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佐藤国務大臣 どうもなかなかむずかしい
お話で、私もちょっとお尋ねの要点をつかみかねておりますが、やはり
経済を
開発していく。その場合に、非常な勤労性といいますか、あるいは自立意識といいますか、そういうものが必要なことはもちろんでありますが、もともと力のないものに対してどう力を与えていくか、これが今まで
借款計画をする、あるいは融資をする、
世銀から貸すとか、あるいはIMFの
資金が出るとか、
日本な
どもインドなどには
借款を供与するとか、こういうような
方法でまず
資金を豊富にいたしますが、その際に、具体的な
事業を指定し融資する場合と、全然具体的なプロジェクトをきめないで、金額幾らというものを貸し付ける、その金で当該国は自国に最も緊要なものを取り上げる、こういう
方法と、二通りあると思います。ただいま申すひものつかない
貸付、いわゆる
借款という場合は、多くの場合に
経済協力、こういうような形で申し上げております。ただいま
日本な
ども、インドに対し、あるいはビルマその他の諸地域等に対して、
経済協力という
意味で
借款を供与している。その
借款を供与したものは、時に国際決済用の
資金に使われておることもございましょう。あるいはまた具体的にその金のうちからプロジェクトがきまり、そうしてそのものについての技術的援助を
借款供与国に頼む場合もあるとか、いろいろの
方法があると思います。これはただ単なる単純な金融という
意味のものでは私はないと思います。やはり双方に、国際間の
関係においては、貸借だけの問題じゃなしに、それが双方の
経済開発あるいは貿易の拡大に役立つように使われることだけは前提にいたしておると思います。従いまして、今回の問題にいたしましても、ただいま申し上げるように、当該国の
経済の
開発に役立つようにというのが
IDAの思想でもあります。
ところで、
世銀なりIFCというようなものと比べて、今回はどう違うか。
世銀の金額は、
先ほど来申しておりますように、一年に七億程度しか貸していない。それだけでは不足だから、また個々の国から
資金を貸与している向きがある。ところで、
世銀が扱いますものはどうしても金額的には
相当大口になる。ところが、やはり低
開発国やそれぞれの国においては、そう一千万ドル以上というようなプロジェクトでなしに、数百万ドルの貸金も必要である。こういうような場合に、IFCにも
一つ働いてもらおうということもあるわけであります。東南アジア諸地域に対して、IFCの進出が、
先ほど資料でも申し上げましたように、いかにも少ない。実際にIFC自身も、
日本などに参りまして、東南アジア諸地域に対してIFCが金を貸すようないいプロジェクトはないか、いい問題はないかと言って、実は
協力方を求めておる例もございます。ございますが、現実の問題としては、ただいま申し上げるように、金額が小さい。そうして、これはコマーシャル・ベースでございますので、金利な
ども相当高い。こういう
意味で、なかなか東南アジアの特殊事情には合わないということになっております。東南アジアなどについては、今回の第二
世銀などは、私は、重要な働きを示すものじゃないか、こういうように実は期待をいたしておりますが、もちろんこれも絶えず努力をいたさないと、やはり金を貸すのでございますから、貸しやすいところへ先に貸すということになるでありましょうし、
資金が少ないだけに、これはよほど努力を必要とする、かように実は思います。だから、今回の
IDA、その構想自身には
賛成されても、今後具体化するという場合においては
相当の努力を必要とすること、これはもう私
ども最初から覚悟してしかるべき場ではないかと思います。今回のものが、
先ほど来航論になっておりますように、時に無
利子であるとか、あるいは
低利であって
長期である
——前回も
石野委員の
質問に私は答えまして、どれくらいの金利になるかと言われるから、
世銀は六分だから、大体その半分程度じゃないか、三分ぐらいが目標ではないでしょうかということを実は申し上げたわけでございます。きょうはさらにそれが突き進んで、無
利子の場合が非常に論議の中心になりましたが、実際はどういう扱い方をいたしますか、まだ基本的にはきまっておらないということであります。ただ、第二
世銀を作る場合に、どういうような
範囲で物事を
考えるか。無
利子のものから
相当高い金利のものまでを
考えて、そうして適当なものを探していこうということでスタートしたいというのが、今の現状じゃないか、かように思います。
それで、低
開発国に対する
協力方法としていろいろなことがいわれておりますが、私
どもの
日本のやっております事柄は、この前も申し上げたように、賠償を中心にし、
経済協力というものを副にして、そうして貿易拡大をはかっておるということは実は申し上げております。ことに賠償も、現金賠償をしないで、いろいろ技術提携、資本提携などを
考えておるのは、そういう
意味だと思いますが、これが結局、十分その国の
経済開発に役立たすことを
考えるということでやっておるわけでございまして、今堀委員が一体どれを中心にして
考えているかと言われましても、なかなかむずかしいお尋ねで、それぞれの国の
実情に応じて
考えていかざるを得ないのじゃないか、かように私
ども考えております。なお、
一つの例で申しますと、インドに
借款を供与いたしておりますが、今日までのところはそれが十分使われておらない。せっかく
借款は供与いたしましたが、適当なプロジェクトがあった場合に、インド自身は、インドの国の方針といたしまして、これを国際競争入札にする、こういうようなことがあり、
日本の金を他国からの品物に使うことはまずないと思いますが、
日本が供与した
借款が
日本にすぐ返ってくるという状況でないので、この
借款が全部使われておらないという
実情でございます。しかし、これなどは、インド
政府ともたびたび交渉いたしまして、できるだけ供与いたしました
借款は具体的にこれを実現するように努力しようということで、絶えずそれぞれ必要なアイテムなどきめておりますが、最後のところに参りますと、ただいま言うように、国際競争入札、せっかく
日本も立候補したけれ
ども、
日本に落ちなかったというような場合があります。これはやはり
経済協力というふうに一口に申しますけれ
ども、なかなか複雑同時にまた多岐であるという
意味で、この
効果を上げるという点では、さらに工夫なり努力を必要とするのじゃないか、かように思います。