○
松前委員 私は大臣が、この技術革新というものは人類の文化の進展に伴い、しかも人類の生活に対するところの重要な新しい問題として
考えなければならない基本問題だ、こういうふうな見解を持たれることに敬意を表します。ある
企業の
経営というようなものを
考える場合におきましても、やはり人の生活というものの基本問題を背景として
考えなければならない。これは言いかえると
一つの哲学的な問題であると思うのでありますが、いわゆる技術革新によって一人当たりの生産力が著しく増大するという場合においては、その人間に対する報酬なり勤労時間なり、あるいはその他の労働
条件なるものを一体どのように
考えたらよろしいのであるか。なに、いい機械ができてどんどんオートメーション化したから、もう君ら要らぬからここから出ていけ、おる人間に対しては、君はもうそれでもって十分勤務時間、勤務場所を与えてやったから、給料をもらっておれ、こういうふうな
考えでよろしいのかどうかという問題でありまして、私
どもが今人類の一人として取っ組んでいる
一つの技術革新という新しい現代に対処して、われわれが今当面しているところの非常に大きな疑問と申しますか、問題はそこにあると私は思うのであります。そうなってくると人間というものはときどき原子爆弾で戦争でもして
——原子爆弾ならほとんど死んでしまうかもしれませんが、いわゆる人減らしをやる、人口を減らしていくということでもしなければならぬということにもなるのでありまして、私はそういう地球上の基本問題にぶつかっておると思うのであります。そういう点からこの問題と取っ組んでいかないと、わけても
日本のような人口の多い国でありますから、この問題については非常に慎重にかまえていかなくちゃならない。言いかえると、このオートメーション化ということを
日本においてどの
程度まで進展せしめてよろしいのであるかどうかという問題は、アメリカやあるいはその他の失業者の一人もいない、人間が足りなくて困っているような国々と
日本と同じようにこれを
考えてやっていく場合においては、私は大きな社会問題を起こすものであると思うのでありまして、政治的には社会問題が起きると
考えまするが、哲学的な問題としては、やはりこの地球上における一定の人口とオートメーション化との関係というものが基本的な問題としてここに起こってくると思うのであります。こういう
意味からしまして、ただ単にオートメーション化して余った人間は、なに、ほかでもって
仕事をふやすからそっちに配置すればいいのだ、それだけの
考えでは私はどうもいかぬと思う。これはアメリカその他におきましてもすでにそれだけでは解決していないばかりか、労働
条件その他に非常な改善を施して、土曜も休みにするとかあるいは六時間労働にするとかいろいろしております。ですからそういう基本的な問題にぶつかるのでありますから、私が今大臣に政府としての統一した見解を伺いたいと申したのはそれであります。そういう
意味から私はお尋ねをしておりまして、ただ首を切らぬから君はあっちに行って働け、その
程度では私は済まされない時代が歴史の中に訪れてきていると思うからここに
質問をしているわけであります。この点についてのこういう立場からの御見解と、もう
一つ、この第二次五カ年
計画を設定されるに至りました道程において、雇用の問題とオートメーションの問題にどのような関連性を持ち、思想的背景を持ってお作りになったのか、その点を人数その他の問題は別として、いわゆる
考え方の基本を伺いたいと思うのであります。