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1960-03-30 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三十日(水曜日)     午前十時五十一分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君    理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君       相川 勝六君    加藤 精三君       亀山 孝一君    川崎末五郎君       津島 文治君    富田 健治君       山崎  巖君    太田 一夫君       川村 継義君    佐野 憲治君       野口 忠夫君    安井 吉典君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         警  視  監         (警察庁警備局         長)      江口 俊男君         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君  委員外出席者         議     員 渡海元三郎君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  行政書士法の一部を改正する法律案渡海元三  郎君外二名提出衆法第一六号)  警察に関する件(三井三池炭鉱乱闘事件)      ————◇—————
  2. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 これより会議を開きます。  濱地委員長にはお差しつかえがありますので、その指名によりまして私が委員長職務を行ないます。  連合審査会開会申し入れに関する件につきましてお諮りいたします。すなわち、ただいま商工委員会において、審査中の内閣提出火薬類取締法の一部を改正する法律案は、本委員会の所管とも関係を有する法律案でありますので、同法律案について、商工委員会に対し連合審査会開会申し入れを行ないたいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 御異議がないと認めます。よってそのように決しました。  なお連合審査会開会の日時は、追ってお知らせいたすことにします。      ————◇—————
  4. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 次に、行政書士法の一部を改正する法律案を議題といたします。これより質疑に入ります。川村委員
  5. 川村継義

    川村委員 昨日提案理由説明をなされました行政書士法の一部を改正する法律案について、若干お尋ねいたしたいと思います。  提案理由説明によりますと、行政書士については任意加入であった行政書士会並びにその連合会を、司法書士税理士等の場合と同じように義務設立強制加入にする。こういうことが述べられておりますが、行政書士関係をなぜ司法書士あるいは税理士関係等と同じような形にせねばならないか、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。     〔纐纈委員長代理退席濱地委員長着席
  6. 渡海元三郎

    渡海議員 行政書士が、その職務において公共性を帯びておるために法定されて、一定資格を法的に規定されておることは御承知の通りでございます。法律を制定されましてからその後の任意設立規定になっております状況をながめますのに、現在登録されておりますところの行政書士の約四八%が行政書士会に加入して、しかもその四八%の行政書士会のうち、会費を納め、直接行政書士会行動に移っておるものはごくわずかである。このような状態でございますので、その活動あるいは業務指導把握等につきましても種々困難性が認められております。このような状態にかんがみまして、強制加入義務設立ということによりまして、知識向上技能、品性の向上をはかりまして、もって公共福祉にも沿い得るというふうにすることが現下の法運営上の経験にかんがみまして適当と認め、ここに議員立法とすることにいたした次第でございます。
  7. 川村継義

    川村委員 ただいまのお話でございますけれども、私は行政書士業務及びその使命というものと、司法書士業務使命というものは、やはり相当差異があるのじゃないかと考えます。特に第十九条の改正等で出ておりますような形に持っていくということは、私は行政書士の立場からして適当ではないというふうな考え方を持つわけですが、どうして税理士あるいは司法書士と同じ形にせねばならないのか、同じ形にさせなければその目的を達することができないのか、もう少しはっきり御説明願いたい。
  8. 渡海元三郎

    渡海議員 司法書士行政書士が同じ公共性を有するという点については共通の点がございます。しかしながら業務内容がおのずから差異があることは、ただいま川村委員が述べられた迫りだと私も認めます。しかし、事公共性に関しては同じようにその衝に当たる個人の大きな利害関係関係があるということは、これは司法書士と何ら変わることはございません。このために法律におきまして一定資格を要求されるように法定された理由もまたそこにあると思うのでございます。しかし、今申し上げましたような理由によりまして、おのずから業務内容も異なるものでございますから、任意設立の形に今日までなっておるのでございますが、現在の法運営状況を見まするのに、任意設立であるがために加入する者も非常に少ない、またそれらの活動も非常に微々たるものであるという状況が露呈されております。一方行政書士活動の中には、あるいは不当に高い料金を取っておるもの、もしくは領収証を発行せずに行なっておるもの、または事件簿を備えつけていないものというように、明らかに法に違反されるようなものも多々見受けるのであります。これらは公共福祉を守る上におきまして、このような状態が続出しておる現況は、任意加入であるという点におきまして、多分にこの欠陥が現われてきておるのじゃないかと思います。一方近時、各種行政につきましても相当繁雑をきわめております。技能向上につきましても、講習その他をもって、一定資格だけでなくて、随時研修しなければならないようなときに、組織活動が行なわれないために、これらの知識向上あるいは連絡等におきまして種々の弊害が認められましたので、ここに公共福祉を重んずるために、同様に義務設立にし強制加入にするという方法をもちまして、行政書士品位向上並びに知識技能向上をはかり、もって公共福祉に資していきたい。かように考えまして、今般司法書士と同様に義務設立強制加入というように法を変えていただきたい、こう考えまして提案さしていただいた次第であります。
  9. 川村継義

    川村委員 お話の趣旨はよく了解でざるわけですが、税理士やあるいは司法書士は、これは申し上げるまでもなく、その資格等の問題にしても、あるい業業務開始認可にいたしましても、あるいは事務所の設立にいたしましても、やはり法務大臣管轄であるし、法務局等で取り扱っていると思います。これは結局全国的なものであって、税理士も同様でありまして、そういう点は一がいに地方自治体にのみ関係がある、いわゆる知事権限に属しておる行政書士とは趣きが違っている。しかも税務あるいは司法という業務に携わる書士諸君業務内容からいたしましても、やはりある点の書士会等はそこにきちっとしたところの強制加入等の規則が必要であるけれども、行政書士についてはそこまで考える必要はないのじゃないか。特に提案の中にあったと思いますけれども、連合会を作らねばならぬというような強制的な措置というものは、一体どういうものであろうかということなど考えてみるわけであります。かりに一歩譲って、その府県なら府県における行政書士会強制加入ということが成り立っても、全国的に考えられる連合会というものまでも強制加入にしなければならぬという性格のものであるかどうか。行政書士はすべて認可におきましても、あるいは試験のいろいろな手続にいたしましても、受験資格の問題にいたしましても、これは知事権限のうちにおいて行なわれることでありますから、全国的に考え連合会等強制加入措置をとるということはどうだろう、この点について提案者のお考えをお聞かせ願いたい。
  10. 渡海元三郎

    渡海議員 お説ごもっともでございまして、行政書士資格試験は、法律でも各都道府県において実施されることになっております。行政の主体が主として府県行政に属することでございますので、ごもっともなのでございますが、大体各府県業務と申しましても、各府県ごとに条例その他において異なっておる部面もございますが、あらゆる点において共通部面が多いのでございまして、各府県ごと資格のある程度の統一をはかり、また各府県を通じての平等なる品位向上をはかるという点において、連合会設立を、府県と同様に自治庁長官監督のもとに置くということが全国的な行政書士会品位向上をはかり、技能知識向上をはかり得る。かく信じて連合会に対しましても強制加入ということにいたしたわけでございます。
  11. 川村継義

    川村委員 業務の完全な遂行、あるいは行政書士諸君品位等向上、そういう目的のために考えておられるということはわかるわけでありますけれども、これは必ずしも強制加入措置をとらなくても、やろうと思えばやれる問題であります。特に今回ここにありますところの行政書士会というものは人格はどうなっておりますか。法人組織でございますか、いかがでございますか。
  12. 渡海元三郎

    渡海議員 現在の義務設立同種業態におきましても、法人組織を有しておるものは弁護士会弁理士会あるいは税理士会法人資格になっておりますが、公証人会あるいは司法書士会等法人格を有しておりません。今お尋ねの本行政書士会につきましても、法人格は有しないことに考えております。
  13. 川村継義

    川村委員 税理士会法人でございましたね。そういう点から考えても、また行政書士連合会等ができた場合に、そういう連合会に対する規制というものはどこでやられるのか。それは政令か総理府令等にゆだねられる考えであるのかどうか。ただ連合会を強制的に作らせておいて、その連合会に対する行政監督官庁の明記がないとなると、これはちょっと変な格好になりゃしないか。あくまでもこういう連合会等はやはり任意組織である方がいいのじゃないか、こういう点を考えてみるのですが、その点はいかがでございますか。
  14. 渡海元三郎

    渡海議員 お尋ねの点ごもっともでございまして、このたび行政書士会義務設立にするということにいたします以上は、業として行政書士を行なうときはこれに加入しなければ行なうことができないということになります関係上、その行政書士会が適正なる運営をされておるかどうかということは、これまた非常に重要なることになって参りますので、このたびの改正に基づきまして、法第十八条の二におきまして、都道府県におけるところの行政書士会都道府県知事が、またただいまお尋ね行政書士会連合会につきましては自治庁長官がそれぞれ報告を求め、またはその行なう業務について勧告する等、適宜の勧告を得ましてただいまお尋ねの点の遺漏なきを期していきたい、かように考えて第十八条の二を追加さしていただいたような次第でございます。
  15. 川村継義

    川村委員 連合会の場合、自治庁関係等はどこで規定される予定ですか。
  16. 渡海元三郎

    渡海議員 法文の十八条の二として追加さしていただきまして、「都道府県知事行政書士会につき、自治庁長官行政書士会連合会につき、必要があると認めるときは、報告を求め、又はその行なう業務について勧告することができる。」という一句をつけ加えさしていただいておるのでございますが、この規定に基づきまして、行政書士会連合会につきましては自治庁長官の方で必要なる業務監督を行なっていただく、こういうふうに規定さしていただいておるのでございます。
  17. 川村継義

    川村委員 さきの御答弁の中に、行政書士会に入らなければ業務はできない、こういうことでございますが、第十九条のもとの文章は、「行政書士でない者は、業として第一条に規定する業務を行うことができない。但し、他の法律に別段の定がある場合及び正当の業務に附随して行う場合は、この限りでない。」こういう規定であったと思います。それを今回の改正を見て参りますと、「行政書士でない者の取締」という言葉が「非行政書士等取締り」と変わっておりまして、「行政書士でない者は」という言葉を「行政書士会に入会している行政書士でない者は」に改めるとなっておりますので、行政書士会に入っておらなければ、行政書士資格を持っておっても、あるいは都道府県知事から認可を受けて現在業務を営んでおっても、それはやってはならない。こういうことになると私は解釈しております。これは少しいかがでございましょう。つまり行政書士資格を持っており、しかもちゃんと試験等を受けて知事から認可を受けて登録も済ましておる。現在行政書士として仕事をしておる。こうなりますと、行政書士法によって完全にこれはりっぱな行政書士としての業務遂行ができる資格を持っておるわけです。その人が、行政書士会に入らないからといってそういう業務ができないということは、一体行政書士法建前からして妥当なものであるかどうか、あるいはいわゆる個人のそういう人権に関して大きく抑圧をするものではないか、こういうことを憂うるわけでございます。そこで今の第十九条関係でも、これは司法書士及び税理士等関係を見て参りますと、必ずしもこういう規定になっておらない。そういう点今度の改正は非常に厳格過ぎるということを考えるのですが、その点について提案者はどのようにお考えになっておりますか。
  18. 渡海元三郎

    渡海議員 行政書士として正当の資格を持ち、登録をやっておる者が行政書士としての仕事をすることは、この法律によっては何ら変わりないと思う。ただ業としてこれを行ない得ないということを十九条に出しまして、いわゆる義務強制加入という形をとったのでございます。この点は、よく憲法にいわれる職業選択の自由を侵害するものでないかという御意見もございますが、憲法にいう職業選択の自由というものも、公共福祉最小必要限度に守るという点について制限されることは、また認められておると私は考えるものでございまして、行政書士が、公共性にかんがみまして特に法定されておるという点から、この点を業としては行なうことができないのだというふうに規定することによりまして、公共福祉を侵害されることを防止するという点におきまして、何ら憲法等を侵害するものでない、かように考えておるものでございます。
  19. 川村継義

    川村委員 今提案者のせっかくの御説明でございますけれども、私は今の御説明ではどうも納得がいかないのです。行政局長お尋ねしますが、行政書士諸君は、ちゃんと一定資格要件を備えて、そして試験を受けて、その資格をとって、知事登録認可を得て、そして業務についており、それでりっぱに仕事をやれる諸君だと思う。それが行政書士法の大きな建前であると私は考える。ところが今度第十九条でそれを縛りつけて、いわゆる行政書士会に入らなければその業務を行なうことができない、こういうような規定をすることは一体妥当なんでしょうか、どうでしょうか。私は、これは憲法でいうところの人権を侵害するものではないかと考えるのですが、その点について一つ局長のお考えを伺いたいと思います。
  20. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 行政書士会が従来自主的な団体ということにされておりましたが、これに加入するかどうかということについては、すべて行政書士個人の自由とされておったのでございます。これを今後法律で一律に強制するということになりますと、御説のように若干無理が生ずるのではないかというようなことも考えられないわけではございません。しかし現在、行政書士会というものが法律任意ということにはなっておるものの、法律的根拠がありながら、全国二十九になっておりますが、それでもまだ設立されておらないところもかなりあるようでございます。その会員も、現に行政書士として登録を行なっております者の三六、七%ということに相なっておりまして、このため行政書士会活動自体もきわめて不振であるという状況になっております。こういうような点にかんがみますと、行政書士実態を把握して、あるいは行政指導を行なって、さらには業務知識向上をはかって参る等の意味におきまして、強制設立あるいは強制加入という制度を採用することにも、相当の合理的な理由が存在するのではないかというふうに考えておるのであります。また行政書士と類似の業でございます司法書士あるいは土地家屋調査士等につきましても、強制設立強制加入制度が採用されております。その均衡の点から見ましても、行政書士につきましても同様の制度を採用するということも、一半の合理性というものは認められるのではないかというふうに私としても考えておる次第であります。
  21. 川村継義

    川村委員 今あなたがおっしゃったような、その点はよくわかります。そういう必要も感じておられる。従ってこのような法案が提出されたと思います。ところが、これは私は先ほどもお聞きしたのですが、司法書士や、税埋士、こういうものと行政書士を同じレベルにおいて考えられるのかどうかというところに一つ疑問があるわけです。しかも行政書士はすべて都道府県知事管轄下に入っておるわけです。税理士、あるいは司法書士はそれぞれ大蔵大臣あるいは法務大臣等が、全国的な特に重要な問題あるいは業務遂行させるというような点から考えられるのでありますけれども、行政書士は必ずしも強制措置をとらなくたって、これは知事相当権限があるのです。しかもその業務向上のために、あるいは行政書士人たち品位向上のために、これはちゃんとやろうと思えばできることだと思います。そういうようなことも一つの問題でありますけれども、司法書士等のそういうような条項等を見て参りますと、この司法書士法の十九条の第一項には、第一条の業務禁止というようなことを書いてありますし、第二項には、司法書士でない者の規定があったと思います。ところがこの行政書士の場合の改正では、ちゃんとりっぱな行政書士資格あるいは実際業務がやれる認可を受けておる者が、会に入らないからといってその仕事ができない。こういう規定の仕方は人権上大いに考慮すべき問題ではないか、こういう点を聞いておるわけです。今の実態がこうだから強制加入措置も必要になってくるだろうという考え方はわかります。しかし、今私が申し上げたような形で、会に入らないからといって一切の業務ができないというやり方は、これは人権上の問題として残るのではないか、この点を私は今あなたのお考えを聞いておるわけです。
  22. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 憲法職業選択の自由というものが規定せられておることは御指摘の通りでありますが、これとてもいわゆる公共福祉という面から所要の制限を受けますことはやむを得ないところでございまして、特に行政書士につきましては、その職務について公共性が非常に高い。そのために法律上の一定資格を要求されておることもるるお話にもあった通りでございます。そういう点にもかんがみまして、その相互の連絡であるとか、あるいは知識技能向上をはかるための措置といたしまして、行政書士会強制設立とする。また行政書士会に加入しない者は行政書士としての業務を禁止していくということは、今申し上げました公共福祉の要請するところになるのではないかというふうに考えまして、私といたしましても、別にこれは憲法違反ということにならないのではないかと考えております。
  23. 川村継義

    川村委員 もう少しお聞きしたいのでありますが、時間がございませんから一応私の質問はこれで終わりといたしますが、ただ全国的な連合会組織については、これは強制加入等ではなくて、少なくともやはり任意加入というような形にされることが必要じゃないか、このように私は考えるわけですが、さらに一つ御配慮を願いたい。こういう希望を申し上げて質問を終わります。
  24. 濱地文平

    濱地委員長 ほかに質疑はありませんか。——別質疑もないようであります。本案に対する質疑はこれで終局いたします。      ————◇—————
  25. 濱地文平

    濱地委員長 警察に関する件につきまして調査を進めます。  三井三池炭鉱における乱闘事件につきまして、まず事件の概要並びに警備状況等について政府当局説明を求めます。江口警備局長
  26. 江口俊男

    江口政府委員 三井三池の問題につきましては、二十七日夜及び二十八日の事態が大体おさまったという時期におきまして、また昨日不測の事態四山鉱におきましてできましたことは、まことに遺憾でありまするが、私の手元に参っておりまするだけの報告を、二十八日と二十九日に分けまして、主として三川鉱内における乱闘事件及び昨日の四山鉱正門におきまする事件を中心に御報告を申し上げたい、かように思います。  まず二十八日の早朝、三川鉱内の繰り込み場付近におきまする新旧両組合員及び会社側との乱闘事件状況を申し上げます。  その前に、二十七日の夜、熊本県の三角港から出ました第二組合員を乗せた船が第二人工島の縦坑から中に入った。それから第二陣として長洲港から出港いたしました組合員が、やはり同じ行動に移ろうという意図があったのでありまするけれども、これは紛争を起こして実行に至らなかったというような問題が三川鉱事件の前に一つあるのであります。しかしながら、それは多少の乱闘があったようでありまするけれども、大きな事故を起こさずに二十七日の晩は済んでおったのであります。  それで三川鉱状況に移ります。三川鉱事件は、二十八日の大体七時ちょっと過ぎの事件のようでございます。それで三川鉱事件に至るまでの三川鉱における状況がどうであったかと申し上げますと、旧労側、いわゆる第一組合側は、午前一時ごろから、三川鉱裏門付近にございます団結館と称する建物がございますが、そこに約二千五百名が集結いたしまして、そして正門裏門新門、こういうところに約三百名から四百名くらいのピケ隊員を配置しておったのであります。こういう状況のもとに五時二十分ころ、そのうちの約五百名くらいの第一組合員が西門及び北門から三川鉱構内に入り、鉱長室その他の勤務いたしておりました職員に暴行を加えまして、ガラス窓、机というようなものを破棄するような行為があった模様であります。  一方、今度は新労、いわゆる第二組合でございまするが、新労は、予定通り約千三百名が諏訪公園付近に集まりまして、午前六時ころから正門に向けて第一隊約四百名、北門に第三隊約四百名というものを向けまして、これがまあ世にいう陽動作戦の役目を果たしたようであります。この第一隊及び第三隊がおのおの四百名ずつ正門北門に向かいましたので、外でピケを張っておりました第一組合員の大部分がそれに対峙をするという形になっておったのであります。そこで三つに分けましたうちの第二隊約五百名という新労員が、残っておりまする新門からほとんど——これは警察報告でございまするが、入る場合にはほとんど妨害がなく、五百名ぐらいが構内に入った模様であります。この五百名が新門から入りまする場合に、ちょうどその時間には正門のところにおいて旧労側、第一組合側ピケ隊と新労側、第二組合の第一隊、先ほど申し上げました第一隊がもみ合っておった模様であります。そうして入構しました新労員五百名が繰り込み場の付近に到着しました際に、先ほど申し上げました部隊であるか、あるいは新たに増強された部隊であるか、この点さらに調べないとわかりませんけれども、先に入っておった第一組合員との間に衝突を起こしました。これがほぼ七時ちょっと過ぎ、七時五分ごろであろうということに相なっております。七時五分ごろから第一組合及び第二組合員との間に乱闘状態が起こりまして、警察がかけつけました七時十五分ごろまでの問に多数の負傷者を出すような大きな激突事件が行なわれておったのであります。警察部隊は七時十五分に第一隊がそこにかけつけまして、制止をいたしまして、第一組合側はそこを引き揚げたということになっております。その際のけが人が、昨日までは百十五名という報告を私は各委員会で申し上げたのでありまするが、けさほど参りました報告では二百三十名ぐらいの数になると思います。どちらがどちらをたたいたかというようなことは、もちろん現在捜査中の事柄でございまするけれども、けが人から申し上げますと、これも多少将来また変わると思いまするが、現在は新労員負傷者が約百六十名、旧労員負傷者が約五十名、会社側といいますか、会社の職員の負傷者が約二十名、こういった数字になっております。  警備措置等は後ほど申し上げますが、以上が三川鉱構内における事件の概要でありますが、おととい二十八日は三川鉱以外におきましても、四山鉱その他で四、五人ずつの負傷者を出すというような事件は各所に起こっておりまして、現在二十七、二十八日のいわゆる不法事件というものを合計いたしますと、十九件福岡県側だけで起こっておるということに相なります。三川以外の場所における事柄は、また御質問がありますればその際申し上げることにいたします。  次に、昨日四山鉱におきまして起こりました一人の死者を出しました事件の概要を申し上げます。昨日の午後四時五十五分ごろ、これはもう新聞等でも詳しく報道いたされておりまするが、大牟田の山代組、それ以外の組も多少入っておりまするが、山代組を中心とする百名ぐらいの者が、トラック一台、ハイヤー十四台に分乗いたしまして、四山鉱南門の前の検問所を通過いたしまして、そこで検問員に検問を受けておりますけれども、その警告を聞かずにそこを突破して、正門へと向かっております。これが四時五十五分ごろです。ちなみに南門の検問所は、これは熊本県警察の検問所でございますが、これはパトカー一台と検問員が七名の配置であったようであります。そこで、これは警備措置の適否にかかるわけでありますけれども、とにかくそこで停止するということができずに、正門に行ったという事実がございます。その一隊と申しまするか、車の列は、午後五時十五分ごろ四山鉱正門前に到着しまして、数名がおりて、そこにピケを張っておりました第一組合員、これは三百五十名くらいのピケであります。これと口論をしておったようであります。そのうち全員が車からおりまして、そしていわゆる第一組合ピケ隊員とその連中との乱闘に相なったのであります。その乱闘のさ中か、その直前か、付近の駐在所に詰めておりました熊本の警察官の四名がそこにかけつけて、警告、制止をしておりますけれども、これも聞き入れられてないというか、それをとめることができずに、両方のなぐり合いになっておるのでございます。そのうちに福岡県の部隊が一個小隊、これは山代組一派のトラック及びハイヤーに乗った連中が、いわゆる宣伝活動ということで方々をその前から歩いておるものですから、これはかねがねの行状に照らして衝突のおそれが十分あるということで、三百メートルぐらいうしろをずっと追尾をいたしております。これがその次にかけつけております。それから、これが中に入り、その後、急報によってかけつけた熊本県部隊が約二個中隊、特科部隊、私服部隊を入れまして三百名ぐらいの者がさらにこれにかけつけまして事態を鎮圧した。鎮圧といいますか、終結をして、そうして乱暴いたしておりました山代組ほかの五十一名を荒尾署に同行して調べたのでございます。こういう事故が起こりまして、まことに遺憾でございますけれども、死者一名を含めます負傷者が旧労側第一組合側に十三名、それから山代組側に一名、警察官に五名というものが、その紛争事案の渦中にあってけがをしたり、一名がそのうち病院で死亡するというような事故が起こっているわけでございます。以上が昨日の四山鉱正門前における事案でございます。  今まで起こりました事案は、従いまして、先ほど申し上げました二十八日の三川鉱構内における事案と、昨日の四山鉱正門前における事案とが一番大きな事案と相なっております。現在の状況は、私ただいま役所を出ます際に聞いて参りました状況は、新労側の就労しようという状態が出ておりませんのと、旧労側も各所にピケを張っておりますけれども、もちろん相手がございませんので、衝突、接触というようなことは現在まで行われておりません。  次に、警備措置についての概要を申し上げます。どういう判断のもとにこういう警備措置をやったかということにつきましては、いろいろございますけれども、その点を省略しまして、どういう措置をとったかということを申し上げます。  まず、二十八日の事案に対処いたしましては、警察としては第二組合ができましてから、こういう状態といいますか、成り行きになるだろうということを予想しまして、会社あるいは第一組合、あるいは第二組合、あるいは再建連盟といいますか。あるいは灯をともす会というような、接触摩擦を起こしそうなすべての方面に向けまして、数次の警告をいたしておるのでありまするが、そのいずれもが——もちろん会社及び新労は、こうなった上は一日もすみやかに生産を再開したい。従って新労は就労をしたいという意向を持っておることは事実でございますけれども、両者衝突した場合に、どこまでも実力をもって、いかなる犠牲を払ってもそういうふうに持っていくということはないということは、はっきりと前々から申しておったのであります。また旧労側の方針、戦術会議等の内容を情報によって察知しますと、やはりこれも方針としては、もちろん第二組合側の就労をピケによって防止するという方針は立てておりまするが、これも両方衝突して流血の惨をも辞さないというような態度に出ないという考え方をとっておったようにわれわれは承知しておったのであります。しかしながら、そういうふうな両者ともたたき合ってまでということはやらぬという考え方を持っておっても、多数の者が、また非常に感情の激発しておる者が接触をいたしまする際においては、不測の事案を起こすことは十分あり得るということが警察としての判断の基礎になっておったのでございます。従いまして、衝突すなわち乱闘必至という意味合いで、その乱闘の起こりそうなところに前もって警察官を配置するということは、これはいかがかということで、やっておりませんけれども、起こればいつでも、あるいは起こることがはっきりすればいつでも出れるという形においては、福岡県側千五百名、熊本県側五百名、その他熊本の待機千名というような、普通の警察力から申しますると、きわめて困難なといいますか、多少無理してもそこに警察力を集中するというような態勢にあったのであります。現に三川鉱事件の起こりまする直前、六時四、五十分ごろまでの間は、かねがね大牟田市警察署に待機をさしておりました千五百名のうちの大部分を、三川鉱に近い三川巡査派出所及び諏訪橋というところまで前進待機をさしておったのでおります。しかしながら、平常の場合でありますと、事故が起こったということでそこから三川鉱にかけつけるのには、おそらく二、三分を要しないと思いまするけれども、現実には十分ないし十五分を要しております。これはだんだん聞いてみますと、やはり警察官といえども、その状態の場合においては大道をかけ足でいくような状態で現場に行けなかった。やはりへいを飛び越え、よじ上って第一隊が入ったというような状態でございまして、普通の速度を考えておっては間に合わなかったという点はあるようでございます。  それから昨日の状況は、御承知のように一昨晩七時半に、立ち入り禁止の仮処分と妨害排除の仮処分が出まして、これを執行するということになれば、またいかに法律のきめたところによってこれを実行するとはいっても、やはりこれに反対する者がある以上、衝突が必至であるということのもとに、きのうは福岡県側において約二千七十七名、熊本県側におきまして九百九十八名という、おとといよりもさらに増した人数を配置しておったことは事実でございます。しかしながら、これもまた配置をしておいても実力が及ばないと申しまするか、それを突破されて事故が起こったということについては、まことに遺憾でございまするけれども、そういうふうに警察が非常に手薄く、ゆだんをしておったという事実はないものと私たちは考えておるわけであります。  以上、いずれにいたしましても、一昨日及び昨日の状態は、現地につきまして調査をいたさせておりますけれども、報告が非常にまちまちでございまして、これは大よそこうなるだろうということを私たちがまとめたものでございまするから、さらに実地調査及び事後の日にちの経過等でさらにはっきりした数字なり、状況なりというものが出てくるものと、こう考えますので、一応以上の点で、簡単でありますが報告を終わります。
  27. 濱地文平

    濱地委員長 質疑の通告があります。順次これを許します。阪上安太郎君。
  28. 阪上安太郎

    ○阪上委員 二十八日それから昨日の三池炭鉱における労働争議、これに発生いたした騒擾事件、この乱闘事件につきまして今から質問いたしたいと思いますが、本論に入りますまでに、一つ警察当局に私は注意を喚起しておきたい。  この委員会を開くことにつきましては、すでにあなた方御了承の通りなんです。昨日からこのことにつきましては通告が委員会からされておるはずなんです。きょうあなた方が出てくるのがおそいために、一時間近くもわれわれは委員会を開会することができずに待っている。今回の福岡のこの事件ばかりでなく、どうも警察の出動は非常におそい。全く委員会を軽視しておると私は思うのです。何がためにこういうふうに委員会をおくらしたか。きょうは十二時半からアデナウアーの歓迎会を国会で持っておる。非常に時間が切迫しておる。こういうことにつきましては、私は警察当局の態度に対しては非常に不満を持っている。なぜおくれたか、一つこの際はっきりしておいていただきたい。
  29. 江口俊男

    江口政府委員 まあ言いわけはまずいと思いまするけれども、きょう十時から委員会があることはもちろん承知をいたしております。しかしきのうの事件がございましたので、早朝から役所に出かけておりましたことも事実でございまして、刻々報告を受けておりました。十時になりましたので、派遣員を通じて本委員会が開かれそうであるかどうかの状況を聞かせましたけれども、まだ開かれそうもない。阪上先生が、お部屋にも伺わせたがおられないというようなことで、まあ私も来て待っていればよかったのでありますが、その点は悪うございましたが、なお時間まで報告をとっておる。そのうち大臣に呼ばれまして、報告せいということで、政府委員室で報告をしておった。合わせて、一時間になりましたのか、非常におくれたということについてはまことに遺憾であります。
  30. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今の答弁で事情は非常によくわかったのです。しかしそういうことがあれば、やはりその旨を一つ委員会連絡していただかなくちゃ、われわれ首を長うして待っておるということであります。アデナウアーはきょうでなくしてあしただそうであります。  いよいよ今から本論に入りますが、この事件につきましては新聞等で詳細に報告がされております。そしてこれはわが国の労働運動史上におけるところの非常に空前の大惨事である、こういうふうに言われております。私も全く同感でありまして、わが国の労働運動の発展途上において、こういった大惨事が起こったということにつきましては非常に遺憾に存じております。そこで私はきょうは一つ端的に質問したいと思うのでありますが、この事件が起こりましたところの三池炭鉱、その中に結成されております三池労組、これはもう世上でも評判の組合でございまして、非常に訓練された非常に統制のある組合であるということになっておるわけであります。このことについては、先ほど警察当局の説明の中にも、そういったことはあらかじめ了承しておった、こういうように言われております。それにもかかわらず、このような流血の惨事を引き起こした。それほど統制のとれたりっぱな組合が二つに分かれて、そうしてこういった乱闘騒ぎが起こったのでありますけれども、これは双方とも訓練された組合であります。にもかかわらず、こういった乱闘事件が起こったということについては、私は組合当事者それ自体よりも、むしろその背後にあるものがこの乱闘事件に火をつけたのではないか、こういうふうに考えておるのであります。そこでこの点について一つ警察当局から、一体こういった乱闘事件が起こった直接の導火線になったもの、それが組合であるか、組合以外のものであるかということについて、あなたの方でわかっている限り一つ御答弁願いたい、こう思うのです。
  31. 江口俊男

    江口政府委員 ただいまの御質問でございまするが、先ほどの私の説明にもございましたように、二十八日の三池鉱業所の中におきまする乱闘事件については、大部分というか、今までわかっておりまするものは、第一組合員と第二組合員と会社の職員でございまするので、さらに捜査の進行を待たないと、ほかの要素が入って乱闘になったかどうかということは、ただいま申し上げられません。ただ昨日の四山鉱正門前における事件は、被害者の大部分が第一組合員であり、加害者の全部が、これは組合外の外部の支援団体というか、自分たち自身で情報宣伝活動をやるという連中のしわざですから、これははっきりと外部のしわざであります。
  32. 阪上安太郎

    ○阪上委員 新聞の報道するところによりますると、二十八日の三川の乱闘においては、第二組合の方ですでにピケラインを突破するところの事前の計画がなされておった。そして第一隊、第二隊、第三隊と編成されておる。そして先ほどあなたの説明がありましたように第一隊、第二隊は陽動隊としての作戦行動に出た。そして第三隊が直接ピケライン突破の役目を果たしておる。ところが新聞の報ずるところによりますと、その先頭に約三十名程度の組合員でないところの者が立って、これがまっ先にピケラインに対しまして乱闘を開始しておる。突入しておる。こういうことも報じられておるのでありますが、この点につきましては、あなたの方はいまだに地方の警察当局からの報告がないからわからない、こういうことでありますけれども、私は、新聞はこういった点につきましては各紙とも同じ報道をいたしておりますので、これは全く事実だと思うのであります。そういった事実を第三者が見て、だれもがはっきりとそういう状態であったということを認めておるにもかかわらず、あなたの県警の本部では、あなたの方へそういう重大な報告というものが行なわれておらないということについて、私は非常に不思議に思うのです。あなただってこういう新聞をごらんになっておると思うのでありますけれども、そういった点について問い合わせをするとか——重大なポイントだと思うのでこの点をお聞きしておるのですが、そういう態度ではこれは事件の真相を確かめることはできないのじゃないですか、この点についてどうでしょう。
  33. 江口俊男

    江口政府委員 私も、県警からの連絡と同様に各紙をたんねんに読んでいるつもりでございまするが、ただ組合員らしくない者がそれにまざっておったかどうかということで、すぐ私たちがほかの者がおったということを断言しますのは、今からの捜査のあれからいっても、現地もそういう確たる報告をしない。またわれわれも確言はできないということでございまして、ただいま阪上委員の仰せられました点については、十分重要なポイントになる点でありますから、正確を期して第一組合側、第二組合側会社側あるいは組合側と申しますか、そういう直接の当事者でない者がどういうものが入ってどういう行動に出たかということをはっきり報告してもらいたいということは、仰せられるまでもなく、事件の突発しました直後から私たちは現地に要求しております。それはいずれ参ると思います。
  34. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その点につきましては、これは重大なポイントでございますので、さらに十分に調査をしていただきたい、こういうように思います。  それからこれは新聞の某紙の報ずるところによりますると、大牟田警察署長は、この二十八日の乱闘事件に対して捜査を開始いたしておるのでありますけれども、この場合特に第一組合を捜査、検挙するというようなことを言っております。今あなたがお答えになったように、やはり事実というものについては十二分な調査がされなければならぬと思うのでありますが、大牟田警察署長は第一組合を捜査すると、今言ったような暴力団とおぼしき者か先頭に立っておったというような重大なポイントを、そういったものは念頭になくして、ただ単に第一組合を捜査するのだというようなことを言っておるようであります。これは非常に片寄ったものの考え方ではないかと私は思うのでありますが、この点はどうでしょうか。
  35. 江口俊男

    江口政府委員 私、先ほど新聞をくまなく見ていると申し上げたのに、それは見ていないのは矛盾いたしますけれども、大牟田の署長がそういう第一組合だけを調べるというようなことを申すはずはないと私は考えます。想像できません。しかし、第一組合はもちろん調べるでしょう、第二組合会社側も、事に当たった連中はまんべんなく調べる、こういうことになることは当然でございます。しかし捜査に関しましては現地に福岡県の本部から捜査課長も出向いて、その方は単に大牟田署長の意見でどうこうということじゃなしに、全対として捜査をやるということになるわけでございます。その点御心配はないと思います。
  36. 阪上安太郎

    ○阪上委員 これは新聞の報道でありますつから、公式的なものとは私は言えないと思います。しかし、これは二十八日の読売の夕刊でありますけれども、見出しは「第一組合側を検挙へ」こううたっておりますが「午前十時現在警察側の負傷者はなかった。同署は今度の乱闘騒ぎで三池労組側に暴力行為等処罰に関する法律違反の疑いがあるとし、県警本部捜査一課の応援を得て直ちに乱闘現場を検証、首謀者を検挙する方針をとっている。」こう書いてあります。誤報であるかどうかわかりませんけれども、そういう書き方になっておる。私はこれは非常に重大なことだというふうに思っているのです。その意味で言ったわけであります。  この際さらに伺っておきたいのですが、海の方から上陸してくるところのあの警備艇というのですか、あれは一体どこの所管に属するのですか。
  37. 江口俊男

    江口政府委員 海の方から、三角からと長洲からと来た分をおさしになっていると思いますが、それについて警備をするというものについてはどこの所管もないと思います。ただそこが海上であろうとも、乱闘を起こすというようなことや、あるいは沈没する、しけにあうということの心配があるとすれば、それは海上保安庁が一般的に警戒をされるということになります。またわが警察としましても、ああいう沿岸事故でありますればやはり同様の権限はございまするけれども、設備等の関係で主として海上保安庁がそういうことに当たる、こう考えております。
  38. 阪上安太郎

    ○阪上委員 その点につきましては保安庁の方にまた質問をすることにいたしましょう。  そこでさらにお伺いしておきたいのは、先ほども言いましたように、組合は非常に訓練された組合で、こういった乱闘等を引き起こすような性格を持ったものではなかったということが一般に是認されておるのであります。ところが、その背後に何らかがあってこういった事件になってきたと考えられる向きも多いのでありますが、その背後にどういった組織があり、どういった暴力団的な組織があったかということについて調査できておりましたら、さらにこの際一つ詳細に説明していただきたい。
  39. 江口俊男

    江口政府委員 先ほども申し上げましたように、背後というか、それと一緒になってどういう組織が動いたかということについては、その詳細報告を求めておりまするので、ただいま乱闘事件そのものにどれが関係したかということは現在手持ちの材料はございません。しかしながら、第一組合と第二組合とが分かれまして諸種の宣伝行動をやっておる渦中にありましては、組合側以外に大牟田市民をもって作られておる再建連盟というか、これが会社側、第二組合側と同じ意見で、一日もすみやかに三池鉱を再開せねばいかぬという立場で宣伝活動をやっております。それから灯をともす会という団体がございまして、これもやはり宣伝活動を早くからやっておったという事実がございます。その以外に第一組合につきましては総評からの応援がある。第二組合につきましては、これは近々の情報でございますけれども、全労からの派遣があるというふうなことは聞いておりますけれども、これが乱闘事件とどうくっつくかということについては、先ほど来申し上げますように、なお日にちをかけないと申し上げられません。
  40. 阪上安太郎

    ○阪上委員 この辺で私は一つの結論的な意見を申し述べてみたいと思うのでありますが、どうも最近の警察は右翼暴力団等に対しては非常に弱い。この委員会におきましても、再三再四中小企業等の労働争議等におきましてこの問題をわれわれは取り上げてきて、警察当局に対して、労働者の集団デモ等に対する取り締まり等についてはかなり手きびしい取り締まりをやっておるけれども、一方において右翼団体等に対するところの取り締まりというものは非常に欠除されたものがあるのじゃないかということをわれわれは言ってきたのであります。メトロの争議の場合におきましても、あるいはその他東京の群小の中小企業の団体における争議の場合におきましても、常に介入しておるのは右翼団体だ。それは何も警察が右翼団体を使っているわけじゃない。会社側が故意にそういった右翼団体を使いまして、そうして本来ならば正常であるべきところの争議に対しまして横合いから介入して、そうしてことさらに乱闘騒ぎその他の事件を起こしているのは、全くそういう一連の右翼団体の行動だろうと思う。今回の事件をながめてみましても、ああいう明々白々たる事実があるにかかわらず、やれあなた方は、警察としてはこれに対しまして慎重な調査の結果というようなことばかり言っておられるけれども、新聞全部がはっきりとこう言ってるじゃありませんか。みんなが見ておるのです。そうしてこの中には幾多の例もありますけれども、新労組の人々も、そういった団体から常に最近になって援助を申し入れられておるけれども、われわれはこれを拒否し続けてきた。こういうこともはっきり言っておるのであります。そして当日の問題につきましても、新労組の組合長は、先頭にそういう組合外の者が入っておったということは認めております。昨日の検問所といいますか、尋問所でありますか、あなたが先ほど言われたトラック一台、それから乗用車十四台でありますか、これに日本刀やそれからつるはし等を持った者が乗り込んで、そしてフルスピードでもって尋問所を突破しておる。何のために尋問所を作ったのですか。そしてついにそれが一人の労働組合員を殺傷してしまった。こういう取り締まりの姿をながめておりましても、警察当局は右翼暴力団等に対しましては非常に弱い。こういった警察の態度がやはりこういう乱闘事件を起こす一つの大つきな原因を作っているのじゃないか、こういうように考えるのですが、この点についてあなたの意見は、どうなんですか。
  41. 江口俊男

    江口政府委員 検問所を作っても、そこで効果のある検問ができなかったということについては、お説の通りであって、まことに遺憾であります。特に右翼暴力団について弱いという事柄については、われわれ意見を異にする。ことに昨日の山代組云々というのは、私、右翼というふうに言うか、どうか、その点はきわめて疑問だと思いますが、昨日は、私たちきわめて労働組合に対しては弱いということで御注意を受け、とにかく警察がいろいろな意味で弱いからこういうことになるのだというふうに言われたのでございまして、これは見ようであって、こちらは公平に、強いとすれば全部に強い、弱いとすればだれがやってもそのことについては弱いというようなことになっておるのだろうと考えます。
  42. 加賀田進

    ○加賀田委員 関連して。あなたの答弁の中で、説明を聞いておりますと、百名ほどのいわゆる山代組が町を歩いておったのを、三十名ほどの警官があとについて警備しておった。トラックに相当人を乗せて歩いているのに、事前にこれを防止することができなかったのですか。トラックには、いわゆる制限外乗車という許可を受けなければ人を乗せて走ることはできないはずです。もし警察が山代組の制限外乗車を認めたとするなら、これは大へんなことだと思う。認めずして三十名の警官がそれを事前に防止できなかったということは、法を守る警察としては怠慢じゃなかろうかと思う。このことを事前に防止しておったら、トラックやバスに乗って検問所を突破して正門の方へ乗りつけるということは事前に防ぐことができたのじゃないかと私は思います。この点に対して警察としてはどう考えているか。
  43. 江口俊男

    江口政府委員 トラック一台とハイヤー十四台に約百名が分乗しておったということになりますから、トラックに乗っておったのが制限外であったかどうか、後ほど調べますけれども、現在わかりません。トラックに乗って宣伝活動していいという許可は出していなかったと思います。
  44. 加賀田進

    ○加賀田委員 十何台の乗用車へ百名の人が乗れるはずはないでしょう。もし乗っていたとすれば、そこでやはり防止すべき義務が警察として起こってくるでしょう。あとは当然トラックに乗っておると思います。だからほんとうにそれを事前に防止しようとすれば、そういう事態が起こる前に、法律に基づいて警察としてはそれを取り締まれるだけの権限があったはずです。それをぞろぞろ三十名うしろからついていって、ただ警備しておった。しかもこういう事態が突発したのですから、その点警察の手落ちだと思う。その点は警察として十分認めてもらわなければならぬと思う。そういうことが今質問のあったように、右翼団体に対して警察が弱い、こういうことになってくると思う。だからこれは具体的に、弱いか強いかというのは比較の論ですから、観念論として抽象的なものになって、私はそう思わぬと思えば、警察としてそういう答弁ができるでしょう。しかし、現在法に定められたところでは、トラックで宣伝をする場合に、そういう許可が要るはずだから、そういう許可のないものの行動については、事前に警察官が警察権を発動して、そういうことを防止していくという適切な措置を講じなければ、こういう問題を未然に防ぐことができないのであります。起こったあとから調査するという。聞けば、草むらの中に血のついた短刀が隠されていて、所有者がわからないから今捜査しておるという。そういう事件か起こってから調査して問題を処理しようというような手ぬるい形をとるから、山代組というものがいわゆる右翼団体であるかないかというような軟弱な答弁も出てくる。大体これは九州の方におきましても最も大きな右翼団体の一つとみなされておる。そういう人が、子分であるか親分であるか知りませんが、百名もトラックに乗って動いておるのを、あとからただ三十名の警官が何か起こるのじゃないかとびくびくとついておったというような格好では取り締まりができない。その点は警察としては十分調査して——調査するまでもなく、私はトラックに乗っておると思う。それについて警察本部としてはどういう見解をとっておるか、もう一度明らかにしていただきたい。
  45. 川村継義

    川村委員 関連して。今のトラックの件ですが、これは制限外乗車になっておるかどうか調べなければわからぬと言われたが、これははっきりしておるのじゃないですか。たとえば十四台のバイヤーに六人ずつ乗ったとしても八十四人になる。あとは全部トラックに乗ったはずだ。ハイヤーも、大きなやつだから六人は無理だと思う。五人乗ったとすれば、七十人がバイヤーに乗って、三十人はトラックに乗っておる。そうすると、トラックの制限外乗車を警察が許可したのかどうかという問題だ。この点どうです。
  46. 江口俊男

    江口政府委員 だからその点と、先ほどの点と合わせまして調べてみたいと思います。
  47. 阪上安太郎

    ○阪上委員 今の関連質問でさらに質問されたのでありますが、ただ単に警察がそういった暴力団等に弱いというばかりでなく、最近のこういった争議の状態に対する警察の態度を見ましても、また一つ会社側、経営者側に非常に弱いということが私は指摘できると思うのであります。御承知のように今度の二十七日の夜におきましても、会社側は人夫百五十人を防衛のために雇っておる。こういった事実は最近の乱闘騒ぎが起こる争議に間々ありがちなのであります。事例は幾らでもあります。これに対しては、この前の委員会等においても、われわれば数回指摘してきた問題でありますが、全然あなた方の方で配慮されていない。当然そういうことがあの状態下において行なわれるであろうというような考え方は、犯罪を事前に防止するという建前からも持っておられなければならぬと私は思うのでありますけれども、そういった点についての配慮というものが全然欠けておる。そういう意味においても、私は何らかの意味において経営者側に非常に弱い、こういうことが言えると思うのであります。この問題につきまして、警察側は弱くはないんだとかなんとか言っておられますけれども、今言ったような点から考えても、非常に何か含みのある態度をとっておられる。今回の争議に対して、前段において、この乱闘事件を引き起こすまでの間における警察の態度は——労働争議に介入しないというりっぱな方針をとっておられたということは私も認めますよ。それだからといって、乱闘事件が起こり、犯罪が起こっているときに、警察がこれに対して依然とし労働争議不介入の考え方を持って、勇気を持って決然たる処置をされなかったということについては、私は非常に間違いじゃないかと思います。新聞の報ずるところによってごらんになってもおわかりでしょう。あの乱闘直前になっておる姿を見ながらも、数百名の警察官がおって、ただ単に宣伝車でもって、乱闘はいけません、けんかしちゃいけませんということをマイクの上から声でもって伝えておるにすぎないじゃありませんか。何もしてないじゃないですか。警察官に負傷者が出るということは私は望みません。見なかったことを非常に私は喜んでおります。しかしながら、一名の負傷者も出なかったという状態は、このことを如実に物語っておる。労働争議に不介入であるということは私は非常にけっこうだと思いますけれども、そういった考え方をいつまでも引き延ばして、現に犯罪が行なわれており、かつ明瞭な危険が行なわれておるということについて何らの処置をしなかったということは、一体どういうことなんですか。労働争議の不介入と、この問題は性質が違うじゃありませんか。この点についてはどうお考えになっておりますか。
  48. 江口俊男

    江口政府委員 労働争議に不介入ということと、事件の防止なり、あるいは事件の起こったあとの捜査に無関心であるということとは、むろん仰せのごとく別であります。従いまして、このことは、十分われわれも事案そのものについては、労働争議であるというようなことを別に顧慮することなく、厳重にやっているつもりでおります。たまたま三川鉱における場合においてけが人が警察官に出てないということでありますが、これは警察が出向いたときにほぼ終息しておったということによるのでありますが、それ以外の場所におきましては、やはり警察が割って入ったというようなところでは、二十八日の日も六名の負傷者を出しております。それからきのうも、目的は達しなかった、十分でなかったとはいいなから、重傷を含めて、警察官も五名の負傷者を出しておるということでありますから、常に手をこまねいて見ておるというものではないことは御了承願いたいと思います。
  49. 渡海元三郎

    渡海委員 関連。警察は、今回の事件に対しまして、労働問題については不介入の方針で、事件が起こるということに対しては勇敢に立ち入って、こんな事件を未然に防止しなければならぬという今の阪上君の意見に対しては、私も同感であります。しかしながら、会社に弱い、あるいは右翼団体に弱い、一方的に弱いという点については、私は必ずしもこれに同調しかねるのです。現況を考えてみますときに、警察というものはむしろ集団に弱いのではないかと考えます。各種の講習会において、全学連その他の団体が集団をもって行なった場合に、これを事前に防止することに非常に弱いのが現在の警察の姿ではないかと思います。今度の事件を見ましても、新組合の入構に対しましてピケ隊を張ってこれを防止する。もちろん労働運動の中でピケ隊を張って防止するという行為は認められておる。しかしながら、青竹を持ちあるいはスコップを持って、こういう姿でやられるときは、これに入ろうとしたときに不当なる乱闘行為が行なわれるということは当然です。ピケ行為でこれを防止するという正常なる労働運動を越えた乱闘が起こるということは当然だと思います。このような場合に、そのような凶器にもひとしいようなものを持っておるのを、なぜ警察でこれを未然に防止することができないのか。こういう集団に対する警察の事前の防止ということに非常に欠けておるのが今日のこういう集団乱闘事件を起こす根本じゃないかと思います。この点については法の欠陥もあると思います。しかしながら、警察はいかなる姿においてこれを防止できるか、この点について国家公安委員長はいかに考えておられるか、今後どのようにしなければならぬとお考えになっておるか、一言御意見を承りたいと思います。
  50. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 今回、三井三池鉱におきまして二度にわたっていろいろの事件が起こり、負傷者を出しておることはまことに遺憾でございます。私も昨日、現地の九州管区局長に連絡をとりまして、今御指摘になりましたようなこの暴力、暴行というようなことに対しましては、相手が何であろうと徹底的に取り締まらなければならぬ。今回の事案に対しましても相当警察力を動員しておるようでありますが、警察警備力に不足があれば、全九州の警察官を動員してもこの事態に対処していかなければならないということを言明しておる次第でありまして、警察庁当局に対しましても、このことを再三言っておるのであります。今回の事案につきましては、きょう警備局長からもるる御説明申し上げたのでありますが、会社が二十七日に生産再開を決定いたしましてからは、新旧それぞれの労組においてもそれぞれ態度を協議しておるのであります。それらの情報によりますと、いずれも流血の惨を起こしたり非常なむちゃをしてまでやらないという情報を得ておったのであります。しかしそれについても、大牟田なり荒尾署に相当警察官を動員し、さらにまた、こういうことはふとしたはずみからいろいろなことが突発するのでありますから、情報によりまして、当日の朝はごく近いところにそれぞれ前進せしめて待機しておったのでありますか、二十八日の事件は、全く突発的に構内で起こっておったのにかけつけた。こういうことになりまして、かけつけたときには、すでに中は半ば静まっておった。こういうようなことになっておったのであります。  昨日の事案につきましては、これも検問所を突破されたというようなことは、まことに遺憾でございますが、御承知のように福岡、熊本のあの県境に数カ所の炭鉱がございまして、それぞれ問題をはらんでおるところであります。相当数の警察官を動員しておりますが、一カ所だけに手厚い態勢というものがとれておらないので、いろいろ残念なことが起こったわけでございます。御指摘のように、今後ともこの集団暴力に対しまして、私も就任以来機会あるごとにこれを徹底的に取り締まらなければいけないということを言っておるのであります。法に許された限度内におきまして、今後とも厳然たる態度で臨むようにこの上とも警察当局を督励して参りたい、かように私は考えております。
  51. 阪上安太郎

    ○阪上委員 ただいま渡海委員から集団に弱い、こういうような御意見が出ておったようであります、しかしながら、これは直ちにいただけないのでありまして、集団に非常に強い場合もあるということでありますが、その論議は別といたしまして、いま一つ伺っておきたいのは、先ほどからの警察当局の報告によりますと、新聞報道とだいぶ時間的な警備態勢その他の行動についてのズレがあると私は思うのであります。あなたは先ほどたしか二十八日の七時ごろに乱闘が起こった、こういうふうに言っておられますが、六時から行動を起こして六時三十五分にはすでに乱闘が始まっておった。こういうことになっておって、これは各紙とも一致いたしております。それから七時三十分でありますか、機動隊が初めて出動しておる。その間における通常の警察隊はただ傍観しておった。こういうことになっております。  私は、こういったものの考え方、こういった警備のやり方、それから先ほど数項目に触れて参りましたところのいろんな問題点というものを総合いたしますと、警察は、今回のこの事件に対して必ずしも公正な態度をとっておらなかった。もし真実警察が中立性を堅持しておったならば、直ちに勇敢に、この混乱事態が起こったときに措置がとれるはずである。それをその措置を直ちにとらずして、いかにも表面中立的な立場を堅持しておるがごとき態度をとっておる。そこに今日のこの流血事件の問題点があるのじゃないか。先ほど私が、右翼に弱いとか、会社に弱いとかいう表現を用いたのもそのことであります。一般に最近のこういった種類の事件を見ておりましても、何らかの意味においてやはり警察の偏向が私は見出せる。繰り返して言うようでありますけれども、真実警察が中立の立場をとっておるならば、純然たる犯罪の起こっておるときには、何らちゅうちょすることなく、その犯罪を防止するための行動が行なわれなければならぬ。ところが、それが直ちに行なわれないというところに、表面中立という名に隠れて、会社側その他について、そうして労働争議についてはやはり不介入と言いながらも、真実においては不介入じゃなくして、暗黙に会社側その他経営者に対する援助を与えておるということだと思うのです。なぜそのときに直ちに行動が行なわれなかったかということは、逆にひっくり返して言ったならばこういうことが言えるのじゃないかと私は思うのです。こういった警察の中立性を欠いたところの態度、そしてあの就労を再開するための側について、仮処分もまだ決定していないのにもかかわらず、そういうことを理由にして黙って傍観しておったということが、私は、やはり警察が不介入と言いながら介入しておるというふうに解するのであります。こういったことにつきまして警察当局はどうお考えになっておるか、さらに一つ御答弁願いたい。
  52. 江口俊男

    江口政府委員 先ほどからお話がございますように、警察事件の処理にあたっててきぱきといかなかったという事柄については、その原因かどこにあったかということをわれわれとしてもなお詳しく調べるつもりであります。  偏向という事柄については、全然当たらない、こう考えます。と申しますのは、わかっておる範囲におきましても、それぞれ両者にけが人が出て、もう少し警察が早く出たならば、どちら側に有利であったか不利であったかという事柄については、ちょっと一がいには言えない性質のものじゃなかろうかと考えます。問題は、事件が起こって、それをなぜ早く取り静めることかできなかったかという点にかかってくるのじゃないか。この点については私たちもさらに深く検討してみたい、こう考えますが、第二組合側についた、あるいは第二組合あるいは会社側に遠慮したということは毛頭ないものと私は信じております。
  53. 阪上安太郎

    ○阪上委員 私は、この新聞だけしか今資料を持っておりませんので、その意味においては徹底的にあなたの言われたことが間違いだということは言い切れないと思いますけれども、警察はマイクでただ警告するだけだ、そして第一組合を門外に押し出すために約一時間の時間がかかっておる。双方ぶつかって乱闘をやっておるときに、第一組合を押し出すための努力を警察はやっておる。そのことのために一時間の時間の経過がある。その間に多くの負傷者を出しておる。こういうような報道が行なわれておるのであります。私は正直な男ですから、どちら側について何をどうするという問題じゃなくて、きょうは特に警察問題だけを質問しておるわけなんです。こういった報道を読むと、明らかに何かあなた方の方で作為的にピケラインを突破するための行動に暗黙裡にこれに対して援助を与えておったという印象を持たざるを得ない。だから私は、今言ったようなことをあなたに質問しておるわけであります。しかし、こういったことにつきましては、さらに今後事実を詳細に調査していただき、また報告を受け、われわれもまた現地に参りましてよく調査いたしまして、ほんとうにこういった事態を阻止することのできる警察のあり方というものを検討してみたい、こう思うのであります。  そこで一つ最後に長官に伺っておきたいのでありますが、国家公安委員長とされましては、昨夜来からいろいろと御心労になっておるということをわれわれは承知いたしております。もちろん、この問題は警察だけの問題でこれを阻止することのできないことは明らかであります。もっともっと原因は深いところにあります。あるいは中労委のあっせん等によりまして、これを何とかしなければならぬという方法もある。しかしながら大事なことは、国家公安委員長として、こういった事件を事前に発生するということを予知されておったかどうかということであります。それから国家公安委員の任務といたしましては、法律にうたわれておりますように、第五条の二項の三号の口の「地方の静穏を害するおそれのある騒乱に係る事案」、こういったものかやはりあなた方の、配慮すべき任務じゃないと思うのであります。もちろん、これは警察に関してであります。そこで公安委員長とされましては、現在の状態でながめて参りますと、警察当局が言っておりますように、二十八日にあの事件が一応落着して、もう二度とこれは起こらないであろうと思ったところが、二十九日に殺人事件が起こっておる。今後、仮処分も決定されましたし、いよいよ警察の介入する機会は非常に多いと私は思うのであります。  そこで一つは、警察が介入する機会が多くなり、権力が新たにここに与えられたということによって、今まで表面上不介入という態度をとっておられたようでありますけれども、さらに今度は先ほどのような懸念すべき考え方であるならば、私は介入するおそれが少なくないと思うのであります。そして今後警察の介入することによってさらにこういった乱闘事件が新しいケースとして盛り上がってくる機会が考えられる。このことについて公安委員長はどういうふうに対処されるか、こういったことについてまず一点伺っておきたいのと、いま一つは、はたして公安委員長としてそこまで権限があるかどうか、私はよく存じませんけれども、しかしこういった地方の静穏を害するような事件の起こり得る可能性が、やはり就労を強制的に実施していこうというその一点に原因を見出すことができると思うのであります。こういった点について労働大臣あるいは運輸大臣その他の立場とまた異なった立場において、会社側に対し、経営者側に対し、十二分に一つ勧告していただきたいという考え方を私は持っておるのでありますけれども、この点について公安委員長はどういうふうにお考えになっておりますか、お伺いいたします。
  54. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 先刻も申上げましたように、私は、暴力——集団的であろうが、組織的であろうが、単純暴力でありましょうが、暴力に対しましては徹底的に取り締まっていかなければならないということをしばしば申しておるのであります。今回の事案の発生にかんがみましても、特にそのことを強調いたしております。  それから今回は、昨日から仮処分が発効しておるようであります。この仮処分を執行といいますか、これはやはり法の命ずることでございまするから、法を無視するようないろいろな行動に対しましては、取り締まりというか、十分の注意をもって対処していかなければならないと思います。  最後に、今のあなたの御質問に当たるかどうかわかりませんが、しかしながら、いたずらに不測の大事故を起こすというようなことが予測されまするような場合には、これはそれぞれ自重を要望しなければならぬのであります。労働大臣の方におきましても、一昨日、昨日の事例にかんがみまして、きょうは無理のないようにということを労使双方に勧告をしておられるようでありまするが、私も労働大臣のそういう考えに大体同じであるということを言うておるのであります。しかしこの事態も、仮処分なり何なり、一応の措置がとられておるのでございまするからその状態に従って行動するということに対しては、法の正しい動き方については、警察としてそれを守っていかなければならない、こういうふうに考えております。
  55. 阪上安太郎

    ○阪上委員 最後に一つ委員長にお願いいたしたいのであります。これはもう御承知のように大へんな事件でございます。つきましては、私の考えといたしまして、ぜひこういった実態を十二分に調査して、今後警察行政のあり方等につきましてさらに万全を期していただきたい、こういうふうに考えますので、後刻でけっこうでございますか、本委員会から調査に出ていくということについて一つお取り計らいを願いたい。  それからいま一点は、それと関連いたしますけれども、でき得べくんば、次会においてでも熊本県、福岡県の警察本部長を本委員会一つ招致して、いろいろと意見を聞きたい。こういうように考えておりますので、よろしく後刻お取り計らいを願いたいと思います。私の質問は以上で終わりたいと思います。
  56. 濱地文平

    濱地委員長 ただいまの阪上さんの御意見、まことにごもっともと思いますから、後刻理事会を開いて御相談申し上げることにいたします。門司委員。
  57. 門司亮

    ○門司委員 もう阪上君から大体聞かれておりますので、ごく簡単に要点だけを少しお聞きしますが、警備警察としての任務は、大体法律の何によって行なわれていますか。その点をまず先に聞いておきたいと思います。
  58. 江口俊男

    江口政府委員 警察法第二条に基づくものであります。
  59. 門司亮

    ○門司委員 警察法第二条に基づくものであるということは、大体警察法に書いてあります。さらに私が聞いておきたいと思うことは、あなたの方の教科書かここにある。「公安・警備警察原論 森木正一著」これは現職の警察官で、まだ大阪にいるんじゃないかと思いますが、この人の書いた十章の警備情報の冒頭にこう書いてあります。これはごく簡単だから一応読んでみます。「若しも治安維持の責任をもつ警察が、暴動、騒擾などの事態が眼前に現出するまで、それについて何ら知るところがないならば、警察はそれを鎮圧する上において最初から遅れをとり、いたずらに事態を拡大せしめ、遂には暴徒、暴力的計画の遂行者の目的を達せしめることともなり、やがて警察はその存在意義を失うにいたるであろう。」こう書いてある。こういうようにちゃんと警察官が教育されておる。あなたの方の教科書に書いてあるのです。こういうものについての考え方はどうですか。警備警察原論という本の中に書いてある問題ですが、これはあなたの方で使われておる本だと私は思う。今度の事件についてこれがかなり大きな関連を持つと思うのですが、これはどうなんですか。
  60. 江口俊男

    江口政府委員 ただいまお読み上げになった通り考え方であります。     〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕
  61. 門司亮

    ○門司委員 私もそうだと思います。こういう教科を教えておるのは、警察職務執行法の五条ないし六条にその原因があるのであります。警察職務執行法の五条と六条にどう書いてあるか、あなた方は御承知だと思うのです。ここで条文を読むまでもないと私は思いますが、あなたの方でわからなければ、これを読んでもいいけれども、商売人だから私はわかっておると思う。そういうおそれがある場合は、十分に事前に行動をとることができるように、警察職務執行法の五条、六条にちゃんと書いてあるのです。それが今度の問題では守られていなかったということではないですか。労働争議の方であろうと、いかなる事態であろうと、争議自体に介入することは悪いが、いやしくも事件の発生しようとする場合、危険のある場合、この法律にはっきり書いてあるでしょう。「警察官は、犯罪がまさに行われようとするのを認めたときは、その予防のため関係者に必要な警告を発し、又、もしその行為により人の生命若しくは身体に危険が及び、又は財産に重大な損害を受ける虞があって、急を要する場合においては、その行為を制止することができる。」こう書いてある。その次は「立入」の規定であります。これからくる。あなた方の教科書にちゃんとこういう問題が出ている。これは許された範囲です。今度の場合に、そういうことが事前にあったら、ああいう問題にならなかったと私は思うのです。どう考えても今度の事件に対する警察の出方というものはおかしいのです。どう考えてもおかしい。労働争議に不介入ということはわかるが、労働争議自身に対するあなた方の定義を読んでみると、いろいろのことが書いてあるが、しかしあなた方の労働争議の定義と実態というものは、かなり私は違った現象がそのときにあったと思う。少なくとも人の生命、財産に危害を及ぼす危険性のあったときに、警察官がそこにいなかったということ、また事前に知っておったということ、それについてどうしてこの手配ができなかったか。その辺の事情はわかりません、どうしておくれたかというその原因はわかりませんが、明らかに警察官の怠慢だと私は思うのです。もう少し事情を詳しく話してくれませんか。どうして現場に警察官が派遣してなかったのか、あるいは派遣してあったとすれば、その警察官がどうしてこういう大きな乱闘の起こるまで傍観しておったのか、どうなんですか、この辺もう少しはっきりわかりませんか。
  62. 江口俊男

    江口政府委員 法律的なお話はその通りでございまして、私どももそう心得ております。従いまして私も先ほどから、今度の警察行動が、法律的にむずかしいのでやれなくてああいうことになったというふうには考えておりません。法律的にはできることだと思っております。しかしながら、当初にも申し上げたように、乱闘必至という考えには立っていなかった。これは起こり得る事態に対して、この点は間違ったわけでありますけれども、とにかく一触即発のところまでは行っても、両方の方針に照らせば両方に分かれる。こういう判断が基礎になって、従って事が現実に起こるということが確実な場合に処するために、何メートルか、とにかく近いところまでその前に前進待機をさせておったということは、先ほど申し上げた通りでありますが、事が起こってから、入ろうとしてせっかく前進待機をしておりながら十分以上かかったということは、その事態においては法律的な権限はもちろん警察官にはあります。警告をしたらそれを聞くとか、あるいは制止の行動に移ったらおとなしくその制止に従うということでありますれば、法律に書いてあるようにぱっといったわけでございまするけれども、その法律に書いてあることを実行するのにうまくいかなかったということが、先ほど来申し上げておるような結果をもたらしたものと思いますが、時間がかかりましたことについては、一番初めに入った警察官がさくを乗り越えて入ったというような報告からして、そのときはどの組合であったかは別としても、門からさっさと入れるような状態でなかったという物理的な問題が主となって手ぎわよくいかなかった、両方を分けることができなかったということになろうかと考えております。
  63. 門司亮

    ○門司委員 それは少し事実が違っているんじゃないですか。私の聞いておりますのは、そういうことを聞いているんではなくて、実際の問題としての出動がおそかったということです。さくの中に入ってからあとの行為がどうのこうのということではなくて、さくのところにまでいくことがすでにおそかったということです。新聞紙の報道するところでは、さくを乗り越えるまでにせり合っておって、その同一時間くらいかかっておる。私は、きょうはまたあとで質問者もあると思いますから長く聞きませんが、警察状態を総合して判断すると、情勢判断が甘かったということに私は落ちつくと思うんだが、そういうふうに解釈してよろしゅうございますか。そういうふうに解釈せざるを得ないんです。
  64. 江口俊男

    江口政府委員 甘かったというか、正直であったというふうに了解していただきたいと思います。
  65. 門司亮

    ○門司委員 私は、正直であれば、法を忠実に守るのが警察官の仕事なんです。憲法にもちゃんと、国家公務員、地方公務員はこの憲法を忠実に守らなければならぬと書いてある。それはあまり正直過ぎて、正直も少し度が過ぎますと、あまりいい正直にはならぬのです。私は、どう考えても警察の情勢判断が甘かったと思う。それでなければこういう問題にはならなかったと思う。だからその点は、どうしても今の答弁で満足するわけには参りませんし、同時にそういうふうに解釈することが私はいいと思う。  それからその次に聞いておきたいと思うことは、暴力団との関係であります。これは先ほどの答弁は非常に奇怪でありまして、暴力団であるかどうかわからぬという答弁でありますが、暴力行為をやっているんだから、暴力団と判断しておいた方が私は間違いないと思うんです。みずからの団体が実証しているんですから、警察がなおかつ暴力団でないという理屈をつけるのはおかしい。今度行った山代組というのは、かりにあなたの方で平常は暴力団でないとお考えになっていても、暴力に出て、集団行為によって人を殺したということになれば、これを今さら暴力団ではないんだというふうに警察が解釈することは、私はおかしいと思うんです。これは明らかに暴力団として取り扱いをするべきである。従って今お聞きしたいのは、この山代組を暴力団として指定されて、私はこの団体として取り扱ってもらいたいと思うのだが、どうなんでしょうか。
  66. 江口俊男

    江口政府委員 暴力団でないと申し上げたわけではない。暴力を振った者がおる団体は、それをもって暴力団だという定義をすれば、まさしく暴力団であるわけでありまするが、警察としまして暴力団云々というのは、これはどの団体についても、従来外部的には申し上げてないので、これはもろんわれわれ所掌が違いまするが、しかしながら警察の内部におきましては、暴力を繰り返す人間が多数に所属している団体には常に日をつけまして、それはいわゆる暴力団としての取り扱いをしているのであります。山代組その他のものを福岡県警において暴力団として口をつけておったかどうかということは、さらに調べてみたいと思いまするけれども、本業は運輸業とか興業主というようなことになっておるようであります。ただいまのような御意見で十分気をつけろということでありますれば、十分気をつけたいと思います。
  67. 門司亮

    ○門司委員 暴力団の定義もそうですが、そうすると、その次に私は聞いておきたいと思いますることは、こうした暴力団が、公然として市中を幾つか歩いておりますね。それから今のお話のように再建同盟というのもあるし、灯をともす会というのも、新聞に書いてある。また今もお話のあったこれらの争議に直接関係のない団体の行為に対して、警察側は取り締まりについてどういう方針をお持ちになっておるか、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  68. 江口俊男

    江口政府委員 争議に関係のない団体といえども、その団体がどういう行動に出るかということに着目して、警察としては目をつけているわけでございまして、今おっしゃったような団体につきましては、過去のいきさつからして十分衝突のおそれがある。こういうふうに考えましたので、組合に準じて警察では、警告等をします場合には個別にその者を呼んで、従来も十分な注意をしておった次第でございます。
  69. 門司亮

    ○門司委員 ところが新聞を読んでみますと、山代組もそうですが、これらの団体もみんな短銃その他を握っていろいろな宣伝をやっているのです。そうするとその行為というものは、二つの意見が異なったものがあって、そうして争議をしているそのときに、一方にだけ有利な宣伝をし、一方にだけ都会のいい行為に出る団体が、そのまま放任されておるということは、これは争議を悪化させる一つの大きな原因だと思う。そういうものに対する警察の公平厳正な取り締まりが行なわれていないのではないか、これは明らかにそういうことになると思います。会社が頼んだか頼まぬかということは別の問題です。関係があるかないかということはあとで聞こうと思います。そこで第三者が出てきて勝手にこうした行為に出ることは——この辺でも右翼団体が出てきて、デモ等に対してよけいなことをするのでありますが、ああいう行為が放任されておると、結局問題を起すと思うのだが、これについての取締まりの関係はどうなんです。取り締まりができないのですか、これはやればできるのですか。
  70. 江口俊男

    江口政府委員 第三者の場合、情報宣伝活動等合法的な行動の範囲にとどまる場合には、警察としては取り締まりはできません。それが道交法違反であるとか、暴行を働くというような具体的な犯罪になったり、あるいはそれを犯す危険性が濃厚になったりした場合において、初めて対象になるわけであります。
  71. 門司亮

    ○門司委員 この問題は、あとで申し上げましたような一般の行為とは違うのです。大衆行動とは違うのです。実際は争議行為なんです。争議行為に対する第三者の介入、しかもそれが扇動になりあるいは教唆になる可能性が非常に多いのです。そういう行為というものを考えてもらいたい。大衆行動は別ですよ。大衆的な団体が一つの大衆行動を起こすときには、これが衝突を起こす危険性があるかもしれない。そういうのは今の御答弁でもよろしいと思う。しかし、この三池の問題は大衆行動とは違うと思う。争議行為であると思う。争議行為の中において、一方にだけ盛んに挑発するような行為に出るものが許されておる。今度の場合も、この山代組がやったというのは、これは新聞だけだからわかりませんけれども、一つピケに対する挑発があったといわれているでしょう。こういうことをやれば危険性があるにきまっているんです。だから私は、普通の大衆行動とは違うという判断に立って、こういうものについては警察側は厳正に、こういう事件の起こらぬような措置をとることが正しいと思う。またそれはやれると思うのです。一つの争議行為として見てごらんなさい。やれなきゃならぬはずです。だから、そういう問題についての取り締まりは、単に宣伝啓蒙をやっているといったところで、大衆行動に対する啓蒙宣伝は大衆に対する行為である。ストライキは労使の間の争いであり、限定されたものです。しかもこれは法規に基づいて行動が起こされておる。大衆行動とは全然別のものだと思うのです。そういう場合に、こういう第三者が入ってきて、上部団体でもなければ友誼団体でもない、労働組合に全然関係のない諸君が入ってきてこういうことをやることが、そのまま見のがされるのかどうか、これに対する警察の方針はどうなんですか。もう一度はっきりしておいてもらいたいと思う。
  72. 江口俊男

    江口政府委員 私は、これははっきりしておると思いますが、ただいま例にあげられたように、組合側ピケを張っておるのを挑発して、そこで乱闘の危険性があるというようなことになれば、それはもちろんその場合において、乱闘という事柄を前提として取り締まりの対象になる。しかしながら、争議行為に伴うというか、争議行為と非常に関連する問題でありますけれども、大牟田市を再建したいということを旗じるしにした再建連盟とか、早く争議をなにして平和的に進めなきゃならぬという灯をともす会というものが、その団体なり会なりの趣旨をそこにおいて、その方の宣伝活動をやるということは、私は許されておる、こう思います。現に東京都における労働争議の場合も、友誼団体とかあるいは上級団体でなくても、主婦と生活あたりには、全学連が行って応援というか気勢を上げたというようなこともございますし、その程度の、法に触れない限りにおいてわきの者が声援を送るということは、それが好ましいか好ましくないかということは、これはまた御判断の問題でありますけれども、警察としてはそれをとめるという根拠はない、こういうふうに私は思います。
  73. 門司亮

    ○門司委員 どうも私の考え方と少し違うようですが、主婦と生活なんていうものはこれは大衆行動ですよ。別に争議行為自身をたくさんやってるわけでもなければ何でもない。それから同時に、こういう事件は起こらぬですよ。私は新聞だけだからよくわかりませんが、この事件は、ずっと経過を見てごらんなさい。けっこうそこらじゅうで——灯をともす会もどこかで乱闘しているでしょう。この殺人事件があった二時間ほど前にけんかしたということがちゃんと新聞に出ている。こういう行動に出るんですね。単なる宣伝とか啓蒙運動ではない。行動を起こす団体であり、行為である。そういうものについては、こういう場合に警察はもう少し敏感であっていいと思うのです。だからどう考えても、この暴力行為を行なうこれらのものに対する今までの概念というか取り扱いか、非常に私は鈍かったと思うのだが、こういうことをいつまでも議論していてもしようがないので、この山代組に対して警察としてはどういう処置をされておるか、その点を一つ聞かしておいてもらいたい。
  74. 江口俊男

    江口政府委員 昨日の事件後、山代組ほか——これはほかの組も入っておりますが、その一行のうち五十一名を大牟田署に連行しまして取り調べをいたしております。しかし、残念ながら昨晩は被疑者が割れておりません。そのうちのだれかであるということはもちろんわかりますけれども、十分そこを見ておったわけでないもんですから特定するに至っておりません。しかしながら昨日被害者の側から、きょうになれば協力する。被害の状況、だれにやられたというようなことを、目撃者等の協力を得られる予定であるからきょうははっきりと——きょう特定できるかどうか知らぬが、そういう線に向かって厳重に捜査できるだろう、こういう報告を受けております。
  75. 門司亮

    ○門司委員 私は、そんなことを聞いているんじゃないのだ。この山代組自身に対してどういう処置をとられるかということを聞いておる。容疑者だけを引っぱっていって、そうして単なる刑事事件として取り扱っておったって、こんな問題は片づきませんよ。この問題を片づけるには、山代組という一つの団体を何とか片づけない限り片づきませんよ。えてしてこういう団体の中には、監獄に行ってくることを名誉と考えている人もたくさんおるんですから、一つ階級が上がると考えているんですから、ちっともおそれやしません。単なる被疑事件としてそこだけ取り扱っておったって、この問題は片づかぬと思う。ですからこの際警察のとるべき態度は、私の考え方では、こういう団体行動をした者に対しては、その団体自身についてやはりはっきりした態度をとるということが必要だと思うのです。個々の刑事事件ではこの事件はないと思う。もし警察が今のようなお考えなら、こういう事件は何度でも繰り返されますよ。だからはっきり聞いておきますが、この種の暴力団に対する警察の態度はどう処置をされるのか、その点をはっきりしておいて下さい。
  76. 江口俊男

    江口政府委員 暴力団全体の事柄について、これをどういうふうな取り締まりのやり方をやって撲滅していくかという事柄については、私の所掌でない関係で詳しく存じませんのでお許しをいただきたいと思いますが、具体の昨日の事件については、厳重に捜査をしていって、そうしてやはり現実にやった連中なり、あるいは客観的な結びつきがないというと、すくそこの組に属するものであるから組自体という行き方は、現在の法制上どうでありますか、先ほども申し上げるように、そういうことができるような仕組みに全体としてなっているなら、これはそういうやり方はできるだろうと思いますが、残念ながら、暴力団の専門の方ではございませんので、詳しいお答えはできません。
  77. 門司亮

    ○門司委員 それはおかしいんですね。警察の少なくとも警備局長がそんなことを言っておったのでは、これは仕事にならぬですよ。トラック、乗用車に乗って行っていますよ。その金はだれが払ったか、その人の生活はだれが保障したかということ、これは歩いて行ったんじゃないですよ、個人の行為じゃありませんよ、団体の行為ですよ。だれがこれに金を出し生活を保障しておるかということですよ。どんな利口でない人間でも、だれにも頼まれなければ、何もしないで行く者はありませんし、自動車がひとりで動くわけはありませんし、私はそれを聞いているんですよ。個人のやった者だけを罰するのはあたりまえなんです。それは単なる市井の殺人事件ならそれでよろしいのです。この事件はそうじゃないんですよ。車を動かした以上は、だれか金を払った人がいるに違いない。あるいはまごまごすれば、だれかが日当を払っているかもしれない。そうすれば、その犯罪行為を犯した主体というのはほかにあるんですよ。それが世にいう暴力団なんですよ。岸さんがちゃんと声明しているでしょう、今の内閣は暴力をなくすると。個々の何十万いるか知らぬが、二十万、三十万あるいは百万といわれている暴力団、ときどき新聞に書いてある。個々のそういうものを引っぱっていって撲滅しようといったって大へんなことです。やはり暴力団をなくするには、こういう現象の現われたときに、関連がないわけじゃないんですから、短刀で刺した人が、自分で自動車賃を払って、そうしてみんなのために日当を払ってやったわけじゃないんですよ。だれかがやったに違いない、それを私は言っているのです。この点については公安委員長どうですか、こういう暴力団に対する取り扱いは一体どうされるつもりなのか。
  78. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 暴力取り締まりにつきましては、御指摘もありましたし、私もここでたびたび申しておるところであります。いわゆる暴力団といいますか、暴力行為の取り締まりにつきましては、全国の警察機能をあげていろいろやっていることは御承知の通りであります。今回のこういう事件等を契機といたしまして、さらに一そう今後の暴力行為あるいは暴力団というものに対する取り締まりといいますか、措置についてさらに検討を加えて、一そう治安の確保が保たれるように努力をいたしたいと思います。
  79. 門司亮

    ○門司委員 私は、そういう抽象的な答弁ではなかなか承認できないのですが、この種の争議は、いずれもどこにでもこういうものがくっついておる。  ところで、私はもう一つ聞いておきたいと思うことは、これも調べなければわからぬという御答弁になりそうだから、警察の判断でよろしいと思うのですが、この種の行為をやる者と会社側との間に何らかの関連性があるというように警察側は見ておりますか、見ておりませんか。
  80. 江口俊男

    江口政府委員 その点は非常に重要な点でありまして、初めからあるということで見ているわけでもございません。しかしながら、これはないのだ、単に個々の問題だという前提に立ってやっておるわけでございまするので、捜査の過程ではっきりさしていきたいと思います。
  81. 門司亮

    ○門司委員 私は前の二つの団体、たとえば灯をともす会が前からあった、あるいは再建の団体があった。こういうような団体は多少これに関連性があるかとも思う。しかし、運輸業と興行、芝居や映画をやっておる連中と争議、あるいは会社の労働組合というのは関連性は全然ないと思う。全然関係のない諸君がこういう行為をやるということについて、一体警察はどう考えておられますか。先ほどの答弁をずっと聞いておりますと、この山代組自体については大して考えないで、単に直接の行為を行なった者だけを調べられるようなことで事が足りるとお考えのように、どう考えても受け取れるのですが、多少でもこの争議に関連性を持った者——由来こういう運輸業と興行師というものは全然職業が別です。またかたまりも別なんです。それが突然こういう争議に介入してきて、こういう暴力行為をやるということは、私はどこかに関連性がなければならないと思う。それをやはり警察は突きとめなければ、いつまでたってもこういうものは粛清できない。この点についての捜査なり、報告なりはまだ来ておりませんか。
  82. 江口俊男

    江口政府委員 先ほど申し上げた大牟田市の再建連盟、その連盟員といいますか、その構成員はそれぞれの職業を持っている人で、これが大牟田市の再建のためには一日もすみやかに三池鉱が再生しなければいかぬという立場で再建連盟を作ったようであります。それでこの山代組というのは、大牟田にある興行師の組でございまして、これもきのうあたりから炭住に行って、そして第二組合員の家族が第一組合員につるし上げを受けたり、いじめられたりするのはいかぬじゃないか、あるいはお前たちは第二組合員の家族を村八分にしたらいかぬぞというような趣旨の宣伝活動をきのう衝突する前はやっておったのでございまして、これはもちろんただいまおっしゃるように、具体的に犯罪を犯したのは、だんだん関連を求めた組自体にあるのか、あるいはまた組の背後にその以外の者の接触があるか、連絡があるかということまでもちろん捜査としては調べていくわけでありますが、山代組というのは争議に全然関係がないのにそういう宣伝をしたのだから、何かほかの者がその連絡というか、結び目にあるはずだというようなことは、やはり調べていく過程でないと何とも言えないと思うのです。
  83. 門司亮

    ○門司委員 調べていく過程でないと何とも言えないと言われますが、しかし、商売人ならそのくらいのことはわかっているはずです。これは福岡の材木屋の再建同盟の円仏さんです。それが坑木を一手に入れている人です。たしか、円仏商会の会長であると私は記憶しております。これは今に始まったことではない。前からあったことです。ですから、今のようなことではとてもこの問題は解決つきません。暴力団に対する考え方が今の御答弁のようなあいまいな答弁じゃしようがない。もう少しはっきりとここで御答弁できませんか。こういう団体については徹底的に取り締まるんだということが言えませんか。そういうことがなければ、現地においてこういう不祥事はまだ起こるかもしれない。起こらないとはだれも保証しませんよ。そういう答弁はできませんか。大臣の答弁もきわめて抽象的でありますが、少なくとも内閣の一枚看板にしておる暴力をやめさせようというなら、もう少しきぜんとした態度がとれませんか。この点をもう一度念を押して聞いておきます。
  84. 江口俊男

    江口政府委員 何べんも申し上げるように、抽象的にこの種の者について十分取り締まるということは、私がここで申し上げるまでもなく、前から言われておることでありますから、これは繰り返しませんが、とにかく具体的の事件を契機として、それから伸びていくものは断固として追及していくということだけは言えるわけであります。それがどこまでいくかということを具外的におっしゃるものですから、どこまでいくのかということは、今から取り調べなければ確言できない、こういうふうに申し上げておるわけであります。
  85. 門司亮

    ○門司委員 それでは少し具体的に聞きましょう。さっきから重複するので避けたいと思っておりましたが、このトラック、しかもこれはおそらく定員外に乗っておったと思う。従って警察は当然これをとめて、そうして内容調査する権限を持っておるし、それを行なうことが警察の当然の仕事だと考える。しかも、検問所の前を通っておると言われている。それが見のがされておるが、この見のがした理由はどこにありますか。
  86. 江口俊男

    江口政府委員 見のがしたわけじゃなく、そこを通られた、突破されたわけであります。
  87. 門司亮

    ○門司委員 トラック一台が突破されたというようなことで済みますか。一体警察は何のために何千人という警察官を持っているんですか。連絡一つもないのですか。そこを通り抜けたからといって、組織さえあれば、その次でいつでもつかまえることができる。そういうことではどうにもならぬじゃないですか。一体警察というものは縦も横も連絡がないんですか。検問所を通られたから仕方がないと、手をこまねいて見ていた。そうしてけんかして人殺しがあったから、警察は大騒ぎをやっておるということでは、警察なんか要りはしない。警察官の職務執行はあなた方の方がよく知っておるとさっき言っておられたが、立ち入りもできる、凶器を持った者を調べることもできる。ちゃんと職務執行法に書いてある。その警察官の職務が忠実に守られておればこういうことはなかったと思う。そうすると、こういうふうに解釈しておいてよろしゅうございますか。この怪トラック——という言葉を使えば怪トラックですが、暴力団の一味のトラックないし力というものは警察の警備線を突破していったものだ、警察は突破されたんだ、それで手をあげたというように解釈しておいてよろしゅうございますか。
  88. 江口俊男

    江口政府委員 四山鉱の南門に置いておった七人編成の検問所が、とにかく言うことを聞かずに突破されたということは、私が報告した通りであって、そういうふうにお考えになってけっこうであります。手をあげたというのは、その後のことまで入れてのお話であれば、手をあげたんじゃなしに、やはりそこではできるだけのことをやったわけであります。
  89. 門司亮

    ○門司委員 私が今聞いておりますのは、ほんとうに具体的に事実をはっきりしたいからなんです。南門を突破していった。これは歩いていっているでしょう。そうして新聞紙によると、帰ってきているでしょう。そうして正門かどっかで衝突が起こったじゃないですか。正門で問題がおこっておるでしょう。その間に警察の配備というものはなかったのですか、通過されれば通過されただけで。私が手をあげたというのは、南門で手をあげておって、完全に通過されておるわけです。そうしてその後これが何らかの処分も受けていない。これは南門は突破されても、途中のどこかの地点でこれをつかまえて中を調べれば、目的が何であったかということもわかるし、同時に、中に積んおったものが何であったかということもわかるはずです。あなたの方は、暴力団がどうのこうのと言われておるが、私が最後に聞きたいのはそこです。こういう団体が外部団体であって、それが単なる啓蒙宣伝であれば、一体凶器を持っていく必要がありますか。これは凶器を持っているでしょう。これも新聞の報道によるが、啓蒙宣伝なら何か一体心要なんです。スピーカーくらいは要るかもしれない。あるいはトランジスターくらいは要るかもしれないが、それ以外のものの必要がありますか。何らかの行為を目的とした一つの団体であったことは間違いかない。その団体が南門を通って、突破されたからやむを得ないのだというようなことでは、これはどうにもならない。具体的に聞きますが、そのトラックの中にどういうものが積んであったか、人を刺した凶器は何であったか、どういう凶器がその中にあったか、それがわかっているなら一つこの際教えていただきたい。
  90. 江口俊男

    江口政府委員 南門を突破されてからどうなったかということでありますが、南門から事故の起こりました正門までは五百メートルほどございます。その間には警察官の配置はない。それで、先ほど申し上げましたように、正門のところには三百五十名ほどの第一組合ピケ隊がおった。それとの間で争いになったわけです。そこの付近にある——どのくらいの距離か知りませんが、一番近い距離の駐在所の中に六人の警察官が詰めていて、そしてそのうちの四人が一番先にかけつけた。そのあとに福岡県の追尾しておった一個小隊がかけつけ、そのあとに熊本県の二個中隊がかけつけた。こういう順序になりますことは、先ほど申し上げた通りであります。  凶器云々の問題は、今までの捜査において、現場で発見されましたものは、みぞなどに遺留されておった短刀、これは刃渡り八センチ、それから肉切りぼうちょう、刃渡り十二センチ、それからジャック・ナイフ、刃渡り四センチ、この三つが現認されておるのであります。それ以外の凶器を使ったというのは、警察側におきましても、労組側におきましても、現認者がいないようでありますから、おそらくそういうものであろうと思います。
  91. 門司亮

    ○門司委員 新聞の写真とは違うのですか。新聞の写真などを見ると、棒など振り回していますが、あれは違うのですか。
  92. 江口俊男

    江口政府委員 新聞の写真とはどの写真か、棒を振り回しているのは、二十八日の三川鉱の写真ではないでしょうか。私ただいま御報告しましたのは、四山の刺殺事件のときのことを申し上げました。
  93. 門司亮

    ○門司委員 私の新聞の見誤りかもしれませんが、新聞の報ずるところでは、こういう凶器だけではなかったはずだと思うのです。問題はこういうことでしょう。啓蒙宣伝に行く連中が短刀を持ったりジャックナイフを持ったり、肉切りぼうちょうを持ったり、そういう物騒なやつが乗っているということは、単なる啓蒙宣伝だからというわけにいかぬ。明らかに集団行為としての何らかの目的があって出かけて行った。あなた方の解釈しているような純粋なものでなかったということは言えると思うのです。そうだとすれば、もう少し警察側の配備が厳重であり、十分な処置がとられたならば、私はこういうことがなかったと思うのです。新聞だけだからよくわかりませんが、正門の前の交番というのは、わずか二百メートル内外のところにあったということが、どこかの新聞にも書いてありますが、きわめて近いところにある。そうすると、南門と正門との間の連絡は、一体どんなになっておったかということです。私は、この辺にかなり警察の手抜かりがあると同時に、こういう暴力団というものに対する見きわめが非常に甘かったのではないかと思うのです。これもさっき他の同僚から聞きましたように、南門で食いとめて、そしてトラックに必要以上の人間が乗っているということが、許可を得ていたかいなかったか、違法であったかなかったか、なお内部に何を持って、おったかどうかということは、警察では調べられる。軽犯罪法、警察法、警察職務執行法にもみんな書いてある。だから、警察がその行為さえ十分に行なっておれば、こういう事件は未然に防げて、こういうことは起こらなかったと思う。同時にこういう団体については、先ほどから申し上げておりますように、はっきりした態度がとれると私は思う。ただ刺した人だけが犯人ではないのです。こういうことがあった以上は、計画的なものだと申し上げても差しつかえないでしょう。そういう点についての警察の解釈をもう一度聞かせておいていただきたいと思います。
  94. 江口俊男

    江口政府委員 確かにお話通り、南の検問所でそれを停車させることができて、中を調べていけば、乱闘を起こすおそれがあるからということで、そこで制止をしておれば、ああいう問題は起こらなかったということは言えるのであります。それは、法律できめられておる事柄が十分行なわれたらそうなったということであって、それをやろうとしたけれども、それが及ばなかったということを先ほど来申し上げておるわけであります。  それから計画的であったかどうかというようなことは、何べんも繰り返すようでありますけれども、具体の事案を調べる過程において出てくる問題だと思いますので、ここで私が、あの事件は必ず殺人の計画があったのだというふうに申し上げることは、現場の捜査と照らし合わせてどうかと思いますので控えたい、こう思っております。
  95. 門司亮

    ○門司委員 もうそういう押し問答はしませんが、今言われるように、私は殺人を言っているのじゃない。何らかの行為に出ることのために、こういうものを持って歩いたということです。さっきからあなた方の言われているような、啓蒙宣伝だけなら、こういう凶器を持っていく必要はありません。それはさっきも申し上げましたように、スピーカーか何か持っていけば、それで事は足りるのである。何も肉切りぼうちょうを持って振り回す必要はありはしない。必要以上のものですから、他に目的があったということは断定できる。暴力団のこうした行為を、どこまでも警察があいまいな態度に出られること自身がすでに私はおかしいと思う。もう少し警察は、やはりきぜんとした態度をとってもらいたいと思う。そうしなければ、この種の事件はなかなかおさまりませんよ。  最後に聞いておきたいと思いますことは、将来のこういう問題の推移は、どうなるかわかりません。あるいは急転直下解決するかもしれませんし、あるいはよけいこじれて問題を起こすかもしれない。しかしそれに対する警察側の態度としては、どういう態度で臨まれるのか。さっき大臣から、警察の配備は聞きました。千人とか二千人とかいう配備は聞きましたが、その現場の統一された指揮者はだれであるかということを、この際もう一応伺っておきたいと思います。管区本部長が当たっているのですか。これは両方の県にまたがっておりますから、どっちの公安委員が全体の処理をしているか、またそういう組織ができておるかどうかということです。これは公安委員長がおいでになれば、公安委員長にお聞きしたいのですが、こういう事件の起こった場合の緊急処置をする場合、二つの警察本部があり、二つの公安委員会があるが、これの協議連絡というような機関がなければならないはずですか、そういうものが完全にできているかどうかということ、また、もしそれの責任者がだれであるかということがおわかりであれば、この際明らかにしておいていただきたいと思います。
  96. 江口俊男

    江口政府委員 将来は別といたしまして、現在におきましては、福岡県及び熊本県が独自の責任において——もちろん緊密な連絡はありますけれども、責任上の点から申し上げますと、別々の責任者でやっております。従って福岡県においては福岡県公安委員会、熊本県においては熊本県公安委員会が最高の責任管理者でありますが、現実の責任者は福岡県本部長、熊本県本部長であります。それから現在現地に出向いておる現地部隊の責任者は、福岡県におきましては福岡県警備部長、熊本県におきましては熊本県警備部長だと思います。その間の連絡は九州等区警察局においてやっておることでございまして、これは村井局長自身が十分な連絡とアドバイスは与えておる。それをわれわれが刻々連絡を受けておる。こういう状態で現在はやっております。
  97. 門司亮

    ○門司委員 警察業務のことですから、あまりやかましいことは言いませんが、この事件が発生してから、警察庁としてはだれか現場に派遣されておりますか。
  98. 江口俊男

    江口政府委員 派遣するのが最も必要だと考えましたけれども、非常に手が足らない状況で現在出しておりません。また建前として、管区警察局というものは警察庁の出先という立場をとっておるものですから、できるだけそこを、こちらから出したものと同じ取り扱いでやっていくというのが原則でございます。しかしながら、こういうふうに疑問の点がたくさん出ますので、事実問題等について隔靴掻痒の感が私ども自身もございます。だから私どもとしても、できるだけ早く係官を派遣したいとは思っておりますが、現在はまだ出しておりません。
  99. 門司亮

    ○門司委員 それではこれでやめますが、今のようなことをいつまで繰り返して聞いておっても始まらぬのですが、問題の焦点は、やはり何といっても、これは不測の事態ではないですね。不測の事態と言えば言えるかもしれませんが、実際は、もう少し警察がほんとうの勇気を持って当たられておれば、私はこういう事件は起こらなかったと思うのです。これは新聞の論調にいたしましても、それから地元の諸君の声を聞いてみましても、録音その他でいろいろなことをやっておりますが、一体警察の今度の態度は実に不可解だということが一面に言えるのです。それについても、まだあなた方の方で現場にも行っておらないというようなことでは——現場においでになったって、大した時間はかからないですよ。飛行機で行って飛行機で帰ってくれば、そんなにかからぬのです。だから、もう少し厳密な調査をして、確固としたものの考え方の上に立った処断を私は要望いたしておきます。これで私の質問を終わります。
  100. 渡海元三郎

  101. 川村継義

    川村委員 時間も大へんたっておりますから、私、警察当局の警備関係について三点ばかり聞いておきたいと思います。  第一は、二十八日の三川鉱の衝突事件関係でありますが、実は新聞でいろいろ報道されているのと、今警備局長から報告を聞いたのでは、少し違っておるようです。しかし警備局長の話をわれわれはそのまま信じて、それを中心にお聞きをしたいと思うのです。あなたのお話では、大体二十八日の事件の起こる前、つまり午前一時ごろ二千五百名ぐらいの第一組合員諸君が集まって、そうして新門裏門、あるいは正門、こういうところにピケの配置をした。それから第二組合の方は、千三百名くらい午前六時ごろに諏訪公園付近に集結をして、そうしていわゆる第一隊の四百名が正門、第三隊の四百名が北門、第二隊のいわゆるこれが衝突した主力になったと思います。が、五百名ぐらいが新門に行った。こういうようなお話でありますが、このときに警察の方はおそらく大体の状況は把握できておったと思いますが、あなたのお話では大牟田署かどこかで待機をした。しかしあとでその近くに進出をして、不測の事態が起こらないようにやろうと考えて待機をしておった。こういうお話を聞いたように思います。私が聞いたのに間違いがあったら訂正して下さい。警察は一体待機して警備態勢をとられたのは何時ごろになったのですか、それが第一。
  102. 江口俊男

    江口政府委員 ただいま御質問になりました通り、私、先ほど説明いたしております。ただ新聞報道に出ておりまするのと、私が申し上げたのが違うとお感じになる点のおもなる点は、私も新聞を見ておりますが、写真等がたくさん出ておりましたのは、構内じゃなしに構外、入ろうとしておる状態のところのもみ合いのようであります。それから私が、負傷者をたくさん出した。こう申し上げましたもみ合いは、入ったあとの三川鉱の繰り込み場における乱闘であります。あの新聞写真に出ておるところとは場所が違う。従って時間的にも食い違うのじゃないか、私の想像ですから、これはよく調べて、多少変わるかもしれませんが、第二隊の五百人はほとんど妨害なしに中に入ったといっておりますので、あの形が出ておるのは第一隊、第三隊、いわゆる陽動隊とピケ隊との間の外側における衝突じゃないかというふうに考えられるわけであります。  それから警察が何時に出たかというお話は、前の日から大牟田督までは千五百名早くから出ております。しかし現場に近い諏訪橋あるいは三川派出所に行きましたのは七時ちょっと前、六時四十分から六時五十分の間にそのうちの第一隊千名近くの者が前進待機をしておる。こういうことであります。
  103. 川村継義

    川村委員 今あなたのお話で六時四十分ごろに大体警察は前進態勢をとった。そのときにはまだ衝突事件は起こっておりませんか、起こっておりましたか。
  104. 江口俊男

    江口政府委員 先ほどの説明にもちょっと申し上げましたが、その以前に、構内においては鉱長室なり事務室なりに第一組合員が入って、そうしてから戸をぶちこわした事件は起こっております。しかしながら、第二のたくさんのけが人を出した乱闘事件は、そのときには起こっておりません。
  105. 川村継義

    川村委員 いわゆる第二組合あるいは第一組合、これらの組合の態勢というものは警察ではおそらくよくわかっておったと私は思うのです。まさか第二組合人たちが三手に分かれて門に向かった、あるいはそういう状況を把握しておられないはずはないと思う。おそらく制服の人でなくても、私服等の人たちが、たとえば四百名くらいの第一隊は正門に向かったというようなことは、事前に把握をしておられたと思うのですが、その点はそう見て差しつかえないですね。いかがでしょうか。
  106. 江口俊男

    江口政府委員 全体で私服は二十三名でございますか、その付近に出しておったそうでありますから、そういうピケを張っておる状態及びその方に向けて第二組合が三隊に分かれて進んでおるというようなことは見ておったものと考えます。
  107. 川村継義

    川村委員 それからあなたの先ほどのお話では、待機しておりました警察官の人たちは、大体その衝突したところの門、そこまでにはわずか三分かそこそこの時間で行けるというところにおられたということでありましたが、その通りでございましたかね。
  108. 江口俊男

    江口政府委員 大牟田署と現場が約二キロほどあるようであります。そこが遠いからというので、近くに、私地図で見て判断をしておるわけでありますが、三分か五分で普通であれば行けるだろう。こういうふうに言ったのでありまして、はっきりした計算をやって申し上げたのではございません。
  109. 川村継義

    川村委員 そうしますと、あなたの先ほどのお話と比べて、今のは少しやわらかくなったようですが、あなたが地図上で計算をして見られたときには、三分程度で行ける場所におった。そう考えますが、実際はそこに到着するには十分以上、十五分くらいかかっておるということですね。これはいわゆる正門北門、こういうところで一応いざこざが起こった。そういうことをあなたの判断で、これは正確じゃないかもしれません。しかし、三分ほどで行けるようなごく近くのところに待機をしておりなから、実際行ったのは十分以上十五分程度かかっておる。そういうことを考えあわせてみると、実際組合員が衝突をした、それがわかっておって、そこの場所に警備態勢をさらに進めるという手だてはどうしてやらなかったのか、この点はいかがでありますか。
  110. 江口俊男

    江口政府委員 外の門の前のせり合いというものについてなぜ出動しなかったかという点は、はっきりわかりませんけれども、中で起こった事件についてはすぐそれに出動して十分かかった。しかしその入り方が、先ほど申し上げたように、普通のような速度で行けない状況にその事態があったのじゃないか、こういうふうに思うのです。
  111. 川村継義

    川村委員 その点は一つあなたとして、警察がとった一切の行動をもう少し厳密に調査してもらいたい。ということは、これまた新聞の面からのあれでありますけれども、いわゆるピケを突破するときに、組合員でないだろうと思われる相当数の人間が先頭に立って、大きな石でピケ隊になぐりかかり、あるいは棒でなぐりかかっている。そうしてピケ隊を突破して中に入った。そこでピケをしいておった諸君が非常に激高したでありましょう。あとから追っかけて、さくを乗り越えて行って、中で非常に大きな混乱を起こした。こういう事実が報道されておるのですね。そうなると、今あなたがおっしゃったようなことをあえて突き詰めて考えるならば、結局ピケ隊を突破するまで警官は見ておったのじゃないか、こう言われてもやむを得ないことでしょう。だから私は、その点をお聞きしているのです。あなたの方では、おそらくそういうことはないとおっしゃると思いますが、この点は将来の問題として、一つ厳重にこの間のところを調査してもらいたい。われわれもその点については十分調査する予定なんです。この点はいかがでありますか。
  112. 江口俊男

    江口政府委員 私の方も十分調査いたしまするし、事実の問題については、各委員の方々において十分御調査いただいてもらいたいと私も考えております。
  113. 川村継義

    川村委員 くどくなりますけれども、あなたの説明によると、三分程度で行き着けるところの地点に警察官はあった。それが実際は十五分以上もかかってその取り静めに当たった。その間の時間的なずれというものあ、これは邪推かもしれませんけれども、そういうふうにヒケが突破されるのを待っておって、そして大混乱を起こしながらピケが突破された。しかもそのピケの先頭には組合員でないらしい者が立っておる。こういうことがちゃんとわかっておりながら、一応ピケが破られるまで見ておって、あとでさく内で、構内で大混乱が起こったときに警察官が行ってこれを取り静めた。こういう状況考えると、そこに私が申し上げたような、どうもあなた方の方ではある点手抜かりが出てきたのではないか、あるいは何もそうじゃないかもしれませんけれども、あの連中がピケを破るまで、まだ待って、こういうことでやったのじゃないかと、あなた方の処置について邪推されてもやむを得ない、こう私は考えるのです。今の点十分に現地におった警察官の指揮者あるいはその他に対する処置を調べておいていただきたい。  それから第二点は、先ほど阪上委員あるいは門司委員からもだんだんお話がありましたが、二十九日のいわゆる四山鉱事件を起こす場合に、いわゆる山代組というのが検問所を突破した。突破したときに、検問所に七名の警官がおった。ところが、おそらく制止を聞かずにぱっと通って行ったのだろうと思いますが、そのときに突破されたあと七名の人たちは一体どういう処置をとったのでしょう。すく追っかけて行って、いわゆる執行権を行使して処置をしたのか、突破されたのでやむを得ないというので、次にほかにただ連絡をとって他の隊に処置を頼んだのか、その辺のところはいかがでありましょうか。
  114. 江口俊男

    江口政府委員 パトカーがついておりますので、すぐ本署には連絡をとったようですが、自分たち自身はそれを追いかけていくということはしていないようであります。
  115. 川村継義

    川村委員 それはそれでいいんですかね。そういう点が、先ほどから警察当局の警備の少し甘さというか、手抜かりがあったのではないかと指摘されておるのではないかと思うのです。  それからもう一つそれに付随して、大牟田の警察、いわゆる福岡の県警は山代組がハイヤー十四台とトラックに乗って行動しておるときに、三百メートルばかりあとからついて来ておる。こう説明されました。体追尾を始めたのはどこから始めたのか、時間的にいってどれくらい追尾して行ったのか、その辺のところはわかっておりますか。
  116. 江口俊男

    江口政府委員 くどくなるから申し上げなかったのですが、追尾した福岡県の県警のパトカーは、山代組自身を初めから追尾するためのものではなかったようです。これはパトロールをやっておって、山代組等に対する追尾は、制服部隊一箇小隊三十五名、午後四時新旧労組員が紛争の状況にあるということに基づいて出動したところ、たまたま山代組等の隊を発見追尾したものであるという事柄であります。だから山代組に追尾したのは四時過ぎということになります。
  117. 川村継義

    川村委員 そうすると、四山の検問所を突破されたのは何時ごろになりましょうか。
  118. 江口俊男

    江口政府委員 これは先ほど御説明申し上げた通り四時五十五分です。
  119. 川村継義

    川村委員 そうすると大体二十分あまりは追尾しておることになりますね、時間的におおよそに見当すると。その間十四台のハイヤーに乗っておる諸君、あるいはトラックには相当数乗っておったと思いますが、そういう事態があるのをただうしろからついて行ったということ、これがつ疑問になるのですが、そういうような判断はどうしておったか、どういう判断でただ追尾したのか。ただうしろからついていって、不穏な事態を起こしたならば何かしよう、こういうことでついていったのか、いかがですか、その点は。
  120. 江口俊男

    江口政府委員 そのあとの判断であります。
  121. 川村継義

    川村委員 それではさっきの問題で、ちょっと繰り返してなんですけれども、今のトラックの問題にしても、私さっきちょっと関連質問で申し上げたように、ハイヤーに六人というのはおそらく乗れませんから、五人乗って七十人、あとの三十名は、百名とすると、これはトラックに乗ったことになる。これは局長、あなたが先ほどよく調査すると言っておりますから、私はその調査を待ちますけれども、ここであなたの考え一つ仮定の問題として聞かせておいていただきたい。というのは、そのトラックに三十名乗っておったのは、警察に届けて、いわゆる認可を受けて乗車制限の許可をとってやっておったとしたならば、一体警察はどういう考えでそれを許可したのだろうかという問題が一つ。もしも許可しておらなかったならば、なぜ追尾しておる間においてそれをつかまえて、使用を禁止するというようなことをやらなかったか。この二つの問題を、一つ仮定でよろしいですから、あなたの見解を聞かしておいてもらいたい。
  122. 江口俊男

    江口政府委員 私の方には、許可しておったかおらなかったかというような事実は現在参っておりませんので、仮定でございまするが、もし許可しておったとするならば、これは交通法上そういうことはできないと思いまするけれども、土地の習慣で労務者の送り迎えとかなんとかで、場合によってはトラックを使う地方がある。そういう場合におきまして、第一組合側なり、あるいは第二組合側なり、ほかの部面にも、そういう宣伝活動の場合に人間を乗せるということをかりに許可する現状にある。こう仮定すれば、山代組がこういう宣伝活動をやりたいから乗りたい、こう言った場合においては、やはりそれじゃこれもということで許可するということがあったかどうか、そういう場合以外は許可したとは考えられないのです。調べてみなければわかりません。それから許可しなかったというならば、追尾している間になぜそれをとめておるさなかったかという問題でありますが、これは御説ごもっともでありまして、そう思いますけれども、ただ、とめて調べないというと、許可を受けておるか受けてないかということはわからないので、これはちょっとなぜとめなかったかということについては、私現在答弁できません。
  123. 川村継義

    川村委員 一個小隊もうしろから追尾しているのでしょう。そうすると、前にトラックに一ぱい乗っていくのを、許可を受けておるのか、受けてないのか調べて、許可を受けてなかったらそれをやめさせる、これはできそうなものですね、できませんか。
  124. 江口俊男

    江口政府委員 もちろん法律的にできます。
  125. 川村継義

    川村委員 もしもそうだとすれば、それをやってない。ところが土地の習慣等で許可を受けた、許可を出しておったということになりますと、追尾することそれ自体がちょっと変に思われるのです。追尾するという以上は、やはり山代組というものの行動については、何か炭鉱の争議に関係して警察としても問題としてこれを見ておる、こう考えなければならない。そうなると、許可したということになると、それ自体に非常に警察に手落ちがあるのじゃないか、こういうことを考えるわけです。ところが先ほどおっしゃっているように、調べなければならぬということですから、この点もつ厳重に調べてもらわなければならぬということになりますけれども、そういうところに問題がひそんでおる。だから先ほどから、警察のこれらに対するところの対策がどうも十全じゃなかったじゃないか、こういう議論になってくるわけです。この点も一つ厳重に調べておいていただきたい。許可があったか、なかったかという問題、許可がなかったならば、なぜ一個小隊もうしろからついていってこれをやめさせなかったか、こういうところに重大な問題があろうと思うのです。四山のこの衝突しております実に不幸な事件を起こしたわけでありますけれども、あなたがおっしゃっておるように、また長官も警察当局もたびたび言っているように、組合の争議に警察権が介入をしてはいかぬ、こういう御方針はそれはその通りだと思います。そこで今度の場合、あなたのお話によりますと、第二組合は、ぜひ就労したい、しかし不祥の事態まで起こしては就労したくないという考え方を持っておった。第一組合も、ぜひ就労できないようにピケ等の正当の行為によってこれを阻止したい、しかし不測の事態を起こしてまでも強行しようとは考えていない。こういうことであったので、そういうおそるべき事態は起こらなかったのじゃないかという一応の考え方には立っておるようです。しかし、初めからこの三池の労働争議は相当長い期間でありますし、これは他の支援団体等も入りまじって相当険悪な空気になったので、警察当局が、ただそれだけの判断で十分な警備態勢をとっておらなかったということについてはどうだろう。第一組合がこう言う、第二組合がこう言うから、まあ不測の事態は起こらぬだろう、こういう判断はどうであるか。あるいは第一組合はこう言っている、第二組合はこう言っている。しかしそうなんだけれども、いつ何どき不測の事態が起こるかもわからぬということで善処されるようになっておったのかどうか。その辺のところをもう一回、何か先ほどお話があったようですけれども、聞かせておいていただきたい。
  126. 江口俊男

    江口政府委員 ただいまのお話通り、基本線としては、両方の従来からの言い方、方針からして、一触即発のところまでは行っても、お互いにそこで流血の惨を避けて別れる、こういうふうに見ておったのであります。しかしながら、それもまた時と勢いによっては不測のこともあり得るという判断のもとに、もちろん福岡県警察も熊本県警察も、そういうことに処するために、その日は各方面から警察官を集めて部隊を増強しておったわけであります。具体的には、福岡県警では制服部隊と三個大隊いうものを中心にいたしました千五百人を大牟田に集めている。熊本県も制服一個大隊を中心にする五百名を荒尾署に集めている。その以外に約千名を他に自署待機さしておる。こういうふうに人数としては十分とまではいかなくても、でき得る限りの手当というものを前からしておったということは言えると思います。
  127. 川村継義

    川村委員 態勢はお話通りでよくわかります。しかし、実際具体的にそれを処理するというところに問題がやはり残るわけです。先ほど私が第一点で要望いたしましたように、三川鉱の衝突事件で、警官が出ておったところの地点から衝突の門までの時間的な問題、それから今の山代組というような不穏な空気が大体察せられるところの連中の行動に対する警察当局の態度、それから四山において南門の検問所を突破されたそのあと、山代組が正門に行くまでの連絡態勢、いわゆる大牟田の警察と荒尾の警察との連絡——おそらくやったとは思いますけれども、どうもその辺のところに、検問所を突破されて正門に行きつくまでのその事態を甘く見ておったのじゃないかと思われるような節、こういうところに具体的な警備問題として私はまだ十分検討を加えていかなければならぬ問題があると思う。先ほど申し上げましたように、われわれとしても現地を調査する予定でありますけれども、そういう点を一つつまびらかにお調べいただいて、何もこれはあなたたちだけを責めているわけではありません。そういう実際の警備というものがほんとうに確立しなければ、この後——起こってはなりませんけれども、こういう事態が起こったときに、また再びこういう事態を繰り返すということになるかもしれませんから、特にこの点は警備態勢の完全を期する意味において、責任を持って一つ調査をしていただきたい。これだけ私は希望を申し上げて、時間も大へんたっておりますので、質問を終わります。
  128. 安井吉典

    ○安井委員 関連して。四山鉱の問題、特にその場合における警察の態度についてちょっとお尋ねをしたいと思うわけでありますが、その前に山代組その他の暴力団の介入の問題について、さっき門司委員からも質問がございましたが、私も、門司委員の趣旨と同じように、この犯行に関係のある犯人そのものよりも、これらのいわゆる団組織といいますか、集団組織という問題の方が重要だと思います。その集団組織そのものを問題にする場合には、やはりその組織が何をもって動いているかという、特に資金源の問題を突くということが非常に大切なことじゃないかと思います。その意味におきまして、その資金源にまで、今度の動いた連中の金がどこから出ているか、そういうところまで立ち入ってお調べになるお気持はないかどうか、その点お伺いいたします。
  129. 江口俊男

    江口政府委員 捜査の進行上そこまでやることが適当しなり、かつまたそれができるということであれば、当然そこまで突き進んでいくと思います。
  130. 安井吉典

    ○安井委員 もちろん十分御調査を願わなければならないわけでありますが、その際におきまして、こういったような暴力、特にこれは傷害致死という事態まで引き起こしているわけでありますが、金を出すことによってそれを煽動したり、あるいはそういう仕事を委託したというようなものが明らかになった場合には、警察はどう処置されますか。
  131. 江口俊男

    江口政府委員 そういうことは申すまでもなく正犯になる分も含みますから、だれであろうとも犯人である、これは言うまでもないわけであります。
  132. 安井吉典

    ○安井委員 この犯行が起きた原因は、その犯人自身の個人的な意思、そのあとにあるところの集団的な行動、さらにそれをうしろからひもをつけて引っぱる、こういうふうにずっと筋を引いているような気がいたします。そういう意味におきまして、これはこの問題だけではありません。将来いわゆる暴力行為というものを取り締まっていく上におきまして、これは非常に大切なことだと思います。そういう意味におきまして、この際におきましても十分御調査をお進め願いたいと思うわけです。  それから次に、警察側の態度の問題でありますが、新聞の報道しか私わからないわけでありますが、今回のこれは、警察官のいる目の前でこのような犯行が行なわれたというところに一般国民に与える影響も非常に大きいと思うのです。そういうふうな問題は、今度の問題を取り上げた新聞の見出しなんかも大きく取り上げているところに私は国民全体に与える影響が大きい、そういうふうに思うわけです。この場合に、どういうことでそういうことになったかということについて、先ほど来もいろいろな方面から追及が行なわれたわけでありますが、いろいろ新聞情報をずっと見回してみましても、とにかくノーマルな状態ではなかったように思うわけです。山代組がずっと入ってきて、そういうふうな状態では決してなかったと思います。ですから警職法をかえるとかなんとかいうのじゃなしに、今の警職法でも阻止できるという態勢にもかかわらず、警察官が傍観的な態度をとっていた。こういうふうな報ぜられ方がされているわけであります。これにつきましていろいろ考えられているわけでありますが、特に福岡県側からずっと警察官が追尾してきている。バスかトラックのうしろをずっとつけてきているようですね。福岡県警は三百メートルくらいあとから来たわけですが、この犯行が起きたその際には、バスから全然おりていなかったというようなことが新聞に伝えられております。そういうことにおいて私は心配になるのは、私、地理的な状況はよくわからないのですが、ちょうど福岡の県境から五百メートルくら入ったところの場所だということです。福岡の方はずっと追ってきた。しかし地元は熊本県警の荒尾署です。そういうところに命令や管理の提携におきまして不十分なところがあったのじゃないか、そういうことを考えるわけであります。その点どういうふうに御判断をされているか、明確にお答えをいただきたいと思います。
  133. 江口俊男

    江口政府委員 もちろん法律の定めたる通りに実施できたらとめ得たということは、先ほど来申し上げておるところでありまして、法律通りにできなかったことは事実でございます。従いまして、私はここで警職法云々とか、法律が不備だからあの問題が防止し得なかったというようなことを、検問所突破後の問題については申し上げる気はないわけであります。ただ法律が整っておっても、事実上できなければそういう結果になる。しかし、福岡県警の車が追尾をしておったという段階におきましては、これはやはり現在の法律建前からいって、そこでとめるというあれはないが、しいて言えば、先ほどの定員外乗車の疑いがあるということで、許可があるのかないのかというような調べ方はできると思います。そういうふうに検問所を突破した以前と以後とにおいて法律関係の判断が多少違ってくる。こういうふうに思うのが第一点。それから第二点として、福岡県警が現場で車に乗りながら見ておったということは、私は信じられない。そこで乱闘が起こっておるとすれば、それを見ておるのじゃなくして、私の受けておる報告では、やはり乱闘現場へかけつけたのは、一番近い駐在所におった六人のうちの四人、その次に間もなくかけつけたのが福岡の一個小隊、それから熊本の二個中隊、こういう順序になっておるように聞いております。
  134. 安井吉典

    ○安井委員 法律に対して警察は常に正直であっていただきたいのは、私も国民の一人としてそういうふうに思うわけであります。しかし、ただ判断の甘さだけは許されないと思う。新聞なんかの報道によりますと、福岡側は、この間うちからずっと事件がありますから、この組合行動等につきましてもきわめて慎重な態度で問題を把握しようとされておった。しかし熊本県側では、そういう点に非常に甘さがあった。そしてまた両方の連絡が非常に悪かった。私はそういうふうな気がするわけです。特に判断の甘さという点についてはどうですか。判断の差ということです
  135. 江口俊男

    江口政府委員 私は判断が甘かったということについて——私も新聞を見ましたが、高橋警備部長でございますか、反省しておるのが出ております。私は、熊本の方が甘く、福岡の方が辛いというような比べ方は現在いたしておりません。福岡の方でも個々の事案によっては甘いところもあるかもしれません。熊本も事案によっては非常に慎重にやっておる面もありますから、これは具体の場合を一つ一つ比べてわれわれも検討していきたいと思います。
  136. 安井吉典

    ○安井委員 今お話のありました熊本県警本部の高橋警備部長の談話では、「確かに福岡側は熊本県との県境まで徹底的に車の列を追っていたようだ。われわれは深く反省している。」そうして、「四山鉱正門付近から警官隊を引き揚げたのが失敗だった。というのも熊本県警は人手が少なく、みな徹夜続きで疲れていたので休養させようと思ったのだ。これはいいわけになるが、ともかく情報不足、認識不足、判断の甘さ、など、われわれの全面的な手落ちだ。」こういうふうに認めておられます。これも率直な態度でいいと思う。しかし、こういうことを、先ほど来から警察は非常に正直だとおっしゃいますが、その本質がこれであっては困るわけです。つまり、常に正確な情報を集めるという態勢のもとにそれらの対策が立っていくのですから、当然なこととして今後とも御努力を願わなければならぬと思う。  大臣は、今向こうの方に行かれるそうそうですから、最後に、県境における事件だという点において、私はどうもお互いの問の連携がうまくいってなかったというようなことをこの報道の中からつくづく思わざるを得ないわけでありますが、それに対して、大臣の甘くないところの御判断、さらにまた今後どういうふうなことでこういった問題に対処されるか、このことを最後に一つ承っておきたいと思います。
  137. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 この問題は今後の調査に待たねばならぬと思うのでありますが、私、先ほど申し上げましたように、昨夜も直接九州管区の警察局長と連絡をとりまして、万全の措置をとってもらいたいということを指示したのであります。九州局長は、必要とあらば自分が大牟田に出向いていろいろの指揮をとるということも場合によって考えておりますということを申しておりましたので、かりに県境の事件としていろいろ連絡不十分の点等があったとすれば、将来は非常に気をつけていくことであろうと私は信じております。
  138. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 太田委員。簡潔に願います。
  139. 太田一夫

    ○太田委員 一つだけ特に公安委員長お尋ねをいたします。それは、今回の事件は、結果から見ますると警察庁の関係の事案に発展をしておるのですが、もとは労働争議なんですから、労働争議がこのような暴力事態にまで発展をしないように、少なくとも労調法にいうところの産業の平和を確保するためには、労調法の精神によるところの幾多の手段がある。それを労使双方ともがかたく信義をもって守ることが必要であるのに、このたびは三井三池の会社側は、藤林あっせんさえも不信的な態度に出て受けない。終始け飛ばしているわけです。こういう一方的な考え方は、力と力でこいということに基因しておるわけですから、そこで暴力団が出てくるし、暴力事犯が発生したわけです。従って政府としては、少なくともあなたたちの方針として、この際において会社が力と力で対決して組合をつぶしてしまうということを是認されるならば、ほうっておけばいいと思う。しかしそうではなくて、健全なる労働組合の発展並びに産業の繁栄、いわゆる産業平和を確保するという見地に立ちますならば、これは何らかの手をあらかじめ打たなければならないというときがすでにあった。そのときが見のがされておる。特に藤林さん自身があっせんに出て、しんぼう強くやっていらっしゃるのに、政府の方は藤林さんにまかせっきり、あるいは藤林さんを激励されていらっしゃったのかもしれませんけれども、われわれの方から考えますと、そういう気配はいささかも感じられない。そういう点から考えまして、労調法、労働法にいうところの不当労働行為の疑いさえ会社側にある。それが一つ。  もう一つは政府の方は、なぜか内閣総理大臣は緊急調整のことさえも十分な研究をされておらなかったか、そういう問題を事前に円満に解決することをなぜ考えられなかったかということがわれわれは非常に不審なんです。特に公安委員長として、問題が起きたらこれを何とかするということで警察力を使うのでなくて、その前に、労働争議なんだから、労働争議は労働法のルールの中で解決しなさい、その土俵の中で、特に労調法を尊重するという立場で何とか解決してくれということを、少なくとも閣議においては主張されるべきであったと思うのです。これは非常に善意から発する考え方でございますけれども、そういう気持をどうして閣議などで御主張なさらなかったのか。私どもは、石原長官が労働法に対してあまり興味がおありになるかならないか、ちょっと存じませんけれども、労働三法、少なくとも労働組合法、労働関係調整法、これだけは十分理解していただかないと、三池の問題は収拾がつかないことになってくると思うのです。そういう点について、閣内においてどのような立場で、事件の未然防止の立場から何か御努力なさったことがあるかどうか、また今後ともどのように努力される御意思であるか。この点をちょっとお尋ねしておきたい。
  140. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 閣議等におきましては、私もときどき九州炭鉱地帯の治安状況の問題は報告をいたしておりました。また労働大臣からも、労働問題をつかさどる立場からいろいろ情勢報告等がございました。しかし結局、このような遺憾な問題になったのでございまするが、昨日の閣議におきましても、労働大臣は、でき得る限り中労委の裁定がいい実を結ぶように自分としても労使双方に働きかけて、まとまるようにしてみたいという意味の発言をしておりました。総理大臣も、何か政府としてもさらにいろいろのことを考えていかなければならぬのじゃないかというような——総理の考えの中身はわかりませんけれども、そういう意味のことを発言されておったのであります。きょうは労働大臣も中に入って一日冷却日にするから、冷静になって、こういう激突の場のないようにするということを強く要望しておるようでございます。今言われました職権裁定とか、こういう問題がどうなりますか、今後の推移にもよりますけれども、再びこういうことを繰り返さないように、関係当局からもよく連絡をとりまして、一そうの善処をはかっていきたい、かように考えます。
  141. 太田一夫

    ○太田委員 いわゆるアウト・ローの思想が三池の会社側に非常に濃厚だという疑いがある。だから会社に対して公安委員長としては、労働大臣や総理大臣がお話しになればいいじゃなくて、公安委員長の立場からも、そういう思想が世の中にびまんし蔓延するのは困ることである。今後も法はかたく守って、お互いに守るべきものは守り、譲歩するところは譲歩して、健全な発展をはかる。こういうことにならないと、あなた方の立場から今までいろいろ御説明のあったことが筋が通らなくなる。私どもは、今度に限り三池の会社側の法体系の無視、法の精神を無視し、法そのものさえもじゅうりんするということが見のがされてしまって、そうして強い者なら何をやってもいいのだというそういう感じが満ちておるような気がするのです。特に今回のああいう問題は、会社側に不当労働行為の傾向が非常に強いことは顕著でありまして、この点を是正しませんと根本的解決にはならないと思う。特に労働組合争議は最後は妥協ですから、妥協は、どちらが妥協するかといえば、強い方が折れなければ理屈に合わない。会社側が折れなければならぬ。労働組合が妥協するということはない。だからそういう点から、会社側にアウト・ローの思想が強くなっては困るから、公安委員長として、今度のこういう問題が再発しないように、今回の事件終息には非常な決意を抱いていただきたいと思います。
  142. 石原幹市郎

    ○石原国務大臣 いろいろお話がございましたが、法の無視だとかどうとかということになりましたならば、これは会社側だけを責めるというわけにもいかないと思います。法無視の行動は、残念ながら現実としてあらゆる面に相当行なわれておる。ただ警察の立場からは、こういう問題がいろいろありましても、労働争議に介入するというような形になっては非常に困るということで、周囲から見れば歯がゆいような行動相当あるというようなことも私は事実だと思うのであります。しかしまた、そののりを越えればこれも非常な問題を起こしますし、またそれが刺激となって不測の事態を招かぬとも限らない。そこは非常にむずかしいところと思うのでございますが、こういうことがたびたびあってはならぬし、長く続いてはならぬのであります。十分治安の問題を考えつつ私の立場からも発言をして参りたいと思います。
  143. 川村継義

    川村委員 ちょっと警備局長にお願いをいたしておきます。きょういろいろお尋ねをいたしましたが、まだお調べにならなければわからないところが相当あるようです。だから三池の争議については、その経過、警察当局の警備状況、そういうことについて後日報告書として御提出願いたい。それからいま一つは、その報告書を作っていただくとき、私が質問いたしました点のいわゆる山代組を追尾しておったところの大牟田署の小隊長、その追尾しておった警備の責任者はだれなのか。四山鉱の南門の検問所に警備しておった責任者はだれであったか。それらの人々の氏名を一つ明らかにしていただきたい。これだけお願いしておきます。
  144. 渡海元三郎

    渡海委員長代理 本日はこれにて散会いたします。     午後二時十一分散会