほかに地方からの方は旅費がつきますし、また東京は車馬賃その他若干追加したものがあります。
  202. 森本靖

    森本委員 こういうふうな運営の仕方をした方がいいのか、現実国会承認のものについては、たとえば公取あるいはまた国鉄の経営委員、こういう形のように、月額七万八千円なら七万八千円、国会議員の給与を下らぬというところで、たとえば現在でしたらこれが七万八千円から八万二、三千円というのが普通でありますが、そういう形の固定給にして、在京委員であろうが、地方の委員であろうが、これが集まるときには全部集まるという形にしてやった方がかえってよくないかということを、私は前々から気がついておるわけであります。そうしないと、これは常任執行委員会と非常任執行委員会というような形になる。大体月二日出て四万円の日当なんということは、何ぼ日当でもこんなやり方はないですよ。それはテレビの出演者ならいざ知らず、経営委員のこういうやり方というものは、非常に変則的なやり方ではないか。これはやはり他の公取の委員とかあるいは公安委員あるいは国鉄の経営委員というふうなやり方をとって、それに対するかなりの責任を負わした方がかえって私はいいのではないかという気がするわけであります。そういうやり方は、法律上はやろうと思えばやれるわけであります。あの法律を審議したときには、出席日数について何ぼということではない、たしか私はそう解釈しておるわけであります。それでこの辺のことについて一つはっきりした回答をこの際願っておきたい、こう思うわけであります。
  203. 野村秀雄

    ○野村参考人 実は放送法改正によりまして、報酬を受くることを得ということになったから、経営委員の方には、今森本委員のおっしゃったように、月幾らということをきめていただく方がいいと思いましたけれども、経営委員の方では、いや、ただでいいということの議論が非常に多かった。しかしそれはいかぬ、昔のいわゆるワン・ダラー・システムというような、戦時中とかなんとか非常の場合なら格別だが、今日の場合にはそういうことは通用しない、相当の報酬を出すのが当然であるということを申し述べて、結局、しからば幾ら幾らの報酬を取ろうということになって、日当制になったわけであります。いきさつはこういうわけであります。
  204. 森本靖

    森本委員 私は法律を解釈するのが、あなたの方は忠実に解釈をしておると思う。この法律は確かに、「旅費その他業務の遂行に伴う実費を受けるほか、その勤務の日数に応じ相当の報酬を受けることができる」。こうなっておるわけであります。しかし私が今言ったのは、日当二万円というやり方で、それで五回出て十万円というやり方をとるよりも、たとえば月のうちに十日なら十日、それだけは出てきてもらわなければならぬというようなある程度の責任を持たせて、そうして今言った公取なら公取のような形の給与を出した方がもっと責任を持つんじゃないか。月に一回はるばる地方から出てきて、そうして二日ばかり聞きおいてそのまま帰るということでは、経営委員の任務は勤まらぬじゃないか。私は、場合によったらこの二十二条をもう一回改正してもいい、固定給を出して——公取なんかは、これは一つの行政機関であります。公安委員一つの行政機関になっておるわけであります。そのくらいのものにして、ある程度の責任を負わすという形をとるのが妥当じゃないか、こう思うわけでありますが、これは非常に重要な事項でありますから、もう一回聞いておきたいと思います。今のようなやり方を改めて、何か固定給的にして、そうしてこれを地方であろうが東京におろうが、かなり責任を持たしてやるというふうな体制の方がよくはないか。私は報酬は要りませんと言う人は、それはもう報酬はやらない。その人はやめてもらってもけっこうだ。そんな名誉職なんてことでやられては困る。経営委員というものは、NHKの内部の事情についてはかなり詳しく知っておって、時と場合によっては、経営者に対してこれは間違っておるじゃないかというような忠告をすることもあってしかるべきだ、こう考えるわけであります。そういう点を一つ再度お聞きをしておきたいと思います。
  205. 野村秀雄

    ○野村参考人 森本委員の御意向、また委員会の御意向がそうであるならば、そのことを経営委員に伝えて、経営委員会の議に諮ってもらうようにいたしたいと思います。
  206. 森本靖

    森本委員 この前大臣に私が当委員会質問してあったことについては、その後大臣としても政治的にお話をせられたと思いますが、どうでしたか、その結果は。
  207. 植竹春彦

    植竹国務大臣 この件でありますか、ちょっと……。
  208. 森本靖

    森本委員 これは頭が鋭かったらすぐ思い出すはずでありますが、経営委員長のいわゆる政治上の見解を明らかにするというような点については、NHKが中立という立場をとる場合においては、できれば一つそういう政治的な見解というものは御遠慮を願いたい。それで政治的に中立を守ってもらいたい。特に今、日本の国は、日米安全保障条約改定問題をめぐって、国論が二分する程度の論争も行なわれておる。そういうときにNHKの経営委員長という職にある人が、その問題について、こっちが正しい、こっちが悪いというような意見を公開をするということは、それでなくてさえ与野党から色目で見られておるところのNHKその経営委員長がそういうふうな発言をすることは迷惑千万だと思う。そうでなくてさえ、NHKは自民党的だとか、自民党から言わせれば社会党的だ、こういうおしかりをたびたび受けておるわけであります。だから、この前私が委員会でも言いましたように——会長がおるから目の前で言うわけではないけれども、少なくとも会長は、会長になった当時からそういう評論というものは一切やめて、NHKの発展と向上に誠心誠意努力をせられておる。むろん経営委員というものと会長という職責の違いも相当あることは認めます。しかし、少なくともNHKの経営委員長という職にある限りにおいては、そういう政治的な中立というものは守ってもらわなければならぬ、こういうのが私の昔からの持論でありまして、当委員会においても、それは、与野党を問わず、そういう意見をみな持っておるわけであります。その点については、大臣が、個人的によく話をして聞いてみよう、こういうことであったから、大臣のそういう政治的な手腕と人格を信頼しておまかせをしておったわけであります。たまたまここで、予算関係上、この経営委員の重要性が出て参ったわけでありますから、大臣からその経過をお話し願いたい、こういうわけであります。
  209. 植竹春彦

    植竹国務大臣 あの当時私がお答え申し上げましたことは、評論家の立場において経営委員がその意見を述べられることは差しつかえないと存じます、経営委員としての立場の仕事をなさるときには、これはまた別であります、といった答弁を申し上げたと記憶いたしておりますが、その後実はまだ御当人に会っておりませんので、はなはだ恐縮でありますが、まだその会った結果が出ていないわけでございます。しばらく日にちをおかし願いたいと思います。
  210. 森本靖

    森本委員 私は別に大臣をしかるわけではないのですけれども、これは速記録にはっきり出ております。会ってよく委員長のお話も聞いて、よく懇談をしてみます、こういう回答をこの委員会で正規にせられておるわけです。あれからもう一カ月半たっておるわけであります。その間においてあなたは一ぺんも会って話をせられなかったということは、どんなに答弁をせられて、そこでにこにこ笑って頭を下げられても、これは少なくともあなたは職務怠慢ですよ。それができるできぬは別でありますけれども、少なくとも当委員会においてあなたは、早急に話をしてみたいと思いますという答弁をせられておる。それは今まで話をしておらなかったのを今ここで追及しても仕方がないが、一事が万事ですよ。この点については十分に注意をせられて、早急に——その問題の片がつかないから予算をあげないというような片意地なことを言うわけではありません。それほど片意地なものではございません。しかし、大臣としては、そういう政治的な発言をせられた以上は、その成果があろうがなかろうが、一応その話をせられて、その話の結果はこうでございますということを当委員会に報告を願いたい。こういうことを特に言っておきたいと思うわけであります。今度こそ一つ忘れぬように、よく話をして、次の機会にはその結果を御報告願いたい、こう思うわけであります。
  211. 植竹春彦

    植竹国務大臣 承知いたしました。
  212. 森本靖

    森本委員 次に、先ほどの第十三条の役務の問題でありますが、この放送役務に対する契約金収入は三十四年度にはどの程度でありますか。
  213. 春日由三

    春日参考人 五千百万円であります。
  214. 森本靖

    森本委員 その五千百万円という単金をもらった根拠はどういうところにありますか。五千百万円のうち、貸し料は何ぼ、電気料は何ぼ、水道料は何ぼという一つの積算根拠があると思うのです。それともアメリカであるから、頭から五千百万円ということでもらっておるのか。これは電波局長もよく聞いておいてもらいたいと思うのですが、こういう問題がおそらくいろいろ論議せられると思いますので、特に聞いたわけでありますが、どうですか。
  215. 春日由三

    春日参考人 決して押しつけられたお金ではなくて、契約に基きましてちゃんと積算根拠があるわけでございます。ただいま手元に持っておりませんから、明日の委員会で御説明させていただきます。
  216. 森本靖

    森本委員 積算根拠があるというならそれでいいわけでありますけれども、私はそうこまかい積算根拠はないと思う。おそらくこれは日米合同委員会において、大体この辺でよかろうということできめておるというふうに私は考えるわけでありますが、正確な積算根拠があるとするならば、明日でもけっこうでありますから一つ発表を願っておきたい、こう思うわけであります。  それからもう一つ、これはこの前三十三年度の決算を当委員会で審議するときに、研究課題として大臣会長に申し上げてあったわけでありますが、NHKの監事の待遇の問題であります。監事というものを一人ぼっちにたな上げしておいた方がいいのか、それとも監事という問題について、これを一つの監察機構を監事にくっつけた形の監事にした方がいいのか、それから常駐、非常駐の監事、この監事のあり方について、NHKの監事というものをもらったものの、姥捨山の役にはいいけれども、現実にあまり役に立つ監事制度ではないという状況も、はた方から見た場合には見受けられる、それについては一つ検討してみましょう、こういうことになったわけであります。まず郵政大臣が検討せられたその成果を一つここで御発表願いたい、こう思うわけであります。
  217. 植竹春彦

    植竹国務大臣 まことに申しわけございませんが、人事は両方ともまだ来了でございますので、できるだけ早くその問題を検討いたしまして、次の委員会に答えさせていただきます。
  218. 森本靖

    森本委員 大臣が検討未了でございましたら、それにつれて会長にその見解を聞くことは無理だろうと思います。これは法律にある条項でありますから、協会当局としては郵政省と十分打ち合わせして回答せられるのが当然だと思いますから、これ以上会長にも聞きません。聞きませんが、はやこれで二回目です。先ほどの経営委員長の問題と今度の監事問題。そこであなたはうわの空で答弁していてはいかぬのです。やはり答弁したことについては、全責任を持って一つこれについては答弁した通りその方向に努力をして——いく、いかぬは別であります。私は、いかなくても、それについてはいかなかったからといって論争しようとは思っておりません。ただその誠意を大臣は十分に見せていただきたい、こういうことでありますから、もう重ねて何回も申し上げませんが、この点も後日の委員会においては、一つ協会当局ともよく話をせられて御発表願いたい。そのときには協会の会長さんの方からもその御意見をお聞きしたい、こう思うわけでありますから、協会の方も一つ意見を集約しておいていただきたいと思います。  次に、小さな問題でございますけれども、先ほどの給与の問題で一つだけ残っております。本年は住宅対策として手当を出されるということを、片島委員に対する答弁で言われたわけでありますが、この住宅対策としての手当というものは、大体原資として一人当たり何ぼの金額ですか。
  219. 春日由三

    春日参考人 有扶養者月額一人二千円、独身の者千円、全く親がかりでおる者が五百円、大よそそういうふうになっております。
  220. 森本靖

    森本委員 この手当を出すということになりますと、現在の協会の住宅に入っておる人はどうなりますか。
  221. 赤城正武

    ○赤城参考人 現在社宅に入っておる者には、それは当然出ないのでありますけれども、ただ政策的に住宅手当を出す場合の、いろいろな住宅政策の変換を考えておるわけであります。それは非常にこまかくなりますが、そういう問題で現在検討している段階であります。
  222. 森本靖

    森本委員 具体的に言うならば、その住宅対策の変換というのはどういうことですか。
  223. 赤城正武

    ○赤城参考人 いろいろあるのですが、三点にしぼりますと、一つは現在り協会の社宅に入り得る基準というものをきめております。これは、たとえば放送所とか第四種放送局が非常にへんぴなところにありまして、そこに付属した社宅があります。それをわれわれは義務社宅といっておりますが、そこはどうしても社宅に入ってもらう。それから職員が転勤した場合には、その転勤先における社宅は協会が世話する。それからその他業務に非常に必要なる者については社宅を給与する、そういう社宅入居基準がきまっておるわけでございますが、その基準の変更をしようということが第一点でございます。もう一つは、結局勤めて参りまして協会をやめる場合に、やはり社宅に入っておりますとどうしても出てもらわなければならなぬ。住宅政策上、自分の家をなるべく持っていただくようにする方がいいんではないかということで、これは住宅を持ち得るような政策をいろいろとやっていこうということでございます。もう一つは先ほど来申し上げました住宅手当の支給、こういうことになるわけでございます。
  224. 森本靖

    森本委員 この住宅手当については、たとえば、それじゃ現在社宅に入っている者については出ない、こういうことですね。
  225. 赤城正武

    ○赤城参考人 現在のままにおいては社宅に入っておる者は出ないわけでございます。
  226. 森本靖

    森本委員 そこで、現在社宅に入っておる者については協会がその社宅料というものを取っておりますか。
  227. 赤城正武

    ○赤城参考人 取っております。
  228. 森本靖

    森本委員 それは大体公務員住宅に応じた金額ですか。
  229. 赤城正武

    ○赤城参考人 大体平均して坪当たり月額八十円程度を取っております。
  230. 森本靖

    森本委員 それから借り上げ住宅という制度は協会にはないのですか。
  231. 赤城正武

    ○赤城参考人 協会で持っている社宅と、それから借り上げているのが相当ございます。
  232. 森本靖

    森本委員 その住宅手当を支給するということになると、この借り上げ住宅ということについてはやめるわけですか。
  233. 赤城正武

    ○赤城参考人 借り上げ住宅はなるべく少なくしていこうという方針を一応持っております。
  234. 森本靖

    森本委員 特にここで申し上げておきたいことは、二千円、千円、五百円という住宅手当を支給するということについては、私は早急に住宅手当を支給した方がよろしい、こう考えるわけでありますけれども、そうかといって現実に現在社宅におる者が今よりも住宅対策について悪くなる、あるいはまた現在の借り上げ住宅をとっておる者が現在の住宅政策よりも悪くなるというやり方は私は断じてとってもらいたくない。たとえば借り上げ住宅という場合は、郵政省でもよくありますから覚えておりますが、六千円なら六千円、七千円なら七千円で——おそらく協会も同一のやり方をとっておるだろうと思いますが、七千円なら七千円で借り上げて、そしてその七千円というものは協会がその家主に支払って、そうして今度はその住宅に入っておる職員というものは今言った坪八十円の単価で社宅料を協会に納める。おそらくこういう制度を借り上げ住宅制度というものはとっておるだろうと思うのですが、もしそういう借り上げ住宅制度をとっておる場合に、早急に社員住宅を建築せずして二千円、千円、五百円ということの打ち切り住宅手当にすると、かりに六千円の借り上げ住宅に入っておって坪八十円の場合、それが十坪で八百円というものを払っている場合は非常に大きな減収になる。生活の脅威を感ずるということになるわけです。そういうふうな形のいわゆる職員の減収になるというふうなやり方はどうしても私はとってもらいたくない、こう思うわけでありますが、これは個々の百円、二百円のでこぼこを私は言っておるわけじゃありません。そういう大局的に見て職員の住宅対策ということが今よりも後退をするという形はくれぐれもしないようにしてもらいたいと思うのでありますが、これは一つ責任者の方から回答を願っておきたい。
  235. 前田義徳

    ○前田参考人 この住宅手当と住宅政策の転換につきましては、大体あらましは今、赤城総務局長からお話ししたわけでありますが、私どもの考え方といたしましては、現在入っている方に生活上の負担を直ちに負わせるという考え方は持っておりません。少なくとも今後五カ年間くらいの経過を見て、それに即応する住宅対策をNHKとしては立てたい、こういうことを考えております。住宅対策の立て方につきましては、私どもの考え方は、これは組合にも提示してありますが、共済組合を中心として住宅基金の貸付、あるいは住宅を建てるための一種の貯金の制度、あるいはまた五年後に必要でなくなるすべての社宅の運営、そういった点からこの問題を総合的に解決して参りたい、このように考えております。なぜこういうことになったかと申しますと、これは先生も御存じだと思いますが、毎年住宅対策を立てながら実は今日までやってきているわけですが、事業量の増加に伴って職員の増加も非常に急激であり、かりに毎年三億ないし四億の金を年間予算承認をいただいても、おそらく全職員の五〇%が同じ立場に立つためには少なくとも今後まだ十五年以上の年月がかかるというふうな実情でございます。そこで住宅手当を出すと同時に、現状の住宅対策、それから職員全体に対する自分の家を持たしていくといういろいろな基金制度、これと勘案しましてこの問題を解決して参りたい。先生に端的にお答え申し上げなければならぬ点は、現在在住しているものについては少なくとも五年間の余裕を見ているということでございます。
  236. 森本靖

    森本委員 自分の家を自分で持つということは、それは確かにいいことでありまして、私もまだ自分の家をよう持っていないので何とか小さな家でも持ちたいと思って一生懸命努力しておりますが、なかなかそれでも今持てないという住宅難の事情であります。しかし私はNHKが住宅対策を立てる場合に、自分の家は自分で持つようにするということをするよりかは、少なくともこれは転勤するというふうなことが相当あるような段階においては、やはり社宅制度というものを強力にやっていくのが大体至当ではないか。たとえば郵政省あたりでは、住宅問題については少なくとも現職としておる場合には郵政省がそれを世話をする。その間に貯金をして自分の家を建てるということはとうていできない。たまたま退職をした場合に、退職手当においてどうにか小じんまりした家を建てて、あとは年金制度において余生を送っていこうというのが今の公務員の住宅のあり方になっているわけであります。そういう観点から考えた場合、私はこのNHKの住宅対策なども、自分が一つずつ持つということよりも、やはりこれは、そう言っては悪いけれども、NHKの業務に応じた形の社宅のあり方というものを考えていかなければならぬと思う。そういう点からいきますならば、個人的に持たすということよりも、その転勤異動に備えての社宅対策というものが当然であるべきだろうと思うわけであります。これまた労働組合本来の考え方と今の考え方とは若干違うわけでありますけれども、あえて事業的見地からいくならばそういう考え方に立たなければならぬと思うわけで、そういう点と、いわゆる職員の住宅に対する問題というものをかみ合わせて住宅対策を立てなければならぬ、私はそう考えるわけでありますが、そういう問題をここで論じておりますとかなり時間が長くなりますので、私はここで一言だけでいいから聞いておきたいことは、現在の住宅対策よりも、住宅対策の五ヵ年計画なら五ヵ年計画によって後退をする、あるいはそれによって著しく減収になるという形が具体的に職員の頭上に現われてこないことを確約を願っておきたい。それ以上の住宅対策については、事業的な見地からする住宅対策というものとそれぞれの個人の生活を重点に置いた住宅対策というものとかみ合わせてこういう経営をする場合は考えていかなければならぬ、こうなるわけでありますから、その根本問題はおそらくあなたの方も異論がないと思いますけれども、ただ一言だけ聞いておきたいのは、そういう重大な住宅対策を立てる場合に、個々の職員に不利益な状態に決してならないように、現状よりも後退することがないようにということだけ、ここではっきり言明を願っておきたい、こういうことなんです。
  237. 前田義徳

    ○前田参考人 御趣旨ごもっともでございまして、私どももその線に沿うて総合的施策をして参りたいと思っておりますが、先生の御発言の中の第一点、たとえば異動に伴う住宅の問題につきましては、特に移動の際に一定額の相当まとまった手当を出して、従来異動者の人員増に伴う新しい借り上げあるいはその他の方法と見合う金額をもって、その本人に不利益にならないような処置をとることを考えております。それから全体的に申しまして、現在よりも実質生活が低下することのないように、その点は十分慎重に取り進めたいと考えております。
  238. 森本靖

    森本委員 それからもう一つ、従業員の職場環境の整備と厚生施設の普及ということについて聞いておきたいと思います。私もほとんど日本全国のNHKのいわゆる地方放送局等も回ってみましたけれども、東京とか大阪とかあるいはまた名古屋とか北九州とかいうふうな比較的大きな放送局があるスタジオ等においては、比較的厚生施設とかいうものも完備をしておるわけであります。ところが、これがいなかの方の中都市以下の放送局になりますと、この厚生施設が全くゼロにひとしいというふうなのが今の現状であります。これは私がほとんど全国的に見て考えるわけでありますが、そこで、東京、大阪、名古屋、北九州というふうに人間が集中をしておるところには、集中的に厚生施設をよくしていくということも、事業経営の見地からいくならばうなずけます。うなずけますが、そうかといって地方にあるものは厚生施設がゼロであるということについては、私は相当考えるべき余地があるのではないかと思う。たとえば私の選挙区でありますところの高知の放送局なんかに行ってみますと、ピンポンをやるようなところも一つもない。昼の休み時間に運動するというような場所も全くない。狭い放送局の中はスタジオで一ぱいである。そのスタジオもローカル放送が完全にできるようなスタジオはちっともない。ましてや従業員の厚生施設というものは、既往の中都市以下の放送局においては全く見られぬ、こういうふうな情勢でありますが、この予算の中では今回、二十二ページの中に、職員の厚生保健に八億六千五百二十九万一千円を見ておるというふうに書いてありますけれども、そういう地方の職員の厚生福利施設ということについて一体具体的にどうお考えになっておるか。その点をちょっと御説明をお願いしたい、こう思うわけであります。
  239. 前田義徳

    ○前田参考人 既往の問題につきましては、今御指摘をいただきましたように、簡単に申し上げますと各中央局ごとにそれぞれの施設を進めて参ってきておりますが、今後の考え方といたしましては、これは局舎の改善、改築あるいは建設とも関連して参るわけでございますけれども、一種局にも逐次そういう厚生施設をふやして参りたいということを考えております。それからまた局の所在地でないところでありましても、職員のために健康上適当な地点と考えられる地点には、その周辺の各局の人々が利用できるような施設も逐次作って参りたい、このように考えております。
  240. 森本靖

    森本委員 私は具体的な答弁にはなっていないと思います。それでちょっと聞いておきたいと思いますが、NHKの職員の関係の保養所というのは、共済組合関係でもけっこうでありますが、全国で幾つありますか。
  241. 春日由三

    春日参考人 職員の保養所、クラブといたしまして二十四カ所でございます。
  242. 森本靖

    森本委員 それは全部直営の保養所ですか。
  243. 春日由三

    春日参考人 NHK自体の持っておりますもの、それから若干NHKの職員の共済会で持っておりますもの、あるいは健康保険で持っておりますもの、それぞれのニュアンスがございますが、いずれも全部NHKの自前の分であります。
  244. 森本靖

    森本委員 これ以外の、借り上げのものはないのですか。
  245. 春日由三

    春日参考人 借り上げとおっしゃる意味は、たとえばある保養地の特定の宿屋を安く契約しまして、そこはやはりいつでも利用できるというふうなものはございます。
  246. 森本靖

    森本委員 それはどこでもやっていることでありますが、たとえば、これは全部引き合いに出して申しわけないのですけれども、郵政省あたりでは借り上げの会議施設を持っているわけです。これはほとんど県庁所在地には置いております。ここでは少なくとも五、六十人の者の会合ができる。これはすわってでも会合ができるということで、月二万円ないし三万円の借上料をもってそれを買って、そこは宿泊寮にもしているという設備を持っているわけであります。これは郵政省自体の自前の保養所ではございません。借り上げの会議施設なり保養所、こういうものであります。こういうことについても私はNHKはもっと考えてしかるべきではないか、適当なところがあれば予算に計上して、こういう会議施設——これは保養所なりということになるとなかなか通りにくい。これは大蔵省とあまり関係なく、郵政省との関係だからそれでも通るかどうか知りませんが、大蔵省との関係になるとなかなか通りにくい。けれども会議施設を各県庁所在地あたりに置くということになると、いかぬ、むだであるということでなかなか反対できない。会議もやれますし、あるいはまた碁もできますし、将棋もできる、あるいはマージャンもできる、あるいは宿泊もできる、あるいはちょっとした夕食会ぐらいはできるという程度の設備が、大体月額三万円程度で借り上げできるという経験を私は持っているわけであります。自前の保養所なんかを名所旧跡地に建てることも大事でありますけれども、各県庁の所在地あたりには今言ったような施設をやっていくということも具体的に考えていいのではないか。しかもこれは大した金が現実にかかるわけではありません。その経営方法その他については、私が、ここでちょうちょうと説明をしなくても、どっかに行って聞けばわかるわけですし、経営が十分立っていけるような形で運営ができるわけです。その運営も月額三万円程度あればできるのですから、こういうようなやり方の厚生施設も私は具体的に考えていっていいのではないかと思う。何かNHK一つのワクに閉じこもって自分だけの頭で判断をしたことをやっていっているわけだが、そういうよそのやっているようなことについても大きく目を開いてやってみて、悪いところは取り入れる必要はございませんから、いいところを取り入れてやってしかるべきではないか。自前でどんどん建てていくことはけっこうですけれども、それほど共済の資金がだぶついていることもございませんでしょうし、それだけの資金の償還ということについても困難であります。だから、年に一つ二つそういう保養所が自前でできていくということもけっこうでありますけれども、それと同時に、今言ったような会議施設的なものを、せめて県庁所在地程度には設けるというようなことを一つ考えてみていいんじゃないか、こう思うわけでありますか、その点どうですか。
  247. 前田義徳

    ○前田参考人 全く御同感でありまして、三十五年度からと言うとちょっとおかしいですが、今後積極的にそういう方向をとって参りたいと私どもも考えております。
  248. 片島港

    ○片島委員 住宅のお話なんかございまして、また住宅手当の支給もございますが、地方の社宅、NHKの古いところの社宅は、これはすばらしく貧弱だ。ところがその人——私の知っておる社員ですが、東京に今度転勤になった。協会の方に転勤になって、非常にこぼしておるのは、こちらの協会のアパートに家族連れで入ったのだけれども、がたぴしゃでものすごい。またこれが古い建物で大へんだ、地方におった方がよかったといって、こぼしておったのでありますが、この住宅の手当をいろいろ支給されるのもいいけれども、今は御承知でもございましょうが、電電公社あたりでも、その他どこでも、会社あたりでは、実にりっぱな、われわれから見るとこれは少しよ過ぎはしないかというくらいのアパートが、家族でもまあ三間も部屋をとったり、それからおふろもつく、何もつくといったようなものがりっぱにできている。有料ではありますけれども、きわめて安い。やはりこういうふうに、手当を出すということもだが、そういうふうな面で、アパートなんかを整備していく。そうすれば、転勤なども非常にスムーズになると思うのでありますが、そういう点も考えておられるのでありますか。
  249. 前田義徳

    ○前田参考人 実は二年ほど前まで、御指摘のようなものが東京に三カ所ばかりございまして、そのうちの二カ所はすでに改修いたしまして、新しくしております。それから一カ所は、多分私の記憶では、もう廃棄したと思います。ここ二、三年来そういう点にも心を配りまして、大体東京の中のものは、先生が御指摘のような方向に向かっていると考えております。
  250. 春日由三

    春日参考人 地方、東京含めまして、老朽の宿舎の改善は、今、前田専務理事から御説明申し上げました方針によりまして、三十五年度予算では、三億四千三百万円計上いたしております。これによりまして、全国の社宅の九十二戸、世帯寮八棟、独身寮一棟というものが、建てかえまたは新規になり得るという予算を計上しております。
  251. 森本靖

    森本委員 それで予算的な問題は一応終わりまして、具体的にこの三十五年度の事業計画について若干聞いておきたいと思いますことは——これから先は、時間があまりないようでありますから、急ピッチに質問をしていきますから、具体的にこれらというふうに一つずつ明確にしていただいた方が早いと思いますので、そういうふうにお願いをしたいと思います。  まず、十五ページにありますところの「外国電波による混信の防あつ並びに老朽設備の改善、近代化につとめる一方、」こうあるわけでありますが、この中の「外国電波による混信、」この外国電波の具体的な国の名前をあげてもらいたいと思うわけであります。
  252. 溝上けい

    ○溝上参考人 ちょっとここへ克明な資料を持ってきていませんから、あとからお答え申し上げます。
  253. 森本靖

    森本委員 それでは、外国電波のその国と、それからその周波数と、それからこちらの方の混信をしておるところの放送局と、それからその周波数というのを、これは資料でもけっこうでありますから、あとで一つ出していただきたいと思います。  それからその次に、「放送時間を延長し、学校放送、科学技術教育番組等教育放送の充実につとめる」云々ということがあるわけでありますが、これは一つ十分に心してもらいたいことは、放送時間を延長することだけが能でないわけでありまして、放送時間を延長しても、番組の内容が充実をしなければ、これは何にもならぬわけでありまして、現在の番組においてすら、視聴者が非常に少ないということもあるわけでありますから、量も大事でございますけれども、具体的には質を十分に私は考えていってもらいたい。ここで具体的にNHKテレビラジオの週間のものを、私は日を申し上げてもいいと思いますけれども、そういう時間がありませんので、ここではそういう要望だけをしておきたいと思いますが、そこで特に具体的な問題一つだけ聞いておきたいと思いますが、この間NHKの報道班員が、アフリカを、テレビ・カメラを持って回っておりますが、あの経費は大体どのくらいかかっておりますか。
  254. 前田義徳

    ○前田参考人 七百万円未満でございます。
  255. 森本靖

    森本委員 私は特に一つのものを取り上げてどうこう言うわけではございませんけれども、ああいうふうな番組と申しますか、やり方というものは、非常に教養的にもなるし、また教育的にもなるわけでありまして、しかも興味深く見られるということでありまして、こういうことについては、かなり金をかけて、NHKがやるべきものじゃなかろうか。特にNHKの公共性という立場から見た場合には、ああいう番組こそ充実をされていった方が、視聴者も多いし、また公共放送としての建前からいっても非常にいいんじゃないかという気がするわけですけれども、こういう点については、一つ十分に将来も続行していってもらいたいということを、特にこの際申し上げておきたいと思うわけであります。それと同時に、この番組の中で、前から私は申し上げておりますけれども、この前も委員会で論争いたしました映画の問題であります。何といたしましても私は納得がいたしかねるのは、NHKの外国映画の劇映画であります。これは、私が子供の時分の劇映画を今ごろやっておるわけでありまして、非常になつかしく見るという点ではいいわけでありますけれども、子供あたりと見ておって、これはお父さんが七つか八つのころの映画だということになりますと、子供たちは全くあぜんとしておるというふうな映画が、今日堂々とNHKでやられておるわけでありますけれども、これは何とか一つ、それほど新しいものということではないわけでありますけれども、三、四年ぐらい前の名画というものについては、何とかやられるような方法を、もう少しNHK自体としても考えてみてしかるべきじゃないか。今のNHKの劇映画というものは、まるで骨董品の、外国映画の姥捨山であるというふうに、極端な批評を下すならばでき得ると思うわけでございます。一つこの劇映画の問題については、将来も十分、私はもっともっと力を入れて考究してもらいたい。大臣みたいに、考究いたしますというような答弁だけをして、何もしなかったら何もならぬわけですけれども、一つこの点については十分に考えてもらいたい。いつまでもああいうふうな、十年一日のようなやり方は、何とか脱皮できぬものか、こういう気がするわけでありますが、一つこの辺はベテランの前田専務理事から御回答願っておきたいと思うわけであります。
  256. 前田義徳

    ○前田参考人 映画の問題の前に、「アフリカ大陸を行く」というような企画を、今年度中には、放送記念日、三月二十二日を中心にして「東南アジアを行く」という番組が出て参ります。それから三十五年度は、「中南米を行く」というのと、それから「中近東を行く」——キプロス島までを含んだ「中近東を行く」という企画をいたしております。大体予算は、アフリカの場合とほぼ同様でございます。これによって御期待に沿えるものが出てくると考えております。  それから映画の問題につきましては、いろいろな問題があることは先生も御承知のことと思いますが。それを打開する道としては、現在のところ実は三つしかございません。第一は、独立プロのいい映画を発見すること。それから第二は、外国映画であればアメリカ系以外のものから新しい映画を発見することだと思います。最近実はハンガリーその他とも、国交を回復して参りまして、イデオロギーを含まない文芸映画がかなりできておりますので、これらの方向とも、私どもは現在接触を保ちつつあります。それからまたフランス系、あるいはイギリスの独立プロ系というものとも接触をとっております。それからまた世界全体の傾向として、従来の商業映画のほかに独特のテレビ映画を作る傾向も大きくなってきておりますので、この点にも注目いたしまして、それぞれの具体的な交渉を現在始めております。ただ日本のものにつきましては御承知の通りの環境にありますので、明年度は三十四年度の失敗を反省しながらNHKとしてもかなりの自主製作映画を作って参りたい、御審議をいただいている予算の中にもそれを実は盛ってあるわけであります。こういういろいろな接触を保ちながら、できるだけ御期待に沿えるような番組にして参りたい、このように考えております。
  257. 森本靖

    森本委員 ちょっと聞いておきたいと思いますが、「事件記者」というのはNHKじゃなかったですか。
  258. 前田義徳

    ○前田参考人 ええ、NHKです。
  259. 森本靖

    森本委員 私は非常に不思議に思うのは、NHKにはいわゆる一般の映画を乗せるわけにはいかぬ、それで乗ってない。肝心のNHKの「事件記者」は一番評判になったテレビ番組であります。これが商業的に映画になって映画館で堂々と上映されている。これはかなりの興行収入も上げていると聞いている。そうするとNHKでせっかくやってあれだけ評判になったものが映画になって映画館では上映されるけれども、映画の方の分は一つNHKに還元してこぬ。あの辺はどうも不思議に思うのですが、その辺の政治的なかけ引きというかテクニックというものは、もう少しうまくいかぬものですか。
  260. 前田義徳

    ○前田参考人 その点は、従来も大体NHKか版権を持ち、NHKの創意によってできた番組が映画化される場合は、原則としてNHKがこれを放送に出すという建前になっております。ただ、二、三のものについて、俗にいう六社協定の中で非常にもんだものがございます。「事件記者」につきましては舞台の演劇と映画ができておりますが、舞台劇についてはNHKの番組よりもはるかに劣っておったということと、それから「事件記者」自体といたしましては、NHKの番組が映画のそれよりも先行しているという建前で、またたとえばそのほか六社協定との関係もございますが、それはわれわれの方も進んでそれを放送に取り上げようという気はなかったわけでございます。
  261. 森本靖

    森本委員 私が言うのは、あの「事件記者」なんというのは大体NHKが始めて、そうしてあれだけの評判になった。その評判になったものを映画会社は映画化して興行成績を上げておる。そういう場合にはその代償として民間の映画産業の方からも一つ二つこっちへ入れたらどうかというくらいの政治的な話はできぬものかなという気がするわけであります。それ以外にNHKNHK独自の一つの版権を持った非常に評判になったプログラムがあるわけであります。そういうプログラムについてかりにテレビでやったやつをもう一ぺんやった場合に興行価値があると見た場合は、映画会社は商売でありますから、おそらくやると思います。そういう場合の一つの取引と申しますか、かけ引きと申しますか、そういうところで、向こうのものもこっち側に取るというふうなこともできるのじゃないかという気がするわけでありますが、その辺どうですか。
  262. 前田義徳

    ○前田参考人 お言葉の通り、実は折衝は従来からもやっておりますし、現在も繰り返しております。少なくともNHKが考え出した番組を映画化することによって商業利益が上がるならば、これに対してNHKを特別に考える必要はないだろうということは続けてきわめて執拗に折衝しております。しかしまだそれに対しておほめをいただくような結果にはなっていないというのが実情でございます。
  263. 森本靖

    森本委員 そういう点については、かりに「事件記者」だけでなくしても、将来もこういう問題が起こってこようと思うわけでありまして、その辺は、この間ここに来られた参考人の映画会社の方たちはなかなか強硬なことを言っておりましたけれども、そうなって参りますと、これは一つの商売で、商売というものは取引、それからかけ引きになってくるわけでありますから、お役所相手の仕事とはだいぶ違うわけであります。いずれにいたしましてもNHKはよいものを多くの国民に見せるというのが本来の行き方でありますから、普通の映画でもよいものはどんどん公開をして見せるという方式に従って、そういう取引といいますかかけ引きというものも大いに今後もやってもらいたい。さらにまた独立のテレビ映画の製作をするというふうな話がだんだん持ち上がってきておる、こういうことでありますけれども、あの「事件記者」の問題を見ても、テレビに映画を流して、テレビ用の映画として作った場合には一回きりしか使えないというのは非常な難点であります。しかしテレビに流しても、また流したと同じような映画をさらに一般の興行上映をすることもあくまで不可能ではない。一流館の封切り等においては無理かもしれませんけれども、これを二流館、三流館等に流せばまだかなりの興行収益は上がるのじゃないかという気がするわけであります。その点も一つ具体的に聞いてみたいと思っておりましたが、時間がありませんのでその質疑応答はやめますけれども、そういう点も一つ十分に考慮して、このテレビ放送における映画の面の開拓については、さらに一段の御努力を願っておきたい、こう思うわけであります。  それからこの建設計画の中で、東京、大阪においてUHF帯による実験局の建設をする、こういうことでありますけれども、現在のNHKのFM放送は具体的にどういう出力でどこでやっておるわけでありますか、それを簡単に御説明願いたいと思います。
  264. 田辺義徳

    ○田辺参考人 お答え申し上げます。現在のFM放送は東京と大阪で八十メガ帯のVHFでやっております実験局でありまして、現在定時放送は一キロワットでやっております。
  265. 森本靖

    森本委員 その東京、大阪で現在やっているものはやめて、今度のこの十七ページにあるのをやる、こういうことですか。
  266. 田辺義徳

    ○田辺参考人 FM放送につきましては現在VHFの波で実験放送をやっておりますが、VHF帯では波が十分取れないであろうということで、将来波がたくさん取れますUHF帯をどうしても開発していく必要があるだろうということで、私どもの考えとしましては、当分は東京、大阪におきましては現在のVHF、UHFとパラレルに実験していきたいと思っております。
  267. 森本靖

    森本委員 現在は両方行なう、こういうことでありますが、これは郵政省の方針に非常に関係があるわけでありまして、われわれが聞くところによりますと、郵政省としてはこのUHF帯で行ないたいという意向を持っておるがなかなか話がつかない、特にこれは製造メーカーなんかとの間において話がつかめないというふうに聞いておるわけであります。しかし、ここに出て参ったのは、具体的に現在VHF実験放送をやっている、さらにその上にNHKがUHF実験放送をやらなければならぬ、まあ公共放送であるから特にそのくらいのことはやれということでやるならばけっこうでありますけれども、それならそれで、それだけの金を出してやる、本来は郵政省がこの金は見るべきであります。ところがそういう金は国際放送の一部分を見るということだけであって、前から私が言っておりますところの、放送法に基づくところの技術研究その他についてはびた一文郵政省NHKに金を出しておらぬのが今日の現状であります。そういう観点からするならば、今回のこのUHFによる実験局を建設することは、日本の将来のFM放送研究課題からいたしますればそれはけっこうだ、しかしNHKの経営状態から見るならば、少なくともこういう非生産的なやり方は私はほんとうは納得がしがたいのであります。本来ならばいずれかにきめてこれをやるべきであるわけでありまして、どちらかの実験放送をやればよろしいわけであります。それをわざわざこのUHFによる実験局を建設するということになりますと、それについては六億三千六百万円と、こう出ておりますが、この六億三千六百万円というのはUHF帯による東京、大阪の実験局の経費ですか、まずそれをちょっと聞いておきたいと思います。
  268. 春日由三

    春日参考人 東京、大阪におけるUHF帯による実験局の建設費は四千万円、この六億三千六百万円は前の方のラジオ放送網計画から全部合わせたものです。
  269. 森本靖

    森本委員 そうすると、四千万円と、それから現在三十四年度におけるVHFの実験局の経費は何ぼかかっているわけですか。——わからなければあとでけっこうですが、大体この経費をどうということじゃないわけでありますが、郵政大臣、どうなんですか。電波局長でなしに、これは政治の感覚でわかる問題です。周波数のこまかい問題が具体的にどうのこうのということを聞いているわけではございません。FM放送の将来については、いずれかの波を取ってやるということをもはや郵政省が政治的に判断をしてきめるべき時期にきておるわけであります。それをきめて、NHKはその方針に従ってこの実験放送をやるということが正しいわけです。今までNHKとしては、FM放送については実験しなければならぬということで、VHFをやってきた、ところが今度は郵政省の方針がどうもUHFになりそうだ、UHFの株も買うて、一応実験放送をやっておかぬと、郵政省電波当局のごきげんが悪い、こういうことになるとNHKはありがた迷惑だ、両方ともやらなければならぬ。こんなことを民間放送がやっておったらつぶれますよ。NHKは公共放送で料金が親方日の丸だからできる。民間放送じゃこんなべらぼうな計画はないと思う。この点について大臣どうですか。
  270. 植竹春彦

    植竹国務大臣 VHFでやるかUHFでやるかにつきましては、今役所の方でも鋭意研究しておりまして、ゆうべも実は国会が済みましてから相当長時間いろいろディスカッションしたのでございますが、まだ今日のところ、国としてもし本放送をやるならばどっちでやるかというまでは踏み切っておりませんけれども、ただいま御意見の通り、もう方針だけは確立すべき段階にきていると存じますので、さらに鋭意研究いたしまして、結論を出したいと思っておりますが、しかしUHF帯におきます研究も日本のどこかで本腰を入れて実験し、研究していかなくちゃいけない、さように考えまして、NHKがこれをやりますことを私たちの立場としてはしごくけっこうだ、さように考えております。
  271. 森本靖

    森本委員 それはやることはけっこうですよ。やることはけっこうだけれども、やらされる方にとっては、どっちもやらなければいかぬなんということは非常に迷惑だろうと思う。やはり、かかる点は明確に郵政省の方針を示して、そしてその方針にのっとってNHKが実験放送をやるというなら話はわかるけれども、今までVHFでやるというのが、大体波の取り方からかれこれして、UHFでやった方がよろしい、やったところが業界の方とひっかかって、とりあえずNHKは公共放送だからお前のところは両方やって研究しておけ、おそらくこのくらいのことで電波局長予算承認をしただろうと思うわけです。普通民間放送ではこんなことはできぬと思うのであります。こういう問題が出ておるからこの際特に私は申し上げたわけでありますが、一つこれこそカラーテレビと同じに——カラーテレビはえらい急いであなたはやりましたけれども、それ以上にこのFM放送については将来中波放送との関係放送のあり方、それからその波の取り方、あるいはその放送の今後の行ない方、こういうことについてこそ早急にこの際郵政省は検討して早くやるべき必要があるのじゃないか。特にあなた現況を見てごらんなさい。全国の民間放送会社が全部この許可申請を出している。これは前のテレビの許可申請のときに民間放送業者はこりたのです。三年先になるか四年先になるかわからぬけれども、とにかく一口買うておかなければ話にならぬ、こういうことで、全国の放送会社が三年先になるか四年先になるかわからぬものをみんな出している。前のテレビの免許をするときには、四つ出てきておったら、四つとも一つ話し合いをして仲よくやれ、こういうことになったものだから、あのテレビの免許のときには非常に大きな弊害があった。FM放送の場合にももう一回そういうことになりはせぬか、これはとにかく先にその株を買っておかなければならぬということで、全国の民間放送会社が今こぞってこの許可申請をしている。こういう状況下において一番迷惑なのはNHKであって、両方とも実験放送をやらせる、こういうことになるのであって、だんだん弱いところに弱いところへとしわ寄せがいくという格好になるのは非常にまずいと思う。この辺は、大臣の政治的な手腕もそうでありますけれども、事務当局の筆頭者でありますところの電波監理局長も、この問題についてこそ一つきぜんたる態度をもって早急に結論を出して、天下にその政策というものを明らかにすべき段階に今日きている、こう考えるわけであります。電波監理局長はここで蚊の泣くような答弁をしておっても、これは何といっても最高の責任者なんだから、中外にこの問題については——あなたの動向が一番注目されているわけであります。こういう時期に際して、特にこの十七ページの予算関連をして申し上げておきますけれども、電波監理局長こそはこの問題について大英断をもって確固たる方針を早急にきめるべきである、こう考えるわけでありますが、一つ電波監理局長の確固たる決意をこの際聞いておきたい、こう思うわけであります。
  272. 甘利省吾

    甘利政府委員 ただいまおっしゃいましたような段階ではございますが、何しろUHFというものはまだ技術的に解決しておりません。しかしながら、やはり今後これを解決をせざるを得ない情勢であります。従って非常に急ぎまして、技術レベルの高いNHKにUHFの実験をやっていただいているわけでございまして、これは技術的なことで、もちろんやってみませんとどういう結果になるかはわかりません。なお、電波の問題以外に、これを受信する受像機がはたして一般に普及するような低廉なものが十分できるかどうか、そういう点に非常に大きい問題があるわけです。現在のVHFでは大体使用できるという段階に達しておりますが、まだこれとUHF帯を使いました場合と比較する実験も残っておりますので、そういう意味で両方並列に実験をしてもらっております。できるだけ急いで研究の成果を上げて方針をはっきりきめたいと考えております。
  273. 森本靖

    森本委員 今の電波監理局長答弁を聞いていると、私が言ったようにNHKは実験放送を両方ともやって、そしてその結果というものを郵政省としては見ているという意味が含まれているわけであります。私が言わんとするところは、元来そういう趣旨においてこの予算承認し、意見書をあなた方が国会に提案するということになれば、この第二十五条の適用というものを考えてやってもいいじゃないか、いつでも国際放送についての援助は一応考えているけれども、技術研究放送研究に対する援助というものは、いまだかつて一度もNHKにあったことがないのであります。こういうFM放送については、郵政省自体が頭をあっちにかしげ、こっちにかしげして今苦慮している。電波監理局長の胸中は非常に苦慮していると私は思う。だからこそ、NHKにこういう実験放送をやらせ、そしてその成果を見守っていきたい、受信機の普及度合い、そういうものについても考えていきたいというのが今の郵政省の考え方だろうと思うわけであります。そういうことならば、もしNHKにやらせるということならば、少なくとも技術研究放送研究ということの条項があるわけでありますし、そういう場合には国が補助金を交付してもよろしいということになっているわけでありますから、こういう場合にこそこの条項が適用されて、郵政省がある程度めんどうを見てやってしかるべきではないかという気が私はするのであります。とにかくめんどうくさいものについては全部NHKにやらして、その結果を見て金は一文も出さぬ、首をかしげてもこれは実際ですから仕方がないわけであります。そういうようなことを全部しょわせていくということはどうか、こういうことを言っているわけでありまして、一つ将来ともこの点については十分に郵政省としてもお考えを願っておきたい。  それからまたNHK自体も、この際私は特に要望しておきたいと思いますが、それは大がいあなたの方は郵政省にそういうことは言っておるだろうと思いますけれども、予算編成のときにはえてして長いものには巻かれろ式になりがちなものであります。しかしこういうことは、私はやはりきぜんとして言った方がよろしいと思う。もしそれで曲がったことを郵政省が言う場合には、私の方はそういうことはできませんということを、ときたま言ってもいいんじゃないか。こういう点については、私は遠慮なく郵政省NHKがそれぞれの見解を出し合って、お互いにこの放送事業の発展のために、忌憚のない意見の交換をし合ってこういうものはやってもらいたいということを、特にこの際つけ加えておきたいと思います。  最後に一つ聞いておきたいと思いますことは、NHKが出しておりますところの教育放送テレビの置局計画、さらに総合放送の地方局の置局計画、これについて、郵政省としてはそれに対して意見を付して、最も妥当であるということであるならば、それに対応するところの具体的な波の問題についても、郵政省電波監理当局としては、大丈夫であるという認識のもとにこの置局計画を承認しておる、こう解釈してよろしゅうございますか。
  274. 甘利省吾

    甘利政府委員 その通りでございます。
  275. 森本靖

    森本委員 そういたしますと、少なくとも私は置局計画におけるところのチャンネル・プランの総合的な、いわゆる第二次チャンネル・プランと申しますか、地方局のそういう問題については、これは郵政省が総合的に全体を明らかにする必要があろうと思うわけであります。特にNHK予算だけを承認をし、そこにあるところの波だけを、もっともであります、こういうことでなくて、全体的にこれがどうなるか、たとえば同じようにNHKがその置局をいたしましても、その横にすぐ民間放送が置局をしたいという申請があろうと思う。しかし実際のテレビのチャンネル・プランにはそういうことのプランはない、そういうものを具体的に、テレビの第二次チャンネル・プランということについても、私は郵政省が全国的に発表してしかるべきではないか、もうその段階にきておるのではないか、こう思うわけでありますが、どうですか。
  276. 甘利省吾

    甘利政府委員 その御質問は前にもお伺いしまして、現在その地域だけで支障のないというところについては、全体の第二次プランができるに先だって、逐次免許をしていく、こういうふうに申し上げました。なお全国プランにつきましては、御承知のようにチャンネル・プランが相当不足しておりますので、特にこのNHKの教育テレビにつきましては、今後開発されるべき精密オフセット方式等の実験も行ないつつありますので、そういったものの結果を見ませんと、全体としてのチャンネル・プランは出て参りません。しかし現在行なっております実験の成果が得られましたならば、それから類推して——これはある程度机上の計算にもなるかと思いますが、そういう意味で全国プランの策定も可能になると思います。
  277. 森本靖

    森本委員 おそらく私はそういう答弁をせられると思っておった。しかしその実験段階ということを抜きにいたしましても、全国的な一つの方式というものを定めるということは、私は今日の段階では必要だと思う。そうしないと、このあなたの方のいわゆる許可方針というものが——NHK予算としてこういうことを国会承認をせられればいいわけであります。しかし民間放送の場合にはそういうことがないわけであります。民間放送は一体何を基準にして、その許可申請をし、またその放送を始めるということを一体何を基準にして民間放送は考えるべきであるかということになると、全く五里霧中である。何でもかんでもかまわぬから、とにかく出しておかなければ電波当局の耳に届かぬから、とにかく何でもかんでも出しておけということにならざるを得ないというのが、今日のこの放送関係のあり方であります。そういう観点からいくならば、一つこれは電波局長も考えて、物事をスピーディに運ぶことを考えてみないと、あっちにはこう言い、こっちにはああ言い、故障がこっちにもこうある、あっちにもこうあるということで、逡巡しておったのでは話にならぬ。これは大臣にも責任がある。大臣は、さっきかの答弁通り、これについての積極的な施策を明らかにするという意欲に欠けておる。これは、今日のそういうところの第二次チャンネル・プラン、FM放送の問題についても、すべてを明らかにしていかなければならぬ段階にきておるわけです。それがなおかつ今日そういうことで逡巡しておるということについては、私は疑問に思うわけでありまして、この点は一つ大臣も、できるならば放送行政についてはさらにスピーディに推進をしていくことを十分に考えてもらいたい、こう思うわけでありますが、大臣一つ最後に回答しておいてもらいたい。
  278. 植竹春彦

    植竹国務大臣 意欲に決して欠けておりませんので、この間からFMの実験をしているところを見に参りましたり、ごく近日中にも二カ所ばかり見にいく予定にしております。それから、先ほど御答弁申し上げましたように、迅速に検討の結果を上げていかなくちゃならない、さように考えておりますことは、全く森本委員の御高見の通りにいたしております。今後もさようにいたして参ります。
  279. 森本靖

    森本委員 その答弁のあった通り一つスピーディに実行してもらうことを、特に私はきょうは念を押しておきたいと思うわけであります。あなたは先ほどの答弁通りなかなかスピーディにやらぬわけでありますから、きょうこそはこの委員会ではっきりして、スピーディにそういうことをやっていくということを念を押してあなたに申し上げておきたいと思うわけであります。これは、特に郵政省だけの問題ではなくて、放送全般に非常に関係の深い事項でありますから、そういう点については万々郵政大臣としてはお考えの上、一つ進めてもらいたいということを考えるわけであります。  それから、最後がもう一つになりましたが、もう一つだけ聞いてこれで終わりたいと思います。あしたまた時間があればやりたいと思いますが、三十ページの固定資産の売却代金や放送債券償還積立金戻入額とかいろいろ書いてあって、ここに計五十億なんぼと書いてあるわけでありますが、三十五年度は、先ほど答弁がありました通り役務放送の五千百万円というものは予定がせられぬわけでありますか。
  280. 春日由三

    春日参考人 これは十三条の趣旨の通りに、従来とても毎年の国会提出いたしますNHKの本予算の中には、計上してございません。現実にお金が入った場合には、直接その仕事に右から左に充てていくという形で今日まで参っておるわけでございます。従いまして、この予算書の中には全然予定をいたしてございません。
  281. 森本靖

    森本委員 私は、今度の安保条約の改正行政協定改定においても、もはやそういうやり方は改むべき段階にきておるのではないかと思う。この役務放送の五千百万円についても、大体年度当初の計画において五千百万円というものがあるならば、五千百万円というものを予算に組んで、そうしてその五千百万円の使途については、予算の中においてこれを使用していく、そうして予算総則におけるこの最後の条項というものはどけていくべきではないか、これは占領下にありますときの体制がそのまま続いているのじゃないか。岸総理の言葉で言いまするならば、もはや対等の立場に立って改正しようといっておる政府が、今さらこういうふうな条項予算総則に盛るということ自体おかしいのでありまして、そういう収入見込み方については、これは明確に入れて、そうして今度は支出の項にその予算を組んで、一般予算と変わらないやり方をこれからとるべきである、こう私は考えるわけでありますが、これはNHKでなくて、電波監理局長に聞いておきたいと思うわけであります。
  282. 甘利省吾

    甘利政府委員 私は当然そうすべきだと考えております。
  283. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 早稻田柳右エ門君。
  284. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 一点だけ伺っておきたいと思います。NHKの職員は、仕事の性質上残業する場合が非常に多いと思いますが、超過勤務手当はどんなふうにいたしておられるか、一応伺っておきたいと思います。
  285. 赤城正武

    ○赤城参考人 そういうような時間外賃金につきましては、基準賃金を時間に換算いたしまして、その基準賃金の一時間分を基準賃金として計算しております。——ちょっとおわかりにくいですか。
  286. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 わからぬですね。
  287. 赤城正武

    ○赤城参考人 一例をあげてお答えいたしますと、執務時間一時間につきまして基準賃金の一時間分の一・二五ということになるわけでございます。
  288. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 その支給方法は労働基準法の各条項に照らして十分なものを出しておられますか。
  289. 赤城正武

    ○赤城参考人 十分なものを出しているつもりでございます。
  290. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 それでは一つ伺いたいのですが、NHKは部局によりまして残業手当の出し方が非常に差異がある。ある部局は非常にたくさん払っておるが、ある部局は残業しておっても、実質上は払ってないということをしばしば聞いておって、部局間の相互に差異のあるということは、労務管理上これはあまりおもしろくない、好ましくない、こう思いまするが、そういうことがありますか。
  291. 赤城正武

    ○赤城参考人 そういうことはないと思います。きょうはこまかく調べておりませんが、時間外勤務をした者については、その時間外勤務に応じて賃金を払えということは十分言っております。部局ごとに違っておるというのはその全体の額として、ある部局には基準外賃金の非常に多い部局と少ない部局、これは仕事の性質上そういう違いは全体として部局間の比較においてはあるわけでございますけれども、個々の人もやはり仕事の繁閑によって基準外賃金の一カ月分の受け取りの絶対額が違ってくることは、これは十分あり得ると思います。
  292. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 仕事の性質上、残業の時間が多い、少ないということは、これは当然のことだと思いますが、しかし実際は時間外勤務をしておるにかかわらず、職種によって時間当たりの手当が支給されないということがあってはまかりならぬと思うわけですが、私どもの聞くところによると、NHKは部局によって時間外勤務を実際しておっても、予算の配分がないから支給できぬというところがずいぶんあるやに聞いておりますが、事実はどうなんですか。
  293. 赤城正武

    ○赤城参考人 もしそういうことがありとしますればそれは労働基準法に照らしましても大へんいけないことでございまして、もしあるとしますればそういう点は今後十分注意してやっていきたいと考えております。
  294. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員 これ以上追及しませんが、これは事実あるのです。これはしばしば耳にしておるところでありますが、先ほど森本委員から待遇改善にあたっての格差が多過ぎるというような説がありましたから感じたわけですが、残業手当の支給にあたっても予算の配分がないからお前は残業しても時間をつけてやらぬということで支給されてないというところが現実にあるのでございます。こういう点は不公平のないように善処願いたい、こう思うわけです。NHKは全国知られた待遇のいいところといわれておりますけれども、内部にそういうようなことがある結果が先ほどお話のあったようにすわり込みになったり、あるいはストを起こすというようなことに相なりますので、われわれはこの点を非常に憂うるわけですから、十分一つ監督せられてそういう不平不満のないように最善の方途を講ぜられんことを望みまして、私の質問を終わります。
  295. 進藤一馬

    ○進藤委員長代理 次会は明十七日木曜日午前十時より理事会、十時三十分より委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十六分散会