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1960-02-16 第34回国会 衆議院 地方行政委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十六日(火曜日)     午前十時三十三分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 飯塚 定輔君 理事 纐纈 彌三君    理事 田中 榮一君 理事 渡海元三郎君    理事 吉田 重延君 理事 門司  亮君       亀山 孝一君    鈴木 善幸君       高田 富與君    富田 健治君       中島 茂喜君    保岡 武久君       山崎  巖君    太田 一夫君       川村 継義君    中井徳次郎君       野口 忠夫君    大矢 省三君  出席国務大臣         国 務 大 臣 石原幹市郎君  出席政府委員         自治政務次官  丹羽喬四郎君         総理府事務官         (自治庁行政局         長)      藤井 貞夫君         農林政務次官  小枝 一雄君  委員外出席者         総理府事務官         (自治庁行政局         振興課長)   山本壯一郎君         大蔵事務官         (主計官)   大村 筆雄君         農林事務官         (食糧庁業務第         二部長)    村田 豊三君         専  門  員 圓地與四松君     ————————————— 二月十二日  委員加藤精三君辞任につき、その補欠として北  村徳太郎君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 二月十五日  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五〇号) 同月十二日  交付公債制度廃止等に関する請願今井耕君紹  介)(第六六号)  同(中澤茂一紹介)(第一二四号)  同(松平忠久紹介)(第一二五号)  駐留軍及び自衛隊所在市町村に対する助成交付  金等に関する請願山本猛夫紹介)(第六七  号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三七号)  公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五〇号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  きのう本委員会に付託されました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案議題といたします。     —————————————
  3. 濱地文平

  4. 石原幹市郎

    石原国務大臣 ただいま議題となりました公営企業金融公庫法の一部を改正する法律案提案理由を御説明申し上げます。改正の第一点は、公営企業金融公庫資本金を増額することであります。御承知通り公営企業金融公庫は、昭和三十二年六月に設立されて以来、地方公共団体の経営いたしております水道事業交通事業等公営企業にかかる地方債につき、特に低利かつ安定した資金融通することとしておりますが、今後さらに地方公共団体公営企業を円滑に推進して参りますためには、公営企業金融公庫業務運営基礎を一そう充実する必要がありますので、今回産業投資特別会計から三億円を出資し、現在の資本金十五億円を十八億円に改めることといたしたいのであります。改正の第二点は、公営企業金融公庫が、農林漁業金融公庫からの委託を受けて、地方公共団体の行なう造林資金貸付業務を行なうことができるようにすることであります。公有林整備のため、低利資金融通の道を開くことの必要性はつとに叫ばれてきているのでありますが、昨年度造林のための資金を国か農林漁業金融公庫に出資し、公有林分についても同公庫より関係地方公共団体貸付を行なうこととしたのであります。しかしながら、地方公共団体に対する資金融通を行ないます機関として公営企業金融公庫が設置されていることであり、地方公共団体との関係において窓口事務の一元化をはかります上からも、その事務は、公営企業金融公庫において取り扱うことができることとすることが適当であると思われるのであります。従って、農林漁業金融公庫に出資されております造林資金のうち、公有林分は、昭和三十五年度以降、農林漁業金融公庫から当該貸付業務委託を受けて、公営企業金融公庫が行なうことができることといたしたいのであります。なお、公有林整備資金貸付についてどのような方法によることが最も適当であるかという点については、今後の実行状況を見つつ、将来さらに検討を加えて参りたい考えでありますので、一応当分の間とすることにいたしている次第であります。これが、この法律案提案理由であります。何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 濱地文平

    濱地委員長 以上をもちまして提案理由説明は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。      ————◇—————
  6. 濱地文平

    濱地委員長 次に、奄美群島復興特別措置法の一部を改正する法律案議題とし、これより質疑に入ります。質疑の通告があります。順次これを許します。保岡武久君。
  7. 保岡武久

    保岡委員 奄美群島復興特別措置法に基づきます奄美群島復興状況は、国会並びに政府の非常な御努力、御関心をいただきまして、着々進捗いたしておりますことは、私ども群島民といたしまして非常に喜んでいるところでございます。群島民を代表いたしまして、この際衷心から御礼を申し上げておきたいと思います。  ここで、このたび若干の改正が行なわれることになりました際に、二、三の問題をお尋ねいたしておきたい、かように思う次第であります。  まず第一に、われわれは、せっかく奄美群島復興特別措置法ができまして、昭和二十九年から昭和三十八年までまる十カ年でおおむね百八十三億の事業遂行することによって、奄美群島復興をはかっていこうという法の精神を、ぜひとも最後まで貫いていただきたい。そのためにはこれだけの事業量を十カ年に分けまして毎年適当量ずつ消化いたして参っているわけでございますが、毎年度における国の支出の額は、私どもが期待いたしているほど十分に出ておらないといううらみがあるわけでございます。簡単に御説明申し上げてみますと、百八十三億のうち、百二十一億程度が国の直接支出さるるところの費用でございますが、そのうち、昭和三十四年度までにすでに六十七億四千万円程度支出されているわけでございまして、残りが昭和三十五年度を含めた、あと四カ年で百五十三億六千万円程度国費が残っているということに相なるわけでございますが、これをかりに毎年度平均して支出していくということになりますならば、本年度は大体十三億四千二百万円程度支出していただかなければならないということに相なっておったのでございます。ところが本年度自治庁要求は十六億八千万円程度になっておりまして、これは仕事を順調に遂行していくために、ちょうど満六年目程度仕事ピークにしていった方が、順次仕事の量を減少していくことによって順調に復興事業を完成に持っていくことができるという一つ考え方なのでございますけれども、本年度予算に計上されました金額は十三億二千万円でございます。これが一例でございますが、かように毎年国の支出が十分でないということによって、これがだんだん将来に、後年度にしわ奇せされていきまして、はたして三十八年度までに完全に遂行できるかどうかということの疑問もそこに出てくるわけでございますが、この点につきまして、政府といたされましては、最後までこの復興事業を完全に終わっていこうという御決意をお持ちであるかどうか、この点についてまずお尋ねいたしておきたいと思います。
  8. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 お話にもございましたように、今後三十五年度以降四カ年度で、当初策定をいたしております十カ年計画を完遂をいたすということに相なりますと、十三億四千万円程度平均して必要に相なってくるわけであります。しかし、私たちといたしましては、事業が三十八年度で終わりました際に、それでとたんに切れてしまってあとが続かないということでも非常に困るということがございます。さらに復興事業自体をもう少しテンポを早めてやっていく必要ということもございますので、少なくとも来年度再来年度あたりにはピークを置くというつもりでやっていく方がいいのではないかという考え方予算要求もいたしたのでありますが、いろいろ国庫事情あるいは事業自体の消化の問題等考え合わせました場合におきまして、来年度は本年度に比較して二千万円増の十三億二千万円ということになったのであります。率直に申しまして、私たちといたしましては、この程度の額で非常に満足だというふうには実は考えておらないのであります。しかしながら、いろいろな事情もございましたので、やむを得ないというふうに考えております。しかし十カ年計画というものは、これは政府において策定をいたしておりまする計画でもございます。また予算の査定の段階におきましても、復興計画の総事業費自体は、大蔵省当局においても、ほぼこの大きなワクというものは認めておりまして、これを基礎にして大体年度割りを算出をいたしたというような経緯もございます。従いまして、われわれといたしましては、本事業完全遂行ということにつきましては強い決心を持っているつもりでございまして、でき得るならば、三十六年度あたりは、もう少しピークを高めていくというような方向努力をして参りたい。いずれにいたしましても、本事業完全遂行ということにつきましては、強い決意をもって当たって参りたいという所存でございますので、さように御了承を賜わりたいと存じます。
  9. 保岡武久

    保岡委員 復興事業のうち、全額国庫支弁のものにつきましては非常にありがたいことでございますが、事業の大部分が高額補助ということになっております。ところが、現地住民経済力が相変わらず非常に脆弱である。従って、特に市町村経済財政力というものが非常に脆弱であるわけでございます。その一例を簡単に申し上げますと、人口一万二千から一万五千程度町村が三つあるわけでございますが、その町村歳入状況市町村税収入額に対する歳入総額というのを見てみますと、鹿児島県全体の同じような町村平均が二二・四ということになっておりますのに、奄美群島の知名町というところでは九・三、天城村では一〇・二、和泊町で一二・一とまことに低いわけでございます。これは結局町村民の担税力がきわめて脆弱であるということを証拠づけていることと思うのでございますが、こういうような状況歳入が非常に少ない。従って、市町村公共事業等につきましても——公共事業といっては語弊がございますが、市町村単独仕事等をやっていきます際に、高額補助をいただいておりましても、なおだんだん公債の額がふえていく、それが市町村財政を非常に圧迫していく、こういう現況がだんだん出て参っているわけでございます。私どもは、この復興特別措置法のある間において、この事業量だけは全部実施、実現いたしまして、奄美群島の今後の復興繁栄基礎をはかっていかなければならぬというかたい決意を持っておりまするが、一面から申しますると、そういうような市町村あたりが、相当財政的に影響を受けてくるということになりますと、その点も今後考えていかなければならぬのではないか。そういうことにつきまして、政府におかれましても、もう相当認識を持っておられることと思うのでございますが、それについての御所見を一応拝聴しておきたいと思います。
  10. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 事業がだんだんと進んで参りまするにつきまして、市町村負担をしなければならない経費というものもだんだんとふえて参ります。ただ単に復興事業遂行というだけではございませんで、やはりこれと並行して、国の施策として行なわれて参ります各種の法律の執行あるいはその他の施策というものもやって参らなければなりませんし、また単独事業等も全然やらないというわけにも参りません。そういうことで市町村経費負担というものがますますふえて参る。それに対して一般財源というものも、経済立ち直り等に従いましてある程度改善はされつつありますけれども、全体といたしまして市町村担税力というものがきわめて低い現状でございますために、このことが将来起債償還能力というようなこととからみ合わせてみます場合に、非常に問題になってくるということは大体今でも予見ができるところでございます。一般財源に対しまして将来起債償還額がどの程度になって参るかというようなことも、現在われわれといたしましてはいろいろ数字によって検討をいたし、将来の方向等につきましても調査研究をいたしておるのでございますが、ここしばらくの推移を見ることによりまして、一般財源等においてもある程度の伸びが期待できるという点もございます。しかし、それだけではとうてい処置ができないというような事態にあるいは立ち至るかもしれないということも危惧されないことではございません。従いまして、私たちといたしましては、その点全然無関心でほっておくという態度でいるわけではございませんので、それらの点においては、ここしばらく一つ推移を見まして、どうしても自立不可能だというような見通しに立ちます場合におきましては、一つ何らかの措置を考究して参り、名実とも奄美における市町村自体自立態勢というものの確立に資するような措置一つ考究して参らなければならぬのではないかというふうに考えておるのでございますが、ただいまのところ、直ちにこれに対して特別な措置を何らか考究するということは考えておりません。しばらくの推移を見まして、なお措置を要すべき問題が出て参ります際には、一つ何らかの有効適切な措置を考究しなければならぬのではないか、かように考えておるのであります。
  11. 保岡武久

    保岡委員 この問題は非常に大きな問題になりつつありますので、一つ今後十分に御検討を願いたいと思います。  これに関連しまして、もう一、二お尋ねしたいと思いますが、今申しましたように町村収入が非常に少ない。そのために各事業等を行なう際におきまして、補助金あと自己財源というものがなかなかむずかしい。これにつきましては、大体政府におかれまして起債という方法を講じていただいておるわけでございますが、この起債がこれまた全額起債というところまでいっておらない。そのためにせっかくの復興事業についても、これを遂行していくために非常にきつい立場にあるわけでございますが、奄美に関する限りは、一つぜひとも一〇〇%起債でまかなっていただくというようなことをお考え願いたい。この点についてのお考えを承りたいと思います。
  12. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 奄美における市町村起債充当率を高めるということについては、常日ごろ格段の配慮はいたしておるつもりでございまして、現在までのところ、大体一般補助事業等については八〇%程度、なお義務教育関係等については九〇%程度起債をつけて参っておるのであります。ただこれでもまだ十分ではない。結局、起債が全額認められないということのために、他の足らずまえというものは一般財源をもってこれを支出していかなければならないということで、市町村財政を圧迫して参るという現象が出て参ることは事実でございます。従いましてできる限りこれらの充当率引き上げについても努力をいたさなければならぬと思っておりますが、ただこの問題と、先刻出ました市町村公債費がどんどん上がっていくということもある程度はにらみ合わせて考えていかなければならぬ問題ではないか。むろん当面の問題といたしましては、起債充当率をできるだけ引き上げていくことによって市町村仕事をやりやすくしていく。さらに負担というものを後年度に引き延ばしていくということで効果は十分に上がります。また事業自体を推進するためにはそういうような措置をできるだけとって参らなければならぬということで、われわれといたしましても、充当率引き上げについてはさらに今後とも努力はいたしたいと思っておりますが、それとともに先刻申し上げました全般市町村公債元利償還費の激増とこれに対処する対策、そういうものを一つ総合的ににらみ合わせながら、今後ともその改善措置に努めて参りたい、かように考えております。
  13. 保岡武久

    保岡委員 もう一つ公債費がだんだんかさんで参り、従って市町村財政を相当圧迫して参っていきつつあるわけでございますが、本土におきましては、昭和二十一年から昭和三十年まで、復興事業に要した公債利子補給をされたことは御承知通りであります。ちょうど奄美群島昭和二十八年十二月に復帰をいたしまして、二十九年と三十年だけはこの利子補給恩典にあずかったわけでございますが、一般と同時にこれは打ち切られておるということでございます。一般本土市町村特別措置債と申しますか、これで受けた恩典が、時日がずれたということだけ、あるいはまたその期間中に外国に占領されていたということだけでこの恩典に浴さなくなるということは、いささか不合理だ、こういうように思いますので、この点について、これを奄美群島についてさらに適用する、あるいはそういう制度を特別に設けるというようなお考えはないかどうか。
  14. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今お話しになりましたような点は確かにあるわけでございます。ただ全国一般にやりました措置でございますので、適用の年次が非常に短いからといって、これをまた奄美について適用していくか、あるいは復活していくかということにつきましては、均衡論としては一応言えましても、それをこの際さらに復活をしていくということについては、私といたしましては、今のところ非常に困難な事柄ではないかと考えております。それらの点も勘案をいたしまして、奄美に対しましては、戦時中の立ちおくれ、あるいは行政分離による空白の穴埋めということで、特別の奄美群島復興のための施策を講じておるということも言い得るのではないかというふうに考えておるのであります。ただ、今のような点もございますので、先刻申し上げました今後の公債費の累増、それが市町村財政に及ぼす悪影響というものが、今後どの程度までになって参るかということについての見通しをつけて参りまして、それに対する総合的な対策というものの一環といたしまして、どういう措置を講じ得るか、また講じなければならぬかという段階に立って、それらの点も検討の対象として参ることが必要ではないか、またそれが適当ではないか、かように考えておる次第であります。
  15. 保岡武久

    保岡委員 大村主計官が御出席のようですから、一、二お尋ねいたします。今度の奄美群島復興特別措置法に基づきます復興事業費については、大蔵省においても大へん御心配いただきまして、ありがたくお礼を申し上げます。その際に、承りますと一応自治庁に対しては十三億四千二百万円の内示をされたのでありますが、他の省庁等についての経費につきましては、三分ないし五分の節減をつけておるので、十三億円以上の分については、翌年度繰り述べというお話があったということを承ったのですが、事実ですか。
  16. 大村筆雄

    大村説明員 奄美復興事業につきましては、復興十カ年計画に基づきまして毎年相当な金額を計上して参っておりますが、あと三十五年を入れまして四カ年残っておりますので、一応残事業につきまして年平均割でやるといたしますと、十三億四千万円という数字も得られるのでございますが、たまたま繰り延べ節約等もございまして前年同額の十三億円、一応こういうことを自治庁に内示申し上げた、そういう経緯がございます。
  17. 保岡武久

    保岡委員 先ほど十三億と申し上げましたのは間違いで、十三億二千万円でございます。今承りまして非常に私ども安心をいたしたわけでございますが、そのお考えで今後処理していただきますことが、奄美群島復興完全処理完全遂行という根源になると思いますので、ぜひ今後とも完全に遂行するというお気持で政府一体になられて御尽力願いたいということを特に希望申し上げます。  これは奄美群島のみの問題じゃないのでございますが、奄美群島初め離島と申しますか、島嶼経済力というものは非常に弱い上に、島嶼であるがために中央あるいは各府県の県庁から距離も遠くございます。行政指導その他にも、指導を受ける側からいいましても経費もかかる。その他離島であるがために相当公共団体支出も多いのじゃないかと思うのでございますが、それについて政府とされましては、交付税の中の補正基準の中に離島というようなことをお考えになることは必要じゃないかと思っております。またそういう主張もこれまでも相当に行なわれたと思いますが、これについてどういうお考えを持っておられるか承りたい。
  18. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今お尋ねの点でございますが、なるほどお話に出ましたような点がございまして、それらの点はいろいろ財政需要等勘案をいたしまするためには、導入してもいい一つの要素ではないかという面も確かにあるとは思うのであります。ただ現在までのところは、そのために特に離島という観念を入れて、交付税算定基準にこれを採用するということはいたしておりません。一般的にこれを考えてやってきておるのであります。  さらに離島復興状況に対応いたしますためには、御承知のように離島振興法奄美につきましては奄美復興の特別の措置を行なって今日まできておるという現況でございます。さらにいろいろの事項について特別に考慮しなければならぬという事態がきまった場合には、特別交付税等によってある程度の要望を入れて措置をいたしてきておるというのが現況でございます。  さらに一歩進みまして、交付税算定の場合におきまして、さらに離島というものの観念を入れ、離島補正というような考え方を持ってくることが適当であるかどうかということにつきましては、単に奄美だけの問題ではございません。他の離島全般にわたる問題でもございますし、影響するところも大きい問題でございます。これらの点につきましては、さらにわれわれといたしましても財政当局ともさらに打ち合わせをし、研究をいたしてみたい、かように考えます。
  19. 保岡武久

    保岡委員 奄美群島復興事業を進めて参りまして、特に強く感じますことは、この復興事業の進捗に従って住民経済力がどしどしついてくるということがきわめて大事であるということでありますが、産業の基盤でありまする公共施設は、着々として計画通り進んでおりまするけれども、まだなかなかこれに並行して住民所得が増大していくというテンポがそう早いというわけにはいかないと思うのでございます。最近の統計からいたしましても、奄美群島郡民所得というものが全国の四三%程度しかない、こういうこともいわれておるわけでございますが、そのために特に政府の御尽力をわずらわしまして、昨年から奄美群島復興信用基金という産業融資基金制度を設けていただきました。これは非常に群民経済力の増進のためにてこ入れになったわけでございます。ちょっと話は違いますが、昨年の夏に当委員会から奄美群島復興状況その他視察のために津島、阪上、高田三議員と、曽根調査員がわざわざおいでになりまして、つぶさに調査され、その結果について当委員会に非常に懇切な報告書をお出しになっておるようでございますが、この報告書の中でも、一番現地で望まれているのはこの制度だということを言っておられるわけであります。ところが国の財政の都合で、なかなか現地で要望しているほどの基金が実現いたしておりません。ことしも二億円程度のお願いをいたしましたのですが、八千万円ということで、今度法律改正ということに相なりまして、総額一億八千万円ということになりました。ことしは八千万円でございますが、昨年度のものが三千万円程度還流いたしますそうで、そうしますと、一億一千万円で、昨年よりもことしは一千万円だけその方面の資金がふえたということは、群島民といたしましては非常な恩恵だろう、このように考えて喜んでおるわけであります。つきましては、この制度は、先ほど申しましたように非常に大きなてこ入れだということに相なりますので、今後とも一つ政府におかれましては、あとう限りそのワクを増大していく、資金を増大していただくということについて御尽力願いたいと思いますが、そのことについての御意見を承りたいと思います。
  20. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 本年度から開始をいたしました中小の事業者に対する小口の融資でございますが、この点につきましては、当初一億をもって発足をいたしたのでございますが、業務の開始をいたしましたのは六月からでございまして、まだそう大して時日を経過いたしておりません。周知徹底その他につきましても、まだ十分ではないと思われますが、それにしても、すでに十一月末日をもって調べたところにおきましては、借り入れ申し込みというのが二億を突破いたしておるという現況でもございまして、さらに来年度についての借り入れの希望等をある程度とってみましたものによりますと、これはすでに三億九千万円、約四億円近くまで借り入れの希望があるということであります。もちろん借り入れ希望額全部を充足するということは、とうてい許されないことではございますけれども、しかし、現在の資金ワクではいかにも少ないということは、われわれ事務当局といたしましても痛感をいたしておるところでございます。従いまして、来年度予算におきましても、自治庁当局といたしましては、二億円の出資金の増額を要求をいたしたのでございますけれども、いろいろな事情がございまして、さらには今お話もございましたように、本年度貸付をいたしましたものの中で、短期になりますものの一部が来年度返ってくる。これは約三千万円ぐらいあるのじゃないかといわれておりますが、そういうような面もありまして、来年度は八千万円ということになったのであります。全体として一億八千万ということでございますけれども、これで十分であるとは、われわれとしても考えておりません。今後できる限りこの出資量を増大するということに努力をして参りまして、一番中心でございますところの中小の事業者、農民等の経済力というものを増大をしていく。それが奄美復興の中心でございますので、そういうことに一つ今後とも大いに努力を傾けたいと考えております。
  21. 保岡武久

    保岡委員 まことにありがたい御方針でございまして、ぜひ一つそういう方向に一そう力強く進めていただきたいと思います。  次に、昭和三十三年度の国会におきまして、奄美群島復興特別措置法の一部が改正されまして、その際に、公共土木建設関係の公共災害につきましては、特別に高額の補助をするという規定を設けていただきました。非常にありがたい御措置だったと思うのでございますが、同時に、群島民が非常に希望いたしておりますことは、農林関係の災害についても、やはり土木建設関係の災害と同じように、当分の間群島民が立ち上がるまで高率補助にしていただきたい。両々相待って一つそういう制度考えていただきたい、こういう希望が非常に強いのでございます。この点について、ぜひ実現していただきたいと思うのでございますが、政府のお考えを承りたいと思います。
  22. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 昨年の改正の際に、地元からの御要望もあり、われわれもまたそれが適当であると思っておりました公共土木の災害についての補助率の引き上げということを提案をいたしまして、御議決をいただいたわけであります。これは離島振興法につきまして、そのような措置がとられておりましたので、それとの均衡を考慮いたしまして、さしあたり公共土木について同じような措置をとることが必要であり、また奄美群島の特殊性から見ましても、これは当然のことではないかということで改正をお願いいたしたのであります。  その他の農林災害についての問題でございますが、これは現在、いろいろ内容は分かれておりますが、たしか最高が六割五分であったと思うのでありますが、この措置を同時にやるべきではないかという議も、従来から実はあったのであります。ただ、この点になりますと、離島振興法との関係が出て参ります。奄美の特殊性ということもございますけれども、しかしそれはそれとして、今度奄美で農林災害について高率補助を行なうということになりますと、当然離島振興法との関係にも影響を及ぼして参ります。その点は、われわれは他の離島のことは知らないという、わけにも参りません。政府全般として考えます場合には、当然それらの均衡を考慮していかなければなりません。そういたしますと、当然農林省との関係、また国の財政負担がその分だけ増して参ることになりますれば、財政当局大蔵省との関係も出て参りまして、それらの話し合いにおいて十分の調整をとって参らなければならぬという面が出て参ると思うのであります。私自身といたしましては、農林災害についても、特に奄美のごときは、やはりできるだけ高率補助を適用してあげるということがいい措置であるというふうには考えておりますが、そういうふうにいろいろ各省関係の調整連絡のこともございますので、これらの点につきましては、さらに関係方面とも十分に連絡し、研究をして参る。私としては、できるだけ一歩でも前進をしていく措置を講ずべきではないか、かように考えておるのであります。
  23. 保岡武久

    保岡委員 ぜひできる限りこの問題を取り上げていただきたいと考えております。  次に、これに関連したわけでもありませんか、昨年の第三十三臨時国会におきまして成立いたしました災害に関する特別措置法の問題で、たまたま奄美群島の災害が六月と十月にあったために、七、八、九という期間に入っておらぬという問題が出ておるわけであります。その六月と十月に起こりました災害は、現地としては相当に大きな災害でありまして、場合によっては、臨時措置法の被害激甚地ということにならないとも限らないというふうに思われるくらいに大きな災害が起こっているわけでございますが、これについては今さら法律改正するということもどうかと思いますけれども政府として、その法律の趣旨に沿うように何らかのお考えをしていただくべきではないか、かように考えますが、これは自治庁の方が主管でないかもしれませんが、奄美群島全体の問題といたしまして、もし御所見がありますれば聞かしていただきたい。これはまた場合によっては他の省と連絡折衝していただきたいと考えております。
  24. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今の点は、災害自体を見ます場合においては、なるほど均衡の問題が出て参ると思うのであります。ただ、やはり災害が起こりました年月というものを限定いたしました趣旨から見まして、そこに多少の不均衡が生じてくるということは、ただ単に奄美だけではなくて、内地におきましても同じような問題があるのではないかというふうに考えられるわけであります。従いまして、それらの措置について、今御指摘もございましたように、今さら法律改正その他の措置はとうてい不可能であろうと考えるのでありますが、しかしそれだからといって、全然そういうものは知らぬというような態度でわれわれはおるわけではございません。その点につきましては、やはりそれを受けまする事業主体の事業分量と財政負担能力というものを一般的に勘案をいたしまして、自治庁としてでき得る部面においては自治庁においてできるだけの措置を講ずる、こういうふうにして参るという以外に当面としてはいたし方がないのじゃないか、かように考えております。
  25. 保岡武久

    保岡委員 自治庁関係最後でございますが、先ほどから申し上げますように、奄美群島経済力がきわめて脆弱である。またそれが十分立ち直っておらないという過程におきまして、市町村自体財政的に窮迫してくる。そのためにどうしても再建整備をしていかなければ市町村財政が円滑にいかないという面がだんだん出てくるのでありますが、そのうち特に著しい状況に立ち至っておりますのが名瀬市でございます。名瀬市につきましてはお聞き及びのことと思うのでございますが、最近非常に大きな問題になっておりまして、鹿児島県当局もいろいろその指導等について苦心もいたしておるようでございます。名瀬市は、同じ市といたしまして、本土の各市に比べますと、住民担税力が非常に少ない。復興事業はだんだん進めていかなければならない、そういうような関係等がございます。それともう一つ名瀬市の特徴といたしまして、自主財源が非常に少ないこと、市民所得が少ないことと相並んでもう一つ非常に特徴的なのは、やはり零細な市民が多いだけに生活要保護者がきわめて多いということでございます。そういうことで、だんだん事業を進めていくに従って赤字が累増してくる。そのためにその再建整備のために一般職員の定員の節減というような問題等もからみまして、いろいろと職員等についても相当脅威と申しますか、そういうものを与えておるようでございます。これにつきましては、鹿児島県からあるいは御連絡があったかと思うのでございますが、自治庁とされまして、奄美群島の特殊性にかんがみて、何らか特別な再建整備の措置を御指導いただきますようにぜひお願いをしておきたいと考えております。これについて御所見を伺いたいと思います。
  26. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 名瀬市の財政再建の問題につきましては、まだ名瀬市当局から直接に私たちの方には話がないようでありますが、これは主管が財政局の方でやっておるわけでございまして、その方にも照会をいたしたのでありますが、県の方から、そういう問題が起こっておる、県と名瀬市当局との間でいろいろ話し合いを進めておる段階であるということは承っておるのであります。名瀬市自身は、今お話もございましたように、いろいろな原因があるのだと思いますが、財政状況が非常に悪化をいたしておりまして、赤字も非常に累増をしてきておるような現況になっておるようでございます。これに対しまして県当局と名瀬市当局が話し合いをいたしました結果、自主再建というような方向で進んでいってはどうかというような話も出ておるようでございます。その間におきまして、お話の中にもございましたように、なぜ名瀬市がこういうようになったのかということの原因については、あるいは生活保護世帯というものが非常に多い、あるいは他の類似団体に比較して職員の数が非常に多いのではないか、その点一概にただ単に類似団体との比較というようなことも言えませんが、何か非常に多いのじゃないかという点も、ある程度問題点としては浮かび上がってきておるようでございます。なお鹿児島県当局といたしましては、名瀬市の方とよく相談を今いたしておる段階でございまして、さらに自主的な再建の計画措置について具体案の提出を求めている段階のように承っております。いずれそれらの点がはっきりときまりました暁においては、当庁の方へも何らかの形で連絡があり、また具体的な打ち合わせがあると思うのでありますが、その際におきましては、特殊事情等も十分に勘案をいたしまして、無理のない再建措置等についてできるだけの指導と援助を講じて参りたい、かように考えております。
  27. 保岡武久

    保岡委員 次に農林当局に若干お尋ねいたしたいと思います。昨年関税定率法の一部改正並びに砂糖消費税法の一部改正によりまして、奄美群島におきましても、奄美群島特産のサトウキビから、カンショから分みつ糖ができるという制度になりまして、それに応じて相当大きな工場が進出いたしておるわけであります。これは奄美群島の今後の産業発展のために、きわめて大きな力に相なって参るわけでございます。従来のサトウキビから黒砂糖を作っておるというだけでは、黒砂糖自体の国民消費というのがだんだん減少してくるという状況であり、また価格の面におきましても、だんだん低減すると同時に非常に不安定であるという状況でありましたことが救済されることでございますので、群民はあげてこれに対して大きな喜びを感じておるわけでございます。ところがサトウキビを唯一の仕事といたしまして栽培している栽培農家におきましては、黒砂糖を作っていたときよりも、サトウキビ自体の砂糖の原料としての価格が少しでもよくなるということを非常に期待しておるのでございますが、そこら辺につきまして、まだことしが初めてでございまして、製糖業者にいたしましても、また耕作農民にいたしましても、十分に実情がわからないせいかもしれません、そういうことになれないせいかもしれませんが、いざこざが相当に起こっておるようでございます。製糖業者から示されるところの原料価格、それからまた耕作農民の代表の人たちから示されるところの価格がぴたっと合わないために、相当現地でいざこざを起こしているような状況に見受けられるのでございます。最近は製糖時期になっておりますので、そういういざこざでサトウキビを売らない、原料を提供しないというわけにもいかぬし、内金というような格好でそれが取引されている状況で、製糖にはそう大きな影響はないようでございますけれども、感情的にもあまりおもしろくない状況に相なっているわけでございます。これらにつきましては、鹿児島県がまず所管いたしておりまするので、鹿児島県自体もこれについてその指導等に万全を期してもらわなければならないのであります。たとえば第三者的な最も公正な機関を作りまして、原料価格の適正を期するという方法等も考えてもらわなければならぬのじゃないかというようにわれわれ思っているわけでございますが、鹿児島県においても、まだ十分そういう自信を持たないのじゃないかと考えておりますので、この際政府におかれましても、非常に大事な奄美群島産業でございますし、これは日本全体といたしましても砂糖の大きな資源でございますので、ぜひ政府みずから、これが御指導に当たっていただくように御配慮願いたいと思っておるわけでございます。それについて一応御所見を承っておきたいと思います。
  28. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 ただいま保岡委員御質問の砂糖の対策でございますが、これは御指摘のように、奄美群島といたしましてはサトウキビの栽培が気候風土に適し、また災害等の点からいいましても非常に風害に耐えるというような点から、奄美群島といたしまして最も伸ばしていかねばならぬ産業一つではないかと考えます。また砂糖の需給状態、わが国の甘味資源の自給態勢を確立するという点から考えましても、これは将来十分検討しなければならぬ問題であると私どもも非常に重要視いたすところであります。御指摘のように前年まで黒糖ということでございましたが、最近は漸次分みつ糖ということに切りかえられましてだいぶそういう点におきましても進んで参っておると考えるのであります。ただ、ただいま政府といたしましては、保岡委員からもお話がありましたように、その対策といたしましては、今鹿児島県当局におきまして、工場もだいぶ進出してきた、しかしながらまだ県下にも六百近い小さな工場が分散いたしておる、そういう状況でございますので、これに対してどういうふうにしたならば農民の立場、生産農民の利益を守ることができるかという点につきまして、県当局で調査されておるのでございまして、そこでわれわれも県当局の調査に深く期待をいたしておるところでありまして、調査の結果がいずれ近いうちに出ることと考えますが、そういう点を考慮いたしましてよく県当局の意見を聞き、地元の状況を調査いたしまして、これによってどういうふうにいたしますか、十分その方法、手段等について検討いたしまして善処をいたすつもりでございます。詳細につきましては、なお他の説明員から御説明申し上げることにいたします。
  29. 村田豊三

    ○村田説明員 基本的な方針に関します事項につきましては、ただいま政務次官からお話のありました通りでございます。現地におきますサトウキビの生産者価格について、製糖会社と現地の生産者、農民との同の取引価格について多少のいざこざがある点についての御指摘でございました。この点、かねて保岡委員は非常に御心配になりまして、実はわれわれにも何度もこの点についての御指摘を賜わっているのでございます。御心痛のほど私どももよくわかるのでございますが、何分にも本年初めてのことでもございまして、現地におきます両当事者もこの問題の扱いについて不なれであるというふうなことも間々うかがわれるのでございます。御指摘の通り、目下鹿児島県庁がこの問題の第一線の監督官庁として鋭意その間の調整に当たっておられるようでございますが、ただいま政務次官からも申し上げましたように、中央におきます農林省の関係者といたしましても、十分県の方針なども聴取いたしまして、直接中央の問題ではないからこれに関与しないということではなくて、日本全体の甘味資源の円滑な需給の向上にも関連する問題でございますので、よく現地の県当局と相談をいたしまして、今後のこれらの指導について遺憾のないように取り計からって参りたいと思います。
  30. 保岡武久

    保岡委員 生産者価格と申しますか、キビの会社への原料提供の価格につきましては、今お話しのありましたように、適正な価格で農民も会社も納得のできるような線をぜひ一つ指導していただきたい。現地の農民はきわめてまじめな農民でありますけれども、ついこういう問題で思想的にもいろいろ動揺してくるということでもありますと、われわれの郷土のために非常におもしろくないと考えております。また経済的な面も非常に大事でございますので、ぜひ一つ鹿児島県を適切に指導していただきたいと考えております。  その次に、今度の改革によりまして分みつ糖ができるようになったのでございますけれども、分みつ糖にどうしても移行しない地域は、やはり黒砂糖を作らなければならないという面が若干残ってくると思います。ところが、黒砂糖というものはどうも価格がきわめて不安定で、黒砂糖を作っている農民というものは、非常に価格の不安定なことにしょっちゅう経済的に脅かされている状況でありますが、何とかこれを適正な価格で維持できるような方法を、現地農民のために農林省としてはお考え願えないものかどうか。と同時に、介みつ糖にいたしましても、北海道のテンサイ糖にいたしましても、相当保護措置がとられております。買い上げ措置等もとられているわけでございますが、やはり国内の大事な甘味資源でございますので、北海道並びに各地のテンサイ糖について御配慮になると同時に、常に奄美群島及び南西諸島、沖縄方面まで含みますが、それの黒糖についても何らかの方法をやはり農林省の方においても常時考えていただきたい。少なくともテンサイ糖のことを考えるときには、南西諸島の黒糖についても同時にいろいろと御研究を願い、同じような保護措置がとられるようにしていただきたい。というのは、これは群島民全体のきわめて熾烈な要望でございます。それについて一つ御所見を伺いたいと思います。
  31. 村田豊三

    ○村田説明員 黒糖の価格安定のための何らかの措置をとるべきではないかという御指摘の点、これはごもっともなのでございまして、実はこの点につきましては、鹿児島県当局においてもそうでございますが、農林省のこれに携わっている者といたしましても、実際苦慮いたしておるのでございます。実はお言葉を返すわけではございませんが、たまたまそういう黒糖について多年悩みを持っておったのでございますが、ただいま御指摘の通り、本年度からは関税の大幅引き上げ、国内消費税の引き下げ、こういった一連の関税並びに消費税に対します改革措置によりまして、沖縄、西南諸島におきましても、従来のように黒糖にしがみついておる必要がなくなってきて、分みつ糖の生産に十分移行ができ、またその生産で採算がとれるという見込みがつきましたことは、ただいま保岡委員も御指摘の通りでありまして、われわれも御同慶にたえないのであります。しかしながら、これも本年度からのことでございまして、完全に黒糖が分みつ糖に移行いたしますのには、やはり相当の期間を要する問題でございまして、その過渡期間におきましては、ただいま御指摘のような問題がやはり依然として残るのであろうと思います。が、どうも黒糖につきましては、ただいま北海道のテンサイ糖を例に御指摘がございましたような、これをたとえば政府が買い上げるというふうなことは、保管、管理その他の技術士の面でとうてい不可能でございまして、やはり方向といたしましては、分みつ糖に今後どんどん切りかえていくという方が策のよろしいものではなかろうかと考えておるのであります。しかしながら、分みつ糖に将来切りかわった場合におきましても、先ほど来御指摘のように原料サトウキビの販売価格等についてまだ多少の不安が残るというふうなことで、むしろ保岡委員の御指摘の意味は、北海道におけるビートと同じような特別の価格支持制度、あるいは製品の政府買上制度のようなことまで考えたらどうかというふうな御意見であろうかと存じますけれども、御承知通り分みつ糖につきましては、国内で大宝のものが今日生産をされておるわけでございますが、これらについての買上措置ということは考えておりませんし、また分みつ糖そのものの価格安定ということになりますれば、やはりこれは当然西南諸島の分みつ糖のみならず、日本国全体の甘味資源対策といたしまして、国内におきます一般の精製糖はもちろんのことでございますが、特に先ほど政務次官から御指摘のありましたような、日本の国内で甘味資源の自給をはかって参ろうとしておりますテンサイ糖並びに西南諸島のカンショ糖あるいは結晶ブドウ糖、こういったものについて価格の不安を来たさないように、一定の価格水準でこれらの国内で生産いたします糖価が安定をして参るというふうな措置をとって参る必要があるのであろうと思います。またそういった措置がとられますならば、その反射的な効果といたしまして、西南諸局におきます黒糖にいたしましても、あるいは分みつ糖にいたしましても、価格の安定が維持できるということになるのではないかと思いまして、私どもはその点につきましては十分の配慮をいたしておるわけでございます。一例を申し上げますと、先ほど御指摘のような関税の制度、あるいは消費税の制度もその一環でございますし、また今日輸入粗糖につきましても為替管理の制度をとっておりまして、これらにつきまして、国内の価格の状況勘案いたしながら、輸入数量についても適当な調節措置を講じて参りたいというふうなこともその一環であろうかと考えられる次第でありまして、それらについても、ただいま御指摘の点は十分に私どもは御意味がわかるのでございまして、御期待に沿えるようなそうした面からの措置をはかって参りたいと考えております。
  32. 保岡武久

    保岡委員 今の御意見で大体わかりました。ただ現地におきましては、サトウキビに不作が相当にあるわけであります。台風常襲地帯でありますし、早魃また非常な多雨というような年がありますので、そのためにサトウキビを農業災害補償法の適用作物にしてもらいたいという意見が相当に強いのでございますが、これについて、あるいは関係者がおられないかもしれませんが、もしお答えができればお答えを願いたいと思います。
  33. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 サトウキビを農業災害補償法の対象にしたらどうかというお話でございますが、御承知のように、これを農業災害補償法の対象にするといたしますと、なお他の作物にもそういうものがたくさんあると思います。そういうことで、いろいろこれは重要な問題には相違ないのでございますので、われわれの方としても十分検討いたさなければならないと思います。ことに御承知のように、昭和三十五年度末をもちまして、農林漁業基本問題調査会も結了をする見込みでありますので、そういう結論を待ちましたり、こういう作物の安定対策、補償制度というものをどういうふうにするかというようなことも今後の問題とあわせて十分検討してみたい、かように考えております。
  34. 保岡武久

    保岡委員 次にお尋ねしたいことは、分みつ糖ができるようになりますと、大工場が進出いたします。先ほど申し上げましたように、群島の産業復興発展のために大へん喜ぶべきことでございますが、それと同時に、分みつ糖ができますと、従来黒砂糖を作っておりました小型製糖工場がお手あげという形になりましたのが相当数あるわけであります。これは昔は畜力で、畜力では生産力が非常に低いというので、奄美群島がまだ日本に戻らない前から、外国の政府のときから、政府の奨励等もあったらしくて、これを動力に切りかえていく、また復帰いたしました後も補助金なりその他でこの作物の生産力拡充のために相当に政府努力いたして参ったのでありますが、分みつ糖になりますと、もうその分みつ糖に大きな原料が流入いたしますと、中小工場というものは全然成り立たなくなるということで、相当に大きな問題を現地に起こしておるわけでございます。これにつきましては、国の政策の一つの犠牲ということにも考えられますので、これを保護していく、あるいはある程度助けていくということが必要であるように考えるのでございます。この点につきましても、自治庁なり農林省の御配慮をいただかなければならないと思いますが、これについて何か一つ御所見を聞かせていただきたいと思います。
  35. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 ただいま保岡委員御心配の点はごもっともだと思います。申し上げるまでもなく、大きい企業のために小さい企業というものが圧迫されますし、そういう大資本が一部に入ってきて大工場を設置する。また残ったところの小さな工場というものが地方に多数、五百七十も分散されておるということになりますと、これは非常にその間にいろいろな問題があると思いますので、それでは生産農民に対しても非常に不利益をもたらす面もあろうかと考えます。そういう意味におきまして、これは一つ鹿児島県当局ともよろしく相談をいたしまして、せっかく今調査中でもございますが、あるいは協同組合のように整理統合いたしますとか、あるいは現在のままといたしましても、耕作反別でもふえるということになれば、あるいはそれぞれ機械を新しく導入いたしまして、新しい機械によるところの操作に切りかえるとか、いろいろな方法があると思いますので、こういう問題は一つ地元と十分相談して検討いたしまして、できる限り御期待に沿うように善処いたしたい、かように考えております。
  36. 保岡武久

    保岡委員 これに関連しまして、やはり同じ問題が沖縄にも起こっておるのでございます。沖縄におきましては、砂糖振興法という法律を出しまして、その法律に基づきましていろいろ措置をいたしているようでございますが、まあ沖縄とは事情も国内は違うわけでございますけれども、やはり大事なカンショ糖の生産地でございますので、大体同じような措置がとられるべきじゃないかと思いますから、政府におかれましても、一つ沖縄における措置というものも一応御研究の上、いろいろ比較勘案されまして適切な御処置をお考え願いたいと、お願いいたしておきます。  それからもう一つ最後にお聞きしておきたいことは、今まで申し上げましたように、奄美群島産業のうちでカンショ耕作というものは最も大きな群民の中軸というべき産業でありますので、この産業が今後ますます繁栄していく、それがまた同時に国の資源の拡充にも寄与するということでなければならぬと思うのでございますが、最近貿易自由化の問題がだんだん燎原の火のように大きくなって参りました。一般農産物のこれによる影響というものを全国的に非常に心配されているところでございますし、特に砂糖のごときは、外国産は原価が非常に安くて、国内の競争力というものが脆弱であり、しかも日本の大きな産業であるわけです。これはテンサイ糖その他の甘味資源全般をまとめてそういうことが言えると思うのでございますが、それにつきましては、一つますますこれが育成強化されて、日本農民が安心して今後これと取り組んでいけるという保障を政府としてもどうしてもやってほしいわけです。かように強く考えておるわけでございますが、特にきょうは奄美群島の問題でありますので、奄美群島の砂糖の問題からいいましても、貿易自由化がきわめて大きな関心現地で持たれておりますので、これについても政府の確固たる方針を拝聴いたしておきたいと思います。
  37. 小枝一雄

    ○小枝政府委員 砂糖のAA制の問題でございますが、これは保岡委員承知のように、二十四年度から四十三年までの十カ年の甘味資源の自給計画を立てております。その中でテンサイが四十万トン、カンショ糖二十万トン、それから結晶ブドウ糖十五万トンというようなことでございます。そうしてその四十三年に砂糖が大体百五十万トンという目標を立てまして、それと、さらにまだ七十数万トンのものを外国から仰がなければならぬという状況にあるわけでございます。そういう情勢のもとにおきまして、砂糖を直ちにAA化するということは適当でないと政府の方としては考えておりますので、現在の制度を持続いたしまして、国内で砂糖の自給対策ができるようにいたすつもりでありまして、この点は一つ御安心を願いたい。なお、もしそういう時期がくるとすれば、わが国の国産の砂糖のコストの切り下げができて、外国の砂糖と国際的に競争のできるような状態にならぬと、これはなかなかむずかしい、かように考えておる次第でございます。さよう御承知を願いたいと思います。
  38. 保岡武久

    保岡委員 奄美群島の問題は、先ほどから申し上げますように、国会、政府におきまして非常に力を入れていただいている現状でありますので、私どもも安心して大へん喜んでいるわけでございますが、今後の問題につきましても、でき得る限りのお力を付与していただきますようにお願いいたしたいと存じます。  なお、最後に丹羽政務次官にその問題についての御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  39. 丹羽喬四郎

    ○丹羽(喬)政府委員 ただいま保岡委員から奄美群島の諸問題につきまして切々たる御意見を拝聴いたしました。まことに郷土を思う御熱誠に打たれた次第であります。私も地方の振興を担当いたしております者の一人でありまして先生の御意見を伺い、先生の御趣旨にのっとって奄美群島の振興のために、微力ではございますが、ますます努力して参りたい、かように思う次第でございます。
  40. 濱地文平

    濱地委員長 川村君。
  41. 川村継義

    ○川村委員 時間が大へんたっておりますから、またこの次にいろいろお聞きしたいと思うのですが、きょうは一つ二つの問題を簡単にお聞きしておきたいと思います。  われわれが奄美現地の人から聞くときには、日本に復帰はしたんだけれども、このような状態ではという悲痛な声をよく聞くんです。われわれは直接現地を調査しておりませんからよくわかりませんが、政府も、特別措置法を作って奄美復興にはできるだけの力をいたしている。それなのにそういう声を聞くということは、やはり現地事情というものが、あるいは住民が少しでも生活を向上させたいというような点から考えても、満足な状態にはいっていないと思って、異常な関心を持たざるを得ないのです。きょういろいろ資料をいただきましたので、これに基づいていろいろお尋ねしたいと思っておりますけれども、十分資料を検討させていただいて、この次また機会を見てお聞きしたいと思いますが、今回政府提案いたしておりますこの八千万円の基金に対する増額でありますが、今奄美群島復興信用基金資金量、出資金は、全部でどれくらいございますか。それをまず初めに聞かしていただきたい。
  42. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 本年度から融資に関する業務を開始したわけでございまして、当初年度といたしまして出資をいたしておりますのは一億でございます。
  43. 川村継義

    ○川村委員 この前出した一億と、それからその前に保証協会の時分に出した二千五百万円がございますね。それも加わるわけでしょう。それからもう一つ、アメリカから移ってきたガリオアのものが五億幾らかありましたね。それらのものを合計すると、どのくらいになりますか。
  44. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 それを合計いたしますと、約二億以上になっております。ただ、これは同じ基金の中で操作をいたしておりまするが、勘定はそれぞれ別、また業務も別でございますので、融資業務と保証業務は全然別個に運営いたしております。出資金もまた従って全然別個の経理をいたしているわけでございます。
  45. 川村継義

    ○川村委員 今の融資業務の関係資金は一億ですね。それから、今のガリオアからめぐったやつの国から出した五億幾らというやつと、それから初め出した二千五百万というやつは、これは保証関係に使われているわけですか。
  46. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 はっきりお答えをいたしておきますと、現在は、融資関係に使われておりますのが一億でございます。保証関係に使われておりまするものは、ガリオア関係で開始をいたしましたものが約九千万円でございます。それとプラス二千五百万円、従って一億一千五百万円程度、これは保証業務のために使われておるものでございます。
  47. 川村継義

    ○川村委員 ガリオアからめぐったやつは一億何ぼでしたかね。それじゃ、私の記憶が間違っておったのですかね。私は五億幾らあったのじゃなかったかと思うが、私の記憶が間違いだったら訂正いたします。
  48. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 五億以上は、名目としては引き継いでおります。ただ、回収関係努力をいたしておりますが、なかなか事柄の性質上、非常に困難をきわめておりまして、毎年ある程度の回収を得ておりますが、現在までに回収をいたしておりますものが一億足らずということでございます。
  49. 川村継義

    ○川村委員 今、基金がいわゆる保証をしている額は、どれくらいになっておりますか。
  50. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 保証残高は、大体五億円強に相なっております。
  51. 川村継義

    ○川村委員 その保証する場合のいわゆる手数料と申しますか、それはどれくらいですか。
  52. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 保証手数料は、ちょっと今手元に資料がございませんので、後刻調査をいたしまして次の機会にお答えいたします。
  53. 川村継義

    ○川村委員 それから、いわゆる融資貸付等の業務開始をしたというわけでありますが、貸し付けの限度というものがやはり一応あると私は思うのです。それと、それから利率はどうなっておりますか、それをちょっと。
  54. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 融資金額の最高限度でございますが、これらは、それぞれ基金の方から持って参りまして、私の方と大蔵大臣の方の認可を受けました業務方法書というものに規定されておりますが、これによりますると、個人に対するものと、それから法人に対するもの、それぞれ最高限度額が違っております。個人に対する貸し付けは原則は二十万円、ただし、特に必要であると認められるものについては五十万円でございます。さらに連帯の場合、個人でありましても連帯の場合と、さらに法人に対する貸付、これは二百万円が限度ということに相なっております。なお、貸付利率は、ものによって異なりますが、最高限度は一割、一割以内ということで、それぞれの案件に適応した利率を定めておる次第でございます。
  55. 川村継義

    ○川村委員 利率は一割程度ということでありますが、それは法人に対しても個人に対しても、同じ取り扱いですか、別の利率を適用するのですか。
  56. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 法人と個人とでは、特に法人だからこう、個人だからこうということで区別はいたしておりません。その事業の内容と、それから長期、短期の貸付期間、それらの点を考慮してそれぞれの案件について決定をいたしておるのでございます。
  57. 川村継義

    ○川村委員 今の利率の一割というのは、これは自治庁としてはどうお考えですか。るる保岡委員も言われたように、奄美群島復興についていろいろ努力をしておる事業団体等が融資を受けてやる。その場合に一割というこの利率は、私は高過ぎるのじゃないかと思うのですが、一体あなた方はどう見ておられましょうか。
  58. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 安いとは決して思っておりません。ただ、一割ということで、基金のこれを運用して、全体の経費等もまかなって参らなければならぬということもございますので、他の金融機関等とのにらみ合わせもいたしまして、こういうふうにやっておりますが、ものによりましては八分五厘程度のものもございます。われわれの気持としては、なるべくこれは引き下げて、実態に合わせるようにしたいという気分は強く持っておるのであります。
  59. 川村継義

    ○川村委員 この資金量を一億とか八千万とか増額していくことも私たちは賛成です。しかし、こういうような利率をやはり安くして援助するということが、私はまた大事じゃないかと思うのですが、どうですかね、これを引き下げていくということ、これは当然やろうと思えばできるのですから、早急にやられるお考えはありませんかね。
  60. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 今の御指摘の点はごもっともでございますが、実はこの基金を設定をいたしますることによりまして、従来いわゆる金融ベースに乗らない中小企業者の金融の需要というものに対して、それにこたえる道が開かれたということで、地元の金融事情の緩和ということについては、非常に大きな影響を及ぼし、いい結果をもたらしておるものであるというふうに考えておるのであります。しかしながら、一割というのは、私先刻申し上げましたように、非常にこれが安いというふうにも考えておりません。今後他のいろいろな均衡、各省との関係もございますが、でき得る限り引き下げるという方向に向かって努力してみたいと思っております。
  61. 川村継義

    ○川村委員 安いとは思っていない。むしろ高いと思っていただいて私はけっこうじゃないかと思うのですがね。特にこの復興基金の趣旨からして、いわゆる業者ですね、小口業者と申しますか、非常に零細なそういうものについて考えていこう、中小業者等を対象にしようというのが趣旨であったと思うのです。そうなれば、やはり高い利率でもってやっていくということは、私はこれは問題が大きいと思いますから、今あなたが言われたように、これは一つぜひ努力してもらいたい。それが私は一つの大きな策じゃないかと思うのです。今資料をいただいたのをちょっと見たのですが、この中で、十二月三十一日現在の業種別融資状況というものの中の総計を見ると、八千五百八十八万五千円になっております。この八千五百八十八万五千円というのが、結局、先ほどの一億の中から融資をされておるこの業種別の金額でございますね。
  62. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 その通りであります。
  63. 川村継義

    ○川村委員 それから第二点としてお聞きしておきたいことは、この法律の十条の三の三項に、「地方公共団体は、前条第六項の規定により基金がその資本金を増加するときは、基金に出資することができる。」と書いてある。地方公共団体に、この基金に出資している団体がありますか、ありませんか。
  64. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 ただいまのところはございません。
  65. 川村継義

    ○川村委員 ありませんね。それは結局どう解釈したらいいのですか。地方公共団体には、この出資をする余裕、その力がない、このように見ていいのですか。
  66. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 現段階では、私の方から慫慂をして、この基金に出資をしなさいという余裕はとてもないのじゃないかと思っております。ただ、将来の問題といたしまして、鹿児島県当局についてこれを児まする場合におきましては、ある程度の出資ということも考え得られるのじゃないか。直接奄美振興に当たっております県当局としては、そういうような点は将来、機会のある際に考えてもらってもいいのじゃないかという感じは持っております。
  67. 川村継義

    ○川村委員 それから、同じ法律の十条の四の四項、五項ですが、四項に、「基金は、毎事業年度の損益計算上利益金を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、政令で定めるところにより、これを積立金として、積み立てなければならない。」この積立金を持っておるかどうかということが一つ。それから十条の四の五項に、「基金は、毎事業年度の損益計算上損失金を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、これを繰越欠損金として整理しなければならない。」こういう規定がありますが、この点等を含めて、現在のこの基金の運営状況はどうであるか、その辺のところをちょっと説明しておいていただきたい。
  68. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 御承知のように、この制度は三十四年度から発足をいたした制度でございます。しかも、いろいろの準備もございましたので、実際業務を開始しましたのが六月以降ということに相なっております。まだ単年度も経過いたしておらない状況でございまして、従いまして、今のところ積立金というものもございませんし、従って欠損の補てんというような問題も、現在のところでは現実の事態には相なっておらないのであります。それらの点につきましては、年度を経過した場合において生じてくる問題であると思いますが、私たちといたしましては、なるべく積立金というようなものをある程度はだんだんふやしていく。あまり無理にふやすような措置をとりましては、基金を設定いたしました本来の目的自体に合いませんので、そういうような点は避けなければいけませんが、一面において、やはり基金基礎というものを強固にしていく。また将来貸し倒れ金等が多額に生じた場合の対応措置も講じていかなければならぬというような点もございますので、基金の運営の堅実化ということは十分に指導をして参りたい。ただ現実の問題としては、まだ年度半ばでもあり、また発足して間もないところでございますので、積立金増額の問題は起きておりません。
  69. 川村継義

    ○川村委員 そうすると現在の状況においては、この基金は皆さん方がごらんになって心配されるような運営状況ではありませんね。ただ今回八千万円の増額は、いわゆる復興事業等の促進を考えてみると、基金としての一億程度では不足する。それだけのお考えでこの提案をしておられるのであって、今の八千万円を特に国から出してやらなければ基金の運営がどうもうまくない——うまくないということは、運営自体が損益上の危険性がある、こういう意味から考えておられるのじゃない、このように考えておいてよろしゅうございますか。
  70. 藤井貞夫

    藤井(貞)政府委員 率直に申して、一億円をある程度寝かして、それで事務費あるいはその他の運営費を出していくということは、非常に小規模にこじんまりとして現在やっておりますので、何とかやっていけますが、しかし一億だけで将来やっていけということになりますれば、非常に窮屈なことになるのじゃないかというふうに考えております。それと、さらにはそのために事務費等保留してやっていけということになりますと、それだけ貸し出しワクが減少いたして参ります。そのことのために全体として本基金設定の趣旨にも合わないということから、来年度さらに八千万円の増額をお願いをいたしたのでありまして、基金の運営自体というものにつきましては、多少の不便はございますが、こじんまりとやっていけばやれないことはない。今までやってきておるのでございますので、その点の心配はないというふうに御承知をいただいてけっこうだと思います。
  71. 川村継義

    ○川村委員 それでは先ほど申し上げましたように、いただいた資料を検討させてもらって、復興事業全体の点からいろいろまたお尋ねしたいと思います。  先ほど農林省の方がおられましたが、この次にまた来ていただけますか。先ほどあなたがいろいろ砂糖の問題について御発言になったのですが、私は実に不可解な気持で聞いたんですが、この点につきましてはもう少し一つよく聞かせてもらいたいと思っております。あなたの話を聞いておりますと、今日のいわゆる製糖の状況からして、あるいは先ほどお話があったように関税の引き上げ、砂糖消費税の引き下げとか、そういうような関係からして分みつ製糖、そちらの方に移行するのが妥当であるというような意見だったと私は聞いたのです。そうなりますと、奄美大島の地理的な条件あるいはサトウキビを作っている農民の状態、それらを考えて参りますと、何かしらん分みつ工場がどんどん進出していって、あの奄美大島が今一番切実に考えているところの製糖業というものを、かえってつぶしてしまうような結果になるのじゃなかろうかという疑問が出てくるのです。お聞きになっていると思いますが、今奄美大島の農民等の声は、ああいう分みつ糖の大工場の進出を許すから、先ほど安岡委員も指摘されたと思うのですけれども、買い上げ価格の問題、そういうようないろいろな点からして農民の苦しさというものが倍加しておる。特に農業協同組合等はほとんどつぶれてしまうような形になっているというような状態が出てきていることは御存じだと思いますが、そういう声が強い。いわゆる大資本によるところの分みつ工場の進出が、われわれのサトウキビ栽培等の農業経営を圧迫しておるのだ、こういう意見等が非常に多いのです。この点につきましては、日本全体の砂糖の計画、消費上の問題とか、いろいろありましょうけれども、そういう点についてもう少し意見を聞きたいと思いますから、いずれまたこの委員会に出てきてお聞かせ願いたい、これだけお願いしておきます。  時間がありませんから、それじゃ委員長、またこの次にお願いいたします。
  72. 濱地文平

    濱地委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後零時十七分散会