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1960-03-15 第34回国会 衆議院 大蔵委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十五日(火曜日)     午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 佐藤觀次郎君 理事 平岡忠次郎君       押谷 富三君    鴨田 宗一君       黒金 泰美君    田邉 國男君       竹下  登君    塚田十一郎君       西村 英一君    濱田 幸雄君       福永 一臣君    古川 丈吉君       毛利 松平君    山本 勝市君       石野 久男君    堀  昌雄君       横山 利秋君    大貫 大八君       春日 一幸君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君         大蔵事務官         (為替局長)  酒井 俊彦君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   田代 一正君         通商産業事務官         (通商局振興部         長)      柿坪 精吾君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 三月十一日  委員堀昌雄辞任につき、その補欠として原彪  君が議長指名委員に選任された。 同月十五日  委員原彪辞任につき、その補欠として堀昌雄  君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 三月十日  外地引揚公務員退職手当特例に関する法律  制定に関する請願(加藤高藏君紹介)(第九八  六号)  宮城県角田地区葉たばこ取扱所設置に関する  請願保科善四郎紹介)(第九八七号)  各種学校を設置する公益法人に対する課税措置  撤回に関する請願(逢澤寛君紹介)(第九九八  号)  同(愛知揆一君紹介)(第九九九号)  同(天野光晴紹介)(第一〇〇〇号)  同(荒木萬壽夫紹介)(第一〇〇一号)  同(臼井莊一君紹介)(第一〇〇二号)  同(小澤佐重喜紹介)(第一〇〇三号)  同(大坪保雄紹介)(第一〇〇四号)  同(岡部得三紹介)(第一〇〇五号)  同(川野芳滿紹介)(第一〇〇六号)  同(簡牛凡夫君紹介)(第一〇〇七号)  同(木村俊夫紹介)(第一〇〇八号)  同(藏内修治紹介)(第一〇〇九号)  同(倉成正紹介)(第一〇一〇号)  同(小坂善太郎紹介)(第一〇一一号)  同外三件(小平久雄紹介)(第一〇一二号)  同(始関伊平紹介)(第一〇一三号)  同外一件(椎熊三郎紹介)(第一〇一四号)  同(篠田弘作紹介)(第一〇一五号)  同(進藤一馬紹介)(第一〇一六号)  同(瀬戸山三男紹介)(第一〇一七号)  同外一件(高田富與紹介)(第一〇一八号)  同(竹内俊吉紹介)(第一〇一九号)  同(田中榮一紹介)(第一〇二〇号)  同(高橋清一郎紹介)(第一〇二一号)  同(千葉三郎紹介)(第一〇二二号)  同(津島文治紹介)(第一〇二三号)  同(寺島隆太郎紹介)(第一〇二四号)  同(中村寅太紹介)(第一〇二五号)  同(夏堀源三郎紹介)(第一〇二六号)  同(楢橋渡紹介)(第一〇二七号)  同(南條徳男紹介)(第一〇二八号)  同外一件(野田卯一紹介)(第一〇二九号)  同(長谷川峻紹介)(第一〇三〇号)  同(馬場元治紹介)(第一〇三一号)  同(平井義一紹介)(第一〇三二号)  同(福井順一紹介)(第一〇三三号)  同外二件(藤枝泉介紹介)(第一〇三四号)  同(船田中君紹介)(第一〇三五号)  同(星島二郎紹介)(第一〇三六号)  同(坊秀男紹介)(第一〇三七号)  同(三浦一雄紹介)(第一〇三八号)  同外一件(三田村武夫紹介)(第一〇三九  号)  同(三和精一紹介)(第一〇四〇号)  同(水田三喜男紹介)(第一〇四一号)  同(森下國雄紹介)(第一〇四二号)  同(柳谷清三郎紹介)(第一〇四三号)  同(山口好一紹介)(第一〇四四号)  同(山崎巖紹介)(第一〇四五号)  同(山手滿男紹介)(第一〇四六号)  同(早稻田柳右エ門紹介)(第一〇四七号)  同(渡邊本治紹介)(第一〇四八号)  葉たばこ松川葉収納価格改訂に関する請願(  山下春江紹介)(第一〇五六号)  同(八百板正紹介)(第一一一一号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会申入れに関する件  臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案(内  閣提出第九号)  経済及び技術協力のため必要な物品外国政府  等に対する譲与等に関する法律案内閣提出第  六号)      ————◇—————
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  連合審査会開会の申し入れの件についてお諮りいたします。  ただいま運輸委員会において審査いたしております日本国有鉄道法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会の所管とも密接な関連を有しておりますので、連合審査会開会を申し入れたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、連合審査会開会日時につきましては、運輸委員長協議の上決定いたしたいと存じますので、委員長に御一任をお願いいたします。      ————◇—————  なお、連合審査会開会日時につきましては、運輸委員長協議の上決定いたしたいと存じますので、委員長に御一任をお願いいたします。め必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律案及び臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案の二法律案を一括して議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。石野久男君。
  4. 石野久男

    石野委員 先般経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律案提案をなさいましたときに、「この法律案は、政府が、経済及び技術協力効果的実施の一方策として行なう海外技術センター設置等に必要な物品を、外国政府または国際連合等に対して譲与し、または時価よりも低い対価で譲渡することができることとしょう」こういうふうに説明されました。提案理由を聞きますと、きわめて小範囲特定目的のためのように感ずるのでございますが、法律案を見ますると「条約その他の国際約束に基づく経済及び技術協力のため必要な物品」と、こういうふうになっておりまするので、必ずしも説明されたときの「技術センター設置等に必要な」という、きわめて限定された意味とは理解しがたいのでございます。これは非常に広範な「条約その他の国際約束に基づく経済及び技術協力」こういうことになっておりまするので、本法案がどの範囲において適用されるのかということに疑義を持つわけでございます。この際、一つ政府の本法律案を上程されました考え方範囲を御説明願いたいと思います。
  5. 小熊孝次

    小熊政府委員 お答えいたします。  この法律につきましてはさきに提案理由で御説明いたしましたように、海外技術センター設置等に必要な物品を、国際条約あるいは国際約束に基づくものにつきまして、外国政府もしくはその機関または国際連合あるいはその専門機関に対して、財政法の第九条の規定に基づきまして、時価よりも低い対価で譲渡しあるいは譲与するということを内容するものでございます。この経済及び技術協力のための必要な物品を従来どういうふうに処理しておったかという問題が、沿革的に一つ問題があるのでございますが、実はコロンボプラン等につきまして、東南アジア等に対しまして、従来は大体技術者派遣あるいは研修生の受け入れ、こういうようなことでやって参っておったわけであります。その際におきまして、物的な援助といたしましては、その技術者そのものが、自分でいろいろな道具等を携行いたしまして、そうしてそれをもちまして相手国におきますところ技術の指導、こういうものを実施して参つったわけでありますが、しかし、今回新しく向こう外国政府におきまして、特定施設なり土地とか建物、そういうものを準備いたしまして、わが方といたしましては、それに対しまして、器具機械類、いうものこちらから持つ参りまして、そこに設置いたしまして、そこで向こう技術者の卵と申しますか、そういうものを集めまして訓練をいたす、こういうようなことが実際問題として起こって参ったわけであります。また、従来予算措置もそれに即応しました予算措置を講じておったわけであります。この法律は、そういうふうな実施にあたりまして、単なる口約束というようなものではいけないのでございまして、やはり国と国との間の正式な条約だとかあるいは国際的な約束、こういうものを正式な文書で取りかわした場合におきまして、初めて無償譲与あるいは時価よりも低い対価で譲渡することができる。これは、条約あるいは国際約束というもので何でもできるというよりはむしろ単なる口約束政府の実行だけで、こちらの一方的な意思表示だけでやるのではなしに、やはり正式な文書、公式の文書をもってはっきり約束したものに限って、こういう措置がとれます、こういうような意味でむしろ書いてあるわけでございます。現在のところは、こういう種類の援助は、予算もついておりますので、これに基づきまして相手国政府と着々交渉しておりまして、すでにインド西ベンガル関係につきましては協定もできまして、それに基づく実施に現在着手しておるわけでございます。
  6. 石野久男

    石野委員 口約束だけでなしに、文書約束したものにというようなお話でございました。そうしますと、この法案というものは、今後そういうような文書約束したものにだけ適用されるという意味ですか。
  7. 小熊孝次

    小熊政府委員 もちろん予算の裏づけがなければいけないのでございまして、国会議決をいただきました予算範囲内で、しかも相手国政府との間で正式の文言、公文書をもって約束した場合に限って行なわれる、このように考えております。
  8. 石野久男

    石野委員 外国との間に文書ではっきり約束したものということになれば、いわゆる条約とか国際約束というものでございまするが、この国際約束というもの一はどういうものなのですか。
  9. 小熊孝次

    小熊政府委員 条約は御承知の通りでございますが、国際約束というのは広い概念でございまして、一般協定といわれるようなものがこの中に入るわけでございます。
  10. 石野久男

    石野委員 国際約束という言葉は、その内容は非常に広範にわたるものであろうと思いまするから、ただいま御答弁になりましたように、ただ国際協定だけを内容としておるものであるかどうか、その点はっきり一つ聞かしておいていただきたい。
  11. 小熊孝次

    小熊政府委員 協定一つの例でございますが、いわゆる文書交換公文と申しますか、そういうものも一応約束には入ると考えております。
  12. 石野久男

    石野委員 この国際約束というのは、言葉意味というか、その内容範疇というものは非常に不明確だと私は思っておるのです。今の答弁によると、協定または交換公文だというふうになっておりまするが、その他にもまだ国際約束というものがあるのですか。これははっきりしておいていただかないと、この法律が通過しましたあとで、この法律目的とするいろいろな作業が次から次へ出てくるわけでございますので、この際一つ国際約束というものはっきりした法文上の解釈を聞かしておいていただきたい
  13. 小熊孝次

    小熊政府委員 ここで申しております国際約束というものは「条約その他の国際約束」と書いておりますから、国際約束範囲の中には条約がまず第一に入るわけでございます。それからいわゆる協定交換公文、その他正式に国の間におきまして文書によりましてはっきりその意思内容が相互拘束的に合意されておるところのもの、こういうふうに解釈しております。
  14. 石野久男

    石野委員 今政府がそういう国際約束内容として考えられるものというのは、具体的にはどういうものがございますか。
  15. 小熊孝次

    小熊政府委員 ただいま問題になっておりますものは、インド中小企業センターでございまして、これは小規模工業のための原形製造及び訓練センター設立に関する協定、こういう題名になっております一つ協定でございます。その他、現在進行中のものといたしましては、タイの電気通信センターとか、それから。パキスタンの農業センター、それからセイロンの漁業センター、イランの工業センター、マラヤの木工センター、こういうふうに調査団派遣段階のものもございます。調査団がこれから行くというものもございます。それから現に協定案につきまして交渉中のものもございます。
  16. 石野久男

    石野委員 条約その他の国際約束ということになりまするから、今お話しになったのがいわゆる協定というか、交換公文というようなものによるものであろうと思うのですが、条約というものになると相当たくさんあるだろうと思います。で、この法律ができました場合に、今日まである条約経済協力なり技術協力というものの含まれておるものは、すべてこの法案の適用と関連性を持って効果的に出てくるものであるかどうか、ということについての政府考え方を伺いたい。
  17. 小熊孝次

    小熊政府委員 効果的な経済あるいは技術協力というものを実施いたします際におきまして、条約その他の国際約束というようなものが必ず出て参るかどうかという趣旨かと思いますが、これは、少なくとも相手国政府対象として考えます場合には、必ずそういうものが出てくべきものであるとわれわれは考えております。少なくとも国対国の間の単なる一方的な実施ではございません。少なくともある程度の拘束性を持って実施する以上は、そこにはやはりそういう約束というものが正式な文書の形で出て参らなければいかぬだろう、このように考えております。
  18. 石野久男

    石野委員 ただいまの御説明だけを聞いておりましても、この法案がねらっている対象になる事案というものは非常に広範にわたるように思います。特にこの国際約束ということが法律の中に書かれました場合に、その内包される事案はどういうものであるかということについて、あまりぼうばくとしているものだから解釈がしにくいわけです。従って、法制局とかなんとかでの国際約束というものの規定などを、はっきりこの際聞かしておいていただきたい。法案を通過さすにあたって、政府の見解をはっきりしておいて  いただきたい。
  19. 小熊孝次

    小熊政府委員 御参考までに、ただいますでに締結されましたインド政府との間の小規模工業のための原形製造及び訓練センター設立に関する協定につきましての内容を申し上げましたら、大体この約束内容が御了解願えるのじゃないかと思いますので、簡単に申し上げますが、小規模工業のための原形製造及び訓練センター西ベンガル州の一定の個所に設立する。そして、センターはどういう仕事をやるかというようなことをまず規定するわけでございますが……。
  20. 石野久男

    石野委員 そういうことじゃなしに、そういうこまかい具体的なことよりも、国際約束そのもの法律的解釈なり規定的なものを明確に御答弁願いたい。
  21. 小熊孝次

    小熊政府委員 先ほど申し上げましたが、国際約束と申しますのは、条約協定あるいは交換公文、その手段はいろいろございますが、そのような、一定文書によりまして両政府がお互いに拘束を受けるところの合意をしたところの文書、こういうふうに私は解釈しております。
  22. 石野久男

    石野委員 国際約束は両者が拘束的に合意をされたところの一つの話し合いのものである、こう理解いたしましたが、それの適用されるものは、ここでは「外国政府または国際連合等に対して」、こういうように書かれております。従って、その内容となるのは、わが国の外においてということだけではなくして、結局、わが国の中においてもというか、国の内外において、外国政府または国際連合等に対して譲与しまたは譲渡するというように理解してよろしいのですか、この法案が成立した場合。
  23. 小熊孝次

    小熊政府委員 この法律文章から申しますと、これは国の内外ということは別に問題にしておらないわけでございます。むしろ約束の当事者であるところの相手方に対しまして譲与できる、あるいは時価よりも低い対価で譲渡することができる、こういう規定でございますが、ただこの法律そのものはいわゆる財政会計法規でございますので、実際の運用につきましては、もちろん海外経済及び技術協力という趣旨からいたしますれば、やはり外部の経済開発地域に対しますところの開発、こういうことでございますので、そういう趣旨からいたしますと、主として外国内において行なわれる場合が多いかと存じます。
  24. 石野久男

    石野委員 主として外国において行なわれる場合が多いけれども、やはりわが国国内においても、これに適用されるものが出てくる場合があるということですね。
  25. 小熊孝次

    小熊政府委員 そういう場合は実は考えておらないわけでございますが、法律文章から申しますと、極端に申しますと、外国政府日本の領土内において何か特定技術の研修をやるというようなことが考えられるかどうか、こういう問題だろうと思います。しかしながら、そういうことは普通考えられないので、そういう場合は、いわゆるコロンボプラン等におきまして、普通の場合は外国から研修生を受け入れまして、そうして日本施設を使って実施する、それについてかかったいろいろな経費を見てやる、こういうのが実際行なわれておるわけであります。主としてそういう形でなしに、今回は、外国の領域内におきまして、向こう土地とか家屋とかを提供する、こちらは機械器具というようなものを据えつける、それを向こう譲与いたしまして、向こう管理責任のもとにおきまして、もちろんこちらから技術者派遣いたしまして、そうして一定期間向こう技術者の卵というようなものの養成をはかる、こういうような形になることを考えながら、こういう規定を設けたわけでありますが、これは、先ほど来申し上げておりますように、一つ権限規定でございますので、実際問題の運用としては、もちろん国会議決を得ました予算措置範囲内におきまして、そうしてまた具体的な点につきましては、行政府といたしましていろいろな点を十分配慮いたしまして実施して参る、こういうことになるだろうと思います。
  26. 石野久男

    石野委員 御説明によりますと、主として技術者養成云々と言っておるけれども、技術者養成そのものは、国の予算とかいうものは微々たるものであって、特に財政法第九条による国の財産を譲渡するというような場合になりますれば、技術者よりもいわゆる固有の財産ということになってくるわけでありますから、従って物の動きというものが当然出てくるわけです。説明のように、ただ技術者養成のためにこの法案を作るということだけじゃなかろう、こう思うわけです。従って、国外におけるところのそうした国の財産に相当するようなもの、そういうものはどういうものなんですか。
  27. 小熊孝次

    小熊政府委員 技術者養成のためと申し上げましたのは一つの例でございますが、まあついろいろな場合があるかとは考えられます。ただ、その場合におきまして、あるいはこういう点を御疑問になっておるかと思います。国の財産がありまして、それを、経済技術協力のためということで、この法律によりまして他国に譲渡してしまう、こういうことがありはしないかという問題だろうと思うのでありますが、主としてこれは物品しか対象になりません。要するに経済及び技術協力のために必要な物品を譲渡するというような場合には、必ずこれは予算に計上いたしまして、そうして新たにそれを国内で調達いたしまして、そうしてそれを無償譲与する、こういう格好になるかと思います。それですから、その予算できめられた範囲外におきまして譲与するというような問題は出てこないと思います。予算で買いましても、これを他国政府に対して無償譲与するのには、財政法九条の規定に基づきまして法律が必要なわけでございまして、これがまさにこの法律に該当するわけでございます。
  28. 石野久男

    石野委員 物品無償貸与及び譲与等に関する法律というのは別にあるわけです。それによりますと、無償貸与及び譲与内容なるものはさまっているわけです。その法律とこれとの関係はどういうふうになるのですか。
  29. 小熊孝次

    小熊政府委員 先生のおっしゃいますように、物品無償貸付及び譲与等に関する法律というのがございまして、これによりますと、普通の経済的な場合におきますところの、主として国の内部におきますところのことを中心にしました物品無償譲与及び貸付規定が設けられておりますが、この中で、第二条で申しますと、たとえば第三条の第三号には、「教育試験研究及び調査のため必要な物品を貸し付けるとき」、こういう場合には無償で貸し付けることができるというような規定があるわけです。ただ、無償貸付でなしに、無償譲与または譲渡するという場合といたしましては、第三条でございまして、第三条第三号によりますと、「教育試験研究及び調査のため必要な印刷物写真その他これに準ずる物品及び見本用又は標本用物品を譲渡するとき」、こういう規定がございます。従いまして、教育、それから試験研究調査というような、貸付目的のところは同じでございますけれども、その譲与しあるいは貸し付ける対象といたしましては、貸付の場合は一般的にできるようになっておりますが、譲与のときはその対象が制限されておりまして、印刷物だとか写真とか標本とか見本用物品、こういうようなものに限定されておるわけでございます。それは軽重の差があるわけでございます。こういうことになっておりまして、こういうような現行法に対しまして、経済及び技術協力のためには物品としてはそういう見本用とか何かという段階では考えられないものを外国政府あるいはその機関等譲与するわけでございます。あらためて、財政法の九条に基づく法律といたしまして、この根拠規定を設けたいというのが趣旨でございます。
  30. 石野久男

    石野委員 この法律によって国内または国外外国政府もしくはその機関国際連合等に対して譲与あるいは貸付するというようなものの中には、それに供給されるべき需品または工事関係というようなものもあるのですか。
  31. 小熊孝次

    小熊政府委員 先ほど来申し上げましたように、土地とか家屋建物、これは向こうが提供する、こういうことになっております。こちらの方は、その中へ据えつけますところの機械器具類、まあ据えつけますから、固定しますと、一体となってそこの不動産になるという場合もございますが、こちらから持っていって据えつけるのは機械あるいは器具類でございますから、これは動産類、そういうものが主体になって考えられるわけであります。だから一般工事費的なものは向こうの負担、こういうことでございます。
  32. 石野久男

    石野委員 もう一度お尋ねしておきますが、その工事費的なものはこの法案範疇ではないということですね。
  33. 小熊孝次

    小熊政府委員 ちょっとお答えが適当でございませんでした。ここで考えておりますのは物品だけでございます。たとえば、御質問の趣旨に沿うかどうかわかりませんが、向こうの現地までの運搬費というようなもの、これは、運搬して持っていくというのは予算措置だけでできるわけでございます。財政法規定しておりますのは国の財産、こういうことになっております。国有財産とか物品というものについて、無償譲与する、適正な対価なくして譲渡するということを原則として禁止しておりますので、ここで例外を設けますの、物品という具体的な財産だけにつきましてこの特例を設けておる、こういうことでございます。
  34. 石野久男

    石野委員 物品だけだということになれば、こちらから向こう物品を持って行って、それを据え付けるという場合のその据付費とかいうものは、これは工事費の中に入ると思いますから、それは入らないだろうと思います。しかし、具体的に申しますと、たとえば何か試験機械を、物品向こうへ譲渡するまたは貸付するということが出てきて、それを日本から持って行って据付などをこちらからする。その場合に、工事が完了したものを向こうに貸し付けるという場合があり得るのか、ただ持って行く素材なり製品なりだけをこの法律規定するのであって、そういう向こうでの据付費とかなんとかいうものは、かりに日本の工事会社がやったとしても、それはこの法律の適用の中には入らないのかどうか、そういう点を一つ……。
  35. 小熊孝次

    小熊政府委員 ここでこの法律対象となっておりますのは、あくまでも必要な物品でございます。物品につきましては、先ほどちょっと触れましたが、これは個々の具体的な協定相手国との取りきめの場合によっていろいろニュアンスは差異があるかと思いますが、その物品につきましては、これは国内で調達いたしまして、向こうへ持っていく運搬費や何かは、これはまた向こうとの具体的な取りきめで、向こうの到着地まではこちらの負担である、それ以後は向こうの負担である、こういうような取りきめもできるわけでございます。そういうような取りきめができますと、これはあくまでも予算範囲内で、そこの運搬費はこちらが持つ。極端に言うと、場合によっては、若干技術的な見地から、こちらの人が向こうの方へ行ってどうしても据え付けなければならぬという場合もあるかと思いますが、そういうような場合には、その据付費もこちらの負担とするかあるいは向こうの負担とするか、これは向こうとの交渉でございますし、またかりにこちらでやるといたしますれば、こちらの予算措置範囲内でやるわけでありますが、それにしてもこれは協定に基づく債務負担でございます。この法律対象となっておりますのは、もちろん同じ予算でございますが、予算で購入しましたところの物品につきましての譲与、あるいは時価よりも低い対価での譲渡ができるということの特例だけが対象になっております。あと必要な経費というものはもちろん要るわけでございますが、そういうものにつきましては、これは予算範囲内において日本の国が負担をしていく、こういう格好になるわけでございます。
  36. 石野久男

    石野委員 政府は、この法律案実施される場合に、どのような事業計画なり、これに適応する計画を持っておられるか、この際一つ説明していただきたい。
  37. 小熊孝次

    小熊政府委員 三十四年度におきましては先ほど申し上げた通りでございますが、さらに三十五年度の予算におきましても、アフガニスタンであるとか、ブラジル、マラヤ、タイ、インドというようなところに対しまして、各種の技術センターを設置していく。たとえば、アフガニスタンでございますと、農業機械、家内工業技術センター、あるいはブラジルでございましたならば、中小企業技能技術センター、またマラヤでございましたならば、土木技術センター、タイであれば畜産技術センターインドであれば機械技術センター、これは予定でございますが、こういうものを一応予定いたしまして、所要の予算措置も講じておるわけでございます。
  38. 石野久男

    石野委員 この技術センター関連する予算というものは、三十二年度以降ずっとそれぞれの年度に予算をとっておられるようであります。三十三年度、三十四年度の予算はどういうふうに使われてきておるのかということについて、この際一つ説明していただきたい。
  39. 小熊孝次

    小熊政府委員 三十三年度の予算につきましては、これははなはだ申しわけないわけでございますが、相手国との話し合いというものがなかなか進みませんので、三十四年度に繰り越しておるわけでございます。それで、二十四年度は、初めは通産省についておりましたが、その後三十四度年におきまして外務省と通産省に計上いたされまして、そしてその後も鋭意努力して参ったわけでございますが、先ほど申しましたように、今年の初めにインドとの交渉がまとまりまして、それに関連いたしましてこの無償譲与という関係法律もあわせて提出する必要があると存じまして、この法案を提出したわけでございます。一応ある程度——これは相手国の要望とかいろいろなことがございまして、国が相手でございますので、なかなか進捗しなかったという点があるのでございますが、先ほど申しましたように、鋭意調査団派遣したりして調査をしておる、あるいは協定の交渉をしておるというのが現在の段階でございます。
  40. 石野久男

    石野委員 三十三年度は予算をとったけれども使わなかった。三十四年度も、実際は取りきめができてないから、具体的にはそう使っていないのだろうと思うのでありますが、そうなんですか。
  41. 小熊孝次

    小熊政府委員 先ほど申しましたインド関係につきましては、これは協定がもうすでに締結されまして、今すでに実施段階に入っておるわけであります。それからマラヤは木工のセンターでございますが、これは近いうちに妥結の見込みになっております。
  42. 石野久男

    石野委員 この予算は、援助してやるというような形で技術協力のために使う金としては非常に大きな、今までにすでに五億六千万くらいのものが、三十三年度、四年度でつけられておるわけです。それは使わないままに、インド等はすでに協定ができ、マラヤが近いうちに協定ができるのだ、こういうお話でございますが、外務省、通産省がそれぞれこういう予算を持っているということについて、それぞれの省にはそれぞれのまた目的があるのだろうと思いまするけれども、外務省関係、通産省関係はその予算をどういうふうに使うことにしておるのか、この際一つ簡潔に御説明願いたいい
  43. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 通産省で技術センター関係予算をいただいておりますのは、これは主として機械関係の将来の輸出に寄与するために、日本機械を現地において運転をし、また現地の技術者養成する、それによって日本機械になじみを持たせるということが目的でございまして、そういうふうに貿易並びに経済交流に将来役立つであろうというふうな運用をいたしたいという、そういう念願でやっておるわけであります。
  44. 石野久男

    石野委員 通産省は、そういう技術者養成向こう機械の輸出をはかるために、また運転技術養成をさせるためにということで、今までに具体的にはどういう国々にどういうようなことをやってきたのですか。
  45. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 通産省の予算といたしましては、三十三年度と三十四年度にありまして、それの目的地といたしましては、先ほどお話に出ましたインド西ベンガル、それとマラヤ。インドにつきましては機械センター、マラヤにつきましては木工センターという二つでございます。先ほどお話に出ましたように、西ベンガルにつきましては協定もできまして、本年中に約七千万円程度の支出になろうかと思います。引き続きまして来年度に完成をするということになっております。マラヤにつきましては、いまだ相手国の事情がございまして交渉が妥結いたしませんが、それも近く何とかなるということで、鋭意折衝に努めている段階でございますが、何分にも相手方はいまだ各般の事情が整っていない国でございまして、なかなかこういうような話もわれわれが思うように円滑に参りませんので、相当時日を要しておりますが、その点はしんぼう強く折衝を重ねておるわけでございます。
  46. 石野久男

    石野委員 予算は十分にとっておるのだけれども、そしてまたいろいろと各国に対しても計画も持っておるけれども、相手国との間の話し合いがスムーズに進まないという理由はどういうところにあるのですか。
  47. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 インドにつきましては、これは双方の努力によりましてできましたが、マラヤについて申し上げますと、やはり国内事情——向こうの方でも予算を要します事情、あるいは向こうにおけるいろいろな産業開発の順位の中で占める技術者養成の順位というふうなもの、そういうふうなものがおのおのの特殊事情がありまして、また国内態勢もいろいろ反対派があってみたり、そういうことでなかなか思うように向こうの態勢というものができないということが、おくれている原因でございます。
  48. 石野久男

    石野委員 相手国国内事情や予算的な問題があるから容易にできないんだということになりますと、日本でこういう法律を作って予算を組んでみても、なかなかそういう協定を前進させることができにくいことになってくるのですが、その際それを前進させるための何か別途な方法の考え方政府にはあるのですか、どうですか。
  49. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 この点は、低開発地国を相手にいたします経済協力技術協力におきましては、ある程度やむを得ないものでなかろうかと私たちは考えております。どういたしましても一つ一の交渉をいたしますのに二年くらいはかかってしまうというのは、向こうの事情から見てやむを得ないのではなかろうかということでございまして、もちろんこれを打開する方法は、もっぱらこちらが努力するという以外になかろうかというふうに考えております。
  50. 石野久男

    石野委員 この法案は、先ほどのお話によりますと、いろいろとそういう話し合いをしていく場合に、相手国の中の政治事情があったり、あるいはまた、利害関係とは言わなかったけれども、向こうの中での、いろいろなそういう問題についての反対派があったりと、こういうお話でございました。そうしますと、その反対派というのは、政治的な反対とか、あるいは事業上の反対とか、いろいろな問題があるのだろうと思います。そういうことをもう少し具体的に話していただきたい。
  51. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 私たちが仄聞いたしておりますのでは、マラヤにつきましては民族的な問題もあるように聞いております。そこでは華僑、印僑、それにマラヤ人というふうな勢力分野の問題も若干からんでいるように聞いております。大体そういうふうな事例がそのほかにもあろうかと思いますが、いろいろ現地にはあるというふうに、これは仄聞しておるところでございます。
  52. 石野久男

    石野委員 この法律は、いわゆる国際的な条約とかあるいは約束によるところの案件について適用されるということになっておるのですが、これを譲与または貸与する場合には、これは必ず政府機関ということにして、向こう物品を購入するということになったり、あるいは貸付を受けるということになったりするのですか。相手方は、国を通じて、やはり個々の企業体がそれの貸付を受けたり譲与を受けたりするということになるのですか。そういう点はいかがでしょう。
  53. 小熊孝次

    小熊政府委員 これはあくまでも相手国政府あるいはそのうちの特定機関というものを相手にして、譲与あるいは時価より低い対価で譲渡することにしておりまして、政府を通じまして民間の法人なりあるいは個人というものに渡るということは、これは考えておらないわけであります。
  54. 石野久男

    石野委員 外務省の方はおいでになっておりますか。
  55. 植木庚子郎

    植木委員長 今呼んでおります。
  56. 石野久男

    石野委員 外務省の方がおいでになっておりますると関連的にお聞きしたいのですが、外務省もまた相当の予算を持っているわけです。この三十四年度、三十五年度のいわゆる海外技術協力なり経済協力に伴って、本法案の適用を受けるべき事業計画なりあるいは予算計画というものが相当にありますにもかかわらず、なかなか進んでないということは、これはやはりわれわれにとって、なぜそうなっているのかということを考えさせられるわけです。パキスタン、セイロン、イラン、タイなどは、それぞれ農業センターなり漁業センターというものを作ろうという予定を持っておりましても、それ—が進んでいない。この見通しの問題はどういうことでありましょうか。本年度中に、こういうような諸国との間に協定が成立し、この法律案を十分に生かして使えるようになり得るのかどうか、見通しの問題を伺います。
  57. 小熊孝次

    小熊政府委員 先ほど振興部長からもお話がございましたように、何しろ人情とか民俗、風俗が違うところでございますので、なかなか折衝に困難を来たしているようでございますが、予算がつき、政府といたしましてもそういう方針で進むということになっておりますので、極力努力をいたしておるわけであります。いろいろな障害に打ち勝ちまして、この予算実施が円滑にできるように努力いたしたい、こう思っております。
  58. 石野久男

    石野委員 こういうようなセンターを各国に設置しようとする場合には、ただ相手国の事情ということだけではなしに、相手国に対する第三国の関係も、十分それに関連性があるのではなかろうかというふうに私は思います。私、先年東南アジアをずっと歩きましたときに、たとえばここにありますセイロンの漁業センターのごときは、確かにカナダと競合しているはずです。カナダの方も、やはりあそこで漁業の指導なり何なりをやろうということで出てきている。そうしますと、セイロンの方は、日本の漁撈法を受け入れるか、それともカナダのものを受け入れるかということで、やはり問題があるのではなかろうか、こう思いますが、そういうような点での各国との間にせり合いというようなものはあるのか、現状まであったのかどうか、そういう点を一つ伺います。
  59. 柿坪精吾

    ○柿坪説明員 せり合いというほどのものは今まで経験しておりませんが、できるだけ各国おのおの特色がある分野において協力するのが妥当かと思われるのでありまして、インド機械の場合におきましても、御存じのように、インドにはドイツからも機械センターがございますが、ドイツの場合は工作機械センターが主としてきておりますということでやっておりますので、当方といたしましては、鋳造あるいは産業機械というような方面のセンターを作るということで、おのおのの国の特色を生かした協力をいたすということで円滑にいっております。話は各方面からあろうかと思いますが、そういう場合どちらを選択するがということは、相手国の判断に待つわけであります。今まで当方のものと話を進めて、そうして乗り気になっているものにつきましては、外国から話があるとは聞いておりませんが、ありましても当方のものを選択するであろう、こういうふうに考えておるわけであります。
  60. 石野久男

    石野委員 予算は外務省と通産省だけに組まれておりますけれども、たとえば農業センターとか漁業センターというようなものは農林省関係になるものじゃなかろうかと思うけれども、これは別に農林省関係でも予算として組まれてないのですが、この予算はどういうふうになっておりますか。
  61. 小熊孝次

    小熊政府委員 今までの経緯から申しますと、機械関係でございましたので、初め通産省に組んだわけでございますが、その後農業とかあるいは電気通信とか、いろいろな各省にわたるものが出て参ったのでございます。従いまして、窓口を外務省一本にいたしまして、外務省に計上する、こういうことにいたしたわけでございます。
  62. 石野久男

    石野委員 この法律は、最初に私がお尋ねいたしましたときにお答えがありましたことですが、条約または国際的な約束ということになって参りますと、経済協力技術協力による条約なりあるいは国際的な約束というのは非常にたくさんあります。特に今政府が批准を求めております「日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約の締結について上という法案中の第二条の規定は、経済協力規定しておるわけです。この経済協力規定しておるところの中で、「条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定上の第十二条は、「合衆国は、この協定目的のため又はこの協定で認められるところにより日本国で供給されるべき需品又は行なわれるべき工事のため、供給者又は工事を行なう者の選択に関して制限を受けないで」云々ということが出ておるわけです。この場合の改定されようとする第二条に基づく経済協力、こういうものとの関連性における本法の関係はどういうふうになるのかということについて、政府説明を聞きたいと思います。
  63. 小熊孝次

    小熊政府委員 ただいま先生のお話にございました安保関係経済協力と、この経済及び技術協力のための必要な物品無償譲与しあるいは時価よりも低い対価で譲渡するということとは直接の関係がない、われわれはそういうふうに解釈しております。
  64. 石野久男

    石野委員 ただいままでの説明を聞いておる範囲においては、確かに関係はない。だけれども、この法律案それ自体は、そういう構想がどこにも出ておりはしない。従って、法案そのものの字句のままで解釈していきますと、条約の中には安保条約も出ておるし、安保条約中の経済協力問題は、またそのままこの条約にも当てはまってくるわけです。そういうことですから、今法規課長が言われたようにだけには理解できないのですが、その点はどうなんですか。
  65. 小熊孝次

    小熊政府委員 これは今までの私の答弁の中で一応触れておりますが、これは財政会計法規でございまして、主眼とするところは無償譲与しあるいは時価よりも低い対価で譲渡するという財政法第九条の特例が主眼でございますが、その前提としての経済及び技術協力のための必要な物品についてのことでございます。財政会計法規につきましては主として実際の運用でございまして、今のところそういうアメリカとの関係などということは全然考えておらないわけでございまして、一応具体的にどういう形で技術センターというようなものに対する今後のわが国の協力関係が出てくるかということで、ここで考えていますのは、やはりはっきりした国際約束がなければいかぬということと、外国政府もしくはその機関または国際連合もしくはその専門機関でなければいかぬということを条件といたしまして、財政法の九条の特例を設けることが趣旨でございます。ただいま御質問のありましたようなことは全然考えておらないわけでございます。
  66. 石野久男

    石野委員 政務次官にお尋ねしますが、今法規課長は、会計法規の前提法律というような形で、この法律はできているのだということですが、しかし法律案そのものにはそういう前書きも何もないわけです。これは明らかに経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律案であって、別に会計法規上云々というようなことはちっとも書いてない。従って、改正されようとする安保条約二条との関係は、今法規課長が言われるようにだけには理解されないので、当然やはり安保条約第二条の経済協力の問題とこの関連性というものは出てくると、こういうふうに理解すべきではないかと考えるのですが、それはどうでしょう。
  67. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 お答え申し上げます。  今までの答弁にもありましたように、この経済及び技術協力のための必要な物品外国政府等に対する譲与等につきましては、主としてイン下、パキスタンその他の東南アジアに対する一物品の供与でありますから、日米間の安保条約とは何らの関係はございません。
  68. 石野久男

    石野委員 次官はそう言うけれども、この法律案にはどこにもそういうことは書いてないですよ。
  69. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 法律案としては相手国を明記してはございませんが、しかしその相手国にこういう物品を供与する場合に、条約あるいはその他の約束をきめ、それに基づいて出す。その条約約束というものは、今からまだきめられませんから、特定国を書いてないだけで、予定としては東南アジアであって、決してアメリカなどにそういうことを今考えておるわけではありません。
  70. 石野久男

    石野委員 今次官はそういうふうにおっしゃるけれども、この法律案は別にそういう前段文句も何もありませんし、附帯的な限定規定も何もありません。そうすると、安保条約に伴う合衆国軍隊の地位に関する協定では、こういうふうに書いてある。「現地で供給される合衆国軍隊の維持のため必要な資材、需品、備品及び役務でその調達が日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て、調達しなければならない。」と書いてある。こういうふうな調達をする場合には、当然日本の国の政府なり権限のあるところが出ていって、そうしてアメリカの軍隊に協力するわけです。こういう場合が出てくるわけです。従って、その協力の場合に、ここにも書かれてあるように「権限のある当局を通じて又はその援助を得て、調達しなければならない。」ということの中へ、この譲与等に関する法律案が入ってくる可能性は出てくる。今あなた方は予想しなくとも、この法律案はそういうように利用できるわけです。関係はないということは言えないですよ。その関係はどういうふうに政府はお考えになっておりますか。
  71. 小熊孝次

    小熊政府委員 ただいま先生のおあげになりました条文は、わが国におきますところの特需の調達につきまして、わが国経済界に悪影響を及ぼさないように配慮するという、むしろ向こうの方の義務的な考え方でございまして、物をただでやるとかそういうことではございません。そこに日本政府を通じてとかなんとか書いてありますのは、必要があれば、日本の業者に不当な圧迫を加えないように、間接的な調達方法を考えるというようなことも予想しておるのだろうと思いますが、いずれにしても、わが国の業界あるいは産業界に不当な混乱を起こしたり、あるいは不当に圧迫したり、そういうことがないようにする、こういう趣旨でございまして、わが国がアメリカというような国に対しまして無償で物をやるとか、そういうようなことは全然この解釈規定からも出て参らないと考えております。
  72. 石野久男

    石野委員 今上程されておりまする法律案は、経済及び技術協力のため必要な物品外国政府等に対する譲与等に関する法律案です。いわゆる経済協力なり技術協力というものを通じて、そういう譲与が行なわれるということです。安保条約は、われわれの理解によれば、明らかに軍事協定だ、軍事同盟だというふうに理解されるのですが、それはともかくとして、安保条約の第二条の規定は、日本国とアメリカとの間の経済協力規定しているわけです。そういうことをずっと引き継いで、アメリカ合衆国軍隊の日本における地位に関する協定というものの中には、今私が読み上げたように、アメリカ合衆国軍隊の維持のために必要な資材を日本で調達しようとする場合に、それがなかなか日本の国で調達することが困難である場合、あるいは日本国の経済に悪影響を及ぼす場合には、日本の国の政府の権力をもってそれを調達する、こういうふうに書いてあるわけです。その調達の仕方の中には、むしろ代金を支払って調達する場合もありましょうけれども、いろいろな経済的な事由で調達がきわめて困難であり影響が大きいという場合には、国の財産なり何なりを貸与し、あるいは譲与するということが出てくる可能性は予想されるわけです。今上程されておるこの譲与等に関する法律案は、どこにもそういう可能性を排除することの規定は何もありません。従って、この法律案とこちらの日米安保条約協定との関連性はそこでは出てくるし、それを断ち切るというものはどこにもないわけなのだから、当然関係は出てくるとわれわれは予想するわけなのです。今おっしゃられるように、全然関係はありませんと言うけれども、これは一般的な法律規定であって、別に会計法規を前提とする云々というようなことは、説明だけではあるかもしれないけれども、六法全書の中に書かれてくれば、そんなことはどこにも出てきはしない。だから、そこのところをはっきり政府の見解を知らしてもらいたい。
  73. 植木庚子郎

    植木委員長 石野委員に申し上げますが、外務省の担当の政府委員、また説明員の都合がつきませんので、大蔵省の主計局の外務省の予算担当の主計官が来ております。便宜一つよろしくお願いします。
  74. 小熊孝次

    小熊政府委員 ただいま石野委員の読み上げられました地位に関する協定の条文は、これはあくまでも調達するというのはアメリカ軍が調達するわけでございまして、それにつきましていろいろなトラブルがないように、また必要があれば日本国が援助するというのですが、援助するというのは、日本政府日本の負担において調達するということではないのでございまして、それはあくまでもいろいろあっせんしたりなにかする、こういうような趣旨でございます。物品無償で渡す、すなわちわが国の財政負担で向こうに渡すというような趣旨は、その条文の規定からは読み取れないと考えておりますので、従いまして、その点におきましては少なくとも関係はない、このように考えておるのであります。
  75. 石野久男

    石野委員 アメリカが買うという場合には、もちろん日本の財政負担はないということは当然なんです。しかし、この合衆国の軍隊の地位に関する協定の第十二条では、こういうふうに書いてあるわけです。日本国の経済に不利な影響を及ぼすおそれがあるものは、日本国の権限のある当局との調整の下に、また、望ましいときは日本国の権限のある当局を通じて又はその援助を得て、調達しなければならない。」と書いてあるわけです。ここでは調達ということだけになっておりますけれども、その調達が非常に困難な場合には、譲与という問題が出てくることが予想されるわけです。だから、この調達が非常に困難な場合はそれで打ち切るのかというと、そうじやなかろうと思うこの法案自体はそれでなにしますけれども、この法律案が出てくれば、譲与しあるいは貸与するということは、この法律案ででき得るのです。だから、この法律案関連性はあるわけです。それがまた経済協力なんです。従って全然関係はないというふうには読み取れない。もしそういうふうに全然関係がないということを政府が言おうとするならば、この法律案の中にどこか明記されるべき規定を挿入すべきだ。はっきりと技術センターなら技術センターだけを使うというようなことが入っておれば、それは政府の言うようにわれわれは理解できるけれども、この法案自体から見れば、これは一般規定で、どこにもあなた方の説明されるようなことは書かれていないわけですから、たれが読んだってそういうふうには読み取れないだから、私は、やはり安保条約が予想しているように、日本国で調達困難である場合には、日本の権力まで使って調達をしようとしているのだから、われわれがその権力を使って、アメリカの金で買うことがどうにもできぬという場合に、日本の国が買い上げて貸与することができるわけです。それが経済協力になる。そういう道が開かれているというふうにわれわれは予想するわけです。その関係はどうですか。政府は明確に答えてほしい。
  76. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 これは政府の意図するところを率直に認めていただければ、そういう誤解は起こらぬのじゃないかと思う。と申しますのは、政府としては、先ほどの政府委員の御答弁にもありますように、東南アジア方面に経済並びに技術協力をいたすために必要な物品外国政府等譲与したい、それがほんとうの目的です。しかし、それに対しては、財政法第九条の規定があって、適正な対価を受け取らなければ国の物品というものは譲与してはならぬという規定があるから、それを排除する意味でこの法律案が出た。それはもう少しはっきりと東南アジアのどの国にどうするということを規定すればいいけれども、しかし、そういう法律の書き方はできませんから、今御説明申し上げたような法律案になっておるわけです。しかし、それをもう一つ今度は飛躍して、日米安保条約と結びつけて御議論なさいましても、これは政府としてはどうも水かけ論になるように思いますので、今の御質問では、頭から政府の意図というものをお認めにならずに議論を進めていこうとなさるのじゃなかろうと思うのですが、いかがですか。
  77. 石野久男

    石野委員 私は政府説明されていることの意味がわかればわかるほど、この法律案の書き方というものは、私の理解をするような意味での解釈をしなければならないことになって参りますから、そこに行き違いが出てくるわけです。そういう意味ならば、この法律案を明確に東南アジアなら東南アジアとか、低開発国との経済協力なら経済協力というふうに頭から入れれば、これは安保条約や何かにかかるとは思いません。しかし、この法律案経済及び技術協力のため必要な物品外国等に対する譲与と書いてある。これは一般的な規定ですよ。だから、ここには安保条約によるところの経済協力というものを排除する何ものも書いてない。安保条約を排除するということがどこに書いてありますか。
  78. 奧村又十郎

    ○奧村(又)政府委員 東南アジアと明記しろとおっしゃいますが、そういたしますと、また近ごろの国会の審議のように、「極東の範囲とは」というような議論になりますから、そこまではっきりせずとも、現在の政府の案でやって差しつかえない、かように思うのと、また何もすでに全部確定したわけではありませんので、この法律に基づいて、また各国との話し合いも進めるわけでありますから、その意味においても、はっきりしたことは書きにくいので、今提案のような内容になっておる次第でございます。
  79. 石野久男

    石野委員 はっきりしたことは書きにくいので、今提案のようななにになっておる。——しかし、この法律案は国民全般が受けなければならないところの法律案ですよ。奥付政務次官と私とだけの話し合いでこの法律案を作って、二人だけでこれを認めればいいというものじゃない。この法律案は、学校でもってやれば学校の教科書にもなるのだ、六法全書の中に書かれれば、だれが読んだってこういうように読むのです。その場合に、経済協力という言葉は完全に安保条約の第二条——これは奧村政務次官は読んでいるだろうと思うのです。この第二条には、はっきりそう書いてある。「締約国は、その国際経済政策におけるくい違いを除くことに努め、また、両国の間の経済的協力を促進する。」と書いてある。この「経済的協力を促進する」ということの意味において、安保条約一つ目的を持っているわけなんです。そういうものが今批准されようとしておる。それとこの今提案されておるところの譲与等に関する法律案との関連性をどこで断ち切るということが、この法案のどこに書かれておりますか。ちっとも書かれておりません。この法案一般的に見れば完全にこれにくっつくものです。ただ、あなた方の説明書を読んでおれば、それはそうでないということはだれかがわかるかもしれないが、そんなことは限定見解であって、ちっとも一般的なものに適用されません。だから、この点ははっきり関連性について政府は所信を明確にここで述ぶべきだと思います。
  80. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 議事進行について。  政府説明を聞けばわかりますが、法律案そのものはどうにでも解釈できるような案文です。従ってちょっと手を入れたらどうかと思うのです。従いまして、五分ほど休憩して、ちょっと理事会を招集してほしいのです。
  81. 植木庚子郎

    植木委員長 ちょっと速記をとめて。     〔速記中止〕
  82. 植木庚子郎

    植木委員長 それでは速記を始めて。
  83. 石野久男

    石野委員 ただいまの安保との関係についての問題はいろいろと私ども危惧を持っておりますので、これは一つ政府もよく考えてもらいたい。外務省関係の問題で、外務省がおいでになってないそうですが、この法律案ができて、技術協力なりあるいは経済協力をするために、海外技術センターを設置することについての外務省関係が担当しておる部面における事業計画といいますか、そういうものについて一つ説明を願いたい。
  84. 田代一正

    ○田代説明員 外務省関係技術センター計画は、二十四年度の予算におきまして一億一千万でございます。そのうち一億九千万はいわゆる技術センターでございまして、あとの二千万が巡回医療車ということに相なっております。この中で、技術センターにつきましては、タイの電気通信訓練センター、イランの工業技術センター。パキスタンの農業技術センター、これは一カ所、セイロンの漁業技術センターが一カ所、計五カ所の計画になっております。ただいまのところでは、タイの電気通信訓練センター、それから。パキスタンの農業技術センターにつきましては、かなり話が進んでおりまして、おそらく今月中には話し合いがつくのではないかというような段階にきております。なおイランとセイロンにつきましては若干おくれております。おそらくことしの五月か六月ごろに相なる、かように考えられるわけであります。
  85. 石野久男

    石野委員 そのような計画は総括的に諸外国技術提携をいたします場合に、わが国政府の側からしますると、そういうものの協力をさせる当事者というものは、外務省なりあるいは通産省なりが直接それに関係をするのですか、それとも、日本国内におけるところの機械メーカーとか、あるいはその他のそれに関係する業界の方々が直接それに関係をするのですか、その点はどういうふうになるのですか。
  86. 田代一正

    ○田代説明員 この技術センターの設置につきましては国内におきましては関係各省、たとえば通産省とか農林省とかいう省と外務省とが話し合いをいたします。対外的な折衝という問題になりますと、これは外務省の在外公館が中心になって折衝に当たるというチャンネルで現在やっております。
  87. 石野久男

    石野委員 為替局長にお尋ねしますが、こういうような技術センターを各所に作ろうとする場合には、先ほど通産当局の方からもお話がありましたように、各国におけるその国内事情によって、いろいろと反対のものがあったり、あるいは向こう予算的な関係があったりして、なかなか話がまとまりにくいということがありますが、貿易自由化の問題に関連して、低開発国のために相当な基金を作るわけであります。そういう基金とこのセンターを作るための予算との関係はどういうふうにお考えになっておられますか。
  88. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 多分、おっしゃることは、今度の予定されております海外経済協力基金とか、そういうような資金の使い方と、このセンターとの関係というふうなことだろうと思います。基金等でいたします場合には、これは主として東南アジア地域におきまして一応投資、融資ということになるわけでございます。ただ、その場合に、非常に厳密な意味で商業ベースというのではありませんけれども、相当危険がありますけれども、一応プロフィタブルな事業である、あるいはその事前調査であるというようなことに限定されております。従いまして、サービス・センターのごときものは、先ほど柿坪振興部長がお話しになりましたように、今後の日本機械なりその他のプラント輸出の基礎になる技術でございますので、いわばその下地を作る意味で、プロフイタブルということでなくて、両政府間でそういう予算を計上しまして、譲与なり計画なりでやるということになります。この基金なり何なりの方は、一応具体的なプロジエクトに対する貸付なり融資なり投資というものを中心にいたしておりますので、そちらの基金や何かの方でこういう仕事をするという予定はございません。
  89. 石野久男

    石野委員 海外におけるところのそれぞれの技術センターを作る場合に、各国の予算措置がやはり非常に困難であったり、また不足をしたりしている場合に、せっかくこちらで作ったこの予算措置をもってするいろいろな施策が伸びないということになりますると、それを伸ばすためにも、あるいはその為替の問題からくる、たとえば円為替とか何かを通じて現地通貨の問題も出てくるだろう。そういう問題との関連性の中で、この技術センターをなるべく早く各国との間に話をまるく進めていこうというようなことが出てくるのではなかろうか、こういうふうに私は思いますけれども、そういう関係はどうなりますか。
  90. 酒井俊彦

    ○酒井政府委員 後段にお話しになりました現地通貨の問題、それは、今の日本の国力からいいまして、現地通貨でやれるかどうかということは非常に疑問でございます。なお検討は要しますけれども、そういう面で、円為替云云というのと現地通貨と若干ニュアンスが違います。  前段の問題でございますが、これは、やはり日本としましては、世界各地にこれから重化学工業品の輸出、それも投資なり相手国の工業開発をしていかなくちゃならぬ、そういう場合に、残念ながら日本はまだ機械なり技術なりというものが世界的に通ってない。そういう面で、日本品の優秀さを認めさせるという意味と同時に、受け入れ側の国も、さっきお話がありましたように、主として低開発国、そういう意味で、これを使いこなす能力というものがまだ欠けていることがあるのではないか、そういうものをやはり早く訓練しておきませんと、これからそういう機械類その他を伸ばそうといたしましても、受け入れ下地がまだできない。そういう意味で、このセンダーができるだけ早くできるということは非常に望ましいことでございます。貿易自由化と直接関係はございませんけれども、その基盤としてそういう地域の受け入れ能力を作って、同時に日本機械その他に対する評価をしていただくという二つの意味において、非常に早くまとまることをわれわれは希望しております。
  91. 石野久男

    石野委員 けっこうです。
  92. 植木庚子郎

    植木委員長 ただいま議題となっております二法律案のうち、臨時受託調達特別会計法を廃止する法律案に対する質疑はこれにて終了いたします。     —————————————
  93. 植木庚子郎

    植木委員長 本法律案に対しましては討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ることといたします。  採決いたします。  本法律案を原案の通り可決することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  94. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、本法律案は原案の通り可決いたしました。  なお、ただいま可決いたしました本法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  95. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次会は来たる十七日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時四十一分散会      ————◇—————