運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-02-24 第34回国会 衆議院 社会労働委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月二十四日(水曜日)     午後三時四十五分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君    理事 藤本 捨助君 理事 滝井 義高君    理事 八木 一男君       池田 清志君    大橋 武夫君       倉石 忠雄君    齋藤 邦吉君       中山 マサ君    柳谷清三郎君       亘  四郎君    赤松  勇君       伊藤よし子君    小林  進君       中村 英男君    本島百合子君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房長) 森本  潔君         厚生事務官         (社会局長)  高田 正巳君         厚生事務官         (保険局長)  太宰 博邦君         厚生事務官         (年金局長)  小山進次郎君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君     ————————————— 本日の会議に付した案件  厚生関係基本施策に関する件      ————◇—————
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  厚生関係基本施策に関する件について、調査を進めます。質疑の通告がありますので、これを許します。八木一男君。
  3. 八木一男

    八木一男委員 昨日は厚生大臣に、健康保険関係について御質問申し上げました。その点について、非常に問題がありまして、総理大臣出席を要求するまでこの問題の質問を留保するということで、お別れしたわけであります。従って、きょうは健康保険問題についてはそれ以上触れずに、国民年金の問題についてこれから御質問いたしたいと思います。年金局長がおられないようでありまするけれども、別におられなくても御答弁願えるような質問のいたし方をいたしますので、その点は御安心を願いたいと思います。ただその前に、もう一回、きのうの留保した問題を厚生大臣ほんとうによく体されて、間違いないようにされるために一言だけ、御存じのことですけれども申し上げておきます。  健康保険の改悪のときには、赤字ということの理由で、診療担当者にもいろいろ締めつけをしながら、がまんしてくれ、それから一部負担は、患者入院患者にもそれから診療を受ける最初の初診料の患者にも、がまんしてくれ、国の方にも、国庫の金を出そうというようなことで、全部犠牲を払って、その問題に対処してもらいたいと言われたわけです。今度それを解決するためには、一番最後の時点において犠牲をしいたものを先にやるのがあたりまえであって、そういう点で、一部負担をなくするのがあたりまえだということを申し上げたわけです。その犠牲をしいたものの中でも、順序があります。健康保険制度というものは、重い病気になった人が、財政負担の顧慮なしに、ちゃんと入院もしてなおしてもらう。また、そういうふうになる前に、早く診療を受けて、早く病気をなおしてもらうというための制度でありますから、健康保険制度主眼は一番は患者である。患者主眼である。その次にその他の関係になるわけです。それにかかわらず、そのときに政府の方の約束した負担の方を勝手にどんどん減らして、ことしは五億円になった。そういうようなことをしておられる。次に保険料の方をいじくって、使用主負担を免れるようなことを次の順番にしておられる。これはほんとう健康保険の精神から見れば、非常な逆である。一番健康保険の主点である、一番関係の中心であるのは患者である。診察を受ける人である。それをあとにして、ほかの一番楽な、政府が勝手に自分の負担の方を先にのがれる。ほかの関係者としては、一番負担能力があって、一番保険から遠いはずの使用主の方の負担を減らすことを考えるというようなやり方は、非常に間違いであるということを一つ十分に御認識いただいて、今後これからこの問題を徹底的に追及するわけですけれども、この問題であやまちないように、一つよく御研究願いたいと思う。その点で、厚生省の今まで相当意地ばった、それが絶対いいんだというような固執した考え方に牽制されることは一切なしに、ほんとう政治家としての考え方で貫いてやっていただきたいと思います。これは御要望申し上げます。  次に、年金の問題であります。この前年金について、福祉年金のことで御質問申し上げたわけであります。それで、その後段からたしか厚生大臣予算委員会とか何とかいうことで御欠席になりました。御退場になりまして、あと小山さんに御質問しただけなんです。小山さんでは、ものがわかっても政治が動きませんので、その問題について一つ厚生大臣にさらに伺いたいと思います。  福祉年金の問題はこの前大体言いましたから、本日は拠出年金の問題について申し上げたいと思います。国民年金法中の拠出年金につきましては、国民年金法案が提出されたときに、非常に問題であったわけです。問題であったけれども、とにかく今までなかった制度をこれで発足させる。だからこれで通してほしいということで、与党方々も不満ながらこれを通して、いろいろの付帯決議その他をつけられた。野党はますますそれ以上にそれに対して批判的であって、追及したわけでありますが、全然ないときよりは発足することは大体においていい方向であるということで、徹底的な粉砕抵抗はしませんでしたので、この間通ったわけです。そこで政府側、また与党方々も同じでございますが、発足をするのは二年先である。ことしから見れば一年先でありまするが、この間にいろいろなことを検討して間違いなきを期したいというのが、与野党あるいは政府ともども意見であった。ですから発足までに、論議された欠陥が十分わかっているわけですから、その欠陥検討されて、当然国民年金法改正案を提出されて、いいものにして運行されるということが必要であると思う。それについての厚生大臣の御意見を向いたいと思います。
  4. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 御承知のように、拠出年金は明年四月をもって発足するわけでございますが、いろいろな杞憂があるわけでございます。滝井さん初め八木さんから、拠出年金がはたして各家庭において十分に拠出されるかどうか、こういうような問題がございました。この間の予算委員会におきましても、これが拠出されない場合にはどうか。私は答弁といたしまして、しばらくやってみた上で検討する。しかし法律の上におきまして減免基準ということがございまするので、特に因って掛金が納付できないという者につきましては、検討の上所要措置検討いたしたい、かように考えております。
  5. 八木一男

    八木一男委員 減免基準というのは、実は日本社会党案が、払えない者については認定をして減免をする。拠出期間全部にわたって、極端にいえば一文の支払いがなくても、わが党の案では、六十才から最低七千円保障するということで、これは政府案より一年前から提出をし、政府案のときには、さらに事務的な法案を五法案もつけて出したわけであります。それで与党方々からも御質問があって、わが党の案も相当審議された。二年前に出してありましたので、その法案社会保障制度審議会でも、その要綱については討議をされ、それから年金局でも準備されたわけです。その一部を取り入れられて減免という規定政府案の中に組まれたわけであります。その組まれ方はいいのでございますが、非常にそれが不十分である。減免規定はよく御検討になっていただけば、ある程度の対象になるけれども政府案では根本的には対象にはなっておりません。もともと、保険料負担に耐えない人が、保険料の払い方が少ないために年金が受け取れなくなるとか少なくなるということは、年金制度意味をなさなくなるのです。政府案の一番の根本的な欠点は定額制であります。二十才から三十四才まで月百円、三十五才から五十九才まで月百五十円という保険料定額的にとるという計画であります。そこで払えないときにわずかな、社会党減免規定の五十分の一くらいに当たる減免規定が少し適用になるということだけであって、とにかく政府の方の非常に厳格な認定による減免規定を加えまして、保険料の納入が四十年間の二十五年に満たなかった場合には、六十五才から月三千五百円というものが二千円になるという規定がある。それからもう一つは二十年に満たなくて十七年、八年というときは月千円になるという規定があります。十年に満たなかったときはその年金は支給されないということがある。三年未満のときは、わずかな保険料の払いにくい人が納めた、その保険料すら返還せられないという内容になっているのです。ですから一部の非常に工合の悪い立場の人にとっては、国民年金法強制的に適用されて二年しか払えない身にたとえてみれば、年金制度のために収奪されて、年金一文ももらえないし、保険料は取られてしまってそれだけ貧しさを加えるという極端な内容になっている。そういう論議が展開されたから、やはりそういうことを一応そこへ出されて検討される必要がある。定額制保険料というものは、住友吉左衛門氏であっても、ほんとうにすれすれの生活をする人であっても同額なんです。この定額はその点で考え方が違っているのです。事務的に定額の方が楽だというようなことは、ほんとうのあたたかい行政としてはやるべきことではない。そこで収入に応じた取り方をするという考え方を当然考えなければならない。それに便乗して保険料値上げということは許されません。総ワクは同じ、あるいは下げるとしても、その中で上げ下げをしなければ、ほんとう意味で役に立たなくなる。年金保険料が払いにくい人が老齢になった場合には、年金保険料を払い得る人が老齢になったときよりはるかに老齢年金必要性が多いわけです。にもかかわらずその逆になっている。それでは年金制度として非常に不十分な、ちんばな制度であります。それに対して厚生大臣の御意見を伺いたいと思います。
  6. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 お説は一応御意見として私も承っておりますが、私どもは三十六年から減免基準によりまして、この保険料の納付できない家庭に対しましては何らかの処置を講じていきたい、かように考えておるわけでございます。その他拠出制が明年の四月から始まって、実際の状況等も勘案いたしまして、しかるべき所要処置を講じたい、かように考えます。
  7. 八木一男

    八木一男委員 小山年金局長に急いで来るように言って下さい。厚生大臣は総括的な趣旨で御答弁をしておられますので……。  現在の国民年金法減免規定は非常に不十分なものです。保険料を何も払わなくても、厳格な規定によって減免を受けたら、その減免を受けたことは保険料を払ったとある程度みなすのですから、とにかく三千五百円もらえると思うのが二千円になり、千円になり、それからただになり、さらに保険料も返されないという条項がある。それから政府考えておられる減免対象者のみを考えずに、総体的に考えていいと思いますが、住友吉左衛門氏が百円や百五十円払うことは易々たることです。ところがほかの庶民にとっては相当負担です。そういうことを合理的にしなければ年金制度は有効にいかないわけです。それについてどうお考えになるかということを総体的に伺っているわけです。
  8. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 これは貧富の差によりまして保険料差別をつけるということは、目下のところ検討いたしておりまするけれども、なかなか困難な状況でございますので、漸次これが事務的な軌道に乗りましてから、これを検討いたしたい、かように考えております。
  9. 八木一男

    八木一男委員 事務が先になって制度あとになるようではいけないと思うのです。事務的な準備はまだ一年間あるわけです。事務のために政治が行なわれるようなことであってはいけないので、そういうことは渡邊さんも私ども考えている通りにお考えになって、やろうと思えば事務はできるのです。日本社会党法律案政府案よりもっともっと複雑であります。しかしわれわれに内閣をまかせていただけば、そういうような事務的な処理は、三カ月ないし半年でやり抜く確信を持っているわけであります。政府の有能なスタッフであれば、事務的な困難は解決できるはずであります。ただそれは事務の点があるから考えられないというのは、事務ということに籍口して、そういうほんとう制度のよい意味の展開をしようという熱意が少ないということになる。だから事務の点は籍口なさらないで、今の点がいいかどうか、それを進める意思があるかどうか、それを伺いたいと思います。
  10. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 やはりただいま申し上げました通り、今のところどの程度の貧富の差によって保険料率に差をつけるかということは事務的に国難であろう。私どもは実際事務がおそくなって制度が先になるのが当然だというあなたのお考えでありますけれども、何しろ国民全般対象とするところの問題でございますから、事務的におきましても制度上におきましても、目下のところなかなか困難という感じでございます。
  11. 八木一男

    八木一男委員 前にないところを、それから新しい制度——法案を出されるときには一年間の努力でやられたのですが、大体ほかの事務的な推定その他基本的なことは済んでいるのです。ただ保険料の点だけなんです。私もうちの方の年金制度を作りましたから、あらゆる点で貧弱な頭で一生懸命考えました。一生懸命考えましたけれども総体金額がわかるならば、それを定額制にするか報酬比例あるいは財産の要素を加味した比例にするかというようなことは、こういうような法律を組む土においては、事務的には十分の一か二十分の一であります。それはやろうと思ったらできます。やろうと思ったらできることをできないとおっしゃるのは、ほんとうにこの制度を合理的にしようという熱意が欠けているとしか思えないのですけれども一つ熱意を持ってお答えを願いたいと思います。住友吉左衛門さんが百円の負担をする。一般の庶民が、庶民と言ってもりっぱな人がいますけれども、経済的には不十分な人が百円の負担をする。そういうことであっては年金制度としては不合理だろうということは当然お認めになっていただかなければ、これは社会保障制度を知らないと言わなければならないのですけれども、それをお認めになっておられる以上は、そういうふうに前進する態勢を厚生大臣がおとりにならなければならないと思います。
  12. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 やはり金持ちは簡単に納められる、それから、貧乏人はなかなか納めにくい、そういうことでございますから、そこに減免規定というものをもう少し弾力のあるものに将来検討しつつ、それをあなたの御意見のように進めていきたい。そこに減免規定措置があるのでございまして、その点で御了承願いたいと思います。
  13. 八木一男

    八木一男委員 減免規定だけではないのです。減免規定だと下の方を負けるということになる。そうすると総体財源が狂ってくる。そうなると住友さんは百円ではいけない。もう少し保険料をちょうだいするという考え方に立たなければ、全体の会計が合って参りません。そのことをさっきから申し上げておる。減免ばかりに固定せずに、大きな立場お答えを願いたいと思います。
  14. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 これはお説の通りではありますけれども、やはり金持ち金持ちとして、生命保険なりいろいろなものに入っておるのです。年金制度というものは社会的な一つ制度でありますから、それ相応に私ども減免規定というものを十分に運営することによって、私はそのバランスというものが、幾らやっても大きな金持ちと極貧の人々にとってはそれでもバランスがとれないだろうと思いますけれども、これはどうも社会的なやむを得ない一つの現象でありますから、われわれは減免規定というものをできるだけ幅を大きくしたものによってこれは考えていきたい、かように考えております。
  15. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣、きのう健康保険の問題で私相当追及申し上げたので、警戒し過ぎてお返事になっておる。ただこの議事のやりとりだけの問題ではないのです。そういう御答弁になったら、厚生大臣年金に関する限り厚生大臣としての御資格はないのです。そういうことじゃ困ると思うのです。何か言ったら、相手が何か引っかけてごちゃごちゃするだろう、そういう警戒心を排除して率直にお答えを願いたいと思います。事年金に関する限り、いまだかつて言葉に引っかけてあなたを窮地に陥れたことは一回もない。それで厚生大臣政治力がおありになって——ことしは二百何億ですか、平年度になると約三百億になる給付がありますね。そのほかに拠出年金について国庫負担が三分の一ある。そういうときに、国庫負担の三分の一を八割にするとかいうように、猛烈に前進させるというお約束があればとにかくでありますが、そういう積極的な御意思がない以上、年金財政で支給する金額がきまっている以上、こっちの減免の方を相当拡大すれば財源が減ってくるわけです。それを埋めるためには国庫支出でやっていただいてもけっこうですが、大幅にやるためにはやはり負担能力のある人に負担をさせるという方に踏み切らなければ、年金制度というものは財源的にもちません。その点については、その当時の厚生大臣であった坂田道太君も、原則的にはそういう考え方も賛成だ、しかし今この法律を出しているから、この問題については法律を通していただいて何とかとおっしゃった。その問題にずっと対処しておられる小山君も、そういう問題は当然考えなければならないというふうに言っておられるわけです。厚生大臣はきのうの経過で警戒ばかりせずに、率直にお考えになって、財源の観点を考えれば、国民健康保険において保険料の差がある、しかも給付は同じであるということは御承知通りでございます。国民健康保険では最高五万円くらいの保険料をとられている人がある。少ない人はうんと少ない。それだけの差があって今までの社会保険制度がやられているわけです。そこでこの年金制度だけが百円が一つも動かないということでは、おかしな保障制度になるわけです。ですからそういうことは当然考えて問題を進められる必要があるわけです。それについて、そういう問題にとらわれずに一つお答えを願いたいと思う。
  16. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 他の保険制度ともにらみ合わせまして、当然納付できる力のある者は保険財政上、また本人希望等もあることでございましょうから、できるだけそうした線に沿うて検討いたしてみましょう。
  17. 八木一男

    八木一男委員 その前提がいけないのです。保険財政上というのは、ほんとうは私どもはなるたけ国庫負担をふやして、そういうよくなることをしていただきたいということが前提であります。ただ、今の保険料定額制を変える意思についての御意見を求めるために、片方の健康保険料のことを申し上げた。本人希望も入れてということは無意味言葉だと思う。本人とは何をさしておられるのかわかりませんけれども、およそ社会保険では、社会保険に入りたくないというような人も全部入れなければ社会保険はぶっつぶれる。健康保険強制適用になっている。国民健康保険強制適用にしようということは、いかに丈夫で健康に自信のある人も保険料負担をしてもらい、弱い人も負担をし、そして弱いという社会的に非常に不幸な人が、病気が早くなおって社会的に活動し得るというためにやっておるので、そういう本人希望に従って上げ下げするということでは社会保険はもたない。社会保険はすべて強制でなければもたない。国民年金で、住友さんが百円以上払うのはいやだからといって、それは入れないということになれば、これは国民年金法根本がくずれる、社会保険根本がくずれる。財政とか、そういう制度を発展するということで考えるということはいいけれども本人希望の方も考えてというお言葉は、短時間で私の言い万が悪かったから御理解がなかったお言葉として、本人希望を入れてということはなかったものとしていただきたい。そうでなければ社会保険がくずれますよ。その点について。
  18. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 この年金制度については、私も実際のところまだあまり研究はできてないわけです。それでありまして、なるほどお説の通り保険料などにつきましても、ある種の段階を設けて、差別を設けるというようなことは、将来大いに検討していいものだろうと思いますが、それらの点につきましては事務当局からちょっと補足いたさせます。
  19. 小山進次郎

    小山(進)政府委員 先ほど来大臣からお答え申し上げておりますように、所得比例考え方保険料を徴収するという根本考え方については、年金制度発足の際の議論でも、これは望ましいことだという態度をとっているわけでございます。大臣もそういうお考えで答えておられるわけであります。ただ違いますのは、八木先生は一生懸命にやればこれは二、三年で移せるはずだという御判断を持っておられますし、私どもはそんな短い期間でできる性質のものじゃない、少なくともこのためには相当長い期間が要る、こういう判断の食い違いがございます。この点は八木先生御自身よく御承知通り、あの社会保障制度審議会先生方の御審議の際にも、いわば実務のことを比較的お考えにならない方々が集まりがちな際の議論でも、日本現状ではとても所得比例国民年金にとるわけにはいくまいということで、ああいう御答申をなさっているわけでございまして、これはよほど特殊な条件にでも恵まれなければ、とても八木先生のおっしゃるようにスピーディにはちょっといくまい。これは好ききらいの問題でなくて、現状判断としてそう判断せざるを得ない、こういうようなことでございます。
  20. 八木一男

    八木一男委員 都合のいいときだけ社会保障制度審議会を援用されますが、前から言っている通り年金に関するあの答申では、でたらめの社会保障制度審議会ですよ。一つの別な意見を持っている者が、解放になるまで審議を延ばしておいて、解散になって、いない間にでっち上げて、当然浮かんでくることが予想されているのに、当選直前の二日前に大急ぎで結論を出して答申するというのは、われわれを特に抜かしてやった答申なんです。ああいう政治的なめちゃくちゃな答申はあり得ない。そんなものは、その経緯だけもってしても、完全に援用されることにはならない。それはそういう正しい線を貫き得ない人たちがインチキでやった点がある。特に国民健康保険所得比例をしているのに、集金でできないという理由はない。そうしたら国民健康保険の係の局は非常に能力があって、年金の局は無能力だということにならざるを得ない。そんなはずはない。優秀であると聞こえておられる小山さんが局長になって、これだけ準備期間があるのだから、国民健康保険でやっていることが年金でできないはずはない。ですから厚生大臣事務的にできないというのは、ほかの点もあるかもしれませんけれども、絶対なものではない。新しいことをやるのは事務的にめんどうくさいことは確かです。けれども、そういうことを克服してよいものにしなければ、鳴りもの入りでやられた国民年金は実際非常に問題が起こるということを大臣考えになって、理論的には当然所得比例報酬を入れることが正しい、そういうことを考えるべきであるということを小山君も前の経緯考えておりますから、それが早くできるようにやっていただきたい。事務的には困難でありましょうが、困難に籍口してはいけません。国民健康保険でやっておる以上はできないはずはない。それを強力に正しいという線を進められる御努力渡邊厚生大臣にぜひとも御要請申し上げたい。それについての御所信をお伺いいたしたい。
  21. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 まだ発足中でございますけれども、できるだけその線に沿うて事務的にこれを検討いたして参ります。できるだけ進めたいと思います。
  22. 八木一男

    八木一男委員 次に、明年四月一日に国民年金法拠出部分が発効するわけでありますから、間に合えば間違った方向よりも、よりよい方向で出発した方がいい。従ってその検討を即刻されて、こういう方がよりいい、また完全実施ができなくても、たとえば完全な所得比例はできなくても、半分くらいの所得比例をした方が現実にまだ適する。それからまた直すという方法でもいい。そういう方法を検討されて、次の通常国会にその点についての改正案を出されるかどうか。
  23. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 次の国会に出すかどうかということにつきましては、事務的にでき上がるかどうか、その点がまだはっきりいたしませんから、事務的にはさっそく取り計らうことにいたしますが、国会に提出する時期につきましては、今ここで明瞭に明らかにしておくということはちょっと困難かとも思います。
  24. 八木一男

    八木一男委員 最善の努力をなさるかどうか。
  25. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 努力をいたします。
  26. 八木一男

    八木一男委員 その次に、年金額の方ですが、これはこの前国民年金法審議のときに十分申し上げたのですが、非常に少ないもので、六十五才から三千五百円、二千円、千円、ゼロ、それについて論議をいたしましたところ、社会保障制度審議会が大体似たような答申を出しておる、それを研究してこういうものを出しましたということで、社会保障制度審議会のいろんな議論が基盤になっておるような御答弁をされておった。厚生大臣もそういうふうにお考えかどうか。
  27. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 社会保障制度審議会がどういう答申を出しておるかということは私まだ聞いておりませんが、社会保障制度審議会答申はできるだけ尊重いたしております。従いまして年金額について、どのような多額な保険料を納めた者については、将来どのような多額な年金が交付されるかということにつきましては、御意見としてはまことに私はその通りでなければならぬと思っておりますけれども、先ほど申しましたように、免税基準その他から考えまして、保険財政その他がどういうふうに推移していくかという経過を見た上で私どもは処理していきたいと思います。
  28. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣は、社会保障制度審議会のあのときの答申はまだはっきり御理解になっておられないと御自分でおっしゃっておる。小山さんはあのときの経過を十分御承知でありますから、社会保障制度審議会の勧告した基盤について、それをいろいろ検討した上で提出されたということを明らかにしていただきたいと思います。
  29. 小山進次郎

    小山(進)政府委員 その通りでございます。
  30. 八木一男

    八木一男委員 厚生大臣にそこでお伺いをしたいのは、そこで論議になったのですが、社会保障制度審議会答申は印刷物がありますから、あとでお読みをいただきたい。その前文に、この年金制度は非常によくしなければいけない。そこでどの程度にするかということの判断の材料として、日本の経済成長率を判断の材料にいたしておるわけであります。ところで、現在自民党の政府、岸政府考えられておる経済成長率はどのくらいになるかお答え願いたい。
  31. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 国民所得におきましては、十年後において倍増する、その倍増には、年に経済の伸びが七・二%というふうに経済企画庁では見ております。ただ、しからば国民各人の所得というものがそれじゃ十年後において倍になるかどうかといった場合においては、人口問題その他等も考えますると、必ずしも倍にはたらない、たしか一・六倍平均くらいにはなるのじゃなかろうかというような、この間経済企画庁のお話でございましたが、私どもそのように承知しております。
  32. 八木一男

    八木一男委員 そこで社会保障制度審議会答申を一回はっきりお読みいただきたいと思いますが、そこでは経済成長率を二%として押えて、あの答申ができておる。これは非常に誤りで、私どもがいないときにインチキをやった。二%としてあの程度だ。ところが経済成長率は明らかに違うわけです。所得倍増長期計画でも七・七平均ということになっております。終戦後の日本の経済成長率はずいぶん大きなものです。明治以後の日本の経済成長率は四%平均、ことしはもっと高くなっているかもしれない。そういうふうに基盤が違うわけです。これだけの成長率だからと、これくらいの答申を出している。ところがそのもとが違うわけですから、当然それを拡大して考えなければいけないわけです。そういうことが論議をされて、それもそうだということになっている。そうなりますと、さっきは保険料について申し上げたけれども、今度は年金額、あるいはその支給年令、六十五才支給を六十才にするなり六十二才にするなり、そういうこともやはり経済成長率の基盤が違っておるのですから考えなければいけない、経済成長率は、さっき渡邊さん、保険料を申し上げたから個人の方に関係があると思って個人のことを一言われましたが、そうじゃない。国庫負担との関係がありますから、経済成長率全体でこのくらいの場合に年金制度はいかにあるべきかという答申をやった。基底が猛烈に違っている。これは複利ですから、二と四ではめちゃくちゃな違いがある、二と七だったらとんでもない、百億程度の相違が出てくると、何千億、何兆という違いが出てくる。それだけの基盤の違いがあるのなら、当然その基盤の違いのもとに年金制度考えられなければならない。あのときは二%の基盤で組まれたが、時間的に組み直される余裕がなかった。従って与党方々も不満ではあるけれどもまあ賛成された。野党は大いに不満を述べて追及してこれに反対はしたけれども、最終的には通っておる。徹底的に身を賭して防ぐというところまでいかなかった、ないよりはできる方がましだという、そういうことであります。そうなると当然次の通常国会までに、正しい年金制度考え方年金額あるいは支給年令、あるいはその他の要件を緩和するということを考えて、その改正案を出されることが当然の道であります。最初に作られたときからずっとタッチされた小山さんはずいぶん苦労しておられますが、その当時の内閣の厚生大臣も、作られるもとの審議、あるいは国会の審議でいろいろ御苦労なさっておられます。その御苦労は一応片づいたようでございますけれども、それを引き継がれる厚生大臣は、それをよりよいものにする責任を持たれるわけであります。そういう点で、今からすぐに準備されませんと、準備が間に合いませんでしたというような答弁は来年度は許されない。当然そういう問題について検討されて、今の経済成長率に即したりっぱな国民年金法改正案を来年度に出される必要がある。それについての総括的な御意見を伺いたいと思います。
  33. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 来年の国会といいますか、このことははっきりした答弁をいたしかねますが、しかしそれらの御要望の点、またこれは当然だろうと思いまして、ことに昨年来、これも大蔵大臣が、年金支給額というものを将来倍額にしたいというようなことを大分かどこかの演説会で話をされたということも聞いておりますので、財政当局もさように考えておるし、私どもも当然そうなければならない、かように考えております。
  34. 八木一男

    八木一男委員 大いに努力されてりっぱな改正案を出されることをお待ちしております。  それでは今度もう少しこまかいことに入りますが、拠出年金の中で遺族に関係しているもので、母子年金、寡婦年金、遺児年金という頭目がございます。その金額がおのおの違っていることを厚生大臣は御承知でございましょうか。
  35. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 それは今小山さんから耳打ちされてようやく知ったものです。詳しいことはあまりよく存じません。
  36. 八木一男

    八木一男委員 それは厚生大臣に伺わなくても、こっちは知っていますから。大まかなことを言いますが、とにかく金額が違うのです。遺児年金が一番少ない。その財源国庫負担分もあるけれども、お父さんなる人が一生懸命納めた保険財源になっているわけですね。それでお父さんがなくなったときに、お母さんと子供さんのある家庭に差し上げるものよりも、その孤児の方が少ないのです。これは制度の逆転だと思う。そう思われませんですか。
  37. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 いずれも私は大事なことだ、かように考えております。
  38. 八木一男

    八木一男委員 いずれも大事なことであります。国民全部が困らないように国の年金制度で金が支給できれば、それで万々歳であります。ところがそこは全部同等に十分にできないというところに、やっぱり緩急の度がある。年金制度はただだれにもお金を上げるということではない。所得の能力が喪失か、非常に少なくなった者に年金を上げる。一般的に所得能力がない者は老齢、それから身体障害であります。それから子供を持った遺族というような場合がそうなる。そういうときに母親は、普通の状態においては、所得能力が完全ではありませんけれども相当あると認めなければならない。子供だけの方がないのです。こういう制度がなくとも、お母さんがいれば、お母さんが一生懸命働いて、子供は何とか経済的に育ち得る場合がある。お父さんもお母さんも両方ない子の方が、全体としてはずっと所得能力がないわけです。ところがこっちの方が金額が少なくてお母さんのある方が多い。これは全くおかしなわけであります。それについて厚生大臣率直にお答えを願いたいと思う。言葉をひっかけばいたしません。率直に、ただその通りお答え願えればいい。
  39. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 これは現在のところは母子、寡婦、遺児というふうに支給額の階級がついておるようでございます。これは率直に私から考えてみますると、やはりいずれも大事で、どこに段階をつけてどうするということは、今のところは考えておりません。
  40. 八木一男

    八木一男委員 ある意味ではそれはいいのです。みんな気の毒だから差し上げていい。しかもだんなさんの保険料は同じだけ払っているのだから、遺族全体に同じだけ差し上げていい。日本社会党の案は遺族年金というふうに総括をいたしまして、多子加算という一部の例外はございますが、大体において同じものを差し上げることになっているわけです。それが本則です。ところが政府案の方はそうじゃなしに、いずれも大事だとあなたはおっしゃっている。その立場においても、いずれも大事ならいずれも同じ金額を出せばいい。ところが遺児年金が少ない。気の毒という、所得能力という立場からいえば、遺児が一番所得能力がない。それが逆になっている。少なくとも渡邊さんの判断でも、同じように大事だと思う、片方、保険料は同じように出しているからという、そういう観点からいっても、同じだけ上げなければならない。ところが同じだけ上げてない。遺児だけ少ない。気の毒だから、所得能力をカバーしなければならないというほんとう年金制度考え方からいけば、遺児の方によけいいっていいが、そうでない。そういう内容です。それについてどうお考えになるか。
  41. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 これは私どもとしましては、家庭環境にもよることだろうと思っておりますが、社会保障制度審議会等におきましては、いまだにこの問題を取り上げていないように伺っておるわけでございます。ただ母子家庭と寡婦の家庭と遺児というものになりますと、やはり生活環境の面においてその単価が違ってくるんじゃないか、こういう面におきまして、いずれも平等ではあるけれども、孤児の場合においては一人で生活をやるわけではなく、やはりいずれかにたよっていくということでありますので、母子家庭なんかと比べましたならば、やはり金額差別が多少そこにつけられてくるのではないか、かように考えておりますが、その実態につきましては、私もここではっきりした答弁はできかねます。
  42. 八木一男

    八木一男委員 そういうようなその場のがれのような御答弁を、知恵づける方もなさらない方がいいと思うし、そういうような御答弁をそのままなさらない方がいいと思う。どうしたってこれは理屈に合わない。母子家庭の方にたくさんやるのだったら、それならなぜ父子家庭の方によけいやらないのか。お父さんの方が酒を飲んだりして、いろいろ金がかかるのだから、母親が死んだらこっちの方にやったらいい。そんなでたらめな理屈は成り立たないと思う。年金制度というものは、所得能力のない者に上げるというのが本則なんです。それ以外のことは年金制度の本則じゃない。所得能力がないのは、孤児になった方がない。これを高くするのはあたりまえだけれども、少なくとも同じにしなければ理屈にならない。それからもう一つ、自民党の方にはびこっている保険料を出したから、それくらいもらうのはあたりまえだというような、そういう考え方からいっても、おやじさんの方は同じ保険料を出しておる。百歩を譲って自民党的な考え方からいっても同額を出さなければならない。それから、ほんとうに社会保障の立場でいったら、たくさん出さなければならない。それをそんなものは出さないというような理屈は成り立たないと思う。片一方で、それは小山さんが言いたそうな顔をしている、子供に金を持たせれば、その子供を預かって食いものにするよその親戚がいるかもしれないというようなことを言われるかもしれない。それはごくまれな例であります。逆に子供を引き取ってくれる遠縁の人だって貧しい人もある。やはりそういう金がなければ、気持で言っておっても、子供に普通の生活をさせることができない。多いのに越したことはない。そういうふうに、ほかの扶養者がほんとうに心配ならば完全な遺児の収容所——ほんとう意味の人間らしいのですよ、今のおやつがちょっとしか出ないとか、そんなのじゃないのを完全に作って、それでやることが完全であればまだ話はわかる。そういうことも不完全であって、そういうことに籍口して、当然所得能力が一番少ない子供、しかもその遺児のもとの世帯主であった人が、遺児が助かると思ってししとして払っておった保険料があるのです。こういう人に上げない。おやじが死ぬときにかわいい子供がいた。母親が生きていればまだ安心して死ねるのですよ。家内が先に死んでしまった、自分の子供が一人しかいない、自分も死んだらどうなるだろうと心配しているおやじの気持を考えたら、そんなばかなことはできるはずはない。逆じゃないですか、渡邊さん一つ率直にお考え願いたいと思う。今までにきまったから、変えるのはめんどうくさい、追及されるのがいやだ、事務的に改正案を出すとなかなか問題が多い、社会党に言われたことをうんと言ったら自民党が文句を言う、そんなくだらないことではないのです。ほんとうに誠実に、率直にお考えになれば、すぐそうであるということが言えるはずです。言っていただきたいと思う。
  43. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 十分にあなたの御説を私は納得いたしましたから、将来の問題として十分に検討いたしましょう。
  44. 八木一男

    八木一男委員 これも次の通常国会に、改正点として至急御検討願って出させるように御努力願いたいと思います。
  45. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 御要望として承っておきます。
  46. 八木一男

    八木一男委員 最善の御努力をお誓いにならなければいけない。御要望だったら、あなたの話は聞いておくけれども、どちらになるかわからないぞという捨てぜりふになる。当然よいと思われたらやられるのが政治家の任務です。最善の努力をしましょうと言っていただきたいと思います。
  47. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 八木先生には浅瀬を渡るその浅瀬を教えられておるようなものでありまして、十分に検討いたしましょう。
  48. 滝井義高

    滝井委員 関連して。大事なことですから一つこの機会にお聞かせ願いたいと思いますが、私は、国民年金法案審議するときにと厚生省側から出てきた資料その他では、拠出制年金対象というものは三千三百万だと心得ておったわけです。ところがこの前の予算委員会ではその対象は二千万だ、こういうことになったわけですね。これは一体どうして一千万以上の人間が第一年度における拠出制対象から除外されることになるのか、それがわからないのです。これは年令層別に国民年金適用対象人口の推計を作って、そうして約三千三百万人の者を適用する、こういうことで説明を受けておったわけです。ところが一千万も減らなければならないというのは、それだけ捕捉ができないためにそういうことになるのか、どういう理由で一千万も対象が減るのか、それを一つ御説明願いたいと思います。
  49. 小山進次郎

    小山(進)政府委員 当国会に提出いたしましたときの数字は、すでに三千三百万を下回っておったわけでありますが、こういうことが事情なのでございます。平常年度における拠出制年金制度適用対象は、大体二千七百万程度に行くであろうということなのであります。なぜ三十六年度における対象人員が少なくなっておるかと申し上げますと、これは御承知通り適用の初年度におきましては、五十才をこえて五十九才に至るまでの約十年間の年令間隔の者はこれを適用除外としておるわけであります。理由は、滝井先生よく御存じの通り、これらの年令階層の人は当然に十年間の拠出をするだけの期間を持っておりません。従ってこれらの人々に強制適用することは当を得ないというので適用をはずしまして、そのうち特に希望する人を任意加入にしておる、こういうことでこれがはずれており、これで多分五百万前後の違いが出て参っておると思います。  それからもう一つの違いは、これは昨年国会段階において御説明申し上げたときには、すでに減っておった問題でありますが、滝井先生が仰せになっておる三千三百万というのは、まだ政府内でいろいろ論議をしておったことが新聞紙上に出たり、あるいはその間にどういう案で検討されておるかというようなことでおただしになった際の数字だと思いますが、あの当時の案では、被用者保険の被保険者は除きましたけれども、それ以外の者、つまり被用者年金の被扶養者、配偶者も強制適用をする、こういう前提考えておったわけであります。これが御承知のような経緯を経まして一応適用除外とされ、そのうち特に希望する者だけが任意適用に持ってこられた、こういうようなことで、差引三百万程度動いてきている、こういうものが大口でございまして、こういうものの違いが基準年度三千三百万と二千六百万との違いのおもな内容でございます。
  50. 滝井義高

    滝井委員 あなたの方は初年度は二千六百万でなくて二千万ですね。——そうしますと、当初予算を組むときというか、法案を説明する段階では三千三百万人だった。第一に五十才から五十九才までの者が任意加入ということになるので、幾分任意加入があるかもしれませんが、おそらくその分が一応全部なくなるという仮定に立つ場合が一つ。それから被用者保険の厚生年金の方の配偶者を任意加入にした、こういうことになりますと、厚生省の推計を見ますと大体五十才から五十九才——小山さんは五百万とおっしゃったが、五十才から五十四才までは三百四十四万四千、五十五才から五十九才までは二十八万一千、合わせますと三百七十二万五千くらいになるわけですね。三百七、八十万、とにかく五百万以下になるわけです。被用者保険の方の妻は、これは全員加入しないと見ても三百万ですからね。まあ六百五、六十万。こういうことになると、二千七百万というのが正常なところかなという数字は出るのです。しかしそれは正常対象が二千七百万ですから、現在厚生省が考えておる拠出制の二千万に比べたならばなお七百万減っておる。すると七百万というものは一体どういう理由で減るのですか、捕捉困難ということになるのですか。
  51. 小山進次郎

    小山(進)政府委員 私、大へん肝心なことを一つ説明をし落したわけなんでありますが、初年度における対象二千万というのは非常に不正確な申し方でございまして、初年度における適用対象のうちで、おそらく保険料を徴収できるであろうと見込んで、保険の収支上計算の基礎にしている人間が二千万、こういうことでございまして、うっかりいたしましたが、このほかに適用対象としておそらく四百万から五百万の間くらいの人間が加わるはずでございます。そういう関係で、今先生が数字を追って御検討になったものと食い違いができたわけでございます。この点は大へん肝心なことを忘れて申しわけございませんでした。
  52. 滝井義高

    滝井委員 実は私は予算委員会でそこをはっきり言ってもらいたかったのですよ。予算委員会では時間がなかったので、三千三百万と言っておったものが二千万と、千三百万もなぜ少なくなったか、その理由を言って下さいと言ったのだが、あなたの方はその理由を言わなかった。私は実はそこをもう少しつきたかったのですが、そこをつくと数字もこまかくなりますし、議論がむずかしくなるので、あの際私はわざと避けたのです。実はこういうところを大蔵大臣にきちっと見せなければならぬところだったのです。四百万から五百万というのは、保険料の徴収が、対象にはしておるけれども、必ずしも可能ではない、不可能なところなんです。おそらく不可能と言っていいと思うのです。そうしますと大臣、こうなんです。二千七百万を対象にしておるけれども保険料徴収可能の者は二千万だということになる。すると七百万というものはだめなんですよ。一応とにかく相当努力をしなければ保険料がとれない。保険料をとる努力をすれば事務費が非常にかさむというものなんですよ。だから七百万というものは一つ盲点として残ってくるわけです。それからもう一つ、労働者の奥さん方が三百万、盲点として残っておるわけです。それから現在五十才から五十九才までのいわゆる三百六、七十万の者がもう一つ残っておる。六十以上はもちろんだめなんですが、この五十才から五十九才までの三百六、七十万というものは、加入は希望すればできる者なんです。もう少し保険料を納めれば十年になる。政府案は、四十年後になったら六十五才から三千五百円くれるのですから、これは希望すればできるわけです。そうしますと、それを足し算してみて下さい、幾らになりますか。約七百万と、それから五十才から五十九才までの三百六十万と、奥さんの三百万と……。そうしますと、千三百六十万という日本のいわゆる年金に加入できる資格のある人たちが、財政的な理由、配偶者があるという理由、あるいは幾分高齢であるという理由のためにこれは盲点になっておる、こういうことになるわけです。もちろんこの五十以上の人々は、七十才になれば無拠出の年金は当然もらえることになるわけですけれども、しかし、何せ五十五年で定年になる。そしてそれが厚生年金もない五人未満の小さな事業所だったら、路頭に迷うことになるわけです。こういう大きな欠陥が今あなたの方で推進しようとする国民年金にはあるということですよ。この点、今度はどういうことになるかというと、市町村はこれらの千三百万の人をとにかく加入せしめようとすれば非常な努力をしなければならぬ。しかしその千三百万程度の人々のうちの七百万というものを加入せしめる努力をして、その保険料を順当に徴収しようとするならば、全部これは差し押えをしてとっていく以外にない。ところが、何せこれは四十年先の話ですからね、二十才の人からいえば。だから、毎月百円ずつ、あるいは百五十円ずつ納めて、四十年先に三千五百円しかもらえぬということになりますと、一体これはそんなに苦労しなくてもいいのじゃないかということになる。そうすると、市町村も国民健康保険で差し押えをするようなわけにはいかぬ。国民年金の問題はここなんですよ。行政なり政治のむずかしさはここにあると私は思う。この二千万というのは小山さんの答弁で私も初めて知ったんです。私は三千万くらいはやっておるのじゃないかと思っておったが、実際は二千万だ。今まで法案審議の過程ではこういうことは出なかった。二千万という数は、これはニュー・フェースだと思う。これは非常に大事なところなんですね。そういうことになりますと、私この前申し上げたように、学識経験者のうちに、日本ではとても拠出制はやっていけぬ、農民の所得が上がらぬ現状ではやっていけぬ——私はあそこでもうちょっと詳しく言いたかったのです。ちょっと触れましたが、最近は日本は米は豊作です。しかし、米作日本一の農民の諸君に、米作りをして日本一だという誇りを持っているが、一体自分の作った米というものの運命が日本においてどうなるだろうかという心配が非常に始まってきたのです。というのは、米がどんどん出てきた今、なるほど農業における自由化はやらぬということを福田農林大臣は言っておりますよ。けれども、米の運命について、一体これをどう考えるか、これは非常に不安にあるということです。これは農業の所得というものが飛躍的に伸びる情勢が客観的に日本には見通しが立たぬということで、篤農家の間でそういう不安が起こっておる。そうすると、村における指導者は篤農家なんですね。こういう指導者が農業の未来についての希望を持たなくなっておるという現状から考えてみると、国民年金までどんどん金を納めていくだけの迫力が出てこない。それは、前途洋々たる農業があり、そうして自分たちの老後も何とか保障しなければならぬということになりますと、金が出る余裕が出てくる。四十年先のことで、今米についての希望がないということになると、なかなか出てこない。そこで、学識経験者の間では、この際拠出制年金よりも、もう一ぺんここで取引高税のようなものを考えてみたらという意見がそろそろ台頭し始めているのですよ。私がこの前の予算委員会で大蔵大臣に、拠出制ほんとうにあなたやってくれますかということを念を押さなければならなかったのは、こういう客観的な情勢が一つあるということ。それからことしの予算自体が、私が言ったように弾力がなくなって来年度に拠出と無拠出と合わせたらやはり四百億前後の金を出さなければならぬということですよ。そうすると、来年度は御存じの通りことしの二千百五十三億という税の自然増というものを全部使い切っているのですから、放出して予算を組んでおるのですから、財政的な余裕というものは非常に少なくなっておるのですよ。予算というものは硬直しておるのです。弾力がなくなっているのですよ。そういう中で年金というものを四百億とる、恩給を千四百億とりますと——広義の意味の社会保障というものは恩給が入るのですね。そうしますと、今だけでも大体二割ぐらいになっていますよ。恩給を入れますと、社会保障費は国の予算の二割くらいになるのです。恩給を入れたら二割を越えております。来年は二割五分にもなりますから、大蔵省は、とても厚生省の他の部面には出せませんという、出せというと、じゃ拠出制年金の積み立てというものを法律を改正して先にいきましょうかということにもなりかねないのですよ。私はそういう感じがしてならないのです。そうして一方学識経験者の中には、取引高税でいったらという意見があるのです。そこで私は、八木さんと相談をしておりませんが、われわれの党もあなた方と同じように——われわれの方がむしろ百五十円とる案を出して、そのかわりわれわれの年全額は、あなた方のほとんど倍近くにもなる七千五百円ですから、多くなっておるわけです。しかしお互いに年金の問題というものは、社会主義国家においても資本主義国家においても、その政策としてはやはり共通の部面が非常に多いわけです。そこでわれわれとしても、この事態に立って、日本の中小企業なり農村の現状考えたときに、拠出制というものを強引にやって、貧乏人もそれから金持ちも百円と百五十円のお金で、一体年金制度というものがほんとうに育つだろうかという疑問が最近はわいてきたわけです。日本財政の行き詰まりもあるし——大臣の方は行き詰まりではないとおっしゃるかもしれませんが、一応予算編成というものが一つの限界点にきておると思うのです。これ以上やろうとすれば、間接税をやるか、国債を発行するか、何かやはり手を打たなければ、非常に財政というものが弾力を失ってきているということ、これはある程度学者の間でも意見が一致しています。そうしますと、そこらあたりの検討をやはり真剣に、今までのお互いの行きがかりというものを捨てて、共通の広場として、保守革新を問わずやってみる必要がある。そして年金に加入せしめる人たちに安心をせしめなければいかぬのじゃないかという感じがするのです。この点を一体大臣はどう考えられておるのか。厚生省の中における年金の一番のエキスパートである小山さんは、その点についてどういう認識を持っておるのか。今までのことは今までのことでいいのです。これは基本方針を貫かなければならぬと思いますが、それが一つの壁にぶち当たったときには、やはり何か転換の方法というものも第二案として考えておく必要があるのではないか。ことし一年やってみろ、その上でもう一ぺん考えますということなんですから、もう一ぺんここらあたりで、大臣なり小山さんの見解を私はお聞かせ願いたいと思うのです。
  53. 小山進次郎

    小山(進)政府委員 ただいま滝井先生が仰せになったことのうち、事務的なことだけを先に申し上げたいと思います。先ほど保険料拠出の二千万人という話は初耳だというお話でありましたが、滝井先生に初耳だったということは、私は大へん恐縮ですが、昨年御審議願いますときに提出いたしました三十四年の二月の国民年金法案参考資料に、すべて年次別の推移は書いてございます。それにはただいま申し上げましたような数字が載っております。それからなおその際にお話がありましたように、五十以上の人と公的年金適用者の妻につきましては、任意適用の道を開いておるわけでございますから、それでは不十分だという意見はあり得るだろうとは思いますけれども、問題としては一応解決しておるわけでございます。それから免除を五百万前後というふうに、五百万ないし、平常年度においては七百万近くといふうに見込んでおることにつきましては、むしろ気持としては滝井先生と全然逆の気持で考えておるわけなんでありまして、御承知通り国民年金制度の場合に、国民健康保険と同じ程度のきびしさを持って保険料を徴収するとすれば、大体免除に該当するものは一割見当なのであります。この点は、またこれを申し上げると八木先生におこられますけれども社会保障制度審議会で立案されるときにいろいろ検討した結果、社会保障制度審議会の案でも、あるいは一割足らずは何か免除する道を考えなくてはならぬというようなことになったときに出てきた数字でありまして、これは答申にもその点が説明として書かれております。私どもが三割と見ておりますのは、滝井先生が非常に御心配になっておる点をわれわれも大事を踏んで、とにかく無理をしまい、無理があったならば相手方の実情に応じ、申請に基づいて相当思い切って免除をしていこう、そういう前提制度を組み立てておかないというと、適用に非常な無理ができるからということでやっておるわけでございますから、こういうような対象に対しまして、しやにむに保険料を強行的に取り立てるということは、制度の立案の当初から全然考えられていない。逐次これは経済の上昇に見合ってこれを上げていくという、かなりゆとりのある考え方をとっておる、こういう事情でございます。  それから一体日本拠出制をやっていくということについて、成算があるかという御質問でございますが、先ほど滝井先生おっしゃいましたように、これについては経済界方面に相当有力な無拠出論があったということは仰せの通りでございます。これは別にきのう、きょう現われたことではなくてすでに四、五年前からありまして、私ども立案の際におきましても、そういうことも十分検討してみたわけでございます。その場合におきまして、当然話題に出ましたのは、取引高税の問題でございますが、これにつきましてもいろいろその方面の方々が御検討になった結果、どうもこの種の税を起こしてやるということは見込みがない、こういうような結論で、その点はさたやみになっておるのでございます。従ってこの種の税を起こしまして、新たに千五百億から千八百億は取れる、こういう見通しを立てておられる方もあるようでございますけれども、これは非常にむずかしい。のみならずそういうふうなものに依存してやっていくということになりますならば、年金の支出もとても四百億や五百億じゃ足りぬわけでありまして、どうしても初年度から千億を相当こえた程度のものでなくてはならぬ、こういうことになりますので、なかなかこの点はむずかしかろう。  回りくどく申しましたけれども拠出制の前途が非常にけわしいということは、私どもも初めから十分承知しておるわけでございます。非常にけわしいけれども、この道を進むより仕方がないということで、この道を歩いてきておるわけでございます。  なお先ほど話がありました、将来とも四十年で三千五百円という年金額でいくかという問題は、もちろんこれは、昨年当時の大臣から数回にわたってお答えを申し上げましたように、経済の変動に対応して調整をしていく。ただどういうふうに調整をしていくかという調整の在方について、まだ具体的な案をお示しする用意がないということであったわけであります。この点は私ども少なくとも今度の通常国会の際には、もくろみとしてこういう段階と順序を経てもし日本の経済がこういうふうに伸びていくならば、こういう工合に年金額を引き上げて参りたいという一つの構想はまとめて、お求めに応じて御報告申し上げる程度には用意はしたい。しかし先生がおっしゃるように、それだからといってもう二、三年でそれに変わり得るという性質のものではないわけでありまして、そういう構想をもとにして二、三年じっくりいろいろなところから御検討願って、それでそういうものがまあ十年くらいたったときに実施に移されていく。少なくとも年金制度をお考え下さる際には、その程度のゆとりを持ってお考え願うのでないと、何とも息が切れて続かぬ、こういう実情であるわけでございまする。
  54. 八木一男

    八木一男委員 今滝井さんからのいろいろ示唆に富んだ御意見があって、小山さんの方からいろいろな御答弁があった。私は、尊敬する滝井さんだけれども、ちょっと見解が違うのです。それで私の見解も一つ参考にしていただきたいので、先にちょっと言っておきます。  非常に保険料徴収が困難であるという事情は、滝井先生の言われたように、小山君がお答えになったように、そういう現状があることを私も知っております。知って、そういう年金制度について、党の承認を得て私なりの案を作った。それで政府の案は、私どもの案と内容は非常に違いますが、形態は似ているわけです。われわれの考え方政府案相当に参酌されたことを私知っております。そこで違うのは、拠出制が前進しないのは、さっき言ったことに関連をしておるわけです。たとえば年金保険料ほんとうに完璧にやったならば、差し押えをして取ってもいい。それでなければ財政が続きません。ただ差し押えをして取ってもいいかわりに、それが取り得る態勢の保険料——われわれは年金税と言っておりますけれども、そういう態勢を作らなければこれは強行できない。そこでさっき定額制はどうかという問題を申しあげた。百円、百五十円の定額制で、その日暮らしの人も、住友吉左衛門も同じであれば、それを強行して差し押えをすることはできない。これは社会問題です。そして収入の割合で増減をした保険料制度を作るべきであるということを申し上げた。そういうことが完全になれば、これは差し押えをしても取らなければ年金制度というものはでき上がらない。ところがそういう制度でないから、滝井先生のおっしゃるように取ったらいかぬじゃないか、取ることは困難ではないか、これは当然の議論です。ほんとうの案は、当然取り得るところは差し押えをしても取るという態勢になる。それを考えていただきたいということです。免除をやる——政府には減免という規定はない。免除規定だ。そういう、一割は取れない人があるだろうから、免除規定を作った。社会党案の一部をまねしておる。いいところをまねしているのはいいけれども、いいところは全部まねしてほしい。社会党案は減免とある。百円を全部免除すべきだとか、全部無理やりに取るべきだという見解ではないのです。百円は取れる、九十九円なら取れる、七十円なら取れる、三十円なら取れる、十円なら取れるというのもある。それを片っ方では免除、片っ方では取らなければだめだというような事務的なことだけを考え制度をやっておる。このためにそれが完璧にいかない。免除ということが必要であれば、当然減額ということが必要だということは考えられなければならない、そういうことなんです。全体の保険料として、定額ではなしに、こういう態勢を作るべきであるということ。それから相当下の方のほんとうに払えない人を実際的に考えるときに、全額が免除でなしに減額。減額、免除という過程を踏まなければ合理的なものはできない。それをしたならば今度は強制的に取り上げるべきだ。一般的にいろいろな学者がいろいろなことを言いますけれども、この年金根本的に検討しない学者が多いのです。社会保障制度審議会の特別委員会に参画した人たち検討しているけれども、ただ片方の方面から年金制度を批判する人が多い。あらゆる面から年金制度根本的に考えた学者は、日本の中で非常に少ない。それで、ある有名な学者が、こっち側から批判したからといってぐらついては、年金制度はつぶれます。すべての側から検討してやらなければならない。年金制度というものは非常に複雑なものである。そういうタイプです。そこでほんとうに合理的な計算があり、減額があり、免除がある制度を作り上げた以上は、強制的に取り上げなければ年金制度というものは発達しない。無拠出で完全にやることは賛成です。完全にやるということであれば賛成ですけれども、その金額が千円程度ではだめだ。月に少なくとも最低七千円、そういうものをほんとうに無拠出で完全にやる覚悟があれば、今の制度をつぶしてもけっこうです。ところがそれができないからということで、自分の老後を養うために、今の人心に適した方法で拠出をさせることを加味して、そして比較的十分な年金制度を作り上げようということに踏み切ったところに拠出制のもとがある。そういう過程ですから、それを貫かなければならないけれども、貫くためには合理的にしなければならない。それともう一つは、年金は教育であります。どんないなかの農家の人でも、無尽に入っておる人は多数あるのです。郵便貯金をしておる人も多数ある。酒を飲む人もある。着物を買う人もある。年金制度というもののありがたさをいまだ知らないがために、月百円のものを出し惜しむという傾向がある。それを知らしめる方法が政府は非常に不十分だ。今発足する拠出年金がもっと十分なものであれば、これが完成されたものが将来に保障されるということになれば、年金制度に対する意欲が沸く。ところが今の政府制度が不完全であるために、こんなちゃちなもののために月々取られてはかなわないというような気持が起こる。しかも金持ちも貧乏人も同じじゃかなわない、そういうところに、今の年金制度を完全にするということに踏み切るということ——年金制度を合理的にして、この制度というものを動かして十分なものにしなければ、日本のいろいろな制度ができない。完全雇用をやり、片方は社会保障で完全にカバーをして——病気の問題は大事であります、失業の問題も大事でありますけれども、一番大きな問題は——病気なんかは医療ですぐなおってしまう時代が来るかもしれない、ガンでも全然心配の要らない時代が来るかもしれない。しかし老齢は永久に来るのです。そういう場合にあっても、年金制度というものは、非常に大きなもので、それが完全な形で早く完成しなければ、日本は福祉国家にならない。そういうことをするためには、今から合理的な制度を作っておいて、それも強行するという態度をとらなければならない。強行だけではいけません。合理的にするように踏み切らなければならない。そういうことのために来年度、論議のかわされたことを検討して、りっぱなものを出していただきたいということを申し上げた。そういうことです。年金制度というものは、ただ気の毒な人にものを上げるという制度であると考えてもらっては困ります。年金制度が完全になることによって、たとえば農家の人も老齢年金で完全に保障されれば、安心をして早く家督相続をする。そうしたら農業の近代化、共同化が進むわけです。零細企業でもしかり、労働戦線でもやめた人が——国民年金は農民、中小企業だけではありません、厚生年金と一緒に通算してやらなければならない。それも完全にやれば、やめてから退職金にかじりついて、今まで部長だったけれども、嘱託で雇ってほしいとか、それから普通の社員であった者が門番でもいいから雇ってほしいということを言わなくても済む。また小さな退職金でつまらない商売を始めて、うまくいっても十分の一、十分の九はつぶれてしまって、路頭に迷う。かくて零細企業の過当競争が起こる。そうすると、ほかの商売人も困る、そういう過当競争だとか、雇用の近代化とか、農業の近代化、中小企業の近代化、そういうことのすべてに関連がある。そういう関連があるものをよくするための制度には熱意を入れなければいけません。そうなれば、発足まで不完全な形で去年提案されたが、来年はできるだけ完全なものにしてやるというほんとう熱意を示していただかなければ困る。それで滝井先生の御意見は十分検討していただきたいと思いますし、同様に大事な御意見だ。しかし私の意見は、そういう見解を持っております。そういう見解も十分に参酌して、そうして来年度には事務的には間に合わないとか何とか、そんなことは——いいことを一つだけでもいいのです。とにかく改正案を出して、いいことだけでも出していかなければいけません。  それからもう一つは、滝井先生がお触れになったうちの一部分ですけれども、労働者の配偶者が任意適用になっておる。これは任意適用だからいいとすぐお考えになる。ところが、渡邊さんは法律を全部覚えておられないと思うが、任意適用には減免、免除の規定適用されない。一般的な特権が適用されないわけです。それでは国民公平の原則に反するわけです。当然同じようにやられなければならぬ。また任意適用では実際にだめなのです。だんなさんがうちで酒を飲んで、女房の将来を考えているように見えて、ほんとうに具体的に合理的に考えていない人がいる。おれは丈夫で百まで生きる、金持ちになる、だからあとは心配するなと言ったって、その人は死んでしまうかもしれない、金持ちにならないかもしれない。そうなれば婦人の老齢年金というものは確保しておかなければ、婦人は将来が保障されないわけです。それで強制適用でなければいけない。非常にりっはなだんなさんであれば、奥さんの将来を心配して入れと言う。ところがそうでない人は気がつかぬし、奥さんも気がつかぬし、気がついてもだんなさんの酒飲み代が百円減るということになれば、言い出しにくい。また子供の方の学資が必要だというので、自分の将来はどうあろうとも、子供の方に金を出してしまう。そういうことで、任意適用では労働者の配偶者は老齢年金適用は受けられない。農村の人の配偶者は受けられる、商売人の配偶者は受けられるけれども、勤労者の奥さんだけが老齢年金から排除される。そんな行政があったものではない。任意適用というのは、ごまかしであります。もちろん厚生年金や公共団体の共済年金があるから、そちらの方の給付を受けて、その配偶者の遺族年金ではなしに老齢年金考えるというならば、もちろんそっちでやられてもよろしい。方法はどっちでもいい。老齢年金が確保されていれば、そっちでやっていただいてもよろしい。そっちでやっていただくことが考えられないならば、当然強制適用ということも考えられなければならない。こういうことであります。これはもうその通りです。賛成する。滝井先生の意見と違うところは、あとから検討するでいいのですけれども、とにかく徹底的に年金制度について積極的にやらなければ、具体的な内容として来年度にわかったものだけでもいいから、とにかく法案として出す、そういう御答弁を願いたいと思います。
  55. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 拠出年金の将来の問題について、行き詰まる時代が来るのではないか、こういう御説も、筋の上から私ども事務当局もやはり不安を抱いておるという面につきましては、ごもっともでございます。また八木さんの、これはあくまで強制的な拠出年金でなければならぬ、こういう御意見も、年金財政の上から見ましてこれはごもっともでございます。これはこの前の臨時国会のときからも、この話をしばしば耳にしておるところでございますから、事務当局においても十分検討いたさせましてできるだけ早い機会におきまして、結論を出したいと存じます。
  56. 滝井義高

    滝井委員 さいぜん私の質問に対する答弁で、国民所得の伸びなり国民生活水準の上昇、物価変動、そういうものを考慮して、一応具体的な年金額の調整の方法を通常国会にはきちんとこまかく、何年にはこうやるのだということは言えないけれども、まあ達観的なものはまとめて出せるというお話があったのですが、まずそれから尋ねたいのですが、それはこの国会に出せますね。
  57. 小山進次郎

    小山(進)政府委員 私が申し上げたのは、次の通常国会にその構想を申し上げる準備で作業を進めたい、こういうことを申し上げたわけであります。
  58. 滝井義高

    滝井委員 その次の通常国会ということよりか、小山さん御存じの通り、この日本の経済の成長というものは、アメリカやイギリスをはるかに追い抜いておるわけですね。これは日本がなぜこんなに経済の成長が戦後十四年に早かったかということは、これは戦後の経済の変動の幅が非常に狭くなったということが一つ理由です。いま一つは、科学技術の進展と申しますか、技術革新の波が非常に早いということですね。同時に、日本では今まで非生産的な軍事支出というものが比較的少なかったということでしょう。これがやはり日本経済が非常に伸びたということだと思います。日本経済の伸びに匹敵するものは西ドイツでありますが、二十五年から三十三年の平均を見ると、日本は八・四%で、西ドイツが八・〇%、ですから日本の方がずっと多い。アメリカなんか三%、イギリスはこれより低い、ソビエトだって年率六%ぐらいですから、こうしてみると、日本の伸びというものは非常に早いのですね。今後アメリカとの間に新しい安保条約を結んで、自衛力の増強を自主的にやらなければならぬということになったときに、こういう状態であるかどうかわかりませんが、三十四年度の経済の伸びは、初め多分一〇・九%と予定しておったのが、一三%ぐらいになっておる。今年だって七・八、実質は六・六ぐらいに見込んでおるわけですね。従って、一体年金の運命というものがこのような経済情勢の伸びの中で、どういう工合に変化をしていくか。政府の方は、ことしも経済は、われわれは下期になったら下り坂になるという心配をしたのだが、非常に強気ですね。そうじゃない、依然として高原状態を行くのだ、むしろなだらかな上昇過程をたどるというのが企画庁長官の説明ですね。そうしますと、ここしばらくの景気変動というものは、政府がどういう工合に見るか知りませんけれども、一応大きな経済の変動がないということになると、まあ七・二%ぐらいは伸びていく、こういうことになれば、所得倍増十カ年計画、この計画の中で年金というものはどういう工合に修正をしなければならないかということは、これは今でも私はわかっておると思います。すでに経済五カ年計画というものは、ことしは三十三、三十四、三十五年と第三年目です。従って当然これは何ぞ来年を待たんやで、今度の通常国会あたりには私は出るのではないかという感じがするのですが、その点が一つ。  それからもう一つは、経済は非常な勢いで伸びておるけれども、伸びないところがある。それはさいぜんも申し上げました通り農村です。所得倍増計画の中で倍にならないというところに農村の問題点があるわけですよ。そしてさいぜんも申しました通り、米作の将来というものが必ずしも明るくないという面があるわけですね。もはや日本は八千万石というのが、豊作というよりか平年作の状態になりつつあるのです。こういう客観的な農家の情勢があるわけです。従って農家の所得というものは、これを支出に還元してみますと、都市の支出に比べると三割くらい支出が低い。そうすると、都市よりか三割支出が低くて、国民経済の伸びに比例した伸びを農村がしない。その農村の中から、この大事なお金を国民年金として年間二、三千円というものを吸い上げてくるということですよ。そうしてその吸い上げたお金というものが、これは年間百二、三十億の金を中小企業と農村から吸い上げるのですが、一応概算的に見ると、半分以上、大部分が農村になる。そうすると、農村から半分以上の金を吸い上げてくる。その消費支出の少ない農村から、国民年金としてすぐ農村に帰らない金を吸い上げてくるわけです。そうすると、農村の消費支出というものはますますこれは少なくなるという状態が年金の中から出てくるわけです。国民健康保険はすぐ役立つのであります。短期保険ですからね。こういう点を考えてみると、国民所得なり国民の生活水準というものは、他の産業部面においては伸びていっても、農家についてはそれにつれて伸びない。伸びない農家の中から年金という莫大な現金が吸い上げられていく、こういう形なんですね。そうすると問題は、ここに吸い上げたところの積立金というものは、もうすでに第一年度から相当のものがたまってくるわけです。それを一体どういう形で農村に還元するかというような問題も、あわせてこの際考えておかないと、農村から金が集まってこない。いたずらに吸い上げていって、それが財政投融資の中に入ってきてそうして大企業の方に回って、日本の軍備生産なり軍需工業を強めていくという、かつて厚生年金日本の軍費調達の大きな役割として働いたという状態と同じ形が出てくるんです。そうしてその金を労働者に返すときには、すずめの涙ほどで、老後の安定の金にならない。現在だって月に四千円そこそこです。今後ある程度、千分の五を千分の六くらいに上げますから、フラットにプラス平均の報酬月額かける千分の五を千分の六にして、それに勤務しておった月数をかけていくわけですから、二割か三割ぐらい上がることになる。多分そうなると思うんです。そうすると労働者の方は、今まで戦争中はこれが軍費調達に役立ったが、今度はアメリカとの日米安保条約の軍費調達的な役割を国民年金がさせられたんではかなわぬですよ。そこでこの年金の運用問題を一体どうするかということが、少なくとも順当に農家から国民年金保険料徴収をしようとすれば、次の段階としてその問題をも同時にここであなた方が解決をしてわれわれに説明をしておかないと、これは問題が出てくると思うんです。だからそういう点で、来年の通常国会なんといったら、われわれ代議士であるかどうかわかりません。小山さんも年金局長であるかどうかわからぬです。だからやはりやるならば、勝負というものは早いうちにしておかなければならぬと思うんです。(「落選か」と呼ぶ者あり)あれからもう一年くらいたっておるんですから、落選とかなんとかいうことでなくて、やはり経済の見通しがこういうように安定期の経済に人っているんですから、そして日本経済はフラットに高原を歩むんだということを経済企画庁当局が言っておるならば、共同作業によって何かそこらの調整問題というものをしてこなければならぬと思うのです。そうでなければ、年金保険料をもらうかどうかしなければ、話がなかなかまとまらぬのじゃないかと思うんですが、そういう二つの点についてあなたの方ではどうお考えになっているか。
  59. 小山進次郎

    小山(進)政府委員 第一の問題につきましては、私どもも努めて早い機会にまとめたいということで研究はしているわけであります。ただ何分にも経済十カ年計画の内容自体がまだきちっと固まってはおりません。まだいろいろ動く因子が残っております。それからもう一つ年金制度の場合に、ここ十年あるいは十五年どう対応させるかというのは、これは割合に楽なんでございます。やはり日本の場合には昭和六十五年から九十年ぐらいまでの山をどうやって越えるかということが、先生御承知通り非常にむずかしく、単純な計算だけでは何としてもここいらの国民の負担が多くなり過ぎて、現実性を失った見通しになってしまう、こういう点があるわけであります。従ってそこの山を越すためには、ある程度繰り上げてやる部分もあるし、また繰り下げてその後の国民に負担を少し移していくということで調整をしなければならぬ面も出てくる、こういうようなファクターがありまして、これをごくあっさりした議論として考えました場合には、構想なんというものは一月くらいで、まとまりそうだ、こういうことになるわけなんでありますが、それをある程度形の整ったものにしようとしますと、何回も計算の繰り返しをしなければならぬ、こういう事情があるわけでございまして、私どもももちろんそういう計算の手段を持ち合わせておる事務屋でございますから、私どもがものを申し上げるときは、計算そのものについては一応それを基礎にして、いろいろな方に御議論願えるものにまとめたい、かような考えでございますので、そういう事情から、どうしても次の通常国会ごろにならざるを得ないという事情でございます。  それから二番目の積立金の問題については、先生も仰せになるごとく、私どもも、言葉がやや強い点を除きましては、おっしゃることについては全面的に賛成でございまして、そういう考え目下国民年金審議会でも御相談を願って、いろいろな案を検討しているわけでございます。大体ことしの七月ごろには少なくとも厚生年金の一応最終的な案をまとめる運びにいたしたい。この問題について国民から見て納得のいくような解決ができないとするならば、保険料徴収ということも非常にむずかしくなることは、これはお説の通りだと思います。
  60. 八木一男

    八木一男委員 今の小山さんのお言葉の中に重大なことを含んでおる。小山さんが今まで言ったことと全然違うことを言っておる。賦課方式運用するようなことをほのめかしたようなことを言っているでしょう。あるいは後代の国民の負担にゆだねると言われたでしょう。これは渡邊さん、大へんなことですよ。薬事法の問題なんか一万倍合わせてもなお足りないくらい大へんなことですから、ちょっとこの問題が片づくまで帰ってもらっては困ります。積立方式を賦課方式に変えるという問題は、この前の通常国会で完全積立金方式でいくぞということを政府が言明をしたわけです。あの国民年金は非常に不十分であるということは政府認めたんです。それをよくしようという場合に、よくする方法として、旧法はそのままにしておいて、完全積立をのがれるために賦課方式をとることはしないということを言っているわけなんです。われわれが皆さんに申し上げた賦課方式を取り入れたならば、後代の国民に幾分の負担を与えたならば、今の年金制度を大きくできるじゃないか。経済の成長によってそういう負担能力が国民全体として出てくるから、後代の国民にゆだねてもいいじゃないかということは、日本社会党国民年金法案である。実質上あなた方の法案の十倍ぐらいの内容を持っております。三千五百円と七千円といっておるけれども、六十五才のときには非常な差がある。極端に言えば、ゼロ対二十万ぐらいの差がある。そういうものを実現するために賦課方式をとる考えはないかということをただして、そういうことも考え一つであるけれども、積立金方式でいきたい、積立金方式を今度はくずして、賦課方式にするときに、制度内容を逆行させるようなことはしないということを坂田君も全部返事をしているわけです。それを今の小山君の返事の中では、制度内容を前進させることを伴わずして、後代の国民に負担をゆだねる。従って完全積立の方式から賦課方式に幾分移るというようなことを示唆するような言葉があった。厚生大臣は今言っているようなことは何のことだかおわかりにならぬと思う。これは非常に重大なことです。年間に何百億と違う問題です。薬事法のところにいくことはあきらめて下さい。それが解決するまでは行ってもらっては困ります。
  61. 小山進次郎

    小山(進)政府委員 私なぜ八木先生がそう憤慨なさるのかわからぬのでありますが、私は別に八木先生のおっしゃったようなことを申し上げたつもりは毛頭ないのであります。将来の経済の発展に対応して、年金額をいかによくしていくか。よく仕方にはいろいろあるわけであります。単純に生計費の伸びだけを伸ばすという方法もありましょうし、それからいろいろな事情から見て、やや低目にきめられた年金額を経済の成長の度合い以上に引き上げるということも、これは将来の改善としては当然考えなければならぬという問題があるわけであります。そういう、ものを全部ひっくるめて言っているわけでございまして、ただいまの御懸念はいずれ私どもの作業をお目にかけた上で、またいろいろ御議論をしていただく、こういうことにお願いしたいと思います。
  62. 八木一男

    八木一男委員 それであればいいのですが、はっきりしておかないと、これはほんとうに大事な問題ですからね。国民全体の幸福が大きく後退するか前進するかの境ですからね。小出さんは去年までの答弁はそうじゃなかった。僕の心配のないような答弁だったけれども、今の発言が私にはあいまいに聞こえた。ですからはっきりしておかないといけない。渡邊さんのいる前ではっきり言っていただきたかったので、言ったのです。その通りであればけっこうです。渡邊さん、積立金方式という問題と賦課方式という問題は、年金制度としては非常に重大な問題なんです。ほかの、給付の一年がどうだということなんかよりも、はるかに重大な根本的な問題なんです。その問題で、政府は完全積立金方式でやりますということを言った。日本社会党は、完全積立金方式に賦課方式を加えた折半方式の案を出して、このような積極的な考え方を取り入れて、政府案のような貧弱なものでなしに、日本社会党案に近づけてはどうかということを申し上げた。それは、当然将来において十分考えたいということを坂田君も答えられた。しかしながら、そこでそういうことを運用して、財政的に苦しいから、今の制度をとめておいてその積み立てを延ばしてやるということであれば、意味は全然逆になるわけです。今の制度がとまっているなら、積立金方式の方がいいんです。ところが、それをぐんと伸ばす、倍、三倍に伸ばすために、伸ばす方法がないというんなら、経済が伸張する、国民所得が将来伸びるという推定のもとに、勇敢な方法をもって飛躍的に給付額を五倍に伸ばす、六十から開始するというときに、こういういい知恵がありますぞということを教えたい。運用しては断じてならないということを申し上げた。それを、大蔵省あたりは運用したいような気持を持つに違いないが、厚生省は断じてそれに妥協してはいけないわけです。内閣もいけないわけです。大蔵省はそんなことばっかり考えますから……。そこで、断じて今から後退してはいけない。後退したら、これはほんとに大へんなことになります。あなたが、日本社会保障制度の伸びているのをつぶすという極悪人の立場をとらなければならない。そういうことは御希望でないと思いますから、断じて肝に銘じて、今のまま積立金を完全にやっていく、給付を大幅に、一倍くらいじゃだめですよ、二倍、三倍くらいにするというようなことをやりたい。それも積立金方式でやられていいのです。しかし、それが積立金方式ではいけないという抵抗があった場合には、賦課方式を加味して考えてよろしいが、運用しては断じてならないということを覚えておいていただきたい。一つその御答弁だけを伺っておきます。
  63. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 お説の通り、今の私ども考え方としては、積立金方式以外には何も考えておりません。
  64. 八木一男

    八木一男委員 そういうことじゃなしに、将来の発展を考えるときに積立金方式でやられれば、もちろん非常に飛躍的なものをやられるならば、それはけっこうです。そうしたら賛成します。しかしそれは、非常に大きな発展をさせることが前提である。そこで、積立金方式では財政上できないというくだらない近視眼的な財政論が、おそらく大蔵省の主計局長みたいな近視眼的な連中から出ると思う。それを排除して大きなものをやられるときには、賦課方式を加味してやりなさい。ただし、賦課方式を運用して今よりも下がることをしてはいけないということです。その通りに、一つ言葉を変えないで御返事をお願いしたいのです。別に御返事されて悪いことじゃない。
  65. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 これは積立金方式でやります。あなたのお説の通り、ごもっともでございますから、十分御安心下さい。
  66. 永山忠則

    永山委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後五時三十四分散会