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1960-04-12 第34回国会 衆議院 大蔵委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十二日(火曜日)     午前十時五十分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 小山 長規君 理事 坊  秀男君    理事 山中 貞則君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君 理事 廣瀬 勝邦君       鴨田 宗一君    黒金 泰美君       田邉 國男君    竹下  登君       濱田 幸雄君    毛利 松平君       石野 久男君    石村 英雄君       加藤 勘十君    神近 市子君       久保田鶴松君    堀  昌雄君       横山 利秋君    大貫 大八君       松尾トシ子君  出席国務大臣         法 務 大 臣 井野 碩哉君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      木村 秀弘君         国税庁長官   北島 武雄君  委員外出席者         検     事         (刑事局刑事課         長)      河井信太郎君         大蔵事務官         (理財局次長) 吉田 信邦君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    竹村 忠一君         農 林 技 官         (水産庁漁港部         長)      林  真治君         專  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 四月七日  旧満州国政府職員期同通算に関する請願(横  路節雄紹介)(第一九六六号)  引揚教員退職手当通算及び減額方式改善に  関する請願北澤直吉紹介)(第一九七四  号)  輸入クエン酸石灰関税課税請願床次徳二  君紹介)(第一九七五号)  建築労働者に対する所得税課税適正化等に関  する請願西村力弥紹介)(第一九七六号)  税制改革に関する請願堀昌雄紹介)(第二  一一五号)  酒の小売販売手数料引上げに関する請願(江崎  真澄君紹介)(第二一二一号)  外地引揚公務員退職手当特例に関する法律  制定に関する請願丹羽喬四郎紹介)(第二  一六二号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月八日  通行税廃止に関する陳情書  (第六〇九号)  株式会社の財産評価等に関する陳情書  (第六一一号)  白黒テレビジョン受信機等に対する物品税減免  に関する陳情書  (第六一五  号)  カラーテレビジョン受信機に対する物品税免除  に関する陳情書  (第六一八  号)  輸出所得課税特例下請中小企業適用等に  関する陳情書(第  六四九号)  租税特別措置法による生活協同組合非課税措置  の延長に関する陳情書  (第六八二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  道路整備特別会計法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五七号)  特定港湾施設工事特別会計法の一部を改正する  法律案内閣提出第五九号)  税制に関する件      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これより会議を開きます。  税制に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 法務大臣にお伺いいたしたいことがございます。  先般、法務大臣は、先月の二十三日全国財政経済係検事五十八人を招集して訓示をなさったと、新聞は報道し……。ております。実は、本委員会は、御存じのように、税制及び金融を担当して、その税制金融の現況については、少なくとも専門委員会として正確に把握をいたしておるような自信を持っておるわけであります。しかるところ、先年でありましたか、あなたの前任者であったと思うのでありますが、やはり同様な会同におきまして、金融ないしは税制関係現状について訓示が行なわれた。そのときにも、やはり本委員会は、その法務大臣訓示に言及をいたしまして、結論としては、大蔵大臣も、当方に何の連絡もなかったことは遺憾であること、また第二番目に、法務大臣訓示せられた内容について、いささかニュアンスの違う現状把握をいたしておること等を御説明になったわけであります。かつて岸総理大臣は、所管が違えばものの考え方も違うということを、池田、佐藤大臣になぞらえて言われたことがあるのでありますが、しかし、少なくとも脱税現状なりあるいは金融関係違反事項現状なりが、現状把握において認識の違うはずがない。  そこで、私が第一に伺いたいのは、こういうような金融並びに税制その他為替関係についての現状把握並びにその違反のことについては、法務大臣としては一体大蔵大臣大蔵省との連絡はどうなさっておられるのであるか。勝手に自分で考えて、勝手に訓示をされて、ひとりよがりをなさっておるのであろうか。その点について、本委員会としては、率直に申せばきわめて不愉快なんであります。大臣は、おれは引っぱる役だから、その立場でものを言うよというお考えなのか。今日の現状金融財政経済係等検事訓示をされたあなたのお考えの基本をなすものは一体何であるか。「資本蓄積に名を借りた巨額脱税事犯あとを断たず、またたくみな方法によって貿易および外国為替管理規制をのがれる悪質事犯も多く、さらに金融正常化を妨げる悪質な金融関係事犯も広く行なわれている。」という指摘というものは、今日指摘をする必要不可欠の積極的要件がどこにあるか。これが第二番目の私の質問であります。  以上の点について大臣のお考え伺いたいのであります。
  4. 井野碩哉

    井野国務大臣 過般、三月二十三日でございましたか、私が全国財政経済係検事の会、同を催しました際の訓示のことにつきまして御質問でございますが、この訓示内容自体大蔵大臣には別段交渉しておりません。しかし、この訓示をいたします基礎につきましては、大蔵省ともよく連絡をとっております。ふだんから、財政経済関係違反事件につきましては、具体的な問題につきましては、あるいは税務当局あるいは関税当局と絶えず連絡もしておりますし、また大蔵省が年々行ないます密貿易取締対策協議合会というものが大蔵省に置いてありますが、これにもこちらの係官を派遣して参列しております。先般の財政経済係検事の会、同にも大蔵省から係官に来ていただきまして、協議事項にも参画してもらっておるというように、連絡は十分とっております。ただ、私が申し上げました事態は、現在の事態をそのまま検事訓示したのでありまして、決して誇張な言い方をしたわけではなく、統計がそういうふうになっておりますので、大体そういう気持を申し上げたのであります。  そこで、統計的にどうかと申しますと、直接税の違反の問題は最近多少ふえております。そしてその質が相当悪質になっておりますので、検事によく実態を把握して厳重に取り締まるようにということを訓示いたしましたので、大蔵大臣は、税制全体についての違反はそうふえてないというふうに、この委員会でも申されたそうであります。けれども間接税については大蔵大臣の言われたように減っておりますが、直接税については統計的にもふえておりますし、ことにその事態が悪質のものが相当出てきておりますので、そういう訓示をいたした次第であります。
  5. 横山利秋

    横山委員 直接税については最近ふえておる、こうおっしゃるわけですが、いささか具体的な話に入って、大臣の御答弁ができなければ、担当の方からでもけっこうでありますが、今ここに指摘をされておる巨額脱税事犯がどういう現状にあるか、それから巧みな方法によって貿易及び外国為替管理規制をのがれる悪質事犯はどういう現状にあるか、さらに金融正常化を妨げる悪質な金融関係事犯が広く行なわれておる現状はどんな状況であるか、いささか具体的に承りたいのであります。
  6. 井野碩哉

    井野国務大臣 数字的に申し上げますと、所得税並びに法人税に関しまする脱税事件は、検察庁が国税局の告発を受けてこれを処理するのが原則となっておりますが、統計面から見ますと、昭和三十二年は、受理件数が三十二件、起訴件数が二十九件でありました。昭和三十二年は受理件数が四十件、起訴件数が二十五件、昭和三十四年は受理件数が四十六件、起訴件数が四十一件となって、漸増をいたしておる次第であります。  また、直接国税の脱税犯は、当然申告すべき所持を詐欺その他不正行為によりまして申告せず、税を免れることによって成立するものでありますが、最近三年間において告発を受けました事件において、当然申告すべき所得詐欺その他不正行為によって申告しなかった所得額、すなわち丸脱所得額合計は、昭和三十二年が九億三千七百八十九万、昭和三十三年が十三億九千九百八十九万、昭和三十四年が十八億二千四百十四万、こうなっております。これを一件当たり平均額にしますと、昭和三十二年が二千九百三十万、昭和三十三年が三千四百九十万、昭和三十四年が三千九百六十五万、こうなっておりまして、逐年多少増加しておるわけであります。  なお、脱税額について見ましても、その合計額は、昭和三十三年が四億余でございますし、昭和三十三年は六億余、昭和三十四年は七億九千万、一件当たり脱税額平均昭和三十二年が千二百七十四万円、昭和三十三年か千五百二十五万円、昭和三十四年が千七百十七万円となっております。全体の日本経済からいえば、一千万くらいの脱税は大したことはないというお気持もおありになるかと思いますが、法務省としましては、これだけの脱税額は相当巨額脱税額と見ておるわけであります。  それから、間接税専売関係事犯は、数年来多少減少傾向にありますことは、先ほど申し上げた通りであります。  それから、貿易関係事犯につきまして、具体的にどういう事件があるかというお尋ねでございますが、貿易並びに外国為替に関しまする事犯統計面から見ますと、検察庁関税法違反事件受理人員は数年来漸減の傾向にございますが、昭和三十四年においては、受理人員が百八十一名減少したにもかかわりませず、起訴人員は逆に六十五名増加しております。  外国為替及び外国貿易管理違反事件も、昨昭和三十四年度におきましては、四百五名の減少にもかかわりませず、起訴人員はほぼ一昨年に近い数字を示しておりまして、特に公判請求人員はかえって十六名増加しているというような次第で、受理件数は少ないが、起訴件数が多くなっておるということは、結局その内容が悪質になっておるということにほかならないと思うのでございます。かような傾向は、この種の事犯に、なお今申し上げましたように、悪質な傾向が少なくないということを示しておるものと考えております。なお、この種の事犯の態様は多岐にわたっておりまして、従来からもあったいろいろの方法による関税脱税事犯やみドル売買事犯等もなお少なくないのでありますが、貿易管理上の規制を免れる等の目的で、輸出入に際し、あるいは品名を詐称し、あるいは高価な申告、低価申告を行ない、これに伴って貿易差金不正決済を行なう等、正常貿易を仮称いたしまして、あるいはこれに便乗する等の知能的な事犯が少なくないのであります。その方法は複雑巧妙になっておりまして、海外の取引先等と通謀して行なわれておる事犯どもありまして、証拠収集の面でもいろいろの困難を伴っておるわけでございます。  また、金融関係事犯につきましては、出資の受入、預り金及び金利等取締等に関する法律違反相互銀行法違反等金融関係法違反事件が最近漸増傾向でございまして、不特定の多数人から出資金の受け入れ、預かり金を行ない、あるいは無免許で相互銀行業務を行なうなど、大衆に不測の被害を与えるおそれのある事犯は、最近においてもなお各地にその発生を見ており、高金利事犯、日歩三十銭以上のものも少なくないのであります。また各種金融機関役員等の横領、背任、収賄等不正事犯もときどきは発生しておる、こういうような次第でございます。
  7. 横山利秋

    横山委員 私は、今大臣から数字的にいろいろ伺ったのでございます。この感じで間違っておれば御指摘を願いたいのでありますが、今の数字を拝聴いたしますと、特筆大書すべき激増ということにはならないような気がいたすわけであります。今法務大臣が特に財政経済係検事全国から集めて、重大な脱税ヤミ金融」という新聞のタイトルでありますけれども、まだ内容的にこの後段において述べられているごとき特筆大書すべきことがないように思いますが、それにもかかわらず、今大臣がこういう訓示をなさる意味というものは、一体どういう意味でありましょうか。定例に行なわれた会同で、定例大臣とし、まあ商売が財政経済係検事が来たんだから、一応それらしき話をするというふうなお話でございましたか。それとも、最近巷間伝えられておるのでありますけれども税務関係なりあるいはいろいろこの種の三つ案件についての巷間伝えられておるところに、頂門の一針を加えようとなさったものであるかどうか。その点法務大臣としての率直な所見をいま一歩突っ込んで伺いたいのでございます。
  8. 井野碩哉

    井野国務大臣 私も税制違反事件が激増しておるとは思いません。しかし先ほど来申し上げましたように、相当その中に悪質の犯罪もございまして、これは日本経済発展上相当に障害を来たしておる問題でございますから、財政経済係検事会同、これは特にわざわざ必要あって招集したものでなく、年々恒例的に一堂に集めましていろいろな事務の打ち合わせをするのがこの会同でございます。これは大蔵省ともあるいはその他の役所ともいろいろ連絡しまして、事犯の処理に万全を期していくという意味においての会同でございまして、もしもこれらの事犯が今日の状態において非常に重大だということでございますれば、財政経済係検事のみならず、一般の検事正会同あるいは検事長会同において私がこういう訓示をすべきでございますか、そういう場合にはこれは大きな問題として取り上げておりません。それで、特に、全国検事が集まりましたので、こういう点を十分注意しろ、その事犯がなお跡を断たない状態であるし、質も悪化しておる状態であるから、十分に注意してその取り締まりに万全を期せよということを訓示いたした次第でございます。特に、今お示しのように、それを非常に重大事件考えて、誇張して私が訓示をした意味ではないことは、御了承いただきたいと思います。
  9. 横山利秋

    横山委員 どうも真意を捕捉しかねる点があるのでございます。  それでは、大蔵省側に聞きますけれども、今指摘された三つの問題、これは、私は、法務省に対しては、法務大臣が、特に重大なるしろものとして、全国から集めて訓示しなければならないほどのものではないと思う。そこで、大蔵省に言いますけれども大蔵省に対してはまた別の観点でこれを追及せざるを得ません。本来的な所管である大蔵省において、法務省側からこういうような指摘を受けるほどの現状であるのかどうか。悪質な事犯がなお跡を断たない、また金融関係事犯も広く行なわれておるという指摘に対して、大蔵省側では何と考えるか、どういう措置をしておるのか、それをお伺いいたしたい。
  10. 北島武雄

    北島政府委員 まず、私の所管でございまする租税関係、ことに脱税事犯の問題について私たちの考え方を申し上げますと、ただいま法務大臣から御説明がございましたように、全国財政経済係検事会同におきまして法務大臣が御訓示になりましたような、資本蓄積に藉口する等巨額脱税事犯がその跡を断たすという点は、私はまさにそのように考えております。ただし、私ども考え方は、最近において脱税がふえたという感じではございません。全般的に申し上げますと、終戦後のある一時の混乱時に特に経済統制が行なわれておりまして、明るみに出せば、税そのものではなく、経済取り締まり法規に触れる、こういう問題がございました。それと、さらに大きな租税負担、こういう点から非常に多くの脱税が行なわれておったのでありますが、その後経済秩序がだんだんおさまりまして、税法も次第に適正化される、国民負担もどうやら適正化されつつありますので、全体といたしまして、私は脱税事犯は少なくなってきている、こう感じます。これはどこに証拠があるかとおっしゃいますと、数字的に示すことはなかなか困難でございますが、この十年間における国民申告納税制度に対する理解がやはり年とともに深まってきておりますように思いますし、私ども税務官吏の能力も年とともに上がってきておるように思うのであります。こういう点を考えまして、全体といたしまして、脱税はやはり総体としては減っているのじゃないか、こう見たのが私ども税務官吏としての考え方でございます。しかし、跡を断たないかというと、これはもちろん跡を断たない。私は脱税は相当多く伏在しておると考えます。査察をいたしました事件だけが脱税事犯の全部ではないことはもちろんでありまして、このほかにも脱税はなお相当広く伏在しておる、しかも、悪質のものが相当ある、こういうことは私は事実として言えると思います。
  11. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 税関係以外の御指摘になりました金融の問題で申しますと、最近各地で頻発しております手形詐欺事件とか、あるいは導入預金などの悪質ブローカー事犯等は確かにふえております。大蔵省としては行政指導をいたしておりますが、こういう経済事犯についてはとても手が回りません。また、所管法務省でありますので、これはできるだけ取り締まっていただいて、金融健全化に資していただきたい、かように考えておりますから、法務大臣の御答弁と同じであります。関税関係については、税関部長が合見えておりますので、そちらから御答弁申し上げます。
  12. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 関税関係につきまして、ただいま法務大臣から御答弁がございましたように、三十四年度は、その三、四カ年前に比べますと、相当検挙件数がふえております。ことに、全国検事会同の際に、法務大臣のごあいさつの中にもございます「たくみな方法によって貿易および外国為替管理規制をのがれる悪質事犯も多く、」とございますが、関税関係について申し上げますと、昨年度におきましては、特に全国的な目立った悪質の事例が相当頻発しておりまして、御説明通りとわれわれは考えております。
  13. 横山利秋

    横山委員 為替関係は次官が代理をされたわけですか。
  14. 木村秀弘

    木村(秀)政府委員 私の申し上げました中には為替関係が入っております。
  15. 横山利秋

    横山委員 今のお話に関連をして、長官法務大臣にお伺いをしたいのですけれども、たとえば、先般税の小委員会議論がありました際に、調査査察納税者のところに急襲するという際には、秘密が非常に大事であるというわけで、裁判所ですか、そういうところで許可を得るのにきわめて短時日であるという話で、認証する側としては、まあよかろうというようなことで、深くその事犯について、そういうことをする必要があるかな——わかりやすく極端に話をしておるわけですが、そういう調査をするいとまもなく認証するという場合が多いということを当時言われたのでありますが、その点は現在どういうふうになっておりますか。
  16. 竹村忠一

    竹村説明員 私ども査察部関係におきまして、裁判所強制捜査許可状をもらいます場合におきましては、事前に十分調査をいたしまして裁判所許可状の申請をいたしておりますので、決して裁判所の方が時間がないので十分審理が行なわれないというような事実は断じてないというふうに、私ども考えております。
  17. 横山利秋

    横山委員 むしろ私が問題にするのは裁判所側であるかもしれません。捜査許可をする場合に、その事犯捜査の必要ありやいなやということの判断をする材料ないしは審査をする十分ないとまなくしてこれを許可しておるという事実が、そういう判断が先般税の小委日会で一応議論になったことがあるわけです。私は、今までいろいろお伺いをした中で、法務省側大蔵省側とが、単に上層部のみならず、現場機関においても密接な連絡があるとは実は信じがたいのであります。権限及び責務が違うのでありますからやむを得ないとはいいながら、それにしても、あの当時の判断としては、許可をする場合の法務省側調査並びに判断に少し軽率の点がありはせぬかということが当時いわれた。大臣はそのようなことについてお聞き及びになったことはございませんか。
  18. 井野碩哉

    井野国務大臣 法務省側大蔵省側下部組織において密接な関係を持っておらぬということは事実でございます。ただ、今御指摘の点は裁判所関係でございますが、御承知のように、法務省は今裁判所に対して何ら権限を持っておりません。これは裁判所独自の判断でするのでございまして、これは、もしもそういう事態が——私はないと信じますが、そういうことに詳しく御質問が御必要でございますれば、これは裁判所当局をお呼びいただかないと御答弁できないのであります。これは、今日の憲法の建前上は、法務大臣裁判所に対して何らの権限も持っておりません。その点は御了承いただきたいと思います。
  19. 横山利秋

    横山委員 それはうっかりしておりました。  それでは、長官に、具体的な問題で、私が最近聞いた問題についてお聞きしたいのですが、この間こういうことがあったそうですね。愛媛県の伊予三島事件だそうでありますが、昭和二十五年十二月二十五日に、伊予三島の税務署が製紙のテックス工揚を差し押え公売に付し、その経営者高石というのは、この公売処分を不当として、高松地方裁判所訴訟を起こしたら、一審では高石が敗訴になったけれども高松高裁の二審では高石が勝った。今度は国が高石某を相手取って最高裁に上告したけれども昭和三十三年五月二十四日上告棄却となった。国は二十五年から三十四年までの間不当な公売処分を行なって高石損害を与えたことになったので、当然高石氏の経営はこれで終わりになって、今は借家住まいで苦労をしておるということである。そこで、損害賠償高石から起こされて、約三億円の国家賠償を要求されておるという話だそうであります。お聞き及びでございますね。最近国税庁が、法務局ですか、訴訟関係人員を増加をして、最近国税庁裁判関係ではどうもしくじりが多いので、専門の人を新たに本年度から設置をするという話を聞いたのでありますが、今例をあげましたこの例は、私の聞き並びに調査いたしました限りにおいては、実に重大な損害納税者に与えておるような気がするわけでありますが、本件について国税庁側としてはどういうお考えであるか。また、この高石某に重大な損害を与えた賠償については、どういうふうにお考えであるか、伺いたい。
  20. 北島武雄

    北島政府委員 ただいま資料を手元に持ち合わせておりませんので、数字をもって正確なお答えはちょっといたしかねますが、私のただいま記憶しておるところに従いましてお答え申し上げます。  ただいまのお話伊予三島滞納処分について、最高裁におきまして国側が敗訴いたしましたことにつきましては、お話通りでございます。ただこの滞納処分につきましては、私も非常にたんねんに訴訟記録を実は読みました。その当時の事情も十分調査いたしたのでありますが、事柄はやはり滞納処分の手続上の瑕疵でございまして、もちろん滞納金額は前から問題になっておったわけでありますが、たしか私の記憶では、公売の通知と、それから公売処分の日との間に、法律で定めた期間が置かれてなかったという点に問題がありまして、第一審では、その程度の瑕疵あとで治癒できるのだということで国が勝った。なお、高石さんの方は、不当に安く売ったというような訴えでございましたが、裁判所の御判決は、必ずしも不当に安く売ったとはいえないということであります。たしか公売金額は、私のただいまの記憶では百七十八、九万円だったかと思います。これに対しまして第二審で国側が負けました。これは手続の重要な瑕疵であるので、公売処分を取り消すべしという御判決でございましたので、第三審の最高裁におきましても同様な判決であります。これに基づきまして、高石さんの方では、さきに国に対して、東京地方裁判所損害賠償の請求をお出しになっていらっしゃるとともに、現在の公売物件を買い受けました会社に対して立ち退きの要求を伊予三島裁判所に持ち出した。国といたしましては、この最高裁の判決で負けまして、もちろん当然これは損害賠償をすべきであると考えまして、法務省の御当局とも一体どの程度国として賠償すべき責任があるかという点につきまして種々検討いたしてきたのでございますが、何しろ高石さんの要求は何億という巨額な御要求であります。公売代金百七十八、九万円に対して、一審の判決では、その当時、十年前の値段ではございますが、高くとも三百万円をこえないだろうという判決であります。従いまして、百七十九万円で売ったのは、安いには違いないけれども、これは公売処分の性質上ある程度安くなるのはやむを得ないという、たしか判決だったと思います。その上に非常に金額がふえておりまして、とてもこれは私どもといたしましては処理いたしかねておりましたが、最近、昨年来さらに高石さんの代理人がずっと国税庁の方に折衝して参りまして、私の方も、その後判決が出ましてからさらに年数もたっておりますので、最近の時価等を見まして、目下折衝いたりしております。一方また裁判所の方では、近く、あるいは東京地方裁判所で国に対する損害賠償事件に対する御判決があるようにも聞いております。そうなりますれば、私の方といたしましては、裁判によって国が幾ら支払えということになれば、まことにこれは適正な価格の支払いになるわけであります。ただいまのお話のような巨額な支払いには応じかねるということで、目下折衝いたしているような状況でございます。
  21. 横山利秋

    横山委員 事の経緯は私も知りませんし、偶然にも聞いた話でありますから、事実の経過の理非曲直は私は知りません。しかしながら、少なくとも今あなたの話を聞きましても、国が最高裁で敗訴したことは事実であり、それだけ納税者に対して国が誤りを犯し、納税者経営がそれによってまさに破綻をして、借家住まいをしているという話でありますが、こういうことが案外ちまたに多いような気がするわけであります。かつてやはり同様に税の執行の委員会議論いたしましたときに、調査査察にしても、あるいは特調にしても、いろいろなことにしても、権力をもって捜査をしてあるいは調査をした結果、もしもそれが白であったらどうするかという点で、これは裁判という一つの厳然たることであれば、まだ今のあなたのは、高い安いの議論はあるけれども、払うということでありますが、一般的に調査査察をした段階、あるいは特別調査をやった段階で白であった場合においては、何ら納税者に対する救済の手段はない。その点が私は今もって釈然としないのであります。本件についても、ただ当時の金額がこのくらいで、それによって物価の上昇その他を考えればこのくらいというようなことだけでは、これはいささかいかがかと思われるわけであります。その点は、国税庁として、本件についてもそうでありますが、本件のみならず、全般的に納税者に疑いを持って調査をした結果、それが白であったという場合における救済の手段を考えるべきではないか。これはかねがね私の持論でありますが、この点については次官も当時意見を言われたことがあったと思うのでありますが、何らか新しい方法考えるべきではないかと思うのであります。次官のお考えはいかがでありますか。
  22. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 実は私も、この事件については、政務次官就任以前から携わって、国税庁当局にも交渉しておったので、政務次官就任後も、部内において至急円満な解決をはかるべく努力しておりますが、まだ解決がつかないということは、私といたしましてもまことに遺憾に存じます。ただいまの御説の通り昭和二十五年に起こったことが今日ここまで未解決で、しかも最高裁判所まで訴えて、しかも国が負けたということにつきましては、これに似た事例がほかにありましても、これほどまで、訴訟に持ち込んでここまでしんぼう強く裁判を続けていった高石さんのような例は、ほかにはなかろうと思うのです。それだけに、大ていの人は途中で泣き寝入りしてしまう。従って、今度のこういうことはなおざりにせずに、この機会をもって、大蔵省として、国税庁当局として、よほど反省をしなければならぬと痛切に感じます。それで、その反省の一つは、私もずっと研究してみた結果、一番痛感するのは、昭和二十五年のこの公売をなされたときに、法律のいかんにかかわらず、実態としてこれはまずかった。それでそのとき高石さんがすぐ何がしかの金を持って税務署にかけ込んだ。それを税務署長が向いているはずだ。そこで、担当の課長なり係なり、関係者を呼んで、何とかその場ですぐ救済する方法はないか。大ぜいの税務官吏の中には行き過ぎるのもあるでしょうが、それをうまく指導していくのが税務署長であり、国税局長であり、国税庁長官である。なるべくそういうことは早いうちに直接の指導の立場にある税務署長なり課長が問題を取り上げて、そしてすぐそれを改めるという努力をなすべきであったのに、税務署長はどういうふうにしたのか、国税局長がどういうふうにしたのか知らぬが、結果から見ますと、一たん第一審で高石さんが負けた。納税者の方が負けた。税務当局のやったことが正しかったということを、今度は高石さんが取り上げて、第二審、控訴でもって、納税者が正しい。税務当局が違法をやった。最高裁でまたそれが取り上げられて、違法をやったということでありますから、十年も——ここまできて、初めて違法をやったということを最高裁で判決を受けるまで、その間税務当局に反省の方法もなかったのかということを考えると、ここに私は税務行政の中に非常に重大な欠陥があるのじゃないか、かように率直に考えるのであります。これは今後税務部内で十分協議して反省しなければならぬと思いますが、さしずめこの高石さんの問題については早く解決しなければいかぬ。長官としては、一方において損害賠償訴訟が行なわれておるから、その判決を待ってというお話もありますけれども、しかし、違法な処分で高石納税者に対して非常な迷惑をかけた、その人の事業がそれがためにだめになって、高石さん個人としては一生台なしになった、これに対しては、国税庁当局としては何としても申訳ない、従って何とか早く本人の気持を納得させなければいかぬ、また反省の意思を表わさなければいかぬと、私はかように痛切に感じておるのでございます。
  23. 神近市子

    ○神近委員 関連して。  ちょっと今の問題に似たような問題が最近起こっているように聞いておりますので、国税庁の方に伺いたいと思うのです。日本橋の区内で起こったことなんですけれども、中小企業者の滞納の問題で、日本橋の税務署が銀行の預金調査をしたという問題が起こっております。この問題は、今ここに資料を持っておりませんので、名前とかあるいはそれに携わった人なんかを今ここで申し上げることはできないのですけれども、三十数人の人が銀行預金の状態を調べられた。それで今納税者の保護あるいは救済ということが問題になっているときに、銀行を調査されて——銀行は普通預金なんかは公表しないのです。だけれども、税務署がおいでになると、どうしても銀行は弱いから、預金の状態を示したものと思います。そういう場合、税務当局というものは、納税者の預金まであるいは取引の状態まで調べる権能があるのですかどうですか、この点ちょっとお伺いします。
  24. 北島武雄

    北島政府委員 その権限はございます。ただいま条文は持っておりませんけれども、税法にその税務官吏調査権限が規定されております。それから、中小企業者の滞納に対して、おそらくその滞納者の方の預金を調査したのだと思います。これは税法に基づいて正当に税務官吏の有する権限調査したわけでありまして、おそらく、どういう事例か存じませんが、特に不当な場合がございますれば、私ども十分注意をいたします。さらに具体的に問題を承りましてから調査をいたしますが、原則といたしまして、税務官吏は銀行預金の調査ももちろんできるわけであります。
  25. 山中貞則

    ○山中(貞)委員 関連。  きょう法務大臣に来てもらいまして、担当係の検事に対して訓示をしたのについて質問をするのが主ですから、ことに当委員会としては、個々の徴税上の問題点の、特殊なものでない限りは、なるべく税制委員会なりそういうもので、いろいろ影響もあることですから審議する慣例になっているようです。脱税というものは犯した者が悪いという前提は当然のようですから、高石さんの問題は別のケースとして、本質の質疑を続けてもらいたいと思うのですけれども、いかがですか。こまかく掘り下げて入ると、ほかにもこういう問題があるということになるから……。
  26. 神近市子

    ○神近委員 今、税務当局お話で、財産権を侵害する権限があるとおっしゃった。私が法務当局に伺いたいと思ったのは、それは財産権の侵害ということになるのじゃないかということを伺おうと思ったのです。それが中途で話がそれてしまったのですけれども、あなたはその状態を御存じであったのかどうか、報告を受けていらっしゃったかということと、それからそれが許されると法務省ではお考えになっているかどうか、その点を伺いたかったのです。
  27. 北島武雄

    北島政府委員 滞納処分をする場合に、滞納者の財産がどうなっているかということを調べるのは、税務官吏権限でございます。職責でございまして、その場合にもちろん銀行の預金調査もできるわけでございます。従って、ただいま、日本橋税務署管内で、ある納税者の方が預金調査をされたというお話でございましたが、全国各税務署においてはやはりそういう権限があるわけでございます。特に特殊な事件ではございません。従いまして、特に現在ある納税者について銀行預金を調査したからという報告は、国税庁には参っておらないわけであります。
  28. 井野碩哉

    井野国務大臣 今国税庁長官からお答えしました通り、滞納または脱税の容疑がございますれば、税務官吏は預金通帳を調べる権限があるのでございますから、そのために調べたといって、財産権侵害にはならぬと考えております。
  29. 石村英雄

    ○石村委員 法務大臣にお尋ねしますが、あなたの訓示された中に、資本蓄積に籍口する等の巨額脱税事犯、とありますが、この資本蓄積に籍合する巨額脱税事犯というのは、具体的にはどういうことなのですか。
  30. 井野碩哉

    井野国務大臣 会社その他の法人におきまして、いわゆる社内留保の資本蓄積ということに藉口してと申し上げましたのは、実際の脱税の事実を見まして、資本蓄積の方に行っていないのです。その金を他に流用いたしまして、いろいろの金に使っておるという事態がはっきりしておりますので、いわゆる資本蓄積ということに名をかりて脱税をしておるという事犯が相当にあることを指摘しているわけでございます。
  31. 石村英雄

    ○石村委員 資本蓄積に名をかりておるということですが、これはどういうことなのでしょうか。調べてみたら、その脱税した者の答弁が、資本蓄積に回したのだという答弁で、藉口しておるということなのか。それとも、法規を知らないというようなことで、たとえば償却なんかを過度にする、詐されている以上をやっておって、帳簿にはちゃんとそのように書いて出しておる、しかしそれは法規違反だというので脱税になるという意味か、どっちかということです。
  32. 井野碩哉

    井野国務大臣 むしろ前者でございます。
  33. 石村英雄

    ○石村委員 これは主税局長国税庁長官にお伺いいたしますが、個人にしろ法人にしろ、そういう帳簿を出すと思うのですね。出したときに、これは間違っているじゃないかといって更正決定なり何なりできるはずだと思うのです。それをやらないでいて、あとで今度検察庁の方でやられるというのは……。(「それなら後者だ。前者で、見つかったときに、」と呼ぶ者あり)見つかったときに資本蓄積にする、ああそうか。それならわざわざ藉口するなんということを調べる必要はないでしょう。法務大臣どうなのですか。たとえば二重帳簿を作っておる、その二重帳簿の方を摘発して追及したら、いやこれは資本蓄積しなければなりませんから、こういうふうにごまかしたということを、これはさしているのですか。
  34. 井野碩哉

    井野国務大臣 取り調べてみますと、本人は、これは実は会社の資本蓄積のためにやったのだ、こう申しておりましたときに、よく調べてみると、その金は積立金とかあるいはその他の資本蓄積の方に回っていないで、他に使われておったという事実が発見された事態を申し上げたのであります。
  35. 石村英雄

    ○石村委員 それは資本蓄積に回そうと回すまいと、脱税なら脱税です。あらためて藉口するというと、調べたらそういう答弁をしたからというと、もし資本蓄積に現実に回しておれば、それは脱税にはならないというのですか。たとい資本蓄積に回そうと、現実に回しておろうと、それはやはり税法上認められていないところは脱税になるのだと思うのです。法務大臣の御答弁だと、そういうことを言ってほかに回して、資本蓄積を実際にやっていないからいけないのだ、こういうことは、裏を返せば、資本蓄積に実際役立っておれば、脱税としては扱わないというように反対解釈だと思われる。それはおかしいと思う。たとい善意であろうが何であろうが、税法に違反した資本蓄積が行なわれておれば、これは脱税としてすぐ検挙するとか、更正決定の方をやらせるとか、いろいろやり方はあるでしょうが、一応は脱税と見なければならぬ。これは、法務大臣、実際に現実に資本蓄積に使っておる場合は、脱税としては扱わないということなのですか。
  36. 井野碩哉

    井野国務大臣 脱税という事実がありまして、その事実に対して当事者は資本蓄積という名をかりておるということを申し上げたので、健全なる資本蓄積のための行為であれば脱税にもならないことは、これは御承知の通りであります。脱税があって、そのときにそういうことを口実にしているということを申し上げたわけであります。なお、私もそういうことの専門家じゃございませんから、課長がおりますから、課長から御答弁を申し上げます。
  37. 河井信太郎

    ○河井説明員 大臣の御答弁を補足して申し上げますと、御承知のように、税法につきましては、所得税法、法人税法で、会社のあるいは個人の所得の計算規定はこまかく規定してあるのでございます。従って、資本蓄積をしようとしまいと、それは税法の許す範囲で行なうべきもので、それ以外のものは厳密な意味でそれぞれ税法違反ということで処罰の対象になるのでございます。大臣の訓辞の中にあります資本蓄積に藉口するというのは、会社でありますれば、なぜこの売り上げを帳簿に記載しないのかという取り調べが進みましたときに、これは不況になったときの配当にするためだとか、あるいは工場を建設するために取っておくのだとかいうふうなことで、秘密の積立金、秘密の預金が架空人名義でどこかの銀行にあるという事例が多いのであります。それを資本蓄積に藉口する脱税という一つの事例としてあげておるのでございます。全くそれは弁解であります。そういう事例が非常に多いのでございまして、単に資本蓄積といっても、それは帳簿上許される範囲がきまっておるのでございます。
  38. 石村英雄

    ○石村委員 やはり税務署がもっと親切にいろいろ指導したり何かしないから、こういうことが起こるのじゃないですか。それは全然悪意のないものもあるでしょうが、十分な調査が第一線でやられていない結果、こうしたことが起こってくるのだと思う。それとも、これは検察庁が直接乗り出して、お調べになっておるのですか。大蔵省の方から何か話があって、こういうものはお調べになるのですか。
  39. 河井信太郎

    ○河井説明員 原則といたしましては、直税事件の起訴ということは、国税庁の指揮下にあります査察官が、査察をいたしました事件のうちで犯罪の成立するものを検察庁へ送って参りましたものを、検事がさらに取り調べをいたしまして、犯罪の構成要件に該当するかどうかということをあらためて捜査をして、起訴いたしておるのが実情でございます。しかし、今御指摘のような税務署が指導しあるいは査察官がよく指導したらという問題は、実は私も一線で脱税事件をたくさん手がけておりますから実情をよく承知いたしておりますが、そんな指導するとかあるいは注意したら直るというふうなものは、実は脱税事件としてはあがってこないのであります。帳簿は一切焼き捨てる、預金は全部秘密の預金で人の名義にしておく、税務署から再三請求されたら、そのときに出すものは、千万ももうかっておるのに四百万も赤字だというふうな、ことさらにうそをついた申告をしておる。そういうふうなきわめて悪質な——そんな指導しようが、査察官が注意しようが、税務署がそれについて忠告しようが、そんなことでは絶対に応じないというふうなものだけが実際に起訴されておるのであります。この点は、実情をよく御説明申し上げると、御納得いただけることと存ずるのであります。一体それならばまじめに納税しておるものはどうなるのだ、こういう問題がすぐ起こって参りますので、検事の立場から申しますと、脱税事犯と申しましても、実は一般の自然犯と同じような罪質にだんだんと変わってきておるのではないかというふうに、私ども考えておる次第でございます。
  40. 植木庚子郎

    ○植木委員長 石村君にちょっと申し上げますが、法務委員会から法務大臣の出席を再三矢のごとく催促しておりますから、なるべく簡単に……。
  41. 石村英雄

    ○石村委員 それではこれでやめますが、結局資本蓄積に藉口するというのは蛇足の説明だということになりますね。結局こんなことは言わぬでもいいことなんだ、法務大臣はそうお考えになりませんか。
  42. 井野碩哉

    井野国務大臣 今刑事課長からお答えいたしましたように、そういう事犯が相当にありますので、こういう言葉を使ったので、決して蛇足ではないと考えます。
  43. 横山利秋

    横山委員 それでは、最後に、大臣のお帰りのところですから、要望をいたしておきたいと思いますが、最初に申し上げたように、大臣訓示というものが、あなたが意図せられたかどうかは別として、受けた印象は違っておったということを、大臣として認識をしていただかなければならぬ。われわれの判断は、特に大臣がこういう訓示を強調しなければならない事態であるかどうか、これは大臣に認識してもらわなければいかぬ。という意味は、こういう訓示をして新聞に発表をせらるべき事態とは思っていないということなんです。もっと端的に言いますと、今話の中心になっております資本蓄積に名をかりた巨額脱税者、巨額という意味に問題点はあるけれども、今特に税制の問題についていうならば、税制の問題について議論すべき焦点となるものは、実はパクることではなくして、いかにして納税者の民主的な納税ないしは納税者の権利を擁護してやるかということの方が実は大事ではなかろうか。本来的に納税者脱税するものなりという考え方がまだずいぶん根を張っておりますが、また逆に、納税者と税務署の関係について、もう少し納税者にきちんと物が言えるような格好、権利、そういうものを擁護していかなければならぬというのが、実はオーソドックスな考え方だと思う。そこで、私は、今よくは知らなかったのですけれども、今一つの天下の話題となっておるといわれるこの高石某なる者の問題を取り上げて、十年間も悪戦苦闘してついに国に勝訴になった。その十年間の苦労や経営が全く壊滅して借家住まいをしていることは、次官もおっしゃるように高石さんだけであろうけれども、その陰に数十数万の高石さんがおるのではなかろうか。今私ども第一に思わなければならぬのは、納税者の民主的な権利というものを強調するのが今日の時代ではなかろうか、これを実はあなたに申し上げたかったのです。どうぞお帰りになってけっこうです。
  44. 井野碩哉

    井野国務大臣 ただいまのお言葉は、私も共感するものでございます。私も、大臣になりますまでは相当の高額納税者でありまして、税務署に対してもいろいろな考えも持っておりました。納税者の基本権を尊重していくということは当然であります。しかし、いやしくも脱税をした、しかもそれが悪質であるという者に対しては、やはり厳然たる態度で臨みませんと、他のまじめな納税者に対しての公平を失しますから、そこで集まりましたのが財政経済の係検事でございますので、そういう事犯を絶えず取り扱っている検事でございますから、十分こういう問題については注意しろということを訓示いたしますことは、これは私は当然だと思います。そういう意味訓示いたしましたので、これが最近起こった非常に大きな国家的な犯罪だということを取り上げて言ったわけではないのでございます。その点は、お読みになった方が、その問題を絶えず専門的に研究しておられますから、そういうふうにお取りになったと思いますが、一般の人はそんなには感じておられないだろうと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  45. 横山利秋

    横山委員 次官に今の問題の結論めいた点についてお伺いをいたします。  先ほど次官から一、二所見の御発表がございましたが、総論的には今大臣が申し上げた通りでありますが、たとえばこの高石さんの問題を取り上げましても、今あなたがおっしゃるように、そもそもその最初において現場で適切な処置——適切というのは、単にしゃくし定木な合法論でなくして、情味ある計らいといいますか、そういう意味を含んでおったならば、適切な措置があったならば、かかることはあるまいにということが教訓の一つだと思うのです。  それから、第二番目には、この適切でなかったことによって起こった損害、それに対する反省と責任がなくてはならぬと思うのです。その当時の責任者はだれだか知りませんけれども、まさにこれは重大な責任を痛感すべきだと思います。自分の間違いによって国に莫大な損害を与え、納税者の人生に壊滅的な蹉跌を与えた責任というものは、これはやはり考えなければならぬ。言うなれば、違法措置をとったことに対する国の反省と責任がなくてはならぬ。  第三番目に、先ほど私が言ったように、単にこれは高石さんだけの問題でなくして、かねて私ども委員会で主張いたしておりますけれども、特調とか調査とか、単に税務署が行なっただけで心理的な動揺を与えること、それによって生ずる——それが事実白であった場合における救済措置が全然ないではないかという点です。この点について考えられるべき点があるのではなかろうか。  最後には、先ほど長官は、神近先生の質問に対して、いやそれは調査権はあるというお答え、その点は私どもも認めます。しかし、むしろ神近先生がおっしゃったのは、調査権の乱用の問題と私どもは理解しておるわけです。調査権の乱用をされることに対してチェックをする方法が今ないと私は思うのです。それは上司の皆さんが注意をすればそういうことはないというけれども、それも一つの方法だ。しかし、調査権の乱用によって納税者が困っておる、泣き寝入りをしなければならぬという点について、何かもう一歩進めてチェックすることを考えなければならぬのではなかろうか。  私にはさしずめこの四つの点が考えられます。この高石さんの事件は、調査をしませんし、単にこれをモデルとして質問をしただけでありますから、本件がどうあるべきかという点については、次官が先ほどおっしゃったことや長官のおっしゃったことで、その後の推移を見守りたいと思うのでありますけれども、結論的に申しまして、今申し上げました現場における適切な措置がもう少しやられてよいではないか、違法措置に対する反省と責任というものが考えられてよいではないか、白であった場合の救済措置考えられてよいではないか、調査権の乱用に対するチェックをする方法考えられてよいではないかというような点を、私としては意見として申し上げたいのであります。これに対する御返事を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  46. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 お答え申し上げます。  私、政務次官就任以来、税制の問題につきましては、特にただいま御指摘のような問題に重点を置きまして、過去十カ月いろいろ部内で研究いたしましたが、不勉強、また時間もなかなかございませんので、私自身としてもまだ十分の結論を得ておりません。いわんやこれをどのように改善するかというようなことについての見通しについては、まだまだこれからであります。しかし、私は、政治家となって国会へ出ている以上は、この問題に一生取り組んでいきたいと思いますから、いずれ政務次官をやめましたら、また当委員会に戻って参りまして、皆さんと一緒に徴税制度の改善に努めたいと思いますから、一つさよう御了承願いたいと存じます。(笑声)  そこで、そう簡単に御答弁もいたしかねますが、私はむしろ国税庁当局と大蔵委員の皆さんたちとの板ばさみになっているわけで、(笑声)従って、御了解をいただきたいと思いますのは、この高石さんの事件については、昭和二十五年当時のことでありますので、これは、各委員も御承知の通り、その当時はまだ米軍の占領下でありまして、非常に徴税攻勢が強かったので、そういう意味合いから、税の調査においても、また徴収においても、かなりきびし過ぎた。そのうちの行き過ぎた一点であるから、これは決して全体ではありません。そういう意味でこれを見ていただきたいのと、それから、確かにその当時の国税徴収法には遺憾な点もありましたので、御承知の通り昨年国税徴収法そのものを改めまして、もっと民主的にやるということになりましたので、これも御了承をいただきたいと思いますが、結論から申しますと、お話通り、大ぜいの税務官吏の中で第一線で行き過ぎたとか間違ったという場合には、即座に課長や次長や局長がすぐ手直しをするというような指導力がもっと強くならなければ、税務行政はうまくいかぬ。これを痛感いたしますので、同感であります。今後税務当局においてそのようなやり方にしていただきたいと思う次第でございます。  それから、税法の執行について、もっと民主的に納税者の立場を十分考えてやらなければいかぬではないかということについても、全く同感であります。しかし、大体戦前、戦後を通じて、税法の解釈というもの、また執行というものがほとんど大蔵省国税庁のみにゆだねられておる形で、これを論ずるのは、ほとんど国会の大蔵委員会の皆さんがむしろ納税者の立場になって論じていただくわけでありますから、そういう意味におきますと、税務部内でも反省しなければならぬが、外部から、この国会の大蔵委員会において、もっとただいまの横山委員のような適切な御意見を一つ展開していただきますようにお願いを申し上げる次第でございます。  第三に、調査権の問題であります。これは神近委員の御質問にもごもっともな点がございますが、しかし、これも国会側で御判断をいただきたいと思いますが、もともと税法の建前からいきますと、銀行預金であろうが、株式その他におきましても、税法の調査の面においてはすべて秘密はない。税務官吏はすべて調べることができる。すべて調べることができて、初めて公平な課税ができ、公平な税法が執行できる。ところが、銀行に行って税務官吏調査できないということであれば、脱税がありましても、それを調べることができぬ、それでは公平な課税ができぬ、こういうことでありますから、私としてま銀行預金の調査はすべてできるという建前を貫かなければいかぬと思うのです。ところが、これこそいわゆる資本蓄積に藉口をして、そう簡単に調べることができないということからして、特に銀行預金を調査する物合は、特別脱税があるということが大体はっきりしたものについて調べる、こういう限られた調査でありますから、どうしてもそこに調査の行った場合は多少の行き過ぎも間々できるということでありますので、御説のようなことは税務当局も実は日ごろ非常に苦心しておるところであります。従いまして、そういう御趣旨をよく体しまして、何とかもう少し妥当な方法を見つけ出したい、かように考えておる次第であります。      ————◇—————
  47. 植木庚子郎

    ○植木委員長 次に、道路整備特別会計法の一部を改正する法律案及び特定港湾施設工事特別会計法の一部を改正する法律案の二法律案を一括して議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。石野久男君。
  48. 石野久男

    ○石野委員 政務次官にお尋ねしますが、港湾施設工事の問題に関係して大蔵省が起債の認可をいたしたようなものが、その後自治庁または農林省関係でその起債の許可を渋って地方自治体では認可が出ているからというので工事の段取りをし、予算をちゃんと組んでやっているものが、事実上は仕事ができなくなってしまっているという事実がございます。これはほかにもあると思いますが、私のなにでは、茨城の那珂湊の港でございます。こういうことがございますと、ただ単に工事ができないということだけじゃなしに——工事をやろうとするときに、その工事をやらないと、ただ港湾の発展ということだけではなく、特に漁船とかあるいは人命上にいろいろな危害が加わってくることが予想されるから工事が行なわれる。ところが、そういう事態のために全然仕事もできないで、せっかく予算を取ったものもそのままお流れになってしまうという事実があります。昨年度そういうことが那珂湊港にあるわけであります。その事実を御承知でしょうか。またそういうことに対して大蔵次官はどのようにお考えになっておるか。この際承っておきたいと思います。
  49. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 私は、まだその茨城の那珂湊の工事の起債関係について具体的な話を承っておりませんので、事実については存じておりませんが、一般的に申し上げますと、起債については、自治庁と大蔵省とで協議して、妥当な行政をやっておるつもりでございます。昨年起債がつかなかったために工事ができなかったということでありますが、しかし、工事計画に実際着手するときには、大体起債の見通しもつけて着手しておるはずでありますので、起債がつかなかったから工工事も着手しなかったのかどうか。その点お尋ねははっきりいたしておりませんが、具体的には一つもう少しお尋ねを進めていただきまして、関係当局から御答弁を申し上げるようにいたしたいと存じます。
  50. 石野久男

    ○石野委員 大蔵次官は、こまかいことはわからないからというのでありますが、私が先ほど言いましたように、起債の認可がついておって、それに対して大蔵省からちゃんと認可がきているわけですよ。それが、予算としては、ちゃんと自分の自治体で受け持つべき予算を取っておるわけです。しかし、その起債をいよいよやろうとする場合になって、自治庁なり水産庁の漁港課の関係で、おれは知らぬということで宙ぶらりんになっているということなんです。こういう事実はあるはずですが、関係者の方で一つその事情をよく説明してもらいたい。
  51. 吉田信邦

    ○吉田説明員 私ども実は今の那珂湊の具体的な案件については聞いておりませんので、ここでその具体的な問題についてお答えするわけに参りませんが、概括的に申しますと、大蔵省が単独で認可するということはございません。その起債の性質といたしまして、自治庁が認可権を持っておりまして、自治庁が大蔵省と協議して認可するという形式になっております。それで、ただいまの問題は、漁港の問題であるとすれば、一応県と財務局とが御相談して、その上でそれぞれの意見を、県からは自治庁へ、財務局からは大蔵省へ言って参ることになっております。そして、その上で、自治庁が、たとえば漁港の問題であるとすれば、農林省等の意見を十分しんしゃくして、許可するかどうかという判断をきめて、起債を認めたいと思うものについては大蔵省に協議をしてくるという形になっておりますので、今のお話のうちで、大蔵省から認可したということでございますが、自治庁が認可するので、大蔵省といたしましては認可するということは具体的にはないわけでございます。
  52. 石野久男

    ○石野委員 私は、実はこの特定港湾施設工事特別会計法の一部を改正する法律案を今日本委員会で上げることになっているということから、関連するこういう問題についての質問をするわけで、実は十分資料を持っていないわけです。ですが、自治体の方といたしましては、昨年、大蔵省関係あるいは自治庁関係、農林省関係の一応の認可を取りつけて、それで予算に組んでおるわけです。昭和三十四年度における予算の中にも、自分の持つべきものはちゃんと組んだわけです。しかし、それが今度具体的に起債の問題になりますと、関係しておる水産片漁港課の方で、おれは知らぬというようなことから、起債が全然進まない状態になっちゃって、それが事実上工事も何もできないような事態になってきておる。これは導流堤を約五十メートルくらい延ばすという問題なんです。このこまかい問題については、もし今明確にしていなければ、私もあとでこういう点について当局の意見も聞きたいと思っておりますけれども、問題は、自治体の方でそういうことをあらかじめ予定し、しかも市の議会においてそれを前提とする予算も取るというような状態にまでなっているものが、できなくなってくるということになりますと、非常にそごを来たすだけではなく、その期間中そういう工事を必要とする事態についての対策は全然つかないわけです。従って、そういうところで漁船の難破する事態なんかもすでに出ておるわけです。こういうことは、事実上予算を取るかどうか、起債ができるかできないかという問題よりも、その漁港の安全運営という点から言いましても、また地方産業の育成という意味から言いましても、非常に大きな食い違いが出てくることが憂えられるわけです。これは政府当局としても真剣に考えてもらわなけれればならぬ。水産庁関係の方は大体おわかりだろうと思うのでございますが、自治体の方から言いますと、大蔵省の方でもいいということになっておる。書類もきておるのです。私は、その書類の写しを一応見せてくれと言っておいたのですが、それはまだ私の手元にきておりませんけれども、自治体の方ではそれを持っておるということです。そのような事態が現実にあり、議会としてもそういう予算を組んでおるということになりますると、これは非常に大きな食い違いになってくる。そしてまた自治体としてもどうやっていいかわからない事態になりますので、この問題について明確な考え方を次官から聞いておきませんと、昨年そうであったから今年は必ずやれるという考え方で、今年もまた予算を組んでおりますので、この際大蔵次官の所見を聞かせておいていただきたい。
  53. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 茨城県の那珂湊は修築工事として整備計画に基づいて漁港工事をやっておりますが、ただいまのお尋ねは、国庫補助のほかに地元負担相当分のうち一部を起債に仰ぐ、その起債が、大蔵省の認可を得たが、実際は出なかったということのように承っております。しかし、その認可が正式なものかどうか。大蔵省が正式認可をする場合には、当然自治庁とよく相談の上で認可をしておるので、正式認可しておるものなら金が出ないはずはありませんし、また漁港工事につきましては、必ずしも起債によるのでなく、漁業組合の地元負担などもありまして、起債がつかぬから、そのために工事が全然できないというわけのものでもありませんので、それは具体的に地方御当局からもよく事情を聞きまして、ことしは一つ御趣旨の通りできるように善処いたしたいと思います。
  54. 山中貞則

    ○山中(貞)委員 関連して。  この問題は、自治庁と、それからほかにも林道の問題もございますから、起債の適債事業として、漁港の地元負担金、それから林道の地元負担金等を、どういうふうに適債事業として認めるかという問題の結論を出しておきませんと、おととしからこの問題は混乱を続けているので、これは両方に責任がありますが、自治体の方も、中央の事務手続を終わらないうちに、議会の方には当然起債はこれだけはもらえるだろうというようなことで、予算を計上して議決を済ませる場合のケースはたくさんある。それができなかった、年度末どうするかという問題も多いわけですが、そういうこともやめて、十分に事務上の処理の見通しを立ててから組むということも必要であります。また一方農林省の関係の事業主管省と、それから起債を許可する自治庁の方との間に、具体的には特殊のケース・バイ・ケースで、特殊の起債が許可されておらないという現象かありますから、起債率を何パーセントにするかというようなことは今後の話し合いとして、私は、当然公共事業に準ずる取り扱いをして、そうして地方財政の事情にかんがみて、また自治庁の起債の配分の内容等を十分検討しつつ、適債事非業の対象に林道の負担金と漁港の負担金を取り入れるということを明らかにして、法的な手続を終われば、それでこの問題は混乱は起こさない、こう思っておりますから、そういう作業は、これはおととし以来異論のあるところで、進めていけばできることだと思いますから、それを進めていただきたいと思います。
  55. 吉田信邦

    ○吉田説明員 今もお話のございましたように、前から問題の一般的な方式としても問題のある事項でございます。同時にまた、従来の方針といたしましては、適債事業をなるべくしぼっていくと申しますか、できるだけ地方団体の地方財源を、健全な、借金によらざる財源でまかなうようにという方向で進んで参りました関係もありますし、いろいろ問題がございますので、基本問題として私どもも十分研究をいたしたいと考えております。同時に、ただいまお話のございました案件につきましても、そういった点等がどういうふうに関係して参りますか、一つ十分調査をさせていただきたいと思います。
  56. 石野久男

    ○石野委員 今山中委員からも話のあったような問題は、基本的に大事なことだと思います。那珂湊の場合には、実は戦時中から導流堤の問題は懸案になっておりまして戦時中に工事が中断したような形になっているのが実情であります。その当時やはり国の方でもいろいろやろうとしたのですか、資材とかあるいは戦時中のいろいろな事情から、中途でとまっております。工事も実際に完成工事という形にならないで、中間工事の形で締め切っていると地元では見ているわけであります。そういう問題であるだけに、この問題についての起債の問題は、もちろん、地元負担金の問題等も勘案しつつ、地元では考えているわけでございますけれども、昨年の場合はどういう事情になっているか、私も起債の認可があったのに出ないというのはおかしいと思うのですが、地元で起債の認可があったと認定しているものが、はたして正式の認定であるかどうか私も確かめていません。それでその写しをほしいということを……。ってありますが、いずれにしても、地元の方で起債の認可があったというように、錯覚かどうかわかりませんが、そういうことではいけないと思うので、こういうことは明確にしていただきたいということをお願いすると同時に、那珂湊の場合は、そういうような状態で、昨年度も工事ができないし、今年もまたその予定をしているわけでありますから、大蔵省も、自治庁あるいは農林省関係も、具体的に、早急にこの問題の解決に努力していただきたいと思うのです。先ほど次官もそういうふうにおっしゃられていたのですが、重ねて次官にその点に関する御意見を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  57. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 これは漁港工事ですから、本来水産庁の漁港部長の方で起債その他の地元負担の問題も十分勘案の上で決定しておることと思うのでありますが、漁港部長もただいまお見えでありますから、御趣旨に沿いまして、よく相談いたしまして善処いたしたいと存じます。
  58. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて両法律案に対一する質疑は終了いたしました。     —————————————
  59. 植木庚子郎

    ○植木委員長 両法律案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  採決いたします。両法律案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、両法律案はいずれも原案の通り可決いたしました。  なお、ただいま可決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  61. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よってさよう決しました。  次会は来たる十四日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時十八分散会      ————◇—————