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1960-04-01 第34回国会 衆議院 商工委員会 第25号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月一日(金曜日)     午前十時四十一分開議  出席委員    委員長 中村幸八君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 長谷川四郎君 理事 南  好雄君    理事 田中 武夫君 理事 松平 忠久君    理事 武藤 武雄君       岡本  茂君    始関 伊平君       關谷 勝利君    田中 龍夫君       野田 武夫君    渡邊 本治君       板川 正吾君    小林 正美君       櫻井 奎夫君    東海林 稔君       和田 博雄君    加藤 鐐造君       北條 秀一君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君         国 務 大 臣 菅野和太郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁調         整局長)    大堀  弘君         外務事務官         (経済局長)  牛場 信彦君         外務事務官         (経済局経済協 關 守三郎君         力部長)         通商産業政務次 内田 常雄君         官         通商産業事務官         (石炭局長)  樋詰 誠明君         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         大蔵事務官         (為替局総務課         長)      片桐 良雄君         大蔵事務官         (為替局投資課         長)      奥村 輝之君         通商産業事務官         (通商局振興部         経済協力第一課         長)      後藤 正記君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 四月一日  委員八木昇辞任につき、その補欠として上林  與市郎君が議長指名委員に選任された。 同 日  委員上林與市郎辞任につき、その補欠として  八木昇君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  中小企業業種別振興臨時措置法案内閣提出第  九一号)  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法  律案内閣提出第八五号)  海外経済協力基金法案内閣提出第八八号)      ――――◇―――――
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  内閣提出石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案勝間田清一君外二十二名提出石炭鉱業安定法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。武藤武雄君。
  3. 武藤武雄

    武藤委員 この間参考人を呼んだときにも、この問題に触れたのですけれども、重ねて冒頭に大臣に質問と意見を申し述べます。  今三井合理化の問題が大へん深刻な社会問題になっているようですけれども、これと関連して、結局われわれは前に石炭産業会議を提唱して、一つ総合的にエネルギー革命に対処してくれないか、単に合理化首切りっぱなしというような格好ではなしに、そういう合理化される労働者受け入れ態勢等、あらゆる角度から審議のできるような審議会を設置してくれぬか、こういうことを政府に要望し、通産大臣にも要請しておったのですけれども、慎重に検討して通常国会で協議したい、こういうことであったのです。その後、一部合理化審議会内容を強化した程度で表面を糊塗されておるようですけれども、やはり問題は、今後も今の計画で参りますと、大手十八社だけで三十八年度までに六万名をこす合理化首切りが予定されているし、全体では十一万を突破するという計画であります。そういたしますと、合理化計画は強力に遂行する、そのためには多少のあれもするけれども、しかし出た失業者に対しては援護協会その他で失業救済はやる、そういう考え方だけで合理化を進める、首切りの問題については労使が勝手にやれ、そして労使が勝手にやった結果について出てきた首切りについては援護協会を通じて救済してやろう、こういう方針では、こういう大きな合理化対策としては実際問題としてできないのではないか。場合によっては次々と今回みたいな非常に険悪な合理化闘争というものが起きてくるのではないかと思うのですが、この際政府は、今回の三井事件等の経過にかんがみて、やはり合理化に対する労務対策というものも十分一緒考えていく。そのためには、たとえば全体で十一万名減る労務者について、一体どういう産業でどのように吸収していくか、単にこれを失業者という格好で救済しないで、どういう産業でどういうふうに吸収したらいいかということを一つ国策的に考えていく。そういう意味で、そういう全体の問題が討議できるようなエネルギー革命に対する  一つ審議機関というものが絶対に必要だと思うのです。大臣のお考えは、この前一応今の段階では当面間に合わないから、合理化審議会内容を強化し、抜本的な問題はあと考えるというお言葉でありましたが、その後どういうお考えになっておるか、お伺いします。
  4. 池田勇人

    池田国務大臣 石炭鉱業自体合理化するということは、今お話しのようにやめていく人のことも考えなければならぬし、また残る人のことも考えなければならぬ、両方考えてやっていっておるのであります。合理化対策というのは、やはり主として残る人のためになるようにということが第一でございます。その残る人のためというのではやはり石炭鉱業自体斜陽産業ということでなしに、発展産業に持っていくようないろいろな生産、消費、利用についての検討をしなければならぬ。そういう面につきましての予算的の措置は、今度もできるだけとったはずでございます。また、お話しのやめていく人のためにどういう措置をとるかということは、今の労働問題として御承知のような措置をとっているのでございますが、これは最近もある会社でやっているように、自分の関係炭鉱業者離職者について土建会社をこしらえてやる、こういうふうに考え方民間にもあるようでございます。われわれとしてはそういうことでいくのが非常にいいんじゃないか、政府がやめた人をどの仕事につけるということよりも、政府はやめた人の考えによってどっちへ向いていくかということの育成をするのが精一ぱいではないかと思います。こういう事業に行けということを政府はなかなか言えない。ただ、民間の方で関係会社がそういう計画をなさるについてはできるだけの援助をする、こういうことであろうと思います。
  5. 武藤武雄

    武藤委員 大臣の答弁を聞いておりますと、残った者を重点的に考える、やめていく者は、どういう産業に行きたいかという本人の希望によってそれから考えるということですけれども、私はその前に――首切り労使が勝手にやれ、首切ってしまったあとのことはいろいろ仕事考えよう、こういう考え方では、やはり今のような労使激突はなかなか避けられない問題だろうと思うのです。そうでなくて、まず十一万なら十一万の人員を整理するためには、ことし二万五千なら二万五千という場合に、その二万五千の労務者を一体どういう産業に吸収することができるかということを検討して、二万五千人出る労務者についてはこれこれのはけ口を政府ではいろいろ行政面やその他で考えていく、民間にも協力させる、現実にこれだけの人間を新たに吸収できる産業部門をわれわれは考えているのだから、従ってお前たちの方でもこういう中で合理化について一つ話し合いをしてくれぬか、こういうことになれば、おそらく労使関係においても、はっきり新たに転換できる、お世話が願えるということであれば――それを押してむちゃにそれもいやだ、その転換もいやだ、ストライキはやむを得ない、そんなむちゃなストライキは世論の支持も何も受けないと思います。そこで、できれば残った者だけを考えるということでなくして、やはり同時にこれから一体どこへ転換をしたらいいだろうかということを並行的に考えていくということでないと、こういった大きなエネルギー転換というものは不可能なのじゃなかろうかと思います。その点どうです。
  6. 池田勇人

    池田国務大臣 それは自然発生的にと申しますか、民間の方でもそういうことを考えていることはただいま申し上げた通りでございます。また、最近経済界におきましても、自主的に石炭鉱業離職者雇用対策中央協議会、どういうふうにしていこうかということを考える、そういう対策中央協議会というものができました。政府といたしましてもこういうものを勧奨しまして、できれば集団的、できない場合にも個別的に何とか方法考えていかなければならぬという気持は持っております。とりあえずの問題としては、臨時国会でありました職業紹介とか、いろいろな手で再教育をしていくということ、両々相待ってやっていきたいと考えております。
  7. 武藤武雄

    武藤委員 大体ピントが合っているようでまだ少し合わないのですけれども、結局私はこういった非常に重大な段階転換をする場合に、そのことがやはり労使激突という形では石炭産業自体として不幸だと思う。たとえば今度の炭労の争議のように、なかなか両方が折り合わない、組合の方も追い込まれてきた、これじゃいかぬ、だいぶ貯炭も減ってきたようだから、ここで一つ全国的な圧力をかけて経営者を屈服させるということで、全国ストライキを断行するということになると、どう考えたって、幾ら石炭が減ったからといって、今の状態炭価を上げることは困難でしょう。そういう戦術をとるということになると、結局消費者の方ではこれはもうしようがないから、重油転換するより方法がない、結果的にはこういうことになるんじゃないかと思います。そうすると、結局合理化反対ストライキをやっておったけれども、やはり消費というものは結果的にはなくなってしまう、狭めてしまうという結果になる方が強いと思う。これでは将来のエネルギー転換も不可避になるんじゃないかと思う。だから、そういう激突を避けようとすれば、やはり残ったものの対策と同時に、その減らさねばならぬ労務者配置転換ということをやはり並行的に考えるということでないと、労使話し合いをしてできた首切りの人数を考えていこう、結果を考えていこうというのでなくて、その前に一体配置転換をする場合の方法なり、あるいはその目安となるべき産業なりを対象にして結論を出していこうということが並行的に行なわれないと、やはり労使激突というものを避けることは困難じゃないかと思うんです。そういう意味のことを聞いておるんです。
  8. 池田勇人

    池田国務大臣 仰せの通りでございまして、先ほど申し上げましたように、そういう受け入れ態勢関係会社、あるいはまた関係がなくても財界全般として雇用対策審議会が先般、二、三日前でしたか、できまして、着々その方向に進んでいっておるのであります。政府がこうせよ、ああせよということよりも、民間関係者が盛り上がる気持でやっていった方がいいだろう、政府はもちろんそういうものにつきましては、できるだけの指導、援助をいたしたいと考えております。
  9. 武藤武雄

    武藤委員 大体わかりました。それは並行してぜひやはり考えなければならぬと思います。そういう意味で、やはり私は今の合理化審議会だけの問題でない、もっと総合的な協力体制というものがやはり必要だ、こう思うのですが、これは一つ再考を願いたいと思います。  それから実際に三年間合理化を断行するということでありまして、この間合理化審議会の会長の野村さんの意見も聞いたのですけれども、あの答申案の中にもあるように、結局三年間合理化を完成する、従って、三年後には重油ボイラー規制は絶対にやらない、これはもう廃止すべきであるという、石炭側合理化審議会としては異例ともいうべき非常に強い決意をもってあの答申がなされております。ですから、三年間にとにかく石炭合理化をして、重油と競合して勝つようにするという不退転の決意があの答申に現われていると思う。そうするとなかなか容易ならざる重大な合理化だと思うのですが、その場合に、かりに今業界等であの合理化のあれをあっちこっちから情報で入れてみますと、業界は依然として三十八年度を大体合理化の完成時と見ているようですけれども、若干合理化審議会答申とは違うようでありますが、そのときには、山から掘り出すいわゆる出炭原価の面で、大体現在より千百八十四円くらいのコスト低減をやろう、それから操短原価で大体千二百四十九円くらいのコストの軽減をやろう、こういう考え方に立っておるようであります。従いまして、そうなると一体どのくらいの資金が必要かということですが、大体業界では千三百億くらいの資金を見ておるようですね。減価償却その他いろいろ自己資金、そういうものが大体七百億、そうすると、あと一般銀行なりあるいは開銀融資なりその他から融資考えて、それで千三百億程度資金を確保しようということが考えにあるようですけれども、この間政府説明を聞きました資金計画でいくと、自己資金の幅が必要以上に大きくて、それ以外の資金援助というワクが相当業界との考え方に開きがあるようですけれども、これはどうですか、大臣が何でしたら局長でもいいです。
  10. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 大手業界が昨年の夏に合理化考えましたときには、大体今先生のおっしゃいましたように、五年間に千二百億の設備投資をやりたいということであったのでございます。それでいきますと三十九年、四十年になって初めて完成するというような山もだいぶ残ることになりますので、われわれといたしましては今回御審議をお願いしております特別貸付金の活用というようなものを通じて、これをてこにして金融界あたりでも石炭が今後一体どうなるかということについて、はっきりした見通しがつかぬために金融を中止しておる面がございますが、そういうことに踏み切っていただくということを実現することによりまして、五年間に二百億くらい官民の金を合理化のためによけいに投資するということで、大体千四百億くらいの維持投資並びに合理化投資ということをやれば、ほぼわれわれがねらっております流通面を通じて千二百億円の経理における価格の低下ということは、実現できるのではないかということで、大体年間にいたしまして二百八十億くらいの投資をぜひ確保したいということでやっておるわけであります。
  11. 武藤武雄

    武藤委員 業界あたり計画しておるものを聞いてみますと、さっき言ったように減価償却やその他自己資金の確保の限度を大体七百億、あと大体六百億ということで、三年間で完成するとすれば、五カ年間ですから大体百二、三十億と見ておるようですが、これを三年間でやるということになると、二百億近くの開銀援助なりその他の援助を受けなければならぬということになるでしょうけれども、ちょっと今の説明でいきますと、そういう意味援助資金が二百八十億程度考えているわけですか。
  12. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 設備投資全体が二百八十億でございます。大体自己資金は今までの趨勢等から申しますと、一年間に百五十億くらいの減価償却その他で、維持投資等はもっぱらそれで充てられるということになりますので、五年間で申しますとやはり七百億から七百五十億くらいは自己調達、残りをわれわれといたしましては今年は開銀は一応八十億ということになっております。できましたならば今後合理化がさらにピーク時にかかれば、それに応じて三十六年度以降は必要な額だけふやしていただきたいということもわれわれは考えておりますが、同時に今年度につきましても興長銀その他からも現在御承知のように相当のものが入っておりまして、一年間に大体七十億ないし百億くらいの金を設備資金として興長銀あるいは一部の市銀から借りております。これらにつきましても政府の側の石炭政策がはっきりしてくるにつれまして、その方針をよく金融界にも納得していただくことによって、開銀のほかにこれらの興長銀一般市銀等の面からぜひ百億程度の金は確保するということで努力していきたいと考えております。
  13. 武藤武雄

    武藤委員 審議会のでいくと、大体年間炭価の面では四百円くらいの引き下げになるわけです。ところが従来五カ年計画業界の方は考えておったのですが、二百十円くらいずつ毎年引き下げていくということですけれども、今年の合理化資金援助資金十八億ですか、実際問題として大手関係近代化資金として十八億ですね、この程度援助資金では本年度の二百十円の引き下げも、事実上困難だという空気が支配的なんです。それは実際にこまかく突っ込んでいって、ほんとうに専門的にそれで困難かどうかということは、われわれ政治屋のしろうとでは、なかなかそこまでの解明はできないわけですけれども、しかし、実際問題として、われわれ炭鉱に働いておって、官から見て、なかなかトン当たり二百十円引き下げるというのは相当の努力を要すると思うのです。現に今赤字炭鉱が非常に多いという中で引き下げるわけであります。黒字の場合に引き下げるのは非常に簡単だと思うのですけれども、現在非常に大きな赤字をかかえておる状態、そういうことを考えると、これからなおかつ二百円も引き下げていくということは非常に困難だと思うのです。ことし第一年度として考え、しかもそれを五カ年間を三カ年間に短縮して炭価引き下げていくという場合に、業界は二百十円の引き下げも困難だといっているわけですが、一体その見通しはどうですか。
  14. 樋詰誠明

    樋詰政府委員 今お話しのように、会社によりましては、現在でも若干の黒を計上しているものもございますが、大部分の会社赤字である。業界自体が八百円の価格引き下げをやりたいというようなことを昨年夏発表しましたときにも、価格は八百円でございますが、現在の赤字を消すといったようなこともございますので、コストの方で少なくとも千二百円程度下げなければ八百円の引き下げはできないということは御存じの通りでございます。われわれといたしましては、確かに、現在赤字をかかえておりながらさらに相当大幅の値下げをするということは非常にむずかしいことだろうと存じますが、御承知のように、千二百円、あるいは八百円と申しますのは三十三年度の価格に比べてのことでございまして、三十四年度ですでに二百円は下がっているわけでございます。今後五、六、七、八と四年間に、大体千円下げるということになるわけでございます。平均いたしますと、二百五十円といったような値下げをしていけば、大体千二百円引き下げたということになるわけでございますが、初めによけい下げるかあるいはあとでよけい下げるかということは、消費者側は初め下げろといいますけれども、石炭側はなるべくあとでやりたいということで、いろいろむずかしい問題もございますが、われわれといたしましては、結局長期安定契約を結ぶということが一番大切なのであって、そういう安定的な長い見通しができれば、おのずからそれに必要な金融その他もついていくのじゃないか、そういうふうに考えておりますので、二百円がいいか、百円がいいか、三百円がいいかということは、石炭業界需要業界とが相互によく話し合いをして、長い目で安定させるために、ことしはいかなる炭価水準をとった方が双方のためになるかということについて十分話し合っていただけば、おのずから最も合理的なところに落ちつくのじゃないか。通産省といたしまして、このくらい下げろといったような指示というものを積極的にするといったような考えは、今役所といたしましては持っておりません。もっぱら業界で、せっかくこうした大きな線がはっきりしたわけでありますから、その線に沿って、三十五年度はどのようにやれば双方にプラスになるかということで、今までのようなかけ引き的なあれとは違った新しい面での炭価交渉が行なわれることを期待しているわけであります。
  15. 武藤武雄

    武藤委員 これは非常に困難な、しかも、石油の方も動きますし、経済も動きますから、実際の見通しを立てるということはなかなか困難だろうと思います。しかし、合理化審議会の方でも、さっき言ったように、三年後にはボイラー規制はやらないという強い決意で進めるわけでありますから、これはやはりできるだけ的確な見通しを立てながら進まないと、そのときの石炭界の混乱というものは相当ひどいものがあるのではなかろうかと思うのです。今年度二百円、来年度から四カ年間に大体八百円引き下げるという業界計画、さっき言った千三百億程度設備資金の投入をやって、なおかつ八百円引き下げたという場合に、黒字炭鉱は、そちらの資料と合うかどうかわかりませんけれども、大体全体の六五%、あとの三五%は完全な赤字炭鉱である。その場合に黒字炭鉱の方は、三十三炭鉱で大体トン当たり四百円くらいの黒字で、二十五炭鉱トン当たり大体四百八十円くらいの赤字になる、こういう一応の推算をしているようであります。ですから、それだけの業界が要望しているような計画で進んでいって八百円下げた場合に、結局六五%が辛うじて黒字で、三五%が大体五百円近くの赤字になる、こういう状態が出ると思うのでありますけれども、しかも、それは大体計画的に進んでいっての話である。三十八年度の状態において、こういうことであります。いわゆる合理化法重油ボイラー規制法の切れるのは三十七年度でありますから、このときにはこの赤字はもっとひどいと思うのです。だから、そういうことを考えると、労務対策というものは非常に重大な問題ではないかと思うのです。本日は、先ほど委員長に約束しまして時間がございませんからここで打ち切り、またあとで三十分ばかりもらいますけれども、何といっても、この合理化法は必至のものだし、これをやらなければならぬということは、大体国民もそういうように考えているし、石炭業界も、われわれ炭鉱に働いているものも考えていると思います。しかしながら、ここで一番考えなければならぬことは、何としても原則的に十一万からの人を減らすということを前提にしました合理化計画、これはそうしなければだめなんですから、今言ったようなことになっても三五%も赤字炭鉱が出るというような工合になるわけで、そういうような人を減らすということを前提にした法律案である。ですから、先ほど言ったように、人を減らすことに対する総合的計画、これはぜひともやはり同時並行的に考えてもらわないと、一応労使の間で、首を切りなさい、切ったものはあとから考えますということでは、この法案を通すに当たってどうにもならないと思うのです。ですから、どういう方策でこれに対処していくかということを十分考えてもらわなければならないと思うのです。この次にまたこの問題に触れたいと思いますから、大臣のお考えを承りたいと思います。これで終わります。
  16. 中村幸八

    中村委員長 速記をとめて。     〔速記中止
  17. 中村幸八

    中村委員長 速記を始めて。  次に、中小企業業種別振興臨時措置法案議題とし、審査を進めます。本案は前回すでに質疑は終局いたしておりますので、これより討論に入るわけでありますが、討論の通告がありませんので、直ちに本案を採決いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし上と呼ぶ者あり〕
  18. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、中小企業業種別振興臨時措置法案を採決いたします。本案賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  19. 中村幸八

    中村委員長 起立総員。よって、本案は原案の通り可決すべきものと決しました。この際、本案に対し、自由民主党日本社会党民主社会党共同提案附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。田中武夫君より趣旨の説明を聴取することにいたします。田中武夫君。
  20. 田中武夫

    田中(武)委員 委員各位の御同意を得まして、ただいま可決せられました中小企業業種別振興臨時措置法案に対しまして、自由民主党民主社会党及び日本社会党共同提出附帯決議案提案理由を申し上げたいと思います。  まず最初に、附帯決議案を朗読いたします。    中小企業業種別振興臨時措置法案に対する附帯決議(案)   本法の運用に当つては、特に次の諸点に留意すべきである。  一、第四条第一項により、中小企業者又はその団体に対し勧告をする場合には、消費者の利益を不当に害することのないよう配慮すること。  二、第四条第二項により、関連事業者又はその団体に対し勧告をする場合には、その関連事業者特に中小企業者に不当な犠牲を強いることのないよう配慮すること。  三、業種別振興対策の円滑な遂行を期するため、速かに充分な予算措置を講ずること。 以上でございます。  各項目について、簡単にその理由を申し上げたいと思いますが、すでに本委員会における質疑並びに政府委員大臣の答弁によって、われわれがこの附帯決議を付しまする趣旨は御了解願えることと存じますが、簡単に申し上げますならば、まず第一点でございますが、第四条第一項による大臣勧告にあたりましては、何と申しましても、独占禁止法との関係も出てくる場合もありましょうし、ひいては消費者の利益を不当に害するような場合もないとは言い得ないのであります。そこで特にこのような附帯決議を付した次第でございます。  第二点について申し上げます。第四条第二項の勧告に際しましては、その関連事業者に対していろいろの勧告も必要となって参ります。その際に一つの業種のために他の業種が犠牲をしいられるということは許されない問題でございますので、そのことについて特に留意をしていただきたい。ことに関連業種の中小企業者に対しましては、不当な犠牲をしいることがあってはならないと思いますので、このような趣旨のことをつけ加えたわけでございます。  第三点は、言うまでもなく、十分な本法運営に対する予算措置を講じられることを希望しておるのでございます。たとえば本年度の本法関係の予算を見ました場合に、調査費は七百三十二万円、指導費は三百二十八万円、中小企業振興審議会の運営費が百万円でございます。調査費をとってみました場合に、大体本年度で十五種の予定であると聞いておりますが、そうすると、一業種五十万円足らずの調査費になります。また指導費におきましては一業種二十万円程度でございます。その程度で十分な調査あるいは指導ができるか。あいるはまた産業界等の事情によりまして、この十五種をもっとふやさねばならないというような事態が発生いたしましたときには、この予算ではとうてい間に合わないと思います。かりに毎年十五種を指定し五年間続けるといたしまして七十五種でございます。現在の雑多な中小企業の各業種を、七十五種の業種に対して本法を適用することによって、中小企業全般がよくなるかということも疑問であり、将来その数をふやさねばならない状態も起こるのではないかと思いますので、特に来年度からは本法施行に対しての十分な予算措置政府において配慮せられるよう希望した次第でございます。以上簡単でございますが、本法案に対する附帯決議の提案趣旨の説明を終わりたいと思います。委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  21. 中村幸八

    中村委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。本動議についての御発言はございませんか。――別に御発言はないようでありますから、本動議を採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立
  22. 中村幸八

    中村委員長 起立総員。よって、本動議は可決され、本動議の通り附帯決議を付することに決しました。この際、通商産業大臣より発言を求められておりますので、これを許します。通商産業大臣池田勇人君。
  23. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまの委員全員の御決議はまことにけっこうでございます。一、二の問題につきましては十分配慮いたしますとともに、三の予算措置につきましても、今後できるだけの努力をいたしたいと思います。
  24. 中村幸八

    中村委員長 お諮りいたします。ただいま可決いたしました本案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。この際、午後一時三十分まで休憩いたします。午前十一時二十九分休憩      ――――◇―――――     午後一時五十分開議
  26. 中村幸八

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。海外経済協力基金法案議題とし、審査を進めます。前会に引き続き質疑を続行いたします。松平忠久君。
  27. 松平忠久

    ○松平委員 前会に引き続いて質問を続行したいと思うのです。本日伺いたいのは、日本は一体どういうような腹案を持って東南アジアの開発に臨むということになっておるのか。私は東南アジアと日本との関係というものは、一応賠償によって一つの地ならしのようなものができたと思う。あの賠償の関連において、借款に関する協定というものもできて、ビルマ等についてはあっせんもするということになっておる。ですから一つの地ならし工作のようなものが一応できたわけであります。ところで東南アジアは国々によっていろいろ事情は違うけれども、いずれも五カ年計画とか七カ年計画というものを作って、それぞれの国民の生活を向上したい、こういう考え方でやっておるわけであります。そこへもってきて、国際的な援助機構からの援助もあるであろうし、それからソ連圏と自由諸国圏との間の援助の競争というものがある。そこへもってきてたとえばコロンボ・プランのようなものもあって、各国別の援助というものも強化していくことになる。こういうことになっておると思うのです。そうして大臣が言われたように、従来はアメリカが主として援助の実力があったということでやってきたと思います。まさにその通りだろうと思うが、最近の大西洋低開発国のあの会議によりましても、その他実力のある国が漸次出てきて、これから本格的に経済開発協力をやろう、こういう段階になっておるのが現状だろうと思う。その中でも西ドイツのような外貨を非常に持っておる国は、かなり積極的にやってくると思うのです。すでにそういう実例が幾外ある。そういうような段階において、この地域における開発を推進していく上においての日本の腹案のようなものが私はなければならぬと思うのです。そういうものがあって、輸出入銀行にはこれを取り扱わせる、あるいは今度の基金はどうだということもあるであろうし、そのほかに今申しました賠償とのかね合いにおいてやっていかなくちゃならぬ、こういうことになるわけです。そこで日本は原料が不足しておるということから、たとえば鉄鋼のようなものはインドの鉄鉱開発ということもやっていいでありましょう。また漁業もあれば、いろいろあると思います。しかし一応、とにかく日本としての腹案というものがなければならぬと思うが、政府には、はたして腹案というものがあるのかどうか、あるいは腹案がまだコンクリートに固まっておらぬ。そこでこれからいろいろと調査をして腹案を作るというのであるか。その根本問題について一つ所見を承っておきたいと思うのです。
  28. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 東南アジアの経済開発につきましては、御存じの通り世界銀行が出資をしております。あるいはアメリカの海外開発基金も出資をしております。最近はソ連も、インドやインドネシアに出資するというようなことになっておるわけであります。また西ドイツも経済開発に乗り出しております。そこで天然資源の開発という、どっちかといえば大資本を要するようなものは、あるいは世界銀行が貸し付けるとか、あるいはアメリカのような大資本を持っておる大統領基金で貸し付けるとかいうことももちろんやりますが、日本はそういうような大規模の経済開発について、その仲間入りをさせてもらってやるということももちろんいたしますし、また現に今日までやっておるものもありますが、それ以外にこの東南アジアの経済開発として考えられる問題は、あるいは農業開発とか、あるいは中小企業の問題とかいうものがあると思うのです。現に私など昨年東南アジアを回ってきてみまして、各地からいろいろの企業の相談を受けたのであります。大規模の企業もありますけれども、われわれからいうと中小企業の規模のものもあるのでありまして、そういうことについては一つ日本の企業が進出してほしいということをいっておりますからして、従ってこの基金でそういう方面へ手を伸ばすのが、日本の今後のいき方ではないか、こう思っておりまするし、またそういう中小企業のことは、日本も大体中小企業の国でありますからして、そういうことについては経験を持っておりまするし、アメリカとか西ドイツあたりではどっちかというと大企業の進出ということが考えられておると思いますけれども、日本はまさしく将来の中小企業の進出ということを、やはり主眼として考えなければならない。そういうような方面についての貸付あるいは出資ということが、おのずからこの基金の事業の目標になるのではないかというふうに考えておるのでありまして、それらの具体的な業務につきましては、この基金法ができますれば、その新しい基金のスタッフで業務はどういうような営業方針でいくかということを決定すると思いますけれども、私としてはそういうような方面にこの基金の資金を使うというところに、この制度を設けるねらいがあるのではないかということを考えておるのでありまして、そういうことにつきましては、いずれスタッフができたときには、政府としての意図がそういうところにあるということもスタッフには申し入れたい、こう考えております。なお二十条に業務が四項目出ておりますが、この中であるいは第三の業務などは、そういう大資本を要しないもので、調査あるいは試験的な開発事業、そういうようなものに少し資金を出すということを規定しておるのも、やはりそういう大企業じゃなくて中小企業というようなことも多少考えて、こういう規定を設けておるのでありまして、そういうところにこの基金を使う道があるのではないか。なおこの基金はわずか五十億円でありますが、天然資源の大開発というようなことになりますと御存じの通り、百億とかあるいは百億以上の金を要するような事業が多いのでありますからして、わずか五十億円の金で、しかも東南アジアの各地へ資金を出したいという考えをしておりますから、おのずから中小企業的な業務を行なうということにならざるを得ないのじゃないか、こう私自身は考えておる次第であります。
  29. 松平忠久

    ○松平委員 ただいまの御答弁によりますと、日本の行き方の一つとして農業とかあるいは中小企業というような、各国と競合しないところに相当重点を置きたい、こういうふうに私は了解したわけであります。  そこでお伺いしたいのは、現在、こういうものを作るというからには、ある程度具体的なものもなければならぬ、こういうふうに思うのですが、承りますと、過般一萬田氏がインドネシアへ行きましたそのときに、農業開発をしたらどうか、こういう話し合いをしたということも承っておるし、また南ボルネオの森林地帯の開発ということも議に上っておったように思うのであります。この二つの点、あるいはそれと関連するような農業とか漁業とかいうようなもので、この融資の対象になるようなものがあるのかどうか、あるならば一体現在どういうものがあるかということと同時に、先ほど私が言いました一萬田氏が行ってきたときの農業関係あるいは南ボルネオの森林資源の開発というようなものは、どういうふうに話し合いが現在進んでおるのか、あるいは南ボルネオの漁業関係はどういうふうに話し合いが進んでおるのかということを、この際一つ明らかにしていただきたいと思うのです。
  30. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 一萬田氏が農業開発あるいは森林開発について意見を持っておるということは、私も一萬田氏から聞いたのでありますが、インドネシアを開発するについては、御存じの通りインドネシアは今日米が不足しておる国でありまして、米を海外から輸入しておるのです。あのような暖かい、気候のよいところで米を輸入するというのはおかしいじゃないか、これはもう少し日本の農業の耕作方法を持っていき、また肥料などを持っていけば、もっとたくさん米がとれるんじゃないか、そういうことを日本が今後指導してやれば、インドネシアとしては米を買う必要がなくなる、それだけまた将来日本との経済交流も発展するのじゃないかという考え方で、農業開発ということを言われておるのであります。それから森林開発のことは、これはもう御承知通り、ボルネオにしましてもスマトラにしましても全くの森林地帯でありますからして、あの森林を開発すれば、これがまた同時に日本への経済交流になるという考え方を持っておられると思うのでありまして、その後その問題がどうなっておるか、私もその後のことについては、一切まだ一萬田氏からも聞いておりません。ただ森林のことは、何か森林の調査に農林省の方から人が派遣されたということを聞いておりますが、農業自体のことについては私はまだ聞いておりません。そういうような事例はあるのでありますが、しかしそれ以外に、私などがたとえばフィリピンに行きましても、あるいは製紙工業をやってくれ、しかもそれが大規模な製紙工場ではないのでありまして、フィリピンに一つ製紙工場を持ってきてほしいとか、あるいはベトナムへ行きましても、タイへ行きましてもシンガポールへ行きましても、どんな事業でもいいから、日本の中小企業の事業をどんどんこちらへ持ってきてやってほしいということを言っておったのです。そういうようなことで、いよいよこの基金が事業に乗り出すということであればおそらく私は各方面から、いろいろの事業について申し出があるのではないかというように考えておるのです。なお、現在いろいろ申し出のあることについては、具体的な問題については、外務省なり通産省の方からお答えするようにいたします。
  31. 松平忠久

    ○松平委員 今の答弁では抽象的でありますから、外務省なり通産省なりから、先ほど私が質問しました点について、農業問題、森林資源、あるいは水産というものが、現在どういうふうに話が進められてきたのか、今後どうかという見通しがあるならばその見通しとともに、この際明らかにしていただきたいと思うのです。そうでないと、この基金の使い道ということもよくわからないことになりますので、その点をまず明らかにしていただきたいと思います。
  32. 後藤正記

    ○後藤説明員 農業関係については私よく承知していないのでありますが、先ほど長官からお答えがありましたので、南ボルネオのカリマンタンの森林資源開発の現状についてお答え申し上げます。  これは三十三年の四月ごろから、日本とインドネシア両国間におきまして、南ボルネオの森林資源を開発しようという意見が出て参りました。そうして昨年の六月、南方林業開発委員会の小林会長が、ちょうど日本へ参っておられましたスカルノ大統領と会見して、その開発及びその前提となる調査について協力を要請されました。これに対しまして、同大統領は、あるいは外貨の獲得とか木材の供給、国内移民との関連等で大きな関心を示されまして、日本側の調査実施に対しましてはできる限り配慮しよう、こういうようなお答えがあったと聞いております。そこでこの了解に基づきまして、インドネシア林野庁は、従来封鎖いたしておりました十一地区の森林を日本側の経済協力による開発の対象とするという意図を示して参りまして、昨年の七月、その資源に関する資料をこちらに送付して参ったのであります。昨年十一月、これに基づきまして通産省は補助金を交付いたしまして、その予備調査団を派遣いたしました。そうして戦前の調査の成果の検討、さらに一歩を進めました本調査についての打ち合わせ、それから実施体制をどういう工合にしたらいいか、それから開発の方法等についての意見の交換を行なわせたのであります。その予備調査団の調査結果に基づきまして、ただいま本調査団を派遣するかどうかということについて検討いたしておる段階でございます。
  33. 松平忠久

    ○松平委員 そうしますと、今それを調査しておる段階であるというわけでありますが、これが調査を完了した場合においては、先ほどお話になった林業何とか委員会といいますか、いわゆる開発の機構を別に作って、それで開発をしていく、こういう構想ですか。
  34. 後藤正記

    ○後藤説明員 さように考えております。
  35. 松平忠久

    ○松平委員 菅野大臣にお伺いいたしますが、そういうような構想で動いておるとすると、たとえば今の森林開発のための資金の出どころはどういうことになりますか。この基金あたりから出すということになるわけですか。
  36. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 私も今初めてその内容を聞いたのでありまして、その資金をどこから出すかということについては、輸銀で出すのかこの基金で出すのか、どうせまた相談になるんじゃないか、こう思っております。
  37. 松平忠久

    ○松平委員 次に伺いたいのは、インドネシアの開田計画というか、あるいは食糧増産計画というか、そういうものについて日本側との話し合いというものはどういうふうになっておるかということであります。これは關君でもあるいは牛場局長でもけっこうですからお答え願いたい。
  38. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 お答え申し上げます。あれはたしか南スマトラだと思いますが、食糧増産の問題は民間でやりたい、これは機械をもって開拓をやりたいというような話が若干ありました。日本側の当事者は小松であったかと思いますが、この話はその後進展しておりません。インドネシア政府との間の話し合いでは、さしあたって一つの問題は、肥料の工場を作りたいから調査団をよこせという話がありました。これがごたごたしておりますうちにロシヤが出てきて、たしか過燐酸だったと思いますが、一つとりましたし、もう一つは西独が出てきてカリの方をやる。最近はソーダ灰の工場を作りたいから日本から来てくれということになって、今その話し合いが進んでおります。一番大きいのは、先ほども御指摘がありましたように米作の問題でありますが、その米作の問題につきましては、コロンボ計画でこの四月か五月かにたしか十人くらいの人を出しまして、病虫害の防除とか苗の栽培というようなことをやりますし、それから巡回して実際に米作の指導に当たるということで、やはり若干の者が行くという程度になっております。
  39. 松平忠久

    ○松平委員 そうすると、今のインドネシアの米の増産というのは、技術協力というか、そういうことがおもであって、そのほかの、たとえば頭首工を作って灌漑用水をはかるとか、あるいは排水のことをやるとか、そういういわゆる土地改良というものは計画にはないわけですね。
  40. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 そういう仕事も若干はやっておりますし、今度行く連中もそういうことを調べて立案をしてくれということを依頼しております。そういう専門家も先ほど申しましたものの中に入って参ることになると思います。
  41. 松平忠久

    ○松平委員 そういった土地改良をしていくということになりますと、資本も要るだろうと思うのです。そういう場合において、つまり調査団の結論いかんによっては、日本側がある種の資金を提供して、土地改良事業なりあるいは食糧増産の具体的な計画を進めていくというようなこともあり得るだろうと思うのですが、そういった場合には一体資金はどこから出すおつもりですか。あるいはまだそういう場合の資金の出し方は研究しておらぬかどうか、そういうものもこういう基金でまかなっていくというお考えになっておるかどうか、これは企画庁にお伺いしたい。
  42. 大堀弘

    ○大堀政府委員 お尋ねの点でございますが、この基金といたしましては開発事業が対象になっておりまして、開発事業の場合は直接その事業が営利を目的とするような事業でない、いわゆる御指摘の公共事業的なものでありましても、それが結局また全体の経済の開発に役立つ、産業の開発に役立つという場合でありますれば、基金から貸すことも可能であります。ただいま具体的ケースのお話がありましたが、この基金の方から貸し出すことになりますか、あるいは賠償の上でやることになりますか、その辺は今後具体的に事情を検討いたしました上でやる問題になろうと思っております。
  43. 松平忠久

    ○松平委員 漁業について伺いたいのですが、北ボルネオではどういうふうに進んでおりますか。これは輸銀から金を貸すというようなことを、ちょっと新聞で見たと思うのだけれども、現在どういうように動いておりますか。それを知らせていただきたい。
  44. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 北ボルネオの方は大洋漁業がやっておりまして、特にこの基金をわずらわすほどのことがなくて、多分輸銀のベースでいくのではないかと思っております。しかし漁業の問題は、先ほどもお尋ねがありましたが、漁業については各国から非常な注文が参っておりまして、たとえばセイロンからも非常に大きな注文もいろいろ来ております。これも具体的に考えてできるだけのことはやってやりたいということでやっておりますし、インドにもパキスタンにも漁業の合弁をやってほしいという話が来ております。これはほとんど各国から来ておりまして、いろいろな度合いはありますけれども、各国ともできるだけやってやりたいということで――中にはできておるものもありますが、まだそこまでいかないでいろいろとやっておるものもあります。しかしインドなどはたしか話は決着しておらないと思います。そういう状況になっております。
  45. 松平忠久

    ○松平委員 そのほか農業と森林資源、そういう種類の経済の開発計画ということで、日本側に協力を申し出ておるようなケースがほかの国にあるかどうか。ウルシのことについて若干私ども聞いたことがあるわけですが、そういうものも含めてどういったものが各国から出ておるのかということを明らかにしていただきたいと思うのです。
  46. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいま御指摘のベトナムのウルシの資源開発の問題も、一つの問題とはなっております。そのほかにここに相当厚い資料として例がありまして、各国について交渉中、調査中という件数がたくさん上がっておりますが、もし御必要でございましたら……。
  47. 松平忠久

    ○松平委員 それはわれわれ資料としてもらっておりますか。
  48. 大堀弘

    ○大堀政府委員 差し上げてございませんが、これは通産省で調べましたものですから、一応かなりの件数がございます。
  49. 松平忠久

    ○松平委員 それは一つ資料として出して下さい。  もう一つ伺いたい。東南アジア地域の国々の実情が非常に違うと思うのですが、一体どの地域が一番開発がおくれておるのですか。この前菅野大臣は、大体平均してやるのだというようなことを言っておったのだけれども、私はそういうことじゃないと思うのです。政情の不安なところもあるだろうし、あるいは日本との関係が非常によいという国もあるだろうし、また日本が援助するには手ごろな国もあるだろうと思うのです。だからまんべんなくそつのないやり方というようなことは考えられないと思う。そこで一体どの地域が開発がおくれておるのか、またどの地域が有望なものか、あるいは一応の腹案があってしかるべきだと思うのだがそういうことの腹づもりというようなことは考えておらぬわけですか。
  50. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 どの国が一番開発の必要に迫られておるかと申しますと、私は東南アジア全部そうだと思います。まあ比較的、インドなども、どちらかというと国民所得全体からいうと世界でも七、八番の国民所得を持っておりますけれども、あそこは御承知通り人口一人当たりにすると世界の三十七、八番というようなことで、インドあたりも非常に経済開発については援助を求めております。どこの国へ行っても経済開発の援助ということは、みなひとしく要望いたしておりますから、どこの国がどうかということは、私は甲乙ないような気がいたすのでありますが、ただ問題は、私先般行ってみて感じましたことは、フィリピンとインドネシアは大体インヴェストメントは欲しないのです。金は借りたいが経営は自分がやる、大体こういう考え方で、たとえばフィリピンなどは六〇%は民族資本で四〇%は外国資本だ、しかも経営は自分らがやるんだ、こういう考えである。インドネシアもそうです。ところがタイやベトナム、シンガポールあたりはもう一〇〇%日本の出資をしてもらってよろしい。経営も日本人に全部おまかせしますというふうないい方でありまして、そういう点からいうとむしろフィリピン、インドネシアよりも大陸側の方が経済援助をしやすいんじゃないかというふうな気もします。  それからもう一つ政情のお話が今出ましたが、政情の点については今実はどの国も政情安定しておるというようには考えられないのでありまして、そういう点については非常に政情不安だということは言えると思いますが、しかしどこの国でもおよそ独立後十年、二十年というものは、政局というものは安定しないのでありますから、やはり政局安定はしなくても、その国というものは永続性があるということを見込んで、こちらも腰を入れて経済援助をしなければならぬじゃないか、こう私は考えておるのであります。
  51. 松平忠久

    ○松平委員 大蔵省の方は見えておりますか。輸銀の今までの貸し出し、それから延べ払いというものの状況を、ちょっとここで概略説明してもらいたい。
  52. 奥村輝之

    ○奥村説明員 輸出入銀行の本年一月末現在におきます融資残高を見ますと、全部で八百六十三億あるわけでございます。その中で輸出に伴う中長期の信用供与、これは六百九十九億円、その他投資等の合計は百六十四億円でございます。
  53. 松平忠久

    ○松平委員 その六百何億というような長期信用供与というものは、ほとんど八割くらいは船でしょう。従って船以外において、ことに東南アジア等において日本がどの程度、輸銀として経済協力的な立場において長期供与をしているか、その額、それからそれの大体の種目というか、どういうものに対してどうだという説明をしていただきたいと思う。
  54. 奥村輝之

    ○奥村説明員 今申し上げました八百六十三億円、その中で東南アジアに向けて出されておりますものは、これは残高でございますが約二百二億でございます。ついでに中南米を申し上げますと百九十八億ということになっております。中近東は九十三億円ということになっております。つまり北米とその他の地域は三百七十一億でございます。従って八百六十三億円の融資の残高の中で、東南アジアと中南米と中近東、こういう地域だけは幾ら占めておるかと申しますと四百九十二億円でございます。それで品目別にはどうかという御質問があったわけでありますが、これは今私の手元には各年度別の融資状況の数字しかないわけでありますが、三十年度におきましては輸銀の融資総額四百五十億円の中で船が三百四十一億円占めておったわけであります。三十一年度におきましては五百八十六億円のうちで四百六十八億、三十二年度は五百八十七億のうちで四百三十億、三十三年度は四百七十億のうちで二百九十九億、三十四年度はまだ最終的な数字は出ておらぬのでございますが、三百二十億の中で三百四億、だんだんと船の方が下がって参ります。船ももちろんフィリピンの高速船のごとく東南アジアに向けて特殊な条件で出て行くものもあるわけでございますから、一がいに船がどうだ、こうだという議論はできないと思いますが、船の方が下がってきております。これは言いかえてみますればその他のものがだんだんふえてきた、こういう状況であります。
  55. 松平忠久

    ○松平委員 そこで手元に資料がないそうでありますが、たとえば工業開発とかあるいはその他のプラントの建設というようなものに対する信用供与というようなものが、どういうふうになっているかということを一番聞きたいわけなのです。ということは、それとこの基金との関係がきわめて重大な関係があると思うのです。そういうことはここでは資料がないからお答えできませんか。
  56. 奥村輝之

    ○奥村説明員 今の数字はこれは各暦年におきます融資のグロスの額でございます。これを今の目的に合いますような数字にいたしまして、一番最近の時点において残高でどう占めておるかという表は、後ほど資料を作成いたしまして提出さしていただきたいと思います。
  57. 松平忠久

    ○松平委員 今までの例によると、かなり日本がビッドで負けておるところがあるのではないか、こういうふうに思います。たとえばルールケラーの製鋼所、これはドイツがやることになっておる。ラングーンの製鋼所もドイツがやっておる。韓国の仁川にできた製鋼所もドイツがとってしまっているということなんです。これは一体どういうわけで日本はこういうビッドに負けてしまったのか。たとえば韓国の仁川のような、すぐ目と鼻の間にあるやつは、これは日韓関係ということに影響されたかどうか知りませんが、あるいは輸銀等の条件がうまくいかぬのか、西ドイツと日本との間における今までの製鋼所等の建設について、日本側が負けたという理由は一体どこにあるのか、このことを承りたい。
  58. 大堀弘

    ○大堀政府委員 非常に具体的ケースによって事情が違うと思います。私どもは数年前に直接関係しておったので、たくさん通産省においてそういうケースがございますが、延べ払いの融資期間でありますような場合に、一般的にこういうケースには何年という基準を一応きめて、あまり基準が動きますと、ある場合には日本として非常に不利な条件に追い込まれる場合もありますので、ある程度の基準を持つ。しかもそれは国際的な競争を考えて一応基準を作って、いたしております。それでその基準を頭に置いて業界の人が、それぞれ入札競争をしてやっておりますが、その競争に負けます場合に、その条件で負けたか、あるいは技術そのものの機械のコストが高い、あるいは技術的な条件が合わないとかいうほかの理由によって負けておる場合も相当あるか思います。輸銀の運用方針としても、そういう意味でできるだけ国際的な競争には負けないように十分気をつけて考えてはおりますが、負けました場合に一体その条件で負けたとも言い切れない。ほかの条件で負けた場合もございます。ただいまお尋ねのケースは私は存じておりませんので、それについてはなお調べまして申し上げたいと思います。
  59. 松平忠久

    ○松平委員 そういった民間ベースによる、ことは東南アジア地域における開発、これにおいて、概観して日本側の条件というものと、西欧諸国の条件というものは一体どういうふうになっておりますか。つまり輸銀の現在の条件というものとたとえばイギリス、アメリカ等のこれと匹敵するような銀行の条件というものは、どういうふうに比較されるのか、この点を承りたいと思います。
  60. 奥村輝之

    ○奥村説明員 ただいまの御質問に対しましてお答えいたします。各国それぞれ事情が違いますので、一がいに比較することはむずかしいわけであります。わが国におきますと、たとえば船は頭金幾らで何年というような一応の標準的なものを役所で持っておるわけであります。ただしこれはあくまでも標準的なものであって、状況によっては弾力性を持って臨んでおるわけであります。輸出入銀行の融資は、私どもが対外的にたとえば三〇%六年で船を出そう、こういうときには、三〇%六年というものに即応するような融資をいたしておるわけです。全体の金額、全体の期間、頭金などを考慮に入れて、それがスムーズに行くように輸銀において融資をしておるわけであります。これに対してヨーロッパにおいてはベルン・ユニオンというものがあるわけであります。これは各国お互いに寄りまして、延べ払い輸出信用競争を国家の援助であまりやり過ぎると弊害があるということで、一応イギリスについて申し上げますと、輸出信用保証局というのがありまして、これが融資についての保険をするわけであります。その期間は原則として五年というふうにきまっております。これはドイツその他の国においても一応歩調を合わせて、五年ということを原則としておるわけであります。これに対してわが国の場合には、五年でなくて、ものによっては七年あるいは八年というふうに、かなり期間的にはゆるい制度になっておるわけであります。アメリカはアメリカでいろいろあるわけでありますが、これは非常にゆるい条件になっております。従って各国それぞれ特殊事情はございます。ソ連についていえば、さらにまたゆるい政策をとっているかと思いますが、一がいに日本のものが非常にきびしい、あるいは日本のものが非常に甘いということは言いにくかろうと思います。私どもはヨーロッパあたりとどういう権衡であろうかということを絶えず考えまして、その間日本が信用条件において立ちおくれのないように、もちろん品質、価格等がプラント輸出等の重要な要件でございますから、信用条件において立ちおくれがあるということは支障がございますので、そういうことがないようにということでやっております。
  61. 松平忠久

    ○松平委員 船が主だから船について絶えず各国との比較をしているのは当然だろうと思いますが、私が聞きたいのは、開発関係で日本がほかの国に負けている例が非常に多い。政府に、一体どうして負けているのかということについて調査して、技術がこの点はこう悪いとか、あるいは金額の条件が悪いとか、もっと特別のあれがあるとかいうことを検討しているところはないのですか。
  62. 大堀弘

    ○大堀政府委員 なかなか一般的な比較は困難だと思いますけれども、これは通産省でございますから、輸出入銀行の個別についてやはり検討いたしているわけでございます。
  63. 松平忠久

    ○松平委員 ラングーンなんかについてドイツが出てき、仁川あたりにドイツが出てたきのはどういうわけですか。
  64. 大堀弘

    ○大堀政府委員 私は仁川の場合は存じませんが、ラングーンの場合はたしか平炉を作った。ドイツが作るだけ作って、あと技術的めんどうを見ないので、その運転について日本側に運転要員をよこしてくれというような交渉が数年前にあったことがございます。ルールケラーの先ほどのケースの場合は、これは日本が競争に参加していなかったように思います。鉱山の開発については現に参加しているわけでございますが、製鉄所につきましては日本はそれに当初から参加していなかったと思います。
  65. 松平忠久

    ○松平委員 次に伺いたい。世界銀行の東南アジア地域に対する開発の実情を明らかにして下さい。
  66. 大堀弘

    ○大堀政府委員 世界銀行の東南アジアに対する融資の実情につきまして、一九五九年末現在の調査をいたしておりますが、内容を申し上げますと、全体で九億七千百万ドルの融資をしてございます。その内容を見ますと、鉄道が三億五千、電力が二億七千三百という、基幹的な産業その他鉄鋼あるいは港湾、これがかなり金額的に大きなものになっております。結局産業全体の基幹になる部門に対する投資が、重点的に行なわれているというふうに考えられるかと思います。
  67. 松平忠久

    ○松平委員 このコロンボ・プランと世界銀行との関係、もしくはこのコロンボ・プランを立てたときとこの基金の関係はあるのかどうか、その点を伺いたい。
  68. 關守三郎

    ○關(守)政府委員 コロンボ・プランというのは、御承知のように二国間の政府の技術援助、これによってするわけでございまして、世界銀行とは関係ないわけであります。できたときのいきさつにも世界銀行は関与しておらないはずでございます。
  69. 松平忠久

    ○松平委員 その次に伺いたいのは、今ある世界銀行は第一世銀というか、――第二世銀というものは一体いつできて、また東南アジア開発については、どういうような構想を持って設立されることになるのか、これを伺いたい。
  70. 片桐良雄

    ○片桐説明員 第二世銀は御承知のように目下設立準備過程でありまして、協定によりますと本年九月十五日以降の日において、大体加盟国のうち出資額が六五%以上に達する国がその協定にサインいたしますと、発効するということになっております。私どもの予想では、本年秋ごろに発足するのではないかと考えられます。まだ東南アジアという具体的な地域に対する融資問題というのは、銀行の実際の運営もきまっておりませんので、どういうことになるか、ちょっと予測いたしかねます。第二世銀自体の性格と申しますと、汎世界的な機関でございますから、もちろん東南アジアは対象にはなりますけれども、特に東南アジアを重点に置いてということにはならないと思います。
  71. 松平忠久

    ○松平委員 第一世銀と性格がちょっと違っておるという印象をわれわれは受けているわけです。従って第一世銀の場合よりももっと低開発国の開発に協力する、こういう建前で第二世銀ができるというふうに了解しておるのですが、今承るとそういうものでもないような印象を受けたのだけれども、その点はどうですか。
  72. 片桐良雄

    ○片桐説明員 私の言葉が至らなかったのはおわびいたしますが、第二世銀は御承知通り第一世銀の足らざるところを補うという意味の国際機関であります。従って現在の第一世銀――第一世銀という言葉はありませんが、現在の世界銀行が、ある程度コマーシャル・べースで運用している、その普通のコマーシャル・ベースでは運用に乗らない、そういう対象に対して第二世銀が融資をするわけでありまして、いわゆるソフト・ローンと申しておりますが、期間であるとか金利であるとか、返済条件というものが普通のコマーシャル・ベースでは考えられないような有利な、貸付を受ける側にとっては有利な条件で貸そう、そして経済開発をやろう、こういう機関でございますので、第一世銀を補完しながら、足らざるところを補っていくという意味で、同じベースに立って運用する機関ではございません。
  73. 松平忠久

    ○松平委員 日本は現在、第一世銀というか、現在の世銀、それからアメリカの政府、そういうものからどの程度金を借りています。
  74. 片桐良雄

    ○片桐説明員 第一世銀、現在の世界銀行から約三億ドルでございますが、政府から借りているというのは、余剰農産物、そのほか問題のあるところはございますが、ちょっと今即答いたしかねます。範囲がいろいろございまして、ちょっとお答えいたしかねます。
  75. 松平忠久

    ○松平委員 僕の知りたいのは、日本かアメリカから金を借りていろいろやっておる。その日本がまた東南アジアへ金を貸すということになると、アメリカの金を日本を通して貸せるのだ、こういう印象を持つ者も中にはあるわけです。そこで私が知りたいのは、一体日本は幾ら借りているのかということと同時に、現在日本は東南アジアに幾ら貸しているのかということを、この際数字的にはっきりさしてもらいたい。
  76. 片桐良雄

    ○片桐説明員 ただいま申し上げましたように、世界銀行からの借款額は、これは明瞭でございます。政府から借りているのは意味がいろいろございまして、具体的に金として借りているものはないわけであります。たとえばアメリカの輸出入銀行からの綿花借款、これは民間ベースでございますが、借りております。そのほか民間から借りているものはかなりございますけれども、政府ベースで現金で借りているというのはないわけであります。
  77. 松平忠久

    ○松平委員 現金じゃなくてもいいのですよ。政府間ベースにおいて、MSAのあれでもいいし、あるいはエロア資金というようなものもあるわけだから、そういったものをかりに借款だとした場合に、どのくらい借りているのかという合計を知りたいわけなんです。
  78. 片桐良雄

    ○片桐説明員 実は先ほど申し上げましたように、直接現金で借りているというのはないと思いますが、いわゆる占領中受けました援助、これは債務であるかないかという問題はございますが、そういったものが、現在若干金額はございます。しかしこれはちょっと申し上げかねる性質のものだと思います。そのほか政府ベースで軍事援助といったものがどれだけあるかということは、ちょっと今手元に資料がございませんのでお答えいたしかねるのであります。
  79. 松平忠久

    ○松平委員 それではそれはいいとして、日本が今日の段階までに賠償として支払った金、それからその他のいわゆる政府間のベースで貸している金あるいは今の輸銀の――輸銀も政府資金の肩がわりみたいなものだが、こういうようなもので貸している金というものは総額はわかりませんか。
  80. 大堀弘

    ○大堀政府委員 一九五五年までは、賠償、借款、輸出の延べ払いいずれも少なかったものですから、合計で一億三千七百万ドルでございますが、それ以後一九五六、七、八、九年とかなりふえて参っておりまして、五九年が賠償、贈与を含めまして六千三百万ドル、輸建設資及び輸出信用延べ払い全部含めまして一億二千七百万ドル、合計一億九千万ドル、これは五九年の数字でございますが、合計いたしますと全体で六億ドル程度に相なっております。
  81. 松平忠久

    ○松平委員 この基金は日本人以外には貸さないのですか。
  82. 大堀弘

    ○大堀政府委員 基金の貸付の相手は法律上は本邦人、本邦法人に限っておりません。しかしながら運用といたしましては、やはり日本人が実際上現地に出ていきまして事業をやる場合に、多くの場合この目的にかなうことになると思いますので、原則といたしましては本邦人または本邦法人を原則とするというふうな運用に相なると思います。
  83. 松平忠久

    ○松平委員 輸銀はその点どうなっておりますか。日本人以外の者に貸せるのか、法律の建前及び運用上どうでしょうか。
  84. 奥村輝之

    ○奥村説明員 輸銀は本邦人に貸し付けるのが原則でございますが、たとえば一例をもって申し上げますと、インドに対する円クレジット五千万ドルというのもあり、これは輸銀からインド政府に対する貸付で、従って両方あるわけでございます。
  85. 松平忠久

    ○松平委員 そうすると、輸銀とこの基金の貸付対象になる人は、大体同じようなものであるというふうに了解して差しつかえありませんか。
  86. 大堀弘

    ○大堀政府委員 法律の規定上からいいますと、基金の方は法律上限定いたしておりませんので、だれにでも貸せる建前になっております。輸銀の方は、法律で本邦法人または本邦人に限る、特定の場合に外国の政府等が入っておる。外国の個人は輸銀の場合は入っておりませんので、その点は明らかに違っておる点であります。運用といたしましては、先ほど申しましたように基金の場合も原則としては本邦人ということに相なっております。
  87. 松平忠久

    ○松平委員 輸銀と基金との本質的な相違というものはどこにありますか、それを伺いたい。
  88. 大堀弘

    ○大堀政府委員 本質的な点と申しますか、輸銀は出発の性格からいいまして輸出入金融が本来の仕事になっておって、その後投資金融、つまり海外投資、海外事業金融も広げてやっておりますけれども、これはある一定の制限のもとにやるという限定が、かなりついております。無制限に海外投資金融ができるというふうにはなっておりません。各項目ごとにかなりしぼって書いております。今回できます基金は、輸出入金融はやらないことになっております。もっぱら投資金融をやるという建前になっておりまして、その投資金融につきましては、そのかわり制限がございませんで、この目的にあります開発事業に必要な資金でありますれば貸し付けることができる、こういうことが基本的な違いだと思います。なお内容につきまして、融資方法につきましても、輸銀は貸付一本になっておりますが、基金の場合は貸付の方法以外に必要な場合は出資を行なうことができる。それから開発事業の予備調査、試験的実施のための貸付も、同時に二十条の四号でやれるという点が違っております。それから第三の違いは、輸銀の場合は融資金の償還確実な場合に貸し得るという規定になっておりまして、それを受けて業務方法書において担保等について、かなり厳格な条件がついております。通常の金融ベースによる制限という意味で、担保等もはっきりした担保を要求するようになっておりますが、今回の基金の場合においては、事業計画内容が適切であり、かつ事業の達成が確実であれば、貸し付けてよろしいということでございまして、担保等につきましては輸銀の場合よりも弾力的に運用ができる。これが大体両者の違いかと思います。
  89. 松平忠久

    ○松平委員 すると、無担保貸付というものを認める、こういうことですね。
  90. 大堀弘

    ○大堀政府委員 これはむろん無制限に認めるわけではないと思いますが、事業の内容が非常に適切であり、事業達成が確実だと認められます場合は、先ほど例にあげましたようにかりに中小企業等で担保力がなくても、本人が非常に信頼できるし熱意もあり、また相手国の条件もそろっておるというような場合でありますれば、ある場合には担保条件を緩和して、今御指摘のようなケースもケースとしてはあり得る、その辺の詳細につきましては、基金が発足しましてから業務方法書におきまして、具体的にきめられることに相なると思っております。
  91. 松平忠久

    ○松平委員 今の政府の海外経済協力というものの金融措置というものは、世界的規模における世銀等もある、それから輸銀というものが日本にはある、こういうわけですが、これをどうして大蔵省の所管にしなかったか。私は、世銀は大蔵省の管轄にある、輸銀もその通りである、輸銀から若干条件を違えた基金というものを作って、それだけ切り離して企画庁につけたというのは、まことにつじつまが合わぬように思う。これは輸銀でもって大体条件が合わないというものを、次に基金なら基金に持っていくということが必要じゃなかったか、そういう場合にも、一貫した運営というものをにらんでおればできると思うのです。それから第一、その前に輸銀の一部門として特殊融資部か何かそういうものを設ける、輸銀に関する法律を改正して、そういうことをやろうとする考えはなかったのかどうか、それをまず伺って、その次に所管について伺いたいと思います。
  92. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 今の松平委員の述べられた意見は、実は政府部内でもあったのでありますが、輸銀は金融機関ですから、すべて業務は金融的な観点から行なわれる。今度の基金は、金融というよりも、やはり産業的な観点から運営さるべきであるというので、金融機関のような仕事も行ないますけれども、純然たる金融機関ではない、そういう観点から、これは大蔵省で所管することは不適当ではないかということ。  それから、特融部とか何とかいうものを輸銀に設けたらどうかという御意見、これもごもっともな御意見でありますが、輸銀は金融機関として全く確固たる金融ベースということを保持して、業務をやらないと、金融ベースに乗らないような業務をあわせてやるということは、本体の金融機関と混同する危険があるというようなことも考えられるので、やはりこれは別の機関でやる方が、双方ともに業務も発展せしめることになるのじゃないかということで、別の機関を設けることにいたしたのであります。
  93. 松平忠久

    ○松平委員 しかしこの法律案を読んでみても、事務は全部輸銀にまかしてしまう、こういうことになっている。ただ総裁みたいなものをここに置いて少し月給をよけい出す、こういうことだけなんです。だから、これは今大臣がおっしゃったように、特融部か何か設けてやった場合に少し乱れるという危険はあるかもしれぬけれども、しかしそれは独立さしておいて、法律でやろうと思えばできるのだからそういうことにして、投資部を設けるというようにしてやれば、一本ですっといくことになるので、屋上屋を重ねて、しかも事務は全部輸銀がやるのだ、こういうものを作るということは、ちょっとおかしいと思うのです。だから輸銀の中に特殊融資部なり、あるいは投資部というものを設けさえすればこれはできないことはないと私は思う。だから、何ゆえにこれだけを持ってきてしまったかということについて、何か政治的な理由があったのではないかと思う。五十億たな上げになっているのを何とかするためには、こんなことでもしなければならぬということになったのか、もう少し正直に答えてもらいたい。
  94. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お尋ねの件ですが、なるほど輸銀に事務をやらしておりますが、これは金銭の出納とかそういう全く第一線的な仕事をまかしているだけで、どういうところに投資するとか出資するとかいうようなことは、今度の基金のスタッフでやることであって、そのスタッフできめたことの金銭上の出納とかそういうことをやって、なるたけそういう別の人を雇うて経費を使うというようなことのないように、そしてまた、輸銀とは全く兄弟会社でありますから、輸銀とすべて呼応してやらなければならぬので、従ってこの基金の規定にあります通り理事の人も輸銀の理事を入れて、そして業務はお互いが連携してやるというようなことで、そしてそういう第一線的な金銭の出納とかそういういろいろの貸し出しの手続とかいうようなことは輸銀でやってもらって、できるだけ経費を少なくしようということでやったのでありまして、今の松平委員のお尋ねのような政治的の意味とかなんとかいうことは全くなくして、これは全く業務の立場から、こういうような制度をとったのであります。
  95. 松平忠久

    ○松平委員 業務の立場からというならば、むしろ私が言うようにこれは輸銀に特殊融資部を設け、投資部を設けてやればいいのであるが、今あなたの言われることだと、輸銀のスタッフはそういう能力がないというふうにも受け取れるわけだ。頭取以下はだめだ、そういう経験もないというような意味にも受け取れるわけだけれども、何かはかに将来のことを考えたりなにかしてやられたのではないかというような気もするけれども、それはそれで別としまして、兄弟会社というようなものであるならば、これは大蔵省の管轄になるべきものだと思う。なぜこれを大蔵省から取り上げてというか、企画庁が――企画庁は大体企画するところであって、こういう実務はやらぬというふうに僕らは理解しておった。それを一体どうして持っていったかということは、これはだれも納得しませんよ。何かその間に取引でもあったのではないかというふうに勘ぐる人もあるわけだ、これはどうですか。
  96. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 いろいろ想像をたくましゅうしての御質問ですが、そんなことは全然ないのでありまして、これは金融という立場から見れば大蔵省の所管、産業という立場からいえばあるいは通産省の所管であるかもしれない。またこれは海外の仕事であるということであれば外務省の所管にも属するということであって、大体第三省がこれは所管すべきことだと私は思うのです。そこで経済企画庁には調整局というのがありまして、各省の事業を調整する仕事を持っておるので、単なる計画ばかりやるところではなく、調整局がありまして、そうして各省のいろいろの事業、この第三省が所管すべき事業を調整する役が経済企画庁の調整局である。そこで経済企画庁でこれをやれということで、各省との申し合わせで私の方で仰せつかったような次第であって、それ以外に何も政治的な意味も全然ありませんから、その点は一つ御了解していただけると思うのであります。
  97. 松平忠久

    ○松平委員 それは了解できません。調整するということは、それは調整事業なんだ。これは調整事業ではなく実務なんだ。実務をやるのですから、これはなわ張り争いで所管争いがあったから、しょうがなくて、あなたの知らぬ間にほかの人たちがきめてしまって、あなたの方に押しつけたということもあるかもしれぬが、これではまずいですよ。一体大蔵省はどういう考えです。  それからもう一つ産業関係だ、こういうことをいいましたけれども、これは全部金なんですよ。貸せるということと投資をするということなんだ。借款と投資なんだから、そういうことからいうならば、これはやはり一元的にどこかでもって、にらんでおらなければ工合が悪いのではないか、私はそう思う。その方が理屈が通る。調整事業をやっているから、各省でもって調整が困難だから、おれの方にとったのだというのでは、これは意味をなさぬと思うのです。国会議員を納得させるわけにはいかぬ。
  98. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 金を扱うからすべて大蔵省ということになってくると、たとえば中小企業金融公庫、これは大蔵省と通産省の共管だけれども、大体通産省がやっております。それから私の方の関係で東北開発公庫というのがあります。これも金を扱うのは大蔵省ですが、しかしその仕事の面においては私の方でまた監督いたしておりますから、ただ金を扱うという一点で、この所管をきめるということはどうかと思う。やはり仕事内容によってきめなければならぬ。もちろん大蔵省との共管でそれぞれやっておりますから、今度の海外経済協力基金におきましても、これは私の方が窓口ということでありまして、やはり外務省、大蔵省、通産省、これはそれぞれ共管というより、三省と私の方の経済企画庁との四省の共管であって、私の方がその窓口を仰せつかっております。でありますから、大蔵省が全然これにタッチしないというわけではないし、外務省がタッチしないわけでもない。通産場省もやはりこれにタッチしておる。それだから、その三省のまとめ役を私の方で仰せつかっておるということのように、一つ御理解を願いたいと思います。
  99. 松平忠久

    ○松平委員 今菅野さんが言われたように、これは兄弟会社なんだ。兄弟会社を無理に引き離して、お前はこっちに行け、お前はもとにおれ、こういうことですよ。東北開発株式会社とか、あるいは今例にあげられたようなその他のものとはおのずから違うと思う。これは輸銀の分身なんだ。この分身を無理やりにここへ持ってきたというのは、どうしても納得できません。輸銀でだめだというものをここへ持ってくる、やはり相当にらんでおる人が、輸銀の窓口に来て、だめだと思うものを今度この基金に持ってくる、こういうのだから、一本の系統なんですよ一本の系統のものを無理やりもき取ってきてここにつけるということは、これはうまくいかぬと思うのだよ。私は実際に言って、どこの肩を持つというわけではないけれども、その系統というものからいうと、うまくいかぬ、こう  いうふうに思うわけだ。これは閣議なんかではどういうふうになったのですか。知らぬ間にきまっちまったというようなふうにも思うのだよ。
  100. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 これは、松平さん自身が事業を御経営になられた御経験があるかどうか知らぬが、私自身が事業を経営した経験を持っておりますが、金融業者の見方と、それから産業業者の見方とはもう見方が違います。でありますからして、この海外経済協力基金というものは、やはり産業投資という立場から、これを運営しなければならぬのでありまして、純然たる金融機関ではないのです。であるからして、むしろこの海外経済協力基金などは、各省ともそれぞれ関係があるということで主張されたのでありますが、やはり三省以外のところでまとめ役をした方が、かえって円満に事業を運営さすことができるのじゃないかということで、各三省の大臣みな申し合わせて、私のところに持ってくるということにしたのでございまして、私の知らぬ間に持ってきたものでも何でもありません。各大臣ともみなそれぞれ御相談の上で、経済企画庁に持っていくことが最も合理的であるということで持ってこられたのでありますからして、その点は一つ十分御理解を願いたいと思うのです。
  101. 松平忠久

    ○松平委員 これは水かけ論みたいになると思うのです、こんなことを言ってみたところで……。だけれども、これはだれが考えても妙ちくりんなんだ。今おっしゃったように、産業関係があるというのだけれども、これは金融機関から分身したものであって、しかもその事務は輸銀がやる、こういうことでしょう。しかも投資もやりますけれども金融もやる。そうしますと、どういうわけで一体こうなったのかということは、総理にでも聞かなければわからぬと思う。総理、大蔵、通産、外務という人にやっぱり聞かなくちゃいかぬから、これは幸い月曜日に合同審査委員会がありますから、そのときにもう一度これは聞くということで保留しておきます。
  102. 中村幸八

    中村委員長 経済企画庁と大蔵省に申し上げますが、先ほど松平委員から要求のありました資料は、早急に一つ提出を願いたいと思います。  本日はこの程度にとどめ、次会は来たる四日月曜日午前十時より理事会、十時十五分より委員会を開会することとし、これにて散会いたします。     午後三時九分散会      ――――◇―――――