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山屋参考人 本日は、私
ども平素から、一番
金融機関といたしましてはおそく出発いたしております信用組合のことでありますが、機会あるたびにお願いをいたしたいと、かように考えておるところに、はからずも
意見を聞いてやろうという御招請に対しまして、衷心から厚く
お礼を申し上げる次第でございます。
まず、信用組合の
概況を話せということでありますから、申し上げたいと存じますが、お手元に、概略ガリ版刷りを配付いたしてあります。これを全部御
説明いたしますと長くなりますから、そのうちで、
全国信用組合が幾らあるか、その預金高が幾らあるかというようなことを、まずもって参考に供したいと存ずる次第であります。
全国の信用組合は、御承知のように
昭和二十五年に信用組合の大部分が信用金庫に改組されまして、当時残っておりましたのは、わずかに
全国で七十程度の一ものでございましたが、その着想はどうかと申しますと、信用組合の取引層というものは、もちろん金融ベースに乗らないところの人たち、いわゆる中から小の
方々が非常に多いのでありましてどうしても、考課状を持ってこいとか、もう少し
計画性のある書類を出せとか、あらゆる書類の提出を要求されて、そのままで取引のできないものが、やむを得ず信用組合に固まっておるようなわけであります。その信用組合の
全国の総数は、金庫と改組された当時から思いますと、実にその数が四百もふえておるわけであります。現在は、
全国で四百六十七組合ございます。その組合員の総数が、実に九十万人でございます。店舗の数は、本支店合わせまして、一千軒であります。その役職員が一万五千人、預金の総高が一千四百億円、その貸し出しが一千二百二十億と、概略こういうふうなことになっております。これを
政府機関の、これも参考までに出してありますが、
中小企業金融公庫、国民金融
公庫、
商工組合中央金庫というものと比較いたしますと、その貸し出しについては、信用組合が一丸となりますと、ほんとうに肩を並べられるところまで発展いたして参っておるわけであります。この信用組合がどうしてここまで進歩してきたかと申しますと、これは、もちろん
全国ばらばらのときには、
資金の問題で過不足を調整する機関がありませんので、かねてこの連合会の設立について各
先生方には大へん御高配をこうむったわけでございますが、
昭和二十九年の三月二十九日に連合会の許可を得まして、その年の十一月に出発をいたしまして、今日、まだわずかな年限ではございますが、その連合会が、やはりこれもお手元に
資料が配付いたしてございますが、その連合会といたしまして
全国から過不足調整の準備預金を集めております。それが七十億六千万ほどでございまして、そのうち、会員貯金でございますから貸し出しもいたしておりますが、貸し出しは五十四億ほど貸し出してあります。この連合会で
全国を、過不足を調整いたしておるわけでございます。
かくして信用組合の発展というものは、まず日を追うてますます発展いたしておるわけであります。参考までに申し上げますが、この信用組合が信用金庫に改組されましたときに、一般の零細な
方々は、すぐ金を借りるのに非常に困った。その間に、保全経済会とか相互殖産とか、信用組合が信用金庫に改組されて飛び込みやすいところがなくなった際に、ああいうふうな
金融機関ができたわけであります。自来信用組合は都道府県がますます許可をするようになりまして、信用組合の活動と同時に、ああいう
金融機関がすたって参ったということも参考になることと思うのであります。かような点で、信用組合が今現実にまず動いておりますことは、どこの県に参りましても、最近に至りまして県の方で非常に力を入れまして、各県としては今後中から零細にかけての金融は、県の金融行政の一環としても、信用組合を使っていきたいというような意向もあることでありますので、ますます発展していくことと存じておる次第でございます。どうか今後とも絶大な御理解を、この機会にお願い申し上げておく次第であります。
次に、本日私
どもに
意見を発表しろというこの
保険公庫の問題であります。今回
法律改正になりますところの
包括保険でございますが、もちろん今日の
保険公庫のあり方でありますと、私
ども金融機関といたしましては、この改正される
包括保険一本の方がよろしいというふうに、私
どもは申さざるを得ないのであります。何となれば、これはもちろん、当初私
ども非常に
公庫の問題に関心を持っておりまして、当初は八〇%の
保証をいたしたものでありますが、この節ではこの
保証が五〇%に切り変わった。さらに
金融機関として
保険をかける場合は五十万以上七百万までということになっておりまして、もしも五十万以上七百万ということになりますと、もちろんこれは
金融機関といたしましても担保をとりますし、担保なしではとにかく五〇%しか
保証してもらえないのですから、
保険をかけるわけにいかぬということになるわけであります。従いまして五十万以下のものは、
信用保証協会が都道府県にあるわけでありまして、この
保証協会の方は年末は三十万、平素は二十万以下、これが無
審査で、つまり
金融機関を信用して
保証申請を出しますと、一週間以内で大てい許可になるわけであります。それでありますから、中から零細の
方々の
保証というものは、
保証協会がありさえすれば、この
保険公庫の必要性はないというようなことになります。
さらにまた、いろいろこの表を見まして、信用組合などほとんど取り扱っておるところが、
公庫の方の取り扱っているところは少ないのでありますが、非常にその
保険料の高いことと、また
保証を請求した場合の手数が非常に混雑をいたしまして、非常に長くなる。たとえばいろいろ
手続の問題におきましても、あまりにも厳重過ぎるというような結果で、それじゃもうめんどうだから、つまり
保証協会の方を利用してこちらの方は利用しない方がいいだろうということに、最近
金融機関としては——私
ども金融機関と申しましても、信用組合の仲間としては、そういうふうな話が至る所で出ておるわけであります。それでありますから、魅力がなくなっておりますので、結局
保証協会の上に立って、
保険公庫ということの方がよろしいだろうという考えをやむを得ず持つようになったわけであります。ただし、この場合、
保証協会がそうなりますと、どんどん今度は
保険公庫から金が出る。
保証協会はますます今度は力がついてくる。そういう場合に、その力をほんとうに真に
中小企業のためを思ってやって下さればけっこうでありますが、往々にして、人間のやることでありますから、あまりにも役所式になることが非常にありがちなんでありまして、この点はどうもわれわれは民間の
団体だと思っておるのに、そこに奉職しておる
方々が役所式のようになりがちであります。東京都の
保証協会な
ども、最近は非常に改まったわけでありますが、一時はもう東京都の外核
団体でありながら、本所よりも少し横暴のところがあったようなきらいもあったわけであります。こういう点が非常に危険視されるわけでありまして、これさえなく、うまく監督がしていただけるならば、この点は
法律改正されても差しつかえないというように、私は解釈をいたすわけであります。ただ願わくば、こうして
中小企業全般にわたって、今度は
中小企業のために
信用保険公庫を作ってこうするのだということは、喜んで、つまり利用されないということが残念に思うわけであります。ただ
保険公庫ができまして、
保証協会の上に立って仕事をするだけであったのでは、
保証協会のために
保険公庫を作ったということになりやせぬかというようにも考えられるわけであります。
以上、参考までに申し上げまして、私の責めを果たす次第であります。