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1960-05-13 第34回国会 衆議院 商工委員会 第41号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年五月十三日(金曜日)     午前十時四十六分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       鹿野 彦吉君    關谷 勝利君       中井 一夫君    野田 武夫君       渡邊 本治君    勝澤 芳雄君       小林 正美君    櫻井 奎夫君       東海林 稔君    和田 博雄君       鈴木  一君    北條 秀一君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         法制局参事官         (第三部長)  吉國 一郎君         通商産業政務次         官       原田  憲君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君         通商産業事務官         (鉱山保安局         長)      福井 政男君         通商産業鉱務監         督官         (鉱山保安局         長)      小岩井康朔君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君  委員外出席者         総理府事務官         (経済企画庁総         合開発局参事         官)      竹田 達夫君         総理府技官         (科学技術庁資         源局長)    黒沢 俊一君         建 設 技 官         (営繕局地理調         査所長)    武藤 勝彦君         参  考  人         (石油資源開発         株式会社常務理         事)      岡田 秀男君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 五月十三日  委員加藤鐐造君辞任につき、その補欠として鈴  木一君が議長指名委員に選任された。 同日  委員鈴木一辞任につき、その補欠として加藤  鐐造君議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改  正する法律案内閣提出第一一一号)(参議院  送付)      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。繊維工業設備臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、来たる十七日火曜日午前十時より参考人出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお人選、手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  5. 中村幸八

    中村委員長 次に石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案を議題として、審査を進めます。  本日は、特に本案審査のため参考人として、石油資源開発株式会社常務取締役岡田秀男君が御出席になっております。  質疑の通告があります。順次これを許します。櫻井不在夫君
  6. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私は質問を始める前に委員長に注文をいたしますが、質問者を含めて、こんな出席者の少ない委員会なんてあるはずがない。こういう委員会でやられるのですか。もう少し委員を呼び寄せられるようにお願いいたします。
  7. 中村幸八

    中村委員長 申し上げます。御承知通りただいままで多数の委員がおられましたが、ちょっと席をはずしただけであります。間もなく帰って参りますから、さよう御了承願います。
  8. 櫻井奎夫

    櫻井委員 石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部改正法案質疑に入りますが、この法律案は、今まで可燃性天然ガスの中の水溶性天然ガスに国の補助金を出していたのを、今後さらにそれを拡大して、いわゆる構造性フリーガスと申しますか、そういう方の開発探鉱、そういうものにも補助金を交付していこう、こういうのがこの法律案改正主要点であろうと思うのであります。そこで私は、今日世界各国ガス開発状況を見ましても、水溶性ガスに力を入れて開発している国というのは、ほとんどないのでありまして、すべて先進諸国フリーガス開発に重点を置いている。そういう意味から申しましても、当然わが国のガス開発構造性ガスの方に転換すべき運命にある。そういう情勢の上に立って、政府がこのフリーガス探鉱の促進をはかるために補助金を出す、こういうことは、一応筋の通った考え方であろう。こういう点について私は別に異議を申すわけではございませんが、しかしもう一つ水溶性ガスからフリーガスへの補助金を出すに至った大きな理由の一つは、今日やはり水溶性ガス開発、特に新潟地区における異常な事態を招来して、地盤沈下という問題が起きておる。この原因科学技術庁中間発表によっても、地下水の大量くみ上げにあるのではなかろうか、こういうことでやはり急遽構造性ガス開発を進めねばならない、こういう問題が背景にあることはいなめないわけであります。従ってこの法律背景となっておる現実の問題について、一体通産行政上どのような措置をとっていこうとしておられるのか。これはしばしば国会において問題となり、なお先般は衆参両院の本会議における決議事項等もあるわけでありますので、私はそういう問題について今日政府関係当局の御意向をただしたい。なおまたこのフリーガス開発あるいは問題となっておりますパイプ・ラインの設置等につきましては、半官半民の会社である石油資源開発会社と非常に関係があります立場から、岡田さんの出席をお願いしたわけでございます。  そこで私の本日の質問の焦点は、今日水溶性ガスくみ上げによって惹起していると考えられる新潟地方地殻沈下の問題の処理、こういう点について質疑を進めていきたいと思う。  まず私は、三月に終了された地理調査所水準測量、この点について地理調査所所長さんが見えておられるようでありますから、お尋ねをいたしたい。御承知と思いますが、すでにあなたの方の地理調査所昭和二十七年に発行されている地理調査所時報、このパンフレットに、石井それから立石、これは運輸技官であろうかと思いますが、この両技官大阪地方に起きておる地盤沈下というものを手がけた非常に経験豊富な方でありますが、この両技官が、やがて新潟にも地盤沈下が起こるであろうということを指摘しております。この石井さんと立石さんの調査昭和二十五年に行なわれておる。そうして二十六年に地理調が行なった新潟地方一等水準測量の成果を分析して、この二人の方が二十七年の地理調査所時報に論文を発表した。この両技官の予測は不幸にして今日的中をしている。そうしてはたせるかな昭和三十年ごろからこの新潟地区における地盤沈下が非常に急激な速度をもって沈下を始めている。昭和三十三年の最大年間速度は実に六十センチ、これは世界記録であります。アメリカのロングビーチが一時沈下をいたしましたけれども、これはその後処置を講じておって、今日は沈下が減っている。年間六十センチの沈下をしているのは日本の新潟地区だけであります。こういうおそるべき世界記録を立てている。そして今日昭和三十二年の八月から三十五年の三月まで一番激甚地であるところの臨港埠頭は、大体一・六メートルの沈下を来たしている。新潟というところは大体海面一メートルか二メートルの高さの土地でありますが、このように沈下激甚地帯では、すでに海面下〇・一メートルぐらいのところにある。満潮時になると一メートル近くの水面がこの周囲を取り巻くというような状況になっている。これが今日の状態であります。そこで地理調査所は三十二年の八月、それから三十三年の二月、三十三年の十月、三十四年の二月、三十四年の九月、三十五年の三月、計六回にわたってこの地点の水準測量をなさったわけでありますが、その結果どういうふうに御判定をなさっているのか、一応所長さんの御意見をお聞かせ願いたい。
  9. 武藤勝彦

    武藤説明員 新潟地区測量を古い話からちょっと申し上げたいと思いますが、一番初めにやりましたのは明治三十一年であります。それから次に昭和五年かに改測をしております。このときのあの地方変動はほかの地区にある程度のごくわずかのものであります。それからその後昭和二十六年に三回目の改測をいたしました。このときやや著しい変動が起こっております。そこで従来、尼崎、大阪、東京、川崎といったようなところで、水をくみ出すと著しい沈下を引き起こす事実があります。すでにこれらは水をくめば地面が沈むという定説になっておりますので、この地区でも非常に重大な事態が起こるのではないかという懸念を持ちまして、そこで四年置きまして三十年にまた改測をやってみたのであります。そうしますと、従来の沈下速度より著しい沈下を見たのであります。それでこれは大へんだというので、それ以後いろいろ計画を立てまして、従来は一等水準点しかとっておりません。一等水準点と申しますのは、約二キロの間隔に水準点を置いている国道に沿っての線路で、それでは十分詳しいことはわからない。それでさらにこまかい二等水準点を入れて詳細に調べる必要があるということになりまして、さっきお話をいたしましたような改測をいたしております。それで見ますと、それ以後の沈下の加速度は非常なものでございまして、年に幾らというふうなことではなくて、一日に一ミリとか二ミリとかいう沈下を示すところができてきたのでございます。地元でも大へん問題にされまして、これに対していろいろ測定も考えられ、かつこれが原因を確かめるためのいろいろの処理が施されたのでございますが、おととしの秋でございましたか、一部の非常に下がる平地の井戸の水のくみ出しをやめたらどうだということが問題になりまして、それが実行されました。そうしましたところ現在、最近の結果を見ますと、きわめて大きな沈下を示しておりました地域の、井戸をとめた地域では非常に沈下量減少して参っております。これに反しまして、そういうふうな処置をとっていない信濃川の右岸地区内野附近は、従来はそれほどでもなかったのでありますが、最近著しく沈下が加速されております。それから阿賀野川の右岸地区にありましたところはかなり沈下を加速しておったのでございますが、その後構造ガスに切りかえられているという話を私は承っております。事実かどうか私は直接は知りませんが、そう承っております。その地区でも沈下が減っております。これは水のくみ出しを少なくした関係だろうと思います。概略以上のようなことでございます。  要するに私どもとしては水のくみ出しが、その地域地盤沈下に離すことのできない相関関係を持っておる、そう考えておる次第であります。
  10. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうするとこの土地が低くなるとか高くなる、そういうのを測量なさるのが地理調の非常に高度な技術であるわけでございますが、今日新潟地区で起きておる異常な沈下原因は、やはり多量の水を地下からくみ上げておるということが大きな原因になっておるのではなかろうか、こういう考えを持っておられるのかどうか。
  11. 武藤勝彦

    武藤説明員 さようでございます。
  12. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そこで私がお伺いしたいことは、実は昨年の資源調査会中間発表におきまして、この沈下していく原因と思われるものが大体八つほどあるというようなことで列挙しておるわけであります。これには私どもしろうと考えても新潟地区沈下とは関係がないような項目も出ておりますが、特に水準測量という立場からお尋ねをいたしたいわけであります。この中に第一は、地球全体の温暖化による極氷融解のもたらす海面の上昇、海面が上昇するから地盤沈下する、こういう説、これは別といたしまして、二に日本海沿岸全般的沈下である、こういう説があるわけでありますが、これは地理調の方では日本海沿岸が全般的に沈下している、その一つとして新潟沈下しているのだ、こういう説に対してどのようなお考えでありましょうか。
  13. 武藤勝彦

    武藤説明員 日本海沿岸が一般にわずか沈下しているということは学界でも申されております。しかしその量はきわめて微量のものでございます。新潟でもって現在現われているようなああいうふうな大きなものではなく、これは長い間に数ミリとかなんとか、そういうふうなごく程度の少ないものでございます。これは東大の多田教授が詳細に調査しております。
  14. 櫻井奎夫

    櫻井委員 次に三として、新潟地方に特有な地殻変動が起きて、あのような年間六十ミリもするような沈下現象が起きている、こういう説があるわけであります。これに対して所長さんのお考えはいかがでございますか。
  15. 武藤勝彦

    武藤説明員 このことは私は地質学者でないので、はっきりしたことが申し上げられないのでございますが、たとえば地震の多発するとか、そういう地形のところはこういうふうな慢性的な緩慢な地殻変動が起こっております。たとえば三浦三崎とか串本とかいうところには、こういう緩慢な変動は認められておるのでございますが、ああいうような沖積地帯でもって、そういうことが地殻変動として認められることは、今までには経験しておりません。ただ沖積地帯はどこでもある程度圧縮でもって沈下はいたしております。しかし今言うような緩慢な方の沈下は非常に長い間の年数をかけた方の沈下でございまして、そう急激に大きく沈下することは、私たちは経験しておりません。
  16. 櫻井奎夫

    櫻井委員 次に、先ほどおっしゃいました沖積層の問題、これは地質学者でない所長さんにお尋ねするのもどうかと思いますけれども、しかし四として、新潟市、沖積平野自然圧密でそういう沈下が起きておる。もう一つ五としてあそこは御承知通り海岸侵食が起きております。あの海岸侵食影響であのような沈下が起きておる。それから六として港湾浚渫するために軟弱地盤を動かして、そこから地下水が吹き上げていくから沈下する、こういう説があるわけであります。このことはちょっと所長さんにお伺いしていいかどうかは私も判断に迷うわけでありますけれども、しかしこの四、五、六の沖積層の問題、海岸侵食の問題、港湾浚渫の問題、この三つはいずれも地殻深層部に起きる問題ではなくて、地表に近い、たとえば十メートル、三十メートルの間に起きてくる現象だと思うのです。従ってそのようなことが新潟の今日の急激な沈下と動かすべからざる関連性があるとお考えになるのかどうか、御意見を伺いたい。
  17. 武藤勝彦

    武藤説明員 今のお話でありますが、ごく表層における沈下が起こっておるとは私たち考えておりません。それは御存じのようにあそこではボーリングをやりまして、鉄のパイプを埋めております。鉄のパイプの底とそれから地表までの間の土地収縮鉄管に比較して、その移動を出すしかけでございます。この結果を見ますと、七十メートルとか百メートルとか、そういう浅いところでは鉄管地表も同時に沈下しておる、その間にほとんど沈下の量の変動がないのでございます。ところが六百メートルといったようなところになって、初めて地盤鉄管との沈下の食い違いが起こって参ります。これまた水準測量でも比較してその量を調べておるのでありますが、その点から見ても私たちはごく地表での変化とは認めがたいと思います。よく横に上の方が押し出されて、そのために沈下するのだというようなことがいわれますが、私たちとしては承服できない議論だと思います。
  18. 櫻井奎夫

    櫻井委員 ただいまお話に出ました観測井戸測量の結果であります。これはもちろん地理調査所としてはやっておられない、しかし運輸省、建設省あるいは業者、こういう方々が千二百メートル、六百十メートル、四百九十メートル、三百八十メートル、二百六十メートル、百三十メートル、それから浅層部として三十メートル、二十メートル、十メートル、この種類の井戸を十数本掘りまして、観測を続けておるわけであります。そこでこの方からのデータが、これは要するに地殻のどの部分、どの層が一番収縮しておるか、これを縦にはかっていく観測だと思います。地理調査所の方の測量というのは水平にはかっていく形であり、この井戸の方は縦に測量する、こういうことになるわけですが、これはもう一年、二年の歳月を費やしまして相当の正確なデータが出ておる。そこでこの観測井によって観測した結果と、あなた方が最近三月に調査なさった——これは御承知通り昨年の春と秋にガス水くみ上げ規制をいたした、くみ上げを先ほど仰せの通り中止した個所がある。そうするとそこに今まで八十万トンくんでおったのを六十万トンにする、こういうふうなことで変化が生じておる。その変化とこの水準測量変化観測井変化と、こういうものが大体において一致するのか、それとも全然これは一致しない、こういう傾向にあるのか、一つ御説を承りたいと思います。
  19. 武藤勝彦

    武藤説明員 水をとめましても、最初は必ずしも並行しておりません。しかし時間がたつに従って大体並行しておる。要するに水準測量の低下の減少とそれから井戸の方のパイプの方から調べました減少とは並行しておるわけであります。
  20. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私どもは実はこの調査を非常な関心を持って今日まで見守っておりました。特に昨年の第二次ガス規制後の地殻がどういうふうに動くであろうか、こういう点について興味を持って今日まで見て参ったわけでありますが、幸いにして地理調査所水準測量がこの三月に完了をした、そうすると井戸の方のデータはこれは毎日出ておるわけでありますから、これとのかみ合わせがどういうふうになるかということを異常な関心を持って、今日まで見守ってきたわけであります。今日ただいまの地理調査所所長さんの責任ある答弁をいただきまして、大体この縦の観測と平面の観測が一致するのだ、こういうことをお伺いしたわ  けでありますが、しかもこの収縮というものは地殻の浅層部において起こっておるのではない、中間の層において起きておるらしい、こういうことも私どもがかねがね考えておったところの説と一致するわけであります。そこでこの地理調査所の三月末までの測量の清算というか、しっかり数値を整理してしまわれるのは一体いつごろになるのか、期間をお尋ねしたいのであります。もう済んでおるのですか。
  21. 武藤勝彦

    武藤説明員 大体整理が済んでおりまして、近く配付できると思います。
  22. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それでは地理調査所としては、三月までの水準測量の結果の整理は全部済んだ、どこからそういう資料提出を求められても、十分それに応じ得る段階にある、こういうことを確認してよろしゅうございますか。
  23. 武藤勝彦

    武藤説明員 はい、その通りでございます。
  24. 櫻井奎夫

    櫻井委員 所長さんに対する質疑は終わりました。どうもありがとうございました。  それでは運輸省港湾局長お尋ねいたします。先ほど申し上げました通り運輸省においても港の沈下というものを非常に重大視されて、観測井を設けて調査をしておられる、こういうことでございますが、一体何本くらいのものを掘って、いつから調査を続けてこられたか、お尋ねいたします。
  25. 中道峰夫

    中道政府委員 観測井戸は三十三年度から観測を開始いたしまして、現在九本私の方の関係としてはやっております。
  26. 櫻井奎夫

    櫻井委員 三十三年度から設けられた九本の観測井における測量の結果は、時々刻々運輸省としては現地から報告を受けて、そうしてそれに基づいた分析をやっておられるのですか。
  27. 中道峰夫

    中道政府委員 さようでございます。
  28. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると、この観測井から今日出ておる測量の結果は、お聞き及びのことであると思うのでありますが、この観測井測量の結果は、や、はり浅層部におけるところの沈下収縮というものはほとんど認められない。百メートルから千メートル、こういうところにおける収縮が著しい、こういう結果が出ておるわけでありますが、そのことを一体運輸省としてはどういうふうに判断しておるか。この中間層が非常な勢いで圧縮する、この現象はどういうふうに判断しておるか。
  29. 中道峰夫

    中道政府委員 先ほど地理調査所所長さんからもお答えがございましたように、この原因につきましては、大体八項目ほどあげていろいろ探求をされたわけでありますが、まあ私たちといたしましても、この観測井戸の結果から見まして、やはり科学技術庁中間的な報告がございましたように、ガスくみ上げによる影響が大きい、これを重要視しなければならないというふうなことを信じざるを得ない。と申しますのは、今の収縮影響という点につきましては、浅層部の問題になります。これにつきましては、原因探求の当初からこのことも一つ原因ではなかろうかということが取り上げられましたので、二十メートル、三十メートルというような浅井戸も設けまして、それらの地域について観測をいたしました。しかし、ほとんどその地域についての収縮というものは見当たらないわけであります。そのほか、あるいは他の地区ガスを採取している鉄管状況とか、あるいは伏流水の問題とかいうふうなことも検討いたしておりますが、それらを見ましても、浚渫影響ということは今の段階ではちょっと考えられない、どうしてもこの観測の結果から見れば、やはり地下水くみ上げということが、大きな原因ではなかろうかというふうな科学技術庁報告、というふうに考えるわけであります。
  30. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると、運輸省としては、やはり今日の地盤沈下原因ガス水くみ上げにあるのだ、これは運輸省の一致した見解ですか。
  31. 中道峰夫

    中道政府委員 さようでございます。現在のところ、そういうふうに考えております。
  32. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると、いろいろ原因があげられております。先ほど申しましたように、八つあげられておるわけでありますが、この八つの中で、やはり地下水の急激な大量揚水にある。しかも今日地下水を何のために大量くみ上げているかというと、水溶性ガスを採取するためにくみ上げている。これに地盤沈下の主たる原因がある、こういうのは運輸省の動かすことのできない意見である、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  33. 中道峰夫

    中道政府委員 先ほど申しましたように、これまで観測井戸等によりまして検討いたしました結論から申しまして、科学技術庁原因につきましてお調べになっておるわけでございます。私たちはそれにいろいろな資料を提供しておるわけです。その結論といいますか、その中間報告が出ておりますので、私たちもそれと同じ意見を持っておるわけでございます。
  34. 櫻井奎夫

    櫻井委員 運輸省といたしましては、現地に第一港湾建設局がある。第一港湾建設局が非常な努力を重ねて、今日鋭意原因探求をやっておる。そこでこの第一港湾建設局がいろいろ沈下に対する意見を発表しておるわけでありますが、その港湾建設局意見、これを大体運輸省意見と見て間違いない、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。これは現地で実際の調査をし、実際のあれをやっておる、その意見というものはやはり運輸省意見であると、こういうふうに考えてよろしゅうございますか。
  35. 中道峰夫

    中道政府委員 先ほど申しました通りでございますが、やはり現地原因探求について協力しております。また実際問題として港湾関係に非常に大きな影響を来たしておるものでございますから、その点で最初から、原因探求についていろいろな委員会を通じて協力しておる。従いまして、その意見原因探求についての科学技術庁の御意見、これに対する一つ資料として、われわれは重要視しておるわけでございます。大体その線でわれわれも正しいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  36. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そこでこの観測井によるところの千メートルから百メートルの間の中間層圧縮が一番多い、そこから非常にガスを掘っておる、それで沈下をする。こういうふうなことを今お伺いしたわけですが、もっとほかにガスだというふうに考えられる面はないのですか。ただ観測井で、そこの中間層収縮がひどい、そこから非常に水溶性ガスをとっている。それだけでこれはガスであるというふうに判断されたのか、もっとほかに判断の材料がおありになるのかどうか。
  37. 中道峰夫

    中道政府委員 沈下原因といたしまして、現在のところ、やはりいろいろな例の八項目原因考えられておりますのですが、それらについていろいろ検討いたしましても、ガスくみ上げ、つまりそれに伴う地下水くみ上げ、これが一番大きい。これはここだけでなくて、大阪尼崎の例もございますので、そういうふうな経験と申しますか、そういう点から考えましても、一番これが大きいのじゃないかというふうに考えております。
  38. 櫻井奎夫

    櫻井委員 非常にばく然としたお答えなので、私のはもっと突っ込んだ話をしているのです。いやしくも、やはりこれは地下水くみ上げだ、これに原因がある、八つのうちでこれが一番重点的に考えられるものである、こういうことをおっしゃっているわけですね。そのことはすでに昨年の六月二十四日の中間報告にも書いてあるわけです。その後今日までやはり調査を続けてきておるわけですね。そうしてその調査の結果、これはどうしてもそれであると思わざるを得ない、こういう面があるのじゃないか。ほかに新しく出てきた要素というものはございませんか。ただばく然と地下水くみ上げだけでなく、これはガス関係がありますが、もっとたとえばこういう点はどういうふうに考えておるか。新潟地盤沈下、これは今まで地理調査所長さんも言っておられたが、徐々たる沈下はあったのです。しかしこれが急激に沈下し始めた、その沈下速度が急激に伸びていった、それと水溶性ガスの採掘の量とどのような線をたどっていくか、そういう点で解明してないですか。
  39. 中道峰夫

    中道政府委員 その点、ガスの生産量と沈下量変化というものは記録的に出しておりまして、大体ガスの生産の増加に伴って沈下量が増大しているという記録的なカーブができておるわけでございます。それらによりましても、その関連性が非常に強いと考えておるわけであります。
  40. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そういう点も、私はやはりガス原因であるという見方の一つの有力な材料だと思う。もっとほかにございませんか。たとえば地域的な問題はどうでしょうか。井戸の数と沈下の量というものが一致していないかどうか。
  41. 中道峰夫

    中道政府委員 ガスくみ上げが大きな原因だという理由といたしましては、ただいま申しましたようにガスくみ上げ量と沈下量との相関関係、そのほか井戸がございます地域沈下の線を、全体地域についてこしらえたものもございますが、それを見ましても、やはり井戸の数の多いところが沈下が多い。それからやはり多くくみ上げておるところが沈下が多い。それからガス規制をいたしました後における変化を見ましても、やはり規制をいたしましたところが収縮量が減っており、規制をしないところは依然として増高を続けている、というふうな点がいろいろございますので、やはりそのガスくみ上げが大きな影響を持っておるというふうに考えております。
  42. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そこで私はもう一つお伺いしておきたいわけなんですが、それは、この現地の一建の調査によりますと、応急対策としてやっておる防潮堤のかさ上げ、これは今日三十五年度が限度である、この上またさらに何メートルかを上に積み上げる、何センチか何メートルかを積み上げるということは、これは技術的に不可能である。そういうふうに、これ以上のかさ上げをやるためには、もっと防潮堤なら防潮堤、あるいは岸壁なら岸壁、こういうものをもとからやり直さなければならぬ。ちょうど平屋に二階を継ぎ足す場合、すぐ継ぎ足すわけにいかない。やはり大事な柱を取りかえなくてはならぬ、こういうふうな、いわゆる応急対策工事としての防潮堤なり岸壁なり、こういうものの技術的面において今日が限度である。これ以上に無限に積め重ねていくことは不可能である、こういうことを技術者が言っておるわけでありますが、これは港の関係でございますから、特に岸壁、防潮堤というものは、非常に重要な施設で、それがそういう限度にきておるかどうか。これは非常に私は大事なことだと思う。もう今日以上、これは積み重ねられないのだ、そういう技術的判断に立っておられるのかどうか、お伺いをいたします。
  43. 中道峰夫

    中道政府委員 この問題は、この沈下が今のような状況で相当、年間五十センチというふうな大きな量で下がって参りますとすると、これは非常に大きな、対策といたしましても、もう根本的にやり直さなければならぬというふうな段階がくるのじゃないかと考えておるわけでございまして、対策が全然手がつかぬということではなくて、莫大な工費がかかるというふうなことになってくるわけであります。でありますから、お話しのように、現在程度の防潮堤では持たないので、それをさらに大きくするためには、ただそれに継ぎ足していくだけでは済まない。今基礎の方からも考えていかなくてはならない。あるいは場合によれば水どめの工事もやらねばならぬというふうな、別のまた対策が必要になってくるというのが見通しとして考えておるわけでございます。
  44. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると、今日まで御承知通り、この応急対策としていろいろ防潮堤のかさ上げ等をやってみたわけでございますが、それにしても、実に莫大な費用を食っておる。このことはもうあなたの方はよく御存じであろうと思う。ことしの事業総量二十億一千万円、それがもう限度にきておって、もし今日のこの沈下をこのままにしておくならば、来年度の防災費というようなものは、おそらく根元からやり直す必要があるために莫大なものになるだろう、こういう御意見のようでございますが、そうすると、来年度かりに港の防災費を要求なさる場合、とても今年度のような予算の要求では持たない。もっと根元から作りかえていかなくてはならぬ、こういうお考えでございますか。
  45. 中道峰夫

    中道政府委員 この対策工事といたしましては、私たちの方は、応急対策工事と根本対策工事というふうに一応考えを分けておるわけでございますが、現在までのところ、三十五年度を目標で応急対策工事を進めておるわけでありますが、今年度まではその線でやっておりますが、ただいまお話がございましたように、今後の沈下が相当程度激しくなれば、これは莫大な経費がかかる。しかし、現在各方面で原因探究あるいは対策等について論議が行なわれておりますので、なるべく早く、この沈下を一日も早くとめるような方向にお考えいただいて、その線で恒久対策としての事業及び方法を考えていきたいというふうに考えておるわけであります。でございますから、三十六年度、つまり来年度の予算要求といたしましては、そういった見通しのもとに編成をしていきたい。とにかく、われわれといたしましては、沈下を一日も早くとめていきたい、そうでないと非常に大きな経費を要請しなければならぬというのが実情でございます。
  46. 櫻井奎夫

    櫻井委員 沈下をとめていきたいとおっしゃるのですが、沈下は現在進行中なのであります。大体今まで一番ひどいところが、一日一ミリ、一・二ミリくらいの沈下をいたしております。それを規制後、今日一・二が〇・八になり、あるいは〇・六になったところもある。平均して港湾の埠頭の附近は一日大体〇・七くらいの沈下を続けておる。そうしますと、これは年間実に二十五センチ。今日二十五センチ沈下しつつある。これは、東京の江戸川区が一九・五の沈下をいたしておる。それから大阪の西淀川の出来島が二一・五、尻崎一九・四、こういう沈下量に比べて二五というものはやはり最高の速度であります。今日ガス規制した中においてもこの速度は変わってない。今日現在においても沈下しておる。そういう中で対策工事というものが一体立てられるのかどうか。予算を要求するといっておるのですが、どういう見通しのものをなさるのか。全部やり直すという設計でなさるのか。先ほど承ると、これ以上、上にかさ上げすることは不可能だ。そうすると根本から考え直さなくちゃならぬ。どういう考えでおられるのか、来年度の問題で。
  47. 中道峰夫

    中道政府委員 対策といたしましては、実はいろいろございして、岸壁接岸地域の防潮堤、あるいは波浪に対する防御のための防波堤のかさ上げ、あるいは海岸侵食に対する侵食防止工事と、いろいろございます。また地域的にも、個所によって、それぞれ地質の状況なり、あるいは岸壁でございますから、物揚げでありますとか、施設の利用状況等もございます。従いまして、そういう機能的な問題、また地質のような地理的な問題も考えに入れまして、それぞれの場所に応じて対策を立てていくわけでございます。先ほど申しましたが、現在が最終段階にきておるということでございます。それは今のように非常に大きな沈下がどんどん進んでいきますならば非常に危険であるということでございますが、二十センチになりますか二十五センチになりますか、今後またいろいろな施策等もあると思いますが、その見通しによりまして、それに応じた対策を立てていくということだと思うわけでございます。
  48. 櫻井奎夫

    櫻井委員 ことしは港湾に六億ですかいく。来年度は、沈下が進んでおるという現況の中で、一体どれくらい考えられておるのですか。
  49. 中道峰夫

    中道政府委員 ことしは事業費といたしましては、港湾関係では十一億でございます。うち国費としては約七億、この予算で一応私の方は応急対策工事としてやるわけでございますが、三十六年度以降については先ほどから申し上げておりますように、沈下の見通しというものによってそれぞれの地域に応じた対策を立てて予算要求をしていく、従いましておそらく今の見通しをまだ的確に申し上げる段階ではございませんけれども、現在の予算よりは相当大幅な増額になるんではないかというふうに考えるわけであります。
  50. 櫻井奎夫

    櫻井委員 港湾局長に聞くのはそれが限度だろうと思うのですが、私は大臣を要求したのでありますけれども、大臣御都合悪いわけですね。
  51. 中村幸八

    中村委員長 ちょっと運輸委員会の方にくぎづけになっております。
  52. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それではあなたの所説を聞きましても、やはりその原因というものはガス水くみ上げにあるんだ、こういうことは運輸省は確認しておられる。ガス水をどんどん取っておる。ここで一方ではこういう港湾の破壊が行なわれておる。そしてその港湾の対策費というものは無限に運輸省が予算をとっていく、こういう一つ相関関係、因果関係というものについては、運輸省は矛盾をお感じにならないのかどうか。原因がほかにありながら、その原因のためにここに結果としてそういう港湾の破壊という問題が出てくる。それをあなた方は常に政府に要求して国費から何億という莫大な金をもって、これを修築していく、こういうことを役人のあなたにお聞きするのは非常に筋が違うかもしれないけれども、どういうふうに考えられるか、私ども政治家としてはこういうことは許せないのです。御意見を承りたいと思います。
  53. 中道峰夫

    中道政府委員 私お答えするのは適当でないかもしれませんが、われわれといたしましても、この問題が起こりました当初から非常に大きな港湾機能に被害を及ぼしてくるものでございますから、何とかしてこれをなくする、こういうような原因を除去して港湾の機能を保持したいということでございまして、そのために現地でもあるいは中央でもいろいろな機関が設けられたわけであります。それに対しまして現地としてもできるだけの協力を申し上げて原因探求をいたしておるわけであります。従いましてこの原因科学技術庁で御報告がございましたように、そういう線ができるだけ早く確定して、この原因の除去に一日も早く対策を講じられて港湾に対する影響をなくしていただきたい。われわれといたしましては現状に対してどうしても応急対策はやらなくちゃならぬ、また将来の港湾機能の保持という問題についても根本対策を考えなければならぬということであります。従いましてお話のように悪循環と申しますか、そういうような点についてはそれぞれの機関がございますので、その線に沿うてわれわれとしては一日も早くこういった原因を除去していただきたいというのが念願でございます。従いまして費用の点から申しましても、そういった費用はできるだけ最小限度に押えたいというのが実情でございますけれども、しかし港湾の持っております使命というものから考えまして、これを保持するための最小限の費用はどうしてもつぎ込まなければならぬというのが実情かと思います。
  54. 櫻井奎夫

    櫻井委員 大臣が見えませんので、運輸省に対する質問はこれで終わります。  御承知のように昨年二回にわたってガス規制が行なわれ、三十四年の二月に六万一千立方メートル、これは自主規制でしたね。九月に八万六千百六十四立方メートル、それから十一月に入って四万五千九百八十五立方メートル、こういうふうな規制が行なわれているわけでありますが、その規制は十分実施されておるのかどうかお伺いをいたしたいと思います。
  55. 福井政男

    ○福井政府委員 十分に実施されております。
  56. 櫻井奎夫

    櫻井委員 規制をやった後に、さらに水のくみ上げ量が大きくなった、こういう事実が図表となって出てきているわけでありますが、それはどういう関係でございますか。昨年の十二月規制後一番沈下量も下がったし、水の量も下がっている。ことしの一月に至ってまた水の量がふえている。それはどういう理由によってそういう形になってきておるのか、御説明をいただきたい。
  57. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいまのお話は水のくみ上げ量の増加という意味だと存じますが、新潟地区におきまする全体の生産量としては相当ふえておりまして、御承知のように現在の生産量は一日約九十万立米前後になっております。ただ内容的に見ますと、新潟の都市周辺では、離れた地区規制前から認可をしておりました若干の井戸が操業を開始するというような点はございましたが、主として手をつけておりますのは深層部の試掘でございますとか、二千メートル前後の非常に深いところの試掘でございますとか、あるいは構造性ガスの探索、こういう方に重点を置いておりまして、あるいは総体の生産量がふえておりますから若干の水の量はふえておるかと思いますが、私どもの方では規制をいたします以前より水の量がふえておるというようなデータは、まだできていないのでございます。
  58. 櫻井奎夫

    櫻井委員 これは図表でございますから、あなたにお見せするわけに参りませんが、この規制している規制区域のラインのすぐ外の方ですね、こういうところで盛んにボーリングだと思うのですが、これが行なわれておる。これを私は現に目で見ている。そういうものは一体新たに認可したのか、あるいはあなたがさっきおっしゃった、千メートル以上の深層であって、水をほとんど伴わないものであるかどうか。たとえば昭和橋の附近にも新しい井戸を掘っておる。特にこの規制ラインの外、競馬場のうしろ、こういうところは無数に掘られておる。そういうことは、規制ラインの外に新たに認可した井戸があるのかどうか、これを承りたい。
  59. 福井政男

    ○福井政府委員 少なくとも規制のラインの前後、そのラインに非常に近接した地域におきましては、新たに認可いたしておりますものは、ただいま申し上げました二千メートル前後の深層のものでございますとか、あるいはまた構造性のもの以外にはございません。
  60. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると今日、内野方面で掘っておるのは、これはすべて深層のものですか。水溶性は掘っていませんか。
  61. 福井政男

    ○福井政府委員 さようだと思います。私も実は現場を承知いたしておりませんが、新しく認可をいたしましたものは、水溶性のものにつきましてはございませんので、おそらく水溶性のものではないであろうと思います。
  62. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それではこの規制ラインの近所では今日水溶性ガスは掘ってない、こういうふうに確認してよろしゅうございますか。
  63. 福井政男

    ○福井政府委員 規制後に新しく認可をして掘っておりますものはないはずでございます。
  64. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それでは先ほど申しました、三回にわたって規制をいたしましたその結果、先ほど地理調査所水準測量においても、また運輸省観測しておる観測井戸記録も、一致してこの規制をしたところのラインの中においては沈下が鈍化しておる。今まで一日一・二ミリあるいは一ミリの速度沈下しておったものが、今日はそれが五割なり四割なり沈下が減っておる。私ここに資料を持っておりますけれども、しかもそれが水準測量の結果と、井戸の縦方向の結果というものが一致しておる。こういう中央部におけるところの沈下の鈍化、同時に、規制をしていないところの内野地区における新たな沈下の激化。こういう現象が生じたということは、一体どういうふうにお考えになるか。
  65. 福井政男

    ○福井政府委員 先ほど来地理調査所あるいは港湾局の観測の結果等が御披露がございましたが、私どもの方でいただいております資料、また現地で受けております資料などから見ましても、おおよそ先ほどのお話のようなことが認められておるわけでございます。規制後の沈下の度合いの減少というような点を見ますと、大体平均三割から四割くらいの沈下度の低下というものが見られるわけでございます。こういう観測井から見られます沈下度の現象と、それから一方井戸別に保安的見地をもあわせまして、井戸の水位の関係調査いたしました。この二つの結びつきと、それからもう一つ水準測量の結果が、今の沈下の低下度合いとどういう数字的な関係にあるかということを見て、今後の規制関係考えていきたいという態度で参ったのでありますが、近く建設省の地理調査所の方で水準測量の精査の結果も公表されるということでございますし、また私どもの方では、そういう原因についての判定の権威というものを持っていないわけでありますが、資源調査会の方でも過去一年間調査の結果に基づきまして、近く報告書も出すというふうなことで進行いたしておるようでありますから、私どもの方では資源調査会の近く出るであろう報告を見て、その結果で一つ考えたい、こういうことで現在研究を進めております。
  66. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると中央部において沈下が鈍化する。それから一方乱掘しておる内野地方においては沈下激甚になってきた、こういう事実からして、これはやはりガス水くみ上げ、水溶性のガスの採取に関係があるのだ、こういうことはよもやあなたは否定なさらないと思うのですが、その点はどうですか。
  67. 福井政男

    ○福井政府委員 水の影響につきましては、昨年の六月資源調査会から報告が出ておりまして、その後の実情が今申し上げたようなことでございますので、影響があるであろうということは私ども認めております。ただどういうふうな影響の度合いであるかというようなことにつきましては、今後資源調査会の方で、ごく最近に、原因に関します再度の報告書も出すそうでございますから、その結果に基づきまして処置していこう、こういうことで、われわれ内部では、今申し上げましたような方向で、こまかく検討を続けておるわけであります。
  68. 櫻井奎夫

    櫻井委員 ちょっと私了解しかねるのですが、原因ガスにあるということは認めておられるが、その度合いというのは、どういう意味を持っておるのですか。その度合いの結果がどうとかおっしゃったが、それはどういう意味ですか。
  69. 福井政男

    ○福井政府委員 御承知のようにこの前の資源調査会報告が、大量の水のくみ上げにあるという説を重視せざるを得ないという表現に相なっておるわけでありますが、過去一年の観測データによりまして資源調査会報告を出すそうでございますので、その表現というものがどういうふうになりますか、おそらくもう少しはっきりした表現になるのではないだろうかという意味であります。
  70. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると、この原因ガスであるということを認めていながら、資源調査会の発表の表現の工合いによっては、また別の原因をひっぱり出したり、いやどうもガスではなさそうだというようなこともあり得るということですか。
  71. 福井政男

    ○福井政府委員 私は科学者でございませんので、原因についての判定能力というものはございませんが、もちろん行政を実施して参ります上の根拠という意味合いで、私どもいろいろなデータを整備して、それに基づいて処置していかなければならぬ、こういう意味合いで申し上げておるわけでありますが、御承知のようにこの原因に関する論争につきましては、別途、水のくみ上げ説を否定するわけではないでしょうが、水のくみ上げ説というものについての批判的な学者グループの意見も、正式に私どもの方にも出ておるわけでございまして、そういうような関係もございますので、資源調査会の今後の報告というものを私どもの作業を進めて参ります足がかりと申しますか、そういうことにしたい。またそうするのが適当であろう、かように私どもは判断いたしておるわけであります。
  72. 櫻井奎夫

    櫻井委員 資源調査会の発表があってからというようなことを盛んにおっしゃるけれども、これは今急に起きておる現象ではない。もうすでに二年も三年も前から起きておる。それなのに、資源調査会がまた研究をして発表したら、その発表の仕方のいかんによってどうするというような、きわめてあいまいもこたる御答弁をちょうだいして、はなはだ不満であります。地理調査所も、先ほど所長が、もう精査はできておるのだ、どこの官庁からどのような要求があっても、いつでも自信を持って出せると言っておるでしょう。あなたの意見を聞くと、地理調査所からそのうち発表があるでしょうしというような全く他力本願的な考え方に立っておられる。今日、先ほど申しましたように、規制を加えたところさえも〇・七ミリの沈下を続けておるのです。このことは日本で最大の沈下です。世界においても、ロングビーチ以外に、これだけの沈下をしているところはありますか。イタリアのコンタリーナの東南二、三キロのところに三十センチの沈下をしておるところがある。うちの地区のごときは一・二ミリの沈下をしている。これは災害にひとしいのです。しかも、その原因というのは、あなた方自身さえ、どうもガス水くみ上げにあるらしいと認定しながら、地理調査所の精査の結果が出なければどうとか、資源調査会報告が出なければどうとか、こういうことは非常に怠慢だと思う。しかも、先ほど運輸省港湾局長も、この沈下によって被害をこうむるところのいわゆる防災工事、こういうものは限度にきていると言っているでしょう。もう放置できない。このまま沈下していくならば、来年度は全部かさ上げはできない。もとの方からやり直さなければならぬ。それは何でやるかというと、みな国費でやるのでしょう。国民の税金でやる。あるいは県費、市費でやる。そういう莫大な損失を国民にしょわせておいて、こっちに起きておる現象に対してさらに熱意を持たないで、いろいろな理屈をつけていくということは、あなたがこの問題の解決に対して熱意を持たない証拠である。今、規制をした中央部さえも二十五センチ、大阪、尼崎、江戸川、こういうところよりずっと上位の沈下を続けておるじゃないですか。どうして資源調査会報告がなければ鉱山局自身としての措置がとれないのか。ただ、業者が反対するから、一部の学者に反対があるからということで、あなたはいつまでも引き延ばしておられるのかどうか。衆参両院においては、この問題を解決するということは国会の決議です。いかがお考えですか。
  73. 福井政男

    ○福井政府委員 国会の決議もございますし、私ども各省と緊密な連絡をいたしまして、本件の実施の問題につきましては打ち合わせを進めて参っております。この点につきましては、私どもも十分に熱意を持って処理をいたして参っておるつもりでございますが、今後さらに一段と熱意を入れて参ることはもちろんでございます。今私が申し上げましたのは、われわれが規制をやらないという意味合いで申し上げておるわけではございません。先ほど申しましたようなデータにもなっておりますので、ある程度実施をしていかなければならぬであろうということは、私どもみなそういう頭で検討をいたしておるわけであります。ただ通産省といたしまして各般の問題がございますので、これを今後実施いたして参るということになりますと、やはり一つの根拠というものがなければならぬわけでございます。そういう意味合いから、昨年資源調査会から報告書が出されておるわけでありますが、一年たちました今日、さらに報告書を出そうということで進行いたしておりますので、その結果を見まして一つ処置をいたしたい、こういう所存であります。
  74. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると、この問題に対する資源調査会考え方を根拠にするとおっしゃるわけですね6資源調査会にげたをはかせた、こういうふうにも私にはとれるのですが、この点はどうですか。
  75. 福井政男

    ○福井政府委員 資源調査会報告がごく近く出されるということになっておりますので、それを待ってやるのが適当であろう、こういうことで私ども進んでおるわけでありますが、しかし、それと並としまして、かりに規制を実施するとすれば、どういう方法で具体的にやっていったらいいかというこまかい点につきましては、現在すでに検討を進めておるわけであります。
  76. 櫻井奎夫

    櫻井委員 あとで資源局長の方にもお伺いしますが、近く資源局の最終の結論が出るということを、あなたは盛んに言われておるが、近く出るのかどうか。私の聞いておるところでは六月の二十二日だと聞いておる。そういうことでは地元では大へんなことになりますよ。私の耳に入った情報によると、十八日にはガス会社に五千名の市民が押しかけるという事態になっておる。そこで私どもが心配をしてこういう問題を取り上げてやっておる。ところが、通産行政というものは、人から忠告をしなければできないのですか。資源調査会で何か一つ旗を上げなければ、それによって規制するとかしないとか、そういう通産省の態度というものは自主性があるのかないのか。当然今まで研究してきておる、いろいろな方面から資料が集まっておる。それに基づいて独自の立場から行政をするのが政府当局の立場でしょう。もちろん資源調査会は昨年度も特別委員会を作って調査しておられるのだから、その意見を参考にされることは必要です。しかしその結論が出なければ出せないということはどこにあるのですか。通産行政は従属したのかどうか、御意見を承りたい。
  77. 原田憲

    ○原田(憲)政府委員 これは、大臣がもうすぐ見えますから、大臣に聞いていただいてもけっこうでありますが、私が今出ておりますからお答え申し上げます。  この地盤沈下の対策については櫻井委員が熱心にやっておられる、私も政務次官として一生懸命やっておるのですが、企画庁の方でこの対策をやり、資源調査会原因探求しよう、こういう形でもって一番根本的なものを突き詰め、そしてこの原因がはっきりしたらこうする、こういうことが地盤沈下対策の根本であろうと私は思っております。先ほどからいろいろ言われておりますが、やはりこの大きな原因は水溶性のガラスをくみ出しておるところにあるということについては、私もそうであろうと思う。そこで規制をしましたところが、その規制によってその速度が鈍化しておるということを見ても、やはりそのおもなる原因が、水をくみ出しておるところにあるだろうということを立証しておることになっておると思う。そこでやはりそれならば根本的な対策を立てなければならぬじゃないか、こういうことになりますと、先ほど局長もお答えしておりますが、それについてはこうであるというはっきりしたものを出さなければならない。その措置は資源調会がやっておる、こういうことになっておりますから、私どもの方でも資源調査会の方へ——今あなたは六月二十二日と言われたが、私はそれは知りませんが、原因調査する責任ある地位にあるものがやるようにと督促し、それが出たらそれに対するところの通産省としての措置というものを早急にやりたい、こういうように思っております。
  78. 櫻井奎夫

    櫻井委員 次官の御意見はよくわかりましたけれども、大臣が見えたら、なお通産省の態度については基本的な問題についてただしたいと思います。そこで鉱山局長にお伺いしますが、今まで私が述べた条件から、とにかく規制したところもまだ非常な速度沈下をしておる。このことが一つ。それから応急対策の防潮堤等の構築の場合の技術的問題として、もうことしが限度であって、三十六年度からやるとするならば、ずっと基礎からやり直さなければならぬ。そのためには莫大な費用がかかるだろう。こういうことが今日の前に迫っておる。このことが一つ。それからもう一つとしては、やはりあなた方自身もこの沈下原因水溶性ガスくみ上げにあるということを、大体腹の中では考えておられることも率直に今言われた。そういう三つの条件の中において、これは今日やはり新潟周辺からの水溶性ガスの採取に対しては、早急な対策を打たねばならぬ時期に来ておるのだと私は思う。そうしなければ、私は国土と国の経済の失う損失は一ガス産業の問題ではないと思う。そういう立場から考えてちょっとお聞きしたいのは、今日新潟のタウン・ガスも含めて、あの近所の工場で原料とされておるものは、一体総量はどれくらいのものが必要なのか、ちょっとその数字をお伺いしたい。
  79. 福井政男

    ○福井政府委員 現在九十万立米の前後のものを生産いたしておりまして、これは御承知のように新潟地区で消費をされておるわけでございます。それでどの程度必要かということになりますと、これは、今後天然ガス開発は大体どういう需要があるかということ、それからどの程度の価格で提供し得るかということ、今度一方資源があるかないかという両方の話し合いがつきましたところで、生産が行なわれていくという面が非常に大きいわけでございまして、新潟の方で地盤沈下問題が起きない以前におきましては、御承知のようになお天然ガス化学工業として進出したいというようなものもあったわけでございますが、今後原料の確保という問題が非常にむずかしくなるであろうというようなことで、ちょっと見合わしたりあるいは様子をながめているというようなところもあるわけでございまして、こういう点は今後この問題がどういうふうになっていくかというようなこととも関連いたしておるわけでございます。どの程度需要量があるだろうかということは、そういうふうな関係にございますので、具体的に数字を申し上げるよりも、そういうことで御了承をいただきたいと思います。
  80. 櫻井奎夫

    櫻井委員 私が聞いているのはちょっと意味が違うのですが、私一つ今の問題の前に確認しておきたいのは、鉱山局としても、資源局の発表があって、規制をかりに拡大しなければならぬというような場合、規制を拡大するにやぶさかでない、こういうことは確認してよろしゅうございますか。
  81. 福井政男

    ○福井政府委員 そういう考え方でおります。ただ御承知のように、また先ほど申し上げましたように、原因説についてはいろいろの意見がございますので、私ども今後この規制の仕方によりましては、大部分の天然ガス業者というものが全部仕事ができなくなる、あるいはまたそれにつながる労働者、家族こういったものの問題というような大きな問題も一方にあるわけでございまして、ほかの原因等についてどういうふうに考えていくかというようなことにつきましても、いい考え方が同時に各省の協力で発表されますと、規制を実施いたして参ります場合に非常にやりやすい、こういうような気持も持っているわけであります。
  82. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そういうことは私は聞いていない。そういうのはまた別途の角度から考えるべきことであって、規制を拡大せねばならぬというような結論が、今日までの調査の結果から出るならば、規制を拡大するのだ、こういう形かどうか。それに伴う産業をどうするか、これは別個の問題で、私が聞いているのは規制の拡大という場合に規制が拡大されるかどうかということを聞いている。趣旨は大体わかりました。  そこで先ほど私が質問したのは、現在どのくらいの量を必要とするかということを聞いている。将来問題が解決すれば、ここは大きなガス産業地帯となってくるでありましょう。その将来の展望を聞いている。従ってこれは先ほど申しました三つの原因からして、早急に水溶性ガスの採取を押えていかなければならぬ。そうしてできれば、私ども考えではこの〇・七の沈下を〇・三以下にすること、それが一番の焦点であろうと思います。全部水溶性をとめたところで、一挙に沈下がとまるはずはない。しかし少なくとも〇・七を〇・三以下の沈下に食いとめていって、その間において転換をはかるという措置を積極的に講じなければ、ただじんぜんとして待っておったところでこれはできるものではない。そこに行政の妙味があろうと思う。そこで私が今聞いているのは、何十万立米のガスを必要とするのか、現在九十万立米とおっしゃったが、その九十万立米のうち、水溶性のフリーガスの比重はどうなっているか、かりに水溶性が三十、構造性が六十ということになれば、三十の水溶性をどういうふうに切りかえていくか、こういう問題が出てくるわけです。たとえば石油資源の方においても構造性ガス井戸を発見しておられる面もある。それを漸次近いところのパイプ・ラインから持ってきて、小さい中小企業の水溶性ガスに甚大な打撃を与えぬようにした転換ができないかどうか、こういうことに立って、私は現在必要としている九十万立米のうち水溶性ガスフリーガスとの間は、一体どうなっているかを聞いている。
  83. 福井政男

    ○福井政府委員 現在約九十万立米現実の生産量がございます。御承知のようにこの需要は化学工業と、それから都市ガス、燃料、これが大部分でございますが、化学工業の原料としての比重が年々大きくなっておりますことは御承知通りでございます。この九十万立米の需要されておりますうちにフリーガスとそうでないものとが一体どの程度あるかということになりますが、全体的に申しますと約一割ちょっとのものがフリーガスでございます。この比重というものは非常に大きいわけでありますが、年々増加をいたして参っております。私ども今回この法律改正をお願いいたしておりますのも、そういう意味合いでフリーガスの方に大いに開発の方向を向けていきたいということでお願いしておるわけでありますが、新潟の実数について見ますと、三月の数字は約九十万立米の生産でフリーガスが約三十万でございます。新潟につきましてはちょっと率が落ちておりますが、全体の使用量が非常に大きいということになって約三十万のフリーガスになっております。
  84. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そうすると九十万立米のうち構造ガスが三十万、水溶性ガスが六十万、こういうことでありますね。そこでちょっと岡田さんに恐縮ですが、途中で質問いたしますが、あとの質問はあとでするわけです。今のに関連して御質問申し上げたいのですが、石油資源が新潟周辺にフリーガスの掘さくに成功せられた、こういうことを聞いているわけです。見附とかああいう遠いところでなくて、新潟市の周辺に今まで発見されて使用せられておるフリーガス構造ガスは一体どれだけございますか。
  85. 岡田秀男

    岡田参考人 私ども新潟市周辺で構造性ガスを扱っておりまするのは、日本瓦斯化学の第二工場のちょっと北のあたり、私ども会社では東新潟地区と称しております。そこへ鉱区といたしましては日本瓦斯化学さんが持っておられる鉱区でありますが、私どもが共同購入をいたしまして井戸を三本掘りました。二本目は失敗いたしましたけれども一本目と三本目は成功いたしました。一本目の井戸からは現在一日に八万立米ほどのガスを日本瓦斯化学に供給いたしております。第三号井は仕上げ中でありますから、仕上げが完了いたしますれば同様に日本瓦斯化学の方へ、数量はまだ確定的にいたしておりませんけれども、かなりのものが、まあ一号井に似たようなものが提供できるのじゃなかろうか、こう考えております。
  86. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そこで三本掘られて、一本は失敗に終わって一号と三号が成功したということでございますが、その周辺に技術的に見てあなた方が、簡単にいえば、あなた方は技術屋でございますから、その周辺に構造性ガス開発の見通しがあるのかないのか、そこを掘ってみれば近くにあるだろうというような見通しがあるのか、ちょっとお聞かせ願いたい。
  87. 岡田秀男

    岡田参考人 ただいま私二本目は失敗したと申しましたが、これはちょっと訂正さしていただきます。千四百メートル前後の層をねらってやったのでありますが、その層では失敗いたしましたけれども、もっと浅い三百メートル前後のところに、これは全然水と関係のない、浅いけれども構造のガスを見ておるのであります。これは日本瓦斯化学の方で、すでに発見されておりました層でございますので、日本瓦斯化学の方に井戸を提供いたしまして、日本瓦斯化学の方が瓦斯の採取をやっておられます。この東新潟ガスの構造はかなり大きいものと想像されますから、私どもの方としましては日本瓦斯化学との契約によりまして、もう一本第四号井を今掘りつつありますが、これが成功いたしますと、これで私どもがこの日本瓦斯化学の鉱区に掘る井戸は終わりでございます。日本瓦斯化学の方で引き続き御開発になりますれば、まだ開発の余地はあろうと存じます。それから別の区域にあるかないかということは、これは地震探鉱その他大にやってみた場合に、新潟の平原地帯にないとはいえないと思いますけれども、かなり鉱区が錯綜いたしておりますので、地震探鉱等を実施することがなかなかむずかしいのでございます。現在のところは東新潟の方がかなり大きいのと、帝石さんの方におきましても阿賀野川の近辺で私どもがやりましたと同じような意味の構造ガスを発見されておりますので、あの近辺にはまだあるのかもしれないと思っております。帝石さんの方では新しく構造性ガスを発見しようというので、新発田の方向に向かって調査を進められておるようでございます。これが成功いたしますれば構造性ガスが大いに伸びることに相なろうかと期待いたしております。
  88. 櫻井奎夫

    櫻井委員 ありがとうございました。  鉱山局長に私の意見を申し上げるわけですが、こういう差し迫った状況の中にあっても、政府当局の行政措置よろしきを得れば私は絶望ではないと思う。この場合はこういう大災害ですから、あまり鉱区というようなものにとらわれないで、石油資源開発会社にも、帝石さんの方にも構造性ガス探鉱をやらせる。そうして目下の九十万の需要に対して七十万なり八十万なりはフリーガスに早急に転換するという措置をとられれば、私はそれが応急の処置だと思う。そうして将来の新潟ガス田の開発をどうするかというのは、もっと五年も十年もかけて計画されればいい。今〇・七ミリの沈下を〇・三にするということは、そういう行政的な強力な措置がとられなければだめでしょう。そうして、そこで消費されておるのは日本瓦斯化学なり東洋瓦斯化学ですが、こういうのが大口の消費なんですから、その大口消費を構造性に切りかえる。タウン・ガスなり燃料というものは、昔から掘っておったこの量を小さくしていくならば、私は沈下の鈍化ということにこれ以上の効果をおさめると思う。そういう行政措置をどうしてとられなかったか。ただ民間の業者にまかせ、あるいは石油資源にまかしておるというようなことでは、私はこの大きな災害にひとしい問題の解決はつかないと思う。従って私が要求することは、そういう資源調査会の御意見を参考になさることも私は決して否定はしない。最高のこれは科学技術庁資源調査会ですから、しかしその結論を待たなければできないということはどうしても納得ができない。もっと通産行政は自主性があってしかるべきだ。そうしてそういう帝石なり石油資源というようなものと協力をして、一日も早く構造性ガスをたくさん供給して、目下の九十万立米をどうするかということを真剣に考えられた方がいいと思う。そうしてあとの中小企業の、あそこに北陸ガスとかなんとかいうのがありますが、そういうものはこれは水溶性を当分掘るのもやむを得ないでしょう。しかしもっと需要の大きな会社に対するガスフリーガスに切りかえる、そういう行政措置をするということが、あなた方の最大の喫緊の義務だと思う。私はそういう点において非常に今日の石油及びガスの行政というものが立ちおくれておる。言いかえれば、われわれの目から見ればあなた方に熱意がないと言ってもいいくらいなんです。  鉱山保安局長にお尋ねしますが、昨年三回にわたって規制をなさったわけであります。これは通産行政上は画期的な仕事だったと私は思うのですが、そこでこの規制地区的な規制をなさったわけです。ラインを引いてその中を一斉に規制なさった。この現在規制しておられるやり方に対する欠陥というものを、相当反省しておられると思うのですが、そういう反省がありますか。そういう地区を切っての規制をやるということについてどういうふうに考えておられるか。
  89. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 昨年規制をいたしましたが、昨年の規制は御承知のように区域を切って規制をいたしております。一応区域を切りましたのは、市街地という観念を中心に考えました結果、自然と区域がきまったような形になっておりますが、その後の推移を見ますと、禁止区域の周辺ともある程度の関連を持っているというような感じもデータから見られますので、今後規制をするような場合には、あるいは区域でやるか、あるいは井戸ごとにやるか、そういうような点につきましても非常にむずかしい点が存在しているわけであります。はたして区域で切りますか、あるいは区域と井戸と同時に考えるというような方向にいきますか、その点はもう少し検討さしていただきたい、かように考えております。
  90. 櫻井奎夫

    櫻井委員 たしかに今言われたようなことがあると思うのですが、それと同時に、やはり私はこの区域で規制されたということについて、もう一つ忘れてならないことは、この区域の中にたくさん井戸を持っておった会社といいますか、事業者、そういうものが不公平な打撃を受けておるということがあり得るのではなかろうか。一つの区域になりますと、その指定された区域の中に辛うじて仕事をしておったというようなものが壊滅的打撃を受ける、こういうことが起こり得る、まあ起こってきておるわけでありますが、そういうのはやはり実施された場合の欠陥として、やはり今日率直に反省されていかなければならぬ問題じゃなかろうか、私はそういうふうに考えるわけであります。  それからもう一つは、やはり区域で線を引いたために、その線の——これは天然ガス採取規制についての大臣勧告の中にも、別表表示区域の周辺の採取は慎重にしろということが第五項にうたってあります。うたってはありますけれども、この区域の線の外であれば掘ってもいいのだ、こういう考え方も出てくる、そこにも私は一つの欠陥があるような気がするわけであります。そこで今後、今までの論議からして、これは保安局長としては重大な決意をなさるべき段階がきておると私は思う。従って、あなたもやはり資源調査会の発表がなければできないのだ、こういう見解をおとりになっておるのでしょうか、どうですか。
  91. 小岩井康朔

    ○小岩井政府委員 昨年の規制以後、その推移を見ますと、最近データを入手しました結果の解析によりますと、ごく大要を申し上げまとす、阿賀野川以東の地域は、先ほどの説明にもありましたように、かなり沈下現象がゆるんでおります。それから阿賀野川と信濃川との中間あるいは従来禁止しておりました市街地を中心としました地域におきましては、かなり沈下現象は緩慢になっておりますが、ごく最近の姿は、少しまた下がりが鈍ったのが観測されておるようなデータが多少出ております。それから信濃川以西、いわゆる内野地区につきましては、先ほど来のお話のように、くみ上げも増加しておる関係で、沈下の数量も範囲も広くなってきております。従いまして、市街地の従来禁止しております地域も、内野地区の天然ガスの採取によって、影響をかなり受けておるのではないかというようなデータが現在出つつあるわけであります。従いまして、私どもも先生にもたびたび申し上げておりますように、もう少し長期のデータによる判断がほしい、こういうことを申しておりますけれども、毎日相当な数量が沈下をいたしております結果、そういつまでも日数をいただくというわけにも参りません。従って、私どもの方でも、地理調の精査ができておるという先ほどの話でありますけれども、まだ入手はいたしておりません。従って、そう大きく変化がくるということは考えておりませんので、大体今までの資料に基づいた解析の結果では、ある程度の規制はせざるを得ないだろうという考え方を持っております。しかしそのこまかい内容につきましては、もう少し検討させていただきたい。ただ、ただいまの科学技術庁資源調査会の結果を待たなければできないかというお話でありますけれども、私どもの解析の方向としては、ただいま申し上げましたような方向をもうすでにとっております。ただ最近資源調査会の方で、昨年の結論に何がしかの追加をしたいというお話を聞いておりますので、従来の経緯もあり、調査会で何がしかの結論を出すということなら、その出た結果との調整をとる必要があるのじゃないか、かように考えておりまして、私ども独自でとれないというわけではございませんけれども資源調査会ではせっかく追加結論をお出しになるという方向のようでございますので、できるだけその方向を早くしてもらって、そうして私どももたびたび国会でお約束しております今月の中ごろか、来月の初めという期間のお約束を果たしたいというふうに考えております。
  92. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そこで、大体考え方はわかりましたが、資源局長さんにお尋ねしたいのです。これは重大な事態であるので、資源調査会としてもこの問題を取り上げたい、こういうことで、これはあなた方この前特別委員会を作られた関係もあるし、当然これにタッチされるのは、私はけっこうなことだと思います。しかし今ずっとあなた聞いておられた通り資源調査会報告が出なければというような考え方もあるわけです。そうすれば、そういう、またたちを悪く考えれば、資源調査会の発表をおくらしておればその態度もおくれてくるんだ、こういうふうにもとれる。そういうことは、この沈下が続行しておるという中で寸刻も許すわけにいかない。従って、この資源調査会の発表というものが、やはり今日非常な重さを占めてきておることはあなたよく御認識だと思うのです。そこで、一体いつごろ中間発表中間発表じゃない、この水準測量観測井測量の結果を総合判定したあなた方の見解というものを発表されるつもりか、これは私は非常に急ぐべきだと思う。何だか六月十二日が資源調査会の会合だから、そのときに諮って発表するというようなことを聞くわけです。そういうことで、これは事態を非常に先に延ばすことになる。もっと先になさるつもりがあるのかどうか、一つはっきり御答弁を願いたいと思います。
  93. 黒沢俊一

    ○黒沢政府委員 決しておくらせるというようなことはないのでございますが、実はデータをもらいますところが先ほどございました地理調査所の基準測量、それから観測井データ港湾局と通産省関係から出て参ります。水位の観測、これは先ほど鉱山保安局長が申されましたが、それがある。もう一つくみ上げる水の量、この四つの関係をとって、さらにできれば港湾浚渫等もいただきたい。それくらいに言っているわけでありますが、そのうち、今朝会議の始まる前にいついただけますかと所長さんに伺いましたところ、もうできたからすぐ出せるというお話を伺って、水準測量の精査はいただける。水位の方は保安局からいただきました。なお、ほかのものがまだ局の手元まで来ていないのでありますが、今集まりつつある段階でございます。そういうところから申しますと、これが五月中旬でございますから、今月中にはとても困難で、やはり六月を目途にして集めてディスカッションするということにならざるを得ないわけでございます。六月よりはおくれないという工合に考えております。資源調査会の定例会というのは大体最終水曜日ということになっております。六月は最終が二十九日でございますか、二十九日までは待てないのでなるべく二十二日、できればもう少し早めたい。そういうような意見も研究中なわけでございますが、しかし、そのディスカッションの時間、データの解析というのはあまり軽々しくできないわけで、どうしても五月の範囲には間に合いかねる。六月を目途としてなるべく早くということで努力して——決して故意におくらせているわけではございません。三月末までのデータを整備して出したのが六月でございまして、どうしてもデータ整理に三カ月はかかる。集まってきてやるというのはそれくらいかかると思わざるを得ない。故意におくらせて時間をかせぐというようなことは全然考えておりません。私どもは純科学的に解析するということを使命にしておりますので、決して他意あってそういうことをやっているわけではございません。
  94. 櫻井奎夫

    櫻井委員 もちろん科学技術庁が故意におくらせるというようなことはあり得ようはずがないわけです。しかし、情勢は、私が先ほど申しましたように非常に緊迫しておるわけです。そういう中で、これはもちろん一つの科学的判断を下すわけですから、慎重になさるのは当然だと思うのです。しかし、緩急おのずからよろしきを得なければならぬ事態があるわけです。これは何も災害がなくて自然の状態においてならば、あなた方幾ら科学的にディスカッションなさろうとそれはけっこうなんです。しかし、先ほど申しますように沈下は続いており、もう来年度の工事というものは根本からやり直さなければかさ上げはできないという、こういう技術的な面も出ておるわけでしょう。従って、これは一日も早くその結論というものが待たれるわけです。そういう立場に立って、故意ではないけれども時間がかかるというようなことでは困る。科学技術庁として何も科学者の良心を曲げてまでやれということを私は申しておるわけではない。しかし、ディスカッションをやるにしても、おのずから限度があるわけです。もっと早く出そうという意思があるならば、六月の中旬なり、そういうめどを持ってできるはずだと思う。これを六月中と言っておられますが、六月の下旬もあるし中旬もある。一体あなたどこらにめどを置いておられるのか。ここは今までずっと各関連の政府当局から答弁をしておられる。一つ責任のある答弁をしてもらいたい。
  95. 黒沢俊一

    ○黒沢説明員 決して定例の会合にしばられて動かせないというものではございませんので、まとまり次第六至急という工合に考えております。それで、結局なるべく大至急にやって、どこまで推論の時間がかかるかということになるわけでございますが、大急ぎでやりましても六月上旬にはちょっとむずかしいかと存じます。しかし、一週間でも三日でも早めることができれば、決して定例会議の日にちにこだわっているわけではございませんので、できるだけ早く、できれば十日も早くしたいのでございますが、なかなかそれ以上早くということは、ちょっとむずかしいと思います。二十二日が定例だから、定例にしばられるというようなことは考えておりません。できるだけ早くいたします。ただ、やはり六月上旬は少々無理かと存じます。
  96. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それでは以上のような情勢でありますから、一つ資源局としてもできるだけ早く結論を出されて、そして国会の決議もあることでありますから、そのあなた方の結論に基づいて左右されるところが非常に多い、そうという立場に立って、私は可及的すみやかにこの結論を出されることを特にお願いをいたしまして、時間がありませんので、資源局への質問を終わりまして、大臣が、お見えになりましたので、大臣に一つお伺いしておきたいと思います。  二時間ばかりずっと質疑をしてきたわけであります。そうして水溶性ガス補助金を、さらに構造性ガス補助金を出すというこの法律の根拠が——やはり今日のガス開発世界的趨勢から、そうするのは当然だと私ども考えます。しかし、それを今日大きく考えられた一半というものは、新潟における水溶性ガスの採取が予期せざる事能を起こしまして、これは水溶性だけにたよっているわけにいかないという結論がこれを促進したということはいなめない事実でございます。そこで、先般両院の決議もございましたし、各政府当局に沈下に対する問題点を今までお聞きしておったわけであります。いろいろ聞いて参りますと、地理調査所が三月に完了いたしました水準測量の結果、それから観測井を掘って縦に収縮を調べておる井戸データの結果、こういうのから見て、今日行なわれております大臣勧告の規制は、このままに放置しておけないのではなかろうか。さらに二十万トンというものは規制というものをふやしていかねばならないような傾向にあるのじゃなかろうかという、大体の御意見のように承るわけです。従って、かりに規制を拡大するとする場合、一体どういう方向でなさるつもりか、やはり大臣勧告でなさるつもりか、それから去年の秋になさいました大臣勧告、あれはもう半年間も勧告の姿で放置されておるわけでありますが、これもそのまま大臣勧告でずっと続けていかれるつもりかどうか。これはやはり私は通産当局としては、はっきりした一つの見解を持たれる時期にきておるのじゃなかろうか、少なくとも何らかの法的根拠を持ってやるべき事態にきておるんじゃなかろうかというふうに考える次第でありますが、大臣のお考えを承りたいのであります。
  97. 池田勇人

    ○池田国務大臣 新潟における地盤沈下の問題につきましては、通産大臣になりましてからも、常に注意をいたしておるのであります。随時いろいろな報告を聞いておるのであります。ただいままでお話のありましたように、われわれといたしましては、資源調査会の結果を待ちまして、適当な措置をとろうと思います。従って、調査会の調合報告によりまして、いかなる規制をするか、現在のオール・ストップのところの規制区域を拡張する必要があるか、また拡張する場合に、どの範囲のものになるか等々が、今後の通産省の措置として考えなければならぬ点でございます。そういう点を考えますると、まだ推定的な結論は出ませんが、大体従来の勧告でまかなえるのじゃないかという気持を持っておるのであります。しからば、もし万一規制の範囲を拡大する場合に、拡大した場合の規制の方法、こういう問題もございます。先ほど申し上げましたように、一定の地域をオール・ストップするか、あるいは範囲を非常に拡大したその範囲内においてくみ上げ規制をするか、井戸ごとに別々にするか、いろいろな点があると思いますが、これまた資源調査会調査の結果を見まして、慎重に検討いたしたいと思います。
  98. 櫻井奎夫

    櫻井委員 規制の方法は、これはおっしゃるように、地区的にやる方法もあるでしょう、あるいは一番沈下激甚なG5層、この層の規制ということも考えられるわけであります。なおまた新潟地区に今ある——九十万トンのガスを採取しているそうでありますが、その総量の何分の一、こういう規制の仕方もあるでありましょう。従って、これはできるだけ業界と申しますか、現地のそういうものに摩擦のない方法をおとり下さるのが、通産省としては当然のことだと思います。しかし、いずれにいたしましても、そういう規制をなさるからには、大臣は非常に安心して、これは大体大臣勧告でいくんじゃなかろうか、こう言っておられますが、規制の方法いかんによっては、あなたの勧告に服しないかもしれない、また服しなくても、何ら法的違反にはならない。そういう事態に対してどういう考え——大体おれが勧告すれば、全部もう、はいと言って頭を下げるから大丈夫だ、こういう自信を持っておられるのか、やはりやり方によっては、いや私は勧告を受けても絶対それには承服できない、あるいは損害賠償を要求するのだ、こういうことがないとも限らぬと思うのです。そういうことは考えておられるのかどうか。
  99. 池田勇人

    ○池田国務大臣 それは、先ほどお答えいたしましたように、規制の範囲、方法等によりまして、当然考えなければならぬことだろうと思います。従いまして、今勧告でいいか、ほかの方法をとるかという結論は、ただいまのところ出ません。
  100. 櫻井奎夫

    櫻井委員 そこで、規制の方法を研究なさって、その場合、やはり勧告で不可能な場合には法的措置考えられ得る、こういうふうに解釈してよろしゅうございましょうか。
  101. 池田勇人

    ○池田国務大臣 さようでございます。
  102. 櫻井奎夫

    櫻井委員 それでは大体大臣の考えを了承いたしまして、まず今日の方向ではやはり規制の拡大の方向に向いておると思う。その場合に、一つ十分摩擦の起きないような方法をもって処置されるように、特に私は望んでおきますし、なお、やはり今日の常識として、水溶性ガスくみ上げというものが大半の原因だ、こういうことは明瞭になっておりますので、やはり勇気を持ってこの規制をされる、するべきときには規制をするというきぜんたる大臣の態度を、私は最後に要望申し上げまして、終わりといたします。
  103. 中村幸八

    中村委員長 この際午後二時まで暫時休憩いたします。     午後零時五十五分休憩      ————◇—————     午後二時十五分開議
  104. 中村幸八

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改正する法律案について、質疑を続行いたします。鈴木一君。
  105. 鈴木一

    鈴木(一)委員 主として法案に直接関連のあることについて、若干お尋ねしてみたいと思います。  今度のこの法律改正につきましては、まだ質疑が終わらぬうちにどうのこうのと言うことはあれですが、大体私は趣旨はけっこうだろうと思っております。従来水溶性のガス開発にだけ補助金を出しておったのを、構造性ガスにも補助金を出すということは、まことに私もけっこうであると思っております。  そこでお伺いしたいのでありますが、昨年度の水溶性ガスに対する補助金の交付の実態を、できるだけ詳しく御説明願いたいと思います。金額とかあるいは交付を受けた業者の数とか、それからまた掘りました井戸の数とか、あるいはそれの成功率、こういうふうな点をなるべく詳しく御説明願いたいと思います。
  106. 福井政男

    ○福井政府委員 昨年度におきましては、この補助金は三千万でございました。ただ五パーセントの節約を一般的にいたしましたので、それだけ金額的には落ちております。この補助金は試掘井の作業に対しまして補助金を出しておるわけでございますが、そのほかに、ボーリングをいたしまして構造試錐等の地質調査をいたしますものにつきましても、この対象となしておるわけでございます。井戸の数といたしましては、三十四年度の分について申し上げますと、十一でございます。その前年の三十三年度におきましては十本でございます。三十四年度の成功率がどれくらいであるかということについてはまだデータが出ておりませんが、三十三年度につきましては、十本の井戸についてただいまのところ一本だけ、つまり一割の成功率ということでございます。
  107. 鈴木一

    鈴木(一)委員 補助金の出し方でございますが、どういうふうな基準で出しておられるのか、その点をお伺いしたいと思います。
  108. 福井政男

    ○福井政府委員 補助金の交付につきましては、各地方の通産局で受け付けまして、それを本省に持って参るわけでございますが、この法律の運用に関しまして、石油及び可燃性天然ガス開発審議会と申します審議会がございまして、この委員の構成は、石油関係の最高の技術者で構成されております。この審議会でいろいろな資料に基づきまして詳細に検討して、大体きめていくという方法をとっております。
  109. 鈴木一

    鈴木(一)委員 補助の仕方ですね。事業計画に基づいて、そのうちの何割を補助するとか、そういうふうな形で出しているのか。それからもう一つ、先ほど御答弁が漏れたと思いますが、交付を受けた業者の数ですね、それがおわかりになったらお知らせ願いたいと思います。
  110. 福井政男

    ○福井政府委員 先ほど三十三年度、井戸の数で十、三十四年度で十一と申しましたが、大体これが企業者の数と一致いたしております。補助金の額が非常にわずかでございますので、一つの企業に対して二坑を補助するというようなことは、大体ございません。それともう一つは帝石あるいは石油資源、これは大体補助の対象から除いております。一般の中小の天然ガス業者に対する補助金という色彩が、非常に強い運用をいたしております。そういうことで、自然にまたそうたくさんのボーリングをやるということにはなっていません。  それから補助の額でございますが、これはボーリングの費用、試掘の費用の二分の一以内で支給する、こういうことになっております。
  111. 鈴木一

    鈴木(一)委員 三十三年度の実績はただいま御説明でわかりましたが、政府としては、この補助金を出して非常に成功であったというふうに考えておられるのか、そういう点についても御説明願いたいと思います。
  112. 福井政男

    ○福井政府委員 私どもの方では、この可燃性天然ガスの需要が化学工業原料として逐年伸びて参りますので、この地下資源の有効利用を大いにはかって参りたいという考え方でおるわけでございますが、御承知のように、石油と同じように天然ガスの試掘につきましては相当の経費を要します。ことにまた地下資源の探さくでございますので危険率も非常に大きいということで、この補助金を出しますことによりまして、非常にこの促進をする役目を持っておるわけでございまして、私どもといたしましては、毎年これよりももっと大きい額を出したい、こういうことで予算折衝をして参っておりますが、なかなか私どもの要望通りにも参りませんで、三千万円前後の補助金、こういうことに落ち着いておるわけでございます。
  113. 鈴木一

    鈴木(一)委員 先ほども地盤沈下の問題で質疑応答があったわけでありますが、水溶性のガスの主産地たる新潟が、あのような地盤沈下関係で相当の規制を受けておるわけでありますが、今後はこの問題の多い水溶性ガスから構造性ガスに転換する、そのために今度の法改正が行なわれたのかどうか、その辺の事情もお伺いしたいと思います。
  114. 福井政男

    ○福井政府委員 今後この水溶性の天然ガスを、特に新潟につきましては構造性天然ガスに切りかえて参りたいということを考えておるわけでありますが、そのほかの地区につきましても、御承知のように方々でガス開発を始めておるわけでありますが、水の量が、新潟ほどガスと水の比率が大きくない地区もございます。しかしながら全体の方向としましては、地盤沈下問題もございますので、特にフリーガス開発等にできるだけ主眼を置いて参りたい、こういう考え方で、現行法ではこの構造性ガスが全く補助金の対象に入っておりませんので、法改正一つ入れていただくようにお願いいたしたい、こういうふうに考えておるわけであります。
  115. 鈴木一

    鈴木(一)委員 水溶性のガス井戸は、深度もそう深くはないし、四、五百メートルぐらいでガスを採取することが可能である。従ってこれは中小企業でも、技術さえよければ十分やっていける、こういうことだと思います。しかしながら、構造性ガスは非常に深いところにありますから、どうしても千五百メートルあるいは二千メートル、場合によっては三千メートルも掘っていかなければならないわけであります。また同時に、相当高度の技術も要るだろうと思います。また設備もかかるわけであります。従って、これはどうしても大企業でなければとうていやっていけないだろうと思います。三十五年度のこの予算は、たしか二千七百六十四万五千円だと思いますけれども、これほどのわずかな予算で、非常に金のかかる構造性ガスの補助をするというふうなことは、趣旨は非常にけっこうでございますけれども、とうていその目的は達し得ないんじゃないかというような感じがするわけであります。今度の法改正に伴う二千七百六十四万五千円というような予算は、いかなる根拠に基づいて、どういう積算を立てられてとったのか、一つ具体的にその内容をお示し願いたいと思います。
  116. 福井政男

    ○福井政府委員 探鉱補助金につきましては、実は私ども当初大蔵省に予算要求をいたしまして、また与党の方でも非常に御審議をいただいたわけでありますが、当初の要求としては九千七百万円程度、約一億弱の補助金要求をいたしたわけであります。そのほかに、まだ企業化に参りません、基礎調査段階補助金、これは補助の率を大体二分の一よりも四分の三程度出したいということで、これも一億一千万円程度出したわけでありますが、この約一億の探鉱補助金につきましては、当初大体十五、六坑くらい、地域としまして全国に十一地域ぐらいを予定して、予算書を作ったわけであります。いろいろ折衝を経まして、ただいま御指摘のように二千七百六十四万五千円という三十五年度の予算に相なったわけであります。これは実は補助金につきましては、一律に前年度予算の五%節約という原則ができまして、三十四年度予算の五%減ということで、何か非常に根拠のあるような数字に相なったわけでありますが、そういう計算で出たわけであります。私どもはこれを今後最も有効に利用いたしまして、石油及び可燃性天然ガス資源開発審議会——これをペアックと呼んでおりますが、この審議会の御検討を経て最も有効に活用して参りたい、かように考えております。
  117. 鈴木一

    鈴木(一)委員 時間も制約されておりますので——私の考えでは非常に少ないと思うのですね。特にエネルギー政策というようなものは、やはり産業の基本的な問題だとも思いますが、それに対してわずか三千万円足らずの補助金を出して、法律まで改正する、まことにそれはけっこうですけれども、内容ははなはだ貧弱なものだと思います。もちろん事務当局では大いに折衝されたのだろうと思いますが、とうていこんなことではわれわれも満足できませんし、おそらく皆さんも満足されていないと思いますので、こういう方面に対しては今後格段の努力をお願いしたい、こういうように考えます。  承りますと、天然ガスの日本における埋蔵量というのは大体四千億立方メートルくらいある、こうふうに聞いておるわけであります。これはたしか長期エネルギー計画の中にも載っておると思うのでありますが、これは地質その他の権威ある人たちが研究の結果出た数字なのか、従って政府もこの四千億立方メートルくらいは日本の国内にあるのだということをお認めになっておるのかどうか、その辺もおわかりでしたならばお聞かせ願いたいと思います。
  118. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいまの補助金の額でございますが、これは全く御指摘の通りでありまして、私どもも汗顔の至りでありますが、この補助金額の増加につきましては来年度大いに努力いたして参りたい、かように存じておりますので、また来年の予算編成時期になりましたら御支援のほどをお願い申、し上げます。  それから埋蔵鉱量につきましては、御指摘のように、大よそ四千億程度はあるであろうというふうにいわれております。これは、日本の地質の層が天然ガスを含んでおりまして、全体的に、そういう層になっておりますので、私どももこの程度は十分あるであろうというふうに考えております。ただ、今後さらに基礎調査を続けて参りまして、埋蔵鉱量、可採鉱量、こういった鉱量を的確につかんでいく必要があろう、かように存じております。
  119. 鈴木一

    鈴木(一)委員 埋蔵鉱量を的確につかむまでは、少くとも国の責任でこれをやるべきではないか。これは、イタリアでもフランスでも、かつてはガス資源あるいは石油資源がほとんどなかったところでも、国の積極的な施策によって今日相当の成果を上げておるわけでございますが、どうもこういう一番大事である基礎的な問題に対する施策が非常に足りないのではないか。そうして必要であれば何でも輸入してくればいいのだということで、その場その場を糊塗しているわけであります。将来どういうことがあるかわかりませんし、やはり日本にある資源については、国の責任においてできるだけこれを開発していくというふうな基本的な態度を、はっきりエネルギー政策として持つべきじゃないか、こういうような感じがするわけでございますが、福井さんもそういう私の考えに同感だろうと思います。答弁は要りませんが、国としてもう少しはっきりした、積極的な施策を持って臨んでもらいたい。ただ一部法律改正し、構造性ガス補助金を出すといっても、内容を見れば御承知通りで、羊頭狗肉だと私は思うのです。悪くいえばごまかしじゃないかというような感じがしますので、ここで一歩踏み出したら、さらに積極的に前進するようなかまえをぜひ持ってもらいたい、こういうように考えます。  次に石油資源開発株式会社の問題について若干お尋ねしてみたいと思います。石油資源開発の五カ年計画は大体ことしで終わるわけでございまして、国の石油資源を三倍の年間百万トンに増加せしめようというのが目的であったと思うのでございますが、その後の経過はどういうふうなことになっておるのか、こまかいことは要りませんから、概略御説明したいと思います。
  120. 福井政男

    ○福井政府委員 石油資源の五カ年計画につきましては、昭和三十年に会社ができまして、以来五カ年計画の遂行にあたって参っておるわけでありますが、三十五年度が最終年になりまして、三十六年度以降の計画をどうするかということにつきましては、ただいま私ども会社と勉強いたしておる最中でありまして、まだ結論が出ておりませんが、従来の総締めの実績がどういうふうになっておるかという点につきまして、ごく簡単にかいつまんで申し上げますと、御承知のように、作業量から見ました点、あるいは試掘の実数から見ました点、またその成果から見ました点、そういう点につきまして若干違っておるわけであります。  まず作業量の点についてその数字を申し上げますと、五カ年計画と若干の見込みを含んでおりますが、三十四年度までの総計の率を申し上げますと、重力探鉱で八六%であります。また地震探鉱につきましては約六一%、地表調査について申し上げますと九六%ということになっております。試掘の方について申し上げますと、試掘の地域数につきましては八二%、井戸の数について申し上げますと八四%ということで、大体六割五、六分から八割五、六分のところであるというふうに申し上げることができるかと思っております。それから生産の数量でありますが、これは原油について申し上げますと、七万六千キロということで、計画数量の約五割ちょっとということであります。ただ計画をいたしました場合には、ガスの生産量は全然計画の数字の中に入れておりませんでしたが、この生産額は約千八百万立米になります。
  121. 鈴木一

    鈴木(一)委員 石油に換算したらどのくらいになりますか。
  122. 福井政男

    ○福井政府委員 約一万八千キロリットル、さような概数であります。
  123. 鈴木一

    鈴木(一)委員 そうしますと、作業量の方はかなり進んでおる、八〇%ないし六〇%、平均したら七〇%をこえておるかと思いますが、成果の方はあまり上がっていない、こういうことになると思いますが、今の成果の方は、最近発見されております新潟の見附だとか、そういうところのものが入っていない数字ですか。大体それは試掘も終わっておるわけですから、大体の見込みは立つだろうと思います。それを入れたら大体どの程度のものになるのか、もし推定ができるならばお聞かせ願いたい。
  124. 福井政男

    ○福井政府委員 御指摘のように、最近当たりました見附のものはこれに入っておりません。作業量あるいは試掘の割合、と、それから生産の割合と必ずしもパラレルに参りませんが、これは地下資源の性格上、そういう点もあるわけでございます。最近見附で一日の生産量が約二百キロ程度の非常にいい井戸が見つかったわけでありますが、これは年間に直しますと約七万キロになるわけでございまして、ちょうど今までの四年間の成果で見ました生産量と、ほとんど匹敵するような大きさになるわけでありまして、この見附油田の生産量というものが確保できますと、非常に急ピッチに生産の額がふえていくというふうに考えております。そのほかにも有望な地点が出そうでございまして、私ども本年度の成果に非常に期待をかけているようなわけでございます。
  125. 鈴木一

    鈴木(一)委員 いずれにしても最初の五カ年計画は今年で終わり、しかも当初の計画通りにはいかないということははっきりしておるわけでございますが、しかし、最近しり上がりに好調というふうな状態になってきておると思いますが、政府としてはこれでもう五カ年計画は打ち切るのか、あるいは来年度残った分は五カ年計画を延長してそれをやられるのか、あるいはまた来年度にあらためて第二次五カ年計画というふうなものでも策定されて、それに基づいて進んでいかれるのか、その辺の事情を御説明願いたいと思います。
  126. 福井政男

    ○福井政府委員 その点につきましては先ほし申し上げましたようにどういう形でいくのが最もいいか、いずれにしましても残りました地下資源の探査というものは私ども実施いたしたい、かように考えておりますが、計画の立案、そういったものにつきましては、せっかくただいま会社と一体になって検討いたしているところであります。
  127. 鈴木一

    鈴木(一)委員 大臣も見えておりますから、さらに積極的に今後もやられるのか、そのやり方は、新しい五カ年計画を策定するのもいいでしょうし、あるいは残った分だけはとりあえず来年度やるとか、方法はいろいろあろうと思いますが、さらに積極的におやりになる意思があるのか、世論は必ずしも石油資源開発会社に対してはよくないと思う。アラビア石油の問題もあり、成果があまり上がっていないというふうなこともあり、またこれに出資しております民間の精製会社の方も、従来の出資はもうしないというふうな意思表示も新聞に出ておるわけでございますが、にもかかわらず、政府としては国内資源の開発ということで、どうしてもこれはやっていかれるのか、その点だけお聞かせ願えればいいと思います。
  128. 池田勇人

    ○池田国務大臣 お話しのアラビア石油の問題もあり、また他にも日本の資本によって石油資源の開発ということは行なわれておりますし、また行なわれんといたしておる。しかし何分にも石油の需要というものは年々ふえます。アラビア石油が三、四年の後に一千万トンになりましても、その程度のものはもうふえるわけなんで、私といたしましてはできるだけ国内資源の開発ということを考えていきたいと思います。しかしこれまたお話のように石油会社あるいはまた一般的にもあまり効果の上がらないものに対して金を出すということは、いかがなものかという考え方も私は聞いております。しかし通産大臣といたしましては、先ほど申し上げましたように、将来の石油の需要ということと、そして国内資源の開発ということは必要なことでございますから、それを積極的に第二次五カ年計画を作るか、あるいは今の五カ年計画を延長して、ごく有望なところだけに限定する、こういう点はやはり民間の方、関係業者とも相談しまして、また資源会社ともとくと検討を加えまして決したいと思います。お話通り、今年この五カ年計画が済むのでありますから、来年度からの分につきましては、これはまた大蔵省の方の考えもありましょうし、私といたしましてはできるだけ資源の開発ということはやっていきたいという考えを持っております。
  129. 鈴木一

    鈴木(一)委員 この際私から希望を申し上げておきますが、イタリアの場合もフランスの場合も、最初の五カ年計画はあまり成果が上がっていないのですね。そうして第二回目の五カ年計画で、第一次五カ年計画の基礎的な投資を生かして、第二次五カ年計画で相当の成果を上げて今日の段階にきておると思うのでありますが、日本の場合も、先ほど申し上げましたように天然ガスの場合は四千億立方メートルも埋蔵しておるというふうなことも確認されておるわけでございますから、少なくともこの五カ年の成果だけでこれを云々するというふうな気短なことでなしに、さらにもう五年ぐらい新しく五カ年計画を策定して積極的にやってみる。何事も十年ぐらいやってみるというような気持でこれを一つ取り上げてもらいたい、こういうふうに私は考えるのであります。しかもそれが国の財政に対して相当多くの影響を与えて、いろいろ非難もあるというふうなことならばこれはまた問題だと思いますけれども、今の国の財政の面からすれば、それほどこの石油資源に金を出す、援助することによって国の財政に大きな支障を来たすというふうな問題でもないと私思いますので、私の希望を十分一つ御検討下さいまして、新しい五カ年計画でも策定して、もう五年ぐらいやっていただきたい、こういうふうに考えたのであります。  この際もう一つお伺いいたしたいと思うのでありますが、私たち業界の事情に暗く、よくわからないからお尋ねするわけでございます。最近北スマトラの石油開発のことが問題になり、資源開発の社長の三村さんも大いに一役買っておられるようでございますが、これは能力のある人間はいろいろなことをたくさんやっても別に支障はないわけでございますが、まだまだこの資源開発の仕事がこれからというふうな段階で、また世間からもいろいろ冷たい目で見られておるところでございますので、もう少し本業である石油資源会社のことについて積極的にやるべきではないかというふうにも考えるわけであります。ただしかし国内の方はあまり見込みはなさそうなので、北スマトラの方に方向転換でもされるというふうな含みがあってやられるのか、その間の事情を多少私たちも疑問に思っておりましたので、この際一つお聞きかせ願いたいと思います。
  130. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この北スマトラの油田開発につきましては、以前から民間において検討が加えられておったのでございます。御承知通り石油資源の開発につきましては三村君がやっております石油資源開発会社にほとんど技術が全部集まっている。日本はもちろん、海外につきましての石油資源開発技術というものは日本石油資源開発会社に集中しておるので、その関係上やはり民間の人が計画するにいたしましても石油資源開発会社にたよるということになりましてやっておるので、三村社長がこちらの仕事をおろそかにしてやるとか、あるいはこっちでもうあきらめてやろうという気持は毛頭ないのではないかと思います。こちらの資源開発会社お話しの通り識者はまだ存続して大いにやるべきだという意見が相当多いのでございます。お話のような点は会社当局者にはないと私は考えております。
  131. 鈴木一

    鈴木(一)委員 なおこの問題については松平委員が後ほどまたお尋ねするそうでございますから、私はこの程度にしておきます。いろいろお尋ねしたいこともたくさんありますが、松平さんとの時間の関係もありますので、最後に一点だけお伺いしたいと思いますが、税制の面につきまして、この間参議院の商工委員会で川上委員から大臣に対して、鉱山、石油等につきましては減耗控除制度をやったらどうかというふうなお尋ねがあったのでございますが、これに対して大臣から、そういう方向が適当だとは思っているけれども、現在は租税特別措置法の特別償却制度でいくべきだと思っておる、こういうふうなお答えがあったと思います。これは議事録に書いてありますからその通りだと思いますが、私の希望としましては、石油ガスの場合と石炭とかあるいはまたその他の金属鉱山の場合、多少やはり探鉱が違うだろうと思う。片方は露頭や何かをたよってやっていける。片方は全然見えないところを地質学的に上の方から検討していくというようなことでだいぶ違うと思いますので、特に日本の石油あるいはまた天然ガス開発を促進するというふうな建前から、アメリカあるいはフランスでもやっておりますような減耗控除制というふうなものを石油あるいはまた天然ガス開発に関しては、これに限って認めるべきじゃないか。もちろんこれによって税制をくずすということにもなるかと思いますけれども、や本り実態に即した課税をし、片方では国が補助金まで出しておるわけでありますが、補助金を出すと同じような意味合いで、そういう制度を設けるのが、この業界を大にも鞭撻をし、張り切らせるゆえんではないかというふうにも考えるわけでございますが、その点大臣からお答えをいただきたい。
  132. 池田勇人

    ○池田国務大臣 減耗償却制度につきましては、過去十年来いろいろ議論いたしておったのであります。三、三年前に今の特別償却でいってもやっていけるんではないかというので、業者と大蔵省との間に大体話し合いがついたと考えております。いわゆる各産業につきましていろいろ議論がございますが、両極端の間にいろいろの接触面がありまして、一がいにできない。実情に沿って適宜改めていくことよりほかなはいと思います。減耗制度の問題につきましては、なお今後検討すべき問題だと思います。
  133. 中村幸八

    中村委員長 次は松平忠久君。
  134. 松平忠久

    ○松平委員 私は天然ガス石油とに関連してちょっと聞きたいのですが、それは自由化と日本の天然ガスあるいは石油資源というものとどういうふうな関係になるか。すなわち言いかえるならば、やはりこれからは自由化ということになって、かなり安いものがあちらこちらから入ってくるということになりますと、現在の日本の天然ガス、あるいはことに石油資源のやっております原油というようなもののコストというものと比べてみると、かなりこっちは高い。そういうところから相当の保護政策を続けていかなくちゃならぬということになるだろうと思うのですが、その点についての大臣のお考えがありましたらお伺いしたい、こう思います。
  135. 池田勇人

    ○池田国務大臣 世界石油の価格がどうなりますか、これはなかなかやっかいな問題でございます。しかし現状におきましても日本の内地で採取いたします石油は、外国のそれよりも品質がある程度いいのであります。実を言ったら価格におきましては三千円ばかりトンで違うような状況でございます。これはやはり採油量が少ないことと、固定費あるいは採鉱費が非常にかかる関係だと思います。しかしそれだからといっても、やはり外資の節約とか、あるいは国内資源の開発という点につきましてはおろそかにできませんので、先ほど来答えた通りでございます。だからできるだけ優良な鉱区を見つけてたくさん採油できるようにし、片方では産業に非常な悪影響を及ぼさざる程度の保護関税、また国内の助長政策をとっていくべきだと考えております。
  136. 松平忠久

    ○松平委員 それに関連してもう一つは、一体日本ではかなりの金を石油資源の開発につぎ込んでおります。今後さらに五カ年計画が新しく策定されなければならぬという段階にあるのですが、天然資源の天然ガスの場合と石油の場合と比べて、天然ガスはほとんど国の助成がない。三千万円そこらの補助金しかないわけです。石油の方には圧倒的に多い。これは少し両者がアンバランスではないか、こういうふうに私は思うのです。そこでコスト主義とかいろいろなことから考えてみると、やはりバランスのある方向に行ったらどうか、言いかえるならば、今後は石油にあまり重点を置くのではなくて、天然ガスに相当の部分を予算として予算化していくというように、天然ガス石油とのバランスを、天然ガスにもう少しウエートを置く方向にだんだん持っていくべきではないかというのが私の意見なのですが、それについてのお考えがありましたらお聞かせ願いたいと思います。
  137. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は松平さんのように専門家ではございませんが、私の勘では補助金というものは斯業奨励のために、その足らざるところを補い、そうして奨励する、石油資源の開発と天然ガス開発とはおのずから企業の性質自体が違うのでございます。すなわち油田の開発探索の困難性と、ガスの方の探索の安易なことと、設備費、いわゆる企業費の少なくて済むこと等々から来るのであって、金額自体でバランスをということよりも、企業の実態に沿うような考え方で助成策を講ずべきではないかと存じます。私は国内に埋蔵されております天然ガスの育成採取に、補助金が少なくて採算が合わぬという場合に、何もこの補助金を増領することに反対するものではございません。大体金額よりも事業の実態に沿うて考えるべきではないか、こう思ております。専門家ではございませんから、もし誤りがあるようだったら、局長から答弁させます。
  138. 松平忠久

    ○松平委員 確かにその通りだろうと思うのです。日本の埋蔵量というようなもの、それから天然ガスの方が割り方コストも安い、確かにその通りだろうと思います。  それからもう一つは、私はこういうふうに見ているのです。今大臣が言われたように、自由化ということでどういうふうにコストが変化するかわからぬけれども、今は十年ぐらい前と違いまして、アメリカのコントロールというか、アメリカの石油のウエートが非常に少なくなって中近東に移っているということと、もう一つアフリカのサハラの石油開発ということが、中近東と同等のような非常に大きな影響を与えるだろうと思うのです。すなわち五年か六年ぐらいたちますと、現在の計算ではサハラの石油はヨーロッパ全体をまかなってなお余りあるまでに、増産の態勢に入っていくのではないか、こういうふうに思うのであります。従って、石油のコストというものは、おのずからやっぱり下がってくる、こう見ておるわけです。そういったところに自由化という問題が普遍化してきますと、やはり日本における非常に高いコストの石油と、比較的コストの安い天然ガスということを比べてみると、どうもやはり天然ガスにかなり力を注ぐような方向へいかなければいけないのではないか、こういうのが私の考え方の基礎になっているわけであります。そこで、これは議論になるからやめますが、次の五カ年計画というものを立てられる場合には、私はやっぱり石油と天然ガスというものを一体的に考えて、そして、ガスについてはどうだ、あるいは石油についてはどうだ、こういうことに、私は、もっと実情に即した方向に再検討しなければならぬじゃないか、こういう気がしているわけなので、それを意見として申し上げたわけであります。  そこで、それに関連してお伺いをしたいのは、今鈴木君もここで触れられましたけれども、当初この石油資源開発株式会社を始めるときには、鮎川さんは、ここで技術を養成するのだ、そしてこの技術を中近東なり東南アジアなりの石油開発に役立たせる一つのプールというようなものに考えていきたい、こういうことであったわけであります。そこで、そういう当初の考え方があってできた会社であるから、スマトラなり何なりに行きたいという気になるのは当然だろうし、また、私は、それはいいチャンスがあるならば、そういう方向へいくべきであろう、こういうふうに思われるわけでありますけれども、しかし、今回の北スマトラの油田の開発についての、いわゆる小林グループというものとペルミナ石油会社との契約というものをずっと読んでみますと、少し早まったのではないかというか、あせったのではないか、こういう気がしておるわけであります。すなわち、日本側の出した当初案というものと、本年の四月七日かに契約がサインされておりますが、そのサインされた契約というものを読んでみますと、かなり開きがある。つまり、インドネシア自体が非常に民族主義的な傾向もあり、日本の思うような条件では応じなかったことはわかりますけれども、しかし、何かその間において、早く契約を結ばなければならないというようなあせりがあって、その結果、どうも日本側にはあんまり有利でないような契約が結ばれておるのではないか、こういう気がしておるわけであります。そこでお伺いしたいのは、この小林グループとペルミナ社との間の石油開発に関しての協力関係の話し合いというものは、そのつどというか、政府報告がなされておるのかどうかということを、当初伺っておきたいと思います。
  139. 池田勇人

    ○池田国務大臣 政府に対しましては、石油資源開発会社の三村社長が、随時報告をしておられます。そして当初——これは小林グループといった方がいいのか、あるいは他の一般商社のグループといった方がいいのか、別に私の見るところでは、小林グループというものがあるとは思いません。主として三村君が、通産省においでになるときに、小林君を引っぱってきたというふうな関係でございまして、小林、三村が一つの小林グループになったとは私は感じませんが、三村君が入るまでのいろいろな経過、あるいは三村君が向こうへ参りまして、二回行きましたか、そのときの経過は随時報告がありました。
  140. 松平忠久

    ○松平委員 今おっしゃいますように小林グループというものも、私も何が何だかやはりわからないのです。三村氏は小林グループの代表としてサインをしておるようであります。向こうは社長がサインをしておる。こういうものでありまして、今実は、私は小林グループとは何であるかということを大臣にお聞きしようと思ったところが、大臣はどうもよくわからぬというようなことを今おっしゃっておったが、今の御答弁にありましたように、おそらく三村氏が小林氏を引っぱっていって、そうして投資その他のときの金融その他に相当の役割を演じてもらいたいという考え方から小林さんを引っぱっていき、従って向こうに対しては、これは小林グループだということで、終始そういう立場で折衝をしてこられたのではないか、こういうふうに思うのであります。そこでお聞きしたいのは、ペルミナという会社が、私どもには実はよくわからない。ペルミナの社長はわかるが、資本がどうであるのか、あるいはこれはオランダとの関係がどういうふうになっておるのか、それから資源の鉱区の関係がどういうふうになっておるのか、それから政府の、国営のような書き方も書いておるのですが、その資本金とか、そういうものはどういうふうになっているのかという、いわゆるペルミナの実体というものについての詳細なる報告というものを、当局は持っておるのかどうかということをお伺いしたいと思います。
  141. 福井政男

    ○福井政府委員 私どもの方で承知いたしておりますのは、九九%政府出資の特殊の会社で、資本金は八千万ルピアというふうに承知いたしております。
  142. 松平忠久

    ○松平委員 このペルミナというのは自分で軍隊を持っておるのか、あるいは警察というものを持っておりますか。
  143. 福井政男

    ○福井政府委員 これは政府の特殊会社というふうに承知いたしております。従ってみずから軍隊とか警察とかいうものを持っているというものではないと思います。
  144. 松平忠久

    ○松平委員 そこで、私もその点ははっきりしないのですが、北スマトラの治安状況というものが非常に悪くて、われわれ聞いておるところによっても、日本人がそういうところへ入って、いろいろ新しい油田の調査をするというような場合においては、非常に生命の危険もあるのだ、こういうことを聞いておりますし、また現にゲリラがその付近を占領しておりまして、そうしてスカルノとの間のいろいろな契約に基づくものに対してはじゃまをする、あるいは何といいますか、特別の、そこの軍隊だけの税金をよけいに取るとか、あるいは来たら殺すというようなことまで言っているゲリラがあるそうでありますが、そういうような治安状態であるということをかねがね聞いているわけです。そこで、契約の中には日本人の生命財産というものはペルミナ会社が責任を負うのだということを、二十一条だか何だかで言っております。そこで、私がお聞きしたいのは、ペルミナという会社は、一体そういう軍隊や何かを持っておるのかどうかということで、私は今それをお聞きしたわけですが、その点についてはおわかりになりませんですか、どうですか。それからその会社が生命財産を保護するというのはどういう意味なのか。それは契約の十九条にあるのです。
  145. 福井政男

    ○福井政府委員 その意味につきましては、よく私も存じませんが、向こうの特殊会社には現役の役人とか軍人とか、そういった身分のままで入り得るようになっておるようでございますから、そういった身分を持った方もおるのではないかというふうに思います。
  146. 松平忠久

    ○松平委員 社長は陸軍の人のようですが、これは現役の人ですか。
  147. 福井政男

    ○福井政府委員 私ども承知いたしておりますのでは、現役だというふうに承知いたしております。
  148. 松平忠久

    ○松平委員 それからもう一つ、私がこの契約について少し不安に思われる点は、べーシック・プロダクションというか基礎生産額というか、べーシック・プロダクションが日本側は六十万キロリットルだということを主張しておったわけであります。ところが先方は百万キロリットルだ、こういうことであったわけです。そこで、その点の違いがどこからきているかよくわかりませんが、中をとって八十万キロリットルだというふうに協定ではなっております。そういたしますと現在出ておるのが、八十万キロリットルだというのであるか、あるいは少し手を加えて八十万キロリットルについてそれをベーシック・プロダクションにする、それ以上あったものの中で四〇%日本へ持ってくるということであるのかどうかということ。  もう一つ、ペルミナは過去において、最盛期には一体どの程度出ておった油田であるかということについて、おわかりになっておったら、ここでお示し願いたい。
  149. 福井政男

    ○福井政府委員 べーシック・プロダクションの協定量でございますが、これはお話のように百万キロという数字だとかあるいは六十万キロリットルという数字だとか、いろいろ交渉の過程ではあったようでございます。あったようでございますが話し合いのついた数字は八十万キロということでございまして、これはこの程度の生産能力はすでにあって、現実に生産が行なわれておるわけでありまして、そのうちの一部につきましてはコマーシャル・ベースで日本側にも輸入されておるわけであります。  それからこの地区の戦前の生産量でございますが、これは今正確な数字を持ってきておりませんが、百万から百二、三十万キロの生産力を持っておるかと思います。
  150. 松平忠久

    ○松平委員 こまかいことは、ここでやっていてもしようがありませんからやりませんが、大臣に私がお伺いしたいことは、こういうことなんです。投資額というものは百八十八億四千五百万円というものなんです。五億円の会社を作って、そうしてあと引いた百八十三億円というものを、融資によってやらざるを得ないということになっておるわけであります。そこで小林さんと三村さんが大蔵大臣のところに行ったり通産大臣のところに行って、何とかしてこの、全部でいえば百八十八億だけれども、融資によるものは百八十三億だろうと思うのですが、これを何とかあっせんをしてくれということの依頼にいったようなことを聞いておるのですが、この金を集めるために政府は一体どういうあっせんの労をとろうとしておるのかということをお伺いしたいと思う。
  151. 池田勇人

    ○池田国務大臣 この会社は資本金十億でございます。当初五億の払い込み、授権資本十億。それから百八十八億円というものは累積額がそうでございます。投資いたしましてだんだん事業を拡張いたしまするが、その間におきまして原油を日本へ持って参りますから、貸付残額のピークは四十六億程度になると思います。しかもこれにつきまして輸出保険をつけます等、いろいろの措置を講じていくことに相なっておるのであります。
  152. 松平忠久

    ○松平委員 そこでそのいろいろの措置というものの中に、聞くところによると今国会で審議しておる海外経済協力基金法の五十億、これを借りたいということをいっておることが新聞に出ておるわけでありますが、そういうものもこの海外経済協力基金というものは、まかなっていくということですか。あれは私はそうじゃないと思う。何というか、ベースに乗らぬ、というのは輸出入銀行のベースに乗らぬということなんだが、これは私はベースに乗るということでできているのじゃないかと思うのです。経常費のルピアはインドネシアの政府でもってまかなうとか、それからここに計画書もありますけれども、この計画書を見ると、とにかく一応ベースに乗るという考え方でいっておるわけなんであるが、あの金は使えないのじゃないかと思うけれども、それはどうですか。
  153. 池田勇人

    ○池田国務大臣 私は今までそういうことを考えたことはございません。できるかできないかということよりも、そういう要求はまだ聞いておりません。私はベースに乗る乗らぬという問題が、開発基金を左右する問題ではないと思います。私の知っておるところでは、石油資源開発会社の予算に組んでおりますところの十九億円のうち、一億円をこの出資に充てたらという計画は聞いております。それ以外のことは聞いておりません。輸出入銀行の融資によるということが原則だと思います。
  154. 松平忠久

    ○松平委員 それから授権資本十億円というものは、これはやはり各石油会社とかそういうものが協力をして出す、こういうような仕組みの会社になる予定でございますか。
  155. 池田勇人

    ○池田国務大臣 そのことも私は聞いておりません。民間の方で集める、できるだけたくさん集めてもらいたいということは申しました。一応五億円の出資、その後におきまして機会を見て十億円にいたしたいということでございます。
  156. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つ重要な点は、この契約に基づいて発足をするということになりますと、いろいろなファシリティというか、そういったものがインドネシアの政府——税金、あるいは地方税なんかも含めていろいろ免税措置をとるとかいう規定もあるわけでありますが、それらをひっくるめまして、要するにインドネシア政府の承認を得るというような格好になっているわけであります。そこで、聞いたところによると、インドネシア政府でもこれはよろしいという意思表示があったということは聞いておりますが、日本政府はそこのところはどういうふうになっておりますか。これは、なるほどそれでいいのだ、それでやれということでないと、向こうとの話し合いでは双務的ではないような気がするのです。そこで日本政府としては、それでお前たちやっていけというふうに同意を与えたというように解釈して差しつかえございませんか。
  157. 池田勇人

    ○池田国務大臣 法律的には、この会社同士の契約に政府はタッチいたしておりません。お話の税金の点も、これは企業参加でないのでございますから、貸金の利子の発生ということにつきまして利子課税の問題が起こってくるかもわかりませんが、しかしその利子も現金でもらうわけではないのでありまして、原油で取るわけでございますから、お話のようにあまり税金の問題で大きい問題はないと考えております。
  158. 松平忠久

    ○松平委員 もう一つお伺いたいのは、経常費でございますけれども、インドネシア側で経常費はまかなっていくということでありますが、これについてはどういう報告がなされておるか、つまりインドネシア政府において責任を持ってルピアの調達に当たるというような、ペルミナだけではなくて、インドネシア側の何か意思表示みたいなものがあって、それが伝えられておるかどうかということをお尋ねしたいと思います。
  159. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいまのお話のように、日本側から百八十八億の機械、資材、サービスというものを提供するわけでございますが、これは日本側から向こうのペルミナという会社に提供するわけでございまして、向こう側ではこれに見合いますものとして、約百五十億円に相当いたしますルピアを現地側が負担して、そしてこの油の開発をやっていく、こういう計画に相なっております。これは現地の労務でございますとか、あるいは現地で調弁し得る砂利、木材等の資材に充てられるわけでございまして、これは向こうで十分確保できるというふうに承知をいたしております。
  160. 松平忠久

    ○松平委員 それからもう一つお伺いしたいのは、いろいろな不可抗力のあったような場合、たとえば一番心配になるのは、あの辺がいわゆる反政府軍の占拠しておるところであるというふうに私たち承知しているわけであります。そのペルミナのプレミセス自体のあるところはわかりませんけれども、その周囲は大体反政府軍というふうに承知しておるのであって、従って不慮の災いというか、そういうものが非常に心配されるところなんですが、そういった場合の契約不履行、いろいろあると思うのですが、そういった場合における求償措置とか、あるいは今度は会社自体ではなくて、日本政府自体のインドネシアに対する求償措置というようなこともないとも限らない、こういうふうに思うのですが、それらの治安なりあるいはその他の障害というようなものに対する対策並びに見通しというようなものを最後に伺って、あとはこまかくなりますから、またほかの機会に譲りたいと思います。
  161. 福井政男

    ○福井政府委員 ただいま御指摘のような場合につきまして、こまかく協定に規定されているというようには、私ども承知しておりません。従いまして、そういう事態が起きましたときには、そのときの話し合いになろうかと存じております。
  162. 松平忠久

    ○松平委員 そこでどうですか、実際問題としてはどういうような治安状態かというような報告はございませんか、行ったときの。
  163. 福井政男

    ○福井政府委員 石油資源の方から現地調査に参りまして、その報告では何ら不安はないというように私ども承知をいたしております。
  164. 中村幸八

    中村委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる十七日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後三時二十四分散会