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山下(春)
委員 五島
委員のお許しを得て、ちょっと関連して。
五島
委員からの、
政府は計画性がないのではないか、今回ささやかな
福祉法を作って、将来に対する計画がないとすればちょっと心細いじゃないかということ、私大
へんごもっともだと
思います。そこで私が
政府にかわって言うわけではございませんが、これは
政府と
関係があるようなないようなことで、わが党といたしましては
精薄の専門
委員会というものを作りまして、私専門
委員長としてその衝に当たりましたので、ただいまのような御
質問が出ることは当然であり、この
福祉法だけをもってして
政府が
精薄対策に踏み切ったなどというわけには参りませんが、そこで三十九年を用途とする五カ年計画を一応策定いたしました。それで五年の間に今のIQ五〇以上の魯鈍級という者を全体の二〇%の七十八万人といたしまして、これを
特殊教育を受けさせるような、要するに特殊学級の義務
設置をさせるというようなことを
教育の面では目標にいたし、なお大学学術局とのいろいろな折衝の結果、発生の原因ということが世界的にまだ明確になっておりませんので、各大学に
研究部を
設置してもらうことを要請いたしまして、ここで鋭意
研究してもらう。
特殊教育の
設置に見合う教員の養成等も必要でございますから、それらのものを各大学に
設置してもらうと同時に、発生の原因も
研究してもらうというようなことを文教
関係としては
考えております。
それから
厚生省といたしましては、今
局長から
お話のありました大体七万八七千人というような要保養
精薄児を対象にいたしまして、
国立及び公立あるいは私立というような
施設を、これはちょっと国の予算も要りますので、これだけのものを全部収容するのには大体十カ年を要するかと思っておりますが、そういうようなことでやっていきたい、こいうふうに思っております。
それから今の
福祉法の中に、
先生方が与野党ともに多少不安と思われる経済援護の方途が何ら講じられていないことは心細いではないかということですが、これらの
精薄者は、何もわからない、知恵の足らぬ
子供でありますけれ
ども、これを持っている親から言えば、一体親がなくなったあとの愛情と経済の保障はどうなるのかということが死に切れない悩みでございますので、これを
考えていきたいと
思います。ただいまこれの具体的なことは申し上げませんが、
考えていきたいと思うし、
政府でも
考えていただきたいと思っております。
それから国民年金に対しても、これを国民年金の
福祉年金の中にどうやれば入れられるかという
研究をぜひ
役所でもしていただきたいし、われわれもしていきたい、かように
考えております。
それから最も大切なことは今の魯鈍級の者の
職業訓練ですが、
訓練をすれば必ず
社会人として自立できるのだという確信を私
どもは持って、
職業訓練所の中には
精薄部を併設いたしまして、徐々に
訓練を始めて、五年くらいたてば専門の
精薄の
訓練所を
一つ設置していただきたい、こういうようなことを計画的に
考えております。
今回
厚生省が
福祉法に踏み切られたということに対しては、いろいろな御不満もあるし、心細くお感じになる点がありましても、これはやはり長い間暗かったみさきに灯台ができて灯が入ったというような非常な善政であり、そうして、こういったような
精薄者がちまたにうろうろとさまよい歩いていることに対して手をつけなかったということに対しては、大
へん遺憾なことであったにもかかわらず、今回踏み切って第一歩を踏み出されたということに対しては私は非常に敬意を払い感謝をするものであります。
今、五島
先生が計画性がないと言われましたので、
政府にも計画はあると
思いますが、私は、かつてこんなようなことを
考えたということを申し上げて御参考に供したわけでございます。
そこで私は、立ちましたついでに、大臣が午前中おいでになりませんでしたので、御賛成なら
一つぜひお骨折りを願いたいということがございます。
精薄問題について、ある
精薄者の親が、「教えても教えてもなおのみ込めぬ悪をしかりてわれも涙ぐむ」と歌った歌がありますが、これは
精薄者の親の気持を表現するのに全く適切な歌でございます。そういう状況で、
精薄者の
親たちの悩みというものは非常に大きいのでありますが、合同
厚生省から、
内容のいかんにかかわらず、高らかにこの
福祉法というものを打ち出されたということに対して、
内容の多少みじめさを補う
意味におきまして、やはりこれは国民全体がこういう問題を解決してやろうという熱意がないと、なかなか国家の予算だけでは急速に進みませんので、国民の皆様方にも、もし自分がそういう
子供を持ったらとおぼしめして、
一つ協力をしていただきたいというので、寄り寄り
相談をいたしておる問題があるのでございます。それはこの
福祉法が両院を通過いたしましたころを契機といたしまして
——まあこれはあす通過しなければなりませんので、ある日を選びまして、そしてちょうど
精薄児であった千葉県の八幡学園から出られた
山下清画伯に
一つの構図を頼みまして、そして
精薄者福祉法制定記念という切手を売り出したいのです。この切手の中には、けだし文化国家、
福祉国家として、こういう
精薄者がちまたにほうり出されておるということに対して、われわれも
一つ片棒をかついで、それを何とかしようという愛情を込めて、一円だけ
精薄施設へ、
厚生省に寄付をしてもらいたい。それでその金によって
精薄者の中央センターを作りたい、こういう目的を持ってそれを売り出したい、こう思うのです。もしそういうことはいいことだと大臣がおぼしめすならば、寄り寄り下
相談はいたしておりますが、ぜひ
一つ閣議で御発言を願って、急速に
政府もこのことに賛成をしていただきますように、そうすればこの
精薄の
子供を持った
親たちもどのように救われる気持になるかと
思いますし、国家としても、国民全体のあたたかい心でそういうものができ上がったということは、私は文化国家として非常に好ましい姿のように
思いますので、立ちましたついでに、大臣の御決意を承っておきたいと
思います。