運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-16 第34回国会 衆議院 建設委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月十六日(水曜日)     午前十時三十七分開議  出席委員    委員長 羽田武嗣郎君    理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君    理事 二階堂 進君 理事 堀川 恭平君    理事 南  好雄君 理事 山中 吾郎君    理事 塚本 三郎君       逢澤  寛君    大久保武雄君       砂原  格君    徳安 實藏君       服部 安司君    廣瀬 正雄君       堀内 一雄君    松澤 雄藏君       石川 次夫君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    山中日露史君       今村  等君  出席国務大臣         建 設 大 臣 村上  勇君         国 務 大 臣 菅野和太郎君  出席政府委員         林野庁長官   山崎  齊君         運 輸 技 官         (港湾局長)  中道 峰夫君         建設政務次官  大沢 雄一君         建 設 技 官         (河川局長)  山本 三郎君         建設事務官         (河川局次長) 曽田  忠君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         総理府技官         (経済企画庁総         合計画局計画         官)      宮崎 茂一君         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         厚 生 技 官         (公衆衛生局環         境衛生部長)  聖成  稔君         通商産業事務官         (企業局次長) 磯野 太郎君         通商産業技官         (企業局工業用         水課長)    藤岡 大信君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 三月十六日  委員大西正道君辞任につき、その補欠として山  中日露史君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  治山治水緊急措置法案内閣提出第六九号)  住宅地区改良法案内閣提出第八六号)  公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出  第八七号)      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 これより会議を開きます。  住宅地区改良法案公営住宅法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  質疑通告がありますので、これを許します。  山中吾郎君。
  3. 山中吾郎

    山中(吾)委員 公営住宅法の一部を改正する法律案について、大臣並びに局長にお伺いいたしたいと思うのですが、私、根本的にこういう法案に疑問かあるのです。  この法案改正内容は、一市町村区域内で二百戸以上の住宅滅失した場合に補助対象にするという内容でございますけれども、こういう法案被害者立場から立法していないで、事業主体立場から立法しておると思うのであって、被害者立場からいいますと、二百戸以上であろうが以下であろうが、あるいは百戸以下であろうが、五十戸以下であろうが、自分の家を流されればその悲惨な立場は同じである。こういう災害補助立法の中に、市町村という事業主体立場だけを考えておるように思うのですが、被害者立場から考えますと、何戸以上が一区域内において滅失したときに補助する、それ以外は補助をしないという思想がどうしても私にはわからない。その点について、この公営住宅法の一部改正内容そのものに直接関係があるというわけではないのですが、今後のそういう立法の問題もありますし、根本災害補助の場合のあり方について大臣のお考えをお聞きいたしたいと思います。
  4. 村上勇

    村上国務大臣 御指摘の点は、全く私ども常識的にはその通りだと思います。しかし、かりにどこかへ線を引いていかなければ、公営住宅一戸の場合を想像した場合に、国が一々一戸までも取り上げてというようなことは、非常に繁雑でもあるばかりでなくて、そういう必要はない。そこで、十戸にすべきか、あるいは百戸にすべきかということは常識的な判断になりますが、ここに二百戸以上という線を引いたのは、限度をこの程度に置けばまずどうにかやっていけるのじゃないかということでありまして、ただいまの御意見は、私どももやはりこれに一つ限度を置くということについては相当に考慮しなければならぬと思います。しかし、極端にわたりますが、一戸とがあるいは十戸とかいう場合に、一々国がこれに対して処置するということは、どうもあまりにめんどうを見過ぎる——見過ぎて悪いこともないのですが、あまりに規模が小さくなるというので、従来の火災等によって処置しておる程度までは災害の場合も下げていった方がいいじゃないかということで、こういう処置になっております。
  5. 山中吾郎

    山中(吾)委員 大臣の今のお考えはまことに常識的なので、その常識的な考え方については立法技術上その他の関係からいってもわかるのです。ただ、これは被害者保護法でありますから、市町村めんどうを見る見ないということは、その市町村内に十戸くらいの災害があったときには、国の補助なしに市町村は必ず住宅を建ててやるに違いないということを前提としてのお話だと思うのです。額が大きくなると、市町村もその被害者に対しては低家賃賃貸住宅が建てられないであろうから、それで二百戸以上の場合には二分の一の補助をしてやる。従ってこういう立法は、十戸、二十戸の場合には市町村長災害者に対して国の補助がなくても必ず建てるということを初めから予定してなら、わかる。ところが、市町村は国の補助がない限りはやはり被害者を捨てておくのではないか。そうすると、被害者の方からいえば、大災害のときにはちゃんと便宜をはからってもらえる。十戸くらい流れたときは便宜をはかってもらえない。こういうようなことを考えますと、どうしても立法趣旨が合わないと思うのですが、この点はいかがでしょう。
  6. 稗田治

    稗田政府委員 災害限度の問題でございますが、一応災害の場合に、公の措置として救済いたします場合には、ある程度災害規模が大きくて、そこに相互救済というようなことができないというときに、国なりあるいは地方公共団体がこれを救済するということになっておるかと存じておるわけでございます。そこで、たとえば災害救助法等におきましても、それぞれ適用限度というのは定まっておるわけでございます。なお、公営住宅におきましては、災害で、これは小さな災害で焼けたりあるいは流されたりした場合でも同様でございますが、普通の毎年建てております公営住宅優先入居ということができるようになっておるわけでございます。従いまして、そういった公営住宅賃貸住宅による入居を求める罹災者につきましては、毎年建てております公営住宅優先入居させるという制度でまかなっていきたい。なお、住宅金融公庫などにおきましては、罹災した場合には特定のケースとしましてその人に貸し付ける、抽せんでなしに貸し付けるというような道を開いておるわけでございます。
  7. 山中吾郎

    山中(吾)委員 実際の場合は、罹災者優先入居させるといっても、あき家でおるような公営住宅は現実には一つもない。そういうことからいって、事実上は罹災者立場からいうと、私は何の便宜もはかられていないと思うので、こういう一連立法事業主体保護法であって、罹災者保護法でないと思うのです。  それで、何戸以上の場合は補助する、何戸以上の場合は補助しないというような立法技術から離れて、ほんとうに罹災者を保護するという根本考え方から、こういう立法を再検討する意思がないかどうかということが私の質問要点なんです。だから、百戸とか二百戸とかいう区切りの仕方は、そこらの立法上からいって解決できないのであって、だから、今この法律改正になって、二百戸以上の場合については第二種公営住宅建設に三分の二を補助するということになると、百九十戸の場合については何もない。そういうときの罹災者というものは、事実上何の補助もない姿になる。こういう住宅政策は、常識上どうも、大きな額があるから補助する、少ないときにはどうも国が補助するほどのものでもないという考え方でこの矛盾を捨てておくという問題では絶対にない。そういうふうに思っておるのですが、この点大臣は何の矛盾もお感じにならないように常識的にお話しになっておりますが、もっと私は真剣に考えなければならぬ問題があると思うのです。ことにまた、市町村の場合でも、合併市町村の非常に大きいところと、非常に小さいところもありますし、矛盾は無限にあると思う。従って、罹災者保護法という立場に立ち返って、こういう一連の問題を再検討する必要がある。別な立法技術によるべきではないか。公営住宅だけの問題ではないのですが、私はそういう立場から今後の問題として、これはやむを得ないんだということであればこの法案そのものにも賛成しがたい。その辺をもう一度聞きたい。
  8. 村上勇

    村上国務大臣 山中委員の言われるところもよくわかりますが、従来は火災の場合は二百戸以上、天災地変の場合は五百戸以上の滅失家屋がなければ補助対象になっていなかった。それを二百戸以上というようにその対象を大きく引き下げていったということは、これは罹災者に対しても間接に非常に大きな利益があるわけであります。かりに大きな都市の場合、今までは五百戸以上でなければ国が補助しなかったものを、二百戸まで下げればそれだけ事業主というものはその復旧が促進してくるということになります。従いまして、この法律によって補助対象の率を下げていったということは、事業主にもまた被害者にも、どちらにも非常な利益である、かように思っております。どこかへ線を引かなければいかないが、その線の引き方が、そうあまり下の方に引いても、これはやはり国の補助金というものは、私が申し上げるまでもなく国民の金でありますから、どこか一つ線を引くということは、当然引かなければならないものでありますが、もう私ども常識から言っても、火災で焼失したもの、それは二百戸以上を対象補助をもらう。ところが、天災地変では五百戸以上でなければいかないというようなことは、従来の法律が少しどうも罹災者に対しても、また事業主に対しても、愛情が欠けておったのじゃないか。こう思いまして、こういうようにその対象を引き下げたのでありますから、この点一つ御了承願いたいと思います。
  9. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そうすると、罹災者に対する愛情というものは、私は、二百戸以上に対する愛情だけで、二百戸以下は愛情は要らないという問題ではないと思うのです。たとえば二百戸という場合については、一つの建物が五十万にしても一億だと思うのです。百戸にしても、一つ五十万とすると五千万ですか、これは事業主体に対する負担から考えたら、百戸だって国としては補助してやるべき額だと思うのです。  それで、まず一応二百戸以上としたのは、大蔵省との関係で、もっと百戸にしたいけれども二百戸にとどまったという思想で、二百戸になったのか。将来だんだん下げていくのか。量的にこれを少しずつ下げていくという前進の姿で現われておるのか。これは一つ将来の参考に聞きたいと思いますが、これは局長でけっこうです。  それと同時に、根本問題として、こういう法案と別に、小災害の場合の個個の罹災者を保護するという別の立法対策が現在あるのか、将来それを作るか、その点をいま一度聞きたい。これと別の救済制度があったら、私聞きたいと思うのですが、その点はどうなんですか。
  10. 稗田治

    稗田政府委員 今回風水害等の場合にも一町村当たり二百戸、この滅失の場合を適用範囲に取り上げましたのは、実は昨年度におきまして、集中豪雨という災害が非常に多かったわけでございます。それで、集中豪雨の場合は、火災と同様に被害を受ける区域というのは非常に集中されて被害を受けるわけでございますが、その際も、全体の被災地域滅失戸数が五百戸以上にならなければ適用されない。そういうような矛盾を、昨年の災害におきましてわれわれは察知したわけでございます。  そこで、今回の改正といたしましては——実は、災害臨時国会のときに、この法案激甚地の指定とともに改正をするつもりだったわけでございます。御承知のように、災害特例法におきましては、激甚地といたしましては、一市町村当たり二百戸以上を激甚地として取り上げたわけでございます。ただ、災害臨時国会におきましては、一般法改正というのは提出するのが妥当でないということでございましたので、本国会提案をいたしたわけでございます。従いまして、現行の八条の災害適用基準の中における矛盾というものを解消しようということで、本法案提出したわけでございます。  なお、災害救済方法として全部考え直さなければならぬのではないかという御意見かと思いますけれども、これにつきましては、災害事例等今後検討いたしまして、どういった戸数が一番頻度数が多いかというようなことも調査をした上で、根本的に検討いたしたい、かように考えておるわけでございます。
  11. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私、いま一度お尋ねしたいのですが、二百戸以下の、災害により住宅滅失した場合のその罹災者救済方法が、公正の原則からいって、不公平にならないような、別の救済制度現行法であるのか。それをお聞きしておきたい。この法律以外のですね。
  12. 稗田治

    稗田政府委員 この法律以外といたしましては、住宅金融公庫特別貸付制度がございまして、これは災害等限度によらず、罹災した者につきましては、ある個人貸付ワクを用いまして、罹災者貸付をするという道を開いてございます。  なお、公営住宅といたしましては、先ほど申し上げましたように、毎年地方公共団体新築をいたすわけでございますが、その中で、災害で家を失った住宅困窮者に対しましては、優先入居の扱いということで入居をさせておるわけでございます。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私、大体お聞きしておることでわかってきたわけですが、公営住宅法関係からいうと、立法技術上限定せざるを得ない。そうすると、そういう罹災者を不公平にしないために、保護する目的を果たすために、別な制度があれば、それでも私は一応保護法としては、国全体の政治としてはいいと思ってお聞きしたのです。金融公庫罹災者に対して貸し付けるということ、その中に一つ救済があると思うのですが、その場合に、ほかの人よりはその何分の一かをくれてやるとか、利子その他を考えるとか、あるいは特別にこの二百戸以上の罹災の場合恩恵を受けると同じ実質を受けるような制度を、金融公庫関係で作ってあるかどうか。もし作ってなければ、やはりそういうものを作るべきだと思うのです。それを御説明下さい。
  14. 稗田治

    稗田政府委員 住宅金融公庫災害の場合の貸付につきましては、据置期間等を設置してございます。
  15. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今思い出したのですが、それは昨年法案の一部改正をしたやつでしたか。昨年そういう一部改正があったと思うのですが、据置を延ばしただけですか。
  16. 稗田治

    稗田政府委員 据置期間を置きますので、従いまして、償還期間据置期間を含めただけ延長されるわけでございます。
  17. 山中吾郎

    山中(吾)委員 何年延ばしてあるのですか。
  18. 稗田治

    稗田政府委員 三年でございます。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)委員 そういう罹災者に三年だけ延ばしたというのじゃ、これはとても私は公正な——一方に非常に有利で一方に不利だと思うので、こういう法案を出されると同時に、そういう別な公庫その他に対して、罹災者についての特別の改正その他を将来要望いたしたいと思うのです。その点、大臣の見解をお聞きして、満足する意見をいただいたら、これで質問を終わります。
  20. 村上勇

    村上国務大臣 これは市町村公用機関でありまして、国としてのあれじゃないから、この程度補助をするということは、私は国の大きな愛情だろうと思います。それで、対象にならない部分については、今のような償還期間延長とか、あるいは据置期間延長とかいうようなことでありますから、この法律精神からいえば、私としては非常に罹災者に対しても愛情を持った法律だろうと思います。従来の五百戸以上、四百九十九戸は対象にならないことから考えますと、二百戸以上を対象にしているということは、措置としては相当愛情を持った措置だと思っております。これはなお財政が許せば、どこまで下げても、一戸以上を対象にしてもいいでしょうけれども、どこかに線を引かなければいけない。しかし、線を引いたその以下のものは、市町村としても資金借入をして、公営住宅を再建することもできますが、ただ災害があった市町村は何もしない、火災があっても何があっても、それを国で何もかも全部やってしまうという思想も、これは私はどうかと思います。そういう点から、この程度のことで今回お許し願って、また国の財政とにらみ合わせながら、だんだん対象を下げていくということは、私ども考えなければならぬことだと思います。しかし今の国の財政からいえば、せいぜいこの程度以上のことはちょっと困難じゃないかと思います。いろいろ御不満もありましょうけれども、この程度一つお許し願っておきます。
  21. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 ほかに質疑通告がありませんので、両案に対する質疑はこれにて終局するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  22. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 御異議ないと認め、さよう決しました。     —————————————
  23. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 これより両案の討論に入るのでありますが、討論通告がありませんので、討論を行なわず、直ちに採決を行ないたいと思いますが、これに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  24. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 御異議ないと認め、さよう決しました。  採決いたします。住宅地区改良法案公営住宅法の一部を改正する法律案の両案に賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  25. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 起立総員。よって両案は原案通り可決すべきものと決しました。  この際、二階堂進君より住宅地区改良法案附帯決議を付すべしとの動議提出されております。趣旨弁明を許します。  二階堂進君。
  26. 二階堂進

    二階堂委員 ただいま住宅地区改良法案採決が行なわれたのでございますが、私はこの際本法案の可決に際しましては附帯決議を付したいと存じまして、簡単に提案理由を説明いたします。  御承知通り、今回の住宅地区改良法案は、住宅政策の上から考えてみましても、また社会政策的な意義の上から考えてみましても私は非常な前進を示すものであろうと考えておるのであります。しかしながら、この不良住宅を解消して、従来不良住宅に住んでおった人をば、より環境のよいりっぱな住宅に直っていただくということでございますが、ともすればこの不良住宅地区に住んでいる人たちは、非常に生活能力の低い人たちが多いのでありまして、この人たちをりっぱなうちに、ある意味においては強制的な法律措置をもって直っていただくのでございますが、そういたしますと、家賃が一ぺんに従来支払っておられた家賃の二倍、三倍と非常に急増するおそれがあるわけであります。私どもは本法案の審議の過程にかんがみてみましても、各委員は、家賃が不当に多くなって、そして生活困窮者にさらに生活負担を加えていくような傾向が出てくるのではないかという心配を非常に抱いたのであります。せっかくいい法律を作っても、その法律精神がそういう人たちに生かされない。かえってそういう人たちが他にまた低い家賃うちを探さなければならないというような結果になっては、非常に本法案趣旨にも反するということをおそれるのであります。  なおまた、不良住宅地区改良法案と銘を打って単独の立法をはかられるわけでありますが、これはやはり特別の立法をしていく以上は、やはり従来の第二種公営住宅ワク内でめんどうを見るというようないき方ではなくして、独立した法律を作る以上は、国の補助、建築に対する補助等法律趣旨にのっとって増額されなければならないのではないか。かように考えるわけでございますが、本年度予算にあたりましては、そういうような措置がなされていないということは、はなはだ遺憾に存ずる次第であります。  以上二点の論旨に立脚いたしまして、私はこの際附帯決議を付したいと考えまして、以下その附帯決議を朗読いたします。    住宅地区改良法案に対する附帯決議  本法の施行にあたり、政府は左の点に留意し、所期の目的達成に遺憾なきを期すべきである。 一、本法対象地区居住者は、おおむね低額所得者なることにかんがみ、改良住宅家賃入居者負担を過重ならしむることにより、本法の円滑な運営を阻害しないよう適切なる行政指導等を行うこと。 一、将来出来得る限りの予算措置を講じて改良住宅新築戸数を増加し、すみやかに不良住宅の解消を図ること。 右決議する。  以上であります。どうか、この決議に各委員の御賛同をお願いいたす次第であります。
  27. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 採決いたします。二階堂進提出動議賛成諸君の御起立を願います。     〔賛成者起立
  28. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 起立総員。よって住宅地区改良法案は、二階堂進君の動議通り附帯決議を付することに決しました。  なお、ただいまの議決に伴う両案の報告書作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  29. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 御異議ないものと認め、さよう決します。      ————◇—————
  30. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 次に、治山治水緊急措置法案議題とし、審査を進めます。  質疑通告がありますから、順次これを許します。  二階堂進君。
  31. 二階堂進

    二階堂委員 大蔵省自治庁、企画庁、見えておりますか。
  32. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 まだ見えておりません。  そのまま暫時休憩いたします。     午前十一時九分休憩      ————◇—————     午前十一時十六分開議
  33. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 再開いたします。  二階堂進君。
  34. 二階堂進

    二階堂委員 私は今回提案されました治山治水緊急措置法案に関連いたしまして、治水及び治山及びこれらを含める総合的な計画に関連する諸問題につきまして当局に二、三お尋ねをいたしてみたいと思います。  御承知通り、今回提出されましたこの治山治水緊急措置によりまして、わが国国土保全事業計画的に推進されることになったことは、きわめて適切な処置であると考えるのであります。そこで、私は簡単に要点だけをお尋ねいたしてみたいと思いますが、今回の計画をお立てになりまする最初の場合、治水治山は五カ年計画という計画予算折衝も進めておられたように記憶いたしております。これが法案提出に関連いたしまして、十カ年という計画にこの計画が変更されたようにうかがわれるのでございますが、五カ年の計画を十カ年に変更されたというこの理由はどこにあるのか。私は、政府所得倍増計画と関連して経済の十カ年計画というものを考えておられる。そこで、十カ年の計画に並行して治山治水計画をお立てになったので、十カ年ということに変わったのではないか。かように考えるのでございますが、この点について建設大臣の御意見を承りたい。
  35. 村上勇

    村上国務大臣 治山治水五カ年計画及び十カ年計画の策定にあたりましては、当初建設省といたしましては、治山治水基本対策に基づく残事業昭和三十五年度以降十カ年間で達成する方針を立てたのであります。うち前期五カ年計画におきましては、全体の四二%を達成することを目標といたしまして、この事業費を五千五十億円とすることを提案いたしたのであります。しかしながら、今後のわが国経済の伸び、あるいはまた財政等々から考えまして、あくまでも健全財政を打ち立てていくという必要がありますので、この見地から、うち五カ年計画、緊急五カ年計画規模を四千億とし、十カ年間は九千二百億という規模によってこの事業を遂行するということに決定した次第であります。
  36. 二階堂進

    二階堂委員 企画庁長官にちょっとお尋ねします。政府経済の十カ年計画というものをお立てになっておる。これはもとより総合的な見地に立っていろいろな産業、経済諸般にわたる計画をお立てになっていると思うのでございますが、今回治水治山について考えられておりまする十カ年計画というものも、その全体の経済計画の中で考えていくべきものだろうと私は考えます。それに対しまして企画庁長官はどういうふうにお考えですか。
  37. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 全くお話の通りでありまして、この治山治水の長期経済計画立てますにつきましては、やはり長期経済計画の一環として立てなければならぬというわれわれ建前をいたしておりますので、従いまして、今回の治山治水の十カ年計画立てますにつきましては、国民所得倍増の長期経済計画の一環としてわれわれはこの計画立てていきたい、とこう考えておる次第であります。
  38. 二階堂進

    二階堂委員 十カ年にわたる長期計画をお立てになって、まず第一に五カ年ずつの治山あるいは治水事業量というものを計画してこれを推進されるということでございますが、今回この計画を実施されるにあたりまして問題になるのは、一つは、この計画国土保全という大きな見地から、総合的な立場から計画が樹立されなければならない。これはきわめて重要な問題であると思っております。第二には、この事業を推進する裏づけとなる財源が確保されなければならぬ。この二つが私はきわめて重要な課題であろうと思っております。  そこで、端的に建設大臣に、この前もちょっとお伺いいたしましたが、重ねてお伺いをいたします。今回この治水事業計画的にお進めになる裏づけになる財源は、従来の地方団体が持っておりましたこの負担金というものの交付金の制度というものが、現金の納付の制度に変わってきた。事業量というものは一定の額がきめられるが、それに伴う負担金というものは、当然交付金制度が加わって、一部は起債、あるいは大部分は現金によって支払われていくということになるわけでございますが、そのほかにこの財源として考えられるものは、一般会計からの財源にたよらなければならぬのであります。私は、この一般会計から支出される財源に実は問題が出てくるのではないかと思っております。この一般会計から投入される財源のいかんによって、計画計画通りに実施できるかできないかという結論になろうと思っております。この一般会計から支出される財源が既定の計画通りに投入されない場合は、五カ年計画というものはその目的を達成することができない。そこで、十カ年という計画考えられておるのであるからして、最初の五カ年計画が一般財源等の関係によって十分まかなうことができない場合は、政府は十カ年という計画立てておるのだからして、この十カ年計画の中に逃げ込むという危険性が私は多分に出てくるのではないかと思う。私はこの点に非常に懸念を抱くものであります。この一般会計からの財源の確保という点について、大蔵省との間に確たる約束ができるのかどうか。もとより、この計画は閣議決定もなされるということでございますので、閣議で一たん決定をされました以上はそれだけの財源の裏づけが必ずできなければならないと私は信じます。しかしながら、従来予算折衝その他において見られた大蔵省当局の考え方は、ともすれば、やはりこの一般財源がいろいろなほかの公共投資その他の事業関係、あるいは経済の動向等に関連して縮少されるような傾向がしばしばある。私は、今回の十カ年計画はどうしても計画的に遂行されなければ、本法案がうたっております国土の保全と民生の安定というこの趣旨に沿うことはできないと考えるのでございます。この地方の負担金はもとよりきまっておる割合でございますので、当然これは、幾らか問題はございますが、確保されるにいたしましても、一般財源の確保ということが問題になろうと思っております。この点について、もう一ぺん大臣から一つ御所信を承りたいと思います。
  39. 村上勇

    村上国務大臣 五カ年計画あるいは治水事業の十カ年計画を遂行する上において一番問題となります点は、御指摘のようにこれの一般会計から繰り入れる財源であります。これにつきましては、私といたしましては、前期五カ年計画四千億を計上し、後期を五千二百億ということに策定いたしておりますが、しかし、このとり方をむしろ逆に、前期五カ年計画を五千二百億として、後期を四千億とする方が国土保全の上からいえば妥当だと思ったのであります。しかしながら、先ほど申しましたように、国の財政あるいは経済の成長等を考慮に入れますと、それはどうも財政的に無理だ。従って、どうしてもやむを得ない。前期五カ年計画で緊要度の高いところから事業を行ない、これによって国土保全の効果を大いに上げなくちゃならないという見地から、この四千億を了承した次第であります。  この前期五カ年計画は、これを遂行することによっての国の受ける利益は申すまでもないのでありますが、これを遂行する上に、ことしはその五カ年計画の大体年次割当の予算を組み入れることができたが、来年は今度非常に下がっていく。そういうでこぼこであっては、これは計画をしておっても、かりに堤防を作っておっても、ことしはあるところまでいったが、来年は金がないからとめておく。そうすると、来年水がくれば、ことしの分まで一緒に持っていかれるのでありますからして、どうしても計画的に五カ年計画あるいは十カ年計画というものを、その年次に合わした、やや均等した予算をつけなければならない。ここに、大蔵省あるいは関係各省との間に私どもは非常な慎重審議をいたしたのであります。その結果、大体これならばやれる。まあ、年次進歩率は一一・五%程度の予算の増額によってこれをまかなうことができる。今日の経済の成長率は七・二とか何とかいっておりますが、こういう国土の保全、まず人を殺さないこと、国民を災害から救うということは、経済の成長率よりももう一歩前進したものでなければならないというようなことにつきましては、これは全く建設省の意見と、政府部内における各省の意見が一致して参りましたので、このいわゆる治山治水本法というものが提案されることになった次第でありまして、私はこの一般会計における財政の裏づけにつきましては、もう絶対に心配をいたしておりませんし、また少なくともこの法律によって閣議決定をするということでありますから、国に非常に大きな何か災害を受けるとかなんとかいうことのない限りは、まず一般会計からの事業費の繰り入れは絶対に私は心配ないものと確信いたしておる次第であります。
  40. 二階堂進

    二階堂委員 大体私は、大臣の信念的な発言で了承できるのでございますが、年次計画をお立てになるわけでございますが、これはやはり水系別に治山事業計画をお立てになるわけですか。  また、企画庁長官にちょっとお尋ねいたします。先ほど建設大臣から、財源の確保については閣議の決定もいたすわけであるからして心配は要らない、こういう御発言でございましたが、御承知通り、今回の治水緊急措置法を作ります場合に、企画庁が出された考え方と、建設省が考えておった考え方には相当な開きがあった。このことについて部会におきましても、あるいは予算の折衝のさなかにおいても、相当私ども議論をいたしたのでございますが、先ほどの長官のお言葉によりますと、この緊急措置、河川あるいは治山事業計画も、経済全体の十カ年計画というものに関連をして考えていくのだということでございます。そうであれば、やはり年次計画をお立てになる場合においても、ともすれば経済企画庁は経済の伸びとか、あるいは行政投資のバランスというものにこだわり過ぎて、非常に消極的なお考えが今日まであったんじゃないか、こういうふうに私どもは推察をいたしたのでございます。そういう考え方根本にあるといたしますならば、やはり諸般の財政等の事情によってどうも財政支出が困難になったというような場合に、前期の五カ年計画の財源の裏づけが思うようにできないというような心配が、先ほど申しました通り、出てくるわけでございます。やはりこの年次計画をお立てになる場合には、スライド的に幾らかずつは伸びを当然考えていくのだというようなことで、この計画の裏づけをしたい、こういうふうにお考えになるのが私は当然ではなかろうかと思っております。その点に対しまして、企画庁とも相談をされるわけでございますが、その点についてあわせて企画庁長官の御所見を承っておきたいと思います。
  41. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 お話の通り、この財政的の裏づけがなければ、せっかく治山治水計画立てても実現ができないということになるのであります。そこで、この治山治水の長期計画につきましては、閣僚の中にあります治山治水の閣僚懇談会でまず第一に協議しなければならぬ。     〔委員長退席、堀川委員長代理着席〕 その窓口は私のところでありますので、従いまして、この法案経済企画庁に協議すべしということが出ておりますのは、その意味もありますし、それから経済企画庁の仕事としては、先ほど申し上げました通り、国民所得倍増の長期経済計画の一環として観察しなければならぬし、また国土総合開発という観点からこの治山治水計画考えなければならぬというようにしておるのであります。そこで経済企画庁としては、今もお話しの通り、行政投資の割合とか、あるいは経済成長率というような観点から治山治水計画立てたわけであります。  しかし、御承知通り、昨年の伊勢湾台風あるいは毎年襲ってくる災害というようなことを考えてみますと、非常に国民の人心が不安になっておるという観点からして、われわれは行政投資の割合とか経済成長率の割合以上に、そこにプラス・アルファとして、国民の人心を安定せしめるものをその中に付加しなければならぬというふうに考えたわけであります。その点は、大蔵省においてもそういうことをやはり勘案されて、結局三十五年度の治山治水の費用を計上されておる、また十カ年計画というものについてあらかじめ了解されたということになっておると思うのであります。でありますから、せっかく国民の人心を安定せしめるという国土保全のこの十カ年計画ということを国民に示した以上は、やはりそれを実現しなければならぬ、こう私も考えておるのであります。
  42. 二階堂進

    二階堂委員 水系別にこの計画をお立てになるのかどうか。そういう点についてちょっと概略御説明を願います。
  43. 村上勇

    村上国務大臣 これはもとより、基本的には水系別にこれを計画いたしまして、積極的にこれを遂行するのでありますが、特に緊要度の高いところからこの五カ年計画で実施して参りたい、かように思っておる次第であります。
  44. 二階堂進

    二階堂委員 この治水計画の中に、単独事業というものの割合はどういうふうに見ておられますか。これは河川局長からでもいいのですが……。
  45. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 今のお話は、地方の公共団体が国の補助を受けないで単独で行なう事業、こういうふうに私ども解釈いたしておりますが、地方の調べによりますと、大体公共団体が行なっておる事業は二十億くらいということで考えております。実績も大体その辺でございます。
  46. 二階堂進

    二階堂委員 ちょっと、もう少し明確にしていただきたいと思います。私が単独事業と申し上げましたのは、地方自治体が国の補助を受けないで単独にやる事業という意味であります。道路五カ年計画の際には千九百億ですか、そういう事業量が見られておった。今回のこの四千億の中に、大体私は、治水及び災害関連を含めて約七百億ばかりの計画というものを見ておる、こういうふうに了承しておるのですが、その通りですか。
  47. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 五カ年におきまして、県の単独で行ないます事業が大体百億、それから災害関連事業が年間五十億でありますので、五カ年にいたしますと二百五十億。従いまして、五カ年間におきまして県単独事業並びに災害関連事業は三百五十億、十カ年にいたしますと七百億、こういうことでございます。
  48. 二階堂進

    二階堂委員 これは原則論になりますが、国が計画立て国土保全治山治水事業をやるのだ。あるいは道路にいたしましても国が五カ年の事業計画立てて推進するのだ。こういう大きな題目をうたっておる以上は、原則としてはやはり地方の単独事業というものを入れるということは私は非常に不自然だと思っております。私はこの問題についてここで議論をいたそうとは思っておりませんが、やはり今回の河川の計画にいたしましても、総合的に計画を進めていくわけですから、それとやはり関連して、地方の府県がやる仕事あるいは町村がやる仕事も並行してこれが進められていかなければ、私はこの長期の経済効果の目的を完全に果たすことはできないと思っております。  大蔵省も見えておられますので、ちょっと伺います。先ほど私は建設大臣にお伺いしたのでありますが、今回この交付金の制度改正されまして、一部は現金、一部は起債等で見るという話し合いができたということでございます。今回、地方交付金等の一部改正法律案提案されるようでありますが、この中で財政力の負担能力の非常にない地方に対して、富裕県は別でありますが、一体地方の負担金に見合う起債というもののワクを今回のこの地方交付金の法律改正の中において十分見るという処置をおとりになると思うのですが、その点についてちょっと御説明願いたいと思います。
  49. 宮崎仁

    宮崎(仁)説明員 直轄公共事業につきまして交付公債をもって納付をさせるという方式は、二十八年度におきまして地方公共団体負担金の納付の特例に関する法律という特別法ができまして実施したものでございます。この直轄事業がその後非常な伸びをいたしまして、そのためにこの交付公債というものが非常に大きな額になってきておるということで、その負担といいますか、公債費の負担が地方で非常に問題になるというような事態が出てきたわけでございます。そこで、昨年度あたりから地方公共団体並びに自治庁の方面で、この交付公債の制度というものは再検討して、やめた方がよかろうというような御議論がございまして、三十五年度の予算の編成にあたりましていろいろ議論がございましたが、直轄公共事業うちで特別会計で実施しておるものにつきまして、三十五年から交付公債の制度をやめるというようなことになったわけでございます。  その金額は、大体地方公共団体につきまして直轄分担金として納められるものが約二百三億でございますが、これにつきまして現金納付をしていただくということでございまするが、もちろんこれをすぐに地方公共団体の一般の財源から出すということはなかなか困難でございますので、それにつきまして約百六十億円の起債を認めるという方針になったわけでございます。こういうことによりまして、かねて議論のありました直轄公共事業における公債費の累増という点はある程度緩和いたしますと同時に、この公債の分につきましては、今後元利償還をいたさなければならぬわけでありますが、その元利償還の経費につきまして、地方財政計画上、従来よりもこれを多く基準財政需要として見込むという方法をとるようになっております。これをどの程度にいたすか、あるいはそのやり方につきまして当然地方公共団体財政力によりまして格差を設けることになるのでありますが、その格差の程度をどの程度にいたすかということは、目下大蔵省それから自治庁方面でいろいろ御議論中でございまして、結論はある程度出たのかもしれませんが、私の直接の担当でございませんので、そういう方法がとられておるということだけを了承しております。  従いまして、問題としましては、もう一つ百六十億の起債をどのように今度は公共団体に配分いたすかという問題がございます。これは一般的に充当率と申しておりますが、これについては不交付団体であるような非常な富裕団体につきましては起債の必要はなかろうということは大体一致しておりまするが、交付団体につきましては、やはり財政の状況等も考えてそして非常につらいところにはたくさんいくというような方針で認めていく。こういう大体の方針はきまっておりまするが、これも具体的にどの程度の差をつけるか、あるいはその率につきましてどういうふうな考え方できめるかという問題につきましては、やはり自治庁大蔵省の理財局等でいろいろ今協議をやっておる最中でございます。この問題につきましての現在の状況は、大体以上のようなことでございます。
  50. 二階堂進

    二階堂委員 大体地方の負担というものを二百三億程度見ておる、その中で起債によってめんどうを見る額が約百六十億だ。そうすると、差額四十三億というものは現金の納付になるのだ。こういうことになろうかと思っておりますが、先ほど来申し上げておりますように、この地方の負担が十分まかなわれなければ、せっかくのこの計がその通り実施されないということは私が申し上げるまでもないのでありまして、この点については、財政力のない貧弱県に対しましては、今、宮崎主計官が御説明の通りに、一つ十分めんどうを見てやるというあたたかい気持で自治庁とも折衝していただいて、財政的な裏づけについては一つ十分な検討をお願い申し上げておきたいと思うのであります。  私は鹿児島ですが、大体鹿児島とか宮崎という県は全国でも財政能力のない、再建団体にもなっておりますが、こういう府県の事業というものも大体二割、三割伸びると思うのです。そうしますと、それに並行して地方が負担しなければならない分担金というものもふえていくわけでございます。こういうような府県の充当率の割合というものは今検討中だというお話でありましたが、大まかに言って大体何%ぐらいを現金で考えておるのか。あるいはそういう県には全部起債でまかなうようにめんどうを見るのか。この辺について大蔵省はどういうようにお考えになっておりますか。おわかりでございましたら、ちょっとお尋ねいたします。
  51. 宮崎仁

    宮崎(仁)説明員 今回の直轄起債の分は、全体としますと二百三億に対して百六十億でございますから、平均八割ということになるわけでございまするが、従来起債を認めます場合の最高の充当率といいますか、そういう場合にとりますものは通常九五%程度であるように聞いております。従いまして、最高九五%にいたすかどうですか、これはまだ問題がきまっておりません。と申しますのは、御承知通り、当年度の地方の納めます現金につきましては、地方財政計画上当然その負担金を織り込まなければならぬわけでございまして、それにつきましては、基準財政需要においてどのようにこういう負担を織り込むかという問題があります。これが現在自治庁大蔵省の間でいろいろ検討されております。いわゆる地方財政法の改正あるいはその政令等できまってくる問題がございます。たとえて申し上げますれば、特別態容補正のようなもので動いてくるわけでございます。そういうものの落ちつきの工合も見まして、起債の方も考えていくということになりますので、地方財政計画の方の問題として、相当程度その辺の措置ができますれば、起債の方はそう傾斜をつけなくても済むという事態になるわけでございまするが、その辺は財政計画の方の交付税の配り方といいますか、そういった方針がきまるに応じて考えられる。こういうふうに考えております。
  52. 二階堂進

    二階堂委員 自治庁が見えておられませんから、ちょっとお尋ねしにくいのですが、この地方の負担金は当然県会の議決を要するものです。県の予算に計上されなければならないものです。今、各府県は県会を開いて、当初予算の審議を行なっておりますが、私どもといたしましては、なるべく県会に間に合うように大体の方針をきめて、そうしてその地方の負担金がどのくらいになるのかということをお示しになるのが、積極的にこの計画を推進するゆえんであろうと思っておりますが、いまだ具体的にそういう方針が示されていないということを私はきわめて遺憾に存じます。またこれはいずれ県会等において、相当な金額が県の追加予算に計上されなければならない。その場合におきましても、県会においていろいろ問題が出てくるようなこともあろうかと思っておりまするが、そういうようなことで、地方が起債等に対して十分の消化ができないというような面が出てきますと、それだけ国に納める金がおくれてくるわけです。そのことは、申し上げるまでもなく、事業の実施がおくれるということになるわけでございますから、そういう点については、せっかく国がこういう大きな法律を出してきたわけですから、それにやはり対応して、そういう地方の自治体に対する措置一つ積極的に御指示を願わなければならない。かように私は考えますので、この点につきましては、自治庁の方がおられませんが、自治庁としてはもう少し適切な指示を地方の自治体にもしていただきたい、かように考えるわけであります。今ようやくこの地方交付税等の一部を改正する法律案が審議の段階に入ろうとしております。まだこれは政府部内においても、はっきりきまっていないというようなことでございますが、こういう根本に触れる法律が、同時に大きな治水計画等の法律に並行して提出されるべきでなかったかと私は考えておるわけでございます。  そこで、水系別にいろいろ計画をお立てになって、効果の出るところから仕事をやっていこう、これは当然のことだと思っていますが、この中の地域開発という問題も、企画庁の長官としては、私は当然お考えにならなければいかぬと思う。後進地域をいかにして開発するかという問題は、各地において、九州のみならず、四国、中国においても取り上げられている。こういうような地域開発という問題も、やはりあわせてお考えにならぬと、水系別に治山治水の仕事を進めると申しましても、特定の大きな河ばかりに片寄ってしまうというような傾向があっては困る。やはり治水計画あるいは道路の計画治山計画というものは、国土の総合的な見地に立って開発が進められるべきであると思っておりますので、この点について、おくれておる地域開発というような考え方一つ十分織り込んでこの事業計画をお立てになることが至当であると考えますが、企画庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
  53. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいまのお話は、私全く同感でありまして、そういう点は私の方から建設省にお願いして、そして地域開発というものも考えて実施計画立ててもらいたい、こう存ずる次第でございます。
  54. 二階堂進

    二階堂委員 宮崎さんにちょっとお尋ねをするのを忘れましたが、もう一点お尋ねいたしておきたいと思う問題は、従来の緊急砂防とかあるいは緊急治山事業に対する起債の裏づけであります。これは今日までしばしば問題になってきておったのでありますが、初年度においては自治庁大蔵省との話し合いによってまるまる起債をつけておった。後年度に至っては一般の公共事業並みに見て、起債の裏づけがなかなか十分にでなきい。従って、災害復旧等の事業計画的に進んでいなかったといううらみが、私はあると思います。こういう点についても十分大蔵省自治庁は、はっきりとして、災害復旧は一定の三・五・二というようなきまった比率によって事業を完成するということになっておりますので、こういうようなきまった計画によって事業を進める上においても、従来の緊急砂防とかあるいは緊急治山事業に対する起債の裏づけというものは、今回は、はっきり明記されるべきであると私は思っていますが、これらの点について今後どういうふうに処置をされるおつもりであるか。これは宮崎さんから、ちょっとお伺いをしておきたい。
  55. 宮崎仁

    宮崎(仁)説明員 緊急砂防、緊急治山につきましては、事業の必要性が起こりますのは後年度の災害に基づくわけでございますので、この負担を地方財政計画なりあるいは県の当初の予算において織り込んでいくということは困難な事情にあるようなわけでございます。従いまして、こういうものに対する財源措置として、従来とも当年度におきましては大体九割程度の起債を認めて参ったわけでございますが、昨年の七号台風を契機にいたしまして、こういった事業規模が非常に大きくなりまして、そしてその負担が大へんであるということになって参りましたので、三十四年の災害につきましては特殊緊急砂防という名前にいたしておりますが、財政が特に貧困な地域につきまして起債の充当率を、昨年度ばかりでなく、事業が完成する年度まで——大体四カ年の計画でございますが、その年度まで同じような充当率でやるということがきまっております。また同時に、この起債の元利償還につきましては、通常の緩慢災害等と同様に大体五七%程度の経費を基準財政需要に織り込むということになっておりまして、すでに三十五年度予算におきましても、このような前提に立って予算化が行なわれております。こういった制度を今後恒久的な制度として残すかどうかという問題は、また非常に重大な問題としてあるわけでございますが、私どもは、三十四年災害について今そういった措置をとって——これはこのままきまっていくわけでございますので、三十五年度災害といいますか、これから台風期になりますとそういった問題が出て参るわけでございますが、それまでの期間において十分こういう問題を研究いたしたい、こういうふうに考えております。今年度その道を開いたわけでございますから、自治庁とも十分相談して、こういう措置をとっていきたいと考えております。     〔堀川委員長代理退席、委員長着席〕
  56. 二階堂進

    二階堂委員 建設省にちょっとお伺いをいたします。今回の五カ年計画においては相当な金額がふえてきておるわけであります。全体の需要がふえてきておるが、特別会計の制度を設けられたために、事務費というものがその中に含まれてきておる。五カ年の四千億の中において、大体事務費というものをどのくらいに見ておられますか。たとえば直轄事業が三十五年度の予算においても、私は全体平均すると三割程度伸びなきゃならぬという一般の考え方適用されると思うのですが、直轄河川等の予算がふえた、ふえたといって喜んでおりましても、その中に人件費その他の事務費が含まれてきておる。従って、実際の事業量というものの伸びが一体どうなっておるかということが的確につかみにくいわけであります。金がふえたといって喜んでおっても、実際の事業量そのものが伸びていかなければ問題が残るわけでございますので、この事務費というものを一体どの程度に見ておられるか。
  57. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 お説の通り、今回の特別会計の設定に伴いまして、従来やっておりました直轄河川の改修並びに直轄砂防におきましては、事業費で支弁してなかった事務費がございました。これを今回は事業費の中で支弁することにいたしたわけでございます。ダムにつきましては、すでにそういう制度になっておりましたので、従来と変わりございませんが、直轄の河川改修並びに直轄の砂防につきまして、ダムと同じように事業費で事務費を支弁するものができてきたわけでございます。それの比率は、三十五年度におきましては大体におきまして全体の事業量の四%ないし五%ではないかというふうに考えております。従いまして、五カ年計画内容といたしましても、その程度が従来よりも事務費の率がふえる、こういうことに相なると思います。
  58. 二階堂進

    二階堂委員 治山事業についてちょっとお伺いをいたしておきたいと思うのです。今回、治山治水という両面の事業を区分されて、災害防除あるいは大きく国土保全の仕事を推し進められることになったわけであります。このような国土保全の仕事が二元の行政にわたるということは、私は理屈を申しますと、不合理な考え方であると思っておりますが、しかしながら、いろいろな事情によってやむを得ないということも、建設省筆において十分了承をいたしておるわけであります。将来は、企画庁の長官もおられますが、やはりこういう国土保全事業とかあるいは公共事業に関する事業というものは、一元的に管理行政というものが確立されなければいけないと私は思っております。今日ほど公共投資が大幅に増額されてきたときはないと思っております。単に建設関係事業量総体をおしなべて考えてみましても、地方の単独事業等を入れますと、私はおそらく総事業量というものは一兆二、三千億になるのではないかと思っております。これに運輸省あるいは林野庁関係その他の事業を入れますと、これは莫大な資金が国家の事業のために動くわけであります。従って、こういうような行政の面については、できる限り人と金と組織というものが一体となって働かなければ、国家目的に沿う十分な効果を上げることはできないと、私は、ほんとうに痛切に今日ほど考える時代はないのであります。そういう見地からいたしましても、治山治水という二つの仕事が両所管の官庁にまたがることは、現在は別といたしましても、将来はやはり何とかこれは考えていただかなければならぬと私は思っております。  そういう議論はあとでいたすといたしまして、この治山の方の関係事業でありますが、この事業について昭和二十九年ですか、経済審議庁という庁があったときにお出しになった総合開発の構想という書物の中に、林野庁が計画された治山事業という計画があります。これを見てみましても、昭和四十年度においては治山事業の目標というものを、はっきり出しておるわけであります。この計画と、今回五カ年の計画に取り入れた計画というものを私は十分比較する勉強もしなかったのでございますが、おそらく昭和二十九年度にお考えになった昭和四十年度の治山事業目標というものからすると、今回お立てになっております前期の五百億といったような事業は、私は非常に過小に過ぎるのじゃないかと考えるのでございますが、林野庁長官はどういうふうにお考えになりますか。
  59. 山崎齊

    ○山崎政府委員 昭和二十九年に立てました治山治水基本対策要綱に基づきます実行と計画と比較いたしてみますと、昭和三十三年度末までにおきます実績は、この全計画量の一七%強にしかすぎないという現状であるのでありまして、林野庁といたしましてはこういう実態にかんがみまして、経済の動き、財政計画等との関係からいたしまして、三十五年度以降確実に事業の実行ができるというように見通されます新しい計画に、前期五カ年、後期五カ年の十カ年計画を樹立して、これに臨んでいくというふうに考えておる次第であります。
  60. 二階堂進

    二階堂委員 私は今御説明のありましたことについて、いろいろと議論いたす資料も十分持ち合わせておりませんので、別に深く議論はいたしたくないと思いますが、今回治山事業としてお立てになりました五カ年計画事業量の中にいろいろ項目が考えられると思うのです。現在におきましても、造林の未済地、いわゆる開発造林未済地というものが相当な町歩にわたって放置されておると考えるのであります。昭和二十九年にお出しになりました資料によりましても、昭和の初期におきまして乱伐等によって山が荒らされておる。ことに造林未済地というものが放置されておるものが八十五万町歩に上るということが述べられております。なおまた、山林の荒廃していく面積が現在年平均一万町歩以上になろうというようなことが述べられておりますが、この治水事業が進められていくと同時に並行して、やはり一つの関連性を持って、治山事業というものが進められていかなければ所期の目的を果たすことができない。単に河川の地域にわたる建設省所管の仕事だけが進められても、やはり水系は同一水系にわたる面が多いと思うのでございます。こういうような治山治水という面の仕事が一貫して、計画的にもやはり進められていかなければいけないと思うのでございます。こういう計画について、林野庁と建設省とは十分計画その他について関連を保ちつつ、計画立てて、諸般の仕事を進めていかれると思うのでございますが、こういう点については林野庁はどういうお考えでございますか。
  61. 山崎齊

    ○山崎政府委員 治山治水事業が総合されまして実行されるということの必要なことは、お説の通りでありまして、各都道府県及び本省の関係部局相互にそれぞれ連絡協議会というようなものを持ちまして、地域別、市町村別、あるいは個所別に全体計画あるいは年次計画というものにつきまして、相互の調整を十分はかって参るようにいたしておりまして、計画の重複を避けますとともに、総合効果の活用を広く高めるというふうに進んでおりまして、今後ともこういう行き方を強力に進めて参りたいというふうに考えておる次第であります。
  62. 二階堂進

    二階堂委員 あなたの計画の中に、一体造林の未済地というものが昭和三十四年度においてどのくらいになっておるか。あるいは計画の中で荒廃林の処置、あるいは水源涵養林の計画、あるいは防災林と申しますか、それに関連する造林計画、山のいろいろな植林とかあるいは治山に対する事業というものが、やはり五カ年、十カ年の計画をお立てになっておるわけでございますので、それらの計画というものがなければならぬと思うのでございますが、こういう計画はどういうふうにお立てになっておりますか。
  63. 山崎齊

    ○山崎政府委員 まず第一点の造林事業につきましては、戦争中及び終戦後の過伐、乱伐によりまして、先ほど先生から御指摘の通り、大量に造林未済地を持ったのでありますが、その後の農林事業の進捗に伴いまして、造林未済地は三十二年度末をもってほぼ造林を完了いたしまして、三十三年度以降におきましては、年々の伐採に伴って必要となる造林を行なっていけばいいという段階まで参っておるのでありまして、造林事業につきましては、大体所期の討画を遂行しておるという段階に立ち至っておるのであります。  それと、防災林等につきましても、これの増大を極力はかっておるわけでありまして、海岸におきましていわゆる砂の移動を防止するための海岸砂地造林、あるいは高潮等を防ぎますための防潮林、農地その他を風害から守りますための防風林、なだれに対する防雪林というようなものが、それぞれ治山事業におきまして防災林造成として計画され実行されておるのであります。昨年の名古屋を中心といたします大災害におきましても、防潮林、防風林の効果というものが非常に大きかったという現状にかんがみまして、三十五年度におきましては、三十四年度の事業量の二倍程度以上のこういう事業を実施したいというふうに考えておる次第であります。前期五年、後期五年計画が達成されますと、これらの防災林の造成というものも、災害との関係におきましてきわめて好ましい程度のところまで達成できるというふうに考えておる次第であります。
  64. 二階堂進

    二階堂委員 私は先ほども申し上げました通り、新規に発生する山地の荒廃面積が大体年に一万町歩内外だということを、経済企画庁がお出しになった書類によって拝見いたしたのであります。そういたしますと、この五カ年計画あるいは十カ年計画において年々新規に荒廃していく荒廃地の解消について、一万町歩なら一万町歩というものがかりに正しい数字だといたしますと、これは大体治水においては災害防除を戦前の水準に持っていくという目標があるわけですが、あなたの方で考えておられます荒廃していく地域、現在新規にふえておる一万町歩というものを大体何千町歩くらいに押えようという計画をお立てになっておられますか。一つのそういう目標がなければならぬと思うのですが、その点についてはどうですか。
  65. 山崎齊

    ○山崎政府委員 最近数年間の荒廃地の発生状態は、三十四年を別といたしまして考えてみますと、大体四千八百町歩程度が発生いたしておるのでありまして、この十カ年計画を達成することによりまして、約その半分程度の二千町歩くらいの状態、これが昭和初期の安定したころの状態であったのでありますので、こういうところに持っていきたいということを目標にして進んでおるわけであります。
  66. 二階堂進

    二階堂委員 重ねて私は御要望申し上げておきますが、やはり治山治水事業というものは一つの水系を考え計画が進められるべきであろうと思っておりますので、この点については今後とも一つ十分計画その他について、また林野庁とされましては、この年々ふえていく荒廃地を計画的に減少していくという計画にのっとって一つ事業を進めていただきたい。なお、計画その他については建設省とも十分御連絡をとっていただき、なおその調整にあたっては企画庁長官もおられますから、一つこの計画の推進に誤りのないようにしていただきたいということを重ねてお願いを申し上げておきたいと思うのであります。  次に、私は企画庁長官にお尋ねをいたします。この治水の問題は、やはり利水の問題を離れて今日考えられない段階に来ておると思うのです。今日ほど水の問題がやかましく叫ばれている時代はないと思っております。特にこの経済の飛躍的な発展に伴って、重工業というものが非常な速度で発展をいたしてきておる。また、それに伴って、それらの工場の敷地の造成等がいろいろ計画を樹立されて、それが進められてきておる。ところが、この水の問題に対する対策というものが非常に欠けてきておる。これは私が申し上げるまでもなく、企画庁長官は十分御承知通りであろうと思っております。私は今回のこの治水五カ年計画なり十カ年計画、長期の計画をお立てになります場合に、やはり国全体の経済の伸び、産業構造の変化等すべてを勘案して、総合的な立場に立ってこの治水、利水の問題というものをお考えになる必要が——最初からあってしかるべきだったと思いますが、今回考えられております五カ年計画、十カ年計画というものの中には、そういう高いところから考えられた計画事業量というものが含まれていないというふうに私は考えるのであります。私はやはり企画庁の長官とされましては、総合的な今後の産業の伸び、経済の伸び、産業構造の変化というものに対応して、治水の問題も利水という問題をあわせて考え事業計画をお立てになるべきが至当ではなかったかと考える。  工業用水の問題一つをとって考えてみましても、長官は十分御承知だと思っておりますが、非常に工業用水の確保の手段がまちまちになってきておる。従って、地下水等にたよる場合が非常に多いのです。その地下水をくみ上げる結果、地盤沈下の現象が起こってきて、そのために莫大な投資というものが行なわれてきておる。これだけ一つとってみても、これは大へんな問題が今後残されておると思うのです。私の調べた統計によりますると、工業用水の取水量というものは、一工場当たり一日火力発電において二十一万九千トン、あるいは高炉において十九万四千トン、あるいは窒素肥料の工場にいたしまして一日一工場当たり一千トン、パルプ工場にいたしまして六万二千トン、レーヨン工場にいたしまして五万七千トン、こういうふうな数字が出ておるわけであります。このような状態は、私は今日においても大きな問題になってきておると思うのですが、将来工業用地の造成あるいは重工業の発展等に伴って、この用水をいかにして確保するかということが非常に大きな問題になってきておる。これは利根川の例を考えてみましても、利根川の開発は従来から叫ばれてきておりますが、私はやはり利根川の治水計画あるいは治山計画をお立てになる場合、総合的に利水の問題というものをあわせて考え計画を樹立さるべきであると思っております。いろいろ数字を申し上げますと長くなりますが、その他農業関係の用水の問題にいたしましても、最近農業技術が非常に変化して参りまして、水稲の早期栽培といったようなものが各地において起こってきておる。早期栽培の水稲も私はいろいろ調べてみましたが、その面積が非常に大幅に広まってきており、この早期栽培によって水の利用度が飛躍的に増大してきておる。北九州あたりにおいては、すでに河水量を上回っておるような需要というものが見られておる現今の状態になっておるということが出ております。  こういうような、水を利用するという問題が深刻な問題になってきておりますが、この五カ年計画の中には、そういう総合的な立場に立って利水事業を含めた計画というものが見られていない。企画庁長官は総合的な計画をお立てになる立場にあり、しかも所得倍増といったような見地から経済の伸び、産業の高度化というものをば飛躍的に前進させようというお考えを持っておる。そういたしますならば、その経済の発展をささえる基盤の強化というものが、これは治水と関連しては利水、水の利用という問題が起こってくるわけであります。このような計画を無視しては、私はそういう十カ年計画とか、所得倍増といった計画は単に数字に終わってしまう結果にならざるを得ないという結論になってくると思うのですが、このような総合的な立場に立つ治水と利水の関連についてどういうふうにお考えになっておるか。
  67. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいまお話の点はわれわれも常に痛感いたしておるのでありまして、ことに各地を視察して参りますと、川の水の完全な利用という問題が今日各地において起こっておるのであります。お話の通り、今までの川の水は農業用あるいは飲料水という観点から川の水の利用が考えられておったのでありますが、最近になりましては、水力電気の問題あるいはまた工業用水の問題というようなことがだんだん重きをなして参りまして、これらのすべての点から観察して、どうしても利水ということを考えていかなければならぬというように考えておるのであります。この河川法は、御承知通り明治初年にできた法律でありますし、その後この川の水の利用につきましては、いろいろ法制上の規制があるのでありまして、それらの従来の法制をこの際整備して、そして水を完全に利用するということを計画しなければならないと思ってるのであります。従いまして、今回の治山治水計画の中には、そういう観点からはもちろん観察いたしておりません。がしかし、今水の利用を完全にするように、一つ各種の法制を整備し、また、あるいはそれによって一つ法律を作るというようなことを経済企画庁の方では目下考慮中でありまして、各省ともいろいろその対策、今後のやり方について打ち合わしておるのであります。それができますれば、もちろんこの治山治水計画に対して、やはり利水という立場からそれを十分織り込んで考えていきたい、こう考えておるのであります。
  68. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 ちょっと二階堂君に御相談しますが、菅野企画庁長官は一時にぜひ行かなければならぬ公務がありまして、十二時四十分くらいに行くのですが、山中君が企画庁長官に質問があるのだそうですが……。
  69. 二階堂進

    二階堂委員 それではもう一点で。  私はこの利水の問題については、きょうは時間もないということでございますが、私もいろいろ私なりに憂えるところがありまして勉強いたしておりますので、この点については、またいつか機会を見て、いろいろ掘り下げたお尋ねをいたしてみたいと思います。  要するに、経済が急速に発展していく。特に京浜地区とかあるいは阪神、中京、北九州、こういうような工業地帯においては、重化学工業の生産が非常に増大してきておる。しかもまた、拡張計画が行なわれてきておる。こういうような状態でありますので、せっかく国が大きな治水計画治山計画というものをお立てになって計画的に事業を推進されるという段階になってきた今日、どうも、私が先ほどから申し上げておりますように、この水の利用に対する基礎的な研究、対策、機構の整備あるいは法律の整備というものがおくれてきておる。これは、ほっておいては生産の発展の阻害を来たすような重大な結果にもなりかねない。こういうふうに私は痛切に考えますので、これらの点については、長官も機構の改正あるいは法律の不備等の改正を行なって善処したいというようなお気持でございますが、そういうことが一年や二年で私はできればいいと思っておりますが、なかなか機構の問題一つ考えてみましても、あるいは治水と利水の法律的な統一の問題を考えてみましても、大へんな問題が私は存在していると思う。こういう問題を解決するには、強力な政治力を持って閣議が意見を一致されまして、そうして党と一体になってこのような問題を解決するにあらざれば、やはり、こうした累積した生産の基盤を阻害するような状態というものが依然として続いていく。そのことがひいては、公共投資を国が行なっていく上に、人的に見ても、あるいは技術的に見ても、これは経済的に見ると莫大なロスというものが出てきている。こういうような、せっかくこの問題を切実にお考えになっておるときであります。国をあげて治水治山計画を遂行しようという段階にきておりますから、こういうような点についても、思い切った一つ革命的な処置をおとりにならなければいけないと私は考えておる。私は痛切にそのことを考えております。従って、こういう問題については、重工業の発展、土地造成、臨海工業地帯の造成等に伴って、どうしても水の問題というものをあわせて治水計画の中に織り込んでいかなければいかぬということを私は特に強く感じますので、このことだけを申し上げまして、そういうような考え方について、今後善処をしていただきたい。かように考えておるわけであります。  時間がないので、最後にもう一点お尋ねして私の質問を終わります。利根川の総合開発の問題でございます。これは今申し上げましたような見地から考えてみましても、早急に私は具体的な調査計画等が進められなければならぬと思っております。本年度は三千万か二千万か、私、はっきりした数字は忘れましたが、調査費というものが見られておると思うのでございます。こういうような計画は、これは農林省とか、あるいは運輸省とか、建設省とか通産省とか、各所管に関する問題でありまして、なかなかこの調査というものが一元的に行なわれることがむずかしいと思うのでございますが、これらの問題についても、私はこれは国家の投資効果の上から見ても、国民経済の発展の上から見ても、長官が責任を持ってこの調査の方向をお示しになるなり、あるいは建設省がこの調査を実施するなり、早急に一つ実施の段階に入っていただかなければならぬと思います。利根川の一つの問題を考えてみましても、農林省や通産省やその他がいろいろ問題を提起しておる。当然関係のあることです。あることですが、そういうような所管的な立場に立ってのみ、自分たちの方で自分たちの勝手な計画立てて研究調査をしようというようなことでは、国家目的のためにも沿わないことになりますので、こういうような計画についても一そう推進を願いたいと思っております。この二千万円とか三千万円の調査費の中には、宮崎さんも来ておられますが、利根川の調査費が具体的についておると思うのですが、どうなんですか。またその先の計画について、長官からちょっとお答え願いたいと思います。
  70. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 今、二階堂委員のお話は、私も痛切に感じており、ことに私経済企画庁に入ってみて、水の完全利用という問題で痛切に感じたのでありますが、従来とても水の利用の問題につきましては、いろいろ経済企画庁なり建設省、農林省で考えておられたようでありますが、それが今日まで話し合いがうまくいかなかったということも聞き及んでおるのであります。しかし、この際やらなければならぬということで、今私どもの方で、いろいろ水の利用のことにつきましては、法制上の問題というようなことについて研究をし、また各省ともいろいろ話し合いをしておるのであります。従いまして、早急にこの問題を解決するように努力したい、こう考えておるのであります。  それから利根川の問題ですが、お話しの通り、これも農業用、あるいは建設省の側からいろいろ計画がありますので、幸いことしは経済企画庁の調整費の中にこの費用が計上されましたので、私の方で調整してこの調査研究をしたい、こう考えておる次第であります。
  71. 二階堂進

    二階堂委員 もう一点で終わりますが、昭和二十七年ですか二十八年ですかから、国土開発審議会の中に水利部会が設けられておることは御承知通りであります。この水利部会において、今私が申し上げたような問題を蝋山さんですか、会長になって審議されておる。ところが、長官も十分御承知通りでありますが、まとまらない。まとまらない原因は、私が申し上げるまでもなく、まとまらないようにやっておるものもあるから、まとまらない。しかし、こういうことではいけないので、将来はやはり治水と利水を一体としたような法律の制定という問題も考えられていかなければいけない。これは重ねて私はお願いを申し上げておきます。この水利部会のその後の状況はどうなっておるか。その点だけをちょっと聞きまして、私の質問を終わりたいと思います。
  72. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 水利部会は、私が経済企画庁に入ってからまだ開かれたことを聞いておりません。きょうは開発局の人がおらないから、その事情はよくわかりませんが、今お話しの問題につきましては、蝋山先生に調査委員長になってもらった経過は十分聞いております。せっかく蝋山先生がいろいろ案を立てられても、それがうまくまとまらなかったということは聞いておりますが、しかし、この際これはどうしてもやらなきゃならぬということで、閣議でも各大臣にはこの了解を得て、この問題を一つ解決したいということで私から案を出しまして、この利水問題については、全般的に政府としてやらなきゃならないじゃないかということを閣議でも申し出てあるのであります。まだ具体的にこれをどうするかということはきまっておりませんが、さしあたり私のところでいろいろ法制なり、あるいは外国の法制なども調べまして、そうして案を作って、またこれを閣議に出すとか、あるいは経済閣僚懇談会に出すとか、何とか方法を講じてこれを具体的に進めたい、こう思っておる次第であります。御希望に沿うように努力をしたい、こう存じておる次第であります。
  73. 羽田武嗣郎

  74. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は治山治水緊急措置法案に関連しまして、建設省、大蔵省、通産省、農林省、厚生省、運輸省、企画庁、全部にわたってお聞きしたいのでありますが、長官もお帰りになると思いますので、理論はあまり言わないで、時間を節約いたしまして、端的に長官にだけ先にお聞きしますから、率直にお答え願いたいと思います。  第一点は、今度の治山治水年次計画の予算の算出の基礎をお聞きいたしたいと思います。この予算がきまるまでの経過は紆余曲折がありまして、新聞の記事を通じましても、最初の三十五年度の当初の要求額は建設省が三千五百億円、大蔵省がそれに対して二千四百億でいい。経済企画庁はその中をとったかどうか知りませんが、二千九百億という案を出されたように記憶いたしております。その後紆余曲折があって——数字が間違いならば、おっしゃって下さい。——その後、最後に二、三回数字が新聞の記事では変わっておりますが、現在計上された通りの前期四千五百五十億、これは治山を含んでこういうことになっておる。この数字も経済企画庁の案の通りに大体きまったと聞いておるのですが、そうであるかどうかを、ついでにお答え願いたい。そこで、建設省の案、大蔵省の案、経済企画庁の案、この三つの案が三つどもえになってこういうところにきた。国土保全の予算というものは政治の力関係その他できまるべきではなくて、いわゆる国土保全の科学的基礎というものが常に柱でなければならぬと思いますから、こういうふうな浮動の姿でいつもきまるようなことではよろしくないと思うので、この機会に大蔵省の案の算出の基礎、建設省の算出の基礎、経済企画庁の算出の基礎をお聞きしたいと思います。ただし、建設、大蔵はあとでけっこうでありまして、企画庁長官に、企画庁案の算出の基礎をお聞きいたしたいと思います。
  75. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 そのこまかい数字は私どもの説明員がおりますから説明させますが、大体経済企画庁といたしましては、この治山治水の費用の計算につきましては、経済成長率と、それから行政投資の割合、比率という二つの観点から計算しまして、そして治山治水の経費を計上したような次第であります。建設省は各河川の改修費用についての積み上げの結果計算したものでありまして、そこで建設省の案と経済企画庁の案と違うわけであります。それから一方大蔵省としては財政的な観点から、負担能力というような関係から計算しておるのであります。従いまして、私どもの計算は建設省の計算よりも少なかったのでありますが、これは私は先ほどちょっと二階堂委員のお話の中にも申し上げましたが、昨年来伊勢湾の台風、最近ひんぴんとして起こる風水害で国民の人心が不安になっておるからして、従って、単なる経済成長率、行政投資の比率だけで治山治水の費用を計上すべきものではない。経済企画庁でもともと作ったこの費用のほかに、プラス・アルファとしてそこに国民の人心を安定せしめるという意味において、これならば国民が安心できるというような一つ治山治水の費用を計上すべきではないかということを申し上げて、そうして大蔵省にもそういうことを申し上げて、その点で一つ大蔵省も費用を計算してほしいということを申し上げた次第です。その結果が今日現われた数字なのであります。でありますからして、もう今日では建設省の案とか、経済企画庁の案とかいうことは別にして、一つ新しいその見方で費用を計上しておるということになっておるわけであります。
  76. 山中吾郎

    山中(吾)委員 結論はよくわかっておるのでありますが、他の予算と違いまして、こういう人命保護を含む国土保全の予算でありますから、最初から各省によって違った算出の基礎が出るということは望ましくないのでお聞きしたのです。そうしますと、現在の予算の五カ年計画は、現在の年度の平均災害額の半分、半分に減らすという目標のように聞いておりますが、最初からそういう目標を確定をして、そうして大蔵省も、建設省も、企画庁も検討したのでなくて、経済企画庁では経済の成長率その他によって、その立場から現在の年度の災害額を半分にするのは遠慮して、三分の一にするとか、あるいは三分の二でとどめるとか、そういう態度でおきめになるのでしょうか。
  77. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 ただいま申し上げました通り経済企画庁としては、今の経済成長率と行政投資の割合から計算しております。従って、建設省の方は、今申し上げました通り災害を戦前の昭和初年のような災害に復旧するがためには何ぼかかるかという計算をして、積み上げ式にやっておりますからして、そこで計算の基礎が違いますから、数字が違います。それをどこかで合わすというところが問題だと思います。そこで、その点において、私の方はその合わす点において、ただ私の方で定めた数字だけではない、プラス・アルファというものがあってしかるべきだ、この際はしかるべきではないかということで、そのプラス・アルファが経済企画庁の最初の計算に加わって計上されたものだ、こう考えておる次第であります。
  78. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私がお尋ねしたのは、最初に戦後、戦前の災害より二倍以上になった。戦前の災害額に戻すとか、半分にするという目標が確定しておってではないですか。
  79. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 それは初めはそういう計算をしてやったのでありますが、もうその計算をやめまして、今申し上げましたように、災害を半分にするというその計算でこの治山治水の経費を計上せずして、私の方は今申し上げたような観点から計上する。建設省は、今言うたように積み上げ式の計算をするということをやったわけです。
  80. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は経済企画庁長官に将来にわたる意味においてお願いするのですが、国土保全というような場合においては五カ年に何分の一の災害にとどめるという方針を私はまず確定して、それに基づいて協議をしてもらうべきだと思うので、その点については企画庁長官の方で経済成長率その他によって目標を下げるような、そういう査定をするだけの権限が、私はお持ちになっているかどうかわからないのですけれども、そうあるべきものではないと私は思うのです。  それで、なおお聞きいたしたいと思います。次に、この法案の第三条に、企画庁長官は農林大臣建設大臣の五カ年計画を作成するにあたって協議をする立場に立っておられるのです。そうすると、こういう治山治水予算に対する経済企画庁長官の責任の性格はどういうものでしょうか。
  81. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 第三条に、農林大臣あるいは建設大臣がこの十カ年計画立てますときに、これを閣議決定を求めることになっております。その閣議決定の前に治山治水の閣僚懇談会がございまして、そこでまず大体討議しまして、そこで大体きめて、それから閣議にかけるという順序になっています。その治山治水の閣僚懇談会の窓口が、世話役が経済企画庁長官ということになっておりますから、そこで経済企画庁に協議しなければならぬというのは、そういう意味なんです。治山治水の閣僚懇談会へまず諮ってもらいたいということを意味しておるのです。
  82. 山中吾郎

    山中(吾)委員 責任はどういう性格かとお聞きしておるのにお答えがないのですが、協議というのは、安保条約に協議権があるかないか論議になっておりますけれども、企画庁長官の発言の影響力と責任の関係を私はお聞きしておきたい。そして協議権というのがあることになれば、もっと責任を持ってもらわなければならぬ。その辺を一つ、安保条約のような問題でないのですから、ここでお答え下さい。
  83. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 権限の範囲、そういうことはわかりませんが、経済企画庁はその調整役でありますと同時に、ただいま経済企画庁では長期経済計画立てております。その観点から、当然治山治水の長期計画というものをまた見なければなりませんからして、そういう意味で、もちろん権限を持っておるわけであります。同時に、今申し上げましたように、治山治水の閣僚懇談会の世話役をしておりますので、従って、私の方へいわゆる調整役、まとめ役を仰せつかったわけでありまして、そういう二つの立場からこの治山治水の長期計画というものをわれわれとしては検討したい、こう存じておる次第であります。
  84. 山中吾郎

    山中(吾)委員 経済企画庁は時には大蔵省側に立ち、時には建設省側に立ちその間によろめくというふうなことはおそらくないとは思うのですが、要するに経済企画庁の権限、明らかにお答えにならないのでありますが、それはけっこうですけれども国土保全という立場については何か私は経済成長率ということ以外の、別な、人命保護その他のプラス・エックスの原理がなければならぬと思うので、その点はほかの予算と違った態度をとるべきじゃないかと思って申し上げておるのです。その点を、時間がないので、あとでついでに次のときにでもお答えいただきたい。  次に、この治山治水に関連して総合性について、二階堂委員にもお答えになったのですが、私は同じ方向でお聞きいたしたいわけです。これは各省の関係の人にお聞きするわけですけれども、東京湾を中心とした治山治水、利水ということを一つのケースとしてお聞きしなければならぬのであります。たとえば堤防を作るのも十年、五年の長い年次計画でありますから、その間に工業用水の関係で地盤沈下がある。そうすると、その設計その他に非常にそごを来たして、十カ年もの長期の計画というものはどこかに狂いが出るに違いない。それから一方に塩水の害がある。塩水が逆流してきて非常に困ったということも最近あったわけでありますが、これも上流のダムの関係で水の水位が低くなって逆流するということも聞いておりますし、下流で砂利をうんと取ったために低くなったということもある。それから汚水の関係もあり、水道関係も非常に供給量が少ないというような関係もあるということで考えますと、現在の法案治山治水緊急措置法だけでは、利根川流域の立場からいいますと治山治水目的も果たせないし、あらゆる狂いが生ずるのじゃないか。そういうことについて、これは大阪の淀川、あるいは名古屋という大都市、東北は仙台の北上を含んで参りますと、ほとんど全国的に検討すべき問題だと思うのです。そういうことで、治山治水緊急措置法だけで目的はとうてい——十カ年計画を前提とした場合にはいろいろそごを来たして果たせないと思うのです。その点についての今後の対策について、経済企画庁長官の見通し、それから再検討すべきものであるということを十分お考えの上で、とりあえずこれに賛意を表されたのかどうか。それをお聞きして、こまかいことは、きょうは何か予定があるそうで時間がないので、お帰りになることを前提にして終わりますが、その辺を簡明率直にお聞きいたしたいと思います。
  85. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 最初の問題でありますが、これは先ほどから申し上げました通り、単なる経済成長率あるいは行政投資の比率だけでこの治山治水の経費を計上すべきでないという見方もわれわれはしておりまして、先ほど申し上げました通り国土保全、人心を安定せしめるという大きな政治的な目的がありますからして、経済企画庁で計算しました数字の上にプラス・アルファを一つきめてほしいということを、大蔵大臣にも申し上げたのであります。それによって今回の経費が計上されておる、こう私たちは思っております。つまり単なる経済成長率だけで計算したものでないから、さよう御了承願います。  なお、第二番目のお尋ねでありますが、そういう意味の総合的な観点からは、この治山治水措置法というものは考えておりません。これはやはり国土総合開発という立場から検討すべき問題だ、こう思っておるのであります。先ほど私、ちょっと言い漏らしましたが、経済企画庁の長官といたしましては、長期経済計画という立場と、それから国土総合開発という立場から、治山治水というものは今後ながめていかなければならぬという責任を持っております。従いまして、今お話の問題は、工業用水の問題とか、あるいは汚水の問題とか、いろいろの問題はまた他の立場から一つ観察して、それぞれとるべき処置を講じなければならぬ、こう考えておる次第であります。
  86. 山中吾郎

    山中(吾)委員 今のお話をお聞きして、さらにちょっと疑問になったので、最後に聞きます。この法案の第一条に目的を掲げて、「国土の保全と開発を図り、」と、国土の保全、国土の開発、二つ並べておるわけです。それならこの計画に盛られておる内容は、消極的な国土保全計画だけで、開発という利水の方向まで入ってない。先ほどの、経済企画庁長官が農林大臣建設大臣の立案について参加をされるというのは、開発という立場から参加されるのだということは大体想像がつく。そうだと思うのですが、それなら最初からもっと治水、利水を含んだものでなければならぬと思うが、看板はそうであり、実体はそうでない。看板を掲げて企画庁長官はその立場から干渉するというわけではないが、強力な意見が出せると思うのですが、国土保全事業と国土開発事業というものの関係、そしてこの法案の第一条と今お話しになった見解との関係一つ御説明をいただいて、どうぞ向こうへ行って下さい。
  87. 菅野和太郎

    ○菅野国務大臣 国土保全と開発とは、消極的なもの、積極的なものと言えるものと私は思っております。それから治山治水というものも、ある意味では災害を防止するという、そういう消極的な、国富の衰失を防ぐという意味を持っております。また治山治水をすることによって、今度は国富を増進するという開発的な意味もある、こう存じております。従いまして、やはり国土の保全と開発ということを目的にうたっておる、こう思うのです。  それで、先ほどからのお話の通り経済企画庁では国土総合開発計画立てることをやっておりますからして、そういう立場からも、この治山治水の問題を検討しなければならぬし、長期経済計画という、これは経済成長率の問題ですが、そういう立場からもこの治山治水の問題を検討していかなければならぬというので、経済企画庁といたしましては、この治山治水の問題は決してよその仕事ではない、自分の仕事として考えていかなければならぬということ、その上今言うた世話役を仰せつかっておりますので、各省、各大臣のいろいろの意見のまとめ役をやっておるというようなことから、この治山治水措置法なども経済企画庁長官に協議させるということがうたわれたのであります。
  88. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私は少し事実と合わないように思いますが、また次の機会にお聞きいたします。  それで、今後の問題として、治水治山、利水を含んだ総合性を私は見きわめたいので、おいでになっております各省の関係の方々に一言ずつお聞きいたしたいと思うです。こういう問題の実態をお互いに明らかにいたしたいので、東京都を中心とした利根川の場合、これを一つのケースとして皆さんにお聞きいたしたいと思います。  まず第一に通産省にお伺いいたしますけれども、本州製紙の工場汚水とか、ああいう問題を含んで、この付近の治水、利水問題に関連して、やはり汚水というものが非常に大きい問題になっておる。従って、この地域の治水治山事業を遂行する場合に、工業用水と密接な関係があると思います。そこで、通産省においては、工業用水の計画についてどういう計画をお持ちになっておるか。それから、建設省の治水治山事業との関係において、どういう有機的関係をお持ちになっておられるか。十分連絡をつけておられるのか。あるいはこういう問題について、こういう法案が出ることによって、あなた方の立場からどういう支障があるのか。あるいは支障がないのか。それをお聞きいたしたい。
  89. 磯野太郎

    ○磯野説明員 最初に通産省としての全体的な考え方を申し上げておきますと、私ども通産省といたしましては、利水の問題につきましては工業用水道の建設による工業用水の確保というのが一番大切なのではなかろうかと考えております。これは御説明申し上げるまでもございませんが、将来の日本の産業の発展をささえます要因といたしましては、労働力とか、生産設備とか、資本とか、あるいはエネルギーとか、いろいろあるかと存じます。その中のいろいろな生産要素につきましてはこれは海外からの輸入あるいはその摂取というのが可能でございますけれども、水の問題と土地の問題につきましてはそういうことが困難でございます。しかし、御承知のように、先ほども二階堂先生からいろいろ御指摘がございましたように、最近の工業発展についてはいかにして工業用水を確保するか、あるいはいかにして土地の造成を確保するかということが一番の問題になっておりまして、おそらくこれが将来の日本経済の発展をささえる非常に大きな根本的な要素であると考えております。具体的に申し上げますと、これは一応の試算でございますが、そういう意味で、たとえば数字で申し上げますと、三十三年度の工業用水の需要は一日に千三百万トンでありますけれども、これは、ただいま御制定になっています新長期経済計画の低いといわれております伸び率で計算いたしましても、四十二年には三千九百万トンの需要があるというふうな試算になっております。それで、かりにこれを、いわれております九・二%というふうな成長率で試算いたしますと、五千六百万トンという非常に莫大な数字になるわけであります。従って、これをいかにして確保するかということが将来の非常に大きな問題である。あるいは現在においてもそうである。かように考えております。  それから、これは今申し上げました工業用水道による積極的なものでございますが、御指摘のように、従来工業用水といたしましては地下水というものが非常に大きな資源であったのでございます。この地下水につきましては、御指摘のように、四大工業地帯等におきましては過度の地下水のくみ上げによりまして地盤沈下を来たしております。従って、それとの関連で、このように莫大な工業用水を確保することにつきましては、やはり河川水を中心として、つまり地下水をとらないで、河川水から工業用水を水道源として確保するということをしなければ、地盤沈下というような産業公害を招来する可能性がある。こういうふうに考えておりまして、ただいま申し上げたように、産業の発展と国土の保全という二つの意味合いからいたしまして、工業用水道の建設による工業用水の確保ということが一番重要なものであると考えております。  それから、もう一つございました水がよごれるという問題でございますが、これにつきましては、昨年三月に、御承知のように、経済企画庁において水質保全法、私ども工場排水法という法律を作りまして、水をきれいにしていくということの実行に入りつつあるのであります。従って、これにつきましては、この法律によって汚水の処理について遺憾なきを期したいと考えております。  それから、具体的な問題でございますが、利根川の開発の問題につきましては、もちろん建設省の関係とも連絡を受け、あるいはいたしておる次第でございます。簡単に申し上げますと、ただいま申し上げました意味合いにおきまして、今後における京浜地区、特に東京都、これは具体的に申し上げますと江東地区でありますが、江東地区の産業の発展に伴う工業用水としての水源を確保するということが一つ。それから消極的には、江東地区におきまする地盤沈下が、ただいまでもいろいろ問題になっておりますが、利根川からの利水ということを通じまして、つまり水道の建設を通じまして江東地区において起きております地盤沈下を防止するというふうなことをいたしたい、こういうふうに考えております。
  90. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その水源確保という関係において、建設省の治山治水計画事業との関係について、何の資料もなしにあなた方の計画建設省の計画がうまく合わせてあるわけですか。全然関連がないのか、別々なのか。これは建設省にも伺いたい。
  91. 磯野太郎

    ○磯野説明員 私ども関係といたしましては、利根川の開発の問題は、結局そこに多目的ダムを作るということになろうかと存じますが、今申し上げましたような意味合いで、われわれとしてもいろいろ考え方あるいは資料につきまして連絡をいたしておると思います。今後も、多目的ダムの建設というようなことで共同的な歩調をとっていきたい、こういうふうに考えております。
  92. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 ただいま通産省の方からお話がありましたが、江東地区あるいは京浜地帯の工業用水道の問題に関連いたしまして、近い将来非常に水が逼迫して参るということから、どうしても利根川にその水源を求めなければいかぬということが、各省におきましても、もちろん経済企画庁におきましても考えられておるわけでございます。現在の水の利用の状況は、利根川におきましては、年間の流量の大体一二%程度しか利用されておらないというのが現状でございまして、これは洪水時に非常にたくさんの流量が出ますから、これをためる施設がないために海にむだに放流されておるわけであります。従いまして、これを水源においてキャッチしておきまして、渇水時に放流することができますならば、非常に有効に利用できるわけでございまして、現在までにおきましても、多目的ダムの計画をいたしまして、すでに完成しておるものもございます。これではもちろん足りないわけでございますので、今後におきましては、大きな貯水池を利根川の水源地帯に作りたいということで考えておるわけでございます。これらの計画につきましては、すでに各省との間で協議のととのっておるものもございます。今後建設するものにつきましては、もちろん関係各省と協議をいたします。この協議の問題につきましては、基本法でございます特定多目的ダム法というのがございます。従いまして、そのダム法に基づきまして基本法計画建設大臣が作るわけでございますが、この計画を決定する際におきましては、関係各省に協議するということに正式にはなっておりますので、その協議の段階までに下打ち合わせを逐次進めまして、ダムをどれだけの高さにし、どれだけの水をそこにため、それをどういうふうに使うかという点につきましては、各省とも十分協議をいたしまして、基本計画を作った上で建設をする。従いまして、でき上がりましたならば、その各省間の協議の成立した線に沿いまして水の利用ができるというふうになるわけでございます。従いまして、現在の状況におきましては、すでに協議のととのったものもございますし、今後におきまして協議を進めていかなければならぬ問題もございますが、そういうふうな方向で進んでおるわけでございます。
  93. 山中吾郎

    山中(吾)委員 次に、運輸省の方にお尋ねいたします。これはこの付近を前提としてお聞きしておるわけでありますが、こういう関係から港湾その他の国土保全立場からの事業というふうなものは、地盤沈下というふうなことを離れて工事を進めれば失敗することは明らかです。それで、そういう立場からいろいろと御検討なさっておられると思うのですが、海岸事業治山治水特別会計から離れておりまして、補助率その他についても違っておるわけであります。そういう関係から、あなたの方で運輸省関係国土保全関係しておる港湾関係事業、海岸事業についての御計画、それから利根川を中心として治山治水事業と結びつけて、建設省とどういうふうに御連絡をなさって進めてこられたか。それをお聞きしたい。それを受けて、また建設省で足らないところを説明して下さい。
  94. 中道峰夫

    ○中道政府委員 建設省のただいまの治山治水関係と私の方とつながって参りますのは、利根川で申しますと支流の荒川筋でございまして、港湾の関係では江東地区の防潮対策であります。最近非常に地盤沈下をいたしまして危険な状態になっておりますので、これについての高潮対策を港湾関係といたしまして立てております。河川の関係は、荒川筋については建設省の御所管でございまして、私たちの江東地区の高潮対策とそれにつながります荒川筋の堤防の関係につきましては、建設省と密接に連絡をいたしまして、それらの事業計画なり、あるいは天端の高さ、そういったものを両者で協議いたしまして、両方十分に関係をつけて遺漏のないようにやっておりまして、三十五年度といたしましては、港湾関係では事業費約十一億でもって防潮対策を実施することになっております。建設省の方はこれにつながります荒川筋の堤防についての計画立てております。
  95. 山本三郎

    ○山本(三)政府委員 今、港湾局長から御説明がございましたように、港湾当局で所管いたします事業と関連のある地域は利根川の流域といたしましては、これは利根川ではございませんが、荒川ということになりますけれども、東京湾付近ということになりますと、江東地区の問題が一番大きな問題でございます。海岸に面する部分の堤防は港湾区域でございますので、運輸省が所管しております。ただ、その海岸に面する堤防だけを増強したのでは、川がそれに接続しておりますので、その川の部分も、もちろん増強しなければならぬわけでありまして、この川の方の堤防の補強なり、水門の構築なるものは建設省が担任しております。従いまして、これを並行して進めなければならぬということと最後のでき上がりというものは、統一したでき上がりでなければ効果がないわけでございますので、全体計画はもちろんのこと、年次計画につきましても、運輸省と十分連絡をいたしまして、そごを来たさないようにやっております。  また、これらの事業主体は、隅田川につきましては東京都がやっておりますし、海岸の部分につきましても東京都でございますが、荒川の堤防は建設省直轄でやっております。従って、事業主体がかわっている部分もございますので、特にその辺は留意をいたしまして、護岸計画の面におきましても、施行速度におきましても、並行して進められるようにいたしておりますので、支障は生じておりません。
  96. 山中吾郎

    山中(吾)委員 次に、厚生省にお聞きいたします。東京に供給する水道は現在の設備が非常に足りない、もう満ぱいに近いというふうに聞いているのですが、将来の計画、それからこの治水治山年次計画との関係において、厚生省においての計画とそれから建設省との関係において、どういうように連絡をとっておられるのか。支障があるところは率直に言っていただきたい。私は全貌を知りたいので、今お聞きしているのです。  それから、水道は厚生省、下水道は建設省、終末処理は再び戻って厚生省というふうな関係にあり、治水利水という全体の関係からいったならば、やはりどっかに大きい支障が出ると思うのですが、その点、厚生省の方から御説明願いたい。
  97. 聖成稔

    聖成説明員 ただいまお話のように、東京では現在給水人口が六百三十万、一日の給水量が百八十万トンになっておりますが、これで参りますと、現状では人口一人当たりの給水量が三百リットルにすぎないということで、現状におきましても非常に水が不足いたしているわけでございます。さらにまた今後の人口の伸で、あるいはまた無給水地域における水道の拡張というようなものを考えますと、どうしても将来あと百二十万トンの水量が必要になって参るわけであります。御承知のように、従来東京の水道は多摩川水系に主として依存して参ったわけでありますが、先年の小河内ダムの完成によりまして多摩川の水は今や一〇〇%に利用し尽くされたという状態でございまして、どうしても今後は利根水系の水を東京にいただかなければならないという状態でございます。そこで、建設省の方における矢木沢ダムの建設の御計画も進んで参っております。このほか特定多目的ダムから東京に、先ほど申しました日量百二十万トンの水を分けていただきたいということをお願いいたしまして、目下協議中という段階でございます。なおまた、ダムの建設につきましても、それぞれ各省の関係におきまして費用の負担もいたさなければならないわけでございます。その点につきましても、目下建設省と協議中という段階でございます。その辺特に支障なく建設省との話が進んでおるという状態でございます。  次に、お話の第二点の下水の終末処理場等の所管の問題でございますが、上下水道の所管の問題につきましては、いろいろずいぶん古くから問題があったようでございます。先年、今、先生お話しのように、上水道は厚生省、工業用水道は通産省、下水道につきましては建設省、終末処理場は厚生省の所管、こういうことに決定を見たわけでありますが、その点につきまして、終末処理が厚生省の所管になっておることについての御質問かと思うのであります。  私どもはこの問題につきまして、実は御案内かと存じますが、現在下水道というものの本質が屎尿の処理、さらには各種の汚水の処理の施設でございまして、下水道そのものは根本的には環境衛生の施設であるということは、世界各国における下水道発達の歴史を見ても明らかであると思います。特にわが国における現在の屎尿の問題は非常に深刻かつ重大な問題になっておりまして、御案内のように、最近における化学肥料の急速な出回りによりまして、農村におきましてはほとんど従来のように人糞を肥料として使用しなくなってきております。そのために、全国のいわゆる田園都市といわれるような地域におきましてすら、現在屎尿処理に非常に困っておるような状態であります。それで、屎尿処理の基本的な対策でありますが、最も理想的な処理は、下水道を整備いたしまして、その地域の便所の水洗化を促進いたしまして、下水道を流れて参りました糞尿を終末処理場におきまして完全に処理をして始末をつける。このことが欧米各都市においても行なわれておる一般的な方法でございます。残念ながら、わが国におきましては、下水道の計画が非常に立ちおくれておったということで、現在水道も整備され終末処理場もできておるという地域が十四都市にすぎないわけであります。現在建設省の方の下水道の建設事業と並行いたしまして、私どもの方では四十九カ所において下水道の終末処理場の建設を続行中でございます。将来の計画としましては、昭和四十二年末を目標にいたしまして、全国で百六十都市において下水道による屎尿の処理をいたしたい。それ以外の、下水道の計画のない地域につきましては依然としてくみ取り、便所からくみ取るということが残らざるを得ない状況にありますので、そういう場合にはくみ取って集めました屎尿を屎尿消化槽等の処理施設に投入いたしまして、衛生的な処理をする。こういう方向で進んでおるのでございます。ところが、この両者は不可分の関係がございまして、下水道の終末処理場というものの主たる目的は特に下水の中に流れて参りました糞尿を処理することなのであります。従いまして、終末処理場にも沈澱池の底に沈澱いたしました汚泥を処理いたします汚泥消化槽というものがどうしても必要である。それから一方、くみ取り屎尿の処理は消化槽に投入いたしまして処理をするということで、両者関連がございますので、下水道計画のある都市においてもまだ管渠が整備されておらない段階におきましては、とりあえず消化槽だけを作らせまして、そこに投入処理をやっておる。そのうち下水の管渠ができて参りましたならば、沈澱池、沈砂池、曝気槽というような設備を完成いたしまして、そしてくみ取り屎尿の投入をやめまして、今度は下水道によって流れて参りました糞尿の処理をこの終末処理場によって行なっていく。かような観点からどうしても従来屎尿処理行政という観点からいいますと、一元的な運営、つまり屎尿消化槽、終末処理場を一元的に運営していく。かくすることが現状きわめて必要な問題であると私ども考えておるわけでございます。  そのほか、下水の終末処理場における処理につきましては、単に土木工学的な問題だけではなくて、いろいろばい菌学とか、あるいは衛生学とか、そういったような関係の問題も出て参りますし、そういうようなことから、先年の上下水道の所管の線が明確にされました際にも、下水道の終末処理場は衛生施設という観点から厚生省にまかされたもの、かように私ども考えております。
  98. 山中吾郎

    山中(吾)委員 聞くところによると、隅田川などは屎尿がずいぶん入っておって、魚が住まない程度になっておるというふうなことからいいますと、これはそう簡単に解決できる問題ではなくて、治山治水、利水の総合計画の中で相当強力に進めないと、なかなか問題は解決しないのではないかと思うのですが、そのこともまたあとでお伺いします。  それから次に、農林省——明日農林と建設のこの法案についての連合審査がありますので、農林省の場合は明日またお聞きしたいと思うのですが、やはりこの治山治水事業との関連において、上流にダムができると下流の水位が低下をして、今まで灌漑に用いられるはずのものが農業用水としての役に立たないという部面もあるとか、ダムを作った上流の方は逆に水位が上昇して洪水の原因になっておるということも聞いておるわけです。そういう関係考えて、農業用水それから治山を含んで建設省の治山治水事業と総合的にやらなければ、またどこかに穴があいて、国の予算のロスがたくさん出る。伊勢湾台風の場合においても、農林省関係の干拓地の堤防に欠陥があったというふうな非難がだいぶ入っておるということを私は聞くので、そういうことを考えてお聞きいたしたいのであります。そういう農業関係の利水事業治山事業という立場から、治山治水建設省の関係において、建設省と有機的にどういう関係をとってやられておるのが、それを御説明願いたい。
  99. 山崎齊

    ○山崎政府委員 農業関係の利水の問題に伴う詳細につきましては、関係の部局からの出席がありませんので、また明日でも御説明いたしたいと思います。  林野の関係につきましては、御存じの通り、森林が健全に生育しておるということが、やはり流量の調整その他に大きい役目を持っておるという関係に立っておりますので、昭和二十九年におきまして保安林の整備計画を確立いたしまして、当時二百四十万町歩程度ありました保安林を四百万町歩余に増大するという計画を作りまして、この計画も三十五年度をもって所期の通り完成するということにいたしておるのであります。  なおまた、建設関係等の多目的ダムその他のものに対しましても、山の荒廃がその機能に重大な影響を持つわけでありまして、われわれといたしましても、この治山事業を実施いたします場合に、先ほども申しましたように、流域別に、必要なら町村別、あるいは個所別に、林野庁の治山事業建設省の砂防事業あるいは多目的ダム事業というふうなものとの調整を十分に行ないまして、これらの総合的な行き方にそこのないように努めて参っておる次第であります。
  100. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その点については、明日またいろいろ聞きます。  最後に、大蔵省にお聞きします。私は全貌を知るために各省に質問したのですが、大蔵省は静かにお聞きになっておられたと思いますけれども、この予算の査定の仕方によって、いかに調節をとってもこの事業にでこぼこができて、全体として総合性が出ない。そこで、査定の場合に、こういう有機的に関連をしている治水治山、利水の関係については、担当主計官が相当分かれておると思いますが、全体として予算のでこぼこのないように、いわゆる次陥のない予算として査定をするような習慣がついておるのかどうか。もし、それがないとすれば、私は役所のセクショナリズムの原因は、案外各役所の職員より、大蔵省の査定官によって起こってくるのじゃないかとも思うので、この点をお聞きいたします。今の査定のやり方ですね。
  101. 宮崎仁

    宮崎(仁)説明員 ただいま各省にわたる利水、治水事業のお話があったわけでございますが、もちろんこういう事業につきましては、現在の資金措置の体制といたしましては、治山治水、農業水利あるいは工業用水道というように、公共事業の予算として実施いたしますものもございまするし、それから発電とか上水道のように財政投融資計画として実施いたすものもございます。こういう事業が全体の計画として総合的に行なわれ、そうしてその効果が十分に発揮されるということでなければならないことは申すまでもないわけでございまして、大蔵省といたしましては、こういう事業を、各省にわたるものにつきまして、予算の面については公共事業という一つの重要な経費としてまとめておりまして、この担当を私がやっておるわけでございます。従いまして、ただいま御指摘のいろいろの問題につきましても、私どもとしては、従来からできる限りの努力を払ってきておるということでございます。  ただ、御指摘の問題をさらに分析して参りますると、大体形態としては二つになるかと思います。  一つは、多目的ダム事業のように、一つ事業計画として各省にわたる事業が行なわれておるというような場合であります。この場合につきましては、ただいま河川局長あるいはその他の方から御説明がございましたが、すでに基本計画を作るということが法律上もはっきりいたしおりまして、しかも、この基本計画を作るに当たりましては、建設省で原案をお作りになるわけでありまするが、その内容の問題につきましては経済企画庁を中心に各省間で十分議論をするという方式をとっております。従いまして、予算の問題としてこれを扱います場合にも、すでに計画の段階で十分調整のとれたものが出て参るわけでありますから、毎年度の予算としてこれに措置をして参るという場合にも、そういった点を十分考慮してやることができておる、こういうふうに考えております。ただ、問題としましては、この多目的ダム法制定以前の計画等もございまして、そういうものも現在まだ行なわれておりまするが、そういう場合に、いろいろ計画面で調整が十分でないという例もないわけではございません。こういうものに対しましては、現在予算の措置としまして、経済企画庁に国土総合開発調整費というものが計上されてございまして、毎年度の実施計画上のそういった調整につきましては、企画庁の予算でもって措置して参る、こういう措置がとられております。  それから、もう一つの問題といたしましては、こういった多目的ダムのように一つ事業計画としてできておるものではございませんが、水系あるいは流域としまして各種の利水事業が行なわれるという場合であります。今、利根川の例が出ておりますが、利根川でありますれば、治水事業治山事業はもちろん、これに関連しました農業水利、工業用水道、上水道という問題がすべて問題になってくるわけでありまして、こういうものにつきましては、現在の体制としては、それぞれ国土総合開発法による特定地域開発計画というものが閣議決定でできております。利根川につきましても、この計画が三年ほど前にできておるわけでございますので、そういうものに基づいて各種の事業が行なわれて参るわけでありまするから、基本的には予算の面で一々それをひっくり返して議論するというほどの問題にしなくてもよいわけでありますが、今御指摘の利根川などで申しますると、利水面につきましては、総合開発計画を策定いたします際にいろいろ議論がございまして、今後の検討事項として残っておるものもございます。特に問題になりますのは、各種の事業規模というものを計画上どういうふうに考えていくかというような点について、非常に議論があるわけであります。今回治山治水長期計画というものが閣議決定によってきまるわけでありまするから、これに関連してきまるようないろいろな計画というものも、従って相当程度これは固まってくる、こういうふうに私ども考えております。従いまして、そういった水系別あるいは流域別の利水の計画というものは、今回の治山治水計画の策定によりまして格段の改善になるのではないか、こういうように考えております。予算的に見ましても、そういったものが計画として確定して参りますれば、それに従って予算措置を行なっていくということでありますので、これは私どもとしても非常に好ましい方向に行くのじゃないか、こういうふうに考えているわけであります。
  102. 山中吾郎

    山中(吾)委員 私に与えられた時間も残り少ないので、きょうはこれで終わりますが、宮崎主計官は、今説明された関係の各予算全部、一人で査定を担当されておるわけですか。
  103. 宮崎仁

    宮崎(仁)説明員 正確に申しますと、私の直接担当いたしておりますのは、治山治水、港湾、それに山林関係、漁港、災害復旧というようなものでございまするが、一応総括的な取りまとめとして、農業水利、工業用水道につきましても公共事業として取りまとめますので、そういう意味で、もちろん内容につきましても参画してやっているわけであります。
  104. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それでは次の機会にいろいろまたお聞きいたしたいと思います。  最後に、建設大臣に。治山治水緊急措置法案を中心として、この事業が総合的に遂行されるかどうかについて研究いたしたいので、各関係を全部聞いたわけですが、今、宮崎主計官も言われたように、治山治水特別会計ができて、ここに一つの柱が立った。それに関連をして、工業用水の問題にしても、農業用水その他の関連事業として、その基本計画に基づいて、それに破綻のない事業計画され、またそれに応じた破綻のない査定を宮崎主計官がされるような大体の話であります。実際はどうなるかわかりませんが、聞いておると、何とかなりそうだ。そこで、ただ先ほどありましたように、治山治水閣僚懇談会という一番トップ・レベルのああいう政治的なものがあっても、私は、こういうセクショナリズムとか、あるいはお互いに自分の立場だけで主張するという立場の人を、もっと大きい総合的な行政の中に入れるということはできないと思うので、むしろ建設大臣が中心になって、治山治水に関連する利水を含んだ関係技術会議、そういうものを含んだ総合的な技術会議というのをむしろ提唱されて、そこで破綻のない計画立てて、それを持って各省に帰る。そして、すでに各省にわたり始めたような事業関係する技術会議というものをお持ちになって、そうして予算のロスのないような方向に持っていかれる必要があるのではないか。そうして、それは建設大臣立場と私は思うのでありますが、この点について、今私ただ急に申し上げたので、御検討さるべきものがあると思いますから、それについての、抽象的でけっこうですから、御見解をお聞きいたしたいと思うのです。それといま一つは、この法案はどうせ緊急措置法でありますから、ほんとうはこの奥に、バック・ボーンがなければ、国土保全本法というようなものがなければ——これは実は緊急措置法だと思うのです。そして五年、十年の計画——五年の目標というのは戦前の水害に戻すわけで、日本から災害を根絶するというような、そういうものではなく、量的に減らすというだけの暫定緊急措置だと思う。その奥にいま一つ、新聞を見ますと、災害本法というものの構想を取り上げてやろうといっておりますが、それは災害が起こったときの処置でして、右に災害本法があれば左に国土保全本法があって、そうしてこういう緊急措置法というものがあるのが正しい。これだけが出ても私は十年の間にまたいろいろの予想せざるものがあって、年々の災害がほんとうに少なくできるかどうかということは、私は予測できないと思うのです。そういう、この法案の母法になるような、災害本法に対する国土保全本法というふうな構想を御検討なさるべきじゃないかと思うので、その二つのことについて検討してみる必要があるというふうにお答えなさってもけっこうですが、抽象的に御見解を——今の私の質疑応答の中から、一つの直感をお持ちならば、それをお聞きして、きょうは時間がありませんので、私の質問は終わります。
  105. 村上勇

    村上国務大臣 治水事業の基本的なものは、結局国土保全であります。国土保全のためには、各省それぞれその所管は異なっておりましても、それぞれの機能を発揮して、そうしてこれの完璧を期していくということが現在のあり方で、私はこれで今の段階はいいと思っております。しかし、実際私ども、これがはたしていいかどうかわかりませんけれども建設大臣でなくとも、何大臣であろうが、一切の公共事業というものは、ちょうど大蔵省宮崎君が全部統轄してやっているように、公共事業一つ省で、たとえば国土省というようなものでこれを統轄してやることが、一番ロスがないのじゃないかということも考えられます。しかし、このことはなかなか——よし、社会党が政権を担当しても、なかなかやり切れるものじゃないので、これは将来の問題として、将来それぐらいな大政治家が出ることを私は期待いたしております。  災害本法、これは総理大臣がいつも、目下研究しておるということを言ってお答えしているようでありますが、これは消極的な面であって、災害がなければ基本法なんていうものは要らないので、私どもは、この治水事業十カ年計画、五カ年計画によって、あるいは戦前並みにするとか、あるいは五年計画でその程度まで引き下げる。十カ年計画では、少なくとも年々歳々の平均な災害を約八、九〇%まで防止するという目的に向かって、ここに治山治水緊急措置法を提案いたしておる次第でございまして、これさえやれば、今国土何とか法というようなものは要らないんじゃないか。別の意味では、国土の総合的な開発は必要でありますが、この治山治水緊急措置法によって、完全に十カ年計画を施行するならば、それからあとは、また不都合なところを改めていく程度で、この国土の安全は期せられるだろう、こう私は思っております。しかし、御意見の面につきましては、私どもも、ただ自分が考えておることだけが決して完全ではないのでありますから、十分研究して、何とか国土の保全ということだけを念願して参りたい。かように思っておる次第であります。  技術会議は、伊勢湾台風以来、東京湾、大阪湾、その他いろいろあれしておりますが、その場合には、各省の技術陣だけでなくて、民間から学識経験者等もお集まり願って、そうして積極的にその点をやっております。しかし、たとえば利根川の開発問題などにつきましては、これこそ大きな技術会議を開いて、そうしていろいろと検討していくということが望ましいと思っております。従って、そういう点につきましては十分研究して、何とか処置いたして参りたい、かように思うのであります。
  106. 羽田武嗣郎

    羽田委員長 本日はこれにて散会いたします。     午後一時三十六分散会