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1960-03-03 第34回国会 衆議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三日(木曜日)     午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 植木庚子郎君    理事 足立 篤郎君 理事 小山 長規君    理事 坊  秀男君 理事 山下 春江君    理事 山中 貞則君 理事 佐藤觀次郎君    理事 平岡忠次郎君 理事 廣瀬 勝邦君       荒木萬壽夫君    押谷 富三君       加藤 高藏君    鴨田 宗一君       黒金 泰美君    田邉 國男君       塚田十一郎君    濱田 幸雄君       古川 丈吉君    細田 義安君       毛利 松平君    石野 久男君       石村 英雄君    加藤 勘十君       神近 市子君    久保田鶴松君       栗林 三郎君    堀  昌雄君       横山 利秋君    松尾トシ子君  出席政府委員         大蔵政務次官  奧村又十郎君         大蔵事務官         (主税局長)  原  純夫君         国税庁長官   北島 武雄君  委員外出席者         大蔵事務官         (大臣官房財務         調査官)    大月  高君         大蔵事務官         (主税局税制第         一課長)    塩崎  潤君         大蔵事務官         (銀行局保険課         長)      中嶋 晴雄君         大蔵事務官         (国税庁税部         長)      白石 正雄君         大蔵事務官         (国税庁間税部         長)      泉 美之松君         大蔵事務官         (国税庁調査査         察部長)    竹村 忠一君         専  門  員 拔井 光三君     ――――――――――――― 三月一日  委員神近市子君及び堀昌雄辞任につき、その  補欠として猪俣浩三君及び河野正君が議長の指  名で委員に選任された。 同日  委員河野正辞任につき、その補欠として堀昌  雄君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員小山長規君及び進藤一馬辞任につき、そ  の補欠として堤康次郎君及び塚田十一郎君が議  長の指名委員に選任された。 同日  委員堤康次郎辞任につき、その補欠として小  山長規君が議長指名委員に選任された。 同月三日  委員猪俣浩三辞任につき、その補欠として神  近市子君が議長指名委員に選任された。 同日  理事小山長規君同月二日委員辞任につき、その  補欠として小山長規君が理事に当選した。     ――――――――――――― 三月二日  日本専売公社函館工場設備拡充に関する陳情  書(第二〇二号)  所得税法の一部改正等に関する陳情書  (第二八七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  理事の互選  参考人出頭要求に関する件  酒税法の一部を改正する法律案内閣提出第二  八号)  税制に関する件      ――――◇―――――
  2. 植木庚子郎

    植木委員長 これより会議を開きます。  理事補欠選任についてお諮りいたします。  理事でありました小山長規君が、昨二日委員辞任されましたので、理事が一名欠員となっております。この補欠選任につきましては、先例により委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。  それでは、委員長において理事小山長規君を指名いたします。      ————◇—————
  4. 植木庚子郎

    植木委員長 参考人出席要求の件についてお諮りいたします。  ただいま本委員会において調査をいたしております為替自由化に伴う諸問題について、参考人出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。なお、参考人の人選並びに出席日時等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 植木庚子郎

    植木委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇—————
  7. 植木庚子郎

    植木委員長 酒税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の通告があります。これを許します。佐藤觀次郎君。
  8. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 酒税法の一部を改正する法律案に関しまして若干の質問をいたします。まず最初に、現在の税金の中で特級酒一級酒、二級酒の税金はどういうような額になっておるのか、ちょっとそれをお伺いしたいと思います。
  9. 原純夫

    原政府委員 特級一級、二級の税収額で言いますと、三十五年度の予算で見込んでおります額が、特級が三十六億百万円、一級が百四十四億五千七百万円、準一級が三十三億三千九百万円、二級が七百十七億九千四百万円、百計しまして九百三十一億九千百万円、こういうふうになっております。
  10. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 今度準一級ができるのですが、それは前の三十四年度と比べて税収に大きな変化があるかどうか。
  11. 原純夫

    原政府委員 税収には変化がないという見込みでいたしております。と言いますのは、今の三十三億三千九百万円の準一級は、一級酒よりも安く、二級酒よりも高いわけで、この石数が約一万八千キロリットルでありますが、これが全部、それがなければ一級酒であるものが、準一級に下がるとしますと減収を来たすわけです。ところが、それがなければ二級酒であったであろうものが、準一級に上がってくるのがやはり相当あって、そして両者トントンになって、税収としては増減なしというふうに見込んでおります。大体ただいま申しました一万八千キロリットルの約四割五分くらいが上から下がってくる、五割五分くらいが下から上がっていくというふうなことで、トントンになるというふうに見ております。
  12. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 酒団法のときにもいろいろ問題がありましたが、税金が高過ぎる、酒を飲んでいるのか税金を飲んでいるのか、わけがわからぬというような非難があるわけですね。そこで、日本より生活程度は高いけれども、たとえばフランスとか西ドイツとかいう外国に比べて、日本の酒の税金は高過ぎはせぬかというような非難があるのですが、その点はどういうように考えておられるのか。主税局長にお尋ねします。
  13. 原純夫

    原政府委員 おっしゃる通り、酒の税金相当高うございますけれども各国との比較では、やはり各国とも、だんだん社会保障あるいは軍事費等の重圧もあり財政の需要が非常に多いので、酒、たばこという、いわゆる一番嗜好度の強い消費品目については、各国とも相当に重い税を課しております。今お話しの酒につきまして各国の工合を見ますると、なかなか比べ方がむずかしいのですが、日本は、清酒二級で小売価格の中に税が四割一分七厘人っている。米国では、ウイスキーを代表的なものと見てやりますと、五割九分七厘、約六割かかっておる。フランスでは、コニャックをとりますと三割三分、英国ウイスキーをとりますと——英国ウイスキーでしょうが、六割五分前後、西独が、ビールは安いのですが、リキュールが二五、六%ということで、フランス西独がちょっとなんですが、これは品物の取り方にもよりますし、大体米英に比べますとそう高くもない。たばこあたりでも、各国とも、小売価格に対する負担が、アメリカだけ五割よりも低いですけれども、その他は大体六割、七割、日本は六割四分ですが、七割をこえておる国もかなり多いという状況でございますので、確かに重いことは重いと思いますが、国際比較においてはかなり例の多いことだと思っております。
  14. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 税金を取る専門家の方ですから、むろんそういうデータをとっていると思いますが、イギリスとかアメリカというのは、日本生活程度がずいぶん違いますし、日本収入の平均何倍もとっているのですから、そういう比較をされるあなたの考えは甘いと思うのです。そこで、私が地方へ参りまして感ずることは、どうも戦後女の人の需要関係がありますが、洋酒とかビールとかいうものは相当消費がふえたのですけれども、酒だけは、そこに泉さんも見えますけれども、大体戦前の七割から八割程度になったのではないかと思うのです。これは、主として酒の税金が高いから酒を飲まぬ、酒の需要は非常に多いけれども、酒の税金が高過ぎるから酒が伸びないという非難があるわけです。これは米の関係もありまして、そういう面を抑制する面もありますけれども、何といっても酒の税金が高過ぎるから、一般洋酒とかあるいはビールなんかの比率のようにふえないという非難があるのですが、その点はどういうふうになっておるのか、原さんに伺いたいと思います。
  15. 原純夫

    原政府委員 非常にむずかしい問題でありまして、酒類それぞれの相互の間の税負担の軽重がどうかという問題であります。非常にむずかしい問題でありまして率直に申しますと、戦中、戦後の作れば売れるという時分は、どんな酒でもどんどん飛ぶように売れたわけなんで、あまり苦労しなかったわけです。しかし、だんだん需給状態が変わって参りまして、酒の供給もかなり豊富になるということになりますと、やはりそこに競争が起こるというようなことで、その競争にからまりまして、税が重ければ重い荷物を背負って競争するということになりますから、いろいろ不平も起こるということになります。しかしながら、今お話しビールとか雑酒、特にウイスキーというようなものの伸び方考えますと、これは単純に静的にだけ見られない。やはり戦争ビールウイスキーというものが日本国民の間にたしなまれていた程度というのは、ごく都市的な先端的なところにだけ消費がやっと始まったというところだったわけです。それが今都市からだんだん全国に広がる。また、社会一般生活様式というようなものも、当時と現在とではだいぶ違ってきていると思います。従いまして、これがどの程度そういう税負担の差によるのかというあたりは、なかなかむずかしいわけであります。そのほか、税負担のバランスをきめるのに、論者によりましては、アルコール度の高いものと低いものとをよく考えて、低いものには軽課しろという議論があるのですが、そういう見地からいきますと、ビールなんというものは、世界でアルコール分一度当たりの税がこれほど高い国はおそらくないと思います。非常な高税率になっている。それでも、今言ったような消費実情からいってどんどん伸びているというようなわけで、非常にむずかしい、問題であります。  私どもも、冒頭に申し上げましたように、このむずかしい問題に四つに組まなければならない時代にきたというので、これは一昨々年あたりからいろいろ資料を取り出して検討を進めております。まだ結論を得るに至っておりませんが、検討を進めておりまして、今後なお調査会の研究の一環としてそれも検討されるだろうと思います。今にわかにここで、私は、清酒は税が重いから伸びないのだということもちょっと申し上げにくいが、伸び方を申しますと、大体酒全体の伸び方とちょうど並行した伸び方清酒伸びているというのが事実なんです。酒は大体国民消費資金がふえる度合いとほとんど並行して伸びておりますが、清酒はちょうどその線で伸びておるというのでありまして、清酒伸びが悪いということではないのです。ビールウイスキーが非常に伸びがよくて、しょうちゅう、今成酒あたり伸び悩んでいるというのが実際の状況です。
  16. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 原さんは税金が安いように思っておられるかもしれませんが、密造酒の問題もあるわけです。私は、昨年九州で、特に島原あたり密造酒が非常に多いところで、税務署長さんの苦労も聞きましたが、これはもちろん習慣でやっている密造酒の面もあろうと思いますけれども、何といっても酒の税金が高いから密造酒が作られるということなんですが、その点の最近の情勢はどうなっておるのか、その報告をお聞きいたしたいと思います。
  17. 北島武雄

    北島政府委員 最近の密造推定量でございますが、これはもちろん正確なことはわかりませんが、毎年いろいろな方法で推算いたしておりますが、昨年あたりは約九十七万石程度、こういうふうに考えております。もっとも一番密造の多かったときは昭和二十五年でございまして、この年は三百万石をこえる密造があったものと推定されておりますが、その後酒税の減税をやりましたときに、大幅に密造は減退いたしております。それと酒の出回りが多くなったというようなときは、だんだん減って参りまして、最近では百万石を割っておると思います。
  18. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 百万石といっても相当の数ですが、今それに対してどういう対策を講じておられるのか。また、これは現在危険な仕事でもあるし、いろいろ現地でも話を聞いておりますが、その点について、今後百万石なら百万石の密造酒があることは何とかしなければならぬと思いますが、その点はどういうふうにお考えですか。
  19. 北島武雄

    北島政府委員 密造には大体二種類ございまして、一つ集団密造一つ農村密造です。前者の集団密造は、従来三国人を中心とする密造が非常に多かったのでございまして、これには警察の力も相当借りないと密造取り締まりができないという状況であります。これは警察と提携いたしまして、反復集団密造検挙をいたしております。  それから、もう一つ農村密造、これはなかなか取り締まりがむずかしいのですが、密造矯正組合を作らせまして、自発的に、できるだけ農村の中から、密造は悪いことだという観念を植え付けてそしてじわじわと矯正していく、こういう方法をとる。それから特に日に余るのは検挙ということもいたしております。これがために、全国酒税関係に従事しております職員が、約二千五百人ですか、国税局及び税務署に配置されておりまして時々局と連携をとりながら取り締まりに当たっております。
  20. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 そういう点についても十分に今後取り締まりをしていただきたいと思うのです。  それから、今度酒団法もいよいよ適用されるわけで、奥村さんは酒団法は詳しいから私は奥村さんには質問しませんが、マル公の撤廃の問題はこれからどういうふうになっていくのか。御承知のように、非常にいいメーカーはどんどん栄えていますけれども、私の愛知県なんかには小さい酒屋さんが相当たくさんあるんです。そういうような傾向になると、いい酒は売れるけれども地方の銘柄の弱いやつはどんどん倒れていくんじゃないかというように心配しておるんです。その対策をどういうふうにされておるのか。原さんでも泉さんでもいいです。
  21. 泉美之松

    泉説明員 お話のように、酒類業組合法改正が成立いたしましたので、私どもといたしましては、できるだけ準備を早くいたしまして、基準販売価格中心といたしました新しい価格制度に乗り移るように、業界を指導していきたいと考えております。その際に、業者の中に不安動揺があるようなお話でございましたが、その点は、必ずしも価格制度変更ということによるだけでなしに、先ほど主税局長からもお話がございましたように、一時に比べて酒の需給相当ゆるんできた。幾らでも作れば売れておった時代から、供給が円滑になりまして、販売相当努力しないと売れにくくなってきておる、こういう情勢変化に伴う要素が多いのでございます。従って価格制度変更ということよりも、そういう需給関係から生じておりますので、価格制度だけでこれを措置するというわけにいきません。従って、私どもも、清酒中央会と協力いたしまして、相当そういう努力をしても売れないという業者は、これを企業合同あるいは共同びん詰といったような企業対策を講じまして、そういう業者を救っていくというふうな方向努力いたしております。今後ともそういう方向に向かって努力いたしたい、かように考えておるわけであります。
  22. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 この弱い酒屋は、これは酒屋だけの罪でなくして、やはり戦争ということで企業整備なんかが行なわれて、自分のたるだとか機械とかいうものを売ったために、非常に大きな打撃を受けて、戦後ようやく復活して、細々とやっておるという現状でございます。酒屋といえば、昔はいなかでは有力者、金持ちの階級であったけれども、このごろは必ずしもそうでない。そういう点を勘案して、それらの酒屋も十分やっていけるように、今後とも御努力いただきたいと思う。  それから、もう一つお尋ねしたいのは、私は去年外国へ行ったんですが、日本の酒がやはり出ている。大体特級酒だと思うのですが、二千七、八百円で出ているんです。日本の酒が外国へ売れることは、ちょうど外国ウイスキーだとかその他のものを日本で買えると同じように、いいと思うのですが、そういう場合に、税金が高いので、こういう高い値段につくんじゃないかと思う。その点どういうようにお考えになりますか。また外国へ現在輸出されるような酒はどんなものであるか。概略でいいですから、ちょっとお尋ねしたいと思います。
  23. 原純夫

    原政府委員 酒は外国で二千七百円に売れているというお話でございますが、特級が出るという前提でいたしましても、特級酒小売価格でこそ千七十五円ですけれども製造者の原価は二百五十円くらいです。メーカーが出すとしますと、酒税はもちろん輸出面でかかりませんから、あと輸入国の方で先ほど申したような税がかかる。これらも、今申しましたように、ウイスキーを例にとると日本よりも税が一、二割高いところがある。清酒の場合はどうなりますか。そう大きな違いはなかろう。関税がダブってかかる向きがあると思いますので、それだけ高くなると思いますが、おそらくコストの関係からは、今伺ったような値段ができれば、やれないことはないのじゃないか。運賃その他もちろん要りますけれども、そういうふうに思います。特にこれは国税庁の方のなんでございますが、政府側としては、だんだん供給が豊富になってきたのを考えますと、やはり輸出については大いに努力をして、日本外貨獲得という意味でがんばってもらいたいという気持で、業界にもやってもらっております。輸出数量は三十三年の実績数字で三万八千石という数字がございますが、過半、おそらく七、八割は沖縄向けビールが占めておる。この面ではまだ相当努力すべき問題点があるのじゃないかと思っております。
  24. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 もう一点、合成酒の問題です。だいぶんこのごろ合成酒の進んだのができてきたのですが、これもだいぶ税金が高いという非難があるのですけれども合成酒及びしょうちゅうのことについての税金の率あるいはそれらについて、このままでやっていけるのかどうか。その点ももう一点伺っておきたいと思います。
  25. 原純夫

    原政府委員 まず税率を申し上げます。合成酒は、一キロリットル当たりでありますが、八万七千五百円。これは一升に直しますと、百五十七円五十銭ということになります。そしてしょうちゅうは甲類で申しますと新式しょうちゅうで、乙類は米しょうちゅうでありますが、甲類で二十五度ものといたしますと、キロリットル当たり七万九百円、一升で百二十七円六十二銭、こういうことになっております。  これらの酒類伸び状況でありますが、合成酒はやはり一番伸びが悪いという状況であります。ここ数年大体ほかの酒は何とかある程度伸びておりますが、合成酒は横ばいということでございます。しょうちゅうは酒合成酒との間くらい、若干ずつは伸びておりますが、伸びがやはりそうよろしくないというようなことに承知いたしております。  従いまして酒類相互の間を見ます場合に、やはりこの二つの酒類はかなり問題であります。特に合成酒につきましては、昨年の秋以来、それを補うといいますか、そのためにいろいろなことをやってほしいという議論が出まして、その一つとしてあげられております級別廃止を今回お願いしてそうして一級、二級と、それも二級は九九%以上二級であるのを、もう級別廃止して、合成清酒は一本で売らそうというようなことになってきております。なお、合成酒、しょうちゅうはそうい状況にありますこともあって、移出数量、毎年の庫出数量についてかなり強い協定をやっております。これは先ほどお話し酒団法に基づきます数量協定でありまして、これはここ数年かなりがっちりやっております。役所側もこれに積極的に協力して移出数量協定が円滑にいくようにということで、いろいろ努力をいたしております。なお、問題がいろいろあると思いますが、今後なお検討して参りたいと思います。
  26. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 最後に一点、要望やらお尋ねをしたいと思うのですが、酒が一升三百円ぐらいだったら相当売れるだろうということは酒屋さんの意見なんです。今度準一級ができて安くなるのはけっこうですが、これに二級の下に三級のような準二級なんというものを作って、そういう方法でやっても酒税収入は減らぬのじゃないかと思うのですが、そういう点についてはどういうようなお考えを持っておられるかということと、もう一つは、これは先ほど泉さんからもお話がありましたが、私たちは、酒の自由販売になるようなことになれば、相当混乱が起きはせぬか、小さいのは相当倒れていくのじゃないかという心配が一つあるのですが、こういう点についての見通しをどういうふうに持っておられるのか、この二点をお伺いして私の質問を終わります。
  27. 原純夫

    原政府委員 第一の、二級のまた下に三級なり準二級なりを作っても、安く売ればどんどん売れて減らぬだろうというお話でありますが、これはなかなかむずかしいことだと思います。安いのが出ますと、ある程度消費伸びるということは事実ですけれども、安くした分だけを完全にカバーするような伸びは、どうも今までの実績ではないのです。今までは、大体安くしても国民消費する金額は変わりない。同じ金を出して酒は飲む。しかし、結局安くした分だけはまるまる税が安くなったのですが、それを飲まれましても、飲んだ酒は一部分が税ですから、その一部しか返らぬということが大体のようでございます。いろいろほかの事情にもよる場合があると思います。大体そんなようなことに承知しております。  それから、マル公廃止自由販売というような趨勢において、酒屋さんが苦しみ、またつぶれていくということについての考えはどうかということでありますが、これは確かにそういうような傾向がないわけではないと思います。しかし、半面、これは表と裏から見ていただかなくちゃいけないので、逆の方から見ますと、戦争中、戦後を通じて、酒の業界は、免許制に基づく権利、それからマル公に乗っかった価格の統制というようなことで、いわゆる自由競争による合理化、それから消費者への奉仕というようなところがどうも欠けやすいじゃないかということがいわれてきました。従いまして、私どもとしては、やはり酒屋さんもできるだけ経営を合理化し、また消費者にサービスをするような素地は作りたいということから、業界の安定を乱すという気持は毛頭なくて、業界の安定はもちろん保っていきたいのでありますが、それはやはり二元的に考えて、両者の調和を、その時々の経済、社会実情に応じて、はかっていくことだろうと思ってマル公というようなことで、これ以上高く売りませんというはずの値段が、これ以上安く売りませんというようなインチキはやめよう、それからまた、権利あたりにしても、あまり権利が高くなるというようなことは、結局それが回り回って消費者負担になるというようなことになるから、そういうこともよろしくない、そうかといって、権利を全然なくしてしまうこともなかなかむずかしいので、その辺はやはり重い酒税をしょっておりますので、業界の安定をはかりながら、自由競争合理化の方針を入れていきたいというので、大へんのらりくらりの答弁で恐縮でありますが、自由販売的な方向にいっても、酒屋がほんとうに困ってしまうということにはしないつもりで、その間をうまく縫っていきたい、こういう気持でございます。
  28. 佐藤觀次郎

    佐藤(觀)委員 ちょっと希望だけ——。一千億からの酒の税金をとらせて、酒屋さんに負担さしておるわけですね。これは税務署にしたら大へんなことなんです、人員を使って。そういう点で、反対給付とは言わぬけれども酒屋さんに対して、国税庁なり国がどういう考えで処していかれるのか。この点は、私たちの県にも相当酒屋があるので、彼らは相当主張するわけです。これだけ税金を納めさしてもらっているのだから、何らか温情がほしいというような声があるわけです。そういう点についてどういう見解を持っておられるのか。せめて、この税金相当国の方へ納める——間接的には税務署の役割をしておる酒屋さんに対して、もう少しあたたかい気持で報いてやる必要がないかというふうに私は考えておるのですが、その点はお考えになっておるのですか。
  29. 原純夫

    原政府委員 その点は全然同感でございます。
  30. 植木庚子郎

  31. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 酒税法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、消費者の立場から主税局長質問いたしたいと存じます。  昨日の各紙に発表したので、わが党の税制改革要綱はごらんのことと思いますが、作成の担当者としまして痛感したことは、従来所得税——大法人については、それが直接税であるだけに国民の関心も深く、従いまして各党とも相当の研究をし、政府においても、きわめて消極的ではありまするが、これらのわれらの主張に追随、応諾してきたことは認めるところであります。社会党の提示いたしました標準家族四十二万円の非課税限度の実現をもし見るならば、生活費には課税すべからずとの命題は、一応達成せられるわけであります。事がここまで運びますと、この課税最低限の引き上げによって何ら恩恵を得られない国民大衆の生活のレベル・アップは、税制の上からは当然消費税の減税に向けられてこなければならないわけであります。現在国民生活の重圧となっている間接税のうち特に怨嗟のまととなっているのは、酒、たばこ、砂糖の消費税、それに足を引っぱるガソリン税等々であります。わが党が今回税制改革要綱であえて酒税を取り上げたゆえんは、それが国税の三本柱の一つであり、かつその金額も二千二百五十億円に上る大衆重課の頂点をなしておる消費税であるという事実からであります。とりやすいものからとるというイージーゴーイングな政府の官僚的な感覚からしますならば、にわかに消化することのできない提案かもしれませんが、因襲にとらわれず、虚心に声なき大衆の声として聞いていただきたいと存ずるのであります。もとより、政府といたしましても、今回、清酒についてみれば、小売価格六百五十円のうち税額三百三十三円九十銭、つまり税率約五〇%にとどまる清酒一級の設定によりまして、また合成清酒級別を廃して二級ベースで課税をするということによりまして、実質上の減税に手を染めたのでありますが、その企図はさらに深く広く大衆につながるところの酒税一般に及ぶべきものであると考えるが、この点について政府の所見はどうであるかお伺いしたいと思います。
  32. 原純夫

    原政府委員 両三年前までは、直接税、間接税の負担のバランスにつきましては、やはり間接税はむしろ若干がんばってもらっても直接税を軽減しなければなるまいということで、ずっときておりまするし、また最近の税制調査会等においてもそういう意見が強い、世間でもそういう意見が強いと思います。今ちょうど国税は専売益金を含めまして両者半々になっておるわけですが、そこのところをただいま御分析になって、直接税のかからない人たちには間接税を軽減して、そうして可処分所得といいますか、それをふやす、そうして税負担を減らすということにしたいということが中心お話でありますが、確かにそういうお考え一つ考えであると思います。しかしながら、だんだん国民の所得がふえて参ります場合は、税負担の推移はどうなるかというふうに考えますと、所得税のかかる人、かからない人等を一応対象にして考えると、所得税のかかる人は、所得がふえると所得税の負担がふえていく。これは累進税率ですから、負担の割合はふえてくるということになります。所得税のかからない人たちは間接税を負担しておる。間接税は累進ではなくて、消費がふえればふえますけれども、大体所得がふえるほどは負担はふえないというのが、客観的に見たところだと思います。そういう見方をしますと、やはり負担がよけいになるのは所得税納税者の方だ、というようなことにもなるわけです。また第二に現状でいいかどうかということを考えますと、やはりまだ所得税、法人税というあたりでいろいろ重いという感覚の人たちもおられるわけです。  で、今申したように、国民所得の伸びを見ます場合に、よりよく多く伸びていくのは直接税系統であるということになりますと、やはり直接税、間接税のウェートは、どちらを減税していくかということになると、直接税のふえていく分は減税しろというような議論相当強いわけであります。その点は、数年前のような、もうはっきりした直接税中心に減税するのだということでもない事態にだんだん入りつつあると思いますけれども、なかなかむずかしい問題だと思います。今回の調査会でも、また累次の調査会懇談会等でも、何度となく議論されておるところでありますが、私どもとしては、何と申しますか、ただいま申しましたような事情で、かなりこの辺はデリケートで、一がいにどちらということは言いかねるというふうに思っております。従いまして、酒税税率一般的に減税する第一歩を今回印したのだというふうにお考えになりますと、ちょっと違うので、今回のは、やはり酒税税率更正の中で、清酒、その中での特級一級税率区分というあたりに非常に無理があるのを直していく。幸い、いなかの相当な作り酒屋さんでは、どうも二級ばかりじゃさびしいというようなことがあって、準一級ができれば作ろうというなにがあるので、それにふんばってもらって、税収を減らさぬでいこう、こういう次第でございます。
  33. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 えらく小さいところに逃げ込まれましたけれども、私のきょう言わんとすることは、実際の税制改革要綱というものを作っていろいろ討議してみますと、所得税等につきまして、課税最低限をかなり上に設定することができれば、この問題は一応終幕したと言わないまでも、ある程度ピリオドが打てるところだと思ったのです。ところが、課税最低限とあまり関係ない層が日本には多いわけでして、そういうことになりますと、消費税そのものをやはり見直していかなければならぬ。こういうことから、何が高いということで、酒税はその頂点をなすものであり、こういうところから、今回の党の税制要綱にこれをうたったわけです。そこで、今大衆一般に及ぼすべき第一歩として、この法律案を出してきたのじゃないとおっしゃいましたけれども、その議論議論といたしまして、われわれの立場からもう少し論議し御質問したいと思いまする  いずれにしましても、清酒あるいは合成酒につきまして実質上の減税が企図されたことは事実であります。そこで、次に酒税総額二千二百五十億円のうちの約四割ですか、八百八十余億円になるところの大衆飲料のビールが当面問題になってくると思うのです。百二十五円の小売値段を基準として、五六%に当たる七十円十四銭の重課をあえてして大衆収奪を行なっているこの現状を政府はどのように考えていますか。先ほど、佐藤委員からの、外国における酒にかける税金についての質問に対して、酒税局長は比較的都合のいいデータを出しましたが、とにかく外国と比べてわが国の酒税が高いことは間違いないのでありまして特にビールにつきまして五六%の重課をあえてしている現状を、はたして妥当とお考えかどうかをお聞きしたい。具体的にビールについても税を下げる意図があるかどうかをまずお聞きしたい。二番目に、下げるとすればいつから下げるのか、こう聞きますと、主税局長の方は、税調の答申を待って善処したいと答えるでありましょうけれども、結局税調はあなた方のスピーカーみたいなものですから、あなたの方において三十六年度に考慮するのかどうか、具体的にお伺いをしたい。第三番目に、もし議員立法として提案があった場合は、三十五年度もこれを検討し、いれるのにやぶさかでないかどうかもお聞きしたい。以上、三点についてお答え願います。
  34. 原純夫

    原政府委員 いずれも難問でございまして、あまり歯切れよくお答えできないのでありますけれども、第一のビールに対する税率でありますが、先ほど申し上げましたように、酒税税率は、酒類別の相互関係という面になりますと非常に問題が多いと思っております。そこにおいて、ビール税率は特に両様の面で問題が多いということを先ほど申したわけです。国民の保健というような見地からいえば一番度数が少ない。従って健康的だという見方もできるわけです。そういう見地から見ますと非常にビールは高いのです。ところが、反面消費伸びというようなことから言いますと、それだけ度数的には高い税率をしょっていながら、ビール伸び酒類の中で第一等の伸びを示している。時期によって雑酒伸びがオーバーしたことはありますけれども、特徴的なのは、ビール伸びは毎年一五%をこえる伸びを堅実に続けておる。そういうような見地から、この議論をする人は、いやそれだけ売れているのだからいいじゃないかという議論も出てくるわけです。私、本日この問題についてどう思うかというようなことは、まだ結論が出ておりませんと申し上げるほかございません。まっ正面この問題に取り組み、他の酒類税率とのバランスを考えて、将来どういう方向に持っていくかということをだんだん考えなければならぬということで、鋭意検討いたしております。従いまして、次の下げる意図があるか、いつからやるかということは、なおその上で申し上げたいというふうに思います。(「三十六年度にはどうなのか」と呼ぶ者あり)その上で申し上げたいと思います。
  35. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 ただいまの主税局長の答弁では、これはまだ当分手がつけられない、こういうことであろうと思うのです。だが、かりに来年度において手を染めた場合に、私ども社会党で主張していることが計数的に可能であるかどうか、この点を一つ御答弁願いたい。やるかやらないかはまだあなたの方の腹もきめていないということでありますけれども、かりに社会党の主張している減税が三十五年度において計数的にできるかどうか、このことを御答弁願います。
  36. 原純夫

    原政府委員 今のお尋ねのことは、社会党の税制改革安綱全般ができるかできぬかというお尋ねではないかと思いますが……。
  37. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 そうではない。酒税関係社会党の言うていることです。私ども税制要綱できめた、今の質問の部分についての要旨を申し上げますと、租税の三本柱の一つたる酒税については、政府の行なわんとする準一級酒による実質的な減税のほかに、雑酒につき平均一五%の引き下げをはかり、ビール税現行五六%を五〇%に引き下げ、卸、小売マージンを是正し、かつ小売価格をびん詰百十円、中身百円とするなど、大衆酒一般の減税を考慮する。消費の著しき伸びを見込み得るので、税収にはさしたる影響なし、以上が税制要綱の酒税の項の要旨であります。それにつきまして、政府の方で、これは計数的に無理だと言い切れるかどうか、このことをお伺いしたい。
  38. 原純夫

    原政府委員 最後は、税収増減なくていろいろおっしゃるようなことができますれば、一つのなんでございますけれども、先ほど来申し上げておりますように、雑酒について平均一五%の引き下げをして減収がないかどうかというのは、先ほど佐藤委員のお尋ねにお答えした通り、私どもは減収が出るだろうと思います。ビールもやはり下げれば減収が出るだろう。下げただけで減り切りだとは申しませんけれども、やはり消費の増で全部埋めることはできない。なお、卸、小売マージンを是正し、中身百円、びん付百十円にする、税率を五六から五〇に下げて、卸、小売マージンを是正して——是正というのは卸、小売マージンを上げるというのですが、これでできるかどうか、数字がちょっと私即算ではできませんが、かなり無理がいくんじゃないかという感じがいたしますが、なおよく検討いたします。
  39. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 要綱だけ示して直ちに答えを求めようというのは無理があろうと思うので、私どもの主張をこの際申し上げてます。これで計数的に多少は無理があってもいけるという線が出るならば、できるなら三十五年度、できなくとも三十六年度くらいに考慮してほしい。こういう点から私どもの要綱で示した点をなお敷衍してみたいと思います。  現行は小売価格百二十五円の五六%、すなわち七十円十四銭の税額でありますが、提案は小売価格ビン込め百十円の約五〇%、すなわち現行七十円十四銭から十六円差し引いた五十四円十四銭が一本当たりの税額となる予定であります。すなわち行当たりに直しまして一万五千四百三十円に引き下げようとするものであります。ついでながら販売業者のマージンその他について言いますと、卸手数料配達賃込み現在三円九十銭を四円八十銭に、それから小売マージン現在十円七十銭を十三円二十銭とし、あきビン手数料一円は従来の通り据え置きます。従いまして、生産者手取額は、現在二十七円二十六銭を二十六円八十六銭とし、四十銭引き下げる。ちなみに卸手数料四円八十銭は卸価格九十六円八十銭の約五%、小売マージン十三円二十銭は、小売価格百十円の一二%でありまして、現行の卸、小売それぞれのマージン三・四%、八・六%に対し合理的に増額しているのであります。  そこで、私どもの積算を申し上げますと、石当たり税額一万五千四百三十円をもととしましてやってみますと——三十四年度のビール庫出数量は四十二万石を見込むことができます。三十五年度の自然増が一二%ないし一三%、これに加えますに、ビール消費資金から見て、減税の場合、量においてさらに一二%の増が見込み得られます。すなわち合計三十五年度は二五%の消費増が可能であると判断いたしております、従いまして、庫出数量は四百二十万石の一・二五倍、すなわち五百二五万石となりまして、その税収は、石当たり税額一万五千四百三十円ですから、八百十億円となります。政府の三十五年度ビール税収予算額は八百八十三億円余りでありますから、ビールだけについていえば約七十億円ほどの減収となりましょうが、次年度以降の自然増によって、この減収は穴埋めされるばかりでなく、大きく増徴も期待され得るはずであります。三十五年度の八十億円が、三十六年度において増加率が鈍化して二〇%程度にとどまったとしましても、九百七十億円をこえることとなるからであります。ただ、政府としては、三五年度予算はあくまでも三五年度予算だと言い、七十億の減収にこだわるかもしれませんが、私は、自余の酒類の売れ行きから、酒税総額においては七十億の不足も消し得ることと考えております。たとえば清酒の三十五年度予算は三百九十七万石でありますが、三十四年度ですでに三百八十万石が期待されておりますから、一割増と見て三十五年度は四百二十万石はいけると思います。従いまして、予算石数より、二十三万行という増加を見込むことができるので、清酒の加重平均税率二万二千円として、約五十億円の増収が期待できます。この一事をもってしましても、われわれの提案が不可能とは思わない。政府はどうお考えでありますか。  あと残る問題は、清酒等の増徴分がここでビールによって消されるということでありましょうが、大きな消費者全般の立場からすれば、酒類間の不均衡論のごとき、例の政府のディヴァイド・アンド・ルール方式の反論はこの際要らんことです。今度はビール。来年度ビール税が伸びた場合には、清酒等の税一の方を減らしていくという方法によって、今まであまりにも大衆を収奪した重課を軽減していく。しかも量的に伸びを期待できるので、それによって国家の財政収入は減らない、こういう建前に切りかえるべきであると思います。  こういう私どもの観点から、一応の積算を申し上げたわけでありますが、大体現実に消化し得るわれわれの計算であると思いますので、この要綱による酒税減税の方途につきまして、政府の所見をあらためてお伺いしてみたいのです。
  40. 原純夫

    原政府委員 いろいろと数字がたくさん出て参りましたので、あまり数字をきちんとこなしてお答えするだけの頭が働きませんですが、伺いましたうちで、減税による消費増が一二%くらいあるとおっしゃいましたが、これは、先ほど来申し上げました私どもの今までの実績から出ているルールから申しますと、だいぶ多いように思います。今税率を、一〇〇のうちで五六税であるのを五〇税とするのですから、六だけ下げるわけですから、六%ふえるという前後ならば、これはうなずけると思いますが、一二%ふえるというのは、とてもそんなにはいかないだろうという感じがいたします。  それから、すべての数字をまとめてみないとわかりませんが、卸と小売でマージンを三円四十銭かやそうとしておられる。小売が二円五十銭、卸が九十銭、合わせて三円四十銭ふやそうとしておられる。一方税は、この五六から五〇に下げるということからいいますと、幾ら下がりますか、大体十円も下がるか下がらぬかと思いますが、十六円とおっしゃいましたが、そんなに下がるのかどうか、ちょっと疑問だろうという感じがします。それでビン付百十円で売れるのかどうか、どうも少し無理があるのではなかろうかという感じがいたします。  なお、第三点として、とりあえずは七十億減収になるが、あとでふえるというお話は、実は他の酒類の方々もみな言われるのです。それがよろしければ、いつでも減税できるということで、あとが、かえることはさまっていることなんです。そういうことでやっておりますと、もうあらゆる間接税はあとでふえるから減税しろという一般論が出てきて、それではとても財政はまかなえないという感じがいたします。あまりけちをつけるようなことばかり申してもいけませんが、よく検討してみます。率然と感じましたところを申し上げましたが、急でありますから、あるいは少し間違えて失礼なことを申し上げているかもしれませんが、その点はお許し願いたいと思います。
  41. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 伸び率の点につきましてかなり消極的な御判断でありましたが、実績を見ます。と、ビールにつきまして三十三年度は約三百四十万石でありました。それが三十四年度に至りまして四百二十万石。ですから現実に二四%伸びております。いわんや、今度減税がありますから、私が申しました数字は、自然増の二一、三%のほかに、ビール消費支出から見て、減税の場合は、量においてさらに一二%は完全に伸びるわけなんです。従いまして、二五%というのは決して過大な見積もりではないと私は確信しておる。そのことだけ特に申し添えておきます。そこで、積算の関係もありましょうから、政府の方でよく御検討いただきます。  ここで申しあげたいのは、今まで惰性的にできないんだと政府は頭からきめてかかっておりますけれども、この辺まで数字検討してきますと、現実に減税の可能性が出てくるのです。私どもは政府に一つ刺激を与えるためにこの提案をしておりますが、荒唐無稽ではないはずですから、深く御検討をお願いしたいと思います。  最後に、雑酒について見ますと、この大部分は洋酒でございますが、三十五年度予算で期待している徴税額は百十九億余円であります。第二級がそのうち八十六億余円を占めております。その消費層は若い世代の低所得層が大部分でありますから、減税の要ありと考えております。なお、われわれが検討した際に、高級洋酒について減税の要ありゃいなやが論議されましたが、最近の貿易自由化の趨勢にかんがみまして、洋酒が国際的に競合関係に立つことが予想されるので、外貨節減のためにもあえて区別の要なしとの議論もありまして、一応平均一五%の引き下げとしたいきさつがあります。雑酒税率引き下げを当然のこととした場合に、政府は高級洋酒につきまして減税すべきであると考えているかどうかをお伺いします。
  42. 原純夫

    原政府委員 先ほど来非常にむずかしい問題であると申し上げているこの酒類間のバランスの問題を、さらにその雑酒の中の高級と低い方とのバランスにからめてお尋ねでありますので、ますます答弁がむずかしくなるわけであります。私ども税率検討のためにいろいろ調べました角度が幾つかありますが、その角度の中で、雑酒——これをウイスキーで代表さして特級一級、二級というもののバランスを見ますと、特級一級が、税率は高いけれども伸びがそう悪くないですね。清酒における特級一級伸びの悪さと比べると、雑酒特級一級の方が、その酒の中での相対的な地位ははるかに強いというふうに見ております。だからといって、下げるのなら下の方だけだという、意見になるかどうか。それには、先ほど来申しているほかのアルコール度の問題とか、あるいは消費の場所がどういうところだとか、さらにはやはり酒の品質といいますか、どういう酒の品質のものを日本で多くするかといういろいろな問題がからまりますので、一がいに申し上げかねますので、なおよく検討してみたいと思います。伺いましたことはその際十分参考にさしていただきたいと思います。
  43. 平岡忠次郎

    ○平岡委員 これでよろしゅうございます。      ————◇—————
  44. 植木庚子郎

    植木委員長 次は、税制に関する件について調査を進めます。  質疑の通告があります。これを許します。横山利秋君。
  45. 横山利秋

    ○横山委員 この間の本委員会で、私は、大蔵大臣と北島長官に出席を求めて、いわゆる隠しマイク——納税者の人格をじゅうりんする隠しマイクの問題について、責任ある答弁を求めて保留いたしておりましたが、その御返事をいただく前に、私は、どうしても、それに関連をいたしまして、別なことからお伺いをする必要を痛感いたします。  話によりますと、広島国税局管内の某税務署におきましては、二月の中旬以来、法人税深長を初め、なんと十数名の税務職員がイモづる式に検察され、まさに広島国税局管内においては大動揺を来たし、納税者の心理も、この国税の徴収並びに賦課に対しまして甚大な信頼感を喪失をいたしておるそうであります。私が人手いたしました情報によりましても、このように十数名の税務職員が、上は、前、調査査察の課長をやり、今、法人税課長をやっておる某氏を初め、税務署各課にわたってとことんまで検察をされておるというような状況でありますならば、何をもって課税の公平といい、何をもって税制の正常化というのか。私は、今日の税務行政のあり方について納税者の立場からいうならば、まことに一言語道断だと思うのであります。私が特にこの問題を取り出しますゆえんのものは、今私が問題を出しておりますいわゆる隠しマイク、またいわゆる第三者通報制度、この通報制度の形を変えた密告制度であって権力主義から出ておる、秘密主義から出ておる、こういう判断に基づいておるのですが、そういう権力主義や秘密主義というものがあって、広島国税局のような、こういう甚大な汚職の問題に発展をすると私は確信する。この際、国税庁長官においても、すでに広島における全く汚職きわまるこの事件の実態を御存じかと思いますが、その内容をまず明らかにしていただきたいと思います。
  46. 北島武雄

    北島政府委員 ただいま、広島国税局管内の某税務署、これは倉敷税務署でございますが、この倉敷税務署管内の汚職事件が現在摘発されておりまして、広島国税局現職の課長及び国税調査官、それから税務職員合わせまして十数名の者が現在取り調べを受けております。これは私どもほんとうに申しわけない遺憾なことだと思います。事件の発端は、昨年の十二月に、倉敷のある法人の労務係の人が詐欺容疑でもって取り調べを受けましたことから端を発しまして、税務署に投書したわけでございまして、現在私ども監察官をして検察当局にアプローチさせておりまして、その内容をできるだけ承知するように努めているわけでありますが、現在のところにおきましては、まだ検察方面から詳細な連絡を受けておりません。ただ、聞くところによりますと、国税局の現職の課長は、投書のように約五万円の現金の収受のように伺っております。なおその後の若干のこれに加えての自供があるようであります。このような汚職事件が発生いたしましたことは、まことに私どもとして申しわけないことでもあります。横山先生のおっしゃる通り、このような非行事件の発生は、税務行政の納税者に対する信頼を全くくつがえすもので、私どもといたしましても、従来から綱紀の粛正につきましてはことごとに手配をいたしておりまして、会議のあるつど監督者等を通じまして厳に戒めておる次第でございます。なお、事柄が税務行政というきわめて誘惑の多い行政でございますので、遺憾ながら非行事件が間々発生いたします。私ども非行事件の根絶につきましては全力をあげているわけでございますが、いまだにこのような事件が起きまして、まことに申しわけなく、心からおわびを申し上げる次第でございます。事件の内容につきましては、ただいま申し上げましたようにまだ十分全貌をつかんでおりません。目下盛んに監察官がアプローチしております。その状況によりまして、部内におきましてしかるべき措置をもちろん講ずるつもりでございます。ただいまの広島国税局管内における不正事件につきましての私どもの心境を申し上げまして、御了解を得たいと思います。
  47. 横山利秋

    ○横山委員 政務次官は本事件は御存じでございますか。
  48. 奧村又十郎

    奥村(又)政府委員 私は全く承知しておりません。
  49. 横山利秋

    ○横山委員 私は本事件についての情報をいろいろな角度から入手したのでありますけれども、全くこの種の問題は、発端こそ特殊な問題ではありますけれども、その内容たるや随所にあるがごとき様相であります。たとえば、いろいろな例がございますけれども、某会社の法人税あるいは所得税等の所得査定に手心を加える代償に、税理士から倉敷駅前の食堂で一万円ある税務職員が受け取ったとか、あるいは、某かじ屋さんを一緒に調査した某税務職員は、社長に旅館何々荘とキャバレー何々とで一万三千円の供応を受けたとか、あるいはまた、国税局の法人税課長の某氏は、某会社の法人税に手心を加えてやって五万円いただいたとか、調査官某氏は三万円をもらったとか、また、某税務署長の某氏は、在任中に、株券の名義書換に際して、署員に命じて株価の最も安い時期の価格で計算、贈与税に手心を加えさせて約五百万円低く評価したとか、退職後に某旅館で十万円を受け取ったとか、全くもう、この種の問題の内容を聞いてみますると、言語道断と感ずる前に、こういうことが随所にあるのではなかろうかというふうに判断をされてならないのであります。しかし、私は、この判断の前に、こういうようなことはおそらく地元の商業新聞でも一ぱい載っておるでありましょうし、本委員会で私がやや暴露的ではありますけれども申し上げるゆえんのものは、それによって、この広島管下における納税者諸君が、税についての信頼感を全く失墜をするのではなかろうか、ということが痛感をされるわけであります。私ども、税を担当して、その立法に従事しておる人間たちといたしまして、多少その内容は知っておりますけれども、少なくとも納税者の立場から言うならば、課税というものが公平であり、そんなに手心が加えられるものではないとお互いに考えておるでありましょう。たまたまそういうことがあったにしても、これは全く筋の通った情状酌量であると考えておるでありましょう。しかるに何でありましょうか。本件は、まさに課長初め十数人の税務職員がぐるになって、あるいはまた別々になって、全く任意裁量というような格好でこういうことをやっておるというに至っては、もう話もくそも内容もないのであります。  ただ、私が本件を取り上げて——これは見解の相違になるかもしれませんけれども、私がこの問題を問題にするゆえんのものは、幾つかの角度からであります。第一は、この種の問題がこういうふうに発展をする以前に、一体広島の局長なり広島の監察官というものは、部下にどういう指導をしておったかということであります。一人や二人ならいざ知らず、このように腐敗をいたしましたことに対して、監督責任を免れることはできないと私は痛感をする。第二番目に痛感されることは、私が言いますように、なぜこういうことがそうも起こるのであろうか。これはやはり今なお税務行政に残っておる権力主義とそれから秘密主義がその温床であると私は痛感をする。この権力主義や秘密主義がなくなって、合理主義と科学主義とによって納税者とひざを突き合わせた話であるならば、こういうようなことまでは私は起こらぬと思う。納税者が低い立場で頭を下げて、よろしく頼みます、それじゃ一つやってやろうかというような雰囲気が、この汚職の温床ではなかろうかと痛感をする。第三番目に、この結果として起こる納税者に対する信頼感の喪失というものを、国税庁として、大蔵省として、どういうふうにこれを回復するかという問題がある。以上の三点についてまず御答弁を承りたいのであります。
  50. 北島武雄

    北島政府委員 倉敷税務署におきましてこのような事件が起こりましたことにつきましては、広島国税局の首脳部は非常に心痛いたしておりまして、善後策を講じておる次第であります。税務関係の汚職というのは、ただいま先生がおっしゃったように、権力主義から来たんじゃないか、こういうお話もございます。うなづける点もなきにしもあらずでございますが、しかし、これは、私は、税務行政というものに、かりに権力主義ということが全然なかった場合に、はたして汚職という問題がなくなるものであるかどうかという点につきましても、私は個人的にはまだ疑問を感ずる節がございます。ただ税務署で押しつけがましいことをやるからこういうような汚職が起こるのだ、こういう御意見も、私ども反省としては十分いたさなければならぬ点でございますが、一事が万事権力主義からこういうことが起こったかというと、私は必ずしもそうではなかろうという感じもいたします。これは、納税者の側、税務職員両方からやっぱり大きなモメントがあるんじゃないかと思うのであります。私は長い間役人をやっておりましてよく感ずるのでありますが、私が税務行政をやらなかったときにも、日本人というものは何かを頼もうとすると必ずお礼する、お礼しなければ悪いんじゃないかというような社会通念があるように思います。これは民間であるならば通用するが、役人社会では決して通用しないのでありますが、それが、私ども今までの経験におきまして、頼んだためにできたわけじゃありませんけれども、だれかにものを頼むと、それに対してお礼をしなければならぬ、こういう観念が残念ながら私ども日本人の社会に多いんじゃないか、これは西欧社会とはだいぶ違うんじゃないかと感じております。こういう空気が一つある。  それから、お話のように、やっぱり税務行政というものは何といっても大きな権力を持っております。一担当者の調査のやり方いかんによっては、金額がずいぶん違うものであります。これに対しては、いろいろ牽制の方法も事務的に講じてはおりますが、何といいましても一担当者の力が強い。こういうことから、えてして納税者との間に結びつきができやすいのではないか、こういう感じもいたします。それから、汚職事件につきましては年々減ってきてはおりますが、今から十年前の当時のあの生活の苦しかった時代、この時代においては、汚職事件は、はなはだ残念でございますが、非常に多うございました。最近に至りまして経済情勢が安定し、公務員の待遇も多少なりともよくなりつつある状況でございまして、いろいろ相待って、税務部内におけるいわゆる汚職事件も年々減少いたして参っております。ただときどきただいま御指摘のような事件がぼこっぼこっと起こるわけでございますが、私どもとしてこれが全部とは考えておりません。場合によりますと、氷山の一角じゃないか、こういう感じもすることがあります。従いまして、常に私どもは、各国税局長とともに相戒めて、いやしくも自分の管下からこのような汚職事件が起きないように、常に万全に配意いたしております。制度といたしましては、国税庁監察官の制度がございまして、全国に八十五人配置しております。これが常に非行事件の未然防止と早期発見に努めております。それから、監督者といたしましても、絶えず仕事の運び方を通じ、あるいはまた職員の私生活等の状況も把握いたしまして、いやしくもこのような誤りのないように注意いたしておる次第でございますが、往々にしてこのような事件が起こりますことは、まことに申しわけなく思っております。今回の事件につきましても、その内容がはっきりいたし次第、部内におきまして、もちろん当然何らかの処置をするつもりでございます。
  51. 奧村又十郎

    奥村(又)政府委員 政務次官の立場からお答えを申し上げます。  税務行政の中には権力主義、秘密主義のくせがあるという御指摘でございますが、私、政務次官に就任して国税庁の税務行政を見ますると、御指摘の通り、そういうくせがかなり強いということを私も実は痛感いたしております。しかし、これは、税務行政の性格として、権力がなければそれはなかなか仕事はやっていけぬのでありますが、少なくとも、御承知の通り、賦課課税の制度の時代とは違って、申告納税制度として納税者に権利も義務も負わす、そうして納税者のやったことを、あとから税務官吏が、それが妥当であったかどうか、このような申告納税の制度に切りかえた以上は、なるべくこの権力主義とか秘密主義というものは改めて、できるだけガラス張りの民主的な納税制度に改めるべきである、かように私は考えまして、政務次官就任以来できるだけ国税庁長官らとお話し合いをいたしまして、改善すべきものは改善したい、かように存じておりますが、遺憾ながらなかなか私の思う通りには参りません。たとえて申しますと、ただいまのような広島国税局管内における御指摘のような重大な事件、税務官吏が、一人や二人が思い違いして汚職をやったということならばともかくも、一税務署の十数人までが、まあおっしゃるようにぐるになってやったということになれば、これはゆゆしいことでありますが、さようなことは、去年の暮れに起こって、いまだにもって政務次官の私には何の報告もなく相談もありません。そういうことを考えると、秘密主義というのはかなり徹底しておる、(笑声)さように思いますので、一つこれは早急に私の立場としてもこの事件を調べまして、そうしてまた来たるべき委員会の機会に御報告もし、また善処もいたしたいと思います。
  52. 横山利秋

    ○横山委員 次官がそうおっしゃるから私は申し上げるのですが、今私は、隠しマイク事件を主題にして、その援用として広島事件を取り上げておるのです。大蔵省部内における汚職はこれだけではありませんぞ。もうすでに横浜の問題はあなたは御存じのはずでしょうが。東京の問題は御存じのはずでしょうが。最近大蔵省における汚職事件の続発というものをあなたはお考えでありましょうか。単にこればかりじゃありません。私は、大蔵省に関連をいたします汚職事件ならば、四つや五つは今でもすぐに申してみましょう。私はしかしそういうことは言うのはきらいですから、隠しマイク事件の援用として広島事件を取り上げているということをお忘れなくお願いしたいのです。  それで、もとへ返しますけれども、長官は、権力主義と秘密主義はあまりないと、こうおっしゃる。私は逆にそういうことがあるのだと言っておる。そこで、問題を少し筋道に返してみますけれども、隠しマイク事件、百二十八万円の予算をもって全国十一カ所の局へ約十二万円くらいの小型テープレコーダーを配置をする、そうして万年筆にしかけて、これによって納税者の家へ行って黙って録音をして、それを新たに証拠にする、こういう答弁がこの間の一応最後の答弁であります。まあそれに対してはいろいろ言い方があって、いや大体においては明示をいたしまして使用をいたしますというお話がありました。けれども、これは、お答えの前に、われら大蔵委員会のこの間の雰囲気を通じて申し上げるのですが、こういう秘密にできる小型録音機を明示して使うと何ぼ言ったって、これに対する保証は何もない。相手に持っておることがわかる録音機ならば明示ができるかもしれぬけれども、それでも明示をしないで使う方法はある。いわんや、小型の、万年筆にしかけられるような録音機を税金を投じて買って、そうしてそれを明示いたして使いますとぬけぬけと言うようなことは、これは本委員会は了承するわけには参らぬ。従って、この隠しマイクと称する小型録音機でありますが、この小型録音機を使用をすることについては、どうしても私どもは納得いたしかねる。こういう予算を要求したこと自身に私どもは疑念を抱かざるを得ない。そういう税務行政というのはどういうことであるかということであります。  また、本年度の予算を引用をいたしてみますと、まあ形は少なくなっておるけれども、形も変わっておるけれども、第三者通報制度、密告制度の裏返しの報償費というものがある。また青色の取り消しの費用は去年の倍になっておる。予算で青色取り消しの手続費用が倍になるということは、一体どういうことでありますか。来年は一つ青色の取り消しを倍やってやろうということを計画をすることでありましょう。私は、本年度の予算の中に含まれているこの種の一連の政府の考え方が、一体どういう心理から出ておるか、理解に苦しむのであります。しかし、いろいろな引用をいたしておっても仕方がありませんから、一つだけに問題をしぼってお伺いをいたしますが、一体予算に盛られた小型録音機は、予算は通ったのであるかどうか。また、通ったとするならば、われらのこのような主張に対してどういうふうにお考えになるか。この際、小型録音機をもう買わない、使用しないというふうにお考えになるのが当然であると思うけれども、どうでありますか、その辺を一つ誠意のある御答弁を承りたいと思います。
  53. 北島武雄

    北島政府委員 私実は昨日ちょっと急用がございまして、役所を離れておりまして、横山先生の御質問を直接承ることができませんでしたが、戻りまして、調査察部長から委員会における横山先生の御質問の内容を承りまして、実は私も非常にびっくりしたのであります。と申しますのは、先生が隠しマイクを含むようなそういう小型録音機を買うということを断定されて、その上の御質問だったからであります。私も調査察部長からその話を聞きまして、これはとんでもない誤解じゃないだろうか、一体どこからそういう御質問が出たのだろうかと思いまして、いろいろ調べてみますと、その先生のネタは確かにあるわけであります。今先生がたとえば隠しマイクの小型録音機とおっしゃり、あるいはまた第三者通報の報償費の問題をお話しになり、あるいはまた青色申告の取り消しを倍にするというようなこと、これは私実はきのう初めて承知したのでありますが、ある納税に関する週刊誌が非常に誇大に書いておりまして、それを横山先生はお読みなさったのだ、こういうふうに私ども承知したのであります。  これからもちろん私どもとしてそのようなことのないことを御説明申したいと考えますが、決して、私ども、万年筆の先にしかけるような、そういう小型の隠しマイクのできる録音機を使うというようなつもりじゃございません。現在、各国税局の調査査察部における査察の場合における容疑者の方、それから参考人の方から質問てんまつ書を記録するための補助手段といたしまして録音機がございます。これは非常に旧式な大型の録音機でありまして、六、七貫匁くらい目方がございましょう。これは一々持ち運びに不便でございます。しかも性能が非常に悪い。従いましてこれを携帯に便利な小型の録音機を買って配置しようというのでありまして、決して某通信紙に出ておりますような、ポケットに入るような小さな小型マイクというものを買うつもりはございません。まずその点を第一に御了解いただきたいと思います。  第二点は、まだ密告制度みたいなものを使っておるじゃないかというお話でありますが、これも実は某通信紙の誤解であります。なるほど予算には第三者の課税協力者等報償費というのがございまして、金額がございます。この中で第三者通報制に基づくところの報償費が確かに計上はされております。ところが、これは第三者通報制はなくなりましたが、なくなる前に通報された方の事件が片づかない、毎年若干ずつ片づいていくわけでありまして、その片づいた場合におきまして、かつて第三者通報制の生きておった時代に通報された方に対する報償金が計上されておるわけでございます。昔の第三者通報制を形を変えて存続するというようなことはございませんから、御了解願いたいと思います。  第三点は、来年は青色申告の取り消しを倍やるのじゃないか、こういうお尋ねであります。実は私は先生のネタをよく拝見いたしますと、青色申告の取り消しということではなくして、こういうことが書いてある。「調査強化にともなって更正決定の大幅な増加も見込まれるが、歳入予算でもすでに追徴税を四百億以上見込んでおり国税庁でも、これに関する経費として更正決定通知費を前年度の二倍、約三千万円を計上している。これらのことから各部門にわたって更正処分が激増するものとみられている。」この記事を援用なさっての御質問かと思うのでありますが、これはとんでもない誤解です。と申しますのは、これは国税徴収法の施行に伴うものでありまして、新国税徴収法がことしの一月から施行になりましたが、予定は三十四年十月から施行される見込みでありました。そこで、新国税徴収法の立案までにおける審議の過程といたしまして租税徴収制度調査会におきまして三年間御審議願ったのであります。その際、租税徴収制度調査会における委員の御意見といたしまして、更正決定のような重要な書類の送達方法が今までルーズだった、これについては書留でやるのがしかるべきだ、こういう御勧告がございまして、新国税徴収法の施行とともに、更正決定等の重要な通知書は書留郵便をもってすることにいたしたわけであります。従いまして、一応予算上では昭和三十四年の十月から新国税徴収法が施行の予定でありまして、それが一月になったわけでありますが、三十五年度はそれがフルになるというので倍額が計上された、こういうわけでありまして、決して更正決定をどんどんやるためにこの更正決定の通知費を倍に計上した、こういうものではございませんので、御了解いただきたいと思います。
  54. 横山利秋

    ○横山委員 最後の点はわかりましたけれども、いわゆる小型録音機の問題は釈然としません。少なくともこの間次官を初め国税庁の首脳部の人がいらっしゃった。人によってずいぶん話が違っている。そうして、きょう長官が来たら、こつ然としてまた何か違った話であって、初めからこうだったという話は私は了解できません。この間いろいろ相談をした結果、こういたしますから、これで御了解を願いますという話なら、私はわからぬではないけれども、この間人によってみんなてんでんばらばらの解釈をして、そうして、査察部長は初めと最後の話をだいぶ変えてきた。今度は北島さんがやってきて、いや、そうじゃございませんよ、こうなんですよと、一番初めからそうであるかのごとき態度というものはどうか。私は、国税庁はいま少しさっぱりとした態度でお臨みになったらどうか、こういうように感ずるんですが、いかがですか。
  55. 竹村忠一

    ○竹村説明員 前回の委員会におきまする私の発言の内容が問題になりましたので、釈明さしていただきたいと思います。  おととい私が参りまして申し上げました点は、必ず相手方に告知をして使うかどうかという御質問が第一点であったのでありますが、この点につきましては、当初、原則として相手方に告知して使います、こうお答え申し上げておいたわけであります。しかし、私どもの使いまする目的は、そのときに申し上げましたように、質問てんまつ書、これは非常に重要なものであります。また文書になっているわけでございますが、速記と違いまして、一言一句そのまま文句になっているわけじゃございません。要約して書かれるものでございますから、御説明を聞きまして、その内容につきまして問題が起こり得る場合もございますので、さような懸念を排除いたしますために、質問てんまつ書を収録する場合におきまして、その正確性を期するために使うのでありまして、これが目的であったのでありますから、その席上におきまして、原則としてということはあとから取り消させていただきまして全部告知して使います、こう申し上げたわけであります。それから、第二点といたしまして、横山先生の方から隠しマイクというお言葉がございまして、また他の先生からどのくらいの大きさかという御質問かあったように記憶しております。それに対しまして、私は、まだ購入をいたします品目が具体的に決定いたしていないものでございますから、現在におきましては寸法ははっきり申し上げることはできませんが、御質問になりましたような万年筆へ仕込むとかいうような、そんな極端なものは考えておりません。ただ携帯に便利だという観点で小型のものを採用したいと考えておる、というふうに私はお答えいたしましたつもりでございますが、もし誤解がございましたら、御了承願いたいと思います。
  56. 横山利秋

    ○横山委員 あなたは、マイクの値段を、単価十二万円くらいでどのくらいのものが買えるか、御存じですか。
  57. 竹村忠一

    ○竹村説明員 私どもが予算を主計局へ要求いたします場合におきましては、ある程度の品物を予定いたしております。これは要求のときの資料でございますから、具体的にその値段でその品物が買えるかどうかは別でございますが、申し上げます。  それはソニーのベビーコーダー、SA—2Aという型でございます。その大きさは、横が十五センチ、縦が十九センチ、それから厚さが六センチ、目方が二キログラム、大きさは、東京部内に電話番号簿がございますが、大体あれを半分くらいにしたものだとお考えいただいて間違いがございません。この単価が一台十二万円でございますので、十一台で百三十二万円、それに対しまして、予算の節減が三%かかりまして、それを差し引きまして百二十八万円という数字で、私どもは主計局にお願いしたわけでございます。ただ、一昨日におきましては、はたしてその値段で買えるかどうか、また貰うための手続その他がございますので、はっきりどれくらいの寸法であるかということを申し上げなかったわけであります。ただ、先生方の御質問になりましたような万年筆へ仕込むいわゆる隠しマイクというようなものは考えていないということを、私は御説明申し上げたつもりでございます。私どもが予算要求に際して考えておりました寸法は以上の通りでございます。
  58. 横山利秋

    ○横山委員 断わっておきますが、私は隠しマイクという言葉で言っているのですが、隠しマイクであってはなおさらいかぬし、それから納税者の前にテープレコーダーを明示するのであっても、どんと置いて、さあものを言いなさいという態度は承知しないと言っているのですよ。お間違いになっては困りますよ。これはこの前はっきり原則を申し上げておったのです。そこで、長官、この前あなたは見えなかったから、もう一ぺん論拠を言いますけれども、お互いに政治をやっておって、こういう心臓の厚いような答弁や質問をしておれば、テープレコーダーはどうにも思いません。しかし、納税者を税務署へ呼んで、あるいは納税者のうちへ行って明示の場合でも、テープレコーダーを前へどんと置いてこれは証拠にはいたしませんけれども、あとあと問題があるといかぬので、さああなたこれでしゃべりなさいといわれて、どういう気がするか、あなたおわかりでしょうね。いわんや、今の電話帳の半分ぐらいのやつは、私が想像はしますけれども、カバンの中に入れて、何も明示しなくても使えそうな気がします。だから、問題は、いかにして利用するかということじゃありませんか。携帯に便利だということは、カバンに入るということになるでしょう。もしその気があれば、明示せずして使えるじゃありませんか。長官は絶対使わせないといってどういうふうに保証いたしますか。私は、なぜ一体そういうテープレコーダーが税務行使の上に必要なのかということを、根本的な心理から押しておるのです。テープレコーダーというのは一つの威嚇ですよ。そうでしょうが。部長は、証拠にはいたしません、こう言っている。証拠にはいたしません証拠にいたします。逆に言えばこういう意味なのです。そうでしょう。これはあなた証拠にならないから言いなさい。そしてしゃべり始めるでしょう。そうすると証拠にはさせぬ。証拠にはさせぬけれども税務署ではその言ったことをちゃんと胸に焼きつけるでしょう。証拠にはしないけれども、あのときにはああ言ったじゃないかという気持が、そのとき腹にきっぱりとおさまるでしょう。それは歴然たる証拠にあらざる証拠にするつもりでしょう。表には出さないけれども、あれがあのときに言ったんだという証拠が腹の中におさまるでしょう。二つの意味でこれはいかぬと私は思う。もう少し徴税制度というものは科学主義と合理主義と納得というものを持たなければいかぬ。私ならいいですよ。マイクを置いたらよけいしゃべりますよ、商売ですから。一般の人は、マイクをそばに置かれて、さあ、しゃべりなさい、しゃべりなさいといって、何を言ったらよいのか、黙っていたらよけいいかぬ、そういうあせりがそこに生じます。そういう人間の心理というもの、納税者の心理というものをあなたはどう考えるのですか。明示だから証拠にしないから大丈夫じゃないか、そういうことで話は済みましょうか。私は、特に北島さんのような人格の高潔な人が——おせじに言っているのじゃありません。私は尊敬している。そういう人が、このマイクの問題について、ほんとうに心中すなおに、私に対して、このマイクは差しつかえないと一体断言なさるのか。私はほんとうに不思議に思うのです。
  59. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  その前に、一昨日の私の答弁につきまして、若干の誤解がございましたようでございますから、その点からまず釈明をさしていただきます。  その節に申し上げましたことは、先生方の方から隠しマイクでとるだろうというお話がございました。それに対しまして、私がお答え申し上げましたのは、隠しマイクでとるようなことをいたしました場合におきましては、これは証拠能力の面におきましても、やはり問題があるわけでございますから、私どもといたしましては、さようなことをするつもりは毛頭ございませんということを申し上げたつもりでございます。(発言する者あり)いや、私そう申し上げたつもりでございます。  その次の問題といたしまして、かりに相手方にマイクを使うということを明示いたしました場合におきましても、マイクを据え付けておくということが、相手方に対する威嚇になりはしないかという点でございます。この点は、どのようにマイクを使うかという問題にかかるかと思いますが、私ども考えておりますのは、マイクを使いますからということを申し上げまして、そうして関係者の方がけっこうでございますという同意を得た上で使いたいというふうに考えております。
  60. 横山利秋

    ○横山委員 それは部長さん詭弁だと思うのです。私はいやがらせを言うつもりじゃないのですが、なぜ一体最初に広島事件を持ち出したのか。あなたの部下ですよ。査察調査課長だった人ですよ。そういう人が現にこういう汚職をやっておって、片一方でマイクを使いますと言ったって、説得力がないですよ。私はかねがね主張しておるのですけれども調査査察というものについて形を変えてもらいたい。もう少し科学主義、合理主義というものをやってもらいたい。相手に対して説得力のある方法をとってもらいたい。できるならば調査査察は廃止してもらいたい。できないにしても査察という言葉はとってもらいたい。調査という文字で仕事をしてもらいたい。さらにマンモス企業を中心にしてやってもらいたい。当時のあなた方の意見としては、マンモス企業、大企業は帳簿面が正確でございますから手のつけようがない、監査制度、相互牽制制度が確立しておって、もうごまかす方法がないのです、それよりも中小企業の同族会社の方が帳面がいいかげんでございますから、やっぱりやったらやっただけのことはございます、こういうような当時のお話でございました。そういう気持がまだ抜け切っていないように私は思うのです。確かに今度特別調査官制度ですか、できて、一つ方向を出されたのはけっこうなことだけれども、いかにその機構を作っても、この機構に筋金を入れる人間の考えが、調査査察の仕事の運営の気持がこういうような権力主義や威嚇主義や秘密主義のような形では、私は、失礼でございますけれども、うまくいくはずがないと思う。現にあなたの部下がそういう失敗を繰り返しておるじゃありませんか。私は多くを申しませんけれども、政務次官に一つ御答弁を願いたい。あなたこの間からこそああいう話でございましたが、理非曲直、事情はもう明白になりました。このような小型録音機を納税者に対して使ってはならぬと私は確信をするが、いかがでございましょうか。
  61. 奧村又十郎

    奥村(又)政府委員 私は、先般の委員会におきましても御答弁申し上げましたように、現在の査察行政のやり方について相当改善すべき点があるという考えを持っておりますが、遺憾ながら、国税庁長官初め国税庁の当局の方といろいろ相談しておりますが、意見がまだ十分一致しません。そこで、この小型の録音機につきましては、現在の査察のやり方をこのまま将来とも続けるとするならば、五十歩百歩やむを得ないのじゃないか。と申しましても、秘密で聞き取るとか、あるいはこれを言質にとってどうというのじゃなく、調書をとるための事務的な、補完的な手段だというくらいにしか私は考えられぬ。長官も検察部長もいませんし、事前に私は何の御相談も受けておらぬから、その程度しかお答えができなかった、こういうことであります。そこで、これを使うとすれば、結局現在の査察制度はこのままいくのだ、その事務的なやり方について不十分だから補完的にこれを使う、つまり現在の査察制度のやり方を補強する、こういう意味で、私はその前に査察制度というものを根本的に件検討すべきじゃないか、こう思うので、議論がいつも根本にいきますけれども、しかし、現在の査察制度でいくにしても、これはいろいろ法的に疑義がある、かように私個人は考えますが、何しろ事前に相談もありませんし、これから部内でよく相談して善処いたしたいと思います。
  62. 横山利秋

    ○横山委員 次官、不審なことをおっしゃるですね。この間一体何をお聞きになったのです。この間あなたにいろいろとお話しをし、御答えをいただいてから、もはや四十八時間たっていますよ。もう問題の焦点は明らかだ。こういうことは何も今始まったことじゃない。この間ある程度始まって、そうしてあなたに回答をお願いしておいたのです。私はできれば大臣に出てきていただきたいというふうにお願いしておいたのですが、今のあなたの答弁を要約して言うならば、おれは査察制度にメスを加えたい、現状のままなら隠しマイクもやむを得ぬ、こういうおっしゃり方です。それじゃ伺いますけれども、政務次官として責任を持っておっしゃるならば、一体今の調査査察の方法をどういうふうに改善なさろうとするのか、その点を一つ明確にして下さい。私も、これを言い出した以上は、そういういいかげんな皆さんの御答弁ならば、議員に許されたあらゆる権利を行使してこの問題に対して徹底的にやりますよ。答弁に誠意がないですよ。
  63. 奧村又十郎

    奥村(又)政府委員 これは一つ誠意をもってよくお話ししましょう。  そこで、まずこっちからのお願いですが、隠しマイクと初めから断定なさるのもいかがかと思うので、これはあらかじめはっきり納税者にマイクでお話を録音いたしますからと、まあ納税者の了解を得てということであって、先般来私の答弁には、これは調書をとるかわり、あるいは調書を補完する意味だから、もちろんあらかじめ納税者の了解を得て使うということが前提であって、隠しマイクなんというのは絶対になすべきものじゃない。それは初めから私は申し上げた。だから隠しマイクというお言葉は一つあなたの方もやめて、国税庁長官の言われる、調書をいただくので、その補完的な意味で、納税者の了解の上でそういうことをやるのがいいかどうか、こういうことならお答えします。私の考えでは、そういう納税者の了解を得てということで使っても問題がある。と申しますのは、先般の委員会でもお話があったように、それじゃ納税者が初めから拒絶するじゃないか。査察そのものが威嚇的なことにどうしてもなりやすい。何十人も一ぺんに家宅に侵入といいますか、入り込んでやろうとすれば、どうしても納税者の心理としては威嚇される。そこへもってきてマイクを置いて、さあこれでということになると、納税者も警戒すると申しますか、つい言いたいことも言えぬ。しかも、憲法に規定されてあるように、いやなことは言わぬでもよろしい、自主的なお答えでよろしい、こういうことでいくならば、録音機を持っていくと納税者を無用に刺激するんじゃないかと思うのです。しかし、私が先ほどから申しあげるように、現在の査察制度を前提としてというのは、査察ということは、初めから犯罪の検挙とかあるいは犯罪の捜査を目的として令状を持っていくもので、そこに問題がある。この査察制度を改善すべきだというのは、初めから犯罪捜査、検挙ということじゃ、いろいろトラブルがあり、また行き過ぎがあるので、税の調査なら税の調査として、あくまでも調査らしくいくべきだ、そこに工夫が要るじゃないか、こういう意味において申しあげておる次第であります。
  64. 横山利秋

    ○横山委員 そういう意味で申されるなら、それでは政務次官にその意味でさらにあなたの真意をただしたいのですが、要約すれば、あなたは、これは明示しても、この小型録音機はやはりいかぬという私の意見に同調されるわけですね。しかし、同調されながらも、現在の査察制度があるからにはしようがないとおっしゃる。現在の査察制度をけしからぬとおっしゃるならば、私よりももう少し高いところで議論をなさっておられるわけです。私もけしからぬと思うのだけれども、さしあたり今この小型録音機は断じて使うべからずという論拠に立って——あなたの、現状が悪いのだから小型録音機を使ってもしようがないじゃないかという論理は、少し飛躍し過ぎやしませんか。もしも、納税者に対して小型録音機を使うなんということはやめなければならぬというお考えであるならば、現状においてもいいと思うことは一つでもやらなければだめですよ。だから、この査察制度の根本的なあり方についてはお説の通りでありますし、私の前からの所論でありますから、これは今後相談をいたしましょう。次官のお力を借りましょう。しかし、今問題の焦点となっております小型録音機を使ってはならぬのだという考え方は、これはいうならば単に録音機の問題ではないですよ。こういうものを使おうとする心理がいけないと私は言っておる。そうでしょう。それだったら、あなたも、わかった、それじゃ小型録音機はやめると、なぜおっしゃらないのですか。私は、論理の帰結としてそこにいくのが当然だと思うのです。
  65. 奧村又十郎

    奥村(又)政府委員 お説ごもっともに存じます。しかし、あらかじめ内部で国税庁当局から私に御相談があれば、まずもってなぜこういうものを使わねばならぬかということで相談して、私の意見も入って善処できたのですが、何しろ内部でいまだに相談がありませんから、この決定はあとからいたしたいと思うので、ただいま御答弁はいたしかねる、こういうわけであります。
  66. 横山利秋

    ○横山委員 ここまで話をしてきたのですから、あと戻りの話をしないように、一つ前向きの話を次官としましょう。今までにそのことをいろいろ次官あるいは大臣に御相談をした仕組みには私はなっておらぬと思うのです。一つでも変わったことをやるならば、御相談があってしかるべきかもしれません。しかし、われわれが問題にしたいのは、今は、さあ、いろいろな事情が明らかになった、さあどうしようという段階にあるわけです。これ以上もう調べる問題はないのですよ。あとはやるかやらないかという判断の問題だけですよ。小型録音機を使うか使わないかという判断の問題だけがわれわれの目の前にあるのです。小型録音機を使うけれども条件をつける、こんなものは理由にならぬ。条件付で使用するなんということは条件にならないのだ、使うか使わないかだ、そこまで明らかになったわけです。そこで私はもうあなたに判断を願うのです。あなたもおっしゃるように、この小型録音機を明示して使ったところで、納税者に対する心理的な圧迫ということは免れがたいとあなたもお考えになる。そうだとしたら、この小型録音機はやめるというふうにもう判断をなさっていいのですよ。
  67. 奧村又十郎

    奥村(又)政府委員 もうすでに国税庁としても予算要求もしておるので、使うという方針を立てておるが、もしかりに私が私の判断でこれを使ってはいかぬということになると、内部の不統一になりますから、ここでは答弁できませんので、もうしばらくお待ちを願いたいと思います。
  68. 横山利秋

    ○横山委員 この間ここまで議論をして、そうしてまたきょうここまで議論をしてそれでもうしばらく待ってくれとおっしゃるのは、私ほんとうに遺憾だと思うのですけれども、それではこれはあらためて政府側の見解を統一されて、本委員会に正式に政府を代表してこの小型録音機問題についての御答弁をされることを要求いたします。  関連質問があるようでありますから……。
  69. 堀昌雄

    ○堀委員 今の問題に関連して調査察部長にちょっと伺いたいのですが、現在テープレコーダーというのは一体全国でどういうふうに配置されておるのですか。
  70. 竹村忠一

    ○竹村説明員 申し上げます。  昭和二十七年の五月に、各国税局に対しまして、一台ずつ購入いたしまして配付いたしております。その後若干追加補充いたしておるものはございます。二十七年に購入いたしました分がいずれにいたしましても主力をなしておるわけでございますが、その分は非常に大型でございまして、また性能も最近の製品に比較いたしますとかなり劣っておるような状態でございます。
  71. 堀昌雄

    ○堀委員 あとで補充をしたということでありますが、お役所のことですから、使えないものをそのままに使っておられるとは私は了解しない。なるほど精度がいいか悪いかということは、音楽の何かをやるとか、そういうことならもちろん精度に関係がありましょう。しかし、昭和二十七年というのは、東京通信工業がちゃんとテープレコーダーとして発売をしたものであって、なるほどその後の問題は別個としましても、あなた方が調査査察に行かれるときに、現在それを手で持って歩いて行っているのですか。私は、皆さんが局から行くときに、当然自動車で行くのだと思うのです。みんなが行列を組んで歩いていくようなことがありますか、伺いたい。
  72. 竹村忠一

    ○竹村説明員 お答え申し上げます。  現在は性能が劣っておりますのみならず、非常に重いものでございますから、持ち運びができませんので、使っておりません。ただこの際御説明申しておきたいと思います。点は、たとえば私どもが聞き取ります相手方は、直接の被疑者である場合もございますし、また、被疑者ではございませんが、その被疑者と取引をいたしているいわゆる取引先、かような場合もあるわけでございます。取引先の場合におきましては、自分に直接の関係がないにもかかわらず、関連調査を受けるわけでございますから、非常に御迷惑にお感じになることと思います。また、私どもといたしましては、さような向きに対しましてはできるだけ無理のないような処置をしているわけでございますが、そういう場合におきまして、今ちょっと忙しいからできるだけ簡単にしてほしいというような話でもございましたら、それでは録音してあとから判をいただきに参りますというようなことも起こり得ないわけでもございません。聞き取りをいたしまして調書に作りますのと、それからその場でレコードにおさめて参りますのと、時間を比較いたしますと、大体十分の一くらいで済むようでございます。さようなこともございまして、今まで持ち運びをいたしていないからといって、これは物理的にできないわけでございますが、今後携帯の必要がないとは必ずしも言い切れないというふうに私ども考えておるわけでございます。
  73. 堀昌雄

    ○堀委員 今のお話は、二つ重大な問題がある。現在は使っていないということをあなたははっきりおっしゃった。現在は使っていないということであるが、これは政務次官も聞いておいていただきたいが、新たな問題なんです。前からあるからこれを使うというなら話は別ですが、使ってないとはっきり今言った。使ってないけれども今度使うのだということになれば、これは一つの問題がある。  それから、もう一つの問題は、持ち運びができない、こういうことを言われた。持ち運びができないようなテープレコーダーというものは販売されておらぬ。過去において知っている限り、放送用とか特殊なものは別として、一般の市販に出ているものは持ち運びができるものであって、持ち運びができないというのは重いか重くないかいう問題であって、それは必要があれば持ち運べるのじゃないかというふうに私は思うのですが、この二点についてどうですか。
  74. 竹村忠一

    ○竹村説明員 私のお答えが不十分なところがございますので、補足して申し上げます。今まで使ってないと申し上げるつもりではございませんでした。二十七年に購入いたしまして使ってはおります。しかし、それは局内で使っておるのでございまして、先ほど私がお話し申し上げましたような、取引先に出向きまして関連調査をいたすような場合におきましては、現在においては使ってない、こういうことを申し上げたのでございます。  それから、第二点といたしまして、重いから動かすことができないからと、非常に不正確な表現を使ったわけでございますが、実際の問題といたしましては、そのお得意さんのところへ出向いて参りまして事情を聞いてからでないと、はたして普通の手続によりまして質問のてんまつ書がとれますのか、それとも忙しいから簡単にしてくれ、判はまた見せてもらってからつくからというようなお話になりますのかどうか、この辺は出向いて直接お目にかかってからでないと見当がつきかねるものでございますから、そのために、また現在のものは非常に重うございますから、それをわざわざ携帯していくようなことはやってない、こういうことを申し上げたつもりでございます。
  75. 堀昌雄

    ○堀委員 ますます重大だと思うのです。そうすると、さっきの話では、何か忙しい取引先に行ったときには、テープレコーダーを使ってとったという実例があるのかと思って聞いていた。非常に便利で十分の一に時間が短縮できると言ったでしょう。これはやっておることだと理解しておったら、そうじゃなくて、今局の中にだけ置いてある、外には一切持っていかないということならば、これは次官も聞いていただきたいが、小型マイクを使うということは、新たな取り扱いということに理解してもらわねばならぬ。あなたが今言ったように、いろいろ様子を聞いてからやるということじゃなくて、いつでも持っていっていつでもとるんだということになると、だいぶこれは重大な問題に発展をしてきておると思う。  それから、もう一つ伺っておきたいと思いますのは、この間から非常に疑問に思うのは、一体何に使うのかよくわからない。録音をとるからよろしいですか、よろしいです、こういうことになって、録音をとった。しかし、同時にあなた方は調書をとって、それをその人に読んで、あなたの調書はこうこうこうでございますよ、確認していただけますかといって判を押してもらう。そしてもう一つ録音がとってあるわけでしょう。今度はこの録音はどう使うのですか。記録の正確を期するためにという表現がこの前出ました。そういうことになれば、一体どっちの記録が正確になるか。あなた方は、それじゃテープレコーダーの方が正確だ、こう言いたいのでしょう。お前の言ったことだから正確だ。しかし、調書と並べてみてテープレコーダーの方が正確だということになれば、あなたが証拠にいたしませんといっても、これは明らかに証拠です。一体調書のオーソリティとテープレコーダーのオーソリティはどっちが中心になるのです。
  76. 竹村忠一

    ○竹村説明員 録音機を使用いたします目的でございますが、これはあくまでも質問てんまつ書の記載が正確であるということが目的であります。ただ私が関係取引先に参りましてという例を申し上げましたのは、そのようなこともあり得るということを申し上げたわけでございます。いずれにいたしましても、私どもがテープレコーダーを使用いたします場合におきましては、先ほど長官の方からも御説明申し上げましたように、相手方にテープレコーダーを使うということを告げまして、相手方の同意を得た上で使うつもりでございますから、その点を御了承いただきたいと思います。
  77. 堀昌雄

    ○堀委員 そうじゃないのです。オーソリティの問題、あなたは証拠にしないと言ったじゃないか。
  78. 竹村忠一

    ○竹村説明員 第二点の証拠力の問題であります。私は先ほども申し上げたつもりでありますが、一昨日申し上げましたのは、御質問として隠しマイクでとったであろうという御質問があったわけです。それに対しまして、私がお答え申し上げましたのは、隠しマイクでもしとるようなことをいたしましたならば、それは直接私どもの仕事に関係いたします証拠の問題といたしましても、やはり問題があり得るわけでございますから、私どもといたしましては、さような使用方法をいたさないということを申し上げたつもりでございます。従いまして、その御質問のように、相手方にないしょでとるということはしないつもりでございます。  それから、御質問の第三点といたしまして、テープレコーダーに記録されておるものと、それから質問てんまつ書に記載されているものとのどちらが証拠力として優劣があるかという御指摘でございますが、私ども実際の取り扱いといたしましては、次のようにやっていくつもりでございます。それは、テープレコーダーをかけまして、そうしてある程度質問が進みますと、これは事案によって変わってくると思いますが、質問てんまつ書を作るわけでございます。それで、場合によりましては、質問てんまつ書を作ってお見せする前に、レコーダーでもう一回正確かどうかを確かめてみるということもございましょうし、それから本人に先に質問てんまつ書を見せまして、そうして違うというようなお話があった場合、もう一回それではレコーダーを聞いてみようじゃないかというようなことになる場合もあろうかと思います。いずれにいたしましても、レコードいたしました場合におきましては、そうは録音されておるけれども、そういうつもりじゃなかったというようなお話の場合も考えられないこともございませんが、さような場合におきましては、その趣旨をおっしゃっていただければ、私どもといたしましては、またそのことを質問てんまつ書の方に記載いたしまして、処理をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  79. 堀昌雄

    ○堀委員 実はさっき具体的にお話が出ましたが、今のお話を聞くと、やはり録音機の方にオーソリティをかけているということになると私は思う。そこで、今あなたが最後におっしゃったところが一番重要な問題だと思うんですが、調書でありますならば読んでやるんですね。そうして、いや、私はこういうふうには思っていませんでしたということはしばしば起こるのです。これは刑事事件でもしばしば起こるわけです。それはそうじゃありません。片一方は誘導尋問をやるのだから、ひっかけようひっかけようと誘導尋問をやってくる。つい恐怖心とか、いろいろな自信のなさから、しばしばひっかかる場合がある。しかし、あとから読んでみると、これは大へんなことを言っておるということに気がついて、いやそれはそうじゃありませんと言うことがしばしばある。そういう場合、あなた方がその場で使うということは、今おっしゃった表面上の問題ですね。しかし、これはその場で使われないで、これを持って帰って、次に、お前さんあのときこう言ったじゃないか、とこう言われたときに、これは大へん問題が複雑になってくるのです、テープレコーダーの持っております本質というものは。そういう意味で非常な危険があるから、横山委員が追及しておられるわけです。この問題は今後の問題に発展しますから、私はここまでにしておきますが、私は、今私の質問しました中から、過去における使用されておる問題の中でいろいろな問題がさらに出てきておると思いますので、次官、この点もお含みになって御検討いただきたいと思います。
  80. 小山長規

    小山委員 今の問題に関連するのですが、テープレコーダーでとった場合には何年間保存するのですか。それとも、その事案が解決するまでは保存してありますか、途中で消しますか、その点を一つ……。
  81. 竹村忠一

    ○竹村説明員 私どもの方で、もし告発事件でございましたならば告発いたしまして、それから起訴すべき事件でございましたならば起訴されるということになるわけでございますが、私どもの方といたしましては、検察庁に対しまして大体説明を終わりまして、起訴になったら大体において処理しているという現況のようでございます。
  82. 小山長規

    小山委員 私はテープレコーダーをとるべしという意見なんです。なぜかというと、私がしばしば経験したところによると、横山委員は尋問を受けた側の恐怖心だけを言っておられるが、逆に誘導尋問をすることが非常に多い。この査察の場合には、その誘導尋問によってこういうような結論が出たということは、むしろテープレコーダーをとっておいた方がよいという意味で、これは次官、慎重に検討されなければいかぬ。というのは、結果だけを見ると、あたかも被害者が恐怖心にかられて心にもないことを言ったという点だけを横山委員は強調されるけれども、その質問が誘導し脅迫する場合が非常に多いのであります。誘導し脅迫したことによってこの答えが出たということは、また被疑者にとっては有利な条件になっておる。だから、今言ったように、検察庁に起訴したときに、それを消してしまうのではけしからぬのであって、裁判が済むまでそれをとっておいて、被疑者にも有利なものとして弁護士が請求できるのだから、弁護士が請求したら、それを出すような状態にしておくことがむしろ望ましいし、そういうふうに取り扱いをやっていただきたい。両面の効果がある。
  83. 横山利秋

    ○横山委員 小山委員の御質問の真意についてはよくわかります。御趣旨とは違うということは、私はよくわかっておるのでありますから、しいて小山委員質問には発展をいたしません。時間がおそくなりましたけれども、もう一点。保険課長は来ておりますか。——保険課長の問題と関連いたしまして、税制の問題をお伺いするわけです。先日本委員会の手元に最近における法人所得の高額者調べというものが参りました。三十四年六月以降十一月までの決算期が到来したものについて掲げてありますが、日本銀行を初めといたしましてありますのは銀行、電機産業、自動車産業、製鉄産業、電力会社、ガス会社主として大体このようなものでありまして、日本銀行の八十七億九千九百万円を筆頭にいたしまして、二十番まで高額者が調べて書いてあるのであります。私がこれを見てやや意外に感じましたのは、いろいろございますが、その中に生命保険会社が一つもないということであります。生命保険会社が一つもないということを思いましたら、偶然にも新聞が報道いたしておりまして、配当の自由化の問題が今大蔵省と生命保険会社との間に大論争になっておるそうであります。聞くところによれば、生命保険会社は非常に調子がよいので、昨年は保険料を引き下げた。保険料を引き下げたけれども、まだもうかっておるので、大蔵省としてはどうも今回は配当をふやしてよいじゃないかということに相なった。ところが、保険会社は、某保険会社以外は全面拒否をする。そうしてなかなか話し合いがつかぬという話であります。片やそれじゃ保険会社はずいぶん税金を出していらっしゃるだろうと思ったら、保険会社は税金を一文もほとんど出していらっしゃらないそうです。これは不可思議なことがあるものかと思って理屈を聞いてみますと、これは相互会社であるから銭は納めなくてよいのだ。これも私は研究不十分でありますから、ボロが出るかもしれません。その点は先に断わっておきますけれども、今の隠しマイクとはちょっと違いまして、ポロが出るかもしれませんから——。ただ私が不審に感じますことは、大蔵省が、もうかっておるから契約者のために少しはやってやれというので、一生懸命に保険料を下げさせた。それから株主のために配当をふやさせておる。それほどもうかっておるなら、税金とったらどうだ——とったらどうだという意味はちょっと語弊がありますわ。当然税金が出されておっても普通ではないかという意味に訂正いたします。何も私は保険会社がにくいで言っておるのではないですよ。そこで、理屈を聞いてみますと、相互会社だからこれはいいのだということだそうであります。そこのところへいくと、正直なところ、私は理屈負けしてしまった。理屈は一通り聞かしていただくのだけれども、どうもやはりうんそうか、これは一理屈あるわいと思った。思ったけれども、それで一体常識論というものが通るだろうか、もう一ぺん私は政治家として考えてみたのです。なるほど法律上は問題はないかもしれぬ。けれども、われわれがお互い税の公平を期しておる常識上、それは一体通る話か通らぬ話かということを私は考えるに至ったのです。ですから、お伺いいたしたい点。は、保険課長からは簡単でけっこうですから、今いわゆる配当の自由化——こんなところに自由化なんておかしい。何でもかんでも自由化々々々と言えばいいと思っているが、それはおかしいのですが、いわゆる配当の自由化論というものは今どういうことになっておるのか。大蔵省としてこれからどういう方向にしようとするのか。それから、それに関連をして、税の面から、相互だからというわけで取らないらしいのだけれども、その理屈は何か、その理屈がかりにあるとしても、常識論から一体それは妥当なものであるかどうかという点を、御両所からお伺いしたいのであります。
  84. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 簡単にお答え申し上げます。  保険会社の大部分が相互組織で経営しておることは、御質問にあった通りでございます。相互会社組織と申しますのは、株式会社と違いまして、株主がいない、いわば社員が全部株主の地位にあるというようなものでございます。従いまして、ただいま御質問にありました配当につきましても、これは株主配当ではございませんで、契約者配当でございます。本年度の生命保険会社の決算状況がどうなるかという点は、私ども今各社から見込みをとりまして集計小でございますが、この決算の中身といたしまして、配当準備金に繰り入れるべきものがどのくらいたまってくるかということを今後検討しなければならない。これに関連いたしまして、その配当準備金を来年度におきましてどの程度配当して契約者に返し、保険料を安くするかという点が今問題になっておるわけでございます。これにつきましては、各会社それぞれ考え方も違いましょうし、いろいろな動きもあるようでございますけれども、私どもとしましては、各社別に内容をよく検討いたしまして、妥当な線に落ちつかせたい、かように考えております。  なお、税の点につきましては、私の方から申し上げるのは筋が違うと思いますので、税務当局の方から……。
  85. 原純夫

    原政府委員 お話の通り、生命保険会社が法人税を納めておらないということについては、今の制度、またその考え方、いろいろございますが、私どもも、先年来、やはりそれについては検討を要するということで、いろいろ検討いたしておりますが、趣旨は、責任準備金、それから契約者配当準備金、支払い備金というようなもので、結局全部落ちてしまうということです。それにそれぞれいずれも理由があるわけでありますが、理由が、はたして最終的に生命保険会社が課税にならないことを妥当とするかどうかというあたり検討を要すると思って、検討いたしておりますが、一応その理由、あるいはどういうような制度になっておるかというようなことを、必要がありますれば担当の課長から御説明させたいと思いますが。
  86. 横山利秋

    ○横山委員 一応簡単でいいですから、要点だけ一つ……。
  87. 塩崎潤

    ○塩崎説明員 お答え申し上げます。  生命保険会社の課税につきましては、現行税制はこういう考え方をとっておりまする  基本的な考え方といたしまして、個人が払い込み保険料を出しますと、これは貯蓄でございます。この分を保険会社が収入保険料として受け入れます。これを運用いたしまして運用益を上げまして、その部分が契約者配当準備金、あるいは一部は責任準備金となっていくわけでございます。この運用益部分をどういうふうに課税するかという点が問題でございます。横山先生が言われましたように、その保険会社の段階におきまして、運用益を生じたところにおいて課税するという考え方も一つあるかもしれません。現在の税制は、この運用益部分は満期保険金をもらったときに課税するという建前になっております。従いまして、満期保険金を個人が受け取りました際に、過去におきまして払い込みましたところの保険料を累積いたしまして、それを満期保険から引きまして、その残りのいわゆる運用益の貯蓄の利子部分に対しまして個人所得税は課税する、こういう建前でございます。ただ、その運用益部分は満期保険でたとえば三十年一時に現われますので、一時所得といたしまして、半分にいたしまして、個人の総合所得の一部といたしまして課税するという考え方でございます。生命保険会社の方は、ただいま申し上げましたように、満期まで預かるという格好になりますので、その部分は責任準備金あるいは契約者配当準備金といたしまして、相互会社的な建前といたしまして、損金算入を認めるというのが古くからの慣例でございます。なお、もう一つ、生命保険会社につきましては課税にならない要素がございます。この運用益部分というものは、御存じの通りに、相当部分の他会社からの配当分がございます。他会社の配当分につきましては、御承知のように、現在の税制は、法人間の配当は益金不算入でありますので、この部分は、企業計算上の利益には上がりましても、税務計算上は、受け取り配当金部分は益金不算入ということになりますので、この点だけ、税金収入といたしましては、生命保険会社の所得は減る。この二つの要素から、生命保険会社については法人税が課税にならない。いわば法人、個人を所得税として一体として見ておるのが現行の考え方であります。  そこで、事業体としての生命保険会社をそういう格好で見てよいのかどうかということが、横山先生の御指摘の常識的に見てどうかという問題に関連するかと思いますが、この点につきましては、過去にいろいろな考え方がございまして、事業税あたりにどういうふうに見るかという考え方があったわけでございます。事業税は、御存じのように、原則的には国税の法人税の課税標準をそのままとるという考え方に立っております。しかし、事業税につきましては、必ずしもそういう考え方をとらなくともよいという考え方も、事業活動に対しますところの応益負担としての税金として考えますならば、成り立つわけであります。しかしながら、法人税の課税標準をとりますと、今言ったような考え方で税務上の課税所得はなくなりますので、そういう考え方を昭和二十九年から立てまして、それで収入保険料の外形標準だけで事業税を課税いたしております。法人税につきましても、単に個人所得として取得するときに課税するのではなくて、収益の発生段階において課税するという考え方があるかと思いますが、これらの考え方につきましては、ただいま私どもの方の局長が申しましたように、よく検討しなければならぬと思います。この点は、アメリカにおいても、全保険部門の所得と投資部門の所得とを合わせまして課税する方がいいか、あるいは投資部門の運用益部分だけに限って課税するのがいいか、議論のあるところでありまして、あっちに行ったりこっちに行ったりしてずいぶん改正が行なわれております。私どもも、その点はどういうようにするのがよいかということで、今検討中であります。
  88. 横山利秋

    ○横山委員 理屈はなるほどそういうものであるかと、私もある程度教えてもらいましてその理屈自身については、まだ私不勉強でありますから、取り立てていかぬというものは見つかりませんけれども、しかしいずれにしても現行の制度には納得し得ないものを私は感じます。いわんや、毎日々々片一方の大蔵省の一部では、もうかっておるのだから、保険料を下げろ、配当をふやせという結果になるのでしょう。そういうふうにやっておりながら、そこから税金が一文も出ておらないということについては、やはり私は釈然としないものがあるのです。私は不勉強でありますけれども、その理屈には大所高所からの見解というものを忘れているところがあることを、私は痛感するわけであります。  それで、保険課長にお伺いしたいのですが、当面の配当の自由化の問題については、大蔵省としては、今お話しのように、配当を全部自由化するということに保険会社を説得される自信を持っておやりになるのですか。大体どのような方向でこの処理をされておりますか。
  89. 中嶋晴雄

    ○中嶋説明員 お答え申し上げます。  保険会社の契約者配当は、保険会社が年々長期にわたりまして保険料を契約者から受け取って、これを右利に運用いたしまして保険金に充てる、かようなシステムになっておるわけでございますが、その中で死亡率がだんだん減って参るとか、あるいは運用利回りがかなりよくなったとかいうような事態がありますと、年々の経済情勢によりましてそこに剰余が出て参ります。しかし、この剰余は、保険契約が非常に長期のものでございますので、今年返すのがいいか、来年返すのがいいか、あるいは十年、二十年先に返すのがいいか、この辺はなかなか議論のあるところでありまして、学説などもかなり分れておるところでございます。私どもは、保険行政を担当しておるものといたしまして、ごく常識的に、剰余金が非常に出るときには、ある程度は契約者にどういう形で返すのがいいかという点を検討してくれということを保険会社に言っておるわけでありまして、これに対する考え方としましては、将来を楽しみに将来返してもらう方が契約者のためにいいという考え方もありますし、いやそんなことよりも今返した方がいいというような考え方もございましょう。この辺につきまして、今業界の中で議論をしておる段階でございまして、私どもも、これをどういうようにおさめるかという点につきましては、各社の決算指導の結果ということになりますので、その辺をにらみ合わせながら、妥当な組へ落ちつかせていきたい。今横山先生からおっしゃいましたように、配当の自由化というようなことは、これは、戦後の金融機関といたしましては、完全な自由化ということはもちろん私ども考えていないところでございます。
  90. 横山利秋

    ○横山委員 本件につきましては、保険課としての当面の問題の解決とあわせて、主税局に御検討をお願いをしておきたいと思います。私もさらに論議の勉強をいたしまして、あらためて質問をいたしたいと思います。  もう一つ最後に、もう二、三分でけっこうでございますが、注文かたがた質問をいたしたいのは、先般私は本委員会でいわゆる悪徳税理士事件を取り上げました。その後、聞くところによりますと、国税庁においてもその問題の処理に腐心をされ、全国税理士会におきましては、本件について特別な委員会を設けて、国税局も各地にそれぞれ出頭されまして、本問題の処理に当たっておられるようであります。そのことは多といたしますけれども、この際私は、私の真意を誤解をなさっておるふしがあるやに考えますので、主税局並びに国税庁長官に、どういうふうに今後税理士問題を持っていこうとするか、私の意見を含めてただしたいと思うのであります。  私が庶幾いたしますのは、少なくともそこまではいかぬにしても、弁護士会の持つ権威と品位を税理士会においても持ってもらいたい。これが一つであります。そのためには、税理士会は自分で自分の身内に起こった問題について処理する責任感がなければいかぬ。またそういう機構が仕組まれていかなくてはいかぬということであります。半面、私が申し上げることを利用をされて、国税庁がもしも税理士に対する自分たちの権限をさらに拡大をするんだというようなお考えがあるといたしましたならば、私の真意とせざるところであります。  それから、第二番目に私が援用いたしました税理士の一部——上部でございますが、一部の大部に税務職員から横すべりになられた方があるということを申しました。このことに私としても非常な意味を持っておるわけであります。つまり、私がよく言います税務行政は合理主義でやってほしいという意味は、顔で仕事をしてもらっては困るということに通ずるのでありまして、それが往々にして、税務職員であった人がそのまま横すべりすることによって、顔で仕事をなさるということから生ずるいろんな問題があるやに私は考えておるわけであります。そこに悪税理士の問題がございます。こういうような問題を正しく一つとらえていただきたい。そのことを実現いたしますためには、税理士法の改正がもちろん必要であります。税理士法の改正のねらう方向は、決して大蔵省の権限を拡大することなく、政党からも役所からも支配を受けない税理士会というように、あの当時附帯決議をしたのでありますが、そういう附帯決議に準拠した方向にいっていただく、法規的にも運用的にもそういうふうにやっていただくというのが私の願うところであります。そのためには、税理士法を改正して、税理士会の権限を強める、みずから切磋琢磨する方式に努めるのでありますが、一方それだけの権限を付与するためには、税理士会の民主的な運営ということと両々相待たなければなりません。  このようなことが私の庶幾しているところでありますが、その点については、かつてお話をいたしましたときに御同調を願ったように私は考えておるのでありますが、一部に必ずしも私の真意が伝えられていないやに考えるわけであります。税理士全部がこのごろけしからぬとか、あるいはまた税理士会がなっておらぬから役所がやるのだとか、そういう向きに伝えられているのはきわめて遺憾千万なことでありまして、この際、私の真意を正しく述べ、政府側も、税理士法の改正方向はどうであるか、また現在税理士と接触しておられる国税庁としての態度はどういうものであるか、明らかにしてほしいのであります。
  91. 北島武雄

    北島政府委員 過般の委員会で横山先生のおっしゃったことは、私はただいま先生がおっしゃった通りに承っております。決してこの際国税庁が権力を拡大する方向に向うことに御賛成でないことは、私もよく存じております。それからまた、税理士の中には、昔の税務代理士時代からそうでありますが、税務官吏から転向した者が相当ございます。こういう方々について、ただ顔がものを言うというようなことではいかぬということも、このようにおっしゃいました先生の御趣旨は決して誤解してないつもりであります。税理士会におきましては、もちろん、国会のこの審議において、横山先生がこのような意図を持って発言されたとは思っておりません。委員会がありましたあとで、税埋土会の会長さんあたりと話し合ったことがございますが、連合会の人たちもやはり当委員会における先生の御質問を誤解しておりません。何とぞその点御安心願いたいと思います。  なお、将来の税理士法の改正方向につきましては、私は、大いに実態を調査いたしまして、主税局と共同作業でいろいろ案を練っていったらいいだろうと思っておりますが、その方向はやはり権力主義の方向とは私自身は考えておりません。やはりそういう税理士会がある以上は、できるだけ税理士会が自主的にやっていくのがいいわけであります。ただ、現行方針のもとにおきまして、今までいわゆる悪徳税理士に対する取り締まりは私どもルーズ過ぎたという感じがしますので、それを昨年から注意を払って強化するという方向に転じたのでありまして、その点は税理士会も十分趣旨を了解しております。
  92. 石野久男

    ○石野委員 私はこの機会に一つ参考資料をお願いしたいと思います。それは、先ほど横山委員からお話のありました保険会社の課税の問題に関して、保険会社が運用益を相当大きく得ている。この運用益がどういうように出ているかということ、及び、その運用益の発生している投資の状態がどうなっているかということを、資料として出していただきたい。お願いいたします。
  93. 植木庚子郎

    植木委員長 次会は来たる八日午前十時三十分より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時三十分散会