○内海説明員 御
質問にそのままのお答えになるかどうかわかりかねるのでございますが、もし的をはずれておりましたら、あらためまして御答弁申し上げますが、現在私
どもの方で
交通事故のいろいろな分析を行なっております。一般的に行なっております分析はやや平板になっておりまするので、ともすれば表に出ました
事故原因の分析は、
運転者の責めに基づくというふうに出ておるのでありますけれ
ども、詳細にこれを
検討いたしますと、必ずしも
運転者の責めに帰すべからざる
事故も少なくないわけでございます。それらにつきまして私
どもの手元に報告のありますいわゆる重大
事故というものについての分析を私
どもの手元で加えておりますが、それらの
内容について若干御説明申し上げますと、そういうふうな分析の対象にいたしました事件が、昨年度におきまして三百八十七件あるわけでございます。その中で、その
事故の
原因が必ずしも直接的に
運転者の所為に基づくものとみるにはやや酷に過ぎると
考えられるものを探してみますと、まず第一点は居眠りというふうな、雇用
関係にその
原因を求め得ると認められるものが、三百八十七件中、十四件あげることができます。その例を申し上げますと、徹夜
運転のために起こった
事故というものが五件、それから非常に休憩時間が少なくて、一昼夜以上連続勤務をさせられたもの三件、夜おそくまで
運転を命ぜられたものが二件、その他四件、こういうふうなものがございまして、それらの
内容をつぶさに見て、その一、二の例を申し上げますと、たとえば
砂利トラックが夜十一時過ぎに無免許の助手に
運転をさせておるうちに、助手も疲労して居眠りをした。あるいは夜勤をした
運転手が、わずかに一時間くらいしか休憩がとれておらず、連続
運転をしたというふうな例が出ております。それから次に
道路の欠陥というふうなものを
原因として起こっております
事故が、三百八十七件中五十三件ございます。そのうちで路端が軟弱であるとかあるいはその他の理由で路端がくずれておったというふうなものが二十七件、あるいは先ほどのいわゆる険路でございますが、でこぼこ等の
道路によるものが十一件、あるいは山くずれ、橋その他がこわれておるというふうなことで七件、
道路工事場が非常に不整備なために、そこに乗り上げたもの三件、大きな穴ぼこがあって転落したというふうなものが二件、路面が軟弱であったためのものが三件、こういうふうなものが
道路原因でございます。それからさらに、本来当然使用者によって
車両が整備されておらなければならないはずにかかわらず、そういうふうな整備が行なわれておらずに、運行を強行せしめられたというふうなことで起こっておる
事故が二十一件ございます。それからこれは両方の責任でございますが、踏み切りの横断の場合に、踏み切り警手が油断あるいは怠慢のためにやったものが二件、踏み切り場内の
工事が行なわれ、あるいは踏み切りが非常に狭過ぎたために立ち往生したということのために起こったようなものが三件、こういうふうなものが三百八十七件の
事故の中で
考えられるのでありまして、またこれを警視庁の統計についてみましても、警視庁の分析しております一万四千余件の
事故中、
道路欠陥に基づくというものが約二千件、踏み切りの警報機の故障であるとか、あるいは
街路灯がないとか、あるいは
バスの停留所の位置が不良であったとか、あるいは信号灯に欠陥があったとか、いろいろ理由はございますが、そういういわば
交通保安施設の欠陥に基づくと認められるものが約一千件ございます。こういうふうな事件を一応私
どもの手元ではっきり数字としてあげ得るものをあげたわけでございますが、こういうふうな事件につきましては、たとえばそれを
運転者を主体とした事件にいたしましても、これを事件捜査いたします場合にも、あるいは事件として送致いたします場合にも、これらを十分に反映して事件を送致いたします。同時に裁判におきましても、そういう点が十分に加味されておりまするので、これらのそれぞれの今申しましたものの裁判結果については、私まだ
承知してこれを申し上げる資料を持っておりませんが、これらにつきましては
運転者に対する責任追及というものは、十分それらを酌量した上で
措置されておるもの、かように
考えておるわけであります。われわれとしましても、事件捜査の場合におきしても、極力その
事故あるいは違反について、
運転者だけを唯一の責任者として追及するという態度を捨てて、何がその違反を起こさせ、何がその
事故を起こさせたかについての緻密なデータを調べ上げた上で、事件として処理するようにというきびしい指導をいたしておりますので、一がいにすべてここの
罰則に
規定されてあるから、それがそのまま
適用されていくというふうなことのないような
考え方及び態度をもって臨んでおる次第であります。