運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-02-18 第34回国会 衆議院 決算委員会国有財産の増減及び現況に関する調査小委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年二月十八日(木曜日)     午前十一時二十三分開議  出席小委員   小委員長 田中 彰治君       井原 岸高君    押谷 富三君       鹿野 彦吉君    鈴木 正吾君       小川 豊明君    神近 市子君       森本  靖君    山田 長司君       田中幾三郎君  出席政府委員         大蔵事務官         (管財局長)  賀屋 正雄君  小委員外出席者         大蔵事務官         (管財局総務課         長)      向井 正文君         大蔵事務官         (管財局国有財         産第二課長)  細川 俊三君         大蔵事務官         (管財局国有財 倉科 忠夫君         産第三課長)         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 二月十八日  小委員森本靖君同月十七日委員辞任につき、そ  の補欠として神近市子君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員山田長司君同月四日委員辞任につき、そ  の補欠として山田長司君が委員長指名小委  員に選任された。 同日  小委員神近市子君及び西尾末廣君辞任につき、  その補欠として森本靖君及び田中幾三郎君が委  員長指名で小委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国有財産増減及び現況に関する件      ————◇—————
  2. 田中彰治

    田中委員長 これより決算委員会国有財産増減及び現況に関する調査小委員会を開会いたします。  質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。山田長司君。
  3. 山田長司

    山田(長)小委員 過日、国有財産増減現況についての資料をもらっておりますが、その資料の究明に入る前に、実は伺っておきたいことがあるのです。それは新宿市ケ谷防衛庁——最近防衛庁が移ったわけですか、防衛庁庁舎わきにある六千六百十方メートルの国有地払い下げ運動か、旧軍人系団体の手で進められているということについてであります。四団体は、すでに払い下げ条件にかなうように、財団法人市ケ谷会館成立代表者は沼田多稼蔵元陸軍中将で、目下法人認可申請を行なっている。目的は、国有地内に遺児など戦争犠牲者福祉をはかる会館を建設することである、こういうことのようであります。大蔵省の一部に早くも許可をしてよいのではないかという声があるやに伺うのでありますが、この実情はたしてどういうことになっておるのか、伺いたいと思います。
  4. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お答えいたします。お話市ケ谷の旧陸軍士官学校跡土地でございますが、大部分は、御承知のように、防衛庁の部隊が使用をいたすわけでございます。これをきめます国有財産中央審議会が、昨年の五月十八日に開かれまして、その節、一部の土地留保いたしております。ただいまお話に出ました問題の土地は、約二千坪でありまして、これは前々から、旧偕行社水交社日本郷友連盟等が、それぞれの事業をいたすにつきまして必要な会館を作りたい、こういうことで、前々から適当な土地はないものかということで、私どもの方へ照会をしてきておられたのであります。一応お話内容を伺ってみますと、仕事内容は、社会福祉的な公益性の強い事業であるということで、具体的な処分をいたすかどうかということは、その団体事業内容をよく見た上できめるべきであるわけでございますが、一応の予定地というくらいの意味におきまして、この二千坪を留保いたしたのでございます。偕行社水交社等個別にいろいろお話がありましたが、私どもといたしましては、一々こまかく各団体に区切りまして土地払い下げるということは、あまり適当でないだろうという考えのもとで、一つそういう似たような仕事をなさる団体は、統合された方が、国有財産処分としては杉がいいのではないかというような非公式な意見も申し上げておいたのでございますが、それに応じてでございましょう、これらの団体では、その後一つ財団法人を作る計画をしておられるように伺っておるのでありまして、これは当然厚生省所管財団法人になるわけでございまして、ただいま厚生省にその認可申請をしておられるようであります。私どもといたしましては、旧軍人団体であるというような点等を別といたしまして、その団体事業そのものがはたして公益的な性格の強いものであるかどうかという点を十分検討いたしまして随意契約対象としてふさわしいという認定を得た上におきましては、この土地をそういった団体払い下げることも可能ではないかというふうに考えておるわけでございます。
  5. 山田長司

    山田(長)小委員 事業内容検討の結果、払い下げてもよいではないか、随契によってよいではないかというような話ですが、これにどうして東京急行などが加わっておるものか。財界関係がこれに関係している意図がわからぬわけでもないのですが、こういうことについて、おわかりになっている点がありましたら、一つ御説明願いたいと思います。
  6. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 この場合に東京急行関係があるという点は、私全然承知いたしておりません。
  7. 山田長司

    山田(長)小委員 事業内容等についての今までわかっている範囲は、どんなことです。
  8. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 正式な財団法人認可申請は、先ほど申し上げましたように、厚生省に出ておるわけでありますが、事前に、参考までにということで私どもがちょうだいしました資料によりますと、事業内容といたしましては、母子寮養老施設授産施設生活相談所簡易宿泊所学生寮等の育英に関する事業、就業、就職に関する事業、英霊の顕彰に関する事業、その他この法人目的達成上必要なる事項ということになっております。
  9. 山田長司

    山田(長)小委員 今のお話によると、学生寮とか授産所とか母子寮というようなものが作られるということについては、反対する何らの理由もないわけですが、このことによって、いわばひさしを貸しておもやを取られるのじゃないかというようなことが、世間では言われているわけです。それは旧士官学校跡、今の防衛庁ですが、防衛庁の土手下の場所払い下げられるわけですが、そのことによって二千坪の土地が上にずっと伸びていくということになると、まるで今の防衛庁が見おろされるような建物に伸びていくのではないか。二千坪の建坪でこれが進められるものじゃなくて、どんな構想によってこういう学生寮とか、あるいは母子寮とか、授産所の設備とかいうふうなものが進められるものか、ただこれだけではちょっと理解できないのですが、もっと詳しく御説明願いたいと思います。
  10. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほど二千坪と申し上げましたが、全部をこの団体に充てる予定はございません。現にこの団体希望自身も、敷地面積としては七百五十坪を要求いたしておるようでございます。大体の計画を聞いてみますと、この七百五十坪に、鉄筋コンクリート作り地下一階地上三階の建物を作る予定であるようでございます。建物建坪が四百四十坪、延べ坪が千五百八十坪、こういう構想を持っておるようでございます。
  11. 山田長司

    山田(長)小委員 この国有財産払い下げの問題についてたとえば虎の門の今のニューエンパイヤの場所にしましても、あるいはまた日比谷の裏の原っぱの地下駐車場の問題にしましても、あるいは朝日新聞の前の川の埋め立てた跡の自動車道の問題にいたしましても、自動車道になるものだとわれわれは思っていたら、——実際車は通っているようでありますが、これが建物の下の坪当たりの権利が四十万も五十万もするというようなことで、最初の目的はまことにどこから見ても非の打ちどころもないほどりっぱな内容が出ていても、実際にこれが作られたあとというものは、どうも理解のできない点が多々あるわけなんです。そこでわれわれは、さらにこのことについても、表面打ち出されている内容と、あと事業内容の大きな変化が考えられるわけなんで、その点大蔵当局としては、今までの経験から推してみて、これが払い下げについての、今度の場合なども、疑義というものはちっともないように今の答弁ですが、その点何かふに落ちない点があるのじゃないかと思いますが、いかがですか。
  12. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 これは、先ほど来申し上げていますように、まず財団法人ができ上がってから正式に認可申請をして参るわけでございますが、正式な認可申請がございましたら、その際、お説のような心配のないように十分事業内容検討いたしまして、慎重に可否を決したいと考えております。
  13. 山田長司

    山田(長)小委員 そうしますと、まだこのことについては、うわさ程度で、明確に払い下げ大蔵当局としては決定しているというわけじゃないのですね。
  14. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほど申し上げました国有財産審議会で、この市ケ谷陸軍士官学校跡地処理をきめます際に、大部分陸上自衛隊等施設に充てられることにきまったわけでございますが、その際に、この二千坪は一応こういうものが希望をしておられるからということで、留保をいたしております。従いまして、その事業内容さえよければ、こういうものに払い下げるという一応の心づもりで留保をいたしておるわけでございまして、最終的にきまったわけではございませんが、そういう腹づもりがあったということは事実でございます。
  15. 山田長司

    山田(長)小委員 市ケ谷駅からあの周辺の最近の交通量の点から考えてみて、こういう場所払い下げる前に、あの土地はあの面積そのまま新宿の方向へ向けて広くしてもいいのじゃないかという気が私たちもあるわけなんですが、こういう点について、建設省なり、都なりと大蔵省は打ち合わせしてみたことがありますか。私は、あの周辺にある民家を移動させるよりも、あれを倍の道路に広げていかれたならば、交通難緩和という問題についても、相当量緩和されてくるのじゃないかと思うのですが、この点どうですか。
  16. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お説のようなこともあろうかと思いまして、国有財産審議会におきまして、先ほどの決定をいたします際に、四千五百二十坪を道路拡張用といたしまして保留いたしてございます。これは、審議会にかけます事前に、建設省、東京当局とも十分打ち合わせをいたしております。また審議会委員にも東京都知事が入っておるわけでございまして、そういった御意向に基づきまして、道路拡張に必要な土地留保いたしておるわけでございます。
  17. 山田長司

    山田(長)小委員 では次に、過日資料を提出していただいた問題につきまして、伺いたいと思います。横須賀にあります第一海軍技術廠岡村製作所払い下げた五千六百余万円、右は競争入札によったものであるか、あるいは随契によったものであるか、この資料に基づいてお尋ねするわけでありますが、御答弁願いたいと思います。
  18. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 第一海軍技術廠跡地岡村製作所に対する処分は、御承知のような旧軍港市転換法に基づきまして処理をいたしたものでありまして、昨年の一月二十二日開催の第二十一回旧軍港市国有財産処理審議会付議をして決定をいたしたものでございます。契約は、御質問の件につきましては随意契約でございまして、その根拠は、予決令——正確に申しますと、予算決算及び会計令財政法に基づく政令でございますが、これの第九十六条第一項二十号「産業又は開拓事業保護奨励のためこれに必要な物件の売払若しくは貸付をなすとき又は生産者から直接にその生産に係る物品の買入をなすとき」は、随意契約によることができることとなっております。この条項に基づきまして、随意契約によって売り払いをいたしたものであります。なお、御承知でございましょうが、この会社は、自動車の製造を業といたしております。
  19. 山田長司

    山田(長)小委員 非常な面積のようでありますが、これは分納で五百四万円ずつ十年間にわたってするような規定になっておりますが、もしこれが自動車を製造する用途に使っておるということであるならば、これは場合によったら、転売をするというようなことができるのですか。
  20. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 国有財産処分をいたします場合には、原則として売り払い当時の時価によるということは大原則でございますが、ただ、学校その他特定の公共的な色彩の非常に強いものにつきましては、法律規定に基づきまして、五割以内の減額譲渡ができる場合があるわけでございます。私ども最近の取り扱いといたしましては、こういった減額をいたしまして処分をいたします場合は、そういう特定用途に充てるからこそ減額をいたしたのでございますから、将来もその用途に充てていただくことが絶対的な条件になるわけでございますので、いわゆる用途指定というのをいたしまして契約条項の中で、その用途以外の用途に充てた場合には契約の解除ができる、または弁償金をとることができる、こういう条項を設けておるわけでございます。しかしながら、時価で売り払いました場合には、私どもは、そこまでのきびしい条件をつけておらないのでございます。  従いまして、契約上からいえば、時価で買った場合には、右から左に転売するということもあり得るわけでございますが、しかしながら、随意契約で売りました場合には、その随意契約対象としての適格性を認めて売ったわけでございますので、それ以外の用途に充てられるということは、やはり一つの脱法的なことになるのでございまして、この点につきましては、契約を締結いたします際に十分調査をいたしまして、そういうことのないような確信を持った場合に限って契約するということにいたしております。契約条文といたしまして、これをほかの用途に充てることを絶対的に禁止するというところまでは、時価売り払いのときには縛っておらないわけであります。
  21. 山田長司

    山田(長)小委員 ただいまの答弁を伺いますと、時価払い下げる場合は、転売してもいいというふうな御意見のようですが、時価転売したものか、あるいは時価より高く転売したものであるか、あるいはそれ以下で売買したものであるか——以下の場合は問題ないにしても、とにかく、これは大蔵当局でも、実際は正確にわかるということはなかなか困難だと思うのです。そういう点で今度の売買価格というものを計算してみますと、坪当たり大体三千八百九十円に当たる。横須賀のこの周辺がどれだけの地価になっておるのか、私はまだ現地に行って調べておりませんけれども、今どき坪三千八百九十円などという価格は、よほどへんぴな在でもない限りにおいては、こんな安い単価のところはないのではないかと私は思うのです。なお、建坪を調べてみると、坪当たり一万五千二百四十四円になっている。これも私は非常に低廉じゃないかと思うのですが、この辺の地価はどのくらいになっておるか。当局でお調べになってみたことがあるかどうか、一応伺っておきたいと思います。
  22. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 先ほどの答弁から、時価売り払いの場合は転売してもいいというふうにおとりになっておられるようでございますが、私どもはできるだけそういうことのないように注意をいたしておりまして、契約上はそれを縛るような条項を置いておらない、こういうことでございますので、御了承いただきたいと思います。  時価であるかどうかは不明な場合が多いという仰せでございますが、時価から一定の割引をいたします場合は、法律条文がある場合に限っていたしておりましてたとえば学校のため、あるいは社会福祉施設に売るというような、主として地方公共団体を相手に、公共的な性格の強い施設に充てるために譲渡いたします場合に、減額をいたすわけであります。国有財産法あるいは国有財産特別措置法等によりましてそういった特別の規定があります場合を除きましては、時価で売る。しからば、時価の見方をどう見るかということでございますが、私どもは、一定基準を作りまして、各局で担当者によってあまりばらばらな評価をすることのないようにということで注意いたしておるわけでございます。全体の大筋を申し上げますと、相続税課税標準価格、それから地方税であります固定資産税課税標準価格、この二つの課税標準価格をもとといたしまして一つ価格を出し、一方近傍類地売買実例がございます場合は、その売買実例をとる。しかしながら、売買実例は、いろいろ特殊的な事情もございますので、その点はよく考えてとらなければならないわけでございますが、適当な売買実例がある場合には、これをとる。それから土地建物等評価につきまして、専門的な知識経験を持っております機関、たとえば不動産銀行でありますとか、昨年できました不動産研究所、それから一般の信託会社等に依頼をいたしまして鑑定価格を求めましてその鑑定価格の平均と、それから私ども課税標準価格から算出いたしました価格とを平均いたしまして、その出た価格をもって売り払い価格とするということにいたしておりまして、役所側が一方的に価格決定するということのないように、十分な配慮をいたしておるわけでございます。  この辺の時価がどれくらいするかというお話でございますが、これは提供しておりました非常に大きな地域の一部でございまして、適当な比準地を求めることは困難でございます。当時といたしましては、まわりがずっと提供されておるというような関係もございまして、割合に安い評価が出ておるようでございます。御承知のように、その後、昨年この地域が全面的な返還をされまして、昨年十一月の軍転法に基く審議会におきまして、この地域処理方針決定いたしました。大体七十社ばかりの希望がございましたところから、現地当局市当局等意見十分参考にいたしまして、それからこの地域は、駐留軍がもと大量に雇用をいたしておりまして、引き揚げに伴いまして大量な失業者を出したところでございますので、雇用吸収をなるべく多くするというような企業をここへ持ってくる、こういうような観点を考慮いたしまして、二十七社に払い下げ方針決定いたしました。これはまだ方針でございまして、その後極力具体的な評価をいたしておるわけでございます。昨年からことしにかけての一般的な土地の値上がりもありますし、この土地が近代的な工業の非常な中心地にもなるというようなことでありますから、今日から見れば相当な価格が出るのではないかと思っておりますが、ただいませっかく評価に努力いたしておるわけでございます。また、この広い地域でございますので、場所によりまして価格差も出て参るわけでございまして、一がいにただいまこの地価が幾らであるということを申し上げる段階ではございません。当時から見れば、相当価格が上がっておるのではないかというふうに考えております。
  23. 山田長司

    山田(長)小委員 ただいまの答弁によりますと、契約転売についての規定はないというお話ですが、もし十年もの年賦土地が売り渡されておるとすれば、この十年間のうちには、まわり地価がどんどん上がってしまって、非常に安い値段で買った結果になるのではないかと思うのです。十年間の年賦という支払い条件をつけて地価がきめられたり、建物価格がきめられたとするならば、非常に安い値段になってしまうと思うのです。が、国有財産払い下げ価格の算出の方法、こういう規定は何かやはりあるものですか。
  24. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 国有財産払い下げにつきましては、法規は別段ございませんが、先ほど来申し上げましたような原則に従っておりまして、この関係の詳細な基準は、相当分厚いものになっていますが、普通財産売払評価基準——これは国有財産中央審議会付議をいたしまして、その道の専門家の方々に十分検討をしていただきまして、決定いたしたものでございまして、これを各財務局へ流しまして、適正な運用をするように心がけておるわけでございます。  それから十年の延納で、そのうちに価格が上がるではないかということでございますが、これは何事によらず、買いましたものが上がるか下がるか、上がれば得をし、下がれば損するということはあり得るわけであります。ただ、十年が長過ぎやしないかという御意見はあろうかと思います。しかしながら、これは旧軍港市転換法というのがありまして、これは十年前、昭和二十五年に議員立法でできた法律でございまして、社会党の御賛成も得てできた法律なのでございますが、横須賀、佐世保、舞鶴、呉、この四つの旧軍港市平和都市にできるだけ早く転換するという意図のもとに、あらゆる点で国が援助する。国有財産処分にいたしましても、この法律の趣旨の実現に寄与するように、有効適切に処理するということに相なっておりまして、その条文の中に、旧軍用財産譲渡した際に、「当該財産譲渡を受けた者が、売払代金又は交換差金を一時に支払うことが困難であると認められるときは、確実な担保を徴し、利息を附し、十年以内の延納の特約をすることができる。」という明文の規定がございます。この規定の適用によりまして十年の延納をいたしたわけでありまして、もちろん、ここにありますように、確実な担保をとっておるわけでございます。この場合は、たしか売り払いました土地そのもの抵当権を設定しておる次第でございます。
  25. 山田長司

    山田(長)小委員 確実な担保をおとりになっておっても、仕事全体が、必ずしも世の中の変動で十年の間に変わっていかないとも限らないわけでありますね。そんなようなことから、私は、どうも十年間の年賦は、いかなる法律規定があったにしても、理解されないと思う。こんなふうなことから、今度の横須賀市に起こっておる財物局刑事事件というのが、やはりいろいろ発展していったのではないかと思うのですが、この刑事事件内容というのは、どんなことなんです。
  26. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 新聞等に出まして、このような事件が起きましたことは、私ども非常に遺憾に存じておるわけでございまして、さっそくできるだけ詳細な内容調査いたしたいと思いまして、関東財務局にも命じておるわけでございますが、本人は、去る一月二十八日逮捕されて以来、ずっと連絡がでごませんし、また、一部の書類も押収されておりますし、また、検察当局に聞きましても、まだ今の段階では十分はことを知らせてもらえない状況でございますので、詳しいことはわからないのでございますが、一昨日起訴になりました芝沼正夫、これは横須賀出張所管財第三課長でございます。もう一人吉田政五郎、これは横須賀出張所管財第三課動産第一係長でございます。この二人につきましては、大体の容疑は、収賄事件容疑でございます。たとえば旧日本海軍に属しておりましたワイヤーロープ、これを指名競争入札によって処分いたしたのでございますが、そのとき落札いたした者から、謝礼といたしまして金品を受け取っておる。そのほかに、数回にわたりまして、工作機械、たとえばフライス盤、あるいは形削り盤、歯切り盤といったような工作機械を、随意契約によりまして払い下げを行ないますに際して現金を受け取っておる。そのほか、また起重機の売り払い、それから旧海軍の駆潜艇、これをスクラップとして売却いたしたわけでございますが、この場合も金品を受け取っておる。こういった容疑で逮捕せられ、起訴せられたように承知いたしております。従いまして国損がありますかどうかという点につきましては、おそらくその点はないのではないかと考えておりますが、もう少し詳細にこれから調査をいたしたいと考えておるわけでございます。なおこの両人は一昨日起訴されましたので、今日、公務員法規定に基づきまして、休職処分にいたしております。
  27. 山田長司

    山田(長)小委員 こういう刑事事件を起こす人たちが、この土地の売り払い等の問題について関係しておるので、今度の随契による払い下げについても、あるいは関係ないかもしれぬけれども、何かしら関係あるように感ぜられるわけです。これは横須賀の一技術廠だけのことで、そういうふうに土地値段が安いのではないかと思われたり、一坪当たり単価についても、建物単価が安いじゃないかという気がするのですが、委員長、これはただ報告だけによったんでは、どんな建物であるのか、地形的にどんな場所にあるのか、ちょっと不明確な点があるわけです。これは、一ぺん現地に行ってこの状態を調べる必要があるんじゃないかと思うのですが、この点、委員長においてお取り計らい願いたいと思いますが、いかがなものですか。
  28. 田中彰治

    田中委員長 けっこうです。日をあらためてきめて、そうして現地調査、けっこうです。
  29. 山田長司

    山田(長)小委員 それから大蔵当局にお願いしたいのです。これは三十二年度と三十三年度の売り払いの状況ですが、三十一年度あるいは三十年度、二十九年度、この評定価格五千万円以上のもの、あるいは貸付料五百万円以上のもの、こういうものをやはり小委員会に出してもらいたいと思うのです。これは横須賀だけのことですが、次に、陸軍の経理学校跡を東京女子医科大学に払い下げた問題につきましても、これがやはり年賦であるし、売り払いの単価につきましても、横須賀よりは少し値段がよいけれども、この値段だって、あの土地地価から言いますと、幾ら学校であっても、必ずしも適当な値段でないように考えられるのです。この三十二年度にあります横須賀の多治見製作所というのは、どういう仕事をされておるのか、参考に伺っておきたいと思います。
  30. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 多治見製作所の会社としての事業目的は、ポンプ、蒸気タービン、内燃機関の製造修理、及び製罐、鋳造品の製造、それから船舶の修理もやっておるようでございます。そうしてこの会社のこの施設を利用する目的は、蒸気タービン及び船舶用内燃機関の製造・修理の工場に充てたいということで、払い下げをいたしたわけであります。
  31. 山田長司

    山田(長)小委員 これも坪当たり大体二千六百円、建物価格が一万九千二百九十六円ということになっていますが、この建物はどんな建物であるか。あるいはこの地価も、前申されたのと同じような形で出されたものと思われますけれども、常識的に、横須賀の船越とするならば、単価が安過ぎるのではないかと思うのです。これは金額がもう収納済みになっておるようですけれども、これらの単価につきましても、前と同じような形で出されたものであるかどうか、参考に伺っておきます。
  32. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 価格決定方法は、一般の原則によって決定いたしておりまして、精通者としての特別の民間の意見も徴しているわけでございます。なお、もちろん軍転法に基づく旧軍港市国有財産処理審議会の議にも付しまして、御検討を願った上、決定いたしておるわけでございます。
  33. 山田長司

    山田(長)小委員 前に関東だけの資料しか請求しなかったのですけれども、関東以外に、やはり全国的な資料をほしいと思いますが、この点も委員長においてお取り計らい願いたいと思います。
  34. 田中彰治

    田中委員長 山田委員にお尋ねしますが、ここだけやってから、資料要求をしたらどうですか。資料ばかりたくさん要求しても、複雑で、数字的なものだし、今の資料の分だけを調べて、それからにしたらどうですか。
  35. 山田長司

    山田(長)小委員 やはり全国的なものと、東京及び東京周辺場所との差を見たいのです。そういう点で、関東が終わってから地方も見たいけれども東京及び東京周辺がこんな安い単価であるとするならば、地方はもっとはるかに安いのじゃないかと思うのです。それもついでに比較検討してみたいと思いますので、この点の資料を要求いたします。
  36. 田中彰治

    田中委員長 全国的というと大へんだな。
  37. 山田長司

    山田(長)小委員 それではまあ近県でもいいと思うのですが……。
  38. 田中彰治

    田中委員長 あとで考えて御相談します。
  39. 神近市子

    神近委員 ちょっとそれに関連して伺いたい。総括的な話ですけれども、終戦のときに陸海軍の財産が処理されたことがございますね。私の地区で数十人の人が——もう老齢ですが、女の人が今しきりに運動をしているので、そのときの状態を聞きますと、処理をしてみんな分配したということになっているようですけれども、この全体としての陸海軍の財産というものは、その後全部国庫の中に接収されたということになっているのですか。それで、その財産というものは、相当膨大なものではないのですか。それをちょっと総括的に聞かせていただきたい。
  40. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 お話の中に出ております旧軍の財産を分配したというお言葉から考えますと、あるいは旧軍財産の終戦当時のいわゆる動産類のことも含めてお考えになっておるやに伺うのでございますが、私どもが引き継ぎをいたしました財産は、旧軍が持っておりました土地建物特定の機械等の動産、それから軍艦でありますとか、そういった特殊な物件でございまして、これが現在国有財産法にいういわゆる国有財産になっておるわけであります。これの数量は、ちょっと今はっきりしたことを記憶いたしておりませんが、これは相当膨大なものになることは当然でございまして、方々にございます演習場あるいは飛行場、各造兵廠、それから軍艦を作っておりました呉なんかのドックでありますとか、そういったもの一切を軍の解体に伴いまして大蔵省が引き継いだわけでございます。この数量は非常に膨大なものになるわけでございます。それの中から相当のものが一時は駐留軍等に提供という形になっておったのでございますが、これは逐次返還されつつあるわけでございまして返還になりました上は、これを民間に払い下げる、こういう方針をとっておるわけでございます。
  41. 神近市子

    神近委員 おもに私の地元の婦人たち関係しているのは、今問題になっている板橋の被服廠跡ですが、これは今まだ売り渡しも何もされていない。私も、自分の地区ですが、行ってみても、非常に広いところですから、一体どこらにあるのか、どこからどこまでかちょっとわかりませんので、もし資料として出していただけたら、この次に出していただきたいと思います。  それから伺いたいのは、ここに即金払いしてあって、これに延納金というものが書いてあるのはどういうことなのか、それが払い込めなかったのかということ。  それから審議会というのは、きのう御配付になった審議会資料を読んでみれば大体わかるのではないかというふうに考えますけれども、この審議会というものは、今お名前をちょっと拝見すると、土地処理や何かについてはたして適当な方ばかりかどうかということが、ちょっとわからないような感じがいたします。この審議会というものや調査会というものは、大体皆さんの御調査の結果を承認するような組織になっているのではないかと思いますが、この審議会というものは、何か異論があったときに、皆さんの御決定に対して発言をしてこれが通るという強い性格のものなのか、ただ形式的にそういうものがありますからということになって、それを承認するだけにすぎないようなものか、ほかの審議会でもいつでもそういう形があるものですから、これを伺ってみるのですが、これは大へんなことだと思うのです。そうすると、財産処理でありますから、その点強い発言ができる組織になっているのか、ほかの審議会同様の、あってもなくても同じというふうなものなのか、そういうことは言いにくくていらっしゃるに違いないけれども、ここで一つはっきりしておいていただきたい。
  42. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 神近先生の地元の問題の国有財産は、おそらく赤羽TOSという名称で呼ばれております旧陸軍被服廠の跡地であろうかと思うのであります。これは一地区、二地区、三地区、四地区というふうに分かれておりまして、処理済みの部分もございますが、また処理未済のところもございまして、処理未済の点につきましては、慎重に処理方針検討中でございます。大体の土地建物、坪数等の資料は、御要求に従いまして御提出をいたしたいと考えております。  その次にお話のございました延納でございますが、これは先ほどお読みいたしましたように、旧軍港市転換法の中にも、この十年以内という延納の特約をすることができるという規定がございますし、それから国有財産法の三十一条にも、売り払い代金の納付の規定がございまして、これは、国有財産法の一般の原則は、最高五年以内の延納の特約をすることができる。それから国有財産特別措置法でございますが、これにも延納の特約の規定がございまして、特定の場合には十年以内ということで、国有財産の一般の原則の五年以内の例外の規定を設けております。
  43. 神近市子

    神近委員 わかりました。分納とか分払いとかしてあるとわかるのですが、延納なんていうのはちょっと使わない言葉なので……。
  44. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 それから最後に御質問のありました審議会でございますが、私どもが申しますと手前みそに聞こえるかもしれませんが、決して形式的なおざなりの委員会ではございませんで、相当議論も活発にされまして、いろいろ事務当局の案が通らないような場合もあるわけでございまして、貴重な御意見を聞かせていただいておるのでございます。人選につきましては、いろいろ考慮をいたしておりますが、不動産の鑑定等にも明るい方面からの人、それから金融界、産業界、中小企業関係を代表される方、そのほか学界、評論界といったような方面の一流の方々を集めておるわけでありまして、御承知のように、審議会は中央に一つと、それから各財務局——十ありますが、これに付置されております地方の審議会とあるわけであります。地方の審議会には、それぞれの地方の地元の意向を代表されます、あるいは県知事、あるいは市町村長といったような方々も選んでおりまして、公平な意見が反映されるように配慮いたしておる次第でございます。
  45. 田中彰治

    田中委員長 山田委員にちょっとお諮りいたしますが、これは旧陸海軍の収用した土地国有財産に入れた土地——これは未処分のものもあり、処分したものもあるのですね、これが上がっておらない。こっちへ来ていないのです。これを一つ資料として要求しておきますから、それをごらんになると、今の神近先生の質問のどこが処分してどこが残っているか、どこがどんな工合になっているかということがわかるでしょう。それで関東をしまいにして、それから地方をやるということこしましょう。
  46. 山田長司

    山田(長)小委員 ただいまの委員長のお言葉を了承しました。そこで、先ほど局長は、転売等については契約上の規定がないと言われたが、今日まで払い下げた中に、転売された例はないですか。払い下げを受けた人が、転売をした例はないですか。
  47. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 いわゆる用途指定財産としまして、減額して売りました場合、あるいは減額して交換をいたしました場合には、ほかの用途に充てたり、転売してはいけないという条項契約の中に入れておりまして、その条項に違反して転売した例で、従来たびたび検査院当局からも指摘を受けました最も多い例は、国有財産特別措置法の九条で、御承知のように、旧軍の機械を中小企業者に対しまして、設備の合理化推進のために、三割五分の値引きをいたしまして、中小企業者が持っております古い機械と交換する制度がございます。これは三割五分引きの安い価格で交換をするわけでございますから、それを交換を受けておいて、右から左に転売されますと、非常にもうけが出るわけでございます。そういうことを禁じておるわけでございます。にもかかわらず、過去におきましては、これを転売したという事例がかなりありまして、会計検査院の指摘を受けておったのでございますが、この点につきましては、その後十分監査、検査等を督励いたしまして、そのことのないような処置をとりまして、最近はもうほとんどそういった事例はないようになっております。ただいま御審議を願っております三十二年度の決算報告の中には、機械器具の交換に関し処置当を得ないもの二件がございましたが、こういった事例は非常に少なくなっておりますが、前はかなりあったようでございます。今回三十三年度につきましては、この点についての指摘を受けておらないのでございます。転売の最も典型的な例は、機械器具に多かったようでございます。そのほかのものにつきましても、あるかないかという点につきましては、ちょっと今例で記憶に残っておるようなものはないのでございます。大きな財産について払い下げを受けまして、すぐそれを右から左に転売したという例は、おそらくないのではないか、ないと申し上げてもいいのではないかと思います。
  48. 山田長司

    山田(長)小委員 大きな例にはなくても、十年間の年賦ということで支払いをさせるというと、やはり会社によって、会社事業成績等で、十年間の歳月の間にはかなりの変化が起こると思うんですよ。そういう点で、ただ大蔵当局あるいは会計検査院当局が気がつかずにおるだけであって、実際は私はそのほかにもかなりあるのではないかと思うのです。  さらにお伺いしておきたいことは、払い下げをした周辺地価についての資料ですね。これはおそらく払い下げ土地価格というものの基準になっていると思うのですが、そういうものの資料がなければならぬはずですが、三十二年度と三十三年度の払い下げ建物周辺地価資料を出してもらいたいと思うのです。この点、委員長、お取り計らい願いたいと思います。
  49. 田中彰治

    田中委員長 取り計らいます。田中君。
  50. 田中幾三郎

    田中(幾)小委員 十年もしくは数年の延納、分割払いといいますか、そうしますと、その分割した金額の支払いの期日を怠った場合には、その分についての延滞の損害金はむろんつきますね。山田委員の疑問はごもっともなのですが、そうしますと、十年もしくは数年の期間にわたって支払いする、その支払い方法を決定するときに、それをしんしゃくして評価をするのですか。一時に払うのと、十年もたって分割して払うのとでは、これは非常に国に損害が起こる。一時に支払いを受ければそれでいいけれども、分割した方は、それだけ延びていくのですから、延納した分について損害金をとるのは当然ですけれども、十年も先に支払いをするということは、それを考慮して、その価格決定するときにやるのかどうか。たとえば月賦販売なんというのは、これは市場でやりますと、一時払いのときに比べて非常に高くつくわけです。ですから、分割払いをするときの価格評価をする場合に、その期限が考慮されて評価されるのであるかどうか。この点を少し解明すれば、山田君の疑問も幾らか解けてくるのではないか。担保はとるのですから、支払い不能に陥るということはまずなかろうということですね。そういう点は何か考慮されるのですか。
  51. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 価格決定にあたりましては、延納と即納によっては差はございません。つまり即納であるから安くするとか、延納であるから幾分高めにきめるとか、というようなことはいたしておりません。従いまして、この点につきましては、法律規定の許す範囲内で、個別事情を検討いたしまして決定するわけでございます。もちろん、延納いたしました場合には、一般原則といたしましては、年八分の利息を徴することになっております。ただ、旧軍港市転換法等に基づきまして旧軍財産を譲渡いたしました場合は、七分五厘ということで、若干差をつけておりますが、この金利をつけるということによって差を設けておる以外は、評価そのものについては、延納の場合と即納の場合で区別はいたしておりません。
  52. 田中幾三郎

    田中(幾)小委員 今の点で山田君の疑義が出てくると思うのです。一時払いをすれば、銀行でかりに何千万円という金を借りて一時に支払ったとすれば、銀行に対して利息を出さなければならぬ。そうすると、金のない者は十年もにわたって年賦払いをしていく、それに対する価格が考慮されないということになると、土地価格がうんと上がった場合に、これは国家に対する損害はないかもしれぬけれども、普通の取引と非常に隔たりがあって常識的に考えても、分割で払うということは非常な得があるわけです。やはり今の価格を割引して買うというときの条件と、分割払いをしてもらうというのは、非常な利益を受けるのですから、特殊な条件をつけるべきではないか、こういうふうになるのであって、分割払いを受ける者は非常な利益を受けるのですから、そこを考慮して幾らか高くして決定するということであれば、山田委員の疑問はないわけです。分割払いを受けるということにおいて、買う方は非常に利益を受けるわけですから、それを考慮しないということは、普通の取引の通念上、私は、国の方は非常に特売をするのと同じような結果になるのではないかと思うのです。この点を考慮しないから、山田君のような疑問が起こってくるのではないか。そこいらの事情は、何かあるのじゃないですか。通常の考えの上において、そういうことはないですよ。
  53. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 国有財産の売り払いは、時価で即納というのが原則なんでございまして、それに法律でもって、特別な措置として延納を認めておるわけでございます。これは法律がいいか悪いかということになるわけでございまして、私どもは、法律の範囲内でこれを運用いたしておるわけでございます。延納にいたしますと、先ほど申しましたように、売り払いました土地そのもの担保にとるということでございますので、即納で自由にその財産を完全に自分の支配下に置くという場合と違って、多少の拘束も受けるわけでございます。それから今申しました八分の金利が安いかどうかは別問題といたしまして、金利も徴しているわけでございますので、その点を価格評価の上にまで考慮する必要はないのじゃないかというふうに考えております。
  54. 田中幾三郎

    田中(幾)小委員 私の言うのは、国の財産を処分する場合に、管理する者としてそれが国家に対して善良といいますか、忠実といいますか——にやる方法であるかどうかというところに疑問がある。普通の売買なら、そういうことはしませんよ。個人の間において、十年も年賦で払うというときには、当然それは価格を考慮して売るのですから、自分のものであれば、そういうことはできないと私は思う。これは、あなたの方では法律規定に従ってやっておるというのですから、法律上は別に違反はないかもしれない。しかし、国の財産の管理の上において、これは考慮さるべきではないかということを一言申し上げて、これは、一つよく国有財産処分について御考慮願いたいと思う。
  55. 田中彰治

    田中委員長 局長、これは利子をとるのでしょう。
  56. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 とります。
  57. 田中彰治

    田中委員長 ですから田中委員、結局利子八分とるのですから、八分の利子が高いか安いかということです。局長、残った分についてとるのでしょう。
  58. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 そうです。
  59. 田中彰治

    田中委員長 残った分についてとっているのです。たとえば一億のものを年賦にして、二千万払って、残った八千万から八分ずつ利息をとっていくのです。
  60. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 そのことを今申し上げたのです。
  61. 田中幾三郎

    田中(幾)小委員 それなら、私の疑問はないわけです。
  62. 山田長司

    山田(長)小委員 どうも私には理解できぬのですが、特別の理由の場合に年賦で払わせる、こういうのですが、特別の理由というのはどういうときをさすのですか。
  63. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 法律規定を申し上げますと、先ほど申しました国有財産法第三十一条には、こういうふうに書いてあるわけでございます。「普通財産の売払代金又は交換差金は、当該財産の引渡前にこれを納付させなければならない。」これが大原則でございまして、私の申しております国有財産の売り払いの原則は、即納である。代金を納めなければ売り渡さない。「但し」、それにただし書きがつきまして、「当該財産譲渡を受けたものが公共団体又は教育若しくは社会事業を営む団体である場合において、各省各庁の長は、その代金又は差金を一時に支払うことが困難であると認めるときは、確実な担保を徴し、利息を附し、五年以内の延納の特約をすることができる。」それから特別措置法に……。(山田(長)小委員「そこで三十一条の社会事業とはどういうことですか。自動車会社が社会事業を営む団体であるかどうか。」と呼ぶ)ですから、説明を最後までお聞きいただきたいと思うのです。順番に御説明申し上げております。  今申し上げたのが一般の原則。次に、国有財産特別措置法十一条に、こういう規定があるのでございます。「普通財産を譲渡した場合において当該財産譲渡を受けた者が売払代金又は交換差金を一時に支払うことが困難であると認められるときは、確実な担保を徴し、且つ、利息を附して、五年以内の延納の特約をすることができる。但し、左に掲げる場合には、延納期限を十年以内とすることができる。」左に掲げる場合といたしまして、「地方公共団体学校法人、社会福祉法人、更生保護会、日本赤十字社又は政令で定める重要産業に属する事業を営む者」「住宅又は宅地を現に使用している者に譲渡するとき。」とございます。一般国有財産の大原則は、公共団体とか社会事業を営む団体に限っておりまして、国有財産特別措置法によりまして——これはおそらく国有財産をなるべく早く、適正に処分をするのがよかろうという趣旨であろうかと思うのでありますが、売り払い促進という点も加味せられまして、十一条の本文では、五年であれば別に制限がないわけでございます。ただ、学校でありますとか、重要産業に属する事業、これはたとえば自動車工業でありますとか、鉄鋼業でありますとか、あるいは輸出産業、そういったものにつきましては、十年まで延納ができる。  それからここに資料としてお出ししておりますのは、さらにもう一つあります。先ほどから御説明いたしております旧軍港市転換法に基づく規定によっているのでございまして、第四条に、特別の措置といたしまして、「旧軍用財産譲渡した場合において、当該財産譲渡を受けた者が、売払代金又は交換差金を一時に支払うことが困難であると認められるときは、確実な担保を徴し、利息を附し、十年以内の延納の特約をすることができる。」大体この三段階になっておりまして、買う方から見まして一番有利な条件で買えるのは、この旧軍港市の場合でございます。これは、できるだけ早くもと軍が使っておりました財産を平和事業に使うということで、その売り払いを促進する、そのために延納条件を有利にしている、こういう関係でこの規定ができているわけでございます。
  64. 山田長司

    山田(長)小委員 国有財産法第三十一条二項に「延納期限、担保及び利率について、大蔵大臣に協議しなければならない。」とある。協議しなければならないということは、協議することであって、何らこれについては、いいとか悪いとかいう——協議をしなければならぬということであるならば、これは非常に理解に苦しむ点があるわけなんですね。そうすると、協議をしなければならぬということであれば、これは何も正確に支払いをしないで、延期をすることを勝手にやってしまうことになると思うのです。非常にこれは法的にもゆるい感じがするし、それから政令で定めなければならないという九条の規定によりますと、これも何か大臣か、各省各庁の長の位に属するものと話し合えば、この支払いについてはずいぶんゆるやかな点が生まれてくると思うのです。そうすると、限られた特殊な階級の人に、こういう国の財産の処置にあたって非常にゆるやかな処置の仕方がとられることになるので……。一体関東地方において、この特例で処理のされたものはどのくらいですか。関東だけでいいですから……。
  65. 田中彰治

    田中委員長 それは大へんだろう。
  66. 山田長司

    山田(長)小委員 それは理解する一助に私は聞かなければならぬと思うのだ。こういう特別な措置をされているもの、金額五千万円以上でいいですよ。
  67. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 今ここに数字は持ち合わせておりませんが、この法律条項に当てはまります場合には、原則として特約をいたしておるのでございまして、ここにございますように、旧軍港市の場合には、これは非常にゆるやかでございますが、それ以外の財産につきましては、先ほどお読みいたしましたように、政令で定める重要産業ということで、これは大体随意契約のきく相手方に売る場合でございます。従いまして、一般の競争入札による場合は、もちろん即納でございます。それから、協議の点をお話しになりましたが、これはもちろん各省各庁が大蔵大臣に協議をしなければならないということによりまして、各省各庁があまり一勝手な、ゆるい条件、そのときどきの状況によって、ばらばらな取り扱いをしないようにということで、国庫大臣たる大蔵大臣が統制をとる意味において協議を受けるということでございまして、大蔵省で売ります場合には、大蔵大臣が自分で相談を受けるわけでございますが、事務的なことを申し上げますれば、この延納の特約につきましては、まあ大蔵省の中におきまして、処分をいたします管財局と主計局とが十分な連絡をとりまして、この協議の実をあげておるわけでございます。
  68. 山田長司

    山田(長)小委員 重要産業でないものは、私は一つもないと思うのですよ。そうすれば、大体全部入って、こういう大口の形の処置の仕方を、特殊な関連を持っておる人たちに特別な払い下げの方法を、随契などで行なわれるから、問題が起こってくると思うのです。こういう点について、何か私は新しい方法が考えられないというと、今残っている国有財産でも、随契でやたらに処理されてしまって、あとになって、今横須賀に起こっているような刑事事件が勃発しないと、だれも予言ができないと思うのですね。こういう点で、とにかく払い下げの方法についても、もう少しいい方法を講じられなければならぬと思うのですが、何かこれについて案はないですか。
  69. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 この延納をいたしますのは、非常に払い下げを受けた者に対して恩典である——まあ不当な恩典であるかどうかという点でございますが、恩典には違いないのでありますけれども、私どもは、不当な恩典ではない、法律に認められた合法的な制度であるという考えに基いておるわけでございまして、その点は見解の相違かもしれませんが、私どもといたしましては、できるだけ財産の処分を進める意味からいいましても、こういう制度はあってしかるべきじゃないか。ただし、その売り払いを進めるにつきまして、価格評価の点でありますとか、その間にいわゆる非行のないようにということは、これはまた別な問題でございまして、十分注意をいたすべきでございますが、ただ延納の点だけを取り上げて、これは非常に不当に業者を利しておる、そういうところからいわゆる非行事件が発生する、こういうようなお考えでありますれば、私どもは全然考え方が違うのでございます。
  70. 山田長司

    山田(長)小委員 もう一つ伺っておきますが、転貸しする場合等は、今まで調べた範囲では、ありませんか。
  71. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 これも今までの例で、私の記憶に残っておりますのは、先ほど申しました三割五分引きで国有の機械を交換いたしまして、交換を受けました人がそれをまた転貸ししておるという例は、従来あったようであります。
  72. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 今あなたの説明でいくと、大原則であると、非常に声高らかに大原則を言って、あとは低く言っておるのですがね。今森本さんに借りて見たが、十一条というのは、特別措置法の十一条でしょう。それから特別措置法に基づく政令、これを見ると、「法第十一条第一項第一号に規定する重要産業に属する事業は、左に掲げる事業とする。」というので、一から四十七まである。これにないのは、あんまと床屋とそれから料理屋だけだ。これは重要産業にない。まあ淫売屋もない。そうすると、あとみんな重要産業なんだ。あなたの方でやろうとすれば、何でもみなできるのだ。ないのはサービス業だけだ。あなたの方で規定しようと思えば、全部できるようになっている。それで、あなたは大原則ばかり言っているけれども、大原則でない、大原則にもならないようなものを全部重要産業だ、これでいくと、日本の産業は全部重要産業だ。これで規定してやっているでしょう。あなたは法律の範囲内だと言うが、まさに法律にあるから、あなたの方は法律違反でも何でもない。ないけれども、これは国有財産を管理している建前からいったらおかしい。
  73. 田中彰治

    田中委員長 いや、あんまだって医学だから、重要産業さ。人のからだを見るのだから、政府が許可しているのだから、これは重要産業だよ。
  74. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 法律規定は、まさにその通りでございます。まあここに数はいかにも多いようでございますが、これをごらんになりましてどれ一つをとりましても、重要産業であるということに御異議のある方はないと思うのでございます。まあ漏れておりますものといたしましては、いわゆる消費産業、あるいはサービス産業、それから娯楽、商業部門、こういったようなところでございまして、その点に至りますと、先ほど申しましたように、根本的な考え方の相違と申しますか、延納が悪いことだという頭でごらんになりますと、そういうことになるかもしれませんが、私どもは、延納条件も合理的な範囲内で規定をいたしましてなるべく——国有財産をいたずらに国がかかえまして、そのために、むだな人間も、監守その他たくさん使っておかなければならぬ、それから国費もたくさん使わなければならぬ、こういうことはいかがなものか。できるだけ国の財産を早期に処分いたしまして、国の経済の発展に役立たすべきだろう、これがまた国の国策としても必要なことじゃないか、そういうような点も加味されて、法律上こういう制度があるのでございまして、それを私どもは運用しておるのでございまして、そこの考え方の相違もあろうかと思います。
  75. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 局長、そう言うがね、なるほど大勢の人をかかえて、国有財産を管理して金がかかるから、なるべく早く処分する、その考え方はいいです。しかし、その考え方なら、今度は逆に、こういうふうな——これは特例ですよ。特例を一ぱい広げて、それでこれも重要産業だから延納を認める、これも重要産業だから延納を認めるということになると、それが恩典であるかないかは別としても、現実には恩典となって出てくる。いま一つは、それならさっき山田君が要求した、関東地区だけで一千万なら一千万以上の土地払い下げたといいますか、何といいますか、払い下げたもの、延納払い下げたものと即金で払い下げたものの数を出してごらんなさい。きっと延納の方が多いと思う。そうすると、大原則はほとんどくずれてくる。大原則は守れないために、付則の付則みたいなものでもってどんどんやってくる。これはあなたの考え方からいえば、この恩典を受けられないのは、遺憾ながら気の毒な中小企業の諸君だけだ、そして大企業はみなこの恩典を受けられるというなら、あなたの建前は、一方はそれでいい、国有財産を早く処理して実現していく、それはいいけれども、そういう建前のために、こういうふうな付則のためにどんどん行なわれて、大きな企業だけが得をとっているということは、一つの社会悪と同じだと思うのです。注意すべきだと思うのですが……。
  76. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 中小企業がこの恩典に浴さないということは、全然ないのでございます。これは業種で規定しておりますから、その事業を営んでおられる業種であれば、中小企業であっても、国有財産払い下げにつきましては、法律規定の範囲内で延納は当然できるわけでございます。まあ結果におきましては、原則と例外がひっくり返ったようになっておるかもしれませんが、そのこと自体がしからば悪いかどうかという点になりますと、特別措置法という法律規定をもちまして、国会の御承認を願った法律そのものに設けられた制度でございまして、これがそういうふうになっておって、われわれが運営しておる、こういうことでございます。
  77. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 私は、あなた方のやっていることが法律違反だとは思っていない。法律規定内でやっているんだが、しかし、あなたの方は、国有財産を管理する当面の責任者だ。こういうものに対しては、あなたの方の当局が、大蔵省当局に対して、改正すべきだ、もっと規制すべきだということを進言したっていいでしょう。出せる立場でしょう。われわれにばかり、国会が審議したから、国会が審議したからと言うが、あなたは国会が審議したからやりいいから、その問題だけを国会にかぶせてくる。非常にやりよくて、まことに重宝便利だ、だから、そういうことを言っているけれども、あなた方がもっと発案して、訂正するならする。それから、あなたは中小企業には差しつかえがないと言う。中小企業もこれでいけばほとんどいける。サービス業だけが入っていないわけなんだが、しかし、現実を見てごらんなさい。現実からいったならば、おそらくわれわれのいう中小企業というものは、第一、払い下げも受けられない。受けられても、延納を認められないということが多々起きてくる。もし出てこないというならば、これはもっと調べて、今度実例をあげて出してみましょう。おそらくそうなっているのじゃないですか。
  78. 森本靖

    森本委員 この国有財産特別措置法というのは、これで見ると、最終改正が昭和三十二年になっておるわけですけれども、特別措置法でありますから、特別の措置のための法律であろうと思うのです。この法律を作った趣旨というものは、今局長が言ったように、旧軍関係のいわゆる国有財産というものを、その当時の社会情勢、経済状態からして、早く処分をして、そうして国の財産をすみやかに管理がしょいようにしようという意味の特別措置法でしょう、この法律ができたというのは。法律ですから、国会が作ったということは確かにこれは間違いないけれども、しかし、法律の趣旨というものは、こういう旧軍関係のいわゆる財産というものを早急に処分をし、国の財産として売却するものは売却をして、国有財産の収入なら収入として、とにかく早く処理をしよう、これはこういうことで当時作った法律でしょう。そうじゃないのですか。
  79. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 国有財産特別措置法の立法目的でございますが、これは第一条に書いてございますように「旧軍関係財産等の国有財産法第三条第三項に規定する普通財産を公共の利益の増進、民生の安定、産業の振興等に有効適切に寄与させるため、当分の間、その管理及び処分について同法の特例を設けることを目的とする。」としておるわけでございまして、旧軍から受け継ぎましたようなものは、できるだけ公共の利益の増進、民生の安定、産業の振興等に役立たせるのに便利な扱いができるようにということでできた法律でございます。
  80. 森本靖

    森本委員 確かにこの第一条を読んでもそういうふうに考えられるわけであって、だから、この法律に基づいてやるということは、今言ったように、そういう旧軍関係の財産は、処分するものは早急に処分をし、それを利用するものは利用しというふうに、早く解決をつけるという意味の法律であるわけです。そういう法律でありますから、そこで、最初の大原則があっても、その原則を曲げてもこういうふうにやってよろしいという意味の、国有財産特別措置法並びに施行令が出されている、こう思うわけです。そういうことになれば、もう昭和三十五年になっておって、戦後ではないというようなことを通常いわれる。そのころに、依然としてそのころの考え方に基づいての財産の処分ということがなされていくということについても、これは当時の考え方と今の考え方というものが、土地値段にしても、あるいは土地の売買の問題についても、当時買手のないものであっても、今は買手が引く手あまただというようなことで、情勢がかなり変わっていると思うのです。もっとも、これは昭和三十二年に国会で改正はしておりますが、そういう点で、この法律のあり方等について、あるいはまた財産の処分等については、先ほど来同僚小川議員がもう一ぺんこれを慎重に再検討する必要があるのではないかということを言っているわけです。もっとも、きょうもらった資料がこれだけの資料ですから、あとどういうふうになっているかということは、次に提出をするということになっていますから、その次に提出をせられた小さな金額のものも全部含めて、そうしてできれば最終的に当委員会としては全国的な資料も要求するということになっておりますから、そういうものも全部含めてわれわれとしては検討したい、こう考えておりますけれども、あなたの方の国有財産を管理する管財局の方としても、こういう問題については、一つメスを入れて検討してみる必要があるのではないかということを、先ほど来小川議員が言っているわけなんです。その点で、一つこの点についての見解を聞いておきたい、こう思うわけです。
  81. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 ただいまの御意見は、一つの御意見として伺っておきますが、私どもの考え方では、まだ相当処分すべき財産も残っておりまして、今日この規定を修正する段階にはないというふうに考えております。
  82. 森本靖

    森本委員 だから、これから先その処分する財産があるということになると、われわれとしては、これから先処分する財産というものを、この特別措置法によって処分するということになると、かなり問題が出てくるのじゃないか。作った当時の情勢と今日の情勢は違う。そういう今日の経済状態あるいは社会情勢において、依然としてこの特別措置法の施行令によってやるということになれば、先ほど言ったように、入らぬものはサービス業だけであって、あとは全部入るということになりますと、どんな業者でもそれがやれるということになって、あなたの方は法律によってやるから間違いない、こういっても、具体的に運用する場合には、やはり間違いが出てこないとも限らぬわけです。そういう点で、われわれは非常に心配になる点がありますので、今までの処分をした問題、それから、これから先処分をしようとしておるところのそういう国有財産というものについて、どうせこれは資料として要求をいたしますから、そういう資料が出てきてから、当然われわれとしてはあなた方に質問もしなければならないと思いますが、そういうふうにまだ相当処分をしなければならぬものがあるとするならば、よけいに、私は、こういう施行令のあり方については検討する必要があるのではないかということを考えるわけです。あなたが、見解の相違ということで、突き放したような答弁をするなら、それは仕方がないのであって、われわれとしては、現実にある財産をどういうふうにあなた方が処分をしようかという現物をとらえて、あなたの方に質問をしなければ、あなた方の方も、それは見解の相違、こう言えばそれは済むわけですから、われわれは一応——これから先の資料というものを、小委員長の方から要求するだろうと思いますから、その資料によってまたそれは質問をしていく、こういうことにしたいと思います。
  83. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 これは、今度は原則論じゃない、事実問題として場所とかそういうことは言いませんが、たとえばこういう事例はどういうふうに処理するのですか。僕なら僕が国有地を借りて住んでいる。そうしてこれは払い下げるのだというから、払い下げ願いを出した。出したらば、その書類をあなたの方でなくしてしまった。そうしてそのとき、なくしたとはっきり言えばいいのに、役人というのはなかなか面目を重んずるから、なくしたということを言わずに、きょうは係がいないから、きょうはだれそれがいないからこの次来てくれといって、何年も何年もたってしまった。あなたの方は、今は時価主義をとっていますから、一年たてば一年たつほどその土地は高くなる。一方書類をなくさない方は、安く払い下げられてしまった。なくした方は、時価主義をとっているから、だんだん高くなってきて、ここに、あの人たちにはこういう値で払い下げて、われわれの方は今度は何千円とはどういうわけだ、こういう問題が出てくる。この場合、書類をなくしたならば、これは責任はあなたの方にあるのではないかと思うのですが、それでも、あなたの方はそれは時価主義でやるのですか、それともあなたの方で書類をなくしたのだから、そのときにさかのぼってやるのですか。これは局長に聞いておきたい。
  84. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 具体的なこまかい事情をお聞きしないとよくわかりませんが、なくしたかどうかを問わず、売り払いの価格は売り払いのときの時価という原則は、これはちょっと曲げるわけにはいかないのではないかと思います。
  85. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 そうすると、あなたの方は書類をなくした責任はあるかもしれぬ。それらの書類をなくされた善良な人たち——ほかの形でも、なくさなくてもかまわないのだ。そこまで悪意には解釈しないが、なくしただろう、そうすると、それはやはりその人たち時価で、だんだん上がっていき、処理がつかない。それでも、それは善良な申請者に対して、あなたの方は、こっちに払い下げ人たちよりも高くどうしても売らなければならぬのか。そうすると、途中でなくされた人だけになって、これは財務部なり財務局全体の責任だろうと思うが、その責任はどうなるのですか。
  86. 田中彰治

    田中委員長 局長、あれでしょう。あなたのところに書類を出したという証拠があれば、あなたのところでなくしたという証拠があれば、元通りにしてやっていいんじゃないか。こういう重大問題だから、それに対して局長は答弁されておいた方がいいな。
  87. 賀屋正雄

    賀屋政府委員 国有財産払い下げは、申請があれば必ず売るというふうに限った——これは理屈になるかもしれませんが、限ったものではございません。その個人を相手に売り払うにつきまして、はたして随意契約適格性がありやいなやというような点もありますので、何でも申請書を出しておけば、必ずその通り国が売るものだということでもないわけでございますから、なくしたというような場合、はっきり資料がある場合には、これはその人が当然買い受ける資格のある方であります場合には、その責任の問題も起こるかもしれませんが、その責任問題と売り払いの価格問題とは別でございまして、私どもは、その時価の算定にあたりましては、できるだけ売り払い当時の時価——厳密にいって売り払うその日の時価ということには、これは事務上の手続がありますので、この売り払いの日の時価が幾らかということは、これは神様以外わからないわけでございまして、時価は、時価の評定ということにも若干の日時を要するわけでございますから、売り払いの日の時価というわけではございません。厳密に言うと、そういうことでありますが、この原則はくずすわけにはいかないわけでございまして、この点は、会計検査院の最近の検査を見てみましても、評価の点につきましては、非常に神経質な評価検査を受けているわけでございまして、私ども国有財産の管理、処分の担当をいたします者といたしましては、その点はできるだけ厳正にやっていきたいと考えております。
  88. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 僕は、その答弁は非常におかしいと思う。今僕も聞こうと思っていたが、そういう当然常識からいってとらなければならない——とると会計検査院がどうだということで出てくる、会計検査院の立場をあなた方はまず考えるけれども払い下げをするから申請書を出せと言って出さしておいて、一方は処理して払い下げはついた、一方はあなたの方で書類をなくしてしまってつかない。それで三年も、五年も、何回催促されてもやらなかった、ちゃんと記録がある。何回催促されても、係がいない、この次に来てくれ、この次に来てくれと言う。申請はどうしてくれるのだと言うと、今度は時価主義だ、こういうことを言う。それで会計検査院に対する立場は立つでしょう。今あなたはだれに払い下げるということはきまってないと言うが、それはその通りだと思う。しかし、あなたの方から払い下げるから申請書を出せと言って出さしておいて、しかも、そこは五年も十年もその人たちが住んでいるのに、一向払い下げにならない。払い下げを受けた方はそのときの価格、それを今度は時価主義だ、それでもおれの方は仕方がないのだという、そういう理屈が通りますか。
  89. 田中彰治

    田中委員長 もしそういう事実があるなら、今度の委員会で会計検査院も呼んで、よく話をすればいいじゃないか。それは局長には無理だよ。何か事実があるのかね。
  90. 小川豊明

    ○小川(豊)小委員 まあ、あるだろうな。
  91. 田中彰治

    田中委員長 本日はこの程度にとどめ、散会いたします。     午後一時八分散会