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松野国務大臣 最近の
労働時間を見ますると、この三年間に二時間ばかり平均いたしましてふえております。三十年が月に百九十八時間くらいです。それが大体二百時間から二百一時同、二百二時間という月もありますけれども、平均して二時間半くらいふえております。それでは時間外と時間内はどうなるか。これは現状を見ますると、今日基準法では一週四十八時間で、四十八時間からオーバーするものが月に約二十時間というのが現状であります。従って、だんだん率は、ことに昨年ふえました。
労働時間がふえたのは、
経済の急激な伸張と、製品において生産活動が
上昇したということが確かにふえた原因になりましょう。従って、やはり
経済状況にかみ合わせた
労働時間の上下が確かに行なわれております。
その次は、所定外、所定内の
賃金格差というもの、これが
労働者に対する
所得増と現に
関係いたしております。従って、ほんとうに四十八時間という
労働時間を変えなければいかぬというと、まだそこの実情まで至っておりません。それよりも
労働時間、基準法を守るということが今日の
状況ではないか。これを急に引き下げるということになれば、いろいろ大きな派生的な問題が出てきはしないか。第一には、その
賃金時間における生産の問題、
経済の問題、第二には
所得賃金の問題、そういう問題が多種多様に加味されますから、
一つの企業で、あるいは短縮して能率を上げて、
賃金も今の手取りと変わらないということが可能かもしれません。しかし、すべての
日本の総合産業の中で、基準法の適用される全部の産業に直ちに基準法をいじくることがいいか悪いか、これは事が重大であります。従って私は、そういう
所得の問題あるいは生産の問題、能率の問題、そういうことを加味し、あるいは上下の
関係、関連産業の上下の
関係というものを
考えてやらなければならないのじゃなかろうか。一番端的に申しますれば、国家公務員のような問題が出てきはせぬか。かりに一週五日制をしいたときに、五日では関連民間業者に対する
関係はどうなるか、金融業者であるならば、産業
関係にどうなるかということも
考えないと、かりに
一つの例をとりましても、いろいろな問題が出てきはせぬかと私は思います。従って、これは総合的にもう少し研究さしていただかないと、
一つの産業でこうだああだと言うよりも、社会の
経済情勢ということも
考えなければならぬ。一番端的に言えば、役所の五日制というのが問題になると思う。そうなったときに、公務員法はどうなるか、あるいはそれに関連する産業はどうなるかということも
考えると、
日本の今日の
状況では、なかなか役所が土曜日休みになるということは大へんだということも出て参ります。そういうことはやはり縦横から
考えなければ、ただ基準法の四十八時間をいじくるというよりも、私はその
現実をもう少し研究させていただきたい。私は必ずしも時間短縮に反対ではありません。時間短縮も労使間で話がついて、その産業が成立すれば、時間短縮には私は反対ではございません。しかし、基準法をいじくるというのは、また別個な問題として、もう少し研究さしていただきたい、こういう
意味であります。