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1960-02-09 第34回国会 衆議院 社会労働委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    国会召集日昭和三十四年十二月二十九日)( 火曜日)(午前零時現在)における本委員は、次 の通りである。    委員長 永山 忠則君    理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君    理事 藤本 捨助君 理事 五島 虎雄君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君    理事 堤 ツルヨ君       池田 清志君    大橋 武夫君       亀山 孝一君    川崎 秀二君       倉石 忠雄君    藏内 修治君       河野 孝子君    河本 敏夫君       齋藤 邦吉君    志賀健次郎君       重政 誠之君    中村三之丞君       中山 マサ君    早川  崇君       古川 丈吉君    柳谷清三郎君       山下 春江君    亘  四郎君       赤松  勇君    伊藤よし子君       大原  亨君    岡本 隆一君       風見  章君    河野  正君       多賀谷真稔君    中村 英男君       山口シヅエ君    吉川 兼光君       今村  等君 ――――――――――――――――――――― 昭和三十五年二月九日(火曜日)     午前十時二十四分開議  出席委員    委員長 永山 忠則君    理事 大石 武一君 理事 大坪 保雄君    理事 田中 正巳君 理事 八田 貞義君    理事 藤本 捨助君 理事 五島 虎雄君    理事 滝井 義高君 理事 八木 一男君    理事 堤 ツルヨ君       池田 清志君    亀山 孝一君       藏内 修治君    齋藤 邦吉君       中山 マサ君    伊藤よし子君       河野  正君    小林  進君       多賀谷真稔君    木下  哲君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 渡邊 良夫君         労 働 大 臣 松野 頼三君  出席政府委員         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     熊崎 正夫君         労働事務官         (大臣官房会計         課長)     和田 勝美君  委員外出席者         専  門  員 川井 章知君     ――――――――――――― 二月一日  委員河本敏夫辞任につき、その補欠として清  瀬一郎君が議長指名委員に選任された。 同月二日  委員重政誠之辞任につき、その補欠として田  中角榮君が議長指名委員に選任された。 同月四日  委員清瀬一郎君、風見章君、岡本隆一君及び今  村等辞任につき、その補欠として久野忠治君、  小林進君、本島百合子君及び木下哲君が議長の  指名委員に選任された。 同日  委員吉川兼光君が辞任した。 同月五日  委員久野忠治辞任につき、その補欠として加  藤鐐五郎君が議長指名委員に選任された。     ――――――――――――― 昭和三十四年十二月二十九日  労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出第三号)  じん肺法案内閣提出第四号)  公共企業体等労働関係法の一部を改正する法律  案(勝間田清一君外十四名提出、第三十一回国  会衆法第七号)  地方公営企業労働関係法の一部を改正する法律  案(勝間田清一君外十四名提出、第三十一回国  会衆法第八号)  失業保険金給付日数に関する臨時措置法案(  多賀谷真稔君外十三名提出、第三十一回国会衆  法第九号)  健康保険法労働者災害補償保険法失業保険  法及び厚生年金保険法の一部を改正する法律案  (多賀谷真稔君外十三名提出、第三十一回国会  衆法第六一号)  政府に対する不正手段による支払請求防止等  に関する法律を廃止する法律の一部を改正する  法律案五島虎雄君外十三名提出、第三十一回  国会衆法第六二号)  職業訓練法の一部を改正する法律案五島虎雄  君外十三名提出、第三十一回国会衆法第六五  号)  原子爆弾被爆者医療等に関する法律の一部を  改正する法律案大原亨君外十三名提出、第三  十三回国会衆法第一四号)  失業保険法及び職業安定法の一部を改正する法  律案齋藤邦吉君外二十三名提出、第三十三回  国会衆法第二三号)  厚生年金保険法の一部を改正する法律案田中  正巳君外二十三名提出、第三十三回国会衆法第  二四号)  日雇労働者健康保険法の一部を改正する法律案  (田中正巳君外二十三名提出、第三十三回国会  衆法第二五号)  船員保険法の一部を改正する法律案田中正巳  君外二十三名提出、第三十三回国会衆法第二六  号)  船員保険法等の一部を改正する法律案内閣提  出、第三十一回国会閣法第一六八号)  医療法の一部を改正する法律案内閣提出、第  三十一回国会閣法第一八三号) は本委員会に付託された。     ―――――――――――――  本日の会議に付した案件  国政調査承認要求に関する件  委員派遣承認申請に関する件  厚生関係及び労働関係基本施策に関する件      ――――◇―――――
  2. 永山忠則

    永山委員長 これより会議を開きます。  この際、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。一、厚生関係及び労働関係基本施策に関する事項、二、社会保障制度医療公衆衛生社会福祉及び人口問題に関する事項、三、労使関係労働基準及び雇用失業対策に関する事項、以上各事項についてその実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会設置関係各方面よりの説明聴取及び資料要求等の方法により、本会期調査を進めたいと存じます。つきましては衆議院規則第九十四条により議長承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認め、さように決しました。速記をとめて。     〔速記中止
  4. 永山忠則

    永山委員長 速記を始めて。      ――――◇―――――
  5. 永山忠則

    永山委員長 厚生関係基本施策に関する件について調査を進めます。この際、厚生大臣より発言を求められておりますので、これを許します。渡邊厚生大臣
  6. 渡邊良夫

    渡邊国務大臣 本日、社会労働委員会審議が行なわれるにあたり、厚生省所管の諸行政に関し、所信の一端を申し述べたいと存じます。  ここ数年間、厚生行政皆様方の一方ならぬ御協力によりまして、目ざましい進展を続けており、特に社会保障の二つの柱であります医療保障及び所得保障につきましては、これまで国民保険計画推進及び国民年金制度創設等によって、次第に体制を整えてきたのであります。明三十五年度は、国民保険計画につきましては、完成の年度であり、一方国民年金制度につきましては、本格的に軌道に乗せる年度でありまして、いずれもきわめて重要な時期にあたっておるのであります。私といたしましては、引き続いてこれらの二大施策を強力に推進していくものであることは申すまでもありません。同時に国民生活の現状をながめまするとき、このほかにもこの際緊急に厚生行政において解決をはかっていかねばならない諸問題が存在するのであります。このため明三十五年度には右の二大施策と並行しまして、これらの諸問題に対する諸施策をも強力に推進することといたしております。  以下明年度施策大要予算案中心として、お手元に配付した資料昭和三十五年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算案についての説明に基づいて申し述べたいと存じます。  昭和三十五年度厚生省所管一般会計予算における総額は一千六百四十七億一千四百九十四万五千円でありまして、これを昭和三十四年度当初予算一千三百五億四千三百五万五千円に比較いたしますと三百四十一億七千百八十九万円の増加と相なり、前年度予算に対し二六・二%の上昇を示しております。また国家予算総額に対する厚生省予算の比率を見てみましても、前年度九・二%であったのが一〇・五%と相なっております。  昭和三十五年度予算編成にあたりましては、社会保障確立強化に特に意を用い、医療保障については、国民保険計画達成に一段の努力をいたしますとともに、本年度より実施を見ました国民年金制度につきましては福祉年金本格的支給拠出年金実施準備態勢確立にそれぞれ努力いたした次第でございます。また、これと平行して低所得者層福祉向上母子福祉及び児童福祉充実主要疾病対策強化生活環境改善等厚生行政の中核となる諸施策を強力に推進することといたしております。  次に、特に重要な事項について、その概要を御説明申し上げます。  まず第一は、国民年金に必要な経費であります。国民年金のうち、福祉年金につきましては、本格的支給を行なうため、これが必要経費二百四十七億五千九百余万円を計上いたし、拠出年金につきましては、本年十月よりは適用事務が、さらに昭和三十六年度より保険料徴収事務が開始されますので、これら事務の円滑かつ迅速な処理をはかるため、本年度においてはこれが事務処理態勢を早急に整備することとし、福祉年金業務強化を含め、中央地方を通じて二千九百三十人の職員を増員し、また拠出事務の一部を市町村に委任するに必要な経費として新たに十六億七百余万円を計上し、国民年金制度に必要な経費としては総額二百八十九億千七百余万円を計上いたしております。  第二は、国民保険推進と、その基礎的条件整備に必要な経費であります。国民保険計画達成の年として、新たに被保険者六百十八万九千人の増加をはかることとし、三十五年度末の被保険者数を四千八百十一万二千人と見込み、年間平均四千四百万人として所要経費を算定いたしております。すなわち、対象人員増加医療費の伸びを勘案して、療養給付費補助金及び財政調整交付金として二百二十七億四千二百余万円を計上いたしておりまして、これを前年度に比較いたしますと、五十二億八千余万円の増額となっております。また、事務費補助については、一人当たり単価を前年度の九十五円から百円に引き上げることとして、四十四億七百余万円を計上いたしております。なお、新たに国民健康保険団体連合会に対して診療報酬審査支払い事務に関する補助金として一億円を計上いたしております。  次に、国民保険基礎的条件整備でありますが、まず、公的医療機関整備につきましては、僻遠の地で経済的に民間診療所の開設を期待できない地区に対しまして、国立病院または公的病院出張診療所を開設せしめるとともに、公的病院整備を行なうこととし、これらに対する補助一億六百余万円を計上いたしております。さらに国立病院整備改善のため、十一億九千二百余万円を国立病院特別会計繰り入れるとともに、国立療養所整備改善についても所要の配慮をいたしております。また、私的医療機関等に対し、長期かつ低利の資金を融通する目的で事業資金三十億円をもって医療金融公庫を新設いたしまして、私的医療機関等の適正な整備及び機能強化推進することとしております。  第三は、生活保護費及び社会福祉増進に必要な経費であります。まず生活保護費でありますが、生活扶助につきましては、その対象人員月平均百四十六万七千人余と予定し、扶助基準は、飲食物費を引き上げるとともに内容改善をはかり三%程度引き上げることといたしております。医療扶助につきましては、対象人員増加傾向にかんがみ前年度見込み人員基礎として、入院については五%、入院外については三%と、それぞれ人員増加を見込んでおります。また出産扶助葬祭扶助につきましても所要基準改訂を行なうことといたしております。  なお、福祉年金支給と相待って老齢加算を新設するとともに、身体障害者及び母子加算についても、それぞれ増額することとして所要経費を算定いたしております。  さらに、社会福祉施設整備に努めるとともに、施設職員期末勤勉手当増額し、この結果、生活保護費として四百六十七億三千二百余万円を計上いたしておりまして、前年度当初予算に比し、五十億九千四百余万円の増額となっております。  なお、精神薄弱者保護更生援護をはかるため前年度に引き続き収容施設拡充するほか、新たに厚生省精神薄弱者福祉審議会を、国立精神衛生研究所の中に精神薄弱部を、それぞれ設けるとともに、精神薄弱者更生相談所を各都道府県及び五大市に設置することとし、これが事務費補助金として、三百六十余万円を計上いたしております。  このほか、低所得者層対策として、前年通り世帯更生資金貸付補助金として三億円、医療費貸付補助金として二億円をそれぞれ計上するほか、新たに、心配ごと相談所市町村単位設置することとし、本年度においてはとりあえず百五十五カ所分として一千万円を計上いたしております。  第四は、児童福祉及び母子福祉増進に必要な経費であります。まず、児童措置費につきましては、新たに、児童福祉施設収容児童に対する見学旅行費として一千余万円を計上するとともに、保育所における保育児童間食費として、一人一日三円として、二億九千四百余万円を計上いたしております。  なお、保育所の保母その他児童福祉施設職員の待遇の改善をはかるための期末勤勉手当増額するほか、前年度に引き続き、母子健康センター児童遊園保育所その他の福祉施設整備する等いたしまして、その結果、児童保護費として九十億余万円を計上いたしております。  次に、母子福祉につきましては、新たに母子福祉センター設置することとし、これが設置補助金として四百余万円を計上するとともに、母子福祉貸付金として三億円を計上いたしております。  このほか、児童福祉対策としては、新たに中央児童厚生施設設置することとして、七千万円を計上いたしております。  第五は、主要疾病対策に必要な経費であります。まず、結核対策につきましては健康診断予防接種並びに発見患者の治療の徹底に努めるとともに、前年度に引き続き、いわゆる濃厚感染源患者隔離対策をさらに強化するため、新たに、保健所単位に二百カ所の特別地区を追加することとして所要経費を算定し、二億三千余万円を増額いたしております。右のほか、結核対策費としては、国立結核療養所経費を加えまして、百七十四億八百余万円と相なり、前年度に対し、九億五千二百余万円の増額となっております。  次に、成人病のうち特にガンにつきましては、国立ガンセンター設置することとして、本年度においてはとりあえず設立準備費として三百五十余万円を計上するとともに、ガン患者実態調査を行なうため百三十万円を計上いたしております。  また、精神病対策につきましては、引き続き収容施設整備するとともに入院患者措置費等に必要な経費として、十億六千五百余万円を計上いたしておりまして、前年度当初予算に比し一億一千三百余万円の増額となっております。  なお、原爆被爆者に対する健康診断及び医療費につきましては、新たに交通手当及び医療手当支給することとして、九百一十余万円を計上するとともに、対象医療の範囲を一般疾病医療にまで拡大することとして、四千八百余万円を計上いたしております。その結果、従前の医療費等を含めまして原爆被爆者障害対策費としては一億九千八百余万円を計上いたしております。  第六は、生活環境改善向上に必要な経費であります。明るい生活環境実現するため、特に環境衛生施設整備をさらに強力に推進することとし、簡易水道につきましては十三億六千六百余万円を計上し、また都市における屎尿処理抜本的解決策として、下水道終末処理施設整備するため七億四千五百万円、屎尿衛生的処理を行なうための屎尿消化槽等整備に五億五千万円をそれぞれ計上し、いずれも前年度に比し担当大幅に増額いたしております。  このほか、国立公園国定公園施設整備のため一億七千五百万円を計上し、また地方改善事業としては、新たにモデル地区を設けるとともに、共同井戸共同炊事場等対象事業として拡大することとし、一億三千三日余万円を計上いたしまして同和対策推進をはかることといたしております。  以上、昭和三十五年度厚生省所管一般会計予算について、その概要の御説明を申し上げたのであります。  次に、昭和二十五年度厚生省所管特別会計予算大要について御説明申し上げます。  まず、第一は厚生保険特別会計についてであります。厚生保険特別会計につきましては、一般会計より、健康保険給付費財源繰り入れ五億円、日雇健康保険給付費財源繰り入れ二十三億五千九百余万円を見込みまして、健康勘定におきまして、歳入歳出とも九百二千七億四百十一万円、日雇健康勘定におきましては歳入歳出とも七十四億九千九十四万三千円、年金勘定におきましては歳入一千十七億七千八十六万一千円、歳出百五十三億五千五百八十六万三千円、業務勘定におきましては歳入歳出とも五十八億九千五百九十六万五千円をそれぞれ計上いたしております。これは、健康勘定については、保険料率を千分の六十三とし、日雇健康勘定につきましては、国庫負担率を前年度予算同率の十分の三として、それぞれ算定した内容のものであります。  第二は、船員保険特別会計についてであります。船員保険特別会計につきましては、疾病部門その他につきまして、四億四千五百五十余万円の一般会計よりの繰り入れを行ない、これに要する経費といたしまして、歳入八十三億五千五万七千円、歳出六十二億七千六百五十七万三千円を計上いたしております。これは、疾病年金及び失業部門保険料率等につき、前年度予算同率で算定した内容のものであります。  第三は、国立病院特別会計についてであります。さきに述べましたように、国立病院整備改善のため所要財源一般会計より繰り入れるのほか、六億五千七百七十五万一千円の国庫債務負担行為を計上し、国立病院特別会計といたしましては、歳入歳出とも百四億四千三百二十六万五千円を計上いたしております。  最後に、あへん特別会計についてでありますが、本年度アヘン買い入れ予定量は、輸入五十三トン、国内産四トンでありまして、一方製薬原料としての売り渡しは五十五トンを予定しておりまして、あへん特別会計といたしましては歳入歳出とも三億八千六百三十五万九千円を計上いたしております。  以上、昭和三十五年度厚生省所管一般会計及び各特別会計予算案につきまして、その概要を御説明申し上げたのでありますが、何とぞ本予算案の成立につきましては、格別の御協力をお願いいたす次第であります。      ――――◇―――――
  7. 永山忠則

    永山委員長 労働関係基本施策に関する件について調査を進めます。  この際、労働大臣より発言を求められておりますので、これを許します。松野労働大臣
  8. 松野頼三

    松野国務大臣 第三十四通常国会が開かれるにあたり、今後における労働行政の運営について私の所信を申し上げ、各位の御理解と御協力を仰ぎたいと存ずる次第であります。  私は就任以来、次の三点を柱として労働行政を進めて参りました。その第一は経済発展に積極的に貢献することであり、第二は、経済発展の大勢に取り残された人々にあたたかい援護の手を差し伸べることであり、第三は、労使関係安定の実現のため力をいたすことであります。最近の経済情勢社会情勢を見ておりますと、こうした態度の妥当であることをますます強く確信する次第でありまして、今後とも、これによって行政を運営する所存であります。以下、この三点を中心所信を申し述べたいと存じます。  今回、国民所得倍増目標とする長期経済計画が策定されることとなり、経済審議会諮問が行なわれておりますが、所得倍増も、雇用が着実に伸び、その内容改善されてこそ初めて意義のあることであります。こうした観点からも、今後の労働政策産業政策密接不可分のものとして、あるいはさらに経済政策の一つの柱として推進されなければならないと信ずるのであります。  最近の雇用失業情勢は、経済の好調に伴い著しい改善を見ておりますが、さらに新年度予算におきましては公共事実、財政投融資の大幅な増額が行なわれることになっております。従いましてこれにより相当雇用の増大が見込まれておるのであります。こうした状況に対応いたしまして失業対策事業におきましては、量よりも質に重点を置き、賃金単価を初めとして資材費事務費を引き上げ、事業効果向上をはかった次第であります。  最近の急速な経済拡大科学技術進展に伴い、産業界技能労働者に対する需要はまことに強いものがあります。産業経済発展技能労働力の供給が十分であるかどうかによって左右されると申しても過言ではありません。単に雇用量拡大に努めるのみならず、雇用質的向上を期することもまた経済発展の方向に沿った雇用政策の重要な目標であることは当然であります。この観点に立ち、新年度におきましては、科学技術の振興、技術教育推進と相待って、公共職業訓練施設整備拡充事業内職業訓練に対する援助指導を一段と強化して職業訓練制度充実をはかり、もって雇用問題解決の一助といたしますとともに、経済拡大の基盤ともいたしたいと所存する次第であります。  なお、こうした技術革新に伴い、生産に従事する労働者産業災害職業病から守ることがますます重要となってきております。産業災害防止及び職業病予防は、労働者福祉のためのみならず、企業の繁栄のためにも必要不可欠のものであります。このため、産業災害防止総合五カ年計画による安全対策の一そうの充実をはかり、労働衛生の面では、関係規則整備とともに、特殊健康診断の励行、作業環境改善等についても積極的な指導に努めたいと考えております。  次に、基本方策の第二として、恵まれぬ人々福祉向上について申し上げます。  中小企業に対する労働対策につきましては、従来から各般の施策推進してきており、それぞれ成果を見ているところであります。経済好況の波もようやく一部の中小企業に及び始めておりますが、なお大企業に比べ労働条件が著しく劣り、かつ雇用労使関係も不安定なものが多いことは、遺憾ながら事実であります。このような状態を打開するためにも、また最近の貿易自由化に伴い労働者にそのしわ寄せが来ることを防ぐためにも、中小企業における労働条件向上をはかることはきわめて肝要であります。このような状況からいたしまして、労働基準法の適正な監督を通じて重点的、段階的に法の趣旨の実現に努めるほか、最低賃金制退職金共済制の普及、失業保険小規模事業所に対する適用拡大等施策により、中小企業労働者福祉増進したいと思っております。なお、これら中小企業諮問題労務管理の非近代性に起因する場合の少なくないことにかんがみ、今後においては、労務管理についても総合的に合理化近代化指導を行なう所存であります。  働く婦人年少者につきましては、主として中小企業に問題があるのでありますが、その実質的な地位の向上及び福祉増進のため、婦人職業対策施設拡充年少労働者福祉員制度推進等積極的に施策を進めているところであります。  家内労働問題につきましては、わが国の家内労働はきわめて広範に存在し、その形態も複雑であるため、いまだ十分に実態を把握しているとはいえない段階にあります。このため、昨年、関係学識経験者を委嘱して必要な調査を行なうとともに、家内労働対策樹立のための根本的検討を進めており、その結果をまって適切な対策を行なう所存であります。  炭鉱離職者対策につきましては、昨年末に制定を見た炭鉱離職者臨時措置法に基づき、広域職業紹介職業訓練拡充等を行なうほか、炭鉱離職者援護会による援護業務を積極的に実施し、離職者生活の安定をはかることとしております。  身体障害者就職促進につきましては、従来より職業安定行政重点施策として努力を重ね、相当成果をおさめてきております。しかし、さらに強力な援護措置をはかるため、官公庁、民間事業所等における身体障害者雇用比率の設定、新しい作業環境に適応するための訓練の実施等を内容とする法案について、準備を進めているところであります。  なお、昨年末、けい肺保護制度の根本的改正を企画して、じん肺法案及び労災保険法一部改正案を国会提出いたしました。成立の暁には、じん肺法によって粉塵作業に従事する労働者の塵肺に関する予防、健康管理措置が一段と強化されるとともに、労災保険法によって、けい肺、せき損患者のみならず、業務上重篤な傷病にかかったすべての労働者について終身にも及ぶ年金支給されることとなり、労働者福祉に絶大な貢献をするものと考えております。  次に、第三の柱である労使関係の安定について申し上げます。労働争議の早期解決をはかり、またこれを未然に防止して産業平和の確保を期することは、わが国経済発展に欠くべからざる大前提であることはいうまでもなく、第一の点として申し述べました経済発展に積極的に貢献する政策の推進と表裏の関係をなすものでありましょう。翻ってわが国の労働組合運動ないし労使関係を見ますと、次第に健全化の道をたどってきておりますことはまことに喜ぶべきことと考える次第であります。しかしながら、なお未熟な面も少なからず残されており、特に中小企業にあっては、昨年来労働争議が頻発し、暴力事件さえ惹起する傾向もあり、労使関係の安定は十分に実現されていない状況にあります。このような現状にかんがみ、労働秩序の確立をはかり労使関係近代化をはかることが急務であると考えられます。私といたしましては、この目的を達成するため労働教育その他諸般の施策推進して参る所存でありますが、一方、労使も、国民世論の要請にこたえ、国民経済のにない手としての責任を自覚して、共通の地盤に立って話し合い、相協力して国民経済発展に寄与するという、よき労働慣行を樹立されることを強く望むものであります。  最後に労使関係法規の改正についての所見を申し述べます。現行労使関係法規は制定後十余年を経過いたしました。これらの諸法規は社会情勢の推移等から見て実情に即しない点もありますので、私としてはこの際、労使関係法規の運用の実情及び運用上の問題点について基礎的な調査研究を行なうことが必要であると考え、労働問題懇談会にもお諮りした上、労使関係法研究会を設け調査研究に着手したところであります。  なお、ILO八十七号条約批准をめぐる諸問題につきましては、これまでもたびたび申しあげて参りました通り政府といたしましては、昨年二月ILO八十七号条約を批准するという基本的方針を決定しており、この方針には何ら変わりがございません。しこうして、ILO八十七号条約は、労使団体の基本的あり方を定めたきわめて重要な意義を有するものであり、本条約の批准がわが国労働関係に及ぼす影響も広範囲と考えられますので、公労法四条三項、地公労法五条三項の廃止を含めて、関係諸法規全般について慎重に検討を進めている段階でありまして、政府としては、できる限りすみやかにこれらの関係諸法規を整備した上で、本条約批准承認案件を提案する手続をとりたいと考えております。  以上、労働行政について簡略に私の考えているところを申し述べました。今後とも各位の御意見を十分に拝聴して諸施策を進めて参る所存でありますので、よろしく御協力下さいますことをお願い申し上げる次第であります。      ――――◇―――――
  9. 永山忠則

    永山委員長 次に、先ほどの厚生大臣説明に関連し、来年度予算措置の概要について説明を聴取することにいたします。熊崎会計課長
  10. 熊崎正夫

    ○熊崎政府委員 お手元に「昭和三十五年度厚生省所管予算要求額主要事項別調」という、全部で三十七日にわたりましての主要事項の資料を差し上げてございますが、先ほど厚生大臣の方からお話のありました点につきまして、会計課長より、敷衍いたしまして中身を御説明申し上げたいと思います。  三枚目の一ページのところから中身の説明になってございます。簡単に説明させていただきたいと思います。  第一は医療制度調査費千四百十五万九千円でございますが、これは医療制度調査会の関係経費と、それから医業経営実態調査関係経費が入ってございまして、医業経営実態調査関係経費は千三百二十万九千円という負担額を計上してございます。これは病院二十分の一、一般診療所五十分の一、歯科診療所百分の一という任意抽出によりまして、医実経営の実態調査をやろうという経費でございます。  それから、二の項目の結核対策費が百七十四億八百四万六千円計上されておりまして、前年度よりも九億五千万円ふえておりますが、内訳の一つの健康診断予防接種費が減額になっておりますのは、これは毎年決算時におきましても大体一億か二億ぐらい、予防接種健康診断につきましては不用額が出ておりまして、その実績に合わせまして多少減額になっておりまして、健康診断対象人員あるいは予防接種人員が多少前年度よりも減員になっております。  それから結核管理費につきましては、これは先ほど大臣の御説明にもありましたように、三十四年度予算におきましては保健所の数二百地区を推進地区として取り上げましたが、それを本年度予算におきましては倍にふやしまして、四百地区になりました関係経費の増でございます。  それから三番目の結核医療費の方の金額の増は、これは結核治療指針の改正が昭和三十四年度に行なわれまして、三者併用が認められたわけでございますが、その分の増額がありました点でございます。これが単価の一万二百七十円が一万六百九十二円になっておるということに現われておるわけであります。  それから従業禁止、命令入所費その他につきましては、先ほど大臣の御説明がありました二百地区の増加の分の増に見合う金額がここに出ておるわけであります。  それから四番目の国立療養所の方の金額がふえておりますのは、人件費の増が大部分でございまして、整備費につきまして四百九十六万円ふえておりますのは、これは国立結核療養所屎尿処理あるいは建物の整備を前年度に引き続きましてより以上に整備いたしたいということでふえた金額でございます。  それから五番目のアフター・ケア関係の施設でございますが、これは中身がふえましたのは、民間の社会福祉法人がやっておりますアフター・ケア施設につきまして新たに運営費を出そう、これが三カ所分新規にふえました分の増額でございます。  それから三ページに参りまして、ガン対策費、二つの項目に分かれてございますが、第一のガン・センター設立準備費は、現在接収解除になっております築地元海軍病院――海軍の軍医学校の病院でございますが、これをガン・センターにしたいということで、三十六年度以降国立ガンセンターの予定にいたしまして、それの準備を一応三十五年度において始めたいという経費でございまして、準備委員会経費と、それからあの建物を管理運営するための守衛その他の賃金職員の六人分ぐらいの経費が入っております。  それから次のガン実態調査費、これは死亡率の高い全国のうち四県分ぐらいを抽出いたしましてガンの実態調査をやって将来のガン対策にしたいという経費でございます。四県というのは、大体新潟、愛知、高知、福岡くらいを予定しております。これはガン患者の多いところ、その他バランスをとって一応抽出いたしてみたいということでございます。  四の精神衛生対策費の病床が減額になっておりますが、これは節約に伴う減額でございますのと、法人立の分が前年度五百ベットであったのが本年度三百七十五ベッドになりました分の減額でございます。それから国立精神療養所の減額の分は、これは三%の節約の減額でございます。  それから二の療養所運営費につきましての増額は、これは人件費の増額でございます。  それから三に措置入院費補助金が六千万円ふえてございますが、これは措置入院命令を下します人員が、前年度一万二百三十一人でございましたのを、本年度は一万二千百二十七人、過去三年間の平均の増加数を見込みまして人員をふやした関係の増でございます。  その他につきましてはほとんど差はございませんが、新規で在宅精神障害者実態調査費百九万円が計上されておりますが、これは精神対策につきましてより根本的な調査を一つやってみたいということで、従来放置されておりました精神障害者の実態を追及していきたいという経費でございます。  それから次の五番目の原爆対策費七千二百六十九万五千円の増額がございますが、これは医療費の分が、関連疾病というので、従来は原爆症に限られておりましたのを、原爆症に関連する疾病につきましても医療費の範囲を拡大したいという関係経費でございます。  それから健康診断の方が減額になっておりますのは、これは実績によります減額でございます。  それから変わったところで、四番目の医療手当というのが出て参ります。これは原爆患者であるいわゆる低所得階層につきまして、入院患者、通院患者合わせて月二千円の、医療以外のいろいろ出費がかかるので、その点の手当を出そうということでありまして、一律二千円の経費を計上いたしました金額でございまして、この関連疾病並びに医療手当等一連の新しい予算措置をやる、こういうことによりまして、現在の原爆医療法法律の改正案を提案準備中でございます。  それから五ページに参りまして、保健所費の中身でございますが、前年度より若干ふえておりますが、中身につきましてはほとんど異同がございません。一の運営費の方がふえております点は、これは医者の人件費――摘要の欄に出ておりますが、従来二十五万三千九百五十六円といいます医者の単価は、結核対策推進地区の医者についてのみこういう高い単価を三十四年度予算におきまして計上されておりましたのを、今度は医師等の職員全部につきまして、保健地区以外全部の保健所の職員につきまして単価を引き上げたいということで計上しました金額で、事務職員その他につきましても若干の補助単価の引き上げをいたす、その分の増でございます。     〔委員長退席、大坪委員長代理着席〕  それから整備費等が減額されておりますのは、これは節約によります減額であります。  それから、らい対策賞が計上されております。五千九百万円増額されておりますのは、療養所の運営費におきまして人件費の増、特に国立らい療養所におきましてはテレビを二カ年計画で全部の療養所に備えつけたいという最終年度分でございます。それ以外に、従来ともらい療養所の方から非常に強い要望のありました作業賞与金を引き上げております。  それからその裏をめくっていただきますと、六ページのところに治療研究費一人当たり一万三千八百七十円を二万五千円にするということになっておりますが、これはらい療養所の医師につきましては、いろいろと待遇改善その他のことも考えなければなりませんので、特にらい療養所の医師につきましては、治療研究費を二万五千円の大幅の引き上げをやったのでございます。治療研究費につきましては、ここで申し上げますが、国立療養所の結核療養所の方につきましては、現在一万三千八百六十四円――これはここに出ておりませんが、現在の治療研究費一万三千八百円を一万六千五百円ということで増額いたしましたのと、それから国立病院につきましては二万一千五百円の現在の治療研究費を二万五千四というふうに増額することにいたしました。らいだけは療養所の中でも特に治療研究費を二万五千円に増額いたした、こういう形になっているわけでございます。  それから整備費につきましては、一般整備費は若干増額いたしておりますが、これは長島の愛生園の関係水道の経費でございます。  それから次の三、四につきましてはほとんど変動はございません。(「医師充足対策費のところで摘要欄はどうして消したのか」と呼ぶ者あり)  これは大体現在の研究費が、医師一人当たりにしますと三十四年度予算におきまして三万四千四百四十七円ということになっておりまして、人員は三千三百八十八人に計算されておったのでございますが、実際の医師の人数を実情に合わせまして、一人当たりの単価は三十五年度予算におきましては四万三千八百円、一人当たりの単価をふやしまして、それで医師の人員は実情に合わせるということで、二千百四十人ということにいたしたわけであります。それでその減額された分が一の運営費の方の医者の補助単価の増額の方に回した、こういう結果になるわけであります。  それから六ページの伝染病予防対策費につきましては、減額もございますが、これは節約によります減額がかかっておりまして、大体三%ないし五%程度の節約をはかったわけであります。  それから九番の簡易水道等施設費につきましては、相当増額がございまして、ただ前年度予算額の中に災害の補正分が計上されておりますので、この二番目の上水道あたりのところで減額九千三百万円というのが目立っておりますが、これは上水道の前年度予算が一億六千三百万円になっておりますのは、三十四年度の災害の復旧費の補助金でございまして、本来からいえば、上水道につきましては補助金が出ないので、全部起債でやるのを建前といたしておりますが、三十四年度災害の分はこれは補助金を出しまして、それの持越分が来年度におきまして七千万円ということになっておるのでございます。本来からいえば起債で計上されるべきもの、こういうふうにお含みおきを願います。  八ページのところに参りまして、環境衛生対策費で、清掃、下水、首都圏対策分ということで屎尿処理、下水関係の分の予算が相当増額になっておりますが、清掃施設につきましてはオリンピック対策分と、一般分と分けて、四億五千万円計上されまして、一億四百五十万の増額になっております。オリンピックにつきましては埼玉県の朝霞、戸田、蕨等の分が千二百万円計上されておるわけであります。それから高速堆肥化処理施設整備につきましては、三千六百万の増額がございますが、補助率が五分の一となっておりますのは、これは尼崎分が一般と違いまして、補助率が五分の一ということに計上されておるわけでございます。  下水の終末につきましては、一億二千万の増額になっておりますが、これはカッコ内は北海道開発庁に計上されたものでございますので、補助率が三分の一と四分の一というふうになっておりますが、四分の一の分につきましては名古屋、京都、大阪、神戸等の大都市分が補助率四分の一、こういう形になっておるわけであります。  首都圏対策分につきましては、御承知のように東京を中心といたしまして横浜、川崎、武蔵野、相模原、あるいは町田というところにつきまして、屎尿処理と下水処理をやるということで、これは首都圏対策分として項目を別に掲示さしていただきました。オリンピック対策分が横浜、三鷹、武蔵野が入ることになっております。下水終末分につきましては四分の一の補助がございますが、東京、横浜、長崎あたりが四分の一の補助対象の中に入るわけでございます。  次に十一番目の水俣食中毒対策費が六十六万六千円の増額になっておりますが、いろいろと問題のございました水俣食中毒対策につきましては、患者数を前年度十六名でございましたのを、三十五年度におきましては二十二名というふうに増額になりましたと同時に、治療の点数につきましても、従来五三点でありましたのを五八・五点ということで、点数も増額されることになっております。  それから九ページの十二の医療機関整備費が十二億九千九百万で二千八百万の増額になっておりますが、これは一の国立病院整備関係の分の増額分が大部分でございます。内訳は基幹病院整備その他の関係でございまして、一般会計から国立病院特別会計繰り入れる、こういう関係経費でございます。  裏をめくっていただきますと、十ページ、公的医療機関整備、内訳が三つございますが、公立病院の関係の百六十五万の減額分は、これは三%節約による減額でございます。僻地診療所につきましては、従来二百三十七カ所の無医地区につきましては、これまで八十九カ所を対象にいたしましたが、なお引き続いて今後僻地の解消をやりたいということで、来年も三十六カ所が計上されております。それから従来全然認められておりませんでした医者の住宅につきまして、新たに補助対象にしたいということで取り上げております。これは医者と看護婦が同じ出張診療所に寝泊まりするのはおかしいじゃないかということで、新規のものでございます。  僻地診療所運営費の増額につきましては、これは個所数がふえるということの増額でありますと同時に、右手単価等につきましても増額をいたしておるわけであります。  それから三番目の国立病院整備費の関係の債務負担行為の分でございますが、これは四カ所とありますのは、実は三カ所に御訂正をいただきたい。福岡、岡山、東二を三十六年度で完了したい。  十一ページの方に参りまして、医療金融公庫につきましては、大蔵省の方に計上されます十億の分は出資金でございまして、ほかに財政投融資として二十億計上されることになりました。  それから十四番目の歯科衛生士養成所整備費、これは新規でございますが、歯科医師の補助者としての歯科衛生士の需要が最近になって非常にふえて参りまして、各大学の付属機関として養成所を若干持っておりますが、やはり一般的にもう少し歯科衛生士の養成所をふやすべきではないかという御意見、御要望もございますので、その分を一カ所来年度新規にやりたいということでございます。歯科衛生士と申しますのは、主として歯石を除去すると同時に、看護婦の補助業務も一緒にやるのでございます。  それから十五番目の国立病院特別会計繰り入れの分は、整備費につきましては先ほどの医療機関整備のところにございました分がここに計上されておるのでございますが、それ以外に一般財源といたしまして看護婦養成所の関係経費、その他国立病院特別会計の方に一般会計から繰り入れるという金額が計上されておるのであります。この中身は、後ほど出てきます国立病院特別会計の方の予算の中に出ておる金額と見合う数字でございます。  それから十二ページの麻薬取締対策関係は、これはほとんど変動がございませんが、若干ふえておりますのは、麻薬取締官事務関係のところで、いろいろと麻薬犯罪に対しましての新しい器械類を購入したいという予算が計上されておるのでございます。  それから十三ページに参りまして、重要医薬品買上費が五千万円計上されまして、二千三百五十二万の増加でございますが、この中身の主たるものは、小児麻痺ワクチンの買い上げ経費でございまして、来年度大体六万人分くらいの国内生産が軌道に乗ると思いますが、そのうち防疫対策上ぜひとも必要なポリオ・ワクチンにつきまして買い上げを実施いたしたいということで、二万人分を計上いたしておるわけでございます。二の、その他の二千五百八十五万円と申しますのは、インフルエンザ・ワクチン、その他従来ありましたものそのままでございます。変動はございません。  それから十八番目に参りまして、生活保護費、差引増額十三億七千六百万円でございますが、先ほど大臣の御説明の中に五十億というふうに申し上げたと思いますが、これは前年度予算額の四百五十三億五千六百万の内訳の中に、三十四年度補正予算で三十七億円計上された分が入っておりますので、当初予算と比べますと五十億の増加、ここに出ております資料は、前年度予算額には補正の三十七億が入ってございますので、実質的には十三億の増加、こういうことになるわけでございます。  一の生活保護費補助金が十三億、大部分でございまして、この生活保護費につきましては、三十四年度の実績人員をそのままとってございますが、医療扶助の人員の件数の伸びを見てございます。それから次の基準の引き上げ分五億四千百五十六万という金額が計上されておりますが、その内訳は、生活扶助出産扶助葬祭扶助、こういうことになっております。生活扶助につきましては大体三%程度の増加になっておりまして、中身は、昨年の暮れに日本人の栄養基準量が引き上げになりまして、これは栄養審議会の答申によりまして、基準カロリーが、平均いたしまして千六百二十カロリーから千六百五十八カロリーというふうに三十八カロリー増加になりまして、その分の飲食物費の改定をいたした分が大体一・四%、ほかに内容改善をいたしたいということで、保健衛生費あるいは被服費等につきまして内容改善した分が一・五%くらいになりまして、合わせて三%くらいの生活扶助の引き上げをやっております。あと出産扶助葬祭扶助につきましては、過去七、八年間ほとんど基準の引き上げをやっておりませんでしたが、この分を実情に合わせるということで、この際改定をいたしたい、出産扶助につきましては八八%の増であり、葬祭扶助につきましては三三%の増加に相なる次第でございます。それから四番目の老齢加算の新設、身体障害者母子加算増額と申しますのが十四億の増になっておりますが、これは国民年金制度ができまして福祉年金が支給されることに応じまして、生活保護の被保護世帯につきましても福祉年金をいただくことになるわけでございますが、その分生活保護の方の収入認定を、加算制度を合理化することによって収入認定を調節をいたしたいということで加わりました金額でございまして、十四億の増加額に相なるわけでございます。それから五番目の施設事務費の分につきましては、後に出て参ります児童福祉関係経費と同じように、その中身に入っております金額と同じような性質のものでございますが、こういう社会事業施設の職員、従事者につきまして、待遇改善をいたしたいということで、期末手当を、従来一カ月分計上されました分を、あと半月分増加をするという金額の増でございます。  それから次の二番に社会施設整備補助金の分が、これは節約はございましたけれども、なおかつ若干増額になっております。これは養老施設分に重点を置きまして、老人福祉対策をより積極的に推進していきたいということの増額分でございます。  それから三番目の生活保護指導監査委託費につきましては、人員については異動はございません。ただ単価を引き上げたというだけでございます。  裏に参りまして十四ページ、低所得階層対策費でありますが、世帯更生資金貸付金につきましては、先ほど大臣の御説明のありました通り変動はございません。  新たに四番目の心配ごと相談所補助ということで一千万円入りました。これは全国大体一県当り三カ所にモデル的に心配ごと相談所を開設いたしまして、場所は公民館とか、社会事業施設とか、生活に困ったボーダー・ライン層あるいは生活困窮者が直接民生委員その他に相談しやすいところにモデル的に心配ごと相談所という看板を掲げて、新たに仕事をやってみたいという経費でございます。  それから次の二十番目の社会福祉事業振興会出資金九千万円というのは、これは社会福祉事業の振興のために金融措置をやっております団体に対する出資でございまして、資金量は三十五年度におきまして、従来のを合わせますと計六億一千万円になることになっております。  次の二十一番目の身体障害者保護費の関係でございますが、これにつきましては、ほとんど一につきましては変動はございません。ただ補装具の関係の方がふえておりますのは、これは支給件数が実績に合わせまして増加になっております分の増額でございます。  それから戦傷病者関係につきましては、これは次第に減っていきます性質の金でございまして、件数が大体前年度に比べますと一割くらい減っておるというふうにお考えをいただきたいと思います。それから戦傷病者実態調査関係でマル新で出ておりますのは、これは戦傷病者につきまして再発があるということで、その再発の調査をやってみたいという経費でございます。  それから三の更生援護施設事務費補助につきましては、職員の期末手当がふえた、あるいは食費がふえたというこれまで御説明申し上げました社会福祉事業関係施設全体につきましての増加分とほとんど同じ性質でございます。  五の施設整備補助金等が減額になっておりますのは節約分の減額でございます。  それから十五ページの一番下の方に、二十二番、精神薄弱者援護費ということで四千九百十一万三千円計上されておりますが、これは裏の十六ページに一から四まで項目をあげてありますが、精神薄弱者に対しての援護措置を一段と強化をいたしたいということで、精神薄弱者福祉法案という法律を作る予定をいたしまして、近く国会提出の運びになっております中身の関係予算であります。新たに計上されました分は、摘要のところで新というふうに掲げております分が今度の法律の制定に伴います分の経費でございます。  それから二十三番目の婦人保護費の分が二億一千八百四十八万九千円ということで若干減額になっておりますが、これは実は三十三年度におきましても決算額において約四千万円くらいの不用を出しております。その実績に応じました減額が若干ございまして、大体三%ないし五%程度の減額になりました金額でございますが、ただ婦人保護費のところで一番最後に出ております嘱託医設置等費ということで二百六十七万円計上されております。これは新規でございまして、各施設に医者を直接置かなければ、いろいろ婦人の方が病気になったときに直接病院その他に通うのは大へんだということで、非常に施設の方から要望の高かった分が新たに新規で計上されたわけであります。  それから十七ページの二十四の項目、地方改善事業費が一億三千三百七十三万九千円で、八千三百八十一万の大幅な増額になっておりますが、これは御承知のように同和関係につきましていろいろと問題がございましたが、これで相当大幅な増額をいたしましたので、積極的な施策をやれるのじゃないかというふうに私ども考えておるわけであります。一般対策分とモデル地区対策分とに分けてございまして、一般対策分としましては、従来下水排水路、上から四つまでが補助対象となっておりまして、共同便所以下につきましては従来の補助対象になっておらなかったのでございますが、それを新たに補助対象にしたということと、それから従来とも非常に要望の強かった隣保館の運営、これは生活指導員であります。官庁につきましては運営費つまり俸給その他を補助対象にするという新規の経費でございます。それからモデル地区対策分につきましては、この施設関係は一般対策分の方の隣保館から共同便所とか共同炊事洗濯場、共同井戸というふうなものを対象にするのはもとよりのこと、モデル地区については火葬場とか畜犬処理場そういったものも補助対象にしたい、そういった新しい項目のものも入ってございます。  それから十八ページに参りまして、二十五番目の児童保護費九十億四万一千円でございまして、七億五千八百万の増額になってございます。この内訳は一から十五までこまかく書いてございますが、主要なものにつきましては、第一の項目の措置費の分でございまして、これは保育所分の間食費増額分が目立ってふえてございます。それから職員の期末手当につきましては先ほど社会事業施設のときに申し上げました社会事業従事者の待遇改善経費でございます。それから収容施設分につきましては、今申し上げました期末手当以外に飲食物費の値上げがございますが、これは先ほど生活保護費のときに申し上げました日本人の栄養基準量の改定によります分の増額分でございます。それから新規としまして、収容施設におります児童につきまして、見学旅行費を一千万円計上いたしたわけでございます。それから二番目の児童相談所費補助費につきましては、これは脳波測定器を買うという経費が入っております。それからずっと参りましてほとんど変動がございません。十九ページに参りまして八番目の未熟児養育費補助これが目立って三千一百八十四万一千円の増額がございますが、これは対象人員を前年度より相当ふやして参りました関係の増でございます。千二百九十五人を三千四百四十人までふやすという関係経費の増でございます。それから九番目の身体障害児援護補助分が千三百万ふえております。これも対象の件数が相当大幅にふえたという分の増加でございます。それから十番目の骨関節結核児童療育費補助、これは五百四十四万円ふえておりますが、対象ベットの増でございます。いわゆるカリエスの結核児童の費用でございます。次の十一番目の児童福祉施設整備補助が若干減額になっておりますが、節約三%かかりました減額でございまして、大体前年度通りの予算額というふうに御了解いただきたいと思います。節約といいますのは、大体今度の予算編成方針のときに、施設整備関係につきましては、三%ないし五%の節約を頭からかけるという予算編成方針に基づいて、たとえば一億というふうに予算をきめておりましても、計上される分は三%節約して九千何百万というふうに計上しようということで、政府の方針としてきめられたのでございます。次の児童遊園設置費の関係も、五%節約になりました結果の減額でございます。     〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕  次の母子健康センターについても同じでございます。十四番目の児童健全育成事業費補助二千万円といいますのは、児童の健全育成、つまり不良化防止のために、お母さん方やあるいは児童委員、その他児童の不良化防止に関心の深い方々にお集まりをいただきまして、研修をやろうという経費でございまして、新規で二千万円計上されているわけであります。十五番目の児童保護指導職員設置費はほとんど差はございませんので、人はふえておりませんが、補助対象の単価の増があった分だけでございます。  二十六番目の母子福祉対策費は、母子福祉貸付金が三億円ということで一億円減額になってございますが、これは償還金が次第にふえて参っておりますので、大体三億円でやれるだろうということで一億円減額になっておるわけであります。現在三十五年度の総資金量は五十三億を予定しておるわけであります。次の母子福祉センター設置費補助四百七十万というのが新規にございますが、これは母子対策といたしまして、母子の相談あるいは生業、技能修得等、つまり授産関係のことを、こういうセンターを作ってそこでモデル的にやってみたいということで、その二カ所分でございます。  二十七の項に参りまして、中央児童厚生施設設置費、これは先ほど大臣の御説明にありました、仮称、子供の国ということで東京に一つモデル的に中央児童厚生施設、つまり児童の厚生のために、児童の遊び場とかあるいは児童遊園あるいは児童館といったものを作ってみたいということで、運営その他につきましては新年度におきましていろいろと各界の意見を聞いて考えるということに相なろうかと思います。これは児童遊園その他でございますから、子供であれば小学生、中学生を問わず、自由にそこに出入りしていけるのでございます。  二十八項の家族計画普及費補助が減額になっておりますのは、今まで申し上げましたように、三%の節約分の減額でございまして、中身はほとんど前年度と変わりはございません。  次に二十九項目の社会保険国庫負担金、五までございますが、目立ったところでは一の健康保険給付費財源繰り入れ五億円の減額がございます。例年十億ずついただいておりましたのが今年度五億に減額に相なっております。日雇健康保険給付費財源繰入の二十一億四千八百万といいますのは、これは摘要に書いておりますように三割分の国庫負担でございます。医療給付費が二十億九百三十六万六千七百円に相なっております。傷病、出産手当金の方は五千四百五十万程度で少額でございます。それからずっと参りまして、みんな負担率がきまっております分のそれぞれの件数の増額でございますので、説明は省略させていただきます。それからその他のところで一億八千四百八十五万の増額がございますが、この内訳の一つは厚生保険特別会計業務取扱費等財源繰入ということで二十二億、これは主として人件費の増分、ベース・アップ分の中身に相なっております。  それから二十二ページに参りまして、三十番の項目、健康保険組合補助六億八千四百三十六万七千円で、三千万の増額になっていますのは、これは法律で全額負担ということになっておりますけれども、健保組合に対しましての事務費の神助金でございまして、単価は前年通りの百四十一円にいたしまして、被保険者の数がふえた分の増額が三千万円ということになっております。  それから三十一番目の国民健康保険助成費二百七十六億八千四十一万七千円で、相当程度の増額になっておりますが、これは先ほど大臣の御説明の中にありましたように、被保険者数の伸びを含めまして、それの給付費の増額分でございます。前年度に比べますと、六百十八万九千人の人員の増を見込まれておるわけであります。それで三十五年度末におきましては、被保険者数四千八百十一万二千人でございます。ここに四千四百万人というふうに出ておりますのは、これは年間平均の意味でございます。それからそれに応じました療養給付費並びに財政調整交付金、これは当然自動的に金額が算定されるわけであります。四番目の保健婦の補助金につきましては、従来とも過去数カ年間国保の保険費につきましては補助単価が全然いじられてございませんでしたが、今度新たに保健婦の一人当たりの補助単価を若干でございますが、ふやしました。十一万四千円から十二万七千九百二十六円というふうにふやしまして、人員だけは前年度通りに相なったわけであります。五番目の直診の整備補助金の減額分は三%の節約分でございます。その他七番目で普及促進費補助金の減額が目立ってございますが、これは国民保険五カ年計画が最終年度になりますし、この経費の分はもうほとんど必要でなくなって参りますので、その分の当然の減額でございます。それから八番目の国民健康保険団体連合会補助金が一億円計上されておりますのは、先ほど大臣の御説明にありましたように新規でございまして、各県の国民健康保険団体連合会国民健康保険の審査事務をやりますその関係補助金ということで一億円計上されているわけであります。  それから三十二番目に参りまして、国民年金関係が二百八十九億一千七百七十一万九千円になってございますが、これは御承知のように一につきましては、三十四年度におきまして一二月分を三月に支払うことになっておりますので、本年度三十五年度予算におきましては、二カ月分が三十四年度に払われているということで十カ月分を計上すれば足りるということで十カ月分を計上いたしておりまして、平年度まるまる十二カ月分計上されることになりますのは三十六年度以降ということになるわけであります。それから対象人員その他につきましては、三十四年度予算の基礎対象人員をほとんど変えてございません。  二十四ページ、事務費関係でございますが、機構は社会保険出張所新設五十カ所分といいますのは、これは出張所を新たに設けますと同時に、拠出の国民年金の仕事をやります国家公務員である地方事務官をふやしていくという経費がこの中に含まれております。これは先ほど大臣の説明にございましたように、二千三百三十人という人がこの中に含まれるわけであります。次に市町村事務取扱交付金十七億といいますのは、中身は拠出が始まります場合の市町村の交付金十六億ちょっとの金額と、従来福祉年金市町村交付金を各市町村当たり五十円支出しておりましたが、新規裁定を福祉年金についてもやらなければならぬという分と、それから裁定の変更をやらなければならぬので、約一億くらいが二つ計上されておりまして、十六億何がしの拠出に伴います市町村事務交付金の算定は厳重なノルマ計算によりまして計算された金額でございます。これは八カ月予算になっておりまして、平年度におきましては、十六億の金額は二十四億になりまして、国民健康保険の方で算定をしております被保険者  一人当たり幾らという金額の換算をこれについてやってみますと、一人当たり百十七円くらいになります。国民健康保険の方は、三十五年度予算におきましては百円になっております。国民年金の方は、平年度に換算いたしますと、一人当たり百十七円くらいになるということでございます。それから次の広報宣伝関係五千二百三十八万三千円につきましては、拠出制の国民年金の発足は、国民に対しまする非常に盛んな広報宣伝がなければ十分な効果は期待できないだろうという趣旨を含めまして、なおあらゆる経費につきまして計上されておるわけであります。  次の三十三番目に参りまして、留守家族等援護費、これが減額がございますのは、対象数の減でございます。手当は引き上げられることになっております。療養費の方は、いずれ留守家族援護法の改正案を国会の方に上程をいたす準備中の経費でございます。それから未帰還者特別措置費につきましては、例年死亡認定をやるという関係経費が出て参っております。二万円と三万円に分けまして、弔慰料五千人分であります。  三十四番目に参りまして、戦傷病者戦没者遺族等援護費九億九千五百五十二万円の増額がございますが、これは軍人恩給のベース・アップに伴います分が、昭和三十五年七月以降になりますので、その分の引き上げでございまして、これは自然増的な要素のものになるわけであります。  三十五番目に参りまして、在日朝鮮人帰還援護費、これは帰還者三万人といいますのは、大体協定が三十五年の十一月中旬までになっておりますので、その一年間分を計上いたしまして、それ以後引き続くことになりますれば、当然予備費をもってまた計上されるということになるわけであります。  それから三十六番目の国立公園整備費二千百万円の増額分は、国立公園整備費約二千万近い増額になっておりますが、これは一、二、三を通じまして、前年度予算に比べまして二千万円の増額ということになっているわけであります。  それからその他の経費の一番最後、二十六ページに参りまして、厚生省所管合計二百五十五億の増、これは一般会計についてでございますが、差引のところで三十七番目のところに二十二億の減がございます。これは前年度予算額には補正分が入っておりまして、つまり三十四年度補正の中には災害救助費の二十四億四千万という金額が入ってございますので、来年度は当然その分を差し引くということになります。  次に、二十七ページの厚生保険特別会計の方に参ります。歳入保険料収入は百三十一億の増額になっておりますが、これは被保険者の数、標準報酬、その他ここに出ておりますそれぞれの項目の相当ふえて参ります分で収入がふえる。それから一般会計から受ける分は、先ほど説明をいたしました五億の減額と、借入金の三十億、これは前年度五十億になっておりますが、例の長期借り入れ六十億を毎年々々返していくというので、三十二年度十億返し、三十三年度におきましては二十億返しまして、残り三十億分があるわけでございます。その分が借入金としてここに計上されているわけでございます。それで歳入合計が九百二十七億四百十一万ということで、前年度対比では百六億三千八百万円の増額になっております。  歳出の方をごらんになっていただきますと、給付費の方が相当伸びておりまして、医療給付費だけで――金額はここに出ておりません、これは一人頭でございますが、医療給付費の方が歳出七百三十二億七百四十一万四千円、現金給付費の方が百二十四億八千四百二十五万円ということに相なっております。それから業務勘定の方へ歳出の方で繰り入れます分が、五億六千九百万の増額になっておりますのは、これは健保の福祉施設あるいは業務取扱費財源その他保健福祉施設関係の分が大きな金額を占めておるわけであります。それで、予備費が減額になっております。前年は四・四%程度の予備費を計上いたしたのでございますが、今年度は予備費が多少減額になりまして、二十億一千五百五十一万円、二・四%程度の予備費の計上に相なっております。歳出が、合わせますと九百二十七億ということに相なるわけであります。  次の日雇い勘定の方につきましては、保険料収入は被保険者数を九十六万三千人と見込んでおりまして、保険料につきましてはいじってございません、変わってございません。一般会計からの受け入れも、二十三億分の内訳が摘要のところに出ておりますが、印紙の売りさばき手数料と、保険給付費の財源としまして二十億の金額が載っておるわけであります。それからずっと参りまして、積立金から受け入れの分、これは日雇い勘定につきましては四千六百三十七万七千円の積立金受け入れをいたすことによりまして、来年度以降積立金は、日雇いについてはゼロになるわけであります。これで歳入は七十四億ということになります。  歳出の方をごらんになっていただきますと、被保険者保険給付費の方が非常に伸びてきておりまして、医険給付費だけで申し上げますと、六十九億のうち六十六億八千四百万でありまして、現金給付の方は二億四千万程度でございます。それから業務勘定繰り入れ、これ以下の分は大したことありません。業務勘定繰り入れの日雇いの分は、例の日雇い診療所四カ所、病院二カ所分の経費でございます。予備費を大体三・三%程度に計上いたしまして、七十四億の歳入歳出予算を計上する、こういうことに相なっておるわけであります。  それから年金勘定に参りますと、年金勘定の方は、保険料収入で七百六十五億五千四百二十三万二千円でございまして、被保険者の伸びを相当見込んでおりますと同時に、標準報酬の分を、一級から十二級までを、一級から二十級まで上げるということで、国会の方へ継続審議でお願いしております法律案の中身そのままをここに計上してあるわけであります。めくりました三十二ページの方の保険料率につきましても、これは改正法律案通りの料率で計算をいたしております。国庫負担率につきましては、これは従来の通りでございます。合わせまして、歳入が一千十七億七千八十六万一千円ということで、相当な増額になるわけであります。  歳出の方は、百五十三億ということでございまして、保険給付費の方が十六億九千四百万ふえてございますが、保険給付費の内訳の中で、多いのは、脱退手当金、遺族年金、傷害年金等でございます。諸支出金が減額になっておりますのは、これは、昨年度予算におきましては、例の農林漁業共済組合や私立学校共済等に移しがえをした分が二十七億計上されたのでございますが、それが今年度はなくなって参りますので、その分が歳出としては減になっておる、こういうことでございます。歳出の方は、合わせて百五十三億ということで、減額に相なっておるわけであります。  業務勘定へ参りますと、業務勘定の方は、他勘定から受け入れが二十四億でございまして、金額が六億二千五百万ふえておりますが、内訳は摘要のところに書いてございます。それから三十四ページに参りまして、一般会計よりの受け入れ、業務取扱費財源二十四億、庁舎新営関係の分が二億八百三十九万円ございまして、これは国民年金の方で社会保険出張所の方を作りまして、その分が厚生保険特別会計の方に繰り入れられるという関係経費でございます。これで、歳入の合計が、年金業務勘定におきましては五十八億ということで、八億九千万の増になっております。  歳出の方をごらんになりますと、五から十二番目までで、前年度に比べまして目立ったところでは、業務取扱費の方が三億ふえております。これは職員の人員増が若干ございまして、二百九十人といいますのはいわゆる健保、年金、日雇い関係の業務量の増に応じまして毎年百五十名、二百名くらいずつふえてきております分の増額分でございます。その他につきましては、一番最後に厚生年金保険福祉施設に必要な経費ということで五千二百万増額になっている分がございます。この厚生年金関係福祉施設の中には、いわゆる厚生年金病院あるいは有料老人ホームということで、来年度一カ所厚生年金の被保険者に対しまして老人ホームを作りたいというふうな経費四千八百万程度でございます。そういった関係の分が厚生年金保険福祉施設に必要な経費の五億五千万の中に計上されておるわけでございます。  それから一枚めくっていただきまして三十六ページの船員保険特別会計保険料収入につきましては、これは人員の増その他それぞれ例年通りの増加を見込んでございますが、保険料率につきましては国会に継続審議になっております法律案の料率そのままを採用いたしております。それで歳入合計、三十七ページの欄のところに出てございますが、八十三億ということで、前年度対比九億八千七百万の増でございます。歳出の方をごらんになっていただきますと、保険給付費が七億七千万の非常な増額になってございまして、これは疾病保険の方の三十九億という、前年度よりも大体四億以上の増額が見込まれている。これが非常に圧倒的に多い金額に相なっておるわけであります。それから三十八ページのところの八の項目の業務取扱費のところが二千万増額になっておりますのは、これは人員十名くらいを業務量に応じました増として見込んでおるためでございます。それで合わせまして歳出合計六十二億という予算に相なるわけであります。  それから三十九ページの国立病院特別会計のところをごらんになっていただきたいと思いますが、歳入におきましては百四億ということで、前年度よりも八億七千七百万の増額に相なっております。積立金を二億円取りくずしてございますが、大体三十三年度末の積立金が七億ちょっとございまして、現在のところ大体五億円まだ積立金を持っておるということに相なろうかと思います。(小林(進)委員「どうして八億ふえるのですか」と呼ぶ)八億ふえた分は、診療収入の、つまり入院、外来の診療収入の点数の増です。(小林(進)委員「値上げじゃないのか」と呼ぶ)値上げではございません。これはいろいろ検査その他、国病については入院患者につきまして毎年々々診療点数がずっとふえていっておるわけでありまして、その実績に基づいて点数の増でございます。  それから歳出関係の中身につきましては、目立ったところで四十ページのところの八の項目、七億五千万の増がございますが、これは国立病院の職員の人件費の増分があるわけであります。その他医療機械器具を整備いたしたいということでふやしましたのと、それから診療センターといいまして、各国立病院の中で、摘要のところに書いてございます心臓病、リュウマチ、高血圧、その他のセンターをやっておりますが、そのセンター分を八カ所ふやして国立病院の能率的な経営をやりたいということの分が六百八十万増額されておるわけであります。それから四十一ページの十三、看護婦養成所に必要な経費、減額の分は、これは看護婦について協力者手当というので手当を出しておりましたのを、昨年から廃止をして、内容充実の方に変えておる分でございます。その分の減額でございます。予備費を合わせまして、ここの歳入歳出百四億という金額が出てくるわけであります。国庫債務負担行為の六億五千七百万につきましては、先ほど申し上げました通り国立病院三カ所の整備計画の分でございます。  それから最後に四十三ページのあへん特別会計の分でございますが、歳入三億八千五百万ということで、これはモルヒネ換算一キロ当たりの単価が前年度五万八千四百四十円でございましたのを七万円に上げまして、その分の変動があった程度でございます。歳出の方は、やはりあへん購入費、外国産のアヘンの値上がりがございまして、前年度五万五千六百五十円というのが六万四千七百五十五円ということに相なりました。その分の変動のためでございまして、裏の四十四ページに書いてございます七万八千円につきましては、前年度と変わりはございません。歳入歳出バランスとれまして三億八千六百万、前年度よりも百八十万の増額になっておるわけであります。簡単でございますが……。(小林(進)委員「どうして国内と輸入品と値段が違うのだ」と呼ぶ)これは国内の方は手数が非常にかかっておりまして高いのです。(八田委員厚生省所管の研究所の費用はどこに入っておりますか」と呼ぶ)それは全部まとめてその他というところに入っております。      ――――◇―――――
  11. 永山忠則

    永山委員長 次に、先ほどの労働大臣説明に関連し、本年度予算措置の概要について説明を聴取することといたします。和田会計課長
  12. 和田勝美

    ○和田政府委員 労働省所管一般会計昭和三十五年度歳出予算概要という横書きの資料がお手元に参っておりますが、これを御説明申し上げたいと思います。  一ページから二ページにかけまして総括表を掲げておりますが、この中で特に目立っておりますのは、第一の職業訓練に必要な経費が七億三百三十万四千円でございまして一億一千七百万強の増加であります。その次に、第二の炭鉱離職者援護対策に必要な経費が三十五年度二十三億三千百九十二万二千円でございまして、十六億八百七十一万二千円の増、これが非常に目立っております。次は、第三、失業対策に必要な経費が、ごらんいただきますように三十五年度の要求額は三百十一億三千四百七十七万でございまして、三億四千四百二十三万円の減でございます。この減額になっておりますのは、一般失業対策事業関係失業保険の国庫負担分の減が響いておるわけであります。中身については後ほど申し上げます。その次の中小企業労働対策に必要な経費が三十五年度要求額といたしまして一億六千五百六十七万七千円でございまして、三十四年度に比較して一億一千六十三万四千円の増、これらのものが総括表をごらんいただきますと目立った事項でございます。それ以外に安定行政に必要な経費、第九番目のところでふえております二億四千二百万、こういうのが人件費でふえておるわけであります。二ページに参りまして、第十二のその他一般行政に必要な経費で一億六千万ふえておりますのも、これも人件費関係がおもなものでございます。総額といたしまして一般会計では労働省所管といたしまして三十五年度要求額は四百十七億一千二百六十五万九千円でございまして、三十四年度要求額に比して二十億三千八百九十八万七千円の増加要求でございます。それ以外に十三として建設省所管の関係予算の中に、労働省関係庁舎の建設費が三十五年度は二億八千九百十万九千円入っております。おもなものは、労働本省の建設費の増加でございます。以上全部、建設省所管と合わせますと、三十五年度一般会計の要求額は四百二十億百七十六万八千円でございまして、三十四年度予算額に比較いたしまして二十一億三千四百六十万五千円の増加要求をいたしておるような次第でございます。  以下事項別に申し上げたいと存じます。三ページをお開きいただきたいと思います。  まず第一に職業訓練に必要な経費でございますが、事項は全部で八項目に分れております。  まず第一の一般職業訓練所費でございますが、これは都道府県が設置運営をいたしております一般職業訓練所に対する補助金がおもなものでございます。カッコ書きにしてございますのは、これは失業保険特別会計保険施設費として計上いたしております同じく一般職美訓練所に対する機械施設の補助額でございます。三十五年度は一般職業訓練所では、ここにございますように四億六千五万七千円の要求でございまして、三十四年度と比較いたしますと、一般会計で五千四百十三万九千円の増加要求でございます。一般職業訓練関係では三ページの一番下のところに注と書いてございまして、(1)、(2)のうち農漁村二、三男対策職業訓練費という注書きをいたしておりますが、これが三十四年度に比較いたしまして、変更したおもな部分でございます。これは新規の要求をいたしまして、要求額といたしまして、カッコ書きの失業保険特別会計とカッコの外の数字を合わせますと、一億八百九十万六千円でございますが、これは農漁村二、三男に対して職業訓練を施して、就職の機会を増進させようという意図のものでございます。訓練所十四個所を新設いたしたい、訓練職種は二十八種目、訓練人員は年間延べ千百二十人と予定いたしております。これが大きな変更でございまして、それ以外は単価増等が一般職業訓練所費ではおもなものでございます。  四ページに参りまして、駐留軍離職者職業訓練費が、三十五年度二千四十二万六千円でございまして、三十四年度に比較いたしまして五百万ほどの減額になっておりますのは、駐留軍労務者の絶対数が今後減って参ります。従って離職者も減って参りますので、その離職者数の減に応ずる訓練の減、こういうことでございます。訓練人員概要の中にございますように、三十五年度三千五百十人、三十四年度が四千三百八十人でございますので、八百七十人の訓練人員の減に伴います減額でございます。  次の炭鉱離職者職業訓練費は、三十五年度四千五百二十九万五千円の要求でございます。これは北海道ほか産炭地帯を持ちます五県に対する補助でございまして、補助率は経営運営費三分の二、施設費二分の一でございまして、ごらんいただきますように、十個所の訓練所について石炭離職者職業訓練をいたしたい、訓練人員は二千三百二十人、三十四年度に比較いたしますとちょうど二千人の増と相なります。  次の四の中央職業訓練所費であります。これは失業保険特別会計の方に計上してございますが、六千四百四十一万二千円の運営費、建設費、機械購入費でございますが、この予算はほとんどが建設費、機械購入費でございまして、運営費として百八十四万五千円を計上さしていただいておりますのは、これは三十六年の二月、三月と二カ月間開所準備のための要員を置きますもので、具体的に動きますのは三十六年度に入りましてからでございます。なお建設は、この三十五年度予算が認められますと、それによって大体完了する予定でございます。  五ページに参りまして、総合職業訓練所費、これも同じく失業保険特別会計に計上しまして、労働福祉事業団に対する交付金及び出資金でありまして、十七億五千七十三万九千円でございます。内訳といたしましては、訓練所数には変更はございませんが、訓練人員におきまして三十五年度は一万三千二百六十人、三十四年度に比較しまして四千百五十人の増加でございます。その他建設費、機械購入費がそれぞれふえておりまして、結局三十四年度に比較しまして四億九千七百万円の増加でございます。  六の身体障害者職業訓練所費でございますが、カッコ書きは同じく失業保険特別会計に計上してございまして外書きでございます。一般会計としましては一億二千三百三十三万三千円でございまして、これは国立の身体障害者の訓練所が都道府県に運営委託をいたしておりますその経営委託費と設備の改善関係でございます。六ページの上に設備関係が出ております。   七の事業内の職業訓練費は、三十四年度と比較しまして特段のものはございませんが、節約分だけ減額になっております。   八の国家技能検定費が三十五年度二千六百万三千円の要求額でございます。これはその内訳でごらんいただきますように、本検定とテスト検定とも三十四年度のちょうど倍の十職種ずつについて行ないます。しかも受験対象人員が多くなりますので、それの所要額でございます。職業訓練といたしましては一般会計は、ごらんいただきますように七億三百三十万四千円でございます。なおカッコ書きにいたしております失業保険特別会計は二十億三千七百三十七万一千円でございます。従いまして、失業保険特別会計一般会計と加えますと二十七億四千万円くらいのスケールに三十五年度はなるわけでございます。  次に第二の炭鉱離職者援護に必要な経費について申し上げます。事項としましては四事項に分れております。  まず一の炭鉱離職者緊急就労対策事業費、三十五年度は十六億五千六百万円でございます。中身としましては、単価、補助率につきましては三十四年度と同じでございますが、一日の吸収人員を二千人ふやしまして七千五百人にいたしておりますのが変化のおもなものでございます。それと三十四年度は、御存じの通り年度途中から始めましたものを、三十五年度年度一ぱいになりますので、額としましては三十四年度に比較しまして十二億五千百二十万円の増加でございます。  次の炭鉱離職者援護会費は、これは炭鉱離職者援護会に対する補助額でございまして、六億でございます。これ以外に援護会の経費といたしましては、石炭整備事業団から六億が出ますので、総経費十二億で援護会の運営を行なって参りたいと思っております。事業の中身といたしましては、移住資金支給、住宅対策に対する補助あるいは職業訓練に対する協力、就職あっせんの協力等がそのおもな内容になるものでございます。  三の炭鉱離職者職業訓練費は、職業訓練の部で御説明を申し上げたのと重複いたしておりますので省略させていただきます。  八ページの総合職業訓練所の方も同じでございます。  九ページに参りまして、炭鉱離職者援護対策事務費三千六十三万七千円を三十五年度に要求いたしております。この中身は、広域職業紹介に必要な経費、炭鉱離職者のための公共事業への吸収強化のために必要な経費、それから福岡県ならば福岡県内の就職強化のための経費、そういう自県内就職強化費、あるいは炭鉱離職者の緊急就労対策事業に対する指導監督賞、それから関係の府県に炭鉱離職者対策協議会を設置してもらうための補助費、こういうのが中身のおもなものでございます。一般会計におきましては、炭鉱離職者援護関係で二十三億三千百九十二万二千円、それ以外に先ほど申しました失業保険特別会計で一億九千七百二万七千円の要求をいたしておるわけでございます。  十ページに参りまして、第三の大事項として失業対策に必要な経費、これは三つの項目に分かれております。  まず第一は失業対策事業費でございまして二百二十億一千五百万、カッコ書きは建設省の臨時就労対策事業費でございまして、八十三億でございます。三十四年度に比較いたしまして、労働省関係では九千二百万、建設省関係で六億の増、こういうことでございます。その積算の中身は、そこにございますように、一般失業対策事業におきまして三十五年度は一日吸収人員二十万人でございます。三十四年度に比較して一万八千人減少になっておりますのは、最近の雇用情勢及び今後の経済情勢から見まして、民間及び公共事業等の方で雇用状態が改善される率が高いということからいたしまして、一般失業対策事業を一万八千人減にいたしております。特別失業対策と臨時就労対策事業費は、ごらんいただきますように、両方合わせますと四万人の吸収でございまして、三十四年度と変更はございません。従いましてこの三つを合わせますと、三十五年度は一日二十四万人の吸収でございます。三十四年度に比較して一方八千人の減は、先ほど一般失業対策で申し上げた減だけでございます。  そのうち一般失業対策事業費が百八十二億一千五百万でございまして、三十四年度予算額に比較して八百万円の減少でございますが、その減のおもなものは、一日の吸収人員が一万八千人減ったことでございますが、逆に中身は改善をされております。内訳をごらんいただきますと、補助額といたしましては三十五年度は二百八十二円七十三銭、三十四年度に比較して二十一円八十四銭の増額でございます。その重点のおもなものは、労力費が二十八円値上げになりまして三百三十四円になる、これが一番大きな中身で、その他資材費事務費等もそれぞれ値上げをして失業対等事業の改善をはかっていきたい、こういうことでございます。  十一ページに参りまして、就労日数は、ごらんいただきますように三十四年度と同じでございます。特別失業対策関係と臨時就労は、先ほど申しましたように同じでございますので省略いたします。  なおこのページで大へん誤謬がございまして、御訂正をお願いいたしたいと思いますが、三十四年度要求額とございますのが三十五年度要求額でございます。末尾の三十三年度予算額とございますのは三十四年度予算額でございます。一番上の欄でございます。まことに申しわけございません。  それから失業保険費負担金関係で、保険給付費負担金で三十五年度要求額が八十六億七千万でございまして、三十四年度に比較して減っておりますのは、ここに内訳がございますように、一番おもなものは、初回受給者が三十五年度六万六千人ということで、三十四年度予算に比較いたしまして四千人減少になっておりますのが一番おもなものでございます。これは一般失業対策のときに申し上げましたように、最近の雇用状況を反映いたしまして、失業保険特別会計の趨勢が漸次好転をしてきておりますので、明年度におきましても同じような傾向であるという理由で計上したものがおもなものでございます。なお国庫負担率は、ただいま国会に継続審議中になっております法案によりまして、国庫負担四分の一ということで計上させていただいております。  十二ページに参りまして、日雇い関係、それから移転費関係は、特に御説明を申し上げることもございません。大体本年度と同じでございます。  次の(2)の事業費負担と申しますのは、保険給付を除きます失業保険の事業費に対します国庫負担額でございまして、三千九百七十七万と申しますのは、この概要にございますように、事業費総額が四十六億二千百二十三万一千円でございます。それから積立金の運用から生じます運用収入と雑収入が四十五億八千三百四十六万一千円、従いまして、差引分を一般会計から負担いたしまして三千九百七十七万、こういうことになるわけでございます。  次の政府職員失業者退職手当が、三十五年度は、ごらんいただきますように、三十四年度に比較いたしまして三億一千四百万円の減額になっておりますのは、国有林野事業特別会計に所属いたす職員分につきましては国有林野特別会計の方でみずから実施をするというように変更をいたす考えでおりますので、その分が減額になっておるのがおもな理由でございます。  次の十三ページに参ります。中小企業労働対策に必要な経費でございます。これはごらんいただきます中で(1)の中小企業労務管理改善指導費が五百十二万九千円でございますが、これは新事項でございまして、中小企業の最近の労働争議の状況を見て参りますと、労務管理が悪いことに伴います争議が非常に多うございますので、基準局系統におきまして、労務管理改善指導のために中小企業労務管理担当者に対する講習会を行ないたいという経費でございまして、対象人員はそこにございますように一万九千五百五十人を対象にいたしております。これはいわゆる五十人以上三百人未満、あるいは工業的事業所におきましては三十人以上五十人未満の事業所を対象としております。三年計画でございます。  (2)の労使に対する指導態勢強化費の中で、まるをつけてございます中小企業労使関係安定促進費補助二千三百三十八万五千円、これがやはり新しい事項でございます。中身はここに労働相談員とございますが、これは労政事務所に労働相談員を置きまして、その人に対する手当に関する補助、これ以外には労政事務所あるいは府県におきまして講習会をやる、あるいは定期、随時のいろいろな調査をやる、こういうようなものが中身でございます。補助率二分の一以上でございますから、現実には倍額以上が要求額になっております。  十四ページに参りまして、(3)はほとんど変わりございません。2の中小企業退職金共済制実施費は一億三千百三十一万四千円で、八千万円の増加でございますが、これは中小企業退職金共済事業団に対する補助額がふえましたことと、この事業を都道府県へ大臣が委任実施をいたしますためのその委任事務に対する交付金が一千万円、こういうものが増加のおもなるものでございます。  次に14―2に参りまして、身体障害者雇用促進に必要な経費でございます。これは大臣の説明で申し上げましたように、身体障害者雇用促進法というものを今国会提出いたしたいと考えておりますが、そのための所要予算で、おもなものは(1)にございます民間事業所に対する作業習熟訓練の委託四百五十四万七千円がおもなものでございます。身体障害者五百人をば民間の事業所にお願いをして、作業訓練を行なわせるというのがおもなものでございます。14―3に参りまして、身体障害者は先ほど御説明申し上げましたので省略さしていただきます。  十五ページに参ります。第六労使関係安定促進に必要な経費事項は四つに分かれておりますが、これは労政局関係経費でございます。特に御説明を申し上げますのは、2の労使関係法研究会費百十六万八千円でございまして、大臣の御説明にありましたように、労使関係法の研究会を設けて研究をいたしておりますが、これに必要な経費でございます。  十五ページのおしまいから十六ページにかけましては、特段に御説明を申し上げることもないと思います。  十七ページに参りまして、労働保護行政に必要な経費で、項目としては七項目ございますが、それは労働基準法の施行、最低賃金法の施行、ただいま国会に提案をいたしておりますじん肺法が通過いたしましたあとにおけるじん肺法の施行、それらに必要な経費がここに掲げてございます。それぞれ施策強化のための経費でございまして、増加になっておりますものはそういうものでございます。特にふえておりますのは、十八ページのところをごらんいただきますと、3の職業病防止対策費、このうちでカッコ書きは労災保険特別会計でございますが、これが千四百六十一万八千円で、三十四年度に比較いたしまして、一千一百万円以上ふえておりますのは、これはじん肺法の施行に必要な経費が入っておるからでございます。  十九ページに参りまして、4のじん肺等長期傷病者補償汁負拠金が四億八百二十八万九千円計上されております。これに国会にただいま提案しております労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案が成立をいたしますと、あれによりまして、じん肺患者につきましては国庫負担四分の三、せき損患者等につきましては二分の一の国庫負担をいたしますが、それに必要な経費でございます。十九ページの中に(イ)新規分とございますのは、ただいま提案中の法律が施行されました後に発生をして参りますあの法律適用患者のための経費でございます。  二十ページに参りまして、中ほどから少し上に(ロ)経過措置分というのがございます。これは現在のけい肺法の特別保護法及び臨時措置法によりまして、保護を受けております患者の新しい法律への移行をする分の所要額が、経過措置分九千六百六十八万三千円、こういうことで計上してございます。  二十ページの下のところに(注)として対象人員を書いておりますが、新規分が五百五十七人、経過措置分が二千五百九十九人、こういうことになるわけであります。  二十一ページは特に御説明申し上げることもございません。  二十二ページに参りまして、婦人及び年少労働者保護に必要な経費でございますが、その中の1の婦人少年室協助員を三十五年度におきましては千人増加いたして二千五百人にいたしたいということで、所要額が八百十五万九千円でございます。  婦人の職業対策費といたしましては、(1)内職相談施設を五カ所ふやして二十一カ所にしたいということであります。これが二十四年度に比較しまして変わりましたおもなものでございます。  それから3の婦人労働者福祉施設費、これは働く婦人の家を中小企業の密集地帯に設けて、働く婦人のレクリエーションの利用に資したいということで、一カ所新設いたします。これは都道府県に補助をいたしますが、その補助率は三分の一でありまして、既存のものは三カ所であります。  二十三ページに参りまして、一番上の4、年少労働者福祉員委嘱養成費、これは中小企業に働いております年少労働者の健全な育成をはかるため中小企業協同組合等中小企業団体に福祉員を一人ずつ置いて、初年度として三千人置いてもらう。それの講習費用でございまして、新規事項でございます。  次の年少労働者福祉施設費、これは青少年ホームというものを二カ所、三十五年においては新しく設けたいという経費でございまして、千四百七十五万円で、三十四年度は一カ所でございます。  6は特に御説明申し上げることもございませんが、ただ6の中で新しい事項が一つございまして一つの県に三十人のホーム・ヘルパーと申します、家政婦の上等なものでありますが、三十人養成するための経費百六万六千円が入っております。  二十四ページに参りまして、職業安定行政に必要な経費、これは特に御説明申し上げることもございません。  二十五ページの第十労働統計調査に必要な経費で、特に変わっておりますのは、要旨の中の甲調査費というところで、全国調査、九大産業の九千三百事業所、カッコ書きは三十六年一月より一万四千事業所に拡大とございますが、これが増加をいたしましたおもな理由でございまして、三十六年一月から毎月勤労統計の密度を高めまして、その誤差額を少なくしたいというものでございます。これは三七十年度以降は、金額としては非常にふえて参ります。それ以外では特に御説明申し上げることもございません。  二十六ページ、二十七ページ、大体三十四年度と大した差はございません。  二十八ページに参りまして、第十一、国際協力に必要な経費、これは、ILOの日本政府の分担金が増加になりました分だけふえておるわけでございます。増加分は千百三十七万六千円でございまして、分担金は総計六千四百九十七万三千円でございます。  次に二十九ページも一般的なものでありまして、特に御説明申し上げることもございません。  その次に、庁舎新営に必要な経費がございます。これは労働本省庁舎が三十五年度からは本格的な建設段階になりますので、それがふえましたものがおもなものでございまして、出先機関につきましては一般会計では減少でありますが、特別会計でその減少分だけ負担増になっておりますので、差し引きいたしますとほとんど差異がございません。そういうものでございます。  以上で一般会計分を終らせていただきます。  次に、特別会計資料がお手元に参っておりますので、それをごらんいただきたいと思います。それをごらんいただきますと、まず第一に総括表でございまして、労働者災害補償保険特別会計は、歳入歳出とも、そこに書いてありますように三百九十二億五千八百十一万一千円でございまして、三十四年度に比較いたしますと三十億以上増加ということであります。  失業保険特別会計歳入歳出とも5百二十一億九千六百二十三万一千円で、三十三億五千九百万円の増加、こういう状態であります。  次の二ページをごらんいただきます。まず労災保険特別会計から申し上げます。  歳入の中では、従来と変わっておりますのは、2のじん肺等長期傷病者補償費国庫負担金収入、これは先ほど一般会計で御説明申し上げましたものでございます。  三ページに参りまして、歳出として、まず第一は保険費が二百八十億八千百二十二万一千円でありますが、中身は二つに分かれまして、一般の労災保険関係とじん肺等長期給付に関するものと、二つに分かれるわけであります。  一般の補償費関係では二百七十八億七百三十二万五千円でございます。その中身は、三十五年度発生分と三十四年度から三十一年度までの発生分とに分かれまして、それぞれの額はそこにございますように、三十五年度が百六十億七千六百八十四万三千円、三十四年度以前のものが百十七億三千四十七万二千円、こういうことでございます。  それから長期給付費といたしましては、六億八千二百九十三万八千円でございまして、このうち国庫から先ほど申し上げました四億八百万が支出されるわけでございます。その差額が事業主負担ということになるわけでございます。新規分及び経過措置分は先ほど一般会計のところで申し上げましたと同じような中身でございまして、対象人員は先ほど申しました通りでございます。  五ページに参りまして、業務取扱費と申しますのはいわゆる事務費でございまして、ごらんいただくように二億七千百万ほどふえておりますのは事務量の増加に伴うものであります。  3、4、は大して御説明申し上げることもございません。  それから保険施設費は三億四千二百六十九万円でございますが、この中身は五ページから六ページにかけて書いてありますが、そのおもなものが労働福祉事業団に対する交付金でございます。一億八百二十三万五千円でございまして、これは労災病院が完全に計画通り建ちますと独立採算で参りますが、完全に整備されるまではどうしても赤字が出ますので、その赤字分をば労災会計から負担をいたしております。それが交付金支給対象病院でございまして、三十五年度では三病院ございます。それから傷痍者訓練所、看護婦養成所その他につきましては、三十四年度とさして差はございません。それから外科後処置等診療委託費以下につきましても、それほどの差はございません。  六ページに参りまして、労働福祉事業団に対する出資金でございます。先ほどのように運営につきましては交付金という格好で出しますが、施設関係につきましては出資金として労働者災害補償特別会計から労働福祉事業団に出すわけであります。中身は、労災病院の新設それから職能回復指導施設あるいは既設病院の拡充整備、看護婦養成所、機械整備費、こういう項目でございまして、総額で十四億九千九百九十万円ということで、三十四年度より七千八百七十九万五千円の増であります。  次に失業保険に参りまして、この中で保険料収入は、現在国会に提案されております法案におきまして千分の十四で計算されてございまして、三百七十八億五千百万円でございます。運用収入は、失業保険特別会計の積立金がありまして、それが資金運用部に預託されておりますが、これから生ずる利子収入でございまして四十一億三千万円。積立金といたしましては七百六十五億五百七十四万二千円でございます。  次に八ページに参りまして、保険金は三百四十六億七千八百万円を予定しておりますが、これは先ほど一般会計のときに御説別申しました内容と同じでございますので、省略させていただきます。  保険施設費といたしまして七億六千六百八十九万一千円でございますが、そのおもなものは労働福祉事業団に対する交付金でございまして、五億三千九百八十九万円。これは総合職業訓練所、中央職業訓練所の運営のための経費でございます。職業訓練所でございますので当然赤字でございますから、それに対する運営費を失業保険特別会計から交付金の形で出すわけでございます。(2)と(3)は身体障害者に対する職業訓練所の補助費でございます。  九ページに参りまして労働福祉事業団に対する出資金でございます。これは総合職業訓練所の建設費、機械購入費、中央職業訓練所の建設費及び機械購入費その他簡易宿泊所あるいは労働福祉館あるいは被保険者住宅というようなものの建設費でございます。これは出資金の形で失業保険から労働福祉事業団に対して支出されます。おもなものはそこにありますように総合職業訓練所の建設費及び機械購入費でございまして、十二億四千六百四十七万四千円でございます。  十ページに参りまして、業務取扱費、庁舎等新営費あるいは公務員宿舎施設費等に対して、それぞれ業務量の伸び等に応じて支出することになっております。以上で失業保険関係は先ほど申しましたように五百二十一億九千六百二十三万一千円でございます。  以上、簡単でございますが、御説明を終わります。      ――――◇―――――
  13. 永山忠則

    永山委員長 この際、委員派遣承認申請の件についてお諮りいたします。  夕張における炭鉱災害及び労働者災害補償に関する調査のため、現地に委員を派遣いたしたいと存じますので、衆議院規則第五十五条により、議長委員派遣の承認を求めることに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
  15. 永山忠則

    永山委員長 派遣委員の氏名、派遣期間、派遣地名につきましては、委員長に御一任願うことに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  16. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  なおただいまの委員派遣につきましては、往復ともに航空機利用の承認議長に求めたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  17. 永山忠則

    永山委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  本日は、これにて散会いたします。     午後零時五十一分散会