○松尾(金)
政府委員 ただいま具体的に御
指摘がございました柏原町の
商工会議所の経緯は、私実は存じておりませんので、具体的に
お答え申し上げかねるのでありますが、一般的に申しまして従来
商工会議所法という制度しかなかったときには人格もない、従って事実上の
団体である
商工会というよりは、
商工会議所になりたいという希望が各地にあったことは事実でございます。しかし
商工会議所ということになりますと、やはり
商工会議所の制度として、それ相当な
事業活動ができる見込みがなければなりませんし、それだけ財政的な基礎もなければならないというようなことで、
商工会議所の設立の
認可につきましては、やはりある一定の基準で審査をして参っております。そして一たんその審査に一応合格をして
商工会議所が設立された後におきましても、やはりその後いろいろな
事情から、たとえば財政的な基礎が十分確立しないとかいろいろな
事情で、結局
商工会議所という制度が維持できないというような状態になって、やむを得ず
商工会議所が事実上一度解散をしたという例が、ちょっとその件数はここに調査したものを持っておりませんけれ
ども、従来も幾つかあったと思います。従いましてそういう
意味で
商工会議所というからには、しかも従来は
商工会議所に対して国の援助というものがほとんどなかったわけでありますから、
自分の力である
程度の財政的基礎ということになる関係から、そういうある
程度の制約があったと思います。これはそういう
事情から、やむを得ずまたもとに戻ったという例はあるように聞いております。
それから奈良県の場合でございますが、現在全県一区という形の
商工会議所は、御
承知のように今奈良県の
商工会議所ただ
一つでございます。これはかつて
商工会議所の制度が幾たびか変遷がありまして、ある時期には御
承知のように全県一区の商工経済会というような時期があったのは御
承知の通りでございますが、そういうときからの、いわば惰性で、せっかく全県一区になった地区の制度が、またもとに小さくなるということは何となしに戻りにくかったというような、いわば惰性的な
事情もあったんではないかと私は想像するのでありますが、しかし
商工会議所の本来の制度、それから
商工会議所の
機能を十分果たすという
意味から申しますと、いろいろな経済的なあるいは地理的な、社会的な
事情、いろいろ状況で判断しなければならぬと思いますが、大体論から言いまして全県一区というような広い地区は、やはり
商工会議所の
活動からいうと、必ずしも十分行き届かないのではなかろうか、まして今度
商工会の制度が立てられようとしておる際に、たまたま全県一区で
商工会議所があったということのために、そこの地区には
商工会が設立できないというようなことでは、やはり
二つの制度を運用していく上からいって適当ではないのではなかろうかというのが、私
どもの現在の
考えでございます。おそらく地元におきましてもそういう点をいろいろ相談があっておるだろうと思いますが、
商工会議所はやはり
自分の本来の
活動し得る地区というものは、おのずからあるということで、奈良県の場合は御
承知のように相当広い山間地帯を含めまして全県一区というようなことになっております。それから市や町も全県を一区にしてしまうにはあまりに飛び過ぎておる。相当離れた距離に市があり、町がある。それを全部包括していくということは、
商工会議所の
活動としては必ずしもうまくいかないのじゃないかというのが、私
どもの現在の
考え方であります。