運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-09 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月九日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君    理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君       相川 勝六君    加藤 精三君       亀山 孝一君    鈴木 善幸君       富田 健治君    保岡 武久君       山崎  巖君    太田 一夫君       川村 継義君    佐野 憲治君       安井 吉典君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      後藤田正晴君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部水道課         長)      石橋 多聞君         専  門  員 円地与四松君     ――――――――――――― 三月九日  委員保岡武久君辞任につき、その補欠として川  崎末五郎君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三七号)  地方財政に関する件(昭和三十五年度地方財政  計画)      ――――◇―――――
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対する質疑はすでに終了いたしております。  これより討論に入りますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案賛成諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立
  3. 濱地文平

    濱地委員長 起立総員。よって、本案全会一致をもって原案通り可決すべきものと決しました。  次に、本案に対し自由民主党日本社会党及び民主社会党共同提案として、保岡武久君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。まず本動議趣旨弁明を求めます。保岡武久君。
  4. 保岡武久

    保岡委員 このたび奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案が上程されるに当りまして、当委員会におきましては各方面から鋭意御審議をいただきましたことは、まことに地元議員といたしまして感謝にたえないところでございます。つきましては、今回の審議を通しまして今後奄美群島復興をさらに完全に遂行していきますために種々の問題が討議せられた関係もありますので、このたび本法律案が通過いたしまするに際しまして、自由民主党並びに日本社会党民主社会党共同提案といたしまして、次のような附帯決議を付したいと存ずるのでございます。  ただいま附帯決議の案文を朗読いたします。   附帯決議案  奄美群島復興特別措置法に基く同群島復興事業は、年を逐ってその成果を高めつつあるが、なおその後の情勢の推移にかんがみ、政府はとくに左記事項に留意して復興計画が所期の目的を達する上に遺憾なきを期すべきである。  一、復興計画の完全かつ効果的な達成をはかるため、必要な予算措置を講ずること。  一、公共施設復興事業進捗状況に比し、群島民生活水準の向上、福祉の増大等直接民生に寄与する施策が著しく立遅れている実状にかんがみ、速かにその充実強化をはかること。  一、復興信用基金制度をさらに拡充強化するとともに、本制度趣旨にかんがみ、融資対象の選定、貸付条件等につき群島経済復興に寄与し得るよう配意すること。  一、群島基本産業たる甘蔗糖生産の健全なる発展のためとくに原料きびの適正価格保持について特別の措置を講じ、蔗作農民の保護に万全を期すること。  一、大島本島に、空港整備法による第三種空港を設置して航空路を開設し、航空運送の利便をはかること。  一、鹿児島県に対しては、群島復興事業を一層広汎かつ積極的に推進せしめるため、必要な財源賦与の方途を講じ、あわせて群島内市町村についても、財政能力の増強をはかること。右決議する。  以上でございます。
  5. 濱地文平

    濱地委員長 以上をもちまして趣旨弁明は終わりました。  採決いたします。本附帯決議賛成諸君の御起立を求めます。     〔賛成者起立
  6. 濱地文平

    濱地委員長 起立総員。よって本案全会一致をもって附帯決議を付することに決しました。  次にお諮りいたします。ただいま議決いたしました法律案に関する委言員会報告の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じます。これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 濱地文平

    濱地委員長 御異議なしと認めます。よってそのように決しました。      ――――◇―――――
  8. 濱地文平

    濱地委員長 地方財政に関する件につきまして調査を進めます。昭和三十五年度地方財政計画について質疑を続行いたします。佐野憲次君。
  9. 佐野憲治

    佐野委員 地方財政計画に対しまして質疑に入りまする前に、大臣がお見えになっておりますので、ただ一つだけお伺いしておきたいのはILO条約批准についてであります。二月の予算委員会において岸首相は、四月を目途として批准準備を進めておる、松野労働大臣もまた首相の言明のように、大体四月には日内法整備その他ができるように関係各省準備を進めておる。こういう工合に述べておられるわけですが、特に昨日大臣記者会見において、今までにおける経過を明らかにしておられるようにも受け取れるわけですけれども、本委員会において率直に、現在問題になっております地公労法の第五条の三項あるいは第六条、地方公務員法の五十二条、これらに対して自治庁としてはどういう考え方を持って現在準備を進めておられるか、あるいは成案を得ておられるなら、それらの点に対しても明らかにしていただきたいと思います。
  10. 石原幹市郎

    石原国務大臣 昨日の閣議におきまして松野労働大臣から、ILO条約批准関連しての国内法整備について、ことに公労法地公労法取り扱い方について労働省当局の一応の考え方の披露があったのであります。しかし、この問題は関係するところ非常に広範かつ重大でありまするので、昨日も一応労働大臣考え方説明を聞いておくという程度のことであったのであります。この問題を国家公務員あるいは地方公務員にどういうふうに関連させるかという問題につきましては、それぞれの関係省庁におきまして今いろいろ検討中でございます。人事院意見もあり、あるいは法制局意見もありますので、検討中でございまして、自治庁といたしましても、まだはっきりした成案を持つに至っておりませんが、次の金曜日の閣議におきまして、労働省等からもさらに国家公務員法地方公務員法に対する考え方の提示があると思うのであります。それらに対処いたしまして、自治庁当局におきましてもただいませっかく論議検討中であるという段階でございます。
  11. 佐野憲治

    佐野委員 政府労働政策として全面的に考えなくちゃならぬ問題点はいろいろあるだろうと思うのです。しかしながら、四月に批准することを目途とするんだ、こういう工合総理が言っておられる以上、自治庁としても地公労法の五条の三項はどうするのか、あるいは地方公務員法の五十二条に対して、今まで地方団体に対して指示なり、立法論なり、解釈を明示しておられると思うのです。その解釈とがらっと変わってしまうと思うんです。ですから、そういう点に対してもやはりこの際明らかにしておかれる方がいいのじゃないかと思いますが、どうですか。
  12. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ILO条約批准いたしました際に、一般国家公務員なり地方公務員にどのような影響を与えてくるかということにつきましては、私たちの万といたしましても、事務的にもいろいろ検討をいたしておるのであります。今お話の出ましたILO条約というものを批准いたしました際に、当然一般国家公務員なり地方公務員にも影響ありというふうにいたしまする場合におきましては、いわゆる労使団体の相互不介入の原則から申しまして、職員にあらざる者が職員団体構成員あるいは役員になれないというふうにいたしております現行法建前あるいは現行法運用建前につきましては、当然変改を来たさざるを得ないのではないかということにも相なるわけであります。その点、ILO批准いたしますれば絶対にそういう建前にならざるを得ないものであるかどうか、ならざるを得ないとすれば、そういう点についてもはっきりとした解釈の確立なり、あるいは解釈だけではいけない面があると思いますので、そういたしますれば条文自体改正も行なわざるを得なくなると思うのでありまして、それらの点をあわせまして目下各方面から検討いたしておるという段階でございます。
  13. 佐野憲治

    佐野委員 特に五十二条につきまして、労働省諮問小委員会ですか、これが五十二条を改正してもいいじゃないかということを言っておるわけですが、これに対して今の局長さんのお話では、やはり変えなくちゃならない、こういう意味なんですか。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 条約一般公務員にも適用があるということに想なりまするならば、あるいは条約精神からして適当ではないということに相なりまするならば、私たちといたしましては、あの条文自体解釈をただ改めるということだけではいけないのでありまして、やはり法律改正を要するという立場に立っておるのでございます。
  15. 佐野憲治

    佐野委員 政府解釈は今まで間違っておったのじゃないか、改正しなくてもいいのじゃないか。当然労働基本権立場に立って、憲法二十八条の立場に立って考えてみるならば、五十二条については、職員外の者も加わることができるのだ、役員になることができるのだ、こういう解釈をするのが正しいのじゃないか。それをあなたたちがわざと狭めて労働基本権を剥奪するような考え方を支持しておったところに根本的な間違いがあるのじゃないですか。国際慣行なり労働法規なりあるいは憲法精神から見ても、五十二条の精神は当然そういう意味において解釈さるべきではなかったか。それを当時の政府の当面せる労働政策というような考え方から五十二条を解釈しておられたのじゃないか、こういう工合考えるのですが、どうですか。
  16. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 解釈が誤っておったとはわれわれ考えておりません。これは公務の特殊性から、公務員については一般労働者とは違った特異性があるという前提に立ちまして、国家公務員法自体におきましてもそういう運用方針できております。その前提に立って地方公務員法ができましたいきさつ等から考えまして、当時からもとってきておりまする解釈なり運用方針が間違っておるものとはわれわれもちろん考えておりません。ただ、条約批准する、また批准せざるを得ないという前提に立って考えます場合におきましては、従来のそういうやり方自体について改正を要する面があるならば、それは単なる解釈ということじゃなくて、法律自体にも手をつけてこれを改正するという段取りにいくのが正しい態度であると考えておるのであります。
  17. 佐野憲治

    佐野委員 ではどういう改正をしようとしておられるのか、もうすでに四月には批准をするのだという工合総理大臣は合っておるのですから、自治庁としてはそれに基づくいろいろな成案ができておるのじゃないかと思うのです。それからもう一つは、労働法学者たち見解では、変えなくてもいいじゃないかということが提起されておると思うのです。これらの点についても、あとからでもいいですけれども、見解なり、成案を得ているものがあったら一つ出してもらいたいと思います。  それと関連して考えなくちゃならないのはILO条約の百五号ですが、一九五七年に総会において採択になって、五八年一月からこれが効力を発しておる。それで、わが国においても百五号は批准しなくちゃならないのじゃないかということも考えるのですけれども、これには、善意なるストライキに対して処罰してはならないという抑制労働に対する禁止の規定が、五つかある中の一つにあると思います。そこで公務員におけるストライキに対して、これを抑制するあるいは団体罰を課するということが、一部労働者においても論議されておるように聞いておりますけれども、そういうふうになって参りますと、またまたこのILO条約百五号批准をめぐって問題が出てくるのじゃないか、かようにも考えますので、これらの点に対してどのように考えて現在作業を進めておられるか、お伺いしておきたい。
  18. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 目下の問題になっておりますのは、ILOの八十七号のいわゆる団結権団体交渉権の問題に関連してでございまして、百五号のことは目下のところ当面の問題になっておりません。先刻大臣からも御説明がございましたように、ILO条約批准するということになりました場合に、国内法規のどのような点について改正を要するかという点につきましては、もちろんわれわれといたしましても寄り寄り検討はいたしておりますが、それらの点について各省間についてなお意見を調整いたしておる段階でございまして、まだ結論が出ておらない段階でございまするので、私の方から、今の事情のもとにおきまして、こういう点、こういう点について検討を加え、こういう意見を持っておるということにつきましては、この席上で見解を述べますることはもうしばらく差し控えさせていただきたいと思います。
  19. 加賀田進

    加賀田委員 関連。ちょっと大臣にお尋ねしますが、委員会ではどうももやもやとはっきりした答弁をしないのですが、きのうの新聞記者会談では、相当明快な自治庁長官としての見解を述べられておるのですが、いわゆるILO八十七号の批准に伴って地公法の改正とか、いろいろ問題になっている団結権の自由に基づく労働組合専従役員取り扱いについて、現行法と同じような趣旨で、従来大して支障がないのだからその通りやりたい。いわゆる専従制限をしない、あるいは専従の期間は休職という取り扱いになっているのだから、支障がない、だからその通りでわれわれとしてはいきたいというような意思表示がはっきりとされているのですが、その二点について、長官として新聞で明確に発表しているものを当委員会で発表できないことはないと思う。だから長官として、まだ内閣自体としては最終的な結論が得ていなくとも、長官意思は発表されているのですから、当委員会で発表していただいても差しつかえないのじゃないかと思います。この二点に対して昨日明確に腹がきまっているのですから、本日も同じことだと思いますので、一つ御発表願いたい。
  20. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほど来、私並びに行政局長からお答え申し上げておりますように、まだ関係各省庁、人事院法制局等といろいろ意見調整交換中でありまして、成案を得ていないのでありまするが、ただ記者会見等におきましては、いろいろ記者の方から、この問題はどうかとかこうかとか質問がありまするので、御案内のように専従全廃論も一部にあるわけですし、これについてどう思うかというような場合に、自治庁としては全廃論ににわかにまだ賛成しておるわけでもない、しかし専従というものを今後ILO条約批准するというようなことになれば、そう特別に優遇して、今あるようないろいろの措置をとる必要もないのじゃないか、まあこういうようなことをいろいろ話し合ったのが、朝日新聞であったかと思いまするが、ああいう形に表現されておったわけでございます。自治庁としてまだ成案を得ておる段階でありませんので、公式の国会のこの委員会において責任者から意見として言うことはお許しを願いたいと思います。
  21. 佐野憲治

    佐野委員 この問題は打ち切りたいと思いますが、最後大臣に、岸総理が言われるように、四月に国会提案する準備ができておるかどうか、このを点を一つ。それからもう一つやはり考えていただきたいと思いますのは、行政局長の回答を通じて考えたのですけれども、ILO条約の八十七号の批准の問題を通じて考えますのは、日本昭和八年に国際連盟労働機構から脱退いたしまして、昭和二十六年に復活を許されたわけですけれども、この復活を許されたときにおける国際労働機用における論議を見て参りますと、やはり日本暗黒政治をやっておる、労働権を剥奪しておる、こういう過去の苦い経験から見て、やはり日本を仲間に入れるかどうか、こういう点が真剣に論議されて、審査委員会が設けられておる。日本政府代表者は、日本は今民主主義国家になっておる、憲法二十一条に結社並びに表現の自由が保障されておる、二十八条において団結権団体交渉権が保障されておる、だから決して日本国際慣行に反するような労働政策をとるものではないのだ、こういうことを誓約いたして、許されたことになっておるわけですが、記録を読んでみますと、非常に真剣に日本のいろいろな点が指摘されておったと思います。ところが昭和二十六年に復活を許されましても、しかしこの八十七号というのは日本が脱退しておるときに採択になっておる条約です。ですから当然昭和二十六年、今昭和三十五年ですから十年間近くもたなざらしになっておる。こういうこと自体がおかしいのじゃないか、どちらが間違っておるのだろうか。こう考えて参りますと、日本労働政策が国際的な労働政策と相反している、逆の方向へ進んでいる、だからこれを批准することができ得なかったんだ、国内法規も変えなければならない。こういうことで十年間の年月を要したことを考えてみますと、局長は、一九五七年に採択されたILO条約の百五号の強制労働の廃止に関する条約を念頭に置いていないと言う。しかし世界は、翌五八年からもうすでに批准している国も見られているときに、日本もやはりその線に沿って百五号の批准というものを当然考えられなければならぬのではないか、それこそが正しい労働政策のあり方じゃないか。こういうふうに考えますときに、今の国内法規整備をするということは、当然百五号の条約を、批准するんだ、そのときには一体どういう感度で処置しなければならぬか、そういう意味で現在の法規を見ますと、国際的な流れに対して、日本は十年眠っている間にとんでもない逆の方向へ行っている。世界は新しい進歩の方向をたどっている。こういうところに大きなずれができてしまっておると思うのです。それだけに今度の場合においても、そういう点を吟味して国内法整備に時間をかけておられるなら非常にいいのですけれども、そうではないのではないか。こういう心配もいたしますので、長官に対しましても、そういう点に対しては十分配慮して八十七号批准に伴う国内法整備に当たっていただきたい、かように要望するわけですが、これに対する長官考え方を聞かしていただきたいと思います。
  22. 石原幹市郎

    石原国務大臣 四月までに準備できるかどうかという御質問でございましたが、率直に申し上げまして、ILO条約の八十七号批准の効果が公務員に及ぶのかどうかということの考え方、研究は今まで比較的不十分といいますか、あまりよく徹底していなかったのではないかと思うのであります。昨年の閣議の決定の際も、そういうものについての深い検討がなかったのではないかと思うのでありますが、しかしいろいろ論議の末、やはり公務員にも適用ありということになれば、国家公務員法地方公務員法をどうするかということで、非常に論議もかわされ、関係各省庁あるいは機関意見調整が行われているわけであります。しかし閣議でもだんだん意見最終調整が行なわれつつありますので、方針がはっきり確立いたしましたならば、これはある程度今後の準備は進むのではないかと思います。しかし、これも党なりいろいろな方面意見調整もありますので、ある程度の時間はかかると思いまするけれども、一たび方針が決定いたしましたならば、それに向かってわれわれも努力しなければらないと考えておる次第であります。
  23. 安井吉典

    安井委員 関連して。ちょっと一点だけ伺いたいわけですが、今の八十七号条約批准関連いたしましての法令がいろいろ問題になるわけですけれども、自治庁担当はどの部分ですか。地方公務員法だけですか。
  24. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 地方公務員法だけです。
  25. 安井吉典

    安井委員 それじゃ、公共企業体のやつは労働省ですね。――そうですか。それにいたしましても、地方公務員、つまり地方公共団体関係のあります職員に、ずいぶんこれは関係のある問題でございますので、自治庁としても、政府全体の考え方をおまとめになるその際に、地方公共団体の実情を最もよく知っている自治庁としては、こうなければいけないという態度を、これはもうすでにお持ちになっていなければならない、そういうことではないかと思います。そこで今この質疑は一応打ち切られて、またいずれあらためて取り上げられる場合があると思いますので、私もただ一点だけ、特に念のためにお聞きいたしたいわけでありますが、二月十九日に、自民党の労働問題特別調査会齋藤委員会ですか、ここにおいて、今のこの問題についての見解を発表されているようでありますが、この問題の処理に当たりまして、自治庁が、あの考え方についてどういうふうにお考えになっておられるか、その点を一つ伺いたいと思います。
  26. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 齋藤委員会の御提案というものは承知いたしております。承知をいたしておりますが、これに対する見解を申し上げること自体が、これは自治庁のやはり公式見解ということに相なるわけでございますので、その点は先刻大臣が申し上げましたように、もうしばらく御猶予願いたいと思います。
  27. 安井吉典

    安井委員 それでは、この点もちろん十分に御理解をいただいていることだと思うのですが、ILOそのものは、国際的な労働問題の処理機関として、政府労働者使用者との三者の協力機関というふうな形で生まれている、そういう性格があるわけです。ですから、それが批准されることによって日本国内法規にまで影響がある。こういう段階においては、当然日本国内においても、使用者労働者とそして政府、そういうもののじっくりとした話し合いの中から結論というものが出てこなければいけないものではないか、私はそう思うわけです。ところが一方におきまして、このILO批准の機会に、国家公務員地方公務員あるいはそれぞれの公共企業体に働いている人たち労働条件をさらに改悪しようという方向まで織り込まれるというふうなことでは、これはもうILO精神そのものに違反するようなことになるのではないか、そういうふうに思うわけです。そういうことであっては、これはいけないわけでありますが、その点について、政府はどのような御理解を持っておられるか。この点は一つ大臣から最後にお答えを願いたいと思います。
  28. 石原幹市郎

    石原国務大臣 改悪する考えは毛頭持っておりません。
  29. 加藤精三

    加藤(精)委員 関連。ちょっと政府にお尋ねしたいのでありますが、最近における自治労の大きい動き等は、教員組会合よりももっと心配だと思っているのでございますが、大体世界各国法制で、公務員職員組合に在職中の者が入って、そうして専従をやっているなんという、こんな制度世界じゅうのどこの国にもないものじゃないかと思うのですが、それがあるかないか、ちょっと一つ、わかったら教えていただきたいと思います。
  30. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 在籍専従制度と申しますのは、これは結局公務員団体というものについて非職員が入れないという建前をとりましたことの一つの結果といたしまして、組合活動を、別の意味においてはやはり円滑にこれをやっていくようにしなければならないという配慮から、職員の身分を持ちながら、給与関係――給与その他はむろん支給いたしませんけれども、身分は持ちながら組合活動ができるという道を開きましたのが、在籍専従制度の起源であろうというふうに思っておるのであります。その点につきましては、日本一つ特殊性ともいうものでございまして、私自身もそう諸外国の例に詳しいわけではございませんですが、こういう建前をとっておることは、世界にも非常に少ないということは事実でございます。
  31. 加藤精三

    加藤(精)委員 今の御答弁、僕はちょっと間違えているのじゃないかと思うのです。給与を全然与えていないといいましても、資格継続のための存目の給与をやっているのじゃないですか。それからそのほかに恩給上の特権は進行しているのじゃないかと思います。そういう関係から、給与は与えていると私は思うのです。それがどうもおかしいと思うのです。  それから公務員というものは、もう生活全体をささげて国民へのサービスをする仕事なんです。組合にサービスするものが公務員じゃないと思うのです。大体憲法の勤労者というのは、そういう公務員を含んでいないと私は考えるのですがね。それで、非常にどうも私は行政の責任を混淆していると思うのです。私は、新しい民主主義は、憲法の定むるところによって、部分には仕えず全体に仕えるという公務員があって初めて成立するものだ。これはもう非常におかしな制度だ。世界に非常に少ないというお話でありますけれども、非常に少なくも、また世界に存在しないのじゃないかと思うのですがね。その点非常に少なくは存在しているのですかどうですか、そこの方を一つ……。
  32. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 現在の専従制度のもとにおきましては、いわゆる給与というものは支給をいたしておりません。今のお話しになりました恩給等の通算におきましては、公務員の身分を持っておるという関係から、その点は通算措置は現在では講じられております。それを給与をやっておるというふうにごらんになれば、そういう見方も成り立ち得るのではないか、こういうふうに申し上げている次第であります。  それから在籍専従制度というものが諸外国に少ないと私申し上げましたのは、諸外国全部にわたって私は制度を全部知っているわけじゃございませんので、その点確信がないものでございますから、そういう申し上げ方をしたわけでございまして、非常に例は少ない、異例な制度であるということだけは申し上げられると思います。
  33. 加藤精三

    加藤(精)委員 非常に少ないというのと皆無というのは非常に違いますがね。私は、こんなばかげたことをやっているおろかな国はないと思う。それで私は皆無と信じておりますが、なお御調査の上御回答を願いたいと思います。  それから、申し上げるとあれですが……(「進行」と呼ぶ者あり)まあやめます。
  34. 佐野憲治

    佐野委員 地方財政の問題ですけれども、先ごろ米同僚議員よりいろいろな点から質疑が行なわれておりますし、また後ほど川村委員から総括質問として大臣にいろいろお聞きする、こういうことになっておりますので、私努めて簡潔に二、三の問題に対してただしたいと思いますけれども、その一つは、ずっと地方財政計画とその年度における決算をここ五、六年ばかり見て参りますと、非常に食い違いが起こっているわけです。たとえば昭和三十二年度の決算を見て参りますと、歳入において二千四十六億円、歳出において一千七百八十五億円、三十三年度は、歳入において一千九百五十六億円、歳出において二千百二億円、こういう工合計画と決算とが大きく違う。もちろん、財政計画は基準でありますから、基準を上回っておるとか、いろいろ問題はあると思います。ですから、計画と決算が狂うことはやむを得ないとしても、これほど大きく狂って参ると――ここ五、六カ年間は一千億円を下るということはない。一千億円以上は狂っておるという原因なり、その理由は一体どこにあるかということを、まずお聞かせ願いたいと思います。
  35. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 地方財政計画を策定する目的なり、あるいはまたその策定の仕方なりからいたしまして、決算との間に相当な食い違いが生じて参っておるわけであります。たとえて申し上げますと、地方財政画では、標準税率による地方税の収入見込みを基礎にいたして参ります。決算では、相当増税等も行なっておりますので、収入はふえて参ります。もう一つは、年度の中途で自然増減が生じて参りますので、その部分についての食い違いも起こって参るわけでございます。なおまた一般的な事業費で申し上げますと、たとえば電力会社が発電工事をやる場合、現地への道路を作らなければならない。そういう事業を府県に相当多額に委託するわけでございます。こういうような、地方団体が本来自己の責任において行なうべき事業ではない、委託にかかりますものは、地方財政計画上は取り上げていないわけであります。そういうものが相当な金額に上っておりますので、委託関係の収入、それに伴う支出というようなものも、かなり大きく食い違いが出て参るわけでございます。そういうような問題をいろいろ引き出しまして比較してみますと、決算と財政計画との間にそう大きな隔たりはない、こう私たち考えておるわけでございます。従いまして、決算を発表いたしますときには、地方財政計画との間にどういう食い違いがあり、その食い違いの原因はどういうものであるかというようなことも、同時に明らかにするようにして参っておるわけであります。近くまた三十三年度の決算と地方財政計画との間の数字上の食い違いの問題点も明らかにいたしたい、かように考えておるわけでございまして、将来地方財政を健全に持っていきますために、地方財政計画をせっかく作っておるわけでございますから、ただ意味もなく決算と非常に離れている、これでは財政計画を作る目的が達成されないのでありますから、そういう点につきましては、将来とも十分留意して参りたい、かように考えておるわけであります。
  36. 佐野憲治

    佐野委員 いろいろな原因もわかるわけですけれども、これほど大きな食い違いをやりますと、一体交付税法の第七条に「国会に提出するとともに、一般に公表しなければならない。」、こういうことを規定しておる意味は、ほとんど失われるのではないか。第七条にそういうことを規定しておるのは、やはり国が財政に対する最終的な責任をとるということが一つのなんでしょう。あるいは地方公共団体が、やはり年間の財政に対して計画的な運用をはかるために、また一般の国民も、どういう事務内容になって、どういう形になっているかということを知る資料として公表されるのだろうと思います。しかし、これほど食い違っておりますと、ほとんど参考にならぬじゃないか。地方団体は、予算編成その他に対しましても、この地方財政計画を参考にして組むということは、もはや意味がないじゃないか。地方議会における議員諸君も、予算議会においていろいろ当初予算を審議するにしても、せっかく政府国会に提出して一般に公表しておる資料そのものが、一体何のためにあるのかさえわからず、関心が薄くなってきているような現状じゃないか。かようにも考えるわけですが、その点から、そういう大きな食い違いがあるとするなら、途中で修正してこれを発表するようにしたらどうか。国会に最初財政計画を発表されて、途中においてそういう変更があるとするなら、それをまた国会に修正して――修正というのはおかしいけれども、何かそういう計画表を提出されなければ意味がないじゃないか、このようにも考えるのですが、どうですか。
  37. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 お話しのように、地方財政計画が現実と遊離したままで原因がわからないということでは、地方財政計画を策定するための目的が達成されなくなってしまうと思います。しかし、先ほども申し上げましたように、常に決算と地方財政計画との間で食い違って参ります者事情を明らかにしてきておるつもりでございます。また食い違いで是正すべきものにつきましては、是正に努めておるつもりでございまして、たとえば三十五年度の地方財政計画におきましては、三十三年七月一日現在で行なわれました給与実態調査の結果に基づきまして、地方財政計画上の職員の員数でありますとか、あるいは本俸額でありますとか、そういうものを是正いたしまして、約百億円程度の財源を新たに求めるというようなこともいたしたわけでございます。三十三年度の決算につきましても、近くその内容を明らかにしたいと思いますが、食い違いが明らかである限りにおきましては、地方財政計画で、将来の地方財政運営が円滑になりますように、これが基礎になって地方交付税の配分もきまって参るわけでございますし、他の地方財政関係の諸制度もきまってくる、こういうことになるわけでございますので、やはり現在において相当な意義を持っているものだ、かように考えておるわけでございます。しかし、お説につきましては、将来ともそういう懸念の起こりませんように、一そうの努力を払って参りたい、かように考えております。
  38. 佐野憲治

    佐野委員 ですから、決算を通じて明らかにすることはわかります。それは特殊な専門家なり、あるいはまた過去を振り返って、なるほどそうだったのかということはわかるのですけれども、現在国会に提出して一般に公表されるのは、地方団体に対する国庫補助あるいはまた交付税がどうか、どういう工合計画的な運営がなされるか、全国的な基準に照してうちはどうすべきか、少なくともこういう参考のために出される面が非常に多いのじゃないか。と同時に、国は地方財政に対して責任を持っているのだから、こういう意思表示を明確にしているのだと思います。ですから、そう狂ってきたことも、決算から見ればはっきり原因のあることがわかる。それは原因のないところに数字は出てこないのだから、はっきりしてくるでしょうけれども、年度途中において、計画的な財政運営のために、やはり修正なり何なりされて発表される方が、具体的でわかりやすいじゃないかという点が一つ。  もう一つは、計画と決算が狂うということの中に、今言われたような原因もあるでしょうけれども、もっと根本的に忘れられている問題があるのじゃないか、かように考えるわけです。というのは、いつも思いますことは国庫の予算編成です。この予算編成のときのことを見ておると、加賀田委員もその点をいろいろ質問しておられましたけれども、国庫の予算を作ると同時に地方財政計画を作るという中から問題点をどう解決していくかといういき方でなくて、常に個々の問題が先に出て参る。その問題を解決してから地方財政計画の見積りというものを単に示すという、逆のいき方をやっているのじゃないか。大体国車の予算を編成すると同時に地方財政計画を作って、地方の行政水準はどうあるべきか、どういうものが必要かという中から、一体不足分はどうするか、あるいは余裕財源があるならどうするかという問題が真剣に対策としてとられなくちゃならないのに、常に個々の問題が先行してしまう。そしていわゆる住民税の課税問題がどうなるとかなんとか、こういうことで議論をしている。それで自治庁が政治力があったとかなかったとか、大蔵省が政治力があったとかなかったとかいうことが問題になって、非常に人心を暗くする。しかし、ほんとうの自治体の実態はこうなんだ、こういう形において計画を積み上げていく中から問題点を解決していくとなれば、これほど大きな食い違いは出てこなくて、見通しも出てくるのじゃないか、かように考えますので、私この点前回の通常国会でも申しておったわけですが、どうですか。国という一つの民族共同体、その中に国家財政と地方庁の財政とがある。これをやはり統合していくという予算編成、こういう態度に欠けておるのじゃないですか。従って個々の問題が先行して、地方財政計画があとから単なる見積もりだ、こういう形で計画が作成されてくる。そういう過程が、決算と計画との間の狂いを生じさす大きな原因だというように考えるのですけれども、どうですか。
  39. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 一つの問題は、年度の中途に財政計画を修正することの可否の問題でございます。できましたならば時々地方財政計画を修正していった方が、個々の地方団体が財政運営の一つの指針にしていきます場合には好都合だろうと思います。ただ、しかしながら実際問題として、それを修正いたしましても、その結果地方交付税の配分方式を変えるというわけにも参りませんので、そういう点から考えますと、はたしてどれだけの意義を持てるだろうかということにもなってきかねない、かように考えるわけでございます。  たとえば三十三年産の決算と地方財政計画とのズレの若干の点を指摘いたしますと、地方税の旭過課税あるいは準拠税率超過課税、こういうものが三十三年度の決算では百八十五億円程度あるようでございます。二百億円近いものが、そういうものとして当初からズレを予想して地方財政計画を作っておるわけでございます。これはやはり標準的な課税によって標準的な行政水準を維持できるという建前でございますので、地方財政計画上は、決算のズレがわかっておりましても、今のような建前でよろしいのじゃないかと思うのであります。もう一つは、収入の面では、国の補正予算によりまして約百億円程度ふえております。補正予算が組まれましたときに、地方財政計画を直すことがいいか悪いかという問題が、この点ではございます。歳出になりますと、もっと大きな問題になって参ります。それから同時に、地方債も補正予算に伴いまして追加いたしております。それからもう一つは、いわゆるワク外起債の問題でございます。縁故資金がありますとか、あるいはまた電力の増資が問題になった場合に、ワク外で応募するための資金手当をいたしておるわけでございます。そういうようなワク外起債の問題などもございまして、約二百数十億円の食い違いがございます。これはやはり当初から予想されておる食い違いでございます。従いまして電力の出資金というようなものは、地方財政計画の歳出には立てていないわけでございます。その次の食い違いの大きなものは、現在は銀行への預託金につきまして、中小企業への貸し出しに充ててもらいたいとかというような、多少ひもつき的な姿になって運用されておるわけでございます。こういうものにつきましては、やはり予算に貸付金として計上するような指道守をこの数年来行なってきて参っておるわけでございます。その結果、貸付金を歳出に立てまして、その貸付金の回収金が歳入に入ってくるわけでございまして、これだけでも三十三年度の決算で約三百十億円あるわけでございます。こういうような、今申し上げました貸付金回収の問題でございますとか、あるいは寄付金の関係のものでありますとかというようなものを合わせますだけで、五百十数億円に上っておるわけでございます。こういうような事情がございまして、地方財政計画からはずしていった方がよろしいものと、入れていった方がよろしいものと、こういうような振り分けの問題につきまして、今後研究しなければならないかと思っております。  その次の問題は、地方財政計画を作ったりあるいは国の予算を作ったりすることについての現在のあり方について是正を要する点があるじゃないかという御指摘でございます。これは率直に申し上げまして、私たちも同じような考え方を持っておるわけでございます。国の予算を作りますときに、まず第一に個々の事業については、国と地方がどういうような負担割合で進んでいくかということをまずきめてから事業費がきめられるべきだ。たとえば治山治水の五カ年計画を作るならば、その治山治水の事業につきまして、負担割合を今まで通りにいくかあるいは改めるか、そういうことがまず前提になってから事業分量がきめられるべきだ、こういう考え方。これは一例でございますが、全体について私たちはそうあってほしいという希望を持っております。あるいはまた税制に対しまして、減税を国税でどうする、地方税でどうする、そういうような国、地方を通じまする基本的な問題をまずきめてから、予算編成にかかるべきだ、これは年来私たちの希望として持っておる点でございます。   その次に、地方団体全体について個々に財源不足額を見出してから地方財政計画を作るべきではなかろうか、個々の事業費の問題が先行しておるのじゃないか、こういう御指摘でございます。これは私はやはり両方の考え方があろうかと思うのでございます。昭和二十五年度にシャウプ勧告を受けましてとりました地方財政平衡交付金制度では、個々の団体ごとに財源不足額をまず計算して、それを積み上げて地方財政平衡交付金の総額としてこれを国の予算に盛る。その結果、国の予算に盛られる地方財政平衡交付金の総額が十分であるか十分でないかということについて激しい論争が繰り返されておったわけでございます。その後に、昭和二十九年度から現在の地方交付税制度がとられたわけでございます。一応所得税、法人税、酒税の何%が地方交付税だということをきめております。きめるにあたっては、各地方団体の財源不足額を積み上げた額がそれになるのだという建前であります。しかしその後になって、将来引き続いてこの地方交付税の総額というものが、各地方団体ごとの財源不足額を積み上げた総額を著しく上回わるあるいはそれに著しく不足する、そういう場合にはこの率を改正するなりあるいは地方行財政の制度改正するなり、何らかの改正をするということ、こういう建前を地方交付税においてとったわけでございます。従いまして、個々の事業費からいろいろ議論をしているじゃないかというふうに御指摘になるわけでございますが、その場合には、一応地方交付税の総額は、この程度であれば国と地方団体との間の財源調整はよろしいのだ、そう大きな変更は加える必要はないのだというような、荒らい見通しの上に立って個々の事業についての議論が行なわれているのだ、こう私たち考えておるわけでございます。そういう方式をとるか、あるいは積み上げ計算をして地方交付税の総額を押えるか、これは両論あろうかと思います。しかし現在の日本の財政状況から考えますならば、今の建前でよろしいのじゃないだろうかというふうに私たちは思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、非常に重要な問題でございまして、将来とも検討を続けるべき性格の問題である、かように考えているわけでございます。
  40. 佐野憲治

    佐野委員 今いろいろお聞きしたのですけれども、やはりどうしても私どもが納付できないのは、やはり交付税法の第二条の第七に地方団体が事実上負担すべき経費としての単位費用ですか、あの中に合理的かつ妥当な水準ということが基準となって書いてあるわけでございますけれども、こういう意味からいって、この各省が出しておる、たとえば文部省が出しておる公立学校の施設の現状あるいはまた建設省の道路の現状、橋梁の現状、あるいは環境衛生の現況、消防施設の現況、それぞれの省が出しておりますね、こういうのを見て参りますと、これは合理的かつ妥当な水準ということを考えますとき、それぞれの年度を通じて調査して発表しておられるのですけれども、一体三十五年度の財政計画に基づいて進められた結果、どの程度まで行政水準が上がるか、こういうことなんか、やはり財政計画を作成になるときに考慮して作っておられるのですか、どうですか。
  41. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御指摘になりましたように、国が道路整備五カ年計画とか、あるいはすし詰め教室解消五カ年計画でありますとかというようなものを作っておるわけでございます。国の予算を作成いたしますときに、もうそのことが当然基礎として取り入れられておるわけでございます。地方財政計画におきましても、当然そのことが基礎になって入っておるわけでございます。同町にまた基準財政需要額を計算いたします場合にも、そういうことを頭に置いて計算をいたしておるわけでございます。ただ、すし詰め教空解消五カ年画を例にとって申し上げますと、地方財政計画には当然それを基礎にして全額算入されております。ただ基準財政需要額を計算します場合には、全市町村が一挙に学校を建築するわけではございませんで、早く建設されたものもございますし、これから建設していかなければならぬものもございます。一応生徒数に応じましてどの程度の坪数の校舎を必要とするかということが計算されるわけでございますので、その経費を基礎にして償却費相当額を基準財政需要額に算入するという建前をとっておるわけでございます。従いまして、さしあたって老朽校舎が多い、従って急に校舎をたくさん建てなければならない、そういうものを短期間に全部基準財政需要額に見てしまうという建前はとっておらないわけでございます。老朽で更新しなければならない建物も平均的に繰り返されていくという建前で基準財政需要額を計算いたします。ただ短期間に老朽校舎を百更新しなければならないというようなものにつきましては、当分の問題方債を増額して、それで建築の更新をさせよう、こういう建前をとるわけでございます。従いまして地方債の面におきましては、昨年米義務教育に充てられます地方債を思い切って増額をいたして参っておるような次第でございます。
  42. 佐野憲治

    佐野委員 たとえば財政計画を見て参りますと、教材費というのは去年とことしと同じになっておりますが、たしか文部省が去年の夏発表した教材費は、小学生一人当たり四千百二十一円、中学生は三千二百五十円、こういう工合に発表しておる。しかしながら、財政画に基づいて実際にいくのは小学校は二百三十円、中学校は三百五十円程度にしか渡らない。もちろんこれらに対するところの税外負担として九十億円は見ておりますけれども、実際問題として最も父兄に直接負担がかかってくる。しかもそれは義務教育として当然まかなわなくちゃならないものに対して父兄に負担をかけておる。こういうものが明らかに出てきておるのにかかわらず、昨年度と今年度を同一にしていくというのは、実際の財政計画の作成にあたって、そういう点が配慮されずして、あとから単なる見積もりとして示されるところに原因があるのじゃないか。これは単なる一つの例ですからいいですけれども、そこで今局長さんのお話を聞きながら感じたのですけれども、平衡交付金が交付税に変わったには変わった理由があるでしょう。しかし私は根本的に、精神的にそう変わっていないと思うのです。それで交付金の場合は運用によってある程度やっていける、交付税の場合におきましては、やはり制度改正を伴うということが帆走されておるわけです。地方交付税法の第六条の三の二項ですか、苦しく異なることとなった場合においては、地方財政制度改正あるいは交付税率の引き上げを行なうものとする、こういう工合に規定されておるのですから、やはり平衡交付金と同じ精神を持ってやっていいのじゃないか、こういう工合考えるのですが、これはどうですか。
  43. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 第一間は教材費の問題でございます。率直に申し上げまして、地方交付税法上の小学校費や中学校費の単位費用を引き上げるにあたりまして、教材費を引き上げることのいかんを内部で検討したわけでございます。しかしながら国の法律におきましては、教材費については国が二分の一を負担するという建前になっております。その二分の一の額が国の予算に計上されておるわけでございます。それと額を単位費用の中に計上いたしておるわけでございます。そうしますと、文部省もそれについては責任を持っておられるわけでございますので、その額を基礎として単位費用を計上しておくのがやはり筋道じゃないだろうか。ただ国の予算と離れまして、それ以上を単位費用に計上するということは若干食い違いが出てくるのじゃないか、こういうふうなことから二分の一国庫負担の教材費がそのまま据え置かれましたので、単位費用の改訂もいたさないという方針をとったわけであります。しかし今もお話しになりましたように、税外負担九十億円を解消したいという考え方を持っておるわけであります。その中には教材関係のものもあろうかと思うのであります。そこで小学校費や中学校費につきまして、燃料費でありますとか、印刷製本門でありますとか、光熱水門でありますとか、あるいはまた校舎の維持補修費でありますとか、そういうふうなものにつきまして単位費用の基礎になっております金額を引き上げて、そうして単位費用を引き上げるという案を作っておるわけでございます。近く提案をいたします地方交付税法の改正案におきましては、そういう内容を引き上げるという意味で単位費用の増額を行なっておるわけでございます。  それから地方交付税法と従前ありました地方財政平衡交付金法との建前の問題でございます。これは私はこう考えておるのであります。地方財政平衡交付金制度のもとにおいては、単年度ごとの均衡化を考え建前に立っておった。地方交付税法の建前では、長期的に財源の均衡化を考え、国と地方との間の財源調整も考えていく、こういう建前になっておろうかと思うのであります。従いまして御指摘になりましたように、ある程度長期的な見通しのもとに地方財政の問題を考えていきますならば、大体これでいけるという場合には、個々の事業ごとに問題の解決に当たってもそう大きな不都合はないじゃないか、かように存じておるわけでございます。おっしゃいますように基本的には食い違いはございません。しかし単年度ごとの均衡化を考えるか、長期的な均衡化を考えるかによって、そこに態度としては相当な食い違いが出てきてもよろしいのじゃないか、こう思っておるわけでございます。
  44. 佐野憲治

    佐野委員 財政画の問題にもっと触れたいと思うのでけれども、川村さんの御質問関係もありますので、大体この程々にして、次は住民税の課税方式の統一の問題です。これは今度見送りになっておると思うのですけれども、これに対してたしか臨時税制調査委員懇談会意見要録というのが政府に答申されておりますが、これによりましても、第一次方式でやるか、第二次方式でやるか、いろいろ意見があった。しかしながら、住民負担の現状にかんがみて早急に結論を出さなければならぬ。住民税の改正が行なわれるので、三十四年度を見て五年度から実施すべきである。こういう工合に答申になっておると思います。それで政府の部内に税制調査会が設けられて、先般の安井委員質問に対する答弁によりますれば三つの部会に分けられておる。おそらくこの問題は税源配分部会じゃないかと思いますけれども、この部会において一体何回この問題が取り上げられ、論議されて、しかも今回見送りになったのか、こういう点がわかっていたらお知らせいただきたいと思います。
  45. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 税制調査会では三十四年、五年、六年の三カ年にわたって十分な検討を加えて結論を出す、こういうことになっておるわけでございまして、三十五年度から実施を建前にしておったのがつぶれたというようなわけではなかろう、かように考えておるわけでございます。もちろん意見としてはそういう意見の方々も相当あったわけでございます。この問題についていろいろ議論をしているようでありますが、ずばりこの問題に立ち入って深刻な議論に入っているという段階にはまだきていないようでございます。
  46. 佐野憲治

    佐野委員 それはおかしいと思うのですがね。地方制度調査会からも出ておると思うのです。それから税制調査会からも出ておる。そういう中におけるものはゆるがせにできないのだ。これほど地方住民の負担の不均衡が出ておる。ですから三十五年度から実施さるべきである。これに対して税制調査会はもちろん三年間の任期を持っておりますけれども、この問題は二十五年度から実施するのだという考え方のもとにいろいろな調査なり検討なりなさるべきじゃなかったか。しかし聞くところによりますと、ようやく去年の十一月二十七日に初めておざなりに、こういう問題がありますがという工合に諮問をしておる。十二月にあと一回やった。それきりうっちゃりを食ってしまっておる。一体三十五年度から実施しよう、そういう答申の趣旨を尊重すると――現に地方住民におけるところの不均衡がはなはだしくなってきておる。これは具体的に前回の委員会においても数字をあげたつもりです。これは五人家族で六百円くらいのところと五千円くらいのところと、十倍くらい違っておるところが、市町村合併の結果としてたくさん出ておる。住民負担の不均衡がはなはだしい。これほど地方自治に対する不信はないと思います。ですから、そういう問題に対しゆるがせにできないのだという点は一致しておると思うのです。しかるにかかわらず、政府の方では、そういう問題を答申を受けていながら、四月に調査会が発足して、十一月の二十七日になってようやくこれを諮問しておる。こういう態度は一体どこから出てくるのですか。
  47. 後藤田正晴

    ○後藤田政府委員 住民税の保税の方式が、現在御承知の通り五つあることによりまして住民負担の不均衡があることは事実でございます。従いまして、住民税の保税方式について統一をしたらどうかというような御意見が地方制度調査会においてもあり、臨時税制懇談会においてあったことも事実でございます。ただこの課税方式を合理化するという問題が、現在統一しろというお話になっておるわけでございますけれども、もともとこの課税方式の統一の問題は、それぞれの市町村の間の経済の格差によるやむを得ざる一つのやり方としてあるものだ、私はこういうように考えておるのでございます。そこで単に統一をいたしましても、財政力の格差による何らかの救済措置考えざる限り、地方税の特色として、標準の税率をきめましても、それぞれの市町村においてはやむを得ざる措置として、やはり住民負担に市町村間で開きのあるような実際の税率を条例できめざるを得ないというような問題があろうかと思います。そういうような意味合いにおいて、この問題は貧弱な市町村に対して財政力をいかにして付与するかという問題とあわせて考えなければ、実は真の解決にはならない、かように考えておるのでございます。 そこで三十五年度においては、この問題を直ちに解決するという状況にもなりませんでしたので、現在政府に設けられております税制調査会で、この問題をどうするか、財源の問題とあわせていかに合理化していくかというような問題を検討いたしておるのでございます。私どもといたしましても、六体の考え方としては、やはりこの課税方式は合理化すべきであるという考え方を持っておりますが、さてその場合、第二課税方式のただし書きに統一をしたのがいいのか、それとも第一課税方式にしたのがいいのか、あるいは従来と違った別個の課税標準の取り方をしたのがいいのかというような問題について、まだ私ども自身も結論を持っていないという状況でございます。ただこの問題については、税制調査会で本年中にはおよその方針を出すことにいたしておりますので、その結果を見て私どもとしても改善すべきところは改善をしていって、でき得る限り住民負担の均衡化をはかるようにいたしたい、かように考えております。
  48. 佐野憲治

    佐野委員 どうもおかしいと思うのは、四月に発足するその前年の暮れから大きく不均衡の問題が取り上げられて、各地方団体においても紛糾を巻き起こしておるということであるのに、四月に調査会が発足して、十一月の二十七日に至って、明年度予算も編成しようというときに至って、これほどの大きな問題を出してくるというところに誠意がないのじゃないかと思うのです。四月に発足すれば、直ちにこの問題は、不均衡是正のために三十五年度から実施さるべきものである、そういう意味からも早くやるべきものを、何でこんな十一月二十七日にかけたのか。これはでき得ないことはわかっておって一調査会にかけておるのでしょう。あなた方の資料を提出されたのも二十七日ころでしょう。はなはだ熱意がないじゃないか。見送るのが当然だと予期して調査会にかけておるのではないかというふうに誠意を疑いたくなるわけです。  そこで皆さんの出されました資料を見て参りましても、国体では第二をやっているのが町村で八〇%、第一が一四%、人口では逆に第二が四〇%、第一が四八%、こういうことになっているし、また内容を見て参りましても、これはやはり富裕団体が第一、貧弱団体が第二ということは明らかだろうと思う。ですから、これはやはり大胆に第一方式に統一すべきではないか。いわゆる貧弱団体における住民負担を軽減すべきではないか、こう考えているわけです。そのよって起こってくる財源その他における問題は別の角度から解決していけばいいのではないか。そうしなければ――もちろんこれは言われるように産業構造なりあるいは財政状況なりいろいろあるでしょう。あるいは地方自治の本旨にのっとってと、こういう工合に言われるかもしれませんが、貧乏な国の中に五つの方式を示して、これに対する自由選択権があるから地方自治だなんていうこと自体がおかしいのではないか。先般国会図書館の立法考査局から私どもに配られた資料を見て参りますと、現存の地方税と世界のものと比較しながら批判したのですが、どうもおかしいのではないか。日本の地方祝を見ていると、大衆課税と人頭税をもってやられている。国税でさえも現在のところ個人給与が三十三万円、事業所得が二十七万円です。戦前では昭和十年が六十三万円くらいですか、こういうような統計を出しながら――国ですらも現在税金の重さを軽減しようとしている。ところが地方税を見て参ると、その国が負担能力がないとして減税しようとする層から人頭税的にあるいはまた応益税説を採用して、零細な税金をかき集めているのは、どうもおかしい。応益税、地方分任精神というものは、こういうものをごまかすためにわざと強調されているのではないかというふうに疑いたくなる。こういうことを私どもは真剣に考えなければならぬと思うのです。そういう意味からも、一体住民税は第二方式、第一方式のどちらかで統一するしかないと思いますが、これは現在の国民の租税の限界というものを考えてみても、第一方式に統一されるのが当然ではないか。こういうふうに考えられるのと、もう一つは、それに関連するけれども、町村合併の結果として部落協議会というものが非常に多くできてきている。あるいは町内会――これは経費の節減だということで町村合併のいい意味のあることも認めますけれども、その一面に部落協議会なり、町内会なりあるいは自治会なりというものが非常に強化されて参っておりますが、これは何ら行政指導もなされていない。そうして町の下請機関になっている。こういう末端行政組織が一つ生まれて参っている。ここに大きく公費として税金で取るべきものがいろいろな負担として出てきている。そういうものを見て参りますと、ほとんど貧乏人に重くなっている。私も二、三回って見ましたが、寄付金の七、三が、七は世帯主、三は所得割。貧弱な団体には銭がない、ないからこれを部落協議会なりあるいは自治会なりにおろしていく。自治会はまた貧乏人に税金をかぶせていく。こういうやり方が行なわれているわけです。ですからそういう意味から考えて参りましても、いわゆる地方税の持っておるところの人頭税的な、大衆課税的な性格というものは早く払拭されなければいかぬと思うのです。それこそあなたの言われるように、三年後においては税制調査会において税の配分というものをやってもらわなければ困りますが、当面する地方間における不均衡、これは地方自治不信の念をかき立てておると思うのです。そういう意味からも住民税の課税方式の統一というものは急がなければならぬと思いますが、そういう点について非常に遺憾だと思うのです。ですからもう見送ることにしてしまって、十一月の末に調査会にかけておるという態度は非常に遺憾だ。こういう点を指摘するにとどめまして、これらの点に対することは、時間もありませんので、私は所見程度にとどめておきたいと思うのです。  次に第三番目に後進地域の国庫負担金、補助金の引き上げの問題についてお伺いいたしたいと思うのです。実は自治庁長官から本委員会において申されておるのは、いろいろの案があり、いろいろな考え方があって一致を見なかった、しかし予算的には明年度から間に合うので一生懸命にやっておる、何とか成案を得たいのだ、こういう工合に述べておられたと思うのです。ところが予算委員会における質疑を見て参りますと、大蔵大臣はこういうことを言っておられる。後進地域に対する負担金、補助金の引き上げは当然現在地方団体間内において財政調整すべきである、貧弱団体あり、富裕団体あり、ですから富裕団体の分を削って貧弱団体の方に持ってくる。これは方式、やり方によって非常に困難だけれども、これならできるのだ、本国会でできると確信を持っておる。こういう工合に大蔵大臣は述べておるわけです。そこで自治庁長官が本委員会において述べておられたのは一体どういう意味において述べておられたのか。私はもちろん、先ほども問題になりましたように、あるいは交付税なり、たばこ消費税なり、こういうのを引き上げるということにおいて後進地域の行政水準を引き上げる、あるいはまた公共事業に対するところの特例を準備することによって後進地域を引き上げる、こういう面において具体的にどういう方法をとるかという点に自治庁内において、あるいは政府部内において意見の一致をいまだ見ないので提案にならなかったのだ、こういう工合解釈しておったのですけれども、大蔵大臣の答弁を見ておりますと、何だか違っているような感じがいたしますが、これはどうなんですか。
  49. 石原幹市郎

    石原国務大臣 今の後進地域の公共事業費に対する国庫負担率の引き上げの問題について私からお答えしておきたいと思います。予算委員会における論議を引用されてお話があったのでありまするが、私はこの委員会等でお話し申し上げていることと同じことを予算委員会でやはり強力に申し上げておるのでありまして、大蔵大臣説明と若干違うのでありますが、それが大蔵省とわれわれの意見の合わなかったところであり、そのためにまだ成案を得てないところでありますが、私どもは、三十五年度の予算は、ことに国土保全あるいは災害対策等を中心にしておる予算で、公共事業費は非常に伸びてきておるわけです。三十四年度の予算執行においても、地方団体はこの公共事業費に対する地方の負担をなかなか消化しきれなかった。そこで年度の半ばにおきまして、御案内のように二十一億という特例債を認めてもらって、これでどうやら公共事業費は消化できた。でありますから三十五年度においては何らかの措置をとっておかないと、非常に公共事業費がふえても、それは絵にかいたもちで、富裕団体は消化できても貧弱団体は、後進地域はなかなか消化できないのじゃないか。一番こういう事業をやらなければならない後進地域においてそれがやれないということになれば、ますます国土の間において格たができてしまうのではないかという立場から、財政力と公共事業の事業量等を比較いたしまして、財政力が貧弱にもかかわらず事業量をたくさん持つ地域には負担率、国の補助率をかさ上げするような方式を取り入れていきたい。現にこの考え方は東北総合品開発においてもある程度取り入れられ、将来九州あるいは四国各地においてこの機運が動いておりますから、この際むしろこれをやる方がいいのではないか。一地域ごとにそういうことをやっていけばこれまた非常に不均衡を生ずる、こういう考えでやっておるのであります。大蔵大臣はこの考え方を認めないわけではないのでありまするが、さしあたりの措置としては、交付税の配分などにおいてそういう考え方をもっと強力に入れて、いわゆる交付税の配分方式で補正がいろいろ講ぜられておりますが、その中で特別態容補正というような考え方をもう少し強化して、後進地域の公共事業費に対しては配分を強くするようにしていったらいいじゃないか、これである程度まかなえるじゃないか、こういうことを大蔵大臣は主張しておられるわけであります。そこに両者の考え方の相違があるのでありまするが、われわれは交付税の配分については、もうすでにいろいろの補正を講じて、これ以上交付税の配分で講ずれば、かえって逆に問題が起きるのじゃないか、もう交付税の配分方式で補正方法をとるのも限度にきておる。さらに三十五年度ではいろいろ一そう工夫を講じておりますから、これ以上特別態容補正を強化することはできないという考え方をとっておるのであります。この点が非常に相違しておるのでありまするが、私どもは後進地域の国庫負担率の引き上げ問題は精算補助の形でとるのでありますから、三十五年度の予算には直接影響がない。だからこの国会においてこれをでき得る限り立法化してもらいまして、後進地域には結局たくさんの補助がいくんだという考え方で三十五年度の公共事業費を極力消化できるように、ことに後進地域においては完全に消化できるように実現せしめたいとまだせっかく努力中であります。なるべくこの国会成案を得たいと今日でも思っておる次第であります。
  50. 佐野憲治

    佐野委員 大蔵省と自治庁の食い違いもわかりますけれども、できるだけ国の高い段階からこの問題に対する意見の調整を早くしていただきたいと思います。それで後進地域の開発事業に対して考えられることは、現在の日本のように経済が異常な発達の仕方をしておる旧においては、やはり経済企画庁が「国民生活の地域別分析」に明らかにしておるように、非常に地域格差が拡大してきておると思うのです。それから職業別の所得も格差が拡大して参っております。三つ目には厚生省の「国民生活白書」の中にも指摘いたしておりますように、階層別の格差が拡大してきておると思います。二重構造の問題もここから起こってくるのだろうと思いますが、このように日本の資本家たちの急速な全国的支配と資本の集中化、これが地方産業構造にこういう大きな打撃を与え、国民所得の格差を拡大しておる原因だと思うのです。これはゆるがせにできない問題でありますので、その意味からも、後進地域の開発事業の補助金、負担金の引き上げという問題に真剣に取り組んでいただきたい、かようにお願いしますと同時に、予算委員会において門司委員提案せられておるように工業配置法、こういうようなイギリスの制度にも見られるものを十分に取り入れるように閣議において諮っていただきたいと思います。私は、ある北陸の知事が初めて当選したときに、個人的に親しかったので会ったのです。そのときに知事は、いろいろな資料を見ながら全く情けない顔をしているわけです。というのは、その県において全国一、二、三と誇るべきものと、全国一、二、三と悪いものを統計にして作らせてみたところが、こういうのが出た。その県は雨の降ることは全国一番だ、だから電気の起こることが全国一番だ。であるけれども、急流な川がありますから、どうしても砂防工事あるいはまたダム事業をやらなくちゃならない、そういうためにセメントを使っているのが全国一だそうです。全国一もありがたいんだけれども、そういうことから県の財政においても公債費が増大する、交付公債が大きくなっているということで、これも全国で何番目かになる。しかしながら、全国において一番悪いものを見て参りますと、赤ちゃんの死亡率が全国で何番目だ、結核の死亡率を見ると全国で何番目だ。国民生活に最も結びついているのは全国で一番悪くて、セメントを使うことや、電気が起こることや、それによって全国における資本家たちの利潤を増大させるためにその児は非常に大きな働きをやっているために、借金だけがふえておる。そういうことで、その県知事は初めて地方行政に携わったものですから、どうなんだということで、私にそういう数字を示して苦笑した経験があるんですけれども、こういう点は私はやはり真剣に考えていただきたいと思う、かように考えるわけです。そういう意味からも、先ほど町村民税の問題で地方税制体系の問題に触れましたけれども、やはりこういう点を十分考えた上でとられなければならぬのじゃないかということを希望として一つ申し上げておきたいのであります。  非常に時間が長くなりまして、川村委員の時間に食い込んでおりまして恐縮ですけれども、最後一つだけ長官の御意見をお聞きしておきたいと思うのです。それは財政計画の中における歳出の具体的内容を一応見て参りますると、総額一兆五千三百八十一億円でありますが、そのうち給与関係が六千億円、一般行政経費で国庫補助を伴うもの一千四百十一億円、直轄の国庫負担を伴うものが三千三百六十二億円、公債費が八百四十一億円、その他を合わせますと一兆一千七百十五億円、これだけが当然必要な経費となっておるわけでございます。しかしながら残りが千六百六十六億円で約二四%である。このうち物件費と消耗品費が一千百四十五億円ありますから、これを差し引きますと、わずか八%になります。あと残りました八%の中におきましても、近路整備五カ年計画の中の単独事業あるいはまた公立文教施設その他の国の施策に伴うものがありますから、これを除いていきますと、実際に地方自治体で使えるものはわずか五%にしかすぎない、こういうことになっているわけです。こういうことになって参りますと、地方自治の本来のやるべき仕事というものがわずか五%にしか満たないのではないか、こういう点が考えさせられるわけですが、これらの情勢に対して、自治庁長官としては、今後非常に配慮を持って進んでいただきたいし、これに対する長官の率直な御意見を伺っておきたいと思います。
  51. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これは御指摘のように、いわゆる単名事業といいまするか、地方自治体が自主的にやるいろいろな事業に関する面が非常に少ないのでありまして、私どももできる限りそういう面をふやしたいと三十五年度の財政計画、予算編成にあたってもいろいろ苦労したのでありまするが、それでもこんな形にしかなっていないのでございまして、これは今後とも自主単独的自業の増大をはかりたいと思っております。それには国の補助金制度などの考え方も若干変えてもらわなければならぬのではないかと思います。財政計画では、国の補助に伴ういろいろ地方の事業を一応ずっと計上いたしましてこの計画を立てておるのでありまするから、自然こういう結果になるのでございます。補助金の制度の問題、あるいは国の直轄事業に対する考え方、直轄事業にまたいろいろ負担金を課しておりますから、こういうものは国でやる、そのかわり地方的の事業は地方でやる、こういうような国、地方を通じての事務の分配、再編成、こういうことがやはり並行していかなければ、一挙に理想的な解決は講ぜられないと思うのでありまするが、今後ともこういう問題については検討を重ねていきたいと思います。
  52. 濱地文平

    濱地委員長 川村君。
  53. 川村継義

    ○川村委員 長官お急ぎになるそうですけれども、だいぶ時間もたちましたがしばらく時間をいただきたいと思います。  これまで地方財政計画について各委員からいろいろ質疑がなされたのでありますけれども、私は大体財政計画表等を中心にして二、三点お聞きしておきたいと思います。  まず第一に財政規模の問題でありますが、一兆五千三百八十一億、これは昨年に比べて二千八十七億円の増になっておりまして、三十四年度に対して一五%の増、三十四年度はたしか八%の増であったと思うのですが、相当大きく伸びておる、膨脹しておる、このようにあなたたちも言っておるようであります。またそれは認めることができます。ただ国家の財政、国家予算と比べると、それは大体一〇〇対九八ですか、それくらいの割合になっておると思います。これをちょっとさかのぼって一、二を拾ってみますと、昭和十一年は国家予算と比べて一〇〇対一二〇、二十九年は一〇〇対一〇八、三十二年は一〇〇対一一三、こういうような比率を示しておったと思うのです。今年が一〇〇対九八という。それらに比べると少し小さいのでありますけれども、数字の比率の大きい小さいは別に大した問題でありませんけれども、大臣にまず第一にお聞きしたいのは、この財政計画を策定なさる根本的な考え方として、俗に言うところの入るをはかって出ずるを制すというような気持で計画を編まれたのか、あるいは地方財政運営にぜひとも確保しなければならぬ財源がこれこれあるという、そういう見通しに立って策定をされたのであるか、この辺のところを一つお聞きかせ願いたい。私がちょっと見てみて、これはつまらない推測かもしれませんけれども、因の財政規模と見合って、それより大きな財政規模になったらどうであるとかというような、遠慮したというか、そういう気持で符合しておかずばなるまいというような気持で策定された、そういり邪推も出ないでもないのであります。そういうお気持はないと思うのでありますけれども、先ほど申し上げますように、地方財政の運営をはかる上に立って、ぜひともこれだけの財源は必要であるという見通しの上に立って策定されたのであるか。まあ国からこれこれの金くらいしかこないからというような、入るをはかって出ずるを制すといいますか、そういう気持で策定をされたのであるか、そのお考えを初めに一つお聞かせ願いたい。
  54. 石原幹市郎

    石原国務大臣 これはやはり両方の考え方から出発しておるのでありまして、どのくらい収入があるかということを全然考えないで、ただ支出だけということからでも、これは一人相撲になるわけでありますからできないのであります。しかしながら地方団体は、たびたび申しておりますように、まだ行政水油もきわめて低いのでありますし、単独事業の面も極力ふやしていかなければならぬのでありますから、われわれといたしましては、極力既存の財源はあくまで確保していかなければならぬということと、それから行政水準の向上なり単独事業、こういうものをある程度伸ばしていくについては、でき得る限りの積極的財源をさらに確保しなければいかない。こういう努力をいたしまして生まれたものがこの一応の地方財政計画でございます。
  55. 川村継義

    ○川村委員 今お話のことでありますが、先ほど佐野委員から計画と決算のズレの問題でいろいろ質疑をされました。私も実はそれらの点についていろいろお聞きしたいと思いましたけれども、重復することはなるだけ避けたいと思いますので、その点についてはあとで財政局長あたりからお聞きすることといたしまして、大臣お急ぎでありますから、第二の問題で聞いておきたいと思いますことは、今日地方行財政が非常に中央集権化されてきておるというようなことがよく指摘をされております。この財政計画全般をながめて見ても、特に投資的経費の編み方であるとか、あるいは公債費の起債のワクの分配であるとか、こういう点についてそういう色彩が強く現われているようでありますが、大臣その点はどのように分析しておられますか、お聞かせおき願いたい。
  56. 石原幹市郎

    石原国務大臣 御指摘のように地方行財政が非常に中央集権化しておるということは、私もある程度感ずるのでありまして、地方自治法が先年制定されまして、形の上では非常に自治が進んでおるようでありまするけれども、逆に財政面等から考えましたならば、中央集権化しておるといいますか、中央に依存しなければならない部分が非常に増大してきておるのでありまして、われわれはこういう面につきまして極力国と地方の行政事務の分配、それから国、地方を通ずる税財源の適正なる配分等につきましていい結論が出まするように、地方制度調査会なり税制調査会等にいろいろ働きかけまして、その結論を待っておるわけであります。そこで現状では、企画はいろいろ非常に中央集権化の傾向にありますけれども、事業の実施等の面につきましては、極力分権化するといいますか、地方にまかすように、そういう気持でただいま百治行政の検討に当たっておるつもりでございます。
  57. 川村継義

    ○川村委員 こまかなことについては、あとで財政局長にお聞きします。  第三番目の問題として、地方団体の行政水準の維持向上ということは、絶対忘れることのできない大きな課題であろうと思います。長官の財政計画説明言葉を聞いたところによりましても、長官はそれを強く主張しておられました。すなわち「わが国産業経済の発展と、国民生活水準の向上に対応し得る地方行政水準の維持向上をはかることを目途として、次の基本方針のもとに昭和三十五年度地方財政計画を策定いたしたのであります。」という前提のもとに、その三として、「投資的事業にかかる経費の財源を充実して、可及的に地方行政水準の維持向上を期するとともに、地方債資金の拡充を行ない、産業基盤の造成、環境衛生施設及び都市交通の整備促進をはかることとしたのであります。」こういうお言葉などがあります。この地方団体の行政水準の維持向上ということは非常に大事な問題でありますけれども、今大臣の言葉から財政計画をちょっとながめて参りますと、どうも先ほど申し上げました投融資計画の問題にしても、地方債にしても、大都市中心と申しましょうか、富裕団体中心と申しましょうか、そういうところに大きな手当がなされておって、いわゆるそういうところの行政水準の維持向上には大きく役立っておるけれども、貧弱団体の財源の非常に乏しい地方団体についての配慮というものが欠けておるのではないかという考え方がわいて参ります。この点について大臣はどのようにお考えになっておりますか、お聞かせ願いたい。
  58. 石原幹市郎

    石原国務大臣 それはちょっと川村委員の思い過ごしではないかと思うのであります。もちろん十分ではございませんが、いろいろの計画が大都市偏重になっておるということはちょっと行き過ぎと思います。それは交付税の配分にいたしましても、先ほどちょっと申し上げたのでありますが、満度にきておるほど傾斜配分をやっておる。ことに三十五年度において、いずれ御審議を願うのでありますが、さらに配分方式を一そう傾斜化しておるということによりまして、貧弱団体の維持向上に努めておるつもりであります。それからまだ実現を見ておりませんが、先ほど議論になりました未開発後進地域の公共事業に対する国庫負担の引き上げの問題にいたしましても、いずれもそういう考え方の現われでございまして、ことに今度交付公債制度を切りかえまして、一般の公債方面に回して、しかもその元利償還についていろいろな考慮を払っていくとか、こういうことも、大体私の考え方の強い線は、むしろ未開発後進地域に多く色をつけようという考え方でやっておるのであります。十分ではございませんが、川村委員の都市偏重という考え方とは、私の考えは相当開いておるつもりでございます。
  59. 川村継義

    ○川村委員 どうも私、納得がいかないのですが、こまかな点について財政局長からお聞きしたいと思います。大臣お急ぎでございますから、問題点だけ大臣にはお聞きしておくわけであります。  そこで第一点の問題でありますが、先ほど佐野委員から決算と計画とのズレの問題等についていろいろ質問があったときに、財政局長から丁寧に説明があった。その理由はよくわかります。また計画と決算とが合うなんということはだれでも考えておりません。しかし毎年々々こんな大きなズレが出てくるというのは、財政局長説明されたただそれだけなのかどうか。先ほど私が入るをはかって出ずるを制するというような考え方に立っておるのじゃないかとお聞きしましたのも、極力どこかの部面で歳出を抑制し過ぎた結果、こういうような決算と計画との大きなズレが出てくるのじゃなかろうか、こういうふうに私は考えておるわけであります。この国会に報告されました地方財政の状況という資科と、それから三十三年度の決算における決算概況の資料と、それから昨年暮れ自治庁からもらったこの資料、いろいろ数字がよく合わないのです。少しの数字は合わなくとも差しつかえないと思うわけでありますが、私が今手元に持っている、あなたの方からいただいた地方財政計画と純計決算額との比較、これを見て参りましても、昭和二十九年度は計画と決算とが大きなズレを生じておる。たとえば歳入歳出の部面においても五百九十三億の差がある。三十年度の決算の歳出歳入を見ても、これは歳入の方が二百八十一億という黒字というのですか、上回っておる。こういうようにずっと三十二年、三十三年と出てきているわけであります。歳出の計画と決算を見てみると、二十九年度は一千五百八十七億の誤差が出ておる。三十年度は一千三百八十一億の誤差が出ておる。三十一年度は一千六百四億の誤差が出ておる。昭和三十二年度は一千九百五十四億の誤差が出ておる。昭和三十三年度は二千十四億の誤差が出ております。これはあなたの方からいただいた地方財政計画と純計決算額の比較というこの表によってはじいたものでありますが、こういうような大きな誤差が出てくるということは、財政局長説明されましたような、財政計画は標準税率で見ておるとか、あるいは年度間に自然の増減があるとか、そのほか事業実施に伴うところの委託関係の収入もあるだろうとか、こういうようないろいろの理由があるということはよくわかります。わかりますけれども、たとえば給与関係においてとか、あるいは先ほどちょっと問題になりましたように、単独事業の普通建設の事業費において、そういうような部面において地方団体が必要とする必要額を財政計画の上に見ていないというようなところにも大きな原因があるのじゃありませんか。だからして、この計画と決算とがあまりにも大きくズレが生じてくる。こういうふうに考えてみるのですが、もちろん先ほど申し上げましたように、これが完全に一致するわけはあり得ませんし、また局長の言っておられるように、なるたけ計画と決算との誤差が少なくなるように計画を編んでもらうということは必要でありましょうけれども、その辺のところをもう一ぺん局長から、私が指摘したようなところに問題がありはしないかということを一つ説明願いたいと思います。
  60. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 先ほど財政計画と決算との食い違いの事情を申し上げたわけでございます。そのほかに今御指摘になりました、ことさら地方財政計画上歳出を抑圧しているのではないかという御摘指があったわけであります。地方税収入なり、あるいは地方交付税収入なりを基礎にして実施しなければならない事業、そういうものについて特に地方財政計画上減額をしておるのではないかということは、私たちの作業の過程においては言えないと思うのであります。ただ地方団体が積極的に地方の製品の声価を保持するために検査条例というものを設けて、そして検査については手数料収入を確保する、それを基礎にして検査職員を置いていく、あるいは検査事務を行なっていくという――これは一例でございますけれども、いろいろな施策を講じておるのが、そういうものはそのつど相当な額に上っていくと思うのでありますけれども、一々地方財政計画には取り上げてこない、しかし雑収入が伸びて雑支出が歳出として立っていくのだ、こういうふうな関係になろうかと思うのでありますけれども、年々やはり行政の質量ともに変化して参るわけでございますので、こういうものは地方財政計画上にもある程度上げた方がいいのじゃなかろうかと考えるわけでございますけれども、いろいろなこともございまして、そういうような作業はいたしておりません。ただ積極的に、今申し上げましたように、いわゆる一般財源、地方税収入や地方交付税収入でなさなければならない地方の財政需要額というものを財政計画上特に圧縮する意図のもとに組んでいるのだ、こういうことは私は言えないのじゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。もとより地方の必要な行政水準引き上げについて財源措置というものが必要な立場から見た場合に、なお不十分だというような意見は十分あるわけでございますけれども、特にそういう意図的な作業はいたしていないつもりでございます。
  61. 川村継義

    ○川村委員 時間もありませんから、いろいろ論議したいと思いませんけれども、今お話の中にありましたように、やはりこの計画外の支出といいますか、あるいは計画を上回る支出というのですか、そういうのが相当あると思うのです。そういうものは一体どこから生まれてくるかというと、やはり単独事業等についてみても、とにかく苦しいけれども、何とかしてやっていかねばならぬという余儀なくされる支出というものが大部分であろうと考えるわけです。そうすると、やはり財政計画を立てる六上においては、そういう地方自治体の実態というものを考慮して、財政計画の中に見てやるということが必要になってくるのじゃないか、そういうふうに考えます。そういうような点の配慮が足らないと、やはり一つの原因として毎年々々評価と決算との予想外の大きなズレも出てくるんじゃないか、このように考えますので、その点は今後の策定においても十分検討願い。それから先ほど局長も言っておられましたように、やはり国の予算編成がいろいろきまったあとで、それに見合うように合わせて地方財政計画を立てていくというような行き方にも一つの大きな原因があるのじゃなかろうかと思います。これは先ほどお話のように、地方団体が必要とする財源というものをそこにちゃんときめておいて、そして国に折衝し、国の負担、地方負担というものを明らかにして財政計画ができていくようにわれわれ要望してやまないわけです。  それから税収面を見ましても、大体毎年〇・一五あるいは〇・一七、三十三年度は〇・一五八というような比率で、歳入面等は伸びているわけです。そうなると三十四年度は計画と決算を見るときに一体何%ぐらいの伸びを見ておられますか。
  62. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 御質問を間違えていはしないかと思うのですが、三十四年度の税収入の実績というものは、計画をどれくらい上回っているか、こういう御質問ではなかったかと思います。そうしますと、一応計画よりも三百八十億円ぐらい増収になるんじゃないだろうかという見込みを税務局で立てておるわけでございます。しかし決算になりますと、さらにそれに標準税率超過課税等がございますので、百五十億円くらいのものが上回ってくるだろう、こういうことになろうかと思います。
  63. 川村継義

    ○川村委員 三十三年産の歳入の計画額と決算額とを見て参りますと、大体計画に対して〇・一五八という増収になっておるのです。それで三十四年度も大体同じような本で伸びるとなると、これは一画に対して〇・一六伸びるとなると――これは予測でありますけれども、計画と決算は歳入面においても二千百二十七億という違いが出て参ります。これも大きな問題だと思います。それから同様に同じような〇・一五が〇・一六と歳入の計画と決算とが伸びるということになりますと、ことし策定されましたところの一兆五千三百八十一億に対して〇・一五が三十五年伸びていったとすると、一兆七千六百八十八億になるから二千三百七億となって計画と決算の誤差が出てくる。〇・一六と見ますとこれが二千四百六十一億という形になって出てくるわけです。そうなると、やはりことしの画を見るときにも、先ほどからだんだん話が出ておりますような点で相当の食い違いが出てくるということをわれわれは予想していかなければならぬ。そうなりますと、さっきの佐野委員意見ではありませんけれども、必要とあれば、地方財政の運営の指針となる財政計画でありますから、これは修正、変更などということは問題もありましょうけれども、やはり十分検討してもらわなければならぬ、こういうことを考えるわけです。  それから第二点の問題でありますが、地方行財政の中央集権化の問題でいろいろ論議されておりますが、これは先ほど佐野委員もちょっと質問されたのでありますけれども、ほんとうに地方団体が自主的に単独で運営できるところの財源は一体どれくらいの比重を占めているだろうかということが、私たちが財政計画を見て第一に考えた問題であります。先ほど佐野委員は八%くらいじゃないかとかというような指摘がありましたが、実際一兆五千三百八十一億のうち交付税、国庫負担金、補助金等六千八百九十一億ばかりあるようでありますが、これは国の予算の四四%程度でありますか、それが地方に流れてくる。しかし地方財政の収入からいいますと、これは四五%程度になるわけでございまして、地方債を含めると五〇%がおんぶしております。もちろんわれわれも国の施策と地方行政とは密接なつながりがあるのであって、こういうような国の財政支出を決して頭から悪いとかいいとかという考え方は持っておりません。しかし、今日の地方財政は国の施策に左右されているということはいなめないと思うのです。これをもっと悪い言葉で申しますならば、地方団体の仕事というものは国の施策の下請けをやっていると言ってもいいんじゃないか。これはいいとか悪いとかは別にいたしまして、そういう形が出てくるということは、やはり地方自治団体の行財政の運営ということから考えたら問題がある。このように考えて、中央集権化等の一つの問題とわれわれは考えておるわけでありますけれども、このようにあまりひもがつき過ぎて、国から金が出てきても、強いひもで地方団体にのしかかってくるような状態は、やはり自治庁の責任において何とか一つ緩和していくということを十分考えていかなければならぬと考えているわけです。そのような財政規模の分析をしていきますと、結局ほんとうに自主的に仕事をやれるものというのは五%程度しかないのじゃないかと考えているわけでありますが、たとえば単独事業の費用を見てみましても、千百四十五億という普通事業費の中身からいたしましても、これには道路五カ年計画であるとか、文教施設であるとか、いろいろなものが入っておりますから、どうしても地方団体がほんとうに自分の考え方でやろうという率というものは非常に少ない、ほとんどみなひもつきの財源になってしまっておるということを考えてみなければならぬ。ここに一つの問題があろうかとわれわれは考えておるわけです。そこで先ほども財政計画の規模の中でお尋ねいたしましたように、あるいは計画であるとか決算であるとかいうものの内容、あるいは毎年ズレが出てくるようなものについても、こういうところに対する自治庁の評画策定上の配慮というものが、大臣にいろいろお話しいただいたのですけれども、十分でないのじゃないかと考えておるわけです。  その次に指摘したいと思いますことは、今申し上げましたようなことからいたしまして、自治体の自治行政あるいは地域住民の必要とする事業遂行、独自の財政運営の方向――この際こういう財政運営を繰り返していってはならないのであって、どうしてもそういう方向をわれわれは見出さなければいかぬと考えておりますが、大臣おられますから、この点について大臣のお考え一つお聞かせおき願いたい。
  64. 石原幹市郎

    石原国務大臣 先ほど一応お答えしたつもりでございまするが、お話しのように単独事業の金をふやさなければならぬことはもちろんでありますが、さらに事業遂行等に当たりましては、一そう自主的運営がはかられるように今後とも努力をしていかなければならぬと考えておる次第であります。
  65. 川村継義

    ○川村委員 先ほど私は、大臣説明されました言葉を引用したのでありますが、投資的経費の問題について一つ、二つ聞いておきたいと思います。道路整備の問題でありますが、これはたしか道路整備五カ年計画というものがあって、大体一兆円を予定しておると聞いております。そうなりますと、これの地方負担というのは補助あるいは単独合わせて三千三百四十七億程度になる、このように考えておりますが、本年度の投資的経費は四千七百三十六億でございます。昨年と比べて一千三十五億の増でありまして、非常に投資的経費が充実したということを言っておられますけれども、これについてはやはりわれわれは問題がある、このように見ております。そこで今お尋ねしておる道路整備の費用でありますけれども、三十五年度は、財政計画の表を見て参りますと、補助関係の分が二百四十五億四千五百万円財政計画の中に計しておるようであります。道路整備に伴ういわゆる単独事業分というものはどれくらい考えておりますか。
  66. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 五カ年計画に入っております単独事業費は三十五年度で三百七十八億円ということになっております。
  67. 川村継義

    ○川村委員 この計画表の十三ページの第七表を見て参りますと、そこの「公共事業費に関する調」の道路整備の中に、地方負担額は二百四十五億四千五百万円と書いてある。そうすると、今あなたが三百七十八億と言われたのは、この公共事業に関する地方負担分と単独分と合わせた額でありますか。
  68. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私が申し上げましたのは単独事業分だけでございまして、第七表に出ておりますのは補助事業だけであります。このほかに直轄事業に伴います地方負担金が八十四億円ございます。
  69. 川村継義

    ○川村委員 そうすると両方で五百億以上の地方負担ということになると思います。それから治山治水の三十五年度は八百六十九億の計画で、地方負担が直轄分が九十七億、補助関係が百八十五億、合わせて地方負担二百八十二億、こういうことでありますか。
  70. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 治山治水の分は全体を合わせまして地方負担額が三十五年度で二百八十二億円と承知いたしております。
  71. 川村継義

    ○川村委員 そのほかの投資的事業等もいろいろ問題がありますけれども、今の治山治水の問題と道路の二つの問題を考えてみても相当地方負担分が多い。これについてやはり国の補助率いかんというのが一つの問題であろうと思う。先ほどからいろいろ話が出ておりますように、後進地域の補助事の引き上げ等は当然やはりこれらの問題と関連して取り上げていかねばならないと思うのです。しかし実際上こういうような補助金は、国が出す場合は大体三分の一として計算しているのじゃないかと思うのです。全部が全部同じ率で出しているのか、私よく知りませんけれども、しかしこうして道路であろうと治山治水であろうと、仕事を国がやる、それについ補助金を出す、あるいは地方がそれに対する負担分をしょい込む。どうしても国から出してくる金が足らないので、地方がそれだけ継ぎ足しをして仕事をやっていくというのが現実ではありませんか。
  72. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 一つは、補助事業でありましても補助金を算出する基本額が適正であるかないかという問題がございます。その点につきましては、たとえば用地の買収などにつきましては、現実から考えた場合に補助金額が少な過ぎる、こういうように私たち考えておるわけであります。もう一つは、事業分量の増加に伴いまして地方負担額が生じてくるわけでありますけれども、国の負担分と地方の負担分とにおきまして、国の財政と地方の財政との間における財源調整の問題があろうかと思います。どちらにどうだということではございませんけれども、もう一つは補助事業で取り上げる問題と、公共事業で取り上げる問題の区分の問題があろうかと思います。そういうような全体の問題につきまして将来とも検討していかなくてはならない問題だ、かように考えております。
  73. 川村継義

    ○川村委員 そこで繰り返すようでありますけれども、こういうように投資的経費が相当ふえた。大臣説明によりましても、大へん充実されてきたといって喜んだような言葉づかいがありますけれども、一がいに私はそう悪いとは言いませんけれども、充実したといって喜ばれるものではないのじゃないか、手放しに喜んではならない。先ほども言いましたように、地方財政がこれによって相当大きな負担をしておるし、こういう仕事をやろうとしていけば、結局ひもつきの仕事がふえたということであるし、地方財政はそれで追いまくられておる。少し言い過ぎかもしれませんけれども、そういうことになる。国の下請をするところの機関がいよいよ進んできた、こういうことにならざるを得ない。だからことしの財政計画において一千億も国庫負担がふえたといいましても、それが結局三十五年度、の財政規模をふくらませた原因でありますから、ただそれだけの財政規模のふくらんだというだけでは、地方財政がより健全になる、あるいはこれで非常に地方の方が財源が豊かになった、こういう結論は出てこないのではないか、そういうふうに考えておるのですが、これについていかがでしょう。
  74. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 従来から比べまして行政施設が充実されていく、準備されていくということは疑いをいれない顕著な事実だと思います。ことに戦前と戦後と比べますと、公共事業の取り上げ方は、国民所得なりあるいは財政規模の上におきます地位が非常に重いものになってきておるのであります。もとより地方団体がさらに単独で取り上げなければならないものについての財源が十分でないじゃないかというような御指摘もあったわけでありますけれども、やはり年々相当充実していることは事実ではないだろうか。単独につきましても、三十四年度に比べますと二五%程度の増になっておるわけでございます。そのことは、公共事業を吸収してなお単独業について二五%程度の財源が向けられるのだ、こういう財政計画になっておるわけでございますので、十分であるか十分でないかの議論は別にいたしまして、相当な留意が財政計画上も払われておる、こういうことになろうかと私は考えておるわけであります。
  75. 川村継義

    ○川村委員 そこで自治当局に私ぜひ考えていただきたいと思うことは、財政投融資計画等の財源がふえてきたとかそういうことは決して頭から悪いとは申しませんけれども、こういうような国の施策そのままが下におりてくるというような形は、ますます地方財政、地方の自治行政を、ひもつきのそのひもを強化するものである。従って自治庁としては、先ほど私は中火集権化というような言葉を使いましたけれども、そういう形にならないようにして、将来はもっと地方自治団体がほんとうに単独の考え方によって自主的に財政運営ができるような、そういう財源を、そういう施策を講じてやるということを一つ強く考えて研究してもらいたいと考えておるわけであります。この計画を見てみましても、そのほか問題はたくさんあります。生活保護費の問題であるとか、児童保護の問題であるとか、あるいは失業対策等の民生関係の財源充実という点については、われわれといたしまして、まだまだこれは問題とすべきところがたくさんあるわけであります。特にこういうような児童保証の問題、失対等の財源、民生関係の財源は、おそらく最も地方団体が継ぎ足しをする大きなウェートを占めておる関係事業費であろうと思いますから、こういう点は一つ十分検討してもらわなければならぬ。その内容については一々ここでは申し上げませんけれども、そういう点もぜひ一つ配慮しておいていただきたい。  それに付随して、こんなことはここで論議すべきことではありませんけれども、この計画の中には教頭の管理職手出などが入っておる。こんなものは、自治庁当局がもう少し強固にちゃんと――理屈はいろいろ申し上げませんが、地方財政立場からだったら、こういのは実施しないように、地方負担にかかってこないようにやるべきであったと思うのです。額はそう大きくはありませんけれども、こういうのを額が大きくないからといって持ち込んでくるということは、私はいけないと思う。七億なら七億という金があるなら、それを児童保護費であるとか、生活保護費の方の計画に入れてやるというような配慮が自治庁当局としては至当じゃないかと思う。こういうことを一つ考えてもらいたい。いろいろ理論的なことはもう申し上げませんけれども、おそらく自治庁当局としては、私が言わんとするところを察して賛成されると思いますから、それだけ指摘しておきます。  第三点としてお聞きしておきたいことは、地方団体の行政水準の維持向上という問題でありますが、これは先ごろの大臣趣旨説明の中にもうたっておられます。特に自治庁は昨年あたりからこの点は強調しておられるようであります。われわれも国民経済の伸展に応じた地方行政水準の近代化であるとか、あるいは充実であるとか、こういうものに必要な諸施策をやっていくということは、当然とらねばならぬ問題だと考えるわけであります。ところが、先ほどもちょっと触れましたように、投資的事業についてもやはり一考すべき点があると思うのです。先ほど私の質問に対して、大臣は、決して貧弱な団体あるいは財源の弱い団体を軽んじておるということはないと言われた。それはそうだと思う。その気持はよくわかるのですけれども、実際の投資的経費等がどううい団体に多く落ちるかということを考えると、これは何といいましても、貧弱な団体等に多いかあるいは相当財源の余裕のある団体に落ちるかということは、私が申し上げるまでもないことでありまして、それは明瞭だと思います。  その幾つかの問題の中で、一つの例として地方債計画について今の点でお聞きしておきたいと思いますけれども、地方債計画はことしは一千五百億、四百億程度の増になっているようでありますが、交付公債振替百六十億もありますから、一応これは地方債計画からはずして見た方が妥当じゃないかと私は思っております。そうなると公営企業関係が八十八億の増、準公営関係が六十七億の増、一般行政喪が八十五億の増、しかも一般行政費のうちの七十億は災害関係に振り向けられておる増加分でありますから、一般行政廣は十五億の増、こういうことになるわけであります。この点についてどのようにお考えになっておられますか。行政公債のワクが狭過ぎはしないかという疑問を持つのですが、どうなんでしょう。もちろん今日まで自治庁のとってきた地方債政策の考え方として、一般会計債等を増加して地方に直接の一般財源等の負担をかけないようにする、そういう考え方は了としますけれども、財政計画に盛られるところの投資的事業の振興等々を考え合わせて参りますと、また行政水準の向上ということを考えると、何としてもこれでは狭過ぎるのではないか、もう少しゆるめてやる必要はないか、あるんじゃないか。特に貧弱な団体は窮屈です。どうしても学校を作ったりなどを起債に頼らなければどうにもいかないというような団体が、特に市町村寺には相当多いわけでありますから、こういう点を考えて参ると、あまりにもこの一般補助事業等の起債ワクが狭過ぎはしないか、こう考えてみたわけであります。われわれはよく聞いておるのです。起伏がないのでやみ起債をやる。ひどいのになると、民間で金を借りて、あとで地方団体が肩がわりして支払っていくというようなことも行なわれておるということを開いておりますが、それもやはり金がないので、しかも起債のワクはもうないので、そういうようなやみ的な行為を地方団体がやってしまうのではないか。こういうことなど思うと、どうしてもこれは一般補助事業関係等の起債のワクというものは何とか検討してみる必要があるのではないかと思うのですが、局長見解を聞かせてもらいたい。
  76. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 前段の問題は、未開発地域にもっと公共投資を持っていくようにすべきだという点については全く同感であります。人口が集中してきたからそこに家屋を建てなければならない、自動車が非常に多くなったから道路を広げなければならないということじゃなしに、未開発地域に公共投資をもっていって、経済発展を誘発するような先行投資をやってもらいたい、そういうようなところに国家投資を重点的に振り向けていくべきじゃないか。しかし現状においてはそういうふうな先行投資を考えたところで、地方団体は受け入れられないのだから、受け入れられるような国庫負担制度を作ってもらいたいということが、先ほど来大臣からお話になった点であります。  第二の地方債の問題につきましては、一般会計におきましておそらく地方団体が希望しております単独事業債はかなり窮屈だろうと思います。窮屈だろうと思いますが、地方税収入等も伸びる際でございますので、将来に負担を残すような財政運営はなるべく避けていきたいというようなことから、特に単独事業債については従来の額を引き上げるというような措置をとらなかったわけでございます。公営企業や準公営企業につきましてはかなり増額したつもりでございます。しかし現実の地方団体の要望から見ました場合には、下水道の問題などにつきましては、要望を満たすことにかなり遠いものがあるだろうと思っております。しかし一般的に準公営企業や公営企業の地方債につきましては、地方債のワクから必要なる事業を特に抑圧してしまうというような態度にはならないように心がけていきたい。そのためにどうしても事業としてやらなければならない、その事業に必要な資金は縁故等によって求めることができるという場合には、このワク外でも地方債の許可を行なっていきたい、こういうような態度でおりますことを申し上げておきたいと思います。なお地方債が窮屈過ぎるために、いろいろな公社を作って、公社名義で資金を集めるという脱法的な行為が多くなってはいないだろうかという御指摘でございます。それは率直に私たちも認めざるを得ないと思います。ある程度そういう脱法的行為が出て参ってきております。こういう点につきましては、将来とも、地方債というものが必要な額を無視してただこれを一つのワクで縛りつけてしまっているということのないように努力して参りたいと思います。またどうしてもそういうようなことまでしてやらなければならないような事業につきましては、正面から堂々と地方債をつけていけるように工夫をしていきたいものだ、かように考えているわけでございます。
  77. 川村継義

    ○川村委員 私は先ほど行政水準のことを大臣からお聞きしたときに、大都市中心じゃないか、富裕団体中心になり過ぎているじゃないか、それは投資的経費の使い方から、あるいはこういうような地方債計画からもそれが感ぜられるがというようなことを聞いたのでありますが、大臣は、そうじゃないということを言っておられます。しかし今この地方債計画を見て参りますと、準公営企業債、これは二百五億と予定されておりまして、昨年に比べて六十七億の増加でございますけれども、港湾整備にしてもあるいは下水道にしても、大体これはやはり私が言った大都市とか中都市、そういうところに多く事業が行くのではないか、特に公営企業についてはそれが言える。こういうことになりますと、やはり地方債の手当というものは、そういう大都市やあるいは大きな公営企業をやれるような富裕団体というようなところに振り向けられていく。こういうことも考えて見ると、地方債計画において、貧弱と申しますか財源の不足な団体にいかに今百坪的に地方債を消化さして、そして財源的の裏づけをしてやるかということは、これも研究しなければならぬ問題でありまして、私が行政公債のワクが狭過ざはしないかと言ったのもそういう考え方に立っておるわけであります。私が申し上げるまでもありませんけれども、あなたの方から出している地方財政昭和三十二年度における公営企業金融公庫の貸付状況を見ても、これはみなこういうことをやってないところには出ていないわけでありますし、しかもこの利率は幾らですか、七分六厘かの刑に安い利子で出しておりますね。こういうところに一つの問題をわれわれは考えていきたいと思う。なお昭和三十三年度の都道府県及び五大都市別地方債の配分状況、これをずっと見てみると、やはり私が言っているような形において配分の結果が出ておる。こういうことを考えると、もう少し一つのやり方としては行政公債等のワクを慎重に検討して、広げるなら広げるという考え方に立って、そういうような財源のあまり豊富でないところにこういう政府資金のような低利なものをどうして与えてやるかということを十分考慮する必要がある。今のままだったら、地方債にしても私が指摘したように、大都市中心だとかあるいは富裕団体中心だとか、こう言われてもやむを得ないのじゃないか、こう考えておるのです。この点は一つ十分検討を願いたいと思います。  そこでその準公営企業の中に簡易水道事業というのが一つありますが、今の点をこれで一、二明らかにしていただきたいと思いますが、厚生省の方は来ておられますか。――簡易水道施設の補助費はことしは十一億七千万円くらいだったと思うのですが、そのくらいですか。
  78. 石橋多聞

    ○石橋説明員 簡易水道の一般分の補助のワクは十一億七千三百万になっております。これ以外に離島分といたしまして九千四百九十万円、北海道の離島分といたしまして五百万があります。
  79. 川村継義

    ○川村委員 厚生省の方には水道長期整備計画というのがたしかありましたね。詳しいことはいいのですけれども、現在水道関係の普及率というのは大体何%くらいになっておりますか。
  80. 石橋多聞

    ○石橋説明員 昭和三十二年度末の統計によりますと、全国民に対しまする実際の給水人口は四四%となっております。
  81. 川村継義

    ○川村委員 長期計画によるところの普及率、簡易水道は大体長期計画によるといわゆる昭和三十三年から四十二年まで計画されておると思うのですが、その年間において簡易水道の普及率は何%を考えておられますか。
  82. 石橋多聞

    ○石橋説明員 長期整備計画におきましては、現在の昭和三十二年度末の普及率が一六%でございますものを、約五〇%に引き上げる計画を持っております。
  83. 川村継義

    ○川村委員 今のお話は私が聞いておる率より少し低いようでありますが、それはそれとしておきましょう。とにかく私がいろいろ申し上げるまでもなく、簡易水道というのはいろいろありましょうけれども、これこそいなかの小都市と申しますか離島と申しますか、こういうところにあるいは公衆衛生の立場、環境衛生の立場から、あるいはその地域の住民の生活の合理化というような問題から、これは早急に実現さすべき重大な一つの施策ではないか、私はこう考えている。ところが今お話しのように長期計画によりましても非常に普及率が低い。ということは、初め考えられておったところの普及率よりも、年々厚生省の方から金をとっていくのが少ないので、おそらく今のお話は率を下げてお話しになったのじゃないか、こう考えているわけです。ことしは十一億七千三百万円というのが簡易水道の補助事業として出ているわけでありますけれども、初めの長期計画をそのまま達成するということになりますと、やはり年間二十億か二十二、三億は必要と考えねばならぬでございましょう。いかがですか。
  84. 石橋多聞

    ○石橋説明員 長期整備計画を毎年平均に行なうといたしますと、補助金にいたしまして約二十二億円が必要でございます。
  85. 川村継義

    ○川村委員 補助率は二割でしたか、四分の一でしたか。
  86. 石橋多聞

    ○石橋説明員 四分の一でございます。
  87. 川村継義

    ○川村委員 そうすると自治庁にお聞きしますが、残りの四分の三の地元負担、その地元負担に対する簡易水道事業の起債の充当率はどういうことになっておりますか。実はこれは全部お聞きしたいのですけれども、一つの例としてお聞きしているのですよ。
  88. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 簡易水道事業につきましては、四分の一の国庫負担、四分の二の地方債、四分の一の一般財源というような建前で運営していきたいというふうに計画しております。
  89. 川村継義

    ○川村委員 簡易水道の作並のものが六五%と見ておられるのではありませんか、それから離職分を七〇%と考えておられるのではありませんか。
  90. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 全体的に申しますと、簡易水道事業に要する費用のうち、四分の一が国庫負担、四分の二が地方債資金、四分の一が一般財源というような考え方でおるわけでございます。
  91. 川村継義

    ○川村委員 簡易水道の場今の起債の利率は六分五厘ですか。
  92. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 その通りでございます。
  93. 川村継義

    ○川村委員 一般起債の場今日は六分三厘じゃなかったですか、そうなると簡易水道について六分五厘というこの利率は高いと思うのです。これは一般並みに引き下げる必要があるのじゃないかということが一つ。それから私は先ほど起債の配分等についてあまりにも大都市中心だとかいうような言葉を使ったわけでありますけれども、簡易水道という事業を考えると、そうは言えませんね。そうなるといわゆる公衆衛生という、環境衛生生というか、一口にいうならば、行政水準の向上あるいはその地減住民の生活の合理化ということから考えると、簡易水道事業というのは非常に大事です。そうすると利率の引き下げということも考えてもらわなければならぬし、起債の充当率もやはり考慮してもらわなければならぬ、こういうことを考えるのですが、それについて何かお考えはありますか。
  94. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 地方債資金が大都市中心になっておるというふうに御指摘があったわけでございますけれども、仕事の内容によりましては都市でないと見られないようなものも相当ございます。公営企業、準公営企業を総体的に見ました場合には、あるいはそういう姿が見られるかもしれません。しかし私どもは貧弱な団体については一般財源をできるだけ多く配分したい。しかし大都市等将来に相当力を持っている地域については、一般財源を充当するよりも、さしあたっては地方債資金でやっていってもらった方がいいんじゃないか、こういうような考え方を基本的に持っておりますので、そこに若干の食い違いがあるのではないかと思います。なお簡易水道の地方債は政府資金をもって充てるわけでございますけれども、一般会計の分については六分三厘、公営企業の分については六分五厘、公営企業金融公庫からの資金でありますと七分六厘、こういうことになって参るわけであります。簡易水道事業も公営企業に属するものでありますので、六分五厘の利率になるわけでありますが、簡易水道の事業の性格にかんがみまして、原則として全額政府資金をもって充当するというような運営の仕方講ずることによって利子負担の軽減もはかっている、こう申し上げてよろしいんじゃないかと思うわけでございます。
  95. 川村継義

    ○川村委員 財政の弱い団体には一般の財源をなるべく与える、それはその通りで大へんけっこうなことだと思います。ところが、一般財源をあなた方に心配してもらっても、やはり現状はなかなかやりたい仕事もやれないということは御承知の通りであります。特にこの簡易水道の問題については、ことに離島とかいなかの小都市とかで必要なものとして住民の欲している仕事なんです。これは大都市の上水道とか下水道とかに決して劣らない要求度の高い仕事だと思います。そうなると、なるべく財源の弱いところに一般財源を充当して下さるという考え方と同様に、やはりこういう問題についてはもう少し利率でも引き下げるという配慮があってしかるべきではないかと私は思うのです。たとえば六分五厘ということだったら六分三厘の一般並みにしてやるというようなお考えはないでしょうか。
  96. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 国が特に簡易水道事業について国庫負担制度をとって補助金を支出しておるということについては、非常に大きな恩典を与えておると思います。地方債資金の問題でありますが、今申し上げましたように、二十七億の簡易水道の地方債の資金につきましては、全額政府資金をもって充てるという計画をとっておるわけであります。地方債資金全体で千五百億円でありますが、そのうち政府資金千百六十億円で、公募資金が三百四十億円しかしながら簡易水道事業の性格から考えまして、全額政府資金をもって充てるというふうな建前にいたしておりますことも、今御指摘になりましたようなことを配慮しておる、こう申し上げてよろしいと思います。ただ六分五厘をさらに六分三厘に引き下げていくというような問題になって参ります。と、簡易保険なり郵便貯金なりの運営の問題にからんで参りますので、私どもも利率が低ければ低いほどよろしいのでありますが、そちらの運営の問題とからみましてなかなかむずかしい問題がからんでくると思います。現在の可能な範囲において最大の工夫はいたしておる、こう申し上げてよろしいのではないかといます。
  97. 川村継義

    ○川村委員 現状はよくわかるのです。しかし将来の問題としてそういうことを一つ十分検討してもらいたい。一般起伏が六分三厘、これも政府資金でしょう。そうすると準公営企業等の資金ももちろん政府資金であります。そこでこういうのは、少し性格は違いますが、やはり六分三厘でやったっていいのじゃないか。何も六分五厘でやらなければならないという鉄則というものはないはずです。もちろん公営企業関係についてはもっと性格が違ってくると思いますが、そういう点を一つ検討してみてはどうか、こういうことであります。  とにかく私は、今簡易水道の問題について一、二お聞きしたのでありますけれども、そういうような事業に対する起債額を広げるとか、あるいは起債の充当率を高めていくとか、そういう配慮をしていって、その起債というものが、私が言うような大都市中心だとかあるいは富裕団体中心だとか言われないような計画というものも必要になってくるのじゃないか。もちろん財源の弱い団体に対して一般財源を充当してやるというそのことは非常に大事なことでありますけれども、いかにあなた方が苦労されてそういう方策をとられても、やはり地方団体によっては、どうしても起債によらなければならないとか、あるいは一般財源だけでやっていけないという仕事がたくさんあるわけであります。そういう点をもっともっと見てもらいたい、こういうことであります。  いろいろお聞きしたいことがありましたけれども、時間もとってしまいまして、大へん皆さんにお気の毒に存じますが、いろいろな議論は抜きにして、問題となるようなところだけお聞きしたわけです。またいずれ機会がありましたら他の問題についてお聞かせ願いたいと思います。終わります。
  98. 濱地文平

    濱地委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十九分散会