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1960-02-19 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十九日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君    理事 吉田 重延君 理事 加賀田 進君    理事 阪上安太郎君 理事 門司  亮君       金子 君王君    亀山 孝一君       齋藤 邦吉君    高田 富與君       津島 文治君    富田 健治君       三田村武夫君    山崎  巖君       太田 一夫君    川村 継義君       佐野 憲治君    中井徳次郎君       野口 忠夫君    大矢 省三君  出席政府委員         警察庁長官   柏村 信雄君         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁財政局         長)      奧野 誠亮君         大蔵政務次官  奧村又十郎君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)    大村 筆雄君         警 視 総 監 小倉  謙君         警  視  長         (警視庁総務部         長)      中原  ただし君         専  門  員 園地與四松君     ————————————— 二月十七日  委員保岡武久辞任につき、その補欠として森  清君が議長指名委員に選任された。 同日  委員森清辞任につき、その補欠として保岡武  久君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 二月十七日  道路交通法案内閣提出第五八号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  地方財政に関する件(昭和三十五年  度地方財政計画)  警察に関する件      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  地方財政に関する件につきまして調査を進めます。  昭和三十五年度地方財政計画についてこれより質疑に入ります。質疑の通告があります。順次これを許します。三田村武夫君。
  3. 三田村武夫

    三田委員 昨年の臨時国会におきまして、御承知通り災害対策に関する諸般の特例法が制定されたのでございますが、その中で、特に自治庁関係のある案件について、その後の進行状態等をお尋ねいたしたいと思います。  実は去る十五日でございましたか、岐阜、愛知、三重三県、つまり被害激甚地といわれた三県の議員協議会を持ちまして、いろいろその後の進行状態を検討したのでございますが、その際災害対策について、予算措置もできたし、特例法もできたが、なかなかうまく進行していないという問題が取り上げられまして、それぞれの県の代表から陳情が行なわれたのでございます。その扱いについていろいろ相談をしたのでございますが、この三県協議会において一つ問題点を取りまとめて、それぞれの官庁に質問書要望書を出して回答を求めようというような意見もあったのでございます。しかし、御承知通り国会が開かれておりますので、われわれ地元議員といたしましては、それぞれの委員会で具体的に、事務的に進行状況をお尋ねして、その上でなお足りないところは別途考慮する方が適切じゃないかという意見になったのでございます。私がいわばきょうはそのトップで、自治庁関係についてお尋ねするわけでございます。  自治庁関係と申しますと、これは御承知昭和三十四年七月及び八月の水害又は同年八月及び九月の風水害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律、この関係でございます。これは御承知通り災害地地方自治団体、特に市町村立場から申しますときわめて重要な特例規定でありまして、内容は御承知通り歳入欠陥債、それから小災害に対する起債特例であります。歳入欠陥債の方は申し上げるまでもなく、その文字の示す通り、今次の災害によって地方税その他の減収を見たものを補てんするための措置、あるいは災害対策上当然必要な経資であって、いわば不時の支出ともいうべき費用に充てるための補てん債、この二つ内容を持っておるのでございます。これは法律から申しますと第一条の関係でありまして、当然このような手当がいたされませんと、災害地特に激甚な地域における地方公共団体としてはなかなか困難な場合があるのでございます。率直に申しますと、こういう特例措置はできるだけすみやかに、来書発生の直後にやっていただくことか一番ありがたいのであります。また七れが適切な処置でありますが、なかなか事務的な関係もあっていまだ完全にこれが施行し得る段階にきてないように思います。まず私は具体的に、いわゆる歳入欠陥債についての現在の進行状態はどのような状態になっておりますか、また事務的に今進行しておる段階と、それから大体どのくらいの手当をされる計画になっておるか、予定になっておるかということを最初にお尋ねいたします。
  4. 奧野誠亮

    奧野政府委員 被災団体歳入欠陥を補てんするための特例的な地方債の総額は二十億円と予定いたしておるわけでございます。被災地地方団体でも、地方交付税交付団体になるかどうかというような財政状況団体もございますし、またほとんど税収入らしいものを持たないような地方団体もあるわけであります。そこで私たちといたしましては地方交付税の不交付団体ないしこれに準ずるような団体災害による財源難につきましては、地方債を主体としてその補てん措置を考えていけばいいのではないだろうか。また、税収入がほとんどあるかないかというような団体に対しましては、借金を認めましても将来返していけないのではないか。だから思い切ってこういう団体には特別交付税を交付した方がよろしいのではないか、こういう考え方を持っているわけであります。従いまして、歳入欠陥債特別交付税とをあわせて決定をして参りたい。特別交付税は御承知のように二月中に決定することになっておるわけでございます。そこで両方あわせましてできれば来週中にでも決定いたしたい、かような考え方仕事を進めておるわけであります。
  5. 三田村武夫

    三田委員 大体それはその通り進行状態であるように私も承知いたしておりますが、なるべく早く進めていただきたいということを要望いたしておきます。  次に、めんどうな問題は二条、三条関係でありまして、二条の例の公共土木小災害特例債、それからその同じ二条に含まれておる公立学校の小災害に対する特例債、この二つでありますが、これは御案内のように率は違うと思いますが、元利補給付地方債であります。これはいろいろその適用内容範囲等においても、府県及び五大市についてはどういう基準、あるいは人口五万以下の市町村についてはどういう奉準というような基準がありまして、それはそれぞれ事務的に整理されておると思いますが、ここで問題は、この中にあるいわゆる激甚地としからざるものとの区分であります。大体政令内容を見ましても、本来ならばこういう特例措置をする、つまり別特例法公共土木等災害についての特例措置農地及び農林業施設についての特例措置、これは別に法律があるのでありますが、そういうことで高率補助を受ける。そういう対象以外のもの、つまり災害でありますが、これは地方地元団体といたしましては、本来小さなものは目の前にたくさんあるので、橋なんかでも全部ごわれてしまっていないが、町村責任でやらなければならないものをすぐ手当しなければならぬ、こういうものはたくさんあるわけなんですね。こういうものについては、それぞれ政令の中に定められておる基準によって、できるだけ公平にやられることが私は望ましいことだと思うのであります。従来の例と違いまして、今度の激甚地は、御承知のようにややっこしい混合方式がとられておりますので、甲の町村と乙の町村と並んでおっても、甲の町村には大きな橋かあって、その橋の災害のためにこれか激甚地指定を受ける。乙の町村は小さな災害がたくさんあるけれども、全体の扱いとしては、いわゆる混合方式地域指定でありますから、適用を受けないというような関係になって、地方に参りますと、多分に不公正な点も出てきておるように考えられます。まだこれが具体的にどの町村はどうなっておるかということがはっきりいたしておりませんから、そうはっきり目についておりませんか、実際はそういうことになるのではないかということも私は心配しておるのであります。そこで第二条関係公共土木小災害、それから公立学校の小災害人口五十万以上の市と府県については一件当たり十万円以上十五万円以下、その他の市町村については、五万円以上十万円以下、公立学校については一校当たり十万円以上、こういうものか起債対象になるようでありますが、今申しましたその起債対象になる中で、具体的に申しますと、激甚地指定を受けたものと受けないものと二つになるのですね。この区分は大体見当がついておりましょうか、それからこれに対する手当関係被災団体からいろいろ申請なり資料なり提出されておると思いますか、そういったものはどの程度整理され、どの程度準備されておりますか、この点を一応伺っておきたいのであります。
  6. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、激甚地指定がきまって参りませんと、地方債配分ができないような姿になっておるわけです。たとえて申し上げますと、農業災害について激甚地指定を受けますと、事業費の九割の地方債を認めて全額元利補給が国からなされるわけであります。そうでありません地域については、事業費の五割しか地方債を認めてないわけでありまして、それも全額国から元利補給されることになっておるわけであります。従いまして私たちといたしましては、各省激甚地指定か一日も早く行なわれるように期待をいたし、またそのようなお願いをいたして参っておるわけであります。私たちの連絡しておりますところでは、この激甚地指定が来月初めになるのではないだろうか、こういう話を聞かされておるわけでございまして、率直なところ、非常に困っておるというのが私の方の実情でございます。いずれにしましても、災害復旧に対する国庫負担額がはっきりいたしませんと、正確に査定額地方団体別にどうなったかということがっかめないわけであります。同時に単独災害につきましても、個々団体申請もさることなから、やはり府県間のバランスということも考えなければなりませんので、そうしますと、公共災害の規模が一つバランスをとるめどになるのではないだろうか、こう考えておるわけであります。この国庫負担額決定が、私たち承知しておるところでは二十五、六口になるのではないか、こう聞いておるわけであります。もしそれがきまりましたならば、決定次第補助残の分についての地方債ワク配分をいたしたい、かように考えておるわけでございます。これを基礎にして個々団体単独地方債分をきめていくわけでございます。また激甚地が来月に入ってしまいますので、どうしても事業単独部分は来月の中旬に決定するという段取りにならざるを得ないのではなかろうか、かように考えておるわけでございます。私たちといたしましては、今も申し上げましたように、激甚地指定が一日も早く行なわれ、地方債個々団体決定段取りが一日も早くつけられるように期待をいたしておるわけでございます。今後も各省とその方向で話を続けていきたい、かように考えておるわけであります。
  7. 三田村武夫

    三田委員 今奥野財政局長の御説明通り、実際私たち災害現地に立って具体的にものを考える場合には、非常に困る問題があるのです。今の激甚地になりますと、この法律に書いてある通り三分の二が元利補給付地方債を認める、それから二八・五が普通交付税でまかなっていく、つまり九五・二%というものが国の手当を受けるということになるのです。ところが激甚地でない場所は、三八・二%の元利補給と二八・五%の交付税でありますから六六・七%、こうなるのであります。だいぶ待遇が違うのです。これが公平にいけばいいのだが、今申しましたように非常に不公正になる。実際問題としてそういう点がありますし、特に今局長のおっしゃったように激甚地指定というものが延び延びになっていることは非常に困るのです。そのために私は、実は自治庁長目にも早く地方債起債の方の仕事を進めてくれと何べんも個人伯に会って言ったことがあるのです。ところが、これは今局長お話しのように、公共災害なら公共災害農地農林施設災害なら災害を担当する農林省、建設省、あるいは学校災害担当省である文部省との事務が進まないために、従って自治庁の方も仕方がない、おくれてしまうということで、役所仕事は仕方がないで済みますけれども、実際現地に行きますと、災害は去年の七、八、九月から起こっておって、仕事はどんど進んでおるのです。大体のめどは立てておりますけれども、そのめど通りくるかどうかわかりませんし、きょう私が特にお尋ねすることは、おれの方は激甚地になるらしい、大体まとめて九五・二%くらい国の手当があるんだということで仕事は進めましても、お役所のことですから見当がつかぬ。農地災害で九〇%元利補給起債が認められると思っておっても、それが七〇に切られるか、九〇%まるまるくれるか、あるいは八〇にされるかわからぬ。それでは実際の仕事に支障を来たすという段階なんです。  そこで今の御説明で、これ以上追及しても自治庁としてはどうにもならないということはよくわかるのでありますが、どのくらいの心づもりというか、大体の計数整理はできているのではないかと思います。第二条関係公共土木災害、それから学校災害といったものについての大体の起債許容額の見込み、それから農地及び農業災害の見込みというものは大体ついておりませんか。
  8. 奧野誠亮

    奧野政府委員 激甚地指定がまだできておりませんけれども、一応の推定で県からの報告をとっております。それによりますと、私たちが考えておりましたワクよりも若干オーバーしておるというのが実態でございます。しかし、今後なお精査いたしました結果、はたしてその数字が正しいかどうか、まだ激甚地指定もできておりませんし、国の補助金決定もなされておりませんので、正確な判断はできないわけでございます。しかしいずれにしましても、相当な狂いができておるということならば是正しなければならぬのではないか、かような考え方を持っております。かりに今年の部分が困難になりましても、来年に地方債をつけるという部分もありまして、いずれにしましても、実態から見ましてあまり無理のないようなことをいたしたい、かように考えております。
  9. 三田村武夫

    三田委員 この歳入欠陥債の方は三十四年限りの単年度ですね。だから幾らおそくても来月にはきまるということですね。それから二条、三条関係公共土木の小災害学校小災害農地農業用施設の小災害、これは必ずしも単年度ではないのですね。これから計数整理かできて起債認可申請をすれば、それぞれの実情に応じた手当はしていただけるわけですね。これは地元に行きますと、小災害手当ですから、今年中で終わってしまうのではないか、しかも今年中といったってあと一ヵ月しかない。まごまごしているうちに済んでしまって、ただ何かやるらしいというような、絵にかいたもちに終わってしまうのではないかという懸念も必ずしもなきにしもあらずなんです。こういう点も非常に心配なんで、この機会にはっきり念を押しておきたいのです。この特例法をやるとき、特に歳入欠陥債と小災害特例置措をやる場合に、われわれの党の方としても、一応自治庁大蔵省の方とも折衝をして、今お話し歳入欠陥債については二十億、それから第二条関係公共土木十九億、これは学校災害を含めてでしたか、それから第三条関係つまり農地農業用施設災害十七億くらい見込んで、大体七十四億くらいの計画で、そのくらいあったら手当ができるのではないかという気持で、特例法を作るときにはいろいろ政府とも折衝をしたのでありますが、今財政局長お話し通り被害計数かふえてきて足らぬのではないかという気かするのです。その足らぬときの用意をどうされるかということを一応伺っておきませんと、先ほど私が申し上げたように、法律では農地農業用施設災害激甚地になったところは九〇%とありますけれども、実際は金の面のやりくりからこれが八〇に削られ、七〇に削られるということも従来あり得ない例ではないのです。そういう点の懸念もあります。公共土木についてもそうなんで、先ほど来申し上げるように、小災害こそ地方自治体の重要な手当なんです。これはおそらくやってしまっているだろうと思いますが、その穴埋めをやっていかなければならぬ。今の九五・二%の手当ができるものだと思っていたところ、それが資金面の制約からそうならないのだ、実際にもらったのは八〇か七五しかなかったということでは、まことに困るのです。これでは実際に思いやりのある災害手当にならないということになりますので、その点の懸念もあるわけです。この点私はくどくは申しませんが、旭ねてもう一度自治庁当局に伺っておきたい。御案内のようにだんだんと地方自治体財政的に困ってくる。災害があればあるたびごと財政的にきゅうくつになるし、赤字の上に赤字を積み重ねていくという現状でありますから、そういったことをできるだけ軽減する、楽な立場に置くための特例法ですから、その趣旨が薄くなることを私はおそれますので、一応念のためにその点の見通しなり、自治庁の方針を伺っておきたいと思います。
  10. 奧野誠亮

    奧野政府委員 歳入欠陥補てん等のための地方債につきましては、先ほども申し上げましたように、特別交付税と一体として運用していきたい、かような考え方でおるわけでございます。また一応の数字をすでに持っておるわけでございます。従いましてこれは二十億円で間に合う、かように考えておるわけでございます。問題になりますのは、いわゆる元利償還額の一部を国庫から補給をいたします特例債でございます。これは一カ所の工事費が一定の限度額以上でありませんと国康負担対象になりません。この一カ所の工事費限度額を引き下げるかわりにとられた措置であることから考えますと、所要の額から著しく少ないような地方債しかできない場合には、これは国として善処しなければならないのではないか、かような考え方を持っておるわけでありまして、国庫負担額決定し、激甚地指定も終わりましたならば、正確な判断ができますので、その際に非常な食い違いが起ごります場合には善処いたしたい、かように考えておるわけであります。
  11. 飯塚定輔

    飯塚委員 関連して。これは学校災害でございますけれども、最近はわれわれの方では暖冬異変と申します。か、雪が少なくて雪による被害というものはほとんど見られなかったのですか、ことしは何年来というか、非常に智が多かったために、不平にして私の町の中学校が約百五十坪ばかり雪のためにつぶれてしまったのであります。それがけさ地元から電話がきて、その対策についていろいろ問い合わせかあったのですか、それに対して特別交付金を増してもらうか、あるいはその学校復旧に対しての特別の起債をすみやかに出してもらうか、そういうことを一つ伺いたいと思います。
  12. 奧野誠亮

    奧野政府委員 学校校舎がなだれで崩壊してしまったというような場合には、当然学校復旧を行なわなければなりません。それは単独災害復旧事業費起債ワクの中で許可をいたして参りたい、かように考えるわけでございます。それがために特に特別交付税を増額するというような措置はいたしておりません。単独災害復旧のための地方債元利償還額については、これはその際に特別交付税で一部を補てんするというような運営の仕方をいたして参るわけであります。
  13. 飯塚定輔

    飯塚委員 いずれ具体的なことを申し送られると思いますが、その際は特に単独起債の面において十分に考慮していただきたいと思いますから、その点さらに念を押しておきたいと思います。
  14. 三田村武夫

    三田委員 いま一点。先ほど来お尋ねした問題の矛盾の締めくくりというのですか、第二条関係の小災害特例起債ですか、この場合に起債を認める地方つまり起債団体として対象になるものは公共土木だけでなくて、学校災害農地災害も含むのですね。含んだ災害の額がその市町村標準税収入以上の場合、政令にそう書いてありますね。ところが今の激甚地指定方式がこれと違うのです。本来この方式激甚地指定はやるべきだったと私たちは思いますが、混合方式というものがとられまして、元来この政令に脅かれたと同じ条件の団体であって激甚地指定を受けた団体と受けない団体と違ってくるのです。地方財政弱体化を防くというか、負担を軽減せしめるということが目的であるならば、私は同じでなければいけないと思うのですが、違ってくるのですね。そういう点、私はきっとあとから問題になってくると思うのです。この点は自治庁としてはどういうようにお考えになっておりましょうか。
  15. 奧野誠亮

    奧野政府委員 激甚地指定につきましては、従来からとられておった方式か、特例債について、一般的な特例債を起こせる団体指定基準であるわけであります。これにつきましては、経験済みのことでありますので、妥当であるか妥当でないかという判断ができるわけであります。ところが、今回のような混合方式ということは初めてのことでございます。また御指摘のように、若干そのために仕事がおくれるということはあり得るのではないかと思います。しかしこれがいいか悪いかということは、初めてのことでありますだけに、いましばらく結果を見て批判をすべきものだ、かように私たちは考えております。
  16. 三田村武夫

    三田委員 最後に念のために申し上げておきますが一切の災害対策特例措灘は、被害地被災団体つまり地方自治体立場を救うための措置なんです。府県といわず、市町村といわず、そういう立場ですから、できるだけこれは公正にいかれるように、特例法審査の際にいろいろ苦労をしてみたのですか、私の気持ではまだ割り切れていないのです。しかし法律かできてしまったことですから、ここで繰り返して申しませんか、特に自治庁におきましては、そういった不公正な面の出てこないように、せっかくお骨折りを願いたいと思います。どうしても不公正な点が出てきて困る場合は、われわれ国会議員責任上、間違ったことを改めなければなりませんから、改めることが必要だと思います。その点は、地方自治団体の指導というと語弊がありますが、財政健全化を推進しなければならないという自治庁立場から、十分御検討を願いまして、どうもこういうことでは実際上の扱いが困るという点は、私は正直に出していただきたい、このことをこの際特に申し上げて、この問題に関する質問を終わります。
  17. 濱地文平

    濱地委員長 関連質問があります。太田さん。
  18. 太田一夫

    太田委員 関連してお尋ねいたします。特に教育費の問題ですけれども、これは奥野財政局長にお尋ねして、少しばかり文部省なり大蔵省の方に要請をしてもらいたいと思うのです。たとえばあるセクションの災害費とそれから今度の査定費を見ますと、そのパーセントが大体七〇%——これは実質でございますが、七〇%というのは、水増しがあったという前提ならばいざ知らず、そうでない場合は三割をやはり地方負担しなければならないことになる。従って七〇%の査定率というものに非常に地方では小首をかしげました。なお七〇%査定になったために、今の激甚地という指定をはずれるところが出てくる。標準税収入の十分の一、一割というところが、そのためにほんのわずかずつ下がってくるところがある。そのために合併市町村の区域内だけは、これは激甚地にするけれども、全市としてはいけないとかいうような実例が出て参りまして、激甚地であるのが激甚地でなくなった。従ってそこで補助率が非常に変わってきますから、困ってくる市町村が現実に出てくる。この七〇・五%という査定率では非常に地方財政を圧迫してしまう。自治庁として何か御見解があろうかと思いますが、そういうことをお気づきになっていらっしゃいますか。
  19. 奧野誠亮

    奧野政府委員 ことさらに災憲経費所要額を減じて決定をしておるという話は実は聞いておりません。今のそのような話は、さらによくお教えをいただきまして、十分私たちとしてもそういう無理のないように努力していかなければならぬ、かように考えております。
  20. 太田一夫

    太田委員 やはり無理があると私も思いますので、無理のないように、温情のある査定をしていただかなければならないと思うのです。それは予定された予備費からの繰り入れが少なかったために、学校復旧に回す予算が足りない。そのためにどうしても査定率を圧縮しなければならないということに原因があるんじゃないかと思います。答えの方が先に出ておるのですから、どうしても途中の算式に無理が出てきておると思う。この点七〇・五%というあの東海地域査定につきまして、私実際に見てこれは大へんなことだと思いましたので、自治庁におきましても十分に一つ御検討いただいて、文部省なり、大蔵省にもう一度再考慮を要する点があれば、再考慮をわずらわしていただきたいと思います。  もう一つ社会教育施設なんです。これがまた猛烈にひどい。二億一千万円くらいの被害があって、数字があるいは若干違っておるかもしれませんが、この二億一千万円に対して、予算がたしか七百万弱、これは大ざっぱに言いまして、どうでしょう。三・五・二として考えてみましても、一割くらいしか補助がないというような気がする。そうすると体育館がこわれますと、大てい百五十万、二百万というように小さな村でもやられておる。それの補助が一割としますと、やはり百何十万、ほとんど現価格に近いものを社会教育施設のために出さなければならぬ。ほとんど公民館に多いのですが、これで地方の村か困っておるのです。村が学校として建てればよかったのを、特に公民館として建てたのが多い。公民館として建てましたばかりに、今度は四分の三が三分の二、激甚地でも三分の二であるか、予算が足りないので、せいぜい一割くらいしか見込まれない。だから、補助はないものとしてあきらめて何とかしなさいよというのか県のアドバイスだというのです。財政局長どうでしょう、こういうのは非常に不合理だと思う。あなたの方から何とか一言言っていただきたいと思うのです、か、御見解いかがですか。
  21. 奧野誠亮

    奧野政府委員 大蔵政務次官が見えておりますから、政務次官に答えていただいた方がいいと思うのです。ただ学校災害でありますとかあるいは土木災害につきましては、一定の比率に従って国が負担をしていく、こういう建前になっておるわけでございます。社会教育施設につきましては、災害があったら必ず国が負担をするという建前にはなっておりませんで、先般の大災害から見まして、特に国が復旧の一部を補助するというような措置がとられたわけでございます。従って、土木災害学校災害のように所要の復旧費がわかっているのに、ごとさらに率を引き下げて国の負担額を決定する、これは私は穏当でないと思います。社会教育施設のごときになりますと、ある程度補助金の総額の問題もからんでくると思います。しかしながら、今御指摘になりましたように、一割とか二割ということでは法律の趣旨が全く没却されているのではなかろうか、こういう感じを持つわけでございまして、やはり補助金でありましても、法律に率がきめられている以上は、私は、おおむねそれを満たすような方向において運営されるべきものだろう、かように考えておるわけでございます。しかし、大蔵省の政務次官に御答弁をいただいた方がよろしいと思います。
  22. 太田一夫

    太田委員 一応自治庁におきましても、特にその問題はお考えをいただいたらいいと思うのです。今日のこの事態になりますと、地方財政に及ぼす影響というところから引っぱり出していただきませんと、何ともならないのじゃないでしょうか。大蔵相におきましても、文部省におきましても……。現実にある村で二百万円の体育館の破損がありました。そのときにまず二十万円ぐらいしか国庫補助金が予定されない。とするならば百八十万円というものは自分たちが出さなければならない。これは全額起債を認められるならばいざ知らずでございますけれども、それだとて返さなければならないものですから、非常に体育館というものをもてあましておる。しかも、大蔵省査定の方法に問題があったのは建具なんです。窓がやられてしまった。こういう鉄骨の窓ですが、この鉄骨などがさんざんにやられてしまって何ともならないからかえなければならぬというのに、建具というものは被害の中に入らないと覆われている。建具が入らないというのは、公民館の中の幕だとか何とかいうものはそうでしょうけれども、外側の窓がやられたのに、建具は入れないというのです。こういう理不尽な査定方式はないわけで、実際それぐらい現地においては困らされておるのです。一つ奥村政務次官にもその点をお含みいただいて、社会教育施設が非常に小さくなっておるようでございますから、また予備金を幾ら回すということもきまっていないようでございますから、一つぜひともこれは考えておいていただきたいと思います。
  23. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 私からお答えいたしたいと思います。災害復旧査定は現実にはなかなかむずかしい問題が多々ありますので、被災地の方々のお気持をくんで、できるだけ行き届くようにしなければならぬと考えておりますが、今お尋ねのたとえば学校などの災害をどのように査定するか、何か七〇%ぐらいにしか査定しておらぬということですが、大蔵省といたしまして、初めから七〇%と答えを出して、これだけしか予算がないから査定せぬという態度は決してとっておりません。しかし、現実にはそういうことになりがちです。これは、最近はそういうことはないと思いますが、昭和二十八年のときの災害に例をとって申し上げますと、ある地方におきまして、災害復旧の最初の机上査定額と現実とがどうも食い違っておるというので、ついに会計検査院が査定をいたしましたところ、机上査定額のわずかに一割に査定されたということが事実あったので、これは皆さんも御承知の方が多いと思います。従って、これはまあ特にひどいのでありますが、それは地元としては人情として少しでもよけいに査定を受けようという気持もわかります。また役所立場としては、会計検査院のあとからの検査もあることですから、できるだけ現実に即して、無理のないところでいきたいということでもございますから御了承いただきたい。  学校災害復旧につきましては、文部委員会また当委員からの御要望もありまして、査定額はその後相当ふえまして、これは査定額がふえれば当然予備費から出しますから、その点は御心配なしにお願いいたしたいと思います。  公民館等の社会教育施設につきまして、これも私はおしかりを受けるかもわかりませんが、二百万円要るところを三十万円とはこれいかにということもありますが、現実に当たりますと、さてこれをこぼって新たに建てるかどうかという問題になりますと、さあ、これを災害を受けたからといってみなこぼってはもったいないという場合がありますわね。そうすると、一体どの程度災害に見るか、そういうことにもなりますので、これはやはり個々の事例に徴して、また、特にひどいところは取り上げて御指摘をいただきまして善処いたしたいと思います。
  24. 三田村武夫

    三田委員 私は、奥村大蔵政務次官の御意見に反駁するわけではないのですが、私たち災害県でありますけれども、災害者の立場から、何でもできるだけよけいとれなんていうことは決して申しません。そういうことを言っているのじゃない。災害の場合に特に特例法を設けて特別の手当をするということは、災害地地方自治体に対する財政的圧迫をどのようにして軽からしめるかというところに主眼がある。この点は一つ誤解のないように考えてもらいたい。  それからもう一つ大蔵省はしばしぱ会計検査院、会計検査院と言われます。私もよく聞いているのですが、そういう悪例はありましょう。しかしこれはあくまでも例外であります。私は、特に行政当局に申し上げたいことは、その悪例の例外を原則に戻して全体を一律にやられるということは一番困る。それは悪例は除かなければなりませんが、これはあくまで例外なんです。原則ではありません。それをこういう例があるから、こういう例があるからといって、全部を一律に解釈されることは非常に迷惑です。そういうことではなくて、例外はあくまでも例外として厳重にためなければなりませんが、そうでない善良なものまでも悪例のために犠牲にしないようにしてもらいたい。これが政治なんですから、政務次官も大蔵省事務局によくおっしゃっていただきたい。それは悪例はありますよ。ありますが、それは世の中にどこにもある例外です。その例外を原則に引き戻して、その例外のために善良なる一般のものまで処遇しないように御配慮願いたい。これだけ申し上げておきます。
  25. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 ただいまの御趣旨には私も全く賛成でありますので、事務当局にそのように伝えて参りたいと思います。
  26. 濱地文平

    濱地委員長 奥村政務次官にちょっと私からも申し上げますが、私も災害県の出身であります。二十八年災のとき、あなたのおっしゃったような例はちょいちょいありましたが、ところが今度は一切なくて、あとからあとからなお災害被害が大きくなったという事実がある。その点はよく御了解を願っておきたいと思います。渡海元三郎君——。
  27. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいまの三田委員質問に関連いたしまして、一言だけお聞きしたいのでございますが、激甚地指定がおくれておりますために、特例法に基づくところの地方債がおくれておる。これはやむを得ぬことでございまして、事務的にいうと、激甚地指定と同時に直ちにこれが交付されるものと思うのでございますが、一応の額の概算程度におきましても——事業がこれにおくれるというふうなことがございましたら、災害復旧のために非常に困窮すると思いますので、当然概算額によってつなぎ資金その他の手当がされれば、事業復旧の面においては支障なく行なわれていくものである、かように思いますが、幸い奥村政務次官もお見えになっておりますので、自治庁当局、あるいは大蔵省当局、どちらからでもけっこうでございますが、その間の実情を承りたいと思います。
  28. 奧野誠亮

    奧野政府委員 災害地のつなぎ資金の問題につきましては、たびたび交付税の先渡しを行ないまして、大蔵省の方で支給額の資金の前貸しをやっていただいたりしておりますので、資金的に非常に困っているというような話は、全然ないわけではございませんけれども、一般的な問題としては、私たち全然聞いていないのでございます。また、もしそういうことで困るような団体がありましたら、その団体については十分な措置をしなければならない、かように考えております。
  29. 渡海元三郎

    ○渡海委員 先日、地方財政計画説明を聞いたのでございますが、累年にわたる国の施策と、特に経済界の好転等によりまして、本年度は相当地方税の増収が期待されまして、地方財政計画は、私たちが要望しました投資的経費の増大、あるいは年々問題になるアヘン公債とまでいわれました交付公債制度も、その大部分において解消される。また、住民の過重の負担になっておりました税外負担の解消によりましても一歩前進をされておるということに対しましては、まことに御同慶にたえないのでございます。しかしながら、私はこの好況にある三十五年度財政運営のあり方こそが、最も地方財政をあずかるものとして重要な時期ではないかと思うのであります。先年あの朝鮮ブームによる好景気に見舞われましたとき、地方の多くの中には、この好景気は当然日本経済の伸びである。こういうふうな見方のもとに、将来の健全なる運営を忘れて、いろいろな経費の増大をはかった。一たん伸びました予算というもの、財政規模というものは、これを縮めることは非常に困難であるということは当然でございます。そのために、朝鮮ブームがやまるとともに地方財源は非常な資金難に陥り、あの地方財政赤字を生みました原因も、当然このようなところに一つの原因があったんじゃなかろうか、かように思うのでございます。従いまして、私はこの三十五年の時期にこそ最も注意して財政運営の処理に当たっていただかなければならないと思うのでございます。先般長官が説明されました要点の中の、本年度財政計画の中の方針の第一として、地方財政健全化の推進を取り上げられたのは当然の措置でございまして、敬意を表するものでございますが、こう健全化の推進としてあげられました項目が、この財政計晦の中に具体的にどのような数字で具体化されておるかという点を御説明賜わりたいと思います。  次に、財政計画数字的にあげられましても、これはなかなか実行することがむずかしいのでないかと思います。従いまして、ある程度の法的規制も行政運営と相待って行なわれなければならないと思うのでございますが、伝えられますところの財政法の一部改正、あるいは再建促進特別措置法の一部改正等も、こういった方向において進められておるのではないかと思うのであります。これら法改正の概要につきまして御説明を賜わりたいと思います。
  30. 奧野誠亮

    奧野政府委員 財政健全化の推進ということになりますと、地方団体全体の問題と、個々地方団体の問題と両面にわたるんじゃないか、かように考えます。  地方財政全体の問題としましては、一つは、御指摘になりましたように公付公債制度の問題、直轄事業地方分担金が相当の額に上って参りましても、公付公債制度をとっております限りにおいては、地方財政計価に乗って参りません。乗って参りません限りにおいては、それが将来どうなるかということを事業の行なわれる年度においてしさいに検討されるということはないわけでございます。そういうような不自然の姿が公債制度の廃止によって解消して参ると思います。二百三億円の部分だけが地方財政計画に計上されまして、それがどういう姿になるかということをその年度において十分その計画を通じて検討ができるということが言えると思うのであります。  もう一つは、地方財政の現状からいたしますと、あとう限り既存の財源は確保していきたいという考え方をとらざるを得ないと思うのであります。健全化といいますことは、言いかえれば、住民の要請にこたえていろいろな施設を維持していくということが一番基本的な健全運営の問題だろうと思うのであります。しかも赤字を出さないという問題になるわけでございますので、財源を確保するということが非常に必要なことと考えます。そういう意味におきましては、住民税の減税につきましても、減収額の一部を国から補てんをしていただいたということでございます。同時にまた、幸い相当な増収もあることでありますので、今まで地方財政計画についても認められておったいろいろなしわかある程度伸ばされたということか言えると思うのであります。たとえば地方財政計画の職員数と現実の職員数との間に相当な開きがあった。従って、職員が十分見られていない結果は、事業費その他か減額されておったというようなことになろうかと思うのでありますけれども、そういう全額がこの数字の上で九十六億だけ是正されておる、こういうようなことを指摘することができると思うのであります。同時にまた、地方財政は必ずしも十分でないために、増税とか、あるいは法定外の税金を設けるとかいうような運営をしておるほかに、いわゆる税外負担の問題があるのであります。無理な寄付金等に財源を求めて仕事をしておる。こういうような点につきましては、この際九十億程度のものを整理することを目途として、財政計画にもその数字が計上されております。こういりような諸点を、地方財政全体を通じて数字の上に表わした健全化措置の費用だ、こう言えると思うのであります。  同時にまた、個々地方団体の問題といたしましては、あとう限り自治体は借金でやりませんで、一般財源で運営がなされるようにしようというようなことで、先般申し上げましたような考え方のもとに、地方債計画を策定しておるわけでございます。また全団体に対しまして財源を与えることについては、基準財政需要額を増額をする。従って、地方税の収入の少ない団体につきましては、地方交付税が増額交付されるというようなことを考えておるわけであります。同時にまた、税外負担の解消等の問題については、必要な立法措置も用意をいたしておるわけでございます。なおまた、団体間の実情に応じました財源の配分をさらに進めていく必要がございますので、地方交付税制度や、地方譲与税制度につきましてもかなり徹底した改正を行ないたいという考え方のもとに現在具体案を計画いたしておる最中でございます。
  31. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいま示されましたような健全化への努力に対しましては敬意を表するのでございますが、しかしながら、この策定されました財政計画を、実際に四千近い各地方団体かそれをそのまま行なっていただくということについては、もちろん法の規制も必要でございますが、行政運営の行政指導というものが相当必要ではないかと思うのでございます。たまたまけさの新聞を読みましたら、東京都の議員り歳費の値上げ問題が麗々しく一面に掲げられている。当然またこれらの議員の歳費の値上げは、従来行なわれていなかった、あるいはよそと比して少ないとかいろいろな理由があることであろうと思います。しかしながらこういった個向が、財政か鵬かになれば地方にも普及するのではないか。ところか財政計画におきましては、議員並びに委員の費用というものは全然増額されておらない、差引ゼロという数字が出ておるのでございます。ところが、実際におきましてはそういうふうに変わってくる。こういうような状態では、はたして国が期待しておられるところの健全化への方向が実際にできるかということは、非常に困難であろうと思う。このためには強力なる地方自治体に対する行政指導と申しますか、また地方自治体自身の努力というものを喚起していただかなければならないと思うのでございますが、この点に関し、いかに自治庁当局は考えておられるか、特に丹羽政務次官のお考えを伺いたいと思います。
  32. 丹羽喬四郎

    ○丹羽(喬)政府委員 ただいま渡海先生からのまことに適切な御恵見を拝聴いたしました。自治庁といたしましても全然同感でございます。私どもといたしましては、確かに一般公務員の給与も、まだ私ども希望する線に達していないところでございます。先般の人事院勧告に伴いまして、国家公務員の方の給与の中だるみ是正という方針に伴いまして、地方公務員の方もぜひある程度までは上げたいというので、今度の健全化の目標ではございますけれども、そのうち六百億余りを見込んで財政計画に編入しているような次第でございます。できる、だけそういう点の給与面の是正もしたいということでございますが、一面議員の方の歳費の増額ということは、性質から申しましても、これは公務員と異なった面もございます。また確かに数年来歳費の値しげが行なわれていないというようなことも相当あると思います。今日、先ほど渡海委員のおっしゃいましたように、こういう増収の際にごそ各自治体か自粛をいたしまして、人件費の方面につきましてはできるだけ自粛をしていきたいということか私どもの最も希望するところでございます。この際、ことにその一番中心になりますところの東京都方面におきましては、特にそういう面につきまして自粛自戒をしていただきまして、そういった給与面におきましては、できるだけ——確かにいろいろの諸経費から比べまして、現在の歳費というものは必ずしも実情に合っているというふうには思いませんけれども、まず他を先にいたしまして、みずからは後にするという方針で臨んでいきたい、こういう強い意見を持っておるような次第でございます。
  33. 渡海元三郎

    ○渡海委員 なるほど、昨年度財政計画と比べまして非常に税収も伸びております。しかしながら、地方自治体の中には、この財政計画の中で対象とされましたそれらの問題外にも、いろいろ行なわれなけばならない、また不健全なる要素が多数存しておる。これらのことを忘れてそのようなことが行なわれるようなことであったならば、私は非常に困ると思う。ただいまの御答弁で満足するものでございますか、くどいようでございますが、念のために具体的にどのような行政指導をされる所存であるか、一つ御答弁を賜わりたいと思います。
  34. 丹羽喬四郎

    ○丹羽(喬)政府委員 実は私どもも今日の朝の新聞を見まして、初耳で驚いているようなわけでございます。具体的にはたしてそういったよう大案ができているかどうかということは、まだ聞いてないような状況でございます。具体的に、さっそくそういったような動きがあるかどうかということも調べさせまして、できるだけ協議して参りたい。御承知通り、やはりただいまの財政法によりまして、強力な指導と喧しましても、交付団体でございます。やはり自治体のお考えによりまして善処されること、これが自治の精神からいっても望ましいことであります。団体の当事者と話し合いをいたしまして、これまた様子を十分に聞いてから私たちの指樺方針もきめたい、こう思っておる次第であります。
  35. 渡海元三郎

    ○渡海委員 次に本年度地方財政計画におきましては、地方税において、譲与税を引きますと八百四億という増収が期待されると思います。交付税におきましても三百七十九億という額があったわけであります。一方、義務的耗費その他非常に地方団体としてせなければならない歳出の面もあるのでございますが、しかしながら、しさいに検討しますと、長官が説明の中に述べりれたように、すでに三十四年度におまして数六度国の補正予算その他の地方交付税も見ましたし、あるいは地方祝の増収というものもあった。その三十四年度において相田財政規模が伸びおる。ここにあげられました財政計画というものは三十四年度の当初計画との比較でございまして、長官が数字説明されたように、決算となりましんならば、税収において四百四十億、交付税において二百七十幾らですかのように、そう多くのものは期待できない。しかも給与費の増、その他義務的経費の増というものは当然せなければならないということになりましたならば、個々地方団体にとって相当むずかしい予算の組み方がされなければならないのじゃないかということが考えられるのでございますが、これらについていかような指導をされ、またどのような見解を持っておられるか、財政局長の御説明を願いたい。
  36. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘になりましたように、三十四年度におきまして相当な自然増収が出ておるわけであります。従いまして今までも、この増収は三十五年度の新規財政需要に予定されておる財源だから、そういう考え方のもとにこの財源夕利用する等の措置を講じなければならないというようなことを強く言って参っております。同時にまた三十五年度地方財政計画につきましては、今御指摘になりましたように、すでに前年度において相当増収になったものを財源にしておるのだから、ただ歳出規模をこの財政計画の姿のままで膨脹をさせる結果、将来非常な財政難に陥ることのないようにという留意もまたあわせて行なってきておるわけであります。なお一般的に年度間の財源調整を個々団体において強化して参りたいというような考え方を持っております。地方財政法を改正いたしまして、その趣旨を従来よりももっとはっきりさせたいというふうに存じておるわけであります。同時にまた市町村につきましては、府県がもっと行き届いた指導あるいは相談相手になるというような必要があろうかと考えますので、府県地方課職員を動員いたしまして、地方財政がさらに健全化の方向をたどりますように、今側のこのような措置と相待ちまして指導関係の充実を期したい、かように存じておるわけであります。自治庁におきましても、そういうような方向で若干の増員をしておりますので、努力をしていきたいと思うわけであります。
  37. 渡海元三郎

    ○渡海委員 今回の八百二十一億という地方税の増収の数字の内訳を見てみますと、府県においては四百八十七億、市町村分におきまして佳箒目三十三億という数字が出ておるのでございます。一方、住比税の増収というものは府県よりも市町村の力が多いという姿になって現われておるのでございますが、これらの増収はしさいに検討しましたなれば、全部がよくなっておるというよりも、むしろとの増収の原因の大部分というものは、法人税割りあるいは事業税の伸びというものから出てきておるように数字に現われておるのでございます。たとえば府県の増収の中で法人税割りは五十二億、また事業税の伸びが三百七十一億と、四百八十七億の増収の中の三百二十四億というものは事業税並びに法人税割りとになっている。このことは言いかえましたなれば、不交付団体を含むところの富裕府県に税が集中し七おる。従って他の府県にあっては財政計画へ現われる数字というものは大きいのでございますか、貧弱府県においてはむしろ義務的な経費ばかりが伸びて、税収そのものかほとんど伸びてないという姿になって現われてくるのでないか、かように考えます。従いまして、この間の貧富の間隔を適正にする措置が、本年度財政計画の中でほんとうにこの財政計画を生かすためには必要でないか、かように思うのでございます。この点に関しまして、大蔵省当局はいわゆるたばこ消費税の譲与税化ということを強く主張されたのでございますか、さなきだに独立財源の少ないとき、この独立税を取り上げて譲与税化されるということにつきましては、私たちは決してこの大蔵省意見に同調できないものでございます。幸いにしてこれを廃止されたということは同慶の至りでございますが、しかしながら財源調整そのものについては私は当然考えられなければならないと思うのでございます。長官の説明の中にも、交付税法の改正その他地方道路譲与税の改正等によりまして、各自治体岡の財源の調整を行なう、こういうふうに言閉されておりますが、どういった方向で改正をされるのであるか、この点伺いたい。
  38. 奧野誠亮

    奧野政府委員 税収入は、経済界の状況によりまして総体的にも、また個々地方団体間においても、年々違った数字になって現われてくると考えます。個々団体におきましては、税収入のふえる場合には借金を少なくして将来に備えていくという運営をすべきだと考えます。御指摘になりましたように三十五年度では法人事業税や法人税割りにおいて相当な増収が見込まれる、そういう収入は特に一部の団体に顕著に呪われてくると考えられるわけでございます。従いまして地方債の運用にあたりましては、特にその点を考慮して参りたい。ことに今回直轄平準の地方分担金二百三億円という巨額のものを現金で納付せることになるわけでございますので、その際におきましても、地方税の増収の多い団体につきましては、あとう限り現実に一般財源をもって納付してもらう。他の団体については、相当な地方債を認める場合でありましても、税の増収の多い団体に対しましては一般財源をもって納付させて参りたい、かように考えているわけでございます。  さらに地方団体間の財源の均衡化を一そう前進させますために、現在軽油引取税や地方道路譲与税は、道路費の目的財源になっている関係から交付税の計算からはずしております。地方交付税制度は、こういう団体間の財源の均衡化を進めていきます基本的な制度でございまして、年々の税の伸び縮みというものが交付税配分において調整されているという仕組みがとられているわけでございます。自動的に調整されているわけでございますが、これをさらに前進させるために軽油引取税と地方道路譲与税を基準財政収入額に算入したい、かように考えるわけでございます。そういたしますと、交付団体相互の岡におきましては、軽油引取税などの税収入の多い団体におきましては地方交付税か減額になります。こういう税収の少ない地方団体においては地方交付税が増額になるということで、地方交付税制度の持っております均衡化の機能がさらに強化される、こういうことになって参ろうかと思うのでございます。同時に、さらに交付団体間につきましては、正そう弱小団体の財源を強化していきまして、法人事業税なり法人税割りの財源のあり方とにらみ合った財源の配分を行なえるように持っていきたいということで、特に考えておりますのは、公債費負担を緩和したい。地方財源の措置が全体として十分でない際に、多くの団体がただ惜金で公共事業の運営を行なってきたというような経緯になっておりますので、三十年までに発行された公共事業債につきましては、現在団体によりまして元利償還額の二五%から七五%のものを基準財政需要額に算入しております。これをもっと思い切って二五%から九五%くらいまでに引き上げていったらどうであろうかと部内において検討しておる最中であります。同時に三十一年から三十四年の間に発行された交付公債も、その元利償還額の一部を基準財政需要額に算入するごとによって、その負担を思い切って緩和したらどうであろうかというような一連の考え方をもって現在検討しておる最中であります。  なお、交付団体と不交付団体との財源均衡の問題かあります。これにつきましては、今申し上げましたような措置をとる反面、不交付団体につきましては地方道路譲与税の譲与額を制限したい。そうして十億円程度のものを減額しまして、これを地方交付税交付団体に譲与するような法律改正を行なったらどうであろうかという考え方を持っておるわけでございます。  そういうような総体的な考え方のもとに、財源の均衡化をさらに前進させるという方向で現在検討しておる最中でございます。近く国会に提案できるように持っていきたい、かように存じております。
  39. 渡海元三郎

    ○渡海委員 さらに市町村の増収は、三百三十三億になっておりますが、その中で住民税の伸びか百十五億、ところがその百十五億のうち七十八億という大部のものは、法人税割りの増加になっております。また固定資産税の増加が百十一億になっておりますが、償却資産が四十一億という数字からながめましても、これもまた非常に富裕の市あるいは町村に多く、一般の町村は、むしろ昨年の所得税の減税に伴いますところの住民税の減少で非常に困るのではないかという状態になっておりますが、昨年度実施されましたあの府県間の均衡をとるための措置、さらに今局長が述べられたような措置によります均衡化が市と町村の間にいかに行なわれますか。当然今度の交付税法の改正に入れられるだろう、かように考えますが、この点についてどのような措置をとられますか。
  40. 奧野誠亮

    奧野政府委員 御指摘のように、町村の間におきましても、どちらかというと、都市的形態の団体において相当な増収が得られるだろう、こう考えております。しかし市町村全体を通じて考えました場合には、都市的形態の地域におきましても、たとえば下水道の施設がきわめて不十分のままに置かれておる、あるいは道路の整備が非常におくれておるというようなことで、どちらかというと、さしあたりまとまった金の要る地域は、私どもは都市的形態のところではないかと思います。逆に、農村的な町村におきましては、まとまった金よりも一般的な財源が全体として少な過ぎる、こういうふうな気持を持っておるわけでございます。言いかえれば、環境衛生施設その他の都市施設充実のためにまとまった財源を都市的な団体に与えていくべきではないか。そういう意味においては、さしあたっては地方債を思い切ってそういう団体に認めるというのも一つの考えじゃなかろうかと思います。幸い増収がありますならば、それでそれらの仕事を運営していきますことがより健全な道だと考えております。従いまして、都市的な地域に相当な増収があるからといって、これをほかの団体に振り向けるというような考え方を持つべきじゃない、かような判断をいたしておるわけでございます。しかし、町村的な地域におきましては一般財源そのものがきわめて不十分である。私たちはこういう考え方を持っておるわけでございます。従いまして、そういう点を是正いたしますについては、地方交付税制度の改正を通じて弱小の町村に財源を計算的に付与するというような努力をしていかなければならないのではないか、こう考えるのでございます。そういう意味で、たとえて申し上げますと、面積基準のような単位費用を相当引き上げまして、全体的に都市的な財源を与えていくという運営をいたしまして、あるいはまた人口を算定単位といたしておりますような経費につきましても、現在は市町村を一種地から二十種地に区分いたしまして、十種地を基礎にして単位費用をきめております。十種地から以上の極地につきましては財政需要額をだんだん引き上げるようなことをし、十種地から一種地に向かって種地の下がりますにつれて財政需要額がだんだん下がってくるというような補正の仕方をいたしておるわけであります。種地の差により暫定手当その他について財政需要額に相当の差があることは事実でございます。そういう意味で補正係数をきめます場合にその差を少なくする、すなわち十種地と一種地の間には人件費について差があるとか、行政の質において差があるとかいうようなことから、この係数を割り出しておるわけでございますが、その係数を割り出す場合の基礎にしております行政の質の差において、十種地を一にしますと、たしか一種地では六割何分に下がるというような計算の仕方をしております。これは財政の均衡化を進めていく上におきまして、一種地から十種地までは全部一に引き上げて行政の質の差をなくしてしまいたい。言いかえれば、十種地から一種地に下がってくるにつれまして財政需要額を落としてありますのを、行政の質という点において見る限りにおいては同じ種地にしてしまいたい。そうして弱小町村財政需要を引き上げていきたいというような方向を考えておるわけでございまして、なおいろいろな点につきましてそういう方向で物事を検討いたしておるわけでございます。こういう点につきましても近く国会にお諮りをいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  41. 渡海元三郎

    ○渡海委員 それに関連をいたしましてこの際一言言っておきたいのでございますが、いわゆる新市町村の建設法によりまして交付税の特例が設けられておるのでございますが、本年でもって切られることになっておるようなものもございます。これはその市にとりましては相当大きな変動があるのじゃないか、かように思われますので、激変緩和の措置等が講じられなければならない、かように思うのでありますか、交付税その他においていかなる措置をとられるか。なお、来年度これらの市町村が多数に現われるのでございますが、現在の新市町村建設のあり方にも徴しまして、なお五年ほどこれを続けるべきではなかろうかという説もあるのでございますが、これとあわせて簡潔にお答え願いたい。
  42. 奧野誠亮

    奧野政府委員 合併市町村につきましては、現在、五カ年間だけは合併前の個々市町村について算定された地方交付税の額を合算する、その合算した額の方が新市町村について計算された交付税の額よりも多い場合には多い方をとるという、いわゆる算定がえ方式を採用しておるわけでございます。五年の期間が経過いたしますと、こういう特例措置がなくなるわけでございますので、団体によりましては相当地方交付税が減額になって参ります。ことしすでに若干の団体についてそういう点が現われて参っております。そこでそういう団体につきましては、もし算定がえをさらに行なった場合にはどれだけ財源がふえるか、こういう数字一つ求め、もう一つ、現実に交付税がどれだけ減ったかという数字を求め、どちらか少ない力の金額をとるわけでございますが、機械的にその三分の一は、補てんをしよう。しかし二分の一の補てんでは十分でなければ、さらにいろいろな事情を考慮して特別交付税を増額する。しかし機械的にとにかく今申し上げましたような金額の二分の一は補てんをしていこう、こういう方式を採用することにいたしたわけでございます。激変緩和の措置でありますので、二、三年はそういうやり力で緩和しなければならない、かように考えておるわけでございます。五年の期間を延長すればよろしいじゃないかという意見をしばしば伺うのでありますけれども、新市町村として一体的な施策をやっていかなければならないときに、いつまでも過去の旧町村別に個々に計算をしていくやり方はいかがなものであろうか、ことに年々単位費用その他の改訂を行なっておるわけでございますので、五年前の事情をいつまでも持ち続けていくということは穏当ではないと考えております。しかしながら現実に五年を経過いたしますと、一応地方交付税の減額になってくることは事実でございますので、そういうような点を考慮いたしまして、それによって減る以上の額を、市町村全体に市町村の財源充実のための措置として交付税を増額することにしたらいかがなものだろうか。合併町村もほとんど全体的な市町村の姿になってきておりますので、個々団体について減る額をまとめて全市町村にそれ以上のものを増額したい。面積なり人口なりを基準としますもあにつきまして、これを引き上げることによって財源を市町村に返すという方向をとろうということで、地方交付税制度の改正案を現在検討している最中でございます。
  43. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいまの措置によりまして、各地方自治体の問の財源の適正なる配分について考慮しておられるという点は感ずるのでございます。しかしながら、これらの考慮をいたしましても、それにはそれ自体の限度というものがある。すなわち、交付税は一般行政水準を維持するという観点についての調整しか行ない得ない。しかしながら、わが国の現状をながめましたならば、非常に小さい府県において、従って経済基盤が非常に弱い。むしろ積極的にそれらの経済的基盤を強めるように収入を生む財源を作り上げること自身が今日の日本に課せられた課題ではないか。今日叫ばれます未開発地域の問題も、こういった観点からながめなければならない。そういう観点からながめましたならば、交付税制度の改正と財政の調整をやりましても、それではできないのでありまして、むしろ国の本年度多額に見積られましたあの公共事業その他において、これらの未開発地域の育成になるように、他の府県よりも多くそのために集中されることが必要でないかと思うのでございます。ところが一方それらの府県は財源が少ないのでございます。これらの負担制度を相当考慮しなければ、地方財政の現況のために国がやりたくても事業ができない。特に治山治水の特別会計まで作られて国がこれを行なおうとしておられるような情勢におきましては、当然これらの配慮がなされなければならないのではないか。これは交付税制度と別個の見解において積極的な方途が講じられなければならないのじゃないか、こう考えておるのであります。このために私たちは、未開発地域に対する国庫補助率の逓増の方式こそ最もこの理論に合うものである、かように考えて現在主張を続けておるのでございますが、これに対する自治庁の見解並びに大蔵省の見解をぜひ承りたいと思います。
  44. 丹羽喬四郎

    ○丹羽(喬)政府委員 ただいまの渡海先生からの御意見、私ども全然同感でございます。先般の予算要求の際におきましても、私ども自治庁といたしましては、一面におきましていわゆる不交付団体のたばこ消費税の譲与税化に反対いたしました理由は、富裕団体も、先ほどの御嵩見もございました通りやはり相当人口が多くなるに従いましていろいろの施設が必要になってくる。人口が東京都におきましては年々三十万ふえる。大阪におきましては十万近くもふえる。こういうところにおきましては、やはり経費も漸増するわけでございまして、そういう方面におきましては、与えられた独立税の増収に待つより仕方がない。しかしながら一方交付団体——言葉は少しおかしいと存じますが、いわゆる後進県都市におきましては、それではどういうふうにやっていくかと申しますと、どうしてもやはりある程度国庫負担率を引き上げていただきまして、それによりまして後進性を早期に取り返さなければいかぬという、いわゆる二本立てによりまして、地方団体の行政要求にいたしたいという考えで進んでいた次第でありますが、私たちの微力のいたすところで、未開発地の問題は今後に残されているわけでございます。しかしながら私たちは、未開地開発のための国庫負担率の漸増の問題は、これはぜひとも大蔵省と協議をいたしまして、できるだけ早い機会にそれの主張を認めていただきまして、後進府県における開発の促進に当たりたいということを念願している次第でございます。ことに渡海先生のおっしゃいました通り、先般治山治水の特別会計ができまして、十カ年に一兆円の予算で、今回この治山治水開発のために国家が相当の犠牲を覚悟してやることはまことに御同慶に存じますが、この負担率がやはり従前の通りでございまして、ことに後進県に対しましては、負担にたえ得るかどうかということは非常に私どもといたしましても心配している点でございます。この点は渡海先生の御意見通り、私たちもぜひこれは大蔵当局と協議をいたしたい、こう存じている次第でございます。
  45. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 先ほど来の渡海委員地方財政のほんとうの健全化、また特に未開発地域と申しますか、あるいは比較的貧弱な財政団体をいかに強化するかということについての御意見、また奥野財政局長のこれに対する御答弁も非常に私は貴重な御意見と、深い関心を持って、また共鳴を持って拝聴いたした次第でございます。これはなかなか短時間で白し上げられるような問題じゃございませんが、ただ国の財政の関連性から申し上げますと、特に共鳴申し上げたいと思いますのは、ただいまお話のように、法人税割あるいは法人に対する事業税等が特に自然増収がふえてきた。そこで財源の偏在が起こってきたということでありますが、これは御承知通り国税に非常に深い関係かある。国の方で、国税である法人税なり所得税なりを調査し、課税する。それの税額なり所得額なりに基準を置いて地方団体が法人税割りなりあるいは所得割りなり事業税をかけておられる。これは御承知通りであります。そこで、これがシャウプ勧告によって、今の国税の制度が大体打ち立てられたのであり、また地方財政法がやはりシャウプ勧告に基づいておるのであります。その当時の国税の状態と今の国税の状態と、約十年間に非常な変遷を経てきておる。御承知と思いますが、シャウプ勧告の実施になった昭和二十四年、五年の当時では、むしろ国税の税収の王座は所得税であった。所得税重点主義であった。ところが、税法上法人にした方が有利であるので、年々個人が同族会社を作ったりして、だんだん法人成りがふえて、全国で、五十万余りの法人ができた。そこで所得なるものが、所得税の対象じゃなしに法人税の対象に変わってきた。しかも法人の中の大法人の本社はほとんど東京あるいは大阪、工場も都市重点ということでありますから、どうしても法人の所得というものは都会に重点を瞬くことになる。そこでシャウプ勧告で昭和一十四年、二十五年のときは所得税の方が王座であって、たしか税収の見積りが二千数百億であった。法人税は千億余りとたしか承知しております。ところが現在はどうなったかと申しますと、所得税は税収約六百億、法人税の税収は約四千億、これほどの変遷がある。もちろん源泉徴収の所得税はありますが、これは二千億、これほど変わってきたものに対して基準を置いて、この地方税が、所得割りなり事業税がかかるのでありますから、地方税の税収計画もシャウプ勧告時代とはずっと変わってきた。ここに私は根本の問題があろうかと思うのであります。これは奥野財政局長は税務局長を長くしておられたので、このことはよく御承知のことであります。こういう問題までも掘り下げて、よほど現在の実情に適応した財政計画を立て直さなければならぬと考えるのであります。  その他いろいろございますけれども、こういう根本問題が一つあるところへ、それじゃ天開発地域の問題はどうするかというお話でありますが、私はもっと問題にしていきたいのは、今申し上げたような状態から、おそらく現在世界中で日本ほど中央集権的な国はなかろうと思います。そこでまた地方団体でも、東京は全国の人口の一割を占め、世界一の都市になる。こういう東京と地方とを比べて、特に発展の度合いに非常に不均衡がある。こういうことも改めなければならぬ。こう考えますと、こういう問題を抜きにして、ただ未開発地域だけを国庫負担率を上げて問題は解決できるものではない、かように思うのでありますが、しかしせっかくの皆さんの御意見でありますから、十分自治庁と協議をいたしたいと思いますが、ここで私は皆さんにお願いでありますが、どうぞこの問題はしばらく自治庁事務当局と大蔵省事務当局と、事務当局同士で十分しっくり用談をさしていただきたい。その相談の時間を与えていただく、これを特にお願い申し上げる次第であります。
  46. 渡海元三郎

    ○渡海委員 今大蔵政務次官のお答えがございました。確かにシャウプ税制以来、税制制度は変わってきているのでございます。この問題について、そのために本年度は中央並びに地方を通ずる税制改革ということを大きく取り上げられて、目下政府において検討中である、このことも必要であろうと思います。しかしながら、私は今政務次官が曹われた意見の中で、非常に偏在する要素があるのだ、だからこのことを考えなくては未開発の問題はだめなんだ、こう言われましたが、どのような税のあり方をとってみても、日本の今の状態でいわゆる貧弱県に税収が多くいくようなことは絶対ございません。しかも、それらの府県はそのために今まで公共事業がおくれてきているのです。そのことがまた地方の財源を償うところの力をなくしているのです。私はむしろそこに積極的に事業を持っていくために、税制制度を離れて、むしろ積極的に上げてやるところの基盤をこの際こそ打つことかなかったならば、いわゆる世界の未開発国に対するところのあり方というものに後退するのではないか、私はかように思うのでございます。中央集権的だと言われましたが、事実財政面からながめましたならば、大蔵省考え方でしたらぜいたくだ、こう言われるのですか、多くは語りませんが、現在の東京かどうであるか、大阪がどうであるかということを考えたならば、まだ下水すら完備されていない、こういう状態なんです。決して富裕県ではない。ただ一定の基準を置きましたら財政が余っておるというのか日本の財政状態なんです。それを余っておるところはぜいたくだというので、よそへ持っていくだけでは、私は決してこの問題は解決されないと思う。むしろ積極的に、税を離れて、いわゆる国家の施策をいかようにして確立さすかという問題に持っていかなければ、この問題は解決されないと思う。この問題こそ未開発の議論の起こってきた問題ではないかと思う。このために、今よく考慮するというお言葉でございましたか、特に特別会計が設けられ、国が大きく施策に打ち出しました本国会において、ぜひとも解決を賜わりますよう格段の御努力を要望いたしまして、この問題に関する私の質問は一応本日はこの程度でおいておきたい、かように考えております。よろしくお願いいたします。
  47. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 お答え申し上げます。御趣旨はよく承知いたしましたが、今の御趣旨を解決いたしますために、どうか一つ、ここは丹羽自治庁政務次官もおられますが、二人とも自由民主党から政務次官として出ておる者ですから、こういう地方財政制度の根幹にかかわる問題については、この両政務次官におまかせをいただいて、しばらく解決の時間を与えていただきたい。そういたしませんと、大蔵省自治庁事務当局の話し合いをできるだけ円滑に始めないことには、これは将来に害を残すことにもなりますから、両政務次官で一つ十分の話し合いをつけて、そして皆さんに結論を御報告をさしていただきたい。かように存じますので、その点を御了承願います。
  48. 渡海元三郎

    ○渡海委員 今の大蔵政務次官の誠意のある言葉を聞きまして、私は期待するところ大なるものがあります。大蔵省というものは往々にして官僚の方々たちが、いわゆる党の要望というものをいれずに、非常に主張されることが今まで多いのです。ぜひ今の政務次官の言葉を実行に移されるように、格段なる事務当局に対する啓蒙を私は特にお願いいたします。  なおこの点に関しまして、私は、本日は時間もありませんので申し上げまいと思っておったのですが、一つお願いいたしたいのは、今般中央、地方を通ずるところの税制改正の問題が調査会においていろいろ進められておるのでございます。今まで地方団体というものが、国から与えられたものの中でやっていっておる。しかもその財源が、ほんとうに必要なものすらまかない切れないというところに、地方団体の自主的な運営というものが非常に阻害されてきたのじゃないかと思う。今言われましたように、中央集権にしてしまいまして、府県を全部国の方策通りに行政せしめるんだったらけっこうですが、それでは地方自治が何のためにあるかということになる。幸い戦後地方自治の強化が叫ばれたのでございますから、財源的な裏づけもしなければならないと思うのでございます。今日まで府県が往々にして財政が乱れてきましたのは、国が財源をできるだけのことをやってやらないからで、いずれにしても国におんぶしておるんだ、だから今奥野局長が言われましたように、不健全なる起債によって仕事をする。私らの地方ではよく親方日の丸だというのですか、安易に起債に流れ、みずからの財源を出そうとしないというふうなことは、一に、あまりにもあるべき姿の財源すら地方に与えることができなかったということに原因をしておるのであります。あるべき姿の財源を地方に付与し、長則にわたってみずからの自主性を持たして、みずからの判断で健全なる運営をせしめるという風潮を持たしていかなければ、この戦後の悪弊というものは私は打ち切ることはできないと思う。この意味から言いましたなれば、今度の中央、地方の税制改革におきまして、自主的財源を地方団体の行なう事務の量に合わせて適当に与えることこそ、私は地方団体をほんとうに健全化さすものではなかろうかと思うのです。どのようなことをやりましても、与えるべきものすら与えなかったなれば、いかに行政で締めていきましても、地方自治体自身にみずからの財政をほんとうに立てていくということは行なわれないと思う。私は、あのようなぜいたくをしておるからやれないという方式ではなくして、与えるべきものを与えてやるかわりに責任を持たす。こういう方向に改正がなされなければならない。こう考えるのでございますが、この点に関します大蔵政務次官の御意見を求めまして、この点に関しては質問を終わりたいと思います。
  49. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 お答えいたします。意見をということでありますから申し上げますが、私は、地方自治を推進していく以上は、たとえば西ドイツの州と連邦との関係と同じような、徹底したものを考えなければいかぬというふうに考えて研究してみておるのでありますが、しかしわれわれ注意しなければならぬのは、ヨーロッパの西ドイツやそういう方面の国々は、まず州ができて、あるいは自由市ができて、それが集まって連邦ができた。つまり自治体か先にあって、それがあとから集まって国ができたというのだから、自治体の財源というものは——日本のようにすべて初めから国から自治体ができていく、特に戦後シャウプ勧告でアメリカから指導を受けて法律ができたが、ああいう国とそう簡蝋には比べてはいかぬと思う。中央集権的ということはまずいことではあるが、ありのままの姿であるからこれを認めて、しかしほんとうに地方自治を確立するには一体どうするかといえば、日本の国の今までの成り立ちからして反省して、よほど腹の底から本腰を入れなければならぬ。こういうことを考えるのでありますので、ただいまの御趣旨をよく体しまして努力いたしたいと存ずる次第であります。
  50. 渡海元三郎

    ○渡海委員 大蔵政務次官、午後から何か所用があられるらしいので、おられるときに交付公債等の問題に関してお尋ねいたします。  今般、私たちがその廃止を強く要望しました交付公債等が大部分廃止されましたということについては、まことに敬意を表するのであります。しかしながら、一般会計分におきまして、わずかでありますが、なお残っておるのでございます。何かゆえに交付公債制度を廃止されるのだ、抜本的に、特別会計分だけではなしに、全部を廃止されなかったのか。本年度は予算もすでに細まれたのでございますが、将来これが解消をはかる気持があるかどうか、この点につきまして御恵見を承りたい。自治庁でもどっちでもけっこうです。
  51. 奧野誠亮

    奧野政府委員 昭和二十八年にこの制度を設けましてから、地方負担分の全額を国費で立てかえるということになったわけであります。その後、多目的ダム特別会計、道路の特別会計でありますとか、あるいは港湾特別会計でありますとか、特別会計が新設されますたびに、その会計における直轄事業地方負担分につきましては、従来のような国の一般財源で立てかえるという方式はとりませんで、資金運用部資金の借入金でまかなっていくという方式がとられて参ったわけであります。そうしますと、資金運用部の資金を一たん特別会計が借り入れることにしないでも、まっすぐ地方団体が借り入れて、これを特別会計に納付すれば、それだけでも事業費地方負担額を財政計画に載っけて、個々府県の予算に計上して十分な審議ができるということで、事業運営の健全化が推進されることになるわけであります。これだけなら、それだけの操作で切りかえができるわけでございます。そういうこともございますので、私たちとしては全体的な廃止を期待いたしたわけでございますけれども、廃止するについては、やはりその地方負担分をただ借金では困ると思うのであります。やはり一般財源がそれだけ充足されなければならない。少なくとも地方債資金がそれだけ振り向けられなければならない、こういうような問題になるわけでございます。従って、此較的転換の容易な特別会計の部分がこの際解決された。こういうことになった、かように考えているわけであります。一般会計の分につきましても、将来それに伴う地方負担分の財源措樹と並行して廃止されなければなりませんか、ただ廃止されただけでは何もならない、こう考えたわけでございまして、そういう方向で将来さらに努力していきたい。しかし特別会計分の廃止によりまして八二%の部分がなくなったということでございますので、大きく廃止に前進した、こう言えると思います。
  52. 渡海元三郎

    ○渡海委員 今言われました通りで、私も今後これらの一般会計分まで解消していただきたい、かように考えます。特別会計分で二百三億、その中で起債でまかなわれておるものか百六十億あります。当然残りのものは一般の財源からこれを出さなければならないのでございます。ところが、地方団体にとりましてはアヘン公債であって、将来は困るのでございますけれども、とにかく今までは直轄事業に対しては国がめんどうを見てくれたから何らこれをする必要はなかった。苦しい地方財政の中から四十何億かの金をはき出さなければならぬという点につきまして非常な苦痛を感ずるのではないか、かように思うのですか、この点に対して当然財源措置が十分にされなくちゃならない。われわれはむしろこの百六十億という起債で見込まれておる分も、少なくともこのような大きい数字起債ではなくして、ほんとうに一般財源で見込まれるように将来なっていただかなければならぬ、このように考えておるのでございますが、本年度の四十五億をそういうふうな方向に持っていかれるのか、どのような財政措慣をとられるのか、これをお聞かせ願いたいと思います。
  53. 奧野誠亮

    奧野政府委員 直轄事業に伴う地方負担分も、それを納付する必要のある団体に対しまして、それだけの財源を地方交付税制度を通じて補償する必要かあろうかと思うのであります。そういう意味では、直轄事業地方負担分の生じますような河川費でありますとか、道路費でありますとか、あるいは港湾費でありますとか、そういうようなものについての単位費用を思い切って引き上げたい、そういうことによって交付団体に財源を与えることかできる。独立の税収入かふえればそれでけっこうですが、独立の税収入か足らなければ地方交付税がそれだけ増額されるわけでありますので、この財源をもって現金納付ができる、かように私は考えておるわけであります。
  54. 渡海元三郎

    ○渡海委員 ただいまのような財源措置で大かたできると思うのでありますが、しかしながら、直轄事業のあり方を見ますと、そこに集中するような県か過去の実例から非常に出てきております。それと、貧弱団体でありましたならば、交付税においてそれが相当見込まれておりましても、なかなか出しにくいのが実情ではないかという点もございますので、この二百三億に対する百六十億の起債ワクというものを、富裕団体と貧弱団体との間に適当にバランスをつけられ、考慮をしていただくというふうな配慮を賜わりたい。かように考えるのでありますが、この点は要望だけいたしておきます。  さらに、現在この交付公債は廃止された分に対する処置はされたのでございますが、すでに発行されておりますところの八百億に余る既発行の交付公債の分につきましては何らの措置もとられていない。このように考えるのでございますが、この点どのような措置をとられるお考えであるか承りたい。
  55. 奧野誠亮

    奧野政府委員 三十四年までに発行されました交付公債の元利償還額につきましては、団体財政状況に応じまして二五%ないし九五%を基準財政需要額に算入することによって負担の緩和をはかったらどうであろうか、こういうような考えで現在検討をやっておる最中でございますが、思い切って団体負担の緩和をはかりたい、かように考えております。
  56. 渡海元三郎

    ○渡海委員 私たちは、これは借金でございますから払わなくちゃいけない。それは当然でございますが、当然国が措置をしなければならない財政措置をせずして、しかも国の意図するところの事業を進めたい、こういう事情からやむなく出したのがこの交付公債制度ではなかったろうか、このようなことも考えるのであります。まあ、地方財政を見ますと、こればかりが原因ではないと思いますが、大部分責任というものは国にあるのじゃなかろうか。この意味におきまして、私たちは、交付公債の廃止ということと同時に、少なくとも従来あるところの既発行の交付公債にかかるところの利子、これらのものは免除をしていただきたい。このようなことを強く要望したのでありますが、これらに対する措置はまだ氷決定のままに残っておるのでございます。これに対して大蔵省でも特に私たちの要望をぜひいれていただきたい、かように考えるのでございますが、政務次官の誠意ある御答弁をお願いいたしたいと思います。
  57. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 これはやはりお貸しした金の利子はもらわぬと困ります。今それを検討はしておりませんか、いずれも、先ほど来のお話のような問題もありますので、全体の問題と関連を持たせて、自治庁事務当局ととくと一つ御相談をしてみたいと思います。
  58. 渡海元三郎

    ○渡海委員 私は、今のような御答弁かなされるとは思わなかった。この問題は、私たちか強く要望しておるところでございます。その理論的な根拠というものに対しましては、私自身も大蔵大臣から、その正当性は認める、措置はしませんけれども、われわれが述べておる理論というものはれかる、ということまで聞いておるのです。それを政務次官が、いかにも無関心のような姿で話されましたのに対しましては、まことに心外にたえぬのであります。しかしながら、非常に率慣な誠意のある政務次官でございますから、その点率直にお答えを願ったものと私は思いますが、まじめに、ほんとうに地方財政に取っ組んでいこうというお気持のあらわれる政務次官でございますから、ぜひともこの問題を研究していただきまして、私たちの意のあるところを善処していただきたいと思います。特に過去におきましては、このたびこの制度も消えたのでございますが、利子のさやかせぎを国がやると言われても仕方のないような制度が作られておった。この点十分御考慮を賜わりまして、この点の解決に向かっても最善の努力を賜わらんことをお願いして、私の質問を終わります。      ————◇—————
  59. 濱地文平

    濱地委員長 次に、警察に関する件につきまして調査を進めます。  警察署の名称、位置及び管轄区域に関する問題につきまして質疑の通告があります。この際これを許します。田中榮一君。
  60. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 地方財政の重要なる問題の中において、緊急を要する理由をもちまして警察に関する質疑の時間をお許しいただきましたことを、委員長並びに同僚委員の皆様方に厚くお礼を申し上げたいと存じております。私がこれから質問せんとすることは、時間的にきわめて緊争心な問題でございますので、本日ここで質問をさせていただきたいと思います。  今回、警視庁に齢かれましては、警察の運営の合理化並びに事務の効率化のために、新しく警察の管轄区域を変更いたしまして、住宅地帯においては石神井警察署、工業地帯においては綾瀬警察署、それから空港の近代性にかんがみまして新たに空港警察署を設置せられましたことは、私は、まことに時宜に即しましたきわめて適切なる措置であると考えておるのでございます。しかるところ、それに加えまして谷中警察署、京橋警察署、神楽坂警察署をここに廃止いたしまして、これを分割しまして他の警察署に配属するということが新聞で発表されたのであります。私の見ましたのは東京新聞で、十八日の朝刊にさようなことが書いてございます。しかもこのことは四月一日から施行に移すというような期日まではっきり書いてあるのでありまして、私どもは全く寝耳に水で非常に驚愕をいたしておるのであります。しかも関係地元民の話を聞いてみましても、それぞれ警察署長が、ある警察署におきましては十三、三日ころ、それからある警察署におきましては十六日ころ、管内の連合会長、それから各種団体の長、それから有力者等を招きまして、四月一日から本署を廃止する。しかも谷中警察署においては家出人の保護所になる、それから京橋警察署においては青少年の補導センターになる、神楽坂警察署においては運転者の講習所になる。この警察も四月一日からはやめることになりました、どうか皆さん御了承願いたい。しかもある警察署においては、すでに本庁が方針をきめたことであるから、このことに関して皆さん方が反対運動をすることはやめてほしい。そのようなことまで宣言されて、地元民には全く寝耳に水でございます。長い間地元民の警察署として、お互いに理解し合い、信頼して参ったものでございます。     〔委員長退席、渡海委員長代理着席〕  それが何と突如としてかような宣言を受けましたことにつきましては、地元民としては全く納得のいかない点でございまして、この点に対しまして、民主警察をモットーとしておる警視庁のあり方——かような専制的な独善的な、しかも切り捨てごめん、問答無用、こうした警察の行き方がはたして正しいかどうか。今回の警察署の廃置分合について、警視庁としては当然やらねばならぬことであるから、やることは、私はいささかも反対はないのでありますが、そのやり方においてあまりにも地元民を侮辱し、地元民の意思を全く無視したやり方であります。この点について総監はなぜかようなことをなされたか、どうしてかような手続をとられたか、もっと納得のいくように時間をかして、長い間かかって十分地元民に納得してもらい、協力さして、その上でそのようなことをやることが私は最も正しいと思うのであります。小倉総監は最も私の尊敬する人でございます。その方が、かような非民主的なやり方をおやりになったということにつきましては、私もほんとうに遺憾に考えておる次第でございます。  そこで私のまず第一に総監に御質問いたしたいのは、今度廃止された三署は、一体いかなる理由で廃止されるのであるか。第一に、平素における警察事務が少ないためにこんなものは置いておく必要はないんだ、こういう御趣旨であるか。あるいは人員が必要であるためにこれを他に回す必要があるのであるかどうか。三十五年度におきましては、警視庁においては七百七十名の新たな増員があるはずでございます。その増輿があるにかかわらず、この人員を他へ回す必要がどうしてあるのか。  それから第三は、他に建物を転用する必要があるためにかような措置をとったのか。あるいは青少年の補導センター、あるいは家出人の保護所、あるいは運転者の講習所の都費の予算がとれないために、その都費の予算を助けるためにこの警察署を追っ払って、そうしてそこに施設を置く、こういう趣旨であるかどうか。  それから第四には、経費を節減をする必要上この三警察署を廃止されるのであるか。いかなる理由によってこの警察署を廃止されるのであるか、その点をお伺いしたい。  それからもう一つお伺いしたいのは、今度廃止されると見込まれております谷中、京橋、神楽坂警察署は一体いつできたのであるか、何年何月にここに設置されたのであるか。その点をちょっとお伺いしたいと思います。  まずこの点からお答えを願いたいと思います。
  61. 小倉謙

    ○小倉説明員 東京都の人口が毎年約三十万人ずつふえておるのであります。また自動車の数にいたしましても、毎年約十万台に近い数の車がふえております。それらに伴いまして、東京都内のいろいろな事情が毎年々々変わってきておるのであります。警察の関係についてみましても、交通の状況、犯罪発生の状況あるいはその他のいろいろな警察対象の状況等におきましても日に日に変わっておるのであります。従いまして、警察といたしましては、この変化、推移いたしつつあります社会の事情に最も即応した警察の態勢を整えなければならない。そういうようなことで、いろいろな方面の検討をいたしておるのでありまするが、今回東京都内の警察署のある方面における新設、あるいはある方面における統合等を実施いたしたいと考えておりますのも、そのような気持で考えておるのでございます。新設の方の状況は、申し上げるまでもなく、今日人口が非常に急激に増加しつつある。あるいは羽田等におきましては、ここに出入りするお客さんといいますか、人たちの数も非常にふえてきておるのであります。そういうような面から署を新しく作りましてこれに対処する、こういう必要が考えられるのであります。  それから統合いたしたいと思っておりまする面についてでございます。その前にちょっとお断わりいたしまするが、ただいまの御質問の中で、なぜ署を廃止するのかということでございまするが、決してそういうような気持で私は考えておるのではないのでありまして、ある署とある署とを統合して、そうして一つの新しい署として運営に当たっていきたい。こういう考えでございますので、その点一つ御了承願いたいと思うのであります。先ほどお話の出ました谷中と坂本署の統合、それから京橋署と日本橋署の統合、それと神楽坂署と早稲田署の統合、こういうような三地域におきまして、若干その一部分が他の署にいくものもありますけれども、大体において二つの署を統合いたしまして、新しい署としてこれを運営していく、こういう考え方であるのであります。  そこで、これらの地域の状況を見ますると、たとえば人口におきましても、ほとんどさほどの増加ということが見られないのでありますし、また面積の面からいいましても、人口と同じく、警視庁の各警察署平均から見ますと非常に低い位置にある、平均の何分の一というような地域でございます。従いまして、これらの地域につきましては、今日の交通事情なりあるいはその他の一般の社会事情、警察対象関係から見ましても、むしろ二つの署を一つの署として運僻するという方が今日の警察事情に合っておる、こういうふうに考えておるのであります。また一面、先ほどお話がありましたが、当然私どもといたしましては、与えられた警察官の数あるいは予算というものを最も効率的に運営していくという面の考慮をなさなければならないことは当然でございますが、それとともに、今日の変転する社会事情から考えまして、全体の警視庁の署の状況と比較検討いたしまして、むしろ一つにして運営した方がよろしい、こういう結論に相当長い期間かかって検討の結果到達いたしたのであります。そのほかそれぞれの地域におきまして特殊の状況がございますが、これらの詳細のことは、近く都議会においてこの提案をいたしたいと考えておりますので、都議会におきましてさらに詳細な点の御説明を申し上げたいと心いますので、割愛さしていただきたいと思います。  それから、おかげさまで昨年からだんだんと増員か認められておりますが、実は警視庁全体から見まして、先ほど申し上げましたように、人口がどんどんふえる、あるいは犯罪が相当ふえるというような地域が相当ありまして、警視庁全般にわたりまして、第一線の増強、あるいは交通係関係、あるいは暴力取り締まりの関係、その他少年関係等々から考えまして、実は相当困っておるようなわけでありまして、そういう面に増員の方は充てて参りたいと思っておるのであります。  それから最後にお話しになりました、大体いつごろからとれらの署はできたのであるかということでございますが、これは一々申し上げてもよろしゅうございますけれども、相当古く、数十年前から署が置かれておるということは、私も十分承知いたしております。それだけに、統合される地域の都民の方々のお気持というものも、私ども十分考えて参らなければなりませんし、ことに署の統合によりまして、かりにもその関係の都民の方々の不安というようなものかあってはいけない、こういうふうに思うのでございまして、そういうような点は決して御不安のないようにいろいろな面から具体的に考慮をいたす。特に必要な個所には派出所を新設するとか、あるいは機動力を増強するとか、その他いろいろな面でこれを補いまして、決して都民の関係の方々に御不安などを与えないように誠意を持って尽くして参りたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお、これらの統合の関係の進め方についていろいろ御批判かございましたが、実は近く開会されます都議会にこの提案をいたしたいと思っておりますが、都に提案する相当前の時期に、やはり関係地域の方々にもよく御説明申し上げ、またいろいろ御希望もあるかと思いますから、そういうような御希望の点は承って、実現できるものは実現していきたい。こういう考えで、時期としてはあらかじめ皆さんにお話し申し上げまして、いろいろな面からの警察としての今日の進め方ということについて御了承をいただきたい、こう考えておる次第でございます。何分とも御了承を願いたいと思います。
  62. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 ただいまの総監のお話では、これらの三つの警察は廃止ではない、統合だということでございますか、私もそのことはよくわかっております。廃止ではなくて統合だということはよくわかっておりますが、しかし  一つの警察を、ようかんをまっ二つに切って甲と乙に与えるように——なるほど甲、乙の警察署の管轄に入りますので、私は警備上についてはさような順序はないと思っておりますが、やはり地元民といたしましては、今総監のお話しのように、数十年来民警の間に親しみというものがある。地元民は、その警察を自分の警察のように心得て、その警察の署長の番うことは何でもはいはいと聞いて、防犯にも、あるいは交通の道徳の普及にも、いろいろ今日まで協力して参ったのでございます。それを理論では、統合なのだ、廃止ではないのだと説明をいたしましても、やはり地元民としては、とにかく谷中警察署というものはなくなって、そこへ家出人の保護所ができるのでありますから、これは何といいましても、理論はそうでありましょうとも、廃止されたものと思うのか常識ではないか。そこで現在いろいろと了解工作をされているそうでございますが、まず第一に都議会に対して——もちろん常任委員の警務委員会にこのことが提案されると私は思うのでありますが、その前に都議会に対してどういう手をお打ちになったのか。それからかような電大な問題をやる場合において、今、東知事はロスアンゼルスに行っておられますが、公安委員長もしくは総監から都知事に対して、いつ、どこで、どういう方法でお話し合いをしたか、また都議会の人々といつ、どこで、どういう方法で話し合いをしたか、それを一つはっきりお知らせ願いたいと思う。
  63. 小倉謙

    ○小倉説明員 都知事あるいは都の当局、あるいは都議会の警務委員会その他の方々に対しましては、私どもからあらかじめいろいろ御説明申し上げまして、ちょうど笹内の方々にお話し申し上げたのと前後いたしまして、いろいろ事情を御説明申し上げておるのでございます。  それから、統合とはいうものの廃止じゃないかということでございますが、これはほんとうに気持の上から言いましても、また今後の実際の活動なりやり方から言いましても、統合して新しい署ができる、当然こういう考えで進んでいかなければ相ならぬ、こういうふうに考えております。ただ現実の問題といたしまして、二つの署のうちどちらの署を使うかということになりますから、ただいまのお話しのようなお気持が起こるかと思いますが、しかしながら、警察側の気持なり態度といたしましては、どこまでも両署が統合されて新しい署ができるという考え方で進んで参りたいし、またそういう意味におきまして、従来もいろいろ管内の都民の方々から御協力をいただいておりまして、感謝いたしておるのでございますが、今後とも、一つ絶大なる御支援と御協力を賜わりたい、このように考えておる次第でございます。
  64. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 それでは私は中原さんにお伺いしたいと思うのですが、警務委員会と何かお話し合いになったことがございますか。あったとすれば、いつ、どこで、何時ごろからやったか、警視庁でおやりになったのか、都庁でおやりになったのか、それをお聞きしたい。
  65. 中原ただし

    ○中原説明員 ちょうど各署の管内の方々にお話しする前々日でありましたが、三時半か四時ごろから、ざっくばらんに申し上げまして、警視庁で大ぜい集まりますと目につく関係もございまして、都庁の関係のところで集まっていただきまして話を申し上げました。それからまた都議会の各党派の関係につきましても、幹事長、政調会長等、それぞれの機関の筋を通じまして、都議会の各室を回りまして、事前にいろいろ御説明なり御了承を得たつもりでございます。
  66. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 私は、どこで警務委員とお会いしたかということも詳しく知っております。しかし、これは本問題には関係のないことでありますから言うのを避けたいと思いますけれども、さような懇談会の席上で、警務委員の方々が、書いたもの、刷ったものも渡されずに、一応あなたから説明を聞いた。そこでかような大きな問題をそうした席上において、簡単に、警視庁の御当局がこれを皆さんに御了解を求めるということ自体が私は誤まりではないかと思うのです。警察署の配置統合につきましては、中原君も御承知かと思いますが、従来各県における例を見ますと、流血の惨を招いているところが相当ある。あるいは県内で大きな政治問題として、ときには、私ども内務省におりますときには、このために警察部長が罷免されたという例すらある。その庁の責任者の知事が、これがために非常な苦境に陥った、かような大きな県内の政治問題になっている例がある。三十一年、私が内閣におりますときに、根本官房長官の郷里である秋田県において、警察署の配置分合がありました。そのときに、公安委員長を東京に呼んで、何回となくいろんなことについて折衝し、何とかこれをまとめたいというのでずいぶん御苦労をなさった例を私は目のあたりに見ております。そのほか各県におきまして警察署の配置分合というものは、非常に県民に重大なる関係がありますので、当局も、知事も警察部長も相当な苦労をしていろいろな工作をし、その上で県民の納得を得て、それでやっておるわけであります。ところが今回の措置を拝見いたしますと、いきなり区民を呼んで、そして警察署長が、署員に交通規則のことを説明するのと同じような考えで、四月一日から本署を廃止する、あなた方反対運動をしてもだめですよ。国民としていかなる政治運動をやろうが、これは国民の憲法に許された自由であります。権利であります。それを署長が、そういうことをしてはいかぬと肯う。国民の政治運動まで抑制する権限は、私は署長にはないと思っております。私が今回の警視庁の措置についてかれこれ言いましても、すでにさいか投げられておる。だからこれをあなた方が引っ込ますということはできぬでしょう。しかしながらこれをやる上においては、私は都議会におきましてもまだまだ相当な問題があると思う。この問題は国会におきましては権限がありません。だから私は警視庁の警察運営の点について質問をいたしております。自来警察は、戦後民主警察をモットーにいたしまして今日まで通常して参りました。あるいは国民の処遇について、民主警察をやる、あるいは懇切丁寧にする、あるいは人聞尊重、人権尊重の意味から、捜査や取り締りについて丁重にするということも言われておる。皆さん方のおやりになる警察事務のやり方についても、受ける側の立場を十分に考えてやっていた、だきたいこれが私どもの念願であります。  そこでもう一つお伺いいたしたいのは、一体家出人保護所、青少年補導センター、それから運転者講習所、これも必要なものと思いますが、これらを持っていく場合におきまして、一体やめた警察は全然建物だけを明け渡してそれらの施設だけを入れるのであるか、あるいは地元民の意向をくんで、せめて警部派出所とかあるいは巡査部長派出所とかいったものをある程度暫定的に置いていかれるのであるかどうか、この点もお伺いしてみたいと思う。今まで各県におきまして警察署の配濁分合の場合におきましては、地元民の意向をくんで、地元民が安心をするよう、警察署は統合するけれども、その場所には警部派出所を置きますよ、あるいは警部補派出所を置きますよ、巡査部長派出所を置きますから皆さん心配せぬでもよろしい、こういうような地元民に付する温情のある処置をとっておっても、それですら反対が非常にある。かような処置をとって大体において警察署の配置分合をやってきたのであります。しかるに今回は根こそぎなくしてしまって、建物は要るから警察署はやめてしまって、あとからこういうものを入れるのだ、これでは私は地元民は納得せぬと思うのです。その点について総監のお考えをお伺いしたいと思います。
  67. 小倉謙

    ○小倉説明員 ただいまお述べになりました事柄などは、今後十分検討をいたして参りまして、来たるべき都議会において詳細な御説明をいたしたい、こう考えております。
  68. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 柏村警察庁長官に一言お伺いしますが、私は、警察署の配置分合というものは、時代が進むにつれまして人口も増加するし、交通量も増加いたしますので、これは私は必要と考えておりますが、一体地元民が非常な反対をし、また存置してほしいというようなことに対しまして、長官としては、それでもこれを強行させる御意思があるかどうか。それからまた今回の警視庁の警察署の配置分合について、警察庁に対して事前に公式の書面によってこれが承認を求めてきたかどうか。私は法律的に承認を求むべき事項であるかどうかは存じませんが、これは首都警察であります。首都警察の、かような東京のまん中の警察署を一挙に三つ廃止するということについて、警察庁長官はこれに対していかなるお考えを持っておりますか、それをお聞きしたいと思います。
  69. 柏村信雄

    ○柏村政府委員 先ほど来田中先生からお話がありました地元民と十分納得のいくようなやり方をしていくべきだということにつきましては、私、全く同意見を持っておるわけであります。ただいまお話のありましたように交通事情も非常に変わって参りました。交通機関も発達する、人口もふえる、犯罪もふえるというようなことから、趨勢といたしましては、署か大規模になり、統合されるということが全体の趨勢としてはそうであると思います。それがまた限られた警察官あるいは限られた予算というようなものを最も効率的に行なっていくゆえんであろうかと思いますけれども、警察の統廃合という問題について、単に警察の機能という面だけからこれを強行していくべきものではなくて、やはり住民の方々の十分な理解と協力が得られるような、またそういう方の便宜をはかられるような方向において、またそういう手続において進められるべきものと考えておるわけであります。ただ今回の警視庁の案を拝免してみますと——元米の建前を申し上げますと、署の統廃合は、各都道府県の警察において、政令の定める基準というようなものに従って独自におやりになる建前になっておりますので、法律的には中央の承認を要するものではございません。ただ今回の統廃合につきましては、ちょうどやはりほかの方にいろいろお話しになったころだと思います。私も数日前に中原総務部長からその話を聞き、いろいろな資料に基づきまして詳細に聞きまして、これはやはり統廃合をされるのが妥当な措置であろうというふうに私は理解いたしたわけであります。先ほど来警視総監も話しておりますように、今後十分地元の方々の理解を得、協力を得る形においてこの問額が進められることを私は念じておる次第であります。
  70. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 警察庁の今までの警視庁との関係につきましては、今のお答えで了承いたしました。  そこで私は重ねて総監にいま一度お尋ねいたしたいと思いますことは、やはり警察署の配置分合につきましても、皆さん方のおやりになることが妥当であるとは存じます。しかしながら、これをやる上におきまして、理屈は今総監のおっしゃる通り地域も小さい、人口も少ない、取り締まり対象も少ないのだから、これを統括するのだ、ほかの署へ割ってしまうのだということは、確かに理屈があると思うのであります。その通りだと思います。しかしながら、こうした警察署の配置分合というものは、ただ理屈通りではいかないところに非常なむずかしさがあるのじゃないかと思うのです。理論的に申しまして、閑散なんだからこの署を廃止してしまえということはだれしも考えるところであります。これはその通り、理屈でございます。しかしながら、この理屈を通す上におきまして、やはり住民感情を十分に取り入れていただき、しかもまた過去数十年間において、地元民がこの警察署を信頼し、この警察署を愛し、ほんとうは民警一体となってやっておった住民、地元民の熱意といったものは、少し考えてやっていただきたいと思うのであります。かような意味におきまして、これから都議会がいかにこれを取り扱うかは存じませんが、これが万が一変なふうになりますと、警視庁のお立場にもかかわりまするし、また総監以下の責任問題にもなると思うのであります。従って、これを進める上におきましては、民衆がもっと納得のいくようなPRをされると同時に、また地元民のこうした気持、希望、要望というものは、十分に公安委員長なり、総監なり、警視庁幹部の方々がよく聞いて、地元民が納得するような措置をとっていただきたい。それがためには、何もこれをこのままの形で強行する必要はない。こういう施設ができて、しかも地元民がこういうことをしてほしいということかあるならば、皆様の方でこの程度やって差しつかえないというようなことかありましたならば、一つ地元民の要望をよく聞いてこれをいれてやっていただきたい。これを私は強く主帳するのであります。総監の御所見を伺いたいと思います。
  71. 小倉謙

    ○小倉説明員 ただいまの田中先生のお話は私も全く同感でございますので、十分その点を考えて参りたいと思います。
  72. 三田村武夫

    三田委員 関連して。警視庁管内の警察の統廃合問題に関連して、今田中委員から切々たる御意見が述べられておりました。私は、その中の経過を詳しく伺っておったわけではありませんか、この機会に、別な機会がまたあるとは思いますけれども、警察庁長官に一言申し上げて、こういう問題に対するお考えの資にしていただきたいと思うのであります。  多分今度の警視庁管内の三つの警察の統廃合は、事件数も少ないし、つまりいわゆる警察的な立場からすれば事故も少ないし、だんだん事務も閑散になったから、区域も狭いし、という意床もあるのだろうと思いますが、警察本来の使命から言いますと、事件の多いことが私は警察の建前ではないと思うのです。どの県であったか私は忘れましたが、私が内務省におって下っ端の役人をしているときに、警察功労章ですね、軍人でいえば金鶏勲章です。従来の警察功労章は、凶悪犯人を逮捕したりなんかする場合におおむねこれを出したわけでございますが、私は、今お話を伺っておって思い浮かべた一つの例がある。同じ駐在所に十七年間勤めておった巡査がある。しかもその駐在所管内は十七年間無事故、一件の事件、事故もなかった。そのことのゆえにその駐在所の巡査は、軍人でいう金鶏勲章、警察でいわゆる功労章をもらった例がありますが、これこそ私はほんとうの警察だと思うのです。警察署の管内で事故かなくなったから、少なくなったからあの警察は要らなくなったという考え方は、私は間違いだと思う。全部の警察署の管内に事故がなくなって、警察の仕事がなくなれば、これこそ理想的な警察のあり方であり姿であって、私はそういう点は十分お考えの中に入れていただきたいと思います。ざっくばらんに申しますと、従来予算の関係とかいろいろな関係がありまして、警察の予算をとるためには事故件数何件、検挙件数何件、こういうことが往々にして基準になりがちで、この点はわれわれは大蔵省に対しても常々強く言っているのでありますか、そういうことでなくて、事故のない警察がほんとうの警察だ。田中委員の言われた意味も私はわかるのです。従来警察を中心にして、いわゆる警察官とその管内の住民が一体になって一つの治安を保ってきた。そこがその地域の平和の中心であった。何もそこでいつもにらみをきかしてどろぼうを追っかけるとか、そういうことでなしに、あそこに警察があるのだ、その警察を中心にして住民がみな気持を一にして守っておったというところに、私は警察の別な姿があったのではないかと思うのです。こういう点は無視されてはいけないと思う。簡単に、事件か少なくなった、統廃合も必要だ、二つに割ってこっちにくっつけ、こっちにくっつけということはわかりますけれども、やはりそういう意味ではなくて、費用の面において多少のむだがあっても、その美しい民衆と警察が一体になったものかほんとうの警察だ。警察は単なるお役所仕事ではないのだというところに、私は今後のほんとうの警察のあり方があるのではないかという気がするのです。これは私の小さな経験でありますが、思い出したことは、十七年間一つの駐在所におって、しかも無事故、一件の事故もなかったということのゆえに警察功労章をもらった人もあった。そこにほんとうに望ましい警察があったのではないかという気がするのです。どうぞ一つこういう点は十分考慮の中に入れていただいて、警察の統廃合なんかのときにもお考え願いたいと思います。これはよけいなおせっかいかもしれませんが、私もかつては警察の職を持った一員といたしまして、警察を愛する面の一端として、老婆心ながら申し上げておきます。
  73. 田中榮一

    ○田中(榮)委員 最後に申し上げたいと思います。現在パトロール制度が実施されまして以来、派出所というものか相当廃止になっております。地元民といたしましては、派出所を何とか復活してもらいたいという要望を警視庁へ陳情、嘆願して数年前からもやっておりますが、なかなか実現できない。たった一つの派出所をぜひ置いてもらいたいという要望ですら、三年、三年かかっても今日でもなおかつ実現ができないような状態でありまして、いわんや派出所の母体ともなるべき警察署を、ただ一夜にしてこれが葬り去られてしまうということは、ほんとうにいろいろ事務の点から申しまして非常に私は都民に対しては大きなショックではないかと考えております。そこで私は、実は時間がございませんから、今三田議員のおっしゃったように、件数が少ないからその警察署を廃止するというようなことについては、私もいろいろ異論がある。今ここでそういうことを総監と論じ合ったところでむだでありますが、私は今回の廃止についてはまだ十分納得いたしておりません。あとは都議会において十分にこれを御検討願って、都議会の善処を期待する以外にはないのでありますが、私自身としては、まだこれに対しまして納得のいくまで至ってないのであります。その点だけ申し上げまして、今後は都議会とよく一つ御相談を願いまして、地元民の意向も十分にくみ取り、取り入れていただくことを切にお願いをいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  74. 渡海元三郎

    ○渡海委員長代理 次会は来る二十三日開会することとして、本日はこれにて散会いたします。     午後一時十二分散会