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1960-05-16 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第30号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十六日(月曜日)     午後二時三十七分開議  出席委員    委員長代理理事 飯塚 定輔君    理事 纐纈 彌三君 理事 渡海元三郎君    理事 門司  亮君       池田 清志君    金子 岩三君       亀山 孝一君    鈴木 善幸君       津島 文治君    富田 健治君       二階堂 進君    山崎  巖君       太田 一夫君    川村 継義君       安井 吉典君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         警  視  監         (警察庁保安局         長)      木村 行藏君  委員外出席者         警  視  長         (警察庁保安局         交通課長)   内海  倫君     ————————————— 五月十六日  委員加藤精三君、津島文治君、中島茂喜君及び  古川丈吉辞任につき、その補欠として二階堂  進君、保科善四郎君、池田清志君及び鈴木善幸  君が議長指名委員に選任された。 同日  委員池田清志君、二階堂進君及び保科善四郎君  辞任につき、その補欠として中島茂喜君、加藤  精三君及び津島文治君が議長指名委員に選  任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  道路交通法案内閣提出第五八号)(参議院送  付)      ————◇—————
  2. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 これより会議を開きます。  濱地委員長には本日病気のため出席できませんので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。  道路交通法案を議題とし、質疑を継続いたします。太田委員
  3. 太田一夫

    太田委員 ただいまから主として警察庁並びに自治庁長官に、各条にわたります問題点の中で、これはというところだけ抜き出しまして、念のためお尋ねをいたしますので、そのおつもりでお答えをいただきたいと思います。  まず第四条の信号機設置条項関係することでございますが、これは特に委任を受けた者が、道路における危険を防止するために信号機設置することができるのでありまして、この例の中に、鉄道の引込線に対する信号もこの考え方の中に入れて、できる限り道路平面交差になっておるところは信号機設置して道路交通の円滑と安全をはかるようにいたしたいという気持警察庁当局にあり、運輸省当局にも同意見があったことを思い出します。そうしますと、一番問題になりますのは、廃線同様のところで、信号機等がないために、今度の新しい法令によって必ず停車しなければならぬという義務が課せられまして、非常に運転者も過労になりますし、交通の円滑またそこなわれるわけでありますので、そういう頻度の少ない引込線などにおきましても、極力信号機をつけて円滑をはかるようにすべきだと思う。こういう点につきまして、警察庁当局といたしましては、この第四条に基づいて、信号機設置を極力関係方面と打ち合わせの上実現される決意であろうと思いますが、御決意のほどを  一つ承りたいと思います。
  4. 木村行藏

    木村(行)政府委員 今のお説の問題につきましては全く同感でありまして、その線に沿って極力実現するように努力して参りたいと思います。
  5. 太田一夫

    太田委員 全く同意見で、それを信頼をいたしますので、特に交通ひんぱんなところにおける工事引込線については格段の配慮をして、信号機を必ずつけるということが一日も早く実現するようお願いいたしたいと思う。  続きまして、第六条の混雑緩和措置に関する問題でありますが、これは実は非常に参議院以来議論をされて、これがあとの七条とも関連をいたしまして、何か国民の集団的な示威行進まで弾圧を受けるじゃないかという心配がありました。これに対して内海課長は、小委員会などにおきまして、参議院でも非常にこのことをやったが、われわれはそういうことは考えておらない、デモの弾圧など考えておらないという真意を伝えたつもりである。道の交通がスムーズにいくということを考える以外に他意ないのでありまして、車両の流れをよくするためだということが本来の考え方であるから、決してそのような集団的示威行進等を押えるということはない。そのために参議院におきまして第六条の修正もしていただいた。こういうお話であったように承りますが、その点は確かでございますか。
  6. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお話しのように、第六条、第七条等に関しまして参議院でもいろいろと御質問がございまして、われわれとしましては、全くただいまお述べになりましたように、内海課長の御説明申し上げたごとく、交通の円滑、特に車両の円滑なる運行ということをぜひとも確保したいという趣旨にほかならないのでありまして、この第六条のみならず、道路交通法によりまして労働運動に圧力を加えるとか、これを阻害するというような考えは毛頭持っておりません。
  7. 太田一夫

    太田委員 よくわかりました。次は第十五条についてお尋ねいたしますが、通行方法の指示を警察官路歩行者に対してやりました場合、これの言うことを聞かない場合におきましては、一万円以下の罰金と相なっておりますが、この適用の問題につきましては、右側通行並びに横断の問題、それから横断禁止場所では横断してはならない、歩道の歩き方、こういうことにつきましては、取り締まりは、注意をしてもどうしても聞かないというような悪質なものをここでとらえて罰するつもりだ。これはたしか中川刑事局長の御意見だったと承っておりますが、そういう気持が十五条の中にあるのでございますか。
  8. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 十五条につきましても、ただいまお述べになりました通りでございまして、できるだけ警察官によって指導をし、正しい歩行をさせるということに極力努める。どうしてもこれにかえんじないような悪質なものついて、やむを得ない場合罰則の適用によってこれを確保するようにしたい、こういう趣旨でございます。
  9. 太田一夫

    太田委員 その場合、もうちょっとお尋ねしておきたいのですが、やむを得ないということでございますけれども、これは自動車交通を軽く見て、歩行者保護を重点的に見ました場合には、この取り締まりが非常に空文化する。ところが歩行者の命を守ることと、運転者の円滑なる運転ということをあわせて保護してやるというかね合わせから見ますと、これは必ずしも空文でないと思うのですが、その適用についてはどのようなウエートのかけ方があるのでしょう。
  10. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 確かにお話しのように、決してこれは空文化し、単におどしというような気持で作ったものではございません。もとより歩行者の正常な歩行ということを確保すること、これは歩行者保護であると同時に、車両等一般交通の円滑を期するゆえんのものでありますので、先ほどお述べになりましたよう、悪質なものについてはやはりしつかりと取り締まりを行なって、歩行者保護のみならず、自動車その他の車両運行を阻害しないように、交通の円滑を期するという趣旨も十分に考えて、運用に誤りなきを期したいと思います。
  11. 太田一夫

    太田委員 二十一条に関連をしてお尋ねをいたします。軌道敷内の通行は元来はできないことになっておりますから、電車優先の思想が強いのでありますけれども、道幅が、左半分の道がその車が通れない場合には、軌道敷内に入ってもよろしいと許容されております。この左側を通れないというのは、東京都内にもかなりあるわけです。道幅としてはあるけれども、障害物があって通れない。そういうときには障害物から軌道までの幅を考えて、それが通れないときには軌道敷内を通ったって問題はない。こう思いますが、それでよろしゅうございますか。
  12. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいまお述べの通りでけっこうだと思います。
  13. 太田一夫

    太田委員 次にお伺いをしますが、優先車の問題ですが、優先の場合に、軌道車優先はあっても、どうしてバス優先というものは考えられなかったのか。この点は、バス運転手の方から、バス優先順序としては相当優先すべきものと思うが、これがどこにもいわれておらないのは不可解千万だという声があるのですが、それを入れなかった理由を端的に御表明をしておいていただきたいと思います。
  14. 内海倫

    内海説明員 立法いたします場合に、バス優先という問題は、関係方面からもいろいろ意見がありましたので、慎重に考えたわけでありますが、この道交法規定の中におきまするバス優先規定というのは、先ほどお話軌道敷内通行における電車の場合、あるいは緊急自動車というふうな特殊なものにつきましては、それぞれの規定をもって規定いたしましたが、それ以外のものにつきましての優先順序は第十八条に書いております。一項及び二項によっておるわけでありますが、この十八条を設けましたゆえんは、その重要性とかいうふうなことで優先順序を設けますよりも、その通行しておる自動車の大きさ、あるいはその持っておる性能としてのスピード、あるいはどこを通行させることがいいかというふうな考慮からこれをきめたのであります。そういう意味で、バスを特別に優先させる、あるいは特別に低くするというふうな考慮考えたものでなく、自動車一般として考えたのであります。しかしながら二十七条におきまして、その点につきましては特に考慮いたしまして、進路を譲る義務のところにおきましては、第一行目車両というところで、カッコでバス及びトロリーバスにつきましてはこれを除きまして、これらについては、二十七条に該当する場合におきましても進路を譲らずに、そのみずから進んでおるところを進むことができるというふうな観念を取り入れましたので、少なくとも道交法全体としましては、この二十七条においてバスは他の自動車よりも若干優先的な性格を持たしておる、こういうふうに考えます。
  15. 太田一夫

    太田委員 二十七条の進路を譲る義務についてお話がありましたので、ついでにお尋ねをしておきますが、なるほど大都市は大体そうだろうと思いますが、この進路を譲る義務は、普通の自動車の場合は、最高速度によって、速度の早いものが先に行く、こういうことになるわけです。そういう点につきまして二十七条は、そういうものに追いつかれた場合はいかなる場合でもスピードのおそいものはよけなければならない、左に避けなければならないというのは原則としてはよろしいですが、非常に交通ラッシュのひんぱんなところにおきましては、左に曲がることによって、かえって左から来る車に接触するという危険があるのであってこの運用はしゃくし定木にならないように、事故を防止するという点からいって、あるいは運転手同士の間に、なぜ左に寄らないか、道路交通法があるじゃないかということでけんかになって、妙な秩序の紊乱が起きないように気をつけていただく必要があると思いますが、その点はいかがでしょうか。
  16. 内海倫

    内海説明員 確かにお説の点はございまして、二十七条は道路交通の場合における一般的な規定をいたしましたので、これを確保いたしますためには、一方において通行区分帯を設ける、あるいは道路の整備をはかるということで、この原則が十分活用できるように措置していかなければならないわけでありますが、道路実態によりましては、二十七条が厳格に適用されるとかえって混乱を生ずることもありますので、そういう点につきましては、その実情に応じて運転手措置を是認する、あるいは実情に応じて警察官がそういう面に対する指導をしていく、そして結果的に事故が起きたりあるいは混乱が起きないようにしていくというふうな措置はとっておかなければならないと思います。
  17. 太田一夫

    太田委員 けっこうです。二十六条でお尋ねをいたします。車間距離保持でありますが、追突するのを避けることができるだけの距離を保てというのは、実は言うべくして行なわれがたい事情が多々出てくると思いますが、こういう非常に微妙な規定で、追突した運転手が、前車の追突された車の非常に不法な運転というか、拙劣な運転事故が起きた場合でも、これによって相当やられるおそれがある。これは一万円以下の罰金、飲酒していれば倍ということになります。その場合に前車関係がありますから、あとの車がぶつかった場合にも事情によっては相当情状酌量がなされるべきだと思う。この運用は十分でございましょうねとお尋ねをいたしたいのでございますが、いかがでございますか。
  18. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この点につきましては、現行法の十三条に共つきまして、政令の二十二条で「交通の安全を確保するため必要な距離を保たなければならない。」という規定がありまして、これが「急に停止したときにおいてもこれに追突するのを避けることができるため必要な距離を、これから保たなければならない。」こういうように若干具体的になりました。もちろんこの規定趣旨は、たとえ前の車が急に停車しても、あとの車が追突して事故を起こさないようにという安全確保のためでありますので、後車車間保持義務でありますので、その点では後車の責任は追及されますけれども、しかし前車の停車の工合によっては、その実情に応じて情状が十分酌量されることになるかと思います。
  19. 太田一夫

    太田委員 少し飛びまして、四十五条の駐車を禁止する場所条項についてお尋ねをいたします。この第二項は、右側に三・五メートル以上の余地があれば駐東をしてもいいと裏から読めるわけでありますが、この規定が合法的に駐車を認める、場合によっては車庫がわり道路を使うということを暗黙に認めたことになるのではないか、こういう心配があるのでありますが、この運用並びに実際の取り締まりについてはどのようなお考えでいらっしゃるのか、お尋ねをいたします。
  20. 内海倫

    内海説明員 この二項につきましては、立法の趣旨は、要するに道路というものに車がとまることによって、他の車がそこを通っていくということの妨害になるような形で駐車をしてはならないという、むしろ道路交通確保するための積極的な観点から規定いたしましたもので、それの裏読みとしまして、従って三・五メートルあるところには青空車庫の格好でとまってもいいということを奨励するような形で規定したものではさらさらないわけでございまして、われわれとしましては、まだ青空車庫を完全に禁止する規定の根拠を持っておりませんが、他の関係法令等とも十分連関を保ちながら、実質的に青空車庫というふうなものがびまんするということのないような努力を十分していきまして、道路道路としての効用を発揮するように努めたい、こういうふうに考えております。
  21. 太田一夫

    太田委員 ここでちょっと石原長官お尋ねをしておきたい。何か時間の関係がおありだそうですから……。実はその車庫のことに関連をいたしますが、車庫関連をいたしますと、運輸省道路運送法とこれがうらはらの関係で、いろいろ重大な緊密な関係も出  てくるわけです。そこで車庫の問題を必須条件として、車庫は必ずその車の常時駐車する近くに設けよということになれば、これだけではできないわけですから、運輸省の方の協力が要るわけです。しかし、それはなかなかできないから、できるだけ青空車庫をなくしていきたいという説明前々から聞いておるのですが、そのほかにやはり一つには車両検査というのがございます。この車両検査も、路上検査というのは、道路交通法上安全な車であるかどうかという確認をするための検査でありますが、これ本来車検というのが運輸省の管轄であり、陸運事務所のやることであります。そういう陸運事務所のやる現在の車検というものがいろいろ問題にされておりますが、これは実際いって、車がふえることに対応する人員の増加がない。こういう点に問題があろうかと思いますので、今とりあえず陸運事務所の帰属をどうするこうするという現状の大変革ということは急にはなかなかできないように承りましたけれども、将来この車検をしっかりやる、道路運送法上の免許、許可の問題をしっかりやってもらう。日本の国の道路行政自動車行政というものを、取り締まり行政の一面と両方一緒にしてうまく発展的に一歩々々進歩する方向でやってもらうためには、よほど運輸省と緊密な連絡をしてもらわなければならない。  それから先回国務大はおいでになりませんでしたけれども、通産省の方の意向を伺ったことがあります。通産省運輸省自治庁両方関係がありますが、オート三輪という非常な盲点になる車両がある。自動三輪車は、今でも自動三輪免許に入っておるわけですけれども、あの長さというのは、実は道路運送法車両法によって無制限であります。それから積載トン数も従って無制限です。ニトン半という大きなトラックにひとしいものがある。こういうものの製造については禁止すべき意図があるかと申しましたところが、運輸省では、そういう大きなオート三輪などを作ることは、安定にも問題があるからあまり賛成できないから、なるべく規制を加えていきたいという意向でありましたけれども、やはり日本の国の自動車産業振興という面からいうと、通産省方面では若干問題があるやにも伺っておる。それから事故の問題、車両の持つところの使命の問題、あるいは産業振興の問題と関連をして、この際日本の国の車種は、軽自動車は三百六十までだとかいわず、五百でも、車の容量によっては軽自動車でいいのじゃないか。こういうことなどの画期的な問題をあなたの方で再検討されて、三者で御相談なさるようなことも考えていらっしゃるかどうか、お尋ねをいたします。
  22. 石原幹市郎

    石原国務大臣 第一点は車両検査等関連しまする陸運事務系統組織、機構問題をどうするかという点だと思います。これはたびたび当委員会でも問題になり、参議院でも運輸委員会地方行政委員会等でしばしば論議されておる問題でございます。私も前々からこの陸運事務所の所属、機構の問題については、ただいまの現状は何とか考え直さなければならないのではないかということはいつも考えておった者の一人でございます。しかし、従来から登録とかあるいは車両検査とか、こういう事務については、どちらかといえば交通警察的な事務ではないかというふうに私はずっと考えておるところの一人でございますが、いずれにしましても、現在の車両検査事務実態というものは、とにかくこれでは人員の点においても、あるいは施設の点においても不十分きわまるものであろうと思っております。現に新聞紙上等をときどきにぎわしておりますように、相当いろいろな問題も発生しておるようでございまして、陸運事務組織系統をどうするかということも非常に重要な問題でありますが、車両検査車体検査をもう少し徹底したものにしなければ、今のような形では、これは有名無実といいますか、非常に弊害があるということについて痛感しておる一人でございます。何らかの機会にこれらの問題をあわせて解決をはかっていかなければならないのではないかと思っておるものでございます。でき得れば運輸関係あるいは警察関係地方行政関係等関係者の間においても積極的にいろいろ御検討を願って、役所の方と一体になっていい結論を出してもらいたい、かように思っておるものの一人でございます。  第二点の、オート二輪の問題につきましては、御指摘もございましたし、警察当局でもいろいろ考えておるようでございます。盲点というふうに御指摘になったのでございますが、この問題については今後とも検討して適当な規制を加えて参りたい、かように考えております。
  23. 太田一夫

    太田委員 よくわかりましたが、警察庁当局運輸省当局とでは、所管が違うために、専門的なことはやはり専門の方が専門であって、専門外専門外という通例が適用されるのです。先回警視庁に参りまして、東京交通実態について説明を受けた際に、銀座通りないしは相当繁華街定期路線トラックが通る。こういう路線免許しておることはまことにもってけしからぬ話だというお話がありました。あるいは営業所車庫がわりにしているというような話がありましたが、特にその路線の問題につきましても、路線をどこにするかということは運輸省は認可をしないわけです。大阪から東京まで、東京は隅田区のどこどこに終点を置く、主たる経過地は名古屋、静岡、小田原、横浜、東京というようになっているわけです。ですから、その間に普通のトラックが通れないところは通れないのですし、通れる道のあるところは通れるのです。ですから銀座通りを通って歩けば、銀座通りそのものは、公安委員会立場におきまして、一日二十四時間のうち、ここは何時から何時まで通ってはならぬというふうにおきめになるべきだと思います。無条件で何でも通らせるということではいけない。そういう点からいいまして、警察考え方運輸省の言い分との間に食い違いがある。もう、一つ登録の問題で、事故を起こした、ナンバーを調べたがわからない。運輸省は、陸運事務所は日曜日でだれもおらなくて連絡がとれないから、警視庁においては登録ナンバーは別に作っておりますというお話である。これについて、なるほどそういうことはあるだろうと思っておりましたら、陸運事務所の方の説明によると、それは私の方は原簿を二部作りまして、一部は警察の方に出しております、こういうような説明です。してみますと、陸運事務所相当取り締まりの方のことに配慮をし、日曜日などに事故があった場合は、地方などでは必ず守衛さんがかぎのありかをわかっておりますから、その警察の方を案内をして、そのカードの番号を調べてもらえるようになっておるそうです。こういう点からいいましても、お互いに他省のやり方を非難するよりは、どういうふうにしたならばこれが一番よろしいかということで、大所高所から話し合いをしていただく必要があろうと思いますので、今のお話のように、車検とか登録はどこでやったらいいかということは相当重大な問題でありますので、十分一つ道路交通の全体的な発展のために、なわ張り根性を抜きにして、自治省にもなったことですから大きくかまえて、人のものをとろうというような根性だけでなしにお考えをいただきたいと思います。それでよろしいですね。御同感でございますか。
  24. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、私は、ことに自治省でどうこうしようという考えは全然ないのでありまして、先ほどから申しましたように、もし整理すれば交通警察的の方へくるのが筋じゃないかというふうに一応の意見を持っておるわけです。しかし、これも私先ほど申し上げましたように、役所だけの検討でなしに、もっと大きな立場から国会あたりでも掘り下げて検討してもらった方がむしろ早く解決点が出るのではないか、こういう考えです。それでよろしゅうございますか。
  25. 太田一夫

    太田委員 けつこうです。特に軽自動車という問題につきましても、オート三輪と軽自動車を何も三百六十CC、エンジンの容量できめるのではなくて、車の大きさによってきめることがいいのではないかと思うのですが、そういう革命的なこともまたあと一つ御研究いただきたいと思います。  五十七条につきましてお尋ねします。これは定員確保の問題でございますが、これはすでに木村局長からもはっきりと、ラッシュ時の定員の問題につきましては実情に即して慎重を期してやります、こういうことでありまして、実情勘案のことにつきましては十分今までいろいろと説明も伺っておりますが、定員確保の問題につきましては、やはりそのような取り締まりをなさるお考えである、こういうふうに了解してよろしいですね。
  26. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この点につきましても、ただいまお話しのように、十分に実情に即して考えて参りたい。飛躍的に、こういうあれができたからもうすべてちょっとでも触れるようなものはびしびしやっていくというような考えはございません。定員につきましてもまた合理的な線というものを出して、ことにラッシュアワー等については、これについての警察措置というものも十分実情に即して考えていきたいと思っております。
  27. 太田一夫

    太田委員 従いまして、具体的な例でいいますと、バスが途中まで走っていった、都電が途中までいった。そうしたら交通巡査がちょっと待て、定員オーバーであるから何人おりろというようなことがあるとはわれわれは予想しなくてよろしゅうございますね。
  28. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 大体お話のような線で進んでいきたいと思います。
  29. 太田一夫

    太田委員 第六十五条、酔っぱらい運転の禁止の項でお尋ねします。これは酒気を帯びておるということについて、四つの形態があるというお話でありました。この四つの形態について御説明を伺いたいと思います。
  30. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 たしかこの前も私御説明申し上げたことだと思いますが、飲まないというあれが一つあります。それから飲んでも、この政令できめる酒気帯びに至らない、それから酒気帯びにとどまつている、それから酔っぱらっておる、こういう三つの段階に分けられると思います。それで規制につきましては、酒気帯び以上ということにいたし、しかもこれについての酔っぱらいを最も強く規制する。これは禁止する。それから酒気帯びについても、禁止規定を設けますけれども、ただちにこれには罰則をつけないで、違反があった場合について刑を加重するということにいたしていきたい。それに全らないものは法律としては規制を加えない。しかし精神的には、そういう酒気帯び禁止の規定ができることによりまして、飲んで運転してはならないという空気をできるだけ醸成していくようにいたしたい、こう考えております。
  31. 太田一夫

    太田委員 そういうお話と、もうちょっと具体的なお話もありましたので、念のために伺っておきたいのですが、ほろ酔い一歩手前というか、この六十五条の酒気を帯びておる状態にある。それは実はもうちょっと科学的に申しますとどういう状態であるか。それが事故を起こした場合には倍加される、加重される状態になるのだ。こういうふうに伺うのでありまして、その罪、過失が、事故を起した場合には加重される酒を飲んだ状態というのは、一番わかりやすくいえばほろ酔い一歩手前、これをもうちょっとむずかしくあなたの力の正確な言葉で申しますと、どういうことになりますか。
  32. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 通俗的にほろ酔い一歩手前というふうに考えるわけでございますが、政令に規定する程度といたしましては、血液一ミリリットル中にアルコール〇・五ミリグラムを含む、また呼気につきましては、一リットル中アルコール〇・二五ミリグラムを含む、そして現在弊祭におきましてこの呼気による計量をいたす予定にいたしております。
  33. 安井吉典

    ○安井委員 関連して。政令ではそういうふうにおきめになるのですね。それはいいと思いますけれども、ただ具体的な問題として、運転者はそれではよくわからないと思うのですよ。だから、やはりお酒ならどの程度のものをどれだけ飲めばよいのか、しょうちゅうならどれぐらいか、ビールならどれぐらいか、ウィスキーならどれぐらいかというような具体的な御指導が大切だと思います。その点どうでしょう。
  34. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 政令に規定しますのは、そういうふうに物理的にはっきりさせなければいけませんが、それじゃどのぐらい飲むかということであります。これもまた飲む人間の体質、また飲んでからの時間等もございますが、普通の人について申しますと、二百CCの一級酒、これが古い言葉で申しますと一合一勺強ということになりますが、これをおかんをして、いわゆる摂氏五十度ぐらいを五分以内で飲んで、その飲酒後三十分前後にある程度、こういうことに相なります。
  35. 安井吉典

    ○安井委員 ですから一級酒はそれでいいんですよ。合成百酒ならどうだとか、しょうちゅうはおかんをして飲まないだろうと思いますが、その場合はどうとか、そういう換算表も同時に一つはっきり皆さんにわかるようにお示しになるということが大切だと思いますので、一つその点お願いしておきます。
  36. 木村行藏

    木村(行)政府委員 今の御要求の点、それぞれ向き向きに応ずるように具体的に種別に応じて該当表を詳しく至急制定いたしたいと思います。
  37. 太田一夫

    太田委員 その今の酒気帯び運転の禁止を実際に適用する場合に、自動車運転の場合は問題がないと思います。そういうことでけっこうであります。世論としては、さらにもっときびしくというのもありますけれども、車両等となりますと、その中には自転車、荷車、リヤカー、これも入るわけでありまして、リヤカーを引っぱっておるお百姓さんが、一合以上飲んで三十分以内に引っぱってはならないというのもいかがかと思うわけで、まず事故を起こすことはなかろうと思いますけれども、これは一応は禁止規定がございます以上、この問題が非常に苦になるわけです。従ってこの運用は緩急よろしきを得る、常識的にするということをしばしば明言をされているように承っておりますが、そういう点は実情に即し、十分行き過ぎのないように、また行き足らないところのないようにするということで間違いございませんか。
  38. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この点は、かりにこの問題ばかりでなく、道路交通法全体の運用としまして、実情に即した指導取り締まりということを念頭に置いて考えておるわけでございます。特に今お話しのようないなかにおいて、まずまず事故もあるまいし、またかりに事故があった場合でも、常にそういう計量器をもって厳重に分量を取り調べるというようなことまで徹底してやるという考えは、そうした地域にもよりましょうが、全体についてそんな気持は持っておりません。ただ、できるだけ酒を飲んでは運転しないという風潮を醸成するように努めて参りたい、こう考えます。
  39. 太田一夫

    太田委員 よくわかりました。それで私はいなかの方の人も安心すると思います。お嫁さんのところにリヤカーにたんすを積んで引いて行って、一ぱいよばれたから、帰りはリヤカーを引いて戻れないから置いてくるというのでは大へんでございますから、その点、そういうところまでやろうという考え方ではないという御説明は、政治のあり方としてしごく好ましいと思いますので、ぜひそういう気持でおやりいただきたいと思います。  それから六十六条、過労運転の禁止でございますが、これも運用配慮するというお話でありましたが、これは特に居眠りの防止のことも入っておるわけでありまして、過労で運転してはならない、病気で運転してはならな旧い、ヒロポンの影響のある場合に運転一してはならない、居眠りして運転して一はならない、この居眠りという文字はありませんが、しかし六十六条に入っておるとは理解をいたします。しかし、居眠りをしたくなったときにはどうしたらいいのか。とめて休みなさい、車をストップさせて休みなさい、こういうことでありますが、休む場所もないようなこともあるでしょうし、将来は居眠り防止の施設につきましても、雇用者の方において何か改善の措置を講ずべきだという意見が強いのでありますが、それに対してはいかがな見解でございましょうか。
  40. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この六十六条には、ただいまお話しのような居眠り運転等も含むわけでございますが、これにつきましても、警察としましても、この防止の施設というようなものを検討いたしておるわけでございますが、雇用者等におきましても、そうした施設のみならず、労務管理等についてそういうことが起こらないように十分に注意をしてもらうように指導をいたして参りたいと思います。
  41. 太田一夫

    太田委員 七十条につきましてお尋ねをいたします。これは安全運転義務でございますから運転者の守るべき義務でございますが、かなり倫理規定の性格を持っておりますけれども、罰則もついておりまして、その罰則も三万円、三カ月という相当ひどいものでありますし、過失もまた十五万円以下で罰せられるのでありますから、この抽象規定がどう適用されるかは大へんでございますので、この精神を十分に明らかにしていく必要があると思いますが、説明によりますと、カミナリ族などの不確実な運転操作、こういうものを防ぐ。ハンドルを放し、足でひっかけ、ひっくり返って運転をするというようなことをここで防ぎたい、こういう御説明でありまして、いわゆる非常に悪い、あぶない運転方法でやる者をなくするということをここであ取り上げになったものと思います。従って、これをもしも非常に広く解釈をいたしますと、運転者にとっては非常に苛酷な条文になりますので、今のような目的であるということを十分明確にして、これを各取り締まりの第一線の力に明らかにお教えいただく必要があろうと思いますか、その点はよろしゅうございますか。
  42. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この点につきましては、参議院の御審議の際におきましても、ただいまお話しのような御趣旨のことが強く要望されております。われわれとしましても、そういう御趣旨に沿って十分に指導して参りたいと考えております。
  43. 太田一夫

    太田委員 七十一条の運転者の遵守事項の中には、泥よけ器をつけ、泥はねを禁止する項がございますが、この第一号の泥はね運転の禁止は、実は道の問題でございますから、道路をよくすることが第一である。これはあらゆる運転者がそう言っておりますし、沿道の者もそういうふうに言っております。しかしとりあえずは、何とかぬかるみや水たまりを通行するときには泥がはねないようにすることも必要でありますが、実際にそういうことができるかということになりますと、御説明では、そこでは許容されておるスピードの半分以下に落とせば徐行になる、そして極力泥をはねまいという努力をしてやったにもかかわらず泥はねをしたということ、そういう手段を尽くしてもなお泥はねをしたというときには、やはり情状酌量をいたしまして免責に相なるものだというようなお話であったと思うのですが、適用の実際はどのようなお考えでございますか。
  44. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この点につきましては、法案にもございますように、「泥よけ器をつけ、又は徐行する等して」というように、手段の例示をいたしておりますので、かりに結果において泥がはねたという場合においても、手段をいろいろな点において尽くしておるということになりますと、当然情状酌量の問題が出まして、かりに事件になりましても、その情状を十分に付して送致いたすことになりますので、情状酌量の余地は十分にございます。
  45. 太田一夫

    太田委員 木村局長、徐行というのをもうちょっと数字的に見解を明らかにしていただけませんか。
  46. 内海倫

    内海説明員 徐行は、この法律で一応定義のところで、徐行という定義を第二条の二十号で、「車両等が直ちに停止することができるような速度で進行することをいう。」と、こういうふうに書いておりまして、しかもこれも先ほど車間距離等と同じように、それぞれの状態によりまして、運転者の人の経験と良識によって判断さるべきものでございます。しかし今までの現行法におきます徐行というふうなものについての判例あるいは警察側の指導等の基準としましては、今の定義に書いてあるようなことを言いながら、なお具体的には、そこで定められておる速度の大体半分以下というふうなことをめどにして運転をしてもらうというふうに徐行については考えております。従って、この七十一条第一号における徐行ということになりますれば、泥が飛ばない程度にスピードをダウンするということをもって足りるわけでありまして、もし半分以下に下げることによって飛ばなければ、それで十分意を尽くしている、こういうふうに考えます。
  47. 安井吉典

    ○安井委員 ちょっと関連して。今のこの規定を、泥よけ器をつけることを運転者義務づけ、つけなければ直ちに処罰するんだ、それはちょっとおかしいじゃないか、泥よけ器をつけるかつけないかは、これは雇用者の問題であって、運転者に直接義務づけるのはおかしいじゃないかという読み方がよくなされているように思うのですが、その点、泥よけ器をつけるとか徐行するということは一つの手段であって、一番問題は泥や泥水をはねたかはねないか、かけたかかけないかということが問題なんだ。そういうふうにしばしば御説明があったように思うのですが、その点もう少しはっきりとお答えいただきたいと思います。
  48. 木村行藏

    木村(行)政府委員 お説の通りでありまして、この法案のいわゆる法律上の義務は、「泥土、汚水等を飛散させて他人に迷惑を及ぼすことがないようにすること。」ということに義務があるのでありまして、その前段の文章の「泥よけ器をつけ、又は除行ずる等」というのは、単に例示して手段を尽くすだけでありますので、泥よけ器をつける義務はさらさら法律上ございません。その点はっきり申し上げておきます。
  49. 太田一夫

    太田委員 ただいまの点よくわかりましたから、そういう御指導でお願いしたいと思いますが、特に建設省の道路局次長がいらっしゃったときに、一体どれくらい日本の国は国道で通れないところがあるかというようなお尋ねにも、十分の御回答がなかったという点から、建設省ないしは各地方自治体におきましても、道路の状態を確実に掌握するということに実に不十分なものがあるのではないかとおそれるわけです。従って、泥はね運転というのは、そういう道路の無関心と言っちゃなんですが、非常に手抜かりになっている状態の中で、運転者に最大限に知恵を働かしてもらい、配慮してもらって、はたの者に迷惑をかけないようにという、こういうわけですが、日本国じゅうこういう悪路ばかりでありますから、一つぜひとも建設省に対する警察庁当局としての働きかけも、遺憾のないようにしていただきたいと思いま……。  それから七十四条の雇用者の義務でございますが、この雇用者の義務は、実は一番中心になりますのは、無理なノルマを作って無理やりな常業運転をさせておる雇用者が多いので、そういう人たちの責任追及をしたいという念願によって七十四条はできたんだという主たる説明を承ったように思いますが、これはそういうことでございますか。
  50. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この条文の新設は、まさしくその点が最も限目でありまして、いろいろ無理な運転をしている場合に、その無理な運転をさせておる背後関係といいますか、背景がある。その背景の場合に、雇用者が無理なノルマを課したり、あるいは条件をつけて刺激しているというような点が実態としてありますので、雇用者の責任を追及するという点が眼目であります。
  51. 太田一夫

    太田委員 次の七十五条の車両等の運行を管理する者の義務についてお尋ねをいたしますが、この七十五条も、非常にハイ・ランクの人が責任者であるということを運輸省道路運送法の方では少し見のがしておる点があるから、道路運送法運行管理者とは必ずしも一致しない。道路運送法上の運輸省でいう管理者に責任を押しつけて、実際の責任者に逃げ出されてしまっては、これは少し困る。無過失責任も問う必要があるのではないかとわれわれは考えるから、そういう意味で、ここでは道路運送法二十五条の二とは少し違った意味の考え方で七十五条の管理者というものの位置づけがしてある、こういう御説明であったのでありますが、そういうことでよろしゅうございますか。
  52. 木村行藏

    木村(行)政府委員 その通りでございます。
  53. 太田一夫

    太田委員 なお、こういう意味のお話もありました。これは五月十日の連合審査会の席上であったと思うのですが、確かにこの管理者というのは、心理的圧迫を受ける地位にある責任者だ、こういう表現の仕方、それから実態にかんがみてこれは決定をするのであって、あらかじめの決定は絶対にしない。従って、抜け道を作られないように認定していくためには、事前に運行の直接管理者というのはだれだという規定づけは道交法では絶対にしない。雇用者の責任を追及する建前であるから、そういうふうに考えていただいてよろしい。こういうお話でありまして、それが当時井岡委員と、道路運送法上の管理者とこの道路交通法上の管理者の争いをめぐってのいろいろなやりとりのもとになったわけですけれども、やはりここはおっしゃる通り、実質的な管理者、実質的な責任者が責任を負うべきであって、形式的な人が責任を負うということはやはりますい。そういう点から言いますと、道路運送法二十五条の二で運輸省運行管理者という職名を作ったことにについては若干問題があるのであって、この職名にわれわれが惑わされて、この体刑罰あるいは罰金を、そういう職名だけで適用するということは困るわけでありまして、実際の管理者というのはかなりのハイ・クラスである。従って、単なる下っ端の労働者を罰するというような意図はここにはいささかもないのである。こういうふうにわれわれは理解しておりましたが、これに対しましてはそれでよろしいですか。
  54. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この七十五条の趣旨も結局は、無暴な運転をした場合に、その運転の背後にある関係、背景にある関係を追及して、大もとは雇用者の責任にまで追及していくという両罰規定考えているわけであります。しかしそれ以前に、やはり直接この車両運行管理をしておる者、いわゆる無暴な運転を阻止し得べき立場にある、阻止しなければならない立場にある、実質的なその立場にある者、そういう実力を持った著、またそういう権限を持った者というものが、容認したりあるいは命令するというようなことを防ぐための規定でありますので、必ずしも道運法の今度の一部改正にありますところの運行管理者に左右される関係にはないと思います。
  55. 太田一夫

    太田委員 今の木村局長の最後のところは、道運法上に規定する運行管理者と一致する考え方ではない、こういう考え方ですね。私もそれでいいと思います。必ずこれが問題になりましてね。向こうの方では、地位剥奪をこの運行管理者という名前をつけた人を対象として行なう。こっちの方は、さて運輸省が認定をして、そうして責任の焦点だとした者を、こちらはそれを違うと言うと、何か相当問題が起きるような気がしますから、運用上は一つ十分注意をしていただいて、運輸省の方の定義的ないろいろの処罰に間違いがあるなら、道交法上の認定の方が正しいのだというくらいな権威をお持ちいただくために、一そう一つ御研究をお願いしたいと思います。  それから七十七条の道路使用の許可の問題ですが、ここではいろいろな祭礼行事など一々公安委員会の許可を得なければならないようなことになるように思いますが、街頭を使いますところのいろいろな行事、その中にはたとえば地方の街頭におきまして宣伝の自動車を持ち出して、地方にいろいろな当面する時事の問題などを説明する会などというようなのもありまして、民主主義時代の正しいいろいろな行動というものをここであまりに押えつけてしまいますと問題が起きるかと思いますので、道路使用の許可をするというのは、道路交通の円滑安全のためであるのであって、その大目的に大きな支障のない限りは、別段在来の慣行そのものをここで大きな制約をするつもりではないだろうと私は思いますが、その点はそういうことでございますか。
  56. 木村行藏

    木村(行)政府委員 まさにお話のような考え方でございます。従って、今までよりも強く取り締まっていくというような、あるいは不許可処分をするというような考えは毛頭ございません。要は道路交通の安全と円滑をはかるということ、しかもその上慣例等については、ある程度道路交通の円滑を阻害するものについてもこれは認めなければならないというような規定までいたして、できるだけそういうものは尊重して参ろう、こういう考え方でございます。
  57. 太田一夫

    太田委員 けっこうでした。  八十二条の沿道の工作物等の危険防止措置ですが、沿道に設置されておるところの工作物が、道路交通の危険を生じさせるようなおそれがあるときには警察署長はそれをやめさせ、除去することができるということになっております。そこで家というのは多分含まないだろう、除去の対象にならないだろう、しかし植木の場合にはなるであろうというお話でしたが、えらい値段のする植木の枝を払えというのも困ったという意見が出ておりましたが、その辺の運用はいかがでございますか、国宝的な植木は……。
  58. 内海倫

    内海説明員 八十二条では、小委員会でも御説明申し上げましたが、いわゆる家屋等は入っておりませんが、植木等につきましては、それが明らかに植木がへいの外に非常に乗り出して、前方の見通しを全く欠いておる。こういうふうな場合に問題になるわけでありまして、その場合におきましても、一項は警察署長がその持ち主に対して必要な措置をとることを命ずる。こういうことになっておりますが、当然事柄を荒立てる必要はさらさらないわけでありますので、十分話し合いをいたしまして、任意的にそういうものを処理してもらう。しかしながら、それが公益上どでうしても大へん交通妨害になる、しかも相手方ではどうしてもこれはとらぬというふうなことになりますれば、そこにおきましては公益というものの確保上、八十二条の一項の規定があります限り必要な措置を命じなければならない。しかし、そういう場合におきましても、それが国宝であるとかいうふうなものでありますれば、おのずからそういう趣旨かね合わせ検討していかなければならないもので、そういう場合におきましては、警察署長はもとより、公安委員会としましても、十分非常識にわたらないように、相手の利益を必要以上に損害を与えるというふうなことのないように判断を持って臨むべきものと考えております。
  59. 門司亮

    ○門司委員 ちょっと私は聞いておきたいのですが、今の説明ですと、この条文は行政代執行の五条と六条にひっかかるような気がするのですが、この関係はどうなっておりますか。これでやれるのですか。行政代執行法の五条、六条にひっかかるということになると、予算措置が必要になってくると片方の法律には書いてあるのですが、その辺の関係はどうなります。
  60. 内海倫

    内海説明員 八十二条におきましても、第三項におきまして、前条の第三項から第六項までの規定は、この条文においていわゆる強制措置をとりました場合におきましてはこれを準用することにいたしております。それで私どもこの八十二条に限りませず、八十一条、八十二条、八十三条、いずれも物件に対する強制措置規定を盛っておるわけでございますが、これらにつきましては、結局真に道路交通の危険防止という度合いの高い公益を確保していくための規定でありまして、結局この道交法自体によりまして、その要件及びその手続を規定いたしまして、これによって処理をしよう、こういうふうに考えておりますので、特に詳しく八十一条におきまして、これらの場合における手続規定をいたしたわけでございます。
  61. 門司亮

    ○門司委員 そうするとこう解釈していいのですか。行政代執行法との関係は——行政代執行法には大体同じような趣旨のことが書いてあります。そしてこれにおきましては、予算や何かの関係がおそらく私は出てくると思うのですが、問題はここにあるのです。警察で除去するのには費用がかかりますね。その費用をだれが負担するかということは、行政代執行法の方では相手方に負担させることができる、こういう法律になっているのです。ところが、この法律ではそういうことは抜けているのですね。そうすると、警察は費用をかけただけ損だということになる。当然除去すべきものを除去しなかったそのことのために、警察としてはこれを除去した。しかし、それには費用がかかった。八十三条の保管の義務もありましょうが、その費用がかかった。その費用はだれが弁済するかということになりますと、警察がするのですか。行政代執行法では相手方にその費用を負担させるように書いてありますが、その辺とは関係はどうなります。
  62. 内海倫

    内海説明員 これにおきましても大体同趣旨考え方に基づきまして、八十一条の第五項で「工作物等の除去、移伝、改修、保管、売却、公示等に要した費用は、当該工作物等の返還を受けるべき占有者等の負担とし、その費用の徴収については、行政代執行法第五条及び第六条の規定を準用する。」こういうふうな規定をいたしまして、大体同趣旨規定をいたしたつもりでございます。
  63. 門司亮

    ○門司委員 八十一条ではわかるのですが、八十二条と八十三条でちょっとあいまいな点があるのです。八十一条にはそうはっきり書いてあります。今聞いておりますと、八十二条と八十三条の規定が少しあいまいのようにどう考えても受け取れるのです。これでよければいいのですが、警察は費用を使った、それであと請求ができないということになりますと、これも困るのですがね。
  64. 内海倫

    内海説明員 八十二条は第三項におきまして、それから八十三条におきましても、八十三条の第三項におきまして、それぞれ八十一条の当該規定を準用いたしておりますので、それによって処理できるものと考えております。
  65. 太田一夫

    太田委員 八十四条に移ります。運転免許のところでございますが、先ほど石原長官に大体においての大ざっぱなことをお尋ねしたわけですが、ここではもう少し具体的なことについてお尋ねをしておきたいと思います。それは特にオート三輪の大きさのことですが、オート三輪の安定度の問題から考えまして、あるいは免許の内容から考えましても、これは一千キロ、いわゆる積載量一トン未満でないと、オート三輪として、日本の国情に合う自動車という概念から考えまして不適当じゃないかと思うのです。一トンくらいにとどめるべきじゃないか、これはどうです。警察庁として、一トンくらいまで以上のものは作らないようにすべきだという何か積み重ねの努力はお約束できるでしょうか。むずかしいでしょうか。
  66. 内海倫

    内海説明員 生産面につきましては、御承知の通り関係行政庁が多いわけでございますが、私どもは、事故防止あるいは交通実態の観点から十分意見を申し述べて、関係省で十分検討いたしたい、研究もいたしたい、こういうふうに考えております。
  67. 太田一夫

    太田委員 私は、意見としては、地方の人たちの言います国民の側から見ますと、オート三輪は山間やいなかを走るものだから一トン未満でよかろう、こういうことを言うのです。それ以上のものは四つ輪にしてほしい、そう申します。この意見一つ御参考にしていただき、運輸省の方にも申し上げたのですが、十分御考慮をお願いしたい。ただ通産省関係で、日本車両工業、自動車工業の発展ということを考えますと、あまりそういう点に大きな影響を与えるのもいかがかと思うのですが、ただ、あまりしゃくし定木になるのもいかがかという点は別の面から出てきます。それは三菱五〇〇の問題ですが、三菱五〇〇は五百CCであるから、これは軽自動車にならないから普通免許だ、こういうことになるわけですが、あの車は、諸データというのは私も詳しくは存じませんが、スピードの点におきまして、それから大きさ、長さ、高さとか、幅というものにおきましても、値段から見ましても、軽自動車に属するものなんですね。三菱五〇〇を三百六十CC以上だから普通自動車だという格づけというものは、いささかしゃくし定木になっておるじゃないかと思いますが、やむを得ないものですか。
  68. 内海倫

    内海説明員 一応たびたび申し上げておりますように、現行法を一部改めまして、普通免許として、現在の普通免許と小型免許を一本にいたしまして、それ以外のものは二輪、三輪、さらに軽自動車免許と、こういうふうにいたしておりますので、免許の面からいいますれば普通免許ということになるわけでございます。確かにお話しのような点は現実の上にはあろうかと思いますが、何しろ現実は、免許のきまりました線に乗りましていろいろ巧妙に生産が行われているのが実態でございますので、私どもとしましては、絶えずそういう実態と照応しながら意見も申し出ていきたい、こういうふうな考えを持っておるわけでございます。
  69. 太田一夫

    太田委員 まあこれは普通自動車免許軽自動車免許の二本建というのが、はたして一般自動車について妥当かどうかという基本問題になりますから、この法案の建前は一応了承しますが、あの三菱五〇〇という車の運転をする人の心理的な面から見ますると、ああいうのはあまり無理な運転をすれば必ず事故を起こしますし、相手の車の方が大きいのですから、ああいう小型車ではそうめちゃな運転はありません。あるのは先ほど申しましたオート三輪の大型というのが、どっちみち積みますものが荷物ですから、車が大きけれ場ば、それだけ少々相手をかすったところで、おれの方は大したことはないぞというような気持も動きまして、割合に事故の問題が起きようかと思います。できるならば、こういうところでもう少し革命的なものを考えていただきたいと思いますが、現状ではやむを得ないでしょう。けっこうです。  そこで八十七条の仮免許の点でお尋ねしますが、三輪の免許をやります場合に、これを教える側のオート三輪はいかがですか、ブレーキは運転する者と指導員と共通になっておるような装置の車でやらせる意図でございますか。それともそういうものはちょっとできがたいでしょうか、いかがですか。
  70. 内海倫

    内海説明員 この規定そのものでは、第三項で「その運転者席の横の乗車装置に当該自動車に係る第一種免許又は第二種免許を受けた者を同乗させ、かつ、その指導の下に、前項規定により指定された種類の自動車運転することができる。」こういうふうに書いておるわけであります。従って、今お説のようなものを法それ自体が直ちに義務づけておるわけではございませんが、自動車教習所において練習のために使用する場合におきましては、たびたび論議をいただきましたように、九十八条で自動車教習所の指定基準というものを定めるようにいたしておりますので、それらの内容といたしまして、設備すべき自動車の仮免許を得たものを練習せしめる自動車というふうなものの内容として、そういう趣旨のものを明らかにしておきたいと、かように考えております。
  71. 太田一夫

    太田委員 わかりました。そうしますと、仮免許というのはずっと温存さしていくわけですから、私どもは仮免許交通事故のもとになったり、交通混乱のもとになっては困ると実は思うのですが、車そのものの性能もよくない、指導員がいるならばあるいは仮免許というものは場合によっては必要があるでしょう。それは交通実態に習熟させるという点に意味があるわけですから、そういう点では意味がありますので、その意味で仮免許をこれから扱っていただくという御決意がはっきりしておらないと困る。何でも教習所の中の面積が狭いとか、教習所の中の設備が悪いのをたなに上げておいて、道路の上で一切がっさいの練習をするということになりますと、道路即教習所となりますから、そういうことにならないように、仮免許はあくまでも一応自分で運転できる能力、技術を持つ者が指導員に同乗してもらって、念のために各種の実態に触れて何教程かの練習をするために仮免許制を作る、こういうことだと思いますが、そういうことについては、はっきりとした見通し、御決意をお持ちでございますか。
  72. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいまのお説の通りでありまして、運転免許につきまして自動車教習所でやります教習の課程に対する問題といたしましては、基礎的な訓練を十分にみっちりやりまして、そうして一定水準以上の、十分にこれで運転さしても安全だというような標準に達した者につきまして、ただ一般の複雑な路上の実態になじませるという仕上げのための部分的な問題としてやらせる、こういう決意であります。
  73. 太田一夫

    太田委員 よくわかりました。従って関連をいたしまして九十八条の自動車教習所の指定の政令基準の内容について少しお尋ねをしておきたいと思います。これから教習所の指定をなさる基準は、できるだけ内容のいいものを多く奨励をしていきたい。従って、基準はできるならば可能な限り高めていくのであって、低めないというようなお話を承っていますが、その内容というのは相当確たる具体的なものをお持ちで、一歩でも前進した基準を作ろうという御決意でいらっしゃると思いますが、そういうふうでございますか。
  74. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この指定基準につきましては、現在いろいろな資料を集めておりまして、その資料と、全国的な各都道府県公安委員会で定めている実情を全部解剖いたしまして、さらに小委員会などでもいろいろお話が出ましたように、政令基準を定める前に、当委員会などの御意見、御協力をいただきまして、十分適正な基準を作りたいと思いますが、方向といたしましては、一歩どころでなく何歩も前進した改善の方向に持って参りたいというふうに考えております。
  75. 太田一夫

    太田委員 それではもう少し内容についてお尋ねします。東京には一千坪ないし二千坪程度の教習所というものもありますが、こういうものが基準になるということは、今のお話からいうと少し無理がありますので、おそらくもうちょっと大きな坪数、教習所の規模も大きなものでなければならない、こういうことになろうと思いますから、大体坪数はどれぐらいが妥当と現状において考えていらっしゃるか。  それからもう一つは、指導員の資格はどのような人がいいとお考えになっていらっしゃるか。指導員の勤務時間は、東京あたりでは一日十時間ぐらい指導をさせてふらふらになってしまっておるという実態がありますが、やはり八時間勤務は天下の大道ですし、具体的にいえば、六時間教習、二時間研究という理想的な形態になるのが望ましいと思います。そういう指導員の指導の仕方の具体的な内容はどれくらいのことをお考えになっていらっしゃるか、こういう点でもし差しつかえない点がありましたら、あらかじめ承っておきたいと思います。
  76. 内海倫

    内海説明員 施設の面積につきましては、今直ちに具体的な数字を申し上げることは、私としましてもまだほんとうの確信を持った基準を得るに至っておりません。それは全然考えていないわけではないのでございまして、まず一つは、教習所の面積の単位としまして、一台の車に必要な運転練習面積が幾らであるかということ、従いまして一時に練習し得る自動車の数量を何ぼと見ることによって、総面積もある程度伸縮性を持ってくるわけでございますが、私どもの今の考えとしましては、梓通自動車の場合、大型自動車の場合等も分けて考えまして、一台について練習のために何坪要るかということ、それから少なくとも教習所の基準として最低幾らなければならないかという全体の面積との両方規定いたしまして、最も必要にして合理的な数量を決定いたしたい、こういうふうに考えております。  それから指導員の資格要件につきしましては、これまた現在指導員の年令等について見ておりますと、まことに、区々まちまちでございますが、私どもの考えております点からいいますれば、技術指導に当たります人については、少なくとも第二種免許を持っておる人であるべきだと考えておりまするし、また、年令におきましても、教習をいたします必要な教養と経歴を持った者である必要が当然あろうと思いますので、そういうふうな職歴、経歴あるいは年令、資格要件というものについて最も妥当なものを設定いたしたいと思います。  それから労働内容につきましては、御説の通りでありまして、とりわけこういうふうな機械をきわめてデリケートな条件のもとに教えていくことでございますから、通常の労働条件よりははるかにその疲カ度も大きいと思いまするし、また教え方のいかんが大へん大きく影響いたしますので、できるだけ潤沢な休養と潤沢な勉強をする時間を持って、疲労することのないような時間をきめるべきである、そういうふうに考えております。
  77. 川村継義

    ○川村委員 関連して私、希望を申し上げたいと思うのです。今度の道路交通法に伴って幾多の政令ができるわけですが、その政令は、適切な政令の内容を御研究下さるとは思います。われわれ政令のことについてとやかくあまり立ち入る必要もないと思いますけれども、できましたら政令を発布される前に、政令の原案というものができたころに一応見せていただいて、適当な論議等もさしてもらったらと思うのですが、そういうふうな措置がとれるならぜひやっていただきたいと思います。
  78. 木村行藏

    木村(行)政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、政令を制定する事前に案を当委員会にお示しいたしまして、御意見、御協力をいただきたいと思っております。
  79. 太田一夫

    太田委員 今の労働条件とか、あるいは練習所の経営の基礎とかいうことなんですが、これは授業料と申しますか、一教程幾らだとかいう値段は、今のところ、あるいは今後も、許可ですか、自由ですか。
  80. 内海倫

    内海説明員 現在は、各県でそういう点について基準を設定いたしておるところもありまするし、あるいは基準でなしに届け出でこういうふうにいきたいという形のものもあるようでございまして、あるいは三百円、四百円、五百円と区々であります。この法に基づきまして、料金につきましては十分研究いたしまして、料金基準というものを設定いたしたいと考えております。
  81. 太田一夫

    太田委員 非常にいいことだと思いますが、その場合の考え方としては、現在東京三百円、名古屋四百円、大阪五百円という段階になっておるわけです。東京の三百円を基礎にすれば安そうでございますけれども、東京の生徒の実態というものは、何だかだらだらとした非常に長い期間多くの教程を経て初めて修了しておるような状態で、安いようであって、総トータルになりますと、かなりのものを負担しておるように思います。従いまして、これがそのためにどういうことになるかということは、皆さん目の前でごらんになっていらっしゃる通りでありますから、東京実情実情としましても、さらに百尺竿頭一歩を進めて、妥当な教授料となれば、三百円はほんとうは安いじゃないか、三百円は安いから払うものが高くなるのでありまして、できるならば、これは四百円でもけっこうじゃないか、場合によっては五百円まで上げてもいいじゃないか。内容をよくするということと、早く修了ができるような教育内容、教習内容を備えていただくことの方に重点を置いて、授業料の安いことはあまり奨励しないようにしていただきたいと思います。  それから、特に今の基準の点について、一車当たり何十坪になるとか、あるいは総体の教習所の施設の面積は何千坪以上ということをおきめになる場合にお考えをいただくとして、東京は一千坪以上、大阪は二千坪以上という規模の開きがありますけれども、もしもこれを非常に大きな規模にいたしました場合に、現在の東京の教習所、練習所が指定を受ける場合に、非常に不利な立場になりましても、東京という何かしら運転手養成の長い歴史の中から生まれた現在のやむを得ざるものに対して過酷であってもいかがかと思うのです。この点については、もしも東京の現在の諸条件が政令の基準に合致しない場合におきましても、既得の今までの立場というものはできるだけ尊重してほしいと思いますが、いかがでございましょうか。
  82. 木村行藏

    木村(行)政府委員 授業料の点につきましては、御意見のところは十分参考にいたしまして、さらに研究を進めて参りたいと思います。それから東京のすでに千坪程度でやっております既存の教習所の面積につきましては、ただいまいろいろな事情もあろうかと思います。しかし、ここでどうこうというまだ結論は出ておりませんけれども、さらにその問題についても研究いたしまして、御相談、御意見を承りたいと思います。  さらに、先ほど川村委員からお尋ねのありました点について誤解のないように補足してお答え申し上げたいと思います。お尋ねは、たしかこの法案の政令を定める場合に、事前に案を見せてもらって、いろいろ相談してもらいたい、こういうお尋ねであります。おそらく私が聞き違えましたけれども、九十八条第一項の自動車の教習所の指定基準だけではなくて、その他の分についてもお尋ねがあったと思うのであります。それにつきまして、九十八条の政令基準については、もちろん事前にいろいろお示しいたしまして御協力いただきたいと思います。その他の内容を持ったこの法案の施行に関する政令につきましても、必要があるものにつきましては、できる限り事前にお示しして、御意見を承りたいと思います。
  83. 太田一夫

    太田委員 よくわかりました。できればその際の心がまえとしては、おそらく三千坪というのは教習所の面積として決して広くないのでありまして、ある程度のスピードを出せば、三千坪くらいの教習所ではたちまちへいの向こうに突き抜けてしまうようになりますから、これはできるだけ広い方がよろしい。よろしいが、そう多数の土地があるわけではないから、その辺のかみ合わせば、具体的な例がありますから、十分御研究の上で善処してもらいたいと思います。ただ、そういうように進むというわれわれの心がまえは常に皆さんのお気持と一致しておりますので、この点については、できるだけいいものを基準面では高めていただくことが望ましい。ただ既得の人たちに大きな不幸を招かさないように御配慮のほどが望ましいと思うわけであります。  そこで、運転者教習所の指定の問題が出てきますと、運転免許試験の一部を免除するという九十九条の適用問題が出て参りますが、過般来のいろいろな御説明を承っておりますと、教習所の中においてどの程度のものを免除するかということはなかなかむずかしい問題であるけれども、大部分を免除して口頭試問で通すか、大部分を免除して適性試験くらいで、あとはそこの教習所に一任をする。卒業免状をもって試験に受かったものとみなすかというようなことについても、かなりの御理解があったようであり、そういうことになる可能性もあるように承りましたが、運転試験免除の一部という範囲について少し御説明をしておいていただきたいと思います。
  84. 木村行藏

    木村(行)政府委員 これにつきましては、自動車教習所の指定基準を作る場合にいろんな問題を考えて、教習所の種別といいますか、種類についても若干の差のあるものが出てくるかと思います。たとえば法令だけの試験とか、いろいろできるだけ社会の要望にこたえた、しかも適正なもの、また素質の向上したものを指定して参りたいと思いますが、その他、国鉄その他バス会社連合でやっておる関係もいろいろあります。運転者技能訓練、いろんな関係もありまして、この一部免除というのは、大部分の免除ということも場合によっては考えられると思います。
  85. 太田一夫

    太田委員 全部免除してしまってはいかがかと思いますが、十分公安委員会の指揮、指導、監督と相待って、内容の整備充実、またそういうものによるむだな手数——むだな手数と言っては何ですが、今のような意味のない試験によるところの運転免許証の交付などは是正してほしいと思います。ぜひ十分御勘考いただきたい。  最後に第八章罰則についてお尋ねをいたしておきますが、第八章罰則は、全体を見まして高い金額になり、懲役も付加されておりますし、過失犯さえ罰せられるということになりますと、実際は直接の運転者が非常に困ることが多かろうと思います。各種の場合に十分情状の酌量、運用の適正という御説明がありましたけれども、なかなかもって運転者にいたしますと安心しておられない節もあるわけです。そこで前回以来幾多のお話の中に、これからはこの取り締まり強化をして、オイコラ警察なんというような恐怖心を起こさせるようなことは絶対しないつもりである。こういう御信念の開陳もあり、道路の環境整備、道路の状態の整備ということにつきましても十分配慮していきたい。決してただ単なるおかっぴき根性によってこの法案が作られたものでないという御説明がありましたので、われわれとしては非常に安心をいたしておるわけでありますけれども、さらにこれが具体的な適用の場合に、そのような精神が実現されるためには、あらゆる交通取り締まりの第一線にある方の教養とか素質ということが問題でございますので、たしか承りますと、新任の巡査の方も必ず運転の経験をさせ、そして教養を高め、りっぱな警官として第一線に配置するつもりであるし、それから現在では交通の方面も重視されてきて、白バイの運転手になる者なども非常に希望がふえてきたから、二、三年先にはまことに制度の改善見るべきものがあろうというお話があったのです。まことにそうなってほしいと思いますが、これからいかに第一線の取締官を教養なさるか、そういう決意についてもう一度承っておきたいと思います。
  86. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 ただいまお話しの点は非常に重要な点であります。法律上罰則の規定を強化いたしたわけでありますが、これは各種の法令等との均衡や、また悪質なものについての十分な取り締まりをなし得るという体制を確立するためのものでございまして、この罰則の強化ということで直ちにこれのみによって、またこれを主として交通取り締まりを実施していこうという気持では毛頭ございません。ただいまお述べになりましたように、道路をよくし、また運輸行政等との緊密な連携をとって、総合的な交通の円滑、安全を期していくような施策を十分推進して参る考えでございますが、何にもまして大事でありますのは、やはり第一線で取り締まりに当たる警察官の教養、態度の問題であろうかと思います。この点につきましても、ただいまお話しのような御趣旨を十分尊購いたしまして、われわれとしても交通警察官の教養、また交通専務員以外の者についても、交通問題についての教養ということについては極力努力いたしまして、御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  87. 安井吉典

    ○安井委員 関連。罰則の問題が最後に出ましたが、そのうち百十九条第一項第十一号の例の第七十四条の雇用者の義務違反に対する処罰でありますが、この規定のうち、国家公安委員会または公安委員会がこの七十四条の規定にある時間を拘束する業務として定める業務というふうな表現になっているわけですが、大体どういうことを予想しておるわけですか。
  88. 内海倫

    内海説明員 これは参議院で御修正をいただいた点でございますが、まず定める国家公安委員会または公安委員会の問題でございますが、これは一県内の状態につきましては都道府県公安委員会、それから二県以上にわたるいわゆる長距離運転をいたしますものにつきましては国家公安委員会で定めたい。それから「第二項に規定する時間を拘束する業務として定める業務を課す」という意味は、七十四条の第二項でございますが、これは六十八条、速度の違反でございますが、速度違反をすることを誘発するように時間を拘束した業務を課して運転させてはならない、あるいはそのような条件を付して運転させてはならない、こう書いてあるわけでありますが、ただこの条文そのものは、スピード違反をするようなことを誘発するような時間を拘束した業務というものが不明確でありますので、そこでその不明確さを具体的に明確にする手段として、先ほど言いました二県以上にわたるものにつきましては国家公安委員会、同一県内におきましては公安委員会がその業務を定めるという考え方をここに出しておるわけであります。従いまして、これはなお私どもとして具体的に十分に検討をして、それを規定しなければいけないわけでありますが、最もも端的にかつわかりやすく申し上げるならば、国家公安委員会が定めます場合に、東京を起点といたしまして、たとえば東京日本橋の例の標柱がありますところから大阪市のどこそこまでというものを一つの基準といたしまして、この区間をたとえば十二時間あるいは十三時間で運行をするということは、すなわちこの六十八条の規定に違反することを誘発するように時間を拘束して業務を課したものであるという認定になるわけでございます。また同じ県内におきまして、たとえば大阪でありますれば、大阪のどこそこからどこそこまでの間を何時間以内でこれを運行していけ、そういうふうな業務を課するという場合におきましては、これは公安委員会が具体的に定める時間を拘束する業務として定める業務を課する、こういうふうにいうわけです。従いまして、これは逐次増加をいたしていくことになると思いますが、極端なことをいいますと、列車の時間表のような工合に、どこからどこまでを何時間で行く、ここに定めた時間以内の短い時間で行けというふうな実体的な業務を課した場合は、すなわち七十四条第二項の違反になる、こういうふうな観点に立ちまして、この十一号というものを定めたものでございます。
  89. 安井吉典

    ○安井委員 それじゃ具体的におきめになるわけですね。やはり具体的なおきめがなければ、これは乱用といいますか、いろいろめんどうな問題がたくさん出てくると思うのです。そういう意味でその方向はよいと思うのですが、ただ気になりますことは、鉄道のダイヤみたいなものをずっとおきめになるにしても、これは夜と昼とではずいぶん違うと思うのです。たとえば衆議院から上野の駅まで、真夜中ですと十分くらいで楽に行けるのです。昼間ですと三十分もかかるのですね。だからその点をやはりこの規定の中に十分織り込まないと、仏作って魂入れずとうようなことになりがちですが、そういうような点も御考慮をされるおつもりでしょうか。
  90. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この点については最も合理的で客観的に、あらゆるデータを集めまして、たとえば問題になっている路線について、その路線それぞれの交通規制スピード制限はどこからどこまで幾らと、また信号機がその場合に幾つあるとか、あるいは一時停止しなければならぬ社会通念上の実際の時間なり回数なりいろいろなデータが出てくるのです。もちろん夜、昼の関係、さまざまなデータ全部をできるだけ拾い上げまして、精密に具体的に、しかも妥当な基準を作りたいと思います。
  91. 安井吉典

    ○安井委員 この罰則の問題につきまして、太田委員から御質問がありまして、それにお答えがあったわけですが、私、この法律の中の罰則の定め方といいますか、法規定の方法として、罰則を各条に配置したということは画期的なできごとで、日本の法制史上にも特筆すべきことではないか、そういうふうに思います。そういうふうなわかりやすくするような措置が講ぜられたのはよいことだと思いますが、それでもなおやはり罰則は非常に読みにくいわけです。それが一応初めに参照条文があって、それを開きましても、またほかの条文からの引用があったり、三回か四回くらい孫引きをしなければ、これはやはりわからないのです。そういうことからいって、やはりこれはもっと現実に運転者にあるいは一般大衆に理解をしてもらうためには、もっとかみ砕いた書き方がぜひなされなければいけないと思うわけです。現在までの道路交通法規でも、たとえばスピード違反だとか、信号を無視したことだとか、そういうようなことに対する罰則などというものは、これは大体において常識的にも含まれておると思います。ところが今度の法律の場合に、一番特徴的なものはやはり両罰規定だと思うのです。その両罰規定が百二十三条にあるわけですが、この規定も新しいだけに、一体どれがどうなるのかということの理解が全般的に行き届くにはだいぶひまがかかるのじゃないか。しかし、この規定こそ一番早くみんなに知ってもらわなければいけない規定で、私どもにしても、これを一わたり読んでみても、一体どれとどれとどれが両罰規定かということがすぐにはぴんと理解されない、そういうような状態であります。ですから特にこの両罰規定は、これからの交通事故を直していくのは、運転者だけの努力ではだめなんだ、あくまで雇用主も同時に義務を負うのだし、国民もみんな関心を持たなければいけないという趣旨一つ十分に普及しなければならないと思うわけです。特にこの両罰規定については、ざっと読んでみても十くらいのケースがあるようでありますが、これも非常に読みにくい規定になっております。あちこち引っぱり回しておる規定ですから、これはぜひ、そこに勤めている人が道路使用の問題や積載制限の問題、たとえばそういうようなものに違反しても、そこの雇い主も——雇い主といいますか、法人やあるいは自然人でも同じでありますが、その代表者も罪になるのだということの理解を一そう例示的に示してお進めになるということを特にお願いをしておきたいと思います。  そこでこの百二十三条の読み方に関連いたしまして、法人に対する処罰についてでありますが、具体的にたとえばどこかのタクシーの会社の運転者が、ここに定められておりますような事故を起こした場合、特に過労運転という、これは七十五条の第二項の規定にも当てはまるわけですが、その七十五条の規定に違反するような行為が、株式会社である会社の運転者に起きた場合には、一体だれとだれとだれがどういう罪になるのか、そういうことで  一つ具体的な例示をしていただきたいと思います。
  92. 内海倫

    内海説明員 七十五条について言いますと、まずこの七十五条から直接これの罰を受けますのは、車両等の運行を管理する地位にある者が直接ここで命じあるいは容認することによって処罰を受けるわけです。そうして、これに基づきまして百二十三条の方で、この百十九条一項の十一号で、運行を管理する者の義務に違反した者の罰則をここに取りきめておりまして、これで受ける。そして百二十三条でその運行管理者の行為者を罰するほか、その運行管理者の属する法人または人に対しても各本条の罰金刑または科料刑をやるわけでございます。と同時に、その運行管理者がそういうふうなことを容認するということ、あるいは命じたことによりまして、運転者自身が結局これに該当するような違法行為を六十四条、あるいはこれは七十五条の第一項が無免許運転規定でございますから、六十四条の規定に違反した運転者として罰せられる。それから第二項でありますれば、六十五条あるいは六十六条の違反として運転者も罰せられる。従いまして結論的に申しますと、七十五条の規定違反がありました場合は、その運行を直接管理する地位にある者と、それを使用しております使用者と、それからそれぞれ六十四条から六十六条までに該当する違法行為を行なった運転者と、この三者が罰せられる対象になります。
  93. 安井吉典

    ○安井委員 株式会社についての罰則は。
  94. 内海倫

    内海説明員 法人も、その場合に当然この百二十三条によって罰せられるわけでありますから、その運転を管理しておる地位にある者の使用者が法人でありますれば、その法人はその両罰の適用によりまして罰を受ける、こういう規定になっております。
  95. 安井吉典

    ○安井委員 役所の場合はどうでしょう、その雇用者は。たとえば警視庁にはずいぶん車がたくさんありますが、あまり例がよくなければ、どこかの県庁にしましょう。その県庁の車が、ここに雇用者に対する罰則がきそうな事故にもしなったと仮定いたしますならば、おそらくないだろうと思いますが、県庁の場合は両罰の対象はだれでしょうか。
  96. 内海倫

    内海説明員 府県の場合ならば、府県がやはりこの両罰の対象になるかと思います。
  97. 安井吉典

    ○安井委員 最後は自然人でしょう。
  98. 木村行藏

    木村(行)政府委員 ただいまのに補足して申し上げたいと思いますが、この百十九条の第一項第十一号の方は、云々の定める条件として運転者車両運転させた雇用者、こういうふうになっておりまして、この雇用者は自然人をさしておるわけでございます。従いましてこれにつきましては、たとえば県庁の場合に、法的解釈はどういうふうになりますか、人事部長になりますか、あるいは知事になりますか、そういう自然人たる雇っている方の者が雇用者になります。それと同時に、その雇用者の所属している法人が両罰規定で公共団体も罰金を受ける、こういうふうになっております。
  99. 安井吉典

    ○安井委員 そうすると、府県ならいいのですけれども、国の機関はどういうことですか。たとえば、どうも警視庁が出てしまうのですが、それでは警視庁にしましょう。警視庁でもしそういう事故が起きた場合の雇用者はどういうことになりますか。
  100. 木村行藏

    木村(行)政府委員 警視庁の場合は公共団体、地方自治体の警察でありますので、これは国ではありません。国の場合は刑罰の主体でありますので、国そのものは両罰の対象にはなりません。
  101. 安井吉典

    ○安井委員 そうすると、雇用主はこの場合はどういうことになるわけですか。——それじゃもう一度、警視庁の例が悪ければ、建設省ならいいですね。建設省の車が事故が起きた場合、それからもう一つは建設省直接ではなしに、出先の建設事務所の車が起こした場合、そういうふうにいろいろな場合があると思いますが、その二つの場合に分けて。
  102. 木村行藏

    木村(行)政府委員 国の場合、たとえば建設省の場合、地方ですといろいろ身分が違いますけれども、建設大臣が任命しているという場合に、その任命された者がこの規定の違反になっておりますときは、建設大臣が雇用者として一応観念的には処罰の対象になりますけれども、これは国の機関でありますので、国は両罰の対象にはなりません。ただ出張所、たとえば建設省の出張所であっても、これは国の機関でありますが、府県単位の土木出張所がございますが、その場合に土木出張所長のもとにある職員が、出張所長の名前で辞令をもらっておりまして、その出張所長が雇用者になっておるという立場にある場合には、当然その出張所長が、府県の職員でありますけれども、雇用者として処罰の対象になります。その場合に法人たる府県が両罰の規定の対象になる、こういうふうになります。
  103. 安井吉典

    ○安井委員 地方公務員の場合ほそれでいいのですけれども、国家公務員の場合は、その任命権者も国の機関ということで罪にならないということですか。たとえば建設省の出先の関東地方建設局というような出先があって、その事務所もありますね。そういうところの砂利を運ぶ運転手というのは、おそらく建設大臣から直接任命じゃなしに、その出先の人がおそらく法律上の任命権者になっているのじゃないかと思うのですが、その場合でも国の機関だから罰の適用はないという意味ですか。
  104. 木村行藏

    木村(行)政府委員 国の場合には、国自体は両罰の対象になりませんが、ただ出張所の場合に、その下にいろいろな車両がたくさんあって、その車両運行を管理しておる者が出張所長自体かどうかわかりませんが、その下に直接何台かの自動車運行を管理しておる者があった場合には、その運行管理者は七十五条違反の対象になります。
  105. 安井吉典

    ○安井委員 その運行管理者は、いかなる場合でもなるでしょう。それは問題ないと思いますが、つまり雇用者というのは運行管理者と違うと思うのです。国じゃなしに、任命権者が雇用者じゃないでしょうか、どうでしょうか。
  106. 内海倫

    内海説明員 雇用者が、二つの事柄が混同されていると思うのでございますが、七十四条の第二項におきまして、これは新たに今度は罰則を付されましたので、第二項に基づいて雇用者が違反をいたしました場合には、雇用者というものは——法人は、この間刑事局長が説明いたしましたように、犯罪の主体にならないという判例等がありますので、この場合には自然人をもってその犯罪を行なったものといたしますので、たとえば法人等でありますれば社長、そういう者が雇用者として罰せられる対象なり、その社長が罰せられますと、それに伴って百二十三条の両罰規定のはね返りを受けまして、今度はその社長が属する何々会社というもの自体が罰金刑をもって法人として処罰をされる。こういうふうなことになりますし、それから七十五条の場合におきましては、どこまでも処罰の対象にまず第一段階になりますのは、その運行を直接管理しておる地位にある者が処罰の対象になり、そしてそれが雇用されておりまする場合には、その雇用者が罰せられるわけであります。従って、その雇用者あるいは使用者の場合でありますれば、たとえば業務課長というものが直接管理をする地位にある者であって、それをさらに使用する立場にある社長が使用しておりますれば、その社長が百二十三条により両罰の対象になりまするし、もしまた社長が「直接管理する地位にある者」ということで、この七十五条の処罰を受けました場合には、その社長を雇用しておるところの法人というものが、すなわち百二十三条の適用を受けまして罰金刑に付される、こういうふうに考えるのであります。
  107. 安井吉典

    ○安井委員 つまり私は、普通の法人の場合は問題ないとして、国の場合、何かわかったようなわからないような内容であるわけなんですが、その点もう少しはっきりしていただきたいと思います。つまり任命権者ということじゃなしに、その金がどこから出ているというそういう意味ですか。法人の代表者という意味は、いわゆる雇用者ですか。
  108. 内海倫

    内海説明員 たとえば警察庁を例にとりますと、警察庁長官交通課長の人事権を持っておりまして、これを任命する権限を持っておりますが、しかし私を雇用しておる者は国でございまして、警察庁長官が私を雇用しておるのではないわけであります。従いまして、雇用する立場におりまする雇用者ということになりますと、これは国でございます。そうすると、先ほど私の方の局長が申し上げましたように、国というものは、国の法律に基づく処罰の対象にならないものでございますから、従ってこれは適用されないということになりまして、結局私を雇用しておる者はその場合において国であり、その国は処罰の対象にならない、こういうことでございます。
  109. 安井吉典

    ○安井委員 そこで罰金の金額のことにつきまして、この間もちょっとお尋ねしたわけでありますが、やはり運転者立場からいうと罰金は重過ぎる。  一口に言ってこの法律についての印象はそこに尽きているようです。だから反対が出てくると思うわけでありますが、この間、この罰金の問題についての質問に対するお答えでは、ただ単純に十倍にするという趣旨ではない。それぞれのケースについて現実に考えていくんだ、そういうふうな新しい考え方考えていくんだ、そういうふうなお答えであったわけですが、たとえば信号を無視した場合には現在一体幾らなのか、それから今後新法によって実際にどれくらいになるお見込みでしょうか。
  110. 内海倫

    内海説明員 現行法におきましては、信号無視は体刑はなくて三千円以下の罰金、科料だけでございます。それが今度の新法では三カ月以下の懲役、三万円以下の罰金ということになっております。そこでそれが実際にどういうふうになっておるか、あるいは実際に現行法のもとで処罰を受けておるかという実情でございます。私の知ります限りでは、今まで罰金の範囲も、三千円以下の罰金ということでございますが、一般的には千円の罰金がおおむね一番通例の決定になっておるように思います。それ以上の場合はあまりたくさんはないように思っております。
  111. 安井吉典

    ○安井委員 私のお尋ねしておるのは、そのマキシマムだけがそういうふうに変わったわけですね。しかしその通りに現実の刑の判定、量刑もなされるのか、そういう点です。これは裁判所がきめるでしょうから警察がどうということじゃないにしても、やはり立法者としてきっちりこまかなところま  できめる必要はないにしても、ある程度の予想というものは必要じゃないかと思うのです。そういうような意味で、たとえばマキシマムが三千円以下というのが三万円以下という方向に変わったわけですね。その場合に、信号無視がかりに従来千円だとすれば、単純に十倍の一万円ということになるようなおつもりでこの法案ができておるかどうか、そういうことです。
  112. 木村行藏

    木村(行)政府委員 そういう単純な機械的な計算で、従来おおむね宣告刑が千円であった、それが今度は法定刑が十倍になったので、さらに今度宣告刑が一万円になる。こういうことは考えられないのでありまして、やはりそれぞれの事犯の実態に応じまして、また、たとえばその事犯にも背後にはいろいろな原因があるわけです。それらのいろいろな情状を酌量してケース・バイ・ケースが出てくるのでありまして、必ずしも十倍に宣告刑も上がってくるというふうには考えられないのであります。
  113. 安井吉典

    ○安井委員 つまり、新しくできた法案によって全く新しい観点から量刑が見直される、そういうように理解していいわけですね。
  114. 木村行藏

    木村(行)政府委員 まさしくその通りでありまして、新しい法として十分に全く新しい観点から検討さるべきことであります。
  115. 安井吉典

    ○安井委員 最後に、この法律案の表現の問題でありますが、小委員会でも、当該という言葉が三百幾つもあるので、これを何とかならないかということでずいぶん論議がかわされたわけであります。それは一例でありますが、その他にも理解にずいぶん難渋な点がだいぶあるわけです。ことに当該という言葉は、これは法律用語としてはもう相当長い沿革を持っておるわけで、それがそのまま機械的にこの法律の中にも出てきたんだと言えばそれまででありますが、しかし、罰則を各条項ごとにカッコ書きで入れたというような画期的な法制史上に残るような法律規定の方法を講じたこの際ですから、できればそういうふうな難渋な言葉を取り除くということに御努力を私どもとしては願いたかったわけでありますが、今回はそれがたとい見送られたにいたしましても、次の改正というふうな時期には、そういうような問題について全面的な御検討をいただいて——特にこの法律は、運転者はもとより自転車を運転する人から荷車を引く人までみんな適用があるわけです。それだけきわめて大衆的な性格を持っている法律ですから、そういうような点について今後十分に御配慮を願いたいと思うわけでありますが、これは一つ大臣から、今度はこうする、当該をなくすとはっきりおっしゃっていただきたいのです。
  116. 石原幹市郎

    石原国務大臣 この法律を制定するにあたりましては、各界からいろいろ代表の方々に集まっていただきまして、正式な諮問機関というわけでもございませんが、懇談会のようなものを数回開いて、その趣旨等も入れ、できるだけ平易に表明するつもりであったのであります。いろいろ立法技術といいますか、書き方等においてやや生硬なところも若干あるようでありますので、参議院でも、そういう趣旨を入れまして相当の修正も加え、ことに罰則など各条項にずっと引き出しまして、最も大衆にわかりやすいように相当手直しもされたのであります。しかし、ただいまの御意見十分尊重いたしまして、また今後機会ある際には一そう平易なものにしたいと思います。
  117. 川村継義

    ○川村委員 大へん時間もたっておりますが、私一つ気になるところがありますからお聞きしておきたいと思います。これは小委員会でもあるいは話が出たかもしれません。また今太田さんの方からあるいは出たかもしれませんが、ちょっと中座しておりましたので……。  それは五十一条関係ですが、違法駐車に対する措置がありますが、第一項でこうする、第二項でこうする、第三項でこうする、こう並んでおります。第四項に参りまして、「前項の報告を受けた警察署長は、第二項に規定する場所以外の場所に当該車両を移動することができる。」こういうような規定になっておりますが、これは今ここでどうというわけにもいかぬかもしれませんが、大体どこに直される考えなのか。警察署に持っていくのか、どうなのか、その辺のところかちょっと気になるのです。  それから第五項に参りまして「公示しなければならない。」こう書いてありますが、そういう車を直したのをいつまでも取りにこない、全然手がかりがないというような車については、一体いつまで保管しようと考えておるのか。あるいは政令等できめるということになるかもしれませんが、そのようなところはどうお考えになっておりますか。私が気になるのは、これはおそらく事例はないと思いますけれども、乗り逃げなどしておいて、ほったらかしておいて捨ててしまう。そんなばかはないと思いますけれども、そういうことが予想されると同時に、これまた非常に突飛な想像なんですが、二台も三台も四台も五台もということになると、警察ももてあますのじゃないか、こういうことがちょっと気になるのです。
  118. 内海倫

    内海説明員 御説明申し上げます。第四項は、ここにありますように五十メートルをこえない範囲で警察官が移動できるという規定を二項に書きました。この五十メートルといっておりますのは、私どもの立法の趣旨は、移動いたしました場合も、運転者がもとの場所に帰ってきて、心理的にそうびっくりするという感じを受けることなく、見渡した場合、移動されておるところがわかる範囲を大体五十メートルということで設定いたしまして、その範囲内で移す。ところがそれをこえて、五十メートル以内のところでは自動車を移動させる場所がないというふうな場合には、これは警察署長の権限に移しまして、移動できるというふうにいたしました。この場合には、いわば運転者が発見しにくい場所に持っていくことになろうと思いますので、特に警察署長の権限とし、従って警察署長がその車両を保管しなければならない責任を設定いたしたわけであります。この場合どういうところに移動するかという問題でありますが、でき得べくんばその本人が比較的に容易にわかりやすく、同時にまたその車が被害を受けることのないような場所を選んで移動すべきものでありますが、場合によりますと有料駐車場に保管する、あるいは警察が近い場合には警察署あるいは警察の持っております場所に移動するというふうなことになろうかと考えております。  それから最後の御質問の、まあ万々例はないかもしれないという前提で御質問ございましたが、私どもも実は万々ないということで、そういうものが全然見当らない場合の、これを売却するとかあるいは換価処分にするというふうな規定はここではいたしておりません。自動車というふうな相当高価なものでありまするし、できるだけこれは善良に保管をして正規の使用者または所有者に返すことに努めたいという努力をいたさなければなりませんが、それでもなお出ない場合は、遺憾ながらこの法規定のもとにおきましては、その所有者が出てくるまで警察署長は保管の責めに任じて当たらなければならないということであります。従いまして、この法律を施行いたしまして、今後そういうふうな事例が非常に出るような形になって参りますれば、あるいはこれに対する措置をあらためて考えなければならないと思うのでありますが、今までの盗難の場合その他乗り捨ての場合というふうな実態から考えましても、必ず所有者が発見されておる実態にかんがみまして、貴重な財産でありまするから、勝手に換価処分するというふうな規定は今回の法規定におきましてはいたしておりません。
  119. 川村継義

    ○川村委員 わかりました。そこで今の第五項の問題ですが、保管したときには、所有者、使用者に対して保管を始めた日時、場所なんかを通知しろ。こういうことになっておりまして、どうしてもそれがうまくいかぬときには、所有者の氏名、住所を知ることができないときは、政令で定めるとろにより、政令で定める事項を公示しなければならない。こう規定してありますが、この政令の内容をどうお考えになっておるかということと、それから乗り捨て等はおそらくないと思いますけれども、自動車あるいはその他の場合があった場合、保管という問題になって参りますと、遺失物法というのがありますが、あの法律によって処置されるのか、あるいは別の政令によって処置しようとしておられるのか、それはどうお考えになっておりますか、ちょっと聞かせておいて下さい。
  120. 内海倫

    内海説明員 この法律五十一条に基づいて警察官が処置いたした場合は、どこまでも五十一条に規定しておる趣旨によって処置をいたさなければならない。それから盗難品であると認定いたしまして遺失物として処理いたしました場合は、遺失物法による規定に基づいて処置する、こういうことになろうと思います。
  121. 大矢省三

    ○大矢委員 こういう機会がないと思いますのでちょっと一点だけ……。今問題になりました罰則の点、これはしばしばこの委員会で問題になりました二丁罰の問題であります。いわゆる免許証を取り上げられて罰金を取られる。それは運転手としては非常に過酷な取り扱いということで、前にも、もし免許証を取り上げるような場合には、専門家といいますか経験者といいますか、そういう者を入れて聴聞会を開かなければならぬということをここできめたことがあります。そこでそれを実施するかといえば、かえってそれがめんどうだというので、うんと罰金を取っていく。聴聞会を開いてその免許証を取り上げないかわりに罰金をうんと取られて、かえって迷惑しておるということを直接運転手からしばしば聞いておる。そこでこの問題は、今説明を聞いておりますると、そういうふうなことをしないで、十倍になっているけれども、そういうことはないと答弁しますけれども、法律というものができてきたら、その法文通り解釈して裁判所はやるということで、実際に取り扱う交通の経験者がみずからの運転手立場に立ってものを処理するならば、私はそう無理はないと思いますけれども、それを一たん離れますると、そういうようなわけにいかない。現に私の知っておる人でも、罰金を払おうと思っても、免許証を取り上げられて仕事ができない。それでいろいろ工面して持っていくと、それでは足らない。罰金を払うか、免許証を取り上げられるかどっちかと、手錠を前に置いて脅迫ですよ。そういうことを現にやっているのです。でありまするし、私はこの法律には罰則は、いろいろ説明を聞いておりますると、大して心配ないように聞こえますけれども、私は実際問題として非常に心配であります。そこで、これは質問の途中にいろいろ問題になっておりましたように、こういうものは取り上げるとか、何ぼ以上の罰金になるような事犯というものに対しては、もっと何か本人にも十分言い分を与え、それから社会的に見てこうしたものは厳罰にしなければならぬというような、いわゆる公平なといいますか、多くの意見を聞いてきめるような何かがなければ、結局今度の罰則というものは、私は過酷な二重罰をとられるのではないかと非常に心配をいたします。何も法律に基づかなくてもできるはずなんです。公安委員会なんかでいわゆる政令とか、いろいろなものがありますが、そういうことについてもあるし、取り扱いについても配慮がなければ、私は今までのこのやり方を見ておりますと、これは大へんなことになる。この点を非常に心配したから、前にもそういう聴聞会を開くことになっておったけれども、どうもそれがうまく運営されておらぬからして、今後それを厳重にやって、そういう無理はしない。それから二重罰ということに対しても十分考慮するということの一つの何かお考えがあるかとか、いや、これは法律ができればあるいはそういうことはいたし方ないのだと考えられるのか、その点は私は非常に心配ですから、一つ最後に罰則の問題についてこの機会にお尋ねをしておきたいと思います。
  122. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 この運転者の違反について、罰金行政処分のいわゆる行政罰と両者が並行して行なわれることにつきましては、本委員会においてもたびたび申し上げておるわけで、これはやはり事の性質上やむを得ないものであろうと思います。しかし行政処分につきましても、一定の処分以上のものについては公安委員会における聴聞制度というものを現在活用いたしておるわけでございまして、これは当然慎重に今後も運用して参りたいと思いますし、それから先ほど木村局長が、罰金が機械的に十倍になるわけではないと申し上げましたのは、私も結果的にそう相なるだろうと思いますが、現在は他の法令と比べまして罰金が非常に低いわけでございます。これは見ようによってはそれでいいのだというお考えもあるかと思いますが、そういう他の法令との比較において今度罰金額を上げたということは事実でございます。現在各種の法令と比較して、最高罰が低くなっておれば、裁判所の判断としては、その低いものに応じてこれの三分の一にしようとか、五分の一にしようということになって、低いという実質を見ながら、やはりこういう判断について合理的な課刑をいたすように配慮があるものと思います。そういう意味におきましては、最高刑が高く相なったのに比例して高くなるということは、必ずしも付随して起こるわけではないと思いますが、ある程度こういう法の改正がありますれば、やはり悪質なものについて刑罰が重くなるということ、これはやむを得ないことであろうと思います。できるだけその運用につきましては、先ほど来申し上げておりますように、われわれとしても十分に注意をいたし、また警察官の教養等につきましても努力をして参りたい、こう考えております。
  123. 亀山孝一

    ○亀山委員 実は同僚田中榮一委員が、安保の地方公聴会に出られましたので、私にきょう質問事項を託して行きましたので、その質問事項の要旨を朗読して当局のお答えをいただきたい。  一、最近交通ひんぱんな道路上をそば屋、すし屋その他の配達の者が、自転者、スクーター等を片手で運転をして、あたかも大衆に誇示するがごとき態度で得々として運転していることは、通行する自動車その他の車両運行にはなはだしく危険を感じさせる場合が多く、新法第七十条の規定から当然禁止すべき事項と考えるが、政令その他の法令でこれを禁止する意向であるかいなか。   二、片手運転の競技会、たとえばそば屋の出前持ちが行なわれているが、競技会の開催は片手運転を奨励する結果となり、適当でないと思うが、かかる場合に警察は中止の警告を発するかいなか。   以上二点であります。御答弁を願います。
  124. 木村行藏

    木村(行)政府委員 この二点の問題は、御趣旨まことにごもっともだと思いまして、十分に研究いたしたいと思いますが、関係条文といたしましては、法案の第七十一条の運転者の遵守事項の中で、第一項の第七号で、それぞれの道路の状況または交通の状況に応じて公安委員会道路の危険を防止し、交通の円滑をはかるため必要な場合には規則を定めて十分に遵守事項を制定することができるわけです。ですから東京や大阪など非常にひんぱんなところで、とてもそれがあぶないという認定に立ちますならば、それぞれの公安委員会においてこの点について制限し得る。こういう二点については非常に御趣旨ごもっともだと思いますの  で、積極的に研究いたしたいと思います。また七十条のいわゆる安全運転関係にもからんできますので、両者相待って研究をするつもりであります。
  125. 飯塚定輔

    飯塚委員長代理 次会は明十七日午前十時三十分より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時五十九分散会