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1960-04-01 第34回国会 衆議院 建設委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年四月一日(金曜日)     午後一時三十六分開議  出席委員    委員長 羽田武嗣郎君    理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君    理事 二階堂 進君 理事 堀川 恭平君    理事 中島  巖君 理事 山中 吾郎君    理事 塚本 三郎君       徳安 實藏君    橋本 正之君       廣瀬 正雄君    山本 猛夫君       石川 次夫君    岡本 隆一君       實川 清之君    今村  等君  出席国務大臣         建 設 大 臣 村上  勇君  出席政府委員         建 設 技 官         (道路局長)  佐藤 寛政君  委員外出席者         建設事務官         (道路局次長) 前田 光嘉君         建設事務官         (道路局日本道         路公団首席監理         官)      江田 正光君         参  考  人         (日本道路公団         総裁)     岸  道三君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     浅村  廉君         参  考  人         (日本道路公団         計画部長)   藤森 謙一君         参  考  人         (日本道路公団         名神高速道路部         長)      片平 信貴君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  道路に関する件      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 これより会議を開きます。  道路に関する件につきまして調査を進めます。  本日は建設省当局のほか、日本道路公団総裁岸道三君に参考人として御出席を願い、道路問題につきまして御意見開陳を願うのでありますが、この際一言ごあいさつを申し上げます。  参考人には御多忙中、当委員会のためわざわざ御出席を願い、まことにありがとうございました。委員一同にかわりまして厚くお礼を申し上げます。どうか遠慮のない御意見開陳をお願いいたします。  それではこれより質疑を行ないます。質疑の通告がありますから順次これを許します。  中島巖君。
  3. 中島巖

    中島(巖)委員 きょうは道路公団岸総裁がお見えになることを、けさお伺いいたしましたので、ちょうど大臣もお見えになっておりますので、二、三基本的な問題について、大臣のおいでのうちにお伺いしたいと思います。  結局、道路整備五カ年計画を自民党の内政面の大きな看板として打ち出したわけでありまして、この五カ年計画の一兆円予算の中には二千億の有料道路があるわけであります。道路公団はこの有料道路建設、維持、管理をすることになっております。従いまして、この一兆円道路整備予算関係に非常に大きなウエートを持っているのは公団の存在であろうと思うのであります。従いまして、公団建設せんとするところの道路と、そして国が策定するところの道路整備五カ年計画との有機的関係が非常に大きい、こういうように考えるわけであります。鉄道建設なんかにおきましては、鉄道敷設法なるものがありまして、その中に法定線が百五十ほどありまして、路線といたしましては二百二十幾つかになっておるように記憶いたしております。この法定線の中から調査線審議会において決定し、さらにその調査線の中からまた建設線を取り上げる。こういう経過をたどっておるのでありますけれども、この有料道路においてはそういうような制約がないわけであります。従いまして、一切の道路を職務管掌しておるところの建設大臣有料道路に対する基本方針と、それから道路公団総裁有料道路建設に対する基本方針、これが非常に大きく有料道路建設の上に響くものと考えられるのでありますから、この点についてどういう基本的の理念のもとに有料道路建設に当っておるか。この点総裁にお伺いし、あわせて大臣にこれらにどういうふうな基本的の指導理念をもって当たっておられるか、この点お伺いいたしたいと思うわけであります。
  4. 岸道三

    岸参考人 ただいまの道路公団道路建設基本方針でございますが、これは道路公団発足の当時、どういう道路を作るかということを建設省といろいろ相談をいたしましてできたものが、日本経済の復興に非常に役立つ道路、その次には国際観光道路、そういう点に重点を置こうじゃないかということで、きまっております。
  5. 村上勇

    村上国務大臣 ただいま岸道路公団総裁からお答えいたしましたように、日本産業あるいは観光、あらゆる立場から、これが最も不可欠なものであるというようなところ、しかもそれは、経済的にどうにか採算のとれるということも一つ条件になっておりますが、そういうような点で、この道路公団が発足して今日に至っておるのであります。
  6. 中島巖

    中島(巖)委員 どうもお二人の御答弁、満足できないわけであります。すなわちワトキンス調査団の例の勧告書にもある通り日本は他の文明国に比較して、道路整備が四十年おくれておる、この道路整備がおくれておるために日本産業は非常に隘路に立っておる、こういう勧告を受けたわけです。この勧告書に基づいて、例の一兆円予算も急速に成案を得た、こういうように考えておるわけであります。従いまして、日本道路は、こういうふうな計画をもって行なわねばならぬという基本的の問題を策定いたしまして、その策定に基づいて、計画的な、輸送だけではなくして、日本全体の産業をいかに開発すべきであるか、それがためにはいかなる道路政策を持たなければならぬか、こうした一貫した方針のもとに、有料道路も、国道も、その他の府県道も、足並みをそろえて整備していかなければならぬ。こういうように私考えておるわけでありますが、非常に時間も制約されておりますので、先へ急ぎます。  事業開始決定について、道路公団建設省関係についてお伺いいたしたいのであります。先ほど申し上げましたように、鉄道の方は、鉄道敷設法によって、法定線というものが決定しており、その中から、審議会において慎重審議の結果調査線を決定し、その調査線からさらに建設線を決定して、国の財政とにらみ合わして建設に着手する。こういうように一貫したところの方針法律の上で決定しておるわけであります。公団法を調べてみますと、業務方法書というものを道路公団で出しまして、それを大臣が認定することによって事業が開始する、こういうことになっておるのでありますが、その間のいきさつは、今まで当委員会において質問いたしたこともないので、はっきりいたさないのであります。すなわち、事業開始決定に至るまでにどういう経過をとっておるか。あるいは建設省では、ただいま申しました全国道路行政の上から指導しておるのかどうか。あるいはそうではなくして、その年、その年の道路公団考え一つ業務方法書を提出して、それを認めておるようなことをしておるのか。この二点についてお伺いをいたしたいのであります。まず最初建設省との事業開始決定までのいきさつにつきまして総裁よりお話を承り、それから建設省はどういう方針でおるかの点について大臣より御説明していただきたい、かように考えるわけであります。
  7. 岸道三

    岸参考人 道路公団といたしましては、先ほど申し述べましたような方針に従いまして、全国で百数十本の道路を現在調査をしております。そしてその調査の結果、一年かかるものもありますし、二年かかるものもありますし、さらに三年かかるものもございますが、その調査の結果、最も必要であるという道路から着手しようとしておるわけであります。もちろん、非常に必要な道路であっても、道路公団の性格にかんがみまして、非常に採算が不利であるというものは、おくれることもありますが、たとい採算が多少不利であっても、国としては、経済上あるいは国際観光上どうしても必要であるというような道路につきましては、できるだけ早くこれを建設するようにしております。その調査の報告その他を建設省といろいろ討議いたしまして、そしてただいま申しましたように道路建設するようにしている、こういう順序であります。
  8. 村上勇

    村上国務大臣 ただいまの岸総裁のお答えと同じように、日本道路公団は、その道路に着手しようとする場合には、あらゆる設計図あるいはその他の書類を添付して、そして許可申請建設省の方に出して参ります。それを審査して、これの許可を与えることによって事業に着手できるのであります。
  9. 中島巖

    中島(巖)委員 大臣お忙しいようでありますので、もう一言だけ大臣に希望を申し上げて、大臣の御所見を伺いたいと思います。今までの話を承っておりますと、結局この有料道路に関しましては道路公団まかせ、こういうように感じられるのです。これは一兆円予算の中の大きな部分を占めておるので、一貫した国の道路政策に沿っていかなければいけない。こういうような観点から考えまして、これはむしろ鉄道敷設法のように、建設省といたしまして、全国何百あるか知りませんけれども、そういうような法定線、つまり法律で定めた線というものをこしらえて、その中から予算関係で、何と何の線を将来建設せねばならぬから調査線にする、さらに調査線から国の財政とにらみ合わせて建設線に繰り上げる、こういうような方法をとることが、国の一貫した道路政策にも合致していいと私は思うのです。今までの公団仕事関係を見ておりますと、観光道路みたいなものにばかり重点を置いておるわけであります。結局採算がとれる線というようなことが一番重点的な問題になり、そのほかはほっておくということになると、いわゆる政治力関係とか、あるいは公団総裁もしくはその下のポストにすわっておる者の考え一つで、国の金が好いたように流れていくおそれがある。従いまして、ただいま申し上げた鉄道敷設法に準拠したような政策建設省でとるべきが当然である、こういうように考えるのでありますが、この点について大臣の御所信を承りたいと思うわけであります。
  10. 村上勇

    村上国務大臣 道路公団道路申請をする場合の条件といたしましては、「当該道路通行者又は利用者がその通行又は利用により著しく利益を受けるものであること。ということが第一条件になっております。そういうものが幾つか出てくる中で、建設大臣は、前項の規定に基づいてその申請書を受理した場合においては、申請にかかる道路の新設または改築が、ただいま申し上げたものに合っているかどうかということを検討して、その取捨選択をすることができるのでありますから、鉄道の場合も道路の場合も私は大体同じことが言えると思います。鉄道も、申請があって、その申請を決定したからすぐ着工しなければならぬということは必ずしも言い得ないのでありまして、やはりその重要度の高いところから順次実施していくということになっております。従いまして、道路の場合も、道路公団にしても重要度の低いところは持ってくることはないと思いますが、その幾つか出てくる中で、建設省においてもこれが取捨選択については十分検討して許可を与えるということになっておるのであります。
  11. 中島巖

    中島(巖)委員 もう一つ大臣から御答弁は要りませんが、ちょっとお聞き願っておいてお帰り願いたいと思うのです。私の申し上げますのは、やはり道路建設に直接携わっておる者は、目先の道路が狭隘になって交通が困難だとか、そういうところにはよく重点的に考慮が払えると思うのです。しかし三十年後、五十年後に、日本の国土を交通の上からどういうようにすべきであるかというような、大きな見地から線を引くのにはやはり政治家でなければいかぬ、こういうように私は考えておるわけです。そういうような見地からと、もう一つの点は、やはり大ぜいの者によって決定して線をこしらえて、その中からピック・アップするということは、あるいは建設省道路公団事務当局でもいいけれども、基本的なものはやはり国会でこしらえておいて、その中の重要度の高いものから調査線にし、さらに建設線にしていく。こういうような方法において仕事の方を担当してもらう。そうでなければ、今の総裁はそんなことはないでしょうが、総裁考えであるとかあるいは政治力の強いものであるとかというようなところに、気まぐれ気まぐれにその年の予算を持っていくおそれが非常にある、こういうように私は考えるわけです。従いまして、この点について公団法の一部改正なんかでも一つ考慮に入れておいていただきたい。こういうように大臣にお願いをいたしておくわけであります。お忙しいところを、大臣、ありがとうございました。  次にお伺いいたしたいのは、これは総裁でなくても公団事務当局からでもけっこうなんですが、実はこのごろ当委員会に提出されました書類によりますと、営業開始の線が三十二線ありまして、そのうち利益の上がっておるのが七線、赤字線が二十五線という状態になっておるわけであります。そこで、私は何も赤字線に対して公団を責めようとか追及しようという考えはないのでありますけれども、おそらく公団としては初めに建設したときに、最初の何年は赤字で、あと何年たてば黒字になるというような、大体の計画書というものはあるだろうと思うのです。でき得れば計画書みたいなものを御提出願いたいと思うのです。最初の御計画と、この供用を開始した以後との食い違いというものがどんな程度だか、詳しくありのままを御説明願いたい、こう考えるわけであります。
  12. 岸道三

    岸参考人 詳細のことはあとで御返事させますが、大体道路公団建設したときに県、国その他から引き継いだ道路がございます。そのうちで、優秀なものと優秀でないものとあります。それから公団建設した道路につきましては、おおむね最初予定以上にいっておる。予定以下のものはあまりないようであります。その詳細のものは、後刻数字をもって御説明いたします。
  13. 中島巖

    中島(巖)委員 よくわかりましたが、またいずれ資料を御提出願いたいと思います。  そこで、たとえば伊東道路だとか下田道路だとかいう建設は、あなたの方ではもう完了したのですか、現在建設中ですか。そういう道路があるわけです。ところがこれに対しましては、例の下田鉄道というような建設計画があって、すでに着手しておるわけであります。そういたしますと、自動車時代だから、これを非常に利用するものもあるではありましょうけれども、国家の大きな見地から見ると二重投資になるわけであります。こういうようなことに対して、今後総裁はどういう方針で進められるか、この点をお伺いしたいと思います。
  14. 岸道三

    岸参考人 ただいま御質問のありました下田関係の伊豆半島の道路は非常に成績がいいのでありまして、これは現在われわれが計画したのを二割以上上回わっております。それで、これから鉄道ができまするとどういうことになるかしれませんが、鉄道自動車のお客の層、それから目的、それらが非常に違っておりますものですから、電車ができましてもこの道路を通る車は減ることはない、さらに予定以上にふえてくるのじゃないか、そういう見通しでございます。
  15. 中島巖

    中島(巖)委員 今大体総裁のお考えを伺ったのですが、私としましては総裁考えとは違いまして、やはりこの日本全国道路網形成という観点に立って、二年なり三年のうちに鉄道が敷けるというようなところはなるべくやめて、やはり重点的な方向へ持っていく方がいいのじゃないか、こういうように考えておるわけです。ここで議論しておっても始まらないので、それはやめることにいたします。  これはむしろあなたの方にお聞きするより、建設省へお伺いした方がよろしいのですが、いつあなたの方でこういう名前にしたかしれませんが、例の名神国道年次計画ですが、実はことしになりまして年次計画が出たわけであります。その前に建設省道路局昭和三十二年の五月七日に出した年次計画におきましては、こういう年次計画が出ておるわけであります。昭和三十二年度に三十四億、三十三年度に二百二十四億、三十四年度に二百九十億、三十五年度に百五十億で計六百九十八億でもって完成するという、こういう年次計画が出ておるわけであります。これは建設省の方から提出した年次計画であって、あなたの方へお聞きしてもわからぬとは思います。あなたの方にお伺いしても責任はないと思いますけれども、この計画を立案するについてはおそらくあなたの方でも参画いたしておると思うのであります。ところが、ことしになりまして年次計画は非常に食い違ったものを出しておるわけなんです。これはことしの一月一日現在で出したものでありますけれども、五カ年計画といたして、三十三年三十七億、三十四年百二十八億、三十五年百七十一億、三十六年から三十七年にかけて四百五十一億という数字を出したわけです。  そこでお伺いしたいことは、最初建設省が策定した三十二年の年次計画をことしの一月出したこの年次計画に切りかえたのは、いつ御協議願って切りかえたのであるか。この点をお伺いしたいと思う。
  16. 岸道三

    岸参考人 その辺の詳しいことになると事務当局でないとわかりませんが、大体昭和三十二年の十月にわれわれは名神高速道路建設命令を受けました。そのときには七百九十三億の金額でもってやることになっておったわけでありますが、その計画に従いまして逐次やっておるわけであります。その後この名神高速道路をいかに優秀な、りっぱな道路にするかということが問題になり、特に世界銀行との関係におきまして、この路線に対する技術的な検討をもう一度しなければならぬということになりまして、そうしていわゆる路線と線形と、それから安くていいものを建設するための土質の検討とか、そういう新しい問題が起こって参りましたので、最初三十二年にわれわれが作成したものと若干変わっておると思います。ことしの一月にできたものは最近のものだろうと思いますが、この計画調査がだんだんと精密になればなるに従いまして、その金額その他については若干の異同があるのはやむを得ぬと思います。     —————————————
  17. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 この際お諮りいたします。日本道路公団理事浅村廉君、同計画部長藤森謙一君、同名神高速道路部長片平信貴君の三名を参考人として追加選定し、意見を聴取したいと存じますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  18. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。     —————————————
  19. 羽田武嗣郎

  20. 中島巖

    中島(巖)委員 総裁お尋ねしましても数字なんかの点がおわかりにならないし、また事務当局から聞いておれば時間を食うのでありますが、幸いにして今新しく参考人を追加していただきましたのでお伺いいたしたいと思います。  ただいま総裁お尋ねしました最初の、これは建設省昭和三十二年に策定いたしました計画でありますが、この計画とことし発表しました計画との計画変更をしたのはいつごろであるか、どういう理由で計画変更をしたのであるか、この点につきまして、新しくお願いした参考人の方でけっこうでありますから、説明をお願いいたしたいと思います。
  21. 江田正光

    江田説明員 ただいまの名神高速道路事業費は、私、遺憾でございますが、よく存じておりませんが、道路整備五カ年計画におきます名神高速道路建設費は、ただいま総裁の言われましたように七百九十三億円というふうになっております。
  22. 中島巖

    中島(巖)委員 計画を変更されたことは、そうすると公団としては御存じないわけですか。
  23. 浅村廉

    浅村参考人 ただいまの中島先生お尋ねでございますが、実は三十二年の五月の資料をこの席で拝見いたしましたので、十分なお答えはいたしかねますけれども、七百九十三億円ということで名神高速道路の総事業費予定して現在やっております。ここに至りますまでに、あるいはそういうことが論議されたことがあったのかと思いますけれども、今ここで正確にどういういきさつ先生のおっしゃいます金額が七百九十三億に変更されたかということは、ちょっと的確にはお答えいたしかねます、ただいまのところは、七百九十三億円ということで施行命令をいただいてやっておりますので、私どもはそれを基礎にして計画を立てておる次第でございます。
  24. 中島巖

    中島(巖)委員 別にあなたの方から提出した書類じゃないから、あなたの方を追及しても無理だと思いますから、またあとでそのいきさつ書類でもって委員会なりに御提出願いたい。  それでは次に、名神国道関係についてお伺いいたします。これは、ことしになりましてからあなたの方から通常国会に提出された書類だと思いますが、名神国道のこの五カ年計画は、建設費が七百八十七億七千万円になっておりまして、建設利子が百五億八千七百万円になっており、計八百九十三億五千七百万円。計画の内訳が、三十三年三十七億、三十四年百二十八億、三十五年百七十一億一千二百万円、三十六年から三十七年にかけて四百五十一億五千八百万円。こういう数字になっておりますが、これは間違いありませんか。
  25. 浅村廉

    浅村参考人 それは間違いございません。
  26. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、実は昭和三十二年度からこの路線には、一晩のうちに予定路線法律をこしらえてしまった、ちょうど京都バイパス予算があって、それを流用して建設にかかったわけでありますが、昭和三十二年の予算は三十七億二千九百十六万円、それにバイパスの繰り越しが二億九千九百十六万円、計四十億二千八百三十二万円というふうに記憶しておりますが、これはどういう数字でしょうか。
  27. 浅村廉

    浅村参考人 名神高速道路予算でございますが、私がただいま覚えております数字は、昭和三十二年度予算額で四十億、それに三十一年度予算三億が繰り越されまして、ワクとしては四十三億円程度のものであったと私は記憶しております。
  28. 中島巖

    中島(巖)委員 そこで、この四十億ないし四十三億の概算の予算ですが、これは事業で消化した金額はどういう金額になっておるか、お伺いしたいと思います。
  29. 浅村廉

    浅村参考人 名神高速道路につきましては、予算と対比をしまして、どれだけ使ってどれだけ繰り越したかということは、いろいろの御説明を申し上げないと正確に話ができないのであります。ただ、実際問題といたしましては、ただいままでに毎年度、三十一年度京都バイパスとしてやっておりましたが、三十一年度以来、三十一年度は三億円、三十二年度は四十億円、三十三年度は六十五億円、三十四年度は百億円、それから三十五年度予算といたしましては百七十一億円という工合に予算を認めていただいて参りました。これをどれだけ使って、どれだけ繰り越したかというお尋ねでございますが、その問題につきましては、いろいろ当時財政関係の逼迫から、特に後年度に繰り延べろというような御命令を受けたために実施できなかった面もございますし、公団の方の用地買収が予想通り進捗しなかったために、手待ちになって金が繰り越されたという面もございますし、いろいろな事情が重なりまして、予算通り実施ということは金額的には現在までできずに参っております。よけいなことをくどくど申し上げて失礼でございますが、実情はそのように相なっております。
  30. 中島巖

    中島(巖)委員 実は私、今出がけに机を調べたら出てきたので正確な数字を申し上げますが、三十二年度事業費が三十七億二千九百十六万円、前年度バイパス繰越金が二億九千九百十六万円、計四十億二千八百三十二万円あった。これに対して三十三年度実施額は三億一千六百五十七万円で、事業費の一割を使えなかった。わずかに七・五%くらいしか使えなかったわけです。それから三十三年度は、三十二年度繰越金が三十七億一千二百五十九万三千円で、事業費が六十五億、合計して百二億一千二百五十九万円あった。これに対して三十三年度予算消化額はどのくらいになっておるか、お伺いしたいのです。
  31. 浅村廉

    浅村参考人 三十三年度は実際消化いたしました額は十九億円でございます。
  32. 中島巖

    中島(巖)委員 そうしますと、三十二年度はわずか七%か八%しか予算額に対して実施額がない。それから三十三年度は百二億一千二百五十九万円に対して十九億しかないとしますと、これも一八%程度のものです。そこで三十四年度になりますと、これはたしかこうだと思って、まだ正確に調べておりませんが、予算が百億で、繰り越しが八十三億二千万円、計百八十三億という数字になっておりまして、まだ三十四年度はきのう締め切ったところなので、はっきりした数字もわからないだろうと思うのですが、三十四年度実施額はどのくらいの額になるのでしょうか。
  33. 浅村廉

    浅村参考人 これは年度経過したばかりでございまして、まだ私ども正確に金額をつかまえることが不可能でございます。だいぶ前でございましたが、三十四年度としては約七十億円見当の消化が可能であるという考え方を出しておったのであります。
  34. 中島巖

    中島(巖)委員 そうしますと、七十億とすると百八十三億に対して消化できぬ金が百二十億ある、こういう数字になるわけなんです。そこで基本的な問題としてお伺いしたいのは、この予算請求はあなたの方でやられたのか、あるいは建設省の方からこれだけ仕事をしろといって予算をつけて命じられたのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  35. 浅村廉

    浅村参考人 公団予算は、まず公団の方で大体の過去の実績から考えまして、あるいは将来の事業の段取りなどを考慮いたしまして原案を作りまして、建設省と十分御相談をいたしまして作るわけでございます。ただ、お尋ねの点でございますが、この名神高速道路につきましては、確かに今まで施行命令も出たことでございますので、私どもでも一刻も早くこの道路を完成いたしたいということで努力をいたしまして、そのために予算的にも相当大きな数字を計上していただいておりましたが、実際問題といたしましては、いろいろな事情がございまして、今日までのところ相当に大きな額を未消化で参ったわけでございます。  ただ、その点にだけ触れてお答えいたしておりますと、私どもの気持が十分おわかりいただけませんので、ついでですから申し上げますが、いろいろな段取りがおかげさまで相当に進んで参りまして、いよいよ本年度は工事の最盛期に、尼崎—栗東間は入るということになって参りました。そこで毎年幾ら使った、幾ら繰り越した、翌年の予算にその繰り越しを受けて合計幾らである、また来年繰り越してどうだ、というようなことを繰り返しておってもいたし方ございません。私どもとしては三十五年度予算として百七十一億円というものを計上していただいておりますので、三十五年度一つ百七十一億使おうという意気込みで、やれどれだけ繰り越した、どれだけどうしたということをあまり毎年々々やっておりますと、結局数字に追われまして、かえっていろいろ御迷惑もかけますので、そういうような問題はもう一応この際終わりにして、使えない金はワクとしてはお返しをする。繰り越しとかなんとかいうことでなくて、もう三十四年度でかりに幾ら使えないというのが残れば、これは予算的にはいわゆる不用に立てる。そして新しく三十五年度予算でいただいております百七十一億を名神高速道路予算といたしまして、これを対象に私どもは消化に努めたい、こういう考え方で現在やっております。少しよけいなことにまで参りましたが、私どもの実際の気持はそのようになっておるわけでございます。
  36. 中島巖

    中島(巖)委員 今のお答えからしますと、本年度繰越金は返上して新しく出発する、こういうお話であります。そこで、この点を明らかにしておきたいと思うのです。今公団説明によりまして、公団の方で予算要求をして建設省の方でこれを査定して認める、この点は、はっきりしたわけです。  そういたしますと、三十二年度においては幾ら請求したか知りませんが、四十億以上の予算がついておりまして、わずか三億一千万しか予算を消化していない。三十三年度におきましては百二億の予算がついておって十九億、わずか一割九分しか仕事をしていない。三十四年度におきましては百八十三億二千万円の予算を獲得して、そうして七十億しか仕事ができなくて百二十億残る。まあ一年くらいならいろいろ見込み違いもありますけれども、こう三カ年間にわたって毎年こういう膨大な予算を残すということについては、公団としても予算請求に対して非常に粗雑であるとか、山をかけるとかいうそしりを免れないし、また建設省としてもここ三カ年にわたってこういうばく大な予算を繰り越しておるということは、私は相当の責任問題であると思うのですが、この点について公団総裁の御所見並びに道路局長のお考えを承って、その後においてわれわれも考えたい、こう思います。
  37. 岸道三

    岸参考人 ただいま予算の問題が出て参りましたけれども、われわれは三十七年度名神高速道路を完成するという目標で進んでおります。その間の過程においていろいろないきさつはございますが、まず昭和三十二年の十月に建設命令をいただきましたが、私どもは昭和三十二年の予算を作る時分において三十二年早々に建設命令がいただけると思っておった。それからさらに世界銀行との折衝におきまして、先ほど申しましたように路線の問題その他について非常な修正を受けた。しこうして、その路線全体が満足すべき状態でないならば世銀としても借款に応ぜられないというような問題が、その年度の途中においてしばしば起こったわけであります。従いまして、その満足なる路線ができるまでは用地買収はできないわけであります。そういうことが年度の途中に起こったものですから、しばしば予算の使用上狂いが起こったということはよく御了承願いたいと思います。現在われわれのところでやっておりますのは、尼崎—栗東間についてはこれは完全なる線形ができておる。それから彦根—一宮間におきましてはその三分の二がすべて満足すべき状態の線形ができておる。その点につきましてはただいま用地買収を進めております。そういうようないろいろな事情があるわけでありまするが、いずれにいたしましても、われわれは完全なるりっぱな道路を作りたいというために、多少そういう狂いはありましても、いい線形を求めたいというところから、いろいろ手違いが起こったのであります。これは年度の途中でいろいろそういう問題が起こってくるものですから、やむを得なかったと思うのでありますが、昭和三十五年、六年、七年のこの間におきましては、あまりそういう狂いはないと思います。ただ、三十五年におきましても、今申しましたようにまだ二カ所の路線の決定がおくれておるのであります。完全なる線形の確定がまだ認可を得られておりませんのでおくれておりますが、大体三十七年度には完成するという目標で進めておりますから、それは御了承いただきたいと思います。
  38. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 ただいま中島先生の御質問にございましたように、進捗が悪い。従って、年々多額の繰り越しが生じておるという点につきましては、公団を指導しております建設省としては非常につらいところでございまして、従来たびたびこういう御質問をいただきまして、非常恐縮して御説明を申し上げ、御了解をいただいておったところでございます。従来の理由等につきましては、ただいま総裁からお話がありました通りでありまして、いろいろ私どもも残念ではあるが、やむを得ない点もあった、こう思っておるわけでございます。新年度、三十五年度以降につきましては、これも御説明があったかと存じますが、いろいろ準備が進んで参りまして、本年はかなり進捗させることが確実に見えております。なお三十六年、七年、残りの三カ年をもって予定通り事業を進めるということは十分できると思いますので今後におきましては、私どもといたしましてもできるだけ督励いたしまして、従来のおくれを取り戻すようにしてもらいたい、こう考えております。
  39. 中島巖

    中島(巖)委員 くどいようですが、一カ年くらいならわれわれもこれ以上追及はいたしませんが、三カ年間にわたって——それが一割残ったとか二割残ったとかいうならいいが、事業量が一割か二割で、八割も九割も残しておるというような、こういうずさんな予算では、われわれは御答弁に対して満足を得られないのです。これは公団の責任でもあり、建設省の責任でもある。こういうように考えて、非常に遺憾でありますけれども、今総裁も局長も、前には大臣も、これについては来年度からそういうことをなくせるというような言明がたびたびありましたので、私どももこの際は来年度に期待しておきたいと思います。  そこで、これは委員の諸君にはちょっとくどいようになりますけれども、先ほど大臣に来てもらいましていろいろお話をしたのです。公団事業計画の基本的の問題について、これは御答弁は要りませんから、局長に聞いておいてだけもらいたいのですが、この法律から申しましても、今までの質疑応答から見ましても、公団事業計画を作って建設省建設大臣がこれを認めて事業開始になる、こういう建前になっておるようであります。従って、その間いろいろな釈明はあったにいたしましても、基本的の問題として公団有料道路に対する主導権を握っておるということは、法律の上から見ましても、政府の答弁から見ましても、公団答弁から見ましても、建前である。これではいかぬと私は思うのです。なぜなれば、一つの例をあげると、鉄道では鉄道敷設法によって百五十の線を法定線ときめてありまして、その百五十の法定線の中には一つの法令で二線三線あるものがあるから、二百二十何線というのを日本全国できめてあるのです。この中から調査線というものを幾線か選び出して審議会にかけて、さらに調査した結果において建設線というものを選定しまして、そして国の財政計画とにらみ合わせて建設に着手する、こういうことになっているわけです。ところが、現在の有料道路に対する公団事業開始の関係を見ますと、これは公団総裁の意思いかん、あるいは政治力が加わってとんでもない路線に手をつけるというおそれが十分にある。これは公団法の一部改正をいつかはして、やはりだれが見てもガラス張りの、安心のいくような、いわゆる全国道路政策と一致した方法で進めるような機構にせねばいかぬ、こういうように考えるわけであります。この点については、一つ建設省としても御研究を願いたいと思うわけでございます。  そこで、さらに今後の名神国道建設予定についてお伺いいたしますけれども、大体の基本方針が三十七年の供用開始、こういうことになっておるわけです。ところが最近、ことしになって発表して、今公団の方へただしましたところが、その通りでありますという御返事があって、間違いないと思うのですが、この名神国道は三十二年から工事に着手しておるわけです。ところが、工事費の総額が八百九十三億五千七百万円、それで建設利子の百五億八千七百万円を引くと七百八十七億七千万円でありますけれども、四百五十一億五千八百万円を三十六年度あるいは三十七年度にかかって消費するとすると、三十二年、三十三年、三十四年、三十五年の四カ年間に三百三十六億しか使えなくて、あとの一年ないし一年半に四百五十一億五千八百万円使う。こういう計画になっておるのですが、これで間違いないわけですか。それから、これだけの事業ができるというはっきりした御確信があるわけなんですか。この点をお伺いしたいと思います。
  40. 岸道三

    岸参考人 名神高速道路建設の期間というものは二カ年あればいいわけです。日本の現在の土木技術と土木の力をもってすれば大体二カ年で建設できるわけでありますが、その工事をするためには用地買収をしなければならぬ。その前には路線の決定をしなければならぬ。そういう事前の仕事に非常に時間がかかる。特に用地買収につきましては現地の諸先生方、現在の政府機関その他の御協力にもかかわらず非常に時間がかかるわけでありまして、この問題をわれわれは今鋭意解決しておるわけでありまして、工事は、着手をしたならば大体二カ年でできるというのが現在の工事力を知っておる者の常識になっております。その点工事の方は御心配ないと思います。ただ、今われわれが非常に心配しているのは用地買収、現に今京都ハイパスにおきましても一軒ないし二軒の家が立ちのかないために、それを今収用法にかけざるを得ない状態になっております。われわれとしては収用法にかけないで、できるだけ話し合いでやるように最善の努力をしておりまするが、そういうふうになりますと、勢い収用法にかけざるを得ない。しかも収用法にかけましても非常に時間がかかる。そういうので、私どもは今土地の問題で非常に心配しておるわけでありまして、中島先生もわれわれの事業のおくれることに対して非常に激励叱咤されていることはありがたいのであります。どうぞその上さらに竿頭一歩を進めまして、この用地問題がもう少し簡単に法によって片づくようにやっていただけるならば、百万の味方を得たことになると思うのであります。どうぞよろしくお願いいたします。
  41. 中島巖

    中島(巖)委員 今、公団総裁がだいぶみえを切られたわけですが、それなら何もそんなに、毎年一割や二割しか使えない予算要求をしてとらなくてもいいじゃないですか。毎年々々膨大な予算要求をしておいて、その一割か二割しか使えずに三カ年もそれを繰り返して、工事は二年でできると大みえを切ったって、それはどうかと思うのです。  そこで、今用地の買収が出ましたからお伺いいたしますが、これは総裁でなくとも、ほかの方でけっこうですが、全線に対して何%くらいな用地買収ができたのであるか。それから現在用地買収の最もできぬところの区間、また困難な区間、それについて簡単でけっこうですが、御説明願いたいと思います。
  42. 浅村廉

    浅村参考人 用地の問題についてお答えを申し上げます。  まず、名神高速道路の全線の予定買収面積は三百十二万坪でございます。これに対しまして、三月一日現在でございますが、全線につきまして基本的な技術測量というものはもう九〇%完了いたしております。名神と申しましても、特に今回世銀借款の対象になりましたところの区間、尼崎—栗東間を私どもは第一順位に考えておりますので、自然用地買収も主力をこの区間の買収に注いでおるわけであります。  そこで、この尼崎—栗東間の区間につきましてどのくらい進んだかと申しますと、土地の買収予定面積は約百四万坪でございます。これに対しまして八八%から九〇%くらいの用地の買収計画が完了いたしました。なお、土地だけではなく物件の移転がございます。その物件につきましては、六七%から七〇%程度の契約を完了いたしておる現状でございます。  用地買収の途上におきましては、買収契約に応じてくれないという事例も若干見受けられるのでありますが、公団といたしましては、ただいま総裁も申しましたように、できるだけ円満な話し合いを基調にいたしまして買収を進めていきたいということで、努力をいたしております。しかしながら、どうしても相談に乗ってくれないという場合には、やむを得ませんので、土地収用法の適用もいたし方がない、土地収用法の御厄介にならなければならぬというふうに私どもは考えまして、この法律に従いまする手続というものも、やむを得ない場合には進めておるわけであります。  用地買収につきましての現状は、ざっとこのような工合でございます。
  43. 中島巖

    中島(巖)委員 お説のように、もちろん尼崎—栗東間は重点的にやらねばならないのですが、その他の用地について全然まだ交渉にかかっておらないようなところもあるように聞いておりますし、それから、交渉にかかっておっても一番困難なところはどの地点であるか、御説明願いたいと思います。
  44. 浅村廉

    浅村参考人 ただいま名神高速道路の最も重点を置いております尼崎—栗東間の問題について御説明申し上げましたが、私どもは、先生も御承知のように、全線百八十キロを対象にいたしまして、用地買収の折衝を進めておるわけでございます。  そこで、まず数字によって申し上げますと、全線百八十八キロを、私の方は建設所を四つ設けまして、四つに区切っておるわけでございます。まず愛岐建設所、これが四十八・二キロというものを担当いたしております。それから滋賀建設所が七十九・八二キロ、京阪建設所が四十九・三六キロ、兵庫建設所が十・五九キロ、こういう分担になっております  そこで、実際の測量済みはどういうことになっておるかと申しますと、全線で八七%という数字になっております。ただし、これはことしの一月一日現在でございますので、その後さらに進んでおりますから、数字としてはちょっと前の数字であります。全線で八七%、愛岐建設所では八三%、滋賀建設所が八〇%、京阪建設所で一〇〇%、兵庫建設所も一〇〇%、こういうふうに基本測量は実施されております。  幅くいを打ったのはパーセンテージで一体どのくらいかと申しますと、全線で四一%でございます。愛岐区間では一七%、滋賀の区間では二一%、京阪の区間では九九%、兵庫の区間では二八%というわけでございます。  土地の一筆調査を一体どのくらいやったか。これは全線ならしますと四九%済んでおる。愛岐で一七%、滋賀で三八%、京阪で九九%、兵庫で二八%という工合でございます。  それから買収の予定坪数はどのくらいであるかということを申し上げますと、全線では三百十二万坪でございます。これをただいま四カ所に分けますと、若干端数は切り捨てますから、合計すると合わないかもしれませんが、愛岐で八十万坪、滋賀で百四十万坪、京阪が八十万坪、兵庫が十一万坪、こういう割合でございます。どのくらいそれが買収されたかということを申し上げますと、全線では三二%、坪数にいたしまして九十九万坪という数字が出ております。愛岐はまだこの表ではゼロということになっておりますが、ただいま買収にかかっておりますところもございますから、最近の数字では少し出て参ると思います。それから滋賀は三十万坪、これは全体の予定の二一%、京阪は六十八万坪、これは全体の八五%、兵庫は七千七百二十八坪、小さい坪数であります。これが七%、こんなような実施状況でございます。  それから、これに伴って移転をしなければならぬ物件がございます。この物件はこまかくなりますから省略いたしますが、全線について予定の四三%の物件移転が終わっておる。愛岐で二三%、滋賀で四五%、京阪で六八%、兵庫はまだやっておりません。こんなようなことになっております。  ただいま尼崎—栗東間は非常に進捗しておると申し上げましたのは、今私が四つに分けましたもののうちの京阪の全部と、滋賀の一部でございますが、特にその区間は、今回の私どもの着手第一順位に予定いたしております。本年度は工事の最盛期に入るものと考えておる次第であります。
  45. 中島巖

    中島(巖)委員 きょう総裁見えておるときに、あまりこまかい話をお伺いいたしましてもしようがありませんので、またいずれ事務当局に来ていただいてお伺いいたしたいと思いますが、この予算額それから実施額、そういうものを過去三カ年にわたって見ましたり、この新しく建設せんとする線なんかの採択のその間の事情から見ましても、どうも公団に振り回されておって、建設省の意思というものが中へ貫かれておらぬようにこの質疑応答の間で感ずるわけであります。従いまして、これは道路行政の一元化という建前からしまして、もう少し建設省の方が指導的立場を強く打ち出すべきものだ。それから法律なんかも、これは改正すべきものだ。こういうように感ずるわけでありますが、これらはまた大臣見えたときに、企画庁長官なんかにも来てもらって大いに議論いたしたいと思います。  いろいろ憎まれ口をきいた点もあるかと思いますが、公団も御苦労様ですが、用地買収にせいぜいお骨折りを願って、早く完成されんことを希望しまして、私の質問を終わります。
  46. 岸道三

    岸参考人 今のお話の中に非常な誤解がございましたので、ちょっと中島先生に申し上げておかなければならぬと思います。建設省道路公団によって振り回されておるというようなお話でございましたが、これは非常な間違いでありまして、世の中に誤解を招いても困りますので、私どもは建設省の御命令に従いましてその通りやっておるわけでありまして、もし私どもに建設省を振り回すだけの力があるならば、先生にもまたもう少しほめていただくことができるかと、こういうふうに思っておりますが、とにかくそういうことはございませんから、その点は一つ誤解のないようにお願いしたいと思います。
  47. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 山中吾郎君。
  48. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 当局と公団の管理のあり方と、それから事業の選定について疑問がありますので、簡明に二点だけ、状況と御意見を承りたいと思います。  その一つは管理ですが、私は間接に聞いておるので、実際はわかりません。天龍川の河口の掛塚橋観光道路というものがあるのでありますが、それの三十四年度の収入が千四百万円くらいです。ところが、その支払うべき利息が二千五百万円、それから管理費として五百万かかって、計三千万の支出であり、差引千六百万くらいの年度赤字がある。そうすると、これは管理をすればするほど建設費の償還どころでなく、赤字が重なるというふうな管理であると聞いておるわけです。  それでお聞きしたいのは、公団において建設を完了してすでに使用料をとって管理をされておる中で、何%くらいそういう赤字があるか。その赤字のまま年を越されておって、永久に建設費の償還が不可能であるというふうな状況にあるについては、どのようにお考えになるか。その点、将来の公団のあり方について重大な問題であると思いますので、総裁並びに局長、それから状況は係の理事の人でけっこうですが、御説明願いたいと思います。
  49. 岸道三

    岸参考人 今の掛塚橋のお話でございますが、これは静岡県が有料道路として建設したものを道路公団が引き継いだものでありまして、そのときの静岡県の計算によりますと、十分に採算もとれ、償還もできるような計算になっておるわけであります。将来この掛塚橋は日本の幹線の一部をなすものでありますので、日本道路網が完成され、そうして自動車の数量が多くなりましたならば、だんだんと償還をされるようになると思うのでありますが、現在のところは、数字は覚えておりませんが、必ずしも善良な状態ではないと思っております。
  50. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 さっき私の言った数字は間違いありませんか。
  51. 浅村廉

    浅村参考人 ただいまの数字は、私どもの資料と同じでございます。
  52. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 掛塚橋の例で御質問がございましたが、ただいま営業しております個所を見ますと、成績の非常にいいところもございますが、同時に収入よりは管理費的なものを加えた支出の方が多いということも若干あるわけであります。それに至った事情は、ただいま総裁からもお話がございましたが、私どもにいたしますと、掛塚橋の例で申しますならば、あの道路は、一級国道の一号線の、一つの海岸方面を通る大きなバイパス考えております。現在は二級国道になっております。そういうふうに重要な路線でございますから、ただいまのところはそういう状態でございますが、ここ数年来非常に自動車交通が伸びております。近い将来においては、相当自動車交通が伸びるのではないかと考えます。そうして、その事情によって判断すべきじゃないだろうか。営業開始いたしましてからまだ何年もたっておりませんし、御存じのように、自動車交通というものは年々伸びておる状況でございますから、必ずしもあれが非常に悲観すべきものであるというふうに現在考える必要もなかろうかと思っておるわけでございます。  しかしながら、そういう場合もあり得るかと思うわけでございます。それに対しましては、そういった万一の場合に備えまして、実は有料道路の将来の欠陥を補てんいたしますために、有料道路の運営をいたしております各道路の収入の一部を年々積み立てるというやり方をしておるわけでございます。それによりまして、数年先になりますと、どうしてもうまくいきそうもないというようなものがございましたら、その部分につきましていわゆる損失補てん引き当てにする。そして予定しておりました三十年くらいでもって一切の始末をつけるようにいたしたい、こういうふうに考えております。ただいまのところ数カ所そういう例がございますが、今後の自動車交通の伸びに期待いたしておるわけでございます。
  53. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 私は、そういう有料道路を管理するために人件費を払って赤字ならば、道路ですから、無料にして開放すればいいんじゃないか。将来黒字になるという見込みがあるなら別ですよ。法的に不可能なら改正でもして、もっと道路の公共性というものを考えて、将来だんだん黒字になるという見込みがなければ、わざわざ赤字を生むために何十人か監視を置いて建物を建てるよりは、開放した方がいいんじゃないかと思うのです。そういう道路公団というのか、建設省方針を根本的に再検討すべきものがあるのじゃないか。  それで、全国的に赤字道路がどのくらいあるかという説明がされませんが、私はこういう一つの問題のみ論議しておるのじゃないのですよ。全体のあり方、それについてどういうお考えか伺って、これからのあり方について私も見解が持ちたい。
  54. 石川次夫

    ○石川委員 山中委員の質問に関連いたしますけれども、先ほど総裁の方の御答弁によりますと、道路公団有料道路として設定をするのは、経済性と観光的な見地からというお話があったのですが、この経済性というのがよくわからないのです。二通りの意味にとれるわけです。ということは、その地方を開発して、日本経済の発展という意味における経済性と、また一つは、あとでもって通過料を払う料金でもって返済をしていく、その返済の可能性という意味での経済性という意味なのか。これを両方ひっくるめて経済性という言葉を使われたのじゃないかと思うのですが、いずれにしても、この経済性の内容をどう分析して、どこに重点を置くかということが相当重要な問題じゃないかと考えておるのです。それに今、山中さんから御質問がありましたように、われわれも非常に関心を持っておるわけです。  こういう委員会でせっかくこういう機会を作っていただいたわけでございますが、実は資料が全然ないわけです。どういうところにどういう道路があって、これからどういう計画でもってやるんだという御説明はありますけれども、経済性の内容は一体どうなっているんだということこそ、われわれが一番の関心を持っているわけなんです。そういう点で、資料が非常に欠けているんじゃないかと考えるわけなんです。しかし、われわれ専門的にそうこまかいことを突っ込んで検討をするという余裕もないですけれども、大ざっぱに言いまして、建設費あるいは利子をひっくるめてこの元利償還、それからそれに対して経常費が毎月かかる、それに対して実際に入った料金はどのくらいであるというふうな、特に赤字のものについてだけでも資料を出してもらう。それから、全体のものについての採算はどうなっているかということぐらいの資料がないと、非常に雲をつかむような議論になってくるのではないかと考えますので、これは委員長に今後の場合にもお願いしたいわけなんですけれども、たとえば住宅金融公庫あるいはその他いろんな公団の——せっかくこういう説明をする機会を作っていただくことはけっこうでございますが、そういう点で資料がないと、われわれはほんとうの核心に触れた質問ができないというふうに考えますので、今後はその点について御考慮いただきたいということと、同時に日本道路公団の大きな事業の内容についての核心に触れるところの資料を、専門的のものでなくてけっこうですから、そういう点についての資料をぜひ出していただきたいということをお願いいたします。
  55. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 石川君に申し上げますが、今後はそういうふうに一つ運営していきたい。道路公団の方もただいまの資料の提出をお願いします。
  56. 岸道三

    岸参考人 ただいま委員長からのお話の点は、また事務当局から補足説明をするようにいたします。  今の経済性の問題ですが、明らかに二つの点が含まれております。ただ、われわれといたしましては、道路公団有料道路でありますから、その料金によって元利を償還しなければならぬ。経常費も出さなければならぬということはもちろんでありまするが、たとえば五年、六年、七年赤字であっても、それから先に回収する能力があるものに対しては、これはやるようにしているわけです。  それから、もう一つの大きな意味の経済性というのは、申すまでもなくその道路を開発することによって地方の産業が開発される、いわゆる誘導されて開発されるという点に非常に重点を置いているわけです。ただ、この道路建設と開発の点につきましては、今世界のいわゆる交通経済学者が非常に検討しておりまするが、それに対してまだ公式的なものが出ていない現状であります。と申しますのは、道路事業というものは最近発達したものでありまして、従って、それに伴う道路開発による経済性を研究するということも最近に盛んになった学問でありますので、もう少し、かすに時日をもってしないと、そういう点については、はっきりいたさないと思います。ただ、われわれとしては、とにかく道路ができれば必ず開発はされる。その開発されるであろうところの経済を想定して道路を作る。  いま一つは、日本経済の伸びを考え、それから現在日本経済力というもの、それらのすべてを考えて適当と思われる道路を作っていくことが、われわれ道路建設するものの一つの大きな使命ではないかと思います。
  57. 浅村廉

    浅村参考人 私ども、ただいま建設省あるいは府県から引き継ぎまして実施いたしております道路を含めまして、現在公団の手で料金を徴収いたしておりますのは四十二本ございます。それはお手元に図面なりその他資料が入れてありますので、ごらん願いたいと思います。四十二本のうち、もう一度繰り返して申しますと、道路公団が初めからやらないで、公団ができましたときに府県なり国からこちらの方に引き継がしていただいたものが三十二入っておるわけでございます。それぞれの道路につきまして、料金は道路整備特別措置法その他それに伴う政令等においていろいろ基準がございますが、受益の範囲内ということで、大体受益の七割程度を目途といたしまして決定いたしております。これは全部建設省に届け出てその認可をとってやっているわけでございますが、従来公団が設立されましたときに、すでに料金をとっておったものはそのまま引き継ぐ、公団ができて料金をとり始めるようになったのは料金の額、徴収期間等、すべて計画として建設大臣の認可をとってやっているわけでございます。  個々の道路が一体どういうふうな営業の状況であるかということは、これは資料にすると大へんなことになりますから、私がただいま持っておりますものでごく大ざっぱに申し上げますと、今四十二線のうち大へん工合のいいものと、それからちょっと努力を要するものといろいろございます。三分の一くらいは公団の方で相当努力をしなければならぬかと思いますが、特に今お話がございましたが、東京支社管内では例の静岡県の掛塚橋、それから名古屋の支社の管内では富山県の立山に登山道路というものがございますが、これも引き継いだ道路でございますが、これが採算が非常に悪いということでございます。それから大阪関係は特にそういうものはございません。むしろ大へん成績のいい阪奈道路というようなものをかかえております。関西の支社の管内に、これは九州でございますが、住之江橋という橋がございます。これはやはり引き継いだ橋でございますが、一応ただいまの計画では採算が非常に悪いということになっております。  それからちょっとこれに関連いたしまして申し上げますと、例の関門トンネルでございますが、関門トンネルにつきましては長いいきさつがございまして、建設省当時、これは昔から公共事業でたびたびやっておられまして、そして道路公団ができます前に有料道路関係の特別会計ができまして、この特別会計に切りかえられまして建設省でずっとやっておられました。その後三十一年に公団が設立されましたとたんに、公団の手に渡ったわけでございます。そして公団の手で建設省に工事を委託いたしましたが、完了いたしまして、それでただいま料金をとっているわけでございますが、これは実際に償還をしなければならない金が、ちょっと今数字を覚えませんが、たしか五十数億円でございます。この五十数億円の金をどうしても料金で償還をしなければならないということで、私どもは償還期限を二十六年ということにいたしまして料金をはじいております。これは交通量から出てくるわけでございますが、その料金が非常に高いわけでございます。料金そのものの額は確かに高いのでありまして、たとえばバスでも片道千円近いものをとられるというようなことになりますので、これは非常に問題がございます。これは料金をこのままの制度で上げるわけには参りません。従いまして、私どもは何かほかの方法で、たとえば政府から出資でもしていただいて下げていただけるならば、ということで相談をいたしておるわけであります。そういう関係で、関門トンネルはまた特別なものでございます。  そういうことで、ただいま私どもの資料では、その程度採算的に私ども頭を悩ましておるものでございまして、その他のものは道路局長からも御説明がありましたように、最近においてやりましたものなどは、交通の伸びによりまして、将来の償還については相当に明るい見通しがあるというものが多いということになっておるわけでございます。
  58. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 県と国から移管になったものが赤字が多いのですか。そういうふうな言いっぷりですから。そうかどうかだけでけっこうです。
  59. 浅村廉

    浅村参考人 これはちょっとあれなんですが、実際を申し上げますと、事実はそうでございます。     〔委員長退席、堀川委員長代理着席〕
  60. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 それで、事業計画が不適当だから赤字になるのか、そうでないのか。今までの有料道路建設の経緯から、そういう赤字経営のところ、その他を資料として、率直な資料を私あとでもらいたいと思います。  それで、いわゆる利害関係で陳情がくるわけですが、武生トンネルですか、料金が高いから安くしてくれというところもあるし、道路の公共性からいったならば、赤字でも安くすべきところもあるでしょうし、少しは高くしてもいいところもあると思う。それから、永久に赤字ならば開放すべきだというふうに率直に思うものですから、もっと根本的に、道路公団道路事業という本質から、最も妥当な、今後、今までの経営の中から出た反省資料は、国会あるいは建設省に出して検討さるべきものではないかと思うので、お聞きしておるのです。赤字そのものはいけないという問題ではなくて、赤字でも開放すべきところもあるでしょうし、ただ政治的に曲げられて、人も通らないような変な観光道路で、産業開発その他に何らの効果がないというような現実が出れば、また別な角度から、建設省を通じて監督指導という一つの責任問題が出るでしょうし、公団の反省もなければならぬと思うので、そういう点について、全般問題としてお聞き願わなければならぬと思う。  それで、掛塚橋というのは、永久に赤字のような性格を持っているので、黒字になるような話を聞かないが、それはどうですか。大丈夫ですか。
  61. 浅村廉

    浅村参考人 公団ができましてからやっと四年でございまして、いろいろまた今後様子も変わってくる面もあろうと思います。私ども、ただいまの計算ではこうであるけれども、それが直ちに赤字道路として採算不能になるかどうかというようなことには非常に疑問を持っているわけでありまして、もう少し時間をかけて実態を見きわめてみませんと、正確なことはつかめないということと、もう一つ、ただいま道路局長が申されましたように、私どもいろいろ御相談にあずかりましたが、損失補てん金制度もいよいよ今年度から実施をされます。毎年度料金のあるパーセンテージを積み立てておいて、その道路赤字救済対策に充てようということにもなりまして、それらが一つの対策としてすでに実施を見るに至ったわけでありますが、なお、おっしゃいましたような点につきまして、十分政府当局と話し合いまして、今後検討を重ねて参りたいと考えております。
  62. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 どうも、私の質問についてぴったりお答え願えないのですが、見通しについては、すでにそういうことはわかっているのではないかと思うのです。私一番問題にして聞いているのは、黒字にならないことが明らかであるのに、料金をとるための管理費というものが毎年々々むだ使いされているくらいなら、開放した方がいい、こういうことです。その辺、一つ建設省を通じて、その点の今までの赤字、それから将来の見通しの資料をお出し願いたいと思う。局長から一つあと国会に報告して下さい。その通り事実を書いて報告してもらいたいのです。  それから、これは実際わからないのですが、この「公団事業個所めぐり」を見たとき、私は東北出身ですが、東北だけがほとんど有料道路がない。地域的に非常にへんぱなので、その理由をちょっと御説明願いたいと思います。
  63. 岸道三

    岸参考人 私は東北、北海道はできるだけ道路を作りたいという気持を持っております。と申しますのは、日本で非常に開発がおくれている地域であり、そうして、もし有料道路として地方も望み、また産業開発に役立つものであるならば、これは観光も含めて、特に国際観光も含めまして、こういう必要なものはやりたいと思っておりますが、東北、北海道は、大体場所によりましては半年雪で、自動車の通れないところが非常に多いわけであります。そういう意味において、雪のないところから見れば、非常に採算の上から不利だ。そういう点をどういうようにして克服して、立ちおくれておる東北、北海道の道路を作っていくかということに、今非常に苦心をしておるわけであります。
  64. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 全国的ないわゆる有料道路計画の中の、ある地域の方は黒字の道路ができる。それをもってプールして、産業開発というゆえをもって未開発地域の有料道路を作るというふうなことが、道路公団の公正な事業運営として建設省もそれを認めておるのか。いわゆる採算性と公共性の関係について基本的にはどういう考えで監督指導されておるのか。お聞きしたいのです。
  65. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 公団当局のお考えもいろいろあろうかと存じますが、建設省といたしましては、公団有料道路建設省の一般の公共事業と合わせて、申すまでもなく五カ年計画の一環でございますし、当然のこととして全国道路交通網の整備に役立たなければならない。基本的にはこういうふうに考えております。それで、いろいろ御計画のある諸所の個所につきましては、それは同時に有料道路でございますから、先ほど来お話のあったように、採算性の上からいってもペイしなければなりません。どんなに必要なものでも、採算性が合わなければ、これは道路公団実施するのには適しないのじゃないかと思われるわけでございます。それからまた、採算性が合うものばかりでもいけないわけでございますが、採算性の合わない、しかし重要な道路につきましては、これは申すまでもなく公共事業、国の直轄なり補助事業実施するという建前があるわけでございます。それらを総合的に考えまして、有料と一般公共事業との、ものによりますとコンビネーションでやっておるところもございます。それらを総合的に勘案して、無理のないところを実施いたしておるつもりでございます。
  66. 山中吾郎

    ○山中(吾)委員 質問をこれで終わりたいのですが、まだ私、十分正当な判断がつかめないわけです。個々の有料道路ごとに採算性を基礎にして、建設省では事業認可をされておるのか。あるいは道路公団から何カ年計画という全体計画を示されて、そして、そこには赤字であっても産業開発のためにすべきものがある。それから、産業開発は大したことはないが、有料道路としては、観光道路にしても相当収入があるのだというふうなものがあるはずです。それで、全体計画、これは年次計画か知りませんけれども、そういう計画の全体のいわゆる採算性というものを見きわめて、個々の道路計画については、いわゆる国の道路計画の一環として認可されておるのか。その点について私は、はっきり基本方針が要るのじゃないか。先ほど例に出したのは、赤字だからいけないという思想を私は少しも持っているのじゃないです。それが産業開発のために必要な道路でしたら、正当な赤字だと思います。それからまた、ただ収益ばかり考えて、そして実際の道路として公共性からいって大したことがなければ、黒字でも批判が出るのじゃないかと思うので、今後の公団のいわゆる道路事業計画というものについての基本的なあり方というものはどういうものかということを、すでに公団が設置されて数年後ですから、そういうことを将来の問題として知りたいので、お聞きしたわけなんです。またそういうことを考えてみて、地域的にへんぱなものは政治的な力でそうなるのか。あるいは地元の要望に応ずることによって道路公団の主体性がなくなっておるのか。あるいは最初方針が間違っておるのか。そういうことを知りたいのです。私の質問はそういう意味なんですが、そういう意味においてはお答えの中からは十分に引き出せないのです。そういうことをはっきりと正しい判断ができるような資料を出していただきたいと思います。最後に総裁と局長の意見を——局長は大臣じゃないので、大先輩に遠慮されているような答弁をされていますけれども、当局の立場で私は公的に言っていただいた方がいいと思います。そして必要な資料を出していただければ、私は質問を終わります。
  67. 岸道三

    岸参考人 先ほど私がお答えしたので、大体のことは私はおわかりだと思っておったのですが、(山中(吾)委員「わかりません」と呼ぶ)それでおわかりにならぬと非常に困るのですが、(山中(吾)委員「具体的に話して下さい」と呼ぶ)具体的ということになると、数字になるのでしょうけれども……。(山中(吾)委員数字でなしに」と呼ぶ)大体私どもは、先ほど申した東北に関してもどこに関しても、とにかく日本経済なり地方の経済なりに必要であるというたくさんの中で、これが一番やらなければいかぬじゃないか、他の地方から見るとこれは劣るかもしれないけれども、この地方においてはこれがなければ非常に困るだろうという、いろいろなことを考えまして、大きな立場から有料道路に対しては判断しておるつもりです。地方のいろいろな方も見えますけれども、そういうことでなしに、それはいろいろな事情を知るために必要なのでありますが、そういうことでなしに、国全体の経済というものの立場から、あるいは地方経済というものの立場から優先順位を考えてやっておるのであります。
  68. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 御質問の御趣旨が非常にむずかしいので、私で答えられますかどうか、あれでございますが、事業の選択にあたりましては、私先ほど申しましたように、公共事業と一緒になって全国の大事な道路交通の網を作るという見地に立って有料道路の場所を考えております。しかし、先生の御質問は、経営と申しますか、経費的な意味もあったかと存じますが、それにつきましては、一個所々々々独立的に採算が成り立つように考えておるわけでございます。
  69. 堀川恭平

    ○堀川委員長代理 二階堂委員
  70. 二階堂進

    ○二階堂委員 私は有料道路の問題につきまして総裁並びに局長に二、三簡単にお伺いいたしておきたいと思います。ただいまの山中吾郎委員の質問に関連してでありますが、いろいろ山中君の疑問の起こるのは、私は日本道路公団法そのものからきているものと考えるのであります。道路はもちろん国民経済に相当な役割を果たさなければならぬものであろうし、また公共的な性格を十分持っておるものであることは疑いをいれないものでありますが、今言われたような採算がどうかとか、赤字路線がどうとかというような問題が出ているのは、道路公団法の第一章総則の第一条の目的に問題があると私は思っております。これを見ると、料金を徴収するということが第一の目的にあげられておる。この中にはちっとも開発というような言葉は出ていない。私はこういうところにも今後道路公団法の改正が必要になるのじゃないか、こういうふうに、私は私なりに解釈をいたしております。だから、採算がとれないものはいけないというような観点から、大蔵省あたりが特にこの路線の決定なりあるいは認可なりについていろいろ文句を言ってくるのであります。やはり山中君の言われるような意見がもし出るとするならば、この道路公団法の目的なり性格というものを、もう少しそういうものに合致するような方向に改正すべきだ。こういうふうに私は考えておるわけでありますが、こういう点についても何か御意見があったら、お聞かせ願いたいと思います。  私は、こまかいことは次にいたしまして、今回総裁がアメリカにおいでになりまして、世銀からの借款を無事成立を果たされましてお帰りになったわけでありますが、私は今後この名神国道事業実施、促進に非常に役立ってくるものであると考えて、喜びにたえないのであります。総体の借款の計画は一億ドル、三百六十億というような計画になっておるわけでございまして、その中で、今回四千万ドルですかの借款ができたのでございますが、この借款が成立するまでの間において相当な期間がかかった。これは銀行から金を借りるわけでありますので、いろいろ事務的な折衝なり、あるいは基礎的な調査なりに時間をとったことは当然のことと思うのでございますが、こういうふうに長くかかった理由というものは、一体どこにあるのか。それから、残余の借款についての見通しはどういうふうにお考えになるのか、というこの二点を先にちょっとお伺いしておきたいと思います。
  71. 岸道三

    岸参考人 世銀の借款の問題でありますが、これは道路公団が発足当時、すでに日本政府から世界銀行に対して借款の申し入れをしておったわけであります。その当時は名神高速道路を作るということだけでやっておったわけであります。その後、公団ができまして、ワトキンス調査団が来まして、世銀はワトキンス調査団の報告を見まして、日本には高速道路が必要である。特に名古屋—神戸間には急いで作らなければだめだろうというような意見が、だんだん世銀にも沸いて参りました。世銀はだんだんと日本の借款に応ずる態勢を持ってきたわけであります。昨年そういう状態におきまして、世銀当局者も日本に参りまして、われわれと接触しているうちに、われわれの高速道路計画に対していろいろな意見が出てきたわけであります。それは、日本ではいまだ高速道路を作ったことがないということが一つ。それから、戦後非常に発達した道路に対する技術、特に土質力学に対する進歩、その土質力学が日本の設計には十二分に活用されておらぬということが一つ。いま一つは、高速道路についての線形が戦後非常に進歩した。戦前のドイツのアウトバーンにおいてすら、戦後においては非常な批判の対象になっておる。そういうような状態において、日本は十分なる技術者を持っておるか、設計技術者を持っておるかというようなことにつきまして、非常にいろんな問題が起こってきたわけであります。わが方においては、技術者において、その頭脳的においては非常に優秀でありまして、これらにつきましては、世界銀行並びに諸外国の技術者もみな敬意を表したのでありますが、いかんせん、その経験が乏しい。というよりも、高速道路においては経験がないわけでありますから、それらについての観点からまたいろいろ意見が出まして、そこで線形についてはドイツのアウトバーンを作りましたドルシュ、これは世界的の線形の大家であります。また、土質に関しましてはアメリカの、ミラーワルデンという会社の人に来てもらいました。そうして、これらの線形その他についていろいろ判断をしてもらったわけです。その結果、昨年、この日本の設計は大体よろしい。ただ、実施するまでには、もう少し詳細にいろいろやってもらわなければいけないということから、先ほど申しました二人の人も積極的にこれを見るということになったわけであります。そうして、さらに必要なことは、高速道路を作る場合に、日本の政府並びに地方団体がこの高速道路と協調して、高速道路の仕上がりをできるだけ円満に、かつりっぱなものにするということに協力をしてもらわなければ困る、というようなことから、昨年の三月から四月にかけまして、建設省、大蔵省、農林省の政府代表機関とわれわれが参りまして、世銀当局と相談したわけであります。その場合に、やはりいろいろな問題がありましたが、当時ここにおいでになる佐藤道路局長初め大蔵省、農林省の方々がその協力体制について非常な熱心な説明をされました結果、世銀当局もだんだんそれによって満足をいたしまして、昨年の十月に最後の調査団をこちらへ派遣したわけであります。その結果、借款が具体的になったのでありまするが、世界銀行としましては、尼崎—東京、名古屋—神戸間の高速度道路を一本に対象にすることは日本の場合少し飛び過ぎはしないか。もう少し段階的にやったらどうだ、というわけであります。しかし、道路としましては東京—名古屋—神戸間が同時にできることが望ましい。しかし建設技術の関係からいうならば段階的にやるのがよろしい。こういうことで、まず第一次目標といたしまして名古屋—神戸間の百八十八キロに対しまして尼崎—栗東間の七一・六キロを借款対象といたしまして、それに対しまして四千万ドルの借款を依頼いたしまして、今回の成立まで持ってきたわけであります。世界銀行としましては、このたび私どもが参りましたときに、非常に協調的に、熱心に、そうしてわれわれに対して普通の貸し人と借り人というようなあれでなしに、非常に協調的にやってくれたわけであります。しかも、世界銀行といたしましては、有料道路に今まで金を貸したことはないということが一つ。それからいま一つは、高速道路というようなものに対しても、世界銀行としては金を貸したことがないという、すべて初めてのケースのために、先ほど申しましたように、過去においていろいろ心配はしたわけでありますけれども、現地に参りまして、三月の八日から始めました約三週間にわたる折衝の結果、四千万ドルを二十三カ年の期間で貸してくれることになった。世界銀行といたしましては、道路借款に対して今まで最長が二十年でありまして、二十三年というのは今回が初めてであります。もう一つ、初めから道路に対する——初めてではありませんが、われわれにとって不利であったことは、アメリカの資金需要が旺盛になった結果、金利が非常に高くなりまして、アメリカの世界銀行がニューヨークにおいて二月に世界銀行債を一億ドル発行いたしたのでありますが、その利率が今まで四分七厘五毛であったのが五分になった。世界銀行は金を貸す場合に、その銀行の実務費は二厘五毛、それからエマージェンシー用の積立金というのがあります、それが一%。従いまして、世界銀行が得たコストにプラス一分二厘五毛というものは貸す金の利息になりまして、六分二厘五毛が今回の借款の利息であります。で、一番先に六分二厘五毛の率を適用されたのは、イランの借款でございます。その次がアフリカのマウリタニアの鉄鉱資源開発と鉄道建設とわれわれ日本道路公団ということになったのでございまして、そういうような過程においてこのたびの借款が成立したわけであります。しかも、この道路公団の借款に対しては日本政府の保証が要る。これは当然なことでありますが、そういうことであります。この間におきまして、わが国の政府、特に大蔵省並びに関係各省、建設省はもちろんのことでありますが、関係各省、それからまた、非常に御声援下さいました国会議員の皆さんに対して心から感謝するわけであります。  今後、この残りの部分に対する借款でございまするが、これは日本が非常に経済の成長がすみやかであって、現在の日本経済力が非常によろしい。そこへもってきて、ドルがだいぶたまっておるというような関係から、日本は金を借りる方でなくて貸す方の立場にあるのではないかというような関係から、第二次借款その他に対しては、世界銀行は、この尼崎—栗東の借款の道路をさらに有効ならしむるためには、名古屋までを作らなければならぬということを十二分に考えながらも、そういう諸般の事情から、借款は成立するでありましょうが、金額あるいはその他、一部アメリカの市中において債券を募集するとかなんとかというようなことになる可能性もなくはないかと思っております。今後われわれとしましては、日本経済がさらに伸びる、そうしてドルの蓄積も十二分できまして、もうほんとうに貸方に回って、借りなくても済むような経済になる日の一日も早からんことを願いつつも、現在の段階においては、少しでもよけい世銀から金を借りるような方向に持っていきたい、こういうふうに存じております。何分、建設委員の方々並びに国会の方々、並びに建設省、大蔵省の方々の今後の御協力と御支援を心からお願いする次第であります。
  72. 二階堂進

    ○二階堂委員 ただいま総裁よりこの借款の今日までの経緯等を承ったのでありますが、アメリカの金融界あるいは世界銀行の当局も、この名神国道につきましては従来から非常な関心を持っておったわけでありますし、今回の借款も、ただいま総裁の話を聞きますと、今までにないような、かなり長期にわたる二十三カ年というような期間をもって金を貸してくれるというようなことになったようであります。これは、やはり私は日本経済が今後順調に伸び、飛躍的に伸びていくというようなことも、相当今回の借款については大きな要素になったのではなかろうかと思っております。承りますと、アメリカでは、道路に対する投資というようなものは、たとえば有料道路の将来に対する考え方というものがだんだん変わりつつあるというようなことも聞いております。それに比して、日本に対する、名神等の有料道路に対する投資を引き受けてくれたというようなことなんでございますが、世銀の理事あるいは当局は今おっしゃった通りでございますが、アメリカの業界、特に財界あるいは金融界の人たちが日本有料道路の将来に対してどういうような関心を寄せておるか。ただいま承ったことで大体わかるのでございますが、さらに、世銀といわず、一般の金融界なり経済界の人たちが日本道路投資というものについてどういうような考え方を持っておるか、関心を持っておるかというようなこと。たびたび総裁は向こうにおいでになっておるわけですが、今後、われわれが有料道路に対する考え方をまとめていく上におきましても参考になろうかと思いますので、そういう点について、何かお気づきの点があったらお聞かせ願いたいと思います。     〔堀川委員長代理退席、委員長着席〕
  73. 岸道三

    岸参考人 アメリカでは、数年前に一部の有料道路が非常にぺーしないものがありまして、有料道路に金を出すことは非常に危険であるというような時代があったわけでありますが、その道路すらも現在は非常に好成績を上げておるわけであります。日本道路につきましては、先ほど申しました通り、今回が初めてでございますが、今までの歴代の大蔵大臣、それから昨年佐藤大蔵大臣も現地に参りまして、日本経済の情勢並びに日本道路事情、それから日本における道路の果たす役割が、諸外国の現在の使える道路よりも数倍役に立つ——ということは、今までの日本道路道路らしい道路がないということになるのですが、そのことがいかに大事であるかということを非常に認識しておるわけでありまして、特に私はニューヨークで数人の証券業者とも会ったのでありますが、これらの人は非常に日本の高速道路建設に対して興味を持っております。特に日本の現在の道路が全部行き詰まっておるということも知っております。そうして、それらの道路を開拓する意味において、そこにどうしても最も経済性のある、そうして最もすみやかに活用される道路日本としては建設することが必要であろう。そういう場合においては、もしわれわれの力が役に立つならば、われわれは大いに応援をしたい、というようなことを言っておりました。今後われわれが適正なる道路建設計画を持って参りますならば、名神高速道路のみならず、かなり話が進むようになる可能性があると思います。これらにつきましても、やはり今後大蔵大臣初め日本経済閣僚の方々の先方に対する非常な働きかけが必要だと私は思っております。
  74. 二階堂進

    ○二階堂委員 昭和三十七年に名神国道が完成するという一応の予定を立てておられるようでございますが、これが完成いたしますと、この道路日本経済の発展、交通緩和等に果たす役割は非常なものがあるということは申し上げるまでもないのでございますが、この完成を見た暁においてさらに問題になるのは、東京—名古屋間が新しい問題になろうかと思っております。現在すでに東京と名古屋間の問題が国会の内外において議論になっております。また同時に、東京—小牧間に考えられておりまする国土縦貫開発道路、こういうものも考えられておるわけでございますが、これは私はいずれも国策として取り上げなければならぬ問題だと思っております。ただいま国会におきましても、両道路の案をめぐっていろいろな議論が行なわれておりますが、この名神国道の完成に伴う今後の交通事業というものは、飛躍的にまた高まってくる。名古屋—神戸間が完遂することによって、この全体の道路が完全に役割を果たすためには、やはり名古屋—東京間というものが、路線はいろいろあるでございましょうが、やはり同じような形で高速自動車道というものが完成をされていかなければ、この名古屋—神戸間だけでは真に本来の目的が達成をできないんじゃないかというように考えるわけでございます。  そこで、これは先の話になりますが、こういうような東京—名古屋間の道路等について、これは将来の想定でありますが、アメリカあたりでも、これらの問題について非常な関心を持っておるというような話も二、三聞いたことがあるのでございますが、東京—名古屋間の道路建設について、どうあるべきかというようなことについて、総裁がアメリカあたりでも聞かれた話等もあろうと思いますが、これらの点について、率直な一つ意見を聞かしていただきたいと思います。
  75. 岸道三

    岸参考人 ワトキンス調査団の報告には、東京—名古屋間の道路について若干意見が触れられておるわけであります。これらにつきましては、現地のニューヨークの二、三の市場の人たちは、やはり非常に関心を持っておりまして、東京—名古屋間に道路を作る場合は、われわれとしても深い関心を持ってあなた方の話を聞きたいということを言っておりました。その場合に、先ほど申しました最も適正なる計画を持ってきてほしいということを言って、ワトキンス調査団のレポートの話もしておりました。これらの路線をどう選ぶかということは、今後われわれの方も研究しなければなりませんが、政府当局においてもいろいろ御研究願いまして、われわれに御意見を述べてもらえば非常にありがたい、こういうふうに考えております。
  76. 二階堂進

    ○二階堂委員 この東京—名古屋間の道路ですが、これが今おっしゃったように、具体的な計画ができてくれば、これに対しては、この道路は、今国会で議論されておるところを聞きますというと、国の資金に相当部分たよらずに、民間資金とか、あるいはアメリカあたりから金を借りて作ろうというような話も出ておるようでございますが、こういうような計画ができました際には、アメリカあたりからの投資というものが可能なように、ちょっと私はお聞きしたのですが、そういうような見通しですか、どうなんですか。
  77. 岸道三

    岸参考人 これは適正なる計画を持っていったならば、私は非常に可能であると思っております。
  78. 二階堂進

    ○二階堂委員 この問題等につきましては、いずれ私はまた掘り下げていろんな御意見を申し上げてみたいと思います。  次に、もう一つ伺いたいことは、先ほどもちょっと山中委員も問題にされましたが、現在のこの道路公団事業経営のあり方と申しますか、運営と申しますか、私は道路公団法を改正して、事業の内容を今きめられておるような事業に限定しないで、もう少し事業を拡大していったらどうかという意見を持っておるのであります。と申しますのは、この道路計画を立てて、これを実施するような場合には、特に大蔵省でありますが、採算、そういうことを常に問題にしておる。先ほども、四十二線のうちに相当な路線赤字経営だ。赤字を出すようなところに道を作ってはならぬというようなことを、大蔵省当局は特に主張するのです。採算ベースに合わないようなところに道を作る必要はないんじゃないか。裏を返せば、道路公団の作る道路というものは、料金をとって採算が合わなければならぬじゃないか。こういうところから、私はそういう議論が出てくると思うのです。  そこで、採算ということを問題にするならば、この道路公団にも事業をもう少しやらして、そうして適正な事業を認めてやって、簡単に言うと、金をもうけていくような事業を付加していくべきじゃないかと私は考えておる。公団が金をもうけても、それが総裁理事の配当になるわけでもありませんし、そのもうけた金は、やはり一般の公共的な道路のために使われるわけですから、先般来私どもは国会の自民党の部会におきましても、もう少しこの道路公団にも付帯事業を拡大すべきじゃないかというようなことを、いろいろ意見も出しておったのでございますが、なかなか大蔵省当局が、公団の今の性格からいって、そういうことはやってはいかぬというようなことを言っているようであります。今日有料道路が各地にできて、りっぱな道路を作っていただいておりますが、その周辺には二、三の大きな金持ちがゴルフ場を作ったり、土地を買収したり、ホテルを建てたりしている。日本道路公団が借金をして、そうして料金をとって、国家国民のために、経済開発のために道路を作る。その道路を作った周辺に二、三の大きな業者が、観光業者であるとかあるいは道路業者であるとか、そういうような人たちが、金もうけのためにゴルフ場を作ったり、土地を買収したりしている。そういうことを二、三の者にやらせるならば、道路公団がやはりこの道路の付近に相当な整地をしたり、あるいは用地を作ったり、その程度のものはやらして、そうしてそれによって幾らかの収益を上げて、それを採算に合わないような道路の償還に加えていくというようなことを考えても、私は別に問題にならぬと思っている。むしろそういうことをすべきだと思っております。そういうようなこと等について、これは建設省あるいは大蔵省——大蔵省はおられませんが、いずれ私は、この問題につきましても大蔵省を呼んでいろいろ意見を聞いてみたいと思っております。私は当然そういうことはやっていいものと考えております。岸総裁は実業家であり、経済人でありますから、大蔵省の事務当局やあるいは建設省事務当局考えるような考え方であっては、やはり今後の道路公団の運営というものはうまくいかぬと思います。私もそういうような事務屋ではないのでありますが、どうもだんだん大きな道ができてその周辺が開発される。二、三の大きな業者がその道を利用して金もうけをするというようなことは、どう考えてみても理屈に合わぬような気がいたします。そういうようなことについて、道路公団総裁は率直な、大蔵省がどうだとか、建設省がどうだということを離れて、もう少しそういう事業をやっていいんじゃないかと思うのですが、そういうことに対して総裁はどういうようなお考えを持っておられるか。ちょっと参考までに聞いておきたいと思います。
  79. 岸道三

    岸参考人 ただいま二階堂先生のお話を承りまして、非常に私も意を強くしておるわけであります。大体道路開発というものは、周辺の経済開発でありまして、そこに工場が建つとかあるいは住宅が建つとか、あるいはいろいろな観光設備ができるということに、また大きな道路開発の目的があるわけでありまして、私は、これがもし今お話のように土地の事業その他の付帯事業ができるようになるならば、用地買収もかなり楽になるのではないか、こう思います。それからまた、今お話しのように、償還その他についても非常に早目にできるのではないか、こういうふうに思っております。道路開発によって起こるところの周辺の利益が、それ相当に税金によって国家に納められるというようなことであればけっこうなんですが、そうでないならば、道路公団のようなこういう公共的な事業団体がそういうような事業をしまして、今お話しのようなことにするのが非常に適当ではないか。私は個人的にはそういうふうに考えております。できるだけ皆さんのお力によって、そういうようになるならば、公団事業もまた飛躍的に発展し、先ほど御心配になった諸先生の問題も解決する道が非常に近いのではないかと思っております。  それから、先ほど御指摘がありました点で、道路が一本々々の計算になっておりますが、これらがもしプール制になるということになるならば、この運営よろしきを得ないと弊害が多くなりますが、よろしきを得るならば、このプール計算はまた道路建設に非常に役に立つ。そういうふうに思いますので、先ほど来おっしゃられた二階堂先生の御説には、私は個人的には全面的の賛成をいたしたいと思っております。
  80. 二階堂進

    ○二階堂委員 われわれは、党内におきましても、ことしはだめだということにしても、ぜひとも昭和三十六年度からは、そういうような付帯事業というものを、もう少し公団にやってもらいたい。大きな道を作るために相当な土砂等が出てくるわけでありますが、そういうものを利用して用地を作っていく。そうすれば、やはり換地等の問題を解決するのにも簡単になっていくし、またそういう土地を利用して工場等が建てられるというようなことも考えられるわけであります。ですから、私はこの問題は、大蔵省当局がどう言おうと、われわれは国会においてそういう考え方を主張して、ぜひともそういうような方向にこの法律の改正をいたしたい。かように考えておるわけでございますので、こういう点について道路公団総裁、あるいは道路公団として率直な意見があったら、一つお聞かせ願いたいと思います。  それから最後に、もう一点お尋ねいたしておきたいことは、今度の名神国道の工事について、世界銀行から金を借りたという建前もあって、世界の業者等がこの入札に参加するというようなことも承っております。従って、一部においては、外国の土建業が日本の土建界に侵入するということは非常に困ったことだ、そういうことをしてもらっては困るというような意見も私は、二、三聞いております。今度の名神国道の工事の入札について、アメリカあるいはドイツあたりの業者がはたしてこれに参加するかどうか、あるいは参加した場合に今後たとえば東京—名古屋間等の工事が、もしかりに計画が認められ借款が認められて、この事業を遂行するということになった場合に、今後引き続いて大きな業者がどんどん日本の中に入ってくる、日本の業者を圧迫するというような事態が起こるであろうというようなことを言っておる人もおりますが、そういう点について一体どういう印象を受けてこられたか。あるいはどういうふうにお考えになっているか。
  81. 岸道三

    岸参考人 世銀の借款は国際入札ということが原則であります。従いまして、この名神高速道路についても国際入札が原則でありますが、その国の業者でやった方が安くていいものができるということが非常に明瞭になっておる場合に限りまして、例外的に国際入札を免除することがあるわけであります。従いまして、日本道路につきましては、高速道路は初めてであるということ、それから土工単価が日本は諸外国に比べて高い。これは自然的な条件その他の理由がいろいろあるのでありますが、そういうような観点から国際入札をぜひしなければならぬというのが世銀の主張であります。そこで、これを極力圧縮いたしまして、とりあえず日本名神高速道路のうちの非常に土工量の多いところ二カ所を国際入札にしまして、その結果によって今後の問題を判断しようということになっております。私はこの件につきましては、いろいろプラスの面もマイナスの面もあると思うのでありますが、もしここで日本の業者が、参加した外国業者を全部圧倒して日本の業者が勝ち、そうして安くていいものができるということになりましたならば、今後日本の土建業者が海外に進出する上において非常なプラスになるんじゃないかと思うのであります。また同時に、日本がそういう国際入札に勝ちますれば、今後日本はまた十分チャンスを他の国にも求めることになりまして、日本にとっては非常にプラスになるんじゃないか、こういうふうに思っております。従いまして、本件につきましては、今後できるだけ日本の業者が勉強されまして、そうして日本業者の全勝に終わりまして、今後はとうてい国際入札に付する必要はないという前例をここで作っていただくようになることを非常に期待しておるわけであります。
  82. 中島巖

    中島(巖)委員 今借款の問題が出たから、関連して総裁にアメリカさんの気持をちょっとお聞きをしたいと思うのです。問題は、アメリカさんが日本百年の大計をいろいろ考えるはずはない。金さえ返ってくればいい。そういうように僕らは解釈しておるのです。結局、質問の要点は、回収が確実にできればいいということが向こうの貸付の重点だろうと思うのですが、その点いかがですか。
  83. 岸道三

    岸参考人 アメリカというのは世界銀行のことだと思いますが、世界銀行は多くの国々が出資いたしまして、日本もその出資国の一つでありまして、世界の低開発国の産業開発ということに主力を置いておるわけであります。従いまして、先ほど申しました通り日本がこういうふうに非常によくなってきたならば、世界銀行の金を借りる必要はないんじゃないかというような議論も、そういう観点から起こってくるわけであります。今銀行から金を借りる場合は、金が必ず返ってくるということが一つ条件であると同時に、その国の産業に非常に役に立つということが目標でなければなりません。しかもその産業は、その国のいろいろ順序があるでしょう。それに対してプライオリティを持っておるということが第一であります。従いまして、現在の日本経済の発展において、しっかりした地固めをすることに必要な資金であるということが、これは世界銀行の考えというよりも、日本側の考えとして必要じゃないかと思っております、  それから、ちょっと話は横道にそれますが、われわれが用地買収をしておるときに、常に百年の計ということを市町村に言われるわけでありますが、そこには百年の計はおろか、十年の都市計画のプランもないわけであります。これはやはりわれわれは現実に事業するわけでありますから、現実に皆さんがものを考えられて、あるいは十二分に調査されて、そうしてわれわれの調査によって、世界銀行に申し込むときには世界銀行に申し込む。あるいは他の証券業者に債券発行するならするというふうに、商業べースに乗った考え方でいくことが必要じゃないか。こういうふうに考えます。
  84. 中島巖

    中島(巖)委員 世界銀行ですが、やはりリードしておるのはアメリカなんです。世界銀行が各国へ金を貸す場合において、結局未開発地域の開発ということもあるでしょうが、問題は貸した金が確実に返ってくるということが僕は一番の問題じゃないかと思う。日本の百年の大計というような見地で金を貸すんじゃないだろう。この点だけをどういうお考えであるか、お聞きしたわけなんです。
  85. 岸道三

    岸参考人 これはやはり銀行でございますから、つまりわれわれが事業する場合と同じでございまして、そうして銀行の建前が貫かれるわけでありますが、とにかく国際復興開発金融銀行でありますから、その復興開発ということが第一であります。従いまして、日本が借りる場合は、日本産業なりあるいは日本の他の面においてプライオリティを持っておるということを、日本政府が保証する必要があると思うのであります。
  86. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 塚本三郎君。
  87. 塚本三郎

    ○塚本委員 名神高速道路について二、三お尋ねしたいと思います。計画によりますと、名神高速道路が第一期、第二期、第三期というふうに区切って工事がされておりますが、これはどこの工事でもそうだと思います。しかし、順序を、たとえば第一期に尼崎—栗東間をお選びになった。あるいはまた小牧—一宮間を一番あとに回した。こういうふうに順序が先あとの区別がしてありますが、その点どういう基盤の上に立って順序をきめられたかをお尋ねいたします。
  88. 岸道三

    岸参考人 それは用地買収関係と、設計が早くできるところ、この二点でそういう順序になっております。
  89. 塚本三郎

    ○塚本委員 設計が早くできるといいますと、地形上そういう早くできやすいところと、できにくいところ、こういうふうに解釈して差しつかえございませんか。
  90. 岸道三

    岸参考人 地形の問題と、用地の問題と、二つございます。つまり、設計をするためには、幅くいを打って一応の測量をしなければなりませんが、当時は測量をさせないところもございまして、従って、だいぶおくれておるところもあります。ですから、早いところから始まっていったわけです。
  91. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、おくれておるところはなかなか測量させなかった、こういうふうに大体解釈ができるわけですか。
  92. 岸道三

    岸参考人 おくれているところは、折衝にひまがかかって、測量を始めることが非常におくれたということです。それからもう一つには、設計が非常にむずかしいところがあります。そういうところも、おくれております。それから河川とか、そういうものの非常に多いところもまたおくれておる。そういう諸般の事情からおくれております。
  93. 塚本三郎

    ○塚本委員 小牧から一宮間というのは、私どもしろうとから考えてみますと、比較的平地でありまするし、もちろん設計等も簡単ではなかろうかというふうに私たちは想像するわけです。さらにまた、用地買収等の点につきまして、先日も小牧周辺の責任者の方々が陳情に参りまして、そして早くこれを進めてほしい、もちろん用地買収等についても全面的に協力をし、地主にも約束をさせた。こういうふうな陳情が参っておるわけです。ところが、予算その他では、用地買収等でおくれておって、先ほどの質疑応答の中でもございましたように、実は一割も昨年度あたりは使えなかった。こういう状態であるにかかわらず、こちらの方面は空中写真がとられたばかりで、いまだに具体的な測量が進められておらないというふうな状態になっておりまするが、これらの地区につきましては、何か特殊な事情があったかどうか。その点、どうでございましょうか。
  94. 岸道三

    岸参考人 ただいま当然言うべき理由を落としておりましたが、一番大事なのは、早く作って運営する場合に、経済的に一番効果のあるところを先にやっておりますから、その点をつけ加えておきます。
  95. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、経済的に一宮—小牧間はおくらかした方が——おくらかしたというよりも、その小牧—西宮間では一番効果が少ないから、おくらかしたのだ、というふうに判断して差しつかえないわけでございましょうか。
  96. 岸道三

    岸参考人 小牧—一宮間は、小牧—関ケ原までの路線の一部として考えておる次第でありまして、現在、岐阜県の輪中地区その他についてのいろいろな問題が解決されておりませんで、それらを一括してやるように今しております。小牧—一宮の方は、こちらの方が解決のめどがつきますれば、これは直ちに一緒にやるようになると思います。
  97. 塚本三郎

    ○塚本委員 こういうことをお尋ねいたしますのは、実は今日、国会の中でも問題になっております第二期の工事として小牧—東京間に対する路線決定が、中央道に対する法律が出されんといたしておりますのに対して、東海道の案が議員提案として出される。こういうふうな空気が非常に強うございまして、もし東海道の方に第二期の工事がなされる場合におきましては、一宮から小牧へ出る線を南に通った方が路線としては都合がいい。従って、小牧—一宮間に対しては具体的な測量が進められておらないというふうなうわさが、小牧地方には流れておりまするが、おそらくそんなことは、小牧—西宮間に対してはきまっておるんだから、小牧周辺に対しては動かされる心配はない。たとい政治的な力でもって、中央道があとになって東海道の方にこれが持っていかれようとも、一宮—小牧につきましては動くということはあり得ないというふうに、私たちは断定しておるわけでございますが、地元ではそういう心配を非常に強く持っております。この点の影響というものはないというふうに、断定して差しつかえございませんか。
  98. 岸道三

    岸参考人 われわれの方では政府から、小牧—西宮間の建設という命令をいただいておるわけでありまして、それが変更の命令がない限りにおいては、小牧—西宮をわれわれはやることにしています。またやらなければならぬわけであります。
  99. 塚本三郎

    ○塚本委員 そういたしますと、もちろんそういうことは何ら小牧—一宮間に対しては、測量をおくらしたということでは関係がないものというふうに判断して、当然それは行なわれるという断定のもとに考えていいわけでございますね。
  100. 岸道三

    岸参考人 それは命令がそうですから、そういうふうに考えていいのじゃないでしょうか。
  101. 塚本三郎

    ○塚本委員 くどいようでございますけれども、地元におきましては、そんなたわいもないうわさが非常に立っておりまして、わざわざ市議会あるいはまた市当局からも、その予定でわざわざ地主にも説得をさせて、受け入れの態勢があるにかかわらず、困難な反対の方向に説得の活動が続けられている。こちらは平坦地でもあり、早くやってもらいたい。ところが、どうも逃げそうだ、こういうことをこの間も言って参りましたから、ちょっと意見だけ申し上げておきたいと思います。  それから、これは局長にお尋ねしたいと思いますが、土地収用の問題で、先ほど自民党の先生方からも、土地収用法はむずかしいということがございましたが、私どもが考えておりますのは、土地収用法というのは、工事を実現するための収用者側とともに、地主の権利をも守るものであるというふうに私たちは考えている。ところが、これはもう、もちろん道路公団ばかりではないと思いますが、実はなかなかこの収用法を適用しようとなさらない。こういうことが多くて、全国的に例を見ましても、土地収用法を適用しておるのがきわめて少ないのです。そうすると、実際これは役に立たないというふうに考えるべきなのかどうなのかということですが、この点、土地収用法を適用してから現実にそれが実施できるまでの時間的な間隔はどれくらいあるかということとともに、名神高速道路について土地収用法を今まで発動させた件数がどれだけあるかということを、ちょっと教えていただきたいと思います。
  102. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 土地収用法は、数年前にいろいろ検討の結果改定されまして、ただいまの収用法は、いわゆる昔のものと比べまして、ただいま塚本先生が御指摘になるように、一言で申し上げますれば、当事者の間で第三者を加えてよく相談するという仕組みになって、うまく適用していけば、かなりそういう場合のお役に立つものと私どもも考えておった次第でございます。  そこで、まあ公団道路もそうでございますが、建設省の直轄事業等におきます場合におきましても、極力この土地収用法を当初から持ち出しましてよく御理解をいただいて、その上にだんだんと法律によって話を進めていくように、私どもはだいぶ指導をいたした次第でございますが、これは私もある期間現場を担当いたしておりまして、自分で経験いたしましたところによりますと、どうもやはり、私どもはそう考えておりますが、土地を買収される方方にとりましては、私どもがよく説明いたしましても、土地収用法ということを言いますと、非常に警戒されて、ははあ、これは伝家の宝刀を抜くのかというようなお感じを、どうしても持たれるようでございます。そこで、だんだんとお話が詰まっていくものが、そのためにかえって悪化する。話がむずかしくなってしまうという例を、私もかなり経験いたしました。今日、土地収用法の適用が必ずしもスムーズにいっておりませんのは、そういうようなところにも一つの主要な原因があるのではないかと思うわけでございます。  そこで、土地収用法で実施している例もあるようでございますが、これはどのくらい日数を要しておるかということは、私はちょっとそこまで存じておりません。私そういう経験を持っておりませんし、ただいま調べた資料を持っておりませんので、あるいは公団の方からお話しがあるかもしれませんが、私は存じません。とにかく一般的には、どうもやはりそれを持ち出すといけない、というようでございます。  そこで、この土地収用法をそれでは何とかもう少し扱いやすいようにならぬものであろうかということ、これは外部からもいろいろそういうお話が出ております。建設省としても大きな問題として考えておるわけでございます。これは担当は、たしか建設省計画局でございますが、計画局におきましてこの問題を大きく取り上げて、三十五年度におきましては公共用地取得制度に関する調査委員会を設置いたしまして、いろいろ研究をしていただくことになっておるはずでございます。私どもは、そういうふうにいたしまして、非常に使いやすい土地収用に関する法制ができることの一日も早からんことを期待いたしております。
  103. 浅村廉

    浅村参考人 ただいま道路局長からお話がございましたが、私ども実際に仕事をいたしておる立場から若干御説明申し上げたいと思います。  土地収用法は、確かに改正以来相当手続がこまかくなりまして、非常に民主的な法律になっておると私どもも承知いたしておりますが、実際に用地を買収する立場になりますと、まず土地収用法にかけるぞ——かけるぞというのはちょっと言い方が激しゅうございますが、最初から収用法によるということにいたしますと、実際問題といたしましては、地元の感情がなかなか硬化いたしまして、かえって事業用地取得をおくらせるということになって参ります。そこで私どもは、道路公団の用地取得につきましては、収用法の手続がすみやかに行なわれれば別でありますけれども、実際問題としてはなかなかそう参りませんので、できるだけ話し合いを円滑にいたしまして、話し合いのまとまった線でいきたい。こういうことで、やっておったわけであります。  名神高速道路につきまして、しからばどのくらい土地収用法の御厄介になっておるかということでございますが、収用法の手続は御承知のように非常にいろいろございまして、まず一番初めは事業認定という手続がございます。これは土地収用法の適用を受ける資格のある事業であるということを建設大臣に認定をしていただくわけでございます。その事業認定を私どもお願いいたしましたのが、名神高速道路につきましては大津から京都の間、それから京都から少し西によりました茨木、この間を認定していただいております。この認定に持ち込んだということは、結局ネゴシエーションをやっておっても、らちがあかない。おくれるばかりであるということで、私どもは、はなはだ不本意ではありましたが、この事業認定の手続をとってお願いいたしまして、認定をしていただいたわけであります。  それからもう一つ、別な手続といたしましては、収用委員会の採決という最後のところまで持ち込む前に、あっせん委員会というのがございまして、あっせん委員会のあっせんをお願いするという手段がございます。それにかけましたのが、名神高速道路で申しますれば京都の伏見の地区、もう一つは山科の地区、こういうことになっております。  いろいろお尋ねがございましたから申し上げますが、私ども実際やっております立場といたしましては、現在のこの収用法に規定されております手続を全部とるということになりますと、かりに採決までお願いするということになれば十カ月くらいは楽にかかってしまうというようなことで、長いものは一年くらいかかるのじゃないか。そんなことでは、とてもこの実施を円滑に進めるわけに参りません。そうでなくても事業がおくれておるということで、先ほど中島先生からいろいろ御指摘がございましたが、私どもといたしましては、現在の土地収用法の手続をそのままとるとすればそのくらいの期間を要しますので、できる限り話し合いでいきたいということでやっておりまして、どうしてもやむを得ないものについてそのような手続に移行したというのが実情でございます。なお、この問題につきましては建設省とも常に話し合いをいたしておりまして、私ども実際こういう経験を持っておるということを、今後も詳しく建設当局に御説明いたしまして、そして何らかまたいい方法があればお考えを願おう、ということでやっておるわけでございます。
  104. 塚本三郎

    ○塚本委員 最後に一つだけ局長にお尋ねしたいのですけれども、建設省の設置法の一部改正案というものを国会に出されておるのです。この土地収用法を改正するための調査機関が今かかっておるはずだと思います。私ども建設委員会にくるかと思っておりましたところが、全然こっちにはこない。もちろん設置法でございますから、内閣委員会の方に回ってしまって、従って実際申し上げますと、建設関係の一番検討しなければならぬものが、全然この法律にはタッチしていないというようなことでございます。しかし、これも国会の筋からしようがないこととは思います。  そこで、この土地収用法というものが非常に扱いにくいということは、これはやはり受ける立場からいいますと、当然自分たちを守ってくれる法律なんだというふうな考え方を持ってもらいたいと思うのですけれども、ところが、戦争中において、とにかく軍部が強制的に取り上げてしまった。そのことをすぐ連想するわけですし、同様にまた、その折衝に当たっておるところの担当の役人の方々もまた、いやならば土地収用法にかける、というような——現実にこれは農家の方に会ってみると、必ずそういうことを聞いておるわけです。それで伝家の宝刀であるかのような使い方をして、話し合いでいくということで、それができない場合に、もう仕方がないからそのあとで収用法にかけるということで、おそらく十カ月で片がつくものなら——これは皆さん方も経験のあることで、最初からやわらかく話をして、それでは公正妥当な収用委員会の判定に待とうという形で十カ月で片がついて、そして一カ月、二カ月その前の準備段階があったといたしましても、判定まで持ち込んだとしても、一年あればどんどん進んでいったと思うわけです。ところが、やはり向こうもそういうふうな形で恐怖心を持っており、こちらもそれをいいことにして伝家の宝刀のごとくおどかしに使っておる。そうして、どうしてもいけないところだけそれをかけるから、一年ぐずぐずしてプラス十カ月ということになって、おくれてきているのではなかろうかと思うわけであります。私どもの立場から申し上げてみますと、法律がどんどん利用されて、そして、それがなおかつ不備の場合においては、これを改正しなければならないという形にいかざるを得ないと思うわけです。ところが、これがほとんど適用されなくて、すでに一方においてはこれに対する改正のための検討の設置法が上程せられてきておるということは、何としても議員の立場からいいますと、これは不見識な形になっておる法律見えるわけです。これはやはりどしどし適用していただいて、そしてしかもこれを悪用しないような形で——私たちも、建設省が来て、土地収用法にかけるといっておどかしにきた。そうすると、これはあなたたちを守る法律なんだから、やってもらいなさい、そうすれば、建設省の言ってきたのとあなたたちの主張している価格と公平に話し合って、大てい中間くらいで、今までも結果からいくと出るのだから、話し合って一割、二割譲歩しても、収用委員会にかけて中間をとれば大体二割、三割上がってくるから得だよ、と言うと、そうかといって、応じてくるということです。現実はそういうことですけれども、これをお役人の方々が悪用して、戦争中の伝家の宝刀のごとき言い方をしておるものだから、素朴な地主はそういう立場でかえって感情的になって、立ち向かってくるという形で、扱いにくいからといって使わない。これがだめだからといって、改正のための準備がなされているという形に私たちは受け取れて仕方がないわけです。この点、もう少し、方法はどうあろうとも、現在ある土地収用法というものは大事に、親切に使っていただきたい。そうするならば、工事は現行法においても、もっとスムーズな運用ができるのではないかというふうに私は考えるのです。その点、ちょっと局長のお考えだけ承って、私の質問を終わります。
  105. 佐藤寛政

    ○佐藤(寛)政府委員 土地収用法の法律の扱い方でございますが、これは御指摘のように、ただいまこれの研究のための制度を作ることで、設置法の御審議をお願いしておる次第で、これは所管局の方で詳しくまた説明していただくときがあると存じます。私の感じますところを申し上げますと、その使い方が悪いという点を強く御指摘になりましたが、この点につきましては、私どもといたしましても、あるいは手落ちが全然そこになかったとは申し上げかねますが、この土地収用法の趣旨に従いまして、ただいま塚本先生が御指摘になったような考え方で、十分お話し合いをいたさせたわけでございます。これは昨年あるいは一昨年、数回にわたりまして、本省からは、土地収用法というものをそういうふうな趣旨で十分理解をいただいて、なるべく土地収用法によって土地買収の仕事を進めるようにということを、再三各関係機関に指示いたしてございます。それはたしか書類で指示いたしてございますし、部長会議あるいは局長会議のような、そういう会議等も利用いたしまして、るる説明をいたしてあるはずでございます。従いまして、現場におきましても、その趣旨は十分に理解してくれていることだと存じます。しばらくそういう考えで扱っておってくれたと思うのでございますが、しかし、その間に扱い方が必ずしも十分でなかった点は、先ほど申し上げましたように、なかったとは申し上げかねます。しかし、その結果、土地を買収される方々にはどうしても理解を得るに至らぬ。私の経験によりますと、そういう経験を持っております。今日におきましてはどうも扱いにくい法律になっておる。そこで、先ほど道路公団の方から御説明があったように、今日においてもやはり話し合いで交渉を進めることが主になっておるんじゃないか、こういうふうに私は思うわけでございます。建設省といたしましては、法の趣旨に従いまして、十分その点を御理解をいただいて、最初からネゴシエーションでなく、収用法でもって進めていくという態度を十分とったことは、確かでございます。
  106. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 参考人には長時間ありがとうございました。  次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。     午後四時二十四分散会