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1960-02-12 第34回国会 衆議院 商工委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十二日(金曜日)各会派割当数 変更後の本委員は、次の通りである。    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       江崎 真澄君    遠藤 三郎君       岡本  茂君    鹿野 彦吉君       木倉和一郎君    始関 伊平君       關谷 勝利君    田中 榮一君       田中 彰治君    田中 龍夫君       中井 一夫君    中垣 國男君       野田 武夫君    濱田 正信君       林  讓治君    細田 義安君       山手 滿男君    渡邊 本治君       板川 正吾君    勝澤 芳雄君       小林 正美君    櫻井 奎夫君       東海林 稔君    中嶋 英夫君       矢尾喜三郎君    八木  昇君       和田 博雄君    加藤 鐐造君       北條 秀一君    山下 榮二君 ————————————————————— 昭和三十五年二月十二日(金曜日)     午前十時二十九分開議  出席委員    委員長 中村 幸八君    理事 大島 秀一君 理事 小川 平二君    理事 小平 久雄君 理事 長谷川四郎君    理事 南  好雄君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君 理事 武藤 武雄君       岡本  茂君    鹿野 彦吉君       始関 伊平君    關谷 勝利君       田中 榮一君    中井 一夫君       渡邊 本治君    板川 正吾君       勝澤 芳雄君    小林 正美君       島口重次郎君    東海林 稔君       八木  昇君    山下 榮二君  出席国務大臣         通商産業大臣  池田 勇人君  出席政府委員         通商産業政務次         官       内田 常雄君         中小企業庁長官 小山 雄二君  委員外出席者         中小企業信用保         険公庫理事長  山本  茂君         参  考  人         (全国信用保証         協会連合会常務         理事)     深瀬  晃君         参  考  人         (全国信用組合         中央協会会長) 山屋八万雄君         参  考  人         (全国信用金庫         副会長)    小野 孝行君         参  考  人         (全国相互銀行         協会常務理事) 藤本  哲君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事長)  北野 重雄君     ————————————— 二月十一日  委員小泉純也君辞任につき、その補欠として江  崎真澄君が議長指名委員に選任された。 同月十二日  委員八木昇辞任につき、その補欠として島口  重次郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員島口重次郎辞任につき、その補欠として  八木昇君が議長指名委員に選任された。 同日  小林正美君が理事辞任した。 同日  理事小泉純也君同月十一日委員辞任につき、そ  の補欠として大島秀一君が理事に当選した。     ————————————— 本日の会議に付した案件  理事辞任の件  理事の互選  中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律  案(内閣提出第二九号)  中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律  案(内閣提出第三〇号)      ————◇—————
  2. 中村幸八

    中村委員長 これより会議を開きます。  まずお諮りいたします。理事であります小林正美君より理事辞任の申し出がありますが、これを許可するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、小林正美君の理事辞任を許可いたします。  次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。本委員会理事でありました小泉純也君が、昨十一日委員辞任せられました。従いまして、理事が一名欠員でありますので、これの補欠選任を行なわねばなりませんが、補欠選任手続に関しましては、先例により委員長より指名するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 中村幸八

    中村委員長 御異議なしと認め、十島秀一君を理事指名いたします。      ————◇—————
  5. 中村幸八

    中村委員長 中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案及び中小小業振興資金助成法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  この際、中小企業信用保険公庫理事長山本茂君より、同公庫業務概要について説明を願います。中小企業信用保険公庫理事長山本茂君。
  6. 山本茂

    山本説明員 お許しをいただきまして、信用保険公庫業務概況を御説明申し上げたいと思います。  お手元に資料をお配りしておりまするので、それに従いましてお話を申し上げたいと思います。こういう一枚刷りの資料ですが、これに大きな概要の大体の数字が書いてあります。これを一つごらんいただきたいと思います。  最初に、皆様方に特にお礼を申し上げたいことがございますのは、非常な御尽力をいただきまして、十八億の予算計上しておりまして、わが公庫のために今回の法律改正案を出していただいたわけでありまして、この点を深くお礼を申し上げます。  私ども信用保険公庫事業は、第一番には、この表にございますように、保証事業であります。これは地方にありまする信用保険協会を通じてやっておるわけでありまするが、この信用保険協会に対しまして保証能力の増強をはかるために、昭和三十二年度以来現在まで、三カ年にわたりまして、総計五十億の国家資金貸付を行ないまして、この結果、保証平均律高は年々増加しておりまして、三十四比年度におきましては、これは一応推定でありまするが、八百二十億となる見込みであります。これはこの表の一番上にございまするが、三十一年度におきまして四百三十一億円の保証残でありましたのが、三十二年は二五%の増加になりまして、五百四十億になっております。三十三年度には、さらに前年の二七%の増加で六百八十六億になっておるわけであります。それが三十四年度になりますると、これはまだ年度末がきておりませんので、若干の推定が加わりまするが、八百二十億になる見込みを持っております。そのように年々二%以上の増加をして順調に発展しておるわけであります。  これに伴いまして、弱小協会レベルアップの問題がありまするが、これは二十八国会におきまして附帯決議になりまして、弱小協会レベルアップをするようにという御決議がありましたので、その御趣旨に従いましてレベルアップに努めております。これは第二番目のところに書いてございまするが、三十一年度には保証の平残が五億以下の協会が三十七協会あったのが、翌年には三十一に減じ、三十三年度には二十になり、三十四年度には十三と、かように弱小協会は減少しておるわけであります。目標としましては、かような保証平残が五億円以下というような弱小協会は、全部なしにするということを、われわれとしては目標としまして努力をしておるわけであります。  それから次に、第三番目の欄でございます。「滲透度」と書いてございますが、これは中小企業者の中で、保証を利用し得る者の割合であります。三十一年度には三・九一%でありましたのが、翌年には四・七四%となり、さらに五・五五%になり、本年は六・五%ということになっております。それは百人の中小企業者のうちに、保証を利用して融資を受け得る者か六人半あるということになっておりますが、これではまだ満足すべき状況ではありませんので、われわれとしましては、目標として一〇%くらいに当面引き上げたいということを考えておるわけであります。  それから、次の欄は保証料でありまするが、中小企業者の中で、保証を受けますると、保証料保証協会に払うのでありますが、これはだんだん低くするようにわれわれは努力しておりまして、三十一年度には年利が二分三厘一毛でありましたのが、三十二年度には二分一厘八毛となり、三十三年度には二分一厘二毛、本年は二分に低下しておるわけであります。最初の三十一年に比べますると、低下率は一四%ということになっておりまするが、保証料中小企業者のためにはゼロであることが望ましいのでありますが、そうも参りませんので、当面の目標としましては、日歩五厘くらい、年利一分八厘ということを目標にして努力いたしたいと思っております。  それから、次に、保証協会保証債務を全面的に保険をしまして、協会の資産の健全化をはかるために、包括保証保険というものが設けられておりまするが、これは公庫発足の三十三年度におきましては、第一種の包括保険と申しまするのは、五十万円以下の少額でありますが、これにつきましては、全国に五十二あります保証協会のうち、ほとんど全部五十の協会がこれを利用したのでありまするが、第二種の五十万円以上、五百万円以下の包括保証保険につきましては、保険料関係もありまして、利用する協会が少なくて、わずかに三協会でありましたが、去年の十月に保険料引き下げまして、それまで一分三厘であったのを一分一厘にしました結果、五十二の協会のうち、三十一の協会が第二包括を利用することになりました。第一種の方は、前年に比べて一協会入りまして、五十一協会入っておるわけであります。三十六年度までには、第二種包括の方も全部の協会が利用できるようになるのを期待しておるわけであります。  それから、次には、公庫の各保証協会に対する貸付金でありますが、これは三十二年度に十億を貸し付けまして、三十三年度には二十億、前年の十億を加えまして三十億を、地方保証協会に貸し付けたわけであります。三十四年度には、当初の一般予算では十億が計上されたのでありまするが、昨年の秋の災害の場合に、災害対策として十億ふやしていただきまして、合計二十億貸付を行ないまして、最初の三十二年度から通計しますと、五十億の貸付金保証協会に貸し付けておるわけでございまして、さらに三十五年度におきましては、これが十八億増加しまして、合計六十八億の貸付金となることになっております。  以上で、大体保証事業お話を終わりまして、次には、保険事業でありますが、保険事業の方は、中央以下に書いてありまするが、概括しまして、年々増強しております。ただ一番上に書いてあります融資保険が、これが減じておりますが、この融資保険は、金融制度調査会の御答申、それから政府方針によりまして逐次減少して、これを包括保証保険に持っていくという御方針でありますので、だんだん減少しておりまするが、保証保険の方は、包括一種、二種、いずれも増加しておるわけであります。ただ保証保険のうちでも、普通保証保険と申しまするのは、金融機関が逆選択をやりますので、これは融資保険と同様に、逐次減少して、これを包括保証保険に移行するという方針でありますので、これまた減少しておるわけであります。大体保証保険状態は、トータルとして逐次増加しておりまするが、融資保険普通保証保険につきましては、これは減少して、包括保証保険に移行するということでやっておるわけであります。  それから、ここの表には書いてございませんが、来年度予算計上になっておりまする十八億の予算を、いよいよちょうだいすることになりますると、それを各保証協会に貸し付けまして、保証規模の増大の原資となるわけでありまして、これが十八億、そのほかに地方庁の出資も期待しておりまするので、来年度は、これはただ見込みでありまするが、保証の平残が一千億をこえることになろうかと思っております。予算措置についていろいろ御配慮をいただき、法律を改正していただくことにつきまして、重ねて厚くお礼を申し上げます。概要ども業務について、御報告申し上げました。
  7. 中村幸八

    中村委員長 以上で、業務概況に  ついての説明は終わりました。  次に、本日は、両案審査のため、参考人として、全国信用保証協会連合会常務理事深瀬晃君、全国信用組合中央協会会長山屋八万雄君、全国信用金庫会長小野孝行君、全国相互銀行協会常務理事藤本哲君、商工組合中央金庫理事長北野亜雄君、以上五名の方々が出席されております。  この際、参考人方々に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず、本委員会の要望を入れて御出席下さいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して、厚くお礼を申し上げます。  申すまでもなく、わが国経済発展のためには、中小企業振興策を一そう強力に推進しなければならぬのであります。つきましては、中小企業信用保険公庫法の一部を改正する法律案について、中小企業金融業務を直接担当しておられる深瀬晃君、山屋八万雄君、小野孝行君、藤本哲君の忌憚のない御意見を、また、中小企業振興資金助成法の一部を改正する法律案については、北野重雄君より忌憚のない御意見をそれぞれ承わり、もって両案の審査に遺憾なきを期したいと存ずる次第であります。ただ、時間の都合もありますので、御意見をお述べ願いまする時間はお一人大体八分程度に願い、後刻委員から質疑もあることと存じまするので、そのとき十分お答え下さるようお願い申し上げます。  なお、念のため申し添えておきますが、規則の定めるところにより、参考人方々発言される場合には、委員長の許可が必要でありまするし、また、委員参考人質疑することができまするが、参考人の方は、委員質疑はできないことになっておりまするから、以上お含みを願います。  それでは、はなはだ勝手ながら、発言の順序は委員長に御一任願います。深瀬参考人より御発言を願います。
  8. 深瀬晃

    深瀬参考人 全国信用保証協会常務理事深瀬でございます。  信用保証協会につきましては、平素皆様格別の御配意をいただいておりましてこの機会をもちまして、厚く御礼を申し上げます。信用保証協会に対しましては、昭和三十二年度以降四十億円の国の資金投入願いまして、かつ、昨年度伊勢湾台風関係につきまして十億円、計五十億円の資金投入を得ておるのでございますが、今般国会の御審議にかかっております三十五年度予算に十八億円の資金計上を見ておるのでありまして、合わせまして六十八億円というのが皆様の御配意によりまして信用保証協会投入できる、こういうことになったことにつきましては、五十二の協会をあげまして感謝いたしますとともに、中小企業金融疎通のために、一そう努力をしなければならぬと覚悟を新たにいたしておるのであります。  三十二年度国家資金の十億円を初めて投入いたしまして以来の保証協会状況につきましては、先ほど信用保険公庫山本理事長から御説明がありましたので、資金投入によりまして保証がどういうふうに伸びたか、こういうことを中心にきわめて簡単に御説明をいたしたいと思うのでございます。  ただ、国の資金効果だけを切り離しまして、それの効果をすっきりした形で分析できればよろしいのでございますが、それがはなはだむずかしい、と申しますのは、国の資金のほかに、地方公共団体を主といたします資金保証協会に入っておるのでありまして、それが年々一〇%から二五%ずつ増加いたしておるのでございます。当初、国家資金の入ります前に七十四億円ありました基金が、現在では百十五億円になっておるのでございまして、これが国家資金と並びまして非常に大きな保証の基礎になっているのでございます。それから、保証の伸びた一つ原因は、国会政府地方公共団体中小企業の各団体金融機関等の非常な御援助と御協力によりまして、保証協会制度中小企業者にだんだんと浸透した、いわばPRの効果ということが保証の伸びた非常に大きな原因でございまして、資金と相待ちまして保証浸透一つの要素になっておるのでございます。それから、保証の伸張にも景気の状況が大きく響いておるのでありまして、たとえば、今年のような好景気には若干保証の伸びの足がおそいというような事情もございますが、まずまず順当に伸びてきておるということが言えると思うのであります。  今申しましたような前提におきまして見ますと、先ほど山本理事長からおっしゃいましたように、保証の平残が約二倍近く伸びてきておるのでございます。これを別の見方で申しますと、保証承諾額でございます。これは一年間の保証を引き受けました総額でございますが、三十一年度に七百九一十億円でございました総額が、三十三年度においては千二百二十億というふうに増してきておるのでございます。本年は、見込みでございますが、一年を通じまして千三百五十億くらいの保証の引き受けがあるではないかというふうに考えているのでございます。かようにいたしまして、資金投入効果は確かに大きな原動力と相なっておるのでありまして、保証協会といたしましては、各方面の御援助に感謝いたしますとともに、さらに一そうの努力を続けていきたいと思うのでございます。  それから、中小企業者に対する浸透度とか保証料の問題とかいうことは、今山本理事長からおっしゃいました通りでございまして、われわれといたしましては、極力保証料が下がることに努力いたしておるのでございまして、おかげをもちましてだんだんと当面の目標でございます日歩五厘という線に近づきつつあるのでありまして、現在五厘とか六厘とかいう線の協会が非常に多くなって参りましたのは、一にかかってこの資金投入一つの大きな効果でないかというふうに考えているのでございます。  なお、蛇足でございますが、現在の保証協会保証使途別に見てみますと、運転資金が八六%、設備資金が一四%でございます。期間別に見ますと、一年以下の保証が八五%でございまして、それ以上のものが一五%でございます。金額別に見ますると五十万円以下のものが四六%でございまして、五十万円以上が五四%、大体半々というふうな状態でございます。  次に、この三十五年度予算として御計上をいただいておりまする十八億円につきまして、特に保証協会といたしまして、その意義を深く感じておる点をかいつまんで申し上げたいと思うのでございます。  第一点は、各保証協会におきまして、昨年各方面の御協力を得まして立てました保証倍増計画というのがございまするが、その倍増計画裏づけ資金として非常に大きな意義があると考えるのでございます。簡単に申し上げますると、三十三年度保証平均残高先ほど申し上げました六百八十億でございまするが、これを千五百億にいたしたいという計画が各保証協会計画の総合でございます。これが達成いたされますると、中小企業者に対する、先ほど山本さんからお話しになりました浸透度三十三年度五・五%というのが約一〇%に上がるのでございまして、そのための所要資金が概算九十六億円新たに要るのでございますが、そのうち国に期待いたしておりまするのが七十億円でございまして、残りの約二十六億円が地方公共団体その他に期待いたしておるのでございます。保証協会といたしましては、今度の十八億円をいただけるのでございまするから、今後この倍増計画が今の調子でいけば大体三年で完成するのじゃないか、こういうふうに非常に明るい希望を持ち得ましたことは、ひとえに御配意のたまものでございまして、どうぞ今後とも引き続きまして御援助をお願いいたしたいと思うのでございます。  第二は、先ほどお話しがありました通り政府は三十六年度から信用保険は一応保証協会保証保険のみといたしまして、これを全面包括制にされるという御方針のように伺っておりますが、そのためには何といたしましても、信用保証協会保証能力の拡大、それから一件当たりの保証限度の引き上げの措置が必要でございまするが、この資金をもちまして、おいおいとそういう措置ができるというふうに心強く考えておるのでございます。  最後に、保証協会といたしましては、先ほどお願いいたしましたように、引き続きまして資金的な御援助をお願いいたしまするとともに、三十六年度から保険料引き下げ保険手続簡素化をぜひ実現していただきたいと考えておるのでございます。御承知のように保証協会収入は、保険料利息収入が主でございまして、支出で一番大きいものは経費でございます。これに次ぐものは償却と保険料でございますが、保険料はこれからも、先ほども申し上げましたようになお五厘の線に引き下げていかなければならないのでございますし、利息収入もそうどんどんふえるものでございませんが、経費はペイしない支所の設置とか、それから保証迅速化という点から人員をもう少し充実をする必要がございますので、事務経費は次第々々に増大いたしてくるのでございまして、中小企業者の利便のためには、ぜひこれは実現しなければならぬと考えておるのでございます。従いまして保険料が下がれば今申し上げましたような点を犠牲にせずに、保証料引き下げができるのでございますから、特にこの点の御配意をお願いいたしたいと考えておるのでございます。保険手続おかげをもちましてだんだんと簡素化いたしておるのでございますが、全部が包括になりますと保険事務が非常に増すのでございまして、この点は徹底的に簡素化をはからなければならぬと考えておるのでございます。これはむしろ保険の契約の当事者でございます保険公庫とわれわれ保証協会のなすべき責任かとも思うのでございまして、われわれといたしまして三十五年度中には何とか目鼻をつけたいと考え、真剣に研究いたしておるのでございますが、先生方におかれましても、この問題につきましては何とぞよろしく御指導をお願いしたい、かように考えておる次第でございます。  はなはだ簡単でございますが、以上御説明を申し上げ、さらに今後のお願いを申し上げます。
  9. 中村幸八

    中村委員長 次は藤本参考人にお願いいたします。
  10. 藤本哲

    藤本参考人 全国相互銀行協会常務理事藤本でございます。委員長のお問いにお答えいたします前に、皆様方中小企業の育成並びに強化のためにふだん格別の御配慮をいただいておりますことを深く感謝いたします。  中小企業信用補完制度につきまして意見を申し述べろということでございますので、簡単に私どもの考えておりますことを、すでにお話がございました山本理事長並び深瀬常務理事お話と重複しません私ども関係だけを申し上げますと、現在私ども中小企業信用保険制度を利用いたしております計数的なものを申し上げますと、金融機関といたしましては融資保険計数一が現在のところでは一番中心でございますが、補完制度の大きな改革がございました三十三年度以降の計数を申し上げますと、三十三年度におきましては、政府金融機関を含めまして全金融機関の間に占めます相互銀行のウエートは大体二%でございます。三十三年度の全体の計数は申し上げるまでもございません、八十五億でございまして、そのうち九億二千五百万という計数でございます。さらに三十四年度に参りましては、上半期におきましては計数は約九%、それから下半期に入りまして——これは私ども金融機関の決算の数字中心でございますので、上半期と申しますのは四月から九月、下半期と申しますのは十月から三月まででございますが、たまたま十一月までの計数でございますのでそれを申し上げますと、これもやはり一〇%でございまして、大体一一%ないし一〇%の間でございます。さらに保証保険等の問題につきましては山本理事長並び深瀬常務理事お話がございましたので、私どもの方から申し上げることは差し控えさせていただきます。  次に私ども希望を申し上げますと、信用補完制度につきましては、あらためて申し上げるまでもございませんが、三十二年の十二月に金融制度調査会から中小企業信用補完制度の整備強化に関しましての政府への答申がございまして、これが翌年の三十三年四月に皆様方のお力で法律としてでき上がりまして、三十三年の七月から現在の制度に移り変わっておるわけでございます。その間におきましてはかなり制度の改革がございまして、私どもといたしましては、新しい制度ができましたので、これにつきまして十分制度の趣旨を理解し、その普及等にも努力いたしまして、中小企業金融の疎通のために大いにこの補完制度を活用しようということに努力しているわけでございます。今日までの実績では、ただいま申し上げました通りどもの方の数字につきましては、特に大きな伸びというようなことは見られておりませんけれども、今後われわれの力並びに保険公庫さん並びに保証協会さん等の力によりまして逐次制度が普及して参りますれば、われわれの扱います数字も、だんだん伸びて参りますことを確信しております。ただ制度が移り変わりましてまだそう長い期間も経過しておりませんので、皆様方におかれましても、制度について経過的な御配慮をいただいておりますし、また保険公庫におきましても、保証協会におきましても、そうした経過的な措置につきましては十分御理解を持って運用されておるわけでございますが、私どもとしてお願い申し上げたい点は、こうした経過的措置というものがすべての制度について普及徹底いたしますのに、やはり時間がかかりますので、時間的な御措置については、他の機会においてもお願いしてございますが、重ねてぜひ  一つ皆様方格別な御配慮をお願いいたしたいと存ずる次第でございます。  もう一点申し上げさせていただきたい点は、このように中小企業の育成並びに中小金融の疎通のために信用補完制度が大きな役割を果たして参っておりますが、なお、これは皆様方にはあらためて私か申し上げるほどのことじゃございませんけれども、わが国の中小企業というものは日本経済におけるウエートが非常に高いのでございまして、しかも、また、中小企業につきましては皆様方のお力をいただかなければならぬ点が非常に多いのでございます。これはこれまでずっとそうしたいきさつがあったわけでございますが、最近に至りまして貿易為替の自由化という問題が、新しくわが目の課題として日程に上って参っておりますので、これにつきましてもあらためてこまかいことを申し上げるのは差し控えさせていただきますが、従来でも国内的に諸般の施策が行なわれますと、これが企業に対する影響というようなものがございます場合においては、とかく中小企業にしわが寄りますことが心配され、また中小企業にしわの寄ることは事実でございました。今度の貿易為替の自由化につきましても、皆様方には御慎重なお運びをなさっていただけるということでございますけれども、なお、新しく、中小企業の面につきましては、これまでにございましたよりはまた新しい一つの影響というものが出て参りますので、こういう点も、今後におきましては、今日の問題でございます中小企業信用補完制度の上においても十分加味していただきまして、これまで以上に中小金融の疎通、中小企業の育成という点について御配慮をいただきたいということをお願い申し上げて、一応の御回答といたしたいと思います。
  11. 中村幸八

    中村委員長 次は小野参考人にお願いいたします。小野参考人
  12. 小野孝行

    小野参考人 全国信用金庫といたしまして本委員会にお招きをいただき、発言する機会を得たことは非常に光栄に存じております。  私ども信用金庫は、全国に会員店舗数は五百三十九持っておりまして、店舗は二千六百ばかりでございます。現在の預金量は七千三百六十億でありまして、貸付金等の場合は五千九百三十億、そういう形で事業をやっております。  保証協会の問題に対する意見といたしましては、保証協会の基金の強化をしていただくこと、これも基金の強化はきょうあったようでありますが、それと、保証料を特に大幅に低減していただきたい。それから保証のための調査を書面、実情についてもっと迅速にやってもらいたい。それから代位弁済が迅速でない、これを迅速にやってもらいたい。それから書面審査ということになると、これはごく簡単に調査ができますから、貸付は非常に生きた金が使える。実際に借り入れを申し込んで、保証協会のあらゆる機関を通して許可を得るためには相当の日数がかかる。それではほんとうに小さな零細企業には役に立たないときに金が入る。それではいけない。こういう点も御考慮願いたい。保証協会のPRはもとよりそういうものも加味して大いにやっていただきたいと思います。それから現状の保証協会ではまだ不十分なので、拡充強化をされるために大いに存続してやっていただきたい。それから逆選択制度はどうしても必要じゃないか。これはいろいろ批判もございますが、逆選択、いわゆる金融機関が独自で保証協会が選択する前に選択していく、こういう制度も保証迅速化に必要じゃないかと思っております。  中小企業信用保険の融資保険は、三十六年度から廃止される予定となっておるが、そのためにこれにかわる中小企業者への信用補完策が必要である。このために信用保証協会の強化が必要であり、それには次のごとき補完策が考えられる。財政資金から三十五年度十八億の増加がされたが、これではなお不足で、今後も毎年継続して相当額の出資を国が行なってもらいたい。保証料引き下げのためには、保証協会の運営費の一部を当分国において助成する措置を講じたらどうだろうか。保証料は各地方により高低があるが、まだ全般的に高率のために中小企業者の負担が大きいのでその低下をはかること。保証の実行にあたって相当期間の審査を要し、企業者の貸付要望に支障を来たしておるので、現状を改善して迅速化してもらいたい。代位弁済にあたっては迅速に支払いがされることを希望する。保証限度の小さい協会にあっては、その限度額の引き上げをはかること。以上保証協会に対する希望であるが、これが実行されずに現在の融資保険制度を廃止するとすれば、中小企業者に対する信用補完はきわめて不円滑となる。なお、保証協会の現状においては、これが実行できない場合は、現在の融資保険制度を存続して、その強化が必要であると考えられる。従って従来のごとき填補率八〇%の引き上げ、保険価額一千万円の引き上げ、保険料率の引き下げを要望したいと思います。  そこで、この機会に一つお願いしておきたいことは、景気が悪くなる、いわゆる政府が金融引き締めを行なうと、どういうような結果が来ておるかというと、昭和二十九年には、その期間内の貸付が銀行においては三千八百七十億、それがその翌年になって引き上げになりますと直ちに百六十億に下がっておる。その翌年は千九百億になっておる。またさらに三十一年、三十二年の統計を見ましても、それは千九百億のものが千七百億、あるいは四百八十億というように、いわゆる金融引き締めの結果、中小企業にしわ寄せが来るのだ。銀行の中小基金がぐっと締められることによって、しからばいわゆる中小企業専門金融機関である相互銀行とか信用金庫、信用組合の率はどうかというと、ある程度は全体が下がっておるところもありますが、上がっておるところもある。また下がっておるところもそう差がない。全体の景気が悪くなる結果でありますから。昨年の公定歩合の引き上げによって三十四年度の三月期、その経過を見ますと、三十三年の九月から三月までの間に、銀行の中小企業の金というものは千九百八十億のものが千七百九十億に下がっておる。そうすると、私ども全国の信用金庫で取り扱っておる資金面から見ますると、公定歩合の引き上げ、金融引き締めがあると、直ちに来るものは、中小企業の中の部、大の部がどっと流れてくる。中小企業は御承知の通り幅が広いので、私どもは常に零細企業を扱っておりますが、中小企業と申しましても、東京では上の方であります。従ってその引き締めというものは非常に影響するものである、こういう点から考えまして、いろいろと公庫の問題とか、要望する点が多々あるのでございますが、時間の関係で申し上げられませんが、ただ、こういうような時勢でありますから、何かと国家が施策を行なうときには、どういう施策を行ないましても、中小企業に対して与える影響というものを統計的に十分御高配願いまして、私どもも一生懸命にやるつもりでありますが、ただ政策からして、生みっぱなしのいわゆる中小企業に対する専門金融機関といわれておる信用金庫、要するにそれに対して何ら考慮を払うことなくして、ただ大銀行の基幹産業のみのしわ寄せがくるということは、中小企業者があまりにもみじめじゃないか、こういう点を考えておりますから、この点も御高配を賜われば幸いだと思います。ありがとうございました。
  13. 中村幸八

    中村委員長 次に山屋参考人にお願いいたします。
  14. 山屋八万雄

    山屋参考人 本日は、私ども平素から、一番金融機関といたしましてはおそく出発いたしております信用組合のことでありますが、機会あるたびにお願いをいたしたいと、かように考えておるところに、はからずも意見を聞いてやろうという御招請に対しまして、衷心から厚くお礼を申し上げる次第でございます。  まず、信用組合の概況を話せということでありますから、申し上げたいと存じますが、お手元に、概略ガリ版刷りを配付いたしてあります。これを全部御説明いたしますと長くなりますから、そのうちで、全国信用組合が幾らあるか、その預金高が幾らあるかというようなことを、まずもって参考に供したいと存ずる次第であります。全国の信用組合は、御承知のように昭和二十五年に信用組合の大部分が信用金庫に改組されまして、当時残っておりましたのは、わずかに全国で七十程度の一ものでございましたが、その着想はどうかと申しますと、信用組合の取引層というものは、もちろん金融ベースに乗らないところの人たち、いわゆる中から小の方々が非常に多いのでありましてどうしても、考課状を持ってこいとか、もう少し計画性のある書類を出せとか、あらゆる書類の提出を要求されて、そのままで取引のできないものが、やむを得ず信用組合に固まっておるようなわけであります。その信用組合の全国の総数は、金庫と改組された当時から思いますと、実にその数が四百もふえておるわけであります。現在は、全国で四百六十七組合ございます。その組合員の総数が、実に九十万人でございます。店舗の数は、本支店合わせまして、一千軒であります。その役職員が一万五千人、預金の総高が一千四百億円、その貸し出しが一千二百二十億と、概略こういうふうなことになっております。これを政府機関の、これも参考までに出してありますが、中小企業金融公庫、国民金融公庫商工組合中央金庫というものと比較いたしますと、その貸し出しについては、信用組合が一丸となりますと、ほんとうに肩を並べられるところまで発展いたして参っておるわけであります。この信用組合がどうしてここまで進歩してきたかと申しますと、これは、もちろん全国ばらばらのときには、資金の問題で過不足を調整する機関がありませんので、かねてこの連合会の設立について各先生方には大へん御高配をこうむったわけでございますが、昭和二十九年の三月二十九日に連合会の許可を得まして、その年の十一月に出発をいたしまして、今日、まだわずかな年限ではございますが、その連合会が、やはりこれもお手元に資料が配付いたしてございますが、その連合会といたしまして全国から過不足調整の準備預金を集めております。それが七十億六千万ほどでございまして、そのうち、会員貯金でございますから貸し出しもいたしておりますが、貸し出しは五十四億ほど貸し出してあります。この連合会で全国を、過不足を調整いたしておるわけでございます。  かくして信用組合の発展というものは、まず日を追うてますます発展いたしておるわけであります。参考までに申し上げますが、この信用組合が信用金庫に改組されましたときに、一般の零細な方々は、すぐ金を借りるのに非常に困った。その間に、保全経済会とか相互殖産とか、信用組合が信用金庫に改組されて飛び込みやすいところがなくなった際に、ああいうふうな金融機関ができたわけであります。自来信用組合は都道府県がますます許可をするようになりまして、信用組合の活動と同時に、ああいう金融機関がすたって参ったということも参考になることと思うのであります。かような点で、信用組合が今現実にまず動いておりますことは、どこの県に参りましても、最近に至りまして県の方で非常に力を入れまして、各県としては今後中から零細にかけての金融は、県の金融行政の一環としても、信用組合を使っていきたいというような意向もあることでありますので、ますます発展していくことと存じておる次第でございます。どうか今後とも絶大な御理解を、この機会にお願い申し上げておく次第であります。  次に、本日私ども意見を発表しろというこの保険公庫の問題であります。今回法律改正になりますところの包括保険でございますが、もちろん今日の保険公庫のあり方でありますと、私ども金融機関といたしましては、この改正される包括保険一本の方がよろしいというふうに、私どもは申さざるを得ないのであります。何となれば、これはもちろん、当初私ども非常に公庫の問題に関心を持っておりまして、当初は八〇%の保証をいたしたものでありますが、この節ではこの保証が五〇%に切り変わった。さらに金融機関として保険をかける場合は五十万以上七百万までということになっておりまして、もしも五十万以上七百万ということになりますと、もちろんこれは金融機関といたしましても担保をとりますし、担保なしではとにかく五〇%しか保証してもらえないのですから、保険をかけるわけにいかぬということになるわけであります。従いまして五十万以下のものは、信用保証協会が都道府県にあるわけでありまして、この保証協会の方は年末は三十万、平素は二十万以下、これが無審査で、つまり金融機関を信用して保証申請を出しますと、一週間以内で大てい許可になるわけであります。それでありますから、中から零細の方々保証というものは、保証協会がありさえすれば、この保険公庫の必要性はないというようなことになります。  さらにまた、いろいろこの表を見まして、信用組合などほとんど取り扱っておるところが、公庫の方の取り扱っているところは少ないのでありますが、非常にその保険料の高いことと、また保証を請求した場合の手数が非常に混雑をいたしまして、非常に長くなる。たとえばいろいろ手続の問題におきましても、あまりにも厳重過ぎるというような結果で、それじゃもうめんどうだから、つまり保証協会の方を利用してこちらの方は利用しない方がいいだろうということに、最近金融機関としては——私ども金融機関と申しましても、信用組合の仲間としては、そういうふうな話が至る所で出ておるわけであります。それでありますから、魅力がなくなっておりますので、結局保証協会の上に立って、保険公庫ということの方がよろしいだろうという考えをやむを得ず持つようになったわけであります。ただし、この場合、保証協会がそうなりますと、どんどん今度は保険公庫から金が出る。保証協会はますます今度は力がついてくる。そういう場合に、その力をほんとうに真に中小企業のためを思ってやって下さればけっこうでありますが、往々にして、人間のやることでありますから、あまりにも役所式になることが非常にありがちなんでありまして、この点はどうもわれわれは民間の団体だと思っておるのに、そこに奉職しておる方々が役所式のようになりがちであります。東京都の保証協会ども、最近は非常に改まったわけでありますが、一時はもう東京都の外核団体でありながら、本所よりも少し横暴のところがあったようなきらいもあったわけであります。こういう点が非常に危険視されるわけでありまして、これさえなく、うまく監督がしていただけるならば、この点は法律改正されても差しつかえないというように、私は解釈をいたすわけであります。ただ願わくば、こうして中小企業全般にわたって、今度は中小企業のために信用保険公庫を作ってこうするのだということは、喜んで、つまり利用されないということが残念に思うわけであります。ただ保険公庫ができまして、保証協会の上に立って仕事をするだけであったのでは、保証協会のために保険公庫を作ったということになりやせぬかというようにも考えられるわけであります。  以上、参考までに申し上げまして、私の責めを果たす次第であります。
  15. 中村幸八

    中村委員長 次は北野参考人にお願いいたします。
  16. 北野重雄

    北野参考人 商工中金の理事長北野でございます。平素金庫の運営につきましては、格別の御配慮にあずかりまして、この機会に厚くお礼申し上げます。  当金庫の業務概況を申し上げたいと存じますが、まず昭和三十四年度状況を申し上げたいと存じます。三十四年度の財政投融資は、委員皆様方格別の御理解と御支援によりまして、年度当初におきまして、政府出資が十二億円、商工債券の政府引き受けが二十億円、合わせて三十二億円とおきめ願ったのであります。  商工中金は、政府出資十二億円によりまして、それにさらに金庫自体の自己努力を加えまして、三十四年の四月一日から貸出金利の引き下げを行ないまして、これによりまして、中小企業者の金利負担の軽減に幾分なりとも寄与できた次第でございます。  また、三十四年度の貸し出しにつきましては、当初年度間の貸出純増額を百五十億円と予定いたしまして、その資金源としましては、商工債券の市中消化によりまして八十億円、預金、借入金等によりまして三十八億円、合わせて百十八億円の自己調達を予定いたしまして、さらに、今申しました政府資金の三十二億、これでもって年度間の純増百五十億円をまかなう、こういうことになったのでございます。  ところで御承知のように、三十四年度は時の経過とともに景気が上昇いたしまして、あるいは親企業、またはおもな販売先の増産に伴いまして、これらの方面からの要請こ基づいて、設備の改善、合理化を行なう、そのための設備資金、さらにまた一般的に取り扱い量が非常にふえましたので、それがために、増加運転資金を必要とする、こういう設備資金あるいは運転資金資金需要が非常に旺盛であったのであります。これは特に第二・四半期以降一そう顕著になったのでございます。  こういう情勢を考えまして、さらにまた、例年この年末の融資が非常にふえますので、その点も考えまして、金庫自体といたしまして、いわゆる自己調達の、特に商工債券の消化額をふやすということに非常に努力いたしまして、幸い金融情勢その他の条件にも恵まれましたので、商工債券の市中消化が相当順調に参ったのであります。しかしそれでもなお年末に対してそれでまかない得るかという心配もあります。さらにまた、昨年の九月末には伊勢湾台風等の未曽有の災害もございましたので、この災害復旧資金も大きな額に上るということになったのであります。  こういう関係からいたしまして、商工中金といたしましても、委員皆様方にもいろいろお願いいたしまして、幸い政府におかれましても、特別の御配慮をいただきまして、年末近くなりまして、財政資金の追加投入がいただけたのであります。災害資金として………。
  17. 中村幸八

    中村委員長 ちょっと北野君に申し上げますが、通商産業大臣が出席されましたので、発言中ではありまするが、後刻発言を続行していただくことにいたしまして、この際大臣に対する質疑を許可したいと存じます。御了承を願います。     —————————————
  18. 中村幸八

    中村委員長 それでは田中武夫君の大臣に対する質疑を許可いたします。田中君。
  19. 田中武夫

    田中(武)委員 実は参考人方々の御意見を聞いていただき、それに対するわれわれの質疑応答も聞いていただいた最後に、大臣の所信を伺いたい、このように考えておったのでありますが、参議院の本会議等の関係で、大臣の時間がないそうでございますので、切り離してこれだけ質問しては何かおかしいのですが、結論のようなことだけを先に大臣に聞くことになりますけれども、簡単に申し上げますから、お答え願いたいと思うのです。  と申しますのは、信用保証協会の制度でございますが、これは言うまでもなく担保力のない中小企業者に対しまして、政府資金による担保信用を授与いたしまして、そして中小企業の金融をはかろう、こういうことでございますが、実際の運用を見ておりますと、信用保証協会保証業務、これが中小企業のための保証でなくして、金融機関のための保証である、こういうような感じを受けるのであります。と申しますのは、本来ならば保証を必要としないところ、言いかえるならば市中銀行等において、危険はみずから負担しなくてはならないような金融に対しまして保証協会保証を要求する、そういうことによって保証せられて貸しておる。実際保証を必要とするようなものには保証をしてもらえない、こういうような結果が現われております。従いまして、これは中小企業のための保証でなくて、金融機関のための保証である。その結果としては、中小企業は高い利息の金を借りておる。保証料を合わしたところの金を借りておる、こういうことになりますので、それに対する御所見が一点。  もう一つは国民金融公庫とか中小企業金融公庫、すなわち本来政府機関であるべき金融機関に対しまして、また政府資金をもってやっておる保証協会保証をするということは、理論的にもおかしいのであります。ところが実際におきましては、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫に対して保証協会保証がなされており、またこれを要求するがごとき傾向にあるということ、これに対しまして大臣はどう考えておられるか、それに対する今後の大臣の指導方針等につきまして、あとはまたの機会にいたしまして、この二点だけ時間の関係でお伺いしておきます。
  20. 池田勇人

    ○池田国務大臣 唐突な御質問で、答えがマッチしないかもわかりませんが、一応……。先ほど信用保証協会中小企業のために保証する、それからまた銀行のために保証する、この保証は経済的に言えば両方でございます、これはもう兼ね合ったものでございますから。中小企業保証して借りるのですが、それが銀行の貸し付けの保証にもなるわけです。私はこれは別別に考うべき問題ではないと思う。それから、もちろん中小企業の連中の負担が多くなるということは、保証料引き下げることが必要であると思うので、今後引き下げていきたいと思う。  それから国民金融公庫とか中小企業金融公庫中小企業へ貸す場合に、保証協会保証をとるということはいかがなものか、こういう御質問のようでございます。この点は、やっぱり国民金融公庫中小企業金融公庫一つ貸付機関でございますから、損はしたくないので、保証を要求することも無理からぬことだと思います。ただ公的機関でございまするから、その場合においては、なるべく保証保証協会の方の手を借らずに調査してやることが望ましいことでございますが、国家機関であるから保証協会保証をとるべきにあらずと断定すべき筋合いのものでもないと思います。
  21. 田中武夫

    田中(武)委員 最初の第一点につきましては、ちょっと大臣勘違いしておられると思うのですが、私の申し上げておるのは、本来中小企業保証をすべき業務を持つ保証協会でありながら、これが中小企業保証でなく、結果的に見れば金融機関保証をやっておるということは、本来保証を必要としないようなものに保証しており、保証を必要とするものが断わられておるという実情である。このことを申し上げておるわけです。  もう一点につきましては、ちょっと大臣と私意見が違うと思うのですが、本来政府資金の貸し付けをやっておる。それに対して政府資金によって保証するということは意味をなさぬじゃないですか。理論的に言って、国民金融公庫とか中小企業金融公庫には、保証協会保証なくして貸してやるというのが、本来のあれじゃないのですかね。
  22. 池田勇人

    ○池田国務大臣 これは機関が違うのでございますから、私はこの点はあなたと意見が一致しないと思います。ただ問題は、政府機関たる性質にかんがみまして、一般のいわゆる営利を本位とする市中銀行との差はある程度あっていいかと思うのですが、原則的に中小企業金融公庫保証協会保証をとることはよくないということは私は言えないと思うのです。  それから初めの、一般の金融機関保証なくしても貸せるようなものを保証をとるということは、これは事実問題でございまして、私はそれは銀行家の心がまえの問題だと思う。だから保証協会の方でそういう場合においては、これは君十分担保力があるじゃないか、保証しなくても、というふうなことは言っていいと思います。趣旨は、それは担保力のないものを保証することが、本来の趣旨であると思います。
  23. 田中武夫

    田中(武)委員 国民金融公庫とか中小企業金融公庫から信用保証協会保証があってくれなければ貸さない、こういうことを公然とお認めになりますか。実は三十三臨時国会における大蔵委員会において、同僚横山委員が大蔵省の石野銀行局長に、そういうことを突いたのに対して、大蔵省としては、国民金融公庫ないし中小企業金融公庫の側から保証をとれ、こういうことはやらないように指導しておる、しかし例外的にあることはやむを得ないというような、むしろ低めの答弁をしておる。今大臣は保証するのは当然だというようなことならば、だいぶ変わるのですが、われわれは、そういう大蔵省の見解でもまだいけないのじゃないか、こういう見解を持っているのですが、例外が原則になっておる、こういうように考えておる。その点について大蔵省はそういうふうに言っていますが、いかがです。
  24. 池田勇人

    ○池田国務大臣 先ほど申し上げましたごとく、政府機関でございまするから、一般の金融機関とは違ってやるべきであるということは考えられます。またそうすべきでしょう。しかし絶対に保証協会関係してはいかぬという結論には到達しない、こう言っておるのであって、大蔵省の見解と別に変わりはございません。ことに国民金融公庫におきましては、庶民の零細なあれでございまするから、私は国民金融公庫の方が、そう保証協会の方にどうこう言うことは少ないのじゃないかと思います。今までの状況を聞いてみますると、零細な資金でございますから。ただ国民金融公庫中小企業金融公庫とのニュアンスは、ちょっとくらい違うかもわかりません。だから、政府機関であるから、なるべくそういうことのないようにしろということはわれわれも望ましいことであります。しかし逆に、それは絶対に保証協会保証を求むべきにあらずという結論も、片方も借入金でやっておるものでありまするから、なかなか保証協会の方はタッチさせぬということにもいかぬのじゃないか、事実問題として、心がまえとしては、やはり一般の営利機関とは違うということは、国民金融公庫は、特にまた中小企業金融公庫理事者も考うべきだと思います。
  25. 田中武夫

    田中(武)委員 だいぶ意見が違いますが、後日に譲りまして、きょうは時間がないようですから……。     —————————————
  26. 中村幸八

    中村委員長 それでは北野参考人発言を続行していただきます。
  27. 北野重雄

    北野参考人 先ほど三十四年度の年末近くになっての資金繰りの状況を申し上げておったのでございますが、資金需要が非常にふえて参りましたが、幸いにして、おかげさまで政府資金の追加投入がやられまして、災害資金としては三十八億、年末資金として四十五億、合わせて八十三億、これが商工債券引き受けの形で当金庫に投入されたのであります。おかげさまで去年の年末の貸し出し残高は約一千四百二十三億になっております。そのうちで災害融資が約四十億円でございます。なお、この災害融資につきましては、これまた諸先生の御配慮によりまして、特に前回の災害におきまして、初めて商工中金にも特に適用ができる、国民公庫、中小公庫と同様に特例が適用されるということになりまして、それがための商工中金に対する利子補給に関する特別措置法を御制定いただいたのであります。この機会に厚く御礼を申し上げます。  なお伊勢湾台風につきましては、商工中金といたしましては現場で即決するという態勢をとりまして、極力融資迅速化をはかったのであります。  以上が大体の昨年度の経過でございますが、三十四年度年度末の状況は、大体の見通しといたしましては、貸し出し純増が三百五億ぐらいになる予定で進んでおります。  次に三十五年度について申し上げたいと存じますが、三十五年度の見通しといたしましては、現在のところでは、経済の伸長の度合いは若干ゆるまるという前提に立っておりますけれども、大体三十四年度に引き続いて経済の順調な推移を見るであろう、こういう前提に立って考えますると、貸付計画といたしましては、大体三十四年度の、今申しました貸し出し純増約三百億でありますが、それから災害融資が約五十億になる見込みでございますので、それを引きますと、大体、一般融資としては三十四年度の貸し出し純増が二百五十億程度であります。そこで三十五年度も、大体一般融資としては二百五十億の貸し出し純増、こういうふうな予定で計画を組んでおるのであります。  その原資といたしましては、債券の市中消化によりまして百八十億円、預金その他によりまして四十億円、合わせて二百二十億円を自己調達といたしまして、不足分の三十億円は債券の政府引き受けによりたい、こういうことで、これが財政投融資計画として皆様の御審議をいただくことになっておるのであります。こういたしますれば、今の段階では、大体商工中金として中小企業資金需要に応じ得るのではないかと考えておるのであります。しかしながら最近の金融情勢は、御承知のように昨年末の引き締まり傾向以来、微妙な経過をたどってきております。それだけに、将来の見通しはなかなか困難な面もございますので、今後の経済情勢の変化によりましては、今申しました見込み通りいくかどうか、さらにより以上の資金需要があるのではないかということも考えておかなければならぬと思うのであります。さらにまた、貿易の自由化によりまして、中小企業は特に影響を強度に受ける心配もございますので、それだけに中小企業の体質改善のための資金需要というものが、特にふえてくるのではないかということが考えられます。  それから自己調達の債券資金につきましても、一応百八十億を見込んでおりますけれども、これも金融情勢の変化によりましては相当いろいろ困難な面も出てくるおそれもございます。もちろん私どもといたしましては、この百八十億の市中消化につきましては、今後とも万全の努力を払うつもりでおりますけれども、そういう問題も含んでおるということを申し上げたいのであります。そういうわけで、三十五年度の見通しといたしましては、目下のところは、貸し出し純増二百五十億でよろしいであろう、しかしながら、今後の資金需要がさらにふえましてこの計画通りに参らないというふうな情勢になりました場合には、例年のことではございますけれども、財政資金の弾力的運用によりまして、例年のように資金の追加投入をしていただくようにお願いをいたしたいと考えておる次第でございます。  簡単でございますが、概況を申し上げた次席であります。
  28. 中村幸八

    中村委員長 以上で参考人方々の一応の御意見の開陳は終わりました。  これより質疑に入ります。質疑は通告順によってこれを許します。  なお政府より通商産業政務次官内田常雄君、中小企業庁長官の小山雄二君が出席されておりますので、申し添えておきます。  それでは小林正美君。
  29. 小林正美

    小林(正)委員 今回産業投資の特別会計から十八億円を公庫の方へ出して、それがさらに信用保証協会の方へ貸し付けられるというこの問題に関連をして皆様方においでをいただいたわけでありますが、私は特に全国信用保証協会連合会の深瀬さん、全国相互銀行協会藤本さんにお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初保証協会の連合会の深瀬さんにお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、いかに国の方でいろいろな法律を作り、また資金を回したといたしましても、実際に末端業務を営むところの各府県の保証協会業務のあり方そのものが円滑に行なわれなければ何もならない、こういうことを私は自分の体験を通じて強く感じております。そこで二、三の点についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、先ほどちょっと田中委員の方からも通産大臣に質問をいたしました。その質問に対する通産大臣の答弁は、何といいますか非常にピントはずれでございまして、言うなれば池田通産大臣は小口金融については何らの認識を持っておらぬということを私は十分に感じとることができまして、非常にその点残念に思っております。   そこで各都道府県にあります保証協会の実態について私の感じを申し上げたいのでありますが、先ほど田中委員が言われたように、真に金融に困って保証協会保証を申し入れをして、その保証をとって銀行から金を借りようとする場合に、実際には金を借りる側の立場に立って保証協会が運用されておらない。それよりもむしろ金を貸す側、すなわち銀行の側に立って保証協会が運用されておる、こういうことがはっきり言えるのでございまして、そういう点について保証協会の連合会としては、どのようにこの問題を理解されておるか、ちょっとお尋ねをいたしたいと思います。
  30. 深瀬晃

    深瀬参考人 小林先生の今のお尋ねでございますが、大臣の御答弁のあとで私がいろいろお話しするのははなはだ恐縮でございますが、お許しを得まして申し上げたいと思います。  私の方といたしましては、御承知のように保証に大体二つの方法があるのでございまして、一つ金融機関さんの方から、この点は調査の結果信用がやや薄弱であるからこれに保証をつけろ、こういうケースが一点と、それから信用保証協会中小企業者から申し込みを受けまして、調査の結果これは保証を必要とするし、かつ将来とも事業も伸びるし、それからほぼ事故も起こるまい、こういうふうなケースを詳細に調査をいたしまして、金融機関に私の方で保証するからこれは融資をしてくれ、こういう二つのケースがございますことは御承知の通りでございますが、いずれの場合におきましても、私の方といたしましては、中小企業者がそのために金融の利便を受ければよろしいのでございますから、格別金融機関の実情とか、そういうふうな関連は何もございませんで、全く中小企業者本位に考えておるのでございまして、この点は何も他意はございません。これが精神でございまして、さように今後とも運営しなければならぬというふうに考えております。
  31. 小林正美

    小林(正)委員 保証協会を利用する場合に大体二つの行き方がある。一つ金融機関を通じて若干借り主が信用度が低いから、一つ保証協会保証してほしいということで持ち込んでくるケースと、直接保証協会に申し込んできて保証協会保証を得て銀行の方に回る場合と、二つの場合があることは私はよく承知しております。ただあとの場合は一応おきまして、最初の場合で一つ問題があることは、ある銀行である中小企業者と取引をしておる。ところがどうも最近少しその中小企業の実態が芳しくないという場合に、これまでは単独貸付をやっておったものを、今度はことさらに保証協会を通じて借りることにしなさいと言って保証協会に押しつけてくる。言うなれば、自分のところの単独貸付では、これまではよかったけれども、今後はどうも怪しいということで、そのしりぬぐいを保証協会にさせようという傾向がしばしば現われておる。そういうことはあなたは御存じですか。
  32. 深瀬晃

    深瀬参考人 私は具体的なケースは存じませんが、ただいま小林先生のお話のような場合に、金融機関側からそういうお話がありますれば、これは金融機関の側のお話をその通りに受け取りますとすれば、それを保証をいたしまして、中小企業者の利便をはかるというのが、実はわれわれの方の使命かと思いまして、それはそのようにはかるべきものだというふうに考えておる次第であります。
  33. 小林正美

    小林(正)委員 深瀬さんはまだ大へんお若いようでありますし、どうも十分にそういう実態がつかめていないんじゃないですか。いやしくも全国信用保証協会の常務理事ともなれば、相当権限なり能力をお持ちと思いますが、もう少し勉強をしていただいて、実際に自分たちがどういうような仕事を末端においてやっておるかということを御研究願いたいと思います。  それでは一つ具体的にお尋ね申し上げたいと思います。全国信用保証協会の連合会におきまして、全国信用保証協会の各協会の役員名簿はございますか。その役員名簿によって、一体どういう連中が保証協会会長とか専務理事をやっておるか、そういうことをあなたがお聞きになったことはありませんか。
  34. 深瀬晃

    深瀬参考人 私も常務理事でございますから、その点は承知をいたしております。大体申し上げますと、常勤役員につきましては、金融機関出身者もございますし、それから主として都道府県関係の者もございます。それ以外の方もございますが、金融機関関係御出身の方が、大体三分の一程度を占めておるのは事実でございます。それから非常勤の役員でございますが、これは大体保証協会ができました当時からの監督官庁からの御指導によりまして、各方面の有識者をもって組織するということでございまして、これも中小企業団体の代表者、それから金融機関の代表者、それから都道府県関係の方、こういうふうな大体の構成になっておることは先生御存じの通りであります。ただいま申し上げた通りで、私も構成は存じております。
  35. 小林正美

    小林(正)委員 実は構成の問題は非常に重大な問題であります。そこであなたにお願いしたいのですが、きょうここで直ちに提出せよとは申しません。お帰りになっていただいて、日本中の保証協会の役員の名前とその方の現在の職業、過去の職歴、そういうものを全部出していただきたい。これを全部の委員の方に一応印刷して配って下さい。それが非常に重要な問題ですから、その点一つ申し上げておきます。これはぜひやって下さい。  それからその次に私のお伺いしたいことは、これはやはりいまだにそういう保証協会保証をとって銀行が金を貸す場合においても、まだ両建をやっておる銀行がある。これは現に私知っております。たとえば五十万円申し込んだ、保証協会保証した、いよいよ保証手続を終わって、銀行から五十万借りるときに、二十万は預金してもらいたい、そういう例があるが、そういう点はあなたは御存じですか。
  36. 深瀬晃

    深瀬参考人 ケースとしては私も絶無とは考えておりません。
  37. 小林正美

    小林(正)委員 その点に対して、私はあなたの権限がどういう権限であるかわかりませんが、あなたの御意向としてはそういうことがいいか悪いか、あるいは悪いと思えば一体どうしようというお考えか、それをお尋ねします。
  38. 深瀬晃

    深瀬参考人 私も先生のおっしゃいましたケースが絶無ではないと考えておりますが……。
  39. 小林正美

    小林(正)委員 それから先ほどの御説明の中で、保証協会保証して金を貸し出しておる率の問題ですが、運転資金が八六%、設備資金が一四%、こう申しました。私もおそらくそうだろうと思います。そこで私はぜひ一つお考え願いたいと思うことは、貿易の自由化に伴っていよいよ設備近代化をやらなければ、とても中小企業の産業が将来国際場裏において太刀打ちができない。これはわかり切ったことでございますが、そうなると、どうしてももう少し設備投資をふやしていかなければいかぬのじゃないか。ところが、ややもすると保証協会は設備投資に対する融資保証をきらうという傾向が非常に強いのであります。そこで貿易自由化の問題とも見合って、こういう設備投資に対して、もう少し何らかの配慮をするお気持があるかないか、この点も信用保証協会の常務さんでありますから、あなたのお考えを承りたい。
  40. 深瀬晃

    深瀬参考人 ただいま小林先生からの御指摘の点は私もさように考えて、今後とも各協会に連絡をとって考えていきたいと思います。
  41. 小林正美

    小林(正)委員 それからもう一つ、これはあなたに対する最後の質問です。去年、災害の直後、私は商工委員会の席におきまして、関係大臣にも質問いたしたのでありますが、都道府県に現在保証協会というものが認められておる。大体原則として一都道府県に一つでございますが、もちろん大きな都市には市にも保証協会がございます。ところが今度災害を受けて、しかも今度の災害は御承知の通り民間災害が非常に大きい、こういうような特殊な事情もありますので、かつて能代市では能代の大火があったその直後において、能代市の信用保証協会というものを国が認めた。そこで三重県とかあるいは愛知県、岐阜県その他今度の災害を受けた市におきまして市の信用保証協会を作りたい、こういう声が相当高まっておる。こういうことにつきましては保証協会の連合会としては、どういうようなお気持でいらっしゃいますか、お尋ねしたいと思います。
  42. 深瀬晃

    深瀬参考人 ただいまの小林先生の私に対するお尋ねは、これは実は政府の御方針をお尋ね下さった方がむしろ適当かと思いますので、私はお答えを差し控えたいと思います。
  43. 小林正美

    小林(正)委員 政府は県ともよく相談をして、必要があればやってよい、こういう気持を持っておるのです。これは池田通産大臣が私に答弁しております。あれを一ぺん読んでおいてほしいと思うのですが、よくこういう問題が起こるときには、いつの場合でも既存の保証協会が反対をする場合があり得るのです。だからできれば災害を受けたという特殊なケースでもありますので、そういう市の方で要望があれば、特別な例として認めていくという方向に、信用保証協会の連合会としても協力をしてほしい。これはあなたに私は要望をいたしておきます。  次に私がお尋ねしたいのは、全国相互銀行協会藤本さんでございますが、端的にお尋ねをいたします。  実は戦後いわゆる無尽会社というものが、中小企業、零細企業に対する非常な資金需要の増大にかんがみまして、これが相互銀行に変わりました。その後非常に大きな発展をしておりまして、相当大きな貢献をしておられることも、私は十分に認めておるわけでございますが、ただ問題は、インフレが進んでおるときは相互銀行の金を借りても十分中小企業者、零細業者の経営は私は成り立っていったと思う。ところが最近いわゆる中小企業者や零細業者がどういうことを言っておるかと申しますと、相互銀行から金を借りておる業者は最後はつぶれてしまうのだ、そういうような声さえも、すでにちまたには起こっておる。このことを相互銀行の諸君は十分考えていただかなければいかんのじゃないか。たとえば一万円の掛金をいたしますと、二十カ月かけると、二十万円にプラス金利として戻ってくることは当然のことでありますが、かりに一万円五回かけて六カ月目に、つまり五万円かけて、六カ月目に二十万円の金を借りた場合において、その後一体どういう形になるかと申しますと、二十万円に対して金利がかかって、ずっと高い掛金をして二十カ月たたなければゼロにならない。その間の金利を全部計算をいたしまして、いろいろと私どもが調査をいたしますと、これはあるいは相互銀行のそれぞれによって若干の差はありましょうけれども、少なくとも年利三割前後の非常な高金利についておるということは、いなむことができない事実であります。こういうようなことで、かつてインフレ時代に無尽会社から相互銀行に転換をして、とにかくもその当時は、いわゆる中小企業、零細企業に対してこの相互銀行が相当大きな役割を果たしたということは、私は認めるにやぶさかではないけれども、今のような段階において、相互銀行が、ああした高い金利をもって金を貸し付けておるということは、すなわちこれは、はっきり言うと両建でございますから、非常に高い金利につくということで、私どもとしては、この相互銀行の問題については、これから本当に真剣に取り組んで、場合によれば法律でもってでも、こういう問題は縛っていかなければならない、こういう気持でおります。だから、私はこの際、ぜひ一つ藤本さんにお尋ねをしたいのでありますが、ああいうインフレ時代そのままの状態で、いつまでもあなた方が中小企業、零細企業を、いわゆる搾取しようとなさるのかどうか、ああいうような金利の立て方でいこうとなさるのかどうか、その点、お尋ねをしたいと思います。
  44. 藤本哲

    藤本参考人 ただいまの御質問でございますが、相互銀行につきまして、両建方式でございますこと、金利が高いという御指摘でございますが、これにつきましては、先生から今お話がございましたように、相互銀行も、二十六年の十月に、前の無尽会社から相互銀行に変わると同時に、新しい相互銀行法によりまして相互銀行が生まれまして、今日におきましては、昨年の十二月末で八千五百億という資金量に達しております。その間の資金量の構成につきましても、掛金によりますものと預金によりますものの構成が大体四〇対六〇ということで、掛金と預金の割合ができております。先生のおっしゃる金利が高いという面につきましても、相互掛金の給付につきまして、先生も御承知でございましょうけれども、昔のように団とか組を組んで給付をするということではございませんで、預金によりまして取った資金で給付を行なうというようなことによりまして、預金業務と掛金業務を並行しておりまして、逐次両方の業務が伸びて参りまして、できるだけ合理化という点に心をいたしております。具体的に申しますと、掛金につきましても、先生のおっしゃる従来の方式そのものではございませんで、掛金の回次が進みますと、逓減方式ということで、ある回次ごとに給付後の掛金を減らしていく。さらには先生の御指摘のございましたように、最も進んだ方法としましては、残債証書を取りまして、両建方式というものを逐次廃止する方向に持っていきたいというふうに考えております。また協会としましても、掛金業務の研究につきましては、私まだ協会に参りまして三年でございますが、私が参ります前から、内部に業務研究会というものがございまして、掛金のあり方につきましては十分研究をされておりますし、先生も御指摘がございましたが、やはり経営の規模も大きくなって参りますれば、すべての企業が同じでございますが、やはり企業の合理化と同時に規模の大きくなったことによりまして収益も多くなって参りますので、これを当然取引先に還元しまして、負担を軽減するということにつきましては不断に努力されておることでありまして、協会としましてはできるだけ先生のおっしゃるようなことが少なくなり、理想としては全部なくなるということが望ましいのでありまして、こういう点につきましては協会はもちろん業界の皆さんも全部努力しておるわけでありまして、この点につきましては現在層一層努力をいたしておりますことを御報告申し上げておきます。
  45. 小林正美

    小林(正)委員 これは非常に重要な問題でございまして、実際ちまたにそういう声がみなぎっておるのです。相互銀行から金を借りたらもうだめだ、結局ヒロポンの注射を打つように、最後は骨と皮にやせ細って死んでしまうのだという声が非常に強いのです。私ども社会党としても金融問題を論ずるときには、何といっても相互銀行の問題をどうするかということが一番重要なテーマではないか、これくらい考えておりますから、私はこの点についてはこれ以上言いませんが、一つ真剣に考えてほしい。実は私の視戚の者が、この間二十万円借りたので、その通知を見てそろばんをはじいてみたのですが、実際驚いたのです。そういうことについて、われわれとしては今後真剣に取り組んでいきたいと思っておりますから、われわれがこういう問題について、しばしばこういう席上で注意する前に、一つ銀行自体が大いに自粛をしてもらいたいと思っております。
  46. 藤本哲

    藤本参考人 ただいまのお言葉をよく伝えまして、協会におきましても大いに今後協会の運営上考えますし、また毎月一回全会員の定例の会合もございますし、ここには役所の方も来ていただき、また日本銀行等の方にも来ていただいて、いろいろ指導上並びに経営上のことについても話を聞いておりますので、そういう席におきまして、ただいまのお話のありましたことを御披露申し上げまして、あらためて先生のおっしゃいますことについて、われわれが深く考えるということにしたいと思います。
  47. 小林正美

    小林(正)委員 いろいろと非常に失礼なことを申し上げて御答弁いただいたのですが、幸い政務次官もいらっしゃいますから、結局今私が申し上げたように現在の信用保証協会のあり方、あるいは相互銀行の実際の貸付の実態というものは、きわめて中小企業者、零細企業者のためにはプラスになっておらない、こういうような非難の声が高いわけですが、特に貿易自由化の問題も進んで参りまして、ますます設備の近代化をしなければならない、資金が必要である。こういうときに政務次官としては一体どのようにこういった中小企業関係の各金融機関を指導鞭撻なさるお気持か、一つあなたのお考えを伺っておきたいと思います。
  48. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 先ほど来だんだん小林委員からきわめて有益なる御意見を承わりまして、私同感の点も多々ございます。ただいろいろ事情もあることでございまして、通産省だけとして処置することのできない部面もございますので、政府部内におきまして十分御意見を参考といたしまして、今後中小企業者本位の金融のあり方を進めて参りたいと思っております。
  49. 中村幸八

    中村委員長 深瀬参考人に申し上げますが、先ほど小林委員から要求のありました資料につきましては、もしお差しつかえがなければなるべく早くこの委員会に提出していただきたいと思います。  次は田中武夫君。
  50. 田中武夫

    田中(武)委員 どうも結論として聞きたいと思っておった大臣に、質問が先になったので質問がしにくくなったわけですが、一緒に公庫山本さんにお伺いをしたいと思います。昭和三十四年度中小企業信用保険利用状況(十二月末)という資料でございますが、これは公庫の方でお作りになったのですね。
  51. 山本茂

    山本説明員 そうです。
  52. 田中武夫

    田中(武)委員 この資料には間違いございませんか。
  53. 山本茂

    山本説明員 私としては間違いがないとしてお出ししております。
  54. 田中武夫

    田中(武)委員 これによりますと、商工中金以下ずっと書いてありますが、国民金融公庫とか、中小企業金融公庫に対する保証の件数及び金額が出ておりませんが、それは実際ないのでありますか、いかがでありますか。
  55. 山本茂

    山本説明員 これは融資保険でございまして、融資保険は国民だの中小金庫はありませんので、それで除いております。保証保険だけでございます。これは融資保険の表でございますので……。
  56. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫に対する保証保険の件数及び金額をちょっと知らしていただきたいと思います。
  57. 山本茂

    山本説明員 三十三年度におきましては、国民公庫は件数としまして七千五百三件、金額にしまして十五億八百万円、百万円以下は省略させていただきます。中小公庫は三十三年度におきまして、件数としまして七百三十三件、金額としまして十一億四千七百万円でございます。
  58. 田中武夫

    田中(武)委員 そうしますと、国民金融公庫及び中小企業金融公庫に対する保証保険は、相当な件数及び金額に上っているわけなのですが、先ほど大臣は私の質問に対しましてちょっと答弁が食い違っていたように私は思うのです。われわれの考え方からいけば、本来国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫に対して保証協会保証するということは理論的におかしいのじゃないか。また監督官庁においても、国民金融公庫とか、中小企業金融公庫側から保証協会保証をとってこい、こういうようなことはいわないようにという御指導が行なわれているはずなのですが、その点どうでしょうか。これは国民金融公庫に対し三十三年に七千五百三件という多くの保証がなされておりますが、実際は国民金融公庫側からの要求によってつけたのが多いのか、それとも借りたいんだから保証してくれというような言い方をしたのが多いのか、前者と後者とどっちが多いです。
  59. 山本茂

    山本説明員 これは政府方針の問題でございますので、私が申し上げるよりむしろ政府の方からお答え願った方がいいのじゃないか。いかがでございましょう。
  60. 田中武夫

    田中(武)委員 実績において、国民金融公庫の側からあなたの方に対して……。
  61. 山本茂

    山本説明員 常識的の御返事になりますが、公庫の方から言うてくる場合と両方あると思います。
  62. 田中武夫

    田中(武)委員 両方ある——どっちが多いと思うか、わかりませんか。
  63. 山本茂

    山本説明員 半々くらいじゃないかと思います。これは常識的の御返事ですから、もし御要求がありましたら調べますが、今数字を持っておりません。
  64. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは内田次官にお伺いしますが、先ほど大臣がああいう答弁をしているので、次官として答えにくいと思いますが、そうでなくあなたの日ごろの持論によってお答え願いたいと思います。  国民金融公庫なり中小企業金融公庫、こういうところから融資を受ける場合に保証協会保証をとってこいという要求をしたりするというようなことは、理論的にもちょっとおかしいし、実際的にもおかしいというふうに考えておりますが、大臣答弁と離れてはっきりとお考えを聞きたいと思うのです。
  65. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 先ほど大臣が答弁された通りでありますが、多少のニュアンスがありますので、私がそれを敷衍して詳しいところを御説明申し上げます。  田中委員が言われるように、国民金融公庫中小企業金融公庫政府機関でございまして、全額政府資金であります。それに危険が生じた際に全額政府資金であるところの中小企業信用保公庫がカバーするということになりますと、これは同じ政府機関の右の手の危険を左の手の危険に動かすだけでありまして、私は大した意味がないと思います。ところが意味がある場合があるわけでございます。一般原則としましては田中君が先ほど述べられたように、大蔵省といたしましても中小公庫や国民金融公庫に対して信用保証協会保証を求めるような指導はいたしておりませんが、しかし実際問題といたしまして両公庫融資をいたします場合に、たとえば国民金融公庫などにおきましては、保証人がない——御承知のように大体国民金融公庫は物的担保はとらない仕組みになっておりまして、一般の金融機関に取引関係のない庶民、大衆に対してごく少額の融資をするという建前でありますから、人的保証だけでございますが、その人的保証もないというような場合に、これはやはり大臣が言われます通り、国民公庫といえども独立採算機関でございますから、危険をかぶっては融資はできませんので、そのような場合に信用保証協会を利用せしめる場合が生じるわけであります。でありますから、その比率はきわめて小さいのでありまして、信用保証協会の三十三年度における保証承諾額は千二百十九億でありますが、そのうち国民金融公庫保証をつけましたのは、わずかに十五億で、約一%程度であります。そういう場合には、信用保証協会保証をしないよりも、保証して、保証人さえもない庶民大衆の一人を救ってやる方がよかろう、こういう場合が出てくるわけであります。  中小企業金融公庫は、国民金融公庫と違いまして、大体中小資金でも大口の資金——三百万円とか一千万円という資金を貸しておりまして、これは原則として物的担保を供給することになっておりますが、物的担保が十分でない場合に、補完して信用保証協会保証をつけて融資した方が、中小企業者に対して便利な場合があります。ことに、先般の災害等の場合においては担保が流れてしまってない。これは非常に多くあったのでありますが、そういう場合には、信用保証協会保証をつけることによって、当該借り入れ希望中小企業者は助かるというようなことも生ずるわけでありまして、そのような場合には、政府のポジティヴの政策としてでなく、むしろネガティヴのものとして中小企業金融公庫貸付保証をつけるということであります。でありますから、中小公庫に対する信用保証協会保証額も全国信用保証協会保証額に比べますと、やはり一%くらいの程度でございます。  このように御了承願います。
  66. 田中武夫

    田中(武)委員 なるほど、金額では国民金融公庫自体の融資額が小さいのですから少ないのですが、件数からいえば一年に七千五百三件という相当な件数になっておる。今、大臣あるいは内田政務次官からも御答弁をいただきましたので、通産省と大蔵省の間に若干このことに対する見解が食い違っておるように考えるわけなんです。これは一応見解を統一していただきたいと思う。私が申し上げたいと思いますのは、三十二臨時国会において、大蔵委員会で、先ほどちょっと申しましたが、同僚横山委員の私と同様な質問に対しまして、石野銀行局長がこう答えております。「中小公庫から信用保証協会保証をとってきて下さいというふうには要請することはいたしておりません。」こういうように答えております。そうすると、大臣なり今の次官の答弁と違ってくる、こういうように思うわけです。もちろん災害のことについては、あとで石野銀行局長も災害のような場合には今おっしゃったように特別な場合であると申しております。しかし、原則としては、国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫の側から保証協会保証をとってこいというようなことは言わせないようにいたしておる、こうはっきり言っておりますが、どうですか。
  67. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 ありていに申しまして、田中委員の理解されておる通りでよろしいのでありまして、通産省といたしましても、大蔵省と同じ考え方であります。ただ先ほども述べましたように、そうしますと、当該中小企業者が金が借りられないという場合には、信用保証協会保証をつけてやることによって、その金を出してやる方がいいという場合も出てきます。国民金融公庫といたしましても、非常に乏しい生計を営んでおる、その細君しか保証人がない、近所の町内会長もあるいは隣人も保証に立たないというような場合に、その細君の保証では困るような場合に、信用保証協会保証をとるという場合があるということで、一般論としては大蔵省の石野君が言いましたように、同じ政府機関でありますから、国民金融公庫の危険を信用保険公庫保険事故にかぶせてしまうということはとっておりませんし、とらぬ方がいいと思います。繰り返して申しますと、田中君の御理解の通りで、実際の問題として中小企業者を助けるような場合にさような問題が一%くらい出る。件数におきましても全体の件数の約二%くらいでありますが、万一田中さんが言われるようなことが、これが行き過ぎがありまして、地方の国民金融公庫の支所でありますとか、あるいはことに中小企業金融公庫の代理店あたりで——この代理店は先ほど小林君がつつきましたように市中金融機関がやっておりますから、しかもその代理店は、これも率直に申し上げますと、担保責任を負っております。でありますから、代理店などがそういうことをやるようなことで行き過ぎがあっては困りますので、今後今おっしゃいましたような線で、その趣旨をよく通ぜしめるようにいたしたいと考えております。
  68. 田中武夫

    田中(武)委員 大体答弁を聞いておると、次官の答弁は石野銀行局長の答弁と同じである、そういうことで理解いたしますが、そうすると池田大臣は小口の金を借りたことがないので実情を知らぬようですから、あなたからよく言っておいていただきたい、こう思うわけです。  そこで深瀬さんにお伺いするのですが、実際において今次官なり銀行局長が言っておるような状態であるかどうか。実際はそうじゃなしにきわめて例外的な場合だ、こう言っておるのだが、例外がむしろ原則となっておるように思うのですが、実情はどうでしょう。
  69. 深瀬晃

    深瀬参考人 私もただいま大臣と内田政務次官がおっしゃった通りだというふうに心得ております。
  70. 田中武夫

    田中(武)委員 しかし中小企業金融公庫の方は、今おっしゃったように代理貸しの窓口を通ずるから、そういうこともあり得ると思うのですが、国民金融公庫の場合は直接なんですね。それが一年に七千五百三件……。
  71. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 代理店担保の問題に入っていかなければ解決しない……。
  72. 田中武夫

    田中(武)委員 しかし七千五百三件というのは多いのじゃないか。そういったきわめて例外的なものが七千五百三件というのは、これは例外が原則として行なわれておる、こういうことだと思うのです。
  73. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 総保証件数が三十二万二千七百件であります。その中の七千件でありますから二%ちょっとということでありますが、国民金融公庫につきましても、中小企業金融公庫につきましても、今私がここで私語いたしましたように、大体代理店がありまして、代理店は営利金融機関であります。しかもその代理店に対しまして八割なり六割なりという担保責任を両公庫が負わせておることは、これは私は政府当局としてではなしに、むしろ国民を代表する、中小企業者を代表する代議士として、あなたと同じ資格において常に疑問を持っておりまして、声を大にしてこの代理店の保証責任というものを下げるべし、これが先般災害貸付のときにやっと一部実現いたしまして、災害貸付については、代理店の担保責任というものを引き下げたはずでありますが、今後なお私は力の及ぶ限り、皆さんの御理解が得られるならば、この代理店の担保責任というものをさらに引き下げて、従って代理店が中小企業者に接する場合に、中小企業者に酷な結果となることがないように一つ努めて参りたいと考えますので、御激励をお願いいたします。
  74. 田中武夫

    田中(武)委員 それはわかったのですが、それでは国民金融公庫の方がおらぬからわからぬですが、中小企業庁長官の方でわかりませんか。たとえば三十三年で七千なんぼと出ておるのですが、三十三年の国民金融公庫貸付一件数は幾らですか。
  75. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 ちょっと今資料一が手元にございませんので、調べまして…。
  76. 田中武夫

    田中(武)委員 それでは国民金融公庫全体の貸付件数に対して七千がどんな割合になっておるか、これを一ぺん調べたいと思いますので……。  それからこれも山本さんと深瀬さんの関係になるのですが、先ほど私大臣にちょっと申し上げたように、本来保証を必要としないような金融に対して、市中銀行が保証協会保証を要求するという事態が多いと思うのです。そこで先ほど言っておるように保証協会中小企業保証機関でなくして金融機関保証協会だ、本来ならばある程度の危険負担は、その市中銀行自体が負担すべきものを保証協会保証しておる。自分の責任において貸し付けなくてはならぬようなものまで保証しておる。本来ならばもうその人には保証協会保証がなくても、普通の金融ベースで貸せるじゃないかと思われるのを保証しておる事例が多いと思うのですが、実情はどうですか。
  77. 深瀬晃

    深瀬参考人 保証協会といたしましては、実は中小企業者本位に考えておるのでございまして、金融機関からそういうお話があります場合、これはそうした方が中小企業者のためでございますから、貸し出しの態度そのものにつきましてはこれは論外といたしまして、中小企業者本位に保証するというふうに考えておりますし、かつ実行しておるわけであります。
  78. 田中武夫

    田中(武)委員 いや、深瀬さんはもちろんそうおっしゃると思うのですよ。しかし実際はそうでない場合が多い。従って結果的には先ほども言ったように利子の二重払いというか、普通の金利のほかに保証料まで支払われておるというのが実情のように思うのですが、これは一つ次官なり中小企業庁長官の方で、そういうのは実際多いと思いますので、そういうことのないように、むしろほんとうに金の借りられない中小企業保証してやるのだ、こういうように業務自体が動くように御指導願いたい、このように思います。  次に藤本参考人にお伺いいたしたいのですが、先ほど小林委員も、いわゆる両建制度といいますか、あるいは歩積み制度というようなことについて触れておりましたが、相互銀行中小企業者が利用しますのは、おそらく長期で割賦の形式で弁済することができるというところに魅力があると思うのです。ところが今日ではどうも相互銀行の本質が、本来のものから変わってきつつあるのじゃないか、このように考えるわけなんです。たとえば昭和二十六年の九月における——この数字が間違っておりましたら御訂正願いたいのですが、全国相互銀行の中で掛金業務の方が七七・五%で預金が二二・五%であります。それが三十四年五月になりますと、掛金業務が四〇%で預金の方が六〇%、すなわち本来の業務である掛金業務よりか預金の方が上回ってきておるということ、さればこそ昨年の相互銀行大会において、大蔵大臣から、相互銀行の本来の使命は掛金業務である、そういったような趣旨のあいさつといいますか、警告が発せられたと思うのです。この預金が上がってきておるのが、ほんとうの実力があって預金するのが上がってきておるならいいのですが、先ほど来問題になっておりますような両建制度とでもいいますか、ともかく百万円借りた、金を渡すときにそのうち二十万円なり三十万円は預けろ、こういうことで、百万円借りたが実際受け取るのは七十万とか八十万、あるいはもっと下がる場合がある。しかもその金はといえば、相互銀行が窓口となって中小企業金融公庫とかその他の政府資金を借りる。しかもその裏づけには、これまた政府資金であるところの保証協会保証がついておる。それを貸しておって、一方における天引きで預金をさすという事実がまだ行なわれておるわけです。従って中小企業者相互銀行と取引している限り、今自分が幾ら借りておって、その利子が幾らになっておるかということがわからない。だから小林君も先ほどまるでヒロポンのようなもので、だんだんと取引をしておるうちにやせ細っていって倒れるのだ、こう申しておりましたが、実際この制度といいますか、そういうことが現実にないと言われても行なわれておることは事実なんです。そういうことについて、協会自体としてはどのように今までも指導しておられ、今後も指導していこうとするのか、まず初めに政務次官からお答えいただきたいと思います。
  79. 内田常雄

    ○内田(常)政府委員 両建、歩積みにつきましては、これは実は私は大昔大蔵省におったことがございましたが、大蔵省の方針といたしましても、これは絶対に行なわないように、直接あるいは銀行協会等を通じて指導をいたしておるのでございます。でありますが、お話のようなことがやはりまだ残っておるやに私は聞いております。しかし相互銀行につきましては、言うまでもなく昔の無尽会社でありまして、単純な銀行と違いまして預金を一方にとる、他方に貸し出しをするということではなしに、やはり未給付掛金といったような仕組み、あるいは単なる貸付でなしに、給付金というような仕組みも合わせてとっておりますので、そのこと自体が掛金をとっておって、そして昔の言葉でいえば当たった人といいますか、掛金を一部とっておいて、途中で全体の契約額の金を渡たすという仕組みが残っておるはずでありますので、そのまま見ると、これは一方において預金をとっておって、他方において貸付をしておって両建になるのじゃないかということにもなりますが、そこが相互銀行の仕組みになっておるわけであります。ただそういう仕組みでありましても、現実に両建と同じように、自分の金を借りていって高い利息を払うということで、中小企業者が苦しむような計算になっておってはなりませんので、先ほど藤本常務が言われましたように、無尽会社は相互銀行になって近代的になって、近代武器を使うようになっておりますので、十分その点も改めていただかなければならないと考えておりますので、今後十分指導いたして参りたい、かように考えております。
  80. 藤本哲

    藤本参考人 先刻の小林先生へのお答えは、具体的な問題でございましたが、実情の方は申し上げませんでしたので、ただいま重ねてお話がございましたから、その事情を申し上げます。  総掛金につきましては、先ほども申した通り両建方式をとっておりまして、日掛と月掛とそれぞれございまして、現在では大体月掛は一割二分、日掛につきましては一割四分という目途でおりますが、たまたま先ほど小林先生、並びにただいままた御指摘がございましたように、先生方がごらんになりましたケースとして、そうした具体的なものがございますことについて御指摘がございましたので、それについて私どもも否定するものではございませんけれども、大勢としましては逓減方式と申しまして、たとえば二十回のものでございますと三回掛けましてそこで給付をいたします。給付をしますとそれから以後は、いわゆる貸付金の形になりますので、毎回々々お払いいただくものに、元本の割賦に利息に該当するものを含めてお返しするわけでありますが、三回なら三回、五回なら五回進むごとに、たとえば給付で掛増金と申しておりますが、掛増金につきまして逓減をいたしまして、できるだけ実質金利を下げる。さらに先ほど申しました通り、残債資金になりますと、掛金が進行しますと掛金をいわゆる給付金から落としまして、毎回時、毎回時減った預金に対しまして利子計算をする、こういうことでありまして、私はこまかい統計をとっておりませんが、大体業界の現状では、先生方が指摘された例外のものはないというわけには参りませんでしょうが、大勢としましては大体一割一分から一割二分くらいのところに、利回りを置いている相互銀行が大半であると申しましてもよろしいと私は思います。従いまして、先生が御指摘になりましたようなケースが皆無になりますように、業界として努力しておりますことは、先ほどの研究会を重ねて参っておりますことと、それから月に定例の会合を開きまして、大蔵省の担当官にきていただいて御指導をいただく、同時に日本銀行等からもきていただきまして、有益なお話を伺うということによって努力して参っております。  なお先生が掛金の問題と相互銀行がやっております一般金融機関と同じような預金貸し出し業務とを、多少混同されたと思われるようなお話がございましたが、これにつきましては、私どもとしても掛金業務と預金貸し出し業務とにつきましては、やはり金利の面において、今言う貸し出しの方については、両建というようなことはございませんで、一般金融機関と同じように手形割引、手形貸付ということにつきましては、全く掛金と別個の保証をとっております。ただ問題は小口金融でございますので、ここにいらっしゃいます信用金庫さん等に比べてごらんいただきますとわかります通り、そういう面につきましては他の金融機関と変わらない形式をとっておりまして、掛金と一般業務との間には区別がありますことを御認識いただきたいと思います。  なお両建、歩積みの問題につきましては、特に私どもについてきつい御指摘がございましたが、これにつきましては、やはり金融の方の今日の情勢からいいまして、先生の御指摘なさるようなケースは、われわれだけに特に強く御指摘なさいましたけれども、一般の金融につきましてそうした傾向が現われておりますので、われわれの方にもそういう傾向があるというふうに御理解願えませんものかと思う次第でございます。
  81. 田中武夫

    田中(武)委員 どこでもやっておるからこっちでもやっておるのだというような表現にも聞えるのですが、われわれがよく聞くのは相互銀行に多いわけです。先ほど内田政務次官は、相互銀行も過去の無尽会社から近代的になっているというお話でしたが、先ほど私語しておったように、近代的になったのはその建物だけだと思うわけです。われわれが一番問題にしているのは、先ほどもちょっと言いましたが、かりに中小企業金融公庫からかどこからか、何々相互銀行を窓口として百万円借りた、その百万円を借りるについては保証協会保証がついている。百万円渡すのに高利貸しと同じようにすぐに百万円渡してしまわずに、そのうち二十万とか三十万とか、それだけを預けておけ、そういうことをしておいて、あとから渡してやる、そういう式でやる。いわゆる高利貸しがやるように天引きをやっているということ、それから結果的に見て預金した方が安い利息で、借りた方が高い利息というなら、自分のすでに保証までもらって借りている金を預けておいて、そうして高い金を借りているという結果になっている、こういうことを問題にしているわけです。これは全然ないとは申せないと思いますが、今直ちにあなたを責めてもしようがないと思いますので、これ以上追及いたしませんが、これは中小企業庁長官もおられますが、中小企業の金融問題、あわせてこれは大蔵省の管轄に入る問題であろうと思いますが、一つ十分御相談を願って、高利貸し的金融が行なわれているということについては十分注意を払っていただく、また業界指導にも協会としては一つ大いに熱意を持ってやっていただきたい、このように思うわけであります。  次に小野さんと山屋さんの二人にお伺いしたいのですが、信用金庫と信用組合、この区別がだんだんとわからなくなってきておるんじゃないかと思うのです。まずこの双方とも協同組合主義といいますか、協同組合の精神によって成り立っておると思うのですが、この協同組合の精神がだんだんと薄れていっておる、こういうことは双方に指摘できると思います。  それから信用金庫と信用組合の違いは、信用金庫の方は大蔵省が監督しておる。信用組合は県が監督しておる。従って県の方の意向によっていろいろと変わるという点があろうと思います。その点が一つと、それから信用金庫の方は部外者の預金を受け入れる。しかし信用組合の方は部外者の預金は受け入れない。そして信用金庫は大体地域を目標としておる。それから信用組合の方は職域とか、そういった職業によって大体まとめておる。こういう点が違うと思うのですが、そんなものですか、その通りですね。
  82. 小野孝行

    小野参考人 さようでございます。
  83. 田中武夫

    田中(武)委員 そこで山屋さんにお伺いしたいのですが、全国で一体信用組合というのは幾らぐらいあるのですか。
  84. 山屋八万雄

    山屋参考人 全国で信用組合の総数は四百六十七軒でございます。その組合員が九十万人、店舗数が一千軒、それから役職員が一万五千人、預金の総高が千四百億円、貸し出しが千二百二十億円、以上でございます。
  85. 田中武夫

    田中(武)委員 その四百六十七軒の中に、弱小といいますか、まああるのかないのかわからぬ、あるいは資金的な基盤も薄いといいますか、軽い、こういうのがだいぶあると思うのですが、実際に信用組合としての機能を果たし得ないような弱小組合はどの程度あって、それに対してはどのような方針を持っておられますか。
  86. 山屋八万雄

    山屋参考人 お答えいたします。弱小組合というのは、現実にはまあ小さいから弱小といわれるかも存じませんが、もう一枚の表にございますが、大体全国の連合会がございまして、連合会に加盟いたしておるところは全部稼働いたしておるわけであります。それでありますから、結局その他のわずか三十二軒ほどの組合でありますが、これはたとえば大きな工場の関係で信用組合を作っておる、そこの購買販売利用に資金を使っておるというような程度でありまして、小さいけれども、決してその経営にはなにはない、労働金庫と同じようなものでありますが、労働金庫を作るのはむずかしいから結局信用組合を作って、おもに職域で使っておるようであります。でありますから、決して危険を生じておるようなものはないということを申し上げられるわけであります。
  87. 田中武夫

    田中(武)委員 これは私が大蔵関係の人に聞いた話だから、あるいは当たらぬかもしれませんが、信用金庫の方は大蔵省で監督しておるから大丈夫だ、ところが信用組合の方は府県でやるから、その府県それぞれによってまた考え方も違うし、従っていろいろ問題を起こしたりするのも多いのだ、こういうことも聞いておるわけですが、あなたのいわゆる中央会側から見て、信用組合に対する各県の許可基準とか、いろいろ監査の方法が異なっておると思うのですが、そういう点から見まして 一つの基準をきめるとか、そういうことが望ましいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  88. 山屋八万雄

    山屋参考人 その問題は一昨年信用組合が金融制度調査会の俎上に上げられましたときに、やはり監督が不十分だというのが当局の御意見のようでありまして、その事故発生の問題につきましては、比率をあげますと、信用金庫と信用組合との比率によって違いますが、信用金庫の方は歴史を持っておりますから若干少ないですが、信用組合といえども事故はそう発生しないのであります。つまり一昨年の金融制度調査会等におきましても、新聞紙上に出ております事故は、むしろ他の金融機関の方が多いようであります。信用組合の方はそういうものは出ておりません。また監督は十分に行き届くように、なった。もちろんそのときに、金融制度調査会において、今後信用組合を危険視するならば、大蔵省は旧来の指導方針をもって地方の県庁の担当の役人を指導していただきたいということを申し込んでおきましたところが、昨年の春からこの指導に当たっておりまして、その結果非常に全国統一されたところの指導方針になって参っております。
  89. 田中武夫

    田中(武)委員 各府県がそれぞれ別個の立場で許可し監督しておると思いますが、今おっしゃるように一つの基準はあるわけですか。
  90. 山屋八万雄

    山屋参考人 つまり各県別々の考えでなくて、各県の部長会議とか課長会議とかいうものを開きまして、大体の線を引いておるようでございます。
  91. 田中武夫

    田中(武)委員 中小企業庁長官にお伺いしますが、この信用金庫と信用組合とが、先ほど言ったようにどうも協同組合主義から離脱してきておるような傾向が強い。同時に相互銀行もまた相互銀行本来の業務から離脱していく。ここにたくさんの参考人に来ていただいておりますが、中小企業関係の各金融機関は、それぞれの分野とそれぞれの特色があると思います。それがだんだんとくずれてきて、末端に行くとそれぞれの特色がなくなってしまって、中小企業金融機関は群雄割拠といいますか、戦国時代的な様相を呈しておるように私は思いますが、そういうことについて少し交通整理といいますか、もっとはっきりともう一ぺん分野をきめ直す、あるいは特色を発揮せしめるような指導が必要であると思いますが、どうですか。
  92. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 ただいまの田中委員お話でございますが、中小企業関係の金融につきましては、今お話通り、各種の機関が協力一致して金融を円滑にやっていただくというような建前になっておるわけであります。私どもといたしましては、その機能が十分生かされるように、それぞれその特色に応じて働いていただくということを期待しておるわけであります。ただざっくばらんに申し上げますと、金融制度というものは、特殊な人の金を預かるとかいうようなこともありますし、一般的な行政のほかに、そういう金融的な見方から監督をするといいますか、指導する面があるので、実は役所の機構のことを申してはなはだなんですが、あるものは大蔵省と通産省の共管になっておるものもあるし、あるものは向こうの専管になっておるものもあるし、というようなことで、私どもといたしましては、われわれの方の目から見て、もちろん銀行局と十分連絡して処置も定例的にやって話し合っておりますが、もう一つわれわれの方の立場からの指導といいますか、その面が形式的には十分行ない得ないという面もあるわけであります。これらの点も今後いろいろ研究いたしまして、今お話のような特色を生かした動きができるというように努力して参りたいと思います。先ほどお話になりました信用組合に対する監督等も、これは府県でやりましても大蔵省で基準をきめまして、ばらばらのないように運営はやっております。やっておりますが、やはりそこら辺にちょっと血が通わないという点があると思いますので、努力いたしたいと思います。  なおついでに先ほど数字でございますが、国民金融公庫の三十三年度の貸出件数は、三十一万六千四百九十五件でございます。そのうち保証協会保証にひっかかっておりますのが、先ほど申されましたように、七千五百三件、パーセントでいいますと二・四%であります。これを金額で申しますと、三十三年度の総貸出金額は五百七十九億二千八百万、そのうち保証にかかっておりますのが十五億八百万、このパーセントも二・六%、こういうことであります。
  93. 田中武夫

    田中(武)委員 最初の点につきましては、長官が言われた、いわゆる管轄指導の面をも含めて、監督を強化し、そして中小企業金融の円滑をはかるため、それぞれの特色を生かし得るような交通整理が必要である、このように考えておりますので、これはまた次の機会にいたしたいと思います。  それから国民金融公庫貸付件数及び金額と、それに対する保証協会保証については、今言われたように、二・四%程度、こういうことですと、大体例外と言えぬことはないと思うのですが、私はこの点につきましてはどうもおかしいという考え方をまだ捨て切れませんので、これもあらためて一つやりたいと思います。  最後に北野さんにお伺いしたいのですが、商工中金は本来組合の金融といいますか、組合に対する金融が本質だと思います。ところが聞くところによると、組合で借りた方が個人で借りるよりか金利が高くなっておる。組合で借りたら九分六厘、個人で借りた場合には九分三厘になるというのですが、そうなんですか。
  94. 北野重雄

    北野参考人 それは九分六厘と九分三厘というのはどういう関係か存じませんが、御承知の通りどもの方はいわゆる組合金融でございまして、組合を通じまして組合員に転貸しするというのが本則になっているわけであります。ただ組合員であれば、事情によっては直接貸付を受けられる。これは先般の法律改正で、そういう道を開いていただいたわけであります。ただ組合から転貸しする場合に、組合としては組合の共同事業運営のために必要な経費、特に金融だけを共同事業にしておる組合におきましては、どうしても転貸しについての手数料をとらなければ、組合の運営ができないという実情にあるものですから、従って転貸しの場合には、転貸し手数料というものが付加されるというきらいがあるわけであります。これについては、なるべく転貸し手数料を軽減するように、中小企業庁の方でも指導しておられます。私どもの方でもできるだけそれを組合当事者に要請しておるわけであります。そういう関係で差が出るということはあると思います。しかし九分六厘と九分三厘というのは、あるいは商工中金の金融によらないで、中小公庫関係ではないのでしょうか。現在残念ながら中小公庫の長期資金は九分三厘でございます。私どもの方は一年から二年までは九分七厘、二年以上の場合九分九厘であります。こういうふうになっているわけです。
  95. 小平久雄

    小平(久)委員 関連して。先ほど田中君の御質問で中小公庫あるいは国民金融公庫、これらの融資保証するというのは筋違いではないかという御質問がなされておるのでありますが、それに対する御答弁を聞いておっても、それは原則としてはやらぬが、ある場合にはやむを得ないのだといったような趣旨で御答弁なさっておって、若干法律の建前と違った答弁をしておるので、よけい混乱しておるのではないかと思います。御承知の通り信用保証協会法の第二十条第一項第三号には、開銀、それから中小公庫の委託を受けて融資する金融機関あるいは金融公庫の代理機関、それらが扱う融資保証債務だけを保証する、こういうことになっておる。だから保証するのは、何も直接中小公庫なり、国民金融公庫なりに対して保証するのではなくて、それらのいわば受託機関に対して保証するのですから、直接はできない建前になっておるのですよ。そこらのところを混同しないで答弁してもらえば、大体田中君の言う通りになっているのではないかと思うのですが、当局でそこのところをはっきり確認してもらいたいと思う。
  96. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 田中先生の先ほど来申されておりますことは、金融機関から金を借りるについて保証協会保証する。その保証中小企業保険公庫保険にかける。その場合に金融機関が全額政府出資の中小企業公庫、国民金融公庫だと、これまた全額政府出資の保険の方と両方かかるではないか。これは先ほど政務次官の言われたように、右の危険を左に移転するというようなことになるのではないかという御趣旨であります。それで……。
  97. 小平久雄

    小平(久)委員 だからそういう直貸しの場合保証する建前には法律自体がなっていない。第二十条第一項第三号を見てごらんなさい。もしやっているとすれば法律上おかしいではないか。十何億貸したということは、保証債務保証をしているということだと思う。そこをはっきりしないからおかしいのです。あなた方の立場からいって、直貸しを保証するということはできないはずです。
  98. 山本茂

    山本説明員 ただいまのお話でありますが、保険はできない、保証はできるようになっております。
  99. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 信用保証協会法の法律の解釈は、私もちょっと見ましたら書いてある意味がよくわからぬので、専門家にやっていただきます。  それで信用保険法の方は融資保険について中小企業金融公庫と国民金融公庫はその融資について保険をかけるということは抜いてあるわけです。保証保険については中小企業金融公庫及び国民金融公庫も、一般金融機関とともに保証したものの保険額をかけられるということにはっきり書き分けてあります。
  100. 小平久雄

    小平(久)委員 今公庫の方のお話では第二十条第一項第一号の規定で「銀行その他の金融機関」という中に中小企業金融公庫あるいは国金も入るから直貸しの場合も保証できるのだ、こういう解釈のようですが、どうも私は、その三号のいわば代理貸しですね、その場合の保証債務保証するのだということをうたっている関係から言うと、直貸しの場合というのは、ちょっと疑問があるような気がする。そこのところをどう解釈しておったか記憶がないが、これなおあとでよく研究していただきましょう。  それと関連して先ほど保険公庫の方の御説明で、三十四年度保証平均残高は大体八百二十億くらいになる、こういう御説明がありました。そこで、今保証協会の基金と申しますか、要するに保証限度をきめる規則があるが、その資金政府の方から約五十億出ている。それから先ほど協会の方の御説明だと一般公共団体その他の出資が百十五億、従って、両者合わせると大体百六十数億の基金がある。それに対して八百二十億の保証平均残高がある。こういうふうなことになると、およそ基金の五倍程度やっているということが言えると思う。この点については実は三十五年度予算編成の過程におきましても、これは大体十倍くらいに限度を引き上げてもいいんじゃないかということで、大蔵当局もそういう方針一つ指導しよう、あるいは協力しよう、こういう話があったわけなんです。もちろんこの限度額については各保証協会の定款等できめてあるのだと思いますが、その点について当局の方は特に大蔵省とその後どういう話をしておるか。またこういう関係からすれば、もちろん基金をふやしてどんどん保証協会を強化することが必要なことはわれわれも認めるのですが、いたずらに資金を増すばかりでなく、現在五倍くらいかしか保証していないんだから、十倍とすればあと倍くらいの保証はできるという問題もあるわけなんで、その辺について長官及び公庫理事長の御見解を承りたいと思います。
  101. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 お話のように、資金を効率的に運用できれば、資金の分量は少なくて済むというわけで、私ども保証協会保証倍率といいますか、一定の基金に対する運用のボリュームを多くするという努力はしていかなければならぬ、そういう方向でいろいろ指導に当たっておるわけであります。従来の実績からいいますと十倍にも動くのではないかということで、大蔵省と予算折衝をしたのですが、動くか動かないかということは要するに保証協会全体の信用の問題になるわけでありまして、大体従来の実績を少し努力して八倍程度に増すという話し合いで予算が落着したようなわけであります。今後も極力保証協会に信用をつけて、それが効率的に、もっと倍率が多くなるような方向に努力いたしたいと思います。
  102. 山本茂

    山本説明員 ただいま保証原資というお話がございましたが、われわれの過去の経験によりますと、大体保証原資の八倍ぐらいの保証ができるというふうに考えておるわけでありますが、各保証協会の定款では、大部分が十倍までの保証ができるというように書いてあるところが多いのでありまして、これは年末なんかの金融の忙しいときのことを考えて、最高限をきめておるわけでありますが、過去の経験からいいますと、大体八倍見当がいいところじゃないかと思うわけでありまして、われわれも八倍に保証が伸びるということで大蔵省にも予算を要求し、諸先生方にも御説明申し上げたわけであります。  御承知の通り保険公庫から保証協会に出したのは五十億でありますが、さっき保証協会の連合会の方で、保証原資が百十五億云々ということを言われたわけでありますが、これは五一億のうちダブっている部分が若干あるわけであります。ということは、協会によっては五十億を保証原資の中にはっきり計算に入れておるところもあります。そのほかに求償権——代理貸しは求償権になるわけでありますが、債権としては存在しますが、実は金を持っておるわけではなし、とても取れそうもないものがあるわけでありますが、そういうものを引きますと、これも大まかな数字でありますが、大体九十億程度が各地方庁から出された原資ではないかと思います。そうすると公庫の方から出した五十億と、各地方庁から出された原資を合わせて計算しますと、八倍として八百億以上見当になるのじゃないか、かように思っております。
  103. 小平久雄

    小平(久)委員 あと一点だけでもう終わりますが、私は、最近特に感ずることは、だんだん政府資金信用保険公庫を通じて保証協会に流れていく額がふえていくわけですね。三十五年度も十八億か出す。こういうことに予算ができているわけです。そうすると保証協会の何といいますか、公的性格というか、そういうものが逐次濃くなってきておる。もともと保証協会は言うまでもなく自然発生的なものではあったが、そこへ政府資金が間接ではあるけれどもだんだん流れていっておる、こういう性格が強くなってきておるのですから、全国にある自然発生的にできた保証協会保証能力というものを、やはり全国的にだんだん平均できるようにやっていくことを当然強力に推進すべきだと思う。従って、その間具体的に言えば、保証料の料率の問題にいたしましても、全国でき得れば画一的にでもできるところまで、しかも低くできるように当然やらなければならぬと思うし、また一面は政府のこういった金を各保証協会に配分しているんでしょうが、そういう際にも今申したような保証協会のあるべき姿というものを当然考えてやってくれておると思うのですが、その点はどんなふうに配分をいたしておるのか。それから今後全国的に保証料を統一できるような見通しというものは一体どうなっておるのか、そういう点について、これは理事長さんか、こちらの協会側か知らぬが、一つ御見解を伺いたい。
  104. 山本茂

    山本説明員 ただいま御指摘の通り、五十二の協会はそもそも自然発生的にできたのでありまして、態様がそれぞれ別々であります。中には非常に弱小なものもありまして、二十八国会のこの委員会附帯決議にも弱小協会レベルアップということを御決議になっておりまして、われわれの方で国家資金を配分する際にも、弱小協会については特にレベルアップということを、基準の一つに置いて配分しておるわけであります。そのほか配分につきましては、浸透率あるいは保証の伸び、各地方庁の援助の程度といったようなものを勘案いたしまして、公平に配分しておるわけでありますが、国家資金の導入がだんだん多くなりまして、各保証協会の基礎というものが強固になりますれば、自然経理基準というようなものも統一的になり、保証料もだんだん安くなって、安い方に統一されてくると思うわけでありますが、それにはまだ相当の国家資金を実は投入していただきたいという希望を持っておるわけであります。さっき申しましたように、現在地方庁が約九十億の保証原資を投入しておるわけでありますが、国家資金はまだ地方庁にも及びませんので、これが地方庁と同額以上というようなことになりますれば、協会の基礎も非常に強固になりまして、だんだん統一的に保証料なんかも安くなっていくようになりましょうし、そういうふうにわれわれとしてもやっていただきたいと考えております。
  105. 深瀬晃

    深瀬参考人 ただいま先生から話のありました保証料の点でありますが、これはだんだんと格差が縮まって参りまして、われわれの一応の理想といたしております五厘に近づいてきておりまして、過去数年前にありました日歩八厘というような点がきわめて少なくなりました。もう一協会だけ残っておりますが、そういうふうにだんだん近づいて、今一息ということになっております。われわれはこの理想を捨てておるわけではございませんが、まだ若干の時日を必要とする、かように考えております。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 関連質問が関連質問でなくなりまして、何か腰が折れたようなことになったのですが、深瀬さんに最後に一点だけなんですが、伺いたい。  先ほど説明を聞いておると、おそらく私の聞いておるのも九分三厘というのは不足かもしれぬと思うが、そうなると、結局団体で借りた方が個人で借りるよりも高い利子を払っておるのです。これは集金利子が高いということになるのじゃないかと思います。これはすぐ下げろといっても問題があろうと思うのですが、そういう点は十分考慮しておいていただきたいと思います。  それから最後に、先ほど小平委員の関連質問に関連してでございますが、私が最初から問題にしておるのは、直貸しの場合なんです。直貸しの場合に、中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫から保証をもらって貸すというのはおかしいじゃないか、第一点はこういうことなんです。  それからもう一つは、だからその点一つ明らかにしていただきたいと思うが、先ほど言っておる、国民金融公庫の三十三年度保証件数の七千なんぼという中に直貸しが幾らか、窓口貸しが幾らか、こういうことを聞いておったのですが、その点はまだはっきりしていないようですけれども、これは保証協会の方になるかもしれませんが、もしその点がはっきりするようでしたら、七千何百件のうち直貸しのものが何件あったか、このようなことを知らしてもらいたい、このように思うのです。  それから先ほど小平さんの言われた、窓口貸しの場合に、その債務に対する保証、こういうことだったら一つまだ疑問が出てくると思うのです。これは長官に聞きたいと思いますが、甲という人がAという相互銀行とでもしましょう、それを通じて国民金融公庫あるいは中小企業金融公庫から借りたとする。それが払えなかったときに——保証は一応別にして、払えなかったときに、その資金は国民金融公庫の金が出ておるわけです。ところがその窓口が受ける損害というものは一〇〇%でなしに八〇%か何かになっておると思うのです。そうしますと、今度はこれに対する保証協会保証がやはり一〇〇%ということになるわけです。これはちょっとおかしいのじゃないかと思うのです。百万円借りたとすると、百万円の保証をするというならば、この銀行の受ける負担率は八〇%かなんぼかだと思うのです。それに対して一〇〇%の保証をするというのはおかしい。だから先ほど言っておる中小企業のためでなく、金融機関保証機関にすぎない、こういうことになると思うのですが、いかがでしょうか。
  107. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 代理貸付の場合に、代理店の保証責任は中小公庫は八割、国民公庫は五割で、その保証責任を持つのは、信用保証協会保証にかかっていない分についてそれだけの責任を持たなければいかぬということでありまして、保証協会保証にかかっておるものは全額責任を持ってもらう、こういう関係になっております。
  108. 田中武夫

    田中(武)委員 私が申し上げておるのは、代理貸しの場合、その金融機関自体の負担率は八割ないし五割でしょう。そうするとそれを保証するのだったら、百万円借りたときに八十万円の保証でいいじゃないか、あるいは五十万円の保証でいいじゃないか。ところが百万円借りるときにやはり百万円の保証をしているということは、銀行の危険率を越えた保証をしている、こういうことにならないですか。(小平(久)委員「そうはできないことになっておるのだ」と呼ぶ)やっているはずなんだが……。
  109. 中村幸八

    中村委員長 政府側の御勉強が足りぬようですから、次会までに一つよく解釈を統一されて御答弁を願います。  次は、島口重次郎君。
  110. 島口重次郎

    島口委員 前の質問と重なり、あるいは焦点がずれるような質問をするかもしれませんので、あらかじめ御了承願いたいと思います。  第一点は、保証協会に関連してお尋ねしたいのでありますが、保証協会の出捐金による基金の問題でありまして、これは先ほどもそちらの方で関連の質問がありましたが、確かに基金の十倍まで保証できるということになっておると私は記憶しております。そこで現在の保証協会状況を見ますると、保証をしたくとも基金の十倍以上のワクをオーバーいたしまして保証できないというような現象が、全国的に多々あると思います。こういう面から、もっと基金の補強増額をする必要があるのではないか、こういう点でありまして、こういう点を保証協会の常務理事がどう考えているか。  これに関連いたしまして、基金の十倍のワク以内一ぱいになっているという現象は、一つの運営の面にも欠陥があると思います。たとえばお金を借りまして、期限がくる、書きかえを要するというときに、一回保証協会保証をしてもらいますならば、最後まで保証をするという習慣がある。ところが二年なり三年なり保証をいたしまして、この債務者が健全であるというならば、保証協会のベースから卒業いたしまして、それを保証協会のワクから解除してやるという指導が積極的に行なわれておるかどうかという問題があります。こういう面から保証協会保証がよい悪いという議論は第二といたしまして、少なくとも自然発生的に出発をいたしました保証協会が基金内で保証しかねるほど拡大膨張いたしましたことが、ゆゆしい現象でありますけれども、当面そういう配慮があると思いますから、この点に対する対策をどう考えているかということを、保証協会の常務理事さんと中小企業庁長官にお尋ねしたいと思います。  第二点は、保証協会の手数料の問題が、先ほど五厘になんなんとするというようなお話がありましたが、具体的に全国の最高が幾らで、最低が幾らで、平均が幾らになっておるかということをお尋ねしたいと思います。この手数料の問題を聞くのは、もちろん中小企業者の負担を軽減するという趣旨でありますけれども、この問題がトラブルとなっている問題がありますが、たとえば私の方の青森県では、保証手数料が七厘だと記憶しております。そこで国民金融公庫保証いたしますものは、特別サービスをいたしまして、五厘で保証しておる。その際包括保険なり、あるいは個々の保険に入ります際に、確かに保険料といたしまして三銭五厘か三銭七厘程度とられておるのではないか、そういたしますと、保証協会の手数料が国民金融公庫の際には五厘よりもらっておらない。それを再保険をやることによって、三銭七厘なり四銭とられておる。本質的に事務のコストを考えますと損をいたします。そういう面から、各県におきましても、この包括保険に対する損害を損失補償するという形におきまして、県が助成しておると考えておりますが、この点はどうか。こういう点から考えますならば、保険制度が保証協会を通しまして中小企業を育成するというけれども、逆に隘路となりまして、せっかく保険制度があるけれども、十二分に活用ができない面があるのではないか。こういう面から私もただいま正確な数字を持っておりませんから、保険公庫の方から日歩幾らの保険料になっているかお答え願いたいと思います。  それからこれは中小企業庁の長官にお尋ねいたしますけれども、実際やってみますと、保証協会保証してもらうといいましても、せいぜい五万、十万程度は無担保で保証いたしますけれども、十五万、二十万となりますならば担保の提供を要請いたします。そこでほんとうの、中小というよりも零細企業の方は、保証協会がありましても、実際のベースにかからない零細業者がたくさんあるのであります。そこで現在の保証協会のベースでは救済されない零細企業に対する別個の金融機関を設ける必要がないか。たとえば具体的に申し上げますが、不動産はないけれども、動産の商品がある、質屋がありますけれども、あれに似たようなケースで、商品、動産でも担保に取って融資をするような機関を必要とすることを考えないかという面であります。  それから保証協会貸付条件の問題でありますが、先ほど政府側の答弁にもありましたが、たとえば中小企業金融公庫というような大口に出す際の保証であるならばよいけれども、むしろ少額の十万、二十万でもやはり保証協会が独立採算制だから担保を提供しなければならない、入れなければならないというようなことがあるようであります。そういう際にあまりにも安定融資を考えますと、普通の金融機関と何ら変わりがなくなるのであります。その際先ほど来問題になっているような保証協会の存在価値の問題が出てくると思います。そこでその保証協会の本来の使命というものは、一般金融機関のベースよりもはるかにゆるやかな条件で保証するようでなければならぬけれども、その具体的な線が不明確なんであります。こういう点をどう考えておるかであります。  それから先ほど来国民金融公庫なり商工中金なりあるいは中小企業金融公庫が、政府の機関でありながらあるいは半政府的な機関でありながら、保証協会保証を求めることが矛盾しているのではないか、こういう面があるのでありますが、この議論はともあれといたしまして、ただいま実際行なわれておる状況といたしましては、国民金融公庫は一県に一行よりありません。商工中金もその通りであります。中小企業金融公庫は東北に一カ所、北海道に一カ所、関東に一カ所というような状況で、あとは代理店制度をやっておりますけれども、直接の機関といたしましては一県一行あるいは東北、北海道というような大地区に一行よりないのであります。そこでその資金的な面から考えましても、あるいは金融機関の機構から申し上げましても末端まで手が届かぬ、こういう面が多々あるのであります。そういう面から、勢い欲しないけれども、事務の整理上、能率上考えて、保証協会の方に保証してもらわなければならない必然性があるのであります。こういう面からほんとうに保証協会保証を受けなくても円滑に融資ができるということを実現せんとするならば、当然それらの金融公庫なり、あるいは商工中金なり、中小企業金融公庫というものを少なくとも倍くらいにはしなければならぬということを考えておるのでありますが、それに対する見解はどうであるかということであります。
  111. 深瀬晃

    深瀬参考人 保証協会関係が一番多いようでありますから、私から私の方の関係を一応御答弁申し上げます。  基金でございますが、基金の倍率が十倍とか十五倍ということに、協会でばらばらになっておりますが、金融の繁忙期におきまして、この十倍の線に天井を打ちまして、そのために定款違反になるから保証できないというケースも間々起こってくるわけでありますが、これはそのたびごとに監督官庁の御了解を得て措置いたしております。基金と倍率の性質でありますが、これはちょっと簡単に申し上げますが、実は十倍、十五倍ときめれば、それでそれにマッチした保証ができるかと申しますと、これは保証協会金融機関との間の信用関係でございますから、結局、持っておる資本を見まして、それによって、定款には十五倍となっておるのだけれども、大体そこの業界の実力からすれば、八倍程度というのが適当であるとか、七倍程度が適当であるとかいうふうな、そういう実際上の判断は、これは全くの信用関係でございますから、基金がたくさんありまして、しかも求償権に固定化していない場合には、倍率の問題にかかわらず、高い倍率の保証をすることができるわけでございますから、これは全く実情の問題でございます。  それから、第二点の繰り返し保証があるんじゃないかということでございますが、これはその必要がある限度で繰り返して保証をしておりますが、できるだけ早く、中小企業者保証なしに金融がつけられる態勢が望ましいものですから、保証が必要でなくなりますれば、すぐ保証をやめておるのが実情でございまして、保証協会側から、保証を必要としないのにかかわらず保証するというケースはございません。ただ、繰り返して保証しておるケースは、その必要がございまして、確かに事実はございますが、そういう点に御了解をお願いします。  それから、手数料でございますが、これは現在におきましては、最高八厘というのがたった一協会でございます。それから最低は、四厘という協会がございますが、これは県から保証料の補給をもらっておりますから、平たい言葉で申しますと、必ずしも実力でございませんで、まず大体五厘、六厘、七厘というところが今の実情でございます。ただ、保証料につきまして申しますと、小口の保証などにつきましては、非常に低い料率を適用するとか、それから担保があるものは低い料率だとか、個々の具体的な割引がございますが、大体中口以上のものにつきましては、先ほど来申し上げておりますように、五厘、六厘、七厘という程度のものでございまして、六厘、七厘中心に集まってきておるというのが実情でございます。  それから、貸付条件につきまして、担保のお話がございましたが、これは理想といたしましては、無担保、無保証というのが理想でございますが、なかなかまだその理想には到達いたしませんのが実情でございます。私の方といたしましては、実は基金が府県及び国の資金でございまして、公共性のある金でございますから、できるだけ基金の減耗を防ぐということも一つの使命でございますし、それからかつ金融機関が相手でございますから、信用の保持が第一でございまして、それが保証の伸びる一つ原因でございますから、できるだけ基金の損耗を防がなければならぬものでございますから、まあ審査を一応いたしまして、できるだけ担保をとらないのが原則でございますが、担保をやむを得ずとっておるものもございます。大体件数にしまして二割に足らないくらいは担保をとっておりますが、その担保も、実は、くどいようですが、少し私の方の手前勝手ではございますが、申し上げますと、実は担保がついた場合が、中小企業者の負担が軽くなる場合が多々ありまして、たとえば担保がつきますれば、保証料が安くなるとか、それから担保も、一般の金融機関のように担保の評価が、保証協会につきましては非常に甘いと申しますか、基金一ぱい以上に実はついておるような実情でございまして、保証を受ける側からすれば、担保がないに越したことはございませんが、先ほど来申し上げておりますような私どもの方の実情で、担保をやむを得ずとっておりますが、これも次第に無担保というふうな、理想的な形態に努力していきたい、かように考えております。御答弁になりましたか、どうか……。
  112. 島口重次郎

    島口委員 再保険の場合の答弁が……。手数料をもらいまして、保険に再保険——あなたの方で保険をかけるでしょう。その場合幾ら払っておりますか。
  113. 深瀬晃

    深瀬参考人 年に直しますと、私ども保証料が、大体そこにありますように、二分ちょっとになりますが、それで今保険が三種類ございますけれども、五十万円以下につきましては七厘でございまして、それから五十万円から上のものにつきましては二種類ございまして、包括保険につきましては一分一厘でございまして、普通保証保険については二分でございます。ただ、そのうち七〇%填補されますから、実際払いますのは、今の七厘、一分一厘、二分の七がけということが、保険の実際の負担でございますから、まあ私どもの手前勝手から申し上げますれば、私最初にお願いをいたしましたように、もう少し保険料が下がればという希望を持っております。さようにいたしますれば、私どもの方の機構の充実もできますし、それから保証料もそれによって下げられるんじゃないかというふうな、私の方からの強い希望を持っております。
  114. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 信用保証協会保証をいたしますときに、担保をとる。担保のないものは結局、保証もつけてもらえない。大体金を借りに行って、担保力が少ないから保証をつけてもらうのに、そこでまず担保をとられる。まことに理屈に合わぬ話でございます。われわれといたしましては、できるだけ担保を保証のときにとらないようにという指導をやっておるわけであります。ただ、今お話がありましたように、たとえばそこでわれわれは全部保険制度にかけて、そういう保証をしなくて済むようにという努力をいたしておるわけでありますが、実情は、まあ保証されたもの全部が保険にかかるというところに、まだ非常にほど遠いという問題、また事故が起こったときに填補する填補の率が、まるまる填補しない。これは保険制度の一つの根本問題になるわけですが、そういう問題等がありまして、全然担保をとるなというようなことになりますと、事実上金が借りられないということもありますので、まあできるだけとらないという指導をやっておるわけであります。  それで、今後の方針といたしましては、保証したものはもう広く全部保険にかかる。今いろいろ保険の制度がありまして、保証協会の意思で保険にかけたりかけなかったりするような保険と、自動的に保証したら保険にかかるという種類の保険とございますが、なるべく保証はすべて保険にかかってくるというような制度をだんだん拡充しまして、そこで保証協会の方も安心して保証ができるということをやっていくのが本則といいますか、この大筋を今後大いに進めていきたい、こう考えておるわけであります。何分経済問題でありますから、そういうもとを固めていきませんことには、担保をとるなとこう言っても、なかなか実行しがたいというような問題もありまして、今後そういう方針で、零細企業の方は保証料保険料等は特に安くするような考慮を払いまして、その根本の筋道を拡充推進していきたい、こう考えておるようなわけであります。
  115. 島口重次郎

    島口委員 それから長官、今の答弁には、零細商工業者で担保もなく困るという者に、動産で融資をするような、質屋のようなものをやる必要はないかという答弁が述べてないし、それに国民金融公庫、商工中金、中小企業金融公庫の方は、各県に一店より支店がないから、足がないのでどうにもならなくて、保証協会保証をあえて求めざるを得ないというような現象があるから、これをどうする考えかという答弁がないのです。
  116. 小山雄二

    ○小山(雄)政府委員 零細業者に対する金融、これは主として国民金融公庫だと思いますが、国民金融公庫は、特に小口のものにつきましては担保をとらないというような制度をやっておりまして、保証人だけでいいというような制度をやっておりまして、その面で零細企業は、国民金融公庫の方の小口の金融をつけるというようなことにやって参るべきじゃないか、こう考えております。  中小公庫、国民金融公庫、それから商工中金、この店舗の問題、これはお話通りでありまして、ことに中小企業金融公庫は、非常におそくできて、設立後まだ日が浅いものですから、全国で十店舗しかないわけです。従って、金融機関に頼んで代理貸しの網を張っておるわけでありますが、代理貸しにも先ほど来問題にされましたようないろいろな欠点もあります。従って事情の許します限り店舗をふやすという努力は毎年続けておるわけでありますが、なかなか一時に参りません。従ってその間は代理店網と直貸しと代理貸しを並行してやっていくという以外手はないわけであります。極力店舗を拡充して、その中小企業にそういう国民金融機関とか、中小企業金融機関等が直接タッチできるようにということにも努めていきたいと考えます。
  117. 島口重次郎

    島口委員 店舗を拡張するという方針で進むというので、この点は一応了承いたしておきまするが、たとえば足が足らなくて保証協会保証を求めざるを得ないという現象などでは、国民金融公庫の場合ですが、たしか代理店貸しの場合は二十万までですか、三十万までですか、代理店が融資いたしまする額を引き上げますれば、そういう足の面から、保証協会保証を頼まなければならないという面が解消されると思います。そういう点で店舗を拡張することが基本的な問題でありますけれども、現行制度の上においても解決される点もありますから、この辺も考えてもらいたいと思います。  それから担保という問題に非常にこだわって考えているようでありますけれども、私の場合は、百万とか二百万というものであるならば、やはり金融機関というものも、くれる金ではなくて融資をいたす機関でありますから、担保をとることはよろしい。ただ五万、十万ということにもあえてとっているような傾向がありますから、この点を十分考えてもらいたい。そこで入れなくともよろしいというのは、保険制度を利用すればよろしいのですから、先ほど申し上げました通り保険料の手数料が高いというようなことも障害になって再保険をかけられないという場合もありますから、この点も考えてもらいたいということであります。  それから保証協会の常務さんに申し上げますけれども、基金と倍率の問題でありますけれども、これは信用保証協会の中身の内容の問題であって、それが最後の決定力の要素である、こう申されますけれども、それはあなた方常務理事として実態を考えておらぬでしょう。各県の保証協会が毎年予算、決算を出す際に、その基金から十倍以上の保証をする場合は、日本銀行の代理店から忠告を受けておりますよ。あなたのところは十倍以上の保証をしておるから危険ですからこれを直しなさい、という各県における日本銀行支店長が勧告をしておりますよ。この現実をわからないような答弁をして、信用がすべて解決するというような答弁は、この場限りの答弁ですよ。
  118. 深瀬晃

    深瀬参考人 今先生御指摘の点は、私の舌足らずと申しますか、そういう先生のお話になったケースが確かにございまして、その場合につきましては監督官庁に御相談をいたしまして、たとえば信用保険に付保した部分は基金運営の倍率より除いてもいいとかいうことで、そういう措置を講じておりますが、原則的に私が申し上げますのは、そういうたとえば十倍を十五倍にすれば、それで保証がみんな伸びるかと申しますと、それは根本的には協会の実力を金融機関がごらんになって、それによって大体その保証の伸びがきまるということを申し上げたのでございまして、その点もう一度くどいようでございますが補足して申し上げておきます。
  119. 島口重次郎

    島口委員 少なくとも監督官庁である日本銀行の支店長が責任を持って、あなたの方は定款以上の保証をしているから危険だ、こう勧告する限りはこれは危険性があるんですよ。そうでしょう。それをやらない前に基金を倍加して、それから保証をするのが本来のあり方でなければならぬ。その本来の基本的な問題を解決をしないで、相手の話し合いの信用程度というようなことを言うからずれた答弁になる、こういう点を御忠告申し上げておきます。
  120. 中村幸八

    中村委員長 他に御質疑ございませんか。——それでは参考人方々には長時間にわたりまして、きわめて貴重な御意見をお述べいただきましたことを、厚く御礼を申し上げます。  本日はこの程度にとどめ、次会は公報をもってお知らせすることとし、これにて散会いたします。     午後一時四十五分散会