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1960-04-15 第34回国会 衆議院 商工委員会 第33号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月十五日(金曜日)     午前十時五十五分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 南  好雄君 理事 松平 忠久君    理事 武藤 武雄君       江崎 真澄君    鹿野 彦吉君       始関 伊平君    關谷 勝利君       田中 榮一君    田中 龍夫君       中井 一夫君    西村 直己君       野田 武夫君    濱田 正信君       細田 義安君    板川 正吾君       東海林 稔君    北條 秀一君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         通商産業政務次         官       内田 常雄君         通商産業事務官         (企画局長)  松尾 金藏君         特許庁長官   井上 尚一君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  弁理士法の一部を改正する法律案内閣提出第  九四号)(参議院送付)  割賦販売法案内閣提出第一一八号)      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  弁理士法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案につきましては、他に質疑の通告がありませんので、本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。     [「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、本案に対する質疑は終局いたしました。     —————————————
  4. 中村幸八

    中村委員長 次に割賦販売法案議題とし、審査を進めます。前会に引き続き質疑を続行いたします。武藤武雄君。
  5. 武藤武雄

    武藤委員 今回提案をされました割賦販売法案は、割賦販売そのものは最近非常に大幅に利用され、伸びておるわけでありますけれども法案としてこれを保護するという立場をとることは、全く新しいことでありますから、相当内容について慎重に審議をしていかなければならぬ、重要な法案だと思うのであります。それでこの前の政府提案理由説明によりますと、この法案取引秩序法であって、政策面については今回はこれに触れないのだ、こういう説明でありました。なるほど法案内容はその通りでございますが、ただ——西独イギリス等割賦販売法も、なるほど取引秩序法で出ておるようでありますが、日本と西ドイツやイギリス等とは、商業機構相当違いがある。相当大きな隔たりがあるとわれわれは思うのであります。わが国では大企業中小企業との格差が非常にはなはだしいのでありまして、中小商業における過当競争は、最近においては特に激しくなっておるわけであります。わが国の人口問題、雇用吸収の面から考えてみましても、中小企業育成の必要は、各方面から非常に強く要求されておりまして、またそれ以外に中小企業は生きていけないような実態にあると思うのであります。従って本法において、特にそういう政策面のことについて着目しないで、いわゆる単なる取引秩序法で問題を処理するということになりますと、ひっきょうするところはわが国商業構造実態から見て、必ず大企業優先取引秩序法になることは、これはもう結論的に明らかになってくると思うのでありますが、そういうことに対する政府配慮等は、どういうふうに考えられておるか、まず最初に御質問いたしたいのであります。
  6. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 御指摘のように割賦販売法内容は、いわゆる取引秩序公正化ということを主眼にしておりまして、このような内容法律は、大中小を問わず適用されることは当然でありますが、それに伴いまして特に日本の場合には、中小企業経済的に相対的に弱い立場にある。それに対して特別の対策を講ずべきではないかという御意見は、この法案審議以前におきまして、産業合理化審議会流通部会においても、ある程度その議論審議をいたしたのであります。たとえばその内容をいきなり法案に持ち込むというわけには、法律技術的にいろいろむずかしいと思いますけれども、この法案内容にもうたっております割賦購入あっせん、いわゆるチケット販売の問題でございますが、これも取引秩序公正化という意味から申しますと、大中小企業同じように法律制度としては適用されるのでありますけれども、実際問題としてはそのチケットをもって販売をするいわゆる加盟小売店の中に百貨店が入っております。その百貨店経済的な力と一般小売商との間には御承知のように較差がございますので、この法律をもってではございませんが、御承知のようにすでに百貨店チケット販売をやる場合には、千円以下の品物はしないようにということで、これは前に通産大臣勧告をもってそのような要請をいたしまして、今は自粛の形ですでに実施をされております。これは一例でございますが、さらに大企業、強い方の企業の側の商業活動を制限するだけではなくして、逆に中小援助を何らか強化すべきであるという点も、今後検討しなければならない問題であると思いますが、たとえて申しますと、中小商業者に対して割賦販売に伴う運転資金の補給を、今後特に考えなければいかぬであろう、あるいは中小割賦販売業者は相手方のお客さんのいわゆる信用調査相当骨が折れると思います。従いましてそういう信用調査機構を、これはいきなり法律をもってどうという制度ではございませんが、やはり今後考えていくべきではないかというような問題もございます。こういう点も現在、先ほど申しました産業合理化審議会流通部会におきまして、引き続き今論議を進めておりますが、この法案施行に並行いたしまして、そのような政策的な配慮を実際上はらっていかなければならないと思っております。
  7. 武藤武雄

    武藤委員 ただいまお答えがあった中に、その法案を立法するに当たって、産業合理化審議会流通部会では、一応取引秩序法の構想を踏襲してきたのですけれども、しかし通産省は引き続きまして法案実施上のいろいろな、たとえば税制の優遇の問題、消費者信用の確立、割賦販売保険の拡充、それから信用調査機関整備、そういった政策を通じ、さらに流通部会諮問するということを言っておるようでありますが、ただいまのお答えで、大体内容はわかってきたわけでありますけれども諮問をどういう種類にわたって行なっておるか、それから流通部会答申が出てくるまでは、法案施行についての必要な施策は一切政府としては見送るつもりなのかどうか、この二点についてもう少し詳しくお答え願いたい。
  8. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 御承知のように、割賦販売制度は、戦後急速に伸びて参った制度でございますし、またその形その他も自然発生的にできて参っておりますので、それに共通な問題を今御指摘がございましたような金融面税制面信用調査あるいは保険というようなことで扱いますのには、相当技術的に困難な問題があるようであります。従いまして流通部会におきましては、特にこういう形でというような特別の諮問事項は発しておりませんけれども、こういう問題全般について、特に専門家の人を加えまして自由討議を、現在してもらっている段階でございます。従いまして、あるまとまった答申が出るまで、何もしないというわけではございませんで、この流通部会討議されて、その問題について結論が出ますれば、実施可能なものから逐次手を打って参りたいというのが私どもの方の考えでございます。現在でも、税の問題あるいは保険の問題は、ある程度まではすでに制度ができておるのでございますが、その不十分な点を、この流通部会討議結論を得ますれば、実施可能なものから、できるだけ申く手を打って参りたいというのが、私ども考え方でございます。
  9. 武藤武雄

    武藤委員 これこれとこういう問題について答申案を作ってくれというのではなくて、今のところは割賦販売法施行に伴ういろいろの懸案について、一つ自由討議をして論議をしてもらいたい、こういう格好ですか、明確な答申を求めているというのは……。
  10. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 流通部会におきましては、ただ自由討議と申しましても、ある程度討議のテーマがなければならぬわけでありますから、今御指摘のように金融措置をどうするか、税法の問題をどうするか、信用調査機構をどうするか、信用保険制度整備をどうするかというような問題を、ある程度どもの手元で問題点指摘して論議してもらっております。現在たとえば信用保険につきましては、月賦販売対象品の盗難その他による保険事故についてはすでに制度があるが、その程度では現在割賦販売について相当危険が伴います。いわゆる信用に伴う危険負担が、実は現在の保険制度では整備しておりませんので、そういう点についてもこの流通部会討議をしていただいた上で、どういう保険制度で、どういう保険制度の上に乗るかというような点までも検討していただいた上で、実施に移して参りたいというのが私どもの申し上げる意味であります。
  11. 武藤武雄

    武藤委員 最近割賦販売が非常に伸びて参りまして、この間御説明もありましたように、国民消費支出の八%にも相当すると言われているわけですけれども、しかもその販売額は年に一〇%から一五%の伸びを示している。統計的にそうなっているわけであります。これは民間の消費支出伸びが八%をはるかに越えて相当の躍進をしている実態だと思うのですが、大企業の方はこのような早い販売額伸びに応ずる資金手当をすることも、大企業内容からいって当然できるわけですけれども中小商工業者には、今やっているような中小企業に対する金融処置等では、なかなかこの伸び相当する資金対策は困難だと思うのです。それでこの法律実施をされれば、金融面から大企業中小企業者との間に相当較差が、今もできているわけですけれども、なお大きくなるのではなかろうかと思うのです。こういうことに対して今いろいろ金融なんかの面で検討してもらっているということでありますけれども、直ちにこれに対応する対策がないと、商売はどんどん進んでいくわけで、競争は激しいから相当較差ができてくる。この間の参考人意見陳情者意見等を聞いても、百貨店等出張販売を最近相当強力にやり始めたというようなことを考えると、消費者の方も法律相当保護を受けますけれども販売業者の方も保護を受ける、こういう中で競争が無制限に行なわれることになると、資金面でたちまち勝負がついてしまうのではないかと思うのです。それを考えないと、こういう法律を作って保護しようと思ったとたんに、逆にそのことが大資本だけ最高度活動ができて、中小企業が埋没してしまうということになるのではなかろうかと思うのですが、その点に対する対策はどうですか。
  12. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 この割賦販売という面で、商業者の中の大中小が単に競争関係に立つ最も顕著な場合は、先ほど申しましたチケット販売におきまして、同じチケットを持ってお客さんが、大きな店にも行ける、小さな店にも行ける、そこに同じ状況で、大中小、つまり百貨店小売店競争関係に立つという非常に顕著な例がございます。この例は先ほど申しましたような形で、一応現在は処理をしておるわけでございますが、それ以外の場合におきまして、現在いわゆる割賦販売をやっておる際に、大中小企業が同じ面で競争しているという場合は、どういう場合であろうかという点は、私どもまだ十分検討いたしておりませんが、たとえて申しますと、現在割賦販売で非常に大きな比率を占めております自動車割賦販売、その自動車割賦販売店というのは大体粒がそろっておって、あまり大きな格差はないのではないかと思います。それから普通のいわゆる月賦百貨店と称しているものを御承知と思いますが、これももちろん若干の格差はございますが、あまり大企業というようなものではなくして、ある程度資金、資力を持っておる中企業くらいで並列的にやっておるというようなものが大部分であろうと思います。そういうように、割賦販売をやっておる店の数は非常に多いのでありますけれども、数から申しますと十何万ということが出ておりますが、そのうちでほんとう割賦販売専門的にやっておるというのは二、三万という程度でありまして、あとの十二、三万というのは、割賦販売お客さんの希望に応じてやっておるという程度のものであります。従いまして、これらはいずれも、大企業割賦販売専門にやって、中小企業を圧倒してやっておるというような例はあまりないように見受けます。それからもう一つの形で、いわゆるメーカー系列下に入って販売して、組織の中に入ってやっておるものがございます。これも電気器具その他を代理店あるいは加盟店というような形でやっているものもございますが、これも大体大きいものと小さいものが並列的に競争するのではなくて、もし問題があるとすれば、メーカーという大きな資本力からある程度資金援助を受けながら、小さなものが並列的に競争販売をやっておるという程度で、横にはあまり並んでいないようであります。そのほか、たとえばミシン販売等におきましては、ミシン販売会社でかなり大きなものがございます。それに比べて、これはきわめて限られた会社でありますが、それ以外に町のいわゆるミシン業者が、申し出があれば片手間に月賦をやっているというものがございます。こういうふうに全体的に見ますと、今御指摘のような大中小企業が同じペースで割賦販売の面で競争関係にあって、非常に問題があるというのは、先ほど当初申しましたチケット販売の場合一番問題があるというふうに、最近までの私どもの判断としては、一応そういうことでございます。しかしこれはまだわれわれの勉強が足りないのかもしれませんので、今後さらに検討して、今のような問題の解決には進んでいかなければならぬと思っております。
  13. 武藤武雄

    武藤委員 まあ何といいましても、割賦販売事業を、消費者の方も業者の方も双方がある程度うまくいくように保証する、そういった援護法みたいな割賦販売法ができるわけですから、それでなくても相当割賦販売に移行しつつある消費実態が、これによって相当刺激をされることは間違いないと思います。そうすると、その刺激を受けて買う方も相当意識が高くなってくるということになると、これはやはり商売発展するということが出てくると思うのです。そうすると、大資本力を持っておるものが、従来のように指をくわえて見ておるとは私は考えないのです。ですから、必ず激しい競争の中にあらゆる手段を尽して入ってくるのではなかろうかと思うのです。そういうことを考えると、従来はあまり大企業がこれに重きを置いていないから、心配ないということではないのではなかろうかと思います。たとえば戦前なんか、戦後も——戦後はあまりないようでありますけれども東京等相当大きな資本が地方に行って、主として家具なんかやっているようですけれども出張割賦販売事業を、一年のうち二十日なら二十日行ってやって、あとは集金だけをする。それが相当量の売り上げをやる。そうすると、そういうものに一カ月くらい来られると、その付近のものはしばらくの間、ほとんど消費者が寄りつかなくなるというような実態があるのです。それで今度はちゃんと登録をすることになるわけですけれども、しかしそういうことができないわけではないのですから、そういうことが行なわれると思わなければならぬわけです。だから、従来があまり関心を持っていないからということだけでは片づかないのじゃないかと思います。その点はどうです。
  14. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 今のお話はその通りでございます。先ほど私が申しましたのは、自然発生的に行なわれている月賦販売割賦販売の現状で一応の御説明をしたと思いますが、今後の問題としてもちろんそういう問題をはらんでいると思います。ただこの法案自体は、当初に御指摘がございましたように、取引秩序公正化という点をねらいにしているわけでありますが、この法案の運用にあたりまして、大中小企業間の調整は、中小企業対策一般の問題として当然考えなければならぬ問題であると考えております。
  15. 武藤武雄

    武藤委員 これは十分注意していかなければならぬ。われわれもこの法案審議にあたってはいろいろ注文をつけなければならぬと思いますが、本法案施行日は、公布の日から半年以内ということでありますから、本年度のうちに施行する予定になっているわけですけれども、本法案実施される場合に、予算または中小企業関係財政投融資等政府中小企業者に対しどのような処置をとっているのか。これは本年度から実施されるわけですから、従って今言ったような心配相当出てくるわけですから、これに対して特に政府として、中小企業なんかに対してどういう予算上の処理財政投融資その他等の処置をとっているのか、お聞かせ願いたい。これは大臣からでも。
  16. 池田勇人

    池田国務大臣 割賦販売法案の制定につきまして予算上特にとってはおりません。
  17. 武藤武雄

    武藤委員 しかしこれは、中小企業の方も、促進をされてくれば金融面相当手当が要求されてくると思うのです。しかしそれは全然考えないということでは、政府施策としてはやはり当を得てないのじゃないかと思いますが、大臣どうですか。
  18. 池田勇人

    池田国務大臣 この問題について予算上どうこうという必要はないと思います。一般中小企業者に対しての金融その他の措置はとっておるのであります。前から武藤さんの御意見を聞いておりますと、まことにごもっともな御意見でございます。しかしこの割賦販売法案というものは、生産消費との増大をはかって、消費者に便宜を与えると同時に、販売業者もそれによって利益を得ようということを主眼にいたしております。この法律施行することによって、大企業中小企業との問題がどうなるかということは、割賦販売法施行のみならず、他の経済の伸展によって考えなければならぬ。私は、この割賦販売業が、特定のデパートあるいは特定の大企業者が今お話のように農村その他に行って非常に発展してやる、そして農村その他いなかの中小企業者にどういう影響を与えるかということを見まして、それから後に、これはまた対策考えなければならぬ。今は生産消費拡大をはかるということが消費者のため、次には生産者のためというので、この法案を御審議願って、施行して、そしてそれに基づくいろいろな問題は、また別途に検討していくのが筋だと考えておる次第でございます。
  19. 武藤武雄

    武藤委員 生産消費拡大をはかる、これは経済発展になるわけですから、その通りでありますけれども、しかしこれは必要以上にはどうしてもならないわけですね。ですから今まで現金で買っておる品物を、やはりこういう保護制度ができることによって割賦販売をやる、また今までやっていない業者も、こういう保証があるならばやってもいいということになる。そういう意味割賦販売の実績というのは相当上がってくると思うのです。ですから、そういうことを考えると、これは必ず今言ったような過当競争が激しくなってくると思うのです。そこで大臣は、いろいろそういった本案実施後の弊害実態をよく見て、それに対するいろいろな方策も考えたい、特に中小企業と大企業との関係は単なる割賦販売の問題でなくて、産業構造の全体にかかわる政策面での問題であるから、全体からも見なければならぬという御意見だろうと思うのです。単に割賦販売のために規制するといったって、それは限られた問題であって、全体から見なければならぬ、これは政治をあずかる者として当然の御所見だと私は思うのですけれども、ただ問題は、こういうふうに現実に実施されて、それが促進されるわけです。そうすると必ず過当競争が起きてくる。そういう場合に、やはりある程度予防対策というものも、こういった中に含まれてこないと、ほんとう政治にはなっていかないのじゃなかろうかと思うのです。それではどういう予防対策がいいかということになると、なかなかおっしゃる通り産業構造の分野に関する問題まで、この問題と同時に解決するのは困難でありましょう。しかし最小限度にその弊害を阻止するためには、やっぱり最小限度中小企業に対する保護策というものはあってしかるべきだと思う。それは金融の面でしかり、あるいは販売を行なう手段の面でしかり、いろいろあってしかるべきだと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  20. 池田勇人

    池田国務大臣 その点は全体の問題として従来も考えております。今後も強力に考えていかなければならぬと思います。
  21. 武藤武雄

    武藤委員 大臣のお考えはわかるのでありますけれども、具体的にこの割賦販売法が出たのですから、これに対して最小限度保護措置が必要だ、こう思っておるのです。それが流通関係だけだということで、政策面も、追って今お答えのように、流通部会等議論、あるいは政府考え方等の中で、政策面についても今後全面的に考えていくということでありますが、しかしそれだけではまだ納得できませんから、あとで機会を改めて……。  それから商工中金、中小企業金融公庫等政府機関に対する業務指導の方針として、本案実施に伴って何らか中小企業金融対策指示する用意がありますか。今申し上げたような趣旨に従って、この法案施行されるに従って、割賦販売を今後ふやしていこうというような意味の、中小企業者処置に対して、公的の金融機関を通じて、何か法案実施に伴ってそういうものが保護助長されるような、そういった金融機関に対する特別の指示を与える御意思はあるのですか。
  22. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまのところ、割賦販売業がどれだけの進展を示すか、まだ十分見通しがつきません。制度としてこういうものを設けて、今後これを助長していこうといたしておるのであります。その状況を見まして、政府関係機関についての指示も、あるいはするかもわかりません。また指示だけではいきませんで、別の施策も講じなくてはならぬかもわかりませんが、いずれにしても、今はどういう指示をするという考えは持っておりません。
  23. 武藤武雄

    武藤委員 ずっと御質問したいのでありますけれども委員長にさき申し上げましたように、十一時半までによそへ行かなければなりませんから、きょうは一応これで私の質問を中断いたしますけれどもあとでまた質問を続行いたします。
  24. 中村幸八

    中村委員長 次は松平忠久君。
  25. 松平忠久

    松平委員 この際、大臣がお見えでありますから、一応御意見を伺っておきたいと思います。それは、この割賦に関する新しい規定ができて、いわゆる消費拡大生産拡大をはかる、こういうことでありますが、大体今までの日本経済発展等から見て参りますと、銀行業務自体がやはり消費金融というものを、ある程度やっていかなければならぬ段階ではなかろうかと思う。消費金融というものを行なわないために、勢い割賦ということになってきて、そういう方面からも金融をつけてやるということで、こういう制度が自然発生的に出てきて、それに秩序を加えていく、こういうことであろうと思う。今日の段階においては、銀行の貸し出しということがほとんど消費をチェックしておる、こういうことのために結局高いものを消費者が買うようになるのじゃなかろうか。つまり割賦のいろいろの手数料というものと、銀行利息というものを比べてみると、今日の段階においては非常に違う。自動車一つを例にとっても、利息にすれば大体三銭八厘くらいにつくわけです。ところが、消費金融を幾分認めるということになりますと、消費者としては、利息面でかなり出費を少なくする、すなわちそれだけ安いものを買うことができるわけであります。私はそろそろ金融の面で消費金融というものを考え段階ではなかろうかと思うのですが、一体大臣はどういうようにお考えになっているか。ずっと大蔵大臣をやっておられたのですから、その方面のことは専門家だろうと思うのですが、御所見一つ伺いたい。
  26. 池田勇人

    池田国務大臣 銀行信用を主体にし、そして資金の回収ということを考える場合に、一般消費のための金融ということは、原則としてはあまりないと考えておるのであります。消費はやはり所得のうちから来べきもので、生産は必ずしも所得のうちから出すだけでは十分でございません。従って、結果的に消費金融ということは建前としてはあまり行なわれていないと思います。
  27. 松平忠久

    松平委員 しかし、そういう建前はわかりますけれども、結局は名前を変えてやはり消費金融というものは現在行なわれておるわけなんです。そこで、もっと所得の少ない階層の者がそういう恩典にあずかるような、そういう考えはないものか。割賦販売のこのやり方は結局高いものにつく。そうではなくて、若干の俸給なり何なりという経営の収入がある者が、銀行金融にたよって、そうして消費生活を拡大していく、こういうことの方が安い消費をすることができるということになるわけなんです。だから日本銀行業務もある程度消費金融というものはやはり認めてもいいのじゃないか、こういうふうに思うのですが、これに対しても大臣はやっぱり従来通りのお考えですか。
  28. 池田勇人

    池田国務大臣 消費金融という看板をかけることはなかなかむずかしいのでございますが、その実体が消費に向かう金融も全然やっていないことはございません。これは昔から、たとえば嫁入りのときの借金とかいろいろなものがあるわけです。私は、建前として消費金融銀行がやるということは、これはどこの国でもやっていないと思います。ただ具体的の問題としては、やっておる場合は相当あると思います。
  29. 松平忠久

    松平委員 今のたとえば観光事業とかなんとかいうことで、やはり積立金融というのをやっております。ですから、私はやり方によっては、そういうことも他の消費についてもやっていっていいのじゃないか。それを私が消費金融といっているわけなんですが、そういうことを地方の銀行あたりに、も少し奨励さしてやっていくということになりますと、安い消費生活ができる、こう思うのです。だから、これは割賦とは間接の関係でありますけれども、そういうことについて、何らかもう考えてもいい段階ではないか、こういうふうに思っておるので、しつこくお聞きしているわけなんです。いかがですか。
  30. 池田勇人

    池田国務大臣 前お答えした通りでございます。
  31. 松平忠久

    松平委員 そこでお伺いしたいのは、そうすると、この割賦販売ということになりますと、これは大体どの程度の手数料というか、そういうものの基準というものは、どの程度考えておりますか。日歩に直して幾らぐらいのものを大体基準として、割賦業者というものの営業を認めさせるというふうになりますか。それはどうですか。
  32. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 私ども実態調査によりましても、いわゆる消費者金融という形に引き直しての金利負担、これは非常に差があるようであります。つまるところ、たとえば自動車月賦にいたしますと、その自動車月賦購入者の相手方の信用いかんによりまして、今現状でも、たとえば相手方が非常に上得意であって、支払いが非常に確実だという場合には、計算上は二銭三厘、大体八分ちょっとくらいのものをかけているものもあります。しかし相手方がそうでない場合には、御指摘のように、三銭、四銭というものもあるようであります。これは現在の制度で、相手方の資力、信用ということでやむを得ない状況になっておるのではないかと思っております。  しかし、先ほど申しました意味で、いわゆるチケット販売の場合には、これは非常に利用者が広範囲、いわば大衆層に広く分布しておると思いますが、その場合には職場を単位に、月賦代金を職場から取り立てるという一つ信用の足場がありますので、この場合には、そういう意味のコストといいますか、負担は非常に軽くなっておる。また同時に、加盟店の方からも、ある程度手数料をとっておるようでありますから、購入者の方の月賦購入による負担は非常に軽くなっておる。もちろんこれは信販会社によってそれぞれ差がございますが、そういう状態であると思います。
  33. 松平忠久

    松平委員 それは過去におけるそういう実績があると思うのですが、新しくこういう法律が出て参りますと、あらゆる分野で、いろいろ割賦ということになる可能性があると思う。そこで、たとえば自動車にいたしましても、今までの所得層よりも、もっと低いところへくる傾向があると思います。三菱五〇〇というものが出てくれば、三、四十万円台くらいのところで出てくる。こういうことになりますと、所得層というものが全部新しくなるわけです。そうなると、対人信用の場合も、なかなか困難であるから、やはり一つの基準というものを設けると思うのです。そういう基準というものに対して、これはただ業者まかせということになるのか、あるいは政府はある程度金融措置というものも考えて、それを大体銀行利子の程度に下げていく、こういうようなお考えであるのか、その辺はどうですか。
  34. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 この点は、今御指摘のございましたように、かりに自動車の例をとりましても、安い現金販売月賦販売の開きができるだけ少なくなるように、従って、できるだけ広く自動車の購入ができるようにということは、これは政策上当然望ましいことでございますが、ただ実際問題といたしまして、自動車割賦販売会社の借り入れ金利は、一応いわゆる銀行金利並みで資金が調達されておると思いますけれども、問題は、販売会社の方の資金コストの問題ではなくして、購入者側の資力、信用といいますか、いわゆる貸し倒れ危険負担に、すでに問題があるわけでありますから、もしその問題を解決しようといたしますれば、いわゆる貸し倒れについてまでも保険制度ができて、しかもその保険の料率が相当安くできて、そういう形で販売業者の方の危険負担保険という制度でカバーされまするならば、その問題は漸次解決していく問題であろうと思います。ただ現状におきましては、御承知のように、割賦に伴う保険は、割賦商品が盗難あるいは火災等、そういう事故による場合だけの保険しかございませんので、現状ではそういうことの制度が十分確立していない、将来の問題としてそういうところまで検討を要する問題であろうというふうに考えます。
  35. 松平忠久

    松平委員 そうすると、政府は、割賦販売はずっと自然にできていくと思うのですが、そういう場合の金利といいますか、そういうようなものの一種の基準というか目安というか、そういうことは政府自体としてはお考えにならずに、それはそのときの需給関係あるいは信用関係その他によってそれぞれがきめていく、こういうことでいいのですか、そういうお考えですか。
  36. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 この法案考えております基本は、そこまでのことは現状では考えておりません。取引条件、たとえば頭金の率がどうであるか、あるいは割賦の取引機関がどうであるかというような、共通的な取引条件については、あまり極端な行き過ぎがないようにという配慮はいたしておりますが、割賦販売価格そのものについては、現状では非常にむずかしい問題でもありまするし、また法律をもってそこまで立ち入ることが現状で可能かどうか、また適当であるかどうかというような点もございまして、現状ではそこまで考えていないというわけであります。
  37. 松平忠久

    松平委員 いや、私も法律できめるとかなんとかいうことでなくて、やはり一つの目安というものを、消費生活のためにも考えていかなければならぬじゃないか、こういう気がしているから申し上げたのですが、その点は追及いたしません。  その次に伺いたいのは、割賦販売の対象になる種類でありますが、これは逐次指定していく、こういうようになっておるわけであります。そこで、今まで弊害があったものの中に、動産、不動産の割賦というものがありまして、これが非常にトラブルを起こしておったのです。そこで、動産、不動産の割賦というようなことも、この対象にはお考えになっておるのかどうか。これは商品ではないと思うのですが、そこはどうですか。
  38. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 この法案内容といたしましては、不動産につきましては対象としては考えておりません。
  39. 松平忠久

    松平委員 不動産は対象外でありますから、議論の対象にはならぬと思うのですが、やはり今日はかなり弊害がございます。その契約書——印刷したものがありますが、その契約書のうしろのところにいろいろなことが刷ってありまして、そして所有権の移転についてのことも書いてあり、それからなお、未払いがあった場合にはどうだというようなことが書いてありますが、現在ほとんどそういうものを見ないで契約をしております。そして若干でも残っておる場合にはこれを取り上げるとか、そういうような悪い不動産業者が多いわけでありますが、これには非常に困っておる。ところがこれにはそういうものは含まれておらぬので、そういう場合には現行法では、どうも土地を買う方の側の者に、きわめて不利にできているのですが、こういうことについての取り締まりはどこでやっておるのですか。
  40. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 先ほど申しましたように、不動産につきましては、取引方法その他もなかり特殊な形態をとっておりますのでこの法案の対象にいたしておりませんが、現状では不動産の割賦そのものについて、特別立法はないようでございます。もちろん警察、刑事事件のようなものは別でございます。従いまして私ども聞いております限りでは、建設省におきまして、土地その他について検討はされておるという程度のことは聞いておりますが、それ以上に具体的なことは、実は私ども現状では承知いたしておりません。
  41. 松平忠久

    松平委員 それから今行なわれておるものの中に、コーヒー一ぱい飲むのに割賦でやっておるというような状態もあります。こういうのは指定商品として将来一体認めていく方針ですか。
  42. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 現在、御指摘のようなコーヒー一ぱいというような例は、御承知チケット販売、いわゆるチケットでやっておる例であると思います。これは総合割賦販売と、俗に分類的には言っておるものでありまして、チケットを持って加盟店に行けば何でも買えるというもので、コーヒー一ぱいかりに五十円でありますと、五十円単位のものでも買えるというような制度になっておるのだと思いますが、現状ではそういう形のものが行なわれておりますのは、比較的中都市以下の場所で、チケットについて行なわれておる。またそのチケットの発行機関も、大部分の場合が中小企業者を中心とした協同組合あるいは商店街等で発行されておるチケットによって、そういうことが行なわれておるというふうに承知いたしておりますが、本来割賦販売の本質的な論議から申しますと、そういうものが必ずしも適当であるかどうか、相当問題があると思います。従いましてこの法律におきましては、総合割賦販売、いわゆるチケット販売という意味で、割賦購入あっせんという呼び方で定義をいたしておりますが、その場合には、そのチケット販売でどういう商品を販売するかということは、特に限定を設けないことになりますから、その形では将来も特別の制限を受けないと思います。しかしここでいっております本来の割賦販売におきましては、御指摘のように商品を政令指定をいたしますから、飲んですぐその場で消費されてしまうようなものを、あとで個品割賦販売といわれる本来の割賦販売の対象にすることは適当でないということで、本来の割賦販売の線には指定をしないということになると思います。
  43. 松平忠久

    松平委員 一番の問題は、トラブルの処理の問題だろうと思うのです。これは最終的には裁判所ということになるのかもしれませんけれども、それではなかなか大へんだというわけで、やはり事前のトラブルの処理ということを考える必要があるのではないか。たとえば調停機関というか、そういうものを将来は考えておかなければならぬようにトラブルが多くなってくる可能性も出てくると思うのです。そういうことについてのトラブルの処理、これはどういうふうに考えておられるのですか。
  44. 松尾金藏

    松尾(金)政府委員 この法案内容といたしましては、現在トラブルの事前防止ということ、特に取引条件、あるいは契約内容等についての事前防止ということを主眼点といたしております。将来の問題としてそういうトラブルが、このような法案内容による規制によってもなお非常に起こる、しかも一々それを法廷で争うということは、とうてい煩にたえないほど起こるということになりますと、本来そういうことになること自体が、この法の運用の目的を達しないということにもなるのでありますが、かりにそういうことになりますれば、その際にまた別途対策を講じなければならないであろうと思います。
  45. 松平忠久

    松平委員 終わります。     —————————————
  46. 中村幸八

    中村委員長 この際お諮りいたします。本案審査のため来たる二十日水曜日午前十時より、参考人の出席を願い、意見を聴取することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  47. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお人選、手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午前十一時四十六分散会