○菅野国務
大臣 東南アジアの
経済開発につきましては、御存じの
通り世界銀行が出資をしております。あるいはアメリカの海外開発基金も出資をしております。最近はソ連も、インドやインドネシアに出資するというようなことになっておるわけであります。また西ドイツも
経済開発に乗り出しております。そこで天然資源の開発という、どっちかといえば大資本を要するようなものは、あるいは世界銀行が貸し付けるとか、あるいはアメリカのような大資本を持っておる大統領基金で貸し付けるとかいうことももちろんやりますが、日本はそういうような大規模の
経済開発について、その仲間入りをさせてもらってやるということももちろんいたしますし、また現に今日までやっておるものもありますが、それ以外にこの東南アジアの
経済開発として
考えられる問題は、あるいは農業開発とか、あるいは中小企業の問題とかいうものがあると思うのです。現に私など昨年東南アジアを回ってきてみまして、各地からいろいろの企業の相談を受けたのであります。大規模の企業もありますけれども、われわれからいうと中小企業の規模のものもあるのでありまして、そういうことについては
一つ日本の企業が進出してほしいということをいっておりますからして、従ってこの基金でそういう方面へ手を伸ばすのが、日本の今後のいき方ではないか、こう思っておりまするし、またそういう中小企業のことは、日本も大体中小企業の国でありますからして、そういうことについては経験を持っておりまするし、アメリカとか西ドイツあたりではどっちかというと大企業の進出ということが
考えられておると思いますけれども、日本はまさしく将来の中小企業の進出ということを、やはり主眼として
考えなければならない。そういうような方面についての貸付あるいは出資ということが、おのずからこの基金の事業の目標になるのではないかというふうに
考えておるのでありまして、それらの具体的な業務につきましては、この基金法ができますれば、その新しい基金のスタッフで業務はどういうような営業
方針でいくかということを決定すると思いますけれども、私としてはそういうような方面にこの基金の
資金を使うというところに、この制度を設けるねらいがあるのではないかということを
考えておるのでありまして、そういうことにつきましては、いずれスタッフができたときには、
政府としての意図がそういうところにあるということもスタッフには申し入れたい、こう
考えております。なお二十条に業務が四項目出ておりますが、この中であるいは第三の業務などは、そういう大資本を要しないもので、調査あるいは試験的な開発事業、そういうようなものに少し
資金を出すということを規定しておるのも、やはりそういう大企業じゃなくて中小企業というようなことも多少
考えて、こういう規定を設けておるのでありまして、そういうところにこの基金を使う道があるのではないか。なおこの基金はわずか五十億円でありますが、天然資源の大開発というようなことになりますと御存じの
通り、百億とかあるいは百億以上の金を要するような事業が多いのでありますからして、わずか五十億円の金で、しかも東南アジアの各地へ
資金を出したいという
考えをしておりますから、おのずから中小企業的な業務を行なうということにならざるを得ないのじゃないか、こう私自身は
考えておる次第であります。