○
八木(
一男)
委員 別に座長はおられませんと言われますけれ
ども、
厚生大臣、これじゃ困るのです。閣僚懇談会は
内閣総理
大臣を
議長とするということを
内閣総理
大臣から言っておられる。実際上
内閣総理
大臣が出席されなかったのか知りませんけれ
ども、閣僚懇談会の
議長は
内閣総理
大臣、今だったら岸さんです。これを
厚生大臣が御存じないとしたら、それは岸さんが御出席になっておられないということの証拠です。それをはっきり岸さんから言われたのです。総理
大臣を
議長とする。そこで閣僚懇談会というものが、岸さんなり
内閣の方からいろいろ御
答弁になったように運行されていないということです。座長なる岸さんの出ていることを
厚生大臣渡邊さんが知らないのですから、出ていられないことが大部分なのです。出ていられてもすぐ帰って、実際上座長としての任務を果しておられない。それから今も何回開かれたか伺ったら、その回数をはっきり言われないで、自民党の同和対策特別
委員会と相談した。それはやはり政党
内閣ではありますけれ
ども、そういうことではいけないのです。やはりこの問題についての経緯を、もう一回
厚生大臣は岸さんにも聞かれ、それから
高田社会局長も、みんな経過を御存じですから、聞かれたら、そういう御
答弁はできないはずです。部落解放の問題については、政党政派を超越してやろうということは、自民党の総裁であり
内閣総理
大臣である岸さんが、何回も御自分の方から言われているわけです。われわれもそうしよう、そういうときに閣僚懇談会が自民党の同和対策特別
委員会とだけ懇談したような形で運行されたのでは、うまくいくはずがない。こんな何百年の間、何百人の人が完全に人権をじゅうりんされて暮らしてきた、今でもその
通りになっておる、こういうような重大な問題を根本的に解決するのには、
ほんとうに衆知を集めなければならない。そこでどんな大政党であろうと、一政党であれば、そこに政党の利己心が入ります。そんなもので解決されるということではいけない。社会党の言うことばかり聞かなくてもいいけれ
ども、政党はすべての政党の意見を聞き、団体はその
関係団体の意見を聞いて問題を進めていかなければ、問題が
ほんとうに解決しない。この問題が
内閣で取り上げられたのは、自民党がどうであるとか、
岸内閣がどうであるとか、そんなことで取り上げられたのではないということを言っておられる。私
どもはそれを期待しておる。社会党のわれわれが言っておるのは、社会党がそれで得をしようなんということは
一つも
考えていない。五百年ほどの間、同じ
日本人で何百万人の人が
ほんとうに人間らしい気持で生きられなかった。人権をじゅうりんされながら、その問題がいまだにこの民主社会でも続いている。それを根本的に解決しようという問題で取り上げた。そこで
内閣に公平な強力な審議会を置いてやるべきであるという主張をした。それに対して
岸内閣総理
大臣は、はっきりと置くという約束をなさったんですよ。それは
渡邊さん覚えていらっしゃるでしょう。
昭和三十三年三月十一日にはっきり御承知をなさった。ところがそれが閣僚懇談会に一応横すべりしたような格好になったので、岸さんの真意を伺った、
昭和三十三年十二月であります。ところが岸さんは前のことを覚えておられて、そうではない、閣僚懇談会において
内閣に審議会をどう置くかということを審議するのだ、
内閣に審議会を置くことは基本的な
政策としてちゃんと持っておる、閣僚懇談会でその問題を進めるために今審議しておるのだと言っておられる。ところがその問題が、有力閣僚であるところの、有名メンバー、必要メンバーであるところの
渡邊さんの口から出ないということになれば、閣僚懇談会においてそういうことがまだ進んでいない証拠である、そんなことではいけないと思う。
厚生大臣になられて半年以上、その点は非常に怠慢ですけれ
ども、怠慢を私はこれから責めることはいたしません。怠慢は全部です。労働
大臣も怠慢だ、文部
大臣も怠慢だ、すべてが怠慢だ。すべてが怠慢だけれ
ども、それではいけないから、これから怠慢でないようにやっていただきたい。私は
厚生大臣をどなりつけまして、みずから快としても何にもならない、そんなことは何でもない、
厚生大臣がよくやっていただいたときに、私はありがとうございますと言ってもいい。そんな政党間の問題は何でもない。何百万人の人が何百年の間人権を侵害されて、その問題が解決しないという問題でありますから、だれの功績でもない、だれの怠慢でもない、一刻も猶予を許さぬ、この問題が解決する努力が続けられなければならないわけです。ですからこれから、この瞬間からこの問題に真剣になっていただきたいと思う。各省の問題でありますから、各省々々というけれ
ども、それではいけないから、
内閣に審議会を設けて法的に
予算を組んで徹底的に、環境
改善はもちろん、
ほんとうの問題である
経済の基盤、生活の基盤を確立する問題をやろうということに与野党一致してなっている。それで中心人物がない、中心人物がないところに中心を作るためには、今まで中心であった
厚生省の
大臣である
渡邊さんが中心になってもらわなければいけない。この問題の発端は、ほかの点で非常に不十分な点があったけれ
ども、堀木鎌三さんのときに問題が取り上げられた、その伝統を受け継いで、やはり歴代の
厚生大臣にそれをやっていただかなければならない。
渡邊さんだけがなまけたとは言いません。全部がなまけておる。どうかきょうの瞬間から今までのおくれを取り返して、この問題を推進していただきたい。今までの経過は全部
高田さんなんか知っているはずですから、帰られたら即時全部お聞きになっていただきたい。必要ならば私御
説明に参ります。そうしてそれを推進していただきたいと思います。閣僚懇談会で自民党の同和対策議員協議会ですか、それとだけしたからそれでいいんだということでは困る。そういうことからさっきのモデル地区のような間違いが起こる。よければわれわれも賛成してもいい。ところが、モデル地区には、
高田さんの御
説明のようなことでは
説明し切れない非常な
欠陥がたくさんある。これは大原君の質問中ですから、またの機会に私申し上げますけれ
ども、そういう誤りがあってはいけない。形式的な
財政効果がわかるという問題ではないんです。何百年からの問題を解決するのに、
一つのところにやって
一つのところにやらなければそこに差別が生まれる。それをもらいたいために百の要望をしなければならない。当然の権利のある人が、もらいたいために三十くらいの要望になり、それが解決をしないことになる。安易に
大蔵省あたりが
考えて、一時に問題を集中すれば効果はある。目に見える効果というのは、方々でも目に見えるんです。目に見えたら
大蔵省の人に
説明しやすいという問題だけなんです。見えにくくても注意すれば
大蔵省の人もわかるはずです。それだけの努力を怠っているわけです。集中すればそれだけきれいになって効果があるから、これだけの金を出していただきたいというと、いいでしょうと
大蔵省が言う。それだから出してもらえるでしょうと言う。これは
厚生省としてはすぐ
考えられるだろうと思うことなんです。しかしそれは
大蔵省が、簡単に目に見えなくても、ちゃんと見に行けばわかるような効果が方々にあれば、
一つに集中しなくてもいい。集中しなければならない問題もあるけれ
ども、原則的にはそうなんです。そういうような今のイージーゴーイングな
財政の組み方を踏襲して、この部落問題に出たろうということが間違いである。ほかの問題ならある程度進んでいるから、一時そういうことであっても、それほどの問問題ではありません。ところが何百年の問題を解決するときに、ほかのイージーゴーイングなモデル地区というものを持ち出して、それがいいんだということを結論づけることは非常な間違いです。その間違いは何から起こったかというと、自由民主党の意見だけを聞いたことから起こった。しかもこういう方法でやりましょうという責任を持って
答弁する人がないから、結局それに対しての追及もできない。ぐるぐるとやっているうちに勝手に
予算にモデル地区をきめて出している。それでは
予算に組みかえにくいということになる。そういうことにならないために
内閣に審議会を置いてやりなさいということを前から言っているわけだ。それを何百年の歴史を変えようという大きな観点からじゃなしに、小さな観点から、これから審議会を整理する段階であるというなまけた
考え方から、総理
大臣が責任を持った重要な審議会をストップしてまだやってない。くだらない審議会はストップしてもかまいませんが、
ほんとうに大事な審議会をストップさせるというばかな話はないんですよ。ところがそういうようなことが
内閣全体に行なわれている。
渡邊さんはその経過はあまり御存じないから、こんな大きな声で申し上げたら失礼かもしれませんが、私なまいきな態度で言っておりますけれ
ども、
渡邊さん、人間が
ほんとうに人間扱いをされない時代が五百年ほど続いてきて、そして何百万人の人がどんなに努力をしようとしても人間として扱われなかった時代がある。今どんなに努力しようと、基盤が少ないために、人間らしい
経済的な基盤を固めることができない人がある。そういう問題を解決する重要な審議会を、ただ今までのあまり小さな、こまごました能率の上がらない審議会を整理しようとしている段階だからということで延ばしていくということが行なわれている。総理
大臣が約束しながら延ばされている。そういうことではいけないと思う。大きな立場からやっていただきたいと思うんです。いろいろな個々の問題ではないんです。それで審議会を設置するためにぜひ
厚生大臣が推進力になっていただきたい。ところがなっていただいてない現状でありますけれ
ども、これからでけっこうです。
日本人全体が五百年誤りを犯していた。
厚生大臣が六カ月間だけなまけられたことは、その中のごくわずかなことです。これからさえやっていただければ、私は
厚生大臣の功績を大いにたたえる決心を持っているわけです。ですからこれから
厚生大臣が閣僚懇談会の中で中心になって、この問題が停頓しているが、停頓さしてはいけないという主張をして、
内閣に完全な事務局を持った有力な審議会を置くということを、これは
予算上はなんでもない。ここに
予算の大家がおられますけれ
ども、審議会を置くこと自体は、
予算は大したことはないです。これを少なくともこの二、三週間の間に
厚生大臣の口から、そのときは岸さんのかわりでもけっこうです。そういうものを置くことになりましたと、ここで御報告になっていただくくらいの推進をやっていただくということをお約束願いたいと思う。