○
丹羽(兵)
委員 私は、
国土総合開発特別委員会の
委員でもありますし、なおまた、本
法案の賛成者でもあります。しかしながら、賛成者ではありまするが、
提案者ではないので、
法案のこまかい
内容について十分理解をしたり、
内容を知りたい、こういうことで、先回、
国土総合開発特別委員会で相当時間ちょうだいしてお尋ねをし、
提案者からの御
説明もいただき、また、
政府からもいろいろとお
考えをちょうだいいたして、理解してはおります。しかし、きょうは幸いにも
農林水産委員会との
連合審査会でございますので、きょうは
農林水産委員会に所属する
委員という
立場から、もっとお尋ねをしてみたい、こう思っております。なおまた、先回の
委員会において私は、
農林水産の
立場から、特に
農林水
産業に携わる者の
立場を通してお尋ねをし、
提案者にも十分
考えていただくように強く要望してあったのでありますが、ただいま
中村先生からのお話を聞きますれば、私の強い要望を相当いれて、与党間においての修正という
考えが、取り入れられておるということに一部触れたお話をいただきまして、敬意は表します。しかし、よく
考えてみますると、この
法律は臨海
開発促進法で、
臨海地域の全体を
開発する、こういうように広く
考えられておりまするが、一般の受けるところは、埋め立てをするのだ、新しい
土地を作るのである、
造成ということに非常にウエートを置いておるように受けるわけであります。もちろん、ただいま各省それぞれの御発言がございまして、特に
運輸省から言われましたように、
日本の
産業構造からいって、
日本の
産業の伸張、
発展から
考えて、海運業に待たなければならない、特に
産業の中でも、製油、製鉄等は、海岸、臨海地帯に新しい
土地を求める必要がある、こういうような趣の御発言があった。こういうところから見ましても、ただいま申し上げましたように、新しい地帯を作るのだ、こういう点に非常にウエートがあるように私は
考える
法案のように思います。
そこで、私は、特に
提案者よりも
農林当局にお尋ねをしたいのですが、本来ならば、
農林委員会でお尋ねをすべきかもしれませんけれ
ども、この
法案に多く
関係することでありますから、この場で
一つお尋ねをしておきたい。先回も申し上げましたが、新しい
土地ができるということになると、背後
関係の農地との
関係が非常にある。それと同時に、先ほど三省公団のことも出ましたが、国において、特に
農林省においては、
人口等の問題から新しい開拓地の
計画を立てておられる。それは逐年予算をつけておる。こういうような新しくすでに手をつけておる開拓地との
関係、あるいは既耕地の
関係、あるいはまた、
工業水との
関係、たとえば愛知用水なんかもそうなんです。農民としての農業用水ができたのでありますけれ
ども、だんだんと
工業が進んで参りますと、特に臨海
工業地帯に東海製鉄のような工場がくると、農業用水、愛知用水の水を、その
工業が当てにしてくるというようなことも起きてくる。それから、臨海地帯に工場がたくさんできますれば、廃水の問題がある。それから、もうとにかく農業との
関係がある。特に水産なんか、今
芳賀さんからもお話がありましたように、これは汚水を流されたら、沿岸の漁師というものは、ただその漁場の補償をしていただくというのではなくして、これらの転業とか、将来生きる
ために、また新しくその人に漁場を作ってやる。特にノリなんかそうです。
わが国は、一億枚からのノリを韓国から買っておる。しかも、これが臨海
工業地帯を新しく作ることによって侵され、なくなっていく。だから、漁民あるいは農民等に
関係するこの
法案が成立した後の処置、これはやはり、
芳賀さんも言われましたように、全く軽視され、どこにもうたってない。今
提案者の御
説明のように、いよいよ
計画ができて、やるときには補償するという規則があるのだから、こういう話だった。それはできてから、この補償するという規則があるのだから補償されるであろうし、補償されるものだという、そういう軽いものではないのです。実際において、この海岸、接岸地帯に
一つの新しい工場地帯ができ、これによってその職場を失い、生活権を失うところの農民、漁民にしてみたら、これは大へんな問題なんです。その点が、この
法案の中では全然深く触れてない。埋め立てするときに
考えられるであろうし、するであろうというような、そういう
説明では、農民、漁民は反対せざるを得ない、こういうことになる。そんなことで、一体
農林省はいいか。農民、漁民の
立場を深く
考えておっていただく方々が――この
法案をわれわれがこのまま、あるいはわずかな修正をして、これで漁民はおさまるかどうか。私は
一ついい例をあげましょう。先回から水産庁に強く要求しているのですけれ
ども、全然出してよこさないのは、愛知県に東海製鉄所ができる。その
ために、一漁民当たり四百五十万ないし五百万の補償をしている、ただ別れ金というだけで補償しておる。そうしてまた、新しい漁場を県は作ると言っておる。新しいノリ場や漁場を作るその費用と、それから零細なる、ほんの片手間でやっておりまする漁民にも、平均四百五十万、五百万の補償をするというような膨大な補償になる。こういうようなことを県が独自でやったのか、水産庁と十分連絡をしての補償をやったのか、どうだ。だれも知らないと言う。県が勝手にやっているから知らない、こういうわけです。けれ
ども、もう一度、
事務当局の方にあったかもしれませんから、尋ねてみましょうというようなお話なんですね。それはどちらでもいいです。県がたくさん出せばけっこうであります。やってほしいのですけれ
ども、そのノリを、わずかの間作る人でも、それだけの補償をしてやらねば何ともできないというくらいの大切な漁場であり、ノリ場である。でありますから、これらの
法案に対して、いかに
政府であろうとも、賛成だ、反対ではないと言われるならば、こういう点について、もう少し深くこの
提案者と連絡をとって、協調しておられるかどうか、どうお
考えなさるか、私は、
農林当局の御
意見を承らしていただきたい。