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木村参考人 私、
日本製薬団体連合会の
常任顧問をいたしております
木村でございます。私は
常任顧問でございまして、
業界の
業者ではございません。従いまして実際の
製造業そのものを営んでおります苦労というものは存じておらないのであります。でございますから、本日当
委員会におかれまして御
要望になっておられますことについて
お答えができますかどうかということは、はなはだ心もとない次第でございますが、
日本製薬団体連合会つまり全国におきます
医薬品の
製造業者の連合体でございますところの
連合会におきましては、ちょうど本日
大阪におきましてその総会をいたしております。従いまして全体のことがわかります者は全部
大阪に参りましてその会を開いておりますので、こちらに参ることができません。たまたま私こちらにおりますので、かわりまして参ったような次第でございます。
流通機構の問題、
配給秩序の問題というものは、主として卸並びに
小売の
関係におきまして、当然その
秩序が立つようなことになるべきものであろうと思われますが、これに対します
生産業者のやり方というものがその
配給の
秩序を乱すというようなことになりますことは、非常に大きな
影響力を持つものでございまして、この
配給秩序の
乱れというものは、すでに数年前からこれが出て参っております。これに対しましては、
製造業者といたしましても、
配給の
秩序が
乱れますこと、これが
医薬品全般の、
国家におきまして活用されます面におきまして大きな支障になるということを感じておったのであります。
日本製薬団体連合会におきましては、この点におきます
製造業者としての
措置というものを、すでに
昭和三十三年以来研究をいたして参っておるのであります。ただ
製造業者の中におきましても、非常に力の強い
製造業者と力の弱い
製造業者とがございます。しかもこの
相互の
関係は、
お互いに自由に
競争して、いい薬を作り、いい薬を
国民に提供するということになっております。その基礎に立って
自由競争の立場をとっておるわけでございます。従いまして、この間におきます
競争が生じますことはやむを得ないのでありますが、そのために
流通秩序が撹乱されるということはよろしくないというところで、
業者相互でもって
話し合いをいたしまして、これを適正化いたしますために
販売対策委員会というものを設けまして、主要なる
製造業者がこれに対します
措置を研究して参ったのであります。一方、実際の
小売の面あるいは
卸売の面におきまして
乱売ということが地方に出て参りましたのは、御
承知の
通り三十二年ごろからそういう
傾向が出、三十二、三十三、三十四年とだんだんと激しくなって参っておるのでありまして、
小売業者並びに
卸売業者からは、これに対しまして
製造業者においてとるべき
措置についての
要望が出て参っておるのであります。これにこたえまして、
販売対策委員会におきまして、どうしたらいいかということについての検討をいたして参りました。ただこれは
業者相互の間の、みな自由にやっておることでございますので、
話し合いをいたしますについても、実態はどうなっておるか、
製造業者が
特売なりあるいは今
お話がございましたような
押し売りのようなことがあったというようなこと、そういう
秩序の
乱れる原因になりますようなこと、これが実際にはどういうふうに行なわれておるかということが、
製造業者相互の間でもなかなか腹を割って話をするということにはいきかねるのであります。よほど困ってきませんとそうなってこないのであります。従いまして、一応の
基本方針については
話し合いはつくのでありますけれ
ども、これを実際に適用するということになりますとなかなか困難があるのであります。これが統制のいたされまするようなときならできるのでありますけれ
ども、
自由経済のもとにおきましてはなかなか困難でございます。ただだんだんと、
製造業者の内輪の方を
考えてみましても、
品物はできて、そうして店で売られておるはずになっておりますけれ
ども、実際にはそれに対しまする資金の回収はできていない、こういうことになって参りますと、
製造業者自体にも火がついたということが明らかになって参りますので、この点につきましては非常に真剣になって参りまして、最近におきまして、
製薬業者の中で特に
中心になりますような大きな二千社の
営業部長なり
担当者なりあるいは社長なりがそれぞれ集まりまして、それに対しまする、
お互いの過当な
競争をやめるようにしようじゃないかということになって参りまして、先般大体の
方針をきめたのでございます。
製造業者におきましてそういうような
話し合いをきめたのでございまするが、まだ現在若干の問題は
話し合いがつかないで残っております。しかしながら、大きな
方針といたしましては、従来のような過当な
競争はやめようというようなことにいたしまして、
特売でありますとかあるいは
品物を送りつけて
小売なり卸の方から
押し売りと見られるようなことはやめる、また
乱売のもとになるようなことはやめると申しますか、非常に制限するということに
話し合いがきまったのであります。ただそれにつきまして、非常に力の強い
業者と力の弱い
業者との間の違いがございます。従いまして、その間の取り扱いにつきましては、個々の
品目につきまして
十分話し合いを行なっていこうということに大体きまりましたようなわけでございまして、そういうようなことになったわけです。一方におきまして、御
承知の
通りに
厚生省におきましてはさきに
薬事協議会を設けられまして、これに
関係団体の
代表の者をお呼びになりまして、そしていろいろな重要問題を審議いたしておるのでございますけれ
ども、その際にこの
流通機構の問題がそこで取り上げられました。そしてこの
流通機構の問題は、
卸売業者、
小売業者並びに
製造業者、三者の
代表が集まって
話し合いをする三
者協議会というようなものを作りまして、そこでもって話し合って事を取りまとめて参ろうということに、その
薬事協議会の方で
話し合いになりました。その
話し合いに基づきまして現在三
者協議会ができまして、
卸売業者、
小売業者並びに
製薬業者の
代表の者が集まりまして、ひんぱんに相談いたしまして、すでに十数回も会合を開きまして、どうすべきかということにつきましての
話し合いをいたしておるのでありまして、先般も
製薬団体連合会が
中心になりまして
流通機構の
確立のための
措置というものをきめました。一応きまりましたものにつきまして、これを提案いたしまして、御了承を得たように私は承っております。
なお
製造業者といたしまして問題になりますることは、現在のこの
流通機構の
秩序を維持いたしまするために
製造業者としての
措置をとるということは、今後の
業態につきましては相当大きな打撃があることを認めておるようでございます。と申しまするのは、これによりまして、
特売等によって従来相当売れておったような形になっておりましたものが、今後はそう売れなくなる。従って
生産にある
程度抑制をする必要を生じてくるのであります。従いまして、ここ数年の
生産業者の
業態というものは非常に苦しいものになる。つまり従来の業績を維持することができないということになるのではなかろうかということが憂えられております。しかしながら、将来の
日本におきます
医薬品製造業というものを
確立いたしまするためには、この苦しい
状態を切り抜けていかなければならぬという覚悟はできておるようでございまして、その点につきましては深い認識を持っておるようでございます。また、
生産につきましてもある
程度の制限をいたさなければならぬ。つまり売れないものを作るというわけにはいきませんから、これをある
程度抑制するということになりますれば、自然
医薬品の製造単価は上がらざるを得ない。つまり大量に作ることによりまして
生産原価が下がっておりましたものが、
生産をある
程度抑止することによって
生産原価というものは上がってくるという
傾向があることもやむを得ないのじゃないか。これに対して、これをどう
措置するかということにつきましても十分検討しなければならぬということで、
業界ではこの点を非常に慎重に
考えておるようなわけでございます。
しかしながら今のこの
状態を切り抜けませんと、先ほど
薬剤師協会の沖さんが申されましたように非常に長い済期でもって取引をいたしております。従いまして今度の決定によるような
方法でいきますれば、資金の回収が相当困難になってくる。従って当分の間は企業の経営といたしましては非常に苦しい
状態にならざるを得ないのであります。そこにもってきまして、御
承知のような貿易の自由化というような問題も出ております。従いまして、
生産業界といたしましては相当しっかりした経営
方針を立ててやっていかなければならぬのじゃないかということで、ここにおきましては相当苦慮いたしておるように、私はそばにおりまして見ておるようなわけであります。しかしながら今申しましたような
方針をさらに掘り下げまして、先ほど沖さんから
お話がありましたような
事業者に対する
販売の問題等につきましても、なお早急に
方針をきめなければならぬということで、この問題につきましては引き続きその問題を検討いたします
委員会におきまして検討を進めるように相なっておる次第でございます。
以上まことに粗雑でございますけれ
ども、また
専門家でございませんので、非常におわかりにくかったことかと存じますけれ
ども、御了承を
お願いいたしたいと思います。