○堀
委員 私、初めてこの大蔵
委員会に参りまして、何さましろうとなものですから、ちょっと的のはずれている質問もあるかもしれません。大体
日本の
経済というものを見ておりますと、一体どこまでが大蔵省の範囲なのか、通産省の範囲なのか、
経済企画庁の範囲なのかということは、どうもはっきりした区分けが私にはちょっとつきかねる点もありますので、やや質問が大蔵省の所管外にわたる点があるかもしれませんけれ
ども、その点については、お答えいただける範囲でお答えをいただけばけっこうだと思います。
その次に、これから私が当
委員会で発言いたします態度でございますが、大体
経済の問題というものは科学的な問題でございますから、本質的には、最終的に数字とのつながりの中で非常にシビアなものだというふうに私考えております。いろいろと
政府の立場と私
どもの立場の中には基本的な
考え方の相違がございますから、主観的な問題についての見解の相違については私はやむを行ないと思いますけれ
ども、具体的な事実を通じての客観的な問題につきましては、
一つ精細なお答えをいただきたい、こういうふうに私
最初に希望をいたしておきます。
まず
最初に伺いたいのは、今回の通常
国会におきましての
大蔵大臣の
財政演説の冒頭にございますことでありますが、「私は、まず、昨年初来、わが
経済がまことに力強い
発展の過程をたどっておりますことを、国民各位とともに心から喜びたいと存じます。」「
昭和三十四年の
わが国経済は、各般にわたり目ざましい
上昇を遂げて参りました。すなわち、鉱工業生産は年間二四%、輸出は二〇%に及ぶ記録的な伸びを
示し、これに伴い、雇用情勢も一段と好転を見せ、国民
生活も一そう豊かさを加えて参ったのであります。」こういうふうにおっしゃっているわけです。これは非常に喜ぶべきことだという立場に立ってごらんになっていると思いますが、実は、私は、なるほど鉱工業生産の伸びというものが伸びますことは、その問題の中に限って見るならば、喜ばしいという
考え方も成り立つかと思いますけれ
ども、
日本経済全体の立場というものから考えてみますと、このような伸び方がはたしてほんとうに手放しで喜んでいいものかどうかという点に、いささか問題があるような感じがいたすわけでございます。それはどういう点で感じておるかと申しますと、国の
経済の基本的な問題としては、工業生産、輸出、国民の消費、こういうふうな観点から
資本主義社会では問題をとらえて参るべきだと思いますけれ
ども、その中で、工業主席の増加率は、一九五〇年から一九五七年の間の年平均約一九四%
わが国ではふえている。輸出の増加率も一九五
○年から一九五七年の年平均が二三三%に増加しておる。これは、西ドイツと比べますと、いずれも著しく
わが国の伸びの方が大きいわけでございまして、西ドイツのとの問題を詳しく対比をして御質問申し上げたかったのですが、今回ちょっと時間がありませんので、その点が十分できないのでありますが、さらに個人消費の増加率を見てみますと、一九五〇年から一九五七年の年平均は八四%の増加にとどまっておる。そこで、工業生産がこういう形で非常に伸びて参りまして、輸出も伸びておるのでありますけれ
ども、伸びた率だけで見ると、まことにバランスがとれておるようでありますが、実態をこう調べてみますと、
貿易数量指数で見ますと、資料がどうもあちこちから出ておりますので、ちょっとつながらない点もございますが、
経済企画庁の資料で見ますと、戦前を一〇〇といたしまして、一九五八年の生産指数は二三四八でありますが、輸出の数量指数は九八七で、輸入は一一七三と、非常に鉱工業生産の伸びが伸びておるにもかかわらず、実質的の
貿易の伸びというものはあまり大きなものがない。消費水準で見ますと、やはり一九五八年では、都市で二四九%増で、農村が三八一%増にとどまっておる。これを他の国連の資料で調べてみますと、戦前比で、
わが国の個人消費は、指数としてちょっと古いのですが、一九五七年で一六〇、工業生産は二七七、いずれも工業生産の伸びに比べて個人消費はきわめて低い
状態にあると思います。美濃部さんがこの二七七の工業生産指数を御自分の
考え方で分析をされておるのを拝見しますと、生産財が、三三九で、消費財は七一ぐらいになっておる、こういうふうに美濃部さんはこの問題を分析をしておいでになるのであります。こういうふうに見て参りますと、
日本の現在の生産の伸びというものは、生産財の、異常な増産ということと、しかし、それに個人消費というものは、今申し上げた一六〇でございますから、この一六〇は実質額の指数でございますけれ
ども、工業生産指数を個人消費指数で割ってみますと、大体一七三というような数が出ておりますが、国連の統計の中で見てみますと、
世界で一番
日本がこの較差が大きいというように出ておるわけであります。そうしますと、現実の問題として見ますと、今後の
日本経済がこのような形で生産をどんどんふやしていったときに、はたしてどういうことになるか。これまでの御質問の中でも、輸出が今大へんふえたと言われておる。なるほど、
昭和二十八年でございますか、ここらから見ますと、
昭和三十三年まででほとんど倍になっておりますけれ
ども、これは戦後に非常にダウンしておりましたために、伸び率として見れば非常に大きいのでありますけれ
ども、実質的には戦前の水準くらいのところにしかまだ来ていない。生産はほぼ三倍近くになっておる、消費は大して伸びていないということは、やはり私は、今の
日本の
経済というものは、生産財へさらに生産財が投入をされて、
設備投資に次ぐ
設備投資というものが現在の
日本の好況をささえている大きな柱になっているのじゃないか、こういうふうに実は私
なりに考えておるわけでございます。
そこで、まず
大臣にお伺いをいたしたいことは、この前のこの
委員会におきましても、あるいは
財政演説におきましても、抽象的な形でいろいろ述べられておるわけでありますが、非常にグローバルな立場から見て、今後の
日本のこの生産の伸びていく姿というものを、財政の関連においてどういうふうにお考えになっているか。手放しで、生産が伸びるのは非常にけっこうだという態度でいるのかどうか、この点を
一つお伺いいたしたいと思います。