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1960-03-09 第34回国会 衆議院 建設委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月九日(水曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 羽田武嗣郎君    理事 井原 岸高君 理事 木村 守江君    理事 二階堂 進君 理事 堀川 恭平君    理事 南  好雄君 理事 山中 吾郎君    理事 塚本 三郎君       逢澤  寛君    川崎末五郎君       島村 一郎君    砂原  格君       橋本 正之君    服部 安司君       廣瀬 正雄君    堀内 一雄君       石川 次夫君    岡本 隆一君       兒玉 末男君    實川 清之君       山中日露史君    今村  等君  出席政府委員         建設政務次官  大沢 雄一君         建 設 技 官         (住宅局長)  稗田  治君  委員外出席者         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 三月四日  中央自動車道東京、小牧間の予定路線を定める  法律制定促進に関する請願福田篤泰君外一名  紹介)(第七四六号)  津山姫路線国道編入等に関する請願堀川恭  平君紹介)(第七四七号)  東海道高速自動車道建設促進に関する請願(八  木一郎紹介)(第七六七号)  同(小金義照紹介)(第八五〇号)  同(長谷川保紹介)(第八八一号)  県道本宮線舗装に関する請願山本猛夫君紹  介)(第七六八号)  入間川改修に関する請願山口六郎次紹介)  (第九二二号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  連合審査会開会に関する件  住宅地区改良法案内閣提出第八六号)  公営住宅法の一部を改正する法律案内閣提出  第八七号)      ————◇—————
  2. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員長 これより会議を開きます。  住宅地区改良法案公営住宅法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  前会、村上建設大臣より提案理由説明を聴取いたしたのでありますが、この際稗田住宅局長より補足説明を聴取いたします。  稗田住宅局長
  3. 稗田治

    稗田政府委員 ただいま議題となりました住宅地区改良法案につきまして逐条説明を申し上げます。  第一条は、この法律目的を定めたものでございます。不良住宅が密集する地区について、その劣悪な環境を除去し、健全な住宅地区に形成することによってその環境整備改善をはかり、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅集団的建設促進することを目的とし、その目的を達成するため住宅地区改良事業の遂行上必要な規定を定めることとしていたしております。  第二条は、この法律において用いている特別の用語の定義を掲げてございます。  第一項は、住宅地区改良事業について定めてございます。住宅地区改良事業改良地区整備に関する事業及び改良住宅建設に関する事業とからなり、建設大臣指定した改良地区内の不良住宅除却改良地区を健全な住宅地区に形成するため必要な土地整備及びこれらの事業によって住宅を失うこととなる者を入居させる改良住宅建設内容といたしております。  第三項は改良地区について定めてございます。改良地区とは住宅地区改良事業によりその環境整備改善をはかろうとする土地区域であり、不良住宅が密集して、保安衛生等に関し危険または有害な状況にある一団地建設大臣指定したものでございます。  第四項及び第五項は不良住宅について定めてございます。不良住宅とは、人が居住する建築物でその構造また設備が著しく不良であるため、住宅として用いることが著しく不適当なものであります。その判定は政令で定める詳細な客観的基準によって行なうことといたしております。  第六項は改良住宅について定めてございます。住宅地区改良事業施行者は、改良地区指定の日に、その地区内に居住する者で、事業施行に伴って住宅を失うこととなり、そのため住宅に困窮するであろうと認められるものの世帯数だけの住宅建設する義務を負っているのでありますが、その建設される住宅改良住宅と名づけているのでございます。  第七項の地区施設と申しますのは、改良地区内の土地整備を行なった後に集団的に建設される住宅居住者共同福祉または生活上の共同の利便のために必要であると認められる施設でございます。第八項の公共施設同様政令で列挙することといたしております。第三条は住宅地区改良事業施行者について定めてございます。住宅地区改良事業住民の安全、健康及び福祉の保持を目的とするものであること、改良住宅を長期にわたって低額家賃で提供する必要があることなどの理由から地方公共団体が行なうものとし、原則的には市町村が、市町村が行なうことが財政的に困難である場合等には都道府県施行するものとしたのでございます。  第四条は改良地区指定の要件及びその手続について定めてございます。  第一項は、建設大臣改良地区として指定することができる土地の具備すべき条件を定めたものでございます。住宅地区改良事業事業計画を定めるためには建設すべき改良住宅戸数を確定する必要がありますので、事業計画認可に先だって、あらかじめ改良地区指定を行なうことといたしたのでございます。  第三項で、都市計画区域内の土地につきましては改良地区指定の際都市計画審議会の議を経ることといたしましたのは、住宅地区改良事業を行なうべき区域と他の都市計画との調整をはかるためでございます。  第五条は住宅地区改良事業事業計画認可について定めております。住宅地区改良事業事業計画につきましては、関係権利者の保護、技術的な設計能力の補充の必要から建設大臣認可を必要とすることといたしました。  第六条は事業計画で定めるべき内容及びその準拠すべき原則を定めてございます。  事業計画改良地区内の土地利用に関する基本計画及び住宅地区改良事業実施計画とからなっております。改良地区内の土地利用に関する基本計画は、改良地区内の土地について整備を行なった後の住宅地区施設等の用に供する土地の配置について定めるものであります。実施計画と別個にこれを定めることといたしましたのは、整備完了後の土地建設される改良住宅以外の住宅地区施設等は、施行者以外の者が設置することとしているためであります。  第四項は住宅地区改良事業目的を具体化した条文であります。改良地区環境整備改善は単に不良住宅除却を行なうのみでは目的を達することができず、これを健全な住宅地区に形成することが必要であるためであります。  第六項は改良地区内の土地利用に関する基本計画を定めない例外的な場合について定めたものであります。土地利用に関する基本計画は、第四項の規定により改良地区を健全な住宅地区に形成するように定めなければなりませんが、公共施設に関する都市計画が決定されているとか、建築基準法による工業専用地区指定がされていて住宅建設することができない場合等にはこれを住宅地区とすることはできませんので、土地利用に関する計画は作成しないことといたしております。第七項は土地利用に関する基本計画住宅の用に供すべき土地と定められたものには改良住宅公営住宅日本住宅公団法規定による住宅等公共的性格を有する住宅建設すべきことを定めております。改良地区内の土地整備するためには土地収用も認めることとしておりますので、限定するのが適当であると考えられるからであります。第七条は施行者事業計画を定める際に、それに関係のある地方公共団体行政機関等と協議すべきことを定めたものであります。公共施設及び地区施設につきましては、法令上その設置について制約がある等十分調整をとっておく必要があるので、あらかじめ関係のある管理者行政機関との間で協議を行ない、改良地区内で住宅建設を行なおうとする者につきましては、整備完了後に建設計画等についてあらかじめ十分な打ち合わせを行なうことによって住宅地区改良事業の円滑な施行を確保する趣旨のものでございます。第八条は事業計画認可があった場合の公示方法について定めてございます。第九条は事業計画認可後の改良地区内における建築制限について定めたものであります。住宅地区改良事業の円滑な施行を確保するため、おおむね土地区画整理法規定と同様に、事業計画認可後、改良地区内においては、住宅地区改良事業施行障害となるおそれのある土地形質変更建築物工作物新築等都道府県知事許可を受けないで行なうことはできないことといたしております。第四項以下の規定建築制限に違反した行為に対する是正措置及びその手続等について定めてございます。第十条は改良地区内の不良住宅はすべて除却しなければならないことを定めてございます。改良地区環境整備改善するためには、地区内に不良住宅が存在しないようにする必要がありますが、その際これを取りこわさず単に地区外移転させるとすれば、移転先で再び劣悪な環境地区を形成することとなるので、施行者に取りこわしの義務を課したものであります。第十一条は不良住宅除却するために必要な手段として不良住宅収用及び明け渡し命令について定めてございます。不良住宅を取りこわすためには、まず不良住宅所有者との話し合いによってこれを取得する必要があるわけでありますが、話し合いがつかない場合には住宅地区改良事業目的を達成するため、施行者不良住宅収用することができることを規定してあります。第二項は施行者との話し合いによってすでに補償金支払いを受けたにもかかわらず、これを施行者に明け渡さない者に対して、明け渡し命令を出す権限施行者に与えたものであります。これは本来民事訴訟手続によって明け渡し義務の履行を強制することができるわけでありますが、実際上相当の期間を必要とし、そのために事業施行が延引することとなれば、すでに住宅除却された地区内の他の居住者改良住宅に入居する時期がおくれるといった不都合が生じることとなりますので、行政的な手段が必要であると考えられるからでございます。第十二条は改良地区内の土地を健全な住宅地区に形成するために必要な土地整備について定めてございます。改良地区内の土地利用に関する基本計画で定められた用途に従い、必要な土地区画形質変更整地等を行なうことによって、改良地区は健全な住宅地区となり、その環境整備改善目的が達成できるわけでございます。ここで土地形質変更と申しますのは、低湿地のかさ上げ、崩壊防止のための擁壁設置等を考えております。第十三条は土地整備のために必要な土地収用及び建築物移転命令等について定めてございます。土地整備のためにはその土地取得する必要がございますが、話し合いによって取得できない場合には、第十一条で御説明申し上げましたのと同様の趣旨で、これを収用してその所有権取得し、または土地収用法第五条第一項各号に掲げております地上権賃借権等土地に関する権利収用してこれらの権利を消滅させることができることといたしてございます。第二項の規定は、第十一条第二項と同様の趣旨規定でありまして、すでに物件移転について施行者話し合いがつき、補償金支払いも完了しているにもかかわらず、その義務を履行しない物件所有者に対してその物件移転を命ずることができることとしたものであります。この場合所有者移転するのを容易にするために物件占有者に対して、物件をその所有者に引き渡すべきことを命ずることができることといたしてございます。不良住宅除却いたしますので移転命令対象とはいたしません。第十四条は改良住宅に入居させるべき者を一時収容するため必要な施設設置について定めております。住宅地区改良事業により住宅除却する際に改良住宅建設が間に合わず、居住する場所がない場合等必要があるときは、一時的に居住する場所を提供することを施行者義務といたしました。第十五条は前条の一時収容施設、その他事業施行上欠くことのできない施設設置のため必要な土地使用等について定めてございます。第十六条は、この法律規定による収用または使用手続効果等については土地収用法規定が適用されることを定めてございます。第十七条は、改良住宅建設義務について定めてございます。第一項は改良地区指定の日におきまして、改良地区内に居住する者で住宅地区改良事業により住宅を失えば住宅に困窮することになるであろうと認められる世帯数調査し、その世帯数に見合うだけの戸数住宅建設しなければならないことと規定してあります。世帯数といたしましたのは、一戸に一世帯を居住させることが本来的であると考えたためであります。第二項では前項の戸数の増減について定めてございます。地区外に転居する者があったり、地区指定当時には住宅に困窮していなかったが、後に困窮することとなった者があるときには、建設戸数を増減する必要がありますので、これについて規定を設けました。第三項は改良住宅建設場所について定めております。改良地区内に住宅建設することが法令規定によって禁止されまたは著しく不適当である場合、改良地区の面積が小さいために建設すべき全戸数を収容しきれない場合等の特別の事情がある場合を除いて改良地区内に建設すべきものといたしました。第四項は改良住宅構造原則として耐火構造または簡易耐火構造とすべきことを定めております。これは改良住宅集団的に建設され、また市街地に存在することが多いため防災上の見地から必要であり、また土地を合理的に利用する面からも適当であると考えたためであります。第十八条は改良住宅に入居させるべき者について定めてございます。三号にわたってあげておりますが、まず第一号のイは改良地区指定の日から事業により住宅を失うまで引き続いて地区内に居住していた者を掲げております。ただし、この中で地区指定の日当時ある世帯に属していたが、その後結婚その他の理由で独立して別世帯を構成するに至った者は、地区指定後に地区内に転入してきた者と同一の取り扱いをすることといたしてございます。これがロに掲げている者でございます。これらの者をすべて入居させることは実情に合致いたしませんので、施行者の承認した者のみに限定することとしております。ハに掲げるものは地区指定後に結婚その他の理由でイまたはロに掲げる者と同一世帯に属することとなった者でございます。第二号は、改良地区指定の日から災害によって住宅を失うまで引き続いて地区内に居住していた者であります。第三号は第一号または第二号に掲げる者と改良住宅入居当時同一世帯に属している者であります。以上申し上げました者のうち改良住宅に入居を希望し、かつ住宅に困窮していると認められる者を施行者改良住宅に入居させなければならないわけでございます。第十九条は改良地区内の土地について整備を完了した後は、施行者はみずから改良住宅建設する土地以外のものを事業計画に従って、公共施設管理者等に引き渡すべきことを定めてございます。第二十条は住宅地区改良事業施行準備またはその施行にあたって測量または調査のため他人の占有する土地に立ち入り権限及びその手続等について定めてございます。土地区画整理法にほぼ同一規定がございます。第二十一条は測量または調査を行なうにあたって、必要な障害物の伐除及び試掘等を行なうには市町村長等許可を要することを定めてございます。第二十二条は他人の占有する土地に立ち入る場合に携帯すべき身分証明書等について定めてございます。第二十三条は測量及び調査に必要な立ち入り、障害物の伐除等に伴う損失の補償について定めてございます。第二十四条は測量標識設置する権限について定めてございます。第三十五条は住宅地区改良事業施行に要する費用施行者が負担するのが原則であることを定めてございます。第二十六条は不良住宅除却に伴う受益者負担について定めてございます。改良地区建築基準法工業専用地区内にあるような場合には、土地整備に関する事業は行なわず、従って施行者土地取得することもないわけでありますが、不良住宅除却だけは行ないますため、その不良住宅の存在する土地所有者が、これによって著しく利益を受ける場合がありますので、公平の見地から受益者負担金を徴収することができることといたしました。第二十七条は事業施行に要する費用に関する国の補助について定めてございます。不良住宅の買収及び除却に要する費用の二分の一以内及び改良住宅建設用地取得及び宅地に造成する費用及び建築に要する費用の三分の二以内を補助することができることと規定してあります。これは住宅地区改良事業促進し、改良住宅家賃を第二種公営住宅程度低額のものとする趣旨から定めたものでございます。第二十八条は、住宅地区改良事業促進をはかるため都道府県市町村に対して補助することができることを定めてございます。第二十九条は、第二十七条の規定により国の補助を受けて建設された改良住宅管理及び処分については、公営住宅法による第二種公営住宅に準じて行なうことと定めてございます。第三十条は施行者事業計画に関する図書を利害関係人に閲覧させる義務を負うことを定めてございます。第三十一条は、施行者が書類の送付にかえて公示送達を行なうことができることを定めてございます。第三十二条は、国及び地方公共団体が協力して住宅地区改良事業の円滑な施行をはかる趣旨技術的援助を請求することができることを定めてございます。第三十三条は、住宅地区改良事業の適正な施行を確保するために必要な建設大臣監督処分権限について定めてございます。第三十四条は、住宅地区改良事業施行促進または改良住宅の適正な管理処分を確保するため必要な建設大臣または都道府県知事の報告の徴取、勧告について定めてございます。第三十五条は建築制限に違反した建築物等移転命令不良住宅明け渡し命令等に対する異議の申し立て及び訴願について定めてございます。第三十六条は改良地区指定事業計画認可等についてあらかじめ厚生大臣と協議すべきことを定めてございます。第四章は罰則について定めてございます。附則でございますが、第一項はこの法律施行の日、第二項は不良住宅地区改良法の廃止について定めてございます。第三項の登録税法の一部改正は、住宅改良事業施行のために施行者が行ないます土地、建物の権利取得登記等について登録税を課さないことを定めてございます。第四項の建設省設置法の一部改正は、建設本省不良住宅地区改良に関する事務住宅地区改良法施行に関する事務と改めたものであります。第五項の国有財産特別措置法の一部改正は、地方公共団体等が国から貸付を受けて住民を居住させている建築物等住宅地区改良事業によって取りこわし、改良住宅建設する場合には、国は、その建築物を譲与し、またはその敷地を改良住宅標準建築費のうち用地費相当額施行者に譲渡することができることとしたものであります。第六項の租税特別措置法の一部改正は、土地収用法等による収用の場合の譲渡所得に対する所得税の賦課の特例等住宅地区改良法による収用についても認めようとするものであります。以上でこの法律案逐条ごと説明を終わりますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。次に、公営住宅法の一部改正法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。異常な天然現象のうち地震、台風等については、一般にその被害相当広範にわたるので、現行法基準、すなわち滅失戸数被災地全域で五百戸以上または一市町村区域内の住宅戸数の一割以上の基準がおおむね妥当であると考えられます。ところが、異常な天然現象のうち、集中豪雨のようにその被害が局地的に集中するものが最近ときどき見られるのでありますが、この場合においては滅失した住宅戸数相当に大きくても、その被害が局所的小範囲に限られるので、法定の基準に該当しないことがありますし、また将来においてもそういう場合が予想されるので、火災の場合との均衡をも考慮し、異常な天然現象により滅失した住宅戸数が、一市町村区域内で二百戸以上である場合を新たに災害基準に加えた次第であります。     —————————————
  4. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員長 質疑に入ります、質疑の通告がありますから順次これを許します。山中吾郎君。
  5. 山中吾郎

    山中(吾)委員 ただいま説明をしてもらいました住宅地区改良法案並びに公営住宅法の一部改正について質問を申し上げます。住宅地区改良法案の立法の趣旨については私賛成でございまして、むしろおそきに失したと考えておるのでありますけれども、これの執行の面について疑点を持っておりますので、お聞きいたしたいと思いま す。まず第一に、この法案実施についてどの程度事業計画されておるのか、この法案の裏づけである予算関係、その点についてお伺いしたい。
  6. 稗田治

    稗田政府委員 三十五年度におきましては、改良住宅建設戸数は二千戸でございます。なお清掃費等もございますので、国庫補助予算総額は約八億円でございます。
  7. 山中吾郎

    山中(吾)委員 それについて、同和地区とか引揚者住宅地区その他の不良住宅地区についての区分けをして、それに対して実施計画を立てておられるのですか、そうでないのですか。
  8. 稗田治

    稗田政府委員 具体的に、本年度事業実施します地区につきましては、ただいま地方公共団体から要望をとりまして打ち合わせ中でございますので、まだ確定はいたしていないわけでございますが、二千戸の改良住宅戸数のうち、千百戸程度お尋ね同和関係不良住宅地区に振り向けるようにというようなつもりで進めておるわけでございます。
  9. 山中吾郎

    山中(吾)委員 同和地区の場合について、一定の地域の中に、ああいう特定の歴史上しいたげられた部落民がおるのですが、その地域にやはり集団をしておれば、意識が改造されないで、依然としてみずから劣等感を持ち、外に対してもまた通婚その他についての差別待遇が残るので、ああいう地区は、その地域住宅改良して、また集団生活をするより、むしろ分散をするということが根本解決のように思うので、こういう不良住宅改良の場合に、その地域の中にまた建て直してそこに住むという行政方針同和部落の解消という点からいって妥当であるかどうか、少し私は疑問に思うのですが、その点、準備をされておられますか。
  10. 稗田治

    稗田政府委員 建設省といたしましてそのような地区を取り上げておりますのも、立場といたしましては、不良住宅が密集いたしまして、保安衛生等から考えても、また公共的な立場から考えても不適当である、そういう地区を健全な住宅地区に形成し直すということが趣旨でございます。従いまして、たまたまお尋ね同和関係地区におきましても、そこに形成されました具体的な事実がこの法律事業対象になるという場合には、そういうような住宅地区改良して健全な住宅街を形成するという立場から取り上げるわけでございます。  なお、三十五年度におきまして初めて予算項目等は別項目となったのでございますけれども、すでに二十七年から今日まで相当数第二種公営住宅を使いまして改良住宅建設を行なってきておるわけでございます。たとえば神戸市の番町でございますとか、あるいは京都市における崇仁地区というようなところも、鉄筋のアパートに建てかえられまして、それぞれの居住者も満足して生活しておるというような実情でございます。なおそういった地区に居住しております人の職業というようなことから考えまして、原則として分散をしていくというような方式をとりますのは、今日の日本実情から申しますと、非常に事業が進めにくいのではないかというように考えております。
  11. 山中吾郎

    山中(吾)委員 行政として私ちょっと疑問なんですが、そういう同和地区同和部落に対する対策というものは、差別待遇をなくする、意識を改造するというようなことが一番眼目だと思うので、その地区集団生活を持続するというふうな方針がかえって依然として差別意識を部落の者、その外の人々の関係にさらに残す政策になるというので、私少し疑問に思うのです。なお、この法案審議のうちにおいて、今いろいろと御検討されたようなことはお聞きしたのでありますけれども、別の法案によってこういう問題を処理すべきじゃないかと私は思うので、この審議の過程でいま一度御質問をいたしたいと思います。それから、家賃のことですけれども、この御説明法案の二十九条によりますと、国の補助を受けて建設された改良住宅管理は、改良住宅公営住宅法指定する第二種公営住宅とみなして、それに関する規定を準用するということになっておるのでありますけれども、その公営住宅法に基づく家賃の減免の基準というもの、これに基づいて不良住宅に住んでおる住民が十分に保護されるかどうか、これについて疑問であるので、その点についてのお考えをお聞きいたしたいと思います。
  12. 稗田治

    稗田政府委員 家賃の算定の基準でございますが、お尋ねのように、公営住宅法管理関係規定を準用いたしますので、第二種公営住宅と最高の家賃徴収の限度は同じになるわけでございます。従いまして、鉄筋のアパート形式のものになりますと、約千六百円程度に平均はなるわけでございます。しかし、これは最高の限度を示しておるわけでございまして、現在三分の二の補助公営住宅を使って今日まで不良住宅地区改良事業を進めて参ったわけでございますが、各地方公共団体におきましても、それぞれの居住者の収入等を考えまして、相当大幅に減額いたしまして、千円あるいは千円以下という家賃入居させておるのが現状でございます。従いまして、そういった地区内の居住者の収入等も勘案いたしまして、これを今後推し進めていきます場合に、減額の制度は十分活用していただくというつもりでございます。
  13. 山中吾郎

    山中(吾)委員 たとえば引揚者の住宅などのある地区に住んでおる人々は、非常に粗末な住宅に住んでおりますから、現実には家賃が非常に安い。新しいりっぱな住宅ができると、住宅法の十二条に基づいて建築費その他の算出の基礎で、今お話しされたような家賃、千五百円なら千五百円という家賃がまず計算されて、それを基準として減免をされる。はなはだしく収入が低額の場合ということになっておるので、現在住んでおる者が引っ越せば多かれ少なかれ家賃がふえるのじゃないか。その場合に、いい家には入りたいけれども、現在の家賃より高くなっては困るというふうに考える人が大部分なので、行政の方針としては、こういう改良住宅を建てた場合には、当分の間現状の家賃で住むことができるような措置をしてやらなければいかぬ。改良してほしいけれども、家賃が高くなるのは困るというのでしり込みをする。また五人家族で一万五、六千円そこそこの収益で最低の生活をしておるボーダー・ラインの人々は、五百円高くなっても、こういう住宅政策に対して非常に喜びを感じ、また協力するというようなことがなかなかできないので、公営住宅法家賃減免によって基準よりは安くできるというふうな方針だけでは足らないのじゃないか。向こう三年くらいは新しい住宅に引っ越しても現状の家賃で全部一応認めてやる。そういうふうな措置がないと、せっかくこういういい法律施行される場合についても、地元の全面的な明るい協力というようなものが出ないと私は思うので、この点を何か、実際において私が今申し上げたような方針を実施する、法律上の解釈とそれから方針を持っておるか。私は持ってほしいので、それをお聞きいたしたいと思います。
  14. 稗田治

    稗田政府委員 まず減額につきましての行政指導の問題でございますが、これは生活保護世帯の適用基準等を勘案いたしまして、一応全国的にある程度の水準を維持するために、そういうような行政指導を今後行なっていくつもりでございます。生活保護世帯に現になっている居住者につきましては、生活保護法の適用におきまして、第二種公営住宅家賃は出していただけるような特別基準がございます。従いまして、保護世帯につきましては定められた法定の家賃補助されることになるわけでございますが、お尋ね生活保護法の適用は受けないけれども、実際の生活がそれに近いという、いわゆるボーダー・ラインの階層でございますが、これにつきましては、われわれといたしましては、一応それぞれの収入に応じまして、生活保護世帯の適用基準等も勘案いたしまして、減額の一定の基準を策定いたしたいと考えておるわけであります。
  15. 木村守江

    ○木村(守)委員 ただいまの質問に関連してですが、この住宅地区改良法案趣旨には心から賛成するのでありまするが、ただいま山中委員から質問されたように、現在の住宅で住むに事欠かないというような状態であったのが、いわゆる不良住宅地区という指定を受けたためにその新しい建物に入る。そのために現在よりも住宅費が高まるということになりますと、人間の生きていくためには住宅だけではどうにもしようがないので、かえって生活に重圧を加えるような状態になりはしないかというような心配は何人も考えざるを得ない問題だと思うのです。そういう点から考えまして、問題点は不良住宅地区というものをどういうような基準できめるか。この第二条の第五項では、政令で定める詳細な客観的基準によってとありまするが、このいわゆる政令で定める詳細な客観的基準というのはどういうものか。これによって非常に問題が起こって参るだろうというふうな考えを持たれます。たとえばきわめて零細な、発言権の少ないような人たちの集まっているところを、意図的に不良住宅地区というようなことに指定されるような場合はないだろうと思いますが、そういうようなことがあったならば、この法律の美名に隠れて零細な国民を非常に圧迫するという結果になりはしないかというような心配がありますので、この政令で定めるというのはどういうような基準で定めるのか、これを御説明願いたい。
  16. 稗田治

    稗田政府委員 不良住宅の判定の基準といたしまして政令で定めるわけでございますが、その内容を申しますと、建築物の軸部、屋根及び外壁の腐朽破損の程度建築物の基礎、柱の小径、屋根ふき材料、床高及び天井高等が正常な状態であるかどうか。また仮設または転用等の使用関係、そのほかに設備といたしまして、吸排水設備、便所及び炊事施設の位置、形状、使用状態等の良否の別につきまして一定の判定の尺度を定めまして、これに基づきまして現地調査を行なって具体的に決定するようにいたしたいと思っております。
  17. 木村守江

    ○木村(守)委員 ただいまいろいろこまかい基準を申されましたが、その基準のすべてがそういうような該当したものであるか。あるいはその一つ一つ、今幾つか、十ぐらい申されましたが、そのうち五つくらいあれば該当基準に入れるのか。この問題で非常に問題が起こってくると思うのです。ことに便所の問題、今申しましたけれども、日本の便所、下水の汚物処理の状態、こういうものを考えますと、相当の部分が該当するような格好になってしまうのではないかと考えられるのですが、幾つかあげられましたもののどれくらい入れば不良住宅地区政令で定める地区に入るか、かなり問題じゃないかと思うのです。
  18. 稗田治

    稗田政府委員 具体的な問題といたしましては、ただいま申し上げましたような事項につきまして点数制で採点をする。その点数の合計によって判断するというふうにいたしたいと思っておるわけでございます。  なお、この政令で定める基準の中に改良地区として指定する地区基準もあるわけでございますが、ただいま考えておりますのは大体五十戸程度そういった不良住宅が密集しておるところを採用する。なお、その密集の度合いでございますが、地形等の関係もございますので、八割程度そういった該当した不良住宅で占められておるというところは改良地区指定いたしたい。かように政令で定めたいというふうに考えておるわけであります。
  19. 山中吾郎

    山中(吾)委員 家賃のことで先ほどお尋ねしたことについてのお答えは、減免を十分にするというお答えなんで、私の要望とは違うのです。私は現在住んでおるすべての住民が、ある程度収益の多い者、少ない者とあると思いますが、改良住宅を建てた当座一年とか二年とかは現在の家賃をくぎづけにしてそのままで入れてやるのだ。そうして生活習慣というものを新しい住宅、よい住宅による生活という新しい生活習慣の適応性ができるに従って妥当なる家賃を、ある者は公営住宅法に基づいてある基準によって減免の勘案をするということはその次の段階にすべきじゃないか。せっかく福祉政策として出発をした住宅政策が、その辺が画一的な行政ということによって非常に冷たいものになってくる。われわれの生活習慣は、豊かな生活をしておるものが少しでも下げられたときには非常に苦痛を感ずるという生活心理がある。そういうことを含んで、こういう住宅法案を出すときには、わずかな費用なのであるから、そうしてある程度の期間を延ばせばそれにかけた建設費というものは還元されてくるわけでありますから、現状の住宅に住んでおる者の現状の家賃をそのまま一定の期間を移すのだ、その後に住宅法に基づいた減免の法則を適用するというような行き方をとるのが私は一番望ましいし、そうなると地元の協力も完全に出るのだ。そして非常に喜ぶだろうと思う。最小の費用で最大の民主政治の効果をあげられるものだと思うので、私はお聞きしたわけなのです。  そこで局長並びに次官もお聞きなのですから、次官から、今度何か政治的な立場で、こういうときには半期でも一年でも、あるいはできれば二年、三年家賃をくぎづけにするという方針でこの法案実施されることが私は非常に望ましいと思うので、その辺の所見をお聞きしたいと思います。
  20. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 ただいま山中委員からお尋ねの点は、福祉施設としてこの改良住宅の問題を言うた場合にはきわめて重要な問題だと存ずるわけでございます。改良住宅につきましては、福祉政策の面と、さらにまた住宅政策の面から、ことに建設省といたしましては考えておりまするので、ただいまの御意見のところには踏み切れなかったわけでございまするが、それにかわりまして、今、住宅局長からお答えがありましたように、厚生省並びに労働省と連絡をとりまして、できるだけ減免の制度を活用して参る、そして福祉政策としての面はそれによって何とか達成していきたいという考え方でいっているわけであります。  私ども当初といたしましては、この不良住宅地区国庫補助につきましては、第二種公営住宅よりもさらに補助率をもう少し引き上げまして、家賃基準をもっと安くしたい、実はそういう考えで出発したのでございます。しかし、いろいろな経緯のもとに、第二種公営住宅補助率と同様のものになりましたので、現状におきましては、散在して存在しておりまする第二種公営住宅に入っておりまする者との均衡等の問題もありますので、こういうことになった次第でございまして、御質問の趣旨はよくわかりまするが、私どもといたしましては、できれば補助率を第二種公営住宅よりも引き上げまして家賃の軽減をはかっていきたい。一定期間現状の家賃でくぎづけにするということはなかなか問題もあろうかと思いまするので、そこまで考えなかったような次第でございます。
  21. 山中吾郎

    山中(吾)委員 実態は、おそらく家賃は二百円とか三百円とか非常に安いものに入っておる。ああいう引揚者の兵舎の中に入っておる。岩手の盛岡にもあるのです。従って、それを千円とか、減免をして八百円にしても、実は二倍、三倍になる。そういうことから考えて、貧しい人々は貧しいながらにそういう支出の構成があるものですから、二百円が四百円になっても、子供に学用品を買ってやるというようなことの中に暗い面が出るのです。金額からいったらまことに少ないものであって、それを少し措置すれば非常に明るい政治になるので、そういう趣旨から申し上げているのですが、公営住宅法の適用というものは排除できない、減免の基準というものがあるのでしょうから。そういうことならば、私は少なくとも公営住宅基準に基づいて減免方針をきめて、千円にする人、八百円にする人が出ると思うのですが、猶予期間を置いて、一ぺんにやらないで、一年間に百円ずつ上げていくというようなことはできるんじゃないですか。樺太その他から引き揚げてきた人々で、八畳の部屋に子供を含んで七人がざこ寝をしているというような生活をまだしている。それがこの対象になると思うのでありますが、現実に私は盛岡でそれを見ておるわけです。そういうことを考えたときに、新しい家に入るんだから、そして特に減免をしてやるんだぞ、従って今より高くなって、二倍くらいになっても仕方がないんじゃないか、というようなことは、せっかくこういういい法案施行されるにもかかわらず、住民からいったならば、何かありがたくないというような印象を与えておると思うので、少なくとも一年間くらいは新しい生活に適応することのできる猶予期間を与えるのが、私は非常に大事ではないかと思う。そういうこともできませんか。
  22. 稗田治

    稗田政府委員 われわれの方で今日まで事業実施して参りまして、いろいろ調査をしておるわけでございますが、大体今日まで実施して参りました不良住宅地区と称せられるものに住んでおる居住者の現行の家賃は、六、七百円程度平均納めておるわけでございます。なお、場所によりますと一日百円というような家賃を納めておる方もあるわけでございます。そういうようなことでございますので、私たちといたしましては、減額の基準を活用することによって、個々の人にとりまして実際に四、五百円しか家賃として払えないというような方には、そういう取り扱いも——公営住宅管理関係規定におきましては、そういう減額の基準につきまして最低の基準というようなものを定めてあるわけではないわけでございます。従いまして、個々の場合につきましてはそういう取り扱いをされる方もあるのではないかと考えておるわけでございますが、一律に今までの家賃を引き上げないで、一年なりあるいは半年なり、そういう家賃で住む権利があるというような考え方はいたしてないわけでございます。それぞれの収入に応じて、やはり応分の家賃は支払っていただきたい、かように考えております。
  23. 山中吾郎

    山中(吾)委員 その点はどうも私賛成しがたいので、一応意見の対立のまま保留しておきます。  それから、今説明をお聞きしますと、除去についての補助が三分の一、建設費が三分の二、こういう補助の差別をしておりますね。それで、不良住宅の場合には、なるたけ家賃を安くしてやるという立場からいいますと、除去の費用が二分の一ということなので、建築費そのものではなくても、不良住宅改良して新しい住宅を建てる一貫した事業なので、何もないところに新しい住宅を建てるよりは、事業主体からいうと費用がかかる。従って、家賃は普通の場合よりもどこか高くするという導因が含まれていると思うのです、こういう法案内容を見ますと。これは、大蔵省との折衝で除去費と建設費を差別待遇に押されてしまったのだろうと思うのですが、今、次官のお話のように補助率を多くして建設費を少なくし、家賃を少なくする方向に努力をしたのであるけれども、なかなかできなかったということですけれども、実際は除去費が二分の一ですから、普通の場合よりもさらに事業主体からいったらかかるので、家賃を高くするという刺激が含まれておる。そういう点私は疑問なのですが、この点についてのお考えをお聞きしておきたいと思います。
  24. 稗田治

    稗田政府委員 古い建物を買収し除却する清掃費でございますが、御承知のように、この間におきましては二分の一の補助率になっておるわけでございますが、これは家賃計算には清掃費は入らないことになっておるわけでございます。  なお、こういった実施につきまして、非常にいろいろむずかしい障害のある事業でございますので、もっと高率補助にすべきではないかという要望は事業主体の立場から当然出て参るかと思うのでありますが、この法律案によって廃止いたします不良住宅地区改良法の方におきましては、全部精算補助で、清掃費におきましても住宅建設費におきましても二分の一の補助であったわけでございます。さようなことから考えまして、今日まで古い不良住宅地区改良法を使えなかったというのは、そういうようなところに原因の一つがあるわけでございますが、少なくとも家賃計算に影響のある建設費につきましては、旧来の不良住宅地区改良法よりも前進いたしまして、三分の二の国庫補助ということにいたしたわけでございます。
  25. 山中吾郎

    山中(吾)委員 改良するのですから、除去と建設を含んで改良費一本で三分の二の補助というふうな予算の立て方というのは主張できるのではないかと私は思うのですが、この点の今後の努力は建設省としてしていただかないと、不良住宅に住んでおる特に貧困者に対する住宅政策としては満点にはならないと思うのです。将来の問題についての方針としてお述べ下さってもけっこうでありますが、次官からその点をお聞きして、一応私の質問は打ち切ります。
  26. 大沢雄一

    ○大沢(雄)政府委員 お説の通り一つ努力いたしたいと考えております。
  27. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員長 二階堂君。
  28. 二階堂進

    ○二階堂委員 私も二、三の点について当局にお伺いをいたしたいと思うのです。  ただいまは山中君から家賃等の問題についていろいろ質問があったわけでありますが、今回のこの法律改正によって、不良住宅に住んでおる人がりっぱな家に住めるようになるということは、住宅政策の上からいっても、また社会政策の上からいっても、私は非常な前進であると考えております。  問題は、先ほどからいろいろ議論になっておりますように、新しい住宅に移った者が高い家賃を支払うようなことになっては、かえってこの法案の本来の趣旨に沿わない。特に社会政策の上から考えて不合理な結果になってくるというようなことが心配をされるわけであります。先ほどからいろいろ局長の説明を聞いておりますと、そういうことはないんだ、こういうような御説明のように私は拝聴いたしたのでございますが、そこで問題は、不良住宅指定される地域に住んでいる人たちの実態が一体どうなっているかということだろうと思っております。局長の話によりますと、一日に百円ずつ支払って寝泊りしている人もある。そうしますと、月に三千円なんです。あるいはまた六、七百円家賃を支払っておるということでありますが、これはあなたの方で実態を調査された結果によるものか、ただ文献等によって一応大体この程度だということでお話しになっておるのか。あるいは、どこどこ地区不良住宅と考えられておるような特定の地域に居住している人の生活の実態というものをよく御調査になった上のお話なんですか。私はこれは厚生省の方も一つ来ていただいて、よく事情を聴取してみたいと思うのですが、大体一がいに不良住宅というと、きわめて生活能力の少ない、その日暮らしの人が住んでいるのじゃないかと思っている。そうしますと、ふろ屋に行く金十四、五円でも非常に因る人がたくさんおるわけなんです。これを五円上げるだけでも世間では騒いでいる。私はそういう人が不良住宅といわれる区域に住んでいる人じゃないかと思うのです。先ほどからいろいろ問題になっておりますが、せっかく不良住宅を解消してりっぱなうちを作ってそこに住ませるということはけっこうなんですが、そこに住んでいる人たちの実態というものが一体どうなっているのか。中には貧しげに住んでおっても相当な収入をあげておる人がおるかもしれません。山中君のように、一般の理想案として、現在の家賃で少なくとも一年ないし二年そのままくぎづけにしておいて、上げるならば漸次上げていったらいいじゃないかという議論もあります。これは一般原則論としては私は賛成なんですが、かりに一日百円そこそこで生活にも困っている人もあるかもしれぬし、あるいは数万、数十万というような貯金をしている人もあるかもしれぬ。そういう人が、直った場合に、支払い能力がある場合には、ある程度りっぱなうちに住むのですから、ある程度家賃をふやして、そのふやされた家賃だけ支払うのは当然だと思っております。国が相当費用を持って、公共的な政策として住宅を提供するわけですから、その公共性という上からいっても、支払い能力のある者はある程度家賃をよけい払ってもいいと思うのです。しかし、かなりの部分の人は私はそういう人ではないんじゃないかと思う。これはこの法案が部会に提出されたときから私はこの問題を取り上げて、局長にもいろいろとその点を念を押しておいたわけでございます。回りくどいことは別といたしまして、全国に約二十万戸と推定される不良住宅に住んでいる人がおるといわれているのですが、この地区相当地区に上っておると思っております。あなた方はこういう地区の実態を的確につかんで、そして今回の法律によってできたうちに住んでも家賃の面において支払い能力はかなりあるものだ、われわれがそう心配するものではないというふうに断定される自信があるかどうか。こういう点をお伺いしておきたいと思うのです。
  29. 稗田治

    稗田政府委員 先ほど実際に不良住宅に居住している者の負担しておる家賃の例を申したわけでございますが、これは全国に約二十万戸以上存在するであろう不良住宅居住者全体について申し上げたわけではないのでございます。二十七年度から第二種公営住宅をさきまして不良住宅改良事業を進めて参りまして、実施した調査に基づいて申し上げたわけでございます。主として神戸市の番町でございますとか、京都市等で比較的不良住宅地区改良というものが進んでおるわけでございますが、そういう地区の実例から申し上げたわけでございます。従いまして、全国の二十万戸以上の不良住宅における居住者について、現在負担しておる家賃がどのくらいであるかという詳細な新しい調査は現在持っていないわけでございます。ただ、三十四年度におきましても、法律にはよりませんけれども、千五百戸程度改良住宅建設を行なってきておりまして、三十五年度にはこれが二千戸となるわけでございますが、この程度事業の伸ばし方でいけば三十五年度程度には、やはり三分の二の補助率でもやり終わせるだろうという見通しを持っておるのでございます。全国的に二十万戸の不良住宅を解消する、そこまで事業促進されていくという将来につきましては、先ほど政務次官からもお答え申し上げましたように、家賃の負担力の均衡を考えまして、建設省といたしましてはできるだけ第二種公営住宅よりもさらに高い補助率を実現したい、かように考えておるわけでございます。
  30. 二階堂進

    ○二階堂委員 三十五年度に計画実施されようとしている地区は、一体どこを考えておられるのですか。
  31. 稗田治

    稗田政府委員 これにつきましては、ただいま地方公共団体から要望をとりまして、いろいろと打ち合わせ中でございますので、まだ確定していないわけでございます。
  32. 二階堂進

    ○二階堂委員 ことしの予算の折衝の際にも、私も直接大蔵当局あるいは部会を通じて意見を述べたこともあるのですが、せっかくこういう特別な法律を作って不良住宅を解消しようということですから、しかもこの法律の第十条、第十一条を見ますと、かなり強制的なにおいが出てきておると思うのです。そうであればあるほど、さきの山中君の議論もありましたが、やはりある程度一般の、第二種公営住宅家賃よりも低くしていくということが、この法案の持つ社会政策的な意味にも合致するゆえんであろうかと思っております。  そこで、ことしは予算折衝のときにも、建設省家賃を引き下げる上において補助率をもう少しふやせという折衝をなさったことは私も十分承知しております。しかしながら、いろんな事情で、公営住宅なみの補助率になったわけでございますが、三十六年度予算にあたっては、私はやはりこの点を強く建設省として主張されてしかるべきだと思っております。その点を特に私は御要望申し上げておきます。  次に、地方からの申し出によって不良住宅建設を行なうという、いわゆる施行する者の申請を待ってやるということなんです。その施行主体は市町村あるいは都道府県である、こういうことになっておりますが、市町村が大体主になってくると思うのです。市町村が財政の能力等がなくして非常に 特殊な事情、困った事情がある場合には、都道府県がこれにかわって行なう。大体こういうようなことに法律趣旨はなっておるのじゃないかと思うのですが、私はこの点が非常に不明確だと思っております。これは、市町村は財政が非常に豊かなところもあるでありましょう。あるいはまた非常に財政力のないところがあると思っておりますが、かりに自分の方でやろうと思ってもやれない。そうすれば、申請を非常にちゅうちょする。ところが、申請をしても自分の方でやれないとなると、県の方から、今度県がかわってこれをやるということになっておりますので、施行者の責任と申しますか、主体のやるものが積極的にこういうものを解消しようというような意欲が非常に欠けてくるのじゃないか。これは県なら県が責任を持って、こういう不良住宅地区があるなら、これを解消するというような面を、もう少し私は明確にされておく必要がないかと思うのです。市町村が主であって、しかもやむを得ざる事情があるときとか、あるいは財政的に非常に困っておるというときには都道府県がやる、こういうようなことになっておると、やろうと思ってもなかなかやれない。そこで責任のなすり合いをする。おれはやりたいのだが県がやってくれない、あるいは県が最初からやってくれないかということになってくると、私は非常に消極的な申請になって終わるのじゃないかと思うのですが、この点についてどういうふうにお考えですか。
  33. 稗田治

    稗田政府委員 市町村が財政的に能力のないような場合に、都道府県がかわってやるわけでございますが、なおそのほかに、都道府県施行者である市町村に対しまして資金的な援助も与えることができるようにうたってあるわけでございます。さようなことでございますので、私たちといたしましては、市町村が第一になっておりますのは、地域社会に一番密接した立場にある市町村というものがやはり住宅地区改良法施行によって当然なすべき義務があるというような点から、市町村を第一の施行者にしたわけでございますけれども、行政指導によりまして、都道府県が資金的に能力のないような市町村に対しましては代行するなり、あるいは資金的な援助を与えるというようなことを積極的に指導して参りたいと考えております。
  34. 二階堂進

    ○二階堂委員 除去するために国が二分の一の補助をする、それから建設費については三分の二の補助をする。そうすると、あとは、自治体の市町村がやる場合には、政令あるいはほかの方法によって、たとえば除却する費用の残った二分の一のうち幾らは県が持つとか、あるいは建設費の何分の一は県と市町村が持つ、こういうふうな区分になるようにお考えなのですか。あるいはそれを施行する自治体等が除却の場合は二分の一、あるいは建設費の三分の一全額を持つ、こういうことになるのですか。また財政的に非常に能力のないところは、起債の面でこれを見てやるというようなところまでお考えになっておるわけですか。自治庁との話し合いはどうなっておるのですか。
  35. 稗田治

    稗田政府委員 ただいまの都道府県の資金的な援助の面でございますが、その負担の割合等につきまして政令規定するというところまでは、残念ながら自治庁との折衝でも、ついてないわけでございます。従いまして、われわれとしては行政指導でなるべく援助をするようにということで実施して参りたいと考えておるわけでございます。  なお、事業主体の補助金以外の負担金でございますが、これにつきましては、公営住宅と同様に自治庁の方で起債の対象にしていただけるということで話はついております。
  36. 二階堂進

    ○二階堂委員 私はやはり資金の面が一番問題になっておると思っておりますので、この点は十分一つ今後行政指導のよろしきを得ていただきたい、かように思っておりますし、なお同時に、この起債の面等で十分めんどうを見るような措置が備わってこそ初めてこういう法律施行が完遂できるのだ、こういうふうに考えますので、この点についても、大した額でもないと思いますが、二千戸と申しましても金額がどのくらいになるかわかりませんが、そういう面についても、やはり財政能力のない市町村に対しては起債等で十分めんどうを見ていくというような措置が講ぜられなければならぬと思っております。  第十条、第十一条を見ますると、この中にも問題にすればいろいろ議論の余地があると思っております。かなり強制的に不良住宅というものを政府の力によって、もちろん法的な手続あるいは自治団体等の協力を得てやることにはなっておりますが、不良住宅除却しなければならぬとか、あるいは相当な期限を定めてこれを明け渡すことを命ずることができるというような、何か知らぬが非常に強い権力をもってぜひこれをやるのだというようなにおいが出ておると思うのです。もちろん、こういうことをやるには、それぞれ法的な手続なり、その他の協議等を経て、納得の上でやるということになっておりますが、やはり法律そのものの持つ意味というものは、問題にすれば幾らでも問題になるような個所があろうと思っております。これらの点については、またいずれ私もお尋ねいたしてみたいと思うのであります。  問題は、そうしますと、不良住宅を除去する場合に、今度は第十四条でありまするが、一時の収容施設を作らなければならない、こうなっておりま す。そこで、一応不良住宅区域指定されて、そこに住む者が納得して、そうして計画等が樹立された場合には、そこにいる人になおってもらうために一時の収容施設というものを作らなければならぬ。これは当然のことだと思っております。しかしながら、現在住んでいる場所に近いところに一時の収容施設を作る場所がある場合、あるいは計画がそういうふうに立てられた場合には、これはさしたる問題はないと思っておりますが、もしそういう場所がないときには、あるいは相当遠いところに一時の収容施設を作らなければならぬということになるかと思っております。そうしますと、住宅建設するのでありまするから、一週間や二週間でその住宅は建つものではない。相当期間がかかる。あるいはその中の一人や二人が問題を起こして、なかなか立ちのかないという場合が起こりますと、六カ月ないし一年かかるかもわかりません。そうしますと、遠いところに一時収容された者が、たとえば働く場所に行くにしても電車賃を払わなければならぬとか、交通費がかかるとかというような場合が出てくると思うのです。そういうような場合に、一方には強制的にそこへ一時収容させる。ところが、そこに移された者はいろいろなことで不便を感じ、交通費等がよけいかさんでくる場合があると思いますが、そういうようなことがあった場合には、その人たちの生活費がかさむわけでありますが、どういうふうにそれを措置されるつもりか。  また、一時そこに収容されて引っ越したところが、たまたま火災等によって焼けて、大へんな被害をこうむるような場合が万一起こらぬとも限らぬ。そういった場合には、そういう人たちの被害というものに対する補償とかいうようなものはどうされるつもりか。そういう場合が万一起こらぬとも限らぬ。私の友人が引っ越して、あくる日火事で焼けたということもある。ところが、これは十条、十一条によって納得の上とはいえ、不良住宅地区を一応政府の力によって、あるいは自治団体の協力によって解消して、新しい家を建てる。そのために一時引っ越せ。こういうふうに、納得の上でも、引っ越させて距離が遠くなって、交通費がかさむ。それじゃ困る。あるいは火事があって、それが全部焼けたというような場合が起こった場合等の規定というものは、これは何も書いてないが、そういうものが起こった場合には、これは自治体と国が責任を持って、ある程度補償をするということになるわけですか。それとも、それは、もうとにかく自分の災難なんだからしようがない、こういうふうに考えられて、ほっておかれていいものかどうか。これはそこに移る人が貧乏人であればあるほど、そういうことまでわれわれは心配せざるを得ないのでございますが、どうなんですか。
  37. 稗田治

    稗田政府委員 一時収容施設でございますが、これはなるべく改良地区に近接した、あるいは改良地区内の敷地内の空地を活用して建てるというようなことで、全戸数につきましてこれを建てるのでなしに、事業の速度に合わせながら、その一時収容施設を回転して使用していくというようにいたしたいと思っているわけでございます。たとえば東京都におきましては、パイプ製の組み立て住宅をこの一時収容施設に使って、現在やっておるわけでございます。そういうような構造の一時収容施設が、建設するとすれば望ましいと考えておるわけでございます。  なお、災害の場合でございますが、施行者の方といたしましては、できるだけ管理を十分にいたしまして、そういう災害の起きないように十分監督をしていただきたいというように考えておるわけでございます。この一時収容施設にたまたま火災が起きた場合の罹災者の救助あるいは補償等につきましては、この法律には特に定めてないわけでございますが、その実情に応じまして、施行者の方で、それぞれ救済措置を考えていただきたいというように考えておるわけでございます。
  38. 二階堂進

    ○二階堂委員 まあ私は、ある一角を不良住宅地域ときめて、そうしてそこにある住宅を建て直すということで除去する。そうしてまた、一ぺんに計画に従って新しい耐火構造等の住宅を建てるわけでありますから、そこに五十戸住んでおる者の家を五十戸分建ててやるということになろうかと思っておりますが、今住宅局長の話によりますと、まず十戸だけ建てて、そうして十戸だけその人たちにそこに引っ越してもらう。一ぺんに建て直すということではないというような意味にも私はとれるような感じがいたしたのでございますが、しかし、いずれにしましても、十戸入れるから十戸建てて、そこに十戸収容する。あとの四十戸は漸次また建てただけ入れるのだというようなことでは、なかなか工事も促進しない。一ぺんに一つの区域を撤去して、そうして一ぺんにそこに新しい住宅を建てるということでなければいかぬと思っております。そうなれば、一ぺんにそこにおった人たちをある収容施設に収容しなくちゃならぬということになると思う。  また私は、災難等が起こらないということは望んでやまないわけですが、最近火災等がたくさんある。いろいろな事故がある。そういうことが万一起こった場合、これは金持ちであれば心配はないわけですが、非常に貧乏人が多いのじゃないかと思うから、私は心配をする。  さらに、遠いところに行って、交通費が一日五十円かかるということになると、一カ月なり六カ月なり、それだけ自分の生活費がよけいかかるわけです。そうすると、新しい家を作ってもらう間、そこに引っ越したために自分の生活が苦しくなるということも起こり得ると思う。また、さっき言ったように、ほかのところからの火災の影響を受けて自分の住んでいるところが焼けたという場合は、これは大へんなことになる。そういうことが起こらないように指導監督されるということは当然でしょう。しかし、そういうことが起こった場合どうするかということ、われわれはこの法律をせっかく作って、そうして貧しい人のためによくしょうという趣旨ですから、それであればあるほど、やはり行政官庁としては手落ちのないように指導されることが私は当然ではないかと思うので、こういうふうに心配するわけですから、お尋ねしておきたいと思うのですし、またそういうことも今後の行政指導の上に十分に生かしていただきたい、かように考えるわけです。  第十条、第十一条等の問題につきましては、私はもう少し法律、特に土地収用法等をよく勉強して、さらにお尋ねいたしたいと思っておりますから、本日はこれで私の質問は終わります。
  39. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員長 岡本君、
  40. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この法律については、趣旨において非常に賛成でございますけれども、それであるだけに——現在こういうふうな地区が非常に多くて、建設委員会調査室でも調査に参りましたが、この不良住宅地域は全国で千四、五百あり、戸数にすれば二十万戸をこえると推定される、こういうふうな数字が出ております。私はまあ、戸数はもっと多いように思うのです。そこで、そういたしますと、二千戸ぐらい年々建てていくというふうなことでは、シジミ貝で井戸がえという言葉がございますが、ほんとうにこれはもうどんどん不良住宅は、今後とも住宅の荒廃とともにふえていって、しかも建設される戸数があまりにも少ないというふうな感があるのですが、これについては将来はどういうふうな構想を持っていて、何年計画でこういうふうな不良住宅地区をなくそうという目標を掲げておられるのか。その辺についての御所見を承りたいと思います。
  41. 稗田治

    稗田政府委員 二十七年度から公営住宅の第二種を使いまして改良事業を進めて参ったわけでございますが、年々平均いたしますと実施戸数は約五百戸程度ずつ伸びていったわけでございます。もちろんこの三十五年度にわれわれといたしましてはもっと多くの戸数実施したかったわけでございますけれども、いろいろ国の財政事情等もございまして、二千戸程度にとどまったわけでございます。ただ、今日まで進めて参りましたのは、法律によらないで実施してきた成果でございます。それがまあ三十四年度を含めまして四千五百戸になるのではないかと思っておりますが、今後この法律施行になりますと、法律施行基準に従って地方公共団体計画的に実施計画が策定されるようになって参るわけでございます。従いまして、全国に約二十万戸程度ございますので、これを長期計画で解消するための、そういった住宅政策全般の長期計画ともからみ合わせまして、計画を今後策定いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
  42. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 こういうふうな、この法律対象になる環境というものも、私はたびたびその地区へ行って、存じております。しかしまた、その環境の中で、なおかつそのような家すら得られない。たとえていえば、非常に狭い家の中へどんどん同居したり、間借りしていったりしておるというふうななにがございまして、考え方によれば、現在の住宅事情はその不良住宅すら得られない人たちがまだ多数いるというほど、窮迫をきわめておるというのが今日の状況だと思います。従って、もちろんそういうものを取り除いてりっぱなもの、きれいなものを取りかえていかなければなりませんが、むしろそれよりも別に建てて、それはそれでまだなんとか補修して住める環境にしておくというふうなことがあってもいいと思えるほど、今日の住宅事情というものはひどいのです。だから私は、もちろんこの法律の考え方も賛成でございますし、また、どんどん環境のひどいところは建てかえていかなければなりませんが、これを進めると同時に、やはり住宅政策というもので、もっとどんどんと計画的に建てていく。同時にまた、それが建つことによって、おのずからこういう住宅というものが私はなくなってくると思うのです。  そこで、あなたの方では大体五十戸ぐらいを基準に、この程度住宅集団的にあるところを不良住宅地区と見ているというようなお話しを、いつか承ったように思うのでございますけれども、しかしながら、散在的にウナギの寝床のような相当ひどい、たとえば入口が一方にあるだけであって、その一方の入口だけがわずかにあかりをとるあかりとりと、それから空気を交換せしめる通気孔があって、その他は一切壁でもって三万囲まれておるというふうな長屋が十数戸、二、三十戸というふうにあるようなところが、たくさんございます。だから、そういうような環境も、あわせてわれわれは整理していかなければならないと思うのです。そういうふうなところをなにしていきますと、たとえば相当数まとまってそういう家がある集団的なところのほかに、散在的にそういうふうなものが相当全国的に私はあると思うのですが、そういうふうな住宅については、どれほどあるか調査なさった統計があるでしょうか。
  43. 稗田治

    稗田政府委員 全国的な統計といたしましては、散在しておる不良住宅ないし老朽危険家屋というものが何戸であるという集計はいたしてないわけでございますけれども、一昨年の十月に行ないました総理府の住宅事情調査でございますが、それによりまして、必ずしも不良住宅とぴったりイコールではございませんけれども、老朽危険な家屋の戸数は把握してございます。大体一昨年の十月の統計によりますと、六十八万戸の老朽危険な家屋があるということになっておるわけでございます。そのうち散在しておるのが何戸かということは、わかりかねますけれども、一応そういうような老朽家屋があるということで、国の長期住宅政策を立てておるわけでございます。  それから、住宅地区改良法の適用の対象となりますのは、先ほど申し上げましたように、ある程度そういった不良住宅が密集しておりまして、その街衢全体として周囲に非常に悪影響を及ぼしておるという地区を健全な住宅地区に形成していく手段でございますので、この法律の適用はできないわけでございますけれども、一方におきまして、公営住宅建設は今後も進めていくわけでございますが、公営住宅に、不良住宅を撤去した場合の特定入居ができるような規定政令にございます。従いまして、非常に散在しておる住宅におきましても、これは保安、衛生上非常に危険であるというふうな状態になりますと、建築基準法によりましてこれの除去処分命令が出せることになるわけでございます。その場合には、その入居者は公営住宅に特定の入居ができることになっておるわけでございます。従いまして、散在しておる老朽家屋につきましては、そういった公営住宅法入居基準等を活用いたしまして、あわせてやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  44. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 老朽不良住宅六十八万戸というのは、おそらく相当ひどい環境の中に住んでいる人たちの住宅をさすものであろうと思うのでございますが、住宅政策をどんどん進めていただくようにお願いしたいと思います。  なお、この住宅地区改良対象としては、従来は大都市の中の集団的な大きな不良住宅地区というふうなものが取り扱われてきていたのではないかと思うのでございます。しかしながら、この法律趣旨そのものは、中小都市あるいは町村、今日では合併して村というものはなくなってきつつありますが、そういうふうないなかの方の町でも、京都あるいは奈良、関西方面では相当環境の悪いところがたくさんございます。そういうふうなところも、ある程度まとまって不良住宅と目されるような環境があれば、これは実施対象になるのではないかと私は思うのですが、どういうふうな御見解でございますか。
  45. 稗田治

    稗田政府委員 この法律の適用対象といたします改良地区の位置につきましては、必ずしも大都市というふうに限定するわけではないわけでございます。従いまして、この法律の中にも都市計画区域内で改良地区指定する場合には、都市計画審議会の議を経て都市計画調整をはかるように定めてあるわけでございまして、それ以外のところはそういう都市計画審議会の議を経ないわけでございます。こういうことは同時に、そういうような中小都市、あるいは町村においても、集落してそういうものが発生しておるところにつきましては適用するつもりでございます。
  46. 井原岸高

    ○井原委員 ちょっと、お尋ねしておきます。結局は家賃の問題が非常に問題になると思うのです。それで、県あるいは市によっては、あるいは三分の一の負担を全額負うてでも、周囲の環境とか衛生すべての方面から考えて、そのまま建てかえて、むしろ、ただでも、のいてもらいたいと希望しておる市もあることはよく私わかっています。そういったことは大して問題ないのですが、実際に貧弱町村で赤字で困っているところに、集団的に五十戸でなくても、三十戸、二十戸という非常に困った部落が各所にあり、私らの県にもたくさんあるわけです。そういう場合に、さきに各先生方のおっしゃったように、家賃が非常に問題になると思うのです。  それで私としては、この際まずお尋ねしておきたいのは、木造とか鉄筋の場合に、何年くらいを目標にして償却するかということが一つと、それから、やはり行政措置の問題としては、よほどこれは県なり当該の市と厚生省と、よくいろいろ具体的なことを個々に当たって研究してもらって、そして建設省としては三分の二以上というわけにはいかぬでしょうが、他の方法でどうなるかということをよく究極的に研究をして、遺憾ない割当をしてやるようにしてやらなかったら、せっかく割り当てたけれども現場で実際にできないという事態が起ころうかと思いますので、そういう点を厚生省と大いによく研究してもらって、この委員会で十分厚生省の立場に立って答弁できるような資料を次の機会までに作ってもらいたいと思います。
  47. 二階堂進

    ○二階堂委員 ちょっと、資料を委員長に要求したいのです。  東京都内において不良住宅地区と考えておられる二、三地区の中で、その中に生活しておる人の実態の資料が得られるならば、厚生省なり東京都なり、あるいは建設省を通じてなり、できるだけ詳細に提出していただきたいと思います。
  48. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員長 そのことについてはこの次の金曜日の午後、スラム街を委員会として視察したいので、資料を一つお願いします。      ————◇—————
  49. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員長 この際お諮りいたします。当委員会におきまして審査中の治山治水緊急措置法案につきまして、ただいま農林水産委員会より連合審査会の開会の申し出がありました。つきましては、来たる十七日、定例日外でありますが、特に農林水産委員会と連合審査会を開会することに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  50. 羽田武嗣郎

    ○羽田委員長 御異議なしと認め、さよう決します。  なお、来たる十六日の定例日は、参議院予算委員会公聴会の予定の日に当たりますので、建設大臣、農林大臣、企画庁長官及び大蔵省、運輸省、厚生省、通産省当局の出席を求め、午前、午後にわたり質疑を行なう予定でございますので、この際念のため御報告しておきます。  次会は明後十一日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後零時四十五分散