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1960-04-26 第34回国会 衆議院 商工委員会 第35号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月二十六日(火曜日)     午前十時五十七分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       江崎 真澄君    岡本  茂君       鹿野 彦吉君    始関 伊平君       關谷 勝利君    田中 榮一君       中井 一夫君    西村 直己君       野田 武夫君    細田 義安君       渡邊 本治君    板川 正吾君       勝澤 芳雄君    櫻井 奎夫君       東海林 稔君    和田 博雄君       加藤 鐐造君    北條 秀一君       山下 榮二君  出席政府委員         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金藏君  委員外出席者         参  考  人         (日本商工会議         所参与)    岡松成太郎君         参  考  人         (日本労働組合         総同盟調査部         長)      河野 徳三君         参  考  人         (東京都チケツ         ト協同組合連合         会会長)    背戸 清次君         参  考  人         (日本生活協同         組合連合会専務         理事)     中林 貞男君         参  考  人         (全国月賦百貨         店組合連合会副         会長)     眞木 延幸君         参  考  人         (日本専門店会         連盟調査室長) 宗像平八郎君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 四月二十一日  計量法及び同施行法の一部改正に関する請願(  關谷勝利紹介)(第二五四二号)  電気工事技術者国家試験制度創設に伴う特別措  置に関する請願中山マサ紹介)(第二五六  五号)  貿易及び為替の自由化に関する請願村瀬宣親  君紹介)(第二五九一号)  常磐地区臨時石炭鉱害復旧法適用地域指定に  関する請願天野光晴紹介)(第二六九三  号)  炭鉱地区中小商工業者の救済に関する請願(木  村守江紹介)(第二六九四号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  割賦販売法案内閣提出第一一八号)      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  割賦販売法案を議題とし、審査を進めます。お諮りいたします。本日は、特に本案審査のため、参考人として、日本商工会議所参与岡松成太郎君、日本労働組合同盟調査部長河野徳三君、東京チケット協同組合連合会会長背戸清次君、日本生活協同組合連合会専務理事中林貞男君、全国月賦百貨店組合連合会会長眞木延幸君、日本専門店会連盟調査室長宗像平八郎君、以上六名の方々より意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。      ————◇—————
  4. 中村幸八

    中村委員長 この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、きわめて御多忙中にもかかわらず、本委員会の要望をいれて御出席いただき、まことにありがとうございました。本案に対し忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。  ただ時間の都合もありますので、御意見をお述べ願う時間は、お一人大体十分程度に願い、後刻委員から質疑もあることと存じますので、そのとき十分お答え下さるようお願い申し上げます。  それでは、はなはだ勝手ながら、御発言の順序は委員長に御一任願うこととし、まず岡松参考人よりお願いいたします。岡松参考人
  5. 岡松成太郎

    岡松参考人 私、岡松でございます。割賦販売法案について参考意見を聞きたいということでまかりでたのでございますが、なかなかこの法案関係も深いことでありまして、どの点を特に申し上げてよろしいのやら、時間がございましたらまた御質問に応じて意見を述べたいと思います。配付された政府側提案理由をちょっと拝見いたしましたが、要旨はこれに尽きておると思いますが、私は今回の割賦販売法案が、必ずしもその必要とする条項の全部を尽しておるとは申しませんけれども現状においてやはりこの程度法案は早く成立いたした方がいいと考えております。  その理由は、第一が現在の国民のうちで、やはり最大の所得層を占めておりますのは俸給生活者であります。これらの人たちわが国国民所得の大部分を占め、従ってまた消費購買力の大きな部分を占めて、それが日本経済をささえて発展を続けているという現状でございますけれども、これらの人に対する信用供与と申しますか、消費者信用というものが、わが国においてはきわめて未発達状況でございます。いまだに町の金融業者、俗に言う高利貸しであるとか、あるいは質屋さんに依存をせざるを得ないというような状況でございます。銀行に集まってくる預金のうちの——法人預金は別でありますが、個人預金の大部分はこれらの人たちの貯蓄でありますけれども、これらの人がそれらの金融機関から必要に応じて金融を受けるということは、現状においては不可能であります。毎月月給あるいは日給もありましょうが、そういうサラリーによって生活をしている人たちでありまして、その地位は現在においては十分に安定をいたしておる。にもかかわらず非常に信用がない。毎月の月給によって買い得るところの食料品であるとか、その他日常の必要品のようなものはその月給の中から購入ができるのでありますが、さて生活の改善のために、いわゆる台所を改造するためとか、電気洗濯機電気トースターを買いたいとか、あるいはさらに進んで電気冷蔵庫を買いたいとか、まだわが国においては非常に普及度は少ないのでありますが、自家用の小型車を買いたいというような場合には、日本国民全体としては膨大なる所得層であって、膨大なる購買力を代表する人たちであるけれども、毎月の月給の中からこれを買うことはできない。従ってその信用において金融を受けられるかといえば金融を受けられないという状況においては、その必要を満たしてやるのは割賦販売方法によるより方法がないのであります。すなわち製造者または販売者のその消費者に対する信用供与、それによってこれらの商品を買う、これらの商品は非常に高額のように思われますが、実際の状況を見ますと、洋服を一着作るのでも、その月の月給からまるまる払えば生活に窮する。従ってこれも月賦で買わざるを得ないというような状況であります。ほかに信用供与の道がないとすれば、割賦販売というものはどうしても国民生活上必要なものになって参るのであります。しかしこれが健全に発達するということが非常に必要でございます。  またもう一つ必要な方面を申し上げますと、いわゆる近代産業といわれるような大きな設備投資を必要とする産業機械工業化学工業等でございますが、これらの工業においては、製品コストを引き下げるためには、どうしても大量生産による以外にはありません。設備のために使った金の償却及び金利というものが非常に多い。これを切り下げるためには大量生産する以外にない。そうしなければ、外国に出て諸外国と競争することはとうていできませんし、あるいは何らかの方針で外国商品の流入を阻止するといっても、日本国民外国より高いものを買わなければならないという目にあうのであります。比較的国内市場の狭いわが国におきましては、何らかの方法によって、実際購買力を持っていない人々に売りつけるということは不健全でありますけれども、実際には購買力がある。しかし諸外国にあるようないわゆる信用を受けることができないために、それだけの購買力を発揮することができないような人たちに、これらの電気製品とか、あるいは将来自動車などが代表的なものでありますが、こういうものを広く販売することができるということになれば、日本のそれらの工業を一定の規模で、これはむやみに大きくやる必要はないのでありますが、いわゆるユニットの生産をすることができて、諸外国に匹敵するようなコストで、これを製造し販売することができる。従ってこれは輸出も伸び得るし、輸入の防遏にもなり得るというような結果を生むのであります。これらの二つの方面から申しまして、私はやはり割賦販売ということ——これはむしろ消費者に対する信用販売という大きな販売形態の中の一つにすぎないのでありますが、この中に規定されておりますのは、いわゆる普通の意味月賦と、もう一つ割賦あっせん企業という形の、いわゆるクーポン式販売をいたすことに対するあっせんをいたしている業者に関する行為を、規定してあるのでありますが、これらの割賦販売方法がやはり健全に発達するように、むやみにこれが横行すればいいというのではありません、消費者のいわゆるしろうとであることに乗じて、ある場合には非常に不利な条件購買者が押しつけられるということもあり、逆に消費者と称する人の中にも、この制度利用して詐欺的なあるいは不信用行為をする人があって、販売業者に不利を与え、その結果、それがまた他の正直な購買者に振りかかっていくということになりますから、この間の取引関係を健全にスムーズに行なわれるように規定する必要があると考えるのであります。  今回提出されました法案を拝見しますと、まずまずその骨子だけは、ここに規定されていると思うのでありますが、割賦販売わが国における本格的な発達はこれからと思います。わが国経済問題におきましては、いつもあとから事象々々を追っかけて、法律が取り締まりに出動する形でありまして、その間に非常に不工合なことがすでに普及してしまうということが多いのでありますが、割賦販売におきましては、比較的早期にこういう法案が提案されて、将来のために軌道を敷く方策に出られたことは、非常にけっこうなことと存じ、私の意見としましては、今回の法案わが国将来の商取引確立あるいは製造工業方面発達、全体の国民経済発展のために、けっこうなことと存じて賛成意見を持っている次第でございます。
  6. 中村幸八

  7. 河野徳三

    河野参考人 河野でございます。意見を申し上げます。  われわれとしてはこの法案一般購買者消費者保護することをその主要な目的一つにしていることについては、別に異議を差しはさむことはないわけであります。しかし本案内容をいろいろ詳しく検討していきますと、そこにはかなりの問題も含まれていると考えざるを得ないのであります。従ってわれわれは労働者としての消費者立場から、以下申し上げます点について、本案の若干の是正ないしは施行に当たっての善処方を要望したい、こう考えているわけであります。  まず第一に、本案は単に取引秩序法体系にとどまっているという点であります。ここからかなり多くの問題が派生してくるのではないかと考えているわけであります。かりに現在割賦販売をやっております大小の業者の資力その他をそのままにしておいて、本案のような形で取引秩序法の整備をはかろうといたしますと、ややともすれば百貨店法の場合と同じように、消費者にとっては利益となる面があるにしても、結局大きな企業のみに利益を与え、大企業のみが割賦販売業者として生き残るという結果を招くおそれが多分にあるのではないかと思われます。現に最近では、割賦販売が次第に大規模販売業者に独占されるか、あるいはその系列下に再編成され、中小業者が圧迫されているという事態が現われているということは、かなり周知の事実ではないかと考えます。われわれ労働組合といたしましては、もちろん消費者利益を守ることが第一でありますけれども、また同時にわれわれは国民経済の健全な均衡的な発展、特に日本経済後進性を規定づけております経済の二重構造を、下を引き上げることによって解決するということをもあわせ考え、それを労働組合の主要な仕事の一つとせざるを得ないわけでありまして、その立場から、中小業者を困難に陥れ、大企業保護立法に陥るおそれがある本案に対しては、是正を求めざるを得ない、こう考えておるわけであります。  一般的に申し上げれば、大企業中小企業があります場合、中小企業の淘汰によって経済健全化をはかる、あるいは流通機構を秩序づけるというやり方は、われわれとしては本来政府のとるべき政策ではない、むしろ中小企業保護育成する、中小業者を強化する、これを引き上げることによって全体の発展をはかるというのが、正しい政策のあり方ではなかろうかと考えているわけであります。こうした政策は特に日本経済構造雇用構造からいって、別して必要であろうというのが、われわれの基本的な考え方であります。従ってわれわれは、本案流通秩序法体系にとどまらないで、中小月賦販売業者信用供与の道を開く、あるいは税法上の保護を与えるとか、事務経費の一部補助を実施するとか、そういういろいろな方法によって、それらが十分に存立し得る諸条件を与えるよう適切な政策を盛り込むべきであり、そのように一そうこの法案内容の充実されたものとするよう要望する次第であります。またそのことこそが大きな目で見ました場合、消費者の一そうの利益となるものである、こうわれわれは信じている次第であります。  次にわれわれが特別の関心を抱かざるを得ないのは、この法案実施労働組合、市民などの自主的に組織しました生活協同組合事業活動に大きな影響を与えるのではないかという点であります。もちろん生協本案のような流通秩序法ができます以前に、もうすでに月賦販売業者の進出によりましてかなり苦境に立っているという面があるわけであります。しかしもともと生協活動消費者消費者自身組織化によって、自主的にみずからの消費生活の擁護あるいは向上をはかるという、民主的な活動、民主的な組織でありまして、その発展は国としても大いに奨励してしかるべきであると存じております。従ってこの際、本案実施と同時に生活協同組合保護強化のための政策を強力に打ち出されるよう、特に要望する次第であります。これが第二点であります。  さらに第三点といたしまして、すでに大方御承知のように、証票等による割賦販売は、大企業、大経営の勤労者労働者はともかくとして、中小企業に働く労働者あるいは勤労者は、それを十分に利用していないというのが実情であります。本案提案理由の説明にもありますように、割賦販売一般消費者消費支出合理化を通じて生活水準向上に役立てる、はたまた生産者にとっては国内商品市場拡大によって生産費の切り下げを可能とするという、非常に大きな利点があるわけであります。もとよりわれわれとしても健全な割賦販売拡大発展を願うものであることは言うまでもありません。しかしそうであればこそ、現在のような割賦販売利用跛行性はすみやかに是正されてしかるべきであると考えます。まして割賦販売を最も必要とし、また最も利用したいと願っているのは中小企業労働者であります。この点何らかの対策によって解決がはかられなければ、割賦販売発展を歓迎するということの意味は、少なくとも半減してしまうわけであります。まとめて申し上げれば、本法は、所得が低くとも毎月確実な定収入のある勤労者中小企業の中には、そういう確実な定収入があるという労働者かなりあるわけでありますが、そういった勤労者にも割賦利用の道を広範に開くような措置を講ずるべきであると考えます。そのためには、先ほども申し上げましたように、特に中小販売業者に対する信用拡大の道を講ずる、特に中小企業は非常に数少ない従業員が分散しているわけでありますから、そういうところにも割賦販売の手が伸びていくような、そういう道を講ぜられてしかるべきでなかろうか、こう考えているわけであります。  最後に、この法案の細部にわたりまして、二、三点意見なり希望なりを申し上げたいと思います。  第一に、第二条第二項にあります指定商品についてでございます。これは「耐久性を有し、かつ、定型的な条件販売するのに適する商品」つまりいわゆる耐久消費財について政令で定めることになっております。これを定めるにあたっては、特に中小販売業者が主として販売するような商品、そういうものをこの指定商品の中に必ず加えていただきたい、そういうように御措置願いたい、こう存ずる次第であります。  第二に、この法案の第六条でございますけれども、契約の解除に伴う損害賠償等の額の制限についてでございます。もちろんこの損害賠償による、いわゆる業者の側からする、これはもちろん一部の業者ですけれども消費者に対する過当な負担を制限するというのが、この法案目的になっているわけではございますけれども、特にこのうちの二番目にあります「当該商品通常使用料の額」という、この通常使用料については、場合によってはかなり判断の相違も出てくるのではなかろうかと存じますので、この点適切な御指導を願いたい。特にまたその三番目の「当該商品利用又は損傷による価値減損額」といったものは、かなり判定は困難ではなかろうかと存じます。たとえばピアノ、これが指定商品の中に入るかどうか存じませんけれどもピアノなどの場合は、ほんの少し傷がつきましても、相当商品価値を減ずるわけであります。この商品損傷額をどう見るかといった場合には、かなりの問題も生ずるかと思います。また消費者商品過当宣伝、特に最近薬品その他についてはかなり過当宣伝が行なわれているわけでありますけれども、そういう過当宣伝のためにその商品の質を見そこなって購入した、ところが、宣伝とはかなり違う商品であった、それをあとで返済したい、こう考えた場合、つまり過当宣伝に対する消費者保護をどうするかといった問題もあろうかと考えます。従来こういった場合、消費者が不当な負担を負わされたという例も散関するのでありまして、この点につきましては、裁定方法評価基準を明らかにするなど、適切な行政指導なり何なりが必要であろうかと考えます。  第三に、この法案の第九条の「標準条件の公示」及びこれに関連する第十条の「勧告」についてであります。第九条には「指定商品ごとに、割賦販売価格に対する第一回の賦払金の額の標準となるべき割合及び割賦販売に係る代金支払標準となるべき期間を定め、これを告示するものとする。」とあります。第十条には「当該商品割賦販売の健全な発達に著しい支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認めるときは、当該割賦販売業者に対し、その割合を引き上げ、又はその期間を短縮すべきことを勧告することができる。」こうあります。これは実際上はかなりむずかしい問題であろうかと存じます。一がいにはいえませんけれども一般的には消費者にとっては、特に所得があまり高くない消費者にとっては、頭金が少なくて支払い期間が長いという方が利用しやすいわけでありますが、販売業者にとりましては、こういう消費者立場とまた逆の立場があろうかと思います。しかし割賦販売普及のためには、もちろん消費者利用しやすい形の方がいいことは言うまでもないわけでありまして、たとえば自動車などが指定商品の対象になった、あるいはこれは中古自動車を含めて考えているわけでありますけれども、その場合頭金支払期間など、これを頭を押えるとか期間を縮めるとかいうようなことじゃなくて、かなり政策的な考慮も必要ではなかろうか、こう考えているわけであります。そうなりますと、特に頭金が少なく、また支払期間が長くても、それに耐え得るように——何べんも申し上げて恐縮ですけれども割賦販売業者に対する、特に中小業者に対する信用供与拡大を行なった方が、より効果的ではなかろうかと考えておるわけであります。従って、初めに申し上げた点とも関連いたしまして、特にこの点について御考慮を願いたい。  それから第四に、初めに返りまして、第三条の「割賦販売条件の明示」についてでございますけれども、そこに「一現金販売価格」「二割賦販売価格」とあります。現金販売価格割賦販売価格との差額がどの程度のものであるか、私実情を詳細には知りませんけれども、もちろん代金支払期間正常金利をかけたものが、その差額になっているのであろうと思います。ところが、その差額が大き過ぎるかどうかは別としまして、ともかくその差額相当額であるということが、特に所得の低い消費者の心理といたしましては、月賦購入意欲をそがれるということは、おそらく否定できないだろうと考えます。もっとも代金支払いまではそれだけの金額は購入者に貸し付けているわけでありまして、それに利子を支払うのは資本主義経済の原則からいって当然しごくのことではありますが、そこを一歩進んで、販売業者に適切な保護措置を与えるとか、そういう方策によりまして、この差額をずっと少ないものにするか、あるいはゼロにしてしまうというようなことができないものであろうかと考えるわけであります。低所得者にとっては、正常金利でさえも月賦購入意欲をそがれるほどの負担でございますので、特にそういう階層のありますことも考慮に入れていただきまして、適切な方策を考えていただくようお願いするわけであります。  以上、消費者立場から、また特に中小企業労働者を多くかかえております労働組合立場から、若干意見を申し上げた次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  8. 中村幸八

    中村委員長 次は背戸参考人にお願いいたします。
  9. 背戸清次

    背戸参考人 私東京チケット協同組合連合会背戸でございます。本日は私ども意見をお聞き下さるというけっこうな機会をちょうだいいたしまして、この点厚く御礼を申し上げます。  大体お尋ねの割賦販売法案につきまして、小売商立場から私ども実際それを行なっております者としての意見を申し上げさせていただきたいと思います。  私ども自体小売商といいましてもいろいろございますが、特に都心のお客様相手ではなく、いわゆる零細業者が密集している、そういう所でございまして、お客様もですから比較的所得の低いお客様相手にしておる業者でございます。大体割賦販売のねらいにはいろいろございます。先ほど来岡松さんあるいは河野さんがそれぞれの立場から仰せられた通り、大きないわゆる耐久消費財目標とした割賦販売、それからわれわれのようなごく価格の低い商品目標とした割賦販売、これはいずれもやはり必要があって、そのようなものが現存いたしておるわけであります。  そこで、この割賦販売法案の今日までの過程を振り返っていろいろな面からお伺いいたしますと、大体割賦販売は、その面の将来性ということに主眼を置いてあるようでありますけれども、とかく取引秩序確立というようなことに主眼を置いてあるようで、私どもが最もたよりにしておりました経済政策、それからいろいろわれわれが日ごろお尋ね申し上げております中小企業対策零細業対策が、これにはあまり内容が盛り込まれていないように、私は見受けるのでございます。従いまして、秩序法という性格から、その限度内におきましては、これはもういろいろと問題がございますが、大体その割賦販売法制定そのものには、今まではなかったところに、そのような法律をお作り下さるということには賛成でございますが、しかしせっかくお作り下さいますならば、私が以下申し上げることを一つぜひお聞きいただきたい、かように考えるわけでございます。  割賦販売現状を見ますと、取引秩序法があるなしにかかわらず、このままにしておきますと、メーカーの段階におきましては、割購販売において、特にわれわれ中小企業は将来だんだん影が薄くなる、そうしてこの法律がこのままの姿ででき上がりますにしても、いわゆる大メーカーの独占的なものが強く推し進められていくように、私は見受けられるのでございます。いずれそういう結果になりますことは、お避けになることだと想像はいたしております。どうかいわゆる大メーカー・オンリーにならないよう特にお心づかいをお願いしたい、こう考えるわけでございます。それでありまして、結局現金販売といわゆる信用販売というものは、もちろんこの法律ができますことによって、そのようなことは是正されましょうが、その法の内容のいかんにかかわることと、さらにまたその法の運用いかんによって、これがはっきりと、いわゆる現金ならば現金で、貸し売りならば貸し売りで、どうしても力の強いもののみが進んでいくという結果になるわけでございますから、どうか割賦販売はあくまでそれぞれの段階において、それぞれ適切な方法を盛り込んでいただきたい、こう考えるわけでございます。われわれ小売商の現在の段階では、実はこのままの姿では、近い将来あるいは大企業のために姿を消してしまわなければならぬような事態がくるかもしれませんので、この法律のできますることは、私、心からお待ち申し上げておる次第でございます。  そうしてこれから申し上げますことは、割賦販売の問題は、取引秩序法の中に問題があるというよりは、むしろ割賦販売法案に盛られていない、言うならば今後割賦販売をどのような方向に持っていくか、いわる経済政策、そうしてまた中小企業対策ということを、いかに強く打ち出していただくかというところに、せっかくお作り下さいます割賦販売法の重要な中心的な問題があるのじゃないか。くどいようですけれども、どうぞそのようなところへ一つ諸先生方ぜひお気づかいを下さいまして、われわれ中小企業は、ほっておけばこの割賦販売が命取りになるのだということをよく御認識をいただきたい、かように考えるわけでございます。そこで私ども割賦販売の制定とあわせて、特に中小企業対策の点をこの際思い切って打ち出していただくことを条件といたしまして、この割賦販売制定ということには、双手を上げて賛成を申し上げる。  次に、それではこれからどのようなことをお前は言いたいのか、こういうわけで、多少具体的な内容を申し上げたいと思います。先ほど来申し上げました通り、この法案自体は大筋においては全く異論はないのでございますが、第二条二項の指定商品の範囲、そしてまたその指定商品の定め方、それからまた一方われわれのような協同組合組織でこれを営んでおりますもの、従来は大体あっせん業のように解釈をされておったのでございますが、こういう問題をよく御理解をいただきたい。そうして私どもが営んでおりますいわゆる協同組合チケット販売、それからまた株式会社組織のチケット制度、これらは大体やっておりますことは変わりございませんのですけれども、要はその組織指導精神、こういったものに大へんな違いがございます。私ども協同組合は、組合員と組合は一心同体でございますので、組合自体が販売をいたしておるのでございます。ですから、あっせん業でなく、協同組合の場合は共同販売というふうに御解釈をいただきたい、こう考えるわけでございます。そこで先ほど申し上げました指定商品の場合でございます。これをお取りきめになります場合は、ただ単なる政令とか、そのようなことで一方的にお取りきめにならないで、ぜひとも販売業者あるいは消費者、あるいはそれぞれの関係方々を網羅しました諮問機関をお作り下さいまして、それの決定には万全を期していただきたい、こういうことをお願い申し上げるわけでございます。そこでどうぞ、申し上げました指定商品をおきめになるときは、そのような諮問機関を広く網羅いたしました方々で、ぜひ悔いのない、消費者業者も双方が納得の上で商品をお取りきめいただきたい。  以上申し上げましたことは、結局それが内容の一端でございまして、次に法律案以外の問題でございます。以外と申しましても、もちろん関連がございますので、お聞きいただきたいと思います。これは日ごろ私どもがよくお願いを申し上げております。これらの諸制度において特にお願いを申し上げたいことが三つばかりございます。いわゆる税制上の問題、それから信用調査機関の問題、それからまた割賦保険、割賦金融という問題でございます。これらはぜひともお願いを申し上げたいのですが、いずれこれらは後刻この方面の専門の方から数字的にいろいろとお願いを申し上げるでしょうから、私は内容には触れませんけれども、見出しとして税制の問題、信用調査機構の問題、割賦保険あるいは割賦金融という問題だけは、ぜひともお取り上げ願い、そうしてまた十分な内容を持った方法を作っていただきたい。いま一つ貸し倒れ準備金は、どうぞこの機会にせめて一〇%、一割くらいまでは、ぜひお認めをいただきたい、かよう考えるわけでございます。  税制上の問題で一つつけ加えておきますが、われわれやっておりますチケット販売は、いわゆる証票、チケットのつづりでございます。それには従来は印紙税というものが取られておったわけです。これはやはりわずかなようではございまするけれども、私どもが営んでおりましたチケット制度というものは、あくまで消費者本位、お客様のために、このようないわゆる便利な、そしてまた家庭の経済をお手伝い申し上げるというような意味合いで作りました制度でございますので、ほとんどこのチケット販売においては、商売ではございますけれども、あまり利益というものを目標にいたしておりません。それがために、証票までも税金いわゆる印紙税を取られることになりますと、ひいては費用の増大ということから、自然と商品の値幅が多少広がっていくというようなことがございますので、できるだけ消費者のためにこの印紙税は免除していただきたい、私どものためでなく、消費者のためにぜひ免除していただきたい、こう考えるわけです。  信用調査機関というものは、わが国ではなかなか思うようには、すぐには参りませんでしょうけれど、外国では、聞きまするところ、りっぱな機関が作られておるそうでございますから、どうぞこれらは一日も早く外国の例をおとり下さいまして、そうしてこの割賦販売に寄与していただきたい、こう考えるわけでございます。また、われわれ現在やっております信用調査というものは、取引銀行と連絡をとりまして、先方の内容を聞かしていただいておるというようなことで、これは銀行の取引のない方では、どうにも調査の方法がないわけです。しかし、先ほど来から御意見のございました通り、銀行取引がなくともりっぱな資格者があるわけなんです。そういう方々にもあまねくこの割賦の利点を利用していただきたい。そうするには、どうしても一定の政府機関において、そのような信用調査機関を作っていただきたい。これは銀行などとやはり連絡をとっておやり下されば、最も簡単手軽にいく方法もあるいはあるのじゃないか、こう考えるわけです。  そこで、結局いろいろ問題がございますけれど、割賦販売全体についての意見としては、先ほど申し上げました通り異議がございませんので、内容そのものはいろいろ申し上げたいことはたくさんございますが、ただいま申し上げました税制の問題、信用調査機関の問題、そういったものは、どうかこの機会にぜひお忘れなく一つ盛り込んでいただいて、これは一つ一つが全部お客様消費者のためになることでございまして、消費者の消費を助けるということは、国民経済をそれだけ明るくする、強くするというような結果になるのじゃないかと私は考えるわけでございます。  そこで、実は問題はまた多少違いますけれど、先日の新聞でちょっと拝見いたしましたところ、日銀総裁は、市中銀行に対する警告として、消費者金融などは、とんでもない話だというような——これはよく御存じないから、あるいはあのようなことが出たので、もちろんこの委員会においてよく私どもの意のあるところをお聞き下さいますれば、日銀総裁もおわかりいただくことだろうと思いますが、これは金がないからそこまで手が回らぬというような、あるいは簡単な意味合いでおっしゃったことかもわかりません。けれど、金というものはやはり使いようでございまして、流用のしようで、そうすることが消費金融に最も重要なことだというお考えに及んでいただきますれば、まず第一番に割賦金融の道を講じていただくことこそ、国民経済を健全にするのだという結果になるのではないかと考えるわけです。そこで、これなんかも、やはり大企業はあらためてそういう制度ができませんでも、従来すでに大企業、大銀行は何らかの形で、割賦の資金としては受けておらぬでしょうけれど、何億、何十億というような膨大ないろいろ事業資金の金融によって、それを流用し、割賦の面でも、それほど窮屈な思いはいたしていらっしゃらないでしょうけれど、われわれ零細企業は、ほんとうに町の銀行からわずかな短期金融で、そうして、最初やり始めたころは三月でございました。今日ではほとんどが常識的に十カ月でございます。しかし、銀行はなかなか十カ月というような長期金融は許してくれません。いろいろと苦心惨たんをしてやりくりしておる最中でございます。こういった面でもわれわれはすでに取り残されておる。大メーカー、大企業は、そういった面でも、はっきりと筋道を立てた金融ではないけれども、何らかの形でその方向へ相当な金が流れているということもお考えをいただきたいのであります。これは、やはりそのままにしておきますと、どうしても金のある方へそのような制度はますます発展し、そうしてまた、われわれはいよいよ詰まってしまうというと、しまいには閉店をしてしまわなくちゃならぬというようなどたんばまで追い詰められる結果ともなりまするので、どうか金融問題は、一つお忘れなく強くこういった面で御考慮をお願い申し上げたい、かように考えるわけでございます。  時間もございませんので、申し上げたいことはたくさんございまするが、また御質問なりにお答え申し上げたいと存じます。先ほど来申し上げました幾つかの問題を、ぜひこの際御考慮をいただきまして、そうしてせっかくお作り下さいます割賦販売法の内容を、中小企業振興に十分重点を置いてお作り下さることこそ、国家将来のためではなかろうか、かように考えますので、大へん取りとめのないことを申し上げたようでございまするが、どうぞ私どもの日ごろお願い申し上げておる気持だけをおくみ取り下さいまして、内容を十分御検討下さいまするよう重ねてお願いを申し上げまして、私の意見を終わらしていただきます。(拍手)
  10. 中村幸八

    中村委員長 ありがとうございました。  次は中林参考人
  11. 中林貞男

    中林参考人 私は日本生活協同組合連合会の中林であります。私たちは、生活協同組合の運動は、消費者生活を守るという立場でいろいろやっておりますので、消費者立場からこの割賦販売法についての私たちの考え方を、簡単に述べさしていただきたいと思います。  私たちは、生活協同組合立場から、根本的には月賦売り、割賦販売というものは、消費者生活を破壊するおそれがあるということで、従来現金主義ということで、ずっと日本ばかりではなく各国やって参ったわけでございます。しかしながら、最近のいろいろな経済発達国民経済向上というような点から考えまして、原則的にはいろいろあっても割賦販売に反対だ反対だというようなことを言っている段階ではない、やはり私たちのお互いの生活を高めていくという立場から、この問題と真剣に取り組まなくちゃいけない。現に生活協同組合でも割賦販売をやっているという事情でございます。しかしながら私たちは、そういうような現実の経済の事情がそうであるといっても、やはりそれらのことはあくまで消費者生活がよくなるという立場で考えていかなくちゃいけないのではないだろうか。ところが今度のこの割賦販売法案提案理由並びにこの法案を読まさせていただきますと、消費者保護とかあるいは割賦販売の健全な育成ということになっておりますけれども、流れているところの思想は割賦販売を助長するということが一貫して流れているんじゃないか、私はそういう考え方が基本になっているのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。ところがやはり割賦販売のような問題をイギリスなりアメリカなり、各国でこれが大いに発達しているというようなことが言われておりますけれども、その背景として国民経済全体の問題、社会保障がどういうふうに発達しているか、賃金がどうであるかというような問題と総合的判断の上に、割賦販売というものが考えられなくちゃいけないのではないだろうか。ところが日本の現在の姿のままで割賦販売を助長していくということはどういう結果を招くかということになりますと、現在の時点において、オートメーション化ということと関連して、大企業におけるところの大量生産をしたものは大量販売をしなくちゃならない。そしてマスコミがその中に立って、そのできた商品宣伝する、そうして次々と新種のものができたできたという形でマスコミがそれを宣伝していくということになりますと、人間は本来的にいいものを買いたい、うまいものを食べたい、いい家に住みたいという本能的な欲望をだれもが持っているわけでございますが、その本能的な欲望をマスコミがあおって、そうして大量生産したものを大量販売しなくちゃならないというようなことになって参りますと、結局消費者購買力というものが大量販売のために利用される。そうして消費者購買力というものがどうして出てくるかといえば、やはりお互いの所得が高まって、具体的には給与がよくなるということと相伴って、そうして購買力が作られていくということであれば、そしてその背景に社会保障制度というようなこととの関連において考えられるならば、購買力というものは私はふえてくるだろうと考えるわけでございますけれども現状において賃金はむしろ抑制するという政策のもとにおいて割賦販売を助長する購買力を新しく作るということになりますと、結局割賦販売によらなくちゃならない。そのことがやはり人間の本能的な欲望というものをあおって借金をしてでも買いたいという気持を助長していくということになるのではないだろうか。そうしてきますと、結果的には人間か商品の奴隷になっていってしまう危険性が多分に出てくるんじゃないだろうかということを私たちは一番心配するわけでございます。従って割賦販売という問題を取り上げる際においては、そういう点を十分考えていかなければ、日本人の国民生活というものがどういう姿になっていくかということを考えた場合に、私たちは非常に憂えざるを得ない。現に私は労働金庫にも関係しているのですが、せんだって労働金庫の役員会で問題になりましたのは、京浜地区のある大きな工場の社宅でございます。ある大きな会社の社宅街で月賦販売するのに関連して高利貸しがたくさん入り込んでおった。そうして奥さんたちが電気洗たく機だとか、電気冷蔵庫だとか、電気掃除機だとか、いろんなものを買いたいということで、月賦で買えるからということでそれを買った。そしてそれが非常に社宅街に広まって、高利貸しがそこに介在をしてきた。そうして御主人たちはどうして女房たちがやりくりしているのかということを十分御存じないうちに、極端な奥さんは二十数万円の借金を作ってしまった。そうしてそのことがわかりまして社宅で調べてみたところが、方々で女房たちが割賦販売と高利貸しとの間にはさまって、そうしてたくさんの借金を持っているということが御主人たちにわかって、これを公にするということになると、いろいろ会社の立場上も困る。しかしこの金利だけでも大へんなことになっておって、毎月の形ではなかなか返していくことができない。そうしてそこの労働組合でも内々にそれをどう処理するかということで、結局その問題は労働金庫から正しい借り入れをして、高利貸しの金を返済をして、そうしてやらざるを得ないだろうということで、労働金庫へその借り入れが持ち込まれた。調べてみましたら今のようなことで、方々で夫婦げんかが起きたり、いろいろなことをしているという、われわれは笑っては済まされない、そういう深刻な事態がせんだって京浜地区のある大きな会社の社宅街であったということを、先々月の役員会で私らは具体的に伺ったのでございます。従ってそういう点は十分私らは考えて、この割賦販売の問題をとらえていかなければいけないのではないだろうかという工合に考えるわけでございます。  従って諸先生方がこの法案を審議なさいます際に、やはり現在のような事態において耐久消費財、家庭の電化というものを、私たちはやはり進めていかなくちゃならないが、それを健全な生活をどのように維持して、どうしてやっていくのだということを十分お考えをいただかなければ、私はただ大量生産したものを大量販売するためのえじきとして、われわれの消費者購買力利用されるというような考え方に、これが発展していくというようなことについては絶対に反対をせざるを得ない。従ってこの法案の審議にあたられましては、そういう点を十分お考えをいただきたいと思いますことが第一点でございます。  それから、それに関連しまして、この法案を読ませていただきますと、この点は先ほどからの参考人の方も言っておいでになりましたが、私たちは結局大企業の系列化が促進されていって、中小企業というものがどうなっていくのだろうか、商工委員会で常々中小企業対策ということをお取り上げになっておりますけれども、私はこの法案をずっと読ませていただきまして、その点は先ほどからの参考人がおっしゃいますように、大企業の系列化が促進して、そうして結局小売商人というものが系列外に取り残されていくのじゃないかということを私たちは憂えるわけでございます。そういうような点は生活協同組合立場に立ちましても、私たちは現在の流通秩序というものをどのように民主的に、合理的に作り上げていくかということが、やはり日本中小企業対策として重要な問題ではないだろうか。その点に立ちまして私たちはこの法案内容についていろいろな点に疑問を持つわけでございます。その点については先ほどからの参考人の方がおっしゃいましたような点を、私は十分にお考えをいただかなくちゃいけないのではないだろうか。従って原則的に先ほど申し上げましたような消費者購買力をえじきにするような政策につながるというようなことは、われわれとしては絶対に反対である。しかしながら現在の時点において割賦販売というものが必要である。そうしてまたそのためのいろいろな弊害も起きている。従ってそこで交通整理をして一つの秩序を立てるということは、その意義は私たちも十分認めるわけでございますけれども、そういう立場に立って一つこの法案の御検討をいただき、そうしてそういう立場からこの法案の組みかえなり、そういうことを私はお考えをいただきたい。むしろ割賦販売の助長ということよりも、その調整なり規制という立場から、割賦販売というものが考えられなくちゃいけないのではないだろうか。自然の勢いとしては、ほっておいても割賦販売というものは、どんどん伸びていくという一つ経済的な現在の姿にあるわけでございますから、その点は、消費者立場からそれを調整ないしは規制するという立場で私はお考えをいただきたい。そのことがまた中小企業の問題にも関連してくるというふうに私は考えるわけでございます。  以上の点に立ちまして、少しく具体的に法案内容につきまして申し上げてみたいと思うのでございます。法案の第五条で、「割賦販売業者は、指定商品に係る割賦販売の契約について賦払金支払の義務が履行されない場合において、十五日以上の相当な期間を定めて」とありますが、この十五日ということは、ぜひ三十日以上と——そのことは、現在のサラリーマンの生活は大体月給制度になっておりますから、一カ月こういうような事故で払えなかった場合の一つ対策として考える場合に、やはり今日の日本の給与の姿というものが月給という形になっておりますから、この点は三十日以上というふうに御修正をお願いいたしたいというふうに考えるわけでございます。  第六条の第一号でございますが、「契約のために要した費用の額」これが損害賠償として請求できるということでございますが、契約のために要した費用というものを、契約者、つまり消費者の方に一方的に請求ができるという点については問題がある。そしてこのことは、たとえば契約した消費者の側ではなくて、売った方の側において、テレビなり電気洗たく機において粗悪品を売ったというような場合もあり得るわけでございます。そうして消費者の側から契約を破棄するというようなことではなくて、売った方の側からの問題において、こういうことが起きてくるということが十分あり得るわけでございますし、それを消費者の側に一方的に請求するというような点には、非常に問題があるというふうに私は考えるわけでございます。  第七条の「所有権に関する推定」、「割賦販売方法により販売された指定商品の所有権は、賦払金の全部の支払の義務が履行される時までは、割賦販売業者に留保されたものと推定する。」たとえば五万円のテレビを月賦で買った、そして三万五千円は払った、ところが一万五千円は払ってない。そういう際において、五万円のテレビが全額払ってしまわなければ消費者に所有権が移転しないという形は、私は債権債務というような法律的な点から考えましても、非常に問題がある。従って割賦販売の場合においては、その点を明示すべきである。債権債務の関係を明らかにして、所有権というものをその観点に立って考えていく。従って五万円のところを三万五千円払っても、まだ消費者の所有権がなくて、販売者の方にだけ所有権が留保されているという点については、これは問題があるので、その点をもっとはっきりと債権債務の観点に立って明示するように御検討をいただきたいというふうに考えるわけでございます。  第九条、第十条、「標準条件の公示」並びに「勧告」、ここで主務大臣云々ということがあるのでございますが、この点は、従来のいろいろな中小企業関係法律の立法のときにも、われわれは問題にした点でございますが、行政カルテルというような形のものが生まれてくる危険性がある。こういう点は、もっと自主的にこういうことが行なわれるようなふうに措置することがいいのではないだろうかという工合に、私らは考えるわけでございます。  それから第三節の前払式割賦販売。この点につきまして、前払式割賦販売の中において、金融機関ということが一つの、間にクッションとして入るということであれは、このことは確実に行なわれると思いますけれども、そうではなくて、販売業者の方が直接そのことをやるというようなことになって参りました場合に、この法律の中にも、登録だとか、十五条、二十条、二十三条、三十六条、三十七条でいろいろな規定があるわけでございますが、契約者保護ということを考えてみました場合に、金融機関においては、預金保護については、預金者を保護しなくちゃならないというような処置が、業務の上において常時行なわれているわけでございます。ところが前払式の割賦販売の場合に、登録を申請するときとか、その時点々々についてだけ問題を取り上げているわけでございまして、そうなって参りました場合に、いろいろな紛飾が行なわれるというようなことをどうして防止するか。そうしてそのことは、これが長期の二年なりというような形でいろいろ行なわれてくる、また高額のものが行なわれてくるというようなことになって参りました場合には、契約者保護ということを、預金保護と同じような立場で、もっと考えてみる必要があるのではないだろうか。従って、そういうような点につきまして、諸先生方にもう一度御検討をいただきたいというふうに私は考えるわけでございます。  それから三十六条、三十七条の報告の徴収、立入検査というような点につきましても、私たちは、諸先生方に生活協同組合などの立場から十分御検討をいただきたいと考えるわけでございます。  条文的にはそういうふうに考えるのでございますが、この法律の中では、やはりこのままではメーカー信販というものがさらに助長されてくる。メーカー信販ということが助長されてくるというようになれば、そのことは結局、小売商人、小売商業界というものを巨大な資本によって荒されてくるということになりますので、そのメーカー信販は、私らは中小企業対策という立場に立っても、それを規制することをむしろはっきり考える必要があるのではないだろうかというふうに考えるわけでございます。  それから、まだこの法律案に載っておりませんけれども産業合理化審議会その他で、信用調査機関を設けるというようなことがいろいろと論議されているわけでございますが、割賦販売の場合に、ある程度信用調査ということももちろん必要かと思います。銀行で金を貸します際には信用調査をやっているわけでございますけれども、しかし消費者信用調査を一人々々に  ついてやるというようなことが、制度化されてきました場合に、下手すると、家庭の主婦の財布までもその対象になってくるというようなおそれが、今日の情勢においてはわれわれは多分に考えられる。そういう点については、信用調査というようなことを今後お考えになります際に、消費者立場から十分お考えをいただきたいというふうに考えるわけでございます。  大体以上でございますが、以上の点を諸先生方に十分お考えをいただきますとともに、私たちはこの割賦販売というものは、現在の時点においてはやむを得ないことではあるけれども、これが下手に助長されましたならば国民経済を破壊する。そうして、そういうような見地から、生活協同組合の運動にとっても重大な問題が起きてくるのではないだろうか。従って、商工委員会の諸先生方には、消費者生活を守る生活協同組合のやっている事業、並びに中小企業立場というものを十分お考えいただき、流通機構の中において、生活協同組合なり中小企業のようなまじめにやっている仕事が十分伸びるような形において、いろいろな問題をお考えをいただきたいということを申し上げまして、私の意見を終えたいと思います。
  12. 中村幸八

  13. 眞木延幸

    眞木参考人 私は月賦の専業をやっております組合の者でございますが、先刻岡松さん並びに中林さんから、もう申し上げることはいろいろと申し上げておりますので、重複する点は省いておきます。  大体この業界の一番ガンとなっておるものは何であるかと申しますと、資本関係でございます。そのほかにそれ以上に一番困っておることは貸し倒れの問題でございまして、どうしても不特定多数の者に売りまして、ことに中以下のサラリーマン階級、庶民階級の方の利用者が多いのでございます。そういう方々に直接販売をいたします関係上、非常にその信用調査が現在はできにくいのでございまして、そのために貸し倒れの問題が起きてくるわけでございます。店の方といたしますと、契約するときに際しましては、長年の経験者が帳場におりまして、その人柄であるとか、あるいはまた買った商品とにらみ合わせて適当であるかどうか、自分の家かあるいは他人の家か、独身か世帯持ちか、いろいろなことをその話術によって巧みに引き出させまして、そうしてそれにヒントを得て、勘によって販売をしておるというのが大体の現状でございます。これを勘によってABCに分けて、そのABは問題ないが、Cに至りましてはとにかく一つ調査をしてみようということになりまして、その調査をするわけでございますが、なかなかその調査というのもむずかしいのでございまして、行ってみますと、近所の配給所とか酒屋、そういう方面を調べましても、また勤務先に電話をかけてみましても、大ていのいいお客さん、善良な消費者は、おれの信用を傷つけた、こういうことで怒り出す。そういう点でいいお客はやめてしまう、悪い客は残る、こういうようなことで、いろいろな関係上貸し倒れという問題が出てくる。事によりますとやはり詐欺というのがありまして、とにかくひっかけよう、ひっかけようとする悪い、不良な消費者がおるわけであります。そういう方々がわれわれの店に参りまして、買ったらすぐに転売してしまうあるいは逃亡してしまう、こういうような方が多いのでありまして、大体二・五%は、どうしてもやむを得ないというような状態でございます。これも店によりまして多少パーセントは違いますが、大体二・五%は逃亡したり、あるいはまた詐欺にひっかかったりというのがあるわけでございます。こういう悪質な消費者のためにいろいろとお考えを願いたいというようなわけで、所有権の問題が先ほども出ましたが、これをゆるめてみますと、われわれといたしますれば二・五%というものは、どうしても勘定に入れておかなければならぬ。そうするとそれが善良なお客にはね返って高いものを買わなければいかぬ。そういう悪いお客を取り締まることによって二・五%が下がる、こういうような状況でございまして、どうかこの所有権の問題に関しましては、われわれ業者といたしましては「推定する。」というようなちょっと弱いようなものでなくて「留保する。」、こういったようなものにしてもらいたいという希望があるのであります。しかし消費者方々のいろいろなお話しを承ったり、また皆さんの法律の権威者の方々からいろいろなことを聞きますと、これも業者だけにいいというわけにもいきませんので、大体こういったところでいいじゃないかというようなことで、業者といたしましてはしんぼうしておるようなわけでございます。  ことにまた先ほど助長しておるというようなことを仰せられましたが、われわれの現在の実情から申しますと、多少規制というようなことになっておるわけでございます。とにかくお互いに消費者と商売人は立場が違いますので、いろいろなこれに対する問題があるわけでございますが、しかしながらわが国におきましては月賦法というものは今までになかったのでございまして、ここに一つの柱というものを立てていただいて、そうしてこれによって今後いろいろと協議をしていただく、また改正していただくというような一つの柱と、よりどころを作っていただくということが必要なことでございます。一番ガンとなっておるそれに対する税法の問題、先ほど申しましたが、とにかくくれない掛金がたくさんある。それを今の税法ではなかなか認めてくれないということがあるのでございますが、時間がございませんので、大体このくらいにして、この個品月賦販売という五、六、七条くらいのところは、大体私どもの適用されるところでございますが、その間におきましてはこれに対しまして賛成を申し上げたいと思います。
  14. 中村幸八

    中村委員長 次は宗像参考人
  15. 宗像平八郎

    ○宗像参考人 私日本専門店会の宗像でございます。私どもの専門店会はいわゆる協同組合でございまして、主たる共同経済事業といたしましてチケット制の割賦販売をやっております。私は小売商チケット協同組合の立場から少しく意見を述べさせていただきたいと思います。先ほど来の参考人方々の御意見と重複する点が多々ございますが、せっかく準備して参りましたので、しばらくお聞き取り願いたいと思います。  まず第一点は、本法案は通産省の産業合理化審議会の流通部会で審議され、答申されましたいわゆる個品割賦販売につきましての取引の秩序法であるというふうに私どもは理解しております。従いまして私ども小売商の協同組合のやっておりますところのいわゆるチケット制割賦販売すなわち総合割賦販売を対象としているのではない、こういうふうに理解している次第でございます。これは第二条の定義によっても明らかであろうかと思います。この総合割賦販売につきましては、本法案の第三章の「割賦購入あっせん」のところで、第三十条から第三十五条までの規定で、いわゆる割賦購入券、すなわち証票の譲渡、質入れの禁止、割賦あっせん業者の登録、割賦あっせん業者に加入しております小売店の保護について規定がございます。もちろんこれはいわゆる割賦あっせん業者に対する取り締まり規定というふうな感じを実は受けるわけでございます。もちろん小売商のチケット協同組合は、第三十一条のただし書きによりまして登録の義務は免れてございますが、ここに一つ御検討いただきたい問題があるのでございます。それは私ども協同組合の行なっておりますチケット制割賦販売事業は、一体割賦販売事業であるのか、それとも割賦あっせん事業であるのかという点でございます。私ども小売商はどんな理由で、どんな目的でいわゆる専門店会という協同組合を組織したかといいますと、個々の中小企業の資力、信用、事務管理能力には限度がございます。個々の経営能力では割賦販売のような高度の信用販売はなかなかできがたいのであります。そこで個々の小売商が行ないます信用販売事業の経営を共同化することによって危険負担を分散し、共同の信用力によって金融を円滑にし、金融の操作、信用調査、会員の獲得拡充、契約、集金、会計処理などの割賦販売運営業務を、いわゆる組合的集中によりまして合理化し、能率化し、個々の組合店の経営を発展させようという目的で、協同組合を組織したのでございまして、従ってチケット制割賦販売、いわゆる総合割賦販売は、この協同組合の共同経済事業であるというふうにわれわれは理解しております。この点はチケット制割賦販売事業そのものを営利目的としておりますいわゆる信用販売業者とは、質的に異なるものがあるというふうに思います。組合員である小売店は、協同組合と割賦販売あっせん契約を締結して、組合の加盟店になるのではないのであります。協同組合専門店会は、組合の総会で決定されました定款の規定によって、共同割賦販売事業を行なっているのだというふうに私どもは解釈しております。この解釈が実情に適している解釈であろうというふうに思います。組合員である小売店は、月末には現金で代金が回収されるのでございまして、割賦販売の売掛金に対しましていろいろ税法上の特典がございましても、それは組合員にとってはあまり意味がないのであります。むしろ協同組合の割賦売掛債権に対して、いわゆる税法上の特例というものが意味を持ってくるのでございます。本法案は、協同組合は登録の義務は免れてございますが、協同組合そのものが割賦あっせん業者であるという解釈に立っていると私は思うのでございますが、その点について一つ御検討をいただきたいというふうに考えます。  総合割賦販売、すなわちチケット制の割賦販売そのものは、もちろん本法案の対象にはなっておりません。これははっきりしております。しかしながら、最近はいわゆる三カ月というような短期のチケット購入券で何でもかんでも買われるというような、総合割賦販売は頭打ちになって、だんだん減って参りました。そして協同組合そのものが個品割賦販売、いわゆる特定の個人消費者に対して組合員の委託によって、個品販売をやるという傾向が多くなっております。これは協同組合の決算書をごらんになればわかりますように、全国的に短期のチケット販売は行き悩みでございましてどんどん長期高額チケットに移行しつつある。従って協同組合の総合割賦販売でなしに、いわゆる個品割賦販売というものが圧倒的に多くなりつつあるという点を考えますと、今後行なわれます割賦販売対策の対象となりますいわゆる割賦販売業者であるか、あるいは割賦販売あっせん業者であるかという解釈の相違が、非常に大きな関係を持って参りますので、その点を一つ御検討いただきたいと思います。  第二点は、本法案そのものではございませんが、この法案に関連して今後の割賦販売対策について、少しく意見を述べさせていただきます。先ほど来の参考人意見と重複するのでございますが、私ども考えますのに、いわゆる割賦販売法は割賦販売取引の土俵作りだというふうに考えます。せっかく土俵を作っていただきましても、本法案目的といたします割賦販売の持っております社会的あるいは経済的な役割を十分発揮することはできないのでございまして、従って今後の割賦販売振興政策いかんによって、割賦販売の健全なる発達が期し得るかいなかにかかっているというふうに考えます。そればかりではないのでございます。先ほどから参考人の方の御意見がありましたように、この法案の制定によって、大メーカー、大企業割賦販売というものが合理化され、その発展進出に拍車が加えられますと、そうでなくてさえ資力信用力の乏しい中小企業、特に小売商の行なっております割賦販売は、その圧迫によりまして逆に著しい影響を受けるという点でございます。今後の割賦販売政策に私たちが重大なる関心を持つゆえんは、実にここにあるのであります。時間がありませんので、いろいろ割賦販売政策内容については詳しく申し上げませんが、ただ金融措置の問題につきまして、これは深刻な段階に来ておりますので、少しく意見を申し上げたいと思います。  専門店会が行なっております割賦販売の所要資金というものは、おおむね組合役員の個人保証によって銀行から借り入れをしているのであります。金融機関は、ほとんどが地方銀行、市中銀行でございまして、信用金庫、商工中金の利用というのは、非常に少ないのが現状でございます。従いまして、今後の金融政策というものが、私ども専門店会がやっております割賦販売事業に非常に大きな関連を持つわけでございます。最初われわれがチケット販売を始めた当時は、いわゆる共同掛売販売の考え方でございます。いわゆるサービスとしての信用販売という考え方が圧倒的に多かったために、三カ月の短期のチケットでございましたから、従って金融問題はそれほど起こらなかったのでございます。ところが消費生活向上しまして、先ほども申しましたように短期チケットの利用がだんだん減って参りました。六カ月ないしは十カ月の長期高額のチケットの利用が次第に多くなって参っております。従ってチケットの賦払期間の長期化によりまして、所要資金の手当が非常に困難になって参ったわけでございます。この傾向はますます私は強まると思います。所得水準、消費水準等の上昇に伴いまして、消費生活内容が非常に変わってきております。消費生活向上意欲が非常に強まって参ってきておりますので、短期低額のチケット利用が減って、長期高額の利用がふえるのは当然でございまして、割賦販売の形態も、総合割賦販売の形態から個品割賦販売に移行するというのは、必然的な傾向であると思われます。そうなりますと、いよいよ割賦販売に対する金融措置というものは、中小企業のチケット協同組合の盛衰を決する重大課題となって参るわけでございます。そういうふうな所要資金があげて地方銀行、市中銀行に依存しているという実情から申しまして、国の割賦販売に対する金融政策は、今後の小売商チケット協同組合の運営に重大な関係を持って参るのでございます。  一般的に、わが国におきます消費者信用というものは、事業資金として供与されておりますものと販売機関同士の間で与えられておりますところのいわば企業者間信用の組み合わせという形で、消費者信用供与されているというのが実情であります。この中にあって、私どもは、私どもの乏しい資金を出し合いまして協同組合を作りまして、共同の信用力によって消費者信用としての独自の分野を開拓して参ったというふうに言って私は差しつかえないと思います。  通産省の調査によりますと、昭和三十三年度のチケットの売上高は五百五十億三千八百万円でございまして、わが国割賦販売総額約五千億円の一一%程度でございます。それでも、一般勤労大衆の家計にある程度の役割を果たしてきたという点を、私どもは自負している次第でございます。ところが、最近目立って参りましたのが、消費者信用の分野に独自性を発揮して参りました大メーカーの系列割賦販売の問題でございます。日本銀行の調査によりますと、商品種類別の賦払信用残高全体の約四〇%を家庭電気器具が占めているといわれております。家庭電気器具の割賦販売は、ほとんどが電気産業関係の巨大メーカーによります系列割賦販売でございます。現在、旺盛なるマーケッティング活動によりまして拡大の一途をたどっております。このように、大メーカーの割賦販売攻勢によりまして、小売商の行なう割賦販売は、重大なる危機に立たされていると言うことができようと思います。  割賦販売法によりまして割賦販売の基準を定め、割賦販売合理化を推進いたしますことはまことにけっこうでございますが、大企業の行なう割賦販売中小企業の、特に小売商の行ないます割賦販売の力関係、支配関係をそのままにしておいて、一般合理化を一律に推進いたしますと、それはますます大企業合理化を推進し、その競争力を強化することになりまして、大企業拡大に役立ち、逆にそれが中小企業活動分野を狭めて参ります。中小企業の経営が非常な影響を受けるというように相なるのでありまして、高度の信用力を必要とする割賦販売においてはその資本力、信用力が決定的な力を持つのでございますから、中小企業の行ないます割賦販売に対する金融措置につきましては、ぜひ格段の御配慮をお願いしたいと思います。小売商が共同の力で経営を近代化し、共同の力で消費生活向上に役立つようなそういった合理的な割賦販売発展させることができますように、中小企業者の行ないます割賦販売を対象とする専門の特殊の金融機関を、ぜひ創設していただきたいとお願いする次第でございます。  第三点は、前にも触れましたが、大メーカーの系列割賦販売の問題であります。先ほども申し上げましたように、わが国の賦払信用残高の約四〇%を占めている家庭電気器具の割賦販売は、大メーカーの販売系列の強化によりまして、驚異的な拡大を続けております。  松下電器産業の例をとりますると、本社をピラミッドの頂点といたしまして、その下に営業所、出張所、販売会社、ナショナル・ショップといいますように、本社の支配下に卸段階から末端の小売段階まで自社の系列下に押えております。松下傘下の販売会社は昭和三十年には全国に三百社ございましたが、これを八十社に整理統合いたしまして、ナショナル電器販売会社というふうに名称を統一いたしまして、本社がその販売会社の資本金の三〇%ないしは五〇%を握っております。さらに一部におきましては、この販売会社を製品別に専門化する方向を打ち出しております。さらに小売段階におきましては、一地区一店のナショナル・ショップを指定いたしまして、全国の有力なる小売店を対象に、いわゆるセールス・チームを組織しているのでございます。つまり、動脈だけでなしに、毛細管までも自社の傘下に押えようとしております。  これと同じような販売系列の強化は、電気産業の各大メーカーがいずれも行なっております。たとえば、東芝の東芝ストア、日立の日立チェーン・ストール、早川のシャープ・フレンド・ショップ、三洋のスーパー・ショップ、これらはいずれも大メーカーの系列の末端小売機関の名前でございます。そして、その結果、系列に入っております小売店は、本社あるいは販売会社の資金の援助がございまするから、みずから資金の手当をする必要がございませんので、どんどん割賦販売ができるのでございますが、そのかわりに、小売のマージンというのは非常に少なくなりまして、いわば手数料商人、コミッション・マーチャントに転落しつつあるのであります。この系列に入れていただけない小売店は、このような各メーカーが競って行ないまする系列割賦販売の攻勢によりまして、その活動分野が著しく狭められまして、その経営は非常な影響を受けているのでございます。  このように、割賦販売に関する限り、中小企業特に小売商の行なっておる割賦販売が、大企業中心に再編成されようとする動向が、最近特に目立って参ったのでございます。  つきましては、本法案の成立については異論を申し上げませんが、この本法案制定の機会に、いわゆる中小企業、特に小売商の行ないます割賦販売が非常な苦境に立たないように、先ほど来皆様方からいろいろ申し上げました点を十分御勘案いただきまして、本法案についてよろしく御審議をお願いしたいと思います。
  16. 中村幸八

    中村委員長 以上で、参考人方々の御意見の陳述は終わりました。  委員より質疑の通告があります。順次これを許します。勝澤芳雄君。
  17. 勝澤芳雄

    勝澤委員 質問をする前に、私は委員長に申し上げておきたいと思うのですが……。
  18. 中村幸八

    中村委員長 ちょっと速記を止めて……。     〔速記中止〕
  19. 中村幸八

    中村委員長 速記を始めて——勝澤芳雄君。
  20. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それでは質問に入りますけれども、もう時間もだいぶたちましたので、私一ぺんに質問いたしますから、ぜひ要点だけ書きとめておいて、簡単に明確にお答え願いたいと思います。  まず背戸さんと宗像さんと眞木さんですか、この三名の方には現在皆さんがやっておられる割賦販売に対して、皆さんの事業の中では金融はどういうふうになっておるか、金利はどの程度金利でやられておるかという点をお伺いいたします。  それから次に眞木さんと宗像さんに、所有権留保の問題につきまして、二人の方は流通部会の委員でありますからよくおわかりになっておると思いますが、流通部会の中で所有権留保というのは、どのように意見が出されておったかということであります。  それから今度は眞木さんでございますけれども、所有権が留保の推定がなされたときに、今あなたが悪質な消費者といいますか、質に入れたり、あるいは詐欺をやる、こういうようなものを、この法律によって業者が守ることができるかどうかという問題であります。  次にやはり眞木さんですが、第六条の契約のために要した費用というものは一体どれくらいのものになるのか。  それから二の商品通常使用料というものは、今皆さんがやられておるときに、具体的にどういうふうな標準があるのか。それから三の「商品利用又は損傷による価値減損額」というようなものは、どういうふうな計算をされて今行なわれておるのか。  次に眞木さんと宗像さんと中林さんの三名にお伺いしたいのですが、流通部会の中で、答申案の中に出ておるのは自力救済の禁止という問題と、それから契約解除後の商品の使用、移動の禁止、もう一つ割賦販売条件の基準の公示、これについて割賦販売審議会を作れ、この三つがあるわけでありますけれども、最初言いました自力救済の禁止と、契約解除後の商品の使用、移動の禁止、これは本案からは除かれておるわけであります。それから割賦販売審議会は御承知のように公聴会に置きかえられておるわけであります。これらについての御意見一つ賜わりたいと思います。  以上一括質問をいたします。
  21. 中村幸八

    中村委員長 まず背戸参考人からお願いします。
  22. 背戸清次

    背戸参考人 ただいま御質問の金融は現在どうしてやっておるか、それから金利はどのくらいであるかという御質問のようでございます。  実は先ほど来申し上げました通り、私どもは地域のごく力の弱いものたちが出し合えるだけの資金を出し合いまして、そうして協同組合事業資金として一応基金を作りまして、それはもちろん不足でございますから、いわゆる地方銀行から従来の場合は大体三カ月までの短期金融の売り上げの約五、六〇%くらい、あとはできるだけ自己資金をもって運転をするというような方針をとっております。そこで金利は大体年利一割弱でございます。そうして諸先生方がなぜそれでは商工中金だとか、あるいはいろいろ政府金融機関があるのに、それらを利用しないのかという御質問があろうかと思います。それらはわれわれの組織では条件としてむずかしいことを言われたり、はたまた金利としても、市中銀行よりむしろ多少上回るのじゃないか。それがために、市中銀行にはせいぜい業者同士が自分の余力を預金し、そしてその裏づけによって、せいぜい安い金利の約束をいただくというような方針をとっております。以上でございます。
  23. 眞木延幸

    眞木参考人 初めに所有権の留保の問題でございますが、これは先刻お話し申し上げましたように、われわれは不特定多数のものに月賦販売をしております関係上、どうしても所有権というものを留保していただかなければならないという理由をまず御説明申し上げます。  現在売買契約をするには勘によってしておるのでございます。そういったような契約をいたしまして十分に注意はしておるのでございますが、中には計画的に買って売却するもの、または質入れを目的とするもの、買ってすぐに逃亡するもの、あるいはまた暴力団的行為で品物に言いがかりをつけて、頭金は払うがあとは払わないというようなもの、それが大体二・五%程度あるのでございます。ことにこのような悪質客はなかなか手口が上手でございまして、ベテランの店員でも神ならぬ身でときどきひっかかる場合が多く、業者といたしましてもブラック・リストを作成いたしまして注意はしておるのでございますが、あるいは変名を使ったり、住所を変えたり、なかなか防げない場合があるのでございます。  それならなぜ信用調査が十分にできないかということを申し上げますと、客の大部分は買えばすぐに品物をほしがり、当日あるいは翌日入用のものが多いために調査の時間がないということが第一でございます。次には、早く品物を届けることが、顧客の立場になると自分は信用があるのだというような気持になって、非常に好感を与えて、あと信用もよろしい。一日何十軒何百軒の調査は困難であり、調査のための人件費その他を考慮に入れると、一々調査することは実際問題として不可能の状態でございます。各店には本籍地、現住所、自家、借家、いろいろなものを記入する申し込み書はあるが、これを記入させることは善良なる消費者はあまり好まないのであります。また、むずかしいことを言ったのでは、せっかく契約したものでもやめてしまうという場合が多いのであります。ときたま調査に行って近所の風評とか、配給所に行ったり、勤め先に電話をかけて問い合わせなどをいたしますと、善良な客は人の信用を傷つけることだといって怒り出して解約をしてしまう。そういうようなわけでございまして、悪質の消費者の撲滅を期するためにぜひ必要であるというわけでございますが、詐欺、横領、質入れ、暴力団等は、頭金支払うが二回目からはなかなか支払わない。調査をしてみますと、品物はほとんどなく、しかも甲の店、乙の店と、同じ手口で契約をしております現在の状態では、詐欺であり横領であると業者は思って警察に申し出ても、なかなか取り上げてくれないのでございまして、いたずらに時期を失してすべて業者の泣き寝入りになる場合が多いのであります。現在でも所有権を留保する私製証書で契約をしておるのでありますが、詐欺でも働くようなものは法律もなかなかよく知っておるので、逃げ口上はうまいのでございます。  それならなぜ所有権留保を必要とするかと申しますと、今まで所有権留保のない場合は、売買契約でございまして、こういった悪質な消費者を防ぐ道がないので、転売するとかいろいろな面で悪質に働くような場合は、取締規定といったようなもので、横領とか詐欺というようなことにすぐしてもらわないと、われわれはどうしてもそれを防げないのであります。もう少し強い文句の話も出たのでございますが、推定するというような意味が、私たち法律の方がなかなかわからないのでございます。聞くところによりますと、推定するというのは、それに対して何だか——そういうような話でございまして、ぜひこれは留保さしてもらいたいという希望でございます。  それから損料でございますか、契約のために要した費用の額でございますが、契約に要した費用というのはそう大した額でございません。契約証書に十円の収入印紙を張るとか、あるいはまたこれに対するいろいろな書類の費用であるとか、多少調査に要れば調査の費用、これはあまり大したことはないと思います。  それから当該商品通常使用料と申しますか、これに対しましては、現在使用料というものは使っておりません。お互いに協定してやっておりますので、使用料を幾らにするかというようなことはこれからの問題でありまして、今までやっておりません。当該商品の使用または損傷による価値減損額、これは先ほどどなたか申し上げましたが非常にむずかしい問題であります。ピアノというようなものをわれわれはやっておりませんが、かりにテレビの前面に傷をつけたということになりますと、これは商品価値が非常に違うのでありまして、なかなか算定するということは困難だと思います。これに書くよりはっきりとこれをどうするかということは、文句でなかなか表わせないのでありまして、大体こういったのをもとにして、あといかない場合には裁判所なり、そういったところに出てたれか価値の算定人を立ててきめるより仕方がないのであります。現在はそういった問題は割合い少なく、払ってもらえばそれで全部渡す。これは少しもらいたいという場合でも、払わない方が多いのであります。現在は十回でやっておりますが、五回以上払いますと払う方はほとんどくれるということが多いのでございまして、くれない方はもう二、三回からほとんどくれないのでございます。使用料もへったくれも、そういうものはもらうというところまでいっていないのが現状でございまして、こういった問題が起きてないのでございます。  それから次の問題、自力救済というのがあるのでございますが、この問題に対しましては、われわれといたしますと、大体テレビを買って今引っ越して逃げようとしておるところだといった場合に、ぜひ取り戻したいというような場合は、自力救済を認めてもらいたいということを話したのでございますが、こいつはどうも法律上もはっきりうたっておるし、これはやめた方がいいだろうというようなことになりまして、われわれもそういった問題もあまり数少ないのでございまして、消費者の方がそれだけ不安に思うなら、それはいいだろうということに私らはなったわけでございまして、大体この点は禁止をするように流通部会からは出ておるわけでございます。そういったわけでございます。  それから移動の禁止というようなことも、われわれそういった面を強力に主張したものですから、それの反対の、多少業者のことも考えて、あるいはそういうようなことが出たのかとも思いまするが、しかしこれは本法案には載っておりませんので、大体そういったようないきさつでございます。大体以上の通りでございます。
  24. 勝澤芳雄

    勝澤委員 眞木さんのお宅でやっている金利は、どうなんですか。
  25. 眞木延幸

    眞木参考人 大体現在われわれのやっておりまする資金の問題でございますが、月賦販売十カ月をやりますると、なかなかたくさんの費用が要りますので、これに対しましてはいつも悩んでおるのでございますが、大体現在の状態で、もう十カ年以上戦後やっておりまするので、これに対しましては、現在までに一つも不渡りが出ていないというのが、われわれ業界の状態でございまして、非常に銀行もこれで信用していただきまして、また自分の発行する手形にいたしましても、非常によく割れるようになっておるのでございます。ことに金額のはりますのは……。
  26. 勝澤芳雄

    勝澤委員 金利でいいですよ。金利幾ら……。
  27. 眞木延幸

    眞木参考人 金利は、大体現在は銀行日歩でやっておるのでございます。二銭三厘か二銭四厘でございますね。大体そういったようなことです。
  28. 宗像平八郎

    ○宗像参考人 専門店会協同組合のやっております金融実情につきましては、先ほど申し上げましたのでよろしいかと思いますが、やはり背戸さんがおっしゃったように、ほとんど市中銀行あるいは地方銀行から短期借り入れ、六十日ないしは九十日の短期の約手でやっております。つまり割賦販売のための金融というのではなくて、普通の事業資金の金融として融資されておる。しかも専門店会の役員が個人保証をしております。  参考までに私どもの専門店会の経営の内容を申し上げますと、自己資本がきわめて少ない。全国の負債比率ですね、負債に対する自己資本の比率でございますが、これは平均して二四・七六%、二四・八%、二割四分くらいしか自己資本がない。負債に対して二四・八%くらいの自己資本でございますから、自己資本がきわめて少ない。従って、あげて銀行の金融に依存しておる。しかもその銀行の金融たるや、割賦販売としての金融ではなくして、普通の事業資金を六十日ないしは九十日の短期の約手で操作しておるという実情でございます。金利は割引料は最低二銭三厘から二銭五厘の間でございます。  それから売上高に対する支払い利息の比率を参考までに申し上げますと、売上高に対して支払い利息の比率が二・七三%くらいになっております。金利並びに金融の問題はそれでよろしゅうございましょうか。  次に、所有権留保約款の問題でございます。これは実はほとんど小委員会の方で審議をいたしまして、私は小委員でないので、詳細は私尽くせませんと思いますが、実情といたしまして、所有権を留保してみても、これが実際問題として私は実行されていないというのが実情だと思うのです。これは私どもの方の取り扱い高の五七%は衣料品でございます。衣料品なんというものは、所有権を留保してみたって、初めから問題になりません。ただ所有権留保約款というものが、買い主に対して精神的な束縛を与えるというのは事実なんです。そういう精神的な効果だけであろうというふうに私は感じます。  それから自力救済の問題は、先ほども眞木さんがおっしゃいましたが、これも小委員会で主として審議したのですが、こういうことは刑法上の問題との関連がございますので、流通部会でこんなことをきめてみても、この法律でそういうことをうたうのはまずいんじゃないかという法律技術的な問題から、法律から省かれたというふうに聞いておりますが、その点は松尾企業局長さんもおいでになりますので、詳しくお聞き取り願いたいと思います。  それから産業合理化審議会の公聴会の問題ですが、これは答申案では公聴会となっていたのが、審議会に変わったわけでございます。私どもは、むしろ公聴会よりも審議会に変わった方がよかったんじゃないかというふうに思っております。
  29. 中林貞男

    中林参考人 契約解除後の商品の使用、移動の禁止ということは前にありまして、それがやられましたら意見を述べようと思っておりましたが、削除になっておりましたので、私らはこれは削除した方がいいと思っておったわけです。  それから公聴会か審議会かという点につきましては、私は、宗像さんと同じく、割賦販売法は、これは非常に重大な問題ですから、審議会できちんとやるように執行の上ではやっていただきたいと思います。
  30. 勝澤芳雄

    勝澤委員 もう一点だけお尋ねいたしたいのですが、眞木さんにお尋ねしたいのですが、今言われました六条の契約解除に伴う損害賠償等の額というのは、法律ではこういうふうにきめたとしても、やはり具体的に何か例示がないと、これはやはり解除するときに相当紛争になる。良質な業者あるいは良質な消費者を守る立場からも、こういうルールというものは、せっかくきめるのだからはっきりした方がいいということで、私も今通産省当局に、これは考えた方がいいじゃないかという話をしているわけでありますが、もしそれについての御意見があったらお聞かせ願いたいと思います。  それから契約解除の関係の五条なんですけれども、相当な期間というのが十五日になっているわけであるが、これはやはり悪質な消費者を対象にした場合においては、十五日も長過ぎるということになると思うのですが、しかし良質な消費者立場から見れば、もう一カ月待ってくれというのは、やはり起きてくる現象だと思うのです。この辺の調整というのは、もう少し弾力のあるものの考え方をすべきではないだうか。十五日たったからもうとってしまうというと、今度悪質な月賦販売業者——今の説明の中では、あなたの関係されているのでは悪質な月賦販売業者はないようですけれども、今問題になっております建売住宅は、まさに三割ができて、あと七割を解約することによってもうかるのだという営業システムをやっているのですが、こういう観点から考えてみると、やはり良質な業者なり良質な消費者を守る立場から、もう少し来月まで待ってくれというところくらいまで弾力のあるものの方が、売る立場から、買う立場から、これを適用するしないはともかくも、当然その間に長く延びれば延びただけ金利負担しなければならぬということになるのですから、こういう点について一つお考えはどうなんでしょうか。この二点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  31. 眞木延幸

    眞木参考人 ただいまの二つの御質問に対しまして、あとの方から先に申し上げます。十五日以上の期間を定めるということは、われわれといたしますと、この文句は、すぐというふうにわれわれは願ったわけでありまして、なぜかと申しますと、十五日あるいは御要望のように三十日ということになりますと、善良な方でも三十日は当然ではないかということになりまして、支払いの面においてわれわれも非常に困るのでありまして、でき得れば即刻ということにしていただく方を望んだのであります。しかし、消費者立場からいいますと、今言われたように、非常に酷ではないかというようなことが見えるようなことになりまして、従来からいうと、これはすぐにやっていただくという規定に、実際の面におきましては、善良な消費者の方には病気だとか、あるいは遅配になったからというのは、現在でも待っているのでございまして、三十日でも一月でもとにかく引き取ったのでは商売にならないので、要は洋服を売って、もう使った、そういう方のは、とにかく泥々になった洋服を引き取ってみたって、くそにもならないのでありまして、ほんとうからいうと、引き取るというよりも百円でも二百円でも金をもらった方がいいのでございまして、実際は引き取らないでだんだんと金をもらっているわけでございます。ですからこういった問題は現実には起きていないのですが、しかし善良な消費者に対して一月待つという期間を与えることは一月待ってもいいんじゃないか。とにかくその期間に利息を取るということは、払わないという人はなかなか利息どころではないのですから、そういう利息をつければいいということは、合理的な面、実際的な面からいって、そういうことはないのでございまして、とにかく即刻こういうふうにしてもらいたいということを申し上げたのですけれども、これは三十日というようなことを消費者の面から言いますものですから、それでは中をとって十五日というふうにきめられたのでありまして大体十五日というのは穏当だろうということになったわけでございます。本来から申しますと、やはり回収が早く円滑にいかないと、それは先ほど申しましたようにかえって消費者にはね返りが来まして、それだけ取れないと高くなるんだということになりまして、業者立場からいっても消費者立場からいっても、これは即刻の方が私はいいと思うのでありますが、いろいろな意見が出まして十五日になったわけでございます。  それからただいま申し上げましたように、当該商品の損料を具体的にもっと明示した方がいいんじゃないかという問題につきましては、これは商品が非常に多種類にわたっておりますので、これをどういうふうにはっきり書くということは、なかなか困難じゃないかと思うのでございまして、これはどういうふうに業者としてもきめるか、あと業者が寄りまして、これはこう、テレビはこう、こういう場合にはこうだというふうに具体的にきめて、それによって、慣例によってやっていただくよりしようがないんじゃないかと思うのでございます。  以上でございます。
  32. 中村幸八

    中村委員長 次は田中武夫君。
  33. 田中武夫

    田中(武)委員 私は時間の関係もありますから、参考人の方の御意見を聞きましての質問はやめまして、松尾局長にこの際一言お伺いしておきまして、それに対する答弁について参考人の方に御意見があれば伺いたい、このように考えます。  先ほど来の参考人の方の御意見の中にも出てきておりましたが、私もこの法案を見て、大企業のマスプロに対する救済にならぬか、こういう感じを持っております。また先ほど宗像さんから松下電器等の具体的な例も出されて、いわゆる系列化の強化ということも言われておりました。そこでお伺いいたしたいのですが、この法律案はいわゆる割賦取引の秩序法だと思うのです。これは言うまでもなく、結局は流通秩序法だ。そういたしますならば、昨年当委員会で審議いたしました小売商業調整特別措置法、あれもいわゆる流通秩序法だ。それからこの問題が具体的にこういうように上がってきましたきっかけは、百貨店の割賦販売が問題になってから出てきたと思うのです。こういう流通関係の方から見る、あるいは小売関係の方から見ました場合には、小売商業調整特別措置法ないし、百貨店法との関連を考えなくちゃならない。この法律を作るようなときにそれらの法律との関連をお考えになってお作りになったのかどうか。たとえば前払式割賦販売業者の登録制度が、本法の第十一条以降に規定せられております。そういたしますとメーカーでも登録を受けるならば前払式の割賦販売がやれる、こうなってくると、小売商特別措置法のときに問題になりましたメーカーの直売、あるいは卸商の直売、こういうこととの関係が出てきて、小売商との問題が出てきます。また百貨店でも登録を受けるならばやれる、こういうことになりますと、百貨店法の制定のときに問題になりました百貨店の割賦販売の問題も関連します。ことに当委員会に民社の方から百貨店法の改正案が出ております。あれはさきにわれわれが作りました法律でございますので、最初われわれが考えた通り百貨店の割賦販売の規制ということが出ていると思います。そういたしますと、これらの法律との法体系の関係、ことに先ほど参考人の方も申しておられますが、メーカーの信販問題、これの登録に対してどういうふうに考えておられるのかということ。  もう一点は、先ほど宗像さんも申されたが、これは土俵作りだ。その通りだと私も思います。いわゆる交通整理法だと思います。そうすると、整理したあとにどういうものを作るのか。作った土俵の上でどういう相撲をとらすのかということが、関係業者にとって大きな問題だと思います。そこで今このあとにどのようなものを考えておるのか、ありましたら聞かしていただきたい。以上でございます。
  34. 松尾金藏

    ○松尾(金)政府委員 この法案はただいま御指摘ございましたように、いわゆる割賦販売に対する取引秩序主眼とした法律でありますので、法律体系として純粋に形式論理で申し上げますれば、ただいま御指摘になりました小売商業の特別措置法なり、あるいは百貨店法とは直接には関係はないわけであります。これはしかしあまりに形式論的なお答えになると思いますが、実質的には今御指摘になりましたように、この法律取引秩序法としての割賦販売法を運用していく過程において、御指摘のような大中小企業との関係、あるいは百貨店との関係で、いろいろ問題が起こりはしないかということは、具体的な問題としてではなくて、そういう問題が起こるであろうということは、当然予想しなければならないと思います。従いましてその意味からは当然政策的に今のような問題の解決にやっていかなければならないと思うのでありますが、この法案審議の過程におきましては、むしろ当初に申しました法律体系としては、一応別個のものであるということを中心に議論がされて参りましたし、またこの法案の立案につきましては、そういう観点から立案されたと思います。しかし御指摘のような政策問題は、法律の運用の過程において十分考えなければならない問題であると思います。  それからそういう問題と関連して形式的に関係はないというけれども、たとえば百貨店がこの法律の十一条による登録によって、前払式の割賦販売を始め得るではないかという、さっき一つの例として御指摘があったと思いますが、確かに、この法律は先ほど申しましたように純粋に技術的な秩序法でありますから、そういうことは可能であります。しかし実際問題といたしましては、これは一つの例だけで申し上げるのはあるいは適当でないかもしれませんが、たまたまそういう例を御指摘になりましたので、その点で申し上げますると、現在の百貨店の営業形態といいますか、営業のやり方として、ここで言っておりますような前払式割賦販売をやるようになるかどうか、現状では、私どもの承知している限りではないようでありますが、将来こういう方向に進出するだろうかということを考えますと、おそらく百貨店の現在の立場では、御承知のように何とか友の会というような形で、ある程度金を前取りとして品物を渡す例もございますけれども、これは大体非常に短期間にある限られた商品でやるのでありまして、ここで言っておりますような割賦販売、特に前払式割賦販売を本来の目標として、百貨店が営業をやるということは、これは私の個人的な見解かもしれませんが、おそらく必ずしも百貨店の営業方針として大体好ましい営業方針ではなかろうと私は想像いたします。そういう実態問題がいろいろあると思いますが、要は最後に御指摘ございましたように、この法律一つ取引秩序法として、まあ一つの土俵作りだという点は御指摘の通りであります。問題は今後の運用にあると思いますが、前々から私が御説明いたしておりますように、中小企業対策一般あるいは中小企業と百貨店との関係一般の問題は、実はこの法律の外に当然考えられ、またそういう施策が講じられなければならないというふうに私どもは考えております。メーカーの直売も、もちろんこの法律によりまして、前払式云々というふうなことで、やろうと思えば実際はできると思います。しかし、これもさっき百貨店について申し上げたと同じことだと思いますが、メーカーはこのような煩瑣な方法で直営するような販売方針をとるということは、私の個人的見解かもしれませんが、おそらく営業方針としてはまずい方針である。全体の大量販売ということは当然考えるでありましょうが、個々の販売については、むしろ現在の販売機構をいかに活用するかということを考えるのが、おそらく大メーカーその他の常識的な営業方針ではないかと思います。この辺は実態の判断の問題でありますから、私からはこれ以上申し上げるわけにいきませんが、実態はそういうところにあると思います。
  35. 田中武夫

    田中(武)委員 小売商業調整特別措置法の第一条の目的には、たしか流通秩序の確保とかなんとか、そういう文句が入っておったと思いますが、あれは流通秩序に対する法律だと思うのです。そうすると法体系において当法案とは無関係ではないと思う。従ってその点については考える必要があると思う。もちろんメーカーが直接その名前で、いわゆる営業の一部としてやるということではなくて、先ほど話が出ていたように、傍系会社を作る、実際はその会社の販売部門である、こういうことによって行なわれる場合は現にもうあるし、今後もあると思う。そういう問題と、あの当時私たちがやかましく言ったメーカーの直売の問題、そういうものについて検討していかなければならぬじゃないか。  それからもう一つは、交通整理したあとどういうものを通すつもりか、こういうことについては、まだ具体的に答弁がなかったわけですが、現在具体的になければけっこうですが、考えておるならば聞かしていただきたい。  それから参考人の方に、先ほどの局長の答弁と、今から聞かれる局長の答弁で、何か意見がございましたら聞かしていただきたい、それで終わります。
  36. 松尾金藏

    ○松尾(金)政府委員 小売商業調整特別措置法の目的の第一条には、御指摘のように「小売商業の正常な秩序を阻害する要因を除去し、」という字句が法文に入っております。御指摘の点はこの点にあるだろうと思います。御承知のように法律目的のところは、それぞれの法律内容を概括的に書くのでありますが、この小売商業調整特別措置法では、特に割賦販売についてどうこうというのではなくて、小売商業全体の問題を、この法律ではうたっておるのは当然でありますが、その中で割賦販売をするものについて、割賦販売法が規定しておるという関係では関係内容的にはあるわけであります。しかしこの小売商業調整特別措置法の内容を見ていただきますと、この中にそれぞれの条項で、直接にこの割賦販売法の内容とつながっておるというものはないように私は思いますけれども目的のところを見ますと、その意味関係はある程度あるかと思います。  それからもう一つ最後の御質問の、土俵作りをしたあとで何を通すつもりかという、御質問の意味が私よく捕捉できないのでありますが、この法律自体からは、今御指摘のように割賦販売の秩序だけでありますけれども、こういう秩序がだんだん確立されていった後に、一体、全体の流通形態あるいは商業形態がどういうようになることを期待しておるのかという意味で、お答え申し上げたいと思います。実は先ほど参考人の方からも御意見がありましたような、大メーカーがいわゆる小売店を系列下におさめて云々というような点は、これは確かに問題であると思います。実は私どもの流通部会におきましても、割賦販売の問題を、今一応法案の必要な範囲で終わって答申をいただいたのでありますが、引き続き、きょう問題になりました信用供与の問題あるいは税制の問題その他の問題も、同時に論議していただいております。のみならずさらに進みまして、いわゆる流通形態そのものについて、現在いろんな形のものがだんだんと起こってきておると思いますが、本来流通形態はどういう形のものが、生産面、消費の面、あるいはその間をつなぐ販売の面からいって適当であろうか、合理的であろうかという点も、今後の流通部会で議論していただく問題としては、非常に大きな問題であるというので、すでに現在までに二回ほど、そういう意味——これは全くの初めの段階でありますが、フリー・トーキングに入っております。しかし、ただフリー・トーキングということで若干の論議が行なわれておる程度でございますので、ここで申し上げる内容にはまだとうてい至っておりませんけれども、今お話のように、割賦販売の秩序ができたその後に、一体どういう流通形態が合理的であるかというような点も、あわせて今後の私どもの検討課題にしていくという考えでおります。
  37. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも参考人の方恐縮です。私があえて小売商業調整特別措置法を持ち出したのは、あれは主として消費者小売商との関係を規定したわけです。いわゆる消費者に品物が渡る流通の過程に対する法律なんです。この割賦販売も結局一方は消費者なんです。そうすると、消費者との関係においてはやはり小売屋が主体である、こういう考え方なんです。少なくとも小売商業調整特別措置法を作るときには、そういう理念が貫かれておったと思う。もちろんわれわれの出したのと政府案とは若干違っておった。しかしながら若干の政府案を修正したという点は、そういう理念が貫かれておったと思うのです。その理念をもってこの割賦販売法を見ていきたい、こういうことなんです。なければ、それでいいです。
  38. 中村幸八

    中村委員長 参考人の方ございませんか。
  39. 背戸清次

    背戸参考人 先ほど来田中先生から松尾企業局長さんへの御質問の主たるところは、いわゆる相撲場ができたら、あとどう相撲をとらせるかということにかかっておると思うのです。これはおそらく考えておられるでしょうけれども、もちろん方針は胸中にはありましょうけれども、要は初めて生まれます割賦販売法でございますので、相当むずかしいものがあろうと思います。そこで相撲をとらせる方法といたしまして、私の意見としましては、先ほど来いろいろむずかしい問題について、それぞれの参考人から提案されたようでございますけれども、これらは、繰り返して申し上げるのでございますが、どうか通産省におかれましては、これを公聴会によって処理することなく、あくまで広く各界の代表者を網羅した審議会制度で処理していただくことがよろしいのではないか、こう考えますので、一つお願いを申し上げておきます。
  40. 中林貞男

    中林参考人 企業局長に一点だけ、これはお願いになるわけですが、私たちは割賦販売絶対反対じゃないのですけれども、ただ流通秩序というものを、田中先生のおっしゃったような消費者なり小売商人の立場から十分お考えをいただきたい。そうしないと、この割賦販売をまた伸ばすということだけでいって、消費者購買力が売らんかな主義のえさに利用されるだけである、その結果消費者生活が破壊されていくということを一番憂えているわけでございまして、その点を特段に政府としてお考をいただきたいと思います。
  41. 河野徳三

    河野参考人 一つ意見を申し上げます。私たちこういう商工委員会ばかりでなくて、そのほかに住宅審議会とか、社会保障審議会あたりに関係することが多いのですでけれども、そういう際に政府のお出しになる法案というものは、その法案の範囲内で見る限りはいかにも合理的である。だからこういう法案そのものについては反対しがたいという法案がいつも出されるわけです。そういう場合にわれわれは重大な保留条件をつけて一応これに賛成するわけです。そういう保留条件実施しろということをつけて出すのですけれども、ほとんどの場合そういう保留条件はやられない、そういうのが現在の実情じゃないかと思ます。ところがわれわれこれからもいろいろ保留条件をつけて賛成するということにならざるを得ないと思いますけれども、そういうわれわれがつけました保留条件が一向実施されないということが続きますならば、こういう一見まとまったこの範囲内では合理的であるように見える法案についても、今後われわれは反対せざるを得ないということにならざるを得ないと思います。そういうことでありますので、特に政府におきましては、そういう点今後十分お考えになって、総合的な政策を打ち出されるように願いたいと思います。
  42. 中村幸八

    中村委員長 他に御質疑はありませんか——他に御質疑はないようでありますから、この際参考人方々に対し一言ごあいさつを申し上げます。  参考人各位におかれましては、長時間にわたり、貴重な御意見をお述べいただきまして、本案審査のため資するところ大なるものがあったと信じております。委員会を代表して厚くお礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後一時二十三分散会