運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1960-03-02 第34回国会 衆議院 決算委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十五年三月二日(水曜日)     午前十時二十二分開議  出席委員    委員長代理 理事 井原 岸高君    理事 押谷 富三君 理事 鹿野 彦吉君    理事 田中 彰治君 理事 高橋 禎一君    理事 小川 豊明君 理事 高田 富之君    理事 田中幾三郎君       愛知 揆一君    小山 長規君       淡谷 悠藏君    久保 三郎君       森本  靖君  委員外出席者         会計検査院事務         官         (第五局長)  平松 誠一君         国民金融公庫総         裁       中村 建城君         国民金融公庫総         務部長     堀内 六郎君         国民金融公庫経         理部長     桐生 和夫君         国民金融公庫監         理部長     吉田 仁一君         住宅金融公庫総         裁       鈴木 敬一君         住宅金融公庫理         事       町田  稔君         住宅金融公庫貸         付部長     江ヶ崎太郎君         住宅金融公庫経         理部長     鈴木 敬人君         中小企業金融公         庫副総裁    中野 哲夫君         農林漁業金融公         庫総裁     清井  正君         北海道東北開発         公庫総裁    松田 令輔君         北海道東北開発         公庫理事    岡田 包義君         公営企業金融公         庫総裁     三好 重夫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 三月二日  委員堤康次郎辞任につき、その補欠として小  山長規君が議長指名委員に選任された。 同日  委員小山長規辞任につき、その補欠として堤  康次郎君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十二年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十二年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十二年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十二年度政府関係機関決算書      ————◇—————
  2. 井原岸高

    井原委員長代理 これより会議を開きます。  本日は、鈴木委員長が都合により出席できませんので、私が、その指名により委員長の職務を行ないます。  昭和三十二年度決算中、国民金融公庫住宅金融公庫農林漁業金融公庫中小企業金融公庫北海道東北開発公庫、及び公営企業金融公庫関係一括議題として、審議を進めます。  まず、会計検査院当局より説明を求めます。平松第五局長
  3. 平松誠一

    平松会計検査院説明員 国民金融公庫の三十二年度検査の結果につきましては、不当と認めて報告する事項はありません。業務概要につきまして、  一九八ページから一九九ページにかけて記述してありますが、特に補足して説明する事項はありません。  住宅金融公庫につきましては、三十二年度検査の結果につきまして、特に不当と認めて報告する事項はございません。業務概要につきまして、一九九ページから二〇〇ページにかけて記載してございますが、三十一年度検査報告におきましては、年度末の手持ち資金残高が八十一億二百余万円で、効率的な運用の面から一そう貸付業務の円滑な遂行が望ましい旨を申し上げたのでありますが、三十二年度におきましての手持ち資金残高は、四十三億三千五百余万円になっておりまして、相当減少いたしております。そのほか、特に補足して説明する事項はありません。  次は、農林漁業金融公庫でございますが、本院で、三十三年二月から八月までの間に、二千九百二十二件、百三十億六千六百余万円について調査いたしました結果、一部前年度調査未了のものを含めまして、管理不十分と認められるものが五百七十三件、五億八百余万円ありました。そのうち、三十三年九月末までに、四百五十二件、三億六千六百余万円につきまして、是正の処置が済まされております。  不当と認めたおもな事例につきましては、検査報告の二〇二ページから二〇三ページに記載してある通りでございます。  次は、中小企業金融公庫でございますが、三十二年度検査の結果につきまして、特に不当と認めた事項はございません。業務概要は、検査報告二〇四ページに掲げてございますが、特に補足して説明する事項はございません。  北海道東北開発公庫につきましても、三十二年度検査の結果、特に不当と認めた事項はありません。業務概要について、二〇五ページから六ページに記述してございますが、これにつきましても、特に補足して説明する事項はございません。  公営企業金融公庫につきましても、これは三十二年度新たに設立されたものでございますが、検査の結果、特に不当と認めた事項はございません。業務概要は、二〇六ページから七ページに掲げてございますが、これにつきましても、特に補足して説明する事項はございません。  以上でございます。
  4. 井原岸高

    井原委員長代理 次に、質疑に入ります。質疑の通告がありますので、順次これを許します。小川豊明君。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 きょうは、たくさん各公庫関係があるわけですが、今検査院報告を聞いていても、農林漁業金融公庫に数点あるだけで、あとはないということで、これはまことにけっこうなことだと思います。しかも、きょうは一時から、この委員会室をほかの委員会で使いたい、こういうことだそうそうですから、ごく簡単にお尋ねしたいと思います。  まず、国民金融公庫にお尋ねしますが、国民金融公庫は、市中一般金融機関からは融資を受けることが困難なものに対して貸付を行なっているわけですが、そこで、中小企業とか零細企業とかに対しては、非常に大きな力になっているわけです。検査院指摘にも、不正事項とか不当事項とか、そういうものは一件もないということで、非常にけっこうですが、そこでごく簡単にお尋ねしますと、会計検査院指摘で、三十二年度末において、最終弁済期限を六カ月以上経過した元金の延滞数が、十九万二千余件ある、金額にして三十三億八千余万円で、年度末の貸付残高に対して、件数においては二一・六%であり、金額においては四・五%の割合になっている、こういうことを指摘されていますが、この延滞金のその後の弁済状況はどうなっているか。これは年度別に、わかれば、たとえば三十三、三十四年の経過の中で、どう弁済されているか、この点をお尋ねしたいわけです。
  6. 中村建城

    中村説明員 延滞の額につきましては、検査院報告にあります通りでございますが、その内訳を御説明申し上げますと、私どもには、いわゆる普通貸付のほかに、更生資金貸付というものがございまして、これは引揚者等中心に、いろいろいきさつがございまして、貸し付けております。実は延滞はこれが大部分でありまして、ただいま十九万二千件のうち、更生資金貸付が十四万八千件でございまして、その他の一般貸付は一万七千件でございます。金額で申しますと、総額三十三億八千万円のうち、更生資金が十九億五千万円、約二十億でございまして、普通貸付の方は十億でございます。比率を申しますと、全体では、件数で二一・六%、金額で四五%でございますが、更生資金の方は、七七・八%という件数、七一・四%という金額の、非常に高比率延滞を生じております。これに対しまして、普通貸付は、件数で三四%、金額は一六%、これは普通の金融機関の常識から申しまして、割合に少ない数字だと思っております。  そこで、更生資金はこのように延滞しておりますが、これはとれるかと申しますと、現実としてとれないものが相当多いと思います。これは全体の件数が十九万件でございまして、金額は二十七億でございますが、これにつきましては非常にこまかいものがたくさんございまして、その後債務者が転々としたものもございまして、なかなか現状を確認することが十分にできない状態でございますので、特に政府にお願いしまして、三十四年度、五年度、二カ年度特別の計画を立てまして、現状の確認を目下いたしております。その結果、もし住所不明、あるいは行ってみましたら、いるにはいるが、生活保護を受けている、あるいは生活保護すれすれの線にある、そういうものは、無理に取り立てることがかえって不穏当でございますので、これを二ヵ年計画現状を確認して、とうてい取れないというものは、大蔵省承認を得まして、適当に善処するつもりでおります。結論的に数字で御説明することはできませんけれども、目下鋭意調査中でございます。  それからその後の経過でございますが、この更生資金の方は、依然として七〇%ないし八〇%の延滞率が改善されておりません。しかしながら、普通貸付の方は、ごくわずかではございますが、三十三年度におきましては、件数が二八に減りまして、金額が一・三に減っております。三十四年は、九月現在で押えますと、普通貸付件数で二・七、金額で一・三、三十二年度よりも幾らか改善されております。以上でございます。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お聞きして、大蔵省の方へ折衝をして、とうてい回収不可能なもの、住所がわからないとか何とかというものは、善処するということなんですが、この公庫の「十年の歩み」というものを見ると、この一七ページの表では、昭和二十四年、五年当時の貸付は、著しく目立っているわけです。そこで、これはもちろん回収されたり貸し付けされたりしているのですが、延滞率というものは七〇%くらいあるのじゃないか、今お聞きすると、こういうお話ですが、大体調査して善処する、こう了解していいわけですね。
  8. 中村建城

    中村説明員 調査した結果、とうてい取れない、あるいは取ることが非常に不適当であるというものは、大蔵省承認を経て善処する、こういうつもりであります。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 これから、公庫職員数は、二千五百四十人程度、こう聞いているのですが、この公庫職員が、二千五百人かそこらで、非常に広範な仕事をしている。その中で、監督機構や何かもいろいろ持たなければならないとすると、非常に手が足らないことになるのじゃないか。そのために、公庫支所には調査員の制度というものがあると聞いているのですが、融資希望者に面接して、帳簿を見て、実際に企業調査していく、一人では大へんな仕事を背負うことになるのじゃないか。そこでこういうものの検討、並びに融資申し込みについて、都市である場合には、十日か半月くらいで、調査が行なわれて適否がきめられる。ところが、郡部の方へいくと、一カ月も二カ月も経なければ、なかなか調査がやってもらえない、調査が進まない、こういうことを見受けるのですが、あなたのところの普通貸付郡市別浸透状況調査、こういうのを見ると、都市における浸透率は二八九%、郡部が一五%、やはり劣っているのです。この点をあなたの方では適正化する方法を考えておられるか。
  10. 中村建城

    中村説明員 国民金融公庫人員は、現在二千五百人ばかりでございますが、三十五年度におきまして、ただいま御審議中の予算には、二百二十二人の増員が計上されておりまして、二千八百ちょっとになると思います。これで足りるかというお話でございますが、実は私どもほんとうの考えを申せば、もう少し人数があった方がお客様に迷惑をかけないということであります。さて、人事行政を考えますと、  五百人も六百人もとることは、なかなかめんどうでございます。そこで、二百人くらいずつ何年かに分けて増員していただきまして、三年か四年あとには十分な人員にしたいという考え方監督官庁と折衝いたしておる次第であります。それで、現在はそれぞれ係をきめてございますが、年末等の忙しいときは、全員総出で表に出まして、現実調査等をやっておりまして、何とかやっておるわけでありますので、もう少し人数がふえますれば、幾らか楽になると考えております。  それから事務処理のスピードでございますが、これは、大体の方針といたしましては、窓口にきてから三週間以内にイエスかノーか言え、イエスを言ったあとで、印鑑証明をとる、保証人の判をとる、あるいは担保をとるということで、書類によって違いますが、ただいまのところ、大体その線で進んでおるように思います。ただ内訳を申しますと、たとえば数回申し込みがあって、いわば内容を知っておる方には非常に早くきまりますが、最初の申し込みにはどうしても多少のひまがかかるというような、多少の入り組みがあります。  それから遠隔地の問題でありますが、御承知通り、私の方は窓口が多くなければとうてい応じられませんので、支所が現在八十ございます。そして三十五年度には八十四になると思いますが、そのほかに代理所というものを全国に七百五十ばかり置いておりまして、そこの窓口で受け付けるというふうにしております。それでもなおかつ足りないものですから、そこで協力団体、これは自発的団体でありますが、それが各地にできておりまして、それで取りまとめて、一括してわれわれの方に持ってくる、あるいはまた償還金も一括して持ってくる、そういう協力団体の組織ができております。それが助けてくれまして、この人数で何とか大過なくやっておるのが現状でございます。なお、非常な遠隔地におきまして、一件ごと職員が出かけるわけに参らぬものについて、ある程度たまってから出かけるというので、そのために相当御迷惑をかける点があると思いますが、これらにつきましても、なお改善を考えております。ただいまのところ、特別の例外として、非常な遠隔地の場合には一件ごとに行けないものですから、たまってから行くというので、多少延びているものがあるかと思いますが、これらにつきましては、なおいい方法を考えるつもりであります。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 いま一点。申し込みに対する貸付割合は、件数で七〇%、金額では五〇%、一件当たりの貸付高が平均約二十三万円、これは貸付にあたって申し込み金額をあなたの方では相当削っているわけなんだが、これは資金を均霑させるという意味で削っているのか、それとも調査した結果、資金量からそうせざるを得ないのか。それから、普通貸付最高限度個人では百万円、法人では二百万円、こういうふうに看板はなっているわけですが、この個人百万、法人二百万という一つ規定は、今のいろんな金融事情経済事情の中から判断したと思うのですが、どういう根拠からあなたの方で規定したのか、この二点をお尋ねします。
  12. 中村建城

    中村説明員 貸付比率は、確かに今のような七〇%の時代もありましたが、ただいまは約八〇%になっております。十人の申し込みについて八人お貸しする、二人だけ断わるという結果になっております。金額の方は、最近は五二%ぐらいになっておりまして、十万円申し込みがあれば五万二千円貸すという結果になっております。これは御指摘通り二つの理由がございまして、一つは、返せる力で金額を査定する。つまり、大体運転資金は二十カ月で貸しておりますから、月に一万円返せると思えば二十万円貸す。それを三十万円貸したら期間が長くなる、あるいは重荷になって返しにくくなるというので、そういう返す力から見て金額を査定する。もう一つは、返す力がありましても、何分にも限られた資金で多数の方に満足を与えるためには、大口貸付をやりますと、件数が減りますので、大口の金の場合には、少ししんぼうしていただいて、何とかほかの方法でやっていただいて、私の方は割合金額を少なく済ましていただく。これは資金量がある程度制約されております、それから申し込みが多いものでございますから、それらに均霑させるために、多少金額を削る。この二つ意味からやっておる次第でございます。  それから最高法人二百万、個人百万、この法人個人との区別を設けましたのは、沿革的な意味がございますが、現在におきましては、率直に申しますと、私ども対象では、法人と申しましても、個人と実質変わりないのでございまして、法人個人区別をそう厳格にする必要はないと考えております。ただ、従来沿革がございましたので、昨年、その差を縮める意味で、従来法人二百万、個人五十万であったのを個人の方を百万に上げたのであります。あるいは将来さらに法人個人区別を撤廃するところまでいくかもしれないと思います。それで、二百万円にきめましたのは、そこを一定の線といたしまして、この線から下は私の方で受け持つ、この線から上は中小企業金融公庫の方で受け持つ、こういうように分けて、二百万というふうにきめてある次第でございます。
  13. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはちょっと意見になるかもしれませんが、公庫の場合、小企業零細企業、こういう点に主として融資をしているわけです。こういう層は、経済力の弱い企業ですから、やはりどうしても正規の金融機関から借りられないで、高率の金を借りていくと、ますます窮乏化していくわけです。この点では、公庫存在意義というものは非常に高い、私はこう思っているわけです。見ようによると、生活困窮者に対する生活救済資金貸し出しの方に重点を置いているように見えるのですが、公庫としては、やはり小企業零細企業育成重点を置いておるのか、あるいは生活援助面重点を置いておるのか。双方等分だといえばそれまでですけれども、一体どっちに主眼点があるのか。この点をお尋ねしたい。
  14. 中村建城

    中村説明員 公庫法規定を見ますと、生業資金、なりわいの資金を貸すということになっておりますので、とにかく商売をして、仕事をして食っていく、そのための金がなければ貸すというのが主眼であろうと思います。しかしながら、大企業といえども、もとをただせば零細企業から大企業に成り上がったものも、現在ずいぶんあります。そういうものを萠芽のうちに育成すれば、大きくなることもあります。生業資金申し込みがあれば、ほかにないので、どうしても貸さないわけにいかない。しかしながら、余裕があれば、もう一歩進めて、将来大きくなるように育成をしたい。そして大きくなれば、これは中小企業金融公庫取り扱いになる、あるいはまた市中銀行取り扱いになる、そうしてりっぱなものになっていくように、できればしたいということでありまして、二本立であります。生業資金申し込みは、貸さなければやっていけないのでありますから、これは十分に貸しますが、それ以外に、余裕があれば、育成する意味においてもやっております。ただいま特にやっておりますものは、地方に育成したいという産業がございます。それらにつきましては、特別にめんどうを見まして、府県等とも協力いたしまして、そういうものがよくなるようにというので、ちょっと生業という意味を越えますが、貸付をいたしております。現在二段立であります。     —————————————
  15. 小川豊明

    小川(豊)委員 中小企業金融公庫の方にお尋ねいたします。三十二年度においては、当初資金運用部から二百億を借り入れて、これと回収金等二百十五億円を合わせて、運用資金は四百十五億と定められていたわけですが、しかし、あの年は、金融引き締め措置の影響を受けて、第四・四半期貸付予定額よりも五十七億円を繰り上げて融資しておりまして、貸付計画は四百四十八億と改められておる。ところが、今のこの計画では、今のような事情があったために再び変更してきた。その結果として、決算報告書に見られる通りですが、こういう金融引き締めの際の措置として出された五十七億は、おもにどういう対象、たとえばいかなる業種重点を置いて貸し出されたのか。それは、設備資金運転資金とに分けて、どっちに重点を置いてお貸しになったか。この点をお尋ねしたいわけです。
  16. 中野哲夫

    中野説明員 昭和三十二年度は、御承知通り国際収支が非常に赤字になりまして、金融引き締めがかなり急激にとられて、当時、私ども記憶に残っておるのでありますが、中小企業者の倒産、あるいは不渡りというようなことがかなりふえて参りました。そこで、お話通り、第三・四半期から繰り上げまして、第二四半期に厚くする、当初の四百十五億を四百四十八億に融資を増額いたしましたが、それでも中小企業金融難が激しくなっておりましたので、十一月に臨時国会がございまして、それでも当公庫は百億の追加借り入れが認められましたので、それを加えまして、最終貸付は、三十二年度一年間で五百五十二億に相なったのであります。  この繰り上げあるいは追加借り入れによってどういう業種に出したかという点につきましては、ただいま業種別の的確な資料を持ち合わせておりませんが、私の方の貸付は、物品製造業が約七割ございます。その中でも、機械関係繊維関係食料品関係、木工、木製品というのが大半を占めておりますので、おのずからそういう方面に、特に当時といたしましては、繊維関係中小企業貸し出しが多かったと考えております。  それから設備資金運転資金割合につきましては、当時、とりあえず、その設備の改良、合理化よりも、当面の金繰りというようなことが繁忙でございましたので、公庫といたしましても、運転資金重点を置くというと言い過ぎでございまするが、それまでの考え方を変えまして、資金繰りを安定せしめるような長期運転資金を貸し出すように、これは直接貸付、特に代理貸付において、代理店を指導いたして参りましたので、当時金融引き締め時には、たしか昭和三十二年の十二月などは、金額といたしまして約四割近くが運転資金に出る、こういう時代経過したのでございます。その後だんだん引き締め効果が上がりまして、景気も上向くということになりまして、最近におきましては、だんだん運転資金比率が狭まって、設備資金割合が七割ないし七割五分というような状況で推移いたしております。
  17. 小川豊明

    小川(豊)委員 あの当時の事情としても、運転資金重点を置いて貸し出すのはやむを得なかったというのは、当然だろうと思うのです。しかし、それから景気も回復してきておるわけです。長期なんですが、運転資金に貸し付けたものの回収状況というものは、まだ数字として出てこないかしれませんが、回収はどうなんですか。
  18. 中野哲夫

    中野説明員 運転資金設備資金の各別の回収状況は、ただいま的確に持ち合わせておりませんが、両者を合算出してみますると—これが逆に、先ほど国民金融公庫から御報告申し上げたように、延滞状況数字で御説明申し上げますと、三十二年度におきましては、件数におきまして五・一、金額におきまして三・二%という数字になっております。それが翌年、三十三年度になりますと、件数が若干減りまして四・二%、金額も減少いたしまして二・四%、こういうことに減っております。さらに本年度、これは十二月末現在でございまするが、件数がさらに減りまして三・五%、金額において二・二%、これも減っております。一昨年からの景気上昇に伴いまして、回収率が漸次上昇して参っておりまして、その後、公庫内部としましても、回収について、格別頭を悩ますというようなことでなしに、順調な回収を示しておるものと考えております。ただし、昨年の伊勢湾その他の台風被害によります回収は、相当額回収をただいま見込まざるを得ないというような状況でございます。
  19. 小川豊明

    小川(豊)委員 災害の方は、これは仕方がないでしょう。そうすると、回収からいっても、需要からいっても、回収はいいし、需要は減ってきておるということで、中小企業景気といいますか、そういうものは、その当時から比べると非常によくなってきておるということを、あなたの答弁からわれわれは推測されるが、そういうふうに推測していいわけですね。
  20. 中野哲夫

    中野説明員 三十二年度は、繊維中心といたしまして、かなり多業種にわたって、景気なべ底に悩んでおったわけでございますが、お話しの通り、その後おおむねの業種は復調いたしまして、ただいまでも、中小石炭鉱業あるいは造船の部品工業というような特殊の業種については、景況さえないものもございますが、当時私どもの方も悩みました絹、人絹、綿、スフ織物等、あるいは陶磁器、ゴム工業というようなものを押しなべて、ただいまのところ、何と申しますか、いい状態に相なっておると思うのであります。ただし、これもただいま申されておりますように、貿易自由化に伴いまして、本年度以降の影響等については、私どもも、調査部を中心に、いろいろ検討を加えておる段階でございます。
  21. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お聞きしていますと、中小企業金融公庫は、機械類とか、繊維、あるいは食品、木工、こういうものが主として貸し出された先だといいますが、この貸し出しには、生産するもの、消費する部面、いろいろ仕事によってあるわけですが、やはりこういう生産の部面を重点に置いているわけですか。消費部面の、たとえばホテルだとかなんとか、そういうものには貸し出さないで、主としてこういう生産面だけに貸している、こういうことになりますか。
  22. 中野哲夫

    中野説明員 公庫といたしましては、日本の中小企業合理化を進めるということが公庫法の使命だと思っておりますので、貸し出し対象業種としては、別に政令に定められまして、ただいまおあげになりましたホテル、旅館、あるいは美容業、大衆浴場というようなサービス業までも含んでおるのですが、貸し出し重点といたしましては、やはり機械設備その他工場設備合理化ということにおのずから意を用いるというようなことでございます。貸し出しの結果を申し上げますると、ただいま申し上げたような製造業あるいは輸出関係というようなものが、数字の上では主になりまして、サービス業等は、おのずからパーセンテージにしては少ないものに相なっておる現状でございます。
  23. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは製造とか、輸出とか、サービス業とか、いろいろありますが、甲類とか乙類とか、そういうふうにあなたの方では貸し出しに対する分類をしているわけですか。そういうことをしないで、ただあなたの方では、大体製造業のようなもの、輸出業のようなものを最も育成することを主としている。甲とか乙とか丙とか、こういうふうに分類はしていないわけなんですか。
  24. 中野哲夫

    中野説明員 融資にあたって、ただいまお話しのような分類は、全くいたしておりません。それで地域的に見ますと、東京、大阪、名古屋というふうに、工業の発達しているところでは、先ほど申し上げたような業種におのずから多く出ますが、観光地の多いところ、あるいは地方で大きな工場の少ないところ、たとえば東北とか南九州というようなところは、サービス業あるいは物品販売業というものがおのずから多く出ておる、こういうことでありますので、地域的に分けてみますと、かなりバラエティがありますが、全部を合計いたしますと、先ほど申し上げたような結果に相なっておるわけであります。甲、乙、丙というような段差をつけた融資方針はいたしておらぬわけであります。
  25. 小川豊明

    小川(豊)委員 次に、決算書の貸付実行額を見ますと、設備資金が七一・四%で、運転資金が二八・六%、圧倒的に設備重点が注がれているわけですが、この中小企業金融公庫で出された昭和三十二年度の業報告書を読みますと、三ページから四ページにかけて「貸付に関する主な事項」というものが出ていまして、「三十二年度において公庫は輸出産業、生活必需物資産業および重要産業の関連産業に重点を置き、中小企業の振興および安定を図るため、特に必要と認められる設備融資対象とするごとにしたが、金融引締措置のしわよせを受けて旺盛となつた公庫資金需要に対処するため、極力資金量の増大を図り、また貸付資金運用に当っては、不要不急産業への融資を極力抑制する」云々、そうして「長期運転資金融資には特に配慮を加え、」こういうふうになっているわけですが、私の方の考えとして、輸出産業への配慮と、中小企業合理化のための設備投資は、もちろん大切なことと考えるわけです。だが、この設備投資に重点がとられ過ぎるあまり、金融引き締め等の際における十分な措置がとられなかったのではないかという懸念が持たれるわけです。実際に貸付実行額の中に、業報告書の考え方が完全に出ているのかどうなのか、こういうことが一応疑問として持たれるわけですが、この点を御説明願いたいわけです。
  26. 中野哲夫

    中野説明員 当時の金融引き締めに際して、公庫長期運転資金貸し出し態度が消極的ではなかったのかという御質問の御趣旨だと思うのでございますが、当時としましては、われわれも意識的に運転資金の増大が業界から望まれるであろうということを考えまして、特に代理店等にも連絡会、あるいは通牒を出しまして、長期根だまり資金に当たるものの供給について格段の配意をしているということを申してあったような次第でございます。先ほど申し上げましたように、当時としましては、長期運転資金比率が逐月かなり上がっていったというような統計から申しまして、もちろん十分とは申せなかったかと思いまするが、当時の経済情勢に応じて、公庫として弾力的な運用をある程度果たしたのではないか、かように考えておる次第でございます。
  27. 小川豊明

    小川(豊)委員 それから直接貸付の業というのがありますが、これはどのくらいの人員で、職員のうちの何割くらいがこの直接貸付という業に当たっているのか。これは代理貸付の部門とどういうふうに区分されているのか。この点をお聞きしたい。
  28. 中野哲夫

    中野説明員 直接貸付は、実は公庫仕事を始めました当時は、なかなか職員も店舗もないということで、代理貸付のみを行なって参ったのですが、その後、業界からも、代理店においては十分申し込みも聞いてくれない、新規組織のものについては代理貸付も望めないというようなことで、直接貸付を早く公庫が始めるようにという要望がだんだん強くなって参りましたので、公庫昭和二十八年に事業を始めたのですが、たしか三十一年から直接貸付を始めたように記憶いたしております。その後、店舗も、最初は大阪一つでしたが、今日では、全国に、ブロック別に十カ所にふえております。ただいま御審議を願っておりまする新年度予算では、さらに静岡、神戸、京都にも、小さいながら店舗を設けることにいたしまして、ただいま七百五十人ぐらいの総職員のうち、本、支店の直接貸付融資事、あるいは事業調査をします審査事を合わせまして、百四十名ぐらいが直接貸付に当たっております。申し込みもかなり多うございまして、毎々直接貸付の処理日数がかかり過ぎるという御不満、おしかりをいただいておりまして、いろいろこの能率を上げることに苦慮いたしております。そういう結果で、ただいまでは貸付比率を見ますと、金額において全体の約一割八分、二割足らずの実績でございまして、八割余りが依然として代理貸付で行なわれておる、こういうことでございます。新年度の予算定員も、店舗の増設に伴う点と、処理能力をスピード・アップするという点で、百三十名の増員を認められたのですが、そのうち、約半分は直接貸付の方に充てたいということで、ただいま準備を進めておるような次第であります。
  29. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはあなたの方で、代理貸付がだんだん直接貸付に移行しなければいけない、こういう建前で、直接貸付窓口というものを充実しつつある、こういうことなんで、これは私ども同感なんです。同感なんですが、そういう方針だけれども、今お聞きした通りに、どうも職員数が足らない。従って、直接貸付業というものが、窓口だけを広げても、今度は決裁がおくれてしまって、聞くところによると、半年くらい時日がかかる、こういうことを聞いておる。そうすると、金融としてせっかく直接貸付を受けようとしても、半年もかかってしまったんでは、借り入れる方は、これは効果からいったって、対策が立たなくなると思う。従って、これをもっと敏速にしていく必要があるのではないか。これはいろいろの準備が要ると思います。そのうちでも、私は、やはり職員数をもっとその方に振り向けていくことが、今後の対策として非常に必要ではないかと思いますが、そういう御意思でやられるわけですか、どうなんですか。
  30. 中野哲夫

    中野説明員 直接貸付が処理に日数がかかるという点は、実は公庫といたしまして、ただいま一番悩んでおる点でございます。ただいまお示しのように、半年かかるというのは、実は一、二年以前のことでございまして、ただいまでは、別段のむずかしい問題がない限りは、三カ月を目標として処理しようじゃないか、こういうことで職員を督励いたしております。しかも、一人当たりの受け持ち件数が、実は常時多い東京、大阪などでは五、六件、あるいは九州、仙台あたりでも三、四件というような受け持ちをやっておりますので、申し込みの案件に専属してかかりますれば、おそらく一月、一月半くらいで結論が出るかと思うのですが、押せ押せのものがございますので、それのみにかかれないというようなことで、私ども、三カ月のうち半分くらいは、そういう職員の不足、受付案件、手持案件が多いための空費された時間があるのではないか、かように考えております。しかし、申し込んだお客さんから申し上げますれば、それは公庫の内部事情で、何らエキスキューズにはならぬわけでございますので、小口の案件などについては、もう少し事業調査を簡略にいたしまして、経営者の信用力、経験力、あるいは物的担保というようなものにもっと重点を置いて、簡単な調査で済まそうではないかということで、ただいま準備を進めております。その小口の簡単な調査のやり方によりますと、一人が月に三件くらいの事業調査をやるというような形にいたしまして、新年度におきましては、その調査期間の短縮、取扱い件数の増加をはかりたいということで準備をいたしております。
  31. 小川豊明

    小川(豊)委員 最後にお聞きしますが、「特需の減少および駐留軍の引揚に伴う離職者の新規事業資金融資については格別の配慮をはらうこととした。」こういうことを言っておられますが、実際にこういう申し込みはありましたか。あったとすれば、これはどのくらいそういう件数があって、それに対する貸し出しは、申し込みに対してどのくらいであったかという点が一つ。もう一つは、業の改善の中で、「代理貸付事の取扱に関して」というので、保証人は従来は連帯保証人二名以上立てさせることにしておった。ところが、今度代理店長の判断で一名でもよいということにした、こういうことになっておりますが、私どもこの決算委員会で、官庁の決算を見ると、一番民間と違っているのは、何百万、何千万という金が不当に横領されたり何かしてしまって、しかも、保証人は立ててあるのですが、その保証人には経済上の追及はしない。そういう保証人なら、保証人を立てたも立てないも同じことなんです。だから、役所の場合にも——民間の場合には、保証人をどんどん追及していっても、これは回収していかなければならぬならば回収していく。そういうふうに保証人に迷惑がかかるから、それぞれ当事者も十分に自分で戒心する。役所の場合には、そういうようになっていない。だから、これは使い得。一生かかったって、二千万、三千万の給料はもらえない。それが、ぽこっと一年くらいでとって、あとは払う力がないならば、それで済むというようになっているわけです。そこで、こういう金融機関で、特にそういう点は留意されるべきことなんですが、ここで保証人二名を一名にしたということは、これは代理貸付ですから、代理店の方で責任を負うから、この事に従事する中で、保証人は一人でいい、こういうふうにされたのか。それとも何かはかに特別な理由があって一人にしたのか。それで、役所のように、経済的な責任は追及しないのだ——まさか金融機関だから、そういうことはないと思うのですが、この点と、以上二点の御説明をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
  32. 中野哲夫

    中野説明員 特需関係、駐留軍の引き揚げについては、当時閣議決定もございまして、銀行局から、転業資金については格別の配慮をするようにというような通牒もいただいたので、公庫といたしましても、各代理店及び本支店に連絡をとったのでございます。しかし、これに基づく融資申し込みが存外少のうございまして、また、申し込みがあっても、代理貸付あるいは直接貸付のラインに乗らないというようなものもございまして、ただいまのところでは、当時二、三件程度の貸付しか行なわれなかったように記憶をいたしております。なお少額等のものについては、手前どもから国民金融公庫さんの方へいろいろ御紹介して、処理済みのものも、当時若干あったように記憶いたしております。  それから次に、保証人の点を当時二人から一人に減らしましたのは、借入人、中小企業者の便宜ということで、むしろ代理店に対する配慮ではなかったのでございます。公庫は、御承知通り、三年、五年、七年というような長期資金をお貸しいたしますので、原則として物的証拠——工場なり、土地なり、建屋なりの物的証拠をいただいておりますので、われわれ、保証人といたしましては、もちろん保証能力のある人であることは必要としますが、むしろその事業に深い関心を持っておるという友人、知己、あるいは親会社、系列工場というようなところに保証をしてもらいまして、それによってその事業が伸びていくことに絶えず関心を持つ、あるいは忠告助言をするというような人を得たいという点が、主眼でございます。そういう点から考えますると、物的担保がある以上、どうしても二人以上を必要とするということも、少し中小企業者にかた過ぎるんじゃないかというような考え方から、当時一名以上ということに緩和いたしました。     —————————————
  33. 井原岸高

    井原委員長代理 久保三郎君。
  34. 久保三郎

    ○久保委員 農林漁業金融公庫の中で、一つだけお尋ねしたいのですが、元金の延滞が、三十二年度決算の中で、六カ月以上が二十三億程度ある、こういうことなんですが、なお業務概況を見ますと、三十三年度分の「延滞している債権の殆んどが、旧特別会計時代から公庫設立当初の時期迄に貸付られたものである。」こういっておるのでありますが、いずれにいたしましても、この貸し付けするとき自体に問題が相当あったのではないかと私は思うのです。特にこの土地改良区に対する問題でありますが、これは最近各所にいろいろな問題が出てきておる。もう事業は中途半端になっていて、とうていこれを返済する見込みはないというようなことが多いのであります。こういう問題について、公庫自体はどういうふうに考えておられるか。これを一つお尋ねしたい。
  35. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御質問の点でございますが、御指摘通り、私どもの貸し付けいたしておりますもののうちの延滞は、年々多少ずつふえて参ってきておる状況でございます。その中で、現在特に問題が多い上に、なおこういう会計検査院の方から御指摘を受けております事項は、大部分の貸付対象は、災害関係が多いのでございまして、そのうちでも特に多いものは土地改良関係でございまして、御指摘の土地改良区に対する貸付が、災害でありますとか、あるいは災害のない普通の場合におきましても、そういう事業に貸付をいたした場合に延滞を起こすという事例が、私どもにおいて問題になってきておりますもののうち、相当部分を占めておるような状態でございます。  そこで、なぜ土地改良事業について相当延滞が起こるのかということでございますが、これはいろいろな原因があろうかと思うのでございますが、特に私どもが土地改良事業に貸付をいたしまして、それが延滞を起こしておる事由として考えられますのは、大体土地改良区に貸付をいたしました場合には、改良区を編成いたしております各農業者に対して賦課金を課するわけでありますが、その賦課金の賦課徴収状況が十分でない。たとえば、公庫から貸付をいたしました場合に、この貸付金を、将来事業が成功するに伴いまして、それぞれの組合員から経費を賦課徴収するわけでございますが、その賦課徴収関係が十分に納得せられていない。あるいは納得せられた場合におきましても、その方法が十分に末端に徹底されていないために、組合員からその組合費を徴収することが不円滑になっておるということが、このうちの一つの原因になっておるわけでございます。もう一つの原因として考えられますのは、事業が計画通り進捗いたしますればけっこうなのでございますが、たとえば三年のものが、三年かかってもなかなか事業が完成しない。自分の畑に水が来ない。来ないうちに経費を賦課徴収される。あるいは公庫に対する貸付金の返済時期がきてしまった。自分のたんぼには水がこないうちに、賦課金の賦課徴収があったり、公庫から貸付を受けた金の返済期がきたということは、納得ができないじゃないかというふうに農民の方が言われまして、そのために延滞を生じて、公庫貸付に対する返済が不十分だというようなことが私どもが大体観察いたしておりますうちの、土地改良区に対する貸付金の延滞の起こるおもなる原因だろうと思うのであります。私どもといたしましても、延滞が起こりました場合におきましては、県の係官とも御相談いたしまして、それぞれおもなところには、現地に私どもの役員なり職員なりを派遣いたしまして、この土地改良区の事業の今後の円滑化に対しまして、相談をいたしております。これは土地改良区でございますから、今後引き続き国庫の補助金を増額いたすなり、あるいは継続交付いたすなりいたしまして、その土地改良事業を円滑にいたすことが第一でございますので、その条件に伴いまして、私ども貸付条件も、その後の土地改良事業に即応いたしまして、多少条件を緩和いたす。たとえば、十年で返すものについては、法規の範囲内において十五年にする、あるいは据え置きの期間を若干延ばすというふうに、土地改良事業の進捗状況に応ずるように、その条件の方も緩和していくということも考えていかなければならぬのであります。現実にはそういうふうにいたしまして、問題の起こりましたところには、それぞれ県の方とも相談をいたし、国の方の事業、あるいは県の方の事業を改変していただくと同時に、その事業に合わすように私ども貸付条件を緩和していくということも、一つ方法として実行いたしております。それによって、相当解決をいたしておる分があるわけでございます。そういうことにつきましては、今後私どもといたしましても、できるだけその事業に即応していくようにしていきたいと思っております。ただ、延滞の原因が他の場合、たとえば、これはごくわずかな例でございますけれども、一部土地改良区の幹部に不正行為があったとか、あるいは経費が他に流用されたというようなことがあったとか、あるいは役員の間で多少紛争があったというようなことも、間々あるわけでございますが、そういうことで延滞を生じておりますと、事業の方をうまくいたしましても、その原因を除去しなければ、なかなか円滑に返済が行なわれないのでございますから、その場合におきましては、それぞれの事情に応じまして、これまた県の方とも御相談いたしまして、その原因となっておる問題を解決いたしまして、それから円滑に私どもに返済をしていただくというふうにしていただかなければならないと思っております。しかし、私が最後に申し上げましたのは、全体といたしましてごくわずかな例でございまして、事業の進捗が初めの計画通りいかなかった、従って、公庫に返す金がおくれたというのが、大部分でございます。その点につきましては、前段で私が御説明申し上げましたような方法によって延滞を解消していくということを、現にいたしておりますし、今後もそういう方法でいたして参りたい、こう考えておるわけであります。
  36. 久保三郎

    ○久保委員 ただいまお話があったように、貸し付けた対象の土地改良区の事業がうまくいかなかったということの原因が一番多いと思うのでありますが、お話によりますと、そういうのはあまり多くない、ごく少数だというお話ですが、実際はそうでないようにわれわれは見ているわけです。他に事業以外に流用したりなんかというものもございますが、もう一つは、土地改良区の事業が完成していれば、受益対象になる農民から、賦課金の徴収は、一応は完全にできるはずです。しかし、完全にできるといっても、今までの金利その他を考えると、非常な問題が出てくる、こういうものもかなりあると思う。大体滞納しているのには、三通りぐらいあると思うのです。御指摘があったような、他に流用したものが、いわゆる事業外に不正に使用したというものが、一つあると思う。それからもう一つは、計画そのものに誤りがあって、途中で放棄せざるを得なくなったような、これは考えてみると、計画自体に対する農民の啓蒙が徹底しなかったという面もある。それからもう一つは、経済効果と負担金の問題、賦課金の問題、こういう問題がふつり合いな、膨大な土地改良計画をしてしまったというような問題から発生したものもある。それからもう一つは、これは切りかえ時期だと思いますが、今までは、大体補助金と拠出された労働力によって完成するんだ、金は出さぬでもいいんだ、というようなことでつってきた土地改良区もあると思うのです。そこで切りかえになって、にっちもさっちもいかぬで、公庫から金を引き出す、あるいは一般市中銀行から金を引き出すということをやって、自転車操業のような形でやってきたものもある。そういうものが壁にぶつかったというのが、たくさんあると思う。われわれの方にはそういうものがある。極端な例は、千七百万ぐらい借りて、借りる場合は、保証人は判をだましてとった。それで事業はほとんどできない。それはどうなっているんだかわからない。結局、一人頭二百万程度の借金が残ったというような事態があるわけです。これはひとり農林漁業金融公庫だけで解決されるべき問題ではないと思います。いずれにいたしましても、えてして土地改良区などは、一部の間違った指導者がいると、不良貸付対象になってしまうというものがあるのです。最近そういう事例はないとは思うのですが、これは十分注意しなければならぬ。  そういうことを指摘して、私は、最後に資料を委員長を通じてお願いしておきます。ただいま公庫の方から御指摘になったような、私が言ったような滞納の額はどのくらいであるか、府県別に出していただきたい。できますならば、三年以上滞納になっているもの、府県別に、それは幾つの土地改良区であるか。個所別は要りません、どこの土地改良区というのは大へんですから。東京なら東京の土地改良区、その受益面積は幾らであるか。それから大よその滞納額と元利合計、それを出していただきたい。それを公庫自体で考えて解決するのはむずかしいと思うのでありまして、公庫自体も、一つ金融機関として、このままでは永久にとれないというものも、今日では相当あると思う。賦課金でとればいいという話もありましたが、工事が中途半端に——法規では、三分の二が賛成すれば、三分の一が反対しても、土地改良区になる。それを強硬にとっていく。最後は、土地改良区の定款に基づいて、耕地なり何なりを差し押えする、競売するというようなことになるのでありますが、極端な例は、土地改良をやったために、自分の土地がなくなる、何だかわけがわからぬ形が各所に出てきているというのもあるわけです。こういうことは、土地改良の事業とはまるきり反対なことでありまして、なるほど、法規では定められておるのですが、おそらく不可能な問題です。またやるべきではないと思うのです。これは解決の方法を、金融公庫自体として、何か一つの制度を作るなり、あるいは再建整備法を作らせる、そういう形を農林省あたりと相談すべきであろうと私は思うのであります。もちろんわれわれの方も、そういう問題を今日かかえておるのですから、やらなければならぬと思うのですが、ただ単に金融機関だから、県の方にお願いして、農林省にお願いして、いつかは返ってくるだろうということでやっているのでは、最後はどうなるかという問題がある。だから、今日そういう不当な借金を背負った農民が、毎日暗い陰をかぶって農業にいそしまなければならぬということは、大へん不幸なことであります。これはくどいようでありますが、金融公庫自体でも、これを何らかの方法によって解決する形を一つ考えてほしい、こう思います。  以上です。
  37. 清井正

    ○清井説明員 ただいま御指摘のありました点は、十分拝承いたしました。私どもといたしましても、むろん、これは政府に全部依存いたしまして、ただ金融機関としての立場を守っているということでは相ならぬのであります。今後土地改良の補助金、それに伴う私ども融資ということにつきましては、また、その延滞を起こしましたものにつきましては、根本的にその原因を探求いたしまして、その改善措置につきまして、政府と協力いたしまして、できるだけの努力をいたして参りたいと思います。ただ三十二年度以降、政府におきましては、土地改良区が資金を借り入れする場合に、知事が認可をする制度を作りまして、その内容をよく検討して、無理な計画でないようにということで、認可制度をしくということをいたしております。それから三十三年度以降、土地改良につきましては、融資を受けた事業について県の職員が監督をするというような制度をしいて、おそまきではございますけれども政府側といたしましても、現状の改善に努力いたすようにやっておるのであります。従って、今後の措置といたしましては、まず第一に、借り入れをする場合には、組合員にその借り入れについての納得がいかなければならぬのでありますから、その納得をいたすということ、それからただいまお話のございました通り、事業効果がいつ発生するか、従って、農民の負担力と応ずる計画というものを十分作りませんと、農民の負担力を越えたような計画を作りましても、なかなか実効が伴わないというようなことがありますし、ひいてはただいま御指摘のような事態が起こるということでありますから、よくその事業計画にあたりましては、関係農民の負担力を十分考えるということも大切でございます。それから土地改良区自体の今後の経理指導ということも、今後十分注意して参らなければなりませんから、ただいま私が御説明申し上げましたし、またお話もございました通り、若干問題が、土地改良区の幹部の中に起こりますと、全体の仕事に響いて参りますから、土地改良区の経理指導ということにも、十分注意して参らなければならぬと思いますけれども、いずれにしても、私どもとしては、この実情について十分政府と連絡いたしまして、今後の改善につきまして、最善の努力をいたして参りたいと思います。  ただいまの資料につきましては、私どもできるだけ整えまして、お手元に提出いたしたいと考えております。
  38. 久保三郎

    ○久保委員 つけ加えて要望しておきますが、これからおやりになる融資の場合、各県にそれぞれ出張所ですか、これがあるわけですね。融資をする場合には、総代会なり役員会なりに、ちゃんと公庫職員が行って、融資方法はもちろんですが、償還の方法という点をこちらから説明してやるということも一つだし、理解を深める。それからもう一つは、それによって、その土地改良区の造成をやはり公庫として検討していく。その上で、その事業が確実にいっておるということで初めて貸してやるような努力はやるべきではないか。県にまかせっきりでは、県と地方のボスとのつながりというものは大へんなものでありますから、やはり金融機関からも、そういう調査を——調査というか、指導をやるべきものと思います。
  39. 小川豊明

    小川(豊)委員 関連して一つお尋ねします。意見になるかもしれませんが、今御答弁を聞いていて、実際にわれわれが見ていると、ごく最近に聞いた、目に触れた事例に、利根川の中に一つ、印旛沼の周辺に一つ、総会を——適法なんですね、総会を開いて、会員が出席して、議事録も議決している。適法だと思う。ところが、あなたの方に金を払ってない。あなたの方から督促を受けて、なぜ払わないのだと聞いたら、そういう議決に参加したことはない。こういうことなんです。それから今度中金の方に行って聞いてみたらば、ちゃんと書類が出ている。適法だ。おかしいじゃないか。あんたらみな判を貸してやってるじゃないかと言ったら、そういう総会が開かれたこともないし、私ども判を押した覚えもない。だから、そういう債務はわれわれは支払いする義務がないのだ、こういう問題とぶつかった。そこで今久保さんが言われたように、私は土地改良区の総会などというものは、当然県が指導するなら、県が行って、その総会等にも列席してやっているものだと思っておったところが、そうでなくて、ただ単に書類が出てくれば、それでやってしまっている。こういう事例がある。あなたの方なり何かへ来れば、これは書類が適正なのだから貸し出すのはあたりまえだから貸し出す。出さなかったらおかしいので、貸し出すでしょうが、問題はあとでそういうふうに起こってくる。だけど、総会は開かれていないとするならば、組合自体は不存在ということになる。これは大へんな問題になってきて、土地改良区に非常に暗い影を与えていることになる。この点で、今聞くと、三十二年度から知事が認可するようになった、こういうのですが、知事の認可もいいのですが、知事が行って見るわけでもなければ、下のおそらくこれは農地農林部あたりの土地改良の者が行くのでしょうが、行ってないんだな。行っているなら、そんなばかなことをやるはずがない。だから、こういう点は、今後公庫としても、これは一つ等閑視しないで、十分に御検討願って、そういうことをなからしめるようにしてもらいたい。私は、最近に二件そういう事例に触れて、あぜんとしているんですがね。これは払わないということは当然出てくるだろうと思うので、そういうことをなからしめるような措置を、あなたの方でも別個の立場から十分にとってもらいたい。意見になりますが、申し上げておきます。
  40. 清井正

    ○清井説明員 ただいまの御注意の点、十分拝承いたしました。これは公庫といたしましてもできるだけの努力をいたしますが、御指摘通り、これは政府でやっていただくことが相当あるのでございますので、今後農林省と十分相談いたしまして、差処いたしたいと思います。
  41. 井原岸高

    井原委員長代理 それでは、ただいまから住宅金融公庫に関する件に移ります。小川豊明君。
  42. 小川豊明

    小川(豊)委員 住宅金融公庫の三十二年度末の貸付残高は、千二百九十一億千三百余万円、こうなっておりますが、このうちで、六カ月以上の延滞となっているものは、二千四百余万円あるわけです。一カ年以上延滞となっているものが千三百余万円、こうあるわけですが、こういう長期にわたる延滞の原因というのは、一体何であるのか、これに対する措置は、どういうふうにとっておられるのか、この点をお尋ねします、
  43. 鈴木敬一

    鈴木(敬一)説明員 お答え申し上げます。御指摘通り年度末における延滞のおもなものの状況は、会計検査院から報告された通り数字でありまして、六カ月以上延滞となったものが、金高において二千四百余万円ということに相なっておりますが、できるだけ長期延滞のないように、終始心がけておる次第でございます。また、全体の債務者の方々の状況を考えますと、多くは俸給生活者の方々といったような中層の人々が、個人としては多いのであります。私ども、常々過酷にわたらない程度において催促を申し上げるというような趣旨を、私どもの代理業務取扱店等に周知させまして、もっぱら成規の期間内の回収に努めておる次第でございます。近年は、大体納期限に償還すべき金額に対しまして、九八%程度の償還を受けておる次第であります。ことに昨年年末の締め切り等におきましては、九九%の期限内償還を得ておるような次第でございまして、これら六カ月以上、あるいは一年以上というがごとき、比較的長期延滞は、きわめてりょうりょうたる数字であると考えておる次第でございます。格別の困窮がなくて延滞しておるというのは少ないのでございまして、大体思いながら納められないというものが大多数でございます。できるだけこれらを償還に努めさせるようにしておりまする結果、大数計算としては、先ほど申し上げたようなパーセンテージに相なっておりまして、ここに六カ月以上延滞と御指摘になりました二千四百余万円も、年度末の貸付残高千二百九十一億円余と対比いたしますと、歩合は一万分の二内外かと思います。ここに御指摘に相なっていると、非常に目立つのでございまして、今後とも、回収の促進については努力いたしたいと考えております。
  44. 小川豊明

    小川(豊)委員 私はこの千二百九十億という金額の中で、二千万あるいは一千万というものが延滞になっているのは重大だと言っているのではなくて、こういうものが出てくるのは、公庫貸付について何かトラブルがあるのか、それともその御本人が、長期なんだから、借りた後の経済事情等で支払いが困難になって延滞しているのか、何か公庫貸付に対して不満があって払わないのか、そういう点が原因として出てくるのか、そういう点でお聞きしたので、公庫貸付に対して事情を了承して借りているのだから、そう理屈は立たないと思うけれども、しかし、間々こういうことがある。国の機関であるから、そういうことも出がちなんで、一体原因はどういう理由で出てくるのか。回収よりも、むしろその点をお聞きしているのです。
  45. 鈴木敬一

    鈴木(敬一)説明員 先ほども若干触れましたように、思いながら払えないというような事情が、大多数と思います。逆に裏を返して申しますと、われわれのお客さんは、まあ失礼な言葉ですが、一体に真剣にまじめに償還をして下さると、われわれ関係従事者一同は考えておる次第でございます。無理をせずに、順調に納めていただくようにお勧めをするごとに、代理店その他を督励いたしておるような次第でございます。
  46. 小川豊明

    小川(豊)委員 長期に借りて、その後いろいろな事情で払えなくなった、これはあると思うのです。それがつかえているなら、これはやむを得ない。あえて無理に催促したって、取れるはずもないし、すべきでもない。ただ、公庫貸付に対して不満があってそういうものが出てきたとすれば、考えなければならぬ問題があるので、お聞きした。それがないとすればけっこうだ。仕方がない。  それから三十二年度貸付計画を予定した分譲住宅の貸付、三十二年度に新たに業務を開始した中高層耐火建築物等の貸付等は、これはおくれています。計画に対して、契約締結が五十六億五千八百余万円も下回っておる、こういうふうに検査院指摘しているわけですが、この原因は、一体どういうわけなんですか。三十三年度、三十四年度では、どういうふうな解決の形がとられてきているか、この点お聞きします。
  47. 鈴木敬一

    鈴木(敬一)説明員 ただいま御指摘になりました中高層耐火建築物等の貸付と申しますのは、三十二年度に、初めて法律改正の結果実施することに相なりましたので、法律改正発布後におきまして、その実施要領、方針等を具体的に勘案いたしまして、かつまた、初めての貸付でありますから、非常に複雑多岐でありますし、われわれを初めといたしまして、貸付の関係者もふなれな問題が多々ありますものですから、それらを熟知いたす訓練と申しますか、そういうことにひまどりまして、中高層貸付は、たしか当該年度の九月末に締め切ったと記憶しております。自来、これをしさいに検討して審査いたしますし、関係機関との折衝に手間取りまして、かたがた年度を越して契約ができなかった、あるいは契約ができておっても貸付資金の払い出しまでに至らなかったということのために、特に中高層耐火建築物等の貸付がおくれた次第でございまして、その後の年度におきましては、極力早くから受け付け、かつ審査することに努めておりますので、初年度の場合のようでなく、改良に努めておる次第であります。  なお、分譲住宅貸付がここに指摘してありますので、お尋ねもあったようでありますが、これは前回の場合にもお答えいたしましたように、分譲住宅貸付の中で、計画建て売りと申すのがございます。一般的に狭義の分譲住宅というのは、自治団体あるいはこれにかわる住宅協会、公社等の財団法人等に貸付資金も貸しまして、そうして分譲住宅の用地も買い、整地し、あるいは住宅建築をいたしまして、土地、住宅もろともに分譲する、これは当該事業者、つまり地方公共団体、あるいはこれにかわる財団法人公庫貸付契約を取り結びますので、貸付契約締結、すなわち予定計画が済んだ、こういう意味合いにおいて、会計検査院において意見を述べておられるのでありまして、普通の分譲住宅が割と早く締結に相なるのでありますが、そのうちの一部であります計画建て売りと申しますのは、金は事業者には交付いたしませんで、事業者が土地を整地し、あるいはまた住宅を建設しまして、でき上ってから住宅及び土地付で希望者に分譲する、公庫は、その場合においては、事業執行者には正式の金銭契約はいたしません。金も渡しません。ただ、それによってでき上がった住宅を買い受ける個人に対しまして、公庫が許す大体最大限度の貸付をその譲り受け者といたしますので、そこで初めて貸付契約が個人公庫との間で締結されます。そのために、普通の分譲住宅よりも非常にその時期がおくれることに相なるのであります。そのために、個人との契約締結が年度経過するものもできてきますし、また、契約だけができましても、現実の金がわずかなことで次年度に移るというようなことにもなりますので、分譲住宅ということでここに御指摘に相なったのは、今までの年度もそうでありますが、そういうような原因が主になりまして、貸付の予定が残るというような結果になっておると思います。これも、自後の年度におきましては、できるだけ促進を期待しておる次第でございますが、なべてこの三十二年度は、国際収支の関係から、金融をできるだけ繰り延べるような政府の方針でもありましたし、かたがた各種の貸付を多少意識しながらおくらしたというような関係もあると思います。のみならず、せっかくわれわれの方と約束はいたしましても、約束いたしました相手方が、金融逼迫その他のために、思いながら建設事業計画が進まない、公庫との相手方において進まないような事情もございまして、中高層耐火建築物の貸付の場合、あるいは分譲住宅の場合、それぞれおくれぎみであった。三十二年度はこういう特殊の事情もあったために、かような御指摘を受けるようになったと思います。
  48. 小川豊明

    小川(豊)委員 いま一ぺんお聞きしますが、これはあなたの方では計画を立てて、これだけのものは出るだろう——これは三十二年度計画して初めてやったことだから、いろいろな事情があったのはわかります。が、計画に対して五十六億という金額が下回っておったということは、総裁はいろいろ言われますが、それはやはりあなたの方でこの仕事をする上においては、当然十分な計画調査はあったはずなんです。この点で、やむを得なかったとはいいながら、これは計画が少し過大であったのじゃないか、こういうことが言えると思うのです。  それからこれは小さい問題ですが、住宅金融公庫というものは、今非常に住宅難の中で、事業者からいうと刮目するというか、ここを何とかして十分に利用しようという——これは当然そうあっていいことなんだが、そういう中で、新聞で見ますと、あなたの方の文京区かどっかで、相談室長とかいう相当いい立場の人だろうと思うが、その人が、何か利用者に特に便宜を与えてやって、二十万か三十万金をもらって警視庁に引っぱられたというようなことがある。これはたまたま一件なんです。だから、そう取り上げて一言うほどのことではないが、これはやはり公私混淆しないように、この点は十分にあなたの方で指導といいますか、監督を厳密にしていかないと、今後こういう問題が起こりがちではないか、こうも思うので、こういう点の監査機構というものを今後十分に立てて、こういう国民が非常に刮目し、期待しているだけに、ここの運営というものは公正であるということが主眼点にならなければならぬ。この点、今後十分注意されるということを期待して、私の質問を終わります。
  49. 井原岸高

    井原委員長代理 それでは各公庫関係はこの程度にとどめ、本日はこれをもって散会いたします。     午前十一時五十六分散会