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1960-03-31 第34回国会 衆議院 商工委員会外務委員会大蔵委員会連合審査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三十一日(木曜日)     午前十一時十四分開議  出席委員  商工委員会    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       江崎 真澄君    岡本  茂君       始関 伊平君    關谷 勝利君       田中 榮一君    田中 龍夫君       中井 一夫君    野田 武夫君       渡邊 本治君    板川 正吾君       小林 正美君    櫻井 奎夫君       東海林 稔君    加藤 鐐造君       北條 秀一君    山下 榮二君  外務委員会    理事 加藤 精三君 理事 佐々木盛雄君    理事 竹内 俊吉君 理事 床次 徳二君    理事 松本 七郎君       石坂  繁君    菊池 義郎君       穗積 七郎君  大蔵委員会    委員長 植木庚子郎君    理事 山下 春江君 理事 佐藤觀次郎君    理事 廣瀬 勝邦君       鴨田 宗一君    黒金 泰美君       竹下  登君    毛利 松平君       石野 久男君    加藤 勘十君       栗林 三郎君    松尾トシ子君  出席国務大臣         国 務 大 臣 菅野和太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    大堀  弘君         外務事務官         (経済局経済協         力部長)    關 守三郎君         大蔵事務官         (主計局法規課         長)      小熊 孝次君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局総務課         長)      片桐 良雄君         大蔵事務官         (為替局投資課         長)      奥村 輝之君         専  門  員 越田 清七君         専  門  員 抜井 光三君     ————————————— 本日の会議に付した案件  海外経済協力基金法案内閣提出第八八号)      ————◇—————     〔小平(久)商工委員長代理委員長席に着く〕
  2. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 これより商工委員会外務委員会大蔵委員会連合審査会を開会いたします。  私が委員長の職務を行ないます。  海外経済協力基金法案を議題といたします。     —————————————
  3. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 まず本案に対する提案理由説明を聴取いたしたいと存じます。経済企画庁長官菅野和太郎君。
  4. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 海外経済協力基金法案提案理由を御説明申し上げます。  最近の世界経済における重要な動向一つといたしまして、東南アジアその他の開発途上にある地域に対する国際経済協力の問題が大きく取り上げられていることは御承知通りであります。すなわち、戦後、これらの開発途上にある諸国は、その資源の開発ないし工業化をはかり、急速な経済発展と、国民生活水準の向上を意図しているのでありますが、そのためには、資本及び技術の面でその多くを先進工業国に依存せざるを得ない状態にあるのであります。  一方においてこのような開発途上にある諸国の要請にこたえてこれらの国に対する経済協力を推進することは、世界経済全般から見ても、地域的不均衡を是正し、経済交流の秩序ある進展をはかるためきわめて重要なことであると考えられるのであります。このような情勢のもとに最近においては第二世銀の設立大西洋経済会議の発足など、経済協力国際的規模において一そう強力に推進しようとする動きが見られるのでありますが、わが国といたしましても、今後東南アジア諸国等との経済関係の一そうの増進をはかる上から、これらの国に対する経済協力を積極的に推進することがこの際特に必要であると考えられるのであります。  もちろん従来もわが国のこれらの地域に対する経済協力が行われなかったわけではないのでありますが、わが国の場合、民間企業だけではなお資力も十分でなく、また政府関係機関としても、日本輸出入銀行が、輸出入金融のほか海外投融資に必要な金融を行なっているのでありますが、必ずしも十分とは申せない状況でありますので、このたび御審議をいただく海外経済協力基金法案によりまして、新たに、独立の法人格を有する海外経済協力基金設立し、経済協力をさらに積極的に推進するための体制の整備をはかることとしたのであります。  次に簡単にこの法律案内容を御説明申し上げます。  まず基金目的は、すでに申し上げましたように、東南アジア地域その他の開発途上にある地域産業開発に必要な資金で、従来日本輸出入銀行及び一般金融機関から通常の条件供給を受けることが困難な資金の円滑な供給をはかる等の業務を行なうことによりまして、海外経済協力の一層の促進をはかることであります。  次に基金資本金は、経済基盤強化のための資金及び特別の法人基金に関する法律によって、政府から日本輸出入銀行出資されておりました五十億円と、その管理運用によって得られた利益積立金との合計額日本輸出入銀行から承継することとし、政府がその全額を基金設立に際し出資することとしているのでありますが、将来、必要に応じて政府追加出資をすることとなっております。  次に、基金業務といたしましては、東南アジア地域等産業開発に寄与し、かつ、わが国との経済交流を促進するため緊要と認められる事業のために、必要な資金貸付、または、特に必要があるときは、貸付にかえて出資をすることができるほか、このような事業準備調査またはその試験的実施のための資金貸付、さらには以上のような投融資業務に関連いたしまして、基金がみずから必要な調査をすることができるよう規定いたしております。  なお、基金は、その設立趣旨にかんがみまして、右の貸付等業務を行なうに当たっては、日本輸出入銀行業務と十分な調整を行なうとともに投融資条件等につきましても日本輸出入銀行よりはやや幅広く運用できるよう配慮いたしております。  次に基金の機構は、極力簡単なものとする建前から、役員としては、総裁一人、理事二人、監事一人の計四人とし、また、事務相当部分日本輸出入銀行に委託して行なうこととしております。  なお基金業務運営については、関係行政機関所掌事務と密接な関係のあるものも多いと考えられますので、総裁諮問機関として運営協議会を設けることとし、関係行政機関と緊密な連絡を保って業務の適正な運営が行なわれるよう配慮しております。  次に、基金の監督は、経済企画庁長官がこれを行なうのでありますが、この法律規定に基づいて認可または承認をする場合には、あらかじめ、外務大臣大蔵大臣及び通商産業大臣協議して行なうこととなっております。  その他、定款、業務方法書、財務及び会計等の点につきましては一般政府出資特別法人とほぼ同様の規定を定めております。  以上がこの法律案のおもな内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
  5. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 以上で提案理由説明を終わりました。     —————————————
  6. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 質疑の通告がありますので、順次これを許します。石野久男君。
  7. 石野久男

    石野委員 ただいま提案になりました海外経済協力基金法案につきまして質問をいたします前に、先般アメリカで行なわれた低開発援助会議はどういうふうな話になっておるか、その事情一つ外務大臣がおれば外務大臣ですが、関係の方から一つ……。
  8. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 この会議は去年の暮れにパリで行なわれました。アイゼンハワーがパリを訪問したときに話し合いが行なわれまして、それがもとになりまして、ことしの一月十四日にパリでさらにOEECの会議が行なわれまして、その結果として設けられることになったのでございます。目的は主として先進工業国の間におきまして、後進国に対する経済援助、なかんずく資本の面における資金援助というものをいかにしてふやすことができるか、またこれをいかにして最も有効に使うことができるか、こういう点を主として先進工業国の間で話し合いをしていこうじゃないか、こういう趣旨設立されたものでございまするが、きわめて非公式な話し合いでございまして、御承知通り名前もディベロップメント・アシスタント・グループ、ただグループというような言葉を使っておりまして、特別な決議をするとかなんとかいうことではなくて、きわめて非公式な意見の交換をするということでございまして、日本もこれに参加いたしまして、話し合いに入ったわけでございますが、今回のは顔合せ、それから第一次的な情報交換というようなことでとどまりまして、結論といたしましては、この次の会議を六月ごろに西ドイツのボンで開こうではないかということが一番大きな結論でございまして、その前にこの会議をどういうふうに持っていくか、これは非常に非公式な会議でございますが、そういう点につきまして若干の予備的な話し合いが行なわれました。それはまずお互い経験話し合い、そういう情報交換いたしまして、それに基づきましてお互いの間で協議をいたし、かつその協議の結果調整することが適当であると認めることがあれば、お互いの中で調整しようじゃないか、こういうことが大体の話し合いの筋であったわけであります。  大体そういうことでなかろうかと思います。
  9. 石野久男

    石野委員 会議は最初に顔合せで、第一次的には大したこともない、運営の問題について経験を交流し合って協議し、いかにして調整するかという問題を簡単に触れただけだ、こういうお話でございます。しかしこの低開発援助会議は、簡単にグループだと言っているのだと軽く扱っておりますけれども、とにかく政府が出て行ってそれに加わったわけでございますから、そう簡単なものではないと思うわけです。同時にこの問題は、低開発援助という問題についての自由主義圏ソ連を中心とする社会主義圏との競合の問題が主として大きい課題になろうかと思うのであります。またこれを論議しなければ意味がないのではないか、こういうように私ども思っているわけなんです。従って、やはりこの会議内容には、こういう問題に触れたいろいろな論議もあったろうと思うし、またそれが全然ないのかどうか、そういう点について、もう少し突っ込んだお話を聞かせてもらいたい。
  10. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 お答えを申し上げます。会議内容は、これは非公開ということになっておりますが、私どもの報告を受けている限りにおいては、特にソ連圏に対抗するということに主眼を置いた話し合いというものは、ほとんどなかったというふうに聞いております。むしろ先進工業国の間で、どうしたらもっと技術的な方面に話がいって、たとえばひもつきと申しますか、タイド・ローンはいかぬから、なるべくなら反タイド・ローンにしよう、あるいは商業ースと申しますか、商業ース資金援助というものは、もうそろそろ限界にきているから、これは考え直さなければならぬのではないかというような、またそれを今度はどういうふうにやったらできるかというような、むしろどちらかと申せば専門家会議でありまして、政治家と申しますか、そういう非常にハイ・レベルの人は行っておらないのであります。大体におきまして経済担当関係の次官補、そういう者、もしくは何と申しますか、援助の仕事をやる大蔵省関係の人、そういう人がむしろ主として出席しておりまして、必ずしも政治的な、ソ連ないしは共産圏に対抗するという面で、特に話し合いがあったということはないようでございます。
  11. 石野久男

    石野委員 私の聞きたいのは、別にソ連圏に対する政治的な対抗の問題云々ということではなくて、低開発をしようとする場合に、ソ連圏の持つところの援助体制と、それから自由主義圏が持つ体制の中にはいろいろと違いがあるわけです。それが具体的に経済的な問題として問題になるはずだと思うのです。私は、そういう点についてもし論議が推し進められないなら、こういう会議を持ってもちょっと意味がないのではないかというような感じさえするわけでありますから、そういう点で、やはり何か具体的に方法を考えていく、たとえばただいまお話のあったように、もうコマーシャル・べースではだめなのではないかあるいはひもつきではだめではないかというような問題は、明らかにソ連援助体制との関係からきている、私はむしろ具体的にはそういうふうに思うわけです。ソ連だけという規定づけはよくないと思いますけれども、しかしとにかく今日では、そういう面においては、はっきりと自由主義圏共産圏との間に差があるわけであって、特に後進国においては、そういう問題を非常にきびしく見分けている。そういう点からそれを問題にしなければならなかった点だと思いますが、そういうような意味からの話は全然なかったのかどうか、それを一つ聞きたいわけです。
  12. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 私も全くこれは同感でございまして、自由主義陣営と申しますか資本主義陣営と申しますかそういうものと、共産主義と申しますか社会主義と申しますか、そういう経済組織というものから、本質的と申すのはどうかと思いますが、かなり援助態容は違ってくるわけでございます。しかしその問題を特に今申しましたように商業ース援助では限界があるということは、別にソ連の方と対抗するためにそういうことが必要だということではなくて、たとえばインドならインドという国に十年以内の金を貸していっても、結局それを返すには手間取るので、もうあと三年、四年たつと返せなくなるという簡単な事実の上に立っておるので、特にこれはソ連がどうこうするという考えでこの会議が考えておるとは思わないのでございます。御指摘の通り確かに現実の問題としまして、両陣営と申しますか二つの違った経済組織から、当然に生まれてくる援助のやり方というものはある程度違ってくるし、客観的に見ましてそれがある程度社会主義陣営の方に有利であるという傾向は、これは何人も否定し得ないところだと思います。さりとてそれがこわいから、どうにもしようがないからということで、このDAGの会議を開いたということではないんで、今度の会議と全然関係ないことでございます。なるほどソ連圏の攻勢というものはかなり強いのでございますけれども、しからば正面からそれを受けて、同じようなことをしなければ自由主義陣営と申しますか、そういうものの経済援助が全然成り立たない、こういうふうには考えておらないようであります。私も考えてないのであります。これはやはり程度の問題で、たとえば十年でだめである、十五年でだめであるということであれば、二十五年、二十年というふうに弾力性を与えていくことも一つ方法でしょうし、そうそうクリアー・カットにこれでなければだめだというふうに西側の連中も必ずしも考えているとは私は思わないわけです。
  13. 石野久男

    石野委員 私はこの低開発援助会議の中で、たとえば西側諸国が低開発資金としていろいろな援助をする場合に、それの貸付期間なり利子なりあるいはそれの返済期間問題等は、具体的にやはりお互い話し合いをするということがあったろうと思うのです。またそういうことについてのお互い協議が整うのでなければ、こういう会議は持てないじゃないか、こう思っておる。だから私の聞きたいのは、むしろ最も有利にそうして効果的にということの内容などについて、相当突っ込んだ話しまでやっているのか、それはもうやらないのかどうか、こういう問題について聞きたいのです。
  14. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 先ほど申しましたことでちょっと説明が足りなかったかと思いますけれども、今度の会議は非公式であり、要するに第一回の会議でございまして、始まりのわけでございます。従いましてたとえばこれを端的に申し上げますと、資本援助と一口に申しましても、統計を出しましても、日本はこれだけの援助をしておる、フランスはこれだけの援助をしておると申しますが、その内容はきわめて複雑なわけでございまして、多種多様でございます。たとえば日本延べ払いでこれこれの経済援助をやっておるといいますけれども、その内容を洗ってみますと、実はリベリア向けのタンカーの延べ払いですとか、そういうものが入っておりますので、これは必ずしも後進国援助とは言えないわけでございます。同様にフランスの出した数字におきましても、おれの方は非常に援助をしておるといっても、自分の植民地だけに非常に集中しておるということがございますので、そういう点からまずとりあえず事実を明らかにして、比較して、同じベースの上で話し合いができるようにするには、お互いに寄り集まってディフィニッションを固めまして、その固めましたディフィニッションの上に比較のできるような資料を集めて、それから話をしようじゃないか、こういうことになっておるわけでございます。お話のように融資条件がどうこうということは、これは各国の平均といたしましては、どうもそうなるのではないか、確かにそうだ、だから何とかしなければならぬだろうなというような程度には話は出ておりますけれども、さりとてどうすればよいかということについては、やはりもう少しファクツを固めてからやらなければだめじゃないか。ファクツを固めるためには、これはディフィニッションの問題になるだろうということで、先ほど申しましたようなこの次の六月の会議までにそういう点を少し研究しようじゃないか、こういうことになっておるわけでございます。
  15. 石野久男

    石野委員 従ってこの低開発国援助に関するそういう会議というものは、なるべく条件を同じようにしようという目的で、今後もボンで行なわれるところの会議というものは、そういう意味で持たれるということになるわけですね。
  16. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 条件を同じようにするということにはならないと思います。これはやっぱり各国のたとえば日本なら日本の特殊の事情がございます。日本先進工業国に比べまして、アンダー・エンプロイメントと申しますか、そういう点においては先進ヨーロッパの国と非常に違っておるわけでございます。そういう違った事実は、日本としても主張すべきであるし、彼らもそういう厳然たる事実の上に立って、われわれの言うことをむやみに反駁することはなかろうというふうに考えております。ちょっと話がそれましたけれども、おっしゃったような援助条件を統一しようとかなんとかいうようにいきなりいくかどうか、これはまだ先のことで、私はむしろ疑問じゃなかろうかと思うわけでございます。ただ統一したいというのは、お互いの間を比較する場合に、統一した同じ基礎の上でなければできないのではないか。たとえば延べ払いといっても、延べ払い内容というものが、あるいは五年以下のものでも延べ払いという国もあるかもしれない、七年以上でなければ延べ払いといわない国もありますので、その辺をまず固めていって、お互いのやっていることを同じ基準に立って、比較できるようにしようじゃないか、こういうことになっておるわけでございます。
  17. 石野久男

    石野委員 各国条件が違うから、それは画一的な条件の統一ということはできないのだ、従ってやはりお互い比較のできるような形での進め方をそこでは考えよう、こういうことのようでございますが、その場合に、この会議を通じて日本はどのような利益を得られるのですか。
  18. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 先ほどから石野委員のお尋ねの件でありますが、最近世界各国とも経済問題につきましては協力するという動向があり、これは注目すべき一つの現われかと思います。その一つといたしまして低開発国経済協力については、やはり各国協力してやろうじゃないかという運動が、最近起こってきたのでありまして、今まで大体低開発国経済開発援助のできる国といえば、アメリカであったと思いますが、最近西欧諸国もだんだん経済発展しまして、低開発国経済援助のできる国になったと思うのです。そこでアメリカから呼びかけて、西欧諸国もともに低開発国経済援助に協力しようじゃないかという呼びかけがあって、今度の大西洋会議一つ内容になってきたと思うのでございます。そこで日本もやはり仲間入りさしてほしいということは、日本もやはり東南アジアその他の国に対して、経済援助をしておる国でありまするし、また今後日本経済発展のためには、東南アジア諸国経済交流を盛んにしなければならぬという立場にありますので、従ってこの低開発国経済援助については、やはり日本仲間入りさしてもらうことが、将来の日本経済発展に大いに貢献するというように考えられますので、今回の大西洋経済会議日本も参加さしてもらったという事情に相なっておると思うのでございます。
  19. 石野久男

    石野委員 今長官が言われたことは、もうわかっているのです。そういう会議内容というのは、先ほど来部長からいろいろとお話があって、いろいろ話し合いをしたのだ、しかしこの会議では別に条件を統一して云々というようなことはしないのである、各国特殊事情によってそれぞれの条件も違うのだから、とにかくお互い比較のできるような形でいこうじゃないかというような話だった、こういうわけです。そういうことになると、日本のように先進国ではない、後進国でもないけれども中進国だ、こういうふうに言うわけだが、その中進国である日本が、こういう会議の中でどういう利益をするだろうかということ、従ってこういう会議へ参加する意味があるのかどうかということを私は聞いているわけです。
  20. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 それは私ただいま申し上げました通り日本も低開発国経済援助については中進国と申しますか、今日では多少それだけの資格というか資力を持つようになりましたので、従ってアメリカ並び西欧諸国がそういうことを協力してやるという、その運動仲間入りをさしてもらうことによって、日本がこの低開発国経済援助仲間入りをするということになりますからして、やはりそういう運動の中に日本を入れてもらうことが、日本経済の将来の発展のために非常に私は役立つ、こう考える次第でございます。
  21. 石野久男

    石野委員 私の聞きたいのは、その仲間入りをさせてもらうことそれ自体が、日本に得ずるのかどうなのかということなんです。投資条件というものは、先進国よりは中進国の方がおくれていると思うのです。いろいろな形で悪い条件があると思うのです。だから、そういう悪い条件をこういうような会議の中で、何か有利にしてもらうような特典があるかどうかということを聞いておるのであって、もしそういう特典がないとすれば、経済の行為の中ではすでに先進国的なものよりはおくれているだけに不利なんですよ。そういう不利なものをこの会議の中で何とかいい方向に向けるような条件があるのかどうかということを聞いているのです。
  22. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 その問題につきましては、先ほど關部長からもお答えがあったと思うのでありますが、まだ具体的にそういう話が持ち上がっておりませんから、今後の会議におきまして日本としてのとるべき態度、また日本としてとるべき態度についての各国承認ということが残ってくると思います。お話通り先進国と同じ条件で、日本が低開発国経済援助に乗り出すということについては、いろいろ不利なこともあるかと思いますので、日本としてはその点においては、十分日本利益を助長できるように一つ今後進むべきではないか、今後の会議においてそういうことを日本は主張すべきではないか、こう考えておる次第であります。
  23. 石野久男

    石野委員 こうすべきでないかということよりも、向こうが別に招かないのに、むしろ日本がこの会議への参加を強く要望して行ったわけなんです。行くについては、やはり一つ目的を持っているはずなんですよ。その目的は那辺にあるのかということを僕はこの際聞きたい。外務大臣がいないから、長官からそういう点を一つはっきりと聞かせて下さい。
  24. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 少し申し上げにくいことなんですけれども、これは先ほど一番最初に御説明申し上げましたが、ヨーロッパの市場に、通商貿易の面でございますけれども、御承知通りそこで日本を締め出そうという空気があるわけです。これは何とかして日本としては防がなければ困る、こういう問題があるわけです。ただいまの九ヵ国の会議というのも、これは結局は暫定的なものでございまして、追ってはヨーロッパの先進国それからアメリカ、カナダ、そういうものが集まって、そういう会議ができるだろうと思います。そこに吸収されるまでの過渡的な存在になっておるわけであります。われわれとしましては、やはりヨーロッパの貿易市場から締め出されないということのためには、そういうことをやる新しい機構ができる——そのうちに二つの機能が吸収されると思いますが、それは今申しました通商の問題と、もう一つ後進国援助の問題と二つあると思います。で、われわれとしましては、やはりそこで締め出されないためには、いきなり通商と申しますか貿易面の会議には入れないとしましても、こちらの面にはできるだけ関係をつけておいて、そこを足場にして入っていきたいというような考えも一部にあるわけであります。そういう考慮が一つ。それからもう一つは、これはやはりこういうものに入っておきますれば、結局連中がやるときにも締め出しを食わないということが一つ。一緒になってやるときにも日本はこれに入って一口乗るということのチャンスがふえてくるということが一つ。それからもう一つは、やはりわれわれとしましてはこれを通じまして、われわれの最も大きな関心を持っている東南アジアの方面に、もっと彼らの関心を向けていきたいわけであります。しいて申しますと、表面はやはりそういうことは言えないことになっておりますが、そういう考えがあるわけであります。しいて直接的な利益と申しますれば、そういうふうなことになるんじゃないかと思います。
  25. 石野久男

    石野委員 今のお話を聞いておりますと、政府経済外交というものに非常に弱腰な、こそくな、何かものの陰に隠れて外交を広げていこうというようなかまえがあるように思う。日本経済がやはり西欧諸国の列に入って堂々と戦えないという裏づけが、そういう形になっているのかもしれませんけれども、これは非常に重要だと思うんですよ。ことに日本の商品が西欧諸国からボイコットされておるので、通商関係ではなく後進国開発に関する部門から徐々に忍び込むようにして、その中に入っていこうというような考え方が、これに参加した理由なんだ、こういうことになりますと、何だか西欧陣営との間におけるところの、特に貿易の自由化などが行なわれていこうとするときに、政府が自由化を積極的に推し進めていこうとすることとは全く反対の、実に心細い経済外交の態度だと思うんですよ。これは部長から今話を聞いただけでは、私は納得できない。これは外務大臣にでも来てもらって、この会議に参加したところのほんとうの気持、あるいは岸総理がこういう会議に参加させたほんとうの気持というものを、もう少ししっかり聞かないと納得できません。これはぜひ一つ外務大臣なり総理大臣に来てもらって、聞かしてもらいたい。
  26. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 石野君、今連絡させておりますから、それ以外のことで何か続けてやっていただけませんか。
  27. 石野久男

    石野委員 以外のことはあるけれども、これと関係してくるから……。それでは長官にお尋ねしますが、この大西洋経済会議というものに関連して、低開発援助会議というものが持たれた。この会議と、今提案されておるところの経済協力基金法に基づく基金ですね、これとの関係は全然無関係なものではなかろう、こう思っているんですよ。それの運営とか何かについては、相当程度関係があるんじゃなかろうかと思うのですが、将来全然これは関係ないものですかどうですか。
  28. 菅野和太郎

    菅野国務大臣 現在のところ直接関係はありません。しかし大西洋経済会議がどういうふうに進展するかわかりませんが、将来の内容によっては、あるいは関係を持つようなことがあり得るかもしれません。
  29. 石野久男

    石野委員 今のところはないけれども、将来あり得るかもしれないというが、これはあるにきまっているのですよ。あるにきまっているのだから、そこで私は今の低開発援助会議に対する政府の考え方というものをはっきり聞かないと、ちょっと質問が先に進まない。
  30. 小平久雄

    小平(久)委員長代理 それでは暫時休憩をいたします。     午前十一時五十五分休憩      ————◇—————     〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕