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池田国務大臣 貿易は各国とやることが一番望ましい。中共
貿易につきましてもわれわれはこれの再開を念願しておるのであります。しかし今の中共の状態ではあまり実際面として多くを期待できないのじゃございますまいか。たとえば肥料とか鉄鋼その他はいいでありましょうが、雑貨類その他の
中小企業のものはあまり多く期待できないと思います。それは百数十万の同胞がおり、そこで長い間のいわゆる利権を持っておったあの当時と、中共は全然違っておりますので、私はそう多くは期待できないと思います。しかしいずれにいたしましても、中共
貿易の再開は私としては念願してやまないのでございます。
それから
日本の
貿易についていろいろ御心配であるようでございますが、
日本の昨年の
貿易は非常に伸びました。昨年の大体九月、十月くらいまでしかわかっておりませんが、
世界の
貿易は
輸出が五%、
輸入が四%の増なんです。
日本は
輸出入とも二〇%をこえる増でございます。アメリカなんかは
輸出は二%の減で
輸入が二〇%の増、
ドイツにつきましても九%しか
輸出が伸びていない。
輸入は一〇%。
日本は非常にいい結果が出ておる。とにかくほかの国が
日本のまねをできぬほどに
輸出が伸びております。それからこれを国別に見ましても、いわゆる対ドル地域に対して、特にアメリカには前年に対して五二%もふえておる。東南アジアにつきましても前年の二割あるいは二割五分、十月、十一月は三割五分くらいのふえようでございます。非常なふえ方をいたしております。ですから今後こういう地域に対しての
貿易をどんどんふやしていくと同時に中共も忘れてならぬということが、私の
貿易政策であるのであります。ただ
日本の地位が非常に悪いというようにお
考えのようですが、もちろん
オランダや
ベルギーは共同体ができたり、またできなくても、ああいう隣接した地域でございますから、非常に
貿易が盛んでございます。特に
ベルギー、
オランダは昔からのあれを持っております。海岸線にたよっている
日本としては、原材料を遠いところから持ってこなければならぬという状態でございますが、これは必ずしも悲観した状態ではない。現に原油を
輸入してガソリンをアメリカに出しているところもありますし、中近東の石油
関係から申しますと、マンモス・タンカーだとヨーロッパと
日本とは置かれた地位がほとんど同じ状態でございます。アメリカにいたしましても鉄鋼原料はよそからとっている。私は海国
日本、いい港を持つ
日本は決して
世界において立地条件が悪いと初めからきめてかかる必要はないのではないかと
考えております。