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1960-03-22 第34回国会 衆議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二十二日(火曜日)     午前十時十八分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 小川 平二君 理事 小平 久雄君    理事 長谷川四郎君 理事 南  好雄君    理事 田中 武夫君 理事 武藤 武雄君       江崎 真澄君    岡本  茂君       鹿野 彦吉君    始関 伊平君       田中 榮一君    中井 一夫君       西村 直己君    濱田 正信君       細田 義安君    板川 正吾君       勝澤 芳雄君    小林 正美君       櫻井 奎夫君    八木  昇君       和田 博雄君    北條 秀一君       山下 榮二君  出席政府委員         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         参  考  人         (三重北勢町         阿下喜商工会会         長)      石井 澄雄君         参  考  人         (慶応義塾大学         教授)     伊東 岱吉君         参  考  人         (全国商工会連         合会専務理事) 井上 光一君         参  考  人         (全国商工団体         連合会会長)  河野貞三郎君         参  考  人         (日本商工会議         所専務理事)  高城  元君         参  考  人         (全日本小売商         団体連盟理事         長)      高橋 貞治君         参  考  人         (平安企業組合         理事長)    中嶋 四郎君         参  考  人         (日本税務協会         専務理事)   柳   登君         参  考  人         (長野県鼎町商         工会会長)   渡辺重太郎君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 三月二十二日  委員林讓治君辞任につき、その補欠として西村  直己君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 三月十九日  零細企業対策強化に伴う商工会法制定促進に関  する請願外八件(松澤雄藏紹介)(第一二四  一号)  日朝直接貿易実施促進に関する請願平野三郎  君紹介)(第一四七三号)  物価値上げ抑制に関する請願淺沼稻次郎君紹  介)(第一四七四号)  同(石橋政嗣君紹介)(第一四七五号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 三月十八日  日朝貿易正常化等に関する陳情書  (第四一三号)  火薬類の製造及び運搬等安全性確保に関する  陳情書(第四一  五号)  中小企業対策の推進に関する陳情書  (第四六八号)  中小企業育成振興対策に関する陳情書  (第四六九号)  中小企業振興資金増額等に関する陳情書  (第四七〇号)  貿易自由化に備える業種別対策実施に関する  陳情書(第四七一  号)  公益諸物価値上げ反対に関する陳情書  (第四八四  号)  商工会法制定反対に関する陳情書  (第五〇四号)  中小企業育成振興に関する陳情書  (第五五四号)  米国コンプロ社日本進出反対に関する陳情書  (第五五五号)  同  (第五五六  号)  電話の担保金融に関する陳情書  (第五五九号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  商工会組織等に関する法律案内閣提出第七  六号)      ――――◇―――――
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  商工会組織等に関する法律案を議題とし、審査を進めます。  本日は、本案審査のため、特に参考人として三重北勢阿下喜商工会会長石井澄雄君、慶応義塾大学教授伊東岱吉君全国商工会連合会専務理事井上光一君、全国商工団体連合会会長河野貞三郎君、日本商工会議所専務理事高城元君、全日本小売商団体連盟理事長高橋貞治君、平安企業組合理事長中島四郎君、日本税務協会専務理事柳登君、鼎町商工会会長渡辺重太郎君、以上九名の方々が御出席されております。  この際参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。本日はきわめて御多忙中にもかかわらず、本委員会要望をいれて御出席いただき、まことにありがとうございます。本日は学識経験者並びに中小企業特に小規模事業関係に直接携わっておられまする諸君から忌憚のない御意見を承り、もって本案審査に遺憾なきを期したいと存ずる次第であります。ただ時間の都合もありますので、御意見をお述べ願います時間は、お一人大体十分程度に願い、後刻委員から質疑もあることと存じますので、そのとき十分お答え下さるようお願い申し上げます。  それでははなはだ勝手ながら発言の順序は委員長に御一任願います。石井参考人より御発言願います。
  3. 石井澄雄

    石井参考人 私は三重県の一番北の端にあります北勢阿下喜というところの商工会の者でございます。私ども地方零細商工業者の宿願であった商工会に関する法案を目の前にして、当局の御熱意に深く感謝しておるわけでございますが、なお若干残っております私ども疑問点を、受益者と申しますか、従来の商工会の実際に携わっておる者の立場から申し述べさせていただきまして、御参考に供したいと思います。  第一に、会員たる資格でございます。第二条の二項には、小規模商工業者を定義し、第一条にあるように、商工会はそれら小規模業者のための事業を行なうこととなっていることは、この法案根本精神であろうと存じまして、私どもの望むところなのでございますが、第十三条の会員たる資格については、規模の大小何らの制限がございません。町村の区域内にある大企業者会員になってもらうということは、現に私ども近辺商工会にもそうした会員があり、いただいている会費の面からもありがたい存在であることは事実ですが、三十条に規定せられる役員たる資格においても制限がないということは重大なことではないかと存じます。現在私ども商工会に入っておりますこれらの業者は、いわばおつき合いとして、寄付金的な意味会費を負担していただいているのでありまして、商工会の運営にくちばしを入れるごときことはなかったのであります。それは、これら大規模業者事業面では商工会議所によっておられたのであって、商工会に対しては賛助会員的立場にあったからでございます。第七条の一、二項にある地区競合禁止の規定によりまして、これらの大企業議決権こそ一票でありますが、単に一会員としては規制し得ない巨大な重さをもってわれわれの商工会に入って来られるということは、この法案の目的と反する結果を生みはしないかとおそれるものでございます。  現に私どもの隣村の藤原村には小野田セメント藤原工場がありますが、生まれて間もない藤原商工会は、今度迎えることになります正会員小野田セメントさんをいかに扱ってよいのかもてあましているのでございます。小野田セメントのおかげでささやかな商業をしている業者たちにとって、同僚として小野田セメントを扱えというのは無理でございます。またこの問題は商工会議所地区競合とも関連しております。三重県の例を申し上げますと、郡部といえどもそのすべてがいずれかの市の商工会議所地区となっており、小野田セメントにしましても、今所属しております桑名の商工会議所が簡単に藤原商工会に対して、この有力会員を引き渡すでしょうか、はなはだ疑問であります。  第二に、一町村商工会の原則について、私どもの直面しておりますもう一つの苦悩がございます。私どもの町、北勢町は半農半商の旧阿下喜中心にして、周辺の純農村三ヵ村を合併して四年前にできた町でございます。旧阿下喜には大正の末から商工会組織がございまして、私の祖父は商工会発起人の一人であり、父は戦後再建初代会長でありました。合併した周辺の三つの地域は農山村でございまして、商工業者の数も少なく、これらの地域にもそれぞれ商工会が結成されたのは合併後でございました。阿下喜商工会は以前から阿下喜町から幾ばくかの補助金を得ておったのでありますが、新しく北勢町となって、この補助金を一阿下喜地区のみで結成されている商工会に支出することの可否をめぐって旧三ヵ村の攻撃材料となり、結局これら三地区にも商工会が結成され、以上四つの商工会の連合体として北勢商工連合会を作り、補助金はこの連合会に対して出すという妥協がなされました。連合会とは名のみで、阿下喜地区を除いては事業らしいこともやっていない現状ですが、今度の法律では、このような妥協認められず、純粋に一本化しなければいけないのでしょうか。附則の第三条に、市に合併された旧町村商工会は前の地区認められるという特例がありますが、村を合併した旧町の商工会も前の地区によって認められるというわけには参りませんでしょうか。一本化を強行すれば、再び新町に波乱を起こすことになるおそれが多分にございます。  第三に、事業内容でありますが、これは何かばく然としている感を受けます。このたび当委員会からいただきました法案参考資料を拝見しましても、従来の商工会は、会員要望にこたえて、少なくとも金融の面では一つの役割を果たして参ったし、今後の事業として期待されているのも、この金融面、そして社会保障福祉事業であることはおわかりいただけると存じます。これらの点が明確に規定されていないのは、偶然かもしれませんが、はなはだ残念でございます。  第四に、役員構成ですが、第三十条で三分の二は会員でなければならない、裏を返せば、三分の一は会員外でも役員になり得る道を開かれた当局のお考えが不可解であることです。現在私ども商工会は、会員数二百二十、会長を含めて役員は二十三名で、もちろんすべて業者たる会員のみであり、会合の通知発送会費徴収令書発行などについて町役場の世話になるのみで、仕事十分会員から出た役員でやっております。今後仕事もふえるわけですが、普及員のほかに、必要に応じて事務員を雇用すれば事足りると存じます。会員が一千名になりましても、事務員をふやせば事業に差しつかえはなく、役員を他から迎えることなど全く必要も感じないのでございます。  第五に、四十八条にいう総代会でございますが、私どもは二百二十の会員がありますので、総代会が置けることになります。しかし、今まで年一度の総会には大多数の会員が集まり、総代会の必要を感じたことはございません。なるほど五百人も会員があれば、集まってもまとまりが悪かろうとは思いますが、さきに県の説明をお聞きしたとき、この総代会は二百人以上と聞き、プリントも現に二百人以上となっていますが、委員会からお送り下さった法案には百人となっております。こんなものは五百人以上のときくらいに置けるようにしておけばよろしいのではないでしょうか。  六番目に、第六節の監督の部分でございます。監督権は通産省にあることは十分承知しております。まさか法務省や防衛庁にあるとは思っておりません。これほど第何条、通商産業大臣は何々することができると繰り返されますと、われわれ弱い民間業者は、威圧感と申しますか脅威を感ずるのでございます。私の父は酒造業を営んでおりまして、自民党の支持者で、池田さんの崇拝者ですので、池田さんのお偉いことは父からも聞かされ、よく存じております。法律としてこれが必要条件だと言われればそれまでですが、一体小企業育成保護監督とどちらを主体としておられるのか疑いたくなるのでございます。  同様のことが設立認可を規定する二十三条についても申せます。第三項に「その設立がその地区内の商工業の総合的な改善発達に寄与するものであること。」とあり、第四項に「その事業実施するために必要な経済的基礎を有すること。」とありますが、これらは通産大臣のお認めになるところで、お前のところは改善発達に寄与しない、あるいは経済的基礎を有しないとお認めになると、簡単に認可取り消しということは不安であります。ことに「経済的基礎」とは具体的にどんなことをさすのでしょうか。事業を完全に実施するために必要な経済的基礎があれば、こんな苦労をして、大臣監督におびえつつ国県補助をいただかずともよろしいので、経済的に十分でないからこそ、この法律に期待しているのでございます。  第七に、五十六条にいう助成の率でございます。これもさきにいただいた県からのプリントでは、国と県とで二分の一ずつ補助すると明記してありましたが、本案では国が一部補助できるとなっており、何だか心配です。だんだんあやふやになるような気がいたします。わが三重県は貧乏県だけに心配になるのでございます。  第八に、今回の法案による助成対象は、具体的には普及員設置費であること、つまり人を置かなければ全く補助がいただけないことです。去る二月、私ども商工会幹部七名は、県下各地で開かれた法案説明会一つに出席しましたが、そのときのお達しは、出席すれば補助金が出るが、出席していないと補助対象にはならないということで、たくさん行けばたくさんいただけるような気がいたしましたので、一人行けばよい説明会に私どもは七名も出かけたのでございます。そのときの県の商工課長さんからのお話で、初めて普及員を置かなければ補助は出ないことを知って、会員全員失望落胆したのでございます。私どもはまだ望みを捨てないで、それでは普及員を置こうではないかということで、その普及員資格についてお尋ねしましたところ、いわく、会計士会計士補、計理士、弁護士、中小企業診断員、大学出、とても二万円の給料では雇えません。名案ありとばかり、うちの七人の一人が、町の会計士に兼任してもらうという考えを出しましたところ、兼任は認めません、とのことで、万事休す。こんなりっぱな資格を持った人が、全国に何千人も二万円の給料で、モーターバイクに乗って商店を回ってくれるのならありがたいことですが、私の商工会にもぜひ一人お世話願いたいものです。資格は願わくば大いに緩和していただき、その後の研修によって普及員の質の向上をはかるようにお願いをしたい。あわせて、この設置く基準も七百人に一人など酷なことをおっしゃらず、三百人までのわれわれ程度商工会にも一人置けるように予算措置も講じていただきたいものでございます。  以上、私どもの持ちました疑問点を列挙して御参考に供した次第でございますが、さらに、今次法案提出までの商工団体運動経過について、一言付言させていただきたいと存じます。  私は六年前から引き続き商工会仕事をしております。忙しい家業の間をぬって会発展のため微力を尽しております。国、県、市町村からの助成は、物心両面とも農業に対して大きいのでありますが、商工業に対してはほとんどゼロに近いことを嘆いておりました。こういう点でも、他の商工会との横の連絡が絶対必要だと存じ、ことに県単位くらいの連合会必要性も痛感していたのでございます。  わが三重県にも県連合会があったことは、これほど深く関心を持っていた私も昨年まで知らなかったのであります。県連結成通知は確かに役場までは来ておりましたが、賦課されてきた四万数千円という会費は、町でも会でも出すことができず、そのためかどうか、別に県連からも大した連絡はこないとのことで、全国連合会のお骨折りで、今度の商工会法ができることになったものとは、実は今度参考人としてお呼び出しを受け、全商連からも資料の提供をいただき、二日ほど目を通して初めて知ったような始末、実際申して、全国連合会存在すら初めて知ったのでございます。全商連の方には申しわけないことですが、御苦労さまでございました。資料によりますと、今度の法案は下からの盛り上がりであるようですが、少くとも、私どもは盛り上げるつもりこそございましたけれども、お恥しいことですが、盛り上げた覚えはございません。上からとは申しませんが、中ほどのあたりから盛り上がったものでしょうか。つんぼさじきは私ども地区だけならよろしいのですが、全国にはこんなところもあると思います。さらにまた、この法律によっても、恩恵に漏れる業者もあってはならないが、あるはずです。こういう地方実情にもよく考慮を払われまして、よりよい法律のでき上がりますよう、参考人の席から恐縮ですが、政府当局、各政党の方々にお願い申し上げて、お話を終わります。
  4. 中村幸八

  5. 伊東岱吉

    伊東参考人 日本中小企業政策が、中小資本とそれ以下の零細企業というものを分けて、最も下積みで、今まで手の届かなかった零細企業に相当の予算を注いで、これを振興しようという根本趣旨、また、そういう政策が現われてきましたことについては、私は大いに賛成するものなのであります。ただ、この法案と当初きまりましたときから今日まで非常に心配しながら拝見して参りましたそういう経過で、どうもいろいろ疑問点あるいは心配な点があるのでございます。ただいま石井さんからもるるお話がありましたので、重複するところが相当ありますが、要点のみを申し上げてみたいと思います。  その第一は、まず組織のあり方であります。それに関連して、これはいろいろな指導、相談の事業を行なう小規模事業者のための組織である、こういうふうにうたわれておりながら、この会員資格の中に小規模業者のみで組織するということが書かれております。先ほども話がありましたように、地区の大企業が参加できる。地方実情を見たときに、大企業のその地域におけるいろいろな意味の力は驚くべきものがあるのであります。大企業を含めた場合、零細企業はいろいろな関係で頭が上がりません。まして役員の中にその人々が入った場合には、この大企業役員がこれを牛耳るということさえ出てくるのであります。さらに、役員の三分の一は員外者でよろしいということになっております。これはもちろん零細企業者はいろいろ専門的に仕事をするひまもないというような配慮から出ておるのでありましょうけれども、この点も同じに見てはなはだ問題であろうと思います。そういう専任のものを必要とするということは確かでありましょうが、そういう方は、たとえば監査とか経理の面とか、そういう面の特殊な専門知識を要する人に限るべきであって、三分の一を員外者でいいということははなはだ不安なのであります。それはなぜかといえば、地方のいろいろな実情を見ますと、そういう団体役員地方の名誉職的な町長であるとかあるいは県会議員であるとか、そういう顔役の人がなりやすい。そうして、そういう人がまた幾つもそれを兼ねることもでき、非常に政治色を持ってきて、ほんとう零細企業のためということが失なわれてしまう、こういう心配があるからであります。同じような趣旨から、百人以上の場合には総代会総会にかえることができるというのも、もちろんたくさんの人が集まるのは地方の事情で困難であろうという配慮から出たものと思いますけれども、これも工夫すればできないことはないのであります。これも二百人くらいのところに切るべきではないか。地方零細企業者は今まで声なき民でありました。また、民主主義というものにもなれていない。非常にびくびくしたような存在の方が多いのでありますから、こういう人々をこういう機会にできるだけ経験をさせて、ほんとうに下から盛り上がる意見を出させる、そういう場にしなければならぬ、こう思うのであります。  さらに、当初案においては、役員任免権まで非常に官庁が大きな力を持つというようなことでありました。それが本案では削られておりますが、どうも全体を通じて、お役所なり、あるいは地方のそういう有力者というようなものがこれを牛耳る、そういう危険性が非常にあるのではないか。つまり、ほんとうに下から自発的に出てきたものを伸ばしていくという方針でなければならないと思うのでありますが、これはどうも上から押えつけるというよりは、形だけ作って、そうしていかにも形式は整っておるようであるが、実質はまるで行なわれないものになる危険性が多々あるということを心配するのであります。  第二の点は、地区の問題であります。商工会議所との地区重複を許さない。地方商工会議所は、地域によっては中小企業零細企業のために大いにやっており、またそういう人が中心になっているというものもありますが、大都市になりますと、商工会議所は、まさに内部の構成から見ましても大企業本位のものになってしまっている。たとえば一つの例として東京商工会議所を見ましても、その議員選挙権会費の持ち分一口に対して平等の権利ではありません。口数によって逓減はしていきますけれども、大きい口数を持った者は多くの投票権を持ち得るのであります。こういう構成になっておる。またこの商工会議所の人事のうちで、ほんとう中小企業代表というものはほんのわずかしかない。私試みに票について当たってみました。そうすると、全体の議員のうち、ほんとう中小企業代表者だと思われる人は七%にすぎません。また常勤について見ると、ますますその感を深くするのであります。商工会議所が長い間中小企業対策にも苦労してきたという実績があることは、私もちろん敬意を払うのでありますが、商工会議所それ自体の構成からいって、また性格からいって、ことに大都市においてはほんとう意味零細企業対策をやれる、そういうものではなかろうと思うのであります。  さらに、私は、参考のために、東京商工会議所が今度の案を前にしまして支部を作っていくという案を拝見したのでありますが、どうも各地区零細企業者の自発的な下からの発意というものをむしろ押えて、もっぱら商工会議所中央の力が強く、またそれで作っていくというような印象を非常に受けるのであります。これは、これから大都市商工会議所零細企業のためにいろいろ支部を作り、あるいは事業をやるという場合にも同じようなことが起こるのじゃないか、つまり先ほど申したように、どうも上から作られていく、せっかく下から自発的に出てきたものがゆがめられてしまう、あるいは押えられてしまうというような危険性を深く感ずるのであります。従って私は重複認めていいのではないかと思います。  これに関連しまして、もうすでに大都市でも、商工会という名前はつけなくても、工場協会とか、商店会とか、睦会とか、いろいろな名前で実際あるのであります。今のような形でいきますと、こういうものの多くはそのうるさい資格等で解体させられる、そういう危険性が非常にあるのであります。ほんとう零細企業助成し、その指導、援助をやっていこうというならば、そういう自然発生的に出てきておって、実質的にそういう仕事をりっぱにやっておるものにむしろ大いに援助していくべきである、こう思うのであります。  その事業についてでございますが、当初の案におきましては、中小企業庁の案を拝見しますと、その事業内容を非常に適切に、中小零細企業に向くように、ずっと具体的に列挙してあります。経営改善事業といたしまして経営改善普及指導所というものを作るとか、その普及員というものも法文のうちにございます。そうしてこの普及員を養成し、やっていく、こういう制度が法案に出ておるわけであります。それがいつの間にか抜けてしまいまして、本案を見ますと、先ほども御指摘があったようなはなはだあいまいな形、政令によりということになっております。どうも案ができました当初とだんだん変わってくる過程において、商工会議所等のいろいろな抵抗もあったでありましょう。元来小規模企業者のためにやるという具体的な目標の影が薄れてきた。いろいろ商工会を作って、また商工会議所にその仕事をやらせて援助する、そういう方に行ってしまう形だけが作られてきて実質が失われてきておるのではないか、こういう心配があるのであります。ことに予算を見ましたときに、普及員を大いに養成し、それに対して国が助成する、これはけっこうなことでありますが、これもどうも考え方が甘過ぎるのではないだろうか。なぜかといいますと、すでに五百六十何名の普及員があります。それに対して新しく千八百余名の普及員をここで作るわけであります。この普及員をどういうふうにして選ばれ、またこれをどう教育し、訓練していくか。零細企業なんか簡単なものだとお思いになるかもしれませんが、これは大きなあやまちであります。零細企業指導は非常にむずかしいのであります。そういう意味からいっても、普及員をどう養成し、これをほんとうに有効に活躍させるかということが、最も大事な焦点だと思うのでありますが、どうもそういう点において楽観し過ぎておるのではないか、こういう点からも私ははなはだ心配に思います。  さらに中小企業に対する政策零細企業に及んできたことはけっこうだと思いますが、今までの政策というものが、実に朝令暮改的といいますか一貫していない。もうすでに協同組合あり、商工組合あり、さらにまた零細企業のための共同事業の小組合さえあるのであります。これなどは、法律を作ったが、実質はまるで行なわれていないという事情であります。さらに企業組合もあります。こういう今までやってきたものをもう一度検討しまして、じみちにこの欠陥を直して伸ばしていくという努力が、政府の政策面に現われてこなければならぬ。そういう点目先々々で変わっていく。そうすると、その目標がほんとうはどこにあるのか、そういう点で深い疑問を持たざるを得ません、こういう気がするのであります。選挙とかいうことで大いに国民の、零細業者の関心を買うということが、もしもその陰にあるならば、はなはだ邪道だといわなければならぬと思います。この予算ができ上がってくる過程をいろいろ仄聞いたしましても、はなはだ政治的なにおいを感じざるを得ない。どうかそういうことのないようにお願いしたいと思います。  最後に、私先年欧米各国の中小企業政策を調べて歩きました。その中で特に私感じたのは、ヨーロッパ大陸におきましては、ことにドイツを中心とした形でございますが、手工業という呼び名でありますが、サービス業も肉屋とかその他の商店も入っておるわけであります。いわば零細企業の大部分がそこに入っておる。むしろ中小企業政策零細企業政策に焦点が置かれておる。長い伝統を持っておるとはいいますけれども、これが非常に整備された組織を持ち、ことに実質的な、たとえばドイツについていえば、それぞれに同業組合があります。これは自由なものでありますが、その上に手工業会議所なるものがある。これが非常に大きな機能を果たしております。つまり商工会議所零細企業のための手工業会議所が並んで存在しております。この手工業会議所というものが、いろいろな意味の活動を総合的にやるのでありますが、その中で、特に技能の養成、職業教育、こういうことに焦点を置きまして、そして業者資格と親方免状でありますか、そういうものを規定しております。これによってまた過当競争も防がれておる。日本商工会法案を見まして、これで零細企業全体の対策とは当局考えていないと思いますが、どうか、そういう零細企業対策の総合化、これをはかっていくための中心になるもの、こういうものをここでお考え願った方がいいのじゃないか、こう思う次第であります。  零細企業対策というものの、もう一つの重要な面をいいますと、これは社会保障の問題であり、労働の問題であります。零細企業の根本の問題は、中小企業といっても、その中に階層があり、また非常にしわ寄せがある。大企業から中小企業、さらに零細企業、そういうしわ寄せをこうむる。いろいろな意味のしわ寄せがある。ということと同時に、この労働が非常に低い水準の報酬で甘んじている。つまり、賃金が非常に低い水準にある。そのことから、あとからあとから作られますし、また低い賃金の人がやめて新規開業するということも非常に多いというような事情にある。結局一方のいわゆる社会政策、労働問題の政策というものと経済政策とがかみ合っていかなければ、ほんとう意味零細企業対策はできないのであります。この委員会とは別かもしれませんが、どうもこの技能養成一つとっても、労働省の方でどうだとか、お役人の間で分裂してしまっている。もっとこれをほんとう零細企業のための統一したものにしていってもらいたい。たとえば、雇用審議会が完全雇用に対する答申をいたしておりますが、こういうふうなものが実は零細企業の安定、体質改善に最も重要なものであるということを最後につけ加えまして、私のお話といたします。(拍手)
  6. 中村幸八

    中村委員長 ありがとうございました。  各参考人方々に申し上げますが、せっかく貴重な御意見をお述べ願うわけでありますが、時間の制約もありますので、先ほど申し上げましたように、十分以内に御発言をお願いしたいと存じます。  次は、井上光一君。
  7. 井上光一

    井上参考人 私全国商工会連合会の井上でございます。今般は、政府から提出して下さいました商工会組織等に関する法律案に対しまして、私ども商工会関係者は、従来全く恵まれなかった小規模事業者、特に郡部町村小規模事業者の保護、育成に重点を置かれました施策を初めて打ち出していただきまして、各政党の皆様方におかれましては、大へん好意ある御審議を受けていることに対しまして、心からお礼を申し上げる次第でございます。  この商工会の法制化の問題は、実は昨年の三月、全国二十六府県によって全国商工会連合会が結成されましたときから、全国各地の県連合会を通じての強い要望によって始まりまして、実は国に対して商工会助成法を要望いたしたのでございます。御承知のように、最近の経済情勢、特に郡部町村の零細業者にとっては、現実の問題として、大企業あるいは都市部業者の圧迫その他によりまして、日一日と自分たちの領分と申しましょうか、購買層を減らされておるのが現状でございます。こうした困難に対処する自己防衛策も、現在単位の商工会に課せられた大きな問題でございますが、実は単位商工会だけでは、そういう共通問題がなかなかできないであろうということを私ども考えます。従って、県連合会全国連合会等の組織を通じまして、こういう組織の中から、さらには本質的な問題である業者の根本的な体質改善等が強く研究され、実施されていくべきであろう、かように考えるわけでございます。こうしたときにあたりまして、全国連合会といたしましては、商工会の法制化は、今申し上げた理由によりまして、単なる法制化でなくて、助成、保護の面を強く打ち出した商工会助成法が必要であるというのがその結論であったわけでございます。  従ってこの要綱及び同法の制定に関する要望書を、先般政府に提出いたしまして、幸い皆様方の絶大なる御高配を得ているわけでございますが、現在任意団体として存在する商工会は、全国で三千六百余の市町村のうちで七二・二%に当る二千六百市町村に結成されておりまして、さらに商栄会とか発展会とかいうような、これに類似した、同じような業務を行なっている団体をも合わせますると、未調査の分を入れますと、三千余に達するのが現状でございます。また商工会は郡部町村にその八四%が存在をいたしておりまして、残りの一七%が商工会議所のない、いわゆる都市部に一部あるのでありますが、これらの商工会の法制化を望んだのが私どもの希望でございます。  従来都市部には、御承知のように法的の団体である商工会議所存在をいたしておりまして、地域経済の発展のための諸施策に当たっておりましたが、御承知のように、国の施策もほとんどこれら会議所を通じて重点的に都市部に集中されてきたのでありまして、従いまして反面、郡部町村小規模事業者には、町村経済の発展と租税面で大きく貢献しているにもかかわらず、保護育成の面については多少忘れられていた、非常に薄かったということが指摘できるのではなかろうかと思うのであります。そこで全国連合会としては、都市部に対してと同一規模でもその内容においては非常に立ちおくれている郡部の特殊性というもの、いわゆる同じ小規模事業者でありましても、都市部のそれと郡部とでは大へんそこに相違があるということを考えまして、それらの体質改善と振興を大きな眼目として、いわゆる地域格差の縮小と地域の総合的経済発展を、商工会法制定によって解決しようと考えて運動してきたわけでございます。  商工会組織率は会議所の一割に満たないそれに比較いたしまして、最高一〇〇%に近いものもあります。大体五、六〇%、平均全国で四五%でございまして、これを見ても、いかに商工会地区業者の底辺を形成しているか、いわゆる町ぐるみ、村ぐるみというような考え方、あるいはそういう組織小規模事業者が加入しているほとんど唯一の経済的指導団体であるということが立証できると思うのであります。この全国町村に網の目のようにできている商工会は、市町村あるいは県を通じての国の行政につながるものでありまして、この活用は国の行政に直接つながっており、従来なし得なかったいわゆる上は三百人から下はゼロまでという大きな層を、ただ単なる中小企業者といったような対策で、大まかな施策しかできなかったものが、これらによってもっときめのこまかい諸施策が、この組織を通じて浸透してきて、その効果が大きく期待されるということを私どもは確信いたしておるわけでございます。  商工会事業は、金融のあっせんとかあるいはそれらの償還業務等を初めとして、納税の指導とかあるいは経営指導、あるいは各種の関係法律の事務代行等が活動の中心でございます。いわゆる地域全体の仕事商工業仕事というのが仕事でありまして、業種別協同組合の組織をいわゆる縦の線、点と点をつないだ縦の線と考えるならば、これらは、それらが羽ばたき、成長していく、一つ地域をレベル・アップさせるための、全体の横の面、広い面であるというふうなことが言えると思うのでありまして、そういうことから考えますと、ある場合には協同組合は商工会の一分野でもあるというようなことが考えられておるのであります。いわゆるこれと競合心配は全然ないと考えておるわけでございます。むしろ商工会の発展が、協同組合を組織させ、育成をさしていくというふうにも考えておるわけであります。  結論的に申し上げれば、私ども連合会は郡部、町村に自然発生的に、必然的な必要性によりまして生まれてきおりまする、しかも至って民主的に町ぐるみ、村ぐるみの組織によってできております商工会を法制化しまして、最近長足な進歩を遂げておりますところの農業面における技術革新に見られるような普及員制度を実施いたしまして、大幅な国の指導、育成措置を行なって、小規模事業者のための事業を活発にせしめ、私ども地域の経済の発展と、ひいては全国三百余万の小規模事業者の安定をはかっていただきたいということを、強く嘆願申し上げるわけでございます。  なお商工会議所との地区の問題でございますが、これは商工会議所が自分の地区として抱いております、いわゆる行政区域の違った郡部、町村の分につきましては、やはり現実に商工会があって独立して業務を行なっておるというものにつきましては、これを分離して設立を許可していただくことがほんとうであると考えておりますが、商工会議所の所在市内の小規模事業者対策につきましては、この問題は特に六大都市というようなところでございますが、こういう問題は現在われわれは直接関係もいたしておりませんし、研究もまだ不足でございますので、申し上げられる内容もございませんが、具体的な点については、どうか別途な観点から、そういう人たちの話し合いによって、妥当な結論が打ち出されてしかるべきではないかと考えるわけでございます。  以上まことに抽象的でございましたが、時間が参りましたので、私の方の公述を終わらしていただきます。ありがとうございました。
  8. 中村幸八

    中村委員長 次は河野貞三郎さん。
  9. 河野貞三郎

    ○河野参考人 私は商工会法の問題につきまして、かねて請願、陳情等を申し上げたいと思っておったのでありますが、幸い本日は各党の諸先生方から意見を述べるようにという公聴会を開いていただきましたことを、この点から厚く感謝する次第でございます。  初めにこの商工会法案の提案理由と、それからこの法案との関連に疑問の点が非常に多いので、その点から触れさしていただきたいと思います。三月四日に政府が国会に提出いたしました商工会組織等に関する法律案につきましては、同日の本会議におきましても社会党の小林代議士、民主社会党の北條代議士からも重要な意見が述べられておりますが、私は戦後間もなく小規模業者商工会組織いたしまして、さらにその全国連合会を作り、その後十四年間にわたって小規模事業者の経営の改善発展と、生活安定のために運動して参りました者の一人といたしまして、この商工会法案には重大な利害関係もございますので、特に意見を申し述べてみたいと思うのでございます。  この提案理由の説明書にも示されております通り、一口に中小企業と申しましても、いわゆる独占的大企業に対比して言われる中小企業と、私どもの属する小企業とは、その経営格差におきましてはなはだしい違いがあることは、すでによく知られるところであります。現在日本の産業構造は二重構造であると言われておりますことが定説のようでございますが、本法案参考資料にも示されております通り、製造業において二十人以下、商業サービス業において五人以下の従業員を有する小企業が、その事業所の数におきまして全産業の八五%を占めており、またその従業員数は千五百万人に近いと言われております。この実情から見まして二重構造のもとにさらにもう一つの膨大な階層が存在すると言うことができると思うのでございます。しかるにこの小規模業者の層に対しまして、政府は従来どのような施策を行なって参ったのでございましょうか。この理由書においても必ずしも十分とは言えずと申しておりますが、まことに不十分であったと私どもは思っておる次第でございます。このことは三年前の団体法についての論議の中でもいわれたことでございますが、これらの点から見まして、この商工会法案を提出する以前に、従来の事業協同組合法または団体法によっても解決できる多くの問題があったことを指摘したいと思うのでございます。この理由書にももちろん金融措置、税制措置についても考慮する必要があると、きわめて軽く扱っておられますが、このことこそわれわれ小規模業者にとっては最大の要望だったのでございます。これが早期実現を期待していることは、ここ数年来中小企業者の全国的諸団体が繰り返して行なっている決議の中にも、強く示されているところでございます。たとえば全国商工団体連合会日本中小企業団体連盟、全日本小売商団体連盟、全国青色申告会連合会等が、その主要な要求として次のようなことを掲げていることは御存じだと思います。一、税問題について、店主及び家族専従者の給与——自家労賃分を経費とし、これを損金として認めよ。一、租税特別措置法の改廃、大企業、大法人専用の措置をやめ、中小企業の店舗改装、設備改善などの積立金を免税にすること。一、間接税の軽減。一、大衆的遊興飲食税の減免。一、固定資産税の免税点の引き上げと税率の引き下げ。一、個人事業税の撤廃。一、住民税その他地方税の軽減、特に所得税におきましては、免税点の引き上げと減税の実施が、欠くことのできないものであることは言うまでもないと思います。また金融の対策につきましては、一、財政投融資ワクより中小企業向け金融に対する大幅な融資、またその他の方法による国民金融公庫を初めとする中小企業向け金融機関に対する投融資の増額。一、貸し出し条件の緩和並びに貸し出し手続等の簡素化等があげられるわけであります。以上の諸問題が今日全小商工業者の強い要望になっているにもかかわらず、ここ数年来の政府の中小企業対策の中に、それらの解決策を見出すことは困難であります。私ども中小企業者から日常聞いておりますことは、政府には中小企業問題の根本的解決策がないのではないかということであります。前に述べました諸要望とともに、最近特にいわれておりますことは、現在小売商業人口は飽和状態以上であります。そして過当競争は激烈をきわめておる現状でございます。しかるに政府は、現在の長期経済計画の中におきましても、毎年五、六万人の小売商人口の増加を見込んでおる状態でございます。また税制上でも、自家労賃の損金算入と所得税の免税点の引き上げのごとき、やむにやまれぬ業者要望に対しましても、本年のごとく膨大な自然増収がある年度においてさえも、もちろん他に重要な理由があったと思いますが、これに対して小額の考慮も払われていないというようなことは、小企業者要望を全く無視されているといっても差しつかえないのではないかと思う次第であります。知られます通り、近年中小企業関係法令が多数公布されておりますが、その中でも業者は百貨店法や団体法に多くの期待を持っていたわけであります。しかし百貨店法はざる法といわれ、百貨店拡張促進法だといわれておる現状であります。また団体法にいたしましても、商工組合設立の条件があまりにも過酷で、利用ができない。特に団体法の中の事業協同小組合については、その組織対象がこの商工会法案の対象とも関連が深いのでございますが、中小企業協同組合法第二十三条の三において、「政府は、事業協同小組合の組合員に対し、税制上、金融上特別の措置を講じなければならない。」との決定がなされておりますにもかかわりませず、すでに二カ年以上を経過いたしました今日におきましても、事業協同小組合に対して税制、金融上に何ら特別の措置を講じられていないと思いますが、このようなことでは、どれほど法律を作りましても、小規模事業者のためにはならないのではないかと思います。この点につきましては、小規模業者の間に新しい法律を作る前に、既存の法律を完全に実施してほしいという声が、圧倒的であるということを特に申し上げておきたいと思う次第でございます。  以上を通産大臣の提案理由に対する意見といたしまして、次に法案の条文に示された主要な内容について申し述べたいと思います。  一、提案理由の説明の中では小規模事業者に対する施策が強調され、また法案第一条の目的の項においても「小規模事業者のための事業活動を促進するための」云々ということが述べられておりますが、また第二条の2には「「小規模事業者」とは、常時使用する従業者の数が二十人(商業又はサービス業を主たる事業とする事業者については、五人)以下」という規定がありますが、第三節の法案第十三条、第十四条の会員資格におきましては、小規模事業者が明確になっておらないわけであります。これでは地方町村といえども、最近のごとくオートメーション化されつつある企業のある現在、従来の商工会議所と同じように比較的大きな企業者の支配する商工会になるのではないかと思います。現在の商工会においても、一部にはすでにボス的幹部の各種の押しつけについて問題がありますが、これに通産大臣の大きな権力が加わった場合には、往年の商業報国会、産業報国会のごとく、ボス支配の強化と官僚統制の復活になる危険があるのではないかと思う次第でございます。  次に、第七条の一地区商工会とする、また商工会議所との重複認めないということであり、しかも第十三条の資格者が二分の一以上でなければ設立認めないということは、現在の自由主義の理念にも反し、また憲法に示された国民の結社の自由にも反するのではないでしょうか。現在の小規模事業者の特質、たとえば一小都市においても山手と下町との違い、商業と工業との違い等から見ましても、適正規模であるならば複数であってもいいのではないでしょうか。むしろ商工会間の善意の競争によって、よりよい商工会を発達せしめることが重要であると思うのであります。特にまた商工会議所のある都市においては、それに指導権を与えるということは、商工会議所が事実上多かれ少なかれ大企業の利益を代弁する団体となっている現在、かりにこの法律の必要を認めたといたしましても、矛盾きわまるものだと思います。  次に、第四節の設立に示された申請及び認可の件でございます。商工会の性質からいって、地方自治とも密接な関連のあるものでありますから、事業協同組合と同じように地方自治体の取り扱いにすることが必要であると思います。従って、以下法文中通産大臣とあるところは、以上の趣旨からこれを都道府県知事に置きかえるべきであると思うのでございます。  四番目には、第六節の第五十条の立ち入り検査及び第五十一条の警告及び第五章の罰則等はあまりにも苛酷に過ぎはしないでありましょうか。そしてこれらの点に官僚の権力主義が露骨に現わされており、零細な商工業者に恐怖の念を抱かせることになるのではないかと思います。なおこのような規定は、政府が団体事業を指定し、そのひもつきで補助金を与えようとするところに端を発していると思いますが、かかるひもつきの補助金制度では、現実にはあまりその団体の発展に役立つことは期待できないようであります。たとえば私の見るところでは、中小企業団体中央会の場合にいたしましても、補助金による指定事業が重荷となり、自主的な事業活動を圧迫しているのではないかと考えます。  五番目に、附則の第二条において「現に商工会という名称を用いている者は、この法律の施行後一年以内に、その名称を変更しなければならない。」ということであるが、これはあまりにもむちゃなことではないでしょうか。官僚統制を好まず、自主的に運営したいという希望を持つ十年、二十年あるいは戦前からの多数の商工会もありますが、その固有の名称を強制的に取り上げることは、名称変更が不利不便であるばかりでなく、既存の商工会の建造物及び各種財産に表示された標識の変更撤去等を要することになり、このことは既存の自主的商工会の受ける有形無形の損害は莫大なものがあると思います。これは明らかに一種の財産権の侵害になると思います。  以上この法案の提案の理由及び法案のおもな条文においての意見を申し述べて参りましたが、従来商工会を運営してきた経験から特に申し上げておきたいことは、この法案対象とする小規模業者の持つ商工会に対する要望でございます。単に経営指導金融のあっせんだけではない、その要求は多種多様であります。税務、経理の指導、土地建物の紛争の解決、金銭の貸借、手形及び債権債務の整理等にまで及んでおります。ある商工会の実例によりますと、この四年間の集計で、税務、経理以外のこれらの正式受付件数は一カ年百十九件から二百七十件の多数に及んでおります。しかも大体難問題が多く、従って、これら小規模業者対象とする商工会指導員等は、小規模事業の改善によほどの情熱を持つ者でなければできない仕事であると思います。聞くところによりますと、すでに各地の商工会が予定しておりますところの指導員の六、七〇%は退職官吏等によって占められているとのことでございますが、これがそのまま実施されるようなことがもしあるといたしますれば、法律による統制強化とともに、日常の運営においても官僚支配を強め、官庁のごとき商工会が出現するのではないかと危惧するものでございます。  今まで述べましたところによってもおわかりのことと存じますが、私は商工業者の協同精神によって自主的に組織された商工会に対しまして、政府、国家が援助育成の手を差し伸べることにつきましては、これを望むものでございまするけれども、これに太いひもをつけまして官僚統制化することにつきましては、反対であることを申し上げなければならないと思います。  以上、簡単でございますが意見にかえさせていただきます。(拍手)
  10. 中村幸八

    中村委員長 次は高城元君。
  11. 高城元

    高城参考人 私は全国四百三十六の商工会議所を代表いたしまして、商工会組織に関する法律案について意見を申し述べたいと思います。  この法案は、主として町村におきまする商工業の総合的な改善発達をはかるために、商工会組織と運営について規定されております。商工会をいわゆる特殊法人といたしまして、商工会議所に対しますると同様の政府の監督のもとに置き、かつ商工会議所商工会との間並びに商工会相互間の地区重複を禁ずる旨を規定しております。さらに、商工会議所商工会の行なう小規模事業に対しまする国の助成意思を明らかにされておるのでありますが、私はこの法案に全面的の賛意を表する者であります。  商工会の法制化の問題につきましては、すでに早く昭和十四年、日本商工会議所におきまして、これが法制化に関しまして政府に建議をいたしておるのでありますが、商工会議所商工会地域経済総合団体として相ともに商工業の振興に邁進すべきであるという考え方は、戦前の時代から一貫しておりまする商工会議所考え方でございます。現におおむねの地方におきましては、何らかの方法によりまして相互に連携をして、その地域の経済の振興に当たっておるのでありますが、特に十一の県におきましては、商工会議所商工会が相集まりまして、一つの県の連合会組織いたしまして、その県の経済の振興に当たっておる実情でございます。この法案によりますると、商工会商工会議所と大体同様の性格を持ち、いわば簡素化された商工会ないしは小型の商工会議所のような性格に規定されておるのでありますが、これはまことに正しい規定の仕方でございまして、従来商工会が発展をいたしまして商工会議所になりました例は、きわめて多いのであります。最近三年間に認可されました商工会議所が十あるのでございますが、そのうち特別の例外一つを除きましては、九カ所は商工会が発展して商工会議所になったものであります。特別の例外と申しますのは、奄美大島の会議所でありまして、これは琉球政府の治下にありましたので、当時から商工会議所と称しておったわけでございます。  なお、商工会という言葉が商工会議所とよく似ておるという例といたしまして、これは古い話でございますが、わが国の商工会議所の歴史の上から申しますと、明治十六年から二十三年の間、いわゆる当時商法会議所——武士の商法の商法でありますが、商法会議所と呼ばれておりました会議所が、商工会という名前でやっておった時代が四年間ばかりあったのであります。  今日各地の商工会は、その地域商工業の振興のために、商工会議所と類似のいろいろの事業を行なっておられると思うのでありますが、その点は今後におきましても同様に行なわれるべきであろうと信ずるのでございますが、なかんずく小規模事業に対しまする指導事業は、今後の商工会にとりましては、商工会議所におけると同様に、きわめて重要な仕事となるべきものと思われるのであります。政府原案が、これに関しまして、商工会議所商工会に対して、政府助成の意思を法定されておりますことは、深く敬意を表する次第でございます。この機会に、商工会議所が従来行なって参りました小規模事業指導事業につきまして一言申し述べて、御参考に供したいと存じます。  商工会議所は、その地域商工業の振興に役立つことは、何でもやつで織るのであります。商工会議所仕事があまり多過ぎるということは、常に言われておるのでございますが、たとえば東京商工会議所では百六十七の項目の仕事をやっておる。世界におきましても、たとえばニューヨークの商工会議所の事務総長は、商工会議所仕事説明することはまことにむずかしいと言っておりますが、これは世界的の傾向でございます。これは経済総合団体という性格から参るのでございまして、非常に各種の仕事をやっておるのでございますが、全国を平均いたしまして、会議所の会員の七割というものは、この法案でいう小規模事業者であるというような関係からいたしまして、小規模事業者に対する育成指導というものは、その重要な部分を占めておるわけであります。  中小企業指導のために、わが国に初めていわゆる中小企業相談所というものが設置せられましたのは、昭和九年、当時零細企業対策などという言葉はございませんでした、あるいは小規模事業対策などという言葉はございませんでした。その昭和九年に東京商工会議所が、外国の商業会議所の制度を取り入れまして、わが国の実情に合うように改変して導入いたしましたのが、嚆矢でございます。その後この制度が全国商工会議所に普及をいたしまして、そのうちに他の機関におきましても、この種の事業商工会議所にならって行なうものが出て参りまして、今日に至っておるのであります。  中小企業庁の調査によりますると、中小企業相談所は、三十三年度で全国六百七十二カ所ありますが、そのうち商工会議所に設置せられておりますものが四百三十二カ所、六四%であります。商工会や県、市等に設置せられておりますものが、二百四十カ所ということになっておりますが、指導相談件数から申しますと、商工会議所の取り扱っておりますのは、全国で年間九十一万件、そのうち六十六万件、比率にして七三%を占めている現状でございます。商工会議所の扱っております相談事業内容を項目別に分けてみますと、お手元に資料を差し上げてあると思いますが、昨年十一月の数字によりますと、一会議所当たり一カ月百六十四件の相談指導をいたしておりますが、そのうち金融関係が三七・六%、税務の関係が一〇%、商取引の関係が一九・一%、その他経理、経営、法規、貿易、労働、資材、技術、意匠、特許等合計で三三・三%ということになっておるのでありまして、およそ商工業の経営の全般にわたりまして、中小企業者の相談相手として日夜活動を行なっておるのであります。日夜と申しますのは、商店街に出張して参ります場合は、五時過ぎか六時過ぎでないといけないのでありまして、昼間だけやっておるのではありません。  次に指導相談の対象業者規模別に見ますと、同じく十一月の数字によりますと、従業員を雇っていないものが一八%、一人から五人を雇っておるものが四〇・一%、六人から十人のものが一八・二%、十一人から三十人のものが一〇・八%、三十一人以上のものがわずかに五・九%であります。すなわちほとんど大部分がいわゆる小規模事業者を相手として仕事をしておるわけでありまして、これらの相談事業はすべて無料を建前としておるものでありまして、商工会議所はその公共的使命にかんがみまして、会議所の会員であると会員でないということに区別をつけておりません。同じく十一月の数字によりますると、月間百六十四人のうち八十二人が会員、七十六人が非会員、六人が不詳ということになっておるわけであります。  これらの指導事業を行なうにあたりまして、商工会議所といたしましては、その規模によっていろいろ異なりますが、たとえば商業経営、工業経営、税務、金融、法規、特許、技術、労務、それぞれの専門家を雇用いたしまして、あるいは嘱託をいたしまして、専門的見地からその指導を行なっております。商工業の業態は申すまでもなく一様ではございません。それぞれ特殊性を有しておるのであります。またその指導を要する項目も、それぞれ異なっておるのでございまして、このような専門家が必要となるわけであります。従いまして、これらの専門家をなるべく数多く持つということが、りっぱな指導事業を行ない得るゆえんでありまして、この意味からは、なるべく大きい機関に集約的にこれを備えしめるということが効果的であると考えられます。かかる意味からいたしまして、都市におきまして、商工会議所小規模事業指導につきまして、これを一そう強化するように本法案考え方があることは、全面的に賛意を表する次第でございます。  今日までの商工会議所法は、昭和二十八年に、当時の自由党、改進党、左右両派社会党の共同御提案になる法律でございます。当時共産党もこれに賛成を表されたわけでございます。商工会議所といたしましては、いわばこの挙国一致体制のもとに作られました法律のもとにおきまして、各種の事業を活発に行なっておるのでございます。年々これらの事業は伸長をいたしております。特に今日問題となっておりまする小規模事業者に対しまする指導事業につきましては、東京商工会議所の例をとりましても、昭和二十九年の一万三千九百件から三十二年に二万六千三百件、まさに倍に増加をいたしておるわけであります。  どうかこの実情に注目せられまして、商工会議所商工会が相互にその領域を侵すことなく、相提携して、おのおのその十全の機能を発揮し得るよう、政府原案に各政党一致してこれを通過していただくようにお願いをする次第であります。
  12. 中村幸八

    中村委員長 次は高橋貞治君。
  13. 高橋貞治

    高橋参考人 ただいま御紹介をいただきました全日商連高橋貞治でございます。  お尋ねをいただきました商工会組織等に関する法律案につきまして、全日商連を代表いたしまして一言見解を述べさせていただきます。  すでに御承知いただいております通り、私ども全日商連は、昭和三十年十月、当時の百貨店対策小売商連全国連合会を直接の母体といたしまして、これを発展解消し、小売商の三つの異なった性格の組織であります業種別組織商店街など地域組織、それからチケット団体の大同団結体として結成いたしましたものでございます。全日商連の方針は、あくまでも政治的にはフランクの立場で、小売商による小売商のための小売商の自主的な大同団結体として、小売商の生活と営業の安定向上のために努力いたしておる次第でございます。  全国百五十万を数える小売商店の中で、店主を含めて従業員四人以下の小売商店数は九二・八%を占めており、家族従業員のみで店員を雇わないで営業している小売商店の数は、実に全体の七五・二%に達するのであります。従いまして、百貨店を除いて、と申しますよりは、百貨店並びに準百貨店などの事業活動の影響を受け、これに対する対策のために結集した小売商の組織の連合体であります全日商連は、まさに零細、小規模事業者組織でありまして、この点からも、政府があらためて中小企業の中でも特に小規模事業者に対する施策に力を入れることを決意されたことに対しまして賛同いたし、これが強力に推進されることを願うものであります。  予算面から見ましても、乏しいものではありますが、中小企業対策費の二十四億円の中で、その六分の一を占める四億円余が小規模事業対策費として今年度一挙に計上されておりますことからもその熱意がうかがわれ、期待いたす次第であります。この上はこの予算が有効適切に運用され、十二分の効果を発揮するよう念ずるわけでございます。  この点、今日お尋ねをいただきました商工会組織等に関する法律案につきましては、せっかくの趣旨が実効を期し得ないのではないかと、今一歩の感を禁じ得ない点を申し上げないわけには参りません。と申しまするのは、この商工会組織等に関する法律案では、商工会設立商工会議所のない地域、主として郡部等に限られ、商工会議所のある地域においては、小規模事業者のめんどうを商工会議所に見させようという構想になっている点であります。仄聞いたしまするに、この法案の立案の当初におきましては、全国一律に商工会設立せしめる趣旨であったとのことでございますが、政府当局ほんとう小規模事業者指導振興をはかろうとされるならば、商工会議所地域内に商工会設立認めないという考え方にはどうしても納得がいかないのであります。商工会連合会方々などの御意見の中に、郡部町村業者は全く日の目を見ていない。何といっても都市の業者は恵まれているというような考え方があるようにも感ぜられるのでありますが、これは、小零細業者小規模事業者に限っていうならば、全く当たらない考え方と申すほかはございません。今日までの中小企業対策はどうしても工業重点になりがちでありましたし、また中小企業の中でも上層部のいわば中小企業対策の感が強いのでございます。もちろん、窓口としては、公平に零細業者にも開かれておるのでございますが、利用する度はやはり圧倒的に中小企業でございます。この点、窓口が開かれているというだけの意味でございますれば、これは、町村郡部の業者も全く同じ立場であるわけであります。むしろ業者数といたしましては、ほぼ二対一の割合で都市業者の数は多いのでございますし、また小零細業者の質の問題は、この際軽視できない問題であろうと存ずるのであります。  郡部町村の小零細業者内容は、規模が小さいという面から分類いたしますれば、都市の場合も同様でありますが、半農半商的存在である場合、あるいは地主兼業である場合など、副業的性格の場合が非常に多いと思われるのであります。これに対しまして、都市の小零細業者は、まさに失業の吹きだまりそのものでございまして、決して都市の方が恵まれていて、郡部町村業者が恵まれていないということではないようであります。また郡部町村業者の問題として、地元の購買力まで都市にどんどん吸収されてしまうという点で、防衛と申しますか、地元業者事業の改善発展の必要性を痛感されておると存じますが、この点については、都市対郡部町村の対立ではなくて、都市の大企業対小零細業者の問題であり、小零細業者としては都市の業者も郡部町村業者も同じ立場で、大企業の影響を受けているのであります。  私ども全日商運の仕事一つであります百貨店対策にいたしましても、常に百貨店のある都市の小売商と同時に、周辺町村業者にも百貨店の新増築などの問題の発生を連絡して、一丸とした運動を起こすよう努めているのでございますが、問題は小規模事業者という立場において、都市と郡部町村の置かれている立場は同じであると存じます。  ただいままで申し上げました点は、商工会組織等に関する法律案につきまして、都市、郡部町村いずれの業者にいたしましても小規模業者である限り、同じ条件と方法において法律の恩恵に浴さるべきであるし、この両者を区別して考えることは理由のないことのように思われるということを申し上げた次第でございます。  次に、商工会議所商工会と同様の仕事小規模事業者のめんどうを見させるということでございますが、何ゆえそうしなければならないのでありましょうか。商工会議所が現に中小企業相談所を設置しているからということであるならば、都道府県も市も区も町役場も現に相談所を設けているところがあるのでありまして、会議所の所在地には商工会認めない理由としては弱いと申さざるを得ません。ことに商工会の法制化とこれに対する補助を思い切ってやられるという今回の小規模事業対策は、小零細業者の日常のめんどうまで見るとうたわれておるのであり、現存する任意団体としての商工会の平均会員数が百六十人であることからしましても、都市の商工会議所が相談所の窓口を一つ持っているということが、実績としてそれほど大きなものであるとは申せないのではないかと思われます。  現に東京商工会議所では規約を改めて支部を設けるようでありますが、もしこれがこの法律との関係において規約を改正したものであるとするならば、これは実績ではなく新規のものであるわけであり、会議所があるから商工会は要らないということにはならないのではないかと存じます。私どもは、多くの商工会議所において、多くの役職員の方々が零細業者のめんどうまでよく見て下さるということを知っており、この方々を尊敬申し上げておりますが、このことと商工会議所で零細業者のめんどうまで見切れるかということは、区別をして考えなければならないと存じております。  特に全日商連が諸先生方にお願い申し上げて百貨店法を制定していただきました、その法律制定促進の運動の過程におきまして、また百貨店法によりまして、百貨店の増新設の抑制運動の全国経験に照らしまして、商工会議所が小零細業者のものでは決してないということを、残念でございますが、申し上げざるを得ないのであります。  大都市においては確かに大企業本位の運営になるかもしれないが、地方小都市では、商工会議所会員の大部分は中小企業なのだから、そういうことはないのではないかという意見もよく聞くのでございますが、小都市は小都市なりに、やはりその地における小零細業者自身の組織でなければ貫くことはできません。ウサギの子のめんどうはウサギの親、ウサギの兄姉がすべきであるということを、この点に関し強く申し上げお願いいたします。もしどうしてもウサギの子の世話をウサギにまかせられないならば、公の立場から都道府県、市役所、町村役場に商工相談機関、指導機関等を設け、あるいは強化するなどの方向で、この問題の解決に当たるべきであると存じます。  さらに、この点から敷衝いたしまして、商工会を法制化する最大の理由であり、かつ商工会の主たる事業小規模事業対策にあるにもかかわらず、そうしてそのために相当額の補助金が用意され、第二条の二には小規模事業者の定義までもありながら、商工会の目的を地区内の商工業の総合的改善発達と唱え、さらに会員資格を各地区内の商工業者一般と規定して、大中規模事業者も含めた商工会を想定していることは、小型商工会議所法ならばともかく、小規模事業者のための組織としては、画龍点睛を欠くうらみが残るのではないかと存じます。また員外役員の割合も、私自身戦前からの組合事業に携わって参りました者の経験から考え合わせまして、少し多いように感ぜられます。  最後に、商工会に対し立ち入り検査ができる条項がございましたが、この点、多額の助成をいただく関係から、当然といえば当然でございましょうが、商工会議所には、そのような規定はなかったように思いますので、このような点で両者を区別することもないのではないかと感じまして、一言つけ加えます。  以上、はなはだ思いのままを申し上げまして、雑駁、お聞き苦しい点もあったことと存じ、恐縮でございますが、要は、業者組織は自主的なものでなければ実効は期待できませんし、国等の御援助も、業者自身の努力をささえ、助成するというのでなければならないと存じますので、他の点はともかくといたしまして、都市の小規模事業者の対策を、商工会議所におまかせになるという法律のシステムだけは、ぜひともお改めいただきますことを重ねて申し上げまして、私の陳述を終わらせていただきます。(拍手)
  14. 中村幸八

    中村委員長 次は中嶋四郎君。
  15. 中嶋四郎

    ○中嶋参考人 私ただいま御紹介をいただきました中嶋四郎でございます。平安企業組合理事長としての身分のほかに、京都府中小企業団体中央会の副会長としての立場からも、当委員会に御意見を申し上げさせていただきたいと思います。すでに多くの方々から御意見が出ておりまして、ほとんど私の申し上げます意見重複いたしますので、できるだけ同じ意見は避けまして、違う観点から、許される時間内において申し上げてみたいと存じます。なお石井さん、伊東先生初め、皆さんの御意見がございましたが、商工会議所高城さんの意見とだけは少し私違いますので、これもあらかじめ御了承いただきたいとともに、私の発言の中に多少失礼にわたります言葉がありましても、これはあくまで国会の権威にわれわれ業者が高い信頼を掲げておるという上に立っての発言ということでお許しを願いたいと思います。  今回の商工会法の制定にあたりまして、われわれ零細業者といたしましては、双手をあげて賛成をいたしております。従来、政府の行政の中にありまして、中小企業政策といろいろいわれておりますが、現実的に零細企業にまで手のおりた考え方をされたのは、私は、今回が初めてではないかと思います。思い起こしてみますと、三年前のあの中小企業団体組織法の制定に際しまして、中小企業等協同組合法の中に、事業協同小組合という制度を、先生方の御尽力によりまして、これこそ零細企業対策であるということでお許しをいただきまして、法律の第二十三条の三にいたしまして、これに対しましては、税制上、金融上の特別の措置をしなければならないと、わざわざ立法府においておきめ願いながら、行政機関においては、これを一向、三年間も取り上げてくれておりません。このような条件の中で、零細企業対策として商工会法を政府が御立案になりましたが、この運営の内容を拝見して参りますと、またまた前と同じように、羊頭を掲げて狗肉を売られるのじゃないかというのが、実は私たち零細企業者の偽らない心境でございます。ただ、そう申しましても、私たち零細業者は、従来までの捨てられたようなお扱いの中から、今回初めてお出しいただいたことに対しましては、満腔の敬意を表するのでございますが、どうか本案の御審議にあたりましては——国会の皆様方にお願いいたします、どうか零細企業者が、わらをもつかむような気持の中におります場合に、この新制度がほんとうに従来にない、血の通った制度として、生かしていただきたいと思うのでございます。  では、それらの点を願う点につきまして、現在出されております法案の中で、どのような点で利点があるかといいますと、すでに伊東先生以下皆さんがおっしゃいましたので、重複を避けたいと思いますが、なおその中で重要な点を二、三申し上げて御審議の御参考に供したいと思うのであります。  第一番には、従来中小企業の対策といたしましては、政府とされましては、これを組織化するのだということで、十数年来うたっていただいております。われわれ業者は、政府のいろいろな行政上の差し伸べられた手にすがっていくためには、組織化しなければならないのだということで、協同組合あるいは企業組合、その他いろいろな組織を作って参りまして、今日まで参っております。ところが、これらの組織は従来縦の系列でございますが、それでは手が及ばないから、横に手を伸ばしていくということで、商工会法を御立案になったように承っておるのでありますが、ではこの法律の制定趣旨にありますように、この法律ほんとう零細企業に、重ねて申し上げますが、血の通ったようなやり方をやっていただけるのだろうかということになって参りますと、先ほど皆さんがおっしゃっておりますように、この会員資格にいたしましても、零細業者以外の方も会員になることができる、あるいはまたこれらの予算上の措置といたしまして、指導員あるいは普及員という名がいろいろついておりますが、それらの方々を各団体に一人ずつやるのだ。ではこれらの方々が、先ほども御意見がありましたが、これらの指導員が、官公吏の退職された方々が来られて、ではほんとうにこの複雑多岐な零細企業者の手をとって、足をとってやっていくようなめんどうが見られるのかどうかという点に大きな疑問を持つのであります。日本の経済構造は二重構造と言われておりますが、私は三重構造じゃないかと思います。先ほどもおっしゃいましたが。いわゆる大企業と下請企業関係にありますところの構造、そのほかに一般消費生活につながります製造業者、加工業者、あるいは販売業者があろうと思います。これらの三つの違う階層に対しまして、十ぱ一からげに商工会という制度ができて、それで指導員一人をやってめんどうを見てやるから、この体質改善ができるであろうというような思い上った考え方で、この制度をお考え合わせいただきますと、とんだことになるのではないか。われわれ零細業者は、現行制度の中にありましても、みずからの企業努力で、少しでも自分たちの経済活動を成長さして、日本経済の中におきますところの御負担にならないように努力をして参っております。このような考え方をして参りますと、今回の政府の——従来いろいろな機会に御説明を承っております、中小企業庁長官からも御説明を伺いましたし、また政府側として自民党の中小企業対策委員長である前尾先生からも伺いました。いろいろ伺っておりますが、従来せっかく法律ができながら制度の運用にあたりましては、私たちは苦い目を見ております。これは事業協同小組合の例が一番いい例であります。また企業組合にありましても、せっかく十一年の歳月を経ておりますが、われわれは税制上の残された問題でまだ痛めつけられておるのでありまして、こういう問題を考え合わせて参りますと、この制度は、いま一つ私たちは危険に感じますのは、先ほど高橋さんがいみじくもおっしゃいましたが、この大都市にありましては、この制度を、商工会議所のありますところには商工会は置けないのだ、商工会議所がこれをやるのだ、こういうことでございますが、私京都にありましても、商工会議所の皆さんをよく存じ上げております。これらの指導面に当たっておられる方が、この商工会法にうたっております零細業者方々のために、手をとり足をとって引っぱっていくほどの経営分析ができるかどうか。経営指導の能力があるかどうか。それはただ単に税制、金融の問題だけではございません。先ほど申されたように、いろいろ労働問題もございます。また最低賃金法がしかれまして、この使用労働者との間の賃金問題もございますでしょう、また使用人五名以下の事業所には健康保険の適用はございません。こういった場合におきますところの社会保障制度をどうするのか、こういったような具体的な問題の処理が、では大都市商工会議所においてできるかどうかということを、私は懸念しなければならないと思うのであります。従いまして京都地方にありましても、従来業者が任意団体として自由に集まりまして、商工会というものを作って参っております。二つの例を、私今日資料を持って参っております。時間がありませんので、この例を、数字を読み上げることを遠慮いたしまして、後刻委員長さんまで、この資料を御提出申し上げておきますので、十分御検討いただきたいのでございますが、零細業者にありましては、いろいろ国の現行制度の中にありまして、少なくとも法人経営として企業組合を作りたいという方は、集団企業体としての経営団体を作り得ますが、それを作り得ない小規模事業者、家族労働プラス一、二の従業員の経営者という方は、こういう法人経営にまで成長し得ないのであります。そういった方々が集まられまして商工会を京都におきましても作っておられます。私も平安商工会というのを作っております。またお仲間では新生商工会という団体も作っておられます。古い歴史を持っておるこれらの方々が、実際に零細経営者のその日その日の暮らし、その日の商いについてお互いに相談し合ってやって参っております。これが今回の法律によりますと、そういうものはやっちゃいけない——あるいは実質的な業務をやってもいいというお話もあるかもわかりませんが、従来歴史的にそういった運動をやって参りました商工会という名前をはずさなければならない。こういうふうな制度に相なっておるようでありますが、そういった官僚統制的な機関をお作りになるつもりなのか、それともほんとうに零細業者ほんとうの血の叫びとして願っておりますところの援助を、この制度でお与えになろうとするのか、私はこの点にかかっておるのではないかと思うわけでありまして、この点についても十分先生方の御審議をわずらわしたいと思うのであります。  それからいま一つは、従来事業協同組合あるいは企業組合、信用組合と、いろいろ組合制度がございまして、先ほど冒頭に申し上げましたように、政府は組織化されたパイプに金融、税制いろいろな諸制度を流してやるという御指導をいただいて参っております。十数年来われわれはそのような心組みで今日まで参っておりますが、この商工会ができます場合、縦の系列であります事業協同組合あるいは事業協同小組合といったものと商工会との運営はどうなるのか、横の地域的な御指導をいただきまして、これが成長して参りますその場合に、業種別の事業協同組合を作ろうとする場合、商工会はどういう態度をとっていただけるのであるか。われわれ願いますところは、やはり商工会という制度による零細業者の成長にあたりましては、縦の系列でありますところの事業協同組合を作らせるとか、ある場合事業協同小組合を作らせる、ある場合には集団経営体である協同組合を作らせるというような存念がなければ、われわれは各個ばらばらな商工行政になるのではないかということを懸念するのであります。  こういった点、なお多くを申し上げたいのでありますが、十分という時間を制限されておりますので、あと皆様の御質問があればそれにお答え申しまして、皆さんの御審議の参考にしたいと思います。
  16. 中村幸八

    中村委員長 次は柳登君。
  17. 柳登

    ○柳参考人 私はここに書いてございます通り、日本税務協会専務理事をやっております。名前専務理事でありますが、私は昭和十七年以降、小企業者の納税相談ということを主体として今日まで参ったわけでございます。親しく小企業者の皆さんと顔を合わせ、ひざを交えて、とくと皆さんの納税関係を主体としての御相談に応じ、あるいはその指導に当って参ってきたのであります。その間におきましては商工会議所あるいは商工会、そういう方々の御協力を得まして仕事をやってきたのでございますが、東京都におきましては、戦後非常な課税の圧迫を受けたような時代におきましては、特に協力のもとに各地区々々に相談所を設け、または巡回相談所を設けて納税対策に貢献したのでございますが、その際に集まってこられた方は、ほとんどここに書いてございますところの小規模事業者の方がその対象になったのであります。もちろん大企業とか中企業というものは、納税関係にしろ経営関係にしろ金融関係にしても、自分の会社あるいは企業それ自体に即応するような人を自由に得られるのでありますから、決して商工会議所あるいはその他の援助を受けぬでもよろしいということになるのでありますが、遺憾ながら小規模事業者は、それだけの資力はないし、それだけの顔がないために、きゅうきゅうとして悩んでおられるのではないかと思います。従ってわれわれがそういうような面に直面した場合においては、数多くの集まってこられるところの方、あるいは相談においでになる方は、ほとんどはそういうような手足を自分で持つことのできないようなお方がその大多数を占めておるのでございます。なおまたこの経営指導ということにつきましては、ただ学歴だけではなかなか指導はできません。要するに自分にその体験を持つ者でなければ、ほんとうの相手の気持というものはわかりませんから、その指導というものもうまくいかないものでございます。私は昔税務官吏もしていました。だからその時代における納税者の心理、気持もよくわかります。野に下りましては納税者の味方となって、非常にめんどうを見てやっておるのでございます。場合によっては、朝から家まで押しかけていろいろ相談せられる方がある。道で顔を合わせますと、それからそれへと何もかも相談を持っておいでになる。ただ税金だけの関係ではございません。経営上の問題まで、場合によっては兄弟げんかまで相談に持っておいでになるようなこともございます。  なおまたこの法案をちょっと拝見いたしまして、私はこういう感じを持ったのでございます。ちょうど企業体において大資本が、あるいは数多くの資本が集まって企業経営するところの株式会社に対して、小規模企業者の方が株式会社の形態をもって行なうことができないので、それに対して有限会社が認められたと同様に、地域関係におけるところの商工業の発展、指導についての商工会議所に対して、そういうような機構を選ぶところの地域については商工会というものができまして、これに一つの人格を与えることができるというこの法案は、ちょうど会社機構におけるところの株式会社に対して、有限的な制度が設けられたと同様な感じを持っておるのでございます。なおまたある一つの区域内において、小さい区域を独立に存在させるというようなことは、行政運用上非常に複雑を来たすことになりますし、またそれでは東京都において各区ごとに商工会を設けるということになれば、商工会議所というのは要らない、こういうことになるのではないかと思います。しからば各区内において零細企業者とそれ以外の商工業者を別にして、二つの団体を作ったらどうかということも考えられますけれども零細企業者といえども、いつまでも零細企業者でいるわけではありません。おのおのその経営あるいは指導よろしきを得て、だんだん零細企業者も大企業者になる可能性はあります。現在の大企業者の中から零細企業者に落ちる者もありますから、その点は運営上において非常にそごを来たすのではないか、こういうような気がするのでございます。従って現在のこの法案そのものは、全面的に見まして私は大いにけっこうな法案であると思いますし、またここに補助金をもって零細企業者の救済策を講ぜられることは非常にけっこうでございます。もちろんこの補助金というのは、われわれすべての国民が納めたところの税金の一部を、国の手によってそういう方向に使われるのでございますから、場合によっては、監督官庁として、ある程度これを指導監督することは当然なことでございますし、また通産大臣としてありますけれども、実質的にはこれは知事に委任事項として指導監督されることも運用上できるのではないか、こういうふうに考えておるのでございます。ただ要はこういう法律ができましたら、その運用いかんということが一番問題でございまして、いかなる法律であっても、その運用がよろしくなければ何にもならない、こういうような気がするのであります。もしこの法案が成立しましたら、どうぞ一つその運用に当たる方々は真に法の精神にのっとって、中小企業者は別として零細企業者指導監督ということを重点的に運用せられるように希望しているわけてございます。  まだ申し上げることもございますが、時間の関係で、以上申し上げまして、私の参考意見といたす次第であります。
  18. 中村幸八

  19. 渡辺重太郎

    ○渡辺参考人 本日待望の商工会法案を審議する商工委員会参考人として喚問されるに際しまして、簡単に私の意見を述べさせていただきます。  まず私ども全く恵まれなかった郡部町村小規模事業者に対し、今回各党、政府当局の御理解によりまして、ようやく私ども日の目を見ることになる商工会の法制化が審議されることになりましたことは、過去三十年を商工会の育成に努力して参った私にとりまして全く望外の喜びであり、心から感謝の意を表する次第でございます。  私が会長をいたしております長野県下伊那郡鼎町商工会は、飯田市に隣接し、人口約二方、地区内の商工業者五百四十二、会員数四百八十八名という中程度商工会であります。創立は昭和十年二月、二十五年の歴史を持っております。この二十五年の歴史を振り返ってみまして、この数年強く感じましたことは、大企業、都市部業者の進出であります。大企業の直営店が郡部にまで進出し、大資本によるスーパー・マーケットの設立、さらに都市に対する顧客の流出等、どれをとって見ましても、私ども郡部業者の死命に関する問題であります。この状態のままでは、全く郡部の業者は疲弊の一途をたどり、大きな社会不安の原因となるのではないかと、心から憂うるものであります。私ども商工会関係者はこの状態に対処して、会員である零細業者の繁栄をはかるべく、連日必死の努力を続けているわけでありますが、いかんせん、限られた予算と限られた人員、能力では限界があり、ここにこの苦しい実態を御理解願って、特別の保護育成措置の一日も早く実現されることを心から願っていたのでございます。  商工会の実態につきまして、商工会は一体何をしているのか、どんな性格なのかという御疑問もあるかと存じますので、私ども鼎町商工会の活動状況について、具体的に御説明申し上げたいと存じます。  商工会は前にもお話し申し上げた通り、その地区内の九〇%が加入しております。同じ場所で同じ空気を吸い、同じ顧客を対象とする仲間たちの集まりであります。この私どもの仲間の共通の悩み、地域の特性に応じた問題を処理し、解決し、町の繁栄をもたらすことが、商工会の最大の目的であると信じております。もちろん町内の業者のうち約九五%が小規模事業者であるので、先ほどの理由によりその悩みは深刻であります。  まず私どもが取り上げましたのが金融のあっせんであります。御存じかと存じますが、町内の業者の実態、レベルは低く、国民金融公庫等の政府資金の借り入れさえも、手続きのめんどうや記帳の不十分等によりまして、利用度はきわめて低く、町内に十余軒ある高利貸しに金融を依存し、さらに営業状態を悪化させるという状態でありました。営業の実態から見て、政府資金を利用する資格がないのではなく、全くこの制度を利用する意欲と能力に欠けていたということが申せるのではないかと思うのであります。  この立ちおくれている業者の体質改善の第一歩といたしまして、昭和二十五年、国民金融公庫の償還組合を商工会の手によって結成いたしまして、商工会職員を戸別に訪問させ、文字通り金融の御用聞きを行なったのであります。希望者には申し込み書類作成の指導を行ない、代行してやる、ひいてはこれが記帳の指導、税務の指導、納税組合の設立までに至ったのでありますが、現在これが一応の成果を得まして、現在借り入れ残高約三千万円、利用者百二十余名、会員の中で国金を利用したことのない者は皆無という状況まで成長いたしたのであります。  さらに商工会独自の方策といたしまして、農業協同組合との提携によりまして、最高二十万円、二十カ月払い、金利二銭五厘八毛の貸し出しを行ない、この方は残高一千万円に達しております。この制度は、商工会、農協から各三名ずつの委員を選出して、この審議会で貸し出しを決定するという方法をとっており、自主的な金融という点で効果を上げております。また、ほかに町の預託金による商工振興資金制度があり、これも同様な様式により約四百万円の貸し出しを行なっております。この結果、最もはっきりした影響といたしましては、町の高利貸し業者は九軒に減り、金利も下がり、さらにこの町では商売が成り立たないという声も出るという状態になったのであります。また最近になりましては、政府資金のうちでも中小企業金融公庫の利用希望者が出てきましたが、これは国民金融公庫では十分に満たされなくなったという証拠であり、会員の成長を物語るものとして、大きな喜びを感じているところであります。  さらに事業といたしましては、会員意識の高揚と協力態勢を固めるために連合大売り出しを実施いたし、各種講習会の実施、視察、診断業務等を行なっておりますほか、中小企業相談所の設置による巡回戸別指導等を行なっております。この相談業務につきましては、その内容におきまして通り一ぺんのものではなく、高利貸しからの救済、さらには家庭相談まで受けることがたびたびであり、文字通り相談相手としての業務を果たしつつあることは、町内の全業者が共通の悩みを基盤として結びついている証拠でもあり、地域経済団体としての商工会のあり方、意義をこの面でも御理解願えるのではないかと存ずる次第であります。  また商工会の特性といたしまして申し加えさせていただくことは、町当局との深い結びつきであります。地域経済団体といたしまして、町との結びつきが強くなかったなら、私ども前述の業務も非常にブレーキをかけられる結果となったのではないかと存ぜられるのでありまして、小さな郡部の町村にありましては、地区内の全業者を結集して、一つ組織を作り上げることが、この面でも必要であると思われるのであります。もちろん、前に申し上げました商工会活動、そしてその効果は、幸いにして本商工会が六名の職員を擁し、役員の熱意もあっての結果でありまして、この意味におきましても、今回配置されます経営改善普及員制度に対しましては、大きな期待を持っと同時に大きな効果を予期されておるのであります。  本商工会は飯田商工会議所地区の中に一応入っているようでありますが、会費の負荷はなく、本町から会議所の会員となっているのは二名であります。もちろん私どもは、商工会議所とは性格的にも非常に異なり、都市部の業者との格差を修正するという商工会の目的からいっても、会議所の指導を受けることは大きな矛盾がありますので、本会といたしましては、同じく中小企業者を育成するもの同士として、一対一の立場で協調するものにする業務を進めており、中小企業相談所同士で連絡を保っております。  以上簡単に商工会につきまして申し述べさせていただきました。要は、町村業者の困窮度の高さ、これを保護育成するためには、唯一の地域経済指導団体として必然的に生まれ、成長してきた商工会組織を通じて行なっていただくのが、私ども当事者といたしまして、永年の経験からも、最も効果が上がるのではないかと確信いたす次第でございます。  何とぞ各位の御配慮により、一日も早く同法案が成立いたしますようお願い申し上げます。後刻各位の御質問に対しまして、またあらためてそれぞれお答え申し上げたいと思います。
  20. 中村幸八

    中村委員長 以上で参考人方々意見の陳述は終わりました。  質疑の通告があります。順次これを許します。  ただ、伊東参考人は、所用のため午後は出席できない旨を申し出ておりますので、その旨を御留意の上御質疑を願います。小林正美君。
  21. 小林正美

    ○小林(正)委員 ただいま御説明をいただきましたので、大体御意見がわかったのでありますが、少し重要な点についてお尋ねをいたしたいと思います。  最初に、日本税務協会専務理事の柳さんに御質問と申し上げたいと考えます。  ただいまのあなたの御発言の中で、政府の原案に対してきわめて賛成である、こういうお話がございました。特にその中で、いわゆる大中規模事業者と小規模事業とを分ける必要はないんだ、小規模事業者にも、大中規模事業に発展できるような可能性があるんだ、こういうお言葉を拝聴いたしまして、私も小規模事業を経営しておる一人として、ほんとに心の底からうれしく存じました。さぞかし、あなたの言葉を聞いて、全国中小企業者、零細企業者は喜ぶであろうと私は思うのでありますが、しかし静かに考えてみると、これはまことにどうも単なる言葉のあやであって、一体具体的にどのように零細企業者、いわゆる小規模事業者というものが、現在のこの段階において中企業、大企業に発展する具体的な可能性があるのか、この点を一つぜひとも柳先生によく教えていただきたい、こう思います。
  22. 柳登

    ○柳参考人 私は零細企業者の方にあっても、一つの希望があるということを考えておるのでございます。ただその希望を満たすか満たさないかということについての一つの障害があるのでございまして、その障害を打破するところに、それぞれの指導機関そのものが善導することによって一つのそこに芽ばえが出、なおそれを受け継いで、よく自分自身において一つの研究と努力によってなし上げていけば、必ずしも零細企業者は発展を阻害せられるものではないという一つの自信を持っておるのでございます。私は経験者の人も数人知っておりますが、最初は小さい店をやって、終戦後においてはわずか三坪の坪数の菓子屋をやっておったお方が、非常に指導よろしきを得た結果によって、自分でも工夫し、そうしてお客はどういうものを好むか、どういう色合いを好むか、どういう味のものを好むかということを、自分も大いに研究されて、そうしてその成果が上がって、今では相当大きな中企業者に発展しておられるような事情もあるのでございます。ただ零細企業であるがゆえに、きょうはきょうはで過ごしたからといって、これはおもしろくないし、またその指導にあたっても形式的の指導ではだめだ、要するに指導よろしきを得て奮起すれば、必ずその人は芽ばえるという自信を持っております。
  23. 小林正美

    ○小林(正)委員 そういう抽象的なことでは固まるのでありまして、実際に税金の問題、金融の問題、そのほかいわゆる大産業が零細企業に対して、どんどんといわゆる商圏に侵入して参ります、そういった問題と、もう現在の零細企業者は大へんなたくさんの困難にぶつかっておるときに、ぜひ一つここで具体的な処方箋とどんな薬を飲ましたらいいのか、それを聞かしてもらわぬと、まるきりお前さんの病気はなおるんだ、神信心せい、これでは困まるのです。具体的に一つあなたのお考えをここでおっしゃっていただきたい。
  24. 柳登

    ○柳参考人 私の今までの体験から申し上げますと、まず税関係におきましては、今の税務構成というものが、どうしても中小企業者の方にきつ過ぎて、しかしこれについては帳簿の記帳の関係もあります。しかしながら、零細企業者が税務官吏の納得するような記帳をすることは、とても困難でございます。その点については、十分その経営の内容を了解してもらうということが一つの問題でございまして、私が税関係についていろいろ相談しておって応じたものの中には、税務当局の交渉までやったものが非常に多いわけでございます。  なおまた、その企業の経営について、金融問題が生じてくるのでありますが、これは経営その他のまた専門家の指導も必要でございますけれども、まずその企業の相談にしても、内容の充実、成績の向上といわゆる商売上手ということによって、自然金融機関はその方へ金の融資を向けてくる、こういうような関係もあるわけでございます。従って、どうしても小は小であっても、そこの企業そのものの内容の堅実な企業を発展させるということを、自分で工夫することが必要であり、また税対策については専門家について——専門家といえども、ただ上っつらの専門家もいます。だからその指導者を選ぶということは、また一つの問題でございまして、真にその店の発展を願うという心からの指導者による指導を仰ぐということになれば、自然その店も発展していくということになるわけで、結局は業績を引き上げるということと、税法に対しての理解を受けるということによって、自然金融関係もそこに芽ばえてくる。なおまた金融関係について零細企業者において最有効的なものは、いわゆる相互銀行のひいきをするのではありませんが、相互銀行による月掛というようなものによって、また一定の資金の獲得ができる。小企業者においては、保証あるいは担保というものがありませんが、しかしそれにはそれぞれの相互銀行等においては、月掛によってある一定の二、三カ月の掛金をすれば、金融機関もまた資金の貸付をするというような制度がございますから、そういう方面についての資金を仰ぐというようなことになつきて、資金関係の困難を打破する。また税務対策についてはよき税の相談相手を選んで、そして自分の税金に対する税務当局の理解を受けるということが、まずその先発点じゃないか、こういうふうに考えております。  なお、最近においては、大企業においても自分の出先、いわゆる次から次へといけば、小規模の店にも及ぶことになるのでありますが、リベートその他によって縦の援助も最近においては大企業は小企業者に対する一つの試みを持つことは非常に多くなってきたようなこともございますから、縦と横とのつながりによって、自分でその発展策を考究するということが、まずその一つの方法だ、こういうふうに考えております。
  25. 小林正美

    ○小林(正)委員 もう私は時間が惜しいので、あなたに対する質問はこの辺でやめたいと思うのですが、今や貿易為替の自由化が、一応政府の方針としてどんどん進められようとしておる、ますます産業の二重構造性、先ほど中嶋さんは三重構造だと言われましたが、そのような非常な格差が進みつつあるときに、あなたのような、まるきり一世紀くらい違ったそういうセンスでもって、こういう中小企業零細企業問題を論じてもらっては困まると思うのです。その点、もっと勉強してきてもらいたいと思う。
  26. 田中武夫

    田中(武)委員 小林委員の柳参考人に対する質問に関連しまして、一青柳さんにお伺いいたします。  今われわれがあなた方に来ていただいて参考意見を聞いておりますのは、商工会組織等に関する法律案についての意見でありまして、その中に、あなたは小企業といえども企業になり得るんだから、大企業と一緒の組織におってもいい、こういう観点から、政府原案に賛成をせられたわけなんです。われわれは、商工会の重要な一つの点といたしまして、その組織のあり方、これがこの法案一つの重要なポイントだと考えておるわけなんです。そこで先ほど高橋さんも言われましたが、ウサギの子はウサギに育てさせろ、こういうことなんで、われわれは一つ組織の中に、オオカミやらキツネやらウサギやらを入れておくことは、そういうものが荒れ回って、ウサギ等が成長できない。だからウサギはウサギだけに小屋を与えよう、こういう考えから、この組織のあり方について非常に重要に考えておるわけなんです。そこであなたは今、小企業も大企業になり得るんだからと、こう言うので、今日のような状態にあって、はたしてどういう方法をとればなり得るのか、こう聞いておるわけなんです。あなたは、そうおっしゃるなら、どういう方法をとるか。税金で相談相手がどうだとかこうだとかいうことじゃなくて、税金とか経理について相談をするにしても、同じような状態にある人たちを集めて相談する方がいいんじゃないですか。あなたは確信を持って言われたから、こういうような状態の中にあって、小企業が大企業になり得る具体的な方法を考えておられるなら教えてもらいたい。われわれはそれを知らないので、今困っておるわけです。それを小林君はお伺いしておるわけです。あなたの答弁では、何か戦後の混乱の中にこうであったというような——そんなときによからぬことをやって大きくなったやつもおったでしょう。また中小企業で松下電器を夢見ておる人もおろうと思う。しかし中小企業のかっての松下が今日の松下になったように、なり得る道があるかとわれわれは考えておるのですが、なり得る道があったら一つ教えて下さい。
  27. 柳登

    ○柳参考人 私申し上げたのは、この商工会設立趣旨の中に、商工業者事業活動の促進によって、国民経済の健全をはかることが目的であるというような御趣旨でございますから、結局今の零細企業者もこういう制度に基づいて発展せられることを希望しておるということを申し上げたので、失言の点がありましたら……。
  28. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 ちょっと伊東さんがお帰りになるのでお伺いしますが、伊東さん、各国をお回りになって中小企業の専門の御研究をなすっておるのですが、御承知のように日本の国くらい中小企業といおうか——今まで月給取りをしてきた人が、すぐあしたから零細企業に変わっていくわけです。従ってこういう道があって、いつどなたが営業して悪いということがなく、何商売してもいいことになっているので、次々にたくさん生まれて出てくる。従ってそこに過当競争が行なわれてくるということなんです。しかしお説の通り、今日の商工会法が出ましても、必ずしも私は商人が、零細企業がすぐよくなるということは考えられません。どうしてよくなると考えられないか。次々に、これだけと限定してないのですから、それがいいとなれば、どなたもどんどん変わっていって、あしたからでも何百人も、町中が全部商人になってしまうから、すぐよくなる方法というものはあり得ないと思うのです。ただこういうようなものが政策の上に、政治の上に立って幾分なりともお役に立つ方途がないかというのが、そもそもの案だと思う。だからドイツの方あるいはヨーロッパの各国を見てみましても、日本のような商人があるところはどこにもないので、割合にそういう診断といい、すべての繁栄方途というものが開かれていると思うのですが、何か日本ではそういうような零細企業が、今の論議の中にもあるように——自分は一生零細企業でいようというものではないと思うのです。小さいものが大きくなりたいという、これが自由であり、その自由の中に成長することがみずからの力でなければならないのであって、政府に頼って零細企業が食っていこうとするのを認可しなければならない状態にある。これをどういうふうに解剖して、どういうふうにしてやっていったならば、よりいいものが作れるかということを、伊東先生にお伺いしたいと思うのですが……。
  29. 伊東岱吉

    伊東参考人 私が先ほど急いで申し上げたのでよくおわかり願わなかったと思うのですが、先ほどから論争みたいなことがありましたが、それについてまず申し上げますと、現在でも、やはり零細企業から大企業になっておるものもまれにはあるのであります。ヤシカ・カメラあるいはソニー、いろいろあるのです。しかし問題は、そういうまれな例は、ことに技術革新やなんかにうまく乗った人がそうなっておる。一般的には零細企業層というものができている。私は先ほど御質問があったように、各国と比較して日本の非常な特色を申し上げますと、大資本、中小資本、それから零細経営、この中でも、何人か人を使っておるところと自家労働があります。こういう経営の階層が非常にはっきり日本にできておるということ、それからその階層の相互の取引関係が対等でないという点ですね。アメリカあたりでは、下請といえども非常に対等であります。欧州はもちろんであります。日本で対等でないのはなぜか。やはり一方の社会の非民主的といいますか、それは、日本で過去にほんとう意味の自由競争時代がなかったからということも言えるわけです。下請だけではないのであります。それ以外の領域も非常にそういう圧迫を受ける。ですからそういう点をなくしていかないと、先ほど障害除去と言いますが、一つの経営の努力だけではいけない一つの大きな壁があります。それはやはり政治が取り除いていくべきだ。そこでそのしわ寄せをなくし、下請代金支払いの法規等も考えたのでありますが、これも実際にはなかなか——業者の弱さと、それから独禁法なんかがどんどん骨抜きになって、それが政策通りなかなか行なわれない。  もう一つの大きなことを言いますと、先ほどちょっと申し上げたのでありますが、今の御質問にもあるように、日本ではあとからあとから生まれるということであります。この生まれるわけは、私のところでも調査をしてみました。そうすると、これはやはり中小企業の低賃金ということから来ておるのでありまして、中小企業が極端な較差を持った低賃金である。そうして中小企業にいたんじゃ、社会保障もなければ、また将来の退職金等の希望もない。そういう人々がみんな独立しようとするのであります。普通ならば横に移動して、ほかの会社に行ってよくなるというのが欧米の例なんですが、日本では、大企業が労働者を本工だけとって、臨時工など差別して、あとは下請にする。そのために横に移動ができません。一たび中小企業零細企業に行ったら、もうなかなか上へ上がれない。それだから零細業者として独立を夢見るのであります。それにまた、零細企業が非常にわずかの資本でやれるような業種が非常にあるということも、あずかって力があります。  最後に申し上げますと、そういうわけでありまして、たとえば日本の賃金の較差がなくなってくる。あるいは、先ほどたくさんの不完全雇用、不完全就業と言いましたが、そういう中小企業零細企業の食うや食わず、つまりまともに働いても食えないような賃金の人々、こういう水準がもしもより上に上がってくる——最低賃金制についても、私はこの議会で、今のままじゃ困る、あれでは困るということを申し上げた。それが上がってくれば、ここではっきり、もうそういうばかな過当競争をしないでも安定できるような状態が出てくるわけです。同時にまた、過剰人口とよく言いますが、そういう低い賃金であるから、残業もやる、あるいは一家全部で働かなければならぬ。それで労働の雇用の需要供給面がくずれてしまう。そのために泥沼みたいになってしまう。このことが非常に問題であって、零細企業というものはまさにその泥沼の中に置かれておる存在なんです。いわば潜在過剰人口の一つのあり方だとさえいわれておるのであります。私はドイツの例を申し上げたのですが、ドイツではそんなふうになっておらない。ドイツの手工業者会議所というものは、しっかりしたものがある。商工会議所とは別であります。商工会議所は大体大企業のものです。中企業も大体商工会議所に行っております。手工業というのは、大体平均が五人であります。これにはサービス業や理髪店やレストランも、みんな入っております。大体そういう零細企業の層のものが自主的に結合しており、ハントヴェルクという手工業の定義は、自主的な独立性を持ったものということを強調しておるわけです。たとえば問屋の下請ということじゃいけない。日本ではそういう問屋やあるいは工場の下請で独立性を持たないでいじめられているものがあまりにも多い。欧米では、実を言いますとそういう低賃金で大きいものから利用されておるもの、低賃金だけが唯一の存在理由だというような、そういう零細企業は社会の害悪だという通念になっている。アメリカでもそうでありますし、ヨーロッパに行ってもそうであります。私は、日本でもだんだんそうしていかなければいけない。そのために前提になるものはやはり雇用政策です。それで私はここで完全雇用を実現していくための日本の十カ年計画なり、そういうものを立てることと並びながら先ほどからお話のありました零細企業の体質を改善してくることが両々相待たなければいけないということを、先ほど申し上げたのでございます。それでおわかり願えますでしょうか。
  30. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 今のお話の通りだと私は思います。しかし日本の中小商工業者という方々は、大体大企業もそうなんでしょうが、人におんぶとだっこより考えておらない。みずからがこういうふうな組織の上に立って、そしてこれを高度に利用して、そして自分はかくなるんだ、安定するんだというような意欲に、大きく欠陥のあることは見のがすことのできない事実だと思うのです。こういうような点について、いろいろな法律ができたけれども、何ら役に立たないじゃないかと、よくおしかりを受ける。やはり本日もだいぶ承りました。しかしそういうような組織を作られて、そういうような法律を作って、その法律を翫味し、その法律に基づいてその団体的な、つまり要望、要求が通らなかったということまでの御協力はなかなかできておらぬと思う。なるほど各地の商工会においても、商工会議所においても一、二の苦労なすっておる。本日お集まりのような方々は非常に苦労が多いんで、それじゃほかの人が、その人の言うなりに、その全部がそのお気持に続くかどうかというと、なかなかまたそれがまとまっておらないというのが、今の日本商工業者の真のあり方だと私は思う。私はかってこういうようなことを考えたことがあるのですが、何としてもこの中小商工業者というものが、何とか生きていく道を作らなければならない。それには、都道府県知事が、たとえば五円のあめ、菓子を売る店があっても全部認可制にしようじゃないか、人口に準じて、その商人がそこで店を開いた場合、はたして過剰かどうか、同業者が食っていけるか食っていけないか、こういう上に立って、そしてなるほどこれは五軒あってもよろしい、あと一軒あっても食っていける、その上に立ったならば認可制を与えるような方途を開いていったら、そうなって初めて業種別というものがそこにわかってくると思うのです。そうすると、不景気になったからといって業界全部が同一の不景気に会うわけではないのであって、その中の何々業界が景気が悪いというならば、そういう業界には特別の手当をしていくというような方途が開かれるであろう、こういうようなことも考えたことがあるのですが、いずれにしても今は、きのう退職金をもらったから、あすからすぐ商人に変わっていくわけなので、あまりにもこれが多過ぎるんですが、これらを何とか解決をつけていかなければ、いつになっても、私はどういう法律を持っていっても、いたちごっこだと言わなければならぬと思う。現に私は小売商人をみずから体験をしてみて、そのような感じがするのでございますが、その点についてはいかがでございましょう。
  31. 伊東岱吉

    伊東参考人 今申し上げたことなんですが、たとえばアメリカですと、失業したら失業手当ですね、これで遊んで食っていけるんですな。結局それは賃金のレベルの問題であり、日本社会保障というものはみんな賃金の格差に応じて払う。これもまた一つの問題ですね。つまり全体の賃金のレベルが非常に低い。格差が極端にあるから、また退職金も、今の関係ですが、それでは食っていけないから、何か始めよう、どうしてもそうなるんですね。やはり私は今の労働問題の面との関係から、それだけではいけませんが、その関係からもやはりお考え願いたい、こう思うのです。中小企業者が非常に民主的なそういう権利意識や何かに弱い、また非常に自覚が足りない、こういうふうにおっしゃいますけれども、これも戦前までの日本の非常な官僚的な国家というようなもとで、また今のような階層でしわ寄せされて、あきらめちゃっているわけですな。それだけに私は政治家の方たちは、この中小企業者、零細企業者に、先ほども申し上げたが、もっと民主的な自覚を持たせる。だから組織が民主的にならなければいけないということを申し上げたいのです。それが何か上からぐっとくるようなものになっちゃうと、同じことを繰り返すだけだ。やはり教育しなければならないのです。教育するような場を作ってやるということが、やはり必要なのではないか。
  32. 長谷川四郎

    ○長谷川(四)委員 新しく認可制のようなものはどうでしょう。
  33. 伊東岱吉

    伊東参考人 いや私は、ドイツの場合では親方資格というものの免状が非常に制限されてくるので、一種の認可制——憲法は認可制ではありませんが、認可制のような効果を発揮している。発揮しているけれども日本では、私はドイツのような職人、親方という制度がまねできたらいいと思うのだが、下手にやりますと、また今言ったような日本の昔の徒弟制度の復活になっちゃう。そうなっては困る。非常に危ぶんでいるわけであります。やはりこの認可制というものは、これはうっかりやると、またえらい官僚統制になりますから、どうしてもやはり下からの業者の自主的なものを育て上げるというような、そういう心がまえにならなければいけない。それで私は最初に申し上げたように、この法案はどうもそうなっていないのではないか、そこに私は最も大きな異論を持っている、こういうことなのでございます。
  34. 小林正美

    ○小林(正)委員 ちょっときょうはほかに行かなければならぬので大へん失礼でありますが、二、三のお尋ねをいたしたいと思いますが、まず最初に日本商工会議所の専務理事高城さんにお尋ねをいたしたいと思います。  先ほどるる商工会議所中小企業対策について数字をあげて御説明になりまして、私どももそのいわゆる膨大なる数字に対しては大へん敬意を表するのでありますが、やはり実際の問題になりますと、先ほど来いろいろ例に出ておりますような、いわゆる会議所の性格がはたして零細企業対策に対してどうか、多分にこういう疑問がないわけではございません。たとえば百貨店が地方に新しく店舗を設けるというようなときに、いろいろ中小企業の連中とそこに摩擦を生じまして、これまで商工会議所が大へん苦しい立場に立っておられるということを私は存じております。そこで率直にお伺いをいたしたいのでありますが、今の政府が考えておるような、ああいった規模別で商工会議所商工会を分けていくよりは、むしろ階層別に、やはり都会にも零細企業に対しては商工会認める。そのかわり町、村にあるところの大規模事業に対しては、これは商工会議所のメンバーとするというふうに、いわゆる階層別、規模別で分けていった方が、商工会議所の運営自体もやりやすいのではないか、こういうことを私は考えますが、その点どうでございましょう。
  35. 高城元

    高城参考人 何か会議所に対しまする非常な誤解があるかのごとく考えられますので、まずその点から申し上げてみたいと思います。ただいま百貨店の問題が出ました。おそらく先生は四日市の御出身で、四日市の会議所の例をお引きになっておるかと思いますが、四日市の会議所では、そこの商工業者と話し合いをいたしまして、百貨店の誘致をいたしたわけでございます。これはなぜ誘致をしたかと申しますと、その都市を発展さすためには、あのくらいの町では百貨店が要るのだという大きい見地に立って誘致をいたしたのであろうと私は考えます。この百貨店の問題につきましては、いわゆる百貨店審議会が案をきめます前に、各地の会議所に百貨店に関しまする商業活動調整協議会というものを作っております。そこには消費者代表、小売業代表を入れまして御回答を申し上げておるのでありますが、なかなかどうもこの百貨店の問題はむずかしいのでありまして、小売業者から言うと絶対に拡張はいかぬ、町全体の傾向から見ると拡張した方がよろしいというようなことで、百貨店に関して答申をするたびに、小売業者からはあれはけしからぬ、百貨店の方からは会議所は小売業者の味方ばかりすると、両方からやられておるわけであります。いかに厳正公平にやっておるかということがこれでわかるわけであります。地域総合団体というものは、やはりそこの経済全般を見ながら仕事をやっておるものであるのであります。そこで、ただいま階層別に分けた方がいいじゃないかというお話がありましたが、私どもはこれに対して絶対に反対をいたすわけであります。地域経済総合団体というのが商工会議所の唯一の性格でございます。業種別の団体でもございません。その地域内のどこの地域を代表するというのでもございません。地区内の全般を代表いたしまして、その都市の発展をはかるために仕事をいたしておるわけでございまして、これにはこういう業者会議所の会員にはなれないという規定を置くことは、商工会議所の性格から反対をいたさざるを得ないわけであります。この小売業者の問題にいたしましても、零細企業の問題にいたしましても、先ほど私が申しました通り商工会議所といたしましては、二十数年来この仕事をいたしておるのでありまして、最近におきましては、どうも会議所では手が届かぬのじゃないかという話もあります。この四月一日から大田区に支部を作ることに決定いたしておるのでございます。私どもといたしましては手が届かないというなら支部を作ってでもやる、あるいは相談所の支所を作ってでもやる。われわれといたしましては、従来やっておりました小規模事業対策は今までは御苦労だったが、要らぬのだと言われることはまことに残念に思う次第でございます。あるいはこの支部を作ることはどろ縄式じゃないかという話もあります。実は昭和二十九年の東京商工会議所の定款に支部を作ることが書いてあります。しかし支部を作るには相当の資金を用意しなければいかぬ。従いましてやっと東京商工会議所が建物を建てる段階まで今日参りましたので、ようやく支部を作る力が出て参ったということでございます。
  36. 小林正美

    ○小林(正)委員 町や村にある大きな会社、工場はあなたの方の会員として入っておる方がやはりいいのか、それとも地区別というあなたの方の建前であるならば、これは商工会にいくべきものであるか、その点一つはっきりしていただかぬと、私たちは困るのです。
  37. 高城元

    高城参考人 商工会議所地域内にあります場合においては、商工会議所会員であります。もし地区を狭めて商工会重複せぬということになりますと、会議所は地区を縮小しなければなりません。地区を縮小した場合に、そこに残っておる大きい工場や何かはどうかという問題でございます。大体におきまして、そういう工場は、郡部をはずした場合、市に出張所とか事務所というものを持っておりますれば問題ございません。そういうものがない場合は一体どうするかという問題でございますが、会議所法におきましては、「但し、定款で別段の定をしたときは、この限りでない。」ということを書いてございまして、会員資格は割合広く認められておりますので、暫定的の方針としては、従来その会議所の会員であったものに限って、その会議所の会員として残ることができる。これはある意味から申しますと、会員権の擁護でございまして、ほかの理由のために自分が会員になっていた会議所の会員になれないということは酷じゃないかということが一つと、そういう方策をとりました方が会議所としても地区を縮めやすいのじゃないか、商工会を作りやすいのじゃないかというふうに私は考えるわけであります。
  38. 小林正美

    ○小林(正)委員 そこでちょっと中小企業庁長官にお尋ねしたいのですが、この間本会議における私の質問に対して池田通産大臣は、やはり地区別で分けるのであるということをはっきり答弁いたしております。そうすると今のような日本商工会議所専務理事が言われたような、地域外の、いわゆる商工会に属するべき地域にある大企業は、商工会議所に入り得ないということになると私は考えるのですが、その点は一体どういうふうにされるおつもりでありましょう。
  39. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 会議所と商工会、あるいは商工会議所同士、商工会同士、地区重複はさせない方針であります。これはそれぞれの会議所なり商工会の所轄地域重複しないということでありまして、原則からいいますと、その所在地域商工業者組織するのが現状でございますが、今高城参考人からお話がありましたように、たまたま——たまたまというと語弊があるのですが会議所法の会員の規定のところで、定款で別段の定めができるという規定がございますので、今後の方針としては、会議所が地区を縮小したような場合に、そのためにかりに地域外にはみ出すものはその規定の運用によって暫定措置として救っていこうということで、われわれとしては方針をきめております。
  40. 小林正美

    ○小林(正)委員 よくわかりましたが、そうすれば商工会の場合も同じように、市部にある零細企業もそういう別段の定めによって、その隣接地の商工会のメンバーにすることができるということに相なると思うのです。そうでないとはなはだ均衡を欠くことになるが、中小企業庁長官どう考えられますか。
  41. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 商工会法律的に今後新しく組織するわけであります。商工会法案では、会員資格について定款で別段の定めができる、そういう規定を置いておりません。これは新しく組織する制度でございますから、その一般原則に基づいてきております。
  42. 小林正美

    ○小林(正)委員 中小企業庁長官からそういう御発言があることは非常に残念でありまして、いかに現在の政府の商工会法案が零細企業のためにならぬ法案であるかということを、あなたみずからがここではっきりと説明された、御苦労であります。  次に全国商工会連合会の専務理事井上さんにお尋ねをいたしたいと思います。井上さんは先ほどお話の中で、町村に重点を置かれたこの政策に対して非常に感謝しておる、こういう工合に言われました。私はそんなに町村に重点を置いたような政策であるとは思いませんが、ちょっとその点気になりましたので、もう一ぺん御説明を願いたいと思います。
  43. 井上光一

    井上参考人 私の参考意見供述の中で、町村に重点を置いた施策ということを申し上げたということでありますが、いわゆる普及員を設置する場合に、政府の案では七百人に一人という平均基準があるそうでございますが、町村へ参りますと単位が非常に小さくなりますので、一応三百人に一人くらいは置いていきたいという考え方をお持ちのように漏れ承っております。そういうことで三百人に一人くらいを、優先的というとおかしいのですが、比較的恵まれない郡部に置いていただくことが、都市に比較して恵まれているのじゃないか、こういう考え方でございましたので……。
  44. 小林正美

    ○小林(正)委員 そういうことであれば非常にけっこうだと思うのでありますが、私は必ずしもそのように聞いておりません。ちょうど中小企業庁長官がおられますから、どうですか、この点は町村に対しては三百の商店あるいは工場があれば、普及員を一人置いてもいいというお考えかどうか。この辺をはっきりしておかぬと、あとで実際にやる場合においては、とんでもない別のものが出てくるということがありますので、こういう席で、一つ長官の御返事を承りたいと思います。
  45. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 その点は先般も御説明いたしましたが、予算的には七百人に一人という基準になっております。ただ商工業者の密集度とかいろんな関係を勘案しまして、会議所の大きいところは財政力大きいというような関係考えまして、なるべく郡部の方の小さい方に厚くして、大きな方は薄くてもやっていけるだろうという観点から、今の考え方では大体三百人から五百人程度の間を一人という基準にいたしまして、逓増的に数がふえるに従って少なくしていくという計算をしまして、そういう基準で考えております。
  46. 小林正美

    ○小林(正)委員 井上さんにもう一つ聞きたいのは、先ほど来ほかの参考人の方もいろいろお話ありましたが、やはり都市部における小規模事業者の方もいろいろ私は困っておられる点が大いのであろうと考えるのですが、あなたは商工会議所がある都市部の小規模事業者に対して、そういう地域にも商工会を作るということについては、どのようにお考えになっておられるか。これは他地区のことだから、おれは知らぬと言われてはちょっと困るのでありまして、同じ仲間の問題でありますから、一つ御答弁をいただきたい。
  47. 井上光一

    井上参考人 先に釘をさされましたが、実は不勉強で、六大都市というような大きなところについては、全くその方途に私自身も苦しんでおるわけでありますが、ただ実際問題といたしまして、地方都市にある商工会議所というのは、比較的現在商工会議所会員になっているものが多いと推定をされております。この際大体私の静岡県の例を申し上げますと、掛川市、磐田市、焼津市などは、そういう意味で非常に下の層まで入っております。従って下の層の、ある程度のところまでは手の届くような相談所もその他も、あるいは指導をおやりいただいたようなことも承っておりますから、そういう事実も一、二見聞いたしております。そういう意味で、私は今商工会議所がこの際ほんとう商工会法の精神にのっとって、大多数の会員を入れて、手をふやしていってさへくれれば、必ず町村と同じような対策が小さな都市でできるんではないか、かように考えておるわけでございます。またそれを大いに希望いたしておるわけでございますが、ただ六大都市東京とか大阪とか特殊の地域にあっては、会員は個人だけでございません。その点をどういうふうにするのかということを、実は商工会議所高城さんにもさっき話したわけでありますけれども、やはりその当事者によって特別な最も合理的な方法を考え出していただかなければならぬのではないかというふうにしか考えられない。大へん不勉強な回答でございますが……。
  48. 小林正美

    ○小林(正)委員 それから井上さんにもう一つ聞きたいことは、先ほど石井さんの説明の中で、これは全国業者の盛り上がりの声としてできたものではないように思う、やはりある特別な方々の熱心にやられたことではなかろうかというような意味石井さんの御発言がありましたのでお尋ねをいたします。特にこの商工会法案については、静岡県の方が御熱心だということを私ども聞いておるわけでございますね。大へんけっこうだと思うのでございますが、ただいろいろ僕たちの耳には雑音が入ってきまして、極端に申し上げますと、どうもこれは池田通産大臣と特別関係があるのではないか。静岡高等学校の卒業生はみな集まってやっておるのではないかというような風評が立っております。将来池田さんが総理大臣になるためのこれは一つの大きな陰謀だというようなあれが立っておりましてね。私はそういうことはないと思うのですが、どういうことからそういう運動をあなた方は展開なすったのか、そういう点も一つ、きょうはちょうどいい機会でありますから、誤解をといていただきたいと思います。
  49. 井上光一

    井上参考人 ただいま池田通産大臣云々というのが出ましたが、これは天地神明に誓ってそういうことはございませんので、冒頭にお答えしておきます。  それからどういう経路でそうなったかというお話でございますが、実は全国商工連合会があるのが当時二十四県でございました。ところがその前に、新潟県が商工連合会の一番先進県でございまして、非常に熱心に商工会をまとめて、模範的な連合会を作っておられる。その新潟県の県連合会から、さきおととしの八月でございますが、私の方と埼玉県にお手紙をちょうだいしまして、一ぺん商工会のあり方というようなことについて、各県全然連絡もないから、比較的しっかりした商工連合会を作っていると思われる県の人たちで集まって意見の交換をしようではないか、こういう呼び出しをちょうだいいたしまして、そこで東京へ合流しましてお話をいたしました。たまたまそのときにやはりいろいろの問題で、資金繰り、あるいは指導体系、あるいは運用の内容というようなことで、非常に行き詰まりを来たしておりまして、何か事業交流あるいは意見の交流をして、活発なものにしていきたい、それには連合会もずいぶんあるだろうから、一つ全国の調査をして、そういうところで集まって、そういう研究会を持とうではないか、こういう話し合いから、各県に対してそういう照会をいたしたのが全国連合会を作る始まりでございます。たまたまそのときに回答のありましたのが、県名はさだかではございませんが十一県ありまして、その人たちが一回寄りまして、これくらいあるならば、まだあるだろうから、もう一回調査しようということで、その人たちが発起人になりまして、再調査いたしました。そのときに二十一県が判明いたしましたので、そのとき初めて全国商工会連合会というものを作って相談していこうというので相談しておるうちに、都市部においては法の庇護を受け、あるいはある程度助成を受け、いろいろな形で育成されておるが、郡部においては全く等閑に付されておる、これではどうにも将来案ぜられるから、一つこの際商工会も、ほんとう地域団体として活発に、地域の総合経済の発展をもたらすような大きな仕事をしておるのだから、何かこれを法制化して、責任を持った人格を得て、それでそこに一つ助成の道を作っていただいて、九五%といわれておりますが、圧倒的に多い零細企業者、いわゆる今の定義でいう小規模事業者でございますが、この人たちとともに地域の経済発展をはかっていくような方法を講じたいというのが、私ども先ほど申しました商工会助成法案要望の始まりになったわけであります。その後はほとんど中小企業庁中心に動いて参りまして、それから一度自民党の商工部会と中小企業対策部会で、このことによって招集をいただきましたので、そのときから自民党の中小企業対策部会と商工部会にお顔つなぎができて、いろいろなことを二、三お願いに上がるような機会ができてきた、こういうわけでございます。御了承をいただきたいと思います。
  50. 小林正美

    ○小林(正)委員 それから石井さんにちょっとお尋ねをしたいのでございますが、先ほどの御発言の中で非常に重要な発言だと私の思ったのは、県の商工課長ですか、それがあなたの方の地域に参って、普及員の問題についていろいろ説明したが、その説明の中で、普及員資格としては次のようなものが一応基準であるということで、公認会計士であるとか、中小企業登録診断員であるとか、あるいは商工鉱業の指導実務に最近五年以上従事しておる経験者でなければならぬとか、そのほか旧制中学校または新制高等学校卒業と同程度の学歴を有する者で、しかも中小企業庁長官の指定する研修課程を終了した者であるとか、あるいは中小企業庁長官が同等以上の指導力があると認めた者であるとか、そういうようないろいろ大へんな条件をつけ加えて、そういう者でなければ普及員にしないという説明があったかのごとく私は承ったのでありますが、その点どうでございましょうか。
  51. 石井澄雄

    石井参考人 二月中旬でしたか、多度町で同地区商工会役員が集まりまして、県の商工課長さんの御説明では、確かにそのように非常に厳重な資格制限があるように承りましたし、これは戦前の中小企業相談員の資格とほとんど同様のものであるということを伺っております。それを置くことが非常にむずかしいがという意見がみなから出たのですけれども、とにかくそういうものを置かなければやれないという意味の御説明を受けたのであります。
  52. 小林正美

    ○小林(正)委員 そこで中小企業庁長官にお尋ねしたいのでありますが、今度は特に商工会議所のない、いわゆる町村に、中小企業、特に零細企業対策をやるために重点的に普及員を配置したいというお考えで、まことにけっこうだと思うのでありますが、今のごとく末端の県の商工課長などがきわめてきびしい条件を普及員につけておる、そういう説明をしておるということでございますが、この点長官はどのようにお考えになりましょうか。
  53. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 これも先般御質問に応じまして御答弁いたしましたが、経営改善普及員というのは、大体仕事は何といいますか、割に一般的な仕事で、専門的な事項を必要とします場合には、その専門家を委嘱するという経費もとってあるわけでございます。普及員そのものは割に一般的な、何といいますか、程度としては割に一般的な仕事をしているという考え方から、私どもとしては現在やっております相談員より、もっとレベルを落としていこうと考えております。ただ、今のようなお話がございましたのは、実は二月の初め各府県の商工部長会議をやりました。そのときに、商工会法のほか一般的に通産省全体の事項を説明しました中で、われわれとしては地方実情からいって、どの程度がいいだろうという意味で、相談員はこういう資格だ、診断員はこういう資格だというのを表にしまして、皆さんどうお考えになりますか、われわれはこういう考え方で考えておりますが、というような意味のことを、こっちの方からむしろ相談した経緯がございます。それをあるいは何か商工部長から商工課長の方へうまく伝わらなくて、そういうことになったんじゃないかと思います。
  54. 小林正美

    ○小林(正)委員 そうすると、やはり末端の商工会を作ろうとする人が心配しておることは、大体今の中小企業庁長官の御説明で、私どもわかったわけでありますが、たとえば役場に勤めておって、昔の旧制の中学校を出ておる、あるいは出てなくてもいいと思うのでありますが、とにかくまじめに、親切によく世話をする程度の人であれば、必ずしも特別の条件がなくてもいい、特別の資格がなくてもかまわないのだ、そういうようにある程度幅を持たせて考えていいですね、長官どうですか。
  55. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 やはりこれは全国一般のなんですから、ある標準は設けたいと思います。ただそのときは最後に救済的に現地といいますか、実情に応じて考えるような規定を置いて運用して参りたいと思います。
  56. 中村幸八

    中村委員長 この際午後二時まで休憩いたします。     午後一時二分休憩      ————◇—————     午後二時十六分開議
  57. 中村幸八

    中村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  参考人に対し質疑を続行いたします。始関伊平君。
  58. 始関伊平

    始関委員 参考人の各位から御意見を拝聴いたしまして、大体において郡部の商工業者を代表される立場にあられる方は、まずこの法案に満足である。それから東京や京都なんかの商工会議所地区から出ておられます方々は御不満だ、こういうふうに了承いたしました。そこでいろいろな問題があるわけでございますが、問題を解きほぐす前提といたしまして、この商工会の目的ないしは性格というようなものについてお尋ねをしたいのであります。一つの見方は、これは商工会議所高城君が一番はっきり申したようでありますが、要するにこれは地区内の商工業の総合的な発展をはかるのだ、その意味において商工会議所を小型にしたものであって、性格的には全く違わないので、こういう御意見であります。もう一つの、それに対立する意見は、零細事業者の指導というところに、特に大きな重点を置いた見方でありますが、この二つあると思うのであります。これは、法律の条項で見ますと、目的のところに書いてありますように、今申した二つの目的があわせて書いてある。法律的には疑いはないのでありますが、この点はあとでいろいろな問題を審議する場合に問題になると思いますので、ちょっと伺っておきたいと思います。これは渡辺さんに伺っておきたいと思いますが、今日まで自然発生的にできてきた商工会というものが非常にたくさんある、三千幾つかあるというお話ですが、今までにできて参りました商工会というものは、今私が申しましたように、その地区商工業の一般的な意味での発展をはかる、こういう目的あるいは事業と、それからその地区内の小規模事業者を個々に指導するという事業と、一応二つに分けて考えまして、一体どっちの方に重点があったのか、一番最初はどっちから出発したのか、その比重は個々の商工会によりましてニュアンスの違いがあると思うのでありますが、その辺のことを一つ説明願いたいと思います。
  59. 渡辺重太郎

    ○渡辺参考人 ただいまのお問いに対しましてお答えいたします。初め設立いたします当時は、商工業の同志が糾合して、お互いの改善と隆盛をはかろうということによって設立したわけであります。その後やっておりますときに、非常に弱小企業者が多いために、これを何とか救済して同じ水準まで持っていこうじゃないかということで、その点に現在は力を注いでおるわけであります。そうして一人の落武者もないように、全部がそろって安定した生活をやっていきたい、こういう立場において今いたしております。
  60. 始関伊平

    始関委員 たとえば法律にもございますように、展示会をやるとか共進会をやるとか、あるいはネオン灯を作って商店街をきれいにするとか、そういう意味でのその地区商工業の全体の発展をはかろう、こういう仕事もかなりのウエートを持っておるわけでございますか。
  61. 渡辺重太郎

    ○渡辺参考人 ただいまおっしゃる通りに、街灯を作るとか展示会をいたすとかいうことを総合的にやっておりますけれども、でき得るだけ零細企業者に手を差し伸べてやっております。そして一つの例を申しますれば、かりにお菓子を製造いたしますのにも、多少の力のある方たちは自分で販売もできますし、自分の力で機械の適当なものも買い得るのでありますけれども零細企業者はそれができませんために五、六軒を組合させまして共同の機械を買い入れて、共同販売もさしていく。そういう指導を今いたしております。
  62. 始関伊平

    始関委員 全般的な商工業の発展、それから個々の業者というものを対象とした特別の指導と両方やっておられる、こういうお話でございますが、それなら個々の業者指導という方面について伺いますが、今までそのための専従の職員、今度政府が助成しようとしております経営改善普及員ですね、あれに当たるような者が今までおったのかどうかということ、おったとすればその経費というものはどうして出しておったのか、人件費ですね。それからいなかったとすれば、あなたはこの鼎町の会長でありますが、会長さんとか副会長さんとか、そういう方々が業務の余暇をさいて自分でやっておられたのか、その辺の事情をちょっと伺いたい。
  63. 渡辺重太郎

    ○渡辺参考人 お答えいたします。ただいまの御質問に対しまして、現在職員が六名ございまして、そのうち今の第三種の中小企業相談所を併設されておりまして、その費用が今国、県で九万六千円ちょうだいいたしております。一名相談員がございまして、それに充当しておるわけであります。全部の予算は二百八十万ばかりございまして、町の方から三十万、国の方から九万六千いただいておりますが、あとの金は全部会員がまかなっておるのであります。非常に苦しいところをまかなっておりますけれども、現在の商工会の活動状況から参りまして、どうしても会員に出していただかなければならぬということで、るるお願いいたしまして出していただいております。相談員一人では、なかなかたくさんな相談がございますために、その余分については、正副会長並びに部長というものが八人おりますが、その部長並びに正副会長が全部部署を分けてその相談の向き向きに対しまして十分な相談相手となって、相談をしておるのでございます。以上でございます。
  64. 始関伊平

    始関委員 今の点に関連しまして、ちょっとお尋ねしますが、今度の法案で、商工会会長その他職員に会員外からも委嘱できるといいますか、頼めることになっておるのですね、あなた方のところでは、会長とか副会長とか、その他商工会会員である方がやっておられるようだが、非常に忙しいという事情もあると思うのです。そうしますと、そういったような状況から考えて、職員として経営改善普及員というようなものは会員外から採るわけですが、役員の中の一定数のものもそういう道を開いておいた方がよろしい、そういう必要があるというふうに——これは商工会会長として実際は仕事をやっておられる立場から、どういうように感じられますか、その点ちょっとお答えを願います。
  65. 渡辺重太郎

    ○渡辺参考人 お答えいたします。ただいまは今御質問の通りに会員のうちから役員を全部出してございます。今お話しのようにその指導者になります者が非常に忙しゅうございまして、自分の家業もやって参らなければなりませんし、また会員としてもいたして参らなければなりません。今の相談員もやっておられますけれども、そういたしますと、どうしてもおのずから専務級の者を一人置いて、むろん会長あるいは副会長がその責任を負いますし、起案をいたしますけれども仕事の面ではそういうものを大いに今後やっていかなければならぬのではないか、こう考えております。
  66. 始関伊平

    始関委員 そこで商工会の目的には二つあるわけでございますが、その片方の方の、その地区商工業の全体の発展をはかるという目的に関する限り、これは地区内の商工業者すべて入っておられるし、いわゆる零細企業者というものに該当しなくても、それより少し規模が大きくても入った方がよろしい。これは地区内の総合的な発展をはかるわけですから、その点については問題がない。両方の事業を合わせてやるということだから、私は商工会構成としては必ずしも小規模零細業者に限る必要はない、こう思うのですが、かりに、小規模事業者の指導、そういう分野があるわけですね。今度の法律の非常に大きいねらいですが、その分野に限って話を進めるとして、比較的規模の大きいもの、いわゆる零細企業者に当たらないものの加入についていろいろ御意見がある。そこで一つ実情を伺いたいのでありますが、これは河野さんに伺いますが、一体地方実情といたしまして、零細企業者に当たらぬような、やや規模の大きい業者というものも現在は入っているわけですが、これは喜んで入っているのかどうかという点。それからその大きいといっても、どうせいなかのことですから大したものはないと思うわけですが、一体大企業といってもどの程度のものが入っているのかということ。それからそういうものが入ることについて、一方小規模事業者の方では、これに対してどういう態度といいますか、意向を持っておるのか、これを歓迎しておるのかどうか。あるいは比較的中規模のものと本法でいう小規模零細事業者との間に何か摩擦があった、そういうような事例があるのかどうか。もう一つ先ほど渡辺さんのお話では金もかかるようですが、かりに一部の方が言っておられるように、小規模零細業者だけで商工会というものを作るということにいたしまして政府から一人当たり県と合わせて二十四万円の補助があるわけですが、それだけでやっていけるだけの財政的な基礎がありと言えるのかどうか、こういう点を一つお答えを願います。——失礼いたしました。井上さんにちょっと……。
  67. 井上光一

    井上参考人 お尋ねの件でありますが、商工会の実体は、御承知のように自然発生的にその土地の全体の業者がまとまって作っております。しかしながらその会員がことごとく、いわゆる九五%と言われておりますが、それまでがほとんど現在の法で定義をされておる商工企業者でありますので、従って事業内容がほとんど必然的にその方に重点が置かれていくのと同時に、商工会自体が、先ほどからお話が長野からありました、いろいろな総合的な作業もまた大きなウエートを占めているわけですが、お尋ねの焦点であります小規模事業者だけの商工会の運営でというふうなお尋ねでございますが、これは小規模事業者だけでは、この運営が非常に心もとない感じがいたしております。摩擦があるかというお尋ねでございますが、これは大体町村では住民感情というものが非常にこまやかでありまして、絶えずその土地に育ち、その土地で営業している人たちでもありますから、そうした面でも、非常になごやかに進んでおりまして、むしろ特殊な大工場ができて、その大工場の工場長というような立場の人は、従来の形は、私どもの知っている範囲では、特別会員とかあるいは賛助会員という形で入っておりますが、その他、その土地で営業されている中小企業者は、おしなべてこの商工会に入って、非常に円滑にいっていると思っております。
  68. 始関伊平

    始関委員 今の点は重要な点でございますから、これは東京高橋さんにお尋ねいたしますが、東京都なんかの問題はあと回しにいたしまして、地方実情に関する限り、中規模業者も入り、小規模業者との間に摩擦もなしに、相互協力で、ある程度の実績をあげておる、こういうただいまの井上さんの御説明に対して、あなた何か御意見がおありでしたら、お話し願いたい。
  69. 高橋貞治

    高橋参考人 ただいまのお尋ねに対しまして、私は実は十八日に大阪に参りまして……。
  70. 始関伊平

    始関委員 ちょっと待って下さい、大阪とか東京はあと回しにして、いなかを先にやって下さい。
  71. 高橋貞治

    高橋参考人 いなかと申しますか、小さな町ですね、ここは割合円満にいっているように多少聞いておるのでございますが、六大都市が、まあ先ほど私申し上げたようなきらいがあるわけでございまして、小さな町は、そう摩擦がないような——特に申し入れがないようでございます。
  72. 始関伊平

    始関委員 そこで、商工会議所のある地区、特に六大都市と申しますか、非常に大きい都市の問題でございますね。実は自民党の政務調査会で、私どもが一番最初議論したときも、この問題が非常に大きな要点で、会議所ではとても手が回らぬのじゃないかというような気持で、まあ当時はそういう議論をいたしたのでございますが、そこで、この問題につきまして、項目を分けて伺いますが、最初に高城君に伺いますけれども先ほど井上さんの御説明だと、全国に三千六百ぐらいの商工会があって、そのうちの八四%は郡部にある、それから一六%が都市部だ、こういうふうな御説明があったと思うのですが、一体この商工とというものが、いわゆる都市部——都市部というのはどこまで入るかわかりませんが、特に大阪なり東京なり京都なり、こういう大きい都会に、いわゆる商工会ですね、郡部にあるのと同じ性格の商工会が、自然発生的に相当発生しておる、こういう事実を認めておりますか。その点ちょっと……。
  73. 高城元

    高城参考人 ただいま商工会が都市部にあるかというお話でございますが、実はこの商工会の調査をいたしましたときに、商工会というのは何だろうかということがわからないのであります。俗に商工会がある、あると申しておりますのは、いわば商店街連盟でありますとか、あるいは工場協会でありますとか、違う名前のものが、東京の場合でございますと、二千ございます。しかし、どれをもって商工会というかという商工会の定義ができておりませんので、どれが商工会だか私にはわからぬのでありますが、商工会という名のついたものは非常に少ないということを私は申し上げておきます。
  74. 始関伊平

    始関委員 そこで、ただいま高城君のお話ですと、大都市には商工会というはっきりした名前のついた、従ってその内容についても、郡部におけるものとほぼ同じような性格のものは少ないであろう、こういうお説でありますが、これはたとえば商店会でありますとか、あるいは専門店会協同組合であるとか、あるいは工場協会であるとか、名前も違うし、実態もやや違うものが、大都市におけるいわゆる商工会といわれているのではなかろうか、こういうお話でございますが、この点につきまして高橋さんの御意見を伺います。  それからなお、そうであるといたしますと、たとえば専門店会については、専門店会協同組合という組織ができておりまして、商工会という名称を使いませんでも、いろいろ法人化する方法はある。その方法によりまして、地区内の商工業の発展をはかるという目的は、私は一応十分ではなかろうかと思うのです。実はわれわれの政調会で議論したときも、そういうことで、一応商工会商工会議所とは系統が別でよろしいんじゃないか、こういうことに考えたわけでありますが、その二点について、まだお伺いしたいことがあるのですが、ちょっとその二点だけ切り離しましてお伺いいたします。
  75. 高橋貞治

    高橋参考人 実はお話の専門店会とかあるいは商店会というようなところも金融の面もやっております、また商店の発展もやっておりますが、それ以外に、先ほどお話のありました税の御指導とか金融のあっせんをやっておられる、つまり商工会名前のついた団体東京都内にもあるようでございます。これは先ほどその代表の方がお話しになったと思いますが、東京にも相当数があるようであります。今お話の点で、要するに専門店会あるいは商店会等におきましても、それをやっております。小規模の町全体の会をやっております。その方もやっておりますが、商工会という名前を使った団体東京に数多くあるようであります。先ほどその代表の方が確かお話があったようでありますが、一応その点御参考までに申し上げておきます。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 関連して。今の質問に対して、参考人両名の答弁は食い違っておると思います。そこで中小企業庁長官にお伺いいたしますが、東京都あるいは、大阪、京都、名古屋のような大都市で、商工会という名をつけたもの、ないし名前は違っておっても、大体商工会と同じような運営をやっておるといいますか事業をやっておる、こういうようなものは一体幾らほどあるか、この際言っておいていただきたいと思います。
  77. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 実はこの商工会というのは任意団体でありまして、これのつかみ方というものは非常にむずかしいのでございます。昨年相当詳しい調査を商工会についてやりました。その結果を、今の御質問に関連する点を申し上げますと、四十二府県で二千六百五十七商工会があるというところまでつかめております。それ以外に、商工会という名前を使い、あるいは別の名前でもそれらしきものがあるのかないのかということは、実はつかめていないのであります。大体そういう趣旨のものはつかむということで、各都道府県を通じまして調査をしたのが、二千六百五十七でございまして、それ以外にないかと言われますと、ちゃんとした統計をとるようなことになっておりませんので、全然ないというような保証はできないような事情でございます。そのうち八五%に当たる二千二百六十三が郡部町村存在しております。それから一五%に当たる三百九十四が市部に、市の区域にございます。ただ、この市の区域は、私どもの調査では大体小さな地方の市でありまして、六大都市等の大都市にあるものはこの中にはございません。ただ、これも先ほど申しましたようなわけで、統計的な調査でないわけですから、あるいはそういう名前のものが少しはあるというようなこともあるかもしれませんが、いわゆる行政的な調査でつかみました現状では、ないように承知しております。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 一五%ばかりが市部にある、こういうことですが、その市部というのは商工会議所のあるところですか。
  79. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 これは会議所の地区に入っているところもありますし、入っていないところも、両方ございます。
  80. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃ資料として要求いたします。今の調べが完全なものでないということをみずから認めておられるのですからその程度でいいと思いますが、完全なものはとれないと思いますが、現在商工会議所のある地区にある商工会は幾らなのか、それからこれはちょっと無理かもしれぬが、東京、京都、名古屋、大阪のごときところに、商工会ないしこれに類するものがどの程度あるか、これをできるだけ調べて下さい。
  81. 勝澤芳雄

    勝澤委員 長官、資料の中で、できれば一つ具体的に都市の名前をあげておいていただきたいと思います。
  82. 始関伊平

    始関委員 そこで、その辺に問題の要点があるわけでございますが、これは一つ高橋さんにお尋ねをします。地域的な総合団体ということからいたしまして、会議所のある地区内にある商工会法律的な性格からいうと同じですから、それは困る、これは筋からいってそうだろうと思ってこの案にわれわれも賛成したわけなんですが、そういう前提から考えてみますと、必ずしも無理に商工会という名前のものを、東京とか大阪とか京都とかいうところに作る必要はないので、実質的に協同組合組織とかなんとかによって地区の発展、商店街の発展をはかればよろしい、こういう制度をやるならば経営改善普及員というものを、おれの方にもよこしたらいいじゃないか、ここまで妥協した線というものはあり得ると思うのですね。にわかにその意見に賛成するわけでも何でもございませんが、結局、先ほど京都の代表の方、東京の代表の方が非常に反対なさったのですが、私が今翻訳したようなことになるのかならぬのかというような点を、高橋さんと河野さんから簡単でけっこうでございますからちょっと……。
  83. 高橋貞治

    高橋参考人 今のお話でございますが、実は約一週間前に全日商で、商業関係の都市の理事を寄せたのですが、集まった方は東京、大阪等が集まられたわけであります。一応先ほども公述で申し上げましたが、要するに大きな企業と零細のと一緒にやりましても、ほんとうに親切な、真から救済する、あるいはまた御相談に応じるという面は——先ほどドイツの話もありましたが、要するに中小企業の零細な連中は零細な連中で商工会というものを作る、農村にもできますのですから、そういった形で六大都市程度は必ず商工会を同じ姿で作ってもらいたい、そうして商工会議所は、一応大きな企業の方が大体十分御相談になってやっていらっしゃるのですから、今申し上げた零細な方は六大都市程度はやはり別個にしていただいて、また必要な場所は適当に先生方にお考えを願って、六大都市がまずかったら十大都市に、またもう少しふやしていただいてもいい。要するに六大都市商工会議所の行政として、零細のことも真剣にやってはいただいておりましょうけれどもほんとうはやはり作らしていただいた方が、先ほどもちょっと失礼な言い方でしたが、ウサギはウサギの連中でお互いに相談し合って、真剣に考えていこうというのが、この間の全日商の理事会の空気でございました。理事会の空気で一応これはできておるのでございます。まあ大と小でございますけれども、やはり現状はあまりにも違っておりますので、御存じの通り百貨店法も、零細と六百貨店では、一緒にしたら将来小売業者がなくなってしまうのだというので、一つの規制ができたわけであります。先生方の御心配で百貨店法はできたという点もございまして、これと多分に同じような性格が現状も出ております。私は大阪へ行って聞いたのでありますが、大阪の商工会議所は別段相談がなかった、商工会に関しては何も知らぬというような現状を、実は十八日に聞いて参りました。全日商でそういう考えならけっこうだということで、繊維初め相当の理事が三十名ばかり集まったのでございますが、まあ御心配をしていただいてはいるだろうけれども、六大都市一つ農村と同じように、その方たちだけで独自の商工会をやっていただいたらいいのじゃないか、そういったような空気でございまして、全日商もその点決議しております。
  84. 河野貞三郎

    ○河野参考人 私どもは、大都市、それから地方小都市におきましても、いわゆる商工会と名のつくものを、先ほど申し述べましたように終戦直後あるいは戦前からも、今までやって参ったものでございます。東京でも二十三区に商工会を持っております。それから名古屋、京都、大阪、兵庫、各地区商工会を持っております。大都市だけで百四十持っております。この会員は少ないところでも五百人くらいから、多いところは二千名近く持って活動しておるわけでございます。東京だけで現在私ども商工会の事務局員が各区で約二百名おります。任意団体でございますので、中小企業庁長官がおつかみになっておられなかったのは、まことに残念でございますが、かなり活発な経営指導金融の問題、税務経理の指導等、それから法律相談等も、申し上げたようにやっておるわけでございます。それで、どうして大都市にこういう商工会ができたかと申しますと、私は昭和二十二、三年ごろ東京商工会議所中小企業対策部でありますところの商業者同盟に入っておったわけでございます。例の公開経営研究会の青色申告を提唱いたしました北村実君が事務局長をやっておりまして、私ども協力してやって参ったのですが、二十四年ごろになりますと、東京商工会議所がどうもそれに対する援助等をなさらなくなったということを聞いておるわけであります。そのためにこれは挫折いたしました。やむを得ず私どもは地元に帰りまして、私はすでに中野で商工組合連合会をやっておったものですから、それでは帰って、きょうから商工会を作ろうというので商工会を作ったわけでございますが、そういう形の商工会大都市にもたくさんできております。東京の場合でございますが、この点は、商工会議所が中途において放棄したものをわれわれが拾って、これを維持育成してきたというのが事実でございますので、そういうことになりますと、やはり高橋さんがおっしゃったように、ウサギはウサギ同士でやることが、大都市においても適当ではないか。しかしただ私の場合は、今までの経験からいきまして、先ほども申し上げましたように、あまりに強力な官僚的な統制はいけないのじゃないか、商工業者の特質から申しまして、先ほど慶応の先生からもお話がございましたが、もっと自由な形で育てていくべきが当然ではなかろうか、こういうふうに考えておりますので、自主的に今までやって参りましたが、今後も、歴史があるのでありますから商工会という名前を使って、自由にやらしていただきたいと考えておる次第であります。
  85. 始関伊平

    始関委員 河野さんに重ねて伺いますが、あなたの御意見は自主的にやろう、ですから政府の助成なんか必要ないのだ、ただ商工会という名前を使わしていただきたい、こういうことでございますか。
  86. 河野貞三郎

    ○河野参考人 自主的にやると申しましても、先ほど申し上げましたように何しろ弱い団体でございますから、商工会全体を考えた場合には、やはり政府から適当な補助があってしかるべきではないか、こういうように考える次第でございます。
  87. 始関伊平

    始関委員 意見を述べてもしようがないのですが、政府から金はほしい、勝手なことはするのだ、そんなばかなことはないので、その点について私はあなたの意見に反対であります。ただ、しかしながら、商工会議所の中で大阪、京都、東京というようなところでは、なかなか末端まで手が回りかねるという点は、私ども最初からそういう感じを持っており、今も持っておるのですが、支部を作っておやりになるというのだが、この場合には支部そのものが——東京のお堀端にある商工会議所支部だって、やはり上から来た組織というような感じになるので、自主的な団体中小零細企業者の指導をやらせようという趣旨からいいますと、少し離れるのではなかろうかという気がするわけです。そこで、六大都市といいますか、非常に大きい地域に限り、幸いにしてというか、高橋さんも河野さんも、大きい都市は零細企業者だけでよろしいと言っているのだから、そういうふうな若干の条件をつけて、原則的な衝突はないという解釈になれば、会議所の建前としても、どうしても絶対にいやだというまでの理由といいますか、そういうことはなかろうという気がするのですが、高城さんどうですか。
  88. 高城元

    高城参考人 これは先ほど申しました通り、商工会議所地域経済の総合団体であるという見地から申します。と、大企業と言わず、中企業と言わず、小企業と言わず全部を網羅する団体でなくてはいかぬということであろうと思います。先ほど申しました通り、東京都内に二千ばかりの団体がございます。商工会議所としては、従来あるこの団体を活用しつつ支部を作っていきたいという考え方を持っておるわけでありまして、この四月一日から発足いたしまする大田区の支部におきましても、その点よくその団体と話し合いをいたしまして、工場協会工場協会仕事をやってくれ、区商連は区商連仕事をやってくれ、それを総合したものとして支部を作ろうじゃないか、国から補助と申しますか、参りましたもの、あるいは会議所が自力で作りました普及員というものは、そっちの方に差し向けるからという考え方を持っているわけでございます。商工会をかりに作りまして、従来の二千の団体を全部解消させるというようなことは成り立たぬのじゃないか、かえって小規模事業者のためにマイナスになるのじゃなかろうか。要は会を作る問題ではなくて、小規模事業者の経営状況をいかによくするかということじゃないかと思うのであります。組織作りではなくして、いかにしてよくするかということが目標になると思うのであります。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 ちょっと関連して高城さんにお伺いしますが、中小零細企業は、やはり東京、大阪のような大都市にもうんと多いと思うのです。そこで、この法案の言っているような工業二十名、商業、サービス業五名程度のものが、東京商工会議所会員として一体何ぼくらい入っておりますか。その会員の振り合いを言って下さい。東京商工会議所会員は幾らで、そのうち二十名くらい以下の、法で言うところの小規模事業者が大体何ぼくらいか、それからまだ入っていないのがどのくらいあるという推定を……。
  90. 高城元

    高城参考人 東京商工会議所には、いわゆる小規模事業者というのは比較的少ないのであります。大阪は会員の三五%くらいが会員になっておりますが、東京では七%くらいでございます。と申しますのは、若干会費が高いということ、個人で五千円、法人で一万円ということになっておりますので、なかなか入り切らぬという点があるのではないかと考えております。従いまして、私ども団体加入という方式をとりまして、団体が百五十入っておりますので、東京の場合、会員が三万五千人おるわけでございます。それで前から申し上げました通り、会議所は公共的団体と申しますか、そういう見地に立ちまして、会員であると会員でないということに差別はつけておらぬのであります。会員であろうが会費をお払いになるまいが、小規模事業者指導については、全部無料でやるという建前をとっております。東京の場合は、九割以上が会員外を扱っているわけであります。これは戦前からの伝統によることでもあろうかと思いますが、大体商工会議所の精神というものは、そういうものであるわけであります。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 今のお話ですと、利用者が会員でない者が九割以上……。
  92. 高城元

    高城参考人 東京の場合です。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 東京の場合、それだけが中小企業の相談を利用している、こういうことですか。
  94. 高城元

    高城参考人 そうです。
  95. 田中武夫

    田中(武)委員 大体七%程度会員で、商工会議所の運営等につきまして、いわゆる小規模事業者立場からの発言といいますか、商工会議所に対参る意見が反映応できるようなことになっておりますか、いかがですか。
  96. 高城元

    高城参考人 十分反映できると私ども考えております。
  97. 田中武夫

    田中(武)委員 七%程度で十分に反映できている、たとえばどういうような運営になっておるか。
  98. 高城元

    高城参考人 私ども会議は、必ずしも多数決でやっておりません。会議所の常議員というものがありますが、会議所に関します限りすべて公共の立場に立ちまして議論をいたしております。自分の大きい業界のためにこうだ、小さい業界のためにこうだということを、その業者自身が言わなくては通らないというような仕組みになっておりません。これはすでに八十二年になります会議所の長い歴史が、そういうことを実現させておるわけであります。
  99. 田中武夫

    田中(武)委員 関連ですから、もう一点だけ。今度は河野さんと高橋さんにお伺いしたいのですが、今高城さんは、東京商工会議所は十分零細企業の意思を反映した運営がなされている、こういうふうにおっしゃったのですが、私たち見ましてやはり大企業中心ではなかろうか、こう思うのです。それで実際東京に店を持っておられ、中小企業立場で活動しておられるお二人の方は、商工会議所等はやはりそういうような運営であるか、あるいは皆さん方の意見が十分反映して運営がなされているか、どういうふうに見られているか、お伺いいたします。
  100. 河野貞三郎

    ○河野参考人 私先ほど申し上げましたように、とにかく昭和二十三、四年のような、中小企業者が税問題その他で非常に苦労しておった時代に、初め指導しておった商工会議所がそれを放棄したという事実から見ましても、われわれ零細業者に対しましては、あまり手を差し伸べていないのではないかというふうに考える。その後におきましても、区であるとかそういうところからのいろいろ指導はございますが、商工会議所から一ぺんも呼びかけを受けた記憶もございませんし、これは全体的に申せることではないかと思いますので、私どもは、大都市におきましても商工会議所の恩恵は受けておらないというふうに、これは自分の考えでございますが、そういう印象を受けているわけでございます。
  101. 高橋貞治

    高橋参考人 今の商工会議所は非常に資力もございますし、中小企業の面の相談所も相当利用されているようであります。しかし先ほど商店会等もこれを利用して一緒になってやられる、こう高城さんはおっしゃいますが、商店会利用という面も、これはけっこうなんでございますが、農村あたり、いなかの方には商工会ができる、東京とか六大都市あるいは相当の都市の、会議所のあるところは会議所でおやりになるという線は、われわれ率直に申し上げて、零細な方々の面を、たとえて申しますと、品川も人口が区だけで四十万ございます。蒲田が六十万、ここに全部に支所を作るか、これはできませんが、東京には商店が十五万あるわけです。それを二十三区で分けますと相当な数が要るわけです。地方へ行きますと、百五十人、二百人くらいで一つ商工会ができる。東京においては一行政区に少なくとも五千とか三千とかあるいは一万近くおるところに支部をお作りになると、大へんな費用がかかるわけであります。こういう面は非常に零細業者は深く考えまして、単に支部を作るとおっしゃっても容易にできるものではない。またほんとのことはさっき申し上げた通り、われわれ零細業者が集まって、運営の仕方は民主的に、また政府の御指導もあるということで、従来あるものは別にしましても零細業者が新しく政府の御指導で作っても、商工会議所とレベルが全然違いますから、私はうまくいくのではないかと思います。商工会議所でも作る、また零細業者も作って、連絡協議会をやっていきますれば、まずくいくとは思わないのであります。東京、大阪の場合は非常に数が多うございますから、三十五区、二十三区全部支部を作るということは、なかなか商工会議所で簡単にできないのではないか。人数からいきますと非常に数が多いわけであります。こういう点から非常に商工会議所が零細な方にまで心組みを願っておる点は感謝いたしておりますが、将来を心配いたしまして、どうもこの際零細だけで一つ別に、農村、いなかと同じように、別個に零細業者商工会を六大都市、十大都市くらいは作っていただきたい。そうすると百貨店と同じように、政府にも十分意向が御伝達できる。中の組織一つ民主的に、先生方の御配慮でお作り願えればけっこうだと思います。
  102. 中嶋四郎

    ○中嶋参考人 京都にありましては、先ほど申し上げました通り、商工会議所組織並びに運営の形から参りますと、今高城さんからもおっしゃっていただいておりますが、現実の運営としてそういったところにまでは無理じゃないか。これは私言えると思うのです。おそらく京都にありましては、今の基準の業者は、ほとんど商工会議所に参加しておらぬのです。ということは私言い切って差しつかえない。そういたしますと、大都市商工会議所が、あわせて商工会と同じ仕事をしてやろうとおっしゃっていただきましても、現在私たちがよくいろんなお仕事で御一緒にさしていただいておりますが、これらの御認識と考え方に食い違いがあって無理が生ずるのではないか、そういう点高橋さん等がおっしゃっておられますように、この二つの目的はあるといたしましても、やはり零細業者から見れば、今度初めて行政の中で零細企業者だけにまず与えられる制度であるという印象が非常に強いのでありまして、そういう零細業者の行政に対します信頼感と申しますか、期待感と申しますか、そういう考え方からいたしますならば、少なくとも大きな都市にありましては、そういったやり方を養成していただくことが、本来の法律制定の趣旨であります、零細企業者が自分たちの経営をみずからの力で守っていく、伸ばしていくことで、なおかつ日本経済に少しでも寄与していきたいという熱意を受け入れてやっていただけるのではないか、こんなふうに存じまして、私、京都にあります現在の商工会のあり方を、資料として御説明申し上げた次第であります。よろしくお願いいたします。
  103. 中井一夫

    ○中井(一)委員 関連して高城日本商工会議所専務理事にお尋ねをしたい。先ほど始関さんを初め皆さんから、だんだん御質疑があるのに対して、商工会議所は零細商工業者のためにも尽力している。また零細商工業者意見も十分に取り上げておる、そういうことをおっしゃったのでありますが、私はこの数年来、中小商工業者のためにのみ一生懸命やっておるものであるが、いまだかつてほんとうの零細商工業者の困難な問題について、商工会議所が御尽力になった事実を知らないのであります。今度商工会法案というものを政府が出すに至ったのも、日本商工会議所というものが、大資本家というような方面の連絡のみが強くて、零細商工業者のためにとんと役に立たない。商工会議所にまかせておけないから、零細商工業者はわれらの利益を守るためには、ぜひわれらのための商工会法が必要だということがもとになって、ついに自由民主党も、まことにもっともだというのでこれを取り上げるようになったのであります。これに対しまして大都市方面その他の、現に商工会議所がある方面に、元来はこの法案は施行したかったのであります。本来の趣旨はそういう意味で、この問題は自由民主党において、この内閣において取り上げられてきたのであります。それに対して商工会議所はそれをやってもらっては困る、自分らの仕事の上で二重になる、互いに重複する、それだからやめてくれということで、なかなかやかましい御要求があった。私どもはそうでない、商工会議所商工会議所商工会商工会で互いに共存ができると信じておった。今もなおそう信じておるのであるけれども、何分そういうことのためにこの商工会法というものが難産になって、ついに日の目を見ないようなことになり、零細商工業者のために、せっかく自由民主党が、またこの内閣がしょうという、この画期的な施策をやることができないようになっては申しわけがない。ゆえに私自身としては不本意ながら、商工会議所とは別々の区域においてこれを行なうということにまで実は同意をいたし、この法案になったのであるが、そういう意味においては零細商工業者の方からいえば、当然不平、不満があることは初めからわかっておるのであります。こういうような問題において、商工会議所はえらく反対なり、えらく政府並びにわれわれの方に申し出をなさったが、平素商工業者が困っておおる問題については何ら言うてこられたことがない。それでもなおわが国の商工会議所というものは、零細商工業者のために大いに尽しておる、零細商工業者の声は大いに取り上げていると言い得なさるのであろうか。私はいかにも残念に思うから、これだけは、自民党の中にもこういう強い意見を持っておる者がたくさんおるのだということを、この機会にはっきりしておきたい。御意見を伺いたいと思います。
  104. 高城元

    高城参考人 まことに会議所の評判が悪いので弱っておるわけでありますが、私も若いころ読みました本の中に、たしかイギリスのジェロム・ケー・ジェロムの随筆であったと思いますが、政府とお天気はいつでも悪いということが書いてありました。私もイギリスの政府くらいまでに会議所が期待を持たれたと思いまして、今後さらに  一生懸命やりたいという決意を新たにいたしたわけであります。  実は零細企業者のことを会議所は何もやっておらぬと言われるのでございますが、午前中に申し上げました通り、たとえば東京会議所で二万六千件の相談を扱っておる、そのほとんど九割くらいは零細企業者であります。なお今日中小企業退職金の制度が法定をせられましたが、中小企業退職金の制度というものは、ほとんどこれはあげて零細企業者のためであります。中小企業退職金を制度として始めたのはどこであるか、これは商工会議所であります。この商工会議所で各地に五十数カ所できましたのを、政府がお取り上げになって、退職金制度を法定なさったのであります。零細企業者会議所は何もやっておらぬというお話でございますが、私どもははなはだ遺憾に思う次第であります。相当一生懸命やっておるということを申し上げて終わりたいと思います。
  105. 始関伊平

    始関委員 それで私、最後の質問でありますが、これは中嶋さんに伺います。今度の法案は、零細企業対策というものを前面に押し出したという意味で、いわば一つの画期的なものであると思います。それは少なくとも政府は今までたとえば金融だとか保証制度だとか、いろいろ施策をしているけれども、そういうものがあるということすらわからない中小零細企業者がおる。それは、政府の施策とそれから末端の業者とを結びつける、そういうことが期待できるかどうかというと、非常にむずかしい要素がたくさんあるわけですから、これがあったからといって零細企業の問題が解決するというわけにはもちろん参りませんが、ある程度の効果は期待できると思う。先ほどあなたは、この法律ができても商工会がうまくいくかいかぬかわからない、また官僚統制のきらいがあるということを言われたのですが、それはさっき私は河野さんにも申し上げたのですが、あまり監督されたくないのなら、金をほしくないと言えばいいので、金をよこせというなら、ある程度監督するというのは政府は責任上当然ですよ。そういう点を除いて、あとは自然発生的にできたもの、自主的な団体を小規模零細業者のための指導機関として使おうというのだから、これは官僚統制だとかなんとかいうきらいといいますが、そういうものは全然ない。これはうまくいくかいかぬかということですが、これはあくまで自主的な動きというものを助成しようというのですから、それはうまくいくところもあるでしょうけれども、うまくいかぬところもある。普及員というのも、これはあなた方が選択をして選べばいいので、うまくいかぬからというて、その責任をほかに転嫁するような言い方をするのは、少しおかしいと思うのですが、ちょっと伺います。
  106. 中嶋四郎

    ○中嶋参考人 ただいまの御意見でありますが、少し私の説明に対して誤解があるのではないか。と申しますのは、こういう零細企業者は、こういう制度に踏み切っていただきましたことに大きな期待を持っているのであります。持っておるが、過去のいろいろな諸制度、端的に申しますならば、事業協同小組合の問題にいたしましても、せっかく国会であのような法律制度を作っていただきながら、行政上まだわれわれにその手が及んでおらないのではないか。その点について、本委員会に、今後十分実際に行政上そういうことを期待いたしておりますわれわれ零細業者は、この商工会法に期待いたしております、成果を上げていただきますようにと思って申し上げたい、こういう点で申し上げておりますので、その点誤解のないようにしていただきたいと思います。  それからいま一点、これはもちろん経済活動に対しますいろいろな制度でございますから、私はやはりあくまでよそから栄養を与えて育て、たとえば手を引っぱってやるというようなことであったのでは、私は少なくとも完全な独立はできないと思います。いろいろな企業経営にいたしましても、みずから企業経営の努力をいたさなければならぬことは自明の理でありまして、そういった中におきまして、現在いろいろ二重構造といわれておりますが、私は三重構造だと申し上げておるのであります。そういったような零細業者について、せっかく国の方でお考え願って、国会の先生方が一生懸命お考え願う制度が、ほんとうに生きてあるようにしていただきたいということを冒頭に申し上げて、こういう点を懸念していると申し上げたのでございまして、そういう点誤解のないように願いたいと思います。  それから、発言の機会を与えていただきましたので、もう一つ重ねて申し上げておきますが、先ほど先生の御意見の中に、集団的な商店街は協同組合でいいじゃないか、これはもっともでございます。私たちやはり商店街の皆さんにはできるだけ、協同組合という制度があるのだから、これで一つ法的な保護を受け、援助を受けてやっていったらどうかということを仲間同士が話をしております。ところが大都市にいたしましても、集団的でなく散在した零細業者がたくさんおります。町の片すみにある自転車屋さんであるとか、あるいは加工業者であるとか製造業者であるとか、こういった地域的に集約できない、ばらばらに散っておりますものに対しては、やはり農村、小都市におきますところの商工業者と同じような立場で、この問題を取り扱っていかなければならぬのじゃないか。そういった場合、ただいま基本的にお考えになっております商工会議所にこれをやらせればいいのじゃないかということになって参りますと、なかなかそこまで商工会議所の手を届かしていこうといたしますならば、商工会議所の事務局に何人も人を置かなければならない。こういうことを考えて参りますと、幸いにいたしまして、自覚いたしました業者はみずから商工会という任意的な団体を作っておりますので、私は先ほど二つほどこの例を申し上げましたが、こういったものにもこの制度の手が伸びて参りますようなお取り計らいをいただきますならば、既存の業者企業を守っていくというような自主的な意欲も制度の上で生かされていくのじゃないか、このような意見を申したのでございまして、どうか御審議にあたりましてもその点を十分御勘案願いたいと思います。
  107. 中村幸八

    中村委員長 小川平二君。
  108. 小川平二

    ○小川(平)委員 高城さんにお尋ねをいたしたいのですが、今日まで非常に熱意を持って小規模事業者零細企業者指導に当たっておられて、いろいろな数字等のお示しもございました。たとえば、今日まで相談を何件受け付けておる、そのうち何%が小規模事業者であったというお話もあるのでございます。しかし、その引いておられる例にいたしましても、小規模事業者に対してはその持っておる特殊性といいますか、性格にふさわしい指導をしなければいけないのであって、店を開いて待っておる、やってくる者を受け付けて相談に応ずるというのではいけない。相談所という制度があって、多くの小規模事業者の利用にも供されておるという事実さえ知らない人がたくさんおる。みずから進んで積極的に手をとるような指導をしてやらなければ、小規模事業者指導をやってきたとは必ずしも言えないのじゃないか。さっき鼎町の会長お話もありましたけれども、実際やっておる仕事は、身の上相談的なことまでやって、夫婦けんかの仲裁までするというのでなければ実効が上がらない、こう私は思うのです。従来会議所が小規模事業者に対して何もしなかったというのも言い過ぎでございましょうけれども、さればといって、商工会議所指導が完璧なものであったとは言えないのじゃなかろうかと思います。そこで、そういう事実の反映として、いろいろなところに自然発生的に小規模事業者の自主的な組織として商工会が生まれておるわけだろう、こう私は思うわけであります。  そこで、その点について、私は退席いたしますので、一点伺っておきたいのでありますが、この商工会議所地域というのが、通常所在地の範囲以上に非常に広く広がっておる。そうして郡部にたくさん商工会がありまして、中には非常に健全な活動を長く続けて、顕著な実績を上げておるしっかりした商工会もたくさんあるわけでございます。そこで今度この法律案の原則がそのまま機械的に適用されるということになりますと、こういった商工会は事実上存続ができないということになるわけでございます。この点に関してそういった場所の商工会の人たちが非常な危惧の念を現に抱いておるわけであります。そこで、そういう場合には、政府においては個々の実情を調査をして、健全な商工会がずっと存続してきており、しかもこの法律の施行後においても存続することを強く要望しておるというような場合には、行政指導によって、たとえば会議所の区域を縮小してもらうというような方法で善処したいという答弁を公式にもいたしておるわけでございます。そういう場合に、会議所としてはこれに協力をなさる御意思があるかどうかということをこの際伺っておきたい。
  109. 高城元

    高城参考人 先ほどの最初の小川先生のおっしゃいました零細企業対策に対しまして、間然するところなしとは私ども申し上げておりません。実は一生懸命やっておりますが、会議所といえども必ずしも無限に財政を持っておるわけではございません。むしろ戦前に比べますと、非常に会費収入は減っております。戦前二百万円くらいのものが現在一億七千万円くらいでございます。本来六億ありませんと、戦前の規模まで参らないのでございます。それにもかかわらず、先ほど申し上げました通り、二万六千件もやっておる。国から年間二十四万円の補助をいただいておりますが、これくらいの件数をやりますれば、補助金の効率といたしましては、相当高い方ではないかと私ども思っておる次第でございます。  ただいま待っていて相談を受けるだけではいかぬというお話、その通りでございます。東京会議所におきましても、三十三年度におきまして百三十七カ所に出張りまして、主として商店街が多いのでありますが、下馬や九品仏や中目黒、全部読むと大へんでありますが、百三十七カ所に出張りまして、映画を持ち、先生を頼みましてセミナーというものをやっております。すぐ役に立つ商店経営セミナー、そのあとで相談を受けておるのでありまして、及ばずながら、出張相談と申しますか、巡回相談というものを現実にやっておる実情でございます。その点の御了解をいただきたいと思っておる次第でございます。  あとの点の会議所の地区内であるが、従来商工会があった、これを地区内では商工会を解散してしまえというようなことでは、現実に合わぬじゃないかというお話でございますが、その点につきましては、よく商工会議所商工会と話し合いをしてもらいまして、私どもできますれば、これにお世話もできるんじゃないかというふうに思っておりますが、個々の具体的事例によるのではないかというふうに考えております。決して会議所はただ支所を持って、それでのほほんとしてやるという考えは持っておりません。商工会会議所の地区を縮小して、そこに商工会を作って大いにやるということでありますれば、お話し合いの上、相提携していくべきではないかというふうに考えております。
  110. 中村幸八

    中村委員長 次は北條秀一君。
  111. 北條秀一

    ○北條委員 大へん皆さんから御意見をいただきまして、感謝いたしております。私は中座いたしましたので、あるいはもし私の質問で重複したところかありましたならば、重複しておるとおっしゃっていただけばけっこうであります。もう一つ、きわめて簡単にやりますから……。  最初に高城さんにお伺いしたい。それは先ほどあなたのお話の中に昭和十四年に日本商工会議所が商工会を作れという建議をしたということでございます。これは私は当時日本全体が戦時体制に切りかえるときでございまして、従いまして、商工会議所は政府の意見を組み入れ、そういう建議をしたのだと、私はそう思っております。従って、その後商工経済会になった。なぜこんなことを私が聞くかといいますと、あなたの認識と私の認識とが商工会法を作るのにかなり違っておるわけであります。そうなると、地域は非常に広がって参ります。そういうわけで、歴史のことですから、あなたに最初にそれをお聞きしたいと思います。すなわち、先ほど言われたことは、確かに商工会法の建議をしたけれども、それはそういうふうな戦時体制を作るための建議であったと思っておりますが、あなたのお考えはどうでしょうか。
  112. 高城元

    高城参考人 おそらく先生のおっしゃる通りではないかというふうに考えております。当時はいわゆる統制経済ということで、会議所も従来の自由経済的なことを全部払拭されまして、商工経済会県一本というような形になりました。それでブランクができれば県の統制経済と申しますか、そういうものを作るのはむずかしいのではないかということが最大の理由であったように推測いたしております。ただ会議所が商工会というものを常に念頭に置いていたということは、その前からいろいろ商工会の方から会議所に対して、一つ法定化を会議所の方も言ってくれぬかというようなことがあったようでございます。ちょうどそれと時期、符節を合しまして、そういう建議が出たのではないかというふうに私は思っております。
  113. 北條秀一

    ○北條委員 先ほど奄美大島の商工会議所お話が出たのでありますが、二十八年に商工会議所法ができましてから非常にたくさんの商工会議所ができたんでありますが、逆に逆戻りをしてもとの商工会に戻ってきた、あるいは商工会議所を解散したというのがあるだろうと思うのであります。私はよく知らないのでありますが、あなたはこれはおわかりになりましたならばお答えを願いたいと思います。
  114. 高城元

    高城参考人 実は二十八年に商工会議所法ができまして、そのときに従来の商工会議所組織変更というようなことが行なわれたんでございますが、記憶は十分でございませんが、そのときに十くらいの会議所が会議所であることをやめて商工会になったのもありますが、あるいは商工会ができなかったのもあるのではないか、あまり記憶が正確でございませんが、大体そんなようなところではないか、その後は一つか二つかあったかどうか、ちょっと記憶がございませんが、あまりなかったのではないかというふうに考えております。戦前百四十二の商工会議所がございましたが、今日四百三十九、三倍以上にふえておりますが、商工会議所になりましてやめたというのは、その後あまり聞いておらぬのでございます。
  115. 北條秀一

    ○北條委員 東京商工会議所支部をお作りになるということでございますが、これはずっと前からそういうふうな構想を持っておられたのか、あるいは昨年から商工会を作るということで、先ほど中井一夫先生からお話がございましたが、そういうことであわててどろなわ式に考えられたのではないか、僕にはそういうふうに見えるのですが、一体この支部を作る構想というものは、いつごろからできたんですか。
  116. 高城元

    高城参考人 実は先ほど申しました昭和二十八年の法律から組織がえをいたしまして、二十九年に定款を作りましたときに、支部及び出張所を設けることができる、支部長は臨時総会で云々というようなことの規定が定款にございます。そこで実は支部を早く作ればいいわけでありまして、今ごろ作るからどろなわ式と言われるわけでございますが、実は支部を作りますのにも相当の準備も要りますし、また相当の本部から交付金というものを出さぬといかぬわけでございます。先ほど申しました通り、戦前に比べて東京会議所におきまして約四分の一の規模でございまして、なかなか本部の仕事だけで支部作りまでできなかったという状況でございますが、昨年商工会議所においては会員を分けて部会を置いております。工業部会とか、商業部会とか、金融部会とか、そしてその部会の分科会を地域別に作ろうじゃないかということをきめておったのでございますが、商業分科会、工業分科会を一緒に両方作るなら、むしろ一歩進んで定款にあるように支部にしてしまったらいいじゃないかということで、支部を作るということになったわけでございます。大田区支部は四月一日から発足するということになっておりますが、なおその他の区におきましてもいろいろ支部を作りたいということを申して参ってきておりますので、逐次これを作っていきたいと考えております。
  117. 北條秀一

    ○北條委員 商工会議所法の評議員と申しますか、常議員と申しますか、この選挙は今選挙法が別にあるわけではございませんし、かなりいろいろな運動が行なわれて選挙をやられておるように聞いておるのですが、その実情はどうでしょうか。
  118. 高城元

    高城参考人 実は選挙法も御指摘の通りございません。まあ各会員が何票か持っておりまして、議員になりたい人はそこを歴訪をいたしまして、一つ私に投票してくれぬかというような話をいたします。また中には立候補して選挙事務所などを作ってやる方もおりますが、これはごくわずかでございまして、大体取引関係という筋をとりまして、卸売屋さんが関係の小売屋さんから票をもらって当選するとか、あるいは生産会社が関係の問屋さんから票をもらって選挙に当選するとかいうような実情になっております。
  119. 北條秀一

    ○北條委員 もう一つ高城さんにお聞きしますが、今のお話のようなわけで、商工会議所というのは、中井先生のお話じゃありませんが、実際に零細企業者の世話をする親切さがあるかどうかということが問題だと思うのですが、私は今日まで長い間商工会議所を見ていて、どうも親切さがないと思う。先ほど高城さんは手が回りかねるのだというふうに言っておられましたが、手が回りかねるその上に親切さがないということが現状であろうと私は考えるのです。でありますから、これからおやりになるというよりも、むしろ商工会議所の区域の中に商工会を作ることの方が、商工会議所としては厄介者がなくなって、もっと商工会議所本来の仕事ができるのじゃないかというふうに考えますが、あなたはどうお考えになりますか。
  120. 高城元

    高城参考人 商工会議所本来の仕事と申しますが、先ほども申し上げましたが、昭和九年以来実は小規模事業対策をやっておるわけでございます。当時別に小規模事業対策とか零細企業対策とかいうものの全然ないときに会議所はすでにそれをやっておりまして、会議所の仕事の相当重要な部分を占めているわけでございます。厄介者を払うというような考え方、そういうものは全然ございません。
  121. 北條秀一

    ○北條委員 渡辺さんと石井さんお二人にお聞きしたいのですが、現在政府が出しております商工会法案には役員の規定がございますが、役員のうちの三分の一は会員でなくてもいいんだということになっておりまして、その点について通産大臣は、商工会になると役員になる適当な人がいない、人材が少ない、そこで三分の二は会員からするけれども、あとの三分の一は会員外からとった方が実情に合うのじゃないかというお話でありますが、実際皆さんが商工会を運営されていて、役員が実際に見つけにくいという実情がございましょうかどうか、この点一つ経験から話をしていただきたいのであります。
  122. 渡辺重太郎

    ○渡辺参考人 ただいまのお問いに対しましてお答えいたします。現実に今まで役員選挙をやっておりますのは全部会員から選出いたしております。それでずっと二十五年運営いたしておりまして、現在まで何ら支障はなしにやっております。先ほど申しましたように、現役員が、非常に自分の仕事があるにかかわらず、商工会仕事を相当めんどう見て参らなければならぬので、非常に仕事がえらいという声が出ていることは事実であります。そうしますと、おのずからどうしても会員以外から専務を置いて、そうしてすべての相談、企画は当然役員がいたしますけれども、それにすべての仕事をさしていかなきゃならぬじゃないかという考えを持っております。
  123. 石井澄雄

    石井参考人 ただいまの渡辺さんの御意見と全く同じでございまして、先ほど私はこの点については申し上げたのでございますが、役員はやはり会員から選ぶのが至当であろうと思います。役員でなくて専務理事というか、そういう実際の仕事をするための人間が必要であれば、これは事務局を置いて人を雇えば事足りると思います。
  124. 北條秀一

    ○北條委員 先ほど柳さんから御意見があったと思うのでありますが、柳さん、この通産大臣の権限を通産局長なりあるいは知事にまかせることができるというふうに原案ではなっておるのですが、あなたの御意見では、それはむしろ知事にまかした方がいいというように言われたと思うのですが、やっぱりそういうようにお考えになりましょうか。
  125. 柳登

    ○柳参考人 現実にわたる仕事でございますから、いかに通産大臣が有能であるといえども、なかなかそうはできませんから、当然こういうことは下級官庁と申しますか、地方団体の長官その他に委任するということが当然じゃないか、こういうふうに考えております。
  126. 北條秀一

    ○北條委員 河野さんにお伺いしますが、今のに関連いたしまして、実際全国組織を見ておられて、通産局長に通産大臣が権限を委任するということよりも、一切あげて地方は知事にまかせる、こういうことについてあなたのお考えはどうですか。
  127. 河野貞三郎

    ○河野参考人 お答え申し上げます。私は冒頭に申し上げましたように、地域の特に地方の小都市におきましては、地方自治体とのつながりが多いわけでございますから、この点からいきまして、これは当然通産大臣が最終的にすべて管掌するというのでなしに、これは地方自治体に初めからまかせる方がよろしいのじゃないか、その方がほんとう商工会を発展させるもとになるのではないかというように考えておるものでございます。
  128. 北條秀一

    ○北條委員 もうこれ一つで終りますが、全国連合会を作っておられます河野さんと井上さんと高橋さん、お三人のお考えを聞きたいのですが、この法律案一つ一つ商工会を作ることにきめておりますが、県単位連合会あるいは全国連合会、こういうものを作ることについてはイエスともノーとも言っていないわけです。しかしそれは作って差しつかえないということでございますが、そういたしますと、県の連合会はおそらく自然発生的にできると思いますが、その際やはり県の連合会にも法人格を与えることが私は是なりと考えるのでありますが、まず第一にその点。もう一つは、全国連合会を作ったときも同様に法人格を与えた方がいいと思うのでありますが、そうしますと、お三人のそれぞれの団体連合会がございますが、こういうものとの調節をどういうふうにお考えになるか、この点について。
  129. 河野貞三郎

    ○河野参考人 私は、各市町村商工会ができますれば、当然同一目的に進むわけですから、これが県段階において、あるいは全国一本というような連合体が当然できてくると思うのでございますが、しかし私の考えでは、これも県連合会にいたしましても、それから全国連合会にいたしましても、あまりこれに対して強力な監督指導といいますか、官僚統制にわたるようなことがありますれば、それには反対なのでございます。できるだけ自主的に運営さして、これに政府がめんどうを見ていただく、これが基本でなければならないというふうに考えております。従って、そういう意味合いにおきましては、連合会ができるのは当然であるし、それを認めるべきだと考えるものでございます。
  130. 井上光一

    井上参考人 全く先生のおっしゃる通りでございまして、私どもも、指導の一貫性とかあるいは系統化といいましょうか、同じような目的に進む団体組織する県連合会は絶対に必要だろうと考えております。さらに全国連合会でございますが、やはり各県連合会がまとまりますれば、いろいろその末端から上がって参ります意見その他を行政上に現わしていくようないろいろの意見が述べられるような団体として、または特殊なと申しますか高度な指導県連に与えて、さらにその指導が下に通じていくというような、いわゆる往復ピストンできるような純粋な団体連合会としても必要ではないかというふうに考えております。  ここで一つ参考までに申し上げますのは、現在無法人の県の連合会というものが全国に二十六あるのでございますが、この連合会等もほんとに自主的に盛り上がってきている各商工会の集まりによってできてきているのと同時に、もう一つは、同じくどこの県にも商工会議所連合会あるいは中小企業協同組合中央会、中小企業団体中央会というのがございますが、これらの三者と協議会というものを作りまして、それぞれの立場からお互いに意見交換をしたり、中小企業者の育成のための相談をする機会を作っている県も多数ございますし、そういう希望が非常に多くなってきておるということも見のがせない事実でございます。本年がだめなら明年から、どうしても法制化に踏み切っていただきたいということを、私ども強く考えておる次第でございます。
  131. 高橋貞治

    高橋参考人 大体先ほど申し上げましたが、業種とそれから一部商店がございます。あとは商工チケットという関係で、もちろん任意団体でございますが、全国連合会を作っております。そういった面からいきまして、今度は商工会全国連合会ができますと、非常に強力なものになるのじゃないか。数が多うございますから、その面でまだ十分の検討もいたしませんが、要は今まで既存の団体が相当ございますので、調べてからわれわれも答えを出したいと思っております。強力な団体になることは間違いないわけであります。
  132. 中村幸八

    中村委員長 次は、武藤武雄君。
  133. 武藤武雄

    ○武藤委員 相当時間がたっておりますから、特に重要な点だけ御質問いたしたいと思います。  最初に、組織の問題ですけれども、これは商工会議所の方と、それから高橋貞治さんに御質問したいと思います。結局大都市の場合、先ほど全国商工会井上さんの方からもお話があったようですけれども、特に大工業都市になってくると、商工会議所は大企業の人がほとんどである。それで、中小企業の場合をどうするかということが非常な問題だ、とこう言っておりますけれども、まず最初に高城さんにお伺いします。商工会議所とそれから商工会などを二つに分けて設立をするということに対して、非常に強い反対の意向を持っておられるのか、それとも反対ということであれば、どういう理由で反対されるのか、その点を先にお伺いいたします。
  134. 高城元

    高城参考人 ただいまのお話は、会議所の地区内に商工会を置くことは反対だということですか。
  135. 武藤武雄

    ○武藤委員 はあ。
  136. 高城元

    高城参考人 その通りでございます。実は地域総合経済団体ということが、会議所の唯一の性格でございますが、これは大企業中小企業零細企業も全部入れるという建前でなければいかぬというのが一点でございます。実は会議所の地区内に商工会を作りまして、これを階層別に分ける場合と、階層別に分けない場合があると思いますが、階層別に分ける場合には、ただいまの建前から、こういう人は商工会議所に入れぬのだということになりますと、商工会議所地域総合団体としての生命がなくなります。それから、それでは両方お互いに法定をいたして、どっちでも好きな方に入れということになりますると、団体同士の争いというものが大へんなことになります。いわゆる会員の取り合いをやり、先ほども触れましたが、商工会議所も戦前は会費をいわゆる強制徴収という制度で、税金と同じに事業税の付加税方式で取っていたので、財政状態も非常によかったのでありますが、今日は純然たる会員制度でございます。そうしますと、あとにできました商工会議所商工会会員の奪い合いをする。いずれも財政的に豊富でないものが二つできる。弱いものを二つこしらえてしまう。そういたしますと、小規模事業者に対するめんどうも、いずれも見れぬということになりまして、小規模事業者のためにならぬということでございます。それからもう一つは、先ほども冒頭に申し上げたのでありますが、あまり細分をいたしてしまいますと、いわゆる指導員に専門家を得られないという結果になるのではなかろうか。商工業の業態は非常に多様でございまするし、項目もいろいろございます。その場合には、なるべく広い地域を持つ団体に多種類の専門家を備えておくというのが一番効率的ではなかろうか。これを細分いたしてしまいますると、一人とか二人とかいう人数しか置けないわけであります。それでは十分な指導はできないのじゃないか。専門的指導が今日要望されておりますが、その方が効果ではないかということを考えておるわけでございます。
  137. 武藤武雄

    ○武藤委員 今の反対の理由というものを聞くと、非常に薄弱なように考えられるのです。先ほども御意見があったように、大工業都市等においては、ほとんど大企業だけが集まって商工会議所を作っておる、それから東京都の場合でも、大体七%程度しか会費の問題等があって加入していない、こういうことを考えますと、そのような理由にはならないのではないか。それから、先ほど慶大の伊東先生のお話の中に、当初この法案を作るときには、別々に分けて、商工会大都市の場合でも別個に組織できるような案で出発しておったのだ、こういうお話があって、途中から、商工会議所から相当強い反対があって、こういうふうになったというのですが、そのことを中小企業庁長官にお聞きしたい。  それから高橋さんに、実際に大都市等の場合に商工会を作る必要があるという強力な主張、それから作った場合、今言ったように、たとえば組織が弱体になってしまう、専門家が得られない、それから組織のなわ張り争いが激しくなって、実際の中小企業指導ができなくなる、そういうことがあり得るのがどうか、この点についてお伺いしたいと思います。
  138. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 私どもは、一つ法律案を作りますときにはいろいろな考え方を出しまして、そのよしあし等比較検討するということをやっております。今おっしゃいましたように、階層別に小規模業者だけで作るという案も確かに考えた時期がございますが、みな並例的にその利害得失を考えました上で、ここに提案したような次第であります。
  139. 高橋貞治

    高橋参考人 私の場合、商工会の必要でございますが、これはなわ張り争いの問題もございますが、私はうまくいくのではないかと思います。われわれの経験から申しますと、下請業者というような問題も、ある程度争えませんが、一応話し合った後に円満に解決することも多々あるわけであります。零細業者が集まって真剣に相談し、また、大企業と譲るべきところは譲るというようなことをいたしますには、個個でなく、さっき申し上げたように、少なくも六大都市あるいは相当の都市まで商工会商工会議所以外に別個に作る。これは商の場合も工の場合も言えるのではないかと思います。農村の場合は商工会一本でよいのだ、商工会議所があったら商工会議所が全部やるのだという姿が、一応スムーズに円満にいくのであります。六大都市あるいは十大都市にいきますと、同じ業者でありながら、さっきの下請がよい例でありますが、大企業と小企業商店の場合は百貨店と零細小売業、工の場合は下請と大企業が一応相談し合って協議の上やっていくということが、今日の人口過剰すべてからいきまして必要だ、こういったところに一そうお気をつけいただいて、零細も今後救済するという面からいきますれば、この際思い切って——法律もすうっとなりますから、商工会は零細を重点にして全部作るという線でやっていただきたいということを、先ほどの公述でも申し上げたわけであります。今日でもこの点は変わりません。なわ張り争いということは決してないと思っております。協議して紳士的に常識を持って、政府、先生方のごあっせんもありましょうが、何でもかんでもおとなしくすべてやっていくということでは、屈従か隷従が起きるわけでありますから、六大都市、十大都市商工会議所は必ず商工会を作っていただきたい。それから、それなら商工会議所のあるところは全部別にしたらいいではないかという線が出ますが、地方の小さい都市ですと円満にいくのです。ですから、われわれは、あまり法律はわかりませんが、実際問題にぶつかったことを申し上げて、先生方によく作っていただきたいというのが念願でございます。
  140. 武藤武雄

    ○武藤委員 地方の場合は、商工会議所を作りましても、会員が四百名ありましても、大企業というのは一つか二つですから、発言権の上でそうがんばってみたってがんばれるものではない。これは私は六大都市くらいの問題だと思うのです。  そこで一つ問題になりますのは、商工会議所法の第九条の第一項には、いろいろ事業内容の規定があります。その中で、「商工会議所としての意見を公表し、これを国会、行政庁等に具申し、又は建議すること。」こういうことが規定してあるわけです。ところが、この商工会法には、これは全然省いちゃって、単に下部会員指導だけだということに限定しちゃっておるわけなんです。これは、非常に今中小企業零細企業の問題が大きな政治問題になって、これから日本の二重構造の問題を解決するために最も大きな政治問題になろうとしておるときに、肝心のそういう対象である零細、中小企業等の発言を法律の上でとめてしまうというようなことが、はたして法の建前上妥当なのかどうか。大企業の方は十分にやることを認めておる。商工会議所の方は認めておるが、零細企業の集まりである商工会の方はそういうことを主張してはまかりならぬというようなことを、一体法律の上に規定するということがいいのかどうか。これは一つ中小企業庁長官にお尋ねします。  それから、それと関連して、先ほど商工会議所側の高城さんは、結局実際の東京商工会議所、あるいは全国商工会議所の従来の活動計画、あるいは実績等を説明して、中小企業に対しても十分意を用いて、しかも非会員に対しても親切な指導をしておるという御報告でありまして、私もその報告を、これは実際にやっておられるという報告でありますから認めたいと思いますが、ただその場合に、私は今冒頭に質問したような問題が大きく問題になってくると思うのであります。たとえば、これから大企業等が、だんだんと資本の争いの中から、百貨店経営に乗り出してくるとか、あるいは今度は第一次製造工業から消費部門にまで触手を伸ばしてくる。現に繊維産業なんかやっていますけれども、そういうことがだんだんやってきて、結局は零細中小企業商店等も大資本の中で、これを抹殺してしまうという飽くなき資本の攻勢というものが、今後強くなってくると思うのです。そういう場合に、現に百貨店法の前の戦いの経過がありまするけれども商工会議所の中でこの問題を議論する場合に、結局商工会議所としては、そういった中小企業零細企業の分野を守るような法律の制定には反対である、それにはもうあくまでも、多少の運動資金を出しても阻止すべきである。これは従来の商工会議所の運営から見れば、必ずそうなってくると思うのです。その場合に、今度は中小商工会の方は、特に勢力のある数の多い大都市においては商工会を作ることはまかりならぬ。商工会議所指導下においてのみお前らは生きていけ。そして地方商工会の方は、そういった政治的発言や行動は、商工会に関する限りまかりならぬ、こういうことになってくると、一体それでは、こういった自分の職業の分野がどんどん圧迫をされ、大資本に吸収をされていくような、そういった大きな政治問題を今後も多くかかえておるこの中小、零細企業が、一体どうして組織の面で生きていくのですか、これらに対して、最初は中小企業庁長官からこの法律制定の不合理に関してまず御答弁を願って、あとおのおの高橋さんなり、あるいは高城さんから御答弁願いたい。
  141. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 国会とか行政庁に建議したり意見を具申するというお尋ねの点は、原案には実はあったのでございます。これは立法技術の問題でございまして、立法例としてそういう規定がありますのは、全国的な、あるいは全国的でなくても相当広い層、あるいは分野、地域をかかえておるような団体には立法例がございますが、下部の単位組織にはそういう立法例がないわけであります。ただそれを書かないからと申しまして、そういうことができないということは決してないのでありまして、当然憲法上のといいますか、原則として意見の具申はしていただいていいわけでありまして、われわれもそれを期待しておるわけであります。立法技術的にそういうことになっているということで、それじゃやめようかということになったのであります。
  142. 武藤武雄

    ○武藤委員 あとからお答えになる前に、中小企業庁長官に再質問しますが、立法例でそういうことはできないということですが、そうすると商工会の方は、そういう全国的な組織を作ってはいけないということが前提になっておるわけですか。商工会議所の方は、日本商工会議所というものを作って全国的なワクを認めておるから、そういう政治的な働きをしてもよろしい。しかし商工会の方は、そういう全国的な大きな組織を作ってはいかぬから、法律の建前として、そういうことは言えない。こういうふうに私は今の答弁でとれるのです。  それからもう一つは、法律には規定してなくても、そういうのは憲法が保障しているからやれるんだ、こういうことでありますけれども、現に商工会議所の方には、事業計画の中にそれが規定してあって、片一方の商工会の方にはないということになると、商工会の任命された会長なり副会長なりが、そういう立場で出てきた場合に、お前ら法に規定もされないで何をやるのだ、一個人としてやるのはいいが、商工会としてやるのはけしからぬということで押えますよ。片一方は規定してある、片一方は規定していないのですから、そんなことは詭弁ですよ。
  143. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 たとえば中小企業団体組織法等で、個々の商工組合あるいは協同組合にはそういう規定がございません。ただ中小企業団体の中央会あたりにはそういう規定がございます。農業関係の方でも大体そうかもわかりません。しかし、かりに中央的な連合会ができたから、それによって規定した場合に、中央的なものにはそういう権限を認めるが、個々の単位団体にはそれを認めないということにはならないのでありまして、ただ何といいますか、中央的な団体が、そういうことが仕事の主力になる、仕事のうちの相当大きなウエートを占めるというような意味から書く、あるいは書かないということになろうかと思うわけであります。従って、個々の団体には中央会的なものを作らせないために、そういうことを規定しなかったということでは決してないのであります。なお、それをはっきりわかるような意味で書いた方がいいのかとも思いますけれども、これは当然そういうことはなくてもできるはずでありますし、そういう趣旨のことは、今後指導趣旨を徹底さしていきたいと思います。
  144. 武藤武雄

    ○武藤委員 これは、これからあとの問題ですから、これに対する修正案も考えておりますから、当然日本商工会というものが中央にできるように、法案は修正すべきだと思っておりますから、そのときにこの政治論争は大きな問題になります。
  145. 河野貞三郎

    ○河野参考人 私は、商工会は、やはりそういう政治的な問題でも、もしできるとしますならば商工会議所と同じような権利を持たすべきが当然ではないかと思います。しかし、これはくどいようですが、その権利と見返りに、あまり強力な、何といいますか、監督というようなものはいたすべきでないというふうに考えます。
  146. 高橋貞治

    高橋参考人 先ほど申し上げたのでございますが、商工会議所にも日本商工会議所がある以上、商工会ができますれば、やはり日本商工会連合会日本商工会があっていいんじゃないかと思っておりますのでつけ加えておきます。  それから発言の問題ですが、これは私の公述に出ておりますが、商工会は立り入り検査できる、商工会議所はできないという線がおかしいのであります。これはやはり同じようにやっていただきたい、そういうふうに考えております。
  147. 武藤武雄

    ○武藤委員 だいぶお疲れのようですから、まだたくさんありますけれども、最後に一言だけ質問しますが、これは私の認識不足ならば訂正してもらってもけっこうでありますけれども、今度の商工会法ができますと、商工会地域の中から、商工会を抜けて商工会議所に入ることは自由である。自由であるけれども、逆に今度は、従来商工会議所会員であった者が、その地域商工会に入るという場合には、何か定款の規定を改めないと、勝手に抜けて入るわけにはいかぬ、こういう規定になっておるというのですが、その間はどうですか、私の認識不足ですか、商工会議所はそういうことについて見解はありませんか。
  148. 高城元

    高城参考人 ただいまの問題、私はこういうふうに解釈をいたしております。現在商工会議所がございます。郡部も持っておる。しかしそこの郡部には従来商工会があって、今度は法律によりますと、商工会と称することができなくなる。しかし商工会を置いた方がいいんだという場合には、会議所が地区を縮めようじゃないか、縮めた場合に、郡部の方にありました従来の商工会議所会員というのが、不当に会員権を剥奪されるわけでございますね。自分の原因でなくて、ほかの原因で、商工会ができたために、会員でなくなるというのは酷じゃなかろうかということで、その地区を縮めましたときに、すでに従来から会員になっておった者については、特別の暫定措置と申しますか、そういうもので前の会議所に会員として入ることを認めたらどうかということではないかと思います。その方が私ども商工会との争いを起こさないでいいのではないか。それがだめだということになれば、いつまでも地所をかかえて、商工会はだめだ、おれがやるんだということで、いたずらに手を広ろげておる。そういう連中は残るのだということになれば、その間がスムーズにいくのではなかろうかと思います。
  149. 武藤武雄

    ○武藤委員 逆に、抜けて商工会に入ったという場合はどうですか。
  150. 高城元

    高城参考人 商工会が先にありましてということがないわけでございますね。今商工会議所地区内ということはございますが、商工会地区内ということはないわけでございますね。ですから、そういうケースは全然起こらないということであります。従来の会議所の地区を縮めることに関して、そういうことが起こることでございますから。
  151. 武藤武雄

    ○武藤委員 従来商工会議所がなくて、隣接の商工会議所にかりに入っていた場合、何かそういう例はございませんか。その市町村内だけですか。
  152. 高城元

    高城参考人 どういうことでございましょうか。
  153. 武藤武雄

    ○武藤委員 たとえば一つのセメント会社が、その町に商工会議所がない、そうして隣の平市なら平市の商工会議所に入っておった。そこが今度商工会法ができて、商工会設立される。その場合に、平市の商工会議所から抜けてきて、そこに入る場合には、何か定款の変更がなければ、なかなか抜けられないのだというような、これは私ちょっと感覚違いかもしれませんが、そういうことはありませんか。
  154. 高城元

    高城参考人 会議所の地区の外に一つの工場か何かございまして、そこは商工会地区にもなっておらぬという場合でございますか。
  155. 武藤武雄

    ○武藤委員 そうです。
  156. 高城元

    高城参考人 その場合は、もしその町の中にその会社の事務所なり何なりがなければ、会議所の会員とはなれないということだと思います。特別会員という制度もございますが、しかしこれは議員選挙権、被選挙権はない。特別会員というのは、賛助会員のようなもので、これは従来もございましたけれども、正会員としては認められないんじゃないかと思っております。
  157. 武藤武雄

    ○武藤委員 これは中小企業庁長官にちょっとお尋ねをして、あと関係者の方の御意見をお聞きしたいのでありますけれども、今度全国に、都道府県に運営指導員というものが任命され、配置されるわけですね。その場合に普及員の方は、全国実情によって普及員の数が相当増減があるわけです。これはおそらく予算計画に従って中小企業庁の方で案を立てておられると思いますけれども、私はこれは全く私個人の資料でございまして、ほんとうかどうかわかりませんけれども、何か北海道のごときは百三十八名くらい配置される。ごく少ないところになりますと、奈良県の二十九名というような少ないところもある。しかし肝心の運営指導員の方は、各県とも商工会二名、それから都道府県の職員二名、計四名が指導員になる、こういう計画だということでありますが、中小企業庁長官、それはほんとうでありますか。
  158. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 改善普及員につきましては、先ほどもお答えいたしましたが、大体郡部の方に厚く、市部の方は薄く、結果的にはそういうことになります。これは業者が密集しているかどうか、財政的な背景がどうだとかいうことを考えて、そういうことに措置したわけであります。そういう意味ではある程度の厚薄ができるわけであります。運営指導員の方は、商工会の運営指導をするという立場仕事をするわけでありますからこれは都道府県によって商工会の数も非常に変わりますが、大体共通な仕事で、商工会はこういう手続で作るとか、あるいはその後の運営はこうしたらいいとか指導をやるわけでありまして、その人数に差をつける必要はないのではないか、こう考えております。各府県四名、予算的には四名平均をとってありますが、大体半分は府県の方におきましてそういう指導をやる、ことに府県知事に権限を相当委任しますから、補助金の配分の事務だとか、あるいはその後の監査の事務、そういうことを中心にやる。あとの半分、二名は、商工会連合会等ありますときには、それに補助して実際の商工会の運営を指導して参りたい、こう考えております。それから商工会連合会のできていないようなところがありますが、そういうところは国が直接いたしますか、あるいは府県の方にいって府県で一緒にやってもらうということになるかもしれません。大体そういうことに考えております。
  159. 武藤武雄

    ○武藤委員 高橋さんかどなたかにお聞きしたいのですが、そういうふうに実際のその県の商工会の実態から見て、相当数の増減があるわけです。下は二十七、八名から、上は百三十何名、その場合に、その商工会の運営を指導する指導員が全国都道府県みな四名、同じだということで、はたして地方の都道府県の実態に合っておるかどうか。これは私ら考えれば全く不合理だと思うのですが、その点どうですか。
  160. 高橋貞治

    高橋参考人 先ほどお話がありまして、非常に大きな県で不便なところもある、そういったところが四名、東京の場合でも四名、こういった大都市は便利は便利でございまして、交通にも時間が早いわけでございますから、相当の指導の余裕もあるかと思いますが、まあ初年度やっていただいて、不合理があった場合にまた適当にお直しいただくということでいいのではないか、交通の関係考えますと、東京などは全国の一割もおるわけでございますけれども、交通が非常によろしゅうございますから、われわれとしてはまだそこまで頭がいきませんが、一応やっていただきまして、また適当にお直しいただいてけっこうじゃないか、こう思っております。
  161. 中村幸八

    中村委員長 次は勝澤芳雄君。
  162. 勝澤芳雄

    勝澤委員 最後でありますので、なるべく簡単に御質問いたしたいと思います。  井上さんにお尋ねをいたしたいのでございますが、私たち社会党は、この商工会組織法についての基本的な問題として、小規模事業者だけに限定した階層別規模組織にすべきだ、こういう原則を今立てて、政府提案に対する対案を今用意をいたしておるわけでありますけれども商工会といたしましてはこれについてどうお考えになっておりますか。
  163. 井上光一

    井上参考人 お答えいたします。私ども組織商工連合会の傘下の商工会というのは、例外なく全部郡部の商工会でございます。従いまして、勝澤先生の御郷里の、たとえば興津に例をとりますと、九五%から九八%は全部二十人以下、五人以下の定義に入る中小、零細、いわゆる小規模事業者であります。二、三の例外の人がおりますが、その人たちもやはり一緒に入って、地域の町ぐるみというような考え方から、共同をして経済効果というものを上げていこうというふうに努力をしてまとまっているわけであります。そういう意味から地方実情規模別ではなくて、地域別の方が地域の総合的な経済発展にも寄与する効果率も大きいんではないか、かように考えております。ただし先ほどからたびたび話が出ております東京、大阪等、こういう特殊な大きな都市につきましては、ちょっと私どもも疑問に思わないわけではないのですが、これは特殊な当事者によって特殊な対策が講ぜられてしかるべきだろうというふうに考えております。それからさらに地方の中小都市でございますが、私どもの県で例を申し上げますと、島田とか焼津だとか藤枝とかあるいは磐田とかいうところは、ほとんど零細企業者が多いので、この定義に入っておる人たちの加入率というものが非常に多いわけであります。従ってもう少しこれを掘り下げて下まで下げて加入を促進し、そうして運営していけばそこに普及員がいて、小規模事業者対策がやっていけるということは、当然できると思います。そういうふうな考えでおります。
  164. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで今大きな問題は郡部と都市の問題になると思うのですけれども、次の問題といたしまして、商工会は県にも連合会あるいは中央にも全国連合会があるわけなんですが、これがこの法律の上に今度載っていない、こういう点についてどうお考えですか。
  165. 井上光一

    井上参考人 実は私ども午前中に供述いたしましたときにも申し上げたのですが、昭和三十四年の三月に全国連合会を作りましたときに、今のような考え方からそのときには商工会法でなくて、商工会助成法というふうな形のものを要望いたしまして、政府に法制化のお願いをしたわけでございますが、そのときにはむろん全国連合会、府県連合会の法制化も同時にお願いをいたしたわけでございますが、その後中央におきまして中央会とかあるいはいろいろな関係もございまして、本年度はどうも間に合いそうもない、いろいろな障害があって間に合いそうもないから、一つ将来考えようということで、少なくとも次年度あたりは私どもこの法制化が期待できるという考え方で現在いるわけでございます。ぜひ一つこれは実現さしていただきたい。先ほど北條先生の御質問のときにもお答え申し上げましたように、指導の一貫性とかあるいは系列化という意味からも、あるいは上部の高等技術的な意見を下へ、あるいは下からほんとうに切実な意見を上へ盛り上げるというつながりとしても、小規模事業者の発展のためにも、ぜひこういうふうな機関が必要であるということを痛切に感じております。
  166. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私はいつもこういうふうに思うのですけれども、たった四億ばかりの金をもらうために本質的な零細企業対策というものが、とんでもない方に飛んでいってしまう、こういうふうに思うのです。全国の三百万の零細な人たちから考えたら四億という金はほんの微々たるもので、ロッキードの戦闘機一機にも足りないわけでありますから、これで政府が零細企業小規模事業対策をやっていると皆さんが恩義がましく思われておったら大きな間違いなんです。これはあたりまえなことなんです。ですからそういう立場考えるならば私は、やはり不完全な法律というものは完全にした法律にするべきだ。そこで先ほど自民党の中ですら、やはりわれわれと同意見を持っている人があるわけですから、これは当然なことなんです。今日の状態の中で皆さん参考人方々意見を比べたら何対幾つになって結論が出ているように思うのです。そこで今度は連合会を法制化する場合、都内におけるあるいは先ほどの六大都市とか十大都市とか言われておりますけれども、こういう場合の商工会議所との関連は、どういうふうにお考えになっておられますか。
  167. 井上光一

    井上参考人 地方では先ほど申し上げましたように、商工会議所連合会とかあるいは中央会とかいうものと一緒に協議会とかあるいは懇話会というものを作って、いろいろなそれぞれの立場から問題を持ち寄って、一方的にならないように研究もし相談もいたしておるわけでございますが、全国的な段階で東京あるいは大阪というような大きな都市に、商工会をかりに作るといたしますれば、やはりこれが商工会議所連合会の中から系列がはずれているような組織であれば、むろん私どもの仲間になるであろうと思っておりますが、その点私どもは実は六大都市をどうするかということで見当がついておらないわけでございます。大へん薄弱なお答えでございますが、そういうことでございます。
  168. 勝澤芳雄

    勝澤委員 具体的に私こういうふうにお尋ねいたしますけれども、たとえば静岡県のような場合、県の商工会連合会があります。それから静岡市とか浜松とか、沼津、これもやはり一緒になって商工会議所の県の段階があるわけですね。
  169. 井上光一

    井上参考人 あります。
  170. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ありますね。そうすると、各町村にある小型の商工会議所連合会が県の商工会連合会だ、こういうふうになるのですが、そういうお考えなんでしょうか。
  171. 井上光一

    井上参考人 従来商工会議所の方は商工会議所法という法律によりまして商工会議所ができて、その方の連合会を作っておりましたので、その傘下に入らない恵まれない人たちが商工会を作っていて、必然的にその連合会を作ったという形なもんですから現状のようになっておりますが、従いまして将来その商工会議所の中に商工会議所の下部組織として、その都市の中に商工会ができれば別でございますが、商工会法によって商工会ができれば、この商工会連合会という形の中に入ってくるべきではなかろうかというふうに考えますが。
  172. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ちょっと私の質問と回答が食い違っているように思うのですけれども、私はこういうことなんです。商工会連合会を作る場合、あくまでも各町村にある商工会中心に県の商工会連合会が作られる。そのときに小規模事業者を今の商工会議所にそのままの形で入れますと、結局静岡の場合は浜松、静岡、沼津と、大きな都市の商工会議所連合会と、郡部の町村商工会連合会と二本立になって、結論的には片方は大企業を入れた、まあ小型の商工会議所連合会と大型の商工会議所連合会と、これでは何も価値がないのじゃないか、こういうことを私法律から見れば考えられるけれども商工会連合会としてはそれでいいですか、こういうことを聞いているのです。
  173. 井上光一

    井上参考人 現在の段階ではそういうふうに考えております。
  174. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、ここでやはり重大な問題があると思うのです。今日やはり大企業については開発銀行がある、輸出入銀行がある、あるいは長期信用銀行がある。その下には商工中金なり、中小企業金融公庫なり、国民金融公庫がある、あるいは信用金庫がある。結局いろいろの商業の内容規模によって金融もいろいろ分かれておるのですね。そいつをごっちゃにして商工会議所で都市ではよろしい、こう言われておるわけなんです。そこでやはり私は今日一番問題になっているのは、経済の二重構造と言われておるというような、あるいは三重だとどなたか言われておりましたけれども、大企業中小企業中小企業零細企業、あるいは下請、こういう形の搾取機構というものがずっと行なわれておる。そうして商工会議所の場合、あるいはだれかも質問したと思うのですけれども、たとえば百貨店ができ、この場合に商工会議所だったらなかなか反対ができないというのは、これは当然なことです。一緒に入るのですから……。あるいは街灯料金の値下げの運動、これも困難だ。ですから中に入っている者の構成が違うわけであります。こういう中でそれが、先ほど高城さんは中小企業の問題についていろいろたくさんめんどうを見られた、これはめんどうを見る部分もあります。しかし本質的に小規模事業者が持っている自分たちの地位を高めるということになれば、それは懇親会ならいいですけれども、経済的な地位を高めようとする場合においては、当然ぶつからなければならぬ問題があると思うのです。ですからそれをどういうふうに調和されていくかというのは大へんな問題だと思いますけれども高城さん、その点どうなんですか。
  175. 高城元

    高城参考人 大中小あるいは業種別の利害の調整ということは非常にむずかしいことと思います。商工会議所はずっと長いことこれをやってきているわけでございますが、これを全部階層別に分けてしまうと、大企業は大企業、中企業は中企業、小企業は小企業、たとえば国民金融公庫に当たる部分、中小企業金融公庫に当たる部分、一般銀行に当たる部分、大中小に全部分けてしまいますと、その都市の発展と申しますか、都市全体の商工業の発展にはマイナスになるのじゃないかと私ども考えております。都市が発展いたしますれば人口もふえますし、小売商はそれによって恩恵を受ける、あるいは小さい工場もいろいろ注文がふえる。このところを会議所がねらっておるわけでございまして、これを地域経済相互団体という名前で呼んでおるわけであります。対立関係を助長する、そういうような考え方は私どもは持っておらぬのでありまして、これを調整していくという立場に立っておるわけでございます。従いまして調整でございますから、百貨店問題のときに出ますように両方から悪く言われておるわけであります。
  176. 勝澤芳雄

    勝澤委員 先ほどあなたは、地域経済相互活動のときに、大中小あるいは零細と一緒に、こうした場合に会員の奪い合いがあるとか、あるいは指導員に専門家をなかなか得られない、こう言われておるわけですけれども商工会議所の場合、上からながめた場合はそれでいいと思うのですけれども、しかし下の方がおれたちだけでやりたいといっておるわけです。おれたちだけでやりたいというのを、お前たち、おれの中に入っていなければ困るといっているのですが、おれたちだけでやりたいというのを離してやって、都市にも商工会を作らしてやった方がいいように思うが、その点どうですか。もう一度。
  177. 高城元

    高城参考人 その場合、先ほどお話がございましたが、商業には商業協同組合の組織がございます。工業には工業協会等その他いろいろの組織がございます。現在の組織でその点は十分じゃなかろうかというふうに私ども考えております。
  178. 勝澤芳雄

    勝澤委員 だから商工会議所があり、なおかつ自然発生的に商工会というものができておるのです。ですから、そこで商工会議所の下といいますか、下でもけっこうですから、商工会議所と別個に都市の中に商工会を作ることについての反対はおかしいと思うのですが、どうですか。
  179. 高城元

    高城参考人 先ほども申し上げたのでございますが、商工会議所の性格というものは、大企業中小企業零細企業を問わずこれが包含されておるのが商工会議所でございます。世界各国同様でございます。ドイツに手工業者会議所もございますが、これは一般の商工会議所に、その連中が入っていかぬということにはなっておらぬわけでございます。その地域の全体の発達をはかるという意味から商工会議所としては業者の大小の区別をつけずに、会員になり得るという態勢を整えることが商工会議所の本来の使命を達成するゆえんであろうということを申し上げておるわけでございますが、そのほかに専門的の問題ということも申し上げたわけでございます。根本は地域相互団体としては大中小の区別なくすべて包含しておらないと、商工会議所仕事はできないということを申し上げたのであります。
  180. 勝澤芳雄

    勝澤委員 高木さんそれでも十分じゃない、だから東京の中でも商工会ができておる。こういうことを先ほど河野さんからも説明をされました。それから中小企業庁長官は知らなかった、こういっておるのです。知らない中でこういうものを作った結論が、大きなところは商工会議所、小さいところは小型商工会議所、そしてその連合会は法制的な面からいって不可能になっておるわけです。不可能になっておるから、これは県の商工会連合会もあるいは中央の全国連合会も法制の上から、どうもおかしいから待て、待つというのではない、法律の上から不可能なんです。こういうふうに私は解釈するわけなんです。そこで先ほどからどうも私はわからないのですが、おれたちがめんどうを見ておるからおれたちでいいんだ、こういっておるのだけれども、現実にすでに商工会が生まれてきておるという中から考えるならば、都市の中でも、東京でも商工会議所けっこう、しかしその下に商工会を作ることもけっこう、こういうところまで商工会議所はおおらかな気持になるわけにはいかないでしょうか。
  181. 高城元

    高城参考人 それも連合会の問題でございますが、日本商工会議所が法定されましたのは、全国商工会議所連合会ができまして二十年たっております。それから各県にあります商工会議所連合会も法定されておりません。自由な申し合わせ団体でやっております。従いまして、この法定につきましては私どもは反対をいたしておるのではないのでありまして、実体のない前に特殊法人にする必要はないじゃないか、社団法人で作れば十分できるのであります。特殊法人にいたしますには、税金の免除その他いろいろなことがありまして、やはりその実態を見て相当の歴史を見ましてからやるべきじゃないかという意見を、連合会につきましては私ども持っておるわけでございます。  それから、商工会が自然発生的に非常にあると申しますが、ここで議論しております商工会でございましょうかどうかという点について、私ども疑問を持っております。
  182. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうです。
  183. 高城元

    高城参考人 現在あります商工会というのは、いわゆる商工会という名前に当たるのが若干あるかと思いますが、数はあまりないと思いますが、これは商店会かあるいは工業会、むしろ商店会的色彩のものが多いのではなかろうか、商工会と申しましてもあまり工は入っておらぬのではないか、商と工を合わせたものはあまりないのではないかと私ども考えております。
  184. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、どうしても零細まで入れて商工会議所がめんどうを見たいと言われておるわけですから、商工会議所の中にかりに小規模まで入れるということになると、商工会議所会員の中では相当大きなウエートになると思いますけれども、大体どのくらいのパーセンテージになるとお考えになっておりますか。
  185. 高城元

    高城参考人 実はどれくらいのパーセンテージになるか私どもわかりません。商工会議所の方針と申しますか、それに賛成を表していただかないと入っていただけないわけでありますから、何%になるかということは申し上げることはできませんが、ただ私どもは、先ほども申し上げたのでありますが、できるだけ団体加入という方式がいいのではなかろうか、あまり大きい会費の負担をかけてもどうか。団体は現在東京に二千もございますから、各団体でその団体の本来の仕事もやっていただく、同時にその意見会議所の方に反映させるという仕組みが一番いいのではなかろうかと考えております。
  186. 勝澤芳雄

    勝澤委員 ですから結論的に、今度の商工会法の中で盛られているような小規模事業者というのは、東京のような場合においては団体でなければ商工会議所に入れない、こういう結論になると思う。そこで、もしそういう結論でないとするならば、商工会議所法律の中で役員の三分の二以上は小規模事業者でなければならない、こういう項目を入れることが私は妥当だと思いますが、どうお考えになっておりますか。
  187. 高城元

    高城参考人 三分の一以上は小規模事業者でなければならない……。
  188. 勝澤芳雄

    勝澤委員 役員の三分の二以上は小規模事業者でなければならない……。
  189. 高城元

    高城参考人 これは非常にむずかしい問題でありまして、私今直ちにお答えはできません。全国会議所を代表いたしておりますので、よく相談いたしませんとお答え申し上げかねるわけでありますが、ただ、今回東京商工会議所におきましても支部をだんだん作っております。小規模事業者役員あるいは議員に対する比率は次第に上がって参ると私ども考えておりますが、三分の二以上にしなければならぬということになるかどうかということにつきましては、ちょっとただいまお答え申し上げかねます。
  190. 勝澤芳雄

    勝澤委員 結論的にいえることは、やはり同じ仲間は同じ仲間同士でやりたい、こう言われておるわけです。しかし東京、大阪、大きなところはわれわれの方でめんどうを見てやろうということになれば、比率は当然小規模事業主が多いのは必然なんです。そうすれば、この商工会法趣旨に従った活動をしようとすればするほど、やはりそういう現実に仕事をしておる商店のおやじさんたちが、同じ仲間の人たちのめんどうを見るのが当然だと思うのです。ですから役員も、もし政府の言っておるような形でこの商工会法というものをかりに作るとするならば、商工会議所は、すべからく三分の二ぐらいは君たちがやってくれ、金の方はおれたちが今までと同じように出してやろう、こういうのがあたりまえだと思う。これを言わずして、君たちは四億の金をもらうんだから、おれたちも一口入れてくれ、こういう形で、どうも零細企業と大企業とお互いにけんかをし合うことはとにかくよくないことでありますけれども、現実には経済構造の中でそうなっておるわけですから、根本的に流通機構の問題なり、あるいは商店のある程度の規制をするならともかくも、今の中では自由競争をやっているのは小規模以下だけなんです。大企業のは当然カルテルでみなうまくやっているわけですから、こっちの競争はないわけです。下の競争はあるわけですから、そこはやはりお考えになっていただかなければいけないと思うのです。  そこで、あまりそう長く話ができませんので、一つこの際商工会議所としてもこの法案の作成にあたっては——今現実に行なっておることも、私も地方商工会議所に行ってよく知っております。特に地方商工会議所でも、何も入っていないもののめんどうを見ております。見ておりますけれども、やはり商工会を作りたいという運動が今日生まれ、そしてこれが現実の法律になってきて、政府も、大企業の独占のことばかりやっておったのでは、政治がたえられないからということで、金はなくても票があるんだから、そこから票を取ろうと、これは選挙対策の一環でやったのだろうとわれわれは理解しているわけです。そういう建前でかりにしたとしても、やはり作る法律はせいぜいいいものを作って、これはいいものができた、そうして来年もう直してもらいたいなんというような商工会連合会でなくして、この法律の中でもっと積極的に——与党の中でも、われわれと同じ意見を持っておる人がおるわけですから、十分一つ時間をかけていい法律ができて、そう二年や三年で直さなくてもいいようにしていただきたいと思います。それと同時に、四億しかない予算ですが、別にこの金を今もらわなくたって、予算では通ってしまうので、法律がないからといって政府がくれないわけではないのですから、法律の方でもっといいものを作るようにやりたいと思いますので、皆さんも協力していただきたいと思います。大へんいい意見をいただきまして、ありがとうございました。
  191. 中村幸八

    中村委員長 他に御質疑はございませんか。——参考人に対する質疑は終了したようでありますので、参考人方々にごあいさつを申し上げます。  皆様には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚く御礼を申し上げます。      ————◇—————
  192. 中村幸八

    中村委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  石炭鉱業合理化臨時措置法の一部を改正する法律案審査のため、来たる二十八日月曜日に、参考人より意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  193. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  なお、人選、手続等に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  194. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたします。  本日は、この程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後四時三十四分散会