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1960-03-31 第34回国会 衆議院 商工委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月三十一日(木曜日)     午前十時二十三分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       江崎 真澄君    岡本  茂君       始関 伊平君    關谷 勝利君       田中 榮一君    田中 龍夫君       中井 一夫君    野田 武夫君       渡邊 本治君    板川 正吾君       小林 正美君    櫻井 奎夫君       東海林 稔君    加藤 鐐造君       北條 秀一君    山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         総理府事務官         (公正取引委員         会事務局長)  坂根 哲夫君         通商産業政務次         官       内田 常雄君         通商産業事務官         (企業局長)  松尾 金蔵君         中小企業庁長官 小山 雄二君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    中野 正一君  委員外出席者         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 三月三十日  石油及び可燃性天然ガス資源開発法の一部を改  正する法律案内閣提出第一一一号)(予) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業業種別振興臨時措置法案内閣提出第  九一号)      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  中小企業業種別振興臨時措置法案を議題とし、審査を進めます。前会に引き続き質疑を続行いたします。北條秀一君。
  3. 北條秀一

    北條委員 中小企業業種別振興臨時措置法案に関しまして、中小企業庁長官に若干の質問をいたします。  第一に、中小企業振興をはかるということは、わが国経済現状から見まして最も必要なことであり、池田大臣がしばしば言明されておるところでございますが、なおこの法律に基づいて一番問題になるのは、指定業種にどういう業種を選ぶかということが一番問題になる。今まで各委員からそれぞれ御質問があったかと思うのでありますが、もし重複したら非常に恐縮でありますが、この際、その指定業種というものをどういうふうに選んでいくかということが、一番基本的な問題になると思う。そこで、その問題について質問する前に、一体その指定業種を選ぶというために、日本全体の膨大な経済組織の中から、どういうふうな原則に基づいて業種を指定しようとするか、その原則一つ、そういうものがもしおありになるならば示していただきたいと思います。
  4. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 お説の通り、業種指定は、経済全般につきまして、また中小企業振興観点からいたしましても、非常に大事なことでございます。私どもとしてもなるべく広く業種を指定したいわけでありますが、まずこの業種を指定して、実態を調べて、それからそれぞれ改善事項をきめていくという段取り等もありますので、人の関係、金の関係等から十分とはいかないと存じます、従って毎年度ずっと続けてやって参ります業種選び方としては、重要なものから選んでいきたいと考えております。  それで、その選びます考え方は、一つは、その業種が、いろんな業種と比べて、いろんな点の格差の問題が大きいか小さいかということと、それから企業規模別に見て、いわゆる中小企業的な格差が非常に大きいか小さいかという問題、またそういう実態にかんがみまして、それらについて振興策を講ずることが、今後の経済成長に相当資しやせぬか、あるいは輸出の面、あるいは産業構造を強化するという面で、非常に役立つような種類のものを選びたいということが一つであります。  それからちょっとまた別の面から見まして、中小企業対策上緊急に取り上げる必要がある——と申しますことは、いわゆる貿易自由化という事柄が進みつつあります。また最低賃金制度等が、実施が広くなって参ります。技術革新も相当進んでおります。従って、そういう事態にかんがみ、最近の経済情勢にかんがみて、中小企業対策上それが非常に大事だというような業種を考えたい。  それから第三番目には、一般的に申しまして、当該業種中小企業の数が非常に多いとか、その従業員が非常に多いというような種類のものを選びたい。  この三つの観点をかみ合わせまして、総合的に考えて業種を選びたいと考えております。
  5. 北條秀一

    北條委員 大体意図されておるところはわからぬでもないのでありますけれども、そこで今言われた原則原則でありますが、さて、その原則も、業種別ということになると、日本の大企業、中企業、小企業というものはかなり系統的になると思うのです。というのは、大企業の下に、これと同じ種類の中企業があり、さらにその下に小企業があるということになってくると、指定業種選び方というものは、手っ取り早く言えば、今日本にある大企業を十六なら十六選んで、それに関連した事業というふうな選び方。今あなたが言われたように、そうでなしに、今度は、業種が非常に数が多いというものを選んでいく。上から来るか下から来るかということになりますが、結局私は、数が多いものを大原則として選んでいくということが、中小企業振興の一番基礎的な考え方だ、そういうふうに選んでいくべきだと思っております。  それからもう一つは、中小企業と一口に言いますが、これは非常に危険だと私は考えておる。今のあなたの主宰されておる中小企業庁というものは二十三年かにできたと思うのですが、そのときに私は中小企業庁を作ることに反対をして青票を投じました。なぜ青票を投じたかといいますと、中小企業と一口にいいますけれども、結局中小企業庁というふうな形でやると、中企業重点がいってしまう。ことわざに大は小を兼ねるということがございますが、子供の洋服のようなものはそれでいいと思うのです。小学校一年生に二年生の洋服を着せておくというようなことはいいのですけれども中小企業対策の場合にはそれでは困ると思うのです。現実にあなたのところの政策あるいは中小企業金融公庫政策を見ましても、やはりどうしても中の方に固まっていく。ですから、この法律中小企業業種別振興をはかるのだというけれども、それはやはり中に重点が置かれておるのじゃないかというふうに考える。そうなると、今あなたの言われた数の多いものと中とはギャップが出ると思うが、この点はどうですか。
  6. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 先ほど、非常に概括的なことでありますが、業種選定考え方を申し上げました。やはり中小企業の数が多い、あるいは従業員数が多い、それがまた中小企業全体の事業規模の大小にも影響して参りますが、そういう形でわれわれ前に言いました中小企業対策上今非常に急ぐのだということ、あるいはそこに振興策を講ずることが今後の経済成長に役立つか役立たないかという点は相当からんでくると思うわけであります。大企業との関係もありますけれども、いわゆる中小企業の代表的な業種は、たとえば生産額においても、あるいは輸出額においても相当なウエートを占めておるものが多かろうと思います。そういう条件をかみ合わせて選定を考えていきたい、こう考えておるわけであります。  また今、中小企業庁という考え方並びに中小企業庁を作って仕事を進めていきます上に、どうしても中に片寄るじゃないかというお話がございましたが、これまでやって参りました経緯を見てみますと、まさにそういうきらいがなくはなかったというのが相当多いのであります。これはどうしてかといいますと、やはり中小企業というものを十ぱ一からげにつかんでやっておる。それで、中小企業の定義というものは、制度によっていろいろ違っておりますが、大体製造業従業員が三百人以下、資本金一千万円以下、それを全部十ぱ一からげに扱っておるわけでありまして、あるいは金融の問題にいたしましても、あるいは設備近代化等の問題にいたしましても、中小企業の中では相対的に力の大きいものの方に結果的にはその対策の効果が片寄ってきてやしなかったかという点は、最近われわれも痛感しているわけであります。中小企業の中のいろいろな格差の問題を、たとえば中小企業総合基本調査等相当実態をつかみまして、実はこれではいかぬということでこの数年前から問題になりまして、たとえば小規模事業対策とかいうことで、いろいろそういう点に別の面から力を注いでいく。小規模事業対策等を講じまして、それぞれの従来の中小企業制度にそういうものが乗っかっていくような仕組みをまず作らぬことには、零細企業なら零細企業の、本質的な企業の体をなさぬという形のものが相当ありますから、そういうものがいわゆる中小企業対策のいろいろなものに乗っかっていくような指導をやって参りたいというのが小規模事業対策のねらいでありますし、また業種別対策も、従来業種的なものの見方を必ずしもしておりませんが、業種によりまして、最近の経済成長の過程から見まして非常にアンバランスがあるということ、また輸出の面その他の面から考えましても、具体的に業種別考え方をはっきりさせて、それに指導の方向をはっきりさせるということが特に痛感されましたので、業種別振興対策をやって参るということでありまして、業種別にとられました場合にはもちろん中小企業の大きなものも小さなものも一緒に含んで対策を講ずるわけでありまして、それとともに、その中で特に小規模の方が中規模との相対的関係において、どういうようになるかということを頭に置きまして対策を講じていく、こういう考え方でおります。
  7. 北條秀一

    北條委員 全国に三百万あるといわれる中小企業現状ですが、それをあなたの方では現在どういうふうに業種別分類されておりますか。これはおわかりになりませんか。
  8. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 業種をどういうように選ぶかという業種分類の問題のつかまえ方でございますが、大体私どもといたしましては、産業標準分類の再分類あたりでつかまえていこうと考えております。ただ業種によりましては、再分類でなくても、もうちょっとその上の小分類あたりで済む場合もあるかと思います。しかしまた、再分類でもその中の再々分類、再分類に含まれる再々分類業態は相当違っておって、やはり再々分類別に検討しなければいかぬものも出ると思うのです。原則としては再分類でとらえていきたいと思います。再分類といいますと、数としましては約五百二十五業種、例で申しますと、たとえば綿糸布織物製造業とか、その程度分類であります。五百二十五分類であります。
  9. 北條秀一

    北條委員 企業庁において再分類される、今五百二十五と言われましたが、これは結局中小企業振興審議会に出すときに、やはり動かすことのできない基準になってくると思うのです。従ってあなたのところで着々と準備されておると思いますが、その分類の仕方というものは、やはり相当慎重にやってもらわなければ困ると思うのです。今言いましたように、一ぺんきめるとあなたの方の面子もあるでしょうし、権威を持って審議会に出すのですから、その線からあとに引けないということになってくると思います。従ってあなたの言われた業種別分類が非常に重要であるということは、特に御銘記願いたいと思うのであります。  そこで、私は、関連いたしまして、博学多識の政務次官の内田さんが見えておりますから内田さんにお聞きしたい。先ほど長官に聞いたのですが、中小企業庁という形ではどうしても中企業重点がいく。従って小企業というものは、名前はいつでも使われるけれども名前だけ使われるのであって、ちっとも恩典がないということになっておると思う。過去十年間の実績を見てもそうだと私は考えておるのです。むしろこの際、こういう中小企業振興対策を真剣に考えるときにあたって、中小企業庁中企業庁と小企業庁というのに分けたらどうか、こういうふうに考えるが、あなたの御見解を承りたいと思います。
  10. 内田常雄

    内田(常)政府委員 中小企業と一口に申しておりますが、お説のようにやはり私などが政治の基礎として立っておる自分の選挙区の状況を見ましても、大部分は小企業ないしは零細企業が数の上からは非常に多いと思います。それでまた問題になって参りますものが中企業にもありますけれども、小企業ないし零細企業について起こりつつある問題と中企業について起こっている問題と、私は違うということを感じております。中企業の方の問題は、これは育成なりあるいは近代化なり合理化なりをはかっていくということも、これは計画の上に乗り、政策の上に乗ると思うのでありますが、一方の小企業ないし零細企業の方はなかなか計画の上に乗りがたいものがあります。これは本質的には日本人口が非常に多いということからもくるものだし、また雇用の機会が今までのところ必ずしも十分でないというようなことから、結局生活するためには零細農家過剰人口が押し込んでいくか、あるいはめしは食えないけれども零細企業を始めるというような、そういう人口問題からくる面もありまして、経済問題というよりも一つの面からは社会問題をなしているような面がありまして、さような点から考えますと、私はただいまの御説はうなずけると思います。しかし事が経済問題であり、また産業企業の問題でございます点につきましては、これは共通のベースに立っておりますので、通産省といたしましては御承知のように中企業局と小企業局ということに分けることをしないで、中小企業庁という一つの外局にして、内局よりも大きな規模を持たせてやっておるわけでございますが、今御指摘のありましたような点がなかなか解決されないところがある、私も同感であります。しかし幸いにして政府中小企業に対する政策というものは、今までのような網羅的な、一般的な政策では小規模企業ないし零細企業には国の恩恵なり政策が及ばないということに気がついて参りまして、今回の法律案におきましても、小規模事業ないし零細企業というものを一方においては取り上げながら、他方においては中小企業対策を網羅的にやるのではなしに、業種別にそれぞれ味の違った、またきめのこまかい政策を進めていこう、こういうことになっておりますので、しばらくそのようなやり方で、中企業庁、小企業庁というものを分けることなしに、重点十分零細企業に置きながらやって参りたい、かように考えております。
  11. 北條秀一

    北條委員 貧乏ひまなしという言葉がありますが、貧乏するからひまがないのではなしに、ひまがないから貧乏するんだと私は思います。日本農家にいたしましても、あるいは零細企業にしても、小企業にしても、朝から晩までまっ黒けになって働いておる。一番肝心かなめの頭を使うひまがないのですね、だから貧乏ひまなしということになってくるのだと思うのですが、この際ほんとうに内田さんなり池田さんが真剣にわが国中小企業振興をお考えになるならば、こういうことは考えられないでしょうか。ひまなしに三百六十五日朝から晩まで働いておる中小企業者に、今はだんだんと、月のうちに、申し合わせて二日休んだり一日休んだりしておりますけれども、これを週に一回は必ず休ませるというふうなことが私は一番いいと思うのですが、今の日本現状からいうとなかなか休めと言ったって休まない。結局そういうことは法律によってきめてやれば休むと思うのです。週に一回お休みなさいという法律をきめて、法律をきめただけではおもしろみはありませんから、休む限りは政府の方としても何らかのめんどうを見てやろうじゃないかということでなくちゃならぬと思いますが、そういった、非常に突拍子もない話でありますが、中小企業者週休制を打ち立てるというようなことは考えられませんか。
  12. 内田常雄

    内田(常)政府委員 私は通産省に参りましてから、そのような問題を取り上げていることは聞きませんけれども、しかし私は先年外国を歩いてみまして、これはイタリアでもあるいはドイツ、フランスあたりでも、たしか小売商業法というようなものがあるようでありまして、週休制はむろんのこと、時間制も、御承知のように夜なんかは絶対に店を開かない。日曜日も休んでしまう。またある場合には昼は十二時から午後の二時ないし三時くらいまでは絶対に店を閉じて売らない。そうして休養を得る。あるいはまたいろいろな計画や考えごとをするということが、かなり厳格に行なわれているようでありまして、大へんうらやましいと思いました。ああいうことがなぜ日本でできないのかというところまで、私はまだ突き詰めて考えておりませんけれども、よその国でできることが日本でできないはずはないのでありまして今の日本零細企業のように夜十一時でも十二時でもお客が来れば店をあけるし、配達もするということをやっていては、文字通り貧乏ひまなしということで、これはどうも人間のあり方企業あり方として考えられないように思いますので、これは今後十分検討に値する問題だろうと思います。ただ先年皆様方の御尽力で中小企業団体法ができました際に、これらの商工組合商工組合調整規定といいますか、規約として今の週休制とかあるいは店を開く時間などについて取りきめるべきであるという議論が起こりまして、大へんいいことだと思いましたが、今そのような調整規定を設けておる中小企業団体があるかどうか私は知りませんが、だれか政府委員の中で知っている者がありましたらお答えさせたいと思います。
  13. 田中榮一

    田中(榮)委員 関連して。中小企業の問題が出ましたので私からも今の北條委員からの問題について関連してちょっと申し上げたいと思います。中小企業と申しましても、今北條議員からのお話のように中と小との間には非常に開きがございまして、特に生産面を担当している小企業者と、それから流通面を担当しております小企業者との間には、非常にその業態も千差万別でありますし、またその規模から申しましても、またその地域別業態から申しましても非常に千差万別でありまして、一がいに中小企業振興と申しましても、われわれが実際に街頭に立ちまして商店の連中と話し合ってみますと、ちょうど隔靴掻痒の感があるわけであります。そこで最近たとえば中小企業の中で私は特に小企業を申し上げたいと思うのですが、流通面を担当しておる小企業をいかにして振興させるか。こう申しましても、たとえば写真機販売店振興させるかという道につきましては、これは専門的になかなか私はむずかしいと思うのです。結局設備近代化補助金であるとか、あるいはまた個人事業税法人事業税を軽減してやるとか、あるいはまた商店街に対していろいろな援助をやるとか、そうした方面以外には道がないと思っております。一番肝要なのは何といいましても金融の道を開いてやる。できるだけ簡易に、しかも政府の三機関から貸し出すべき金はもちろんのこと、あるいはまた他の相互銀行なりあるいはまた信用金庫から借りる場合における保証の道を十分に一つ確保してやるということが必要であろうと思うのでありますが、最近東京都内におきまして多数の商店街というものができているわけです。たとえば十番街振興会であるとか、あるいは人形町の商店会であるとか、そうした商店会というものが中心になりまして、あるいは歩道の上のアーケードを作り、あるいは共同の装飾をやって、あるいは共同のウインドーを作って顧客の勧誘に当たっておりますけれども通産省としてこの商店会といいますか商店街といいますか、そうしたものに対してこれまでいかなる助成と申しますか、いかなる政策を持っておられますか、それについて、関連した問題でございますので、ちょっとお伺いしてみたいと思います。
  14. 内田常雄

    内田(常)政府委員 中小企業の中で、なかんずく零細企業、その中でも小売商店などの問題が、政府政策の前段に押し出されなくてはならぬということは私ども常々感じております。これは大した解決になったわけではございませんが、昨年の秋に私ども通産省に参りましてから、中小企業庁の中に商業課というものを初めて設けました。少しそういう独立した課を設けまして小売商業のことを十分研究させたいというつもりで、さようなものを設けまたしので、これが今後どの程度の活動をする機能になりますかわかりませんが、さような努力はいたしております。それから今田中さんからお話商店会、これはもう東京ばかりでなしに、私どもの郷里にも至るところにございます。あるいは共栄会とか睦会でありますが、これはすぐお気づきだと思いますが、小売商の集まりでありますから、今度政府から提案しております商工会というものとは少し違いまして、むしろ協同組合の性質に近いものであります。小売商業協同組合でありますから、従って表の看板は共栄会であり商店会でありましても、法律的には小売商業の何々地区協同組合というものを作らせまして、そうしてアーケードを作るとかあるいは街灯をやるとか、あるいは共同の売り出しをやるとか販売設備共同で持つとか、できれば共同仕入れとか、あるいは先ほど申しましたような販売時間なんかの打ち合わせ、あるいは包み紙でございますとか包装などについての打ち合わせというようなものもやらせるように指導して参っております。その裏づけといたしましては、協同組合が作られましたものにつきましては、商工組合中央金庫から、協同組合あるいはその組合員に対して融資をさせることもできるだけ勧奨いたしておりまするし、また、昨年度くらいまではこの恩恵は受けなかったと思いますけれども中小企業振興資金助成法によりますところの協同組合共同設備資金ども、これらの商業協同組合共同施設に対しては貸し付けるべきだ。たとえばアーケードを作るとか街灯スズラン灯をつけるとかいう場合に、無利子資金長期資金を貸し出すようなことをやるべきだ。これは昨年の七号台風が起こりました際に、すでに問題になりまして、まだ協同組合ができていないところでも、事実上そういう共同施設をやっておるものについては、あの設備共同資金を流用といいますか、援用して、無利子の金を貸して普及に当たらせようというようなことをやっております。まだもちろん成果は十分上がっておりません。それから先ほどの販売時間の制限とか、これは北條委員のお尋ねに関連しますが、週休制というようなものは、協同組合法とかあるいは中小企業団体法だけにまかしておいてもなかなかできない場合には、いつの時代か、これは先般田中委員からおしかりがありました小売商業調整特別措置法、ああいうものの中に、思い切って夜八時以後は営業してはならぬとかあるいは週に一回は休ませろ、それはそれこそ御指摘がありましたように、地域または業種を指定してということになるかもしれませんが、そういうところまで踏み込んでいく時代が来ないことには、いつまでたっても無制限に過当競争化して共倒れになるということで、思い切ってやったらどうかという気がいたしております。これは私の個人的な見解でありますが、だんだん通産省内部政策にも反映させていきたいと考えております。
  15. 田中榮一

    田中(榮)委員 ただいまの北條委員からのお話の、店員に対する休養のための週休制でございますが、これは横山町、馬喰町、あの辺の問屋街は、すでに一昨年から週休制を自発的に労働省と協議して実施いたしております。そのほか東京都内の目抜きの商店街におきまして、やはり自発的に申し合わせをいたしております。これは必ずしも協同組合ではありません。商栄会であるとか任意組合団体でありますが、区域ごと週休制をとって、店員休養慰安等を行なっておるところがあるわけであります。今お話しのように、法人組織によるところの協同組合ということでなくても、任意団体である任意組合商栄会であるとかそうした商工会的な地域的の団体でありましても、私は労働省が勧奨すべきであるか、通産省中小企業庁が勧奨すべきであるかは存じませんが、やはりある程度勧奨することによって、地域的に週休制をとる可能性が相当あるんじゃないか、こう考えておりますので、過当競争防止の意味はもちろんございますが、やはり小企業者小売商店店員の保健衛生の上からも、また休養の面から申しましても、今北條委員の言いました週休というようなものはできるだけ政府において勧奨して、できるだけそういうものを採用するように、一つお取りはからい願った方がいいのではないか。たまたま今週休制お話がありましたものですから、私は現実にその週休制をやっているところを見ておりますので、その方が業務の繁栄の上にもいいのではないか、このように考えて私は質問申し上げたわけであります。
  16. 内田常雄

    内田(常)政府委員 田中委員のおっしゃること私は全く賛成でございます。昔から商店なんかについてはお盆とか彼岸なんかにやぶ入りという制度があったわけでありますが、ああいう制度を近代的にもう少し拡大していけば、法律的基礎がなくてもできるはずであります。一昨年横山町の問屋街週休制の実施につきましては、石田博英氏が労働大臣のときにみずから乗り込んでいって説き伏せて、今日の制度を作ったというふうに聞いております。ただ今の小売商地域ごとの全般的の週休につきましては、私の郷里などの状況から見ますと、たとえば一つの市の東西南北中央にそれぞれ一つ商店会がある。そうするとどっかが休めば他の地域商店会は一そう夜の商売を盛んにして、その際にお客を自分の方にかっさらってくるというような面もありまして、一つの区域団体だけの間でやってみてもなかなか効果が上がらない。北の方が休めば南の方の商店会にお客を引っぱってくるというようなことで、その組合会、商店会相互間にも過当競争があるようでありますから、法律的基礎がなくても通産省労働省あたりで勧めてそういうふうにしたいと思いますが、これは小売商業調整法などにおいてもさっき申し上げましたが、いつの機会にか入れていくことも一つの方法だと考えております。いずれにいたしましても、十分お説を拝聴いたしまして、実施の方向にいろいろ検討していきたいと思います。
  17. 田中武夫

    田中(武)委員 関連質問。ただいまの質問に関連をいたしまして申し上げたいと思うのですが、実際問題として今おっしゃるような状況のあることは十分わかっておりますが、内田政務次官が政府委員として今のような答弁をせられることはけしからぬと思う。なぜかというと、あなたは労働基準法を知っておられないのですか。労働基準法があるのに、小売商業調整特別措置法等によって別に考えるなどということは矛盾もはなはだしいと思う。労働基準法との関係をどう考えておられるのですか。当然労働基準法において守られなければならぬことであるのに、現在それができていないから守らせるように指導するということならわかるけれども、別にやぶ入り制度を伸ばしていく、あるいは小売商業調整特別措置法でそういうことを考えていくというのは、労働基準法の例外規定を作ろうというお考えなんですか。
  18. 内田常雄

    内田(常)政府委員 田中委員も御承知のように、私は労働法のことはしろうとでございまして、残念ながら十分存じませんが、田中委員あるいは北條委員のおっしゃるところは、現実の面において小売商業自体が過当競争をして週休制をとっていない、あるいは夜の営業をやっている、ああいうことをできるだけ週休制なり時間制に持っていきたいという現実の面からのお話でありますので、私は法律関係はよく知りませんが、労働基準法の規定が、今の小売商業などにおける店員などの労働条件について全部普遍するようなものであるかどうか。あればもちろん田中委員のおっしゃる通り、労働基準法の規定をできるだけ厳格に商業部門にも適用して進む。労働基準局、労働監督署はどの地方にもありますから、これは当然政府の義務としてやっていけると思いますけれども、それがない部分につきましても、小売商業一般として、私は労働基準法を無視するということでは全くないので、きわめて善意、好意の意味において、小売商業などで働く労務者の条件を少しでも改善し、あるいはまた小売商業相互間で、企業主としても過当競争のないような、法律的の基礎なりあるいは業者、組合間の打ち合わせなりというものを、できるだけ整備するようにしたい——法律論はしろうとでありますけれども、非常な善意、好意をもって考えて参りたい、こういう趣旨でございます。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 大体政務次官しゃべり過ぎるんだ。そういうことを言う必要はないんですよ。労働省とも十分連絡をして、労働基準法がスムーズに実施できるように指導します、それでいいのです。それをつまらぬことを言うから、そういうことになるのです。またそういうことをおっしゃるなら、この問題だけで労働省の労働基準局長を呼んで下さい。そうして問題を掘り下げていかなければならぬということになります。
  20. 内田常雄

    内田(常)政府委員 私の前言は取り消してもけっこうですが……。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 小売商業云々とか、そういうことは取り消して下さい。そうでなかったら労働基準法の例外規定を作るような印象を受けますから……。
  22. 田中榮一

    田中(榮)委員 ちょっと関連。今田中委員からお話の、小売商業における労働基準法の準拠の方法は、実際問題として小売商自体としても、休めば金が入らぬということで、休みたいんだけれども休めないというのが実情であります。そこで現在どういう措置をとっているかと申しますと、労働基準局の管内に、たとえばある区の労働基準監督署がございますと、その区内の中小企業者を入れた、労務奉公会といったような名称で一つ任意団体ができておりまして、その任意団体を通じまして労働基準監督署の方から、できるだけその従業員に労働基準法の精神にのっとって休養をとらせるようにという指導をいたしております。その指導によって、大体においていろんな商店街であるとか商工会であるとか、あるいは頌栄会というような、法的の組合はもちろんのこと任意組合におきましても、今そういうような精神で休暇をとらしておりますけれども、まだ現実には小売商店の実情から見まして、きちんきちんと労働基準法の規定に従った休養をとるということが非常に困難な実情でありますので、私は今後労働基準局等で十分に指導するとか勧奨いたしまして、従業員休養をとらせるように計らうことが、政府として必要なのではないかと考えておりますので、実情だけを申し上げまして御参考に供したいと思います。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 今、田中委員のおっしゃっていることは、実情がそういうことであるということはわかるのです。だがしかし、労働基準法というものが厳然としてある限り、それを順守していくように指導していきたい——政府がとるべき態度はそれでなくちゃいかぬ。それ以外の答弁はないと思うのです。それを、小売商業調整特別措置法で別に考えていくのが正しいといったような間違った答弁をしていただくと、これは許すことはできぬ。少なくとも労働基準法に対して特別例を作ってほしいということが考えられておるとも聞いておるし、また保守党の一部では、そういうことを考えているとも聞いておる。そういう労働基準法の柱をくずそうというような動きがあるときに、政府委員自体が法律を無視するような答弁をすることは許しがたい。この点を一つはっきりりしておいていただきます。
  24. 内田常雄

    内田(常)政府委員 現在零細小売商業などの間において、非常に労務過重になっておる、あるいはまた夜間の営業があり、週休制度がとられていないという現状につきましては、これは田中委員のおっしゃる通り労働基準法が適用さるべき面におきましては、当然労働基準法を適用させるように私どもも努力をいたすべきでありまして、先ほどの私の答弁のうちに、労働基準法とは別に、小売商業につきましては小売商業調整特別措置法の中に、労務者の休養等について何らかの規定を置くように考えたいと申しましたことは、私の法律の無知によります発言の誤りでございましたので、取り消しまして、労働基準法の適用が現実に行なわれていないところにつきましては、これが適用が法律の通り行なわれますように、労働省とも打ち合わせて参りたい。かように御答弁いたしますことに、前言を修正いたしますので御了承を願います。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣も見えたししますから、この論議はあとにします。しかしこの問題は、次官は軽率に言われたのであろうが、重要な問題が残っておりますので、労働基準局長か、労働省関係の人に来てもらって、もう少し問題の実態を掘り下げていきたい、このように考えますから、保留いたしておきます。
  26. 北條秀一

    北條委員 私は議事進行について発言したいのでありますか、池田通産大臣が忙しい中を約束通り出てこられましたので、私の質問はあと回しにして、最初に田中委員質問に入っていただきたいと思います。
  27. 中村幸八

    中村委員長 それでは田中武夫君。
  28. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、時間の都合もありますので、北條委員の好意によりまして、順位を変更して今から通産大臣に御質問いたしたいと思います。  実は中小企業業種別振興臨時措置法についてでありますが、本法案については中小企業庁長官から大体の意向は伺ったわけです。ただ大臣に伺わねばならぬ点が残っておりましたので、大臣の出席を願ったわけでございます。それは本法第四条の第一項及び二項にわたっての大臣の勧告という項があります。この項につきましては勧告を出される大臣自体から十分その気持、心づもりといいますか、それを伺っておかなければならないと思いますのでお伺いするわけでございます。まず四条第一項及び二項の勧告は、どういうような形でなされる予定でございますか、お伺いいたします。
  29. 池田勇人

    池田国務大臣 御質問の点がわかりませんが、三条の第一項第五号、六号につきまして、「改善事項が定められている場合において、当該改善事項の円滑な遂行を確保するため特に必要があると認めるときは、当該指定業種に属する事業を行なう中小企業者又は当該中小企業者を構成員とする団体に対し、必要な勧告をする」その形式をお聞きになっておるとすれば、それは実情によりまして必要な勧告をするわけでございます。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣よく御存じないようなんですが、三条一項の五号及び六号は、御承知のように五号は「競争の正常化に関する事項」六号は「取引関係の改善に関する事項」この二つなんです。六号にもあり得ると思いますが、特に五号の「競争の正常化に関する事項」について勧告をなされる場合は、独禁法との関係が出て参ります。必ず出て参ります。そこでどのような格好で勧告をなされるのか。競争の正常化をはかるためには、たとえばこういうカルテルを結びなさい、こういう協定をしなさい、こういうことになろうと思うのです。そこで申し上げておるわけです。
  31. 池田勇人

    池田国務大臣 独禁法に触れるようなことはできませんが、中小企業団体法とか、あるいは協同組合法等、法律的に認められた場合において、また具体的な問題について、通産大臣として、皆さんこうやったらどうか、こういう勧告はできると思います。
  32. 田中武夫

    田中(武)委員 それではまず三条には一号から七号まであるわけですが、特に五号、六号だけに大臣勧告を入れて、あとの一号ないし四号及び七号には行政指導だけにしてあるのは、どういう点からそういうことになっておるのですか。
  33. 池田勇人

    池田国務大臣 一号から七号の、一、二、三、四、七という分は、主として個人自体に関係することでございまするが、五号並びに六号につきましては、おおむね他との関係があるわけであります。そういうところで第四条第一項に規定を設けたのでございます。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 個人だけといっても、四号だって、共同施設ということになりますと他との関係がありますし、七号の販路の開拓ということになりますと個人だけじゃないのですよ。
  35. 池田勇人

    池田国務大臣 四号は共同施設でございまするから他との関係はございまするが、これは積極的の問題でございます。片一方はどちらかというと消極的で排他的の問題がありますから別に取り扱ったと私は考えております。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 結局突き詰めてみると、五号、六号は独禁法との関係になってくると思うのです。少なくとも私はそう考える。そうじゃないですか。
  37. 池田勇人

    池田国務大臣 独禁法との関係とおっしゃいますが、それは少し進み過ぎるのじゃございませんか。それはおおむね独禁法との関係がございましょう、他との関係が大いにございますから。しかも消極的の事柄になってきたり、あるいは積極的のこともございましょうが、そういう関係になりますると独禁法的のにおいがあるということは言えましょう。しかし独禁法的のにおいがあるというくぎをさすよりも、他との関係があって、その間にいろいろな調整事項があるという解釈の方がいいのじゃございますまいか。
  38. 中村幸八

    中村委員長 質疑の途中でありますが、連合審査会開会のため、この際暫時休憩いたします。     午前十一時十三分休憩      ————◇—————     午前十一時五十六分開議
  39. 中村幸八

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  中小企業業種別振興臨時措置法案に対する質疑を続行いたします。田中武夫君。
  40. 田中武夫

    田中(武)委員 私は先日のアジア経済研究所法のときにも申し上げたように、最近の経済立法と申しますか、通産省関係から当委員会にかかる法案には、独禁法緩和ないし独禁法の一角をくずしていく傾向のものが多い。そのときに試みに当委員会に今国会において出ておるもの及び出される予定の十八法案について一々申し上げたのでありますが、私はうかつにもこの中小企業業種別振興臨時措置法は独禁法とは関係がないように申し上げたと思います。ところがこうして読んでみると、ここにも勧告という形で独禁法との関係が出てきた。そうなると、出してこられたやつはすべてが独禁法との関係を生ずるものであって、しかもそれは独禁法をくずしていくという格好のものが多い、こう言わねばならないのであります。そして五号の競争の正常化ということになれば、やはりそこに一つの協定を結べとかいうことになろうと思う。しかしそれはそういった勧告の出し方ではなくて、中小企業団体法等、既存の法律を通じてなす、こういうことです。しかし中小企業団体法それ自体が独禁法緩和の法律です。そうでないと言われるなら討論してもよろしい。そうしますと中小企業団体法の第九条以下に、その設立の要件を書いてあります。少なくとも中小企業団体法に基づく商工組合は、業者が任意的にまず二分の一によりまして、九条の不況の要件その他の要件を備えたときに作っていくわけなんです。ところがこの場合、先ほどの大臣の御答弁ないし先日の中小企業庁長官の答弁からいえば、本人さんたちの、いわゆる業界の意思とは違って、大臣の勧告によって中小企業団体法によるところの商工組合を作らせて、その商工組合によって調整活動ないし販売等についてのカルテルを許与しようということになるわけです。そうじゃありませんか。
  41. 池田勇人

    池田国務大臣 ただいまも予算委員会でこの独禁法の問題が出まして、もっと独禁法を緩和すべきじゃないか、あるいはイギリス式にやるべきじゃないかというふうな議論がございましたが、私は今ある独禁法の改正をするつもりはございません。既成の法律の範囲内において、そうしてまた必要最小限度におきまして特別の法律でやっていきたい、こういう考え方で、従来の通産省のあれよりも、独禁法自体をよほど強く考えて、最小限度に、産業の育成のためにやろうといたしておるのであります。しこうして具体的の問題につきましては、やはり独禁法あるいは中小企業団体法等の範囲内におきまして、中小企業者に対してできるだけの勧告をやっていこうというのでございます。これを独禁法を破る気持がある、あるいは特に重要な点で改正するかといったら、そういう気持はないと今も答えてきたのでございます。やはり産業というものは生きものでございますので、これにつきまして政府が必要な最小限度の勧告をすることは、中小企業のために、産業全体のために必要であると私は考えております。
  42. 田中武夫

    田中(武)委員 一昨年でしたか、独禁法の改正案が国会に出ました。これは審議未了になりました。おっしゃるように、私的独占禁止法それ自体を改正しようというものは出さない、現在では出ておりません。しかしいろいろなあの手この手の隠れたる手段によって、独禁法自体が緩和せられ、くずされ、結局は改正せられておると同じような方向にきていることは事実であります。独禁法の存在についての認識については、人それぞれの考え方がありましょう。しかし中小企業者ないし消費者を独占企業及び独占価格から守っていくというのが独禁法だと私は思っておりますので、これは断じてくずすべきでないという考え方を持っております。その考え方については違った人もあろうと思いますが、私はそう思っております。  そこで、大臣に対する質問はあとにしまして、公正取引委員長が見えておりませんので、代理の事務局長にお伺いいたしますが、先ほど私が申し上げましたように、この大臣勧告の格好によって、独禁法緩和の立法である中小企業団体法が、その法律の規定を越えてこの中に入れられて、結局は独禁法をくずすという格好になろうと私は見ておるのですが、それに対する公正取引委員会からの見方はいかがでしょう。
  43. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 この大臣勧告によって独禁法の違法と思われるような行為を勧告されるのではないか、従ってそれが独禁法の緩和になるのではないか、こういう御質問であろうかと思います。先ほど大臣もお答えになりましたように、この勧告は、中小企業団体法による調整規定とか商工組合を作れという勧告でありまして、中小企業団体の組織法は、あるいは田中さんのおっしゃったように独禁法の緩和条項であるかもしれませんが、それはそれとして存立する理由があったからこそ、公正取引委員会と協議の上においてあの調整規定を認めておるのでありますから、そういう調整規定のワクの中でやられるということであれば、この法律によって特に独禁法が緩和されるという工合には考えておりません。
  44. 田中武夫

    田中(武)委員 私は違法のものだとはいわないのです。成立しておる中小企業団体法のワクにはめて出される。しかしそのことによって先ほどいっているように、中小企業団体の組織法の九条以下に設立要件が書いてある。しかもそれはその地区の特定業界の二分の一の人が自発的にまず作ろうとして、そうして九条の不況要件その他の条件を満たして作っているわけなんです。ところが今度はこの勧告によって、その人たちの意思いかんにかかわらず——これは勧告ですから、そういう気持がなかったら蹴ったらいい、こう言われますが、しかしこの場合における勧告は、大体法律的に強いものだと見ると思う。そうなった場合、自分の意思のいかんでなく、ともかく中小企業団体法による商工組合を作らしていくというわけです。そうすると、それ自体が中小企業団体法というワクを通して独禁法緩和に動いていくのだ、こういうことなんです。だから違法だとは私は申しませんが、その面からいってやはりこの勧告自体は独禁法をくずすという役割を果たすものではなかろうか、こう言っているのです。その点いかがです。
  45. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 やはり今おっしゃいましたけれども、この法律による勧告が中小企業団体組織法による商工組合の設立ということをいうならば、九条の不況要件にかなわなければ、特に必要がある場合に勧告するというような規定になっておりますから、私はあくまで九条の不況要件の上に立った商工組合の設立であろうと思う。それならば、私は今田中委員のおっしゃったように、特に橋頭堡とかなんとかを考えられる必要はないのじゃないかと思います。
  46. 田中武夫

    田中(武)委員 だんだん私が尋ねようと思うところへ答弁が来たと思う。そこで大臣にお伺いするのですが、勧告をする、その場合に九条以下のいわゆる中小企業団体組織法による商工組合設立の要件が備わっていないときはどうなりますか。おそらく大臣は要件が備わっているときに出すのだという答弁をなさるかもしれませんが、それはどうなんです。
  47. 池田勇人

    池田国務大臣 要件の備わる、備わらないよりも、私はそれが独禁法あるいはその例外規定をなす中小企業団体法等の精神に反すれば勧告を出す。精神に違反するようなことはできない、こう考えます。
  48. 田中武夫

    田中(武)委員 それではAという業種、これを指定する、そして第五号ないし六号の勧告を出される、その場合に、Aという業界に対して中小企業団体組織法による商工組合を作ってかくかくの調整行為あるいは協定をいたしなさい、こういうような格好の勧告をされるのでしょう。勧告の仕方はそうじゃないですか。
  49. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう場合の勧告もございましょう。また中小企業団体法関係のない場合の勧告もございます。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと待って下さい。中小企業団体法関係のない場合の勧告についてはあとで伺いますが、中小企業団体法については、そういう勧告をせられる場合に九条以下の要件が備わっていないところの業界に対してはどうなりますか。商工組合の設立は許さないのですか、許すのですか。
  51. 池田勇人

    池田国務大臣 そのときには、中小企業団体法の九条に基づく勧告はできぬわけであります。九条に違反するようなことはできない、こういうことです。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 不況要件のない業界に対してはそんな勧告はしません、こういうことですね。
  53. 池田勇人

    池田国務大臣 それは中小企業団体法の第九条の規定によるものでありますから、そういう勧告はできないということです。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 だから、九条には中小企業団体法による商工組合の設立要件のうちの不況要件が書いてあるわけです。だから、たとえば勧告をせられる——本法の第四条による勧告のときに九条の不況要件を備えていないような業界に対してはそのような勧告はしない、そういうことですか。
  55. 池田勇人

    池田国務大臣 そのような勧告とは何ですか。とにかく第九条の不況要件の場合に、その法律の規定に違反するような勧告は、この法律では、中小企業団体法九条による行為ができないわけでございます。要件を備えていない場合において、九条の勧告は当然できぬのじゃありませんか。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 だから、不況要件のない業界に対しては、中小企業団体法による云々というような勧告はしない、そういうことですね。
  57. 池田勇人

    池田国務大臣 それは第九条違反になりますから当然のことです。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 すると、中小企業庁長官、あなたは先日の答弁では大体中小企業団体法を通して勧告する、それで僕はそのときに安定法等も例にあげましたが、大体そういう勧告ではないのですか。大臣はその他のと、後段で先ほど言われましたが、そうではない勧告とはどういうことか伺います。
  59. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 私のこの間申しましたのは、大臣のおっしゃることと矛盾しておりません。従来の既存の法律のワク内で、独禁法も含めましてワク内ですべてをやって参るということでありまして、従来の法律に反するような勧告はできないし、まず改善事項を定めます際には、公正取引委員会の人も委員に入ってもらいまして、そこら辺は十分遺漏のないように協議しながらやっていく、またかりに勧告を出しましても、そのあと団体法等の規定に基づきまして必要事項は公取と協議し打ち合わせながらやるわけでありまして、その矛盾は生じないものと思います。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 既存の法律違反の勧告ができないのはあたりまえです。したって役に立たない。私の申し上げているのは、先日、私のどういうような勧告をせられるかということに対するあなたの答弁は、主として中小企業団体法による方法を考える、こうあったので、それではそれに対して商工組合等をお作りになってこうこうやりなさい、こういうことですか、そう言ったら、そうですとおっしゃった。それで私は安定法等もあげて、安定法の二十九条の指定のものについては、調整組合も同じことができますから調整組合という勧告もあり得る、そういうことで、大体そのような答弁だったのです。ところが今大臣は、それ以外のこともやると言うのですが、それ以外というのはどういうような勧告になりますか、たとえば。
  61. 池田勇人

    池田国務大臣 それは業者の競争の正常化に関する事項でございますから、実際問題に当たってみていろいろなことが起こるでありましょうから、その場合々々にいろいろ勧告ができると思います。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業団体法の問題はよろしい。そうでなくてやる、競争の正常化に関する事項で、競争を排除せよというものを中小企業団体法とか、あるいは調整組合以外の方法でやるとなれば、独禁法との関係が出てこない勧告がありますか。どういうような方法がありますか。カルテルとか調整行為ですよ。
  63. 池田勇人

    池田国務大臣 私はいろいろな事情が起こってくると思います。だから、あなたのおっしゃるように独禁法の関係、しかも中小企業団体法第九条の場合以外には何も勧告することはないと私は言えない、生きものでございます。だから、私はそういうもの以外にもあることを想像しておる。今後経済界は万般のことが起こりますので、私は第九条関係だけだとお答えするわけにはいかないと思います。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 競争の正常化ということになると、結局はカルテル的行動になるわけです。それ以外にない。そこで、中小企業団体法等のやつはいいとして、それは問題は残りますが、さっき申しましたが、そうでないものということになると、結局今まで繊維業界等になされた通産省の操短勧告のような行政指導による独禁法緩和という面が現われてくるのです。それ以外の勧告の方法があったら教えて下さい。いろいろあると言うが、いずれにしたところが行政指導によるところの独禁法緩和といいますか、独禁法をもぐるといいますか、かつてのような操短に対する勧告、それ以外にないと思います。いかがです。
  65. 池田勇人

    池田国務大臣 先ほど申し上げた通りでございまして、正常化に関する事項でございますから、その問題だけと今から限定することはいかがかと思うのであります。しかもその勧告につきましては、第三項にありますように中小企業振興審議会に諮問してやるのでございます。初めから九条、三項とか、あるいは独禁法に関係するものだけだと限定するわけにもいかぬと思います。いろいろなことが起こってきましょうから、審議会に諮問いたしましてやるということになると思います。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 いろいろなことが起こってくる、それに対して中小企業振興審議会等の諮問を得るということはわかっているのです。しかしいろいろな状態が起こってくるにしろ、競争の正常化ということについて勧告をする場合、行政的な指導としてなされる場合、かつて繊維等でなされた操短勧告のような、いわゆる行政指導による独禁法緩和といいますか、独禁法をもぐるといいますか、そういうものよりほかに出てこないのです。いろいろあると言うが、そんなものがありますか。これは外務大臣の極東の範囲の答弁のようなことを言ったってしようがないと思います。それしかないと私は思います。
  67. 池田勇人

    池田国務大臣 専門家のあなたがないとおっしゃいますが、経済の事情からいろいろな手続その他のこともありましょうし、いろいろな点があると思います。それで私は審議会に諮問してやるという格好にいたしたいと思います。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 これはどうも大臣は私の言っているような独禁法と衝突しないようなこともある、こうおっしゃるのですが、私はどういう方法をとろうとも、結局は独禁法との関連が出てくると思うのですが、この点は幾ら言っても平行線ですから(「公取、公取」と呼ぶ者あり)公取といったって、公取もだめなんだ。  それでは坂根局長にお伺いしますが、今の大臣と私のやりとりのように、私はそういう格好以外のものはないと思いますが、公取としてはどうですか。競争の正常化ということについて、あり得ると思いますか。何といっても、これはカルテル行為、調整行為だと思うんです。それが既存の中小企業団体法とか中小企業安定法以外の法で出すのなら、行政指導による独禁法もぐりといいますか、独禁法緩和、かつての繊維に対する勧告操短、そういうような格好によるよりないと思いますが、いかがですか。
  69. 坂根哲夫

    ○坂根政府委員 ただいまの御質問の、それ以外の方法で勧告される、それが競争の正常化、直ちに独禁法と対立し、背反するではないかという御質問でございますが、大臣の仰せられましたように、経済界は生きものですから、いろいろな方法が出るでありましょう。ただ、私が今個人的に考えておる競争の正常化というのを直ちに生産数量、販売数量の制限とか、あるいは価格の制限、個数のカルテル、そういうことではなくして、先ほどからここで議論がされておりますように、やたらに開店時間を長くして競争し合っておる、そういうものは一つの競争のルールに乗せようじゃないか、こういうことが直ちに独禁法違反ということは言えない。(長谷川(四)委員「うまい」と呼ぶ)そういう型のものが出てくる可能性はある、こうお答えを申し上げておきます。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 その点はあとから質問するつもりでおったのですが、今例をあげられたのは、長谷川委員はうまいとほめられましたが、適切じゃないと思う。商業、小売商は適用しない予定になっておる。だから、やはり調整行為以外に、生産面においては、たとえば就業時間等の問題にいたしましても、一つの生産調整だと思う。小売商はこれをやらないということですから、別ですよ。それが生産調整だということなら、結局は独禁法と関係してくると思いますが、いかがですか。
  71. 池田勇人

    池田国務大臣 これは製造業者ばかりと初めから限ってはいないと思います。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業庁長官と答弁が食い違うけれども、いいですか。
  73. 池田勇人

    池田国務大臣 もし何だったら、私が責任を持ってお答えいたします。これは製造業者以外のものは初めから適用しないとはきめておりません。おおむね製造業者が多いでしょう、こういうことでして、あるいは問屋業者でこういうことをされなければならぬ場合も起こってくるのであります。だから、今のところはおおむねと中小企業庁長官は答えたと思います。私は法律の建前としては製造業者に限っておるわけじゃないと考えておるのであります。従いまして、いろいろな問題が起こってくることをあらためて申し上げます。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 どうもこのごろはいろいろ、おおむね、大体というようなことがはやるようですが、今の大臣の答弁ですけれども、先日来私が大臣の留守のときに中小企業庁長官及び次官に質問したときには、この法律の建前からは商業部門ももちろん入る建前になっている。商業部門は排除するという規定は一つもないわけだ。だがしかし、指定の基準等を聞き、及びこの三条の一項の各号を見た場合、商業部門は考えていないのかと、こういうことに対して、商業部門は考えていないという答弁があった。その点、中小企業庁長官と大臣との答弁が食い違っていますが、どうしますか。
  75. 池田勇人

    池田国務大臣 これは私の責任で出した法律でございます。さしむきはそういうふうなことが多いでしょうけれども、この法律全体として排除しているものではございません。従いまして、建前といたしましては、商業部門も入るとお考え願いたいと思います。従いまして、先ほど申し上げましたようないろいろな問題が起こって参りますから、そのときに善処いたしたいと考えております。考え方は、当面の問題とそれから長い将来の問題につきましては食い違いがあったかもわかりませんが、それは中小企業庁長官から釈明させます。私は以上のように考えるわけでございます。
  76. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 先般私がお答えいたしましたのは、大臣が言われたのと同じつもりでございます。この間こう申し上げたのであります。法律の建前としては当然商業も入ります。ただ業種の数も限定されまして、全部手につきませんので、この間御説明申しました選定基準のこと等から申しますと、大部分製造部門になるでしょう、ただ現実の問題として通産省だけでやりませんで、農林、厚生その他からいろいろの業種の要望も出ておりまして相談しておりますが、その中にはたとえば薬の問題も、厚生省はぜひ商業部面もやってくれと言っておりますから、現在出ておりますのは薬だけでありますが、そういう建前はもちろんとるつもりでおります。それが非常に早く急ぐ必要があるとすれば、そういうことになるだろうと思います。
  77. 田中武夫

    田中(武)委員 法律と憲法は憲法が優先する、こういうことであるように、長官と大臣の答弁は大臣の答弁が優先するからそうしますが、長官、あなたはそんな答弁はこの間しなかったよ。法律の建前からは商業も入るがというのは私が言ったんです。一ぺん議事録を見てごらん。しかし大臣が責任を持ってそうおっしゃるなら私これ以上追求しません。私は実は商業をなぜ入れないのかということを、もう一ぺん聞こうと思っておりますが、その点はおきましょう。  そこで勧告にあたって特に留意をしていただかなければならないことは、この法律自体が中小企業業態別に調査をし、その振興政策をはかるということですから、おそらくや大臣の勧告もその受ける業界の中小企業に対しては悪いものではなかろうと思います。しかし一面それだけに消費者との関係が生じます。勧告をなされるにあたっては、消費者との関係をどのように考えておられますか。
  78. 池田勇人

    池田国務大臣 この製造業者と消費者の関係は、これは、唇歯輔車の関係で、片方ばかり考えていくものではございません。あくまで大衆の利益のために製造業者も協調していくということが必要であるのでございますから、私は勧告する場合におきましては国全体の経済、中小企業全体、しかも消費者のことを考えていかなければならぬと思います。
  79. 田中武夫

    田中(武)委員 そうなりますと中小企業振興審議会には中小企業の代表及び中小企業従業員、労働者の代表及び消費者の代表、これは必ず入れなくてはならないということになってきますが、そのことについては大体どのように考えておりますか、いつかカルテル審議会か、独禁法審議会か何かのときに、あれは前尾さんだったか、私が大臣に消費者代表が入ってないと言ったら、農林中金の理事長や商工中金の理事長が消費者の代表だ、私も消費者ですというようなことを言ったが、大臣が消費者の代表というような頭でなく、ほんとうの消費者の代表を入れるつもりであるか、これを伺います。
  80. 池田勇人

    池田国務大臣 各方面の方を入れていきたいと思います。なおつけ加えて申しますが、公取の方も入れたいと思います。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 これは役人が四十名中十一名ということはこの間聞いたんですから、その中には公取関係は入ると理解しております。それでは消費者も代表を必ず入れる、ほんとうの代表者を、これを希望しておきます。  今度は四条二項の勧告ですが、これによりますと、一つの業界のために他の事業者あるいは業界を犠牲にするというような面が起こってくる可能性があるのですが、この勧告についてはどのように考えておりますか。
  82. 池田勇人

    池田国務大臣 お話のような場合にも勧告をすることがあり得ます。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 私の言ったことを肯定せられたのですか。
  84. 池田勇人

    池田国務大臣 そうです。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 そうすると、一つのAという業種に対して二項の勧告をする場合に、Bというところに影響を与えるわけですが、そうするとAという業界のためにBというものを犠牲にする、そういうことになります。どうですか。
  86. 池田勇人

    池田国務大臣 Bとは何ですか。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 関連産業です。二項の関連事業者です。
  88. 池田勇人

    池田国務大臣 中小企業の連中が集まって仕事をしておりまするが、他の同業者、同じ業で他の者がここに来て、そして既存のものの取引に悪影響があるという場合におきましては、四条二項で勧告もできることに相なるのであります。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 だからその指定業種のために、それに関連を持つ他の業種が、こちらのための犠牲になるという場合がある。こういうことは頭から肯定せられた上での四条二項ですか。
  90. 池田勇人

    池田国務大臣 まあ犠牲になるかならぬかということは具体的の問題で、その場合に遭遇しないとわかりませんが、これは今初めに問題になりました三条第一項第五号の「競争の正常化に関する事項」こうなっている場合におきましても、これは公取関係、独禁法関係でなしに、他の人がここに来て大きい工場を設けようとかなんとかいうときに、既存の業者のことを考え、それはこういうふうにしたらどうか、ああいうふうにしたらどうかという勧告もできるわけです。今、五号の問題で独禁法のこと以外にはないじゃないか、こういうお話でありましたが、私はやっぱり他の場合にもいろいろあるということは、こういうことも一つです。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 むしろこれは六号ですよ。六号の「取引関係の改善」というところに関係が多いと思うのです。
  92. 池田勇人

    池田国務大臣 六号の場合も多いですが、五号の場合もないとはいえないと思います。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 五号になると、やっぱり独禁法と関係してくるのですよ。それはそれとして、そうなると競争を正常化するため、あるいは販路拡張のために、一方がやはりある程度の犠牲といいますか、勧告を受ける、こういうことになるのですね。
  94. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう場合も起こり得ると思います。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 その場合、同じ中小企業者間においてはどうでしょう。一方の中小企業をよくするために、一方の中小企業に犠牲というか、あるいは制限をしているということですね、こういうことはいいことでしょうか。
  96. 池田勇人

    池田国務大臣 全体のことから見て考えなければならぬと思います。両方が悪くなるという場合は、これはもちろんいけない。片一方がよくなって、片一方が悪くなるという場合は、よくなる程度と悪くなる程度を比較して考えるべきことであると思います。これは社会生活の上からいって、当然のことだと私は考えております。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 今、社会生活連帯関係からいうて当然だとおっしゃるが、一方の業界のために一方が大きな犠牲を受けるということはどうでしょう。
  98. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう場合がございますから、あなたのおっしゃるように、専門家も一般大衆も入れて、そうして勧告をする場合に諮問していこうとしておるのであります。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、そうすると中小企業長官から耳打ちしてもらって、これはおもに取引関係のある大企業を考えておるのだという答弁はできませんか。
  100. 池田勇人

    池田国務大臣 私は全般的なことを言っておるのでございまして、こまかくは中小企業長官からお聞きいただきたいと思います。
  101. 小山雄二

    小山(雄)政府委員 四条の二項は、関連事業者または関連事業者の団体に対する勧告でございます。この場合、関連事業者と申しておりますのは、当該中小企業事業が競合するもの、横の関係でございます。それから関連する者、これは主として縦の関係を考えております。競合する場合は、ある業種を選びまして、それが中小企業が相当多いという場合に、同業種でたまたま大企業が行くというような場合、中小企業と大企業相対的関係を考えて、適当な調整をしていく、団体組織法の調整まで行かぬ場合もありましょうし、そこまで行かぬ場合もありましょうが、そういう関係を主として考えております。それが競争の正常化の場合であります。  それから取引関係の改善の問題は、中小企業の業界があって、これはたとえば下請形態のものになっており、その元請、大体大企業が多いと思いますが、元請との関係、それから中小企業があって、貿易商社が中小企業を下請に使っているというような関係、それから最近は非常に少なくなっておりますが、問屋と中小企業関係、こういうものを主として考えております。元請あるいは商社、貿易商社、問屋には、形式的にいうとその中にも中小企業はあると思いますけれども、取引関係の改善の相手の場合は、大体大企業と考えております。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 大体理解ができたと思うのですが、私、五号と六号を見た場合に、既存の中小企業関係法律を通して云々という答弁で、まず五号のときに頭にきたのは中小企業団体組織法、もう一つ中小企業安定法、六号のときは下請代金支払遅延防止法、このことを私は頭に置いたわけです。商業も今入る、こういうことだったら、もう一つ小売商業調整特別措置法、こういうものとの関連が出てくる。従って四条二項の勧告を三条六号のものでやる場合は、大体が私は大企業あるいは問屋、製造、これに対して関係を持ってくる、このように理解したいわけなんです。そのようなことでなくては、この法律の勧告の意義をなさない。もちろん横の関係として中小企業相互間の場合もあり得ると思います。しかしそのときには、関連中小企業の利益を十分守るよう考慮する、そういうことを要望いたしたいと思いますが、いかがですか。
  103. 池田勇人

    池田国務大臣 まことにごもっともなお考えで、その要望に沿っていきたいと思います。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 それではもう時間もだいぶ経過しましたし、これは大臣よりも、私の方が法律を教えながら答弁を求めるのであれですが、(笑声)要望いたしました点、後ほど附帯決議等もつけたいと思いますから、そういう点について十分一つ考慮をして、勧告は慎重にやってもらいたい、そういうことを要望して終わります。
  105. 中村幸八

    中村委員長 次は北條秀一君。
  106. 北條秀一

    北條委員 先ほど企業庁長官にお伺いしましたが、幸い池田さんがおいでになったのでお聞きしたいと思うのです。法律によりますと、指定業種を政令で定めると書いてありますが、政令で定める前に、指定業者の審議会にかけて、審議会の答申に応じてきめるべきものだと私は考えるのですが、その点どうでしょうか。
  107. 池田勇人

    池田国務大臣 お説の通りでございます。
  108. 北條秀一

    北條委員 もう一つお伺いしたいのでありますが、審議会委員あるいは専門委員とあります。これは非常に真剣にお考えになったと思いますが、委員は別にいたしまして、専門委員が非常勤であるということは、私はどうも受け取りかねるのです。だから専門委員に、できるならば方々の官庁から非常勤でなしに常勤で勉強させたらどうか、こういうように考えますが、どうですか。
  109. 池田勇人

    池田国務大臣 これは官吏にするということはいかがなものかと思いますが、選考に当たりましては、熱心な、また経験のあり知識のある人を選びたいと思っております。
  110. 北條秀一

    北條委員 もう一つ中小企業に関連いたしまして業種指定は、今大臣のお答えのように慎重におやりになるそうですから、その点は了といたしますが、たとえば中小企業金融公庫でありますとか、あるいは国民金融公庫、商工組合中央金庫、こういうのがまたそれぞれ金を貸し付ける面から業種を分けていると思うのです。従ってそういうような機関からこの審議会委員をお選びになるかどうか、この点どうでしょうか。
  111. 池田勇人

    池田国務大臣 そういう中小企業関係金融機関の方々も私は必要じゃないかと思う。やはりこの委員に入れたいと今考えております。全体を見まして、とにかくこの法の目的にかなうようにやっていきたいと思います。
  112. 北條秀一

    北條委員 これでやめますが、指定業種をきめることは非常に大きな——先ほど小山長官は、現在再分類して五百二十五業種あるというように言われましたが、五百二十五の中から何種類おきめになるか知りませんが、第一回の指定業種としておきめになることは全国に大きな影響を及ぼすと思いますので、この点慎重の上にも慎重を期していただくことを要望いたしておきます。
  113. 池田勇人

    池田国務大臣 御要望の点は十分尊重いたしまして善処いたしたいと思います。
  114. 中村幸八

    中村委員長 他に本案についての御質疑はありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  115. 中村幸八

    中村委員長 他に本案についての質疑もないようでありますので、本案の質疑を終了するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  116. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、本案の質疑は終了いたしたものと認めます。  本日はこの程度にとどめ、次会は明日午前十時より開会することとし、これにて散会いたします。     午後零時三十二分散会