運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-04-28 第34回国会 衆議院 大蔵委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十八日(木曜日)     午後一時五十五分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 山中 貞則君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君 理事 廣瀬 勝邦君       押谷 富三君    鴨田 宗一君       黒金 泰美君    田邉 國男君       竹下  登君    濱田 幸雄君       古川 丈吉君    細田 義安君       毛利 松平君    石野 久男君       石村 英雄君    神近 市子君       久保田鶴松君    堀  昌雄君       横山 利秋君  出席国務大臣         大 蔵 大 臣 佐藤 榮作君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主計局長)  石原 周夫君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (主計局給与課         長)      船後 正道君         大蔵事務官         (銀行局長)  石野 信一君         大蔵事務官         (為替局長)  賀屋 正雄君  委員外出席者         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 四月二十六日  外地引揚公務員退職手当の特例に関する法律  制定に関する請願(風見章君紹介)(第二九二  七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出、第三十一回国会閣法第一六七号)  厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案  (内閣提出第一〇一号)  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律  案(内閣提出第一〇九号)  日本開発銀行法の一部を改正する法律案内閣  提出第五六号)  経済基盤強化のための資金及び特別の法人の基  金に関する法律の一部を改正する法律案内閣  提出第六〇号)  国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律  案(内閣提出第七九号)      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これより会議を開きます。  経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律の一部を改正する法律案国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律案及び日本開発銀行法の一部を改正する法律案の三法律案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。石野久男君。
  3. 石野久男

    石野委員 先般の委員会質問が中断しておりましたので、引き続いて大臣にお尋ねいたしたいと思います。  今度の第二世銀国際開発協会への参加について、それの日本の国に及ぼす影響の問題で、先ほどからいろいろと尋ねておったのでありますが、大臣の方の言い分もいろいろあるようでありますし、われわれもまだ意見があるわけですが、もう前の委員会で論じたことは繰り返さないといたしまして、それでもまだ解明していない点を引き続いて質問いたします。  大臣は、この世銀出資するということが結局は日本にも利益するということを、いろいろな点でおっしゃられたわけですが、この際、もしこの世銀に参加しなかった場合に、日本経済にどういうような悪影響が出てくるのかということについて、大臣から一つ意見を承りたいと思います。
  4. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 世銀に参加しなかったらどうなるかという検討は今まであまりいたしておりません。しかし、ただいままでのところ第一世銀理事でもございますし、また、第一世銀運用から見まして、第一世銀でまかなえない点を補おうという第二世銀でありますので、日本としては、これは第一世銀に参加している建前から、自然的といいますか、当然その方に推移するという考え方で私ども考えておるわけでございまして、今のお尋ねの点については積極的に考究いたしたことはございません。
  5. 石野久男

    石野委員 政府はもし参加しなかったらどういうふうに影響が出るかということは積極的に考えていなかったとおっしゃるのですが、第二世銀は第一世銀とだいぶ性格が違うわけでございまするし、またその目的も、国際的な協力によって世界経済に貢献しようということは同じでありましても、後進国開発という特殊の目的を持っている世銀でございます。そこで、それじゃ日本がどういう影響を受けるかという問題で、私の意見大臣意見とにだいぶ違いがあったわけです。しかし、はっきりしていることは、この世銀は、第一世銀のように、日本がその資金をいろいろ使うということがなかなかできないのであって、一方的な出資の形になり、そしてその効果長期にわたって相当後の時期に徐々に出てくるだろうということがわかった。しかし、直接的にはその金をわれわれが使うことは今のところはできない。もし第二部の方にでもなるような、転落でもするような時期があれば使えるだろうというようなことは、この前お話があった通りなんです。第一部の十七ヵ国に肩を並べてやっている間においては、少なくともやはり利益は今のところ直接には出てこないのだということになりますと、これに参加するのはただつき合いでいくのだということであるならば、それ自体はっきりしていることでもございまするけれども、しかし、少なくとも相当額をここで出資しようとすることになれば、日本経済との関係上それがいいか悪いかという判定は、政治的にもしなくちゃならないわけでございます。従って、私たちとしては、もしこれに出資をしないような形をとったとき、どういう影響が出てくるかということについて、やはり一応の考究はしなければいけないのじゃないか。なぜそういうことを私は考えるかというと、先ほど大臣つき合いだからというお話がございましたけれども、しかし、次々に起こるであろう増資のときに、もし日本がその増資にたえられないような場合は、増資しなくてもいいんだということがありましたが、そういうことになれば、今日の段階においても、当初出発する時期に、もし、日本の国力の関係経済的な諸関係から言って、それは必ずしも望ましいと思わない場合には、それに参加しなくてもいいんじゃないかということも想定されるわけですが、どうしても参加しなければならないようになっているのですか、どうですか。
  6. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 どうしても参加しなければならないようになっておるのかどうか。これは絶対のものだとは私は考えません。しかしながら、前会の質疑応答でも明確にいたしましたように、国際協力という観点に立って、日本がその構成員の一人としての努めを果たす。こういうことは、第一世銀の場合も同じようなことで、私どもはこれはいいことだ、かように実は考えておるということをるる申し上げました。その意味では、国際協力をし、同時に低開発国開発協力するということは、直接の利便、利益はないにしろ、必ず間接的にはわが国に返ってくるもの、こういう実は考え方をいたしております。そこで、入らなかった場合にどうだ、こういうことになれば、非常に日本は利己的とでも申しますか、そういう考え方で物事をきめる。国際協力についての考え方からいけば、その考え方が非常に未熟、不十分だ、こういう考え方を持たれる。これは当然だろうと思います。そこで、日本経済が将来いわゆる後進国になれば、このものから借りられるだろう、こういうことは一応理屈の上で考えられますが、私は、日本工業力が低下することはない、ここから金を借りる、直接引き出すということは考え余地はまずないだろう、かように実は思っております。そうして、これに協力して出資するということは、申すまでもなくこれは出資であり、いわゆる寄付金だとかあるいは贈与ではない。これはどこまでも第二世銀商業的コマーシャル・ベースということは考えなければいけない。いわゆる金利その他の点において、非常に利潤の高いものは考えないが、低開発国経済開発ということを重点に置いて考えるものですから、いわゆるグラントじゃない、これだけは非常にはっきりしている、かように考えます。そういたしますと、日本出資するということは、返ってこないとか、あるいはその権利自身はそれで消滅する、こういうものでは絶対ないと私は思います。そこに入ったからといって、特に迷惑をかけるとか——いわゆる贈与ということであれば、それは一つの問題だと思いますが、そういうことではないのだということを考えると、普通の利潤を得るものよりかは低いということは考えられましても、出資そのものを断わる筋もないし、断わった場合には、実情についての認識が少し違うんじゃないか、こういう点を指摘されるのではないかと思います。先ほど来の御意見でも、別にグラントというようにはっきりは仰せられないのでございますから、やはり出資出資だ、かように御理解はいただいておることだと思いますが、何だかグラント的なにおいでも非常に強い、あるいは採算がどうしても取れないじゃないか、もっともうかる方法があるんじゃないか、こういう点を御指摘になっているのではないかと思いますが、それは確かに、それだけのものを出資しないで、わが国の直接貿易の方で何か役立たす方法があれば、これは一つ考え方でありましょう。だからこそ、経済開発基金というものと二本建にいたしておりますが、国際機構の方は一切やめて、日本が持つ経済協力基金の方だけをふやしたらどうか、こういうことになると、前会いろいろ申し上げましたように、やはり二本建で進まざるを得ない、こういう状態だ、かように私ども考えております。
  7. 石野久男

    石野委員 先ほど、私は、もし出資をしなかったらどういうような影響が出てくるのかということを尋ねました。これはどうしても入らなければならないのかということについては、必ずしもどうしてもということではないけれども、やはり国際的な諸関係からというお話でございました。つき合いという問題はどこでもみな同じことで、必要なことでございますし、私としても、平和共存ということが世界の両陣営の中でいわれているときですから、一そう話し合いやそういうつき合いを密にしていくことはいいことだと思います。しかし、そのつき合いも、自分たち力量に応じてのつき合いでなければならないし、また、そのつき合いの中から、ただ一方的に与えるだけであり、それから取り得るものがないというような関係は、経済的には成り立たないと思うのでございます。どんな場合でも、やはりギブ・アンド・テークの形になるであろうし、またそれでなかったら所期の成果は得られないのではないか、こういうように思っております。後進国開発の問題について援助する側は、特定の無理なひもをつけたり何かすることによって縛るということは、これは絶対に避けなくてはならないことでありますが、しかし、その国との関係において、経済行為の中では、やはりギブ・アンド・テークの形が何らかの形で出てくることが望ましいのであるということは、これはだれでもわかることだ、こう思うのでございます。そこで、私は、先ほど言ったように、われわれはこの世銀に入っても入らなくても率直に言っていいわけです。しかし、入っても入らなくてもいいのだけれども、どうも入らなければならぬ状態になったということの認定は、やはりわが国立場からそれを考えられたと思う。その入るか入らないかの選定には、少なくとも何がしかの経済的な成果をそこに見込まなくてはいけないのではないか。入らなかった場合にどういう損があるのかというようなことを一応は検討しなくてはならないし、ただつき合いだからというようなことではいけないと私は思っておる。やはりこの問題を論議するのに、もし入らなかったらどうだというようなことは、政府としても考えなかったというようなことでは、あまりにもずさんじゃないか。やはり考えてもらうべきだと思うし、大臣としてもそれについては一応の識見を持っておってよろしい、こう思うので、その点を一つ私は聞かしてもらいたい。
  8. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 なかなかこまかな、やかましい議論でございますが、もちろん日本がこれに参加いたすという場合に、日本の力相応といいますか、分相応ということは当然考えます。そこで今回の出資などは分相応だという考え方をいたしておるわけであります。特に第二世銀を構成するメンバーは、第一世銀を構成しておるメンバーでございまして、同じものでございますが、その場合の大勢を通観いたしました場合に、日本がこれを特に断わるべき理由がどこにもないというのが、今回の処置であります。絶対に入らなければならないか、とかように言われれば、これは入った方がベターだ、かように私は考えます。入らない場合と入った場合、その二つを比べた場合に、入った方がベターだ、これははっきり言い得るように考えておるわけであります。ギブ・アンド・テークという考え方、これに私は賛成でありますが、このギブ・アンド・テークが、非常に目に見えてすぐ右から左にギブ・アンド・テークになるのか、あるいはまず与え、しかる後に素地ができて、そうしてもらう場合もあるだろう、かように思いますので、時間的観念はやはりギブ・アンド・テーク考えでも取り入れてしかるべきではないか、こういうように思いますので、私先ほどお話を伺いまして、特に基本的に変わった点があるのではない、かように私は思います。少なくともこの第一世銀を構成しておる各国とも、いろいろの賛成の発表の仕方といいますか、表現等においてやや異なっておる点はございますが、国際協力には参加する、そうして分相応な協力は惜しまない、こういう言い方でみな各国とも支持しておるのではないか、大勢はそこにある、かように考えて、今回も決意したわけでございます。特に入らない場合に一体それではどうなるのか。これはあまりにも自分たちの務めを十分果たさない、この点は非常に心苦いしというような考え方から、積極的に協力するという考えに決心いたした次第でございます。
  9. 石野久男

    石野委員 ただいまの大臣答弁を聞いておりますと、結局断わるよりも、断わる理由がない——ないかどうかこれはまだ確定しませんが、しかし入らないよりは入った力がベターだ、こういうことであり、そうしてやはり国際信義上の立場からいって、それを贈与するのだ。経済的には別に入らなかったからといって、損があるとかなんとかいうことはないということだけは、私ははっきりしたと思うのです。  そこで、問題は、入らないよりはベターであるかどうかという問題になってくるわけです。そこで、先ほど大臣は、これは決して贈与ではないのだ、こういうことです。また、法案のどこを見ても、協定のどこを見ても、贈与というようなことは書いておりませんから、そういう意味では確かにそうだと思うのです。しかし、先般来私がお尋ねしておりますように、後進国開発のための援助ということは、短期の融資なんかではとても間に合わないので、どうしても長期であり低利でなければ、その後進国経済開発に有用な働きをしないということをお互いが認める関係上、またそれをやらなければならないわけでございます。従って、長期低利で出したものが、その後経済的成果を上げてくるにあたって、援助した国の側にそれがどういうふうにはね返ってくるかということと、その国の経済的力量がその時期においてどういうふうになっているかということの見合いが、やはりベターであるかどうかということを決定するものであると私は思うのです。今度の協会の規定は、確かに贈与ということではございませんが、しかし、日本経済の場合からして、この長期低利という金が日本力量以上に伸びておるということをわれわれは考えなければならぬのではないか。その間またこの協会の中の理事会のいろいろな決定というものは相当重要でございます。理事会がいろいろな運用の面におけるところの決定の仕方をすることができるし、その理事会というのは、第一世銀理事会がそのまま理事会になっていくようなことになっております。従って、第一世銀理事会考えておる構想というものは、節二世銀運用にあたっては、そのまま適用されていくものだとわれわれは見ていいじゃないか。これはこういうふうに見てよろしいわけでございますね。
  10. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 大体差しつかえないと思います。
  11. 石野久男

    石野委員 そうしますと、たとえば一月三十一日に、世銀の当局は、IDAの定款と、これに対する世銀常務理事会報告書を各関係国政府に送っておるわけです。その中でIDA活動機構についていろいろ述べております。その述べている中には、われわれにとって非常に重要な問題がたくさんあると思うのでございます。今大臣贈与ではないのだと言っておりますけれども、実質的には非常に贈与の形になってくる場合があるのじゃないかということをわれわれは心配するわけなんですが、一月三十一日の世銀常務理事会報告というものは、政府も受け取っておるのでございますか。
  12. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 受け取っております。
  13. 石野久男

    石野委員 この理事会報告書の中で、特にIDA活動についてということではいろいろな問題があるわけです。ここにはごくわずかのものしか出ていないわけでございますが、しかし、その中で、私どもがこの前からの質問で心配していることは、貸付した金が返済されて、それがどういうふうに使われるかという問題について、やはり大臣との間でも相当話をいたしました。ところが、ただその貸し付けた金が、現地通貨で返るということだけの問題の範囲を越えて、今度のなにによりますと「IDAの当初資本金による資金活動借款の形をとる。借款には大幅な裁量の余地が与えられている。これによりIDAは、たとえば長い返済期間据え置き期間、またはその双方をもち、外貨で返済される借款、全部あるいは一部借り受け国通貨で返済される借款などの、寛大な支払い条件を与えることができ、あるいは無利子低利を認めることもできる。」こうなっておる。そうしますと、理事会決定によりましては、全く無利子の場合も出てくるわけでございます。そういう場合があり得るわけですね。
  14. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一応そういう考え方をしておるわけであります。
  15. 石野久男

    石野委員 そういう形になって参りますと、これはどの範囲——もちろん理事会がみな裁定をするわけでございますから、無利子のものがどのくらいの貸付金の幅をとるかわかりませんけれども、無利子で貸し付けるという形になれば、しかも長期というのが二十年というような形になってきますと、これは四分の一世紀でありますから、相当長いものだと思います。これはほとんど与えたと同じことになるわけですね。
  16. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん具体的にどうこうするというのは、具体的なクレジットがきまったときにいたすわけでございますが、第二世銀性格から考えれば、相当広範な処置ができるという考え方であります。しかし、無利子長期にいたした場合でも、これはやはり貸付には変わりない。これはいわゆるグラントではないということでございます。これは非常にやかましい議論をすれば、いわゆる出世払いというような債権は贈与なのかという議論があるかもしれません。私ども若い時分にそんな議論をしたわけでございますが、やはり低開発国開発ということを考えれば、今申し上げたような点がいろいろ議論としてはあると思いますし、無利子の場合に、その貸付期間が同時に非常に長期であるかどうか、これは具体的にきまるでしょう。だから、今いろいろ議論しておることは、やはり具体的な貸付の場合にそれが効果が上がるか上がらないか、上がらないような方法で無利子でやられては困るだろう、それは現実にIDAというものが経常費すら出てこないようではどうするのだという議論になるだろうと思いますから、こういう点が今後IDAの運営の実際にあたって論議される点ではないか、かように私考えております。
  17. 石野久男

    石野委員 今のような問題は、実際運営上の問題として理事会相当論議される問題だということになると同時に、これは必然的に今の資金量では足りないということにつながっておると思うのです。これは当然やはり増資々々をしていかなければ、その用役を果たし得ないというような結果が出てくるものだということが考えられると思いますが、大臣はそういうふうに大体思いますか。
  18. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私は、IDAはとにかく最初の試みでございますので、最初期間これが成功をおさめるかおさめないか、そこのところが非常に大事だと思います。むしろ積極的に増資々々が続いていくような、IDA相当効果を上げておるという事態ができれば、国際協力に非常に役立つのではないかと思います。いずれにしましても、無制限に出資するということになれば、前回以来石野さんが指摘しておられるようないろいろな問題もございますから、そういう場合については、特に増資の場合には十分実績などについて検討して、しかる後にまたみずからの国の力というものを考えて態度を決定すべきものだ、かように私考えております。
  19. 石野久男

    石野委員 大臣は、今、増資々々が続いていけば、それはもうIDA事業が成功しておるのだという言い方、これはそういう言い方一つあるわけです。しかし、また一面においては、どうもつぎ込んだから仕方がない。背に腹はかえられぬから、これを守るために、どうにもしようがないからつぎ込むということが出てくる。特に私たちが最近の日本経済を見ておりますと、大体の場合は後者の場合が多いようです。どうもつぎ込んだからしようがない、ここでつぶしてはしようがないから、おれが肩がわりしてでもやらなければならぬという形が出てきておるのが、大体最近の日本経済実情だろうと思うし、また世界においてもそういう傾向があるだろうと思う。だから、大臣が言われたように、事業が成功しておるからつぎ込むということではなしに、どうもこれはつぎ込まなければ、今までやったものがどぶ水にほうり込んだのと同じようになっちゃうから、背に腹はかえられないで、やはりつぎ込むという形の方があるだろうと私は思うわけなんです。従って、大臣が言うように、増資々々と続けばけっこうなことだというような手放しの考え方は、非常に危険だと私は思います。危険だという意味は、国際協力が危険だということじゃなしに、わが国立場において危険だということを私は言うのですから、そういう点は大臣もあまり手放しな、言いのがれのような形での御答弁はなさらないようにした方がいいんじゃないかと私は思うのです。
  20. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 私は言いのがれで申したわけじゃございません。今御指摘になるような点を考えるからこそ——増資々々というようになるのは、成功した場合でなければならない。これは第二世銀経営自身は、今石野さんが指摘なさるように、どうも十分効果が上がらない、だからさらにこれをもっとふやして、そして過去の投資を生かしていくんだ、こういうことを申すかわかりませんが、出資する側から申せば、見込みのない事業出資することはあり得ない。それこそ、十分力があるなしにかかわらず、十分考えていくだろうということでございます。これはもう普通の会社でも、経営者が幾ら増資するつもりでも、事業見込みがなければ、株主さんなど増資に参加するものじゃございません。だから、いわゆる一つ事業を遂行しておる、その事業がうまくいかぬから、さらに借金をして過去の投資を生かすというのとはおよそ事変わる。他に金を借りる方法はないのでございますから、出資国賛成しない限り増資ということはあり得ない。だから、出資国自身は、過去の投資成績なりIDA業績自身を見まして、こういう採算のとれないものならだめじゃないか、われわれは低開発国経済開発協力するつもりで出資したけれども、何らの効果がないじゃないかということが、次の増資の機会には必ず論議されるのだということを実は私申し上げているので、これは言いのがれでなくて、経済実情からさような点を御指摘いたしておるわけであります。その点は、一つ事業経営者の場合に、その事業を生かすための借入金をする場合と、株主が増資賛成する場合とは、およそ実情が違うということを一つ御認識いただきたいと思います。
  21. 石野久男

    石野委員 大臣は、そういう場合には理事会が非常に検討して、必要のない場合はやらないのだと言っておりまするが、しかし、実は政府にきているその理事会報告書の中に、IDAは計画が収益を生むかどうか、直接全席できるかどうかにかかわりなく、融資対象とする、こう書いているのですね。ですから、今大臣が言われように、融資対象にするものには、住宅だとか道路とか、やがて何年か後には成果を上げてくるものがありましても、ここでいうように、IDAは計画が収益を生むかどうかにかかわりなくと書いてある。かかわりなく融資をするということをいっているのですから、今大臣が言われるような、そういうすなおな形ばかりで融資がされるわけではない。特に理事会はそういうことを考え方の基底に置いているということで、皆さんのところに通知がきているわけです。だから、今大臣の言われることはちょっとおかしいのじゃないですか。
  22. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 別におかしくはございません。私先ほど来申し上げている通りでございまして、もちろん出資の場合に、無利子だとか、あるいは期間長期だというような問題がございますから、第二世銀自身としての採算が十分合うとか合わないとかいうわけじゃございません。問題は、第二世銀が融資した事柄が、その低開発国の産業に十分の効果が上がったということであれば、もちろん第二世銀出資の国々もそれで一応満足する。出資したから、一割の配当がほしいとかあるいは二割の配当がほしいとか、そういうものでないということを先ほど来申し上げておるのでございまして、この点は、次にさらに必要な資金が要るということは、低開発国に対する融資が十分効果を上げたということなんで、そういう意味であれば、国際経済拡大に大へん役立ったということでいいんじゃございませんか、かように実は申しておるわけです。
  23. 石野久男

    石野委員 投資した、貸し与えた金が、その国における経済開発に役割を果たしたことは、世界経済の上からいえば非常によかったという今の大臣考え方は私も認めます。しかし、その場合に、第二世銀立場からすれば、貸し与えた国では次第に経済効果は上がったけれども世銀自体としてはやはりそれが収益を生むかどうかを度外視するということなんです。言いかえれば、世銀の方からいえば、これはいわゆる貸借の関係というよりも、むしろ与えたと同じような考え方を持っているということなんです。贈与考え方と同じ考え方を打っているということなんです。だから、大臣先ほど贈与という考え方はないのだと言っておるけれども、実際は、第二世銀考え方は、そういう贈与の形を、世銀のこういう貸与条件あるいは形態の中で行なっているものだ、こう見ていいのじゃないですか。
  24. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、当初の出資贈与でないということは、IDA運営の基本でございます。今後さらに余剰農産物資等で出てきたような処置のものがあるかないかという問題は、将来あるいは起こるかわかりませんが、現段階においては、その点まで考える必要はないことだ、かように私ども理解いたしております。
  25. 石野久男

    石野委員 それは大臣の理解である。また規約の上からいいましても、決して贈与でない。貸借の関係は明確に契約するわけでございますから、その点は形式は確かにそのようになっておることは事実です。しかし、今も言うように、理事会は無利子でもこれは認めるということを言っております。そうすると、無利子だという理事会の通達は、いわゆる余剰農産物等、そういうような、この協会規定の中における第三条第二項の「加盟国が他の加盟国の通貨で供給する補足資金」という、この補足貸金に対して無利子だという意味なんですか。
  26. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 必ずしもそのようには考えておりません。
  27. 石野久男

    石野委員 必ずしもそうでないとすれば、今大臣が引き合いに出した余剰農産物云々ということは、ここで私に対する答弁にはならないわけなんです。そうでなくて、やはり当初出資した金に対してこういう取り扱いが行なわれるということなんです。そうしますと、形式はどうあろうとも、内容的には具体的にそういう贈与の形式が出てくるのだということを私は言っておるのです。
  28. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 先ほど来いろいろ議論がございますが、私は、第一回の出資分については贈与というケースは考えられない、実はかように思います。ただ問題は、先ほどお話がありますように、現地通貨で返済された場合には、その現地通貨をその国にまた再融資する方法はありましても、他にその資金を回す方法がないとか、こういう場合で、これは非常に限定されるのじゃないかということは考えます。そういう意味では資金の融通性がだんだんなくなる、これは御指摘の通りだと思います。しかし、それは別に贈与ということとは関係ないだろうと思います。また、無利子と申しましても、貸付であることには変わりはない。これは必ず払わなければならぬということで、贈与とは違う、私はかように思っております。
  29. 石野久男

    石野委員 贈与であるか貸付であるかということは、形式の上では確かに貸付であることには間違いない。しかし、二十年たってまた貸付が延長して、また二十年で四十年、また二十年で六十年、こういうふうになっていって、半世紀あるいは一世紀貸付がずっと残るという形は——もちろん借款問題では日本もフランスやどこかとまだ長い間のなにはあります。しかし、そのときには利子や何か払っている。貸借の関係については、利子のつく場合は、通常資本主義的な観念からいたしまして貸借が成立するのであって、利子のつかない金は、幾ら貸してあっても贈与と同じことになってきます。形式はそうありましても、実質的にはそういうことになります。大臣は、形式さえよければいいのだということになりますと、もし形式ではそうだというなら、私も形式は認めます。認めますけれども、その形式が実質的にそうであるかということが、日本の国民経済に非常に影響するわけでありますから、私は聞いておるわけなんで、どうも貸してあることは間違いないのだ。それは私は契約が行なわれているからその通りだと思うのだが、利子がとられないということになれば、これは問題が一つ出てくるということと、それから、先ほど現地通貨で返されたもの云々と言いましたが、現地通貨で返されたものでも、やはりそれは世銀の勘定に入っている。今度は受取勘定になっておるのでございましょうから、それは別に大したものではないと思うのです。それはそれで一向差しつかえない。しかし、出資された現地通貨はこれは別でありますけれども、返済された現地通貨世銀に入っているのだから、問題はない。ただ問題は、無利子で貸し付けるということは、定款にはないけれども理事会の裁量によって行なうということは、これは非常に重要だということを私は言っているのです。
  30. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 もちろん無利子貸付は非常に重要な意義を持つ、そういう意味理事会において慎重にやれと言われることは、私どもわかります。わかりますが、無利子の貸借は贈与だと言われることは、非常な飛躍がありはしないか。私ども、友人同士で、あいつひどいやつだ、利子までとりやがつたという話があります。その場合には利子をつけないというのが普通でありますが、やはりあれは贈与だと言う人はまずないので、利子まで払えとは言わないが、現金で払えということは、しばしば友人同士にはあることでございますので、この点は少し論理的飛躍じゃないか、かように思います。
  31. 石野久男

    石野委員 論理的飛躍でも何でもない。形式的にはそれは貸借の関係は成り立っているということは認めます。しかし実質的にはそれは与えたと同じことなんです。たとえば、今大臣が言われたように、友だちには金は貸したが、利子はとっていない。あいつには貸している。しかし、相手は、もらったのと同じだ。返さなくていいのだ。友だちの間ではそういうことになってしまう。それはもらったのだ。貸したのはくれたのだということになっている。相手方はそう思っている。  そこで、問題になっているのは、やはり出資国になるところの世銀理事国なり、またはその加盟国の中で、日本の場合を考えたときに、そういうような無利子であったり、それからまた保証についても国家の保証が必ずしもあるわけではないのでしょう。IDA理事会でも、場合によっては、保証をつけない場合が出てくる。それもここの報告書には書かれてあるわけです。だから、そこに貸し与えた金に対する保証というものがなく、しかも無利子でという形が出てくるのですから、形式的にはどのような貸借関係がありましても、それは体裁のいい形を作っているのであって、実質的には贈与する、与えるというのと同じような結果が出てくるのだということは、これはやはりどんなに詭弁を弄されてもお認めにならなければならない問題じゃないか、こういう実質論を私は言っているのだから、その点は一つ大臣の方でも率直に認めてもらえるはずだと思う。
  32. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これはどうもだいぶん考え方が違うようですが、やはり無利子の場合に慎重に扱えと言われることは十分わかります。それはもちろん、そういう意味では、私も無利子貸付が幾つもある、こういうわけのものではない。これはもう御指摘の通りだと思います。しかしやはり贈与でないということだけはどこまでも主張したい。また贈与は第一回のものについては考えられておらない。今後どういうことになるか、いろいろな問題があるかもわかりません。そこで、収益にはこだわらないということを申しておりますが、どういう意味のものですか。経済基盤強化というような意味のものであれば、必ずしも収益にこだわらない。こういう言い方をしておるようであります。その点から言うならば、経済法盤強化から見れば、一般社会事業についても、それではこういう金を貸してくれるか、また低開発国としては、ぜひそれを貸してくれ、こういうような議論最初理事会等でいろいろあったようですし、結局社会事業については明文化しないということで、今日まで経過いたしております。この辺に一つの問題があるかもわかりません。しかし、これは最初資金も非常に少ないし、そういう意味から見まして、融資対象をだんだん拡大していくことも困難だ、一応の道は開いてあるが、資金量から見て、それは困難だという結論じゃないかと思います。だから、まず大事なのは、最初の五年なら五年、これを実施いたしました暁において、各方面から調査研究されるでしょうが、しかる上で制度自身を拡大していくかどうかということが次の段階の問題じゃないかと思います。今からそういうことを予想したらどうだというお話でございますが、もちろんまだ具体的には実際に動き出しておりませんし、その効果のほども今後の問題にかかる、かように私ども考えておりますので、まず最初の五年間というものはどういう実績を上げていくか、それを十分見ていくべきだ。しかる上で範囲を拡大することも望ましい。あるいは、先ほど来言われておりますように、経済拡大には贈与が一番効果があるんだ、そうして長い期間で返ってくることを考えるというなら、むしろ思い切って贈与したらどうかというような議論もあるかもわかりません。しかし、出資国自身から見れば、そう簡単な議論でもないだろう、かように考えます。  いずれにいたしましても、最初五カ年の実績を見ることです。これがまず第一ではないか、また無利子等の貸付についてはよほど慎重にやるべきだ、かように私は考えております。
  33. 石野久男

    石野委員 この無利子貸付という問題は、率直に言いますると、やはり今までの低開発国開発援助について各国が行なった借款とか何かでは今までなかったことです。贈与という場合ならありますけれども借款の場合にはそんなものはない。そこで、この問題が世銀に出てきているというところに、非常に大きな問題があるわけです。大臣が言われるように、無利子のものは慎重に扱えというようなことで納得するような考え方を持っておるのではないのです。むしろ無利子のそれ自体にやはり問題がある。それならそれのように、これは考え方を改めなければならぬのではないかという意見を私は持っております。  それから、先ほど来、第一回の五カ年の経過を見てという意味合いも、また出資国の場合はこうだという大臣の説明も、非常に豊富な資金を持ち、国力もそれにたえるようなところの国では、それはそのまますなおに通ります。しかし、それを出資する国柄の経済的力量というものがそれに及ばないというようなところでは、そういう意見はそのままそれが当てはまらない場合もあるのだから、むしろもっとそれをすなおに考えなければならぬ問題になるべきはずなんです。日本の場合はその後者に属していると思うので、今大臣の言われるのは、アメリカの立場で言われるならばそれはよろしいのです。これは認めます。しかし、私どもの国の立場から見ますと、そうではないという観点からこれは申し上げているわけなのであります。そういう意味で、むしろこういう金は、日本の場合にとりますと、この出資及びその活用は、こういうような理事会の通告なり報告書というものに基づいてみますると、どうもこの金はむだに死んでしまうのではないかという考え方がする。だから、よりベターであるという経済効果わが国にバック・ペイされるような場合、どういう形でどういう年代に起きてくるかという問題を慎重に考えないといけないのだということを私は思うわけです。だから、大臣はある時期を見て参りますと言われますが、ある時期を見てというのは、やはりわが国経済的力量がそれに相当していればけっこうなんです。しかし、遺憾ながら私はそうでないと思っているから、むしろ、加入する当初において、われわれはあらゆる可能な限りの想定を置いて、それにシビヤーな検討を加えるべきではなかろうか、それはいたずらにおつき合いだからどうだこうだというものであってはいけないということを私は言っているわけです。そういう意味からしますと、わが国立場においては、この金はどうも死んでしまうというような気がするのです。
  34. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 石野さんの大へん御心配なすっていらっしゃる点、私は不幸にして同一結論ではございません。せんだっても具体的な例を引いて申したと思いますが、たとえば道路を作るという金がIDAから出るといたしまして、場所にもよりますが、場合によればわが国からセメントが出ていく場合もありましょう。あるいは鉄材が出ていくという場合もありましょう。また場合によっては直接日本商品が出ていくということも想定の中にありはしないかと思います。しかし、ただいまのところそういう話をする段階ではございませんので、ただいまの出資金額自身が日本の国力、分相応のものなりや不相応のものなりやということが一つのポイントでございましょうし、分相応であっても、やはりそれが日本利益としてはね返りがなければ困るという御意見ではないか、こう思いますが、私はそれは適当な方法があるだろうと思いますから、今そういうセメント等の資材でなくても、おそらく、その国の経済が拡大していけば、それこそ国際経済拡大の方向へ進んでいく、こういうことを私どもは一応予想して立てます。従いまして、ただいまの御意見なれば、不幸にして見通しが違うといいますが、はっきり結論が違っているということ以外には指摘することはできないと思いますが、私は、必ずしも、言われるように絶対にむだなものだと、かようには考えておりません。
  35. 石野久男

    石野委員 横山君から関連質問がございますので、またあとでなにしますが、今のお話については私まだ意見がございます。
  36. 横山利秋

    ○横山委員 関連して。  石野委員の続きになるわけですが、前略してそのまま話を進めますが、どうもこの問題に関する限り、大臣お話は説得力をあまり持っていない。いわゆる消極的理由をあげておられると私は思う。以下、短い時間ですから、私の感ずる点を具体的に三つ四つ述べて、あなたの所見を伺いたい。  第一は、おつき合いというか、断わり切れないというか、日本として国際舞台における分相応のことはしなければならぬ、こういう見解を承るわけですが、それに対して私はこう考える。そういうことであるならば、一昨年われわれがここで審議をした国際金融公社、あのときに御返事を承ったはずだ。国際金融公社ときには、日本も借りるかどうかで大蔵大臣と外務大臣との間で意見の相違があって、実は借りられないのだ、あれは低開発国だということで、一応話がおさまった。ところが、この国際金融公社の状況を見てみると、ほとんど南北アメリカが中心で、アジアにはほんの僅少である。仕事も十分進んでいない。もしもあのときの政府の提案の理由であるならば、その国際金融公社に活を入れて、それにこの仕事を分担させるべきではないか。これが第一の理由。  第二番目には、こういう仕事は、あなたがきのうでしたかおとといでしたかにおっしゃったように、もう少しひもつきでない方式、つまり終局的には国連機構をもってやるべきではないか。あなた自身がおっしゃったように、先般十一ヵ国提案でもってサンフェドの提案が行なわれている。国連の経済開発特別基金についての決議がされて、実現はしなかったですけれども、もしもあなたのおっしゃる通りであるならば、その国連の特別基金を設置することの方がより望ましい方式ではないか。そういうことがおつき合いだというならば、日本として主張すべきことがあるなら、口述においてアジア後進国諸国が主張しておるその方向にいくべきではないか。なぜそれを言わないのであろうかという点。大臣は、これは第二世銀後進国開発をしようと思っているのだから、日本もおつき合いだからこの辺のことはとおっしゃっているけれども、第二点で私はまず説得力の足らない点について大臣の御意見を承りたい。
  37. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 このIFCは最近一部東南アジア等にも出て参っております。しかし、IFCは御承知の通り資金も非常に僅少で、その条件等も限られたものでございますから、いわゆる一国の経済開発というのには、IFCの機構では十分でないと思います。やはり世銀考え方、しかし世銀の建前では手が届かないから、これをIDAでやるべきだという考え方でございます。  第二点の国連機構でというお話でございますが、この国連機構考え方とIMFやワールド・バンク、IFCのような実務遂行とはおよそ違っておりますので、国連自身でいろいろサーヴェーしていることはすでに御承知の通りでありますが、ただいまのところは、国連加盟国が直ちにIMFや世銀の構成メンバーでないということでございますので、従前通りワールド・バンクの構成員で片づけている。私は、国連機構は調査にはいいかわかりませんが、実務担当には国連機構というものは不適当じゃないか、実はかように考えております。
  38. 横山利秋

    ○横山委員 そこへいきますと、私と意見が分かれるのでございます。私は、断わっておきますが、世銀なり第二世銀というものは、究極的には米ソの経済競争の一環として把握をしないと、実体を見失うおそれがある、こう思っている。その意味で、もしもひもつきでない、政治的でない、外交的でない経済援助をするとするならば、今日最も国連機構における経済援助というものが望ましい、それを発展せしめるべきだ、こう思っているわけです。  第二番目の説得力のない話として、私どもは、国民はこう考えていると思う。日本は一体貸す方か借りる方かということです。今日本資金量が枯渇している。何としても資金を国内に充足しなければならぬのに、一方では一生懸命に低開発国に対する経済援助の仕事をしなければならぬ。これは私は何も小さいことを言おうとは患わないけれども、根本的に日本は今借りることに一生懸命になっておるのか、貸すことに一生懸命になっておるのか。重点はどちらかと言えば、申すまでもなく日本としてはまだ借りる方でしょう。政府立場からいってもそうだと思う。要するに、あなたは、借りるためには貸さなければならない、こういうふうにお考えなのでありましょうか。よりよく借りるためには貸さなければならない、こういうふうにお考えでありましょうか。その辺の大蔵大臣の真意がわからないのです。私どもはこの貸すという力は日本にはまだないと思っている。もしも貸すことが必要であれば、この程度の仕事——第二世銀にしても、あるいは五十億の基金の問題にしても、こんなことではものにならぬ。数字的な点は省略いたしますが、ものにならぬ。それにもかかわらず、あなたは借りるためには貸さなければならぬ、これが第一の理論だ。もう一つは、今ちょっと話をはさんだのですけれども世界的な外交政策の一環として布石をしなければならぬ、こういう点がおありになるのではないかと思う。ですから、私どもが聞きたい第二の点は、何のために貸すのかということ。援助でもない、これは商売だと割り切るならば、どこにそういう具体的な利益があるのか。その辺ちっとも大臣は答えていないのです。援助ではない。これはあくまで商売だ。商売であれば、どういう具体的な利益がここに止まれるのか。その具体性はどういうところにあるのか。その点については、私は第二世銀はかり質問をしているのではありません。五十億の基金も含めて日本経済の基本的な問題について質問している。その辺のはっきりとした御答弁がない。
  39. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 日本資金を必要としていることは御指摘の通りであります。そこで盛んに借りるということも申しておりますが、しかし、貸すから借りられるとか、借りるんだから貸してはいかぬとか、貸す力がないからということは、あまり経済の実態についての見方が窮屈過ぎるのではないかと私は考えております。私どもは、上を見れば非常な金持ちもいるが、下を見れば低開発国もあります。そういう場合において、一面自分たちの方でも借りもするが、また貸しもする。それは貸すから借りるという考え方でなしに、経済活動はもっと広い考え方でいいのではないか。人から金は借りるが、人に貸すことはけしからぬ、こういう考え方は、経済活動の点からはなかなか通用しないのではないか、かように私は考えております。でありますので、世銀というか、第二世銀について出資もしますが、同時にまた、国内においても経済開発基金というものを持ち、これは結局相手方がどういうような受け方をするかということであります。過去において、まず日本はアメリカから借りて、その金を日本の技術とともに東南アジアに投資するというようなお話もございましたが、なかなかその通りに問屋がおろさないものがありますが、私は、経済活動としては借りることもあるし貸すこともある、その二つを結びつけて無理やりに理屈づけなくてもいいのだ、かように考えております。
  40. 横山利秋

    ○横山委員 よろしゅうございます。それでは借りるために貸すということは縁がないものとしましょう。借りる方は借りる、貸す方は貸す、それだけの理由と値打が経済的にある、援助ではないとあなたはおっしゃる。ではその立場に立ってもう一度質問をいたします。  経済効果というものはどういう問題があるかという点です。日本が第二世銀にアメリカに誘われて入った、そうして貸すことによって日本は具体的にどういう経済効果があるか。その点については、もう少し一歩突っ込んで私の意見を述べ、あなたの御答弁を聞かなければならぬけれども、今の低開発国援助の焦点となるものは、私は二つの見解がある。一つは、ブラック総裁が言っておりますように、低開発国民の消費水準の向上と生活の安定が唯一の目標になるような経済開発に援助を集中しなければならぬ、こういう考えです。それから、もう一つは、極端にいえば輸出金融だ、商売、自分のところの品物を買ってもらうための金融だ、こういうふうに割り切った考えです。これは最近のアメリカでしょう。またイギリスもアメリカの方針に対して反対はしているけれども、実際は他人のふんどしで相撲をとるという気持で反対していると私は思う。要するに経済援助も結局は輸出金融だ、自分のところの品物を売りつけるための方法だという割り切り方、もう一つは、あなた方が主張されるソビエトの金融も結局外交政策の一環だという考え方です。こういうように考えますと、その中における日本経済援助というのはいかなる意義を持つかということです。これっぽっちの五十億のお金で日本がアジアにおいて一体どういう地位を占めるか、どういう効果があるとお考えになるのか。どういう得があるから、どういう経済効果があるから、国民はこれについて納得すべきだとあなたはおっしゃるのですか。結論的に言うならば、これはアメリカのお先棒をかつぐ、こういう観点になるのじゃないか。あなたは今ただで貸すとおっしゃるのだけれども、ただで貸すなんというばかげたことは、国内のこの金利水準の高い中において、国民に対して説明のしようがない。それをしても日本も金を出して片棒かついでやるゆえんのものは、ソビエトの二分五厘、中国の二分五厘のあの低金利に対抗するアメリカの政策であり、アメリカひとりだけではできぬから、日本も来い、西ドイツも来い、イギリスも片棒をかつげ、こういうことで戦列に並ばせられておる姿というものがあるのではありませんか。そこに日本経済効果ならざる外交的効果というものを評価するよりほかはないのではないか、いかなる経済効果があるか、それを伺いたい。
  41. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 ただいまのお尋ねの点に入ります前に、先ほど私が申しましたことであるいは少し誤解しておられる点があるかと思いますので、ちょっとつけ加えておきます。  私は、貸すために借りる場合もあるだろうと思います。しかし、今回のこの出資は、借りるために貸したんだ、こういうものじゃないということを実は申し上げておるので、やはりこれは場合によっては貸すために益金を借りたという場合もあっていいだろうと思います。これは純経済的な問題でございます。  ところで、今回のIDAの問題ですが、これを出資したら一体どういう効果があるのか。経済効果は何なのか。結局、わが国から申せば、貿易市場の拡大強化だ、こういうことになるだろうと思います。抽象的な議論では、今までたびたび御説明いたしましたように、後進国経済開発する。そうすると、経済力は拡大していく、国際経済はそれによって拡大されると  いうことを申しましたが、同時に、わが国から見れば、いわゆる貿易市場の拡大という効果があるということでございます。こう私どもは理解をいたしております。そこで、共産国の融資方法は外交的なものなんだ、だから外交的な面でもっと力を入れるべきだということを言われますが、これは御意見として私は承っておきます。おそらくそういう事柄もあるかもわかりませんが、今回の問題としては、純経済問題として扱っていくということで、ただいま申し上げたような、世界経済の拡大方向に役立たしていくという観点に立っての低閑雅国の経済開発、これをねらってのIDA考え方、かように私は理解をいたしております。
  42. 横山利秋

    ○横山委員 大臣のおっしゃることがよくわからないのです。私が質問をしたことは、もう一回整理をして申しますけれども、いかなる経済効果があるのか。あなたは、さっきから、石町委員の質問に対しても、これは援助ではない、これは商売だ、金融だ、従って効果を生ませるためにあるとおっしゃるのだが、それは、第二世銀日本が自分ひとりでやるのではなくて、アメリカを先頭にする西陣営の国々が第二世銀を作って、ソビエトの経済援助と相対抗するところにその性格がある。これは、いろいろなことを言っても、疑いようのない一つの問題だと思う。その中における日本の役割というものを評価しなければ、実態には合わない。そうであるとすれば、日本はこれによってどういう効果があるかと聞いたら、あなたは輸出市場の拡大だというふうにお答えになった。輸出市場の拡大がこれによって具体的に期待されますか。むしろそこまであなたの答弁を誘導していったのですが、もう一ぺん最初の話に返って、むしろあなたがこれは断わり切れないのだから、おつき合いだからというお答えに返った方が私はよさそうな気がするわけです。これは私は誘導質問になるようにずっとしてきたわけではありませんけれども、一番最初石野委員の御質問に答えられたように、断わり切れない、一つのおつき合いだというふうに理解をした方が、話が早いのではないかと私は考えるのですが、どうですか。
  43. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 いろいろな問題があるわけでございまして、一つだけではないことは、これはせんだって来の私のお答えで御理解がいただけると思います。今このIDA経済効果は何か、そのように仰せられますが、これは低開発国経済開発することに寄与することなんだ、貢献することだ、その点は国際経済の拡大だということを実は申しました。わが国からそれを見れば、これは貿易市場の拡大だ。原材料をその国からとることもございましょうし、同時に日本が輸出市場としてそこに期待するものもありましょうが、そういう効果が上がる。日本日本なりに効果の上がることも考えるでしょうし、西独にしてもあるいはイギリスにしても、同じような効果が上がることを考えるだろう。だから、石野委員の御質問と同じようでございますが、そういうような効果があるかないかということは、まず五年たった後に、その間の業績で十分見ていけるだろうということを実は申し上げておるのであります。私別に誘導質問にひっかかったとも思いませんが、そういうふうに私は考えております。
  44. 横山利秋

    ○横山委員 角度を変えて、もう一つ、四番目ですかの疑問ですけれども、それは、政府自身も、この第二世銀がまだ資金量、また基金の方も五十億では少ないという観点は共通しておるようでありますが、一般的にいって、低開発国、特にアジアに対してはどのくらいの資金が必要であり、どういう計画があり、それに対してこの金がどういう役割を持っておるのか、どのくらいの値打を持っておるのか、その点について政府側としては自信がございますか。具体的にこの点は数字によって承りたいと思う。何となく日本が二十八億、何となく日本が五十億の基金を設定するということでは、私は説明にならぬと思う。アジアにおける——日本としてはアジアが中心だと思いますから、アジアにおけるこの生活水準なりあるいは消費水準なりを向上する計画はどういうふうであるか、それに対して第二世銀なり基金なりがとういう役割を第一義的に持っているかという具体的な御説明をお伺いしたいと思います。
  45. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 これはなかなかむずかしいお話でございますが、アジアを形式しているそれぞれの国で、最近は五カ年計画その他の長期計画をそれぞれ持っておるようでございます。あるいは第二次五カ年計画を計画中のものもあるということでありまして、私どもはそれの全貌を明らかにはいたしません。おそらく、そのそれぞれの国の持つ計画にいたしましても、その計画のうちから外資に依存するものは幾らだというふうなものが、それぞれ出てくるのでありましょう。その全般をただいま検討しているという段階ではございません。それは要求側の意見であり、また当方から申せば、第二世銀を作る場合は、やはり出資者の方の負担ということを一応考えなければいかぬということでございますので、今お話しの、ものを具体的に説明しろと言われましても、十分の材料も持っておりません。またそれぞれの国も公表できる程度にはまだいっていないものもある、かように私は理解いたします。だから、これは低開発国側の要求、その金額に相応して答えるというものではなくて、おそらく、出資者側として、この程度なら出資が可能かどうかという方から出てきている金額だ、かように私は理解いたしております。
  46. 横山利秋

    ○横山委員 そうしますと、低開発国の援助のスケジュールというものは立っておらぬ。それに対してどのくらいの資金が必要であるか、これは多々ますます弁ずではあろうけれども、しかし計画としてはどのくらいの資金量か必要であろうか、それについてもまた見通しはない。しかしながら、援助の意義というものはあるから、当面少ないけれども、何となくこれだけのお金を積んで、これだけの資金を立てて何となく始めるのだということに私はなるような気がいたしますが、そういうことでございましょうか。少なくとも、これだけの第二世銀が果たし得る役割は、アジアに対してはどういうことで、それから日本独自でやる基金の果たし得る役割は、アジアにとってはこういう性格を持つという、具体的な効果についての推算ができていないわけですか。
  47. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 残念ながら、お尋ねのような点は明確でございません。ただいままで申し上げておりますように、世銀資金の一年の融資額が大体七億ドル見当だ。そこから見まして、第二世銀として今度は低開発国を対象にする。そこで五年に十億ということを一応想定している。これは平均すれば一年間に二億ドルということでございます。非常におくれているものがうんと金が要るという方から見れば、とてもそんな金では不足だというような話もありましょう。しかし、これだけでやるわけではないので、その国の資金なり、あるいはその他各国のそれぞれの要請のものもあると思いますので、開発計画でも、一応世銀として共同的にやるものはこの程度でどうだろうという程度でございまして、まだどれとどれを取り上げ、その所要資金は幾らである、そのうち世銀が幾ら担当しておるのだというような明確なものはございません。その点だけ申し上げておきます。
  48. 横山利秋

    ○横山委員 私の最後の疑問は、国内政策との矛盾であります。この点は大臣に先般お伺いをいたしましたけれども、要領を得ませんでした。要するに、いかなるねらいがあり、いかなる効果があるといえども、これを実行する基盤となるものはやはり国民であります。国民と、それからこの効果を実際にもたらす外国の国民とのつり合いの問題でありましょう。先ほどからただで貸すとか、あるいは二分、二分五厘という話が出ておるのですが、一方において国内においてはその十倍であります。町の庶民金融であるならば、二割から二割五分、あるいはまた三割という庶民の金融がある中で、今国民の税金を使って、外国のいろいろな——必要なことであるとはいいながら、無利子とかあるいは二分五厘というような点については、これはなかなか国民としては納得できないところだと思います。しかし、国民としても、外国にそれだけの低金利でやることが必要やむを得ざることであるならば、それは納得もしましょうが、そのかわり国内の高金利をどうするのだという点については、痛烈な私は疑問を持っておると思うのであります。かねてから、大臣は、長期にわたる低金利政策を放棄するものではないと言うておられたし、この間の財務村長会議におけるあなたの訓示も、長期的な立場における低金利政策については放棄はしない、そうしたい、そうすると言っておられる。これはきわめて抽象的な逃げ口上だと私は思う。具体的に今貿易・為替の自由化とも相待って、日本の金利政策について具体的なあなたの答弁を国民は求めておる。よしんばこれがきょう、あすということでできなくても、今この低開発国に対してこれだけの低金利で政府が何としてもやるのだというふうなことであるならば、国民に対する低金利の具体的な政策をあなたは明示される責任と義務があると思うのです。いかがでございましょうか。
  49. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 国内の金利対策につきましては、しばしば申し上げておる通りでございます。ただいまもお話のありました通り、基本的態度に変更のあるわけのものではございません。ただ金利をいつから下げるかとか、あるいは幾らまで下げるか、こういうような問題になると、これは私がこの席でお答えする筋ではない、かように考えております。
  50. 横山利秋

    ○横山委員 それは御答弁にならぬと思うのです。私の言う意味もよくおわかりだと思う。答弁ができませんとおっしゃるなら、一方において外国へこれだけの低金利の金を出したいと言うておって、国民がそれじゃ国内の高金利の問題についてはどうするのだという、その疑問に対してお答えができませんということでは、これは少し不親切じゃありませんか。
  51. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 しばしば金利取り扱いについての基本的態度を申し上げておりますので、国民としてもその程度でごしんぼういただきたい、かように思っております
  52. 横山利秋

    ○横山委員 私はあなたのおっしゃる意味がよくわかりません。この機会に大臣として明らかになさるべきだということを、重ねて私は申し上げたい。従来あなたが言っておられることも、いろいろな角度で考えられることでありまして、あのときにはああいうふうな言い方でおっしゃった、このときにはこういう言い方でおっしゃっただけであって、全体を貫くものは長期にかけて低金利政策をとるということだけで、それをどういうふうなテンポと具体的なスケジュールをもってやるかということについては、あなたは何ら話をしておられないのですから、この際おっしゃったらどうですか、こういうことです。
  53. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 金利は国際金利にさや寄せする基本的態度をとっておりますということを毎度申し上げております。それで、同時に、時期的には金利の景気調節作用というものもございますので、その方向にはおりましても、ときに上がることがございますということを申し上げておきます。それより以上を具体的に申し上げるというわけにいかないということを、ただいまお答えしておるわけであります。
  54. 植木庚子郎

    ○植木委員長 堀昌雄君。
  55. 堀昌雄

    ○堀委員 実は今までのお話をずっと伺っておりまして、先ほど横山委員もちょっとお触れになりましたが、実はこの前の国際金融公社の議論が出ましたときに、当時の一萬田大蔵大臣の御答弁は、ちょうど今の佐藤大蔵大臣のおっしゃっておるのと同じような御答弁が実はされておるわけであります。主として東南アジアに対してそういう経済開発をやってもらうという意味において、われわれはこの出資をやっていきたいのだという議論をされておりましたし、先日来石野委員お話からずっと一貫して流れておりますところも、どうもやはり東南アジア、東南アジアという言葉がよく出てくるわけです。そこで、最初に伺っておきたいのですが、一体東南アジアというものはどういう国をさすのか。それから一つ伺わしていただきたい。
  56. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 どうも東南アジアというものはやはり東南アジアを言うのでございましょう。これはどこからどこまでを言うのだと言われることは、非常に私どももなかなかむずかしい。ただいま安保特別委員会で問題になっている極東の範囲によく似た意見かと思います。しかし、今まで私どもが持っております資料では、こういう分け方をしております。東南アジア、中近東、中南米、アフリカ、濠州、欧州、こういうような分け方をして整理をしております。そこで、先ほど来のIFCにしても、一体どのくらい東南アジアの地域にIFCが投資をしているかとか、あるいは中近東はどうなっているかというようなことでパーセンテージを出してみますと、東南アジアというのはIFCで大体一七%くらいは出ている。一番多いのは中南米でありますが、中南米は七七%、あるいは、世銀関係で申せば、東南アジアは二六・二%というように、融資の割合は一応相当出ておるようでございます。ただいま申しますように、東南アジアというのは一体どこか、中近東、中南米、アフリカ、濠州、欧州にあらざる地域ということにもなろうかと実は思っております。
  57. 堀昌雄

    ○堀委員 実は今大臣はパーセンテージでお答えになっているのですが、それはおそらく昨年の六月三十日でしょうね。いつですか。
  58. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 十二月三十一日です。
  59. 堀昌雄

    ○堀委員 一九五九年の十二月ですか。
  60. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 さようでございます。
  61. 堀昌雄

    ○堀委員 実は私の持っております資料で見ますと、大体九月三十日までの間で見ますと、全体の中で中南米は八二・五%で、東南アジアは一四%くらいしかないんです。件数で見ますと、全体が三十三件、その中で東南アジア五件、こういうことになっておるようですが、今おっしゃったのは間違いないでしょうか。
  62. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 一応私の方にありますIFCの投資実績を正確に申し上げてみましょう。一九五九年十二月三十一日現在で、合計いたしまして、東南アジア五件、一七・六%、中近東一件、一・三%、中南米二十件、七七・二%、アフリカは全然ありません。濠州二件、三・八%、欧州ゼロ、そこで合計いたしまして二十八件ということになっております。
  63. 堀昌雄

    ○堀委員 私がいただいた輸出入銀行の資料の方が間違っておるのなら、これは輸出入銀行に問題があるかもわかりませんが、輸出入銀行の資料に基づいて私が拝見をしたところでは、そういうふうになっていないのです。特に一九五九年六月三十日から九月三十日の間に五百十八万ドルの融資がふえておりますけれども、それはすべてが中南米に行っているのです。おっしゃったように東南アジアはパキスタンが二件、インドが二件、タイが一件で五件、金額としては四百万ドルということになっている。私が申したのは金額上のパーセンテージなんですが、それで見ても実は少ないと思います。それはけっこうですが、要するに、最初に国際金融公社が議論になりましたときも、実は東南アジアにそれを入れてもらって、それによって何か経済的な利益が得られるというような幻想に基づいて、そういうようなことが行なわれていたように感ずるのです。さっきの横山さんのあれに対して、国際金融公社、IFCは今度の第二世銀とは違うのだというふうなお話がありましたが、これは、順序から見ますと、まず第一世銀でいろいろ問題をやってみたけれども、低開発国に対する援助が不十分だった、これを補完するために国際金融公社ができたものであって、IFCの目的は、世銀活動を補完し、低開発国における生産的民間企業を助長することである、こうなっているわけですから、その目的においては今度の第二世銀とそう著しい相違はない。ただ投資のあり方その他については多少相違がありましても、それをやっていこうという考え方の基本においては、そう大した変化はなかったのではないか。そうして、やってみると、実はこういうふうな形が出ておりますが、特に私がなぜ東南アジアの範囲を伺ったかと申しますと、実は東南アジアの中でインドとパキスタンはコロンボ計画の中の国なんです。コロンボ計画につきましては、御承知のように多額の開発資金というものが流れておる。さっきから、低開発国にそういう援助をして経済効果が出てくるから、それは輸出入について非常にプラスになるだろうというお話が出ておりますが、過去のインドなりパキスタンなりの輸出入の状態を調べてみると、相当投資をしたからといって、それがすぐ出てくるようなものではない。現実にはそうふえておらないということは、資料の中で明らかになっている。ここで一つ考えていかなければならない問題は、低開発国の援助という問題は、こういう金融操作の方が主体であるべきなのか、貿易その他を通じて一次産品に対する先進国側の輸入を増大するというような、本来の正常な状態において国際収支を改善して、そうして自分たちの国が自力的に経済開発できるような条件にするということの方が、私は経済の問題としては先にいくべきではないか。しかし、それを補完する意味において金融的な問題を処理するというのなら、話はわかるのですが、現在の世界の情勢を見た場合、アメリカも一次産品の輸出を増加しておる、あるいは欧州共同市場は、自分たちのそういう植民地、属領地域との間においては、いろいろな特恵的な問題を含んでおるけれども、それ以外の一次産品国に対しては強い制限を課すような傾向ができてきつつある。ガットではハーバラー報告もできて、これについて何らか善処しろといっても、現実には経済の中では善処をされない。必ずしも一次産品国の、低開発国の国際収支が改善されるような方向にいかないようにしておいて、そうして困っておるところヘアメリカの方で援助を出してあげましょうということは、私は問題のあり方としては少しおかしいんじゃないか。ことに第一世銀状態をずっと調べてみると、昨年度における世銀の借入金の実情は、その四分の三はアメリカの市場では借り入れができない。アメカリ以外の市場において借り入れをやっておる。現在における世銀の借入金資金の半分以上はアメリカの市場以外から調達をしておる。すなわち、アメリカとしては国際収支の問題もありましょうが、資金源を他に求めたいという条件に私はきておるのではないかと思う。そういう資金源を他に求めたいという状態にきておるときに、さっきから議論になっておりますように、第二世銀を作り、IFCを作ったけれども、それももう一ついかない。もっと低金利でソ連、中国に対抗するというような格好で第二世銀を作っていく。やはりアメリカ自身の金はできるだけ使わないで、他の国の金を使うことによって、アメリカの意図するところのいわゆる友好関係を増加させる方向をとっている。こういうふうに私は感ぜられてならないのですが、大体基本問題としてそういう国際収支が整うような形のやり方をする方が先なのか、こういう金融によって問題を処理していこうという方が先なのか、どっちが重要だとお考えになるか、その点から承っておきたいと思います。
  64. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 どうもなかなかむずかしいお話で、私もちょっとお尋ねの要点をつかみかねておりますが、やはり経済開発していく。その場合に、非常な勤労性といいますか、あるいは自立意識といいますか、そういうものが必要なことはもちろんでありますが、もともと力のないものに対してどう力を与えていくか、これが今まで借款計画をする、あるいは融資をする、世銀から貸すとか、あるいはIMFの資金が出るとか、日本どもインドなどには借款を供与するとか、こういうような方法でまず資金を豊富にいたしますが、その際に、具体的な事業を指定し融資する場合と、全然具体的なプロジェクトをきめないで、金額幾らというものを貸し付ける、その金で当該国は自国に最も緊要なものを取り上げる、こういう方法と、二通りあると思います。ただいま申すひものつかない貸付、いわゆる借款という場合は、多くの場合に経済協力、こういうような形で申し上げております。ただいま日本ども、インドに対し、あるいはビルマその他の諸地域等に対して、経済協力という意味借款を供与している。その借款を供与したものは、時に国際決済用の資金に使われておることもございましょう。あるいはまた具体的にその金のうちからプロジェクトがきまり、そうしてそのものについての技術的援助を借款供与国に頼む場合もあるとか、いろいろの方法があると思います。これはただ単なる単純な金融という意味のものでは私はないと思います。やはり双方に、国際間の関係においては、貸借だけの問題じゃなしに、それが双方の経済開発あるいは貿易の拡大に役立つように使われることだけは前提にいたしておると思います。従いまして、今回の問題にいたしましても、ただいま申し上げるように、当該国の経済開発に役立つようにというのがIDAの思想でもあります。  ところで、世銀なりIFCというようなものと比べて、今回はどう違うか。世銀の金額は、先ほど来申しておりますように、一年に七億程度しか貸していない。それだけでは不足だから、また個々の国から資金を貸与している向きがある。ところで、世銀が扱いますものはどうしても金額的には相当大口になる。ところが、やはり低開発国やそれぞれの国においては、そう一千万ドル以上というようなプロジェクトでなしに、数百万ドルの貸金も必要である。こういうような場合に、IFCにも一つ働いてもらおうということもあるわけであります。東南アジア諸地域に対して、IFCの進出が、先ほど資料でも申し上げましたように、いかにも少ない。実際にIFC自身も、日本などに参りまして、東南アジア諸地域に対してIFCが金を貸すようないいプロジェクトはないか、いい問題はないかと言って、実は協力方を求めておる例もございます。ございますが、現実の問題としては、ただいま申し上げるように、金額が小さい。そうして、これはコマーシャル・ベースでございますので、金利なども相当高い。こういう意味で、なかなか東南アジアの特殊事情には合わないということになっております。東南アジアなどについては、今回の第二世銀などは、私は、重要な働きを示すものじゃないか、こういうように実は期待をいたしておりますが、もちろんこれも絶えず努力をいたさないと、やはり金を貸すのでございますから、貸しやすいところへ先に貸すということになるでありましょうし、資金が少ないだけに、これはよほど努力を必要とする、かように実は思います。だから、今回のIDA、その構想自身には賛成されても、今後具体化するという場合においては相当の努力を必要とすること、これはもう私ども最初から覚悟してしかるべき場ではないかと思います。今回のものが、先ほど来航論になっておりますように、時に無利子であるとか、あるいは低利であって長期である——前回も石野委員質問に私は答えまして、どれくらいの金利になるかと言われるから、世銀は六分だから、大体その半分程度じゃないか、三分ぐらいが目標ではないでしょうかということを実は申し上げたわけでございます。きょうはさらにそれが突き進んで、無利子の場合が非常に論議の中心になりましたが、実際はどういう扱い方をいたしますか、まだ基本的にはきまっておらないということであります。ただ、第二世銀を作る場合に、どういうような範囲で物事を考えるか。無利子のものから相当高い金利のものまでを考えて、そうして適当なものを探していこうということでスタートしたいというのが、今の現状じゃないか、かように思います。  それで、低開発国に対する協力方法としていろいろなことがいわれておりますが、私ども日本のやっております事柄は、この前も申し上げたように、賠償を中心にし、経済協力というものを副にして、そうして貿易拡大をはかっておるということは実は申し上げております。ことに賠償も、現金賠償をしないで、いろいろ技術提携、資本提携などを考えておるのは、そういう意味だと思いますが、これが結局、十分その国の経済開発に役立たすことを考えるということでやっておるわけでございまして、今堀委員が一体どれを中心にして考えているかと言われましても、なかなかむずかしいお尋ねで、それぞれの国の実情に応じて考えていかざるを得ないのじゃないか、かように私ども考えております。なお、一つの例で申しますと、インドに借款を供与いたしておりますが、今日までのところはそれが十分使われておらない。せっかく借款は供与いたしましたが、適当なプロジェクトがあった場合に、インド自身は、インドの国の方針といたしまして、これを国際競争入札にする、こういうようなことがあり、日本の金を他国からの品物に使うことはまずないと思いますが、日本が供与した借款日本にすぐ返ってくるという状況でないので、この借款が全部使われておらないという実情でございます。しかし、これなどは、インド政府ともたびたび交渉いたしまして、できるだけ供与いたしました借款は具体的にこれを実現するように努力しようということで、絶えずそれぞれ必要なアイテムなどきめておりますが、最後のところに参りますと、ただいま言うように、国際競争入札、せっかく日本も立候補したけれども日本に落ちなかったというような場合があります。これはやはり経済協力というふうに一口に申しますけれども、なかなか複雑同時にまた多岐であるという意味で、この効果を上げるという点では、さらに工夫なり努力を必要とするのじゃないか、かように思います。
  65. 堀昌雄

    ○堀委員 私が伺ったのは、そういう金を貸して、それによって今開発を進める行き方もありますが、その国自身が、幾ら金を借りても、今おっしゃるように、その国自身の経済状態がよくなければ、必ずしもそれが全体のバランスの中で生きてこないのじゃないか。そうしてくると、今のいわゆる低開国、大体一次産品国が多いと思うのですが、こういう国の貿易収支の状態は最近きわめて悪い。一次産品はどんどん値下がりをして、それらの国がそういう開発をやっていこうという工業製品は値上がりしておって、国際収支は非常に困難な状態にそれらの国は置かれておる。こういうことに対しては、もっとその面で実は先進諸国が考えていかなければならないにもかかわらず、貿易面においてはあまりそういう——いろいろとブロッキーレンしてきて、門戸を閉ざすような行き方になる。アメリカも、アメリカ独自の問題としては、そういう競争の方を強く出しておいて、そうして、言うなれば横っつらをたたいたあとでちょっとなでるというような格好が、私は今の金融的なあり力としてあるような感じがしてしょうがない。だから、やはり本筋の方のその貿易関係、要するに国際収支が改善されるような方向にもっと先進国の方が配慮をして、その国の自力でかなり行ける中にさらに援助を与えるということならば、経済協力するということならば、私は生きてくると思うのですが、今のようなあり方で、片面の競争の方が前へ出て、協力の方がうしろからちょっとついていくというようなことでは、私はそういう問題があまり生きてこないのじゃないかという感じがするわけです。それは大臣はどうお考えになりますかということをちょっと伺いたい。
  66. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 全然考えないわけではありません。たとえば食糧、国内の米など非常によくできておりまして、ただいま米は外国から買わなくてもいい、こういう情勢が大体できたと思いますが、やはり南方諸地域からいわゆる外米を相当買わざるを得ない。これなどは現状においての国際収支面からの日本が与えておる協力的なものだ、こういうように御理解をいただいてもいいんじゃないか。ただいまのところでは、一番具体的にはビルマ米あるいはタイ産の米を買う、これが一番御指摘のような点にぴったり合うのじゃないかと思います。低開発国の方は、非常に残念なことには、ただいま申し上げるように、現在のところでは外国へ売る品物が非常に少ないということです。最近エジプトから日本にエジプト綿が参りましたが、エジプト綿をうんと買ってくれというような要望がございますけれども、エジプトからの綿花を買うよりも、やはり米綿の方が糸が長いとかいうようなことで、あまり好まれない。しかし、そればかりは言っておれませんから、インド綿もある程度買わざるを得ないとかいうようなことで、貿易の面でも、これは全然入れないよりも何か代償をとることだ、これは同時にその国の産業を助けておるのだ、かように私は理解いたしております。そういう事柄は現状の方法をやはり貫いて参りましょうが、とにかくそれらの国をいつまでも農業国にとめ置かないで、さらに地下資源の開発、こういうものに必要な資金が要るだろうとか、あるいは技術が必要であろう、そういうものの援助をどうしたらいいかとか、あるいは非常に楽に開発し得るような工業部門はいかにするか、資金の面、同時に技術の面というような点で協力することが必要じゃないか。そういう意味の事柄について第二世銀、第一世銀等が効果を上げていくということでございます。一面、国際収支が非常に悪化いたしまして、インフレなどが非常に進行するとか、通貨の価値を維持することが困難になる、こういう事態がくれば、IMFなどが発動いたしまして、そして協力していくというような方法をとっておる。これは大体今の国際協力のおもな行き方だろう、かように思っております。
  67. 堀昌雄

    ○堀委員 私がちょっと見てみますと、最近一九五九年の一月にはアラブ経済開発金融機構というものができておるようですし、さらに一九五九年の四月には米州開発銀行ができておる。さらに欧州では海外領土開発基金もできておる。いろいろとブロック内部においての低開発国に対する援助というものが各地にできておるように思うのですが、東南アジアの問題についてだけは、実は遠いものだから除外をされておる。ところが、実際に世銀なりあるいは国際金融公社から見ても、割に東南アジアというところは、その面では今の世銀の方はインドその他にずいぶん出ておりますが、出ておるところは特定なところにたくさん出ている傾向があって、必ずしも平均的な形で出ておらないということを、私は遺憾に思うのです。私は、やはりそういう意味で、日本がもうちょっと東南アジアヘやってくれと言っても、今の出資割合なり表決権数から見て、これはおそらく第二世銀においても第一世銀と同じ割合でやられてくるということになると思うのですが、案外どうも私は発言力というものは不十分で、もう一つわれわれと一番関係の深いところについては取り残されていく、その他の方は、この問題の上に、さらにブロック内部におけるいろいろな金融機構があって倍加されていくという傾向がある。そうすると、結局日本はアメリカのうしろについていかざるを得ないというようなことで、取り残されていくような感じかして仕方がない。私はやはりさっきの横山さんの議論と同じようになるのですが、そういうことならば、もっと日本ができる範囲で直接にやればいいのじゃないかという感じがしてしようがない。特に今度の三千何百万ドルという金は、これは日本が第一世銀出資しておる額の半ばくらいになるのじゃないかと思うのですが、決して少ない額ではない。第一世銀はわれわれの出資額については今度は幾らになりますか。現在は二〇%くらいしか出資をしていないで、あとは借り入れで行なっておるのですから、われわれとしては効率のいいものですが、今度は、IFCでも今度の第二世銀でも、借り入れということは実際上できないということで——IFCの方は協調融資という点もあるでしょうが、原資、出資金自体が出ていく第一世銀、第二世銀のあり方は違うと思う。同じ形はとっておるけれども違う。だから、非常に違うものが同じメンバーと同じ出資で同じ理事者によって運用されるということの中には、私は同様にすらっと考えられないような感じがどうしてもする。だから、その点については、私は、もちろんさっきからの議論のように、つき合いだからやむを得ぬ、そういう第一世銀、IFC、第二世銀というものは一つの関連の中で行なわれておるのだから、やむを得ぬという理解に立たざるを得ないだろうと思うのですが、それにしても、私は、さっきからの議論の中で、もうちょっと日本の言うべきことがあるのじゃないかと思う。今後のこの問題、特に東南アジアに対するこういうふうな借り入れといいますか、貸し出しといいますか、そういう問題についてどのくらいの確信がおありになるか。やはりIFCがやっておるように全体の一四・五%内外くらいしかこれが出ないのかどうか。ここらについての大臣の見通しをお聞かせ願いたい。
  68. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 御指摘の通りの経過をたどっております。米州銀行であるとか、アラブ問題がやかましくなった際に、中近東に対して特殊な金融機関を設置するというようなことが提案されたりいたしましたのも、それは御指摘の通りであります。今回の第二世銀の話について私が賛成いたしましたのも、この点は指摘したつもりでございます。従来の地域と違って、ひとり東南アジアについては国際的な機関が今日ない。そういう点から見ると、第二世銀というものは大いに期待のできるもののように思う。こういう意味においては、日本は応分の日本の持ち分を果たしていいのだ、かように自分は思うということを実は申しております。これは、しかし、日本でさように申したからといって、過去の実績等から見て、東南アジアの地域については非常に少ないじゃないか、こういうお話もあるようであります。しかし、東南アジアと申しましても、世銀の場合ならば一年に七億ドル貸している。そのうち日本は一年一億ドル借りる。七分の一借りている。インドは一番たくさん借りている国でございますが、これは三億ぐらいのものを借りている。かように考えますと、必ずしも私は東南アジアが世銀の場合においては無視されたとは思わない。ただ低開発国でありますため、日本やインドには貸してくれても、その他の地域はなかなか世銀から借りられない、こういう不都合がある。だから、今度第二世銀ができれば、そういう意味ではこれは十分役立たせ得るものだし、また役立たせなければならないものだ、かように私は考えております。ことにただいま御指摘になりました米州の関係においては、特別な金融機関があるじゃないかという点から申すと、確かに東南アジアに何もないだけに、これは取り上げていいことだ、かように私は理解をいたしております。ところで、そういう国際機関に通じてやるよりも、持ち分の面から、見れば非常に日本が少ないのだから、むしろ日本だけでやったらどうだというお考え方、言いかえれば経済協力基金をふやしたらどうかということになるわけでございますが、これについては、前回にも申し上げましたように、事柄をすなおに相手方が受入れてくれれば非常にけっこうでありますけれども、まだなかなかそこまでいかない点もある。そうすると、やはり二つの機構を通じて低開発国経済開発協力するということが望ましい姿じゃないかということに実はなる、かように考えるわけでございます。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 今の問題はそこまでにしまして、ちょっとまだ伺いたいことがあるのです。  それは、法律の中でちょっと私疑問の点があるのですが、この法律には、国際通貨基金及び国際復興開発銀行への加盟に伴う措置に関する法律の第五条第三項から第十条までの規定を準用するということになっておるようですね。そこで、その中で、第九条に「政府は、第五条第二項の規定により発行する国債の償還金及び第七条第二項の規定による利子の支出に必要な金額を、予算の定めるところにより、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。」こういうような規定があります。この条文は今度も準用されると思います。これまで、第一世銀でも、IMFでも、これでもみな国債によって出資ができることになっている。それについて、何か過去にも償還をされておる事実が相当あると思うのですが、昭和三十五年度の予算に、利子の支出に必要な金額を予算の定めるところにより一体幾ら繰り入れておられるのか、お答えを願いたいと思います。
  70. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 この第九条の規定によって国債整理基金特別会計に繰り入れしなければならぬ。この規定は準用はされるのでございますが、第二世銀の設立に伴いまして、初年度は償還を要することが起こらない、こういう見通しに立ちまして、現実には予算に計上いたしておりません。
  71. 堀昌雄

    ○堀委員 ちょっとそれでは関連しますが、第一世銀には一体幾らこれを計上し、それからIMFには一体幾ら三十五年度に計上しておりますか。
  72. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 第一世銀につきましては四十三億でございまして、IMFにつきましてはございません。
  73. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、その四十三億というのは、一体何を基準に四十三億出したのでしょうか。それをお答え願いたい。
  74. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 四十三億という数字は出資円解除の残額でございます。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 出資国債の残額の全額ですね。そしてIMFは一つも出していない。これは国債はもうないのですか。
  76. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ございません。
  77. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、今後の問題として、これはこういうことになっておる以上、今度の第二世銀出資をした国債については、その年度には国債の償還の全額を計上するということになるわけです。今あなたの方は、第一世銀については国債の残額は四十三億で、それを全額計上しておるという御答弁がありました。そうすると、そういうことは常に全額を計上していくということですか。
  78. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほどお答えいたしましたように、本年度は解除の要が現実に起こらないであろうという見込みで組んでおりませんが、来年度以降はたしてどれくらいの金額を計上するかという点につきましては、第二世銀が発足いたしまして、その業務の進渉状況いかんによってきまる問題ではなかろうかと考えます。
  79. 堀昌雄

    ○堀委員 私はこの法律はこの部分については非常におかしな法律だと思う。なぜかというと、予測できないじゃないかと思うのですよ。実際償還を幾らしろということを急に言ってくるかもわからない。ことに第一世銀の場合は借入金が主体になりますが、第二世銀については出資金自体を貸すから、国債なんかで貸せないという場合が当然出てくるかと思うので、これを引き当てにして借り入れをするなら話はわかります。そうすると、これはいつから発足になりますか。
  80. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 第一世銀加盟国が第二世銀出資するわけでございますが、六五%を構成する額が要件となっております。第一世銀加盟国が出資をいたします期限は今年末となっておりまして……。
  81. 堀昌雄

    ○堀委員 十二月三十一日ですね。
  82. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 さようでございます。それによって六五%に達したときに発足する、こう考えております。
  83. 堀昌雄

    ○堀委員 そうすると、もし十二月三十一日までに払い込みが完了すると、一九六一年の一月一日から三月三十一日までの間には貸し出しが行なわれるという前提に立たなければならぬと思います。これはずっと先のことなんですが、実際にここから貸し出しするという期限はいつからになりますか。
  84. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 発足いたしますれば、貸し出し得る状態になると思います。
  85. 堀昌雄

    ○堀委員 今度の出資を見ますと、最初に国債で二十一億七千六百六十三万円出資をしますね。二十一億七千六百六十三万円出資をして、一月一日から三月三十一日までの間に償還してくれと言われたらどうしますか。
  86. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 第一年度の出資は、仰せの通り国債で二十一億七千六百万円でございますが、現金出資が六億四百六十二万円ございますので、初年度一番長く見積もりまして三カ月でございますが、現金出資がありますので、私どもはこの程度で間に合うんじゃなかろうかと思います。
  87. 堀昌雄

    ○堀委員 それはあなた方の希望的観測でしょう。だって、実際上の運営からいって、償還してくれと言われたら償還しなければならぬということになっていますよ。それに対して予算を組んでないというのは、政府の態度としてちょっと不十分じゃないかと私は思うが、どうでしょうか。
  88. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 将来不足いたしますれば必要な処置をとりますが、ただいまの見通しでは、先ほど為替局長が説明しておる通りでございます。
  89. 堀昌雄

    ○堀委員 私どうしてもよくわからないのですが、第五条第二項の規定によって償還をするための費用は組めるし、その次に、規定によると、利子の支出に必要な金額と二本立になっておる。二本立になっておるということになると、一体どれをどれだけ予算に組むかというと、私は実際に予算に組めないと思うのですが、主計局長どうですか。こういうのは一体予算に組めるのですか。
  90. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほど来お答えをいたしておりますように、第一世銀のように、大体解除の見通しのついておりますものにつきましては、四十三億という金を計上しておるわけでございます。それ以外の分につきましては、これは業務の状況を見ながら、予測に基づいて予算を立てるわけでございます。条文の七条でございますが、もし年度の途中におきまして解除の請求がありました場合には、日本銀行に買い取ってもらうという方法がございますので、その方法によりまして年度中の問題は解決するということでございます。
  91. 堀昌雄

    ○堀委員 それはわかっているのです。ただそこで、法律の条文は、「政府は、第五条節二項の規定により発行する国債の償還金及び第七条第二項の規定による利子の支出に必要な金額を、予算の定めるところにより、一般会計から国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。」こうある。そうすると、二つ問題があるのです。償還のための費用と、償還ができなかった場合の、日本銀行に買い取らせて、その買い取らせてから買い上げるまでの間の利子と、二つの要素がある。償還金の方はわかるでしょう。どれだけということでわかるでしょうけれども、一体いつ償還されるかということは、日限的に非常に不確定な要素になっておる。その不確定なところから、政府が買い上げるまでの利子というものは、一体何を根拠として予算に計上することができるか。だから、私は、この法律の建前が、そういうことをやるということに問題があるのではないか、こういう法律の建前は少し道理が通らないのじゃないかという議論をしておるのですが、これは技術的にあなた方の方でどうするのか。来年度、第二世銀に対して、償還のための一般会計からの繰り入れを一体幾ら見ておるのか。利子を幾ら見るのか。そこのところはどうなるのか。来年度当然出てくるのですから、その場合どうするのですか。
  92. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほどから為替局長がお答えを申し上げましたように、三十五年度中には、いわゆる第二世銀につきましては、そういうような利払いの問題は起こるまいと予定をいたしております。三十六年度にどういうような予測をいたしますかは、これは、毎年度予算の編成の時期における見込みを立てまして、それに基づきまして所要の額を計上いたすということに相なると思います。できるだけ年度に近い時期におきまして、一番正確と思われる見通しに基づいて計上いたします以外に方法はないかと思います。
  93. 堀昌雄

    ○堀委員 どうもそれはおかしいのです。一番年度に近いところで見通しを立てるならば、償還に対する原資は組めますよ。たとえば、二十一億何千万の国債を出しておる。今度はここで十億円を償還しなければならぬという見通しは立つと思うのです。だから、その方はよろしい。しかし、それだけでまかなえるのならば、あとの利子の問題は要らないのです。全額計上しておけば、利子の問題は要らない。ところが、十億だと思って見通しを立てて、十億財源を組んだところが、十五億きたということが起こるかもしれない。ここからあとはわからない。不確定の問題なんです。あなた方の見通しの上では、不確定な要素です。その不確定な要素に対してここで利子を見積もれと書いてある。不確定なものに対して、どうやって見積もるのかということを私は聞いている。だから、こういう法律の建前がおかしいじゃないかという論理的な議論をしているのです。
  94. 石原周夫

    ○石原政府委員 先ほど申し上げましたように、予測をもって所要の元金の償還あるいは利子の支払額を組むわけでありますが、利払いの時期につきましては大蔵大臣がきめることができるわけであります。従いまして、利払いの時期のきめ方によって、今申し上げますような年度中に生じます利払いの関係の、若干の見込みとの食い違いという点につきましては、調整が可能かと思います。
  95. 堀昌雄

    ○堀委員 どうもまだ納得できませんが、時間がございませんので、石野さんに譲ります。
  96. 石野久男

    石野委員 先ほど来横山委員あるいは堀委員からの質問を通じ、また私の質問ともあわせて、大体の筋はわかってきたのですが、要約しますと、とにかく第二世銀というのは、入らなければ入らなくてもいいものだけれどもつき合いで入るんだ。そのつき合いで入るために相当な無理がある。たとえば、先ほど来言っておるように、利率二分五厘、ところが、理事会決定によっては無利子でもそれは貸し出しができるのだ、こういうようなことになってきている。そういうことから、私たちが今問題にしているのは、やはりこの世銀加盟するということによって、どういう経済効果が出るかという問題を論議しておりますと、大臣は、それは長期なものだけれども、やがて貿易市場の拡大に役立つであろうということを言われたわけです。貿易市場の拡大ということになると、当面われわれが直接的に最も指向する方向というのは東南アジアである。東南アジアの地域で、どれほどこの第二世銀加盟することによって効果が出るかという問題になってくると、これは、そのプロジェクトの設定もありますけれども大臣先ほど答弁されましたように、この世銀は、もちろんIFCの場合よりも、むしろ貸付金というものは少額であるということも言われたわけです。そういう少額の金で、どんなプロジェクトが設定されるか知りませんが、そこから出てくる貿易市場の広大というものが那辺に出てくるだろうかということを実は疑問に持つ。たとえばエカフェ、アジア極東経済委員会でなにした域内の貿易促進委員会で、十四ヵ国が出しております各国日本に対する輸入要望というものがあります。この輸入要望の品物を見ますと、日本に買ってもらいたいというのは、それはほとんど農産物です。地下資源としては、すず鉱石とか、雲母あるいはボーキサイトなどごくわずかありますが、ほとんどは農産物なんです。そこで、第二世銀が東南アジアに貸付をして、そしてどんなプロジェクトを設定するか知りませんけれども先ほど大臣が答えているように、少額な貸し出しだというようなことになれば、おそらく日本の貿易市場拡大に対応するような作業というものはなかなかできないだろうとわれわれは思うのです。それを、こういう方向で切り開いていけるのだという確信があるかどうか。そのことは、先ほど来横山委員からもあるいは堀委員からも言われているように、第二世銀において東南アジアに貸付する場合の貸し出し比率がどの程度になるかということに関係してくると思います。世銀が一年間に貸し出しをするのは七億円で、第二世銀が貸し出しをするのは二億円だ。二億円のうちの一〇〇%くれば、ある程度の効果は出るでしょうが、第一世銀の比率は一五・六尾か七%くらいで、それをよくよく増大しましても、おそらく四分の一の二五%くれば、私は大したものだろうと思います。そういうことになれば、その金額は僅少なものだといわなければならないと思うのです。そうなると、大臣先ほどから何べんも言っているように、ここで出てくる貿易市場拡大の成果というものは、わが国の国民経済に対して、ほとんど無価値だとは言いませんけれどもわが国経済実情と比較すると、一応金は出資したけれども、ほとんどむだ金に終わるのじゃないか、こういう懸念を持つわけです。こういう点について、大臣は貿易市場拡大のめどというものをどういう方向で考えておられますか。
  97. 佐藤榮作

    佐藤国務大臣 貸し出し金額が少額だという、これは、あるいは私のお答えが——私は世銀とIFCを比べた場合に、IFCか少額だということを申したのです。IDAについてはその点を申し上げたつもりはございませんから、もしその点に誤解があれば、IFCとIDAは区別されていいことだと思います。今のお話だと、何かその間に混淆があるように聞き取れましたので、誤解のないようにお願いいたします。  ところで、一つの金額としては少額でなくとも、総資金昼としては世銀IDAの場合には資金量が少ない。これはもう御指摘の通りであります。しかして、低開発国というものに対する資金は、いわゆる工業国に対する資金とは違った効用は相当あるんじゃないかということは、実は私は指摘いたしたのであります。そういう意味から、資金量そのものは、世銀ならば一年七億ドル、IDAなら平均すれば二億ドルということでありますが、必ずしも、今御指摘になりましたように、非常に効果が薄いものだ、かようにきめてかからなくてもいいんじゃないかというような気が実はいたしております。問題は、その資金量もさることですが、どういうプロジェクトになるかという、そこに結局かかってくるんじゃないかと思います。そういうように考えますと、ただいまの段階では具体的に申し上げかねるということであります。一応とにかくスタートをしてからの御議論でないと、批判的に今から予想することは困難な気がいたします。
  98. 石野久男

    石野委員 ただいまの御答弁をいただきまして、私はまだそれでは納得いたしません。ことにプロジェクトをどういうふうに設定するかという場合、低開発国におけるところの援助形態というものは、どんな形においても先進国におけるそれとはだいぶ違うのだということ、これも私は納得いたしますが、それであるだけに、むしろ国際開発協会協定に書き出しをしましたように、「低開発国における生活水準の向上並びに経済的及び社会的進歩を増進する経済開発の促進は、」こうなっておるわけであります。これは重要度は主として生活水準の向上という問題で出てきておるわけです。そういうことから言いましても、プロジェクトの設定というものの仕方は大体察知できると思います。そうすると、そのことは貿易の面においてどういうようになってくるかということについても、問題がたくさん出てくるわけです。しかし、その問題は、今ここで論議を展開すると相当時間がかかりますから、次の機会にこの委員会を開いていただいて、大臣からいろいろお話を承りたいと思います。  時間の関係もありますから、一応これで質問を保管しておきます。      ————◇—————
  99. 植木庚子郎

    ○植木委員長 次に、厚生参保険特別会計法等の一部を改正する法律案(第三十一四国会閣法第一六七号)及び厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(閣法第一〇一号)の二法律案を一括して議題といたします。  この際厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(第三十一回国会閣法第一六七号)に対しまして、山下春江君より各派共同提案にかかる修正案が提出されております。     —————————————
  100. 植木庚子郎

    ○植木委員長 この際提出者の趣旨説明を求めます。山下春江君。
  101. 山下春江

    ○山下委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、修正案について説明をいたします。修正案の案文はお手元にお配りいたしてありますので、朗読は省略させていただきます。  御承知の通り、本改正案の成立を前提といたしまして、さらにこれに対する改正を行なうため、別途今国会に厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案提出せられ、現在本委員会において審議中でありますが、その内容は、昭和三十五年度におきましても、厚生保険特別会計及び船員保険特別会計における財源補てんのための一般会計からの繰り入れを、さらに昭和三十六年度以降に繰り延べることといたそうとするものであります。しかして、本修正の趣旨は、この改正案の内容をそのまま原案に織り込もうとするものであります。  何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。
  102. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  103. 植木庚子郎

    ○植木委員長 両法律案及び修正案に対し御質疑はありませんか。——質疑がないようですから、これにて両法律案及び修正案に対する質疑は終了いたします。  なお、両法律案及び修正案に対しましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  まず、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(第三十一回国会閣法第一六七号)及び同案に対する修正案を一括して採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。本修正案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  104. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決いたしました。  続いて、ただいま可決いたしました修正案による修正部分を除く原案について採決いたします。これを可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本法律案は修正議決いたしました。  続いてお諮りいたします。ただいま第三十一回国会閣法第一六七号を修正議決いたしましたので、厚生保険特別会計法等の一部を改正する法律案(閣法第一〇一号)につきましては、これを議決を要しないものといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  107. 植木庚子郎

    ○植木委員長 続いて、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案に対しまして山下春江君より各派共同提案にかかる修正案が提出せられております。     —————————————
  108. 植木庚子郎

    ○植木委員長 この際提出者の趣旨説明を求めます。山下春江君。
  109. 山下春江

    ○山下委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党を代表いたしまして、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案に対する修正案について、提案の理由を御説明申し上げます。修正案の案文はお手元にお配りいたしてありますので、朗読は省略させていただきます。  御承知の通り、現在の国家公務員等が退職後失業している場合におきまして、すでに支給を受けた退職手当の額が失業保険法に定める給付相当額の達していないときは、その差額を失業者の退職手当として支給することといたしておりますが、別途今国会で成立いたしました失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律によりまして、職業訓練所施設に入所した者等特定の失業者に対しましては、失業保険金の給付日数を特に延長して、これを支給することができることとなり、また失業保険金を受ける資格のある者が就職した場合には、就職支度金を支給することができるごととなる等、失業保険の給付内容が改正されましたので、国家公務員等が失業している場合の退職手当につきましても、右に準じて所要の改正を行なおうとするものであります。  なお、本修正に伴い必要とされる経費につきましては、その予測がなかなか困難でありますが、一応三十五年度におきましては千三百万円程度と推定いたしております。何とぞ御賛成あらんことをお願いいたします。
  110. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて修正案の趣旨説明は終わりました。     —————————————
  111. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて本法律案並びに修正案に対する質疑は終了いたします。     —————————————
  112. 植木庚子郎

    ○植木委員長 この際、本修正案に対し内閣において御意見があれば、述べていただきたいと存じます。大蔵政務次官奧村又十郎君。
  113. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案に対する本修正案は、国会提出にかかわる失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法律により、失業保険法の一部が改正されたことに伴うものでありまして、やむを得ないものと認めます。
  114. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて内閣意見の陳述は終わりました。     —————————————
  115. 植木庚子郎

    ○植木委員長 なお、本法律案並びに修正案に対しましては、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案及び同案に対する修正案を一括して採決いたします。  まず、修正案について採決いたします。本修正案を可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本修正案は可決せられました。  続いて、ただいま可決いたしました修正案による修正部分を除く原案について採決いたします。これを可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  117. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本法律案は修正議決いたしました。     —————————————
  118. 植木庚子郎

    ○植木委員長 なお、ただいま議決いたしました国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案に対し、佐藤觀次郎君より各派共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されて  おります。  この際提出者の趣旨説明を求めます。佐藤觀次郎君。
  119. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ただいま議題となりました附帯決議について、提案の趣旨及びその内容について簡単に御説明申し上げます。  まず、案文を朗読いたします。    国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   外地に在職し、引揚げ後再就職した公務員の退職手当算定の基礎となる在職期間の計算については、外地在職期間通算条件につきさらに検討を加えるべきである。  すなわち、終戦前外地官署等に在職し、終戦後内地に引き揚げてきて、その後国家公務員等として再就職した者が退職する場合、その退職手当算定の基礎となります在職期間の計算につきましては、現行法令によりますと、その者の外地における在職期間を通算できる場合に制限を設け、原則として引き揚げ後百二十日以内に再就職しなければならないこと等といたしておるのでありますが、終戦後の特殊事情等にかんがみて、右の通算条件をこの際さらに緩和する必要があると認め、本附帯決議を提出する次第であります。  何とぞ御賛成あらんことをお願い申し上げます。
  120. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて趣旨説明は終了いたしました。  お諮りいたします。本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  121. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本附帯決議を付するに決しました。     —————————————
  122. 植木庚子郎

    ○植木委員長 ただいま議決いたしました各法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なしと」呼ぶ者あり〕
  123. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は来たる十日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後四時十二分散会