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1960-03-02 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二日(水曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長代理 理事 纐纈 彌三君    理事 飯塚 定輔君 理事 渡海元三郎君    理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君       金子 岩三君    亀山 孝一君       高田 富與君    津島 文治君       三田村武夫君    山崎  巖君       太田 一夫君    川村 継義君       佐野 憲治君    安井 吉典君       大矢 省三君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         総理府事務官         (自治庁税務局         長)      後藤田正晴君         大蔵政務次官  奧村又十郎君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政局         振興課長)   山本壮一郎君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         専  門  員 圓地興四松君     ————————————— 本日の会議に付した案件  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三七号)  地方財政に関する件(昭和三十五年度地方財政  計画)      ————◇—————
  2. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 これより会議を開きます。  濱地委員長にはお差しつかえがありますので、その指名によりまして私が委員長の職務を行ないます。  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告がありますから順次これを許します。川村委員
  3. 川村継義

    川村委員 去る二月の十六日の委員会で、奄美群島法案につきまして問題を提起するということで、時間の関係で簡単に一、二の質問をいたしておきましたが、一つ残余の幾つかの問題についてお尋ねをしておきたいと存じます。きょうは大体一つの問題としては金庫の運営の問題、第二には復興事業関係の諸問題というような点について、お尋ねをいたしたいと考えております。  まず第一の問題でございますが、私はこの前行政局長に対しまして、奄美群島復興信用基金資本金政府から出しておる出資金幾らであるか、こういうふうに尋ねておりますが、そのときに行政局長の話では、保証関係の費用で一億一千五百万円程度、それから融資関係で一億、こういう答弁がありまして、私が尋ねてみたいと思ったのと少し答弁が食い違っておりまして、不明確でございます。本日はまずその点を確かめていきたいと思うのでありますが、行政局長が一億一千五百万円程度と申し上げましたのは、国から出資しておる金のいわゆる資本金といわれるものの中の保証関係に使われる保証資金という意味で答えたと思います。それがいわゆる回収きた分が九千万程度あと措置によって二千五百万円程度出ておりますから、一億一千五百万程度だ、こう答えていると私解釈しておりますが、その通りだと思います。私が聞きたいと思ったのは、そうでありませんで、いわゆる奄美日本に復帰して奄美信用保証協会というものができたときに、アメリカから日本に引き渡されたところの債権、それがそのまま信用保証協会出資金として出ているわけであります。この額は一体幾らか、合わせて資本金幾らになるか、こういうことをお尋ねしたいのでありますが、これはもうおわかりでございましょうから、この際一つはっきりお示しおき願いたい。
  4. 山本壮一郎

    山本説明員 御指摘のように、基金に対します国の出資等につきましては、法律規定いたしておりますように、これは奄美群島に関する日本国アメリカ合衆国との間の協定に基づきまして、アメリカ合衆国から政府が承継した債権奄美群島信用保証協会が国から承継いたしましたもの、この合計額債権といたしましては五億一千六百万円ばかりあるわけでございます。当初の構想といたしましては、これらの債権のうち回収ができたものを保証元金にいたしまして保証業務を開始しようということであったのでありますが、保証協会の発足当初には回収分がそう多くなかったものでありますから、とりあえずの措置といたしまして、この際に国の方から二千五百万円の現金支出をいたしまして、回収額と合わせまして保証業務を開始いたしたわけであります。その後の回収状況は、先ほど指摘になりましたように約九千五百万円ばかり回収ができていますので、二千五百万円と合わせて約一億何がしの金で融資業務の方は実施をいたしておるということであります。  なお基金につきましては、これ以外に一億円の金をもちまして昨年から融資業務を開始したことは御承知通りでございます。
  5. 川村継義

    川村委員 五億一千六百万円程度アメリカから移された債権として出資した額だ、それにあとから国が手当として二千五百万円出しておるから、合計五億四千百万円程度資本金ということになっておりますね。別に融資関係資金として昨年から一億、こういうことになって今の復興基金の方が運営されておる。その第一のいわゆる保証関係に使われるのは、これは奄美群島復興信用基金業務方法書によりまして、保証に使う金と融資に使う金とはっきりいたしまして、保証金額総額に関する限度等を示しておるわけでありますが、大体保証金額限度というものは「保証する債務総額保証に要する資金総額の十倍をこえることとなる場合には」というような規定があります。そして「奄美群島復興特別措置法第十条の三第一項の規定により、本基金に対して国から出資されたものとされた債権回収額及び回収見込額。」こういうことでありますから、今あなたの説明ではっきりいたしたわけであります。  そこで融資保証とのそれを別に分けて考えて、保証関係に使ってきたところの年度別保証資金保証金額、それがおわかりでしたら一つ示していただきたいと思います。つまり三十年度には幾ら保証資金があって幾ら保証金額を持っておった、三十一年度、三十二年度、三十三年度はどうやったか、三十四年度の計画はどうなっておるか、この点についてお示しおき願いたいと思います。
  6. 山本壮一郎

    山本説明員 保証業務幾ら保証するかということは、御承知のように保証資金幾らあって幾らやるということではないと思います。先ほど指摘がございましたように、要するに一定の保証元金を持ちまして、その十倍以内ということでございますが、普通内地等の例からいいましても十倍というのはやや危険でございまして、大体八倍くらいというのが普通の慣行ではないかと思うのでございます。そこでこの保証業務元金になります債権回収状況は一体どういうことになっておるかということでございますが、先に保証実績から申し上げますと、初年度は三十年九月から三十一年の三月三十一日まで、これの承継債権回収額は三百七十二万五千円でございます。保証いたしました額は一億一千百三十万円でございます。それから三十一年度におきましては、回収累計額が四千八百六十万円でございまして、保証実績は二億六千四百万円でございます。それから三十二年度はこの回収累計が六千五百十四万円でございますが、これに対しまして保証実績は三億四百七十二万円。なお三十三年度におきましては回収累計が八千三十五万円、保証実績が三億四千九百万円、こういうふうに相なっております。
  7. 川村継義

    川村委員 三十四年度の計画はそれへ加えてどうなっておるか、これはまあよろしゅうございますが、だんだん回収成績は上がっているようですけれども、われわれの方からすると、この大事な基金運用に必要な、特にその中の保証業務に必要な資金が、このような回収状況では大へん残念だという気がします。どうしてこのように回収成績が悪いのか。一体そういう債務者はだれなのか、それは団体なのか個人なのか、あるいは一般的な法人なのか、その辺のところを少し明らかにしてくれませんか。
  8. 山本壮一郎

    山本説明員 債権の内容につきましては、大体大きく分けまして三種類あるわけでございます。その一つグループガリオア物資代でありまして、いわゆる行政分離中にアメリカ政府からガリオア物資を受けまして、これは主として食糧でございますが、それを配給に当たりました団体等債務者になっております。大島食糧株式会社、それから大島農業協同組合連合会等債権の大きなものでございます。なおこれ以外に、つむぎの組合というようなものもございます。一つガリオア物資の見返りの債務でございます。それから第二は、協同組合中央金庫貸付金、これは当時アメリカ政府から全額出資されました特殊金庫貸付金でございまして、これの債務者は主として農業協同組合でございます。それ以外に漁業協同組合連合会もございますが、これまた大部分がそういう団体でございます。それから第三のものといたしまして、復興金融基金貸付金というのがございまして、これは第二のグループと同じような全額出資特殊金融基金でございまして、これの債務者はおおむね個人に相なっております。ただ御指摘のように回収が非常に悪いのでございますが、これはガリオア物資等を、内地でも同じようなことがいえるかと思いますが、特に奄美の場合は、この配給を受けました当時はほとんど無償配給ぐらいのつもりでおそらく事を処理したのではなかろうかというふうに想像されるのでございますが、その後これが債権ということになりまして、私どもの方に回収の責任が回わってきておるわけでございます。年々努力はいたしまして、少しずつ成果は上がってはおりますが、なお今後努力を要するところと思っております。
  9. 川村継義

    川村委員 大体今列挙されました農協であるとか、漁協であるとか、あるいは大島食糧であるとか、向こうの実態を私よく知りませんけれども、こういう名前を聞いただけでも、これはなかなか回収が困難じゃないかということが頭に浮かんでくるわけです。一体この国の債権管理者はだれになっておりますか。
  10. 山本壮一郎

    山本説明員 これは法律によりまして基金に対する出資金、こういうことになっております。直接には政府が継承いたしましたものでありますから、国の債権ということになるだろうと思いますが、現実の管理基金がやっておるんじゃないかと思います。基金の監督は大蔵大臣内閣総理大臣が両方でやっておる、こういう仕組みでございます。
  11. 川村継義

    川村委員 そうしますと、国には国の債権管理等に関する法律というのがありますが、これはその法律適用を受けておりますか。
  12. 山本壮一郎

    山本説明員 これは当然受けておることになっております。
  13. 川村継義

    川村委員 どうも少しあいまいなようでありますが、受けておるとすると、この国の債権管理等に関する法律に基づいて、いろいろと措置がとられねばならないと私は考えます。御承知通り督促規定もあるし、あるいは強制履行させる、そういう請求等規定もあるし、履行延期の処理に関する規定も、いろいろあの法律にはあると思うのですが、これらの回収できない分について今までどういう手を打ってきておるか、それを一つ明らかにしていただきたいと思います。
  14. 山本壮一郎

    山本説明員 御指摘になりましたように、この督促その他の適当な措置を講じまして、今まで回収に当たっておるわけでございます。ただ問題は、非常に資力の弱い、先ほど申しましたような債務者に対しまして、このままの金額をいつまでも債権として置いておくことがいいかどうかということは、私どもたびたび検討はいたしたわけでございます。ただこの履行延期とか、あるいは債権を若干カット・ダウンするというふうなことを現在いたしますと、今までにまじめに返して参りました人とのつり合い上、これはなかなか思い切ってそういう措置がとれないというふうな点もございまして、おっしゃいましたような点で、すっきりした手がなかなか打ちにくい。ただ永久にこのまま債権としてかかえておいていいかどうかということにつきましては、なおしばらく回収状況を見まして、適切な手を打って参りたい、かように考えております。
  15. 川村継義

    川村委員 今の考え方はよく納得いくわけです。国の債権であるから忠実に返していきたい。ネコババをきめ込んで、こんなものは返す手はないんだというような考え方に立ったり、いつかは国がそれを始末してくれるだろうなんということで、大島食糧であるとか、そういう連中が返さないということになりましたら、これは大へんなことになると思うのです。今あなたがおっしゃったような考え方は、私は妥当なものだと思います。思いますけれども、よく注意していただきませんと、一つ団体というものはえてしてそういう形にならぬとも限りませんし、これは将来奄美復興のいわゆる基金を作って、そうして保証関係等業務をやらせようとする目的に沿わない。従ってそれらの基金が少なくなるから、今度は別に貸付資金量をふやしていくというような措置をとらなければならぬようになってくる。われわれは今回の法案提出いたしましても、金額八千万出されることは私は少ないと思っております。もっと出してもらいたいと思いますけれども、そういう点を手抜かりにしておくことは、私は許されないのじゃないか、こう考えます。  そこで今の問題に続いてもう一つお聞きしますけれども、法第十条三の六項には、「基金は、第一項に規定する国から承継した債権に係る債務者債務履行が著しく困難となった場合において、当該債権貸付条件変更若しくは延滞元利金支払方法変更をしようとするとき、又は当該債権に係る債務者がその債務の全部若しくは一部を履行することができなくなった場合において、当該債務の全部若しくは一部を免除しようとするときは、内閣総理大臣及び大蔵大臣の認可を受けなければならない。」こういう規定がありますが、この規定は全然まだ今のお話の問題に適用はやっておらない、このように考えて差しつかえございませんか。
  16. 山本壮一郎

    山本説明員 先ほど申し上げましたように、昨年基金の中に融資業務を設置いたしますときに、私ども債権者を一応洗いまして、その後の返還状況等からいたしまして一部整理しようかというような考え方でいろいろ検討いたしたのでございますが、先ほど申しましたような趣旨からいたしまして、まだこの条項を適用いたしまして措置をいたしたことはございません。
  17. 川村継義

    川村委員 わかりました。それから第七項の規定ですが、いわゆる国から承継した債権回収に関する事務は、知事または金融機関にまかせておるわけです。鹿児島県知事、それから金融機関——金融機関は、これは政令によりまして銀行、信用金庫信用協同組合、こういうことになっておりますが、こういう一般の金融機関等にまかせておいて、先ほどお話があったような大島食糧とかあるいは農協とか、こういうものについてのいわゆる回収実績というものがはたして効果的にやっていかれるものかどうか、その辺の見解はいかがですか。
  18. 山本壮一郎

    山本説明員 これはまあ金融機関にこういうものをまかすということのよしあしにつきましては、いろいろ議論はあろうかと思いますが、何分基金そのものの陣容がそう十分でございませんし、債権者あるいは債務者相当数も多い、特に先ほど申しました第三のグループ復興基金債務者が非常に数が多うございまして、これらの債務者はまたいずれも別の必要から金融機関から金を借りましたり、こちらの方でまた保証をいたしましたり、あるいは新しい融資業務の金を借りるというようなこともございますので、やはり金融機関等にこういう事務の一部を委任してやってもらう方が能率が上がるのじゃないかというような考え方で実は進めておるわけでございます。こういうものを全然なしにいたしまして、基金の職員だけでこれをやって参るということになりますと、今よりはおそらく能率が落ちるのじゃないか、そういうような見解でございます。
  19. 川村継義

    川村委員 要するに、私たちが一番今この問題にぶつかって大きな問題として考えていかなければならぬというのは、いかにしてこの焦げついたところの債務回収して、そうして基金資金量をふやすかということにあると思うのです。この点については、やはり大蔵省あるいは自治庁の方々が全力をあげて一つその指導に当たってもらわなければならぬ。今申しましたように、知事やあるいは金融機関等にただまかせておかれては、おそらく予定の半分も実効が上がらぬだろう、こういう推測をせざるを得ないわけです。おそらくこれは政令その他でちゃんと規定してありましょうから、これらのこげついたところの債権について、債務者返還をするところの、あるいは国からとるところの償還期限の問題、あるいは利率等の定めがあると思うのですが、償還期限等計画もおそらく私はできていると思うのです。しかし初め作られたところのそういう計画書、出されておるところの計画書というものは、次から次へとくずれていくのをやり直していかなければならぬというのが現状じゃないかと思うのですが、当初の計画でかまいませんが、大体何年でこれを償還させる、あるいはどれくらいの利率でこれを償還させるというような計画になっているのですか。もしもその償還期限が無理であるとか、あるいは利率が高過ぎるということになると、法十条の三の六項を適用して、ある程度緩和措置を講じて、債務当事者が早急に返還できるように、やはり研究される必要があるのじゃないかと思うのですが、その点わかっておりましたら一つ聞かせておいていただきたい。
  20. 山本壮一郎

    山本説明員 償還期限なり利率につきましては、それぞれ債権種類、あるいは貸し出しの対象によりまして違っております。ものによりましては、すでに二十九年あるいは二十八年に償還期限の切れておるものもございます。これらにつきまして、利率につきましても日歩にいたしまして一銭八厘から四銭八厘までのものがございます。なお償還期限のおそいものは、たとえば三十六年とかそういうものもございまして、債権種類あるいは貸し出しの相手方によりまして、それぞれ全部一応の償還期限なり利率なりというものは確定はいたしております。これは債権性格上当然であろうと思っております。ただ問題は、おっしゃいましたように、それが計画通り回収されていないじゃないか、こういう点につきましては、先ほど来たびたび申し上げておりますように、私どもといたしましても、今後ともこの方面に一そうの努力をいたして参りたい。なお場合によりましては、御指摘になりましたように先ほどの法十条の三の規定等を使いまして、ある程度債権の整理をしていくということも、おそらく必要になってくるのじゃなかろうかと思うわけです。ただその実施等につきましては、先ほども申し上げましたように、去年、ことしと検討いたしましたが、まだその時期ではないということで、一応今までは見送っておりますが、今後その問題もあわせて十分研究していきたい、かように考えております。
  21. 川村継義

    川村委員 この点はもうくどくどと申し上げませんが、十分検討して至急に回収ができて、基金資金量等が豊富に運転されるように、一つぜひやってもらいたい。私は実はもう少し詳しく個人々々の債務状況等を聞きたいのですけれども、もうそういうことを一々ここで聞く必要はないと思います。もしも資料等がありましたら、いつでもよろしいから提出をしておいていただきたい。先ほどちょっと申しましたように、そういう債務者が、何かあとは国がしりぬぐいをしてくれるだろうということで、ネコババをきめ込まないように、ぜひ一つ注意をしていただきたいと思います。  それから政務次官がおいででございますから、ちょっとお伺いをしておきますが、今の基金保証業務について考えますと、これはいろいろほかの信用保証協会とのつり合いもあって、大体それと見合ってきめてあると思うのですが、保証金額最高限度に関する事項等によりまして、大体事業者一人にかかって最高は三百万とか、あるいはそのほか特に大臣等の承認を得た場合は三千万とか——これは団体等になるわけでありますが、こういう規定があるわけであります。その次に保証料に関する事項で、保証料は被保証債務の額に対し年三分以内、それから調査料保証申し込み額に対して千分の二以内、こういう規定になっておりますね。これは今申し上げますように、やはりほかの保証協会とのつり合いを見てきめてあると私は思います。しかし、それならば被保証者保証料を三分も出さなきゃならぬ、調査料も千分の二も出さなきゃならぬ。そうすると、銀行等から金を借りると銀行利子もこれに加算されるわけですから相当の高いものになりますわね。こういう点は、この奄美復興という観点からしてやはりもう少し考慮してやる必要が私はあると思うのですが、検討されたことがありますかどうですか。あるいは何か将来この問題について検討していくお考えなのかどうなのか、その辺のところを一つ聞かせておいていただきたい。
  22. 丹羽喬四郎

    丹羽(喬)政府委員 ただいま川村委員からの御質問でございますが、確かに保証料といたしまして年三分以内、あるいはまた調査料が千分の二、これを最高限に取りますということは、銀行利子その他を合算いたしますれば確かに高利になることは当然でございまして、この点は奄美後進性から考えまして、産業開発重要性から考えまして、できる限りそれらの手数料あるいは保証料金を引き下げることが望ましい、ことでございます。これらの料金率というものは大体内地保証協会並みの率でございまして、それがいいか悪いかということにつきましては従来も二、三検討いたした次第でございますが、ただいまはまだそのままになっている次第でございます。しかしながらただいま御指摘のように、せっかくいたしましても債権回収に支障を来たすとか、あるいはまた産業開発土それだけの高利になれば借りにくいとかいうようなことも多々あろうかと思う次第でございまして、将来におきまして十分検討させまして、できるだけ低利な料金利率にして参りたい、こう思っている次第であります。
  23. 川村継義

    川村委員 どうぞ一つそういう点を十分検討して、奄美復興の特殊な事情を考慮されて御努力を願いたいと思います。なおそのほかに延滞した場合には日歩二銭とかあるいは残ったものについては日歩五銭とか、いろいろほかとのつり合いを見てそれは作ってあるとは思いますけれども、どうも少し、高過ぎはせぬかと思うのです。その点も一つ十分御検討願いたい。  それから融資業務につきましても、この前行政局長にお聞きしたときには、個人に対する貸付は大体二十万程度ということになっております。特殊の場合には五十万、それもこの業務方法書には示してあるわけでありますが、連帯保証等の場合には二百万、こういうふうになっております。ところが、貸付利率はどれだけかと聞いたときに、大体一割程度だ、それよりも安いものもあるようだ、こう言っております。しかし一割ということになりますと、この奄美復興の特殊な基金性格から考えても、貸付利率としてはこれは高いと私は思う。その点では行政局長もなるだけ安くするように努力したいとお話をしておりました。御承知通りに、私がここで一々例をあげるまでもなく、全国的に見ても開発銀行とかあるいは輸出入銀行とか、こういうものが大企業やそのほかのものに貸し付けておる貸付利率というものは非常に低いですね。六分とか七分とか、高くても八分とか、そういうのがたくさんあるわけです。ところがこれを一割ということになりますと、この融資業務は、目的に示してありますように、ほんとうにこの復興事業を営もうとする中小規模事業者に貸していくわけですから、一割なんかとられたら大へんなことになる。そういう点はあなたの方でやろうと思えばできることでありましょうから、十分一つ基金を指導されて、この利率を下げていくという点をお考え願わなければならぬと思います。  そこでこの前いただいたこの表の、資料の中で、昭和三十四年十二月三十一日現在業種別融資状況というのがあるわけですが、これが大体三十四年十二月で八千五百八十八万五千円という融資実績が上がっている。これを農業、林業、水産業、製造業、鉱業、建設業等とずっと見て参りますと、これはほとんど一件二十万以下の融資になっておる。これは振興課長にちょっと聞いておきますが、このあげられてある資料の今の貸付利率はどれくらいずつになっておりますか。この十二月三十一日現在の業種別融資状況の資料による農業とか林業とか、こういう小口の——大体一件二十万程度、それ以下の貸付になっておりますが、これの利率はどれくらいで貸しておるのですか。
  24. 山本壮一郎

    山本説明員 前回の委員会で局長が一割程度ということを申し上げましたが、ちょっと説明が足りなかったようでございます。御承知のように業務方法書には一割以内ということになってございますが、私ども融資の対象が大体農林漁業金融公庫がやっております融資事業と同じものにつきましては農林漁業金融公庫並み、それから中小企業金融公庫と同じような対象につきましてはその利率でいきたいということで現在指導いたしております。従いまして今御指摘になりました大部分の農林関係の事業につきましては、畜産等その他の資金になりますので、これは七分五厘の貸し出しをいたしております。ものによりまして中小企業金融公庫と全く同じようなものにつきましては、中小企業金融公庫並みの九分三厘というのをとっておりまして、あくまでこれは農林漁業金融公庫なり中小企業金融公庫なりの、対象は同じであるけれども、金融ベースに乗らないがゆえに中小企業金融公庫や農林漁業金融公庫から借りられない人たちを救う。従ってそれらの系統金融機関貸し出しができないものを私の方の基金貸し出しをする。利率につきましては安いに越したことはないわけでございますが、いろいろこういう金融関係の金融べースを乱してはまずいという配慮もございまして、利率はそれぞれ対象によりましてそれらのものに合わして実施いたしております。この点御了承いただきたいと思います。
  25. 川村継義

    川村委員 いろいろ基金の運営上には問題点があると思いますが、先ほど申し上げましたように、こげついた債権をできるだけ至急に正常な形に返すというような努力をしていこうということと、融資あるいは保証等、貸付の条件等も一つぜひ再検討してもらう。奄美復興の今日の状況から見て、またその奄美の非常に経済力の弱い諸君に対する仕事でありますから、十分検討していただくということを一つ要望しておきたいと思います。  それからその次に復興事業の問題でございますが、御承知通り昨年の九月、本委員会から三名の方が奄美に国政調査に行かれまして、その結果が委員会で報告されました。私はその委員会の報告に基づいて実はいろいろ見解をただしたいと思いますけれども、一々やっておりましたら時間がとても足りませんので、その中から二、三の点をお聞きしたいと思いますが、まず第一にお聞きしておきたいと思いますことは、奄美復興計画について、初めにいわゆる昭和三十三年度までを目途とする五カ年計画、それから三十八年度までを一応目途とする十カ年計画が立てられた。いわゆる改定がなされたわけでありますが、その中で私が疑問に思うのは、重要なる復興計画の骨であるところの、柱であるところの国土保全というような計画について、改定計画では事業費においても国庫の支出においても相当減額をされておる。これは一体どういう理由によってそういう改定計画がなされたのか、これを明らかにしていただくことが第一点。  それからその次は、同じように復興計画一つの柱であります基幹産業の復興及び特殊産業の開発というようなのが重要なるウエートを占める計画であります。その中で特にいろいろ問題と考えられる点がございますが、亜熱帯作物及び糖業というような事業計画がこれまた大きく国庫の支出が減っておる、その理由は一体何なのか。それから同じように水産業についてもそれが言える。いわゆる当初の計画と改定計画では、事業費及び国庫の関係においてこれまた相当の減額を見ておる。これは一体どういう理由によるものなのか。こういう点を一つ初めに、改定計画のねらいとするところ等を合わせて説明をしていただきたいと思います。
  26. 山本壮一郎

    山本説明員 ただいま御指摘になりました第一の国土保全の点でございますが、当初の計画が非常に時期間ぎわの倉卒の間に立てられたということも理由があろうかと思いますが、ああいうところでございますので、たとえば海岸堤防など非常に大きな計画を当初いたしておったのでございますが、それよりもむしろ産業復興面に力を入れるべきじゃないかというふうな考え方で、国土保全関係の事業というのが若干落ちてきたというふうに私は理解いたしております。  それから基幹産業、農林水産業の関係で国庫そのものが落ちましたのは、たとえば亜熱帯植物特に砂糖関係では、製糖工場等が開銀その他の融資でやれるようになりましたので、国庫そのものとしては落ちて参っております。全部融資事業の方に振り変えたということでございまして、全体の事業費から申しますと、これは御承知のようにふえておるわけでございますが、融資業務に振りかわった点で、おそらく国庫そのものは減ったのじゃないかというふうに考えております。水産業等につきましても同様でございまして、漁船等は全部融資の建造に回すことになりましたので、むしろ国の経費は減りましても、全体の事業費そのものは十分確保できる。むしろ御承知のように、当初計画よりも二回目に立てました改定計画の方が相当大きな事業費になっておることは御承知通りでございます。
  27. 川村継義

    川村委員 大体資金関係でそういう格好になった、こういうのがあなたの御説明のようですが、あとでちょっと聞きたいと思いますが、たとえば製糖工場の問題にしても、私に合点のいかないところが一つある。計画書を見ると、百トン二カ所、五十トン四カ所、三十トン二カ所、十五ドン五十八カ所、十トン二カ所、こういうような計画になっておる。ところが聞くところによると、三十四年から千二百ドンの工場を六カ所作る計画がある、こういうことですが、復興計画による製糖工場と、今私が申し上げました千二百トンの大きな工場を作ったというのは関係があるのかないのか、この辺のところはどうなっておりますか。
  28. 山本壮一郎

    山本説明員 千二百トン工場を六カ所も作ったということは私ども承知いたしておりません。ただ三十四年度、これは三十四年当初でございますが、例の関税の引き上げなり砂糖消費税の引き下げによりまして、奄美におきましても分蜜糖工場が十分採算がとれるというふうな事情の変化がございまして、これに基づきまして分蜜糖工場ができかけておることは事実でございます。三十四年度国の融資を受けて作りましたのは三百トン工場が一つ、百五十トン工場が一つあと百トン工場が一つ程度でございまして、千二百トン工場が六カ所というのは何かのお間違いじゃないかと思います。復興計画全体のワクから申しますと、この製糖工場の計画は実は小さいのでございます。と申しますのは、改定計画を立てましたときには、まだ奄美におきまして、そういう大規模な分蜜糖工場の進出がおそらく可能であろうという見通しがなかったわけでございます。黒糖工場は、せいぜい五十トン程度の近代式なものにかえていくという程度計画であったものが、先ほども申しましたような事情で、三十四年度から大幅に分蜜糖工場が進出いたしておることは事実でございます。しかし分蜜糖につきましても、これは三十八年度までかかりましても、千二百トン工場が六つもできるというふうな計画は、私ども全然承知いたしておりません。せいぜい全体で千トンないし千五百トン、全部合わせましてその程度のものが分蜜糖に転換すればいい方じゃないかというふうな見込みでおる次第でございます。
  29. 川村継義

    川村委員 あなたがそうおっしゃれば、私の聞き間違いかもしれません。それではこの復興計画事業に関係のないところから、いわゆる中央の大資本を擁するような製糖工場がそこに出ていったというようなことはありませんか。
  30. 山本壮一郎

    山本説明員 奄美群島に限りまして、たとえば製糖工場等は、いずれも復興事業計画に入れまして、その計画に基づかなければ開銀も融資をしないという方法をとっておりますので、あるいは沖縄等とお話が混同しているのではないかと推察できるわけでございます。奄美群島におきます限り、先ほども申し上げましたように、全体将来計画を入れまして、分蜜糖工場が千五百トンまでも上げれば精一ぱいじゃないか、これは今の見通しでございます。
  31. 川村継義

    川村委員 それから先ほどの国土保全の問題でございますが、いただいた資料によりまして進捗率を見ても、これは全体の計画の進捗率からいうと、一番悪いですね。その悪いところの事業を、どうして融資等によって振りかえていったのか。初めの計画は大体国庫補助等でやろうとしておったのを融資に持っていったのか。特に奄美のように、常にあなた方も説明しているように、今度の大臣の提案理由にもありますように、非常に経済基盤が弱い、経済力が小さい。そういうところにどうして事業費の大部分を融資に振りかえていくというような考え方をしておるのか、ちょっと私たちから考えると合点がいかないところですが、何か説明をしておいていただけますか。
  32. 山本壮一郎

    山本説明員 先ほどの国土保全の事業計画が減ったのは実は融資ではないのでございます。その点私の説明が不十分なら訂正いたしますが、国土保全を、最初の計画が非常に大きかったので改定計画で縮めましたのは、国土保全もなるほど大事ではありますが、たとえば砂防にいたしましても、海岸堤防、海岸の護岸でございますが、ああいうところに相当大きな金をかけまして大規模の海岸護岸を築くということよりも、もっと先にやる仕事があるのではないか、そういうような考え方から実はその方の計画を改定計画では若干縮めまして、なお改定計画実施状況も非常に御指摘のように一番悪いわけでございますが、これは私どもはその他産業の基盤になります陸海空の交通の整備、たとえば道路、港湾の整備であります。それから基幹産業の復興、その他文教施設なり社会保険、衛生施設等民生に直接関係のある方を急ぎまして、国土保全の方は若干あと回しになっておるというのは事実でございます。私も現地を見て参りまして、あの海岸は、海岸堤防のりっぱなものを築くに越したことはありませんが、一日でも早く船をつける港を作る、あるいは道路を整備する、あるいは倒れかかっておる学校を作るということの方が先ではないか。決して国土の保全が大事でないという意味ではございませんが、比較いたしました場合の緩急順序からいたしまして、むしろそちらの方を一日も早くやりたいという関係から、全体的な進捗率を見ますと、国土保全がおくれておるような結果になっておるようなわけであります。
  33. 川村継義

    川村委員 いろいろ問題があるのですが、そのうちの奄美の大事な産業であります黒砂糖、サトウキビの問題について、農林省の食糧庁の部長さんもおいでになっておりますので、一つ皆さん方から御意見を承っておきたいと思います。今日奄美の黒糖の問題についていろいろとその苦境を訴えられて、皆さん方にもいろいろな意見が述べられておると思います。この前の委員会で保岡委員からもいろいろそういう点をお聞きになっております。皆さん方の考え方も大体わかるわけでありますが、ところが私が疑問に思いますことは、今日の奄美の黒糖事業を現状のままに、見捨てるというのはおかしいけれども、しておいていいのか。この前の部長の話ではないけれども分蜜糖に移行するのが当然の趨勢であるから、そちらの方へ持っていくようにしなければならないというような御意見と私ども聞いたわけですが、しかし必ずしもそれが一挙にできるわけではないと思いますから、奄美の住民の今日の状態からして、特に農村の状態からして、サトウキビを栽培しておる諸君の生活、所得等のいろいろの水準等を考えてみると、やはり黒糖については、サトウキビ栽培等の問題については、相当な考慮をしてやることがやはり政治的な責任ではないかと私は思っておるわけです。  そこでちょっと村田部長にお尋ねいたしますが、今日日本の砂糖の状況はどういうふうになっておるのか、国内の需給関係はどういう状況にあるのか、テンサイ糖の生産量はどれくらいあるのか、黒糖はどれくらいあるのか、それから将来の日本の甘味資源の考え方はどういう立場に立っておられるのか、ちょっと御説明をいただきたいと思います。
  34. 村田豊三

    ○村田説明員 御承知のようにわが国は、砂糖と申しますか、甘味料の自給度の非常に低いところでございまして、大体国内で消費いたしまする甘味の九割は輸入に依存しておるような状況でございます。昭和三十四年度におきまする甘味の消費の見通しを御参考までに申し上げますると、消費の見込みが年間大体百三十万トン程度でございまするが、そのうち国内の産糖で自給をいたしますものが、二十四、五万トン程度でございます。この二十四、五万トン程度の国内自給甘味資源のおもなるものは御承知通りテンサイ糖が十四万トン程度、沖縄の席糖が——便宜沖縄も入れておりますが、これが四万トンないし五万トン程度、それから奄美群島の黒糖が大体三万トンないし四万トン程度、それから最近結晶ブドー糖その他のブドー糖の生産を奨励いたしておりますが、これが一、二万程度というふうな状況に相なっておりまして、甘味の自給度が非常に低い、こういうことになっております。そのために昨年甘味資源の自給対策十カ年計画というものを樹立いたしまして、今後十年間に少なくとも国内の甘味の需要の半分程度は自給をして参るようにしていきたい。もちろん今後十年間に人口の増加あるいは所得の増加等に関連いたしまして、国内の砂糖消費というものも相当伸びることは当然予想されておりますけれども、それを予想に入れましても、なおかつ半分程度は国内のビート糖あるいは西南諸島におきまする分密糖あるいは結晶ブドー糖等によって自給して参りたいという対策を立てておるような次第でございまして、そのために御承知通り昨年から消費税と関税の改定措置もとりまして、目下国内甘味資源の増産対策を鋭意推進いたしておるような状況でございます。  なお関連して御指摘のありました奄美群島におきまする黒糖生産の問題でございますが、ただいまも申し上げましたような関税並びに消費税の改定措置によりまして、なるほど奄美群島におきましても分蜜糖の生産が可能になって参ったのでございまして、その点御承知通りでございます。そのために目下数工場がその分蜜糖化の建設計画を推進しており、一部はすでに生産の段階に入っておるのもあるやに伺っておるのでございますが、ただいま御指摘のございましたように、さればといってそのために従来の黒糖の生産が分蜜糖に完全に移行してしまえばそれでよろしいという筋合いのものでもないと存じます。御承知のように奄美群島におきまする黒糖生産というものは、非常に零細な家内工業的な生産が非常に多いのでありまして、これらの零細な黒糖生産家が一挙に大規模に切りかえるということは不可能でもございまするし、また現在の奄美群島地方におきまするサトウキビの糖度の性質から申しましても、あるいは時期的にどうしても黒糖をある程度生産した方が採算的にも有利なような状況も出ておるようでございまして、いずれにいたしましても非常に零細な、しかも多数の黒糖生産家が散在をしておるのでございます。これにつきましては、もちろん農林省といたしましてもこの対策には苦慮いたしておるのでありますが、目下鹿児島県当局におかれまして、それらの黒糖生産農家の実態につきまして詳細なる実態調査などもやられておるようでございまして、私どもも絶えず鹿児島県庁とよく連絡をとっております。またこれは中央におきましても、ひとり農林省のみならず、自治庁等とも十分連絡をとりながら、この問題については慎重に対処をして参らなければならぬかと思っております。
  35. 川村継義

    川村委員 次に農林省あるいは自治庁見解を聞いておくわけでありますが、いろいろこの黒糖の生産状況を見て、今お話しのような御意見ではございますけれども、私こういう点はしろうとでございますが、一つどうしても合点のいかない問題がございますのでお聞きするわけです。奄美大島の黒糖の生産は、もう食糧庁あたりは御承知通りに、大正六、七年度においては一万六千五百四メトリック・トンという生産量を上げております。それから大正の終わり方、昭和の初めになりまして一万トン台の生産数量が七千台あるいは六千台に落ちておる。これが一つの問題であります。それから昭和の中期からまた回復いたしまして一万台に入って参っておりますが、太平洋戦争が始まってから急激に落ちております。これは当然だと思います。特に昭和十九年、二十年、あるいは二十一年のごときは七百台、五百台に落ちておる。それから終戦後漸次回復いたしておりますけれども奄美日本に復帰するころまでにはやはり七千台、九千トン台の生産量でございます。それが奄美が復帰してからようやくまた一万台に上がってきた。ところが昭和三十一年—三十二年、昭和三十二年—三十三年、それから三十三年—三十四年とだんだんまた減産の傾向が現われておる。これは一体何が原因なのか。三十年—三十一年は二万二千七百六十二トン出しておる。ところが三十一年—三十二年は一万五千四百五十二トンを出しておる。これは大蔵省の調査であります。昭和三十二年—三十三年は一万八千トンを出しておる。三十三年度は一万七千トン、こういうようにだんだん落ちてきておるのであります。これが一つの問題だと私は思います。  それから、それに比べて沖縄の方を考えてみると、大体似たような傾向はたどっておりますけれども、いわゆる戦時中に非常に大きな減産をして、戦後逐次復帰して参りまして戦前並み、大正の初期に非常に生産量が上がっておったときのように、沖縄はだんだん生産が上がって参りまして、今や五万台を突破いたしております。沖縄の方は逐次黒糖生産が年度別に伸びてきておるのに、奄美の方は減っていく傾向が、この統計の数字で表われております。私が申し上げておりますのは、初めの方は砂糖配給公団の資料で、あとの方は大蔵省の資料でありますが、この沖縄と奄美の黒糖生産のカーブを比べた場合に、一体何が原因なのか、一つ皆さん方のお考えを聞いておきたいと思います。  それからいま一つは、北海道におけるテンサイ糖の生産量でありますが、これは御承知通りにものすごく伸びてきておりまして、昭和三十年度には五万トン台であったのが、昭和三十三には十二万トン台に飛躍しております。こういうようなことを考えると、先ほどの課長のお話でありませんけれども、私は奄美の黒糖に対する政府の政策というものに手抜かりがあるのじゃなかろうか、こう思われて仕方がありません。この点一つ、私が今大ざっぱに数字を申し上げましたが、それらの見解をお聞かせおきいただきたい。
  36. 山本壮一郎

    山本説明員 御指摘のように戦後順調に黒糖の生産が伸びて参っておったのでございますが、実は三十一年から三十二年度にかけての数字というのは、この年が異常な災害年でございまして、非常に減っておるわけでございます。私の資料では、翌年の三十二—三十三年度は相当回復をいたしておるのでございますが、あるいはお手元の資料と若干食い違うかもしれません。たとえば三十—三十一年度は、これは斤で申しますと三千七百九十三万、三十一—三十二年は非常に落ちまして二千五百七十五万、それから三十二—三十三年は三千五十七万まで回復いたしまして、三十四年度はさらにこの三十三年度の二、三割方増収の見込みである、これは現在集計中でございます。従いまして戦後のカーブからいたしますと、この三十一—三十二が非常に悪いのでございますが、この年は非常な災害がございまして特別にキビのできが悪かった、こういうように理解いたしております。その後地力増進、あるいはその他品質改良、植栽方法の改良等を指導いたしまして、それから若干の増反もいたしますので、砂糖は順調に生産が上がっておるように私どもは理解いたしておるのであります。問題の三十一年から三十二年にかけましては、異常な災害のためにキビが非常に減ってきておるというわけであります。
  37. 川村継義

    川村委員 今振興課長はそのように答弁しておられますけれども、三十一年—三十二年度の減産は確かに台風等の災害の影響だということはわかります。ところがこれにはいろいろ見方があると思います。自治庁の見方あるいは農林省の見方、いろいろあると思いますけれども、もう一つ問題となるのはこういう点であります。たとえば奄美大島のサトウキビの面積、あるいは産糖高というものを見て参りますと、昭和十三—十四年度は三千六百三十五町歩栽培しておる、そして反当産糖量は九百七斤になっております。今あなたが非常に順調に伸びておると言っておられますけれども、三十二年—三十三年を見てみると、大島のサトウキビの面積は四千四百二町歩になっておる。ところが反当の産糖量は六百九十四斤しかない。こういうことを考えると、耕作面積と反当の産糖収量というものが戦前に比べて非常に悪いということが考えられる。これは指摘できると思う。そうなるとやはり農村民自体に問題があるのか、あるいはサトウキビを栽培してもこれはどうもうまくいかぬ、今内地の農村が小麦栽培に全く意欲をなくしているのと同様に、そういう原因がひそんでいるのじゃないか。あるいは大工場等の進出によってサトウキビの価格が押えられていくような点で、黒糖の価格が押えられていくようなところで生産意欲をなくしているのじゃないか、そういう点を私指摘できるのじゃないかと思うのです。
  38. 山本壮一郎

    山本説明員 先ほど私の説明に少し言葉が足りなかったのでございますが、戦後の傾向といたしましては一応順調に生産がふえておるように思います。ただ御指摘のように反当収量等からいたしますとまだ戦前に達していない、これは御指摘通りでございます。この点につきましてはおそらく戦時中の土地の荒廃その他いろいろ原因があろうかと思いますが、私どもは少なくとも戦前を上回るような反収にまで引き上げたい、あわせて増反によりまして全体の生産を上げていきたいという考えでおります。  今御指摘になりました中で大規模工場ができたからサトウキビの生産意欲を失なっておるのではないかという御意見がございますが、この点は私どもが聞いておる限りにおきましては、今のところはないように理解いたしております。農民にも最近作ればできるのだというふうな一種の欲といいますか、そういうものがやはり出て参りまして、共進会等やりますと、反収がずいぶん——これは先ほどおっしゃいましたなまの砂糖で、キビで申しますと、大体今七、八千斤というのが反収でございますが、ところによりましては五万斤から上げておる、あるいは七万斤をとったという話も聞いております。土地改良その他栽培技術等の効果も目に見えて上がってきておるところもあるようでございます。そういう点が刺激になりまして、全体の生産意欲は徐々に上がっていくのではないかというふうに考えております。キビの生産にいたしましても、反収を少なくとも戦前の三割方くらい上のところ、一万二、三千斤までは持っていきたいということで、支庁におきましてもいろいろ農業技術の指導をいたしております。こういう傾向は今後とも伸びて参るだろうということは私は予想いたしておるような次第でございます。
  39. 川村継義

    川村委員 お言葉ではありますけれども、少し甘いんじゃないでしょうか。あなた方の計画あるいは意欲、それはわかります。現実はそうじゃないんじゃないか。私、先ほど大きな工場が千二百トンのやつが六カ所できたと言ったが、それは私の誤りと思います。六カ所というのは、六カ所で千二百トン生産をする。こういうことだろうと私は了解するわけですが、そういう工場ができて、今まで小型工場が三十三年度まで作られたのは、私の聞ているところでは十トンのものが二つ、十五トンのものが五十八、三十トンのものが二つ、五十トンのが二つ、これに一億七千四百万程度の費用を使っている。その中で補助金から六千八百六十二万円だけもらって、残りの一億というのは融資か自己資金でやっているのであります。こういうのが今の農協等の小型工場、いわゆる復興計画に基づいて作られたものであると思いますけれども、これらの工場が今非常に経営が悪いと言われております。これは昨年の八月視察においでになった委員の方々の報告書にも載っております。黒糖生産に対する経営が悪くなってどうにもにっちもさっちもいかなくなっておる、赤字を出しておる、仕事はうまくいかない、閉鎖のうき目にあっておるところのそういうものも出てきたということであります。そういうことを考えると、せっかく国がその金を出してこういう工場を作らせてみたけれども、そのほかの大きな資本の進出によるところの工場の力というものが左右してそういう状態に追い込んでいったということも、これは考えられるわけですね。こういう点をやはり復興計画を進められる上においては十分検討をされる必要がある。  そこで第一にその点についてお伺いしたいことは、それら経営の困難な小型工場について何かこれをりっぱに持ち直すような計画がありますか。これは自治庁と農林省の方にあわせてお聞きしておきたい。  それといま一つは、この前、課長のお話では別に黒糖についてのいろいろな保護政策は今のところ考えていないというようなお話でありましたけれども、北海道のテンサイ糖が先ほど私が申し上げましたようにぐんぐん生産量が伸びているのは、それは支持価格を持っている、あるいは作られた砂糖についても政府で買い上げてやっている、非常に手厚い保護が加えられておるのが北海道等のテンサイ糖の製糖が伸びておる大きな原因だと私は考えております。これは日本の国の製糖業を盛んにするためには非常に大事なことでありますけれども、同様にこの黒糖についてもやはり何かそういう手当を考えてやる必要があると思うのですが、いかがでございましょう。あとの点は一つ農林省の方にその見解お尋ねしておきたいと思う。
  40. 山本壮一郎

    山本説明員 御指摘のように、分蜜糖の大規模工場が進出いたしましたので、これに伴いまして既存の小規模の黒糖業者が非常に影響を受けるという点につきましては、お話通りでございます。私どもといたしましては、奄美の復興計画実施いたしていきます上におきまして、ある程度分蜜に変わっていくという趨勢は経済の必然からいたしまして避けられないと思います。従いまして問題は、奄美全体におきまして将来の産糖をどの程度に見込むか、そのうち何割を分蜜に持っていくか、残る何割を黒糖工場でやっていくかということの基本的な計画を立てまして、その上に、立って残る黒糖工場の立ち行くような方策を考えなければならぬということだろうと思うのでございます。そういう点につきましては、現在鹿児島県におきまして、将来の作付計画あるいは技術指導等、それからどれくらいの生産量を見込むかというふうなこと、あわせまして現在の小型黒糖工場の現状等につきまして目下現地におきまして詳細な調査をいたしておる段階でございます。いずれこの調査ができ上がりましたならば、先ほど申しましたような点につきましてもう一度基礎的に十分練りまして、しかるべき対策はどうしても立てなければならぬ。いろいろ現在やかましく言われておるように補償の問題等も起こってくる可能性があるわけでございます。これらの問題を含めまして十分根本的な将来の対策というものをこの際立てていきたい、かように考えておる次第でございます。実は調査を待っておる、こういうところでございます。
  41. 村田豊三

    ○村田説明員 御指摘通りテンサイにつきましては、てん菜生産振興臨時措置法という法律によりまして、できましたテンサイの一部のものにつきましては、政府が買い上げの措置をとって参っておるような次第でございます。奄美群島におきまする黒糖につきましても、実は黒糖の価格安定という見地からもそういう買い上げのような措置がとられないかという御意見は、われわれもときどき耳にするのでございますが、黒糖の保管、管理、技術上の困難な問題等いろいろございまして、黒糖を政府が買い上げるというところまでのふん切りがつかないで今日まで参っておるような次第でございます。ただし、黒糖生産の安定につきましては、ただいま自治庁からも答弁がございましたようないろいろな角度から今後さらに検討して参る必要があると考えております。
  42. 川村継義

    川村委員 お気持はわからぬでもないのですけれども、たとえば奄美の農村の諸君は、いわゆる糖度十八度で三千八百円出してくれないか、こういうことを強く要求しておる。おそらく私は最低の要求じゃないかと思うのです。ところがいわゆる製糖工場等の会社側では、これを十八度で三千三百円で押えておる。これは六社協定というものだそうです。御存じだと思いますが、六社協定というのは一体何だということをわれわれは思うわけです。三千八百円で買い上げてくれると、今の問題もほんとうに緩和していく。それを六社協定等では三千三百円で糖度の十八度を値段をつけていくということになりますから、こういう問題が解決できないというのも一つの問題だと思います。こういう点は、一つ皆様の方でよく調査をしてもらわなければ、そうして適切な処置を打ってもらわなければ、ただ県庁の計画がどうだ、県庁の調査がどうだということでは、やはり奄美の黒糖業の明るい見通しは出ないと思う。すべからく平均反当収量を戦前ぐらいに上げてやる、あるいは価格も農村のサトウキビを栽培しておる諸君が生活に支障ない程度の施策を講じてやるということは、これは県庁にまかせておくべき問題ではなくて、皆さん方がよく検討しておやりになるべき問題だと思います。そこでいろいろ聞きたいのでありますけれども、そういうような問題が当面あると思います。一つは、小型工場が非常に危険な状態であるのをどうするかということ、あるいは黒糖の買い上げ価格の問題あるいはこれのいわゆる保護政策の問題等がありますから、これは一つ農林当局及び自治庁当局が十分検討されて奄美復興のその目的を達するためにやっていただかなければならぬ、このように考えます。  それからその次に水産業の問題を一つお聞きしておきたいと思いますが、先ほど私は復興計画のところで、ちょっと大ざっぱなあれを聞いたのでありますが、水産業についてもいろいろ計画はなさっておるようでありますけれども、どうも私たちが知るところではうまくいっていない。これもこまかな問題を取り上げるといろいろありますけれども計画によりますと、小型漁船の建造及びその動力化等のいろいろの計画がありまして、けっこうだと思います。ところが皆さんも御存じと思いますけれども昭和三十三年度までいわゆる復興計画によるところの小型漁船の建造等は、一体どれくらい作られたか。それからそれについてどれくらいの金が融資されておるか。これを聞かせておいていただきたい。
  43. 山本壮一郎

    山本説明員 漁船は、これは御承知のように融資によって建造いたしておりますが、昭和三十年度におきまして十六隻でございます。七千九百二十九万円貸付金額がございます。それから三十一年度が十隻でございまして、三千七百三十七万円、三十二年度がちょっと隻数ははっきりいたしませんが、五千六百二十三万円、それから三十三年度が一千九百十万円、合わせまして一億九千百九十九万円という貸付金でございます。全体の隻数は、合計で三十三隻かと考えております。
  44. 川村継義

    川村委員 融資金額は一億九千百九十九万円、それから隻数は私の調べたところでは、あなたは今三十三隻と申しましたが、三十五隻ぐらいあるのじゃないかと思いますが、それはとにかくそれでよろしゅうございます。この建造された船ですが、これはこの奄美復興計画によって船を作るのはだれでもいいのですか。これは日本人であればだれでもかまわないわけですか。奄美大島に住んでおる人、奄美大島で仕事をする人というような資格要件というものがございますか。
  45. 山本壮一郎

    山本説明員 これは奄美復興事業の一環として、つまり奄美の復興に従事していただく方であればいいわけでございます。
  46. 川村継義

    川村委員 そこで私疑問に思うのです。たとえば三十三年度まで三十五隻——三十三隻でもいいのですが計画ができた。そのうちでせっかく作っても奄美の水産業の振興には何ら役立っていない船が相当ありますね。いわゆる船籍もよその港にある。それからその中には名前だけ奄美の名瀬市なら名瀬市に置いておいて、実際の実在の人物はいないというような問題、それから船を作ってあの辺のカツオとかマグロとかそういうような水産業に従事するけれども、それらの水揚げは全部ほかの内地の港に持ってきておる、こういうのがたくさんあります。日本全体の水産物の生産高を考えると、何も異論はありませんけれども、やはり奄美の水産業の振興ということから考えると、船の籍もよその港にあるし、水揚げも全部焼津とか、大阪とか、そんなところに持ってきて揚げているということになるならば、これはだれでもいいといっても、奄美の復興に何もならないじゃないですか。その点はどうですか。
  47. 山本壮一郎

    山本説明員 奄美融資事業で作りました漁船が、御指摘のように水揚げ場所が奄美でないというケースは相当あるようでございます。これは御承知のように奄美には遠洋漁業の基地がないわけでございます。たとえばマグロやカツオ等の遠洋漁業をやります場合に、水揚げ場はどうしても焼津その他の内地の基地を利用せざるを得ない、こういうことに相なって参ります。それでは奄美の振興に全然役に立たないじゃないか、こういう御意見もあるのでございますが、しかしながら奄美の将来の漁業の振興を考えますときに、奄美の漁民が遠洋漁業というものになれていない、奄美出身の漁夫も遠洋漁業の船に乗り込みまして漁業を習う、また奄美大島の人がそういう遠洋漁業をやりまして、その水揚げを内地に持っていきまして、漁獲高を上げていくということ等を考え合わせますと、あまりそれを狭く解釈いたしましても、将来の発展にならぬのじゃないかという点もあるわけでございます。融資事業でありますので、一応やりたいという人で、それが金融べースに乗りますと、金融機関の方では融資をつけてしまう。つけてしまいましたあとで、全然奄美関係のないところへ、言葉は悪いのですが、逃げていってしまったという例も、今まで一、二あるようでございます。そういう問題につきましては、そういう人たちには将来融資をしないことはもちろんでありますが、それで穴のあきました分は、新しく船を建造するなり何なり、しかるべき手を講じなければならぬということでございますので、必ずしも全部の船が奄美を基地にして現在活動しておるということではございませんが、先ほど申し上げました遠洋漁業等につきましては、全然基地がないわけでございます。もちろんこの基地を作るという問題は、大事な復興事業の問題になってこようかと思いますが、現在までのところでは、やむを得ず焼津その他の港を基地にいたしまして活動いたしております船も、相当あることは事実でございます。
  48. 川村継義

    川村委員 先ほど申しましたように、それは日本全体から考えると問題はないと思うのです。ところが、奄美復興計画に基づいて融資が出て、これをやらせるわけなんですから、それはやはり何かの条件をつけなければならないのではないか。船の乗組員もよその者を使う、船籍もない、こういうことは、やはり何といったって問題じゃありませんか。船籍があれば、たとえば名瀬市なら名瀬市に船籍があれば、それは名瀬市の固定資産等の幾分の収入にもなるわけですね。これはほかの問題かもしれませんが、そういうことを考えないで、ただやりたいというから奄美復興計画に乗って融資をさせて、全然別の方から出かけていってやるということは、ちょっと何か割り切れないものがありますね。これはちょっと研究してもらいたい。やはり何かの条件をつけて、奄美の諸君を船に乗せて使うとか、あるいは船籍は必ず奄美のどこかの港におけというようなことくらいは考えて融資をする必要がある。これは政務次官どうでございましょう。私の考え方は間違っておるでしょうか。
  49. 丹羽喬四郎

    丹羽(喬)政府委員 ただいまの川村先生の御意見の通りと存じます。私の方でも十分研究いたしまして、せっかくの資金でございますから、奄美の復興に直接役立つように、それがよそに逃げていかないように十分研究させるつもりであります。
  50. 川村継義

    川村委員 どうぞその点は十分一つ御検討願いたい。今の問題でありますけれども、御承知でございましょう、西俣嘉という人がおりますね。この人は三十三隻かの中で八隻か作っているのですよ。相当大きな融資を受けている。この人はだれかというと、前の水産課長じゃありませんか。結局こういう融資の道が開かれたということを一番よく知っておる前の水産課長が、その手づるを求めて融資を受けて船を作って仕事を始めている。しかもこの西俣という人が使っている船は一隻も奄美におりませんよ。全部大阪とか焼津の方にいってしまっておる。水揚げもそうなんです。とにかくこの船の水揚げ状況を見ても、今私が言う三十五隻の中を見ても、十六隻というのは全然奄美に水揚げしていないのです。そのうちの半分は西俣嘉という人が、個人所有あるいはほかの会社名で持っている。それらが一つもこの奄美に水揚げをやっていない。こういう融資そのもののやり方から、私は少し何かくさいと思う。元の水産課長であったというところから融資の道を見出して仕事を始めた、そういう者に遠慮なくどんどんどんどん融資をして、船を作らせて仕事を始めさせたということにも大きな問題があると思う。こういう点はどうもわれわれは納得いかない問題だと思います。もう過ぎ去ったことはとやかく言ってもしようがありませんけれども、将来十分注意してもらわなければ、復興事業で水産事業云々ということをやりましても、奄美大島のためには何ら役立たないという結果が生まれてくるのじゃないかと私は考えるわけです。できたらこの西俣というのはもっと調べて、船をどんどん奄美大島の方に帰すように処置していただきたい、これは水産庁の人たちがおれば、水産庁としてはどういう見解を持っておるかも問題だと思いますけれども融資のやり方、それから船の所属の問題、仕事の問題、こういう点が問題として私は考えられると思いますので、一つ十分検討してもらわなければならぬ。  それからいま一つは、振興課長は遠洋漁業の基地がないというようなことを申しておりますけれども、大体あそこに水揚げしないもう一つの原因は、あそこに冷凍工場、冷凍倉庫等の設備が不足しているということも原因だと思うのです。そういうのはちゃんと復興事業に載っているでしょう。ところが改定の復興計画ではそういうものを減しておるのです。それはいろいろ漁業者の採算上の問題等もございましょうから十分検討してもらわなければなりませんけれども、もしもあそこに冷凍工場あるいは冷凍設備等を十分してやられたならば、今私が心配しているような点は幾分解消するのじゃないかと思うのです。そういう点について、もう少し見解を聞かせておいていただきたい。
  51. 山本壮一郎

    山本説明員 先ほど申しましたように、現在奄美に遠洋漁業の基地が全然ないということが、漁業振興の一つのガンになっておることは御指摘通りでございます。その基地がないということと、もう一つ奄美の漁民たちが遠洋漁業になれていない。ああいう島の生まれでありながら、船に乗りますと、すぐ酔っぱらう、あるいは船のきつい勤務になかなかたえられないというふうな点があるようでございます。これらの点につきましては、たとえば学校教育等もございましょうし、職業教育等も将来は充実して参りたいということを考えております。と同時に、本年度三十五年度で、今お話しの製氷、冷凍貯蔵庫の施設を取り上げておりまして、現在名瀬に十五トンの製氷施設がございますが、これ以外に喜界、それから沖永良部の和泊、それから与論、この三カ所に製氷、冷凍施設も作って参りたい、こういうふうに徐々に遠洋漁業の施設を整備いたしたい、かように考えておる次第でございます。
  52. 川村継義

    川村委員 先ほど政務次官から御答弁いただきましたが、結局水産業に限らず、すべての事業について、融資を受ける要件というやつは一つよく整えてもらいたい。水産業に見られるように、私が指摘いたしましたような状態では、これは満足するわけにはいかないと思いまして、どんな不正が行なわれるかわからない、そういう点を心配いたしますので、この点はぜひ御努力願いたいと思うのです。  そのほかたくさん問題はありますが、たとえば電力の問題にいたしましても、皆さん方の復興計画の中には相当電力の計画があります。無灯村をなくしようというような考えでやっておられます。ところが御承知でございましょうが、大島電力という、これは九電の系統でありますが、これが今まで三億六千六百万円の融資を受けて電源開発をやっている。しかもそのときは二千五百キロワットの出力を計画しておりますけれども、現在は三百か四百の出力しか出していない。しかもこれは自治庁や何かは知っておられると思いますが、この発電機は長崎にあった中古を持って行って据えておるのですよ。だからして力が出ない。そういうことを簡単にやられたのでは、いかに融資をたくさん出して電気事業の開発をやろうとしても、これは結局水のあわになってくるということが考えられるわけです。しかも今日大島で起こっている問題は、今まで十ワットの電灯をつけておったのを、それをやめさして、今度は二十ワットに最低を切り上げるということが出て参りました。御承知でございましょう。そうすると、御承知通り奄美大島の住民の中には、われわれが想像以上に零細な生活をしている人が多い。ほんの十ワットの電灯一つで暮らしていく、月にいたしまして百円くらいになりましょうか、そういう安い電灯料で生活をしている人たちがおる。それを二十ワットにして二百円も三百円も電気料を出さなければならぬということになりますと、これは奄美大島のそういう零細な、ほんとうに生活に困っておる人たちの生活からいうと問題です。そういうことをこの電気会社がやろうとしておるわけでしょう。これは御存じなければ十分調査して、この電気会社等に対して適切なる行政措置をとってもらわなければならないと私は思います。初めに計画されたところの出力を出さないでおいて、しかも中古の発電機を持って行って出力の悪い電機を据えつけておいて、そうして今言ったような電灯の灯数を切り上げるというようなことをやらせてはならないと私は思うわけです。こういう点は、皆さん御存じでありましょうけれども一つ問題として指摘しておきたいと思います。  そこで水産業のことを考えても、先ほどの黒糖のことを考えましても、今やはり奄美大島で問題になっているのは、私こまかに申し上げませんが、生活保護の問題、失業対策の問題が大きな問題として浮かび上がっておる。失業対策の問題は、何も奄美大島に限ったことではなくて、全国的な問題として、これは政府の施策の結果こういう問題が出てくるわけでありますけれども奄美大島は特にそれが大きな問題であります。特に奄美大島の中のいわゆる名瀬市、当局も御承知通りに、名瀬市の財政は今非常に窮迫しております。その窮迫してきている大きな問題は、名瀬市が非常に大きく生活保護をかかえ込んでいるということにも原因があるようであります。結局公共事業とかそのほかの復興事業に伴って、失業者が出る、生活保護を受けなければならぬ世帯が多くなる、非常に皮肉な現象だと私は思うのです。それも先ほど申しましたようにサトウキビ栽培あるいは黒糖生産等に従事しておってもなかなかうまく生活がやっていけないというので道路を作ったり、港を築いたりする仕事に従事しておる。ところがそういう公共事業等の仕事が終わると、あとは一体何すればいいかということで、失業者がふえていくというような結果になるのではなかろうかと思うわけですから、これはやはり生活保護の問題あるいは失業対策の問題は、奄美復興事業の重要な一環として将来十分検討をしてもらわなければならない問題だと私は思っております。  政務次官もたびたびお聞きになっておると思うのですが、名瀬市からは、今日の名瀬市の窮迫した財政状況についておそらく皆さん方にいろいろと交渉がなされておると思います。今、申しましたように名瀬市の財政の窮迫しておる事情にはいろいろあると思いますけれども、その一つには生活保護世帯をたくさん抱え込んでおる。しかも名瀬市の何百という生活保護世帯のうちのほとんど半分は、よその村から名瀬市に流れ込んできておるところの人たちで占めておる。というのは、先ほどからるる申しますように、ほかで仕事をしておったがだめになった。名瀬市に行けばいいかもしれない、仕事があるかもしれないというような考え方で名瀬市に集まって来る。そういうのが今日名瀬市の市財政を非常に苦しいものにしておる一つの原因だと思います。そこでそういう点を一つ十分に考慮していただきまして、この後奄美の復興を進めていただく一つの問題としては、そのような失業対策の問題であるとか、あるいは生活が苦しくて転落していく人たちをどうして救済していくかというところにも、これは港湾等の設備とあわせて、それ以上にもっと重要視して復興計画を進めてもらう。そういうところに一つの重点を置いて考えてもらうことが必要ではないかと思います。こういう点について当局が十分なる調査と復興計画についての勘案をしてもらうことを実は要望しておきたいと思うのです。こまかなことについていろいろありますけれども、特にそういう点は自治庁におきましても十分勘案してもらいたいと思うのです。そこで今日名瀬市でも何か財政が苦しくなったから県の方から再建計画を立てろ、そのかわりに市の職員をどれだけやめさせろ、こういうようなことを言ってきておると聞いておりますが、それは本筋ではないと思うのです。そういうことで再建計画だけの何かポイントにするということは、私は間違っておると思います。そういう点は自治庁が県に対して十分指導もしてもらいたいし、職員を大量にやめさせることによって再建計画を樹立するということでなくて、もっとほかに名瀬市の市財政の健全化のために、いや奄美全体の復興計画のために、再度立案をしてもらうということが必要じゃないかと思っております。  大へん時間もたちましたので、いろいろこまかい問題もありますけれども、また同僚諸君からも追って質問があると思いますので、私は一応この辺で質問を終わりたいと思いますが、十分御勘案を願っておきたいと思います。でなければ、ただ基金に八千万円出したからこれでよかろうなんていうことにはなりません。幾らそういうように金を出したって、一方でむだな金が費消されたりなどしますと、何にもならないことになりますので、全体的な立場に立って、総合的な立場に立って、十分お考え下さるように再度要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
  53. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 午後一時より再開することといたしまして、これにて休憩いたします。     午後零時二十三分休憩      ————◇—————     午後一時四十四分開議
  54. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方財政に関する件につき調査を進めます。  昭和三十五年度地方財政計画に関する質疑を続行いたします。太田一夫君。
  55. 太田一夫

    ○太田委員 地方債のことでお尋ねをいたしますが、特に災害に関連をした内容でお願いをしたいのですが、現在公共土木の災害復旧、あるいは伊勢湾高潮対策の事業の遂行、それから学校の小被害、あるいは土木施設の小被害、こういうように多数、補助金の残りにつきましてなお起債を待たなければならない仕事が地方にはたくさんあるのですが、今のところ三・五・二の比率というのが実は非常に進んでおらないという実態から考えまして、はたしてこの三・五・二でいけるかどうかは非常に問題があると思います。これはそれぞれの区分々々で見ませんとはっきりしませんから、それを総括いたしまして、自治庁において本年度の起債は項目別にどれくらいに見込んでいらっしゃるのか。先回御説明があって、総括的なお話は承りましたが、災害復旧に関連をする具体的な起債の内容、計画がわかりましたら、御説明いただきたい。
  56. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 本年度の災害復旧に関します地方債の総額は百九十五億円を予定いたしておるわけでございます。そのうち二十億円は公営企業に関するものでございまして、一般会計に所要するものは百七十五億円ということになるわけでございます。
  57. 太田一夫

    ○太田委員 一般会計百七十五億円の内訳はわかりませんか。
  58. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 恐縮ですけれども、今すぐ整理しまして答えさせていただきたいと思いますので、ほかの質問をお願いいたします。
  59. 太田一夫

    ○太田委員 それではそのあとにいたしまして、百七十五億というのが実は非常に少ないんじゃないかと思うのです。大体において充当率、パーセントで表現しますと、どれくらいを見込んでいらっしゃるんですか。
  60. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 公共事業費の地方負担額につきましては、本年度分に関しまする限り、全額充当できるようにしたいというように考えておるわけであります。なお、単独事業の分につきましては、三十四年度と三十五年度で完成できることを目途に地方債をつけて参りたい、かように考えております。
  61. 太田一夫

    ○太田委員 公共事業費は本年度全額ですが、三・五・二といいますと、来年度が一つ残っておるわけです。従って、来年度はこれは何%くらいを予定されておるのか、腹がまえ、方針がありましたら伺いたい。
  62. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 公共事業の方は、国庫負担に合わせまして地方債の額を予定いたしておるわけでございます。御承知だと思いますが、緊要な事業については三・五・二の割合で復旧事業をやるのだ、こういうふうな法律の建前になっておる、かように承知いたしておるわけでございます。
  63. 太田一夫

    ○太田委員 従って三・五・二でやるといたしました場合に、それは三・五・二は進度率ですから、それに対する起債というのはやっぱり本年度と同じように、全パーセントこれを認められる、こういう方針が来年度も続くと理解してよろしいですか。
  64. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 公共事業の問題は、国の予算のつけ方に関係しておるわけでございますけれども法律の建前は守っておられるのだ、こういうふうに私は理解いたしておるわけでございまして、現に提案されています国の予算の中身の問題になろうかと考えます。
  65. 太田一夫

    ○太田委員 それは中身の問題ですけれども、災害をもととするところの公共事業の復旧事業でございますから、今年度は全額だとおっしゃるのですから、来年も従って全額だ、こういくのがほんとうだと思うのですが、その点ははっきりとそれでよろしいですか。
  66. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私は地方債のことじゃないと思いまして、大へん失礼を申し上げました6地方債につきましては、過年度の地方債になりますと、充当率を七〇%、かように考えておるわけであります。しかし、これは一般的な原則でございまして、災害が激甚をきわめた。しかも一般財源も乏しいというような団体につきましては、団体によりましては、八〇%、九〇%というように充当率を高めて参っておるわけでございます。そういうような措置は三十五年度においてもとれる、かように考えておるわけであります。
  67. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると今のお答えは、先ほどお答えになった公共事業費の地方債というのが、これは全額とおっしゃった。いわゆる一〇〇%の充当率だというふうに理解してよろしいのですか。それは一〇〇%とは違ったのですか。
  68. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 災害の起こりました年につきましては、その年の事業分について地方債は一〇〇%充当いたしたい、かように考えておるわけでございます。翌年度になりますと、年度当初から災害復旧事業に伴う地方負担分も予想できるわけでございますので、なるべく一般財源をそういうところへ投入していただきまして、健全な運営をやっていただくという建前から、充当率をただいま申し上げましたように若干引き下げていこうというわけでございます。
  69. 太田一夫

    ○太田委員 従って災害の起きました年というと三十四年度ですから、三十五年度の予算については、これは全額じゃないのだ、一〇〇%じゃないのだ。八〇%か幾らだということになるのですか。
  70. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 三十四年度に起こりました災害復旧事業費で、三十四年度で施工いたします部分につきましては、全額の地方債をつける。しかし三十四年度に起こりました災害なんだが、その復旧事業は三十五年度以降で行なうというものにつきましては、地方負担に対する充当率が七〇%を目途にして地方債計画を立てているということでございます。
  71. 太田一夫

    ○太田委員 それはどうしてその年だけが一〇〇%で、あと七〇%になるのでしょうね。これは地方におきまして非常に心配しておることでありまして、実際この災害が非常に大きかったために目に見えないところの負担が多いのです。従って今のように三十五年度では七〇%ぐらいの充当率だということになりますと、とにかく持ち出しが多いわけですね。この持ち出しの多いというのは、地方団体、特に弱い市町村にとりましては大へんなことなんです。先回もちょっとお話を申し上げましたが、一つの建物で二百万円の損害があった。それは社会教育施設でございます。社会教育施設は、法によりますと、激甚地におきましては三分の二の補助があり、六割六分六厘の国庫補助なんです。ところが実際の予算面からこれを文部省当局の方の考えておりますのは、予算の範囲内であるというと一割くらいにしかならない。そうすると六割六分六厘というのがわずか一割にしかならないということは、羊頭狗肉だということになりまして、地方の方ではそれではやっていけないのじゃないか。そういう場合に小さい市町村は政治力がないから黙って困っておる。それがまた進度率が非常に大きければいいのですけれども、だんだん翌年々々へと繰り越されていきますと、当初の災害発生の年度は一〇〇%であったけれどもあとになれば七〇%になってくると、特に財政力の弱い市町村ではますます困るわけです。そういう点でどうなんですか。三十五年度以降を急に下げなければならないということは少し理解しがたいのですが、何か根拠があるのですか。
  72. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 現年災害と過年災害とによりまして、充当率を、先ほど申し上げました通り異にしておるわけでございます。現年災害でありますと、予算を編成いたしましたときには予想しないできごとでございまして、従いまして災害復旧のための財源手当は当初から予定されていないものでありますので、原則として全額地方債を充当するというようなやり方をいたしませんと、団体は財政面に困ってしまうと思うのであります。しかし過年災になって参りますと、年度当初に予算を編成いたしますときから災害復旧の事業費がどれくらいであり、それに一般財源をどの程度持ち出さなければならないかということはわかっておるわけでございますので、なるべく健全な財政運営をやってもらいたいという意味から、そういう部分についての起債の充当率は若干引き下げるというような方法をとって参ってきておるわけでございます。なおまたこの種の地方債につきましては、御承知のように元利償還額の九五%まで基準財政需要額に算入いたしまして、地方税収入が十分でない限りは地方交付税で全額補充をしていくというような形にもなっておるわけでございますので、いたずらに国庫負担金、地方債にのみ依存をするというような形は避けまして、なるべく一般財源を持ち出してもらわなければならないし、またそういう建前にしておきたい、かように考えておるわけでございます。
  73. 太田一夫

    ○太田委員 そういう理由があったと思うのですが、公共事業の中で関連事業、それから緊急治山あるいは砂防事業というものに関しましては、たしか起債として四〇%ぐらいしか認められないというように聞いておりますが、これは四〇%でございますか。
  74. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 災害関連は大体そういう程度になっておるだろうと思います。
  75. 太田一夫

    ○太田委員 関連事業となりますと四〇%ということになれば、これは非常に低いのであって、一〇〇%とは六〇%の差がある。そういう点が非常な問題だと思うのです。これは関連事業だといっても、緊急治山砂防だといったところで、県、市町村それぞれの地方団体の負担になることは事実ですから、これは題目が違うから充当率は一〇〇%じゃないのだ、四〇%くらいで、半分以下だということでは少し気の毒だと思う、山村あるいは海岸を持つところなどにおきましては。いかがでございますか、これは引き上げられる用意はなかったのですか。
  76. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 災害関連といいましても、一般の公共事業には違いございませんので、府県の場合に、補助事業で起債を充当しますのは災害関連、それから河川総合開発、それから住宅、都市計画というような種類のものに限定をして起債を充当いたしておるわけでございます。そういう意味では、特に災害関連という名前がついているから、他の公共事業と特段の差をつけなければならないというわけには参らないのじゃないか、こう思っております。しかし災害の激甚地でありまして、特殊な事情に置かれている団体もありまして、千編一律の起債の充当率でその事業をこなせるわけのものでもございませんので、そういう団体につきましては、もとより団体の実態に即した充当方針はとりたい、かように考えておるわけでございます。またそういうような扱いもいたして参ってきておるわけでございます。
  77. 太田一夫

    ○太田委員 それではこの公債償還金の財源の関係ですが、これはやはり地方公共団体は財政逼迫をいたしておるのですが、この償還金について、あるいは元利の償還に対して、交付税で見るとかいうお話がたしかあったと思うのですが、それは本年度の財政計画の中では、交付税で償還分を見るということは盛られておるのですね。
  78. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 災害関連工事だから交付税で見るということはいたしていないわけでございます。災害復旧事業につきましては、公共災害復旧事業であります限りは九五%元利償還額を基準財政需要額に算入して参ります。単独災害事業につきましては二八・五%を基準財政需要額に算入して参ります。三十四年災で問題になりましたのは、緊急砂防、緊急治山に関する問題でございまして、緊急砂防、緊急治山は今まで施設がなかったから、災害復旧として扱われないけれども、実態は災害復旧と同じだ。それを国が特別な援助をしないのは穏当じゃないという議論があったわけでございます。これは翌年度以降の仕事につきましても、特殊緊急砂防・特殊緊急治山という名称で予算上も区別されるということになったわけでございますので、この部分につきましては地方債をつけ、そして地方債の元利償還額五七%を基準財政需要額に算入するという方式をとりたいと考えておりまして、地方交付税法改正案の中にはそのことも用意しておるわけでございます。
  79. 太田一夫

    ○太田委員 既発行の公債の償還分は交付税でみるというお話があったと思うのですが、違っていましたか。
  80. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 既発行の公債について申し上げているわけでございます。今までの方針を申し上げ、同時に二十四年災についてそれにプラスして緊急砂防、緊急治山についても交付税上援助措置をとることにしたいと考えています。こういうことでございます。
  81. 太田一夫

    ○太田委員 それから二十九日にたしかに発表されたやに承っていますが、特別交付税の配分をおきめになって発表なさった、これが発表されたものなら、ちょっとここであらためてどんな内容でありますか承りたいと思います。
  82. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 特別交付税の配分額は二月中に決定することになっておるわけでありまして、二十九日にその決定額を通知いたしたわけでございます。災害につきましては、一般原則で災害復旧の査定額を基礎にいたしまして府県も市町村も二%を基準にして配分をしていくということが一つでございます。その場合に市町村につきましては二%相当額を県にワクとして渡たすわけでございますが、一%は機械的につける。一%は必ずしもそれによることが穏当でない場合には、あるいは流失戸数でありますとか、あるいは罹災世帯の数でありますとか、いろいろな指数を用いまして按分をして配分額を県が決定をしておるわけでございます。なお府県の場合には災害救助費の二割相当額、しかしその額が地方負担額をこえています場合には、地方負担額にとどめる、こういうようなことでその額を決定いたしたわけでございます。なお愛知県のような場合には、愛知県の団体の財政力も考慮いたしまして、そういうような形式で算定されました額から、別途災害の諸対策の費用やあるいは税の減免に充てるための地方債を予定いたしておりますので、その一定部分を控除して、特別交付税を決定するという計算方式をとったわけでございます。
  83. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると機械的に出るわけじゃないから、地方団体ごとの交付金額というのは、もう数字は確定をして発表されておるのですか。
  84. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 その通りであります。
  85. 太田一夫

    ○太田委員 従って愛知、三重、岐阜、東海三県なら三県だけに限定してもよろしいですが、被害の大きかった県に対する決定割当金額はどれくらいになりますか。
  86. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 愛知県は六億余りであったと思います。三重県は七億弱であったと思います。たしか六億八千八百万円ではなかったろうかと思います。岐阜県は三億余りであったと思います。
  87. 太田一夫

    ○太田委員 名古屋市のような非常に大きなところ、桑名市のようなところ、あるいは津島市というところ、非常に問題になっておりましたところの数字はわかりますか。
  88. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 名古屋市はたしか一億二千数百万円であったように思います。津島は三億五千万円前後ではなかったろうかと思います。それから桑名は五千万円前後ではなかったろうかと思います。なお別に今申し上げました地方税の減免補てんや、災害諸対策の費用に充てるための地方債を考えているわけでございまして、愛知県で言いますと、たしか六億五千万円の地方債を予定している。三重県の場合には一億七千万円前後でしょうか、ちょっと正確に覚えておりませんが。岐阜県につきましても数千万円の地方債を予定しておるわけであります。津島、桑名、いずれにも相当額の地方債を予定しているわけでございます。
  89. 太田一夫

    ○太田委員 そこで歳入欠陥債ですが、これは今おっしゃったように、愛知六億とか、あるいは岐阜も約一億ぐらいだということなのですが、この歳入欠陥債は総額幾らになっていますか。
  90. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 二十億円でございます。
  91. 太田一夫

    ○太田委員 それは市町村の積算による合計額と合致しておるのですか。
  92. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 大体府県なり市町村から提出してこられました数字でございます。若干の食い違いはございましょうけれども、大体その数字を基礎にしたものでございます。
  93. 太田一夫

    ○太田委員 だからほとんど一緒だということでございますね。一〇〇%、九〇%一緒だということが言えると思いますが、パーセントで言って大体どれくらいなのですか。
  94. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 平均しますと八〇%ないし九〇%であるかもしれません。しかし提出してこられましたものを見ますと、法律上災害諸対策費として扱えないものがございましたり、あるいは現実の減免額ではございませんで、単純な減収額というようなものもあったりしますので、そういうものを整理して参りますと、大体実績と申し上げましょうか、起債を認めてよろしい額に近い起債を許可できる、かように考えておるわけでございます。
  95. 太田一夫

    ○太田委員 従って法外支出に対しましては、これは全然参酌されなかったわけですか、見舞金とか……。
  96. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 私たちは災害査定額の二%でそういう種類の諸経費を見ているつもりでございます。現実に見舞金をよけい出したところは多くの特別交付税を交付し、少ししか出さないところは少しの交付税しか交付しないということは穏当でございませんので、従来いろいろなやり方を繰り返して参ったわけでありますが、最後に現在落ちついている方式が、数年来災害査定額の二%方式でそういうものを見るというやり方をいたしておるわけであります。
  97. 太田一夫

    ○太田委員 その場合、歳入欠陥債の査定の途中におきまして、地方団体から、それはきびしいという批判をお受けになったことはありませんか。あなたの話ですと、これは非常によく見てあるというお話でございましたし、見るべきものは全部というか、実はそれは法解釈の中から出てくるのでしょうから、たとえば地方税の減免によるところの収入減あるいは使用料あるいは手数料というものの減免に相応する分というところから、本来ならば地方財政収入の不足というものに充てはまるべきものが削られたというようなことですね、そういうきびしいことはしなかったのですか。
  98. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 大体特別交付税とこの地方債で満足していただいている、かように考えているわけでございます。
  99. 太田一夫

    ○太田委員 先ほどの話にまたちょっと戻るわけですけれども、しからば小災害の起債はどれくらいでございましたか。わかりましたら小災害の学校が幾ら、何がどれくらい。
  100. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 ちょっとお待ちいただきたいと思います。
  101. 太田一夫

    ○太田委員 それでは大蔵省にお尋ねをいたします。三・五・二の進度の関係でございますが、この災害復旧の進度は厳格に厳守されていきますか。
  102. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 災害復旧の三・五・二の進度につきましては、これは御承知通り法律に基づいておりますので、その法律としては緊急なものということでありますので、緊急な災害復旧の分は、これは確実に三・五・二で進捗するという考えのもとに予算を組んでございます。
  103. 太田一夫

    ○太田委員 緊急なものだけですか。三・五・二そのものさえも普遍的にはあまりかたく守られないということなのですね。緊急なもの以外はどんな進度ですか。
  104. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 ただいま確実な比率は覚えておりませんが、七、八割程度は三・五・二です。それからあとの二、三割程度は、これは四年間ということでございます。
  105. 太田一夫

    ○太田委員 念のために聞きますが、公立学校の災害復旧の進度比率は、どういう比率ですか。
  106. 大村筆雄

    ○大村説明員 原則といたしまして、当年災と過年災とに分けまして、当該年度半分、翌年度半分、二カ年で完成することになっております。
  107. 太田一夫

    ○太田委員 文部省は五〇%の進度でことしやりたいということでございましたね。ようやく改良復旧もきまったようでございますが、しかし今度の改良復旧の実際の内容を見ますと、どうも今度は何か大きな政治路線がある。大破の中からも、半壊と認めるものはこれを改良復旧しよう、大破ではあっても必要のある、もしも再度災害があったときの避難場所となるところは、これも改良復旧しようという話であったが、実は大体において海岸に面するところは一市町村一学校を基準として普遍的に、悪平等——という言葉を申し上げますと申しわけありませんけれども、どうもそういうことを批判されておるのですが、こちらの町村も一校、こちらも一校、だから大体こういうふうに政治的に認定をされた。だから半壊になっておるものでも、これは老朽校舎であるから、老朽校舎として次は別な復旧をして下さいというような扱いを受けたこともあるやに承っておりますが、そういうことは大蔵省の方針でありましたか。
  108. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 御指摘の点につきましては、実は文部委員会あたりからもいろいろお話がありまして、政治的な配慮を加えた傾向があるという点については、実は私どもも非常に苦心をしたところであります。その際に一市町村に一つずつは避難所として、安心して避難できるような鉄筋、鉄骨のものを作れということでありますが、しかし法律に基づいて考えますと、やはりあまり軽微なものにそういう適用を与えるというわけにも参りませんので、それで多少政治的と見られるような点もございますが、私としましては、個々にそういうケースも御相談に乗りまして、どうにも行政の面では計らいかねるというものは、これは老朽校舎の方で、一年おくれるけれども何とかごしんぼう願えぬかということでごかんべん願ったのもあるし、また文部省もできるだけまた地元の御要望に沿うために、結果としては今御指摘のようなことになりましたけれども、これは国会側からもそういう相当強い御要望もございましたので、御了承願いたいと思います。
  109. 太田一夫

    ○太田委員 大蔵政務次官がいらっしゃいますから、もう少し学校のことでお尋ねしたいと思います。文部省の方におきましては、非常に多くの責任をとることを回避されまして、県の方に判定を一任する向きも出てきておる。従って、どこが改良復旧になるかは県の方においては非常に早く発表されておる。ところが文部省の方は、半月も三週間もたっていてもなお不確定だということで実際の正式な発表はちゅうちょしていらっしゃる。こういう点から考えましても、今度の災害の改良復旧につきましては、何かしら困った点があって、あまり予算がないから、大蔵省も予算を出さなかった。従ってその予算の範囲内で改良復旧をするとなると、悪平等でも一市町村一校しかないというようなことになって、そのためにその責任を県の方に押しつけたのではないかと、痛くない腹を探る向きもありますが、あなたの方は、予備費から出す災害復旧の予算その他で文部省当局との予算上の折衝においては、学校の施設の災害復旧については文部省はよほど窮地に立たされた。そうでなければこんなことにならなかったと思いますが、そういう批判が強いのです。あなたの方は十分それに応じたつもりであるとお考えになっていらっしゃるか、どうでしょうね、予備費も含めまして。
  110. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 私としては、国会の皆さんの御要望と、それから行政を監督指導する立場と、いわば板ばさみの立場でこの問題を見ておりますので、比較的公平に申し上げられると思うのですが、災害復旧の査定については、法律に共づいて査定が通ります以上は、今の御指摘のように予備費も組んでございますから、それを大蔵省が出さないということは絶対にございません。従って、文教関係の災害復旧について、査定額はあらかじめの予定よりも相当ふえたけれども、これを認めろということは全部文部省の言う通りに認めたつもりであります。ただその次の一部避難所にも充てるため鉄筋鉄骨でやるという場合には、実は法律をまじめにそのまま読みますと、なかなかそのようには参らぬ点もありまして、これはむしろ大蔵省も実はその点非常に苦心をしたところでありまして、文部省も大蔵省に強く当たれない事情があったのです。そこは一つ御了察願いたいと思います。
  111. 太田一夫

    ○太田委員 そういうことがあったのでしょうね。そこで特に被害激甚地の査定をされる場合に、単価の査定が非常に不足しておるのではないかという声が強いのです。どれくらいの単価の査定をなさったのです。結果的に数字がわかりましたらお答え願いたい。
  112. 大村筆雄

    ○大村説明員 実は昨年災害直後、現地の財務局と文部省と立会査定をいたしまして、当初の補正計上額と対比をしてみたのですが、約二カ年にわたりまして二億ほど不足いたしまして、一億ずつ今度の第三次補正予算にも計上して参っております。その際、立会査定でございますから、妥当な単価、妥当な復旧費を考えて査定いたしております。詳細な単価の点はただいま資料を持ち合わせておりませんので、ちょっと申し上げかねます。
  113. 太田一夫

    ○太田委員 妥当な単価というのは、あなたの方から見て妥当な単価だろうと思うのですが、実際の現地におきましては、単価の査定がきびし過ぎて非常に困っているんです。たとえば生徒一人当たりの坪数というようなものも要素に入れられて、全壊した校舎が百坪あったけれども、実は九十坪しか認めなかったというのがあるのですね。こういうことは、実際においてはそんなわけにいきませんから、百坪地方で作らなければなりません。従ってその起債を見込みましても、地方町村の負担が非常に増加してくる。それは大蔵省の方では、PTAの負担なんかはなるべくとらない方針だとおっしゃるでしょうけれども、実はPTAの方に相当それがかかってきておるのですが、何か査定に無理な点はなかったのでしょうかね。非常に無理な点がありまして、百坪の校舎が九十坪になってしまったというのがあるのです。しかし町村では、それじゃ済まないから、PTAから寄付を仰いで百坪作りました。こういうことについての御見解はどうなんですか。
  114. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 これは私からお答え申し上げた方がよかろうかと思いますので申し上げます。事務的なことは私あまり詳しくは存じませんが、査定の単価の問題ですが、原則として時価主義をとっているはずであります。つまり、大体全国統一して一応単価がきめられるものはきめておりますが、きめられないものは時価によるということでありますから、原則として時価によるということがいえると思うのであります。しかし特に伊勢湾台風の場合には、くぎ、針金、木材、こういうものが一時大暴騰いたしまして、木材の一部などは、災害以前の価格の二倍半にも暴騰いたしました。くぎも二倍くらいに上がりましたが、そうなりますと、単価と比べてべらぼうじゃないかということになりまするが、しかし、それはあとすぐまた落ちついてもとべ戻りました。そうすると、時価とは一体いつのときをとるかということになって、めんどうな話になりますが、方針はそういうことでやっておりますので、そういう場合においても、査定のときにあまりにかけ離れた査定ということであれば、査定を受ける側でも十分意見を述べていただいて善処させるようにいたしたいと存じております。
  115. 三田村武夫

    ○三田村委員 今の質疑応答を伺っておって、これは速記録に残ることですから、関連してちょっと伺っておきたいのです。大村主計官でけっこうです。  今の学校災害、多分土木災害も同じことですが、特に学校災害の話が出ておりますから伺うのですが、文部省関係と大蔵省関係で立会査定をやられましたね。実際立会査定をやられました査定の額と、事業費として予算を割り当てられる額とは違う面があるのです。それはここで、ないとおっしゃいますとおかしくなるのですが、違うというのは、査定額がきまったあとに文部省と大蔵省とで打ち合わせられた基準があるのですよ。予算をその基準に当てはめていくと多少食い違っている。だから現地の町村の立場からいたしますと、この学校で三百五十万円なら三百五十万円という被害査定を受けたけれども、実際の予算をもらう場合は三百五十万円にならない、そういうことは現実にあるのです。文部省に確かめてみますと、大蔵省と打ち合わせた事業費の査定基準というか割当基準というものがある。そこで食い違いが出てきておる。ここで伺っておると、査定が甘いとか辛いとかいうことに話が集中されて、その査定の基準は時価を中心に見るから甘いことも辛いこともあるのだ、それはわかりますが、そうでなくて、実際きまった査定額と割り当てられた事業費と違うこともあるのですから、この点を一つ確かめておきませんと、速記録にちゃんと残っていきますからね。そうでなく、大蔵省と文部省と立会査定をやって認められた査定だけは必ず予算をつけておるのだとおっしゃいますと、実際に現場と違ってくるものがあるから、その辺の事情を一つここではっきりしておいていただく方がいいと思います。
  116. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答えを申し上げます。現在公立学校施設災害復旧費国庫負担法で、公立の学校の施設、設備の災害の場合でございますが、その場合の復旧の坪数のめど、あるいは設備復旧のめどに一定の基準がありまして、必ずしも災害を受けたそのものが補助対象になると限っておりません。これはおっしゃる通りでございます。ただ今回の場合は特例法の制定がありまして原形復旧を認める、ただ設備については政令で定める基準になっておりますから、これは現地の立会査定の結果とほとんど違いはないはずでございます。
  117. 三田村武夫

    ○三田村委員 そうしますと大村さん、今あなたのお話しのようにはっきり了承してよろしゅうございますか。実際は、査定された額と改良復旧も加えて割り当てられた額とだいぶ違うところがあるのですよ。それは今お話しの通り、学校建築の場合の基準のワクがあるのです。生徒何名についてどれだけ、あるいはこういう校舎についてはこうという基準があるのです。災害復旧の場合でも、災害の査定はやるが、そのかわり予算をつけるときにはその基準によってつけていく、こういうことになっていはしませんか。
  118. 大村筆雄

    ○大村説明員 原則はさようでございます。しかし今回の場合は、原形に復旧することが不可能な場合等におきましては、当該建物にかわる必要な施設をやるというようなことも認めておりますから、そういう意味で査定後に若干そういう要素を加味して変わってくる場合もあるかと思います。
  119. 太田一夫

    ○太田委員 実際違っているのですね。その点は、三田村さんのお話しの通りであって、たとえば二千三百万円と査定されたところが一千万円に決定をしたところもあるのです。実際の例ですがね。これはどういうふうになってきたか知りませんが、そういう例が実際ありましたので、事実としては、査定額と事業費とが一緒だ、違わないと思うということは、大ざっぱにいえばそうかもしれませんが、ここで特に私は社会教育施設の災害復旧については疑義があるのでお尋ねしたいのですが、予算は六百八十万円でしたか、現在社会教育施設の復旧予算は幾らになっておりますか。
  120. 大村筆雄

    ○大村説明員 お答え申し上げます。現在手元に資料を持ち合わせておりませんので、正確な数字は今記憶しておりませんが、予備費の予定額を含めまして一千万に近い数字じゃなかったかと記憶しております。
  121. 太田一夫

    ○太田委員 予備費を含めて一千万円というのですが、社会教団施設というのは三・五・二ですか、五・五でいきますか、進度をどれくらいに考えていらっしゃいますか。
  122. 大村筆雄

    ○大村説明員 二カ年復旧でございます。
  123. 太田一夫

    ○太田委員 そうすると二カ年だったら全部で二千万円でございますね。被害一億二千万円というのが文中省当局に集計された数字なんですが、五・五で一千万円、かりに五が一千万円として、あとの五も一千一万円だと推定をして、合わせて二千万円、それはわずか二割に足りません。違いはしませんか。それは間違いないですか。五・五じゃあまり少ない。
  124. 大村筆雄

    ○大村説明員 被害報告額はただいま正確に記憶しておりませんが、実際補助対象にいたします場合は、一定金額以下の小規模の被害は除外いたします。それから実際の報告と所要復旧対象となるものの大体の見込み違いがございますので、その推定をいたしまして所要額を見込んでおるわけでございます。
  125. 太田一夫

    ○太田委員 しかし社会教育施設の災害復旧は、被害激甚地においては三分の二ということになっているんですからね。従って今のお話の大規模であろうが小規模であろうが、その法律に上がっていたら、これは三分の二の補助をすべきじゃないですか。そうして三分の二を補助をするために被害の査定をする。査定の場合には、今のように現地で割にうまいことを言って町村長を喜ばしてきたが、こちらへ来たら文部省と話し合って、一割下がったということではたまったもんじゃない。見込み違いがあるということにしては数字が多過ぎますが、あなた自身としては社会教育施設の被害事業額はどれくらいの見込みですか、胸算用でいいんですがね。
  126. 大村筆雄

    ○大村説明員 社会教育施設につきましては、特例法によりまして予算の範囲内で、政令の定めるところにより三分の二を補助することができるという規定になっておるわけでございまして、政令の内容によりまして一定全額以下の被害額、これは補助対象から除外いたしております。そういう関係もございまして、補助対象は金額的には実際の被害額より相当下回るという結果になっております。
  127. 太田一夫

    ○太田委員 そうでもおっしゃっていただかなければ、そんなわずかな予算ではつじつまが合わないことになりますし、またうまく法律の中に予算の範囲内と書いたもんですが、その予算というのは天然自然にわいてくるんではなくて、大蔵省の方でお作りになる。文部省がこれくらいのものは必要であろうというなら、それをお認めになればいいのですが、それを人為的に圧縮しておいて、予算は小さいから——法律法律で非常にきびしい査定の上における三分の二、従って一割かせいぜい二割です。こういうことになると羊頭狗肉になりますし、地方の町村、特に弱小の村とか町というところが非常な負担をこうむる。これに対して奥野局長から、いや、そういうものは全部起債で見て、あとの起債も元利補給を全部やりますよとおっしゃっていただくならば、三分の二だろうが、二分の一だろうが、何でもいいのです。奥野局長も来ていることですからお尋ねしますが、その場合に、社会教育施設、公民館、これに対してそんなわずかなもの、一割か二割としたら、あと全額起債で見て、あとまた元利補給、それに類することは考えていただけませんか。
  128. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 最初に、先ほどの前年災の計画の内容をお答え申し上げます。公共災害復旧事業費災害関係計画も含めまして七十九億円でございます。それから元利補給金付の地方債は、農地及び農業施設の関係のものが十七億円、土木小災害の分が十九億円、それからそれ以外の単独の災害復旧事業債四十億円、歳入欠陥等補てんのための地方債が二十億円、公営企業の災害復旧事業費のための地方債が二十億円、合計いたしまして百九十五億円でございます。  なお社会教育施設等の災害復旧に対する財源措置の問題でございますが、私たちとしては、災害復旧全体を見まして、どの程度一般財源でまかない、どの程度地方債でまかない、どの程度国庫負担金でまかなうかというようなことで処理するわけのものでございますので、何が何でも全部災害復旧事業費は国庫負担分以外は地方頂でまかなうという考え方はいたしておらないわけであります。地方債の場合には、やはり地方債の一件当たりの限度額というものも考えなければなりませんし、また地方債で災害復旧をするにふさわしい事業であるかどうかというようなことも考えなければならないということもございますので、そういう見地から必要な地方債の資金手当等を行なっていきたい、かように考えておるわけであります。
  129. 太田一夫

    ○太田委員 大村主計官にもう一度話を戻します。今自治庁においてはそういうお話でございますが、そうしてみると、あなたの方の今の予算というものは、社会教育施設だけに限定して、全体のわずか一割か二割しか考えなかった。それに対して自治庁においても起債のめんどうを必ずしも見ないとおっしゃる。それは予算の範囲内においてと法律にあるにいたしましても、非常にこれは冷酷なる対策になるわけですが、考え直して何とか補助金からそれを見ていくという御決意はありませんでしょうか。
  130. 大村筆雄

    ○大村説明員 社会教育施設につきましては、おっしゃるような点につきまして、特例法ができますときにもいろいろ検討いたしたのでございますが、御承知通り公民館等につきましては、その創設の補助金につきましては文部省から出しておりますが、災害復旧につきましては、原則としてはこれは市町村の単独でやっていただくという建前になっております。今回特に激甚なる災害がございましたので、特例法の制定をしていただきまして、特に政令で定めるところによって被害の大きなものにつきまして補助対象に取り上げていくということになったのでございますが、それ以上の軽減措置は今のところ考えておりません。
  131. 太田一夫

    ○太田委員 それではもう一度もう少しこまかい話を聞くと、公民館がこわれておる、こういう窓がこわれた、これは被害の中に入りますか、入りませんか。
  132. 大村筆雄

    ○大村説明員 通常の場合ですと、小規模の被害でございますので、補助対象にはならないというふうに考えます。
  133. 太田一夫

    ○太田委員 小規模であろうが、大規模であろうが、屋根は飛んでしまった。外ワクはある。全壊じゃないですよ。屋根は飛んでしまった、天井は抜けて、窓ワクはめちゃめちゃになってしまった。それが鉄にしてもあるいは木にいたしましても、そういうような場合に、そういう窓というのは、これは建物でないという説があるそうなんです。だから査定しないのですよ。するのがあたりまえでしょう、どうですか。今のあなたのおっしゃる大規模の被害とその建物を大ざっぱに規定される被害があった場合、窓ワクは査定外だ、そんなことはないのでしょう。
  134. 大村筆雄

    ○大村説明員 実際現地におけるこの査定は文部省単独でやっておりますので、そういうこまかい点について、私ども残念ながら承知いたしておりませんので、御納得のいく御答弁はいたしかねるわけでございます。
  135. 太田一夫

    ○太田委員 あまり逃げないでいただきたいと思うのです。文部省に行けば、大蔵省の方が幾ら予備金を出すかわからないし、従って私の方は、そういうものを入れたり入れなんだりすることは、予備金とにらみ合わせてのことだとおっしゃる。文部省は大蔵省の態度に一切かかっておるのです。だから大蔵省は、奥村政務次官もいらっしゃるが、いかがですか。一番最後まで現在忘れられておるのです。そういう忘れられた社会教育施設、特に公民館等に対する補助金は予備金を相当大幅に支出を見込んでいくということも考えていただきたいと思うのですが、どうでしょうか。そういう考えはありやなしや。
  136. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 学校の場合は、これは義務教育施設として国の義務というのは、はっきりいたしておりますが、公民館等につきましては、これは先ほど大村主計官から御答弁申し上げましたように、最初施設するときは何がしかの補助を出すが、その後の管理とかあるいは災害復旧は市町村の単独で、つまり市町村の責任でやってもらうという建前でありましたけれども、先般の災害は特にひどかったので、特例法を設けて、特に政令で定めるものについては予算の範囲内で、こういたしておるのでありますから、学校とは全然考え方が変わって、補助金は不十分ではありますが、その程度でやって参りたい、かように考えております。
  137. 太田一夫

    ○太田委員 これは予算の範囲内ということがあるから、予算ができてしまっておるから仕方がないということになれば、われわれは何ともならぬ。予備金で操作するより仕方がないんですが、できるだけめんどうを見ていただきたいと思うのです。しかも貧弱な小さな町村は非常にに困っておりますから、特にこれを御要望申し上げておきます。それからこれは先ほど一つ質問を忘れましたから大村主計官お尋ねいたしますが、学校などの単価査定におきまして、大工の日当というのは大体幾らになっておりますか。
  138. 大村筆雄

    ○大村説明員 ただいま手元に資料を持ち合わせませんので、正確なことを申し上げかねます。
  139. 太田一夫

    ○太田委員 非常に安いそうですね。従って地方ではそれが全部地方財政にかかるんです。六百円やそこら出されたんでは、あとの六百円出して千二百円ぐらい出さなければ大工は出来ません。それが全部地方財政にしわ寄せされてくるから、今度の三十五年度の地方財政計画の中においても見積られないところの地方の負担がたくさんあるということを特に大蔵省においては理解していただきたい。  あと二、三お尋ねします。これは国民金融公庫の関係ですが、国民金融公庫はほとんど借り尽されてしまって、災害復旧のためにほしい人が、三月三十一日まで期限がありますけれども、全部断わられている。これに対しまして何か手を打たれておりますか、どうですか。
  140. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 御承知通り昨年の伊勢湾台風災害復旧対策として、国民金融公庫及び中小企業公庫におきましては百万円までは三カ年間、六分五厘という長期低利の融資を出しておりますので、被災者の方がそういう方面に非常に殺到して希望を持っておられる。実はそうなると、かなり通常の融資ワクを広げたつもりでありますが、はたして十分行き渡るかどうか不安に考えておりました。しかし現にもう全然資金がなくて、お手あげをしておるという実情については、実は私はただいま初めて承りますので、実情をよく調べて次会にまたお答えいたしたいと思います。
  141. 太田一夫

    ○太田委員 それは一つお調べいただきたいと思うのです。というのは大体において二十万円が限度なんです。国民金融公庫は幾らあったって、二十万円以上は貸してくれません。二十万円ということは、最低三十万円ほしいという要望に対して、どうしても二十万円だ、いわゆる六割しか見てくれないというところに非常に問題がある。しかもなおそれで窮屈になっておるという実情でございますから、お考えをいただきたいと思うのです。三月三十一日という期限があるんですから、期限が過ぎてしまうとそれがいかなくなります。  それからもう一つ大蔵省についでにお尋ねしますが、災害公営住宅なども地方の町村にとっては非常に困る問題でありまして、土地を買う場合にこういうことが起きるんです。これは自治庁の方にも関係あることですが、かりに一反五十万円の土地といたしますと、それをせいぜい三十万円ぐらいしか見ないんです。農民は仕方がないから三十万円で承知をして、そこに住宅を作る。その場合にあとの二十万円をどうするかという問題が起きます。その場合、土地を持っておる人が被害者なんです。そこでその所有者のおる町村なら町村の部落におきましては、気の毒だから一反歩について二十万円の半額の十万円ぐらいは、隣保班なり部落の者が五千円なり一万円なり出し合ってお見舞いしましょう、こういうことになっておるのです。だから公営住宅なりの四分の三を国庫負担において出されることになっておるわけなんですけれども、現地におきましては、もう市町村民がそういう大きな被害を受けておるのですから、いろいろな補助なりの査定などでも、やはり何とか十分考えていただきたいと思うところなんです。これは特に大蔵省当局に御要望申し上げておきます。  それから先ほどの三、五、二の比率につきましては、七、八割はそうだとおっしゃるのですが、これは本年度はぜひとも七割ではなくて、なるべく多く——三、五、二でも少ないのに、七割や八割では少ないからもっとこれを増額していただきたい。これとともに来年度はその年度比率を確実に守っていただくように、財政当局においてはこの点特に御勘考願いたいと思います。その点大蔵省に対して御要望申し上げておきます。  なお自治庁一つだけお尋ねいたしますが、これは天災融資関係でございますが、天災融資の場合、市町村が利子の差額を負担するものがありますね。農協は一割の金利で借りて、農民は三分五厘だから、差額六分五厘をだれかが負担をしなければならない。その六分五厘の中の一割七分五厘を市町村が負担をするのだ、県もまたそれに対して同率負担をするのだということになっております。それに対しまして自治庁は、たしか特別交付税でみるとかなんとかいうような話を伺っておりますが、それは今度見込んでおりますか。
  142. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 天災融資法に基づく融資の結果、府県なり市町村なりが負担をいたします金額の二分の一を特別交付税で補てんをするという計算の仕方をいたしております。三十四年度の特別交付税の際にもその計算をいたしたわけでございます。
  143. 太田一夫

    ○太田委員 それは四七。五%見るということとは違ったのですか。
  144. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 これは地方団体の現実の負担額の二分の一を特別交付税で見ておるわけでございます。利子は対象その他によりましていろいろでございます。とにかくその額まで、差額を国と地方団体とで折半で負担をしておるわけでございます。その地方団体の部分につきましてはさらに半分を特別交付税で補てんをいたしておるわけであります。
  145. 太田一夫

    ○太田委員 二分の一ということでやや安堵しますわけですが、弱い町村は一〇〇%ぐらい見るという御意思はありませんか。
  146. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 天災融資法によります融資につきましては、やはり当該地方団体についても責任を持ってもらいたいという考え方を出しておりますので、国で全額見るということはあまり穏当でないように思います。しかし災害団体でございますので、その他の要素で特別交付税は十分交付できるように運営していかなければならない、かように考えるわけであります。
  147. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 加賀田君。
  148. 加賀田進

    ○加賀田委員 大蔵省と自治庁政務次官が仲よく並んでおられますので一点だけ質問しておきたいと思います。予算も大体明日衆議院を通過するということで、予算に関係した当委員会関係法律案は、大体出そろったと思いますが、その中で交付税に関する改正法案が出てきていない。これは地方税の改正とともに重大な問題だと思うのですが、なぜ今まで出てこないのですか、一つその点を説明してもらいたいと思うのです。私の聞くところによりますと、基本的な二点が大蔵省と自治庁とがまだ論議をされておって決定をされていない。いわゆる自治庁が責任を持って出す法律の中で、相当大蔵省がくちばしを入れて干渉しておるので、それが大きなネックになって今まで出てこない、こういうことを聞いておるのですが、いつごろ出すのか、今まで出せなかった大きな原因というものはどこにあるのか、それを一つ明確にしてもらいたいと思います。
  149. 奧野誠亮

    ○奧野政府委員 地方交付税法の改正案の提案がおくれておりまして、まことに恐縮に感じておるわけであります。御指摘になりましたように、自治庁と大蔵省の間で話がまだつかないからでございます。昨日閣議に提出いたしたわけでございますが、大蔵省の方の意見がございまして、なお話がつかないということで保留いたしておるわけでございます。その見解の食い違いは、現在のところざっくばらんに申し上げますと、大蔵省の方では自治庁が得ておる成案に対しまして、さらに特別態容補正というものを従来よりももっと大きな金額にしてもらいたいという御要望があるわけであります。三十二年度において特別態容補正という形で六十億円を出しております。しかし、このやり方につきましては合理性を欠く問題もございますし、地方団体間に非常な異論もございますので、やめていきたい。やめながら貧弱団体に別途態容を強化するような配分をしていきたいということで、いろいろ工夫をいたして参ってきているわけでございます。三十三年度三十億円にし、三十四年度にも漸減したいところを、大蔵省の御意見もございますので三十億円に据え置いているわけでございます。これを三十五年度において二、三十億円さらに増額できないだろうかという話があるわけでございます。私たちは、地方団体に配分する結果の姿についていろいろ御意見のあるところは十分承って、できる限り御趣旨に沿うような方法は検討したい。しかし特別態容補正の強化ということは、これは人口一人当たりの税収入が少なければ、同じ河川の延長によけい金がかかる、同じ道路の延長によけい金がかかるのだ、これではいかにも理屈が通らない。こんなことで地方団体は納得できないのだ、やめていきたい。やめたいけれども、しかし大蔵省の意見もあるので、全体に据え置いている。それは歴史を逆に戻すような増額はできない、こういうことを申しているわけであります。そこが一点食い違っておるわけであります。もし特別態容補正だけの問題でございますと、いずれにしましても総理府令の問題でございますから、将来の問題にしてもよろしいのではないか、こう思うわけでございますが、それができないならば、大蔵省側としては基準税収を府県は八割計算しているのを九割に上げろ、こういう御意見があるわけでございまして、こうなりますと地方自治の理念に関する問題でございます。あくまでも地方団体は自立の精神をもって財政運営に当たっていかなければならない、そういう基本的な問題に触れずに法律を直せというのはいかにも穏当を欠くのではないか、こういう気持を持っているわけでありまして、そういう二点につきまして、なお大蔵省との間に円満に話し合っていきたい、かように考えているわけでございます。そういうこともありまして、昨日閣議には出したわけでありますが、なお両者の間で意見の交換をいたしている最中でございます。できるだけ早く意見の調整をいたしまして、国会に提案できるようにもっていきたいと考えているわけであります。
  150. 加賀田進

    ○加賀田委員 これは従来自治庁と大蔵省との地方財政に対する考え方の相違の一つの現われとしてこういう論議が出てきたと思うのです。前にも私はそういう考えを大蔵省としては持っているといううわさを聞いたのです。そういう根本的相違の中で論議をして、しかも重要な交付税の改正というものが今まで出てこないということになってくると、大蔵省自身としても相当考え直してもらわなければならぬと思う。それから地方財政自体の根本的なあり方の検討というものを大蔵省としてもっと深く検討してもらって、単なるきんちゃくのひもを締めるだけが能力ではなくて——締めるだけは締めて、あと地方財政に対しても実態に沿わないようなくちばしをいれてきて、地方自治体の財源を全く奪ってしまうような考え方は慎しんでもらいたいと思うのです。しかもそのために交付税の改正というものが今なお出てこないということになって参りますと、これは全く大蔵省の責任だと思う。政務次官としても、そういう問題を早く解決して出すように努力願いたい。今二人仲よく並んでおりますけれども、御相談願って、今週中には少なくともそういうことがないように——地方団体は大蔵省の考え方のように強行されるのではないかと恐怖の目をもって見ておりますから、そういう交付税の十四条の七十、八十を八十、九十に上げて、全くの自主財源、いわゆる潤沢財源としてのものを奪ってしまうような考え方はぜひ改めてもらいたい。これは政務次官の決意をここで発表していただいて、私の質問を終わります。
  151. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 お答え申し上げます。当委員会でたびたび皆さんから御指摘があり、またただいまも御指摘がありましたように、地方財政と国との関係について、根本に改むべきいろいろ問題があろうかと思いますので、今度のこの交付税法の改正のただいま御指摘になった単に二点の問題だけじゃございませんので、根本から改めなければ——今まではほんのその日暮らしで、出たとこ勝負でやってきたので、これではいかぬ、かように思います。そこで根本的に改めるには、これは大蔵大臣自治庁長官が単に交付税だけじゃなしに、起債の関係とか財源の関係とかあるいは国税、地方税の関係とか、すべてを総合して、もう少しすっきりした形になるように、ほんとうにしっくり話し合いをしてもらわなければならぬし、もしそれがつかなければ、閣議において総理大臣が乗り出して、もっと抜本塞源的に解決すべきことであって、とても政務次官が御答弁申し上げられるような問題じゃありません。しかし御指摘になりました当面の地方交付税法改正につきましては、今おほめにあずかりましたように、丹羽政務次官と私と二人は、見たところだけでなく、ほんとうに仲がよいので、自治庁、大蔵省の件もその気持で、この問題だけは一つ早急に解決いたしたいと思います。
  152. 纐纈彌三

    纐纈委員長代理 次会は来たる四日午前十時より開会することといたしまして、本日は、これにて散会いたします。     午後二時五十六分散会