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1960-03-22 第34回国会 衆議院 大蔵委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十二日(火曜日)     午前十一時二十八分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 坊  秀男君    理事 山下 春江君 理事 山中 貞則君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君    理事 廣瀬 勝邦君       押谷 富三君    鴨田 宗一君       黒金 泰美君    竹下  登君       細田 義安君    毛利 松平君       山本 勝市君    石村 英雄君       神近 市子君    久保田鶴松君       堀  昌雄君    横山 利秋君       大貫 大八君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (主税局税関部         長)      木村 秀弘君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計局総務課         長)      中尾 博之君         大蔵事務官         (理財局次長) 吉田 信邦君         専  門  員 抜井 光三君     ――――――――――――― 三月十八日  委員横山利秋辞任につき、その補欠として山  花秀雄君が議長指名委員に選任された。 同月二十二日  委員山花秀雄委員辞任につき、その補欠とし  て横山利秋君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 三月二十一日  船主相互保険組合法の一部を改正する法律案(  内閣提出第五四号)(参議院送付) 同月十九日  各種学校を設置する公益法人に対する課税措置  撤回に関する請願外一件(小坂善太郎紹介)  (第一二七三号)  同(篠田弘作紹介)(第一二七四号)  同(高田富與紹介)(第一二七五号)  同(増田甲子七君紹介)(第一二七六号)  同(松田鐵藏紹介)(第一二七七号)  同(山下春江紹介)(第一二七八号)  同(世耕弘一紹介)(第一三〇一号)  美保航空隊駐留軍通信基地の未使用地区払下  げに関する請願足鹿覺紹介)(第一三六〇  号)  外地引揚公務員退職手当特例に関する法律  制定に関する請願川村継義紹介)(第一四  四〇号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十八日  たばこ耕作団体経費半額国庫負担等に関する  陳情書  (第三九九号)  漁業協同組合に対する法人税等の減免に関する  陳情書  (第四八七号)  中小零細企業金融の拡充に関する陳情書  (第四九七号)  公認会計士法改悪反対に関する陳情書  (第五〇三号)  自家労賃非課税に関する陳情書  (第五〇一号)  減税等に関する陳情書  (第五〇二号)  石炭手当及び寒冷地手当に対する免税に関する  陳情書(第五一〇  号)  積雪寒冷地帯に対する所得税特別控除に関す  る陳情書(第五一  六号)  国有鉄道利用者に対する通行税是正に関する  陳情書(第五一六  号)  国の会計年度改正に関する陳情書  (第五一九号)  国税徴収法等に関する陳情書  (第五二〇号)  貸金業金利調整に関する陳情書  (第五四三号)  たばこ小売人の免許に関する陳情書  (第五四四号)  零細企業者青色申告制度是正に関する陳情書  (第五五七号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年  度における国債整理基金に充てるべき資金の繰  入の特例に関する法律の一部を改正する法律案  (内閣提出第五号)      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これより会議を開きます。  昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  3. 横山利秋

    横山委員 国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律は、毎年々々本委員会議題になっておりまして、しかも毎年々々便宜措置法律に終始をしておるわけでありますが、この際一つ政府にその将来についてのお考えを明確にしていただきたいと存じます。そのために国債償還がどういうふうに行なわれておるか、ここ数年間の償還実情について御報告を願いたいと存じます。
  4. 吉田信邦

    吉田説明員 それでは、国債償還状況につきまして簡単に御説明申し上げます。  手元に三十年度からの資料がございますので、それで一応説明させていただきたいと存じます。昭和三十年度に二百二十二億、三十一年度に二百三十九億、三十二年度に二百二十四億、三十三年度に三百七十九億、三十四年度は、一応の見込みといたしまして、三百六十六億の償還を予定しておる次第でございます。これは借りかえ分は含みません。純粋の償還でございます。それで、最近の実例から申しますと、三十三年度三百七十九億の償還におきましては、内国債を三百三十一億償還いたしております。このうち普通公債償還は六億でございますが、引揚者国債遺族国債というような交付公債がございまして、これは毎年一定額割賦償還することになっておりますので、この割賦償還分が三十三年度では二百十七億、償還の三分の二を占めておるわけでございます。そのほかに、世銀出資国債の、これは出資をいたしました国債でございますが、その現金化を要するために、百七億の償還を行なっております。そのほかには、外債で四十八億の償還をいたしておるわけでございますがその内訳は、減債基金として二十一億、満期が十三億、買い入れ償却が十三億というような形で、合計三百七十九億の償還を行なった次第でございます。なお、その財源といたしましては、三十三年度におきましては、一般会計からの繰り入れ、これは前々年度剰余金の半分という金額でございますが、それが四百三十六億、特別会計からの繰り入れが四十七億、国鉄、電電公社からの繰り入れが三十二億、前年度からの繰り越しが二十二億ございまして、結局三十三年度といたしましては、財源は五百三十八億でございましたが、これに対して三百七十九億の償還をいたして、百五十八億を三十四年度繰り越しているような次第でございます。  今三十三年度につきまして具体的に申し上げましたが、大体現在の国債の姿から申しますと、総額四千五百億程度でございまして、そのうちで毎年割賦償還に要する金額が相当含まれております。これは引揚者国債遺族国債でございまして、交付に当たって七年間に元利均等償還する。いえば期間の定められた年金的な形で、こういう交付公債が行なれわておりますので、そういうものの定額の償却が相当多額を占めておりますことと、世銀出資国債等出資に伴う国債が、そのときの世銀の必要に応じて現金化しなければならないために、償還するということ、それからあとは、外債につきまして一定減債基金があり、またこれについては満期の際には的確に支払う。いえば借りかえも困難な場合が多うございますので、これについては満期のものは必ず返すというような形でやってきておる次第でございます。
  5. 横山利秋

    横山委員 今三十年度から三十四年度までの償還実績は、ちょっと言葉が聞き取れなかったのですが、借りかえを含んでいるのですか。
  6. 吉田信邦

    吉田説明員 含んでおりません。
  7. 横山利秋

    横山委員 借りかえの分を三十年度から三十四年度まで言って下さい。
  8. 吉田信邦

    吉田説明員 三十年度借りかえが三十一億、三十一年度が二百七十四億、三十二年度が三百二十四億、三十三年度が二百十億、三十四年度が九十八億、こういうことになっております。
  9. 横山利秋

    横山委員 今の私の感じですけれども、毎年の返済については、大体三十年度二百二十二億からなだらかな上昇線をたどって三十四年度にいっているわけですが、一方借りかえについては非常な食い違いが年次によってあります。これは一体どういうことなんですか。借りかえをする国債はどういう承のであって、またどうしてこんな数字になるのですか。
  10. 吉田信邦

    吉田説明員 今大体借りかえをいたしております国債は、内国債でございまして、これは戦前及び戦時中の公債でございます。御承知のように、戦前戦時中かなり巨額な公債発行いたしました。終戦後もしばらくは若干の公債発行いたしておりますが、これらの公債につきましては、現在大部分日本銀行金融機関の手持ちになっております。と申しますことは、昭和二十四年以来、過去の国債につきまして、いわゆる民間の保有している国債、当時貯蓄奨励等によって国民が持っておりました国債につきましては、減債基金活用によりまして、国債整理基金特別会計活用によりまして、全面的な買い上げ償還あるいは期限到来による償還に応じて参っております。従って、いえば個人の持っている国債あるいはその他の金融機関以外の持っている国債というものは、ほとんど零に近くなっております。これにつきましては、買い上げの要望があればすべて買うという方式で、いわゆる戦前債のものについては買っておりました。ただ、これらのうちで、日本銀行及び金融機関が保有しておるものにつきましては、期限が参りますとともに、昔の三分五厘というような条件のものを、最近の条件五分五厘の公債借りかえておるわけでございます。その最初の借りかえが始まりましてから、大体今七年間ぐらいになっておりますが、現在の公債期限は一応七年という、長期国債というよりも中期国債という形になっております。これは大体において金利水準が比較的高いものでございますから、普通の公債であれば二十年、三十年というのが普通でございますが、この高い金利水準のもとにおいて、長い期間公債発行することは将来に災いを残すという意味におきまして、公債借りかえに際しましても、七年というような比較的中期公債借りかえておるわけでございます。従って、それらにつきましては、ある意味では当然に期限がきたときに借りかえを予想しておると申しますか、そういうような趣旨で借りかえをいたしておる次第でございます。
  11. 横山利秋

    横山委員 私は感ずるのですけれども国債発行ということについては、相当の制限があり、国会審議事項となって常に問題の中心になるのですが、今聞きますと、三十年度には二十一億、三十一年度は二百七十四億、三十二年度は何と三百三十四億というような巨額なものが、政府の適当な都合によって簡単に借りかえ——借りかえといっても実際は新しい起債をするということでしょう。結果としてはそういうことじゃありませんか。そういうことを簡単に政府行政手段としておやりになっているということについては、私はいかがなものかという気がするのですが、これは政務次官にお伺いをしたいと思う。表向き国債償還は三十年度から現金で返還しておるのです。表向きは二百二十二億、二百三十九億とずっとやっておるけれども、実は始末に困るのは、あるいは行政上めんどうなのは、適当に借りかえにしておいて、三十年度は二十一億であったのを三十一年度は二百七十四億だとか、云々云々として適当に借りかえをしておるということは、これは政治の問題としてはけしからぬ話だと思いませんか。常識的に答えて下さいよ。法律の問題を抜きにして……。
  12. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 お話のように、国債満期のものを借りかえするということも、それは財政の建前からして非常に重大な問題でありますが、これもよく検討の上、国会の御審議を経てやっておる次第でございます。
  13. 横山利秋

    横山委員 借りかえはどういう格好で審議をしておりますか。
  14. 吉田信邦

    吉田説明員 借りかえになります公債につきまして、国債整理基金特別会計予算上、それぞれ歳入歳出に立てまして、一方では償還、一方では新たな起債という形の整理基金特別会計予算を提出して、それによって執行している次第であります。
  15. 横山利秋

  16. 中尾博之

    中尾説明員 国債整理基金特別会計予算は、財政法規定に従いまして、これを編成して国会に提出いたしておるわけであります。御審議対象になっておるわけであります。
  17. 横山利秋

    横山委員 御審議対象になっておると言うのですが、これは議決事項ですかと聞いておるのです。
  18. 中尾博之

    中尾説明員 御承知通り予算国会の御議決によって成立いたします。その予算歳入歳出予算その他予算総則継続費、いろいろございますが、それの、予算というものを構成いたしておる部分でございますので、まさに国会議決を経ておる、すでに経て成立いたしておるわけであります。
  19. 横山利秋

    横山委員 それは少し詭弁じゃありませんか。あなたは慎重に、部分でありますと、こう言っておる。部分という意味であるならば、予算書にある数字、その細目も全部部分なんですよ。その部分議決事項であるという解釈をとられるならば、予算参照書や何かすべて議決事項ということになりますか。そう解釈してよろしいのですか。
  20. 中尾博之

    中尾説明員 今私説明が少しもたつきましたが、予算議決されるわけでございます。それには予算総則、それから歳入歳出予算継続費繰り越し明許費、それから債務負担行為と編が分かれております。それが議決対象になります。予算参照書予算書の中に編綴されて添付されておりますが、これは議決対象ではないということになっております。御議決の際の参考でございます。それを前提として予算を御批判になる材料にはなりますが、それ自体としていわゆる法としての予算の効力を持つものではございません。今申し上げました前の方の部分が、いわゆる甲号丁号というふうな予算でございます。それは御議決を経るわけであります。
  21. 横山利秋

    横山委員 そこで、調べられておるようですが、それでは借りかえの方は議決事項として予算書の中にあるのですか。そこにあることの内容は、借りかえ事項は、予算委員会議決を正規に経る数字であるか、それともそれは単に予算参考数字として出ておることであるか。私もう一ぺんきちんとした質問をいたしますが、借りかえということは国会議決を要するや、議決を要するとすれば、予算書のどこに借りかえの数字が載っておるか。
  22. 中尾博之

    中尾説明員 三十五年度特別会計予算について申し上げまするならば、第三ページに——歳入歳出予算甲号が第一ページから始まりますが、その第三ページに国債整理基金予算が載っております。それの歳入、款で公債金、項で同じく公債金といたしまして、六百十五億円余りが計上されております。
  23. 横山利秋

    横山委員 わかりました。そういたしますと、三十五年度は幾らですか、借りかえは。
  24. 中尾博之

    中尾説明員 三十五年度予算について申し上げますと、金額は六百十五億九千五百十二万九千円でございます。
  25. 横山利秋

    横山委員 何が……。
  26. 中尾博之

    中尾説明員 公債金収入、いわゆる借りかえのために発行いたしまする公債収入現金としてこの会計に入って参ります。その収入を予定いたしたものでございます。
  27. 横山利秋

    横山委員 わかりましたが、そうしますと、要するに、その借りかえということも、私のやや勉強不足かもわかりませんが、国会議決事項であるということ、それから三十五年度においては六百十五億の借りかえが行なわれるということ、そういうことでございますね。
  28. 中尾博之

    中尾説明員 その通りでございます。
  29. 吉田信邦

    吉田説明員 ちょっと補足して説明させていただきます。国債借りかえにつきましては、国債整理基金特別会計法第五条で、「政府ハ国債整理ハ償還ノ為必要ナル額限度トシ起債スルコトヲ得」ということになっておりまして、公債発行、要するに借りかえのための公債発行し得る権限が付与され、その権限を行使するにあたって、ただいま中尾総務課長から御説明申し上げました予算によって、その金額が示されているわけでございます。  なお、先ほど来、この借りかえの金額が非常に浮動しておるから、政府の恣意的な方針によって国債償還ほか借りかえをやっておるのじゃないか、という御意見がございましたが、これは、金額が浮動いたしますのは、主として償還期限到来する時期が非常に波動がございます。古い国債になりますと、三十年満期のものもあれば二十五年満期のものもある、あるいは二十年満期のものもあるというような形で、償還期限到来が非常にばらばらにやって参ります。そういうような関係金額が浮動いたすわけでございます。
  30. 横山利秋

    横山委員 少しずつ内容はわかって参りましたが、しかし、あなたの説明をもってしても、三十年度が二十一億、三十一年度が二百七十四億、三十三年度は三百二十四億、三十三年度は二百十億、三十四年度は九十八億、三十五年度は驚くなかれ六百十五億、こういう波動があるわけです。このことのあなたの御説明によれば、こういう借りかえの国債個人の持っておるやつではありません。金融機関の持っておるやつでありますから、こういう波動があっても、またこういうような借りかえをしても、実害がございませんと言わぬばかりのお話であります。そうだとしたら、これはきわめて便宜的な扱いがされておる。では、一体、金融機関に対する償還というものは、いつもいつもこういう調子で借りかえをするのか。国債整理基金特別会計法の五条ですか、あなたの言われる、整理償還のために必要な額を限度としてという、その必要な額を限度としてというのは、政府はどういうふうに考えておるのか。償還期日がきたもので、金融機関の持っておるようなもので、別に支障も起こらぬものは全部借りかえだと、そういうようなお気持であるのか。必要な額を限度としてということは、全体をにらみ合わせて、財政——これもお話を聞けば、去年でしたか、お金もだいぶんまだ余っているのですかね、そういうような点からいって、総合的に判断さるべきではないか。必要な額を限度とする、必要な額の限度の定め方については、政府はどういう方針を持っておられるのか。
  31. 吉田信邦

    吉田説明員 この公債償還方針につきましては、現在、先ほど申し上げました割賦償還のような年賦償還になっておりますので、これはまず優先的に償還する。確実に償還いたします。また、外債につきましては、減債基金制度のできておるものもございますので、そういったものへの減債基金の振り込み、あるいは外債満期到来の分というようなものはまず優先的に償還する。それから、実際問題として世界銀行へ出資した公債現金化を要請せられるようなものも償還する。あと残っているものは何かといいますと、大部分戦前国債、それも現在の額として見ますと非常に少なくなっておりまして、二千六百億程度が残っております。これらのものにつきましては、日本銀行及び普通の金融機関にほぼ安定した状態で入っておりますので、今直ちにこれの減債をすることが適当であるかどうか。むしろ、ある意味からいえば、昔はいろいろなもの、たとえば保証みたいなものに国債をもって充てろというような規定がずいぶんあったものでございまして、最近はそういう国債が少ないものでございますから、国債ばかりじゃなくて社債もできるというふうな法律改正をしばしばいたしてきているような状況でございます。これ以上国債を減らす、どの程度に減らしていったらいいか、あるいはまたこのままがいいかというような点につきましては、いろいろ論議もあるかと存じますが、普通の内国債部分、今優先的に償還すると申し上げましたもの以外の公債につきましては、毎年相当額減らしていく方がいいのか、あるいはこの程度はそのまま置いておいた方がいいのか、これらの点についてはいろいろ論議の余地があると存じます。公債借りかえにつきましては、現在もそういう状況でございますので、新しく償還して発行するという形にはなりますが、同時にそれは現状維持という結果になるわけでございます。そういう意味で、新しくインフレ的要因になるというような要素もございませんので、現在のところそういった普通国債約二千六百億程度のものにつきましては、しいて償還を急ぐ必要があるかどうか、これについては今いろいろ検討しているような状況でございます。
  32. 横山利秋

    横山委員 あなたのおっしゃるように、財政全般国債総額とそのほか国民所得なりあるいはいろんな観点から、これは借りかえをした方が妥当な状況にあるというふうに判断をすると、確信を持っておっしゃるならば、私はしいては追及しない。しかし、今日この委員会に提案をされております方法論にしても、それから今お伺いしておる借りかえの政府のとっておるものの考え方にしても、きわめて安易なもの、とにかくあなたの言葉をもってするならば、現状維持だからということなんです。そうして、それじゃこれから新たに発行していくやつが積み重なっていくばかりで——少なくとも積み重なっていくやつもあり減っていくやつもある。減っていかせられるものならば減っていかして、そして新たに必要最小限度のものを、そこでもって上に乗せるというふうにするのが私は常道だと思うのですが、どうもその点についての確信がなさそうであります。  そこで、少し意見になっていくのでありますけれども、たとえば、まず第一にこの法律案、三十五年度も引き続き特例措置を行なうというのでありますけれども、一体政府としてはこの特例措置をことしもまあ続けていこうという気持で提案されておるのか、それとも、毎年々々のことですが、一体来年はどういうふうに国債償還方法をとられようとするのであるか、その辺を一つはっきりことしはしていただきましょう。
  33. 中尾博之

    中尾説明員 毎年一年ずつ延ばしていただいておるのでございまして、従いまして、毎年度同じようなことを申し上げるようなことになります。その点は大へん恐縮に存じますが、もちろん現在の状態国債整理基金制度にとりまして常態的と申しますか、正則的な状態であるとは考えておりません。やはり常態的な恒常的な繰り入れ制度というものを伴いまして、初めて基金というものが制度として完全な形になる、正規な形になるということは、万々承知をいたしておる次第であります。従いまして、今後数年間にわたりまして、あるいは今後永久に、法律をもちまして現在の繰り入れ措置を停止しっ放しにするということには踏み切れない状態にあります。と申しまして、それでは現在の制度そのものをそのまま復活してよろしいかと申しますと、これがまた大へん実情に沿いません。現在の繰り入れ率あたり算定されました状態に比べますると、実情はだいぶ変わっております。国債額も非常に減っておりますし、新たに公債発行するという情勢ではありませんので、従って、公債発行対策というような見地からするところの対策も変わってきておるわけであります。そういうようなことで、いわゆる万分の百十六の三分の一という規定が潜在的にあるわけですが、この規定自体は、現在ではどう説明を申し上げようとしましても、とうてい説明がつかないものでございまして、従いまして、それでは新しい算定を今度いたすべきであるということになるわけであります。それが私どもの毎年検討いたしておるところの立場でございます。  そこで、この新しい算定でございますが、これを実は私どもはどうしてもいたしたいと思っておりますが、実際問題としてはなかなか工夫が要ります。と申しますのは、先ほどもちょっとお話があったかと存じますが、実際の将来における国債償還、需要の実情というものが著しく正常な状態を欠いておるのであります。これは、新しく公債発行するものもあり、償還するものもあり、というような新陳代謝が自然に行なわれておる場合であるならばよろしいのですが、実はそうではございません。本来の本則的な公債は戦後ほとんど発行されておらないわけであります。従って、借りかえ等が行なわれておりますが、その方は非常に負担が軽いのであります。むしろ外債関係等が特定の年度に集中いたしまして、それ以後においてはほとんどその負担がなくなるというような形になっております。それから、先ほどお話がありましたように、交付公債というものが戦後だいぶ出ておるわけです。これは記名式で譲渡禁止、公債とは申しますが、ほとんど証文のようなものであります。これの方は割賦で年割りで償還していかなければならない。ただいま御議論のございました例の借りかえというようなものはききません。これらのものは、きわめて近い将来、ここ数年の間にその負担が固まっております。これを含めまして三十年なりあるいは六十年なりという遠い将来まで見通しました国債償還計画並びにそれの財源の計算というものを立てます場合に、いろいろその間につきましては経済情勢あるいは財政状態というようなものから、今後の国債に関する国の方針がどうなるであろうかというような関係からの検討、議論が出て参りますから、容易に結論が得にくい。しかし、現在の状況が変則的な状況にあることは疑いをいれません。なお毎年そういうような点から検討をいたしておるわけであります。それが実情でございまして、そういう考え方なり立場なりをとっております関係上、大へん御迷惑でありますが、毎年一年ごとに小刻みになりますが、法案をお願いしておる次第でございます。
  34. 横山利秋

    横山委員 いろいろくどくどとお話がありましたが、去年おっしゃったこととちっとも変わらぬのです。おととしおっしゃったこととも変わらぬのです。私はあとで先ほど理事会でお話が出ましたような附帯決議をつけたいと思うのですが、政府も、少しは、ことしこの法案を出すについて、今後についてはこういたしますという覚悟なり用意を持って臨むべきではないかという気がするわけです。ほんとうに去年の提案理由のときとことしの提案理由のものの考え方とちっとも変わらぬのですか。具体的な構想というものは今ないのですか。
  35. 中尾博之

    中尾説明員 どうも繰り返しになるような説明で恐縮に存じますが……。
  36. 横山利秋

    横山委員 なければないと言えばいい。
  37. 中尾博之

    中尾説明員 ないと申し上げると実は言い過ぎでありまして、ないならばこれは永久にやめてしまうということになるわけでありますが、決してそういう気持ではございません。なお工夫を続けておるわけでございまして、どういう見地から工夫を続けて検討するかということにつきましては、ただいま申し上げたような見地から実際にやっております。こういう法案を毎年出します場合に、実はそう心やすく出しておるわけではないのであります。実はこういう点は相当御批判があろうということは、当然私どもも予想しなければならぬことでありますから、それは十分に検討いたしまして、やむを得ずこういう措置をとっておる次第でございます。
  38. 横山利秋

    横山委員 私はいやらしいことを言うつもりはないのですけれども、あなたはここだからそんなことを言うけれども、この法案が通ったら、もう、ああさっきだれだか知らぬが、おっしゃったから、少しは努力せんならぬなというような顔をしてお帰りになるに違いないと思うのです。毎年同じことを言って、同じようにことしは一つ努力いたしますからということを言って帰られる。来年はこういうものを出しませんという決意がほんとうにありますか。こういうことを何回も言って恐縮だから、来年はこのような法律案は出しませんというふうにあなたは言えますか。
  39. 中尾博之

    中尾説明員 お言葉でございますが、それは端的に申し上げかねます。ただこういうことを繰り返したくないという気持で、誠意を持ちまして検討をいたします。その結果うまく工夫がつきまして、三十年なり六十年なりの計算もでき、これならまず間違いがない——これはいずれも財政負担にも関係するところでありますし、国際信用にも関係するところでございますから、それらの見地からいたしまして、これならばお願いして恥ずかしくないというしかるべき結論が出ましたならば、それに乗りかえたいと存じております。しかし、はたしてそういうものに乗りかえる、従って今後こういう措置はとらぬということを、ここではっきり申し上げるだけの自信は正直のところございません。ただその線に沿いましてなお鋭意努力をいたしたい。これは私ともも引き続き心がけておるところでございます。事実毎年そういう見地から実際に議論もいたしておりまするし、検討もいたしておる次第でございます。これらの努力はなお続けて参りますが、今のお言葉に対しましては、遺憾ながらお約束するという見通しはちょっと立たないのでございます。
  40. 横山利秋

    横山委員 そんなことをおっしゃっても、返済期限のくる国債金額は大体ずっとわかっているわけですね。それから、片一方においては、しゃくし定木に、財政状態がこうなって、外債は来年どれだけ出してということは、何ぼたってもきまるものじゃないのですよ。どんなに一生懸命やったって、来年は外債はどれだけで内国債はどれだけ発行すると言って、あなたがどんなにしゃっちょこばっても、きめられるものではないし、大蔵大臣だって判断がつかぬものです。もうそうなれば、どういうことであるか知らぬけれども、安全値をとって、そちらでそろばんをはじいて償還計画を立てるということが先行しなければ、そのつもりにならなければ、来年になったら何とか考えますと言ったってだめなんです。ですから、判断の問題で、こういう便宜主義的なやり方をやめると決心をして、そうして新しい減債基金制度なり何なりを作って、他はどうであれ歩み出すという決意がなければ、秋になったら何とかしますとか、春になったら何とかしますといつまで言ったって、同じことだと私は言うのです。どうですか、政務次官、私の言いたいことはおわかりでしょう。そんなものは、秋になったら四囲の情勢を考えて、春になったら考えてと言ったところで、毎年同じことだと言うのです。だから、ほんとうにこの便宜措置をいつまでもやるのはみっともないから、毎年やらなければならぬということであれば、来年の目標にはこういう便宜措置はやめると決心をして、その決心に沿って作業するということでなければいかぬ。来年景気が悪くなるか悪くならないかということを判断の基礎にするとか、外債発行を大体どのくらいなんと言っておったら、そんなものはできゃせぬと私は思う。どうですか。あなたは、それがわからなければ何とも言えないような顔をしているけれども、そんなことだったら何も仕事にならぬ。何ぼ附帯決議をつけても、あなたがどんな体裁のいいことを言っても、それはうそっぱちになる。やるかやらぬかという決意をまずきめて、準備を始める。それがどうしてもやれなかったらしょうがないけれども、しばらくたって様子を見てとか、ゆっくり研究をしてなんて言っておったのではだめなんだ。やるかやらぬかという腹をまずきめていかなければだめではないか、こう言っておるのですが、政務次官、どう思いますか。
  41. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 御質問の御趣旨は私にも実はよくわかるのです。しかし、政府委員の答弁も非常に正直な答弁でありまして、それは一つ御了承いただきたいと思うのです。何としましても財政方針全般にかかわることでありまして、来年はとおっしゃるが、来年、将来のしっかりした減債基金制度の見通しがつくような情勢になるかならぬかということ……。
  42. 横山利秋

    横山委員 そんな情勢は抜きの話で、決心をしなければだめだというのです。
  43. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 そこで、しかしお聞きの通りこの一万分の百十六の三分の一というようなことはどうも不適当だ、それはお認めであろうと思うのです。そんならどういうものを作るかというと、これは政府の立場でもなかなか苦心が要って、実は確信が持てぬというのでしょう。先ほどの答弁のように、現在ある国債総額四千五百億が、これまたいろいろな事情から今後の日本の財政において妥当なものかどうか、これも実は検討中であって、確信が十分持てないということなんです。それでもなおあなたが確立しろ、決議案もお作りになろうということであれば、それでは具体的にこれは一体どういう構想でどういうことをやったらいいですか、一つ何かいい知恵があったら教えていただきたい。
  44. 横山利秋

    横山委員 政務次官はときどきそういう聞き方をなさるけれども、ほんとうにあなたが、いい知恵があったら、おれは全責任を持ってやるとおっしゃるなら言いますよ。けれども、ひやかし半分に聞くならやめて下さい。私はあなたがごらんのように附帯決議を持っての話で、附帯決議を提案することがちゃんときまっているのですし、この附帯決議を政府は誠実に執行なさるかどうかという立場において聞いておるのですから、そのつもりで答弁して下さいよ。あなたは何か仲裁役みたいな、調停役みたいな気持でやられては、私は迷惑千万ですよ。私が言いたいことは、この附帯決議に基づいて話をしているのですから、「政府においては、速やかに国債償還に関する適切なる長期計画を樹立し、合理的な減債基金制度を確立すべきである。」こう言っている。その減債基金制度とは何だと言うなら、私は話をしますよ。要は、こういうようないいかげんな子供じみたようなことをいつまでもやっておってはいかぬ。それがわかれば、それでは来年までには何としても努力をいたしたいとおっしゃればいいじゃないか。いい案があったら見せてくれというが、いい案はここにあるじゃありませんか。今はテニオハの話をしているのじゃない。根本的な話をしているのです。どうですか。それではあなたは合理的な減債基金制度を確立すべきであるということについては賛成ですか反対ですか。
  45. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 合理的な減債基金制度を確立できるような情勢において確立するということについては賛成であります。
  46. 横山利秋

    横山委員 合理的な減債基金制度を確立し得るような情勢とはどういう情勢ですか。
  47. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 御承知通り、国家財政収入の部面を見ましても、税の自然増収などの見通しが毎年かなりの変動があります。御承知昭和三十三年度一般会計の中から四百億円も経済基盤強化基金にたな上げするというほど税収が多かった。ところが、その後補正予算を組みまして、だんだん自然増収を予算の中へ繰り入れていきますから、剰余金が減ってきたということにもなりまして、現在ではそう多額な剰余金というものは見込めないというふうに、過去二、三年の推移を見ましても、そのように変わってきております。従って、来年度財政の収支はどうなるかということについて、まだ確たる見通しもつかとぬいうふうな状態一つ。それから、国債総額が四千五百億が妥当かどうか。これは、先ほど政府委員の答弁のように、政府に対する担保保証物としてこの国債が一番今まで使われておったが、これをただ満期がきて償還するということになると、これにかわるべき何か適当なものがあるかどうか。日銀の通貨発行についてもやはり一番の保証物になっておることは、御承知通りであります。そういうことを考えますと、ただ減らすというだけのものでない。やはりどの程度が妥当なのかどうか。そうすると、それがある程度のめどがつかなければ、減債基金というものの基本的構想も固まらぬ、こういうことでありますから、今の情勢においては、これは大いに努力いたします。努力はいたしますが、はっきり来年度には確立して法律案を出しますという言明のいたしかねる状態でありますということを、正直に申し上げておきます。
  48. 横山利秋

    横山委員 正直かどうか知らぬが、あなたのおっしゃった理由は全然逆な話ですよ。いいですか。税収の変動が少なくなった、だからこそ合理的な減債基金制度を確立しなければならぬのであって、税収の変動があって、余っているからそれをぶち込めばいいという理論になるのです。あなたは逆な話をしているのですよ。それから、国債の四千五百億という数字が妥当であるかどうかという議論は、減債基金制度を確立し得る情勢とは何だということと縁もゆかりもない話じゃありませんか。私が聞いておるのは、し得るような情勢というのはどういう情勢かと言っておるので、根本的には、あなたも先ほどおっしゃったように、減債基金制度確立の方向については賛成なんだ。ただそのし得るような情勢と私なりに予測できることは、この減債基金制度内容がまだはっきりわからぬから検討しなければなるまい。その検討はどういう方法がいいか。先ほどおっしゃったようなテニオハの問題やそういうことならわかるけれども先ほど理事会できまっちゃったんだから申し上げていいと思うのですけれども、合理的な減債基金制度を確立すべきだという点については、もう与野党全部意見の不一致はないのですよ。そのテンポが早いかおそいかについては議論があるかもしれない。あなたの言うのは、し得る情勢に今ありやいなやということについて意見の相違があるらしいというのだが、そうではなくて、もうそういうようにしなければならない情勢であるという点については意見は一致している。ただそれが技術的に来年からできるかできぬかというところに、今問題がしぼられているのですから、政務次官、勘違いしちやいかぬですよ。  私は、あまり時間が延びて恐縮ですから、希望意見だけを申し上げて結論に入りたいと思うのですが、要するに、こういう毎年々々のいいくらかげんなことはやめなければならぬということが第一であります。第二番目には、私ども国会で多少目が通ってなかったという感じがいたしますが、法理的には問題はないようではありますけれども、この借りかえのやり方についてもう少し検討なさる必要があるのじゃないか。金融機関は困らない、最低のベースが問題にならないから、この際また借りかえをしておけばいいやという安易な便宜手段は、われわれとしては承服できかねる。だから、この際国債整理に関する方法については根本的な再検討があってしかるべきであるというふうに私は考えて、あとで皆さんの御賛同を得た附帯決議案を提案をいたしたい。
  49. 植木庚子郎

    ○植木委員長 石村英雄君。
  50. 石村英雄

    ○石村委員 大へん急いでおられるようですから、ごく簡単にお尋ねします。  まず、政務次官にお尋ねしますが、この提案理由の説明の中に、なぜ出すかという理由説明が全然ない。こういう法案でございますという内容説明はありますよ。しかし、なぜこういう法律案を出すかという説明が提案理由の中に全然ない。法律案についておる理由を見ましても、「引き続き講ずる必要がある。」という理由だけなんです。「必要がある。」という理由は理由になりません。なぜ必要があるかという説明がない。こういうおかしな提案理由の説明というものはわからないのですが、この提案理由の中のどれがこれを出す理由なんですか。一万分の百十六の三分の一の相当額の繰り入れを適用しないという、なぜそれを適用しないか、その理由の説明が提案理由の説明の中にありますか。これはたしか奥村政務次官説明なさったと思いますが……。
  51. 中尾博之

    中尾説明員 補足して説明させていただきます。  提案理由は政務次官のお読みになった分であります。その末尾の方に出ておりますが、「国債償還状況にかんがみ、かつ経理の簡素化をはかるため」ということがうたってある次第でございます。敷衍して若干補足いたしますが、国債償還の現状あるいは近い将来の状況あわせまして先ほど来御説明もございましたので、御理解いただけるかと存じます。それに対しまして万分の百十六の三分の一という率そのものが現在復活いたしましても、意味をなさないものになっております。かと申しまして、ほかの率を今作るということも、三十年あるいは六十年にわたる計算を今確立する、それで固定いたしましてはたして実情に合うか、むしろ財政負担その他の面から見て今後支障のない制度を作るのは非常にむずかしいので、その辺が工夫が大へん要ります。そういうことから、これはこのままでおくこともできませんし、またこれにかわるべきものを現在すげかえるということも困難な実情にございます。それがここに書いてございます趣旨でございます。
  52. 石村英雄

    ○石村委員 そんなことをおっしゃるけれども、この文章を読んでみますと、なるほど経理の簡素化と書いてありますが、この文章の続きというものは前にはかかつてないんです。特別措置つまり「一般会計から国債整理基金特別会計繰り入れがあったものとみなす特別の措置が講ぜられてきたのでありますが、昭和三十五年度におきましても、国債償還状況にかんがみ、かつ経理の簡素化をはかるため、」この「経理の簡素化」は、この文章から言うと、例の国鉄や電電公社の分も一般会計を通さないで直接これに入れるという文章としか受け取れない。その点どっちでもいいですが、いいと言ってもこれは大事なことだと思います。やはりこれはあくまでかかるのですか。かかるというなら、もっと書き方を変えてもらわなければ困る。
  53. 中尾博之

    中尾説明員 御指摘の通りでございまして、今の私の説明は半分になってしまいました。前段の「償還状況にかんがみ、」というところに実は御説明申し上げたので、あとの方は申し上げない方がよかったのでございますが、同じ法案でございますので、この「経理の簡素化」は、ただいまの御質疑の通りでありまして、特別会計系統の分の繰り入れ勘定を簡素化するという趣旨のその説明をここにうたったものでございます。前段の私の説明とは、この分は別でございます。
  54. 石村英雄

    ○石村委員 とにかく今後こういう提案理由の説明の仕方はよろしくないと思うのです。もっと親切にわかりいいようにしていただきたい。  それから、この一万分の百十六の三分の一というのは、今年度に適用すると、幾らの金額になりますか。
  55. 中尾博之

    中尾説明員 大体十五億見当になると思います。
  56. 石村英雄

    ○石村委員 そうすると、十五億が国債償還状況にかんがみて意味をなさないということになると思うのです。十五億程度の金では、もっと多ければ意味をなすが、わずか十五億では話にならぬ、そういう考えで、国債償還の現状にかんがみてこれを適用しないということなのですか。
  57. 中尾博之

    中尾説明員 一万分の百十六の三分の一というのは、恒久的な率としてあるわけでございます。国債償還状況と申しますのは、必ずしも現状ではございませんので、現在も含みまして、将来の状況をも考えまして、一万分の百十六の三分の一というものを恒久的な制度であるということに復活いたしますことには、合理性がないということを申し上げておる次第であります。金額が小さいからこんな程度のものでは意味をなさぬというだけでは、それは足りませんので、金額が小さい、大きいも大事なことでございますが、それが今後におきまする国債整理基金の運用、従って国債償還計画、三十年なり六十年なり、そういう長期にわたりまして、いずれも企画いたすものでございますが、それに適するものであるかどうかということが問題であると存じます。なお、それでも、一万分の百十六の三分の一、十五億円でも、あった方がいいじゃないか、あるいはこういう御趣旨かとも存じますが、この金額につきましては例の財政法六条の規定がございますので、その方から繰り入れをいたします金額で、現在の国債整理基金制度がスムーズに動いておるわけでありますので、特にこれを必要としないという実情が今年度についてはございますわけであります。
  58. 石村英雄

    ○石村委員 どうも御説明がはっきりしないのです。今年度のことではない、将来のことだというのですが、今年度のことでなければ、今年度の十五億をきちっとやればいい、将来は将来でまた別にそのときに新しいものを立てればいいと思うのですが、どうも御説明がはっきりしない。それから、財政法の前々年度の剰余金の二分の一があるから、こういう話ですが、あの財政法を作ったときには、こういう一万分の百十六の三分一というものを前提にして、それはそれとしてやるが、しかし、剰余金が出てきたときには、その半分、こういう考えであれができているのではないかと思うのです。あの財政法の二分の一というのができるときに、これがなかったというなら、それはまた別かもしれない。しかし、あのときには一万分の百十六の三分の一というこの法律を前提にして、それはそれできちんとしてやっていくが、しかし、剰余金が出たときには、その二分の一を、国債整理するために、少なくするために、それに充てなければならぬという趣旨でできたものです。それがあるから、こっちはやめてもよろしいというのは、おかしい理屈だと思う。
  59. 中尾博之

    中尾説明員 私どもが理解いたしておりますところも、御質疑の御趣旨とそうかけ離れたものだとは存じておりません。まさに御趣旨の通りでありまして、財政法関係は、たまたま剰余金がございましたら二分の一を入れる、本来の繰り入れの正常的な規定であるというものではない、これはおそらくそうだと私どもも心得ております。ただ、現実の問題といたしまして、これでもってまかないがついておる、しかもそれではそのほかに恒常的な制度があるべきであるということになりますれば、それはあった方がよろしいと思います。当然あるべきだと思いまするし、後ほど伺いまする御決議も、おそらくその趣旨でございましょう。その趣旨につきましても、私どもも十分理解いたしておりまするし、何ら異論はございません。ただ一万分の百十六の三分の一というものをそのまま恒久的な制度といたしますことは、これは実情に即しません。理論的にも説明がつきませんし、実際の効用も認められない次第でございます。もちろん財政法規定があるということも関連いたしまして、現状は泳いでおることは事実でございます。しかし、財政法規定と、例の一万分の百十六の三分の一だけでは、とうてい泳いで参れないのでございまして、現に二、三年前には、この規定のほかに、特に予算措置で追加をして入れたこともございます。そういうようなわけでございますので、御質疑の御趣旨はよく理解できるところでございまして、私どもも異論ないのでございますけれども、一万分の百十六の三分の一そのものにつきましては、これは基金制度というものの恒久的な制度としては採用いたしがたいものであると存じております。
  60. 石村英雄

    ○石村委員 御説明がどうもよくわかりません。私の言うことはあなたによくわかるのでしょうが、あなたのおっしゃることは私にはわからない。つまり、おっしゃることは、一万分の百十六の三分の一という数字では、国債の現状から見て適当でないという趣旨だと思うのです。それで、適当でないという意味は、結局もっとふやすべきだというお考えがあるいはあるのかと思うのです。もっと減らすべきだ、一万分の百十六の三分の一をもう少し減らすというお考えは、まさかないのではないかと思うのです。やはりこれは、現在の日本の国債状況から見ると、一万分の百十六の三分の一という数字は、率が高過ぎるか低過ぎるか、どちらに御判断なさっておられますか、意味をなさぬという意味は。
  61. 吉田信邦

    吉田説明員 その点につきましては、一万分の百十六の三分の一というのは少なきに失する、従って、私ども国債整理基金を担当しております立場から申し上げますれば、それだけの金額を入れて減債制度を確立するといわれたのでは困る、むしろそれよりも、現在のやり方としては、現実に必要なものは必ず出せるようにしていただくということで、たまたま前々年度剰余金が過去において多かったせいもございますが、そういう意味で必要なものは十分国債整理基金に組み入れてもらっている、むしろその方がいいくらいであるという気持でございます。同時に、この法律が毎年延ばし延ばしになってきましたのは、そうかといって、こういう制度そのものを否定するつもりはもちろんない。何らかの制度を確立したい。しかし、過去から続いているこの法律のようなわずかの金額しか入れないものでは困るし、さりとてなかなか制度としては完全なものが見つからないというところで、こういうふうになってきたような次第でございます。
  62. 石村英雄

    ○石村委員 そうしますと、つまるところが一万分の百十六の三分の一というのは少な過ぎる、これはしかしそのままで置いて、こういう特殊な法律を出さないでおくと国会減債制度というものに鈍感になるから、毎年論議を起こさせる意味でこれをお出しになっている、こう理解いたします。その意味横山君が大へん論議を起こして、政府の、事務当局の御希望通りのことになってよろしかったと思うのです。技術的な点をお尋ねしますが、この法律でいう国債というのはどれをさすのですか。
  63. 吉田信邦

    吉田説明員 これは長期国債でございまして、いわゆる国債先ほど申し上げました四千六百億の内国債、それに八百数十億の外貨債及び借入金では千億余りございますが、そういった長期の、いわゆる公債、借入金、これがこの万分の百十六をかけるもとの数字になるわけでございます。
  64. 石村英雄

    ○石村委員 法律を読めばわかることを、不勉強で申しわけないのですが、それじゃそういう定義は、明治三十九年の法律第六号、第二条関係のことですが、それに定義づけられておるわけですね。
  65. 吉田信邦

    吉田説明員 その通りでございます。
  66. 石村英雄

    ○石村委員 もうけっこうでございます。
  67. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて本法律案に対する質疑は終了いたします。     —————————————
  68. 植木庚子郎

    ○植木委員長 なお、本法律案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  採決いたします。本法律案を原案の通り可決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  69. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本法律案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  70. 植木庚子郎

    ○植木委員長 なお、本法律案に対し、三党共同提案により、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  この際提出者の趣旨説明を求めます。横山利秋君。
  71. 横山利秋

    横山委員 ただいままでの審議の経過も含んで、次のような附帯決議案を上程いたしたいと思います。    昭和二十八年度から昭和三十四年度までの各年度における国債整理基金に充てるべき資金の繰入の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)  国債償還費等に充てるための財源措置として、政府は、昭和二十八年度以降、毎年度、本特例法により便宜的措置を講じてきているが、歳計剰余金はその額が予測できないので、政府においては、速やかに国債償還に関する適切なる長期計画を樹立し、合理的な減債基金制度を確立すべきである。  説明は、質疑応答の中で申し上げましたから、省略をいたしたいと思います。
  72. 植木庚子郎

    ○植木委員長 これにて趣旨説明は終了いたしました。  お諮りいたします。本附帯決議案を付するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  73. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本附帯決議を付することに決しました。  なお、この際政府より発言の申し出があります。これを許します。奥村政務次官
  74. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 国債整理基金につきまして一般会計からの恒常的繰り入れ規定が停止されていることは、制度として理論的には変則的状態にあることは疑いをいれないところであります。従いまして、ただいまの附帯決議の御趣旨につきましては十分了承いたすものでございます。つきましては、今後御趣旨に沿いまして十分努力いたして参る所存でございます。  ただ一言お聞きをいただきたいことは、国債償還満期到来状況は比較的近い将来に集中いたしておりまして、そのうち相当部分借りかえのきかない記名式交付公債によって占められている実情でございますので、これをのみ込んで今後三十年なり六十年なりにわたる国債償還計画とその財源計画とを立てることにつきましては、技術的に相当工夫を要する次第でありますので、鋭意検討を進めたいと存じます。     —————————————
  75. 植木庚子郎

    ○植木委員長 ただいま可決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  76. 植木庚子郎

    ○植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は来たる二十五日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時三十六分散会