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1960-03-09 第34回国会 衆議院 建設委員会 第9号
公式Web版
会議録情報
0
昭和三十五年三月九日(水曜日) 午前十時五十三分
開議
出席委員
委員長
羽田武嗣郎
君
理事
井原
岸高
君
理事
木村 守江君
理事
二階堂 進君
理事
堀川
恭平君
理事
南 好雄君
理事
山中
吾郎
君
理事
塚本 三郎君 逢澤 寛君 川崎末五郎君 島村
一郎
君 砂原 格君 橋本 正之君 服部 安司君 廣瀬 正雄君 堀内 一雄君 石川 次夫君 岡本 隆一君 兒玉 末男君 實川 清之君
山中日露史
君 今村 等君
出席政府委員
建設政務次官
大沢 雄一君 建 設 技 官 (
住宅局長
)
稗田
治君
委員外
の
出席者
専 門 員
山口
乾治
君
—————————————
三月四日
中央自動車道東京
、小牧間の
予定路線
を定める
法律制定促進
に関する
請願
(
福田篤泰
君外一名
紹介
)(第七四六号)
津山姫路線
の
国道編入等
に関する
請願
(
堀川恭
平君
紹介
)(第七四七号)
東海道高速自動車道建設促進
に関する
請願
(八
木一郎
君
紹介
)(第七六七号) 同(小
金義照
君
紹介
)(第八五〇号) 同(
長谷川保
君
紹介
)(第八八一号)
県道本宮線舗装
に関する
請願
(
山本猛夫
君紹 介)(第七六八号)
入間川改修
に関する
請願
(
山口六郎次
君
紹介
) (第九二二号) は本
委員会
に付託された。
—————————————
本日の
会議
に付した案件
連合審査会開会
に関する件
住宅地区改良法案
(
内閣提出
第八六号)
公営住宅法
の一部を
改正
する
法律案
(
内閣提出
第八七号) ————◇—————
羽田武嗣郎
1
○羽田
委員長
これより
会議
を開きます。
住宅地区改良法案
、
公営住宅法
の一部を
改正
する
法律案
の両案を一括して
議題
とし、
審査
を進めます。 前会、
村上建設大臣
より
提案理由
の
説明
を聴取いたしたのでありますが、この際
稗田住宅局長
より
補足説明
を聴取いたします。
稗田住宅局長
。
稗田治
2
○
稗田政府委員
ただいま
議題
となりました
住宅地区改良法案
につきまして
逐条説明
を申し上げます。 第一条は、この
法律
の
目的
を定めたものでございます。
不良住宅
が密集する
地区
について、その劣悪な
環境
を除去し、健全な
住宅地区
に形成することによってその
環境
の
整備改善
をはかり、健康で文化的な
生活
を営むに足りる
住宅
の
集団的建設
を
促進
することを
目的
とし、その
目的
を達成するため
住宅地区改良事業
の遂行上必要な
規定
を定めることとしていたしております。 第二条は、この
法律
において用いている特別の用語の定義を掲げてございます。 第一項は、
住宅地区改良事業
について定めてございます。
住宅地区改良事業
は
改良地区
の
整備
に関する
事業
及び
改良住宅
の
建設
に関する
事業
とからなり、
建設大臣
が
指定
した
改良地区
内の
不良住宅
の
除却
、
改良地区
を健全な
住宅地区
に形成するため必要な
土地
の
整備
及びこれらの
事業
によって
住宅
を失うこととなる者を入居させる
改良住宅
の
建設
を
内容
といたしております。 第三項は
改良地区
について定めてございます。
改良地区
とは
住宅地区改良事業
によりその
環境
の
整備改善
をはかろうとする
土地
の
区域
であり、
不良住宅
が密集して、
保安
、
衛生等
に関し危険または有害な状況にある
一団地
で
建設大臣
が
指定
したものでございます。 第四項及び第五項は
不良住宅
について定めてございます。
不良住宅
とは、人が居住する
建築物
でその
構造
また設備が著しく不良であるため、
住宅
として用いることが著しく不適当なものであります。その判定は
政令
で定める詳細な
客観的基準
によって行なうことといたしております。 第六項は
改良住宅
について定めてございます。
住宅地区改良事業
の
施行者
は、
改良地区
の
指定
の日に、その
地区
内に居住する者で、
事業
の
施行
に伴って
住宅
を失うこととなり、そのため
住宅
に困窮するであろうと認められるものの
世帯数
だけの
住宅
を
建設
する
義務
を負っているのでありますが、その
建設
される
住宅
を
改良住宅
と名づけているのでございます。 第七項の
地区施設
と申しますのは、
改良地区
内の
土地
の
整備
を行なった後に
集団
的に
建設
される
住宅
の
居住者
の
共同
の
福祉
または
生活
上の
共同
の利便のために必要であると認められる
施設
でございます。第八項の
公共施設
と
同様政令
で列挙することといたしております。第三条は
住宅地区改良事業
の
施行者
について定めてございます。
住宅地区改良事業
は
住民
の安全、健康及び
福祉
の保持を
目的
とするものであること、
改良住宅
を長期にわたって
低額
の
家賃
で提供する必要があることなどの
理由
から
地方公共団体
が行なうものとし、
原則
的には
市町村
が、
市町村
が行なうことが財政的に困難である場合等には
都道府県
が
施行
するものとしたのでございます。 第四条は
改良地区
の
指定
の要件及びその
手続
について定めてございます。 第一項は、
建設大臣
が
改良地区
として
指定
することができる
土地
の具備すべき条件を定めたものでございます。
住宅地区改良事業
の
事業計画
を定めるためには
建設
すべき
改良住宅
の
戸数
を確定する必要がありますので、
事業計画
の
認可
に先だって、あらかじめ
改良地区
の
指定
を行なうことといたしたのでございます。 第三項で、
都市計画区域
内の
土地
につきましては
改良地区指定
の際
都市計画審議会
の議を経ることといたしましたのは、
住宅地区改良事業
を行なうべき
区域
と他の
都市計画
との
調整
をはかるためでございます。 第五条は
住宅地区改良事業
の
事業計画
の
認可
について定めております。
住宅地区改良事業
の
事業計画
につきましては、
関係権利者
の保護、技術的な
設計能力
の補充の必要から
建設大臣
の
認可
を必要とすることといたしました。 第六条は
事業計画
で定めるべき
内容
及びその準拠すべき
原則
を定めてございます。
事業計画
は
改良地区
内の
土地
の
利用
に関する
基本計画
及び
住宅地区改良事業
の
実施計画
とからなっております。
改良地区
内の
土地
の
利用
に関する
基本計画
は、
改良地区
内の
土地
について
整備
を行なった後の
住宅
、
地区施設等
の用に供する
土地
の配置について定めるものであります。
実施計画
と別個にこれを定めることといたしましたのは、
整備完了
後の
土地
に
建設
される
改良住宅
以外の
住宅
、
地区施設等
は、
施行者
以外の者が
設置
することとしているためであります。 第四項は
住宅地区改良事業
の
目的
を具体化した条文であります。
改良地区
の
環境
の
整備改善
は単に
不良住宅
の
除却
を行なうのみでは
目的
を達することができず、これを健全な
住宅地区
に形成することが必要であるためであります。 第六項は
改良地区
内の
土地
の
利用
に関する
基本計画
を定めない例外的な場合について定めたものであります。
土地
の
利用
に関する
基本計画
は、第四項の
規定
により
改良地区
を健全な
住宅地区
に形成するように定めなければなりませんが、
公共施設
に関する
都市計画
が決定されているとか、
建築基準法
による
工業専用地区
の
指定
がされていて
住宅
を
建設
することができない場合等にはこれを
住宅地区
とすることはできませんので、
土地
の
利用
に関する
計画
は作成しないことといたしております。第七項は
土地
の
利用
に関する
基本計画
で
住宅
の用に供すべき
土地
と定められたものには
改良住宅
、
公営住宅
、
日本住宅公団法
の
規定
による
住宅等
の
公共的性格
を有する
住宅
を
建設
すべきことを定めております。
改良地区
内の
土地
を
整備
するためには
土地
の
収用
も認めることとしておりますので、限定するのが適当であると考えられるからであります。第七条は
施行者
が
事業計画
を定める際に、それに
関係
のある
地方公共団体
、
行政機関等
と協議すべきことを定めたものであります。
公共施設
及び
地区施設
につきましては、
法令
上その
設置
について制約がある等十分
調整
をとっておく必要があるので、あらかじめ
関係
のある
管理者
、
行政機関
との間で協議を行ない、
改良地区
内で
住宅
の
建設
を行なおうとする者につきましては、
整備完了
後に
建設計画等
についてあらかじめ十分な打ち合わせを行なうことによって
住宅地区改良事業
の円滑な
施行
を確保する
趣旨
のものでございます。第八条は
事業計画
の
認可
があった場合の
公示方法
について定めてございます。第九条は
事業計画
の
認可
後の
改良地区
内における
建築制限
について定めたものであります。
住宅地区改良事業
の円滑な
施行
を確保するため、おおむね
土地区画整理法
の
規定
と同様に、
事業計画
の
認可
後、
改良地区
内においては、
住宅地区改良事業
の
施行
の
障害
となるおそれのある
土地
の
形質
の
変更
、
建築物
、
工作物
の
新築等
は
都道府県知事
の
許可
を受けないで行なうことはできないことといたしております。第四項以下の
規定
は
建築制限
に違反した行為に対する
是正措置
及びその
手続等
について定めてございます。第十条は
改良地区
内の
不良住宅
はすべて
除却
しなければならないことを定めてございます。
改良地区
の
環境
を
整備改善
するためには、
地区
内に
不良住宅
が存在しないようにする必要がありますが、その際これを取りこわさず単に
地区外
に
移転
させるとすれば、
移転先
で再び劣悪な
環境
の
地区
を形成することとなるので、
施行者
に取りこわしの
義務
を課したものであります。第十一条は
不良住宅
を
除却
するために必要な
手段
として
不良住宅
の
収用
及び
明け渡し命令
について定めてございます。
不良住宅
を取りこわすためには、まず
不良住宅
の
所有者
との
話し合い
によってこれを
取得
する必要があるわけでありますが、
話し合い
がつかない場合には
住宅地区改良事業
の
目的
を達成するため、
施行者
が
不良住宅
を
収用
することができることを
規定
してあります。第二項は
施行者
との
話し合い
によってすでに
補償金
の
支払い
を受けたにもかかわらず、これを
施行者
に明け渡さない者に対して、
明け渡し命令
を出す
権限
を
施行者
に与えたものであります。これは本来
民事訴訟手続
によって
明け渡し
の
義務
の履行を強制することができるわけでありますが、実際
上相当
の期間を必要とし、そのために
事業
の
施行
が延引することとなれば、すでに
住宅
を
除却
された
地区
内の他の
居住者
が
改良住宅
に入居する時期がおくれるといった不都合が生じることとなりますので、
行政
的な
手段
が必要であると考えられるからでございます。第十二条は
改良地区
内の
土地
を健全な
住宅地区
に形成するために必要な
土地
の
整備
について定めてございます。
改良地区
内の
土地
の
利用
に関する
基本計画
で定められた用途に従い、必要な
土地
の
区画
、
形質
の
変更
、
整地等
を行なうことによって、
改良地区
は健全な
住宅地区
となり、その
環境
の
整備改善
の
目的
が達成できるわけでございます。ここで
土地
の
形質
の
変更
と申しますのは、
低湿地
のかさ上げ、
崩壊防止
のための
擁壁
の
設置等
を考えております。第十三条は
土地
の
整備
のために必要な
土地
の
収用
及び
建築物
の
移転命令等
について定めてございます。
土地
の
整備
のためにはその
土地
を
取得
する必要がございますが、
話し合い
によって
取得
できない場合には、第十一条で御
説明
申し上げましたのと同様の
趣旨
で、これを
収用
してその
所有権
を
取得
し、または
土地収用法
第五条第一項各号に掲げております
地上権
、
賃借権等
の
土地
に関する
権利
を
収用
してこれらの
権利
を消滅させることができることといたしてございます。第二項の
規定
は、第十一条第二項と同様の
趣旨
の
規定
でありまして、すでに
物件
の
移転
について
施行者
と
話し合い
がつき、
補償金
の
支払い
も完了しているにもかかわらず、その
義務
を履行しない
物件
の
所有者
に対してその
物件
の
移転
を命ずることができることとしたものであります。この場合
所有者
が
移転
するのを容易にするために
物件
の
占有者
に対して、
物件
をその
所有者
に引き渡すべきことを命ずることができることといたしてございます。
不良住宅
は
除却
いたしますので
移転命令
の
対象
とはいたしません。第十四条は
改良住宅
に入居させるべき者を一時収容するため必要な
施設
の
設置
について定めております。
住宅地区改良事業
により
住宅
を
除却
する際に
改良住宅
の
建設
が間に合わず、居住する
場所
がない場合等必要があるときは、一時的に居住する
場所
を提供することを
施行者
の
義務
といたしました。第十五条は前条の一時
収容施設
、その他
事業施行
上欠くことのできない
施設
の
設置
のため必要な
土地
の
使用等
について定めてございます。第十六条は、この
法律
の
規定
による
収用
または
使用
の
手続
、
効果等
については
土地収用法
の
規定
が適用されることを定めてございます。第十七条は、
改良住宅
の
建設
の
義務
について定めてございます。第一項は
改良地区
の
指定
の日におきまして、
改良地区
内に居住する者で
住宅地区改良事業
により
住宅
を失えば
住宅
に困窮することになるであろうと認められる
世帯数
を
調査
し、その
世帯数
に見合うだけの
戸数
の
住宅
を
建設
しなければならないことと
規定
してあります。
世帯数
といたしましたのは、一戸に一
世帯
を居住させることが本来的であると考えたためであります。第二項では前項の
戸数
の増減について定めてございます。
地区外
に転居する者があったり、
地区指定
当時には
住宅
に困窮していなかったが、後に困窮することとなった者があるときには、
建設戸数
を増減する必要がありますので、これについて
規定
を設けました。第三項は
改良住宅
の
建設場所
について定めております。
改良地区
内に
住宅
を
建設
することが
法令
の
規定
によって禁止されまたは著しく不適当である場合、
改良地区
の面積が小さいために
建設
すべき
全戸数
を収容しきれない場合等の特別の事情がある場合を除いて
改良地区
内に
建設
すべきものといたしました。第四項は
改良住宅
の
構造
は
原則
として
耐火構造
または
簡易耐火構造
とすべきことを定めております。これは
改良住宅
が
集団
的に
建設
され、また市街地に存在することが多いため防災上の
見地
から必要であり、また
土地
を合理的に
利用
する面からも適当であると考えたためであります。第十八条は
改良住宅
に入居させるべき者について定めてございます。三号にわたってあげておりますが、まず第一号のイは
改良地区
の
指定
の日から
事業
により
住宅
を失うまで引き続いて
地区
内に居住していた者を掲げております。ただし、この中で
地区指定
の日当時ある
世帯
に属していたが、その後
結婚
その他の
理由
で独立して別
世帯
を構成するに至った者は、
地区指定
後に
地区
内に転入してきた者と
同一
の取り扱いをすることといたしてございます。これがロに掲げている者でございます。これらの者をすべて入居させることは
実情
に合致いたしませんので、
施行者
の承認した者のみに限定することとしております。ハに掲げるものは
地区指定
後に
結婚
その他の
理由
でイまたはロに掲げる者と
同一世帯
に属することとなった者でございます。第二号は、
改良地区
の
指定
の日から
災害
によって
住宅
を失うまで引き続いて
地区
内に居住していた者であります。第三号は第一号または第二号に掲げる者と
改良住宅入居
当時
同一世帯
に属している者であります。以上申し上げました者のうち
改良住宅
に入居を希望し、かつ
住宅
に困窮していると認められる者を
施行者
は
改良住宅
に入居させなければならないわけでございます。第十九条は
改良地区
内の
土地
について
整備
を完了した後は、
施行者
はみずから
改良住宅
を
建設
する
土地
以外のものを
事業計画
に従って、
公共施設
の
管理者等
に引き渡すべきことを定めてございます。第二十条は
住宅地区改良事業
の
施行
の
準備
またはその
施行
にあたって
測量
または
調査
のため
他人
の占有する
土地
に立ち入り
権限
及びその
手続等
について定めてございます。
土地区画整理法
にほぼ
同一
の
規定
がございます。第二十一条は
測量
または
調査
を行なうにあたって、必要な
障害物
の伐除及び
試掘等
を行なうには
市町村長等
の
許可
を要することを定めてございます。第二十二条は
他人
の占有する
土地
に立ち入る場合に携帯すべき
身分証明書等
について定めてございます。第二十三条は
測量
及び
調査
に必要な立ち入り、
障害物
の伐
除等
に伴う損失の
補償
について定めてございます。第二十四条は
測量標識
を
設置
する
権限
について定めてございます。第三十五条は
住宅地区改良事業
の
施行
に要する
費用
は
施行者
が負担するのが
原則
であることを定めてございます。第二十六条は
不良住宅
の
除却
に伴う
受益者負担
について定めてございます。
改良地区
が
建築基準法
の
工業専用地区
内にあるような場合には、
土地
の
整備
に関する
事業
は行なわず、従って
施行者
が
土地
を
取得
することもないわけでありますが、
不良住宅
の
除却
だけは行ないますため、その
不良住宅
の存在する
土地
の
所有者
が、これによって著しく利益を受ける場合がありますので、公平の
見地
から
受益者負担金
を徴収することができることといたしました。第二十七条は
事業
の
施行
に要する
費用
に関する国の
補助
について定めてございます。
不良住宅
の買収及び
除却
に要する
費用
の二分の一以内及び
改良住宅
の
建設用地
の
取得
及び宅地に造成する
費用
及び
建築
に要する
費用
の三分の二以内を
補助
することができることと
規定
してあります。これは
住宅地区改良事業
を
促進
し、
改良住宅
の
家賃
を第二種
公営住宅程度
の
低額
のものとする
趣旨
から定めたものでございます。第二十八条は、
住宅地区改良事業
の
促進
をはかるため
都道府県
も
市町村
に対して
補助
することができることを定めてございます。第二十九条は、第二十七条の
規定
により国の
補助
を受けて
建設
された
改良住宅
の
管理
及び
処分
については、
公営住宅法
による第二種
公営住宅
に準じて行なうことと定めてございます。第三十条は
施行者
が
事業計画
に関する図書を
利害関係人
に閲覧させる
義務
を負うことを定めてございます。第三十一条は、
施行者
が書類の送付にかえて
公示送達
を行なうことができることを定めてございます。第三十二条は、国及び
地方公共団体
が協力して
住宅地区改良事業
の円滑な
施行
をはかる
趣旨
で
技術的援助
を請求することができることを定めてございます。第三十三条は、
住宅地区改良事業
の適正な
施行
を確保するために必要な
建設大臣
の
監督処分権限
について定めてございます。第三十四条は、
住宅地区改良事業
の
施行
の
促進
または
改良住宅
の適正な
管理処分
を確保するため必要な
建設大臣
または
都道府県知事
の報告の徴取、勧告について定めてございます。第三十五条は
建築制限
に違反した
建築物等
の
移転命令
、
不良住宅
の
明け渡し命令等
に対する異議の申し立て及び訴願について定めてございます。第三十六条は
改良地区
の
指定
、
事業計画
の
認可等
についてあらかじめ
厚生大臣
と協議すべきことを定めてございます。第四章は罰則について定めてございます。附則でございますが、第一項はこの
法律
の
施行
の日、第二項は
不良住宅地区改良法
の廃止について定めてございます。第三項の
登録税法
の一部
改正
は、
住宅改良事業
の
施行
のために
施行者
が行ないます
土地
、建物の
権利
の
取得
の
登記等
について
登録税
を課さないことを定めてございます。第四項の
建設省設置法
の一部
改正
は、
建設本省
の
不良住宅地区改良
に関する
事務
を
住宅地区改良法
の
施行
に関する
事務
と改めたものであります。第五項の
国有財産特別措置法
の一部
改正
は、
地方公共団体等
が国から貸付を受けて
住民
を居住させている
建築物等
を
住宅地区改良事業
によって取りこわし、
改良住宅
を
建設
する場合には、国は、その
建築物
を譲与し、またはその敷地を
改良住宅
の
標準建築費
のうち
用地費相当額
で
施行者
に譲渡することができることとしたものであります。第六項の
租税特別措置法
の一部
改正
は、
土地収用法等
による
収用
の場合の
譲渡所得
に対する
所得税
の賦課の
特例等
を
住宅地区改良法
による
収用
についても認めようとするものであります。以上でこの
法律案
の
逐条ごと
の
説明
を終わりますが、何とぞ慎重御
審議
の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。次に、
公営住宅法
の一部
改正法律案
につきまして、補足して御
説明
申し上げます。異常な
天然現象
のうち地震、
台風等
については、一般にその
被害
が
相当
広範にわたるので、
現行法
の
基準
、すなわち
滅失戸数
が
被災地全域
で五百戸以上または一
市町村
の
区域
内の
住宅戸数
の一割以上の
基準
がおおむね妥当であると考えられます。ところが、異常な
天然現象
のうち、
集中豪雨
のようにその
被害
が局地的に集中するものが最近ときどき見られるのでありますが、この場合においては滅失した
住宅
の
戸数
が
相当
に大きくても、その
被害
が局所的小範囲に限られるので、法定の
基準
に該当しないことがありますし、また将来においてもそういう場合が予想されるので、火災の場合との均衡をも考慮し、異常な
天然現象
により滅失した
住宅
の
戸数
が、一
市町村
の
区域
内で二百戸以上である場合を新たに
災害
の
基準
に加えた次第であります。
—————————————
羽田武嗣郎
3
○羽田
委員長
質疑
に入ります、
質疑
の通告がありますから順次これを許します。
山中吾郎
君。
山中吾郎
4
○
山中
(吾)
委員
ただいま
説明
をしてもらいました
住宅地区改良法案
並びに
公営住宅法
の一部
改正
について質問を申し上げます。
住宅地区改良法案
の立法の
趣旨
については私賛成でございまして、むしろおそきに失したと考えておるのでありますけれども、これの執行の面について疑点を持っておりますので、お聞きいたしたいと思いま す。まず第一に、この
法案
の
実施
についてどの
程度
に
事業
を
計画
されておるのか、この
法案
の裏づけである
予算
の
関係
、その点についてお伺いしたい。
稗田治
5
○
稗田政府委員
三十五年度におきましては、
改良住宅
の
建設戸数
は二千戸でございます。なお
清掃費等
もございますので、
国庫補助
の
予算総額
は約八億円でございます。
山中吾郎
6
○
山中
(吾)
委員
それについて、
同和地区
とか
引揚者住宅地区
その他の
不良住宅地区
についての区分けをして、それに対して
実施計画
を立てておられるのですか、そうでないのですか。
稗田治
7
○
稗田政府委員
具体的に、本
年度事業
を
実施
します
地区
につきましては、ただいま
地方公共団体
から要望をとりまして打ち合わせ中でございますので、まだ確定はいたしていないわけでございますが、二千戸の
改良住宅
の
戸数
のうち、千百戸
程度
を
お尋ね
の
同和関係
の
不良住宅地区
に振り向けるようにというようなつもりで進めておるわけでございます。
山中吾郎
8
○
山中
(吾)
委員
同和地区
の場合について、一定の
地域
の中に、ああいう特定の歴史上しいたげられた
部落民
がおるのですが、その
地域
にやはり
集団
をしておれば、意識が改造されないで、依然としてみずから
劣等感
を持ち、外に対してもまた
通婚
その他についての
差別待遇
が残るので、ああいう
地区
は、その
地域
に
住宅
を
改良
して、また
集団生活
をするより、むしろ
分散
をするということが
根本解決
のように思うので、こういう
不良住宅
の
改良
の場合に、その
地域
の中にまた建て直してそこに住むという
行政方針
が
同和部落
の解消という点からいって妥当であるかどうか、少し私は疑問に思うのですが、その点、
準備
をされておられますか。
稗田治
9
○
稗田政府委員
建設省
といたしましてそのような
地区
を取り上げておりますのも、
立場
といたしましては、
不良住宅
が密集いたしまして、
保安
、
衛生等
から考えても、また公共的な
立場
から考えても不適当である、そういう
地区
を健全な
住宅地区
に形成し直すということが
趣旨
でございます。従いまして、たまたま
お尋ね
の
同和関係
の
地区
におきましても、そこに形成されました具体的な事実がこの
法律
の
事業
の
対象
になるという場合には、そういうような
住宅地区
を
改良
して健全な
住宅街
を形成するという
立場
から取り上げるわけでございます。 なお、三十五年度におきまして初めて
予算項目等
は別
項目
となったのでございますけれども、すでに二十七年から今日まで
相当数
第二種
公営住宅
を使いまして
改良住宅
の
建設
を行なってきておるわけでございます。たとえば神戸市の番町でございますとか、あるいは京都市における
崇仁地区
というようなところも、鉄筋のアパートに建てかえられまして、それぞれの
居住者
も満足して
生活
しておるというような
実情
でございます。なおそういった
地区
に居住しております人の職業というようなことから考えまして、
原則
として
分散
をしていくというような方式をとりますのは、今日の
日本
の
実情
から申しますと、非常に
事業
が進めにくいのではないかというように考えております。
山中吾郎
10
○
山中
(吾)
委員
行政
として私ちょっと疑問なんですが、そういう
同和地区
、
同和部落
に対する対策というものは、
差別待遇
をなくする、意識を改造するというようなことが一番眼目だと思うので、その
地区
に
集団生活
を持続するというふうな方針がかえって依然として差別意識を部落の者、その外の人々の
関係
にさらに残す政策になるというので、私少し疑問に思うのです。なお、この
法案
の
審議
のうちにおいて、今いろいろと御検討されたようなことはお聞きしたのでありますけれども、別の
法案
によってこういう問題を処理すべきじゃないかと私は思うので、この
審議
の過程でいま一度御質問をいたしたいと思います。それから、
家賃
のことですけれども、この御
説明
の
法案
の二十九条によりますと、国の
補助
を受けて
建設
された
改良住宅
の
管理
は、
改良住宅
を
公営住宅法
に
指定
する第二種
公営住宅
とみなして、それに関する
規定
を準用するということになっておるのでありますけれども、その
公営住宅法
に基づく
家賃
の減免の
基準
というもの、これに基づいて
不良住宅
に住んでおる
住民
が十分に保護されるかどうか、これについて疑問であるので、その点についてのお考えをお聞きいたしたいと思います。
稗田治
11
○
稗田政府委員
家賃
の算定の
基準
でございますが、
お尋ね
のように、
公営住宅法
の
管理
関係
の
規定
を準用いたしますので、第二種
公営住宅
と最高の
家賃
徴収の限度は同じになるわけでございます。従いまして、鉄筋のアパート形式のものになりますと、約千六百円
程度
に平均はなるわけでございます。しかし、これは最高の限度を示しておるわけでございまして、現在三分の二の
補助
の
公営住宅
を使って今日まで不良
住宅地区改良事業
を進めて参ったわけでございますが、各
地方公共団体
におきましても、それぞれの
居住者
の収入等を考えまして、
相当
大幅に減額いたしまして、千円あるいは千円以下という
家賃
で
入居
させておるのが現状でございます。従いまして、そういった
地区
内の
居住者
の収入等も勘案いたしまして、これを今後推し進めていきます場合に、減額の制度は十分活用していただくというつもりでございます。
山中吾郎
12
○
山中
(吾)
委員
たとえば引揚者の
住宅
などのある
地区
に住んでおる人々は、非常に粗末な
住宅
に住んでおりますから、現実には
家賃
が非常に安い。新しいりっぱな
住宅
ができると、
住宅
法の十二条に基づいて
建築
費その他の算出の基礎で、今お話しされたような
家賃
、千五百円なら千五百円という
家賃
がまず計算されて、それを
基準
として減免をされる。はなはだしく収入が
低額
の場合ということになっておるので、現在住んでおる者が引っ越せば多かれ少なかれ
家賃
がふえるのじゃないか。その場合に、いい家には入りたいけれども、現在の
家賃
より高くなっては困るというふうに考える人が大部分なので、
行政
の方針としては、こういう
改良住宅
を建てた場合には、当分の間現状の
家賃
で住むことができるような措置をしてやらなければいかぬ。
改良
してほしいけれども、
家賃
が高くなるのは困るというのでしり込みをする。また五人家族で一万五、六千円そこそこの収益で最低の
生活
をしておるボーダー・ラインの人々は、五百円高くなっても、こういう
住宅
政策に対して非常に喜びを感じ、また協力するというようなことがなかなかできないので、
公営住宅法
の
家賃
減免によって
基準
よりは安くできるというふうな方針だけでは足らないのじゃないか。向こう三年くらいは新しい
住宅
に引っ越しても現状の
家賃
で全部一応認めてやる。そういうふうな措置がないと、せっかくこういういい
法律
が
施行
される場合についても、地元の全面的な明るい協力というようなものが出ないと私は思うので、この点を何か、実際において私が今申し上げたような方針を
実施
する、
法律
上の解釈とそれから方針を持っておるか。私は持ってほしいので、それをお聞きいたしたいと思います。
稗田治
13
○
稗田政府委員
まず減額につきましての
行政
指導の問題でございますが、これは
生活
保護
世帯
の適用
基準
等を勘案いたしまして、一応全国的にある
程度
の水準を維持するために、そういうような
行政
指導を今後行なっていくつもりでございます。
生活
保護
世帯
に現になっている
居住者
につきましては、
生活
保護法の適用におきまして、第二種
公営住宅
の
家賃
は出していただけるような特別
基準
がございます。従いまして、保護
世帯
につきましては定められた法定の
家賃
は
補助
されることになるわけでございますが、
お尋ね
の
生活
保護法の適用は受けないけれども、実際の
生活
がそれに近いという、いわゆるボーダー・ラインの階層でございますが、これにつきましては、われわれといたしましては、一応それぞれの収入に応じまして、
生活
保護
世帯
の適用
基準
等も勘案いたしまして、減額の一定の
基準
を策定いたしたいと考えておるわけであります。
木村守江
14
○木村(守)
委員
ただいまの質問に関連してですが、この
住宅地区改良法案
の
趣旨
には心から賛成するのでありまするが、ただいま
山中
委員
から質問されたように、現在の
住宅
で住むに事欠かないというような状態であったのが、いわゆる
不良住宅地区
という
指定
を受けたためにその新しい建物に入る。そのために現在よりも
住宅
費が高まるということになりますと、人間の生きていくためには
住宅
だけではどうにもしようがないので、かえって
生活
に重圧を加えるような状態になりはしないかというような心配は何人も考えざるを得ない問題だと思うのです。そういう点から考えまして、問題点は
不良住宅地区
というものをどういうような
基準
できめるか。この第二条の第五項では、
政令
で定める詳細な
客観的基準
によってとありまするが、このいわゆる
政令
で定める詳細な
客観的基準
というのはどういうものか。これによって非常に問題が起こって参るだろうというふうな考えを持たれます。たとえばきわめて零細な、発言権の少ないような人たちの集まっているところを、意図的に
不良住宅地区
というようなことに
指定
されるような場合はないだろうと思いますが、そういうようなことがあったならば、この
法律
の美名に隠れて零細な国民を非常に圧迫するという結果になりはしないかというような心配がありますので、この
政令
で定めるというのはどういうような
基準
で定めるのか、これを御
説明
願いたい。
稗田治
15
○
稗田政府委員
不良住宅
の判定の
基準
といたしまして
政令
で定めるわけでございますが、その
内容
を申しますと、
建築物
の軸部、屋根及び外壁の腐朽破損の
程度
、
建築物
の基礎、柱の小径、屋根ふき材料、床高及び天井高等が正常な状態であるかどうか。また仮設または転用等の
使用
関係
、そのほかに設備といたしまして、吸排水設備、便所及び炊事
施設
の位置、形状、
使用
状態等の良否の別につきまして一定の判定の尺度を定めまして、これに基づきまして現地
調査
を行なって具体的に決定するようにいたしたいと思っております。
木村守江
16
○木村(守)
委員
ただいまいろいろこまかい
基準
を申されましたが、その
基準
のすべてがそういうような該当したものであるか。あるいはその一つ一つ、今幾つか、十ぐらい申されましたが、そのうち五つくらいあれば該当
基準
に入れるのか。この問題で非常に問題が起こってくると思うのです。ことに便所の問題、今申しましたけれども、
日本
の便所、下水の汚物処理の状態、こういうものを考えますと、
相当
の部分が該当するような格好になってしまうのではないかと考えられるのですが、幾つかあげられましたもののどれくらい入れば
不良住宅地区
と
政令
で定める
地区
に入るか、かなり問題じゃないかと思うのです。
稗田治
17
○
稗田政府委員
具体的な問題といたしましては、ただいま申し上げましたような事項につきまして点数制で採点をする。その点数の合計によって判断するというふうにいたしたいと思っておるわけでございます。 なお、この
政令
で定める
基準
の中に
改良地区
として
指定
する
地区
の
基準
もあるわけでございますが、ただいま考えておりますのは大体五十戸
程度
そういった
不良住宅
が密集しておるところを採用する。なお、その密集の度合いでございますが、地形等の
関係
もございますので、八割
程度
そういった該当した
不良住宅
で占められておるというところは
改良地区
に
指定
いたしたい。かように
政令
で定めたいというふうに考えておるわけであります。
山中吾郎
18
○
山中
(吾)
委員
家賃
のことで先ほど
お尋ね
したことについてのお答えは、減免を十分にするというお答えなんで、私の要望とは違うのです。私は現在住んでおるすべての
住民
が、ある
程度
収益の多い者、少ない者とあると思いますが、
改良住宅
を建てた当座一年とか二年とかは現在の
家賃
をくぎづけにしてそのままで入れてやるのだ。そうして
生活
習慣というものを新しい
住宅
、よい
住宅
による
生活
という新しい
生活
習慣の適応性ができるに従って妥当なる
家賃
を、ある者は
公営住宅法
に基づいてある
基準
によって減免の勘案をするということはその次の段階にすべきじゃないか。せっかく
福祉
政策として出発をした
住宅
政策が、その辺が画一的な
行政
ということによって非常に冷たいものになってくる。われわれの
生活
習慣は、豊かな
生活
をしておるものが少しでも下げられたときには非常に苦痛を感ずるという
生活
心理がある。そういうことを含んで、こういう
住宅
法案
を出すときには、わずかな
費用
なのであるから、そうしてある
程度
の期間を延ばせばそれにかけた
建設
費というものは還元されてくるわけでありますから、現状の
住宅
に住んでおる者の現状の
家賃
をそのまま一定の期間を移すのだ、その後に
住宅
法に基づいた減免の法則を適用するというような行き方をとるのが私は一番望ましいし、そうなると地元の協力も完全に出るのだ。そして非常に喜ぶだろうと思う。最小の
費用
で最大の民主政治の効果をあげられるものだと思うので、私はお聞きしたわけなのです。 そこで局長並びに次官もお聞きなのですから、次官から、今度何か政治的な
立場
で、こういうときには半期でも一年でも、あるいはできれば二年、三年
家賃
をくぎづけにするという方針でこの
法案
を
実施
されることが私は非常に望ましいと思うので、その辺の所見をお聞きしたいと思います。
大沢雄一
19
○大沢(雄)政府
委員
ただいま
山中
委員
から
お尋ね
の点は、
福祉
施設
としてこの
改良住宅
の問題を言うた場合にはきわめて重要な問題だと存ずるわけでございます。
改良住宅
につきましては、
福祉
政策の面と、さらにまた
住宅
政策の面から、ことに
建設省
といたしましては考えておりまするので、ただいまの御意見のところには踏み切れなかったわけでございまするが、それにかわりまして、今、
住宅局長
からお答えがありましたように、厚生省並びに労働省と連絡をとりまして、できるだけ減免の制度を活用して参る、そして
福祉
政策としての面はそれによって何とか達成していきたいという考え方でいっているわけであります。 私ども当初といたしましては、この
不良住宅地区
の
国庫補助
につきましては、第二種
公営住宅
よりもさらに
補助
率をもう少し引き上げまして、
家賃
の
基準
をもっと安くしたい、実はそういう考えで出発したのでございます。しかし、いろいろな経緯のもとに、第二種
公営住宅
の
補助
率と同様のものになりましたので、現状におきましては、散在して存在しておりまする第二種
公営住宅
に入っておりまする者との均衡等の問題もありますので、こういうことになった次第でございまして、御質問の
趣旨
はよくわかりまするが、私どもといたしましては、できれば
補助
率を第二種
公営住宅
よりも引き上げまして
家賃
の軽減をはかっていきたい。一定期間現状の
家賃
でくぎづけにするということはなかなか問題もあろうかと思いまするので、そこまで考えなかったような次第でございます。
山中吾郎
20
○
山中
(吾)
委員
実態は、おそらく
家賃
は二百円とか三百円とか非常に安いものに入っておる。ああいう引揚者の兵舎の中に入っておる。岩手の盛岡にもあるのです。従って、それを千円とか、減免をして八百円にしても、実は二倍、三倍になる。そういうことから考えて、貧しい人々は貧しいながらにそういう支出の構成があるものですから、二百円が四百円になっても、子供に学用品を買ってやるというようなことの中に暗い面が出るのです。金額からいったらまことに少ないものであって、それを少し措置すれば非常に明るい政治になるので、そういう
趣旨
から申し上げているのですが、
公営住宅法
の適用というものは排除できない、減免の
基準
というものがあるのでしょうから。そういうことならば、私は少なくとも
公営住宅
の
基準
に基づいて減免方針をきめて、千円にする人、八百円にする人が出ると思うのですが、猶予期間を置いて、一ぺんにやらないで、一年間に百円ずつ上げていくというようなことはできるんじゃないですか。樺太その他から引き揚げてきた人々で、八畳の部屋に子供を含んで七人がざこ寝をしているというような
生活
をまだしている。それがこの
対象
になると思うのでありますが、現実に私は盛岡でそれを見ておるわけです。そういうことを考えたときに、新しい家に入るんだから、そして特に減免をしてやるんだぞ、従って今より高くなって、二倍くらいになっても仕方がないんじゃないか、というようなことは、せっかくこういういい
法案
が
施行
されるにもかかわらず、
住民
からいったならば、何かありがたくないというような印象を与えておると思うので、少なくとも一年間くらいは新しい
生活
に適応することのできる猶予期間を与えるのが、私は非常に大事ではないかと思う。そういうこともできませんか。
稗田治
21
○
稗田政府委員
われわれの方で今日まで
事業
を
実施
して参りまして、いろいろ
調査
をしておるわけでございますが、大体今日まで
実施
して参りました
不良住宅地区
と称せられるものに住んでおる
居住者
の現行の
家賃
は、六、七百円
程度
平均納めておるわけでございます。なお、
場所
によりますと一日百円というような
家賃
を納めておる方もあるわけでございます。そういうようなことでございますので、私たちといたしましては、減額の
基準
を活用することによって、個々の人にとりまして実際に四、五百円しか
家賃
として払えないというような方には、そういう取り扱いも——
公営住宅
の
管理
関係
の
規定
におきましては、そういう減額の
基準
につきまして最低の
基準
というようなものを定めてあるわけではないわけでございます。従いまして、個々の場合につきましてはそういう取り扱いをされる方もあるのではないかと考えておるわけでございますが、一律に今までの
家賃
を引き上げないで、一年なりあるいは半年なり、そういう
家賃
で住む
権利
があるというような考え方はいたしてないわけでございます。それぞれの収入に応じて、やはり応分の
家賃
は支払っていただきたい、かように考えております。
山中吾郎
22
○
山中
(吾)
委員
その点はどうも私賛成しがたいので、一応意見の対立のまま保留しておきます。 それから、今
説明
をお聞きしますと、除去についての
補助
が三分の一、
建設
費が三分の二、こういう
補助
の差別をしておりますね。それで、
不良住宅
の場合には、なるたけ
家賃
を安くしてやるという
立場
からいいますと、除去の
費用
が二分の一ということなので、
建築
費そのものではなくても、
不良住宅
を
改良
して新しい
住宅
を建てる一貫した
事業
なので、何もないところに新しい
住宅
を建てるよりは、
事業
主体からいうと
費用
がかかる。従って、
家賃
は普通の場合よりもどこか高くするという導因が含まれていると思うのです、こういう
法案
の
内容
を見ますと。これは、大蔵省との折衝で除去費と
建設
費を
差別待遇
に押されてしまったのだろうと思うのですが、今、次官のお話のように
補助
率を多くして
建設
費を少なくし、
家賃
を少なくする方向に努力をしたのであるけれども、なかなかできなかったということですけれども、実際は除去費が二分の一ですから、普通の場合よりもさらに
事業
主体からいったらかかるので、
家賃
を高くするという刺激が含まれておる。そういう点私は疑問なのですが、この点についてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
稗田治
23
○
稗田政府委員
古い建物を買収し
除却
する清掃費でございますが、御承知のように、この間におきましては二分の一の
補助
率になっておるわけでございますが、これは
家賃
計算には清掃費は入らないことになっておるわけでございます。 なお、こういった
実施
につきまして、非常にいろいろむずかしい
障害
のある
事業
でございますので、もっと高率
補助
にすべきではないかという要望は
事業
主体の
立場
から当然出て参るかと思うのでありますが、この
法律案
によって廃止いたします
不良住宅地区改良法
の方におきましては、全部精算
補助
で、清掃費におきましても
住宅
建設
費におきましても二分の一の
補助
であったわけでございます。さようなことから考えまして、今日まで古い
不良住宅地区改良法
を使えなかったというのは、そういうようなところに原因の一つがあるわけでございますが、少なくとも
家賃
計算に影響のある
建設
費につきましては、旧来の
不良住宅地区改良法
よりも前進いたしまして、三分の二の
国庫補助
ということにいたしたわけでございます。
山中吾郎
24
○
山中
(吾)
委員
改良
するのですから、除去と
建設
を含んで
改良
費一本で三分の二の
補助
というふうな
予算
の立て方というのは主張できるのではないかと私は思うのですが、この点の今後の努力は
建設省
としてしていただかないと、
不良住宅
に住んでおる特に貧困者に対する
住宅
政策としては満点にはならないと思うのです。将来の問題についての方針としてお述べ下さってもけっこうでありますが、次官からその点をお聞きして、一応私の質問は打ち切ります。
大沢雄一
25
○大沢(雄)政府
委員
お説の通り一つ努力いたしたいと考えております。
羽田武嗣郎
26
○羽田
委員長
二階堂君。
二階堂進
27
○二階堂
委員
私も二、三の点について当局にお伺いをいたしたいと思うのです。 ただいまは
山中
君から
家賃
等の問題についていろいろ質問があったわけでありますが、今回のこの
法律
改正
によって、
不良住宅
に住んでおる人がりっぱな家に住めるようになるということは、
住宅
政策の上からいっても、また社会政策の上からいっても、私は非常な前進であると考えております。 問題は、先ほどからいろいろ議論になっておりますように、新しい
住宅
に移った者が高い
家賃
を支払うようなことになっては、かえってこの
法案
の本来の
趣旨
に沿わない。特に社会政策の上から考えて不合理な結果になってくるというようなことが心配をされるわけであります。先ほどからいろいろ局長の
説明
を聞いておりますと、そういうことはないんだ、こういうような御
説明
のように私は拝聴いたしたのでございますが、そこで問題は、
不良住宅
に
指定
される
地域
に住んでいる人たちの実態が一体どうなっているかということだろうと思っております。局長の話によりますと、一日に百円ずつ支払って寝泊りしている人もある。そうしますと、月に三千円なんです。あるいはまた六、七百円
家賃
を支払っておるということでありますが、これはあなたの方で実態を
調査
された結果によるものか、ただ文献等によって一応大体この
程度
だということでお話しになっておるのか。あるいは、どこどこ
地区
の
不良住宅
と考えられておるような特定の
地域
に居住している人の
生活
の実態というものをよく御
調査
になった上のお話なんですか。私はこれは厚生省の方も一つ来ていただいて、よく事情を聴取してみたいと思うのですが、大体一がいに
不良住宅
というと、きわめて
生活
能力の少ない、その日暮らしの人が住んでいるのじゃないかと思っている。そうしますと、ふろ屋に行く金十四、五円でも非常に因る人がたくさんおるわけなんです。これを五円上げるだけでも世間では騒いでいる。私はそういう人が
不良住宅
といわれる
区域
に住んでいる人じゃないかと思うのです。先ほどからいろいろ問題になっておりますが、せっかく
不良住宅
を解消してりっぱなうちを作ってそこに住ませるということはけっこうなんですが、そこに住んでいる人たちの実態というものが一体どうなっているのか。中には貧しげに住んでおっても
相当
な収入をあげておる人がおるかもしれません。
山中
君のように、一般の理想案として、現在の
家賃
で少なくとも一年ないし二年そのままくぎづけにしておいて、上げるならば漸次上げていったらいいじゃないかという議論もあります。これは一般
原則
論としては私は賛成なんですが、かりに一日百円そこそこで
生活
にも困っている人もあるかもしれぬし、あるいは数万、数十万というような貯金をしている人もあるかもしれぬ。そういう人が、直った場合に、
支払い
能力がある場合には、ある
程度
りっぱなうちに住むのですから、ある
程度
家賃
をふやして、そのふやされた
家賃
だけ支払うのは当然だと思っております。国が
相当
費用
を持って、公共的な政策として
住宅
を提供するわけですから、その公共性という上からいっても、
支払い
能力のある者はある
程度
家賃
をよけい払ってもいいと思うのです。しかし、かなりの部分の人は私はそういう人ではないんじゃないかと思う。これはこの
法案
が部会に提出されたときから私はこの問題を取り上げて、局長にもいろいろとその点を念を押しておいたわけでございます。回りくどいことは別といたしまして、全国に約二十万戸と推定される
不良住宅
に住んでいる人がおるといわれているのですが、この
地区
も
相当
の
地区
に上っておると思っております。あなた方はこういう
地区
の実態を的確につかんで、そして今回の
法律
によってできたうちに住んでも
家賃
の面において
支払い
能力はかなりあるものだ、われわれがそう心配するものではないというふうに断定される自信があるかどうか。こういう点をお伺いしておきたいと思うのです。
稗田治
28
○
稗田政府委員
先ほど実際に
不良住宅
に居住している者の負担しておる
家賃
の例を申したわけでございますが、これは全国に約二十万戸以上存在するであろう
不良住宅
の
居住者
全体について申し上げたわけではないのでございます。二十七年度から第二種
公営住宅
をさきまして
不良住宅
地
改良
事業
を進めて参りまして、
実施
した
調査
に基づいて申し上げたわけでございます。主として神戸市の番町でございますとか、京都市等で比較的
不良住宅地区改良
というものが進んでおるわけでございますが、そういう
地区
の実例から申し上げたわけでございます。従いまして、全国の二十万戸以上の
不良住宅
における
居住者
について、現在負担しておる
家賃
がどのくらいであるかという詳細な新しい
調査
は現在持っていないわけでございます。ただ、三十四年度におきましても、
法律
にはよりませんけれども、千五百戸
程度
の
改良住宅
の
建設
を行なってきておりまして、三十五年度にはこれが二千戸となるわけでございますが、この
程度
の
事業
の伸ばし方でいけば三十五年度
程度
には、やはり三分の二の
補助
率でもやり終わせるだろうという見通しを持っておるのでございます。全国的に二十万戸の
不良住宅
を解消する、そこまで
事業
が
促進
されていくという将来につきましては、先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、
家賃
の負担力の均衡を考えまして、
建設省
といたしましてはできるだけ第二種
公営住宅
よりもさらに高い
補助
率を実現したい、かように考えておるわけでございます。
二階堂進
29
○二階堂
委員
三十五年度に
計画
実施
されようとしている
地区
は、一体どこを考えておられるのですか。
稗田治
30
○
稗田政府委員
これにつきましては、ただいま
地方公共団体
から要望をとりまして、いろいろと打ち合わせ中でございますので、まだ確定していないわけでございます。
二階堂進
31
○二階堂
委員
ことしの
予算
の折衝の際にも、私も直接大蔵当局あるいは部会を通じて意見を述べたこともあるのですが、せっかくこういう特別な
法律
を作って
不良住宅
を解消しようということですから、しかもこの
法律
の第十条、第十一条を見ますと、かなり強制的なにおいが出てきておると思うのです。そうであればあるほど、さきの
山中
君の議論もありましたが、やはりある
程度
一般の、第二種
公営住宅
の
家賃
よりも低くしていくということが、この
法案
の持つ社会政策的な意味にも合致するゆえんであろうかと思っております。 そこで、ことしは
予算
折衝のときにも、
建設省
も
家賃
を引き下げる上において
補助
率をもう少しふやせという折衝をなさったことは私も十分承知しております。しかしながら、いろんな事情で、
公営住宅
なみの
補助
率になったわけでございますが、三十六年度
予算
にあたっては、私はやはりこの点を強く
建設省
として主張されてしかるべきだと思っております。その点を特に私は御要望申し上げておきます。 次に、地方からの申し出によって
不良住宅
の
建設
を行なうという、いわゆる
施行
する者の申請を待ってやるということなんです。その
施行
主体は
市町村
あるいは
都道府県
である、こういうことになっておりますが、
市町村
が大体主になってくると思うのです。
市町村
が財政の能力等がなくして非常に 特殊な事情、困った事情がある場合には、
都道府県
がこれにかわって行なう。大体こういうようなことに
法律
の
趣旨
はなっておるのじゃないかと思うのですが、私はこの点が非常に不明確だと思っております。これは、
市町村
は財政が非常に豊かなところもあるでありましょう。あるいはまた非常に財政力のないところがあると思っておりますが、かりに自分の方でやろうと思ってもやれない。そうすれば、申請を非常にちゅうちょする。ところが、申請をしても自分の方でやれないとなると、県の方から、今度県がかわってこれをやるということになっておりますので、
施行者
の責任と申しますか、主体のやるものが積極的にこういうものを解消しようというような意欲が非常に欠けてくるのじゃないか。これは県なら県が責任を持って、こういう
不良住宅地区
があるなら、これを解消するというような面を、もう少し私は明確にされておく必要がないかと思うのです。
市町村
が主であって、しかもやむを得ざる事情があるときとか、あるいは財政的に非常に困っておるというときには
都道府県
がやる、こういうようなことになっておると、やろうと思ってもなかなかやれない。そこで責任のなすり合いをする。おれはやりたいのだが県がやってくれない、あるいは県が最初からやってくれないかということになってくると、私は非常に消極的な申請になって終わるのじゃないかと思うのですが、この点についてどういうふうにお考えですか。
稗田治
32
○
稗田政府委員
市町村
が財政的に能力のないような場合に、
都道府県
がかわってやるわけでございますが、なおそのほかに、
都道府県
が
施行者
である
市町村
に対しまして資金的な援助も与えることができるようにうたってあるわけでございます。さようなことでございますので、私たちといたしましては、
市町村
が第一になっておりますのは、
地域
社会に一番密接した
立場
にある
市町村
というものがやはり
住宅地区改良法
の
施行
によって当然なすべき
義務
があるというような点から、
市町村
を第一の
施行者
にしたわけでございますけれども、
行政
指導によりまして、
都道府県
が資金的に能力のないような
市町村
に対しましては代行するなり、あるいは資金的な援助を与えるというようなことを積極的に指導して参りたいと考えております。
二階堂進
33
○二階堂
委員
除去するために国が二分の一の
補助
をする、それから
建設
費については三分の二の
補助
をする。そうすると、あとは、自治体の
市町村
がやる場合には、
政令
あるいはほかの方法によって、たとえば
除却
する
費用
の残った二分の一のうち幾らは県が持つとか、あるいは
建設
費の何分の一は県と
市町村
が持つ、こういうふうな区分になるようにお考えなのですか。あるいはそれを
施行
する自治体等が
除却
の場合は二分の一、あるいは
建設
費の三分の一全額を持つ、こういうことになるのですか。また財政的に非常に能力のないところは、起債の面でこれを見てやるというようなところまでお考えになっておるわけですか。自治庁との
話し合い
はどうなっておるのですか。
稗田治
34
○
稗田政府委員
ただいまの
都道府県
の資金的な援助の面でございますが、その負担の割合等につきまして
政令
で
規定
するというところまでは、残念ながら自治庁との折衝でも、ついてないわけでございます。従いまして、われわれとしては
行政
指導でなるべく援助をするようにということで
実施
して参りたいと考えておるわけでございます。 なお、
事業
主体の
補助
金以外の負担金でございますが、これにつきましては、
公営住宅
と同様に自治庁の方で起債の
対象
にしていただけるということで話はついております。
二階堂進
35
○二階堂
委員
私はやはり資金の面が一番問題になっておると思っておりますので、この点は十分一つ今後
行政
指導のよろしきを得ていただきたい、かように思っておりますし、なお同時に、この起債の面等で十分めんどうを見るような措置が備わってこそ初めてこういう
法律
の
施行
が完遂できるのだ、こういうふうに考えますので、この点についても、大した額でもないと思いますが、二千戸と申しましても金額がどのくらいになるかわかりませんが、そういう面についても、やはり財政能力のない
市町村
に対しては起債等で十分めんどうを見ていくというような措置が講ぜられなければならぬと思っております。 第十条、第十一条を見ますると、この中にも問題にすればいろいろ議論の余地があると思っております。かなり強制的に
不良住宅
というものを政府の力によって、もちろん法的な
手続
あるいは自治団体等の協力を得てやることにはなっておりますが、
不良住宅
を
除却
しなければならぬとか、あるいは
相当
な期限を定めてこれを明け渡すことを命ずることができるというような、何か知らぬが非常に強い権力をもってぜひこれをやるのだというようなにおいが出ておると思うのです。もちろん、こういうことをやるには、それぞれ法的な
手続
なり、その他の協議等を経て、納得の上でやるということになっておりますが、やはり
法律
そのものの持つ意味というものは、問題にすれば幾らでも問題になるような個所があろうと思っております。これらの点については、またいずれ私も
お尋ね
いたしてみたいと思うのであります。 問題は、そうしますと、
不良住宅
を除去する場合に、今度は第十四条でありまするが、一時の
収容施設
を作らなければならない、こうなっておりま す。そこで、一応
不良住宅
区域
が
指定
されて、そこに住む者が納得して、そうして
計画
等が樹立された場合には、そこにいる人になおってもらうために一時の
収容施設
というものを作らなければならぬ。これは当然のことだと思っております。しかしながら、現在住んでいる
場所
に近いところに一時の
収容施設
を作る
場所
がある場合、あるいは
計画
がそういうふうに立てられた場合には、これはさしたる問題はないと思っておりますが、もしそういう
場所
がないときには、あるいは
相当
遠いところに一時の
収容施設
を作らなければならぬということになるかと思っております。そうしますと、
住宅
を
建設
するのでありまするから、一週間や二週間でその
住宅
は建つものではない。
相当
期間がかかる。あるいはその中の一人や二人が問題を起こして、なかなか立ちのかないという場合が起こりますと、六カ月ないし一年かかるかもわかりません。そうしますと、遠いところに一時収容された者が、たとえば働く
場所
に行くにしても電車賃を払わなければならぬとか、交通費がかかるとかというような場合が出てくると思うのです。そういうような場合に、一方には強制的にそこへ一時収容させる。ところが、そこに移された者はいろいろなことで不便を感じ、交通費等がよけいかさんでくる場合があると思いますが、そういうようなことがあった場合には、その人たちの
生活
費がかさむわけでありますが、どういうふうにそれを措置されるつもりか。 また、一時そこに収容されて引っ越したところが、たまたま火災等によって焼けて、大へんな
被害
をこうむるような場合が万一起こらぬとも限らぬ。そういった場合には、そういう人たちの
被害
というものに対する
補償
とかいうようなものはどうされるつもりか。そういう場合が万一起こらぬとも限らぬ。私の友人が引っ越して、あくる日火事で焼けたということもある。ところが、これは十条、十一条によって納得の上とはいえ、
不良住宅地区
を一応政府の力によって、あるいは自治団体の協力によって解消して、新しい家を建てる。そのために一時引っ越せ。こういうふうに、納得の上でも、引っ越させて距離が遠くなって、交通費がかさむ。それじゃ困る。あるいは火事があって、それが全部焼けたというような場合が起こった場合等の
規定
というものは、これは何も書いてないが、そういうものが起こった場合には、これは自治体と国が責任を持って、ある
程度
の
補償
をするということになるわけですか。それとも、それは、もうとにかく自分の災難なんだからしようがない、こういうふうに考えられて、ほっておかれていいものかどうか。これはそこに移る人が貧乏人であればあるほど、そういうことまでわれわれは心配せざるを得ないのでございますが、どうなんですか。
稗田治
36
○
稗田政府委員
一時
収容施設
でございますが、これはなるべく
改良地区
に近接した、あるいは
改良地区
内の敷地内の空地を活用して建てるというようなことで、
全戸数
につきましてこれを建てるのでなしに、
事業
の速度に合わせながら、その一時
収容施設
を回転して
使用
していくというようにいたしたいと思っているわけでございます。たとえば東京都におきましては、パイプ製の組み立て
住宅
をこの一時
収容施設
に使って、現在やっておるわけでございます。そういうような
構造
の一時
収容施設
が、
建設
するとすれば望ましいと考えておるわけでございます。 なお、
災害
の場合でございますが、
施行者
の方といたしましては、できるだけ
管理
を十分にいたしまして、そういう
災害
の起きないように十分監督をしていただきたいというように考えておるわけでございます。この一時
収容施設
にたまたま火災が起きた場合の罹災者の救助あるいは
補償
等につきましては、この
法律
には特に定めてないわけでございますが、その
実情
に応じまして、
施行者
の方で、それぞれ救済措置を考えていただきたいというように考えておるわけでございます。
二階堂進
37
○二階堂
委員
まあ私は、ある一角を
不良住宅
地域
ときめて、そうしてそこにある
住宅
を建て直すということで除去する。そうしてまた、一ぺんに
計画
に従って新しい
耐火構造
等の
住宅
を建てるわけでありますから、そこに五十戸住んでおる者の家を五十戸分建ててやるということになろうかと思っておりますが、今
住宅局長
の話によりますと、まず十戸だけ建てて、そうして十戸だけその人たちにそこに引っ越してもらう。一ぺんに建て直すということではないというような意味にも私はとれるような感じがいたしたのでございますが、しかし、いずれにしましても、十戸入れるから十戸建てて、そこに十戸収容する。あとの四十戸は漸次また建てただけ入れるのだというようなことでは、なかなか工事も
促進
しない。一ぺんに一つの
区域
を撤去して、そうして一ぺんにそこに新しい
住宅
を建てるということでなければいかぬと思っております。そうなれば、一ぺんにそこにおった人たちをある
収容施設
に収容しなくちゃならぬということになると思う。 また私は、災難等が起こらないということは望んでやまないわけですが、最近火災等がたくさんある。いろいろな事故がある。そういうことが万一起こった場合、これは金持ちであれば心配はないわけですが、非常に貧乏人が多いのじゃないかと思うから、私は心配をする。 さらに、遠いところに行って、交通費が一日五十円かかるということになると、一カ月なり六カ月なり、それだけ自分の
生活
費がよけいかかるわけです。そうすると、新しい家を作ってもらう間、そこに引っ越したために自分の
生活
が苦しくなるということも起こり得ると思う。また、さっき言ったように、ほかのところからの火災の影響を受けて自分の住んでいるところが焼けたという場合は、これは大へんなことになる。そういうことが起こらないように指導監督されるということは当然でしょう。しかし、そういうことが起こった場合どうするかということ、われわれはこの
法律
をせっかく作って、そうして貧しい人のためによくしょうという
趣旨
ですから、それであればあるほど、やはり
行政
官庁としては手落ちのないように指導されることが私は当然ではないかと思うので、こういうふうに心配するわけですから、
お尋ね
しておきたいと思うのですし、またそういうことも今後の
行政
指導の上に十分に生かしていただきたい、かように考えるわけです。 第十条、第十一条等の問題につきましては、私はもう少し
法律
、特に
土地収用法等
をよく勉強して、さらに
お尋ね
いたしたいと思っておりますから、本日はこれで私の質問は終わります。
羽田武嗣郎
38
○羽田
委員長
岡本君、
岡本隆一
39
○岡本(隆)
委員
この
法律
については、
趣旨
において非常に賛成でございますけれども、それであるだけに——現在こういうふうな
地区
が非常に多くて、
建設
委員会
の
調査
室でも
調査
に参りましたが、この
不良住宅
地域
は全国で千四、五百あり、
戸数
にすれば二十万戸をこえると推定される、こういうふうな数字が出ております。私はまあ、
戸数
はもっと多いように思うのです。そこで、そういたしますと、二千戸ぐらい年々建てていくというふうなことでは、シジミ貝で井戸がえという言葉がございますが、ほんとうにこれはもうどんどん
不良住宅
は、今後とも
住宅
の荒廃とともにふえていって、しかも
建設
される
戸数
があまりにも少ないというふうな感があるのですが、これについては将来はどういうふうな構想を持っていて、何年
計画
でこういうふうな
不良住宅地区
をなくそうという目標を掲げておられるのか。その辺についての御所見を承りたいと思います。
稗田治
40
○
稗田政府委員
二十七年度から
公営住宅
の第二種を使いまして
改良
事業
を進めて参ったわけでございますが、年々平均いたしますと
実施
戸数
は約五百戸
程度
ずつ伸びていったわけでございます。もちろんこの三十五年度にわれわれといたしましてはもっと多くの
戸数
を
実施
したかったわけでございますけれども、いろいろ国の財政事情等もございまして、二千戸
程度
にとどまったわけでございます。ただ、今日まで進めて参りましたのは、
法律
によらないで
実施
してきた成果でございます。それがまあ三十四年度を含めまして四千五百戸になるのではないかと思っておりますが、今後この
法律
が
施行
になりますと、
法律
の
施行
基準
に従って
地方公共団体
も
計画
的に
実施計画
が策定されるようになって参るわけでございます。従いまして、全国に約二十万戸
程度
ございますので、これを長期
計画
で解消するための、そういった
住宅
政策全般の長期
計画
ともからみ合わせまして、
計画
を今後策定いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
岡本隆一
41
○岡本(隆)
委員
こういうふうな、この
法律
の
対象
になる
環境
というものも、私はたびたびその
地区
へ行って、存じております。しかしまた、その
環境
の中で、なおかつそのような家すら得られない。たとえていえば、非常に狭い家の中へどんどん同居したり、間借りしていったりしておるというふうななにがございまして、考え方によれば、現在の
住宅
事情はその
不良住宅
すら得られない人たちがまだ多数いるというほど、窮迫をきわめておるというのが今日の状況だと思います。従って、もちろんそういうものを取り除いてりっぱなもの、きれいなものを取りかえていかなければなりませんが、むしろそれよりも別に建てて、それはそれでまだなんとか補修して住める
環境
にしておくというふうなことがあってもいいと思えるほど、今日の
住宅
事情というものはひどいのです。だから私は、もちろんこの
法律
の考え方も賛成でございますし、また、どんどん
環境
のひどいところは建てかえていかなければなりませんが、これを進めると同時に、やはり
住宅
政策というもので、もっとどんどんと
計画
的に建てていく。同時にまた、それが建つことによって、おのずからこういう
住宅
というものが私はなくなってくると思うのです。 そこで、あなたの方では大体五十戸ぐらいを
基準
に、この
程度
の
住宅
が
集団
的にあるところを
不良住宅地区
と見ているというようなお話しを、いつか承ったように思うのでございますけれども、しかしながら、散在的にウナギの寝床のような
相当
ひどい、たとえば入口が一方にあるだけであって、その一方の入口だけがわずかにあかりをとるあかりとりと、それから空気を交換せしめる通気孔があって、その他は一切壁でもって三万囲まれておるというふうな長屋が十数戸、二、三十戸というふうにあるようなところが、たくさんございます。だから、そういうような
環境
も、あわせてわれわれは整理していかなければならないと思うのです。そういうふうなところをなにしていきますと、たとえば
相当数
まとまってそういう家がある
集団
的なところのほかに、散在的にそういうふうなものが
相当
全国的に私はあると思うのですが、そういうふうな
住宅
については、どれほどあるか
調査
なさった統計があるでしょうか。
稗田治
42
○
稗田政府委員
全国的な統計といたしましては、散在しておる
不良住宅
ないし老朽危険家屋というものが何戸であるという集計はいたしてないわけでございますけれども、一昨年の十月に行ないました総理府の
住宅
事情
調査
でございますが、それによりまして、必ずしも
不良住宅
とぴったりイコールではございませんけれども、老朽危険な家屋の
戸数
は把握してございます。大体一昨年の十月の統計によりますと、六十八万戸の老朽危険な家屋があるということになっておるわけでございます。そのうち散在しておるのが何戸かということは、わかりかねますけれども、一応そういうような老朽家屋があるということで、国の長期
住宅
政策を立てておるわけでございます。 それから、
住宅地区改良法
の適用の
対象
となりますのは、先ほど申し上げましたように、ある
程度
そういった
不良住宅
が密集しておりまして、その街衢全体として周囲に非常に悪影響を及ぼしておるという
地区
を健全な
住宅地区
に形成していく
手段
でございますので、この
法律
の適用はできないわけでございますけれども、一方におきまして、
公営住宅
の
建設
は今後も進めていくわけでございますが、
公営住宅
に、
不良住宅
を撤去した場合の特定
入居
ができるような
規定
が
政令
にございます。従いまして、非常に散在しておる
住宅
におきましても、これは
保安
、衛生上非常に危険であるというふうな状態になりますと、
建築基準法
によりましてこれの除去
処分
命令が出せることになるわけでございます。その場合には、その
入居
者は
公営住宅
に特定の
入居
ができることになっておるわけでございます。従いまして、散在しておる老朽家屋につきましては、そういった
公営住宅法
の
入居
の
基準
等を活用いたしまして、あわせてやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
岡本隆一
43
○岡本(隆)
委員
老朽
不良住宅
六十八万戸というのは、おそらく
相当
ひどい
環境
の中に住んでいる人たちの
住宅
をさすものであろうと思うのでございますが、
住宅
政策をどんどん進めていただくようにお願いしたいと思います。 なお、この
住宅地区
改良
の
対象
としては、従来は大都市の中の
集団
的な大きな
不良住宅地区
というふうなものが取り扱われてきていたのではないかと思うのでございます。しかしながら、この
法律
の
趣旨
そのものは、中小都市あるいは町村、今日では合併して村というものはなくなってきつつありますが、そういうふうないなかの方の町でも、京都あるいは奈良、関西方面では
相当
環境
の悪いところがたくさんございます。そういうふうなところも、ある
程度
まとまって
不良住宅
と目されるような
環境
があれば、これは
実施
の
対象
になるのではないかと私は思うのですが、どういうふうな御見解でございますか。
稗田治
44
○
稗田政府委員
この
法律
の適用
対象
といたします
改良地区
の位置につきましては、必ずしも大都市というふうに限定するわけではないわけでございます。従いまして、この
法律
の中にも
都市計画区域
内で
改良地区
を
指定
する場合には、
都市計画審議会
の議を経て
都市計画
の
調整
をはかるように定めてあるわけでございまして、それ以外のところはそういう
都市計画審議会
の議を経ないわけでございます。こういうことは同時に、そういうような中小都市、あるいは町村においても、集落してそういうものが発生しておるところにつきましては適用するつもりでございます。
井原岸高
45
○井原
委員
ちょっと、
お尋ね
しておきます。結局は
家賃
の問題が非常に問題になると思うのです。それで、県あるいは市によっては、あるいは三分の一の負担を全額負うてでも、周囲の
環境
とか衛生すべての方面から考えて、そのまま建てかえて、むしろ、ただでも、のいてもらいたいと希望しておる市もあることはよく私わかっています。そういったことは大して問題ないのですが、実際に貧弱町村で赤字で困っているところに、
集団
的に五十戸でなくても、三十戸、二十戸という非常に困った部落が各所にあり、私らの県にもたくさんあるわけです。そういう場合に、さきに各先生方のおっしゃったように、
家賃
が非常に問題になると思うのです。 それで私としては、この際まず
お尋ね
しておきたいのは、木造とか鉄筋の場合に、何年くらいを目標にして償却するかということが一つと、それから、やはり
行政
措置の問題としては、よほどこれは県なり当該の市と厚生省と、よくいろいろ具体的なことを個々に当たって研究してもらって、そして
建設省
としては三分の二以上というわけにはいかぬでしょうが、他の方法でどうなるかということをよく究極的に研究をして、遺憾ない割当をしてやるようにしてやらなかったら、せっかく割り当てたけれども現場で実際にできないという事態が起ころうかと思いますので、そういう点を厚生省と大いによく研究してもらって、この
委員会
で十分厚生省の
立場
に立って答弁できるような資料を次の機会までに作ってもらいたいと思います。
二階堂進
46
○二階堂
委員
ちょっと、資料を
委員長
に要求したいのです。 東京都内において
不良住宅地区
と考えておられる二、三
地区
の中で、その中に
生活
しておる人の実態の資料が得られるならば、厚生省なり東京都なり、あるいは
建設省
を通じてなり、できるだけ詳細に提出していただきたいと思います。
羽田武嗣郎
47
○羽田
委員長
そのことについてはこの次の金曜日の午後、スラム街を
委員会
として視察したいので、資料を一つお願いします。 ————◇—————
羽田武嗣郎
48
○羽田
委員長
この際お諮りいたします。当
委員会
におきまして
審査
中の治山治水緊急措置
法案
につきまして、ただいま農林水産
委員会
より連合
審査
会の開会の申し出がありました。つきましては、来たる十七日、定例日外でありますが、特に農林水産
委員会
と連合
審査
会を開会することに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
羽田武嗣郎
49
○羽田
委員長
御異議なしと認め、さよう決します。 なお、来たる十六日の定例日は、参議院
予算
委員会
公聴会の予定の日に当たりますので、
建設大臣
、農林大臣、企画庁長官及び大蔵省、運輸省、厚生省、通産省当局の出席を求め、午前、午後にわたり
質疑
を行なう予定でございますので、この際念のため御報告しておきます。 次会は明後十一日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後零時四十五
分散
会