○佐々木(良)
委員 この問題はまた別に言いましょう。しかし今私の言うたのとあなたの答えられたのとは話の筋が違っておる。時代逆行と言ったのは外国の話じゃないのです。日本の話です。日本の
社会保障制度
審議会の答申を読むと、日本には
年金制度というものが次々にできてきて、それを総合調整しなければならぬ状態になってきておる。日本の制度として総合調整しなければならぬ時代になってきておるのに、新しいこういう年金を、しかもしろうとにはわからぬような、従来ある
法律の中にすぽっとほうり込むような形でやられるということが時代逆行ではないか、こう言ったのですよ。
それからもう
一つは、
年金制度それ自身に反対しておるのではないということは先ほどから言っておる通りなのだ。やられるならば、その年金制があくまでも年金制としてやられなければならぬ理由と態勢を整えられてやるべきである。そのために私は
職業病法という
単独立法を主張しているのです。だから今問題にしているのは、この法制のやり方に問題があるのですから、その内容自身に入ったり、それから外国の方に入ってもらわぬように——外国の方に入るのなら、ILOの条約を引き出されてきたら、労働省の方が悪いのじゃないですか。あんまりいいところだけ引っ張り出されぬ方がいいんじゃないか。そのILOのことならもっと私の方も引っ張り出しますよ。それはやぶへびですよ。それはやめられた方がよかろう。
それからもう
一つ先ほどから盛んに話が出て、この答申の中にも出ておりまするのは、他の類似
傷病とのバランスということが盛んに問題になっておる。バランスよりも、最初の目的が
けい肺患者というところでありまするから、それに焦点を据えられたいと思うのですが、そうあんまりバランス、バランスといわれると、こっちの方からも理屈を言いたくなってくるのであります。そろそろ
改正を予定されているそうですが、船員保険法の
障害年金はどこから年金になっておりますか。意地悪い質問だからこっちから答えようか。——時間を省きましょう。バランス、バランスとあまり言われるから、あえて私は言うのだが、船員保険法の
障害年金は六級までですよ。今度あなたの方で
改正法案として出されておる
労災法改正によりましても、
年金制度でたぶん三級まででしょう。そしてその
障害の等級というのは
法律によって、お医者さんがいるのだからそんなにひどく変わっておらぬでしょう。私の方の政審会でもあれを一覧表にしてずっと分析して見ておりますよ。一級というのは今どの
法律によって何が一級になっておるか、三級は何か、六級は何かと今調べて見ている。そうすると、今度の
労災法による三級というものも、それから船員法の三級というものも、
労災法の六級も船員保険の六級もお医者さんが等級をつけるのだから、あまり大きな差はないはずです。それであるのにかかわらず、片方は年金の六級まで、それからせっかく今出されようとするあなた方の
改正案は三級まで、全然バランスを失しているじゃありませんか。しかしながら船員保険法というのは、これは労働省の方ではない、厚生省の方だと言われるのですか。厚生省の方と労働省の方とならバランスが違ってもいいといわれるなら、役所の方はそれでいいかもしれぬけれ
ども、
対象は同一の日本国民を
対象にしていることを考えてもらいたい。受け入れる者は同じ日本国民ですから、同じ日本国民が労働省所管とそれから厚生省の所管とで今のようなバランスをとることの方がもっとおかしいと思う。従いまして、これは意地の悪いへ理屈のようでありますが、あまり形式的な答弁や形式的な理由が並べられておもしろくないから申し上げたわけであります。考えておいてもらいたいと思います。
それから先ほど話の出ました法体系という形から見ても、
伊藤さんからも話が出ましたが、平均
賃金の
考え方というのが私はおかしいと思います。これはまた具体的な問題が出てきますから、具体論のところではっきりと申し上げたいと思います。それから同じように、
伊藤さんのときに基準局長は答弁されたようでありますが、法体系という形だけからいうならば、類似
傷病を包含して今度の
補償のバランスをとられようとしたのでありますから、
補償の方のバランスを類似
傷病にとられようとするならば、あるいは
予防とか
健康管理という方にも本来バランスをとらるべきであると思う。従いまして、もし
補償の方のバランスをとられるように類似
傷病を入れられるならば、
健康管理の方は今のところ
じん肺だけになっておりますけれ
ども、その他の
法律でも何でも直して、今度類似
傷病等が同じような
補償対象にならなければならぬとするならば、こっちの
予防だとか
健康管理だとかいう方もバランスをとらなければならぬ、こういうふうに私は思うわけです。いずれにいたしましても私はここで申し上げたいと思いますことは、この法体系というむずかしい
言葉を使って、そして法体系という
言葉の中で、何だかこの
改正法案以外には仕方がないようなものの言い方をされておるのに私は不愉快を感ずるわけです。むしろ逆に一番もとに戻って、
けい肺病それ自身が基準法や
労災法による
保護では困難だから、例外的な立法として
けい肺に対する
特別保護法を作った。あのときの状態は、はっきりと現行の法制では無理だという立場から例外的な立法
措置をとろうとした、そういう立場をはっきりと想起してもらいたい。従いまして、その
考え方を発展させてきてせっかく
長期給付という
考え方に到達しながら、もう一ぺんそれを今の基準法あるいは
労災保険という
ワクの中に押し込めようとするところに大きな矛盾が次々に生まれてくるのではなかろうか。そういう
法律的な矛盾が、先ほどから繰り返し言っておりますように、
職業病に対する特殊の
保護が必要だということを出発点としておりながら、現在ある法体系にとらわれて、実質上の
保護対策が結局弱まってくる、こういうことをおそれておるわけであります。あすからでも今度は内容の方の
審議に入って、ほんとうに
けい肺審議会が答申しておるところの法体系ではなくて、はっきり
予防を徹底してくれ、
健康管理をちゃんとして、一ぺんかかった者は一そう悪くならないようなかっこうにしてくれろ、あるいはかかったものがはっきりと
療養できるまで、完全に
治癒するまで、
補償して直すようにやってくれろ、こういう
けい肺審議会の本論、建前としての、自分の職能としての答申の内容を、法体系みたいなことでかえってさかさま向きに弱めてしまう危険性を私ははっきりと感ずる。従いまして質問はまた明日以後に譲りますけれ
ども、どうか
一つ問題の出発点をはっきりと考えられて、あまり役所答弁でないように答弁をされて、内容を深められるようにお願いをいたします。
委員長、大へん失礼いたしました。
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