○今井
政府委員 まずこの
法律が不況対策ということで、できたんじゃないかというお話でございますが、この
法律の
目的にもございますように、必ずしも不況対策ということでできた
法律じゃございませんで、実は紡績段階といわず、あるいは織布段階といわず非常に設備が過剰である、従いまして、設備が過剰のままほっぽっておきますと、過剰生産の結果、たとえば輸出につきましてダンピングというふうな非常に悪い現象が起こる、そこで設備が一定
期間ふえることを押えまして、その過剰度がなくなった場合に
法律をやめたいという、いわば業界の合理化、安定化のために作られた
法律でございまして、一時的な不況対策という
意味合いでできたものではなくて、むしろ長い目で見ました繊維産業の構造的な矛盾というものを、いかに合理化していくかということでできました
法律でございます。従って、私
どもこの
法律を
運用するにあたりましても、そういう単なる不況対策に堕することなく、慎重にやりたいというふうに考えておるわけでございます。
それから機屋さんの段階で、商工組合はどういうふうになっておるかというお話でございますが、商工組合は非常にたくさんできておりまして、おそらく繊維
関係の
中小企業の段階の大部分というものは、何らかの商工組合に加入しておるという
状態になっておるわけでございます。私
どもといたしまして、もちろん
中小企業の体質改善ということは非常に力を入れて、従来もやっておりますし、たとえば、いわゆる
中小企業の設備近代化補助金というようなものは繊維
関係に非常にたくさん——絶対額はそうたくさんじゃございませんけれ
ども、全体の割合から申しますと、繊維
関係に非常にたくさん
ちょうだいしておりまして、あの
制度として繊維ばかりあまりかわいがり過ぎるんじゃないかというふうな非難すら受けておる次第でございます。それは別といたしまして、いずれにいたしましても、商工組合を中心としまして組織化を進め、団結を強めて、そうして
中小企業全体の地位というものを向上させなければならぬというふうに考えておる次第でございます。しかしながら、商工組合でもってやりますのは、たとえばその業界の設備を合理的に押えていくというふうな問題とか、あるいは
中小企業の段階の商工組合では、生産制限を行なって、そうして自分たちのところで非常にコスト割れのような、そういう悪い
状態がこないようにという予防的な措置もやっておるわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、それはあくまでも横の
関係でございまして、先ほど来問題になりました縦の系列化というものと矛盾なくできるんじゃないか。たとえば輸出なんかにつきまして、非常に銘柄の通ったりっぱなものにつきましては、むしろ今系列の形で、親
企業と
中小企業が協力しまして輸出をやっておるような
状態でございまして、そういう輸出の面とか、あるいは品質の向上というような形になりますと、むしろ縦の系列化ということが、ある
程度効果を持っておりまして、横の団体化と申しますか、団結ということについて、業界全体の不況が起こらないように、その団結の力によりまして下をささえておるとか、あるいは体質改善等につきまして、合理化補助金等を利用して体質改善に役立たせるというふうな
関係になるわけでございまして、その間矛盾はないんじゃないか。われわれとして商工組合の組織化は、一段と力を入れていきたい、かように考えております。