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田中(榮)
委員 今
富永交通部長からお聞きいたしまして、この事実がその
通りであることを確認いたしたのでありますが、そこで
國友自動車局長にお伺いしたいと思いますが、この新聞の
内容が事実かどうか私は存じませんが、一、二の例を申し上げますと、そのうちでも
中央区日本橋浜町一の十八、高崎貨物株式会社
東京営業所は十五台の車がありながら、車庫の収容能力はわずか七台分、あとの八台は道路にそのまま置きっぱなしになっておる。それからその次には、新潟運輸建設株式会社日本橋支店、
中央区日本橋久松町三十七、これは小型車両が八台しか車庫には入らない。残り五台を付近の道路に違法駐車をさせておる。それから新日本運輸株式会社
東京営業所、墨田区横綱町一番地、これは車庫の収容能力は十両なのに対して、使用している車両は十四両、四両が付近の道路に置きっぱなしになっている。それから丸三陸送
東京営業所、千代田区
神田五軒町三十八、これは使用車両六両に対して、
東京営業所の収用能力は小型四両で、二両が道路に置きっぱなしになっている。それからそのほか品川
タクシー本社営業所、これは車庫をダイハツに使用させているために、十三台分がはみ出して道路に駐車している。こういった例があるわけであります。
そこで、私はここに
一つ例をとって申し上げたいと思いますが、この中で丸三陸送
東京営業所でございますが、これは現在千代田区
神田五軒町三十八番地に営業所がございまして、これはほとんど全部の車が道路に駐車しております。その付近の住民は過去数年間にわたりまして、
警察署に対して何とかこれを取り締まってくれということで、
警察もこれを
取り締まり、また丸三陸送会社に対しても何回か警告を発しておりまするが、その警告を全然無視いたしております。さらにこの丸三陸送会社は、今度は
中央区日本橋浜町二丁目に、元倉庫のありましたところを買い入れまして、そこを営業所にいたしまして、営業所の拡張並びに路線延長の
許可申請を出しているわけであります、ところが、この浜町二丁目というところは住宅街でありまして、医者であるとか、勤め人であるとか、小さな中小企業であるとか、あるいは
事務所がございまして、従来はきわめて静穏なところであったのでありますが、最近二軒ほど住民の知らないうちに急行便の営業所が設置されましたために、その付近は非常に
交通上にも支障があり、またいろいろ危険を生じて困っている。そこで今回丸三陸送会社が新たにそこに営業所を設けようとすることになりましたので、浜町二丁目の東西両町会並びに三丁目の町会の住民が決起して、昨年住民大会を開催いたしまして、これに対して住民がこぞって
反対をいたしたのでございます。ところが浜町中学校というのが
精神薄弱児の特殊教育をいたしておりまして、小児麻痺の子供とか身体の不具者がそこに通学をいたしております。それが大体二百数十名現在通学をいたしております。さような
関係でこの中学校の父兄からも、通学児童に危険が生じてはならぬというので、PTAの方々も非常に
反対を唱えておるのであります。そこでこれにつきましては地元からも
運輸省に
陳情をいたしまして、どうか
許可してくれるな、こういうことを再三嘆願に及んでいるわけでございます。
陸運局の考え方といたしましては、施設が整備したならば
許可せざるを得ないだろうというような御意向があるやにも私はちょっと漏れ承ったのでございますが、しかし、公共の福祉ということは憲法がこれを擁護しているわけであります。公共の福祉に反せざる限り法令が出て、その範囲内において
許可すべきであろうと考えておりますが、かように公共に及ぼす影響がきわめて重大であるということが明々白々の場合において、それを侵してあえてこれを
許可するということは私はあり得ないだろうと考えておるわけであります。
そこで私は、
神田五軒町において丸三陸送会社がどういう営業ぶりをしているかということを実地に見たいという考えで、ある一日ひまをつぶしまして、五軒町の丸三営業所をつぶさに私
個人で視察いたしまして、その付近の住民二十名の方々を一々単独で訪問をいたしまして、それらの方々の意見を聴取し、またすぐそばに学校がございますので、学校の校長先生並びに教頭以下先生方の御意見も聞いてみたのでございますが、まことに営業ぶりは横暴でございます。たとえば学校の前が営業所になっておりますが、その授業中に重い鋼材をずしんずしん道路に投げおろしますので、とうてい子供の教育ができないというので、そこは何か手工の作業場に変えて、教室をほかへ移しております。それからその付近の道路には、私が行ったときにも現に五、六台のトラックが路上に放置されておるような現状でございまして、どうしてこれが
取り締まりできないのでしょうかというのが五軒町の住民の方々のほとんど全部の意向でございまして、会社側としては、そういう点からさらにまたこちらの方へ営業所を設けたいという気持であらうかと存じておりまするが、この問題につきまして昨日でありましたか、
中央区のある新聞に
関係者の談話が出ております。その談話の中に、丸三営業所の重役の話によりますと、せっかく高い金で土地、家屋を買ったのだから、これを損してはならぬから自分たちはやるのだ、こういう考え方であります。自分の会社の事業に利益を得たい、せっかく高い土地を買ったのだから、これを使ってやらなければならないのだという、全く営利主義でやっておりまして、ほとんど住民のことなんかは考えていない。考えていない事実は、すでに私が行ったときに、もう過去数年間住民が何回か
陳情しておるけれ
ども、全然改める態度はない。こういうことをはっきり住民の方々が口をそろえて言っておるのでございます。
それからもう
一つ、せんだって私のところへこの営業所の重役が二人来ました。何でも
田中代議士が
反対しているから了解を求めたいというので、私のところへ菓子折を持ってきたのです。私はその菓子を突っ返しました。要するに
国会議員であろうが何であろうが、何かものを持っていったならば、それで簡単に了解してくれるのだというその考え方が、私はこの丸三トラックの考え方ではないかと思うのです。
許可してしまったならば何でもやっていいのだ、
方法がどうであろうが、
反対がどうであろうが、そんなことはもう必要はないのだ、自分たちの営業が成り立っていけばいいのだ。こういうような営利至上主義の考え方でこの会社はやっているのだ。おそらく私はほかの会社でもこういう例があるのではないかと思うのでありますが、私はこの
許可に対しまして、絶対に
反対を申し上げたいと思います。これは私一人ではございません。もしもこの
許可が下ったときには、住民は車庫の前に金部寝て、車の下敷きになってもこの営業は阻止する。こういうかたい決意を持っておるわけでございますが、この点につきましては、
一つ運輸省側におきましても、住民のこうした強い
反対、それから公共に及ぼす影響、こういう点を十分に
一つ考えて——
道路運送法の第四条でありますか、第六条でありますか、この
許可の
基準によりますと、営業だけの面について
基準ができております。たとえば事業が遂行性があるかどうか、それからまたその事業が適切な計画であるかどうか、あるいはその事業の開始が公益上必要であるとかないとか、こういった事業の点に重点を置いて
許可の
基準がきめられておりますが、それ以外にもっとさかのぼって、憲法の規定にさかのぼって、
ほんとうにこれが公共の福祉に反しないかどうかという点から、憲法の
精神に立ち返って、この
許可を当然私は与うべきものではないという強い信念をもって申し上げますが、その点につきまして
國友自動車局長のお考えを承りたいと思います。